平成15年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(浅井修一郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並びに報第六号及び報第七号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並びに知事専決処分報告報第六号及び報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 皆さん、おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 私、今回の統一地方選挙で初当選をさせていただき、本日初めての一般質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。しかしながら、二日目のトップバッターということもありまして大変緊張をしていまして、その分、お聞き苦しい点が多々あろうかと思いますが、どうか先輩・同僚議員の皆様はもちろん、木村知事を初め県当局の皆様にはご理解をいただき、今後ともご指導、ご協力をお願い申し上げます。
 それでは、早速質問に入らせていただきます。
 まず初めに、河川対策についてでございます。
 本県には、紀の川水系、新宮川水系、合わせて百三十四本の一級河川があり、ほかに三百十六本の二級河川があります。山あり川あり海あり、大変豊かな自然環境に恵まれたすばらしいふるさと和歌山県であります。それらの川は大地の養分やミネラルを豊富に含み、その清流は、陸地では多くの植物や動物をはぐくみ、海に入っては海洋の生物を数多く育てています。また、水辺の空間は地域住民やすべての人々に心の安らぎといやしを与えてくれるなど、これらの川から多くの恩恵を受けているのであります。しかし、本県には急流河川が多いため、豪雨による出水、はんらんの被害を受けやすいのが特徴であると認識しているところであります。ふだんは多くの自然の恵みを与えてくれる川も、一たび怒り狂いますと、私たちのかけがえのない生命や財産を一瞬のうちにのみ込み、押し流してしまうわけであります。
 有田川、日高川や貴志川などのはんらんにより死者、行方不明者が千六十六名も出るなどのあの未曾有の大災害をもたらした七・一八水害からちょうど五十年の今日、二度とあのような惨事を起こさないように各河川の防災対策や環境整備に取り組んでいただいているところであります。水害や土砂災害などの災害に強い町づくりを進めていくためには、堤防、護岸、ダム、砂防施設の整備などの治水事業の推進による治水安全度の向上を図るとともに、森林や身近な森、里山などの樹林帯の保全・育成による保水性の向上、さらに防災情報システムの整備などのソフト対策を推進していくことが必要かと思います。
 そこで、県民の皆さんが安全で安心して生活できる県土の基礎づくりに欠かすことのできない治水事業、二十一世紀の川づくり、いわゆる紀の国の川づくりについて木村知事にお考えをお尋ねいたします。
 私の地元を流れる有田川とその支流には、堤防の強化や改修及び整備など、早急に取り組んでいただきたい箇所がたくさんあるのが現状でございます。現在、県では和歌山地方気象台と協力して、平成十五年六月三日から二級河川有田川水系有田川を洪水予報河川に指定して有田川洪水予報を発表し、関係行政機関、報道機関へ伝達して地域住民に周知していただいていることは、地元の県議としても感謝しているところであります。しかしながら、洪水予報を行っても、根本的に有田川の増水による被害を回避することにはなりません。
 さきの八月八日、九日の台風十号では、有田川の水位は警戒水位を突破し、洪水警報が深夜発表されました。私も、地元消防団の皆さんと一緒に警戒に当たりました。有田川右岸の保田橋上流の国道四百八十号では濁流が国道の舗装を洗い、あわや七・一八水害の再来かと思ったほどでした。もちろん、ふるさとの川総合公園も水没していました。被害を受けた公共施設の一日も早い復旧、とりわけ有田川では市民が親しみ利用しているこのふるさとの川総合公園の復旧にご尽力をいただけますよう要望するものでございます。
