平成15年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十五年九月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
     ─────────────────────
議事日程 第三号
 平成十五年九月十九日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並びに報第六号及び報第七号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並びに報第六号及び報第七号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       谷       洋   一
     四  番       新   島       雄
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       東       幸   司
     十八 番       山   下   大   輔
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       木   下   善   之
     二十二番       山   下   直   也
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       浦   口   高   典
     二十六番       藤   山   将   材
     二十七番       原       日 出 夫
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       野 見 山       海
     三十 番       冨   安   民   浩
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       阪   部   菊   雄
     三十三番       花   田   健   吉
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       前   川   勝   久
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     三十九番       中   村   裕   一
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     九  番       大   原   康   男
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         垣   平   高   男
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    高   垣   博   明
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
     ─────────────────────
  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並びに報第六号及び報第七号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並びに知事専決処分報告報第六号及び報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 皆さん、おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 私、今回の統一地方選挙で初当選をさせていただき、本日初めての一般質問の機会をいただきましたことに感謝申し上げます。しかしながら、二日目のトップバッターということもありまして大変緊張をしていまして、その分、お聞き苦しい点が多々あろうかと思いますが、どうか先輩・同僚議員の皆様はもちろん、木村知事を初め県当局の皆様にはご理解をいただき、今後ともご指導、ご協力をお願い申し上げます。
 それでは、早速質問に入らせていただきます。
 まず初めに、河川対策についてでございます。
 本県には、紀の川水系、新宮川水系、合わせて百三十四本の一級河川があり、ほかに三百十六本の二級河川があります。山あり川あり海あり、大変豊かな自然環境に恵まれたすばらしいふるさと和歌山県であります。それらの川は大地の養分やミネラルを豊富に含み、その清流は、陸地では多くの植物や動物をはぐくみ、海に入っては海洋の生物を数多く育てています。また、水辺の空間は地域住民やすべての人々に心の安らぎといやしを与えてくれるなど、これらの川から多くの恩恵を受けているのであります。しかし、本県には急流河川が多いため、豪雨による出水、はんらんの被害を受けやすいのが特徴であると認識しているところであります。ふだんは多くの自然の恵みを与えてくれる川も、一たび怒り狂いますと、私たちのかけがえのない生命や財産を一瞬のうちにのみ込み、押し流してしまうわけであります。
 有田川、日高川や貴志川などのはんらんにより死者、行方不明者が千六十六名も出るなどのあの未曾有の大災害をもたらした七・一八水害からちょうど五十年の今日、二度とあのような惨事を起こさないように各河川の防災対策や環境整備に取り組んでいただいているところであります。水害や土砂災害などの災害に強い町づくりを進めていくためには、堤防、護岸、ダム、砂防施設の整備などの治水事業の推進による治水安全度の向上を図るとともに、森林や身近な森、里山などの樹林帯の保全・育成による保水性の向上、さらに防災情報システムの整備などのソフト対策を推進していくことが必要かと思います。
 そこで、県民の皆さんが安全で安心して生活できる県土の基礎づくりに欠かすことのできない治水事業、二十一世紀の川づくり、いわゆる紀の国の川づくりについて木村知事にお考えをお尋ねいたします。
 私の地元を流れる有田川とその支流には、堤防の強化や改修及び整備など、早急に取り組んでいただきたい箇所がたくさんあるのが現状でございます。現在、県では和歌山地方気象台と協力して、平成十五年六月三日から二級河川有田川水系有田川を洪水予報河川に指定して有田川洪水予報を発表し、関係行政機関、報道機関へ伝達して地域住民に周知していただいていることは、地元の県議としても感謝しているところであります。しかしながら、洪水予報を行っても、根本的に有田川の増水による被害を回避することにはなりません。
 さきの八月八日、九日の台風十号では、有田川の水位は警戒水位を突破し、洪水警報が深夜発表されました。私も、地元消防団の皆さんと一緒に警戒に当たりました。有田川右岸の保田橋上流の国道四百八十号では濁流が国道の舗装を洗い、あわや七・一八水害の再来かと思ったほどでした。もちろん、ふるさとの川総合公園も水没していました。被害を受けた公共施設の一日も早い復旧、とりわけ有田川では市民が親しみ利用しているこのふるさとの川総合公園の復旧にご尽力をいただけますよう要望するものでございます。
 一方、左岸では糸我町におけるお仙谷川の水位が上昇し、二基のポンプをフル回転させ、内水の排除に地元の人たちによって文字どおり必死の対応がなされました。その中で、正常、着実なポンプ稼働のために、取水口のスクリーンにかかったごみを四、五メートルもあるかと思われるくま手で除去している姿に感銘を受けました。このような危険きわまりない、まさに命がけの作業にもかかわらず、残念ながらミカン畑に浸水し、多くの木々が冠水しました。同じように下流の高山川も増水し、山地地区で家屋の床下浸水とミカンの木の冠水という被害が出ました。私は、ポンプ場の機能向上を図るとともに、作業される方々の安全を確保するためにも、ごみ処理の自動化ができないものかと思いました。
 前々から指摘のとおり、有田川下流では天井川の状態であるため、本流が増水したり流れが悪くなると、それに注ぐ支流に非常に大きな影響があります。現在の保田橋を中心とした上下流域には堆積土砂が多く、直径三十センチ以上の樹木が生い茂り、雑草も一面に茂っているという状況であります。これらは明らかに河積を減少させ、スムーズな水の流れを妨げています。
 また同様に、右岸の西谷川、宮前川にも悪影響を及ぼしています。また、つけ加えますと、ふるさとの川総合公園の冠水についても、当然深い関係があると考えられます。
 そこで、本流域における保田橋の雑木・雑草の除去及び土砂のしゅんせつの取り組みの考え方について県土整備部長にお尋ねいたします。
 また、支流における対策としては、支流から本流へ排出するポンプの増強を図られますよう要望いたしますが、当面の対応として、ポンプ場の安全かつ確実なポンプ稼働のために機械式の集じん機の設置等、ごみ除去方法の改善について検討すべきと考えますが、県土整備部長のご見解をお尋ねいたします。
 次に国道四十二号有田・下津─海南間の渋滞対策についてでありますが、この渋滞緩和の問題については、有田地方や下津町の住民のみならず、この区間を利用するすべての人々の切なる願いであります。
 有田市と下津町は平成四年よりこの問題に取り組み、平成九年には有田市、有田郡町村会及び下津町、海南市で国道四十二号・有田下津海南間整備促進協議会を設置し、国、県に対し、四車線化やバイパス案も含む陳情活動やさまざまな活動を展開してまいりました。
 今回、この問題については私が質問させていただいておりますが、他の多くの先輩・同僚議員の皆様も賛同し、支援をしていただいていると思います。特に尾崎議長が後ろの議長席から、もっともっと強く訴えなさいといったエールを送ってくださっているように感じているところでございます。
 国道四十二号は紀伊半島の基幹道路であり、本県の経済や産業にとって極めて重要な社会資本であります。中でも、有田─海南間は県下でも有数の交通量があり、平成十一年度の道路交通情勢調査では、海南市冷水で一日当たり約三万台、下津町加茂郷で二万四千台、特に朝夕の交通渋滞は深刻な問題であり、渋滞時の救急車両の通行もままならない状況であります。この現状に対して、これまでも国土交通省においても対策を講じられてきたところですが、現道対策としての冷水交差点の改良が残されていると聞きます。この進捗状況についてお伺いします。
 有田市、下津町にとっては、国道四十二号は唯一の重要な産業道路であり、生活道路でもあります。事故、災害による通行どめが発生した場合、その影響は非常に甚大であると考えます。ぜひともバイパスルートの整備が必要であると考えます。この抜本的対策としてのバイパス計画についても、国土交通省でルート検討が進んでいるとお聞きします。県当局におかれても、この区間の渋滞解消は県内道路網整備の最重点課題であり、最優先ルートとして位置づけをし、国と市や町との間に立って積極的に調整を図るとともに国に働きかけていることと思いますが、この計画に対する県の今後の取り組みについても県土整備部長にお伺いします。
 あわせて、近畿自動車道海南─吉備間の四車線化に向けての進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。
 現在の海南湯浅道路は、土日や祝祭日、夏の海水浴、春や秋の行楽シーズンには吉備インターや海南インターを中心に渋滞が生じております。この渋滞によって、多くの車両が海南インターや吉備南インターなどでおりて、国道四十二号へと迂回する車両も相当量でございます。その結果、沿線住民にとっては、これらの車両の増加によって生活道路が渋滞し、市民生活にも大きな影響が出ているのが現状であります。したがって、国道四十二号の渋滞解消は有田郡市や下津町の住民の大きな悲願でもあります。そのためにバイパス道路並びに海南─吉備間の四車線化は緊急的な大きな課題でありますので、あわせて四車線化に向けての取り組みについて県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、ミカン対策についてのまず一点目、果樹試験場の研究体制と新品種の開発の現状と、生産者に対する果樹試験場と農業改良普及センターの指導の現状と考え方についてであります。
 果樹王国和歌山のミカンの現状はどうでしょうか。県内のミカン生産農家は、平成十四年度産でキロ当たり百四十八円、平成十三年度産でキロ当たり百三十五円という生産原価をも下回る販売価格で大きなショックを受け、危機感を募らせています。これまで、生産量が多い表年は安くても生産量が少ない裏年は値段が高いという、二年に一回はそれなりの価格が期待できたわけですが、どうも最近の状況は違ってきているように思います。長引く不況によるデフレ傾向や消費者のミカン等の果実離れ、量販店などのバイヤーの力が強くなったなど、幾つかの原因が考えられますが、以前のようにミカンすべてが高価格で販売できる状況はこれからも期待できなくなっているように感じています。
 しかし一方、そのような中でも愛媛や熊本等の九州産地などは、糖度が高く、品質がそろっているという最近の消費者ニーズに合った新商品を次々とつくり出し、昨年度の大手量販店や市場の評価は完全に有田ミカンを上回っています。もちろん、県内にも他府県産に負けない高品質ミカンを生産している農家もたくさんいますが、全体としての地位はかなり低下したと言っても言い過ぎではないと考えます。
 このような本県ミカンの低迷の原因は、どこにあるのでしょうか。味を選別する光センサー式選果機やマルチ栽培の導入のおくれなど、当然、生産者や農協組織等が取り組むべき生産面での課題に加えて、県独自の新品種の産地化が進んでいないことも一つの要因ではないかと感じています。どのような品種に改植していいのか決められずに古い品種が老木化し、どんどん品質の低下につながっているのではないでしょうか。
 現在も果樹試験場では新品種の育成に取り組んでくれていることは十分承知していますが、有田ミカンの再生を図るには、もっともっと迅速に、全国に先駆けて本県に、また有田地方に適した新品種の育成を進める必要があるのではないでしょうか。そのためには、試験場内での育種にとどまらず、県内広く多くの農家との連携を密にし、枝変わりなどの情報を集めての研究を強化する必要があります。
 現在の試験場、普及センターはそれぞれの立場で鋭意取り組んでいただいているところではありますが、最近、農家とのつながりが薄いのではないかという話を時々耳にします。新品種を探すにも、またそれを産地化するにも、あるいはマルチ栽培などの技術普及にも普及センターが農家の意見や情報を拾い上げ、それを試験場につなぎ、新品種開発の素材とし、産地化するときにも、試験場から普及センターへ、またそれを個々の農家へ品種特性等の改植指導を行うという、そういう体制を強化することが重要なのではないかと考えます。そういった体制強化の意味で試験場の研究者は、より密な農家との信頼関係を築くためにも、ミカン一筋に常に新しい技術や専門知識を習得し、技術開発や地元に役立つ研究を長期的に行うことが重要と考えます。