 一方、左岸では糸我町におけるお仙谷川の水位が上昇し、二基のポンプをフル回転させ、内水の排除に地元の人たちによって文字どおり必死の対応がなされました。その中で、正常、着実なポンプ稼働のために、取水口のスクリーンにかかったごみを四、五メートルもあるかと思われるくま手で除去している姿に感銘を受けました。このような危険きわまりない、まさに命がけの作業にもかかわらず、残念ながらミカン畑に浸水し、多くの木々が冠水しました。同じように下流の高山川も増水し、山地地区で家屋の床下浸水とミカンの木の冠水という被害が出ました。私は、ポンプ場の機能向上を図るとともに、作業される方々の安全を確保するためにも、ごみ処理の自動化ができないものかと思いました。
 前々から指摘のとおり、有田川下流では天井川の状態であるため、本流が増水したり流れが悪くなると、それに注ぐ支流に非常に大きな影響があります。現在の保田橋を中心とした上下流域には堆積土砂が多く、直径三十センチ以上の樹木が生い茂り、雑草も一面に茂っているという状況であります。これらは明らかに河積を減少させ、スムーズな水の流れを妨げています。
 また同様に、右岸の西谷川、宮前川にも悪影響を及ぼしています。また、つけ加えますと、ふるさとの川総合公園の冠水についても、当然深い関係があると考えられます。
 そこで、本流域における保田橋の雑木・雑草の除去及び土砂のしゅんせつの取り組みの考え方について県土整備部長にお尋ねいたします。
 また、支流における対策としては、支流から本流へ排出するポンプの増強を図られますよう要望いたしますが、当面の対応として、ポンプ場の安全かつ確実なポンプ稼働のために機械式の集じん機の設置等、ごみ除去方法の改善について検討すべきと考えますが、県土整備部長のご見解をお尋ねいたします。
 次に国道四十二号有田・下津─海南間の渋滞対策についてでありますが、この渋滞緩和の問題については、有田地方や下津町の住民のみならず、この区間を利用するすべての人々の切なる願いであります。
 有田市と下津町は平成四年よりこの問題に取り組み、平成九年には有田市、有田郡町村会及び下津町、海南市で国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会を設置し、国、県に対し、四車線化やバイパス案も含む陳情活動やさまざまな活動を展開してまいりました。
 今回、この問題については私が質問させていただいておりますが、他の多くの先輩・同僚議員の皆様も賛同し、支援をしていただいていると思います。特に尾崎議長が後ろの議長席から、もっともっと強く訴えなさいといったエールを送ってくださっているように感じているところでございます。
 国道四十二号は紀伊半島の基幹道路であり、本県の経済や産業にとって極めて重要な社会資本であります。中でも、有田─海南間は県下でも有数の交通量があり、平成十一年度の道路交通情勢調査では、海南市冷水で一日当たり約三万台、下津町加茂郷で二万四千台、特に朝夕の交通渋滞は深刻な問題であり、渋滞時の救急車両の通行もままならない状況であります。この現状に対して、これまでも国土交通省においても対策を講じられてきたところですが、現道対策としての冷水交差点の改良が残されていると聞きます。この進捗状況についてお伺いします。
 有田市、下津町にとっては、国道四十二号は唯一の重要な産業道路であり、生活道路でもあります。事故、災害による通行どめが発生した場合、その影響は非常に甚大であると考えます。ぜひともバイパスルートの整備が必要であると考えます。この抜本的対策としてのバイパス計画についても、国土交通省でルート検討が進んでいるとお聞きします。県当局におかれても、この区間の渋滞解消は県内道路網整備の最重点課題であり、最優先ルートとして位置づけをし、国と市や町との間に立って積極的に調整を図るとともに国に働きかけていることと思いますが、この計画に対する県の今後の取り組みについても県土整備部長にお伺いします。
 あわせて、近畿自動車道海南─吉備間の四車線化に向けての進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 現在の海南湯浅道路は、土日や祝祭日、夏の海水浴、春や秋の行楽シーズンには吉備インターや海南インターを中心に渋滞が生じております。この渋滞によって、多くの車両が海南インターや吉備南インターなどでおりて、国道四十二号へと迂回する車両も相当量でございます。その結果、沿線住民にとっては、これらの車両の増加によって生活道路が渋滞し、市民生活にも大きな影響が出ているのが現状であります。したがって、国道四十二号の渋滞解消は有田郡市や下津町の住民の大きな悲願でもあります。そのためにバイパス道路並びに海南─吉備間の四車線化は緊急的な大きな課題でありますので、あわせて四車線化に向けての取り組みについて県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、ミカン対策についてのまず一点目、果樹試験場の研究体制と新品種の開発の現状と、生産者に対する果樹試験場と農業改良普及センターの指導の現状と考え方についてであります。
 果樹王国和歌山のミカンの現状はどうでしょうか。県内のミカン生産農家は、平成十四年度産でキロ当たり百四十八円、平成十三年度産でキロ当たり百三十五円という生産原価をも下回る販売価格で大きなショックを受け、危機感を募らせています。これまで、生産量が多い表年は安くても生産量が少ない裏年は値段が高いという、二年に一回はそれなりの価格が期待できたわけですが、どうも最近の状況は違ってきているように思います。長引く不況によるデフレ傾向や消費者のミカン等の果実離れ、量販店などのバイヤーの力が強くなったなど、幾つかの原因が考えられますが、以前のようにミカンすべてが高価格で販売できる状況はこれからも期待できなくなっているように感じています。
 しかし一方、そのような中でも愛媛や熊本等の九州産地などは、糖度が高く、品質がそろっているという最近の消費者ニーズに合った新商品を次々とつくり出し、昨年度の大手量販店や市場の評価は完全に有田ミカンを上回っています。もちろん、県内にも他府県産に負けない高品質ミカンを生産している農家もたくさんいますが、全体としての地位はかなり低下したと言っても言い過ぎではないと考えます。
 このような本県ミカンの低迷の原因は、どこにあるのでしょうか。味を選別する光センサー式選果機やマルチ栽培の導入のおくれなど、当然、生産者や農協組織等が取り組むべき生産面での課題に加えて、県独自の新品種の産地化が進んでいないことも一つの要因ではないかと感じています。どのような品種に改植していいのか決められずに古い品種が老木化し、どんどん品質の低下につながっているのではないでしょうか。
 現在も果樹試験場では新品種の育成に取り組んでくれていることは十分承知していますが、有田ミカンの再生を図るには、もっともっと迅速に、全国に先駆けて本県に、また有田地方に適した新品種の育成を進める必要があるのではないでしょうか。そのためには、試験場内での育種にとどまらず、県内広く多くの農家との連携を密にし、枝変わりなどの情報を集めての研究を強化する必要があります。
 現在の試験場、普及センターはそれぞれの立場で鋭意取り組んでいただいているところではありますが、最近、農家とのつながりが薄いのではないかという話を時々耳にします。新品種を探すにも、またそれを産地化するにも、あるいはマルチ栽培などの技術普及にも普及センターが農家の意見や情報を拾い上げ、それを試験場につなぎ、新品種開発の素材とし、産地化するときにも、試験場から普及センターへ、またそれを個々の農家へ品種特性等の改植指導を行うという、そういう体制を強化することが重要なのではないかと考えます。そういった体制強化の意味で試験場の研究者は、より密な農家との信頼関係を築くためにも、ミカン一筋に常に新しい技術や専門知識を習得し、技術開発や地元に役立つ研究を長期的に行うことが重要と考えます。
 試験場、普及センターの職員数にも限りがあるのはよくわかっていますが、農家との信頼関係をより深め、常に新しい品種や技術を農協の営農指導員と協力しながら農家を指導し、産地の改善を進めていくのが試験場の研究員と農業改良普及員の大きな役割だと考えています。
 私が思うのに、やはり和歌山のミカンが元気になるには有田が元気になる必要があります。ミカンの中心は、有田であります。四百年の歴史と先人の努力を受け継ぎ、有田ミカンのより一層のブランド化や新品種の開発など図るべきと思います。