 試験場、普及センターの職員数にも限りがあるのはよくわかっていますが、農家との信頼関係をより深め、常に新しい品種や技術を農協の営農指導員と協力しながら農家を指導し、産地の改善を進めていくのが試験場の研究員と農業改良普及員の大きな役割だと考えています。
 私が思うのに、やはり和歌山のミカンが元気になるには有田が元気になる必要があります。ミカンの中心は、有田であります。四百年の歴史と先人の努力を受け継ぎ、有田ミカンのより一層のブランド化や新品種の開発など図るべきと思います。
 このほどJAが統合再編されたのを機会に、農協の営農指導員や果樹試験場、改良普及センターが一体となったミカンづくりのための組織の再編、再構築を図り、より一層生産農家との連携を深めることにより他産地と対抗できる体制ができるのではないでしょうか。
 そこで、幾つかお伺いしたいと思います。
 現在の果樹試験場の研究体制をより機能的にするために、継続してミカンのために専門で研究していくスタッフをそろえていただく体制ができないか、知事にお伺いします。
 また、本県のミカンの新品種の開発の現状はどのようになっているのか、生産者に対する果樹試験場と農業改良普及センターの指導の現状と考え方はどうなのか、農林水産部長にお伺いいたします。
 次に、ミカン対策の二点目の販路拡大に向けた取り組みについてお伺いします。
 県では、本年の四月、商工労働部と農林水産部が一体となって設置したブランド推進局において首都圏でソフトアンテナショップを展開しておりますが、私もその第一弾の上永谷店を本年六月に視察してまいりました。横浜市にあるその店は、さすがにお客さんの数が和歌山などより相当多く、にぎやかであり、本県フェアの会場ではちょうど旬の青梅などが山のように置かれ、よく売れておりました。この期間は、上永谷店だけではなく、イトーヨーカ堂のほとんどの店舗でフェアとして和歌山の梅など多くの県産品が売られており、認知度向上の面でも、あるいは売り上げ面でも大きな成果を上げられたと聞いております。
 さて、そこで有田ミカンでありますが、長い歴史の中で堅実かつ安定的に販売され、ミカンを中心とした果樹立国和歌山が堅持されてきたものと信じるところであります。しかしながら、近年、少子高齢化の進展、消費者意識の多様化など、流通を取り巻く社会環境が大きく変化する中で、私は、今、新しい販売戦略として、各県に先駆けて実施したソフトアンテナショップを使って有田ミカンを売り込んでいけないか。和歌山のミカンは他産地と比べて首都圏に弱いと言われておりますが、このような機会を通じて攻め込み、有田ミカンのブランド化の向上と日本一のミカン産地の育成につなげていけないものかと考えているところでありますが、商工労働部長の考えをお伺いいたします。
 最後に、教育についてお尋ねいたします。
 教育は、何といっても社会の基盤であり、将来を担う子供たちをたくましく健全にはぐくむことは私たち大人の重要な責務です。しかしながら、最近、子供にかかわる重大な事件が頻発しています。沖縄や長崎での青少年による犯罪、そして東京で発生した携帯の出会い系サイトの悪用による女子小学生監禁事件など、非常に痛ましい事件が発生しています。児童虐待の増加や校内暴力、不登校といった子供の問題行動は深刻化するばかりであります。
 子供の問題は、大人社会の反映だと言われます。子供は大人の背中を見て育ちます。子供の問題は大人の問題であり、何よりも家庭における保護者の対応は極めて重要です。子供は、家庭における教育を通じて基本的生活習慣、社会的倫理観を身につけます。学校で培う学力や創造力、企画力なども、この家庭における基本的な教育の上に成り立つものです。したがって、家庭は教育の原点であることを十分に認識し、子供の教育にしっかりと取り組む必要があります。
 ところが、最近の調査によれば、子供の教育やしつけの仕方について自信がない親がふえているとの指摘があります。これは、急速な都市化や少子高齢化のため、核家族の増加や地域とのつながりが希薄化した結果、子育てを助けてくれる人、相談に乗ってくれる人が身近にいないことが原因とも言われています。学校における子供の教育はもとより、親たちが子供の教育の仕方やしつけについて、ともに学び合い、また地域社会と助け合えるような体制づくりも必要ではないでしょうか。また、現代社会の情報化を背景に、はんらんする情報やインターネットなど、親の目の届かないところで子供たちはさまざまな危険にさらされています。さらに、大人社会のモラルの低下が子供たちの意識に大きな影響を与えていることも事実です。
 このようなことを考えますと、子供の教育は、親個人の問題ではなく、社会全体の問題であると言えます。地域社会の大人一人一人がこのことを自覚する必要があると考えます。
 最近では、学校週五日制の流れを踏まえ、地域において学校と連携したり、公民館を活用したりして子供たちに体験活動やボランティアの機会や場を提供する取り組みが盛んとなってきていると聞きます。これらの活動を通して、一人でも多くの大人が子供の模範として行動し、よりよい地域づくりに参画していくことを期待したいと思います。行政としても、これら地域の活動を積極的に支援し、地域ぐるみの教育を盛り上げていくことにより、子供の課題への取り組みを通して大人の意識を高めていく必要があるのではないでしょうか。家庭における教育、地域ぐるみの教育に対する支援について、現在の取り組みと今後の展望をお伺いしたいと思います。
 昨年から県内すべての学校で学校開放週間を始めるなど、開かれた学校づくりに積極的に取り組んでいるとお聞きします。不登校、学級崩壊など、子供にかかわる問題は深刻であり、学校としても日夜これら問題の解決に励んでおられることと思います。しかしながら、学校はとかく閉鎖的であるという批判も一方ではあり、学校の中で何が起こっているのか、どのような問題があるのか、保護者、地域住民としても大きな関心事項であります。
 そのような中、学校開放週間を設け、学校を積極的に公開し、情報提供を行うという取り組みは、学校がみずからの説明責任を果たし、自律性を高めるという大きな効果があるものと考えます。さらに地域に対しては、地域住民と学校が子供の課題を共有することにより、地域ぐるみの教育の機運を高める大きなきっかけになるものと考えます。このような取り組みは、今後もぜひ積極的に進めていただきたいと考えます。
 私は、PTAの役員として、長年PTA活動に携わってきました。この経験から申し上げますと、PTAは学校と地域のかけ橋として、地域に対して学校を開き、連携しながら特色ある学校づくりを進める際の強力な支援者となる可能性を持っています。私は、各学校はPTAと積極的に連携・協力し、開かれた学校づくりに取り組むべきと考えます。今後の開かれた学校づくりに係る取り組みと展望について教育長にお聞かせ願いたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、河川の整備の強化についてのご質問にお答えをいたします。
 ご質問の中にありましたように、和歌山県は大変山がちということで、河川も急流が多いと。一たび洪水が起これば大変な被害が出るということは、あの二十八災のときに日高川、有田川を中心に大変多くの人命が失われたことからも明らかなところでございます。そういう見地から、県といたしましては引き続き治水ということに力を入れていきたいというふうに考えておりますし、そしてまた今の時代に合わせてこれからの治水事業の中では、一つは和歌山県の河川のすばらしさというものをあわせ発信できるような治水の仕組みということを私は考えていかないといかんというふうに思っています。
 例えば、可能な限り県産材を治水工事の中に使っていくような仕組みでありますとか、それから県外から来た人たちが和歌山の川はきれいだというふうなことの中で、観光的な資源としても生きていくような形の治水。これは相反する概念ではなくて、セメントばっかりで何でもやっていくというふうな形じゃない新しい形の治水事業というものが、また安全性とあわせて和歌山県の魅力を引き出してくるものだというふうに考えておりまして、こういう点、積極的に進めていきたいというふうに考えております。
 それからもう一点、ミカンの問題でございます。
 この今の時代は、大量生産の中で値段がどんどん下がっていくというふうなデフレ傾向にある時代で、私は、当分この傾向は変わらないと思いますけれども、そういう中でこの有田ミカンというものが生き残っていくためには、やはり付加価値を高めて、有田ミカンじゃないといかんというブランド化ということを推進していかなければ、同じようなものをずっとつくっていて今までどおりうまくいくという時代でないことはもうはっきりしているわけでございます。そういう中で、県といたしましても、マルチ化でありますとか新しい品種の改良でありますとか、いろんなことに今努力しているわけでございますけれども、しかしながら、ご質問の中にありました県の試験場、これがもっともっと地域の生産者と協力して大きな役割を果たすべきだというご質問は、僕はそのとおりだと思います。農業改良普及員の人ともあわせて、やはりその地域で何が今必要となっているのかということを親身になって研究する。そしてそのためには、やはり一番新しい先進的な知識というふうなことが必要ですし、それから長い経験年数ということが必要になってくると思いますので、ご質問の中にありましたスペシャリストというものをつくっていくということは、これは本当に──こういう分野は別にゼネラリストは要らないんで、スペシャリストであるべきだというふうな考え方を私は持っておりますので、そういう方向で、どういう形がいいかということを大いに研究してまいりたいと思います。
 それから、今、工業試験場の方では、特許を取ったりしたらその成果が特許を取った人に帰属するようなシステムをことしからやっているんですけれども、果樹の試験場なんかでもそういうふうな競争原理というものを入れていって、ただ単に一年を通して研究していればいいということじゃなくて、それが有田ミカンのブランド化とか、そういうふうなものにどういう形で結びついたかということを検証できるようなシステムをとっていかないといかんと思います。
 いずれにせよ、有田ミカン、関西を中心に売っていたものですから、今までの、言ってみれば関西中心のブランド名に安住した──そういうわけじゃないんだろうと思いますが──ことから、首都圏での情報発信力が極めて弱くなっているということもありますので、この首都圏での情報発信力ということを強めるとともに、今言ったような研究の方向というふうなことを強化していきたい、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) まず有田川の治水対策についてでございますが、議員ご指摘のとおり、河道内の樹木は洪水の安全な流下を妨げるものであり、治水上の観点から、河道の流下能力を勘案の上、影響の大きな樹木の伐採を実施しているところでございます。
 本年度は保田橋下流付近において実施することとしており、今後とも継続してまいります。
 また、有田川のしゅんせつにつきましては、現在の有田川の河床は堆積と洗掘が入りまじった状態であり、今後の変動状況を見ながら対応を検討してまいります。
 支川お仙谷川、高山川のポンプ場のごみ除去対策につきましては、今後、機械化も含め、整備手法を検討してまいります。
 次に国道四十二号有田・下津─海南間の渋滞対策についてでございますが、まず当面の対策として交差点改良が逐次実施されてきており、最後に残る冷水交差点についても、既に事業として着手していただいております。現在、国土交通省で用地買収のための公図訂正や関係機関との協議が進められているところでございます。今後とも、地元市と協力しながら事業促進を国に働きかけてまいります。
 また、抜本対策としてのバイパス整備につきましては、二市一町の意向を踏まえ、現在、国土交通省でルートの検討が進められているところであります。今後、当面の課題である都市計画決定に向けて国の調査を促進し、計画ルートの精度を高めていく必要があります。県といたしましても、国と市町の間に立って調整に努めるとともに、今後の直轄事業の展開を視野に入れ、国に対し事業化を働きかけてまいります。
 次に近畿自動車道紀勢線海南─吉備間の四車線化につきましては、今年度から下津町域で用地買収に着手しており、工事につきましても一部着手される予定となっております。今後とも、県として積極的に事業に協力するとともに、国及び日本道路公団に対し早期完成を強く働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) ミカン対策の中で、新品種の開発と、生産者に対する果樹試験場と農業改良普及センターの指導の現状と考え方についてでございます。
 まず新品種の開発についてでございますが、本県におきましても、優良種の育成は果樹振興の中でも特に重要な柱の一つと位置づけております。これまでに果樹試験場での育種や現地での枝変わりによる優良系統の探索に努め、極わせからおくてまで十数品種を育成してございます。その中で、県といたしましては、近年の消費者ニーズに合った糖度が高く、味のよい由良早生や田口早生といった県内で育成された品種の早期産地化とマルチ栽培の拡大を積極的に推進するため、県単独の支援対策を本年度から実施しているところであります。
 続きまして、生産者に対する果樹試験場と農業改良普及センターの指導の現状と考え方についてでございますが、果樹試験場におきましては、場内の研究だけでなく、農家のミカン園での現地試験や研究成果を農家に発表するオープンデーの開催等を通じて生産者との交流を深めるとともに、気軽に訪れ、情報交換できる開かれた試験場を目指しております。
 普及センターにおきましては、各振興局を拠点として地域の実態や生産者の要望に則した課題を設定し、高度な技術指導や地域づくりの支援に取り組んでおります。中でも、有田地方におきましては、日本一有田ミカン産地の活性化のため、果樹試験場、市、町、農協など関係機関との連携のもと、新たなマルチ栽培技術の現地試験や優良品種への更新、こだわり商品の県産杉を使った容器開発など、新しいコンセプトを持ったブランドを開発し、有田ミカンを全国に向け発信しているところでございます。さらに、園地にいながら携帯電話からミカンの栽培技術に対する各種情報が得られるミカンデータベースなど、ITを駆使した普及活動に取り組んでいるところでございます。
 議員お話しのとおり、農協、果樹試験場、普及センター等、地域の関係組織が一体となった産地づくりは非常に重要であると考えてございます。今後、果樹試験場、普及センターが農家との密接度を一層深め、ミカン農家の経営発展と産地強化に努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ミカン対策の販路拡大に向けての取り組みについてでございますが、本年四月にブランド推進局を設置し、県産品の販路開拓に取り組んでいるところであり、中でもイトーヨーカ堂とタイアップしたソフトアンテナショップは現在まで四回開催し、年度内にあと六回程度開催する予定であります。このソフトアンテアショップでは、季節感と和歌山らしさの出る農産物は主力商品であり、本年六月には青梅を中心として全店で開催を行い、また七月には桃の首都圏への集中売り込みを実施してきたところであります。