 このほどJAが統合再編されたのを機会に、農協の営農指導員や果樹試験場、改良普及センターが一体となったミカンづくりのための組織の再編、再構築を図り、より一層生産農家との連携を深めることにより他産地と対抗できる体制ができるのではないでしょうか。
 そこで、幾つかお伺いしたいと思います。
 現在の果樹試験場の研究体制をより機能的にするために、継続してミカンのために専門で研究していくスタッフをそろえていただく体制ができないか、知事にお伺いします。
 また、本県のミカンの新品種の開発の現状はどのようになっているのか、生産者に対する果樹試験場と農業改良普及センターの指導の現状と考え方はどうなのか、農林水産部長にお伺いいたします。
 次に、ミカン対策の二点目の販路拡大に向けた取り組みについてお伺いします。
 県では、本年の四月、商工労働部と農林水産部が一体となって設置したブランド推進局において首都圏でソフトアンテナショップを展開しておりますが、私もその第一弾の上永谷店を本年六月に視察してまいりました。横浜市にあるその店は、さすがにお客さんの数が和歌山などより相当多く、にぎやかであり、本県フェアの会場ではちょうど旬の青梅などが山のように置かれ、よく売れておりました。この期間は、上永谷店だけではなく、イトーヨーカ堂のほとんどの店舗でフェアとして和歌山の梅など多くの県産品が売られており、認知度向上の面でも、あるいは売り上げ面でも大きな成果を上げられたと聞いております。
 さて、そこで有田ミカンでありますが、長い歴史の中で堅実かつ安定的に販売され、ミカンを中心とした果樹立国和歌山が堅持されてきたものと信じるところであります。しかしながら、近年、少子高齢化の進展、消費者意識の多様化など、流通を取り巻く社会環境が大きく変化する中で、私は、今、新しい販売戦略として、各県に先駆けて実施したソフトアンテナショップを使って有田ミカンを売り込んでいけないか。和歌山のミカンは他産地と比べて首都圏に弱いと言われておりますが、このような機会を通じて攻め込み、有田ミカンのブランド化の向上と日本一のミカン産地の育成につなげていけないものかと考えているところでありますが、商工労働部長の考えをお伺いいたします。
 最後に、教育についてお尋ねいたします。
 教育は、何といっても社会の基盤であり、将来を担う子供たちをたくましく健全にはぐくむことは私たち大人の重要な責務です。しかしながら、最近、子供にかかわる重大な事件が頻発しています。沖縄や長崎での青少年による犯罪、そして東京で発生した携帯の出会い系サイトの悪用による女子小学生監禁事件など、非常に痛ましい事件が発生しています。児童虐待の増加や校内暴力、不登校といった子供の問題行動は深刻化するばかりであります。
 子供の問題は、大人社会の反映だと言われます。子供は大人の背中を見て育ちます。子供の問題は大人の問題であり、何よりも家庭における保護者の対応は極めて重要です。子供は、家庭における教育を通じて基本的生活習慣、社会的倫理観を身につけます。学校で培う学力や創造力、企画力なども、この家庭における基本的な教育の上に成り立つものです。したがって、家庭は教育の原点であることを十分に認識し、子供の教育にしっかりと取り組む必要があります。
 ところが、最近の調査によれば、子供の教育やしつけの仕方について自信がない親がふえているとの指摘があります。これは、急速な都市化や少子高齢化のため、核家族の増加や地域とのつながりが希薄化した結果、子育てを助けてくれる人、相談に乗ってくれる人が身近にいないことが原因とも言われています。学校における子供の教育はもとより、親たちが子供の教育の仕方やしつけについて、ともに学び合い、また地域社会と助け合えるような体制づくりも必要ではないでしょうか。また、現代社会の情報化を背景に、はんらんする情報やインターネットなど、親の目の届かないところで子供たちはさまざまな危険にさらされています。さらに、大人社会のモラルの低下が子供たちの意識に大きな影響を与えていることも事実です。
 このようなことを考えますと、子供の教育は、親個人の問題ではなく、社会全体の問題であると言えます。地域社会の大人一人一人がこのことを自覚する必要があると考えます。