 古くからの歴史ある有田ミカンは本県の誇るブランド商品であり、議員ご提案のとおり、本年秋のソフトアンテナショップにおきまして複数店舗で積極的に売り出していきたいと考えております。このため、現在、関係機関と一体となって販売促進プランを立てているところであります。次年度以降もこのような取り組みを一層強化し、首都圏等の消費者の方々から高く評価されるよう頑張ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 最初に、家庭、地域の教育力向上についてお答えします。
 子供にかかわるさまざまな問題を解決するためには、子供を育てる大人の学びを支援する観点が重要であると考えております。このため、親として家庭での教育のあり方を考え、その心構えや意識を高める学びの場づくりに取り組んでいるところです。また、地域ぐるみの教育を推進するため、大人の力を結集し、子供たちが公民館等で寝食をともにしながら学校に通う、いわゆる通学合宿などを実施することとしております。さらに、本年度新たに開学するきのくに県民カレッジにおいて、県、市町村、大学等が個別に行ってきた講座を体系化し、単位認定することを通し、大人の学びを支援する体制の整備に努めることとしております。これらの取り組みにより、子供から大人まで生き生きと学び、互いに育ち合える豊かな地域づくりを支援してまいります。
 次に、開かれた学校づくりについては、今日の教育改革の重要な柱の一つであり、これまでもさまざまな実践を展開してきております。今後は、そうした経験を生かし、日ごろからより地道で広範な取り組みを進めていく必要があると考えております。
 こうしたことから、昨年度、県内すべての公立学校で学校開放週間を実施いたしましたが、本年度は、これに加えて全県立学校に学校評価制度を導入いたします。その際、学校自身による自己評価、生徒による評価とともにPTA役員や学校評議員等による外部評価を行い、その結果を積極的に公表することとしております。
 こうした取り組みを進める上で、議員ご指摘のとおり、学校と家庭、地域のかけ橋としてPTAの果たす役割は極めて重要であり、その活動にはこれまで以上に大きな期待を寄せております。今後とも、開かれた学校づくりに係るさまざまな施策を実施し、県民の期待と信頼にこたえられるよう努めてまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十番浅井修一郎君。
○浅井修一郎君 第一回目の質問に対しましては、木村知事を初め関係部長並びに教育長には誠意を持ってご答弁いただき、ありがとうございました。特に木村知事には、マン・ツー・マンのような形で丁寧にかつ前向きなご答弁をいただき、感謝申し上げます。
 まず一点目の河川対策につきましてでございますが、本日の朝日新聞の朝刊でございますが、「有田川に巨大流木」ということで、長さ約二十メートル、直径約三メートル、巨大なクスの木でございます。これが川に埋まっておりまして、パワーショベルとブルドーザー四台を使って掘り出すのに三日間かかったと。重さは約十トン。これは明治時代の洪水で上流から流されてきたものではないかというふうな、こういった記事がきょう載っておりましたが、これほど大きな木でも水の力によって流れてしまう。それが洪水でございます。
 今回の質問につきましても、本来の願いは本流、支流においての堤防の強化や河川整備についてであります。これは短期間では解決できる問題ではなく、順次着手いただけることと思いますが、災害はいつ発生するかしれません。少なくとも被害を最小限に抑えるための手だてとして、今回、河積の確保を図るべく樹木の除去と土砂のしゅんせつ、及び支流よりのポンプアップの増強と安全かつ確実なポンプ稼働について質問をさせていただいたわけであります。どうか迅速な対応をいただきますよう、強く要望いたします。
 道路問題についてでございますが、この問題については関係地域の各先輩議員により幾度となくご質問いただいていると思いますが、私自身もライフワークとしてこの問題に取り組んでまいりたいと思っています。
 第一回目の質問の近畿自動車道海南─吉備間四車線化の中で、土日や祝祭日、夏の海水浴、春や秋の行楽シーズンには渋滞が発生し云々と。そのために国道四十二号へ相当量の車両が迂回してくると先ほど申しましたが、土日や祝祭日、夏・春・秋の行楽シーズンと言えば、では冬は大丈夫かとお思いでしょうが、そうではありません。年末年始の渋滞があります。年じゅうと申し上げますとインパクトが薄いため、このような言い回しをあえてさせていただきましたが、一年じゅうすべてでございます。どうか、その辺をご理解いただき、国等に対し積極的な働きを要望するものでございます。
 ミカン対策でありますが、以前、ある農家の方との会話の中で、果樹試験場の話が出てまいりました。その中で彼が言ったことは、何々さんが異動しないであと一、二年おってくれれば新しい優良品種が生まれていたかもしれへんなということで、私は驚きましたが、すさかず、どこへかわったのですかと尋ねますと、ほかの果実の研究所らしいが知らんのよとのことです。こういう状況では、一生懸命研究に取り組もうとしている研究員のやる気もなくなり、信頼し、期待している生産者もがっかりであります。そういったことが生産者と改良普及センターや果樹試験場との関係の希薄化の要因の一つになっているのではないでしょうか。どうか、そのようなことのないよう、専門的かつ長期的な研究に取り組んでいただけるような体制づくりを願うものでございます。
 販路拡大については計画を立てていただいているようで、ありがとうございます。しかしながらことしのミカンは、日照時間が少なく、冷夏のため、八月上旬の糖度は例年に比べ一度ほど低く、味が心配されましたが、八月中旬から九月に入って猛暑が続いたおかげで例年並み近くまで挽回してきたようでございます。本当に喜ばしいことであります。今後、フェアに向け、有田振興局やJA、共選等との調整をよろしくお願いいたします。
 最後の教育についてでありますが、何と申しましても教育は社会の基盤であり、将来を担う子供たちをたくましく健全にはぐくむことは社会全体の責務であります。家庭や地域の教育力の向上と地域ぐるみの教育の基本を高めるための開かれた学校づくりの推進に今後も積極的に努めていただきますよう要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浅井修一郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 一番須川倍行君。
  〔須川倍行君、登壇〕(拍手)
○須川倍行君 おはようございます。大変盛大なる拍手で送り出していただきまして、恐縮いたしております。新人らしく理想を追求して頑張りたいと思います。
 最初に、観光振興について四点ほど質問させていただきます。
 二十一世紀は、観光・健康・環境のいわゆる三Kの時代であると言われています。その三つを兼ね備えてこそ、初めて飛躍的に外から人を呼べるんだと思います。私は、和歌山は豊富な観光資源はもちろんのこと、数多くの温泉保養地、すばらしい自然環境など、その三つの要素をすべて満たしていると思います。木村知事も常々おっしゃっている観光立県和歌山の政策には私も大いなる期待を抱き、また協力を惜しまないつもりであります。
 観光の振興は、今さら申すまでもなく、商業や交通機関、サービス産業など、さまざまな分野において経済や雇用の波及効果をもたらします。和歌山県の活性化の第一は県外のお金、外貨獲得策をおいてほかないと思います。特に地域の観光振興というテーマは私のライフワークでありますので、きょうは観光を中心に質問を行いたいと思います。
 そこで、私の最初の提案なのですが、観光立県和歌山にふさわしい観光振興条例を制定してはいかがでしょうか。市町村単位では福島県の会津若松市、県レベルでは、私の知るところ、北海道観光のくにづくり条例があります。条例の中は、観光事業者及び観光関係団体の役割と県民の役割とをはっきりと明記して、観光振興に関する基本的な方向を明らかにした計画を策定すべきでしょう。高野・熊野の世界遺産登録を目前にして、和歌山はこれから観光を中心とした産業を充実させていくという気持ちも込めて、全国でも数少ない県条例を和歌山県から発信してはいかがでしょうか。商工労働部長の見解をお尋ねします。
 次に、現在和歌山県においても外向きには発信機能を高めるための紀の国大使の制度がありますが、新たに内向きの制度として、県が認定する観光士の制度を導入することを提案いたします。
 県内にも現在数多くの観光ボランティアの方や紀州語り部の方がいらっしゃると思いますが、それをさらにもう一歩ステップアップさせてこの制度を導入させますと、観光士の肩書があるだけで、案内される側の観光客の安心感が格段に違ってきます。観光でもう一度和歌山に行きたいんだといういわゆるリピーターを生むには、迎える側の心のこもったおもてなしの心が重要であります。県民全体がおもてなしの心を持って観光客を迎えていく、そういう啓発が必要であります。これはすぐにといって効果はありませんが、常に地道な啓発が求められます。一度行ってみたい和歌山県、来てよかった和歌山県、そしてもう一度行ってみたい和歌山県と感じていただけるように、和歌山県民自身がその上にあって、もっと魅力的な和歌山県に出会いたいなと、そういうふうに思えるような県づくりが必要だと思います。
 観光士の育成には、そういうことの推進力として一役買ってくれると思います。当然、県独自の試験を各地域ごとに行い、合格者を観光士として認定し、必要に応じて報酬も定めなければいけませんが、しかし、これは日本全国でほかに類を見ない、話題性十分の観光発信となるものと信じています。商工労働部長の見解をお伺いします。
 次に、来年六月の世界遺産登録に向け、和歌山県が全国あるいは世界に向け発信する大きな節目であり、好機であります。現在、木村知事を先頭に和歌山の知名度を大きくPRしていただいているところで、来年度の和歌山県大型キャンペーンなどにより、県内に大勢の観光客が訪れると考えます。このとき、観光客の足元である陸・海・空のインフラの整備状況は果たして大丈夫でしょうか。
 空の拠点となる白浜空港は県の中央部にあり、紀南、紀北を訪れるにはちょうど距離的に中間点であります。また海の受け入れとしては、県内には紀北の和歌山下津港、紀中の日高港、紀南の新宮港と、観光客の受け入れにはそれなりの港湾機能が備わっていると思われます。私どもの地域の新宮港は、川崎と宮崎を結ぶフェリー・マリンエキスプレス号が、また不定期船として飛鳥やオリエントビーナス、ふじ丸など大型客船が就航し、紀南の旅行を楽しんでおられます。今後、世界遺産登録を契機にこの頻度が高まると思います。
 ここで、陸の機能は大丈夫でしょうか。紀伊半島を周遊する高速道路は、知事を先頭に、防災面でも必要であると国に訴え、整備区間も南伸中であり、大変喜びとするところでありますが、今回の世界遺産登録される地域は、大きく言えば高野と熊野であり、これを結ぶ陸路は、内陸部の中辺路から高野スカイラインを結ぶルートと、環状道路として国道百六十八号で十津川を経由するルートがあります。どちらも急な山間部を通過するわけですので至るところで落石があり、危険な部分が多いわけです。特に国道百六十八号は、大きく言えば紀伊半島縦断道路で、広域を結ぶ連携軸であり、防災面でも幹線軸として重要な部分を占めるものと思われます。現在、県においても百六十八号の五條新宮道路を地域高規格道路として懸命に整備に努められておりますが、陸のインフラとしてはこの部分が一番おくれていると思っております。しかし、大きな事業費が必要であり、県の台所事情もあるわけです。
 そこで提案なんですが、このたび、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が施行されました。これを機に防災に係る重要な道路として位置づけて、引き続き整備を促進していただきたいと思います。世界遺産登録を契機とした観光客の快適な道路として提供するために、県土整備部長のご見解をいただきたいと思います。
 続きまして、このたび新宮市の新宮城跡と歴代城主水野家の墓所が国の史跡に指定されました。新宮城跡は、城内の建物はすべて明治八年に取り壊されましたが、江戸と大阪とを結ぶ海路の拠点としての軍港跡と多くの炭を当時江戸に送り出していたとされる炭納屋跡があり、軍港と経済施設を兼ね備える日本で唯一の城であり、また大阪城をつくった石工宮大工がこの新宮城の石垣を築いたとされる立派な石垣は現在もそのままの姿を残しております。県にとりましても非常に価値の高い文化遺産であります。
 私は、新宮市議会議員在任中、新宮城跡整備検討委員会の委員長として二年間携わってまいりました。新宮市に対する最終答申では、基本理念に基づき城郭全体の復元を目指すこととし、天守閣については有力な資料等の収集に努めながら市民合意を得る中、その取り組みを具体化するものとするとして答申書を提出しました。
 私は、町にシンボルのないところは基本的に衰退すると思っています。皆さんの住んでいる町のシンボルは何ですかと聞かれて、皆さんは即答できるでしょうか。和歌山市はいいですよね。和歌山城があります。威風堂々と県、市のシンボルとして、また住民の心のよりどころとして存在しています。
 観光客が観光に出かける要因は、一に温泉、二に城であることがデータでもはっきりとあります。紀伊半島の海岸線には豊富な温泉や景勝地はありますが、ないのは城であります。今後の熊野の世界遺産登録に伴い紀南での滞在時間を延ばすには、新宮城の復活は地域のアイテムとして必要で不可欠であることはもちろんのこと、熊野の人々が新たなる世紀を、人が人としてとうとばれ、夢と希望にあふれる熊野をつくる、そういった決意を全国に発信するための地域の新たなシンボルとして、また屈指の高い評価を得る文化的価値を将来にわたって損なうことなく地域住民の憩いと地域経済の活性のため新宮市が再建の方向に動くならば、国はもちろん、県としても協力・支援をしていただきたいと思います。教育長はどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。
 そして、あわせて歴代新宮城主水野家の墓所ですが、約百段の石段を上った小高い山の上に水野家代々の大きなお墓が十六基並んでいます。一カ所にこれだけ見事に並んでいる歴代城主のお墓は全国的にも珍しく、そのロケーションは日本一で、まさに国史跡にふさわしく、今後の整備次第では絶えず線香の香りする新たな観光スポットとして脚光を浴びるやもしれません。こちらも県のお立場で応援していただきたいと思いますが、教育長のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、二番目の新宮地域の文化・歴史等を生かした地域振興策について二点お尋ねいたします。
 最初に、「不老長寿の丘」徐福ランド構想についてです。
 新宮市の徐福公園には、今から二千二百年前、中国は秦の始皇帝の命を受け、不老長寿の霊薬を求めて三千人の大船団を組んで当地に流れ着いた徐福の墓があります。徐福渡来伝説は、その場所は全国にも多々ありますが、墓があるのは新宮だけであります。そのため、毎年、中国、台湾から多くの観光客が訪れます。
 儒教の国の方々は先人を敬う気持ちが非常に強く、今後も未来永劫、当地に観光に訪れる傾向にあると思います。関西空港あるいは時には白浜空港から、県全体を観光ルートとして訪れます。せっかくの中国、台湾という海外の巨大市場の観光客の方々に、もっと滞在していただける時間をふやしたい。しかしながら、徐福公園の墓の整備には物理的に限界があります。そこで、二次事業として不老長寿の丘構想が有志によって描かれ、この整備が必要なのではと議論されているところであります。その候補地として、新宮市内国道四十二号線沿いの高森という場所に、今では使われていない新宮市のごみの焼却場跡地があります。この場所のすぐ隣接した海岸側には、世界遺産の参詣道としての熊野古道高野坂があるのです。私は、あの跡地を利用してはどうかと提案させていただいてきております。もとはごみ焼き場があったところだからこそ、そのイメージを払拭する整備を行うべきだと思います。そして、まさにその場所こそ不老長寿の丘に最適だと思います。
 「不老長寿の丘」徐福ランドとして、例えばチャイナ風のトイレや休憩所、そして海を眺める大きな徐福像、徐福関連グッズや地元特産品を販売する売店などの設置が実現すれば、現在、三重県から勝浦温泉へただ通過していくだけであった観光バスはもちろんのこと、今、徐福公園にバスで観光に来ていただいているお客様をそっくりこちらへ持ってこれるのではないでしょうか。
 用地の問題は、新宮市も必ず協力すると思います。この提案、ぜひご検討いただきたいのですが、知事の答弁を求めたいと思います。
 次に、薬草の里づくりについてです。
 新宮市では、徐福と天台烏薬は切っても切れない宝物として天台烏薬を位置づけして、その対策に取り組んでいます。約二十年前から苗木の育成から始め、そのおかげで今では十万本以上が育っています。日本一だと思います。また、昭和五十年代、中国の趙紫陽首席やトウ小平副首相が来日されたとき、当時の新宮市長が天台烏薬の苗木を献上し、和歌山県と中国が友好関係へと至った経緯があります。
 新宮市では、数年前から天台烏薬を素材に地域活性化を図ろうと医学的な効能調査に取り組んでいます。岡山大学の森名誉教授は活性酸素の消去作用効果、岐阜大学医学部の藤原教授は狭心症等の心臓病、肺がんなどへの効果について、それぞれ学会で発表しています。また商品開発についても、現在まで烏薬を素材にしたティーパック茶、徐福ワイン、入浴剤等を製品化し、去る本年五月には高野口町の飲料メーカーと協力してペットボトルと缶入りの「徐福の精」を健康茶として売り出したところであります。このように、新宮市では天台烏薬という薬草を中心にした長年の取り組みがあります。
 高田という全体的なイメージを少し説明しますと、那智勝浦町に接する境界線には烏帽子山や雲取山、熊野川町との境界線には白見国有林に囲まれ、幾つかの谷合いには段状の耕地が広がり、朝はカジカの声が聞こえ、秋には少し紅葉も楽しめる、いかにも山里らしい雰囲気を感じさせる中山間地域であります。
 新宮市では、今、口高田地域に天台烏薬の広い森づくりに取りかかっていますが、それに連動して私は、この高田地域に薬草の里づくりを提案するものです。
 具体的な内容として少し申し上げると、昭和四十年代に植林された元水田の杉林の中に各種の薬草を植えつけしていくものです。園内には、水田に利用する四キロ以上の用水路が流れています。その水路沿いに高齢者の方でも楽しんで歩いていける園内路を設置して、天台烏薬や紀南地域に自生する数百種の薬草のブロック別配植、また途中には小さな自然の池もありますから、水辺に生息する薬草や岩肌に自生する植物の保護育成、それだけでも自然の薬草園ができると思います。そして、一年を通じて水が流れているということは、ヤゴの生息を可能にしトンボの里として、またその水路にカワニナが育つということはホタルの里づくりも可能であります。そして、園路の途中には東洋医学でよく使われている薬草を植えつけして、小中学生も学習できるように薬効や栽培法なども表示します。要所には自然公園をイメージした休憩所、ベンチやトイレなどを設け、そして将来は、その一角に例えば大学の薬草試験場や薬草の加工場の建設などが実現されれば言うことはございません。
 以上、私が考えているその一端を申し述べましたが、三年計画ぐらいで、しかも余り大きな予算をかけずに、県内はもとより全国的にも例の少ない薬草の里が完成できると思います。
 平成十六年の世界遺産登録を目前に、全国から紀南地方を訪れる人はこれからふえていくわけですが、県としてもこうした和歌山県を代表する薬草の拠点を設置し、いやしの地として世界遺産を見据えた熊野の位置づけに取り組むべきだと思いますが、知事の見解を求めたいと思います。
 最後に、和歌山県の将来展望について。えらい大上段に振りかぶってしまった通告で恐縮しておりますが、都道府県合併と道州制についてお尋ねいたします。
 市町村合併が加速づいて進む中、既に今も議論が始まっている次の合併は、都道府県の合併による道州制であります。恐らく、建前的には県自体の自主性に任せるということになるでしょうが、本質は国が主導となると私なりに思っております。国の言う道州制は、基本的には大きな都市のある都道府県とくっつきなさいという部分があります。
 ここで、あくまでも仮定でありますが、近畿州というような大きな枠組みで話が進めばともかくとして、小さな枠で議論が進んだ場合、和歌山は大阪、兵庫とで関西州として一つ、奈良は京都、滋賀で一つ、三重は近畿地方でありながら東海ブロックということで愛知、岐阜で一つというふうに細分化される可能性があります。そういった国の主導による道州制を阻止するためには、道州制の前に先に都道府県合併をしておいて、後から大阪府あたりと道州制に持っていくべきだと、私はそのように考えるわけです。なぜならば、和歌山を端っこにしない中心的役割を持つ位置関係にあってこそ初めて道路網しかり、地域の発展があると考えるからであります。特に県内でも、新宮市にとってみれば、熊野川で県境を引かれてしまって対岸の紀宝町、鵜殿村とは生活文化圏を同じくしながら合併が難しい状況、あるいは橋本市にしても五條市との交流は深いでしょう。これが県境から州境ということになれば、ますますこの課題は複雑になるばかりであります。
 現在、和歌山県は三県サミットや三県知事会議などを通じて、紀伊半島は一つである、そのような取り組みも繰り返してきて奈良県、三重県との結びつきは深く、幹線道路網、生活習慣、同じ文化など、対等合併するにふさわしく、和歌山県の将来の発展のためには決して大きなところに吸収されるというような形でなく進むべきであると思います。
 十年先、二十年先の話となるかもしれませんが、今からまず道州制ありきでなく、奈良、三重との三県合併の議論を起こすべきだと思いますが、知事はどのようなお考えをお持ちなのか、お尋ねします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの須川倍行君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの観光に関する質問、私に対する質問じゃなかったんですけれども、条例をつくろうとか観光士をつくろうとかいうのは、僕は非常におもしろいアイデアだと思います。これはすぐにできるかどうかわかりませんけれども、これまた後で答えがあると思いますけれども、積極的に考えていきたいと思います。
 それからまた、外からのお金を和歌山県へ持ってきて落としてもらわないと和歌山県が発展しないという考え方にも、私は本当に大賛成です。そのとおりだと思います。そういうふうな形で観光振興ということを僕は図っていくべきだろうと思っています。
 そして、新宮に関して言いますと、外の人から見ると、熊野と新宮というのは本当に不即不離の関係にあるわけです。和歌山ではほかの地域もたくさん熊野と結びつけて考えられますけれども、例えば東京の方の人から見ると、熊野というものと新宮というものの関係というのは非常に深いわけです。そしてまた新宮の中には、例えば佐藤春夫さんの東京から持ってきた家でありますとか、それからお燈まつりでありますとか、おいしい食べ物屋さん、老舗もあります。お菓子屋さんなんかも非常にいいものがあります。速玉大社もあるし、いろんないいものがあるにもかかわらず、ちょっと何か新宮と言うと観光的なインパンクが弱いというふうな感じ、何が中心なのかわからないというふうな感じがあるのもこれまた否めないところなんで、これは何とか今度の世界遺産登録にあわせて新宮というものの観光面での魅力というふうなものを引き出していくということは、僕は非常に大事なことだろうと思っています。
 お話にありました徐福ランド、こういうふうなのは県がつくるもんじゃないと思うんですけれども、これも非常に夢のある構想ですし、それからそれとあわせて天台烏薬との関係なんかで薬草園をつくってというような考え方も僕は非常に夢のある考え方だと思います。これはまあだれがやるのか、こういうことはなかなか難しいんですけれども、いずれにせよ、それぐらい思い切った発想の中で観光振興ということを考えていく時期に来ていると思うんで、私もそういうことをどんどん参考にして考えていきたいと、このように思います。
 それから、道州制について。
 確かに道州制は、もうこれは僕はなると思います。なると思うし、そんな何十年も先というような話じゃないと思いますが、今ご質問にあった、和歌山県が端にならないように紀伊半島で一緒になっておいて、それでもっと大きな道州になったときにその固まりごと入って大きな顔をしようというふうな、なかなかこれは今までの着想にない新しい着想で、これも僕は非常に参考になりました。そのとおりなるかどうかわかりませんけれども、やっぱりいろんな形での物の考え方をしていかないといかんというふうに思います。
 道州制につきましては、実は今、市町村合併というのが進んでいて、僕はもう住民の生活にかかわるようなことはできるだけ県も──きのうは国が県に対しておせっかいしているという話をしましたけれども、県も市町村に対しておせっかいをしているわけです。そういうふうな市町村ができるような仕事はもう全部市町村にやってもらう。そのかわり、国がやっている、もう本当に自治体でできるような仕事、そして地方の支分部局がやっているような仕事は全部大きな道州、州というふうなもので受けていくような体制にしていかないと、日本の国の仕事を国も県も市町村もみんな同じような国内のことにかかわってくるというような仕組みはもう二十一世紀にはもたないというふうな考え方なので、そんな方向へなっていくと思いますけれども、いずれにせよ、ご質問にありました中身も十分検討しながら対応していきたい、和歌山県が何でも後ろになっていかないように対応していきたいと、このように思っています。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 観光振興についての観光振興条例の制定、それから観光士の制度の導入についてでございます。
 まず、本県は自然・歴史・文化など豊富な観光資源に恵まれ、また高野・熊野地域の世界遺産登録を控え、観光振興のさまざまな施策に取り組んでいるところです。
 観光立県和歌山の推進に当たっては、地域資源の保全と活用を基本として、時代のニーズに合わせた柔軟な取り組みを地域の方々と行政が協働して推進することが必要と認識をしております。
 議員ご指摘のように、高野・熊野の世界遺産登録を契機に、新しい和歌山観光が全国に認知されるような県の基本方針や県民、観光事業者や関係団体等の役割などを条例化に向けて検討してまいります。
 次に、本県の歴史・文化・風土のすばらしさを来訪者に認識してもらうことを目的に、現在、県観光連盟では市町村や観光協会の推薦により百六名の紀州語り部を登録しているところであります。また、県内九市町村においても、語り部や観光ボランティアガイドの会が組織されております。これらの方々は、地元の人たちとの触れ合いや知的要求を満たしたい観光ニーズからも重要な役割を果たしていただいております。
 県としては、地域の取り組みを支援するとともに、語り部マニュアルの作成や研修会の実施、また地元へのホスピタリティー向上への働きかけなどを行っておりますが、議員ご提言の観光士制度につきましては、こうした方々の活動をより高めていくものであると考え、実現に向け、育成、認定方法について研究をしてまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 国道百六十八号五條新宮道路についてでございますが、これは紀伊半島縦貫道路として重要な道路であり、地域高規格道路として事業を実施しているところでございます。
 現在、和歌山県におきましては越路道路、熊野川・本宮道路及び本宮道路の三カ所で、また奈良県におきましても十津川道路など三カ所で事業中でございます。
 越路道路につきましては、本年度、越路橋の上部工に着手する予定であり、熊野川・本宮道路につきましては、本年度、熊野川二号トンネルに着手すべく、今議会において工事請負契約の締結についてお願いをしているところでございます。また本宮道路につきましては、土河屋トンネルを平成十七年春に奈良県の十津川道路の七色工区とあわせ供用する予定でございます。
 国道百六十八号は、東南海・南海地震時においても重要な緊急輸送道路となるため、引き続き重点投資を実施してまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 新宮城跡と水野家の墓所についてでございますが、平成六年度からの城内の発掘調査で多数の炭納屋群の遺構が確認され、近世大名の経済的基盤を研究する上でも重要な城郭跡と評価されております。また、水野家の墓所は、初代から十代まで歴代城主の墓碑が同一場所に建立され現存しており、歴史的価値の高いものであります。こうしたことから、去る八月二十七日、新たに国の史跡に指定されたところです。
 新宮市教育委員会では、史跡の恒久的な保存と町づくりや観光資源としての活用を図るため、来年度から保存管理計画の策定と整備事業に着手する予定であります。
 今後、本丸、水の手くるわの石垣の修理や墓所の整備について、県教育委員会として学術的、技術的な指導・援助を行うとともに、国に対し事業の採択を強く働きかけてまいります。
 また、天守閣等の復元につきましては、新宮市の計画を確認した上で、国の史跡の上に立つ建造物となることから、国との調整を図りつつ、必要な古図面等の資料収集・調査に協力をしてまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 一番須川倍行君。
○須川倍行君 まず観光振興条例と観光士につきましては、非常に前向きな答弁をいただきました。その上で一言申し上げておきたいんですが、これは観光の担当部局以外、他の部局に対しても言えることなんですけれども、今後の条例制定とか事業計画、観光振興計画なり長期計画を立てていく上では決してコンサル任せにしないで、職員自身の手による、汗をかいた、手づくりで、達成後に感動できるような、そういった取り組みを行っていただきたい。これを要望しておきます。