 最近では、学校週五日制の流れを踏まえ、地域において学校と連携したり、公民館を活用したりして子供たちに体験活動やボランティアの機会や場を提供する取り組みが盛んとなってきていると聞きます。これらの活動を通して、一人でも多くの大人が子供の模範として行動し、よりよい地域づくりに参画していくことを期待したいと思います。行政としても、これら地域の活動を積極的に支援し、地域ぐるみの教育を盛り上げていくことにより、子供の課題への取り組みを通して大人の意識を高めていく必要があるのではないでしょうか。家庭における教育、地域ぐるみの教育に対する支援について、現在の取り組みと今後の展望をお伺いしたいと思います。
 昨年から県内すべての学校で学校開放週間を始めるなど、開かれた学校づくりに積極的に取り組んでいるとお聞きします。不登校、学級崩壊など、子供にかかわる問題は深刻であり、学校としても日夜これら問題の解決に励んでおられることと思います。しかしながら、学校はとかく閉鎖的であるという批判も一方ではあり、学校の中で何が起こっているのか、どのような問題があるのか、保護者、地域住民としても大きな関心事項であります。
 そのような中、学校開放週間を設け、学校を積極的に公開し、情報提供を行うという取り組みは、学校がみずからの説明責任を果たし、自律性を高めるという大きな効果があるものと考えます。さらに地域に対しては、地域住民と学校が子供の課題を共有することにより、地域ぐるみの教育の機運を高める大きなきっかけになるものと考えます。このような取り組みは、今後もぜひ積極的に進めていただきたいと考えます。
 私は、PTAの役員として、長年PTA活動に携わってきました。この経験から申し上げますと、PTAは学校と地域のかけ橋として、地域に対して学校を開き、連携しながら特色ある学校づくりを進める際の強力な支援者となる可能性を持っています。私は、各学校はPTAと積極的に連携・協力し、開かれた学校づくりに取り組むべきと考えます。今後の開かれた学校づくりに係る取り組みと展望について教育長にお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、河川の整備の強化についてのご質問にお答えをいたします。
 ご質問の中にありましたように、和歌山県は大変山がちということで、河川も急流が多いと。一たび洪水が起これば大変な被害が出るということは、あの二十八災のときに日高川、有田川を中心に大変多くの人命が失われたことからも明らかなところでございます。そういう見地から、県といたしましては引き続き治水ということに力を入れていきたいというふうに考えておりますし、そしてまた今の時代に合わせてこれからの治水事業の中では、一つは和歌山県の河川のすばらしさというものをあわせ発信できるような治水の仕組みということを私は考えていかないといかんというふうに思っています。
 例えば、可能な限り県産材を治水工事の中に使っていくような仕組みでありますとか、それから県外から来た人たちが和歌山の川はきれいだというふうなことの中で、観光的な資源としても生きていくような形の治水。これは相反する概念ではなくて、セメントばっかりで何でもやっていくというふうな形じゃない新しい形の治水事業というものが、また安全性とあわせて和歌山県の魅力を引き出してくるものだというふうに考えておりまして、こういう点、積極的に進めていきたいというふうに考えております。
 それからもう一点、ミカンの問題でございます。
 この今の時代は、大量生産の中で値段がどんどん下がっていくというふうなデフレ傾向にある時代で、私は、当分この傾向は変わらないと思いますけれども、そういう中でこの有田ミカンというものが生き残っていくためには、やはり付加価値を高めて、有田ミカンじゃないといかんというブランド化ということを推進していかなければ、同じようなものをずっとつくっていて今までどおりうまくいくという時代でないことはもうはっきりしているわけでございます。そういう中で、県といたしましても、マルチ化でありますとか新しい品種の改良でありますとか、いろんなことに今努力しているわけでございますけれども、しかしながら、ご質問の中にありました県の試験場、これがもっともっと地域の生産者と協力して大きな役割を果たすべきだというご質問は、僕はそのとおりだと思います。農業改良普及員の人ともあわせて、やはりその地域で何が今必要となっているのかということを親身になって研究する。そしてそのためには、やはり一番新しい先進的な知識というふうなことが必要ですし、それから長い経験年数ということが必要になってくると思いますので、ご質問の中にありましたスペシャリストというものをつくっていくということは、これは本当に──こういう分野は別にゼネラリストは要らないんで、スペシャリストであるべきだというふうな考え方を私は持っておりますので、そういう方向で、どういう形がいいかということを大いに研究してまいりたいと思います。
 それから、今、工業試験場の方では、特許を取ったりしたらその成果が特許を取った人に帰属するようなシステムをことしからやっているんですけれども、果樹の試験場なんかでもそういうふうな競争原理というものを入れていって、ただ単に一年を通して研究していればいいということじゃなくて、それが有田ミカンのブランド化とか、そういうふうなものにどういう形で結びついたかということを検証できるようなシステムをとっていかないといかんと思います。
 いずれにせよ、有田ミカン、関西を中心に売っていたものですから、今までの、言ってみれば関西中心のブランド名に安住した──そういうわけじゃないんだろうと思いますが──ことから、首都圏での情報発信力が極めて弱くなっているということもありますので、この首都圏での情報発信力ということを強めるとともに、今言ったような研究の方向というふうなことを強化していきたい、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず有田川の治水対策についてでございますが、議員ご指摘のとおり、河道内の樹木は洪水の安全な流下を妨げるものであり、治水上の観点から、河道の流下能力を勘案の上、影響の大きな樹木の伐採を実施しているところでございます。
 本年度は保田橋下流付近において実施することとしており、今後とも継続してまいります。
 また、有田川のしゅんせつにつきましては、現在の有田川の河床は堆積と洗掘が入りまじった状態であり、今後の変動状況を見ながら対応を検討してまいります。
 支川お仙谷川、高山川のポンプ場のごみ除去対策につきましては、今後、機械化も含め、整備手法を検討してまいります。
 次に国道四十二号有田・下津─海南間の渋滞対策についてでございますが、まず当面の対策として交差点改良が逐次実施されてきており、最後に残る冷水交差点についても、既に事業として着手していただいております。現在、国土交通省で用地買収のための公図訂正や関係機関との協議が進められているところでございます。今後とも、地元市と協力しながら事業促進を国に働きかけてまいります。
 また、抜本対策としてのバイパス整備につきましては、二市一町の意向を踏まえ、現在、国土交通省でルートの検討が進められているところであります。今後、当面の課題である都市計画決定に向けて国の調査を促進し、計画ルートの精度を高めていく必要があります。県といたしましても、国と市町の間に立って調整に努めるとともに、今後の直轄事業の展開を視野に入れ、国に対し事業化を働きかけてまいります。
 次に近畿自動車道紀勢線海南─吉備間の四車線化につきましては、今年度から下津町域で用地買収に着手しており、工事につきましても一部着手される予定となっております。今後とも、県として積極的に事業に協力するとともに、国及び日本道路公団に対し早期完成を強く働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) ミカン対策の中で、新品種の開発と、生産者に対する果樹試験場と農業改良普及センターの指導の現状と考え方についてでございます。
 まず新品種の開発についてでございますが、本県におきましても、優良種の育成は果樹振興の中でも特に重要な柱の一つと位置づけております。これまでに果樹試験場での育種や現地での枝変わりによる優良系統の探索に努め、極わせからおくてまで十数品種を育成してございます。その中で、県といたしましては、近年の消費者ニーズに合った糖度が高く、味のよい由良早生や田口早生といった県内で育成された品種の早期産地化とマルチ栽培の拡大を積極的に推進するため、県単独の支援対策を本年度から実施しているところであります。