 次に新宮城跡についてですが、今後必要な古図面等の資料収集・調査に協力してまいりますという答弁をいただきました。その中で特に申し上げておきたいんですけれども、私どもも市の委員会等で今日まで、国立国会図書館とか防衛庁とか宮内庁とか、あるいは全国城郭協会とか、ありとあらゆるところを当たってきてみたんですけれども、なかなか写真とか設計図、そういった有力な資料が出てこないんです。ですから、今後、県としましても、各都道府県間とのネットワークを最大限に生かしていただいて資料の収集にお知恵をかしていただきたい。この点も強く要望しておきます。
 最後に、都道府県合併と道州制について知事のご答弁をお聞きしまして、ますます今から、合併ありきなしにかかわらず、この調査研究、議論を重ねていかなければいけない、そのように思いました。今後、議会としても都道府県合併と道州制を考える議員連盟とか委員会を立ち上げていく必要性があるんじゃないかなと、そのようにも思いました。あわせて、当局におかれましても、今からやっぱり協議会なり庁内検討チームなどを立ち上げていく必要性があるんじゃないかなと、そのように思うわけですが、この点についての知事のお考えはどうなのか、ご質問いたします。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 道州制について検討を進めてはどうかということなんですけれども、今現在、これは東京の方で、私もメンバーになって、六つぐらいかな県の知事と榊原先生と慶応大学でご一緒に会をつくっているんですけれども、そこで県の職員も入ってそういうふうな道州制──道州制という名前じゃないですけれども、これからの日本の国の地方自治のユニットというもののあり方についての研究を進めているところでございます。そういうふうな中で、県の職員はそういうことに物すごく深く関与しておりますので、どんどんそういうふうなことに関する知見は和歌山県では集まってきているということで、和歌山県は今、こういうふうな問題については全国の先進県の一つになっていると思います。そういうふうな公式的な審議会をつくるとか、そういうふうな段階にはまだ全国的にもなっておりませんし、それは僕は時期尚早だと思いますけれども、いずれにせよ、そういうふうな形で、県としてもこの問題は重要な問題として考えているということをお答えしておきます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、須川倍行君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十九分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 ただいま吉井副議長よりご指名を賜りました花田でございます。
 通告に従い質問させていただきますが、その前に、今春初当選させていただき、はや四カ月を過ぎ、県民の皆様の負託にこたえるため日々懸命の努力を重ねてまいる所存ですが、もとより経験も乏しく浅学でございます。木村知事を初め執行部の皆様や議長並びに議員各位の皆様のご指導、ご鞭撻を心からお願い申し上げまして、私の初質問へと移らせていただきます。
 最初に、教育長にお伺いいたします。
 学校教育については、和歌山県のみならず我が国の将来を託す人材の育成という観点から最も大切であるということは言うまでもありません。しかし、近ごろ、我が国の中高生の学力が低下しているのではないかと懸念されております。もちろん、学力の向上だけが教育の目的ではありませんが、当局は向陽高校を初めとして中高一貫教育等、和歌山県に初の試みを進めておられますので、和歌山県のこれからの学校教育についてお考えをお伺いいたしたいと思います。
 また、この十一月二十六日に実施される和歌山県学力診断テストについてお尋ねいたします。この学力診断テストの実施はどういう目的で行われるのですか。
 資本主義社会において競争原理は現実問題としてあることは事実であり、社会に出ると、職場は言うに及ばずあらゆる競争社会の中で生活を営んでいかなくてはなりません。このたび実施される学力診断テストは、単に競争意識をあおるために行うのではないと理解いたしております。生徒の向上心を育て、健全な競争意識をはぐくみ、また自己分析の判断基準につなげることはとても重要なことだと考えております。さらに、今後の学校あるいは学級運営の指針として活用されることも期待しております。
 しかし、その結果発表に当たっては、個人のプライバシーに細心の注意を払うことは当然ですが、学校を通じそれぞれ本人のみに通知されるのか、またその結果どのような学習効果を期待されているのかをお伺いいたします。
 次に、公共施設内の禁煙・分煙についてお伺いいたします。
 近年、たばこの間接喫煙の有害性が問題になり、あらゆる公共機関での禁煙・分煙は時代の流れとなっております。私は愛煙家を自負しておりますが、時、場所、環境に配慮した禁煙や分煙に異論を挟むところではありません。しかし、たばこを買いに行きますと「たばこは町内で買いましょう」と印刷したライターをいただくことがあります。ご承知のとおり、たばこから入る税金は市町村にとって貴重な財政収入でもあるからであります。節度をもってたばこを楽しみたいと思いますが、そこで教育長にお伺いいたします。県内の学校の敷地内での禁煙を実施されておられますが、次の二点についてお考えを賜りたいと思います。
 もちろん、最近の喫煙の低年齢化等の問題も抱えておりますので、子供たちの前でたばこを吸うということに対し細心の注意を払う必要があるということは言うまでもありません。しかし、秋の一大イベントであります運動会のときであります。運動会は、地域によって異なると思いますが、私たちの地域は区民一体の運動会であります。保護者はもちろん参加いたしますが、ふだん学校にご縁のない方もご参加いただき、大変盛り上げていただいております。そうした方に対して、開催中運動場内での禁煙をどこまで徹底できるのか。昨年の例をとりますと、敷地から出た校門付近の道路にたくさんの人が集まって喫煙する姿を見かけました。交通安全上も問題があると思います。
 二点目は、上記と重複しますが、ふだんでもある学校では教職員の方が校門付近の道路上で休憩時間中に喫煙されていると聞き及んでおりますが、付近の皆様やたまたま通りがかった方から「余り感心した姿ではないな」「子供を教える立場の人が」という批判があることをご存じですか。かといって、就業時間内の全面禁煙はいささか行き過ぎの感も否めません。
 そこで、私も愛煙家の一人としてお願いしたいのですが、たとえ学校内であっても、自分の車などでは喫煙してもよいのではありませんか。将来的には全面禁煙を推進していく方向は正しいと思いますが、現時点では現実に即していると思いますが、いかがですか。
 次に、和歌山県の冬季観光についてご質問させていただきます。
 皆様もご承知のとおり、私たちの和歌山県は観光を主要産業の一つと位置づけ、木村知事を先頭に各種イベントやPR活動を通じ、観光と農林水産業などを組み合わせ、精力的に展開されておられますが、南国で海洋県のイメージが定着しているせいか、夏場の観光客に比重が置かれがちとの認識は私一人ではないと思います。
 そこで、知事に冬の観光にも積極的に取り組んでいただきたいと思うわけであります。今回取り上げます高野・龍神地域は、県内で内陸部に位置し、我が国有数の霊山・高野山金剛峯寺と日本三大美人湯で名高い名湯・龍神温泉があり、また来年には世界遺産に登録を期待されている地域にも入っており、他府県のみならず諸外国の観光客にも多く知られるところであります。
 先般、県の観光振興課が調査・発表した平成十四年の観光客動態調査報告書では、高野町、龍神村ともに春から夏にかけて観光・宿泊客が増加し、八月をピークに少しずつ減少し、秋の紅葉シーズンを境に十二月、一月、二月は激減いたしております。ちなみに高野町の八月の観光宿泊客数は五万九千八百十四人ですが、一月には九千七百七人、二月は七千五百五十二人となり、夏場の約一・三割しか宿泊客がありません。また龍神村も、八月の一万四千四百十二人を最高に一月、二月は三千人を少し超えるぐらいであり、約二割に激減いたします。
 しかし、当地域は冬になりますと南国のイメージからは想像できない厳しい冬が到来いたします。そのため先ほど来の宿泊客の減少につながっていると思われますが、逆に、関西では大変珍しい冬の自然現象をかいま見ることができます。山また山を白いじゅうたんが敷き詰め、神秘的で幻想的な樹氷が木立を覆い、気象条件が整えば霧氷も出現するという、またとない冬の観光資源の宝庫でもあります。
 ここに、冬のスカイタワーと樹氷の写真があります。議長のお許しを得て皆様にごらんいただきたいと思います。(写真を示す)
 これは、県職のOBの方で大変写真が上手な方が撮られたのを小住振興局長からいただいてまいりまして、引き伸ばさせていただきました。どうですか、皆さん。非常に──こんな観光資源は僕、またとないと思うんです。知事、お気に入ったら後から知事室へお届けさせていただいてもいいんですが。
 そこで、商工労働部長にお伺いいたします。
 冬の和歌山を再確認していただくため、県挙げて冬の高野・龍神の観光PRをしてはいかがでしょうか。それは単に当地域の観光振興にとどまらず、和歌山県全体の冬の観光振興に及ぼす影響は大きいと考えますが、いかがですか。
 ただ、ご承知のとおり、高野・龍神をつなぐ高野龍神スカイラインは冬季通行が大変困難な状況にあります。これも当地域の冬の観光客の減少の一要因だと推測されますが、お越しいただいたお客様に安心して冬の大パノラマを体験していただくにはかなり不安な状況であることは否めません。しかし、この負の財産とも言える積雪ですが、この積雪を利用したレジャー施設等の設備を充実させることにより冬の観光開発につながると思いますが、どうでしょうか。
 また、このたび知事の積極的な決断により、この十月一日よりスカイラインの通行料が無料化いたします。
 そこで、警察本部長にお伺いいたします。
 今までは冬季は除雪をした上で昼間チェーン走行のみ可能としておりましたが、その際、料金所でチェーンの有無を確認していたと聞いております。料金所がなくなるこの冬、他府県からお越しの観光客の皆様に対し、チェーン走行の指導等、交通安全上どのような対策をお考えなのか。料金所付近の積雪が比較的少ないときでも、スカイラインを上ると路面は氷結し、大変危険な状況にあると聞いております。土地の気象条件に精通していない観光客が道路標識等だけで安全確保ができるのかどうか、今後の対策も含めてご答弁いただきたいと思います。
 以上のことを踏まえ、私の希望といたしましては、将来オールシーズン通行可能な高野龍神スカイラインであってほしいと思いますし、私も足が少し不自由でございます。体のご不自由な身体障害者の方にもこのすばらしい冬の景観を楽しんでいただきたいと願うものであります。そして、先ほども申し上げましたが、高野・熊野世界遺産登録指定地域の大動脈とも言える高野龍神スカイラインは、高野と熊野を最短距離でつなぐ道路でもあります。
 以下、要望といたしますが、高野龍神スカイラインが冬季であっても安全に通行できるよう、道路の融雪対策等、県当局にも前向きにご検討いただきたいと切に願うものであります。
 次に、高速道路南部インターチェンジ付近の道路状況についてお伺いいたします。
 平成十五年度内に、しかも日本道路公団のご尽力により早い時期に供用になるとお伺いいたしております御坊─南部間がこのたび完成されますことは、県民の一人として大変うれしく思うものであります。今日まで高速道路紀南延伸に力を注がれた、木村知事はもとより歴代知事を初め、県民の悲願に積極的に取り組んでこられた諸先輩の皆様方に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 当高速道路は、我が県にとって観光を初めとするあらゆる産業や、さらに近年予想されます大震災など緊急時の物資輸送等、待望久しい大動脈であります。さらなる早期南伸と、この高速道路が県民の生活向上につながることを大いに期待して、質問に移りたいと思います。
 南部インターチェンジから田辺・白浜間の交通渋滞について、大変心配しているところであります。南部─田辺間は主に国道四十二号線に頼っておりますが、現在でも週末になると南進する車は南部を通り越し切目崎まで渋滞の列が連なり、帰りの北進する車は印南町付近を先頭に田辺市芳養まで渋滞することはご承知のとおりであります。
 このたび開通いたします南部インターチェンジは、議員の皆様も視察されご承知のとおり、国道四十二号までの距離が大変短く、さらに国道に合流してから田辺市までの区間に余裕がないため、交通渋滞は南部町内を迂回する車で想像を絶する混雑が予想されます。南進車の渋滞緩和には県道上富田南部線が最も有効で重要な路線となり、県当局も必要性を考慮し、路線拡幅等、鋭意ご努力をいただいております。また、帰りの北進車は南部インターチェンジ付近での大混雑を避けるため県道田辺印南線を利用される方も多いのではないかと推察されます。この路線は、現在でも休日は混雑を避けるため地元、他府県を問わず車の往来が多いと地元の皆様からお伺いいたしております。
 しかし、両県道はいまだに車の対向不可能なところが幾カ所もあり、田辺印南線では印南町樮川から南部川村熊瀬川間は大変危険な状況に置かれております。このままでは南部町内はもとより沿線の生活道路にまで渋滞が影響を及ぼし、混乱を招くことにもなりかねません。
 そこで、県土整備部長にお伺いいたします。
 両路線の拡幅、改修の重要性をどこまでご認識いただいておりますか。この路線が整備されますと田辺以北の国道四十二号線のミニバイパスとしての役割を兼ね、渋滞緩和は言うに及ばず、来るべき南海大震災の補完道路としても有能な路線になると考えますが、いかがですか。
 さて、次の質問に移る前に、去る八月八日夜半に四国・近畿地方を縦断いたしました台風十号について、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げますとともに、災害に立ち向かい懸命のご努力で復旧されている皆様に対し、心から敬意を表しまして質問に移らせていただきます。
 台風十号は近年にない大型で、しかも勢力も強く、またそのたどったコースは昭和九年と昭和三十六年に和歌山県に甚大な被害を及ぼした室戸台風、第二室戸台風に酷似し、到来前から大変心配しておりましたが、予想どおり、多くの被害をもたらしました。県内各地で土砂崩れによる道路の通行どめ、増水による田畑の浸水、満潮時と重なった波は防潮堤を越え、国道四十二号線は各所で一時不通になり、また海岸線では人家にまで押し寄せた波に眠れぬ夜を過ごされた方も多くいらっしゃったとお聞きいたしております。幸いにして人命にかかわる大災害にはならなかったのはせめてもの救いではありますが、台風災害に対し多くの教訓を残していきました。
 土砂崩れによる道路の通行どめはいち早く建設業界の皆さんのご協力を得て復旧されましたが、現在なお片側通行になっている箇所もあります。一刻も早い全面復旧が望まれているところですが、関係機関のさらなるご尽力をお願い申し上げたいと思います。