 続きまして、生産者に対する果樹試験場と農業改良普及センターの指導の現状と考え方についてでございますが、果樹試験場におきましては、場内の研究だけでなく、農家のミカン園での現地試験や研究成果を農家に発表するオープンデーの開催等を通じて生産者との交流を深めるとともに、気軽に訪れ、情報交換できる開かれた試験場を目指しております。
 普及センターにおきましては、各振興局を拠点として地域の実態や生産者の要望に則した課題を設定し、高度な技術指導や地域づくりの支援に取り組んでおります。中でも、有田地方におきましては、日本一有田ミカン産地の活性化のため、果樹試験場、市、町、農協など関係機関との連携のもと、新たなマルチ栽培技術の現地試験や優良品種への更新、こだわり商品の県産杉を使った容器開発など、新しいコンセプトを持ったブランドを開発し、有田ミカンを全国に向け発信しているところでございます。さらに、園地にいながら携帯電話からミカンの栽培技術に対する各種情報が得られるミカンデータベースなど、ITを駆使した普及活動に取り組んでいるところでございます。
 議員お話しのとおり、農協、果樹試験場、普及センター等、地域の関係組織が一体となった産地づくりは非常に重要であると考えてございます。今後、果樹試験場、普及センターが農家との密接度を一層深め、ミカン農家の経営発展と産地強化に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ミカン対策の販路拡大に向けての取り組みについてでございますが、本年四月にブランド推進局を設置し、県産品の販路開拓に取り組んでいるところであり、中でもイトーヨーカ堂とタイアップしたソフトアンテナショップは現在まで四回開催し、年度内にあと六回程度開催する予定であります。このソフトアンテアショップでは、季節感と和歌山らしさの出る農産物は主力商品であり、本年六月には青梅を中心として全店で開催を行い、また七月には桃の首都圏への集中売り込みを実施してきたところであります。
 古くからの歴史ある有田ミカンは本県の誇るブランド商品であり、議員ご提案のとおり、本年秋のソフトアンテナショップにおきまして複数店舗で積極的に売り出していきたいと考えております。このため、現在、関係機関と一体となって販売促進プランを立てているところであります。次年度以降もこのような取り組みを一層強化し、首都圏等の消費者の方々から高く評価されるよう頑張ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 最初に、家庭、地域の教育力向上についてお答えします。
 子供にかかわるさまざまな問題を解決するためには、子供を育てる大人の学びを支援する観点が重要であると考えております。このため、親として家庭での教育のあり方を考え、その心構えや意識を高める学びの場づくりに取り組んでいるところです。また、地域ぐるみの教育を推進するため、大人の力を結集し、子供たちが公民館等で寝食をともにしながら学校に通う、いわゆる通学合宿などを実施することとしております。さらに、本年度新たに開学するきのくに県民カレッジにおいて、県、市町村、大学等が個別に行ってきた講座を体系化し、単位認定することを通し、大人の学びを支援する体制の整備に努めることとしております。これらの取り組みにより、子供から大人まで生き生きと学び、互いに育ち合える豊かな地域づくりを支援してまいります。
 次に、開かれた学校づくりについては、今日の教育改革の重要な柱の一つであり、これまでもさまざまな実践を展開してきております。今後は、そうした経験を生かし、日ごろからより地道で広範な取り組みを進めていく必要があると考えております。
 こうしたことから、昨年度、県内すべての公立学校で学校開放週間を実施いたしましたが、本年度は、これに加えて全県立学校に学校評価制度を導入いたします。その際、学校自身による自己評価、生徒による評価とともにPTA役員や学校評議員等による外部評価を行い、その結果を積極的に公表することとしております。
 こうした取り組みを進める上で、議員ご指摘のとおり、学校と家庭、地域のかけ橋としてPTAの果たす役割は極めて重要であり、その活動にはこれまで以上に大きな期待を寄せております。今後とも、開かれた学校づくりに係るさまざまな施策を実施し、県民の期待と信頼にこたえられるよう努めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十番浅井修一郎君。
○浅井修一郎君 第一回目の質問に対しましては、木村知事を初め関係部長並びに教育長には誠意を持ってご答弁いただき、ありがとうございました。特に木村知事には、マン・ツー・マンのような形で丁寧にかつ前向きなご答弁をいただき、感謝申し上げます。
 まず一点目の河川対策につきましてでございますが、本日の朝日新聞の朝刊でございますが、「有田川に巨大流木」ということで、長さ約二十メートル、直径約三メートル、巨大なクスの木でございます。これが川に埋まっておりまして、パワーショベルとブルドーザー四台を使って掘り出すのに三日間かかったと。重さは約十トン。これは明治時代の洪水で上流から流されてきたものではないかというふうな、こういった記事がきょう載っておりましたが、これほど大きな木でも水の力によって流れてしまう。それが洪水でございます。
 今回の質問につきましても、本来の願いは本流、支流においての堤防の強化や河川整備についてであります。これは短期間では解決できる問題ではなく、順次着手いただけることと思いますが、災害はいつ発生するかしれません。少なくとも被害を最小限に抑えるための手だてとして、今回、河積の確保を図るべく樹木の除去と土砂のしゅんせつ、及び支流よりのポンプアップの増強と安全かつ確実なポンプ稼働について質問をさせていただいたわけであります。どうか迅速な対応をいただきますよう、強く要望いたします。
 道路問題についてでございますが、この問題については関係地域の各先輩議員により幾度となくご質問いただいていると思いますが、私自身もライフワークとしてこの問題に取り組んでまいりたいと思っています。
 第一回目の質問の近畿自動車道海南─吉備間四車線化の中で、土日や祝祭日、夏の海水浴、春や秋の行楽シーズンには渋滞が発生し云々と。そのために国道四十二号へ相当量の車両が迂回してくると先ほど申しましたが、土日や祝祭日、夏・春・秋の行楽シーズンと言えば、では冬は大丈夫かとお思いでしょうが、そうではありません。年末年始の渋滞があります。年じゅうと申し上げますとインパクトが薄いため、このような言い回しをあえてさせていただきましたが、一年じゅうすべてでございます。どうか、その辺をご理解いただき、国等に対し積極的な働きを要望するものでございます。
 ミカン対策でありますが、以前、ある農家の方との会話の中で、果樹試験場の話が出てまいりました。その中で彼が言ったことは、何々さんが異動しないであと一、二年おってくれれば新しい優良品種が生まれていたかもしれへんなということで、私は驚きましたが、すさかず、どこへかわったのですかと尋ねますと、ほかの果実の研究所らしいが知らんのよとのことです。こういう状況では、一生懸命研究に取り組もうとしている研究員のやる気もなくなり、信頼し、期待している生産者もがっかりであります。そういったことが生産者と改良普及センターや果樹試験場との関係の希薄化の要因の一つになっているのではないでしょうか。どうか、そのようなことのないよう、専門的かつ長期的な研究に取り組んでいただけるような体制づくりを願うものでございます。
 販路拡大については計画を立てていただいているようで、ありがとうございます。しかしながらことしのミカンは、日照時間が少なく、冷夏のため、八月上旬の糖度は例年に比べ一度ほど低く、味が心配されましたが、八月中旬から九月に入って猛暑が続いたおかげで例年並み近くまで挽回してきたようでございます。本当に喜ばしいことであります。今後、フェアに向け、有田振興局やJA、共選等との調整をよろしくお願いいたします。
 最後の教育についてでありますが、何と申しましても教育は社会の基盤であり、将来を担う子供たちをたくましく健全にはぐくむことは社会全体の責務であります。家庭や地域の教育力の向上と地域ぐるみの教育の基本を高めるための開かれた学校づくりの推進に今後も積極的に努めていただきますよう要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浅井修一郎君の質問が終了いたしました。

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