 さて、このたびの台風の被害状況は、各振興局の皆さんが翌早朝より総出で巡回していただき調査されていることは、私も現地で何人かの職員の方ともお会いして迅速に対応されている姿を存じ上げております。知事を先頭に県職員の方々のご尽力に、県民の皆様も大変心強く思われたのではないかと思います。そのまとめられた被害状況を当局にここでご報告していただくと持ち時間がなくなると思いますので、ご説明は結構ですが、全県下に被害が出ていることを承知の上で、まことに恐縮ですが、私の地元、御坊、日高郡のことについてご質問させていただきます。
 一つ目の道路の被害については、各地でいち早く対応していただいておりますので、より一層のご尽力をお願いしておきます。
 二つ目は、日高川、切目川、西川のはんらんについてで、河川改修並びに被害に遭われた農作物に対する今後の対策をお伺いいたします。
 日高川については、椿山ダム建設以来の大雨ではありましたが、ダム管理者の適切な判断により被害を最小限に食いとめることができたのではないかと地元の皆さんからお聞きいたしました。これまた、大変うれしく思うものであります。
 しかし、切目川下流域の印南町島田、宮ノ前、古屋地域の田畑の被害は、このたびの台風に限らずたびたび浸水し、農家の方々を大変悩ませてきました。現在、切目川下流の河川改修をしていただいておりますが、島田、宮ノ前、古屋地域の田畑の浸水対策をぜひお願いいたしたいと思います。今回は、はんらんした濁水で稲穂が完全につかって見えなくなるほどでした。秋の米の収穫やその他の農産物の作柄についても大変心配いたしております。また、日高町から美浜町を通り御坊市に流れる西川についても同様に、日高平野を幾度も水浸しにしてまいりました。この二つの河川については、地理的条件その他を踏まえ抜本的な改修をご検討いただきたいと切に願うものであります。
 三つ目は、煙樹ケ浜を含めた津波対策についてお伺いいたします。
 台風十号の通過に伴い、夜半過ぎからすさまじい風と波の打ち寄せる音、降りしきる雨に地域住民はいつ避難しなくてはならないのか、まさしく眠れぬ夜を過ごしたわけであります。東洋一と自負する松林は、先人の知恵により台風時の暴風に耐え得るため長い年月をかけて育ててまいりました。県当局も、その松林の管理・保全にご尽力をいただいております。
 しかし、近年、松林を縫うように人家が密集し、またいろいろな条件が重なり、海岸線が昔に比べて随分浸食され、海が近くなったんではないかと地元の皆様からお聞きいたしました。また、以前の防潮堤の下は玉石の浜だったが、砂が堆積して防潮堤が低くなったと住民の方がおっしゃっております。大きいとはいえ台風だからこの程度で済んだが、これが南海大震災の津波だったらと思うとそら恐ろしいと申されておりました。東南海・南海地震が同時に発生したと推定し試算したデータでは、御坊地域を含む日高川河口付近は六メートル以上の津波が押し寄せるとなっております。この際、来るべき南海大地震にも当地域が耐え得るような防潮堤の調査・改修をご検討いただきたいと考えますが、いかがですか。
 また、県内には南海地震の津波に対して過去の事例から推測してかなり危険度の高い地域や箇所がたくさんあると考えますが、あわせて調査をお願いしたいと思います。
 当局の熱意あるご答弁をお願い申し上げまして、私の最初の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの花田健吉君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 冬の高野・龍神の観光PRについてでございますが、高野龍神スカイラインは霊峰高野山から高野龍神国定公園を縦走し龍神温泉に至る観光ルートであり、その沿線には、春の新緑、秋の紅葉、冬の樹氷など、すばらしい大自然の景観がございます。
 議員ご提言の冬の高野・龍神の観光PRにつきましては、夏型の観光に偏りがちな和歌山県にとりましてはすばらしい観光資源であり、その魅力を情報発信し、観光客の誘致を図っていくことが県全体の観光に大きな影響があるものと考えております。本年十月からの無料化は観光PRの絶好の機会ととらまえ、地元市町村と県がより一層連携し、観光キャンペーンや記念イベントを実施する予定でございます。
 当地域ならではの積雪を利用した冬の観光開発等についても、安全対策に十分留意し、和歌山の新たな魅力として地元と協議しながら取り組んでまいりたいと考えています。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 近畿自動車道南部インター周辺の渋滞緩和策と県道整備についてでございます。
 県道上富田南部線につきましては、近畿自動車道紀勢線の南部インターチェンジ供用後、田辺インターチェンジが供用するまでの間の国道四十二号の渋滞緩和を図るため重点的に整備を行っているところでございます。また、県道田辺印南線につきましては、近畿自動車道紀勢線御坊─南部間の開通や並行する黒潮フルーツラインの計画を踏まえ、交通量などの観点から整備のあり方を検討してまいりたいと考えております。
 次に、切目川、西川の河川改修についてでございます。
 切目川においては、流域面積の九割を山地が占め、集落は河川沿いの平野部に分布しているという流域の特性等にかんがみ、ダムと河川改修を組み合わせて治水対策を行うこととしております。切目川下流域の印南町の島田、宮ノ前、古屋地区の浸水対策としては、ダム事業に加え切目川の河口から羽六橋までの六・五キロ区間について河川改修を行うこととしており、このうち河口からJR橋までの約一・四キロ区間は河床掘削を残しおおむね完了しております。現在は、JR橋上流の西ノ地橋から汐止堰までの五百七十メートルの区間について事業を実施しているところでございます。
 今後とも、切目川の浸水対策につきましては切目川ダム事業並びに切目川改修事業を鋭意促進し、浸水被害の解消に努めてまいります。
 また、西川の浸水対策についてでございますが、河口付近の西川大橋から大川橋までの六百六十メートル間の護岸の補強及び河床掘削を実施しているところですが、流域全体の抜本的な対策を行うためには地域の町づくりと一体となった整備計画を立案する必要があります。このため、今後とも関係機関と協議しながら計画づくりを進めてまいります。
 煙樹ケ浜を含めた津波対策についてでございますが、煙樹ケ浜を初め、津波に対し危険度の高い地域や箇所の対策につきましては、現在県全体で行っている津波被害想定の結果をもとに市町村と連携を図りつつ、ソフト対策及びハード対策の総合的な組み合わせにより安全性の向上が図られるよう検討してまいります。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 台風十号による農作物被害への対策につきましては、収入減の補てん等に充てるための農業経営維持安定資金を初め、既存の融資制度がございます。また、被害を受けた農家の損失を補てんして農業経営の安定を図るための制度として農業共済制度がございますが、水田の浸水被害について農業共済組合において現在調査中でございます。
 今後、共済金の早期支払いができるよう農業共済団体に対して指導してまいりたいと考えてございます。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) まず、これからの学校教育についてでありますが、子供たちを取り巻く社会環境が変化し、学校に対する期待や要望が高まる中、その果たすべき役割はますます重要になっていると考えております。
 このため、今後とも思い切った改革、新しい学校づくりに取り組み、学力はもちろんのこと、次の世代を担うことのできる心豊かで自立した子供の育成に努めてまいりたいと考えております。
 次に、学力診断テストについてでありますが、児童生徒一人一人に確かな学力を身につけさせるため、本年十一月、県内すべての小中学校でこれを実施いたします。教育委員会としましては、結果の分析をもとにこれを学力の向上を目指した総合的な施策に反映させていく考えであります。
 テストの結果につきましては、議員ご指摘のとおり、個人のプライバシーに十分配慮しながら、県全体を初め地方別、市町村別、学校別に公表いたします。今後、これを有効に活用して、県民や保護者の協力を得ながら、開かれた学校づくり、信頼される学校づくりを推進してまいります。こうした趣旨に理解と協力を得るため、このほどパンフレット約六万数千部を配布いたしますとともに、教育委員会のホームページに掲載し、情報発信に努めているところであります。
 最後に、学校施設における分煙・禁煙措置についてお答えします。
 喫煙防止教育の推進、健康リスクの減少を目的として実施している学校敷地内禁煙も一年半を経過する中で、本県の取り組みが多くの県に広まり、全国的にも高い評価を受けております。教職員がノースモーキングエリアの趣旨を正しく理解し、これを厳格に守ることによって児童生徒や保護者からの信頼を得ることこそが最も重要であり、校内に喫煙所を設けたり車内で喫煙することを認めるという方法よりも、この趣旨をさらに徹底してまいる方策を進めてまいる考えであります。
 運動会等におきましても、看板やポスター、プログラムへの記載、校内放送での呼びかけなどにより外来者に対して協力を求め、全体としては成果が上がっていると把握しております。今後とも、さまざまな工夫をしながらさらに徹底をしてまいります。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 高野龍神スカイライン一般開放に伴う冬季の交通安全対策についてお答えいたします。
 本道路における過去五年間の冬季の交通事故は、平成十一年六件が最多でした。その他の年は一から二件の発生となっており、事故により亡くなった方はございません。これに対し、本年十月一日の一般開放に伴い交通量が増加するものと推測されまして、交通事故の増加も懸念されるところであります。
 ご質問の冬季における交通安全対策でありますが、積雪や凍結が予想される期間につきましては、これまでどおり道路管理者において夜間における全車両通行どめと二輪車の終日通行どめがなされ、また昼間につきましても、積雪や凍結時は道路管理者の判断により通行禁止やチェーン規制などの対策がなされるものと承知しております。また、このような通行の禁止・制限等が実施される場合には、スカイラインに接続されております主要道路に設置された電光掲示板等を通じて、通行車両に対し積雪、凍結等に関する情報や通行禁止の情報が提供されるものと承知しております。
 警察といたしましては、積雪、凍結のため通行に危険が生じるおそれがあると認められる場合には、パトロールの強化、タイヤチェーン装着の指導などの対策を行ってまいりたいと考えております。また道路管理者に対しましては、これまでにも適切な通行制限の実施等を申し入れているところでありまして、今後とも緊密な連携を図りながら交通の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番花田健吉君。
○花田健吉君 当局から、大変熱意のある、また私の意図するご答弁をいただきましたので、再質問に対してはございません。
 しかし、今回、知事に直接ご答弁いただく機会といいますか、質問の内容がそういうことになっておりましたので、要望として世界遺産登録を控えた高野から熊野地域の冬の観光の現状をさらにご認識をいただき、観光PRにもお力添えを賜りますよう、地元の住民の皆さんを代表してお願いしておきます。
 それに関して、もっと早くやったらよかったんですが、きょうの朝刊ですが、「冬の和歌山体験を採択」、これ和歌山のNPOのやつなんですが、「県の地域密着型NPOからのふるさとづくり企画提案の平成十五年度採択事業がこのほど決まり、龍神村の女性らでつくるNPO団体・龍神はーとが企画提案した「和歌山ウインターミーティング~冬の和歌山体験」が選ばれた」とあります。この「和歌山ウインターミーティング~冬の和歌山体験」は、同村の護摩壇山を会場に、雪合戦や雪の滑り台を設けてのそり遊び、また雪中宝探しなどを楽しんでもらうということの企画だそうです。
 そこで知事に、最後にもう一度パネルをごらんいただいて──ちょっとお見せしますので、冬の高野についてご感想を一言お願い申し上げまして、終わらせていただきたいと思います。(写真を示す)皆さん、こういうすばらしい幻想的で、またさわやかな風景が冬にはありますので、どうかひとつ、よろしくお願いします。
 では、知事、済みません。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 私に質問してもらいたいなと思ってたんです、実は。
 というのは、花田議員が質問された、特にその冬の高野山、そしてまた龍神村、これは僕はもう本当にこれから──まあ今も結構お客さんはいると思うんですけども、今度の世界遺産登録とあわせて本当に魅力のある観光資源だと私は思います。
 そしてまた、今度、有料道路も無料化するわけですし、そういうこととあわせて本当に新しい和歌山の魅力を開発していかなければならないと思うんです。今までどおりのものを売っていくんじゃ、ちょっとやっぱりだめなので、やはり今のNPOの人のやつも非常にいいことだと思いますし、冬に龍神温泉につかって、そしてまた雪の高野山に上がるなんていうのは、なかなか得がたい体験になるだろうと思いますので、そういう方向で頑張っていきたいと、このように思います。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) 以上で、花田健吉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十七番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 質問させていただきます。
 農業・林業振興について入るんですが、和歌山県はまさに農業、林業、漁業の第一次産業を基盤にした、本当にそれを定着させながら和歌山県の経済活性化に努めている唯一の、全国的にもそういう意味での先進を切っている県だと思っております。
 私はこの質問に入る前に、そういう意味で、せんだって十四日、カンクンで開きましたWTO、これに対して私、無関心でおれないなというふうに思っております。というのは、かつてWTOの前は、皆さんもご存じのように、ガット・ウルグアイ・ラウンドの関係で、いかに国際的に──アメリカを中心としたグローバリズムというんですか、グローバル的に日本の農業が貿易の自由化によってこれは大変な事態になるということの中でも、全体的な国際の流れが貿易の自由化、とりわけその中でも農産物の自由化で門戸を広げられました。それによって今現在、実際に食品関係は六割、林業関係は八割、ことしのデータを見ますと、もう八五%が外国からの輸入の林業関係、木材であります。そういう意味において、このWTOの動き、それまでのガット・ウルグアイ・ラウンドの動きが、具体的にその国際的な動きの中で私たちの和歌山県の抱える農業、林業とは無関係ではないと思いました。
 ところが、やっぱり十四日ではWTO閣僚会議が分裂的に終わりまして、その中で私は、日本の進むべき道は、今まで、アメリカ、ヨーロッパの進むべき道の後ろをついていくのか、後進国、中国、インドを中心とした二十二カ国が(「後進て使ったらいかん」と呼ぶ者あり)──「途上国」と言われてますけど、そういうところの国が中心に世界の食品──WTOはいっぱいありますけど、その中の農業分野においてどうしていくのか、日本はその中で三極の一角をなす日本の農業を本当にどう守っていくのかという瀬戸際、岐路に来ているというふうに私は考えております。
 そういう意味では、私自身の個人的な見解は、WTOや今度WTOに、何ていうんですかな、空洞化しながらFTAと言われる自由貿易協定に移っていくというふうに言われておりますけど、私は日本の農業を基盤として中山間の多い特殊な日本の農業をどんなにして守っていくかということがこれから求められるというふうに思いますので、そのことを冒頭感じながら本題に入っていきたいと思います。
 最初に、紀州梅の産地を守り発展させるために、県当局に提案と質問をさせていただきます。
 まず最初に、産地の梅の樹木の実態調査を県、農協、生産者で来年度実施することを提案します。提案理由は、今までは梅の立ち枯れのみの実態調査でしたが、それだけでなく全体の実態をつかむ必要性を感じています。計数的に園地面積と収穫量との関係、中国梅の輸入量、国内の他産地との収穫量を総合的に見て、紀州梅の収穫量は停滞している状況にあります。
 皆さんのお手元にお配りさせていただいておりますが、この観点は、私がこういうのをつくらせていただいたのは、一つは、和歌山県の梅産地、紀州の産地である南部川村、南部、田辺市を中心とした全体の十五年度の面積を一番に書かせてもらっていますが、実際に和歌山県は全体として二四%であります。和歌山県以外は七五%の樹園地を占めているわけでありますから、和歌山県とりわけ紀南の栽培技術を学べば、どえらい収穫を上げていくということになります。そういう意味では、まだまだそういう技術に到達していないから、全体としての面積は二四%だけれども和歌山県の十五年度の収穫量は全体の五五%、面積は七五%県外にあっても収穫量は四五%という、こういう比較になっております。しかし、これは必ず逆転する時期が来るのではないかということを私は憂えているわけです。そのことは紀州のブランド、紀州梅をブランド商品として守っていく、産地を守っていくということについては、近い将来的には非常に不安を覚える部分はあります。
 そういう意味で、ことしがその一つの例として非常に、生産量は三分の二と──二枚目の下の方に書かせてもらっておりますが──梅収穫量の推移の中で平成十五年はかなり落ち込みました。平成十四年が四万八千二百トンに対してことしは四万百トンという形で、八千百トン落ち込んだわけですけども、そういう形の中で私たちが今この紀州・和歌山県の梅の産地を守っていく上で、今もう一度、その上にあぐらをかくことなく先を見通した政策を持っていく必要があるのではないかということで、私は感じているわけです。特に今回、市場や加工業者等は紀州梅のみに着目しない状況が生まれていますし、既に他の産地へもことしの収穫量の少ない中で求めていったという状況が生まれております。
 そういう意味で、紀州梅の青梅の一定の生産量確保、加工梅の確保は産地を守る上で大切な時期に来ています。梅の樹木の立ち枯れによる新しい木に植えかえる改植事業は進められていますが、立ち枯れた樹木だけではなく全体の樹木の実態調査が必要です。これは、私は田辺、南部や南部川の園地を歩いてみて、梅の木の数は多いが収穫量との関係と樹木の勢いがなく衰えている木が多く見られることから、ここ数年で生産量に影響が出てくるのではないかということを専門家と一緒に歩いて感じましたし、今こそ将来計画を立てていかないと大変だなということを痛感して帰ってまいりました。
 これらの調査に基づき、全体を新しい木に変える改植計画を立て、生産量の安定を図る必要があると考えますが、どうでしょうか。それに対する支援策は、梅の立ち枯れの関係で日本一梅産地支援事業、これは十六年度で終了いたします。これを引き続き継続することを含め、検討されてはいかがでしょうか。産地は、紀州梅を毎年コンスタントにどれぐらいの生産量が必要で、さらに販路消費拡大を考慮しながら生産目標を立てる必要があると思いますが、いかがでしょうか。それに伴う園地面積の拡大についてどう考えていくのか、農林水産部長にお聞きします。
 次に、梅の立ち枯れの原因分析についてであります。
 私は、かつて梅問題でこの議場に送っていただいたという関係で、この梅の立ち枯れの原因究明をとことん解決するまで頑張る責務がありまして、そういう意味で、県のうめ対策研究会やJA、関電による梅生育障害対策研究会の二つの研究会が平成九年から十年に開催されて、それで平成十年の三月から四月にかけてその原因究明の発表がありました。しかし、それはあくまでも調査や試験研究の成果に基づく専門家の学問的な総括でありまして、具体的にどこに要因があったかという原因究明に至らないままの報告で終わっております。それが栽培や病理面、また大気面においても何らかの疑問や問題点を残したままその研究会は解散され、そのままの状態であります。
 私たちは、これではいけないということで、こういう結果で終わったことによって、さらに一つは県の考え方や研究会の考え方と農家の意見とに大きな乖離ができ、お互いの不信感がいまだに少しは続いているような気がします。
 そこで、私たちは現地で、そういうことを言っておられませんから、どうしても現地においてこの梅枯れの対策をしなきゃいけないということで、平成十二年九月から私たちは独自に栽培部会や気象・環境部会の二つの部会を設けて梅生育不良の原因究明と対策の確立に向けて各部会で積極的に取り組んでまいりましたし、関係農家は現場に行って、そして現場作業や調査などもお互いに賃金まで払って参画し、一緒に汗をかきながら今まで活動しておりますし、行政とりわけ田辺市と農協、生産農家がお互いに汗をかきながら納得して今進められていますし、実践しております。そこには、一つの疑問や対立もございません。そういう意味で一つの大きな役割を果たしながら原因究明に取り組んでいますが、県として具体的にそういった現場のたゆまぬ努力の中で県は今後どうやっていくのかということについてお聞きしたい。
 一点目は梅の立ち枯れ原因の、現在までの成果と、どの程度の実証がなされているのか。
 二点目は、これを踏まえて今後の研究課題は、その課題をうめ研究センターで研究できる人的、組織的、設備的に体制が整っているのか。とりわけ、大気環境と梅立ち枯れの因果関係の研究体制はどうなっているのかということについて、農林水産部長にお聞きしたいと思います。
 三つ目は、私は今までこの議場でずっと、関西電力のばいじんの直接暴露に基づき県は関西電力にばいじん提供を求めるべきだということを訴え続けてまいりました。今回、私は要望にかえますが、これは歴史的に見て経過があります。私たちは、平成十二年十二月五日に田辺市長が関西電力にばいじんの提供・提出を求めてまいりました。十二月十日に関西電力から経過報告があって、暴露試験の計画の妥当性について調整・協議が必要であるのでしばらく待ってほしい。そして平成十三年六月十三日、関西電力へばいじん暴露試験計画書を提出しました。これは、県当局も私の質問に対して「科学的立証ができる研究であれば検討していきたい」ということがありましたので、私たちは関西電力へばいじん暴露試験の計画書を提出したわけであります。その結果、九月四日に関西電力から試験計画書に対する回答があり、試験計画書について科学的妥当性が必要だということで、それもしばらく待ってほしいと。そして九月二十日に私たちは知事へ、ばいじん暴露の検証を求める陳情をしてまいりました。そういう中で再度私たちは、ばいじん暴露試験計画がどのように妥当性があるかということで改めて研究し直して、十四年の七月九日に関西電力へ試験計画書を再提出させていただきました。しかし、その十四年の十二月六日に関西電力は、科学的妥当性は認められず、要請──いわゆるばいじんの提供──は認められないということのまま現在に至っておるわけであります。
 暴露試験を要望しても、なかなかできない。これは私たち田辺市、紀南農協、梅農家が一体になって求め、知事にも要望してきたところであります。私はそういう意味で、今後いろんな角度で研究されていきますが、その一つの知見を広めるために、大気環境と植物の因果関係、それに伴うばいじんとの因果関係をどうしてもうめ研究センターで研究課題の一つとして取り入れない限り、原因究明への方向が見出せないのではないかということを思いますので、そのことをうめ研究センターの研究項目として入れていただくことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、二点目のバイオマス立県わかやま構想及び推進方針を産・学・官・住の共同で構築してはどうでしょうかというテーマであります。
 これ、ちょっと資料を(資料を知事に手渡す)。
 私は以前からバイオマスとりわけ森林・林業の立場で木質バイオマスエネルギーを提言してきました。県も一つのモデルプラントを検討中と聞いていますが、私は今回、国が示したバイオマス・ニッポン総合戦略に基づき、バイオマスが豊富でその多くは農業、林業、漁村に存在していることから、バイオマス立県わかやまとして資源の有効活用を図ることで、和歌山の立地を生かした新たな産業と雇用を創出していくものと考えております。とりわけ、和歌山県は緑の雇用事業の中での地球温暖化防止森林連合を組織し、CO2削減への役割をアピールしています。
 バイオマスは、もう一つの観点から、化石燃料ではない生物由来の有機性資源を活用することでCO2の発生を抑制し、地球温暖化防止と循環型社会へのモデル事業としての役割を果たすと考えます。県下では既に産業界において石橋石油や有機堆肥工場等、個々に先進的な取り組みがなされていますし、近畿大学、和歌山大学や地域住民と一緒になった研究と実践もなされています。
 今、知事のお手元に渡させていただきました菜の花エコプロジェクトといいまして、和歌山大学と石橋石油並びに地元熊野川町の住民の皆さんとで菜の花エコプロジェクトのために菜種油を車の燃料にということで、今実践をしながらそれを積極的に取り組んでいる実例があります。私もこれに少し参加したこともあるんですが、そういう意味で私は、そこで具体的に当局に提案しますが、バイオマス戦略に基づいてバイオマスを原料とする工業製品製造やガス化発電の分野、つまりハイテクバイオマス、それから食品廃棄物などを堆肥や肥料などとして利用するアグリバイオマス、それから木くずなどを堆肥や熱利用、電力等とするウッドバイオマス、先ほど紹介しました菜の花の種の油の食用油を精製してバイオディーゼル燃料化するフラワーバイオマスなど、県下の農業、林業、漁業から出る廃棄物を再利用するためのバイオマス立県わかやまの推進方針を産・学・官・住の共同で構築されることを来年度の重点施策として検討されることを提案しますが、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、緑の雇用事業と地域の土木・建設業従事者との雇用連携についてお伺いします。
 土木・建設業従事者の仕事の確保は今、緊急の課題です。地方では、土木・建設業は地場産業です。現状は大変厳しい中で、私は二月議会において土木・建設業の新たな産業への転換、他業種へ行くための研修等、土木・建設業への支援策を訴えました。今回私は、現場で感じ、関係者からの意見として緑の雇用事業はまさに緑の公共事業として土木建設業従事者の仕事の確保の立場から事業連携を求めていますが、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、私はこのことをたびたび言わせていただいているんですが、緑の雇用事業イコール森林活性化イコール木の文化を構築するための人材養成について、お伺いしたいと思います。
 新規従事者への技術指導及び必要とするライセンス習得はどうなっているのでしょうか。和歌山県の森林・林業を活性化させ、木の文化の和歌山づくりには、少なくともそれを継続発展させる人材確保とそのための人材養成をどこでどのように、どんなものを系統的に学べ、しかもライセンスも習得でき、森林・林業に従事できる人材を養成できるのかがこれから求められています。例えば、県行政機関、森林組合、民間、大学機関が連携し合って系統的な学習と実践の場を組織的につくることが必要ではないでしょうか。例えば、里山研究、森林づくり研究、地域林業研究、木造建築研究、森林と地域環境等の分野の研究とその実践ができる場と機関が今、求められております。自主的に民間では木造建築等の研究や、また里山づくりや地域おこしの中で独自に勉強も地域ではされておりますが、そういった人たちも含めて具体的にそういう人材確保、和歌山県がまさに緑の雇用事業が森林活性化につながり、木の文化の和歌山県としての町づくりに対してそういう人材確保のための展望を持った方向を打ち出してはどうかということで、知事の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、新規就農ワンストップ支援事業についてお伺いします。
 これは知事からも報告されておりましたが、農業をやってみようプログラムの提案が新規就農ワンストップ支援センター設立という形になったことを受けて、暖地園芸センターの役割を示しています。本来、この考え方は都市と農山村の共生、対流ということでの施策として国も積極的に進めてきました。各市町村を初め、地域づくり団体、農家等は都市からの農業・林業体験、教育の立場からの子供たちの農業・林業体験とグリーンツーリズム等を受け入れ、地域おこしの一環として積極的に今進められています。
 今回の県の農業をやってみよう、新規就農者の緑の雇用事業と並んで実施しようとしていますが、新規就農支援と県の果たす役割について若干の問題点を指摘して、県当局の考え方をお聞きしたいと思います。
 家庭菜園や農業体験の発想の範囲内であれば問題はないのですが、新規就農者を受け入れることに重点を置くとすれば、県が主体になるものではないと考えます。県の果たす役割は何か。第一は受け入れ農家の組織、第二は遊休地候補の選定、それを情報化し、県は新規就農者と農家とのコーディネートつまり橋渡し役割でよいと考える。短期・長期で農家の中で生活し、技術を学び、早朝から夕暮れまで農業で生活をする厳しさを直接体験していく体制の方がよいのではないでしょうか。第三は、県はむしろ受け入れ農家や地域づくり団体への受け入れ支援制度をつくり、財政的に支援することの方がより前向きに進んでいくのではないかというふうに私は考えますが、農林水産部長の見解をお聞きします。
 次に、私は昨年の十二月議会において和歌山県の汚水適正処理の見直しと、とりわけ和歌山県の地理的条件、人口減から見て、公共下水道を初め集合処理から合併浄化槽への発想の転換を提案してまいりました。今回は具体的に公共下水道と合併浄化槽のコスト比較、市町村自治体の財政負担について提起し、汚水適正処理計画を再度市町村を含め検討されることを提案したいと思います。
 例えば、公共下水道と合併浄化槽のコスト比較ですが、これは神奈川県葉山町の下水道の費用対効果をめぐる住民訴訟の判決文の中から引用します。判決文の中の黒白の判決結果ではなくて、その中で裁判所が全国の資料を抽出してこの神奈川県葉山町にそれを引用したときにどういう結果になるのかということを、公共下水道といわゆる合併浄化槽との比較を数字的に具体的に示した判決であります。
 その中で、処理人口一万六千二百人とした事例で──それは葉山町の処理対象人口ですけど──合併浄化槽は、一人当たり二十二万円で一万六千人として設置総費用は三十六億二千万円、維持管理費を含む汚水処理費は一立米当たり二百円。これに対して公共下水道は、設置費用二百八十四億円、処理人口一万六千人で割ると一人当たり百七十五万円となります。維持管理費は一立米当たり九百九十八円必要であるが、市民負担百八十円で差額の八百十八円は一般会計からの税負担で賄っており、合併浄化槽と公共下水道とでは八倍の差があります。しかも、葉山町の事例は他の市町村においてもほとんど変わらない状況であります。これを私は、県下の市町村の実態、今公共下水を計画しているところに当てはめても、ほとんど変わらない数字が出ております。
 公共下水道の延べ金額は、この葉山町の事例ですが、建設費二百八十四億円、一部供用開始後の維持管理費が二十四億、起債償還費が五十九億円、その他経費十五億円──これは主に人件費とか諸経費であります──歳出合計三百八十三億円であり、それに対する歳入は、国庫補助金百三十億円、県費補助金四億円、町の町債が百三十億円、使用料収入は十三億円で、一般会計からの繰入金が百四十億円となっております。これは建設費に限られ、全面供用開始すればランニングコストの費用への毎年一般会計からの繰り入れは約二億近くも必要とされております。ちなみに、対象地域一万六千二百人の葉山町の一般会計予算総額は九十億円であります。そういった中で一般会計からその設備その他に対して一般会計の繰入金百四十億円、しかも町債が百三十億円、そういう形での負担が町財政の規模から見ても莫大な公共下水道の投資であります。
 この事例から見ても、公共下水道の建設及び維持のための費用の大きさと、特に一般会計からの繰入金が大きいことです。全国的に見ても、人口一万から三万人の町村では、公共下水道と合併浄化槽とのコスト比較を初めランニングコストの一般会計からの繰り入れを考えたとき、今、合併浄化槽──いわゆる合併浄化槽の中には浄化槽市町村整備事業というのもありますが──への転換が図られております。
 県下において、町単位の公共下水道が進められているところ、計画されているところを見ると、町村財政への負担は莫大なものであることが実証されます。知事は、公共事業を初め国の画一的な考え方から地方の事情に見合った公共事業や規格にすべきことを国に対して訴えられております。まさにこの公共下水道は大型公共事業であり、地方の事情に見合った汚水処理の考え方に私は転換すべきであると考えます。とりわけ、和歌山県は汚水処理率ワースト第二位であります。今見直すことによって地方自治体の財政負担は大きく軽減されると考えますが、この点についての知事のお考えをお聞きしたいと思います。基本的な考え方をお聞きしたい。
 次に、従来の公共下水道重点から合併浄化槽への転換に対し、具体的に十四年度の汚水適正処理構想を、コスト比較、地域の実情、地方自治体の負担の状況から見て再度、市町村と一緒になって検討してはいかがでしょうか。県土整備部長にお尋ねします。
 最後になりますが、IT総合センターの地盤沈下とその対策の問題点についてであります。大沢議員からあと四人か五人おるぞと言われたので、ちょっと発言をさせていただきます。
 私は、県の答弁を聞きまして、くい基礎をしないで連続布基礎構造の選定は地質調査結果から見て適切な設計であったと判断したと、スレーキング現象による地盤沈下は予測できなかったと、再度のボーリングの結果判明したということであります。このことについて、技術的なことは私はわかりません。しかし、関係する、私のおつき合いさせてもらっている市町村の関係者の技術員、それから一般建設業界の技術員、そういう人の考えや意見を聞かしてもらう中で、私は県の出した見解に対して少し納得がいかない部分があるから発言させていただくわけであります。
 というのは、私は図面をつくらせてもらったんですが(図表を示す)、実際に田辺市土地開発公社が提示したここに、いわゆる盛り土と切り土の間で黄色と赤に分別しているんですが、黄色が切り土で赤が盛り土なんですけど、これをきちっと示して県に対して埋めたところは三十メートル埋めてますよ、それからそういうことの状況にありますよ、もう一つは、平成十三年の八月に初のボーリング調査したときにも、そのボーリング会社や、そして開発公社に示したそのボーリング調査結果を見せていただきましたが、これに対して地盤沈下があるという前提で少なくともくい打ちを、この上に建物を立つ場合は基礎をくい打ちしなければならないということまで指摘しているわけであります。
 そういう状況を見たときに、それを見て当時、教育センターを建てるということで、教育センターでこれの設計委託を受けた総和技術研究所は、そのことの指摘に基づいてレイアウトをしております。その部分はほとんど切り土で、この渡り廊下のところは盛り土にちょっとかかっていますけど、主たる建物の二つはきちっと切り土にレイアウトされている。これで、いわば三十メートルの盛り土にすると費用がかさむということもあって、実際に設計は切り土にやって、盛り土のところは駐車場と運動場という形でぴしっと示してこういう形で対応しているわけであります。
 そういう状況が既に──これがよそでやったんならですけど、実際に県庁の中で、総合教育センターを建てるとき内部でやってきたことが、ITセンターになって設計会社が変わったら今度は盛り土のところへずっと来ている設計レイアウトになっている。こういう部分が少なくとも、私は技術屋ではありませんが、技術屋の人の意見も聞き、いろいろして、少なくともそういうことが素人の目にでも当たり前のことと違うんか。当たり前のことがわかっていながら、なぜそういうレイアウト──いわば金を少なくしようと思ったら、切り土のところに建物を建てるという設計の仕方をなぜしなかったのか。よしんば盛り土にするんだったら、少なくとも指摘しているように、三十メートルも埋めていますよ、必ず自然に水が入り地盤沈下するのは当たり前のことです。私たちが土地を買う場合でも、必ずそのことを事前に切り土か盛り土か調べて、それが何によって何年間転圧して締めたかということは事前に素人でも、家を建てる場合、土地を選択する場合、考えます。
 そういうことがわかり切って、しかも県の技術で専門的な人たちがそういうことをわかって、私は当たり前だと思うんですが、それが今になって、わからなかったと二百八十カ所の調査をして結果はそういうことがあったと、そのことは当初わからなかったと言っているのについては納得がいかないわけであります。
 私は、結論的に言えば、少なくともそこまで意地こじ張って言わんと、やっぱりこれは、する場合に見通しが甘かったとか、きちっとすべきではないでしょうか。そうすることによって県民にも信頼されるし、関係する皆さんにも信頼を受ける。いずれにしても四億幾らかけてやらんなんのですよ、結果は。やらんなんのです。やらんなんのやけども、そういう、自分たちが何もわからなかった、知らなかった、そういう問題はなかったということでいつまでもやることがお互いの不信感につながってくる。この際、やっぱりきちっと──こういう経過がなければいいですよ。教育センターのときには問題あるって知っているんですから、それがITセンターになって知らなかったで済むんだったら苦労しませんよ。だから、そのことを県土整備部長、きちっと判断をして県民に、やっぱり少なくとも四億円を超える補正予算を組んでやるんだったらそれだけのことをきちっとしない限り県民も納得しませんし、私も今の段階では納得しません。
 以上で、第一回の質問を終わります。
○副議長(吉井和視君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) バイオマス立県わかやま構想と推進方針の産・学・官・住の共同取り組みについてでございますが、本県農林水産業の持続的な発展と農山漁村の活性化を図るためには、農山漁村に存在するバイオマス資源の把握とその総合的な利活用を通じた関連産業の育成等が重要であると認識しております。
 県といたしましては、本年度、木質バイオマスのエネルギー利用を目的とした資源量や収集コスト等を調査するとともに、バイオマス発電や堆肥利用等、幅広い利用促進に向け全庁的に取り組みを進めているところでございます。
 なお、国においても昨年十二月、バイオマス・ニッポン総合戦略が閣議決定され、地球温暖化防止、循環型社会の形成、豊富なバイオマスを活用した戦略的産業の育成と農林漁業の活性化といった中長期的な方向が示されたところでございます。これらをもとに民間企業や大学等のノウハウの活用を図るバイオマス利活用推進協議会を設置し、本県のバイオマスの総合的な利活用方針の策定を進めてまいりたいと考えております。
 次に、緑の雇用事業につきましては、環境保全で雇用創出し、これを過疎化が進む地域の活性化につなげていく施策として展開をしております。環境、雇用、そして都市部との交流、都市から地方への人口流動を図ることによる地域の活性化、こうした緑の雇用事業を全国展開することにより都市と地方の均衡ある発展が期待できるものと、国に対し政策提言を行ってきたところでございます。
 その結果、緊急雇用対策に続く施策として緑の雇用担い手育成対策が打ち出されたところでございます。これらを活用した緑の雇用事業で県内雇用も行っているところであり、今後とも広く情報提供を図ってまいりたいと考えております。
 次に、緑の雇用事業の推進や木の文化を構築するための人材養成についてでございますが、現在、緑の雇用事業における新規就労者に対しては、関係機関がそれぞれ連携し、就業前研修を実施しております。さらに高度な技術研修を求められる方に対してはグリーンワーカー研修などを実施しているところであり、こうした技術研修をより総合的、効果的に実施するため、本年度からはわかやま林業労働力確保支援センターを充実したところでございます。
 森林・林業を活性化させ、我が国が古くからはぐくんできた木の文化を基礎とした和歌山づくりを後世に伝えていくためには、人材の継続的な確保・育成は重要なことと考えております。このようなことから、提案の森林・林業・木材産業それぞれの人材を養成する場を創造していくことは、緑の雇用事業を推進する上からも大変参考となるご意見であり、今後、人材養成に向けた和歌山県独自の取り組みについて十分研究してまいりたいと考えております。
 それから、従来型の公共下水道中心の考え方からの転換についてでございますが、昨年度、和歌山県内では各市町村がそれぞれの地域特性や費用対効果などを考慮しながら、公共下水道だけにとらわれず、より早く、より経済的でより効率的な手法により汚水処理施設の整備が進められるよう、その構想の見直しを実施したところでございます。
 今後とも、環境保全、財政負担、個人負担等の面を考慮しつつ、地域の実情に合った最適な整備手法により取り組むべきであるというふうに考えております。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 農業・林業振興についての中の紀州梅の産地を守り発展させるために、まずお答えいたします。
 産地の梅の樹木の実態と収穫量の現状とその展望とその対策についてでございますが、県下の梅園の実態につきましては、継続実施してございます生育不良の実態調査に加えまして、五年に一回実施してございます果樹生産流通等基本調査などにおきまして、老木園が増加傾向にあり、産地として若返り対策が必要であると承知してございます。
 議員お話しの件につきましては、産地JAや市町村などと連携を図りながら引き続き実態の把握に努めてまいりたいと考えてございます。
 また、平成十三年三月に策定しました県果樹農業振興計画では、産地ブランドの維持発展のために平成二十二年度を目標として栽培面積では約一五%増の五千百二十ヘクタールに、生産量では約二四%増の七万五千トンに拡大する計画としてございますので、今後より一層、計画的な改植と適地への産地拡大に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、梅の立ち枯れ原因究明分析についてでございますが、これまでの研究では生育不良の原因究明には至ってございませんが、着果負担が樹体に及ぼす影響や有機物マルチ・緑肥作物による土壌改良の効果などの研究成果も得られ、梅安定生産のための栽培管理マニュアルとして取りまとめ、地元生産者にもご活用いただけているところでございます。また、国の指定試験では梅樹の水分・生理・生態特性と生育不良に関する研究を実施しており、これまでに一定の知見を得てございますので、まとまり次第、報告会を開催する計画でございます。
 今後の研究課題といたしましては、平成十六年度開所予定のうめ研究所において、梅産業の持続的な発展を図る観点から、生育不良の早期解明はもちろんのこと、梅の木の生理・生態特性解明や適正な土壌管理技術の開発、優良台木の選抜・大量増殖技術開発などに取り組むこととしてございます。さらに、今後は環境制御温室を利用した温度、光等の環境要因が梅の木に及ぼす影響等の研究と既存の機器を活用したうめ研究所でのオゾン濃度の測定に取り組み、定点観測データの利用など環境生活部とも連携を図りながら、大気環境面を含めた総合的な研究を行うこととしてございます。
 なお、来年四月の開所に向け、これらの課題に対応できる体制を整えてまいりたいと考えてございます。
 続きまして、新規就農ワンストップ支援事業についてでございますが、近年、他産業に従事している人や田舎暮らしを求める人など、新たに就農を希望する人が多様化してございます。こうした中、本県では農家の後継者はもちろんのこと、そのような人を対象として一元的に就農相談に応じられる新規就農ワンストップ支援センターを御坊市に設置することとしてございます。支援センターでの主な役割として、就農相談、経営や遊休農地等に関する情報の提供、資金のあっせん、農場における技術研修の実施などを予定してございます。
 一方、就農意欲の高い研修希望者が農業・農村を体験する実践的な農家研修を実施するためには、受け入れる農家の協力が不可欠であると考えてございます。このため、受け入れ農家の登録制による組織化や新たな支援策を通じ、地域が連携・協力して新規就農者をサポートする体制を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 和歌山県の汚水処理計画についてでございますが、汚水処理構想の再検討をすべきではないかということでございますが、昨年度、地域の事情に合った汚水処理構想の見直しを行ったところでございます。この構想に基づいて、汚水処理施設の早期整備に取り組んでまいりたいと存じます。
 なお、今後新たな状況の変化などにより関係市町村において計画の見直しがあれば相談に応じてまいりたいと考えております。
 次に、ITセンターの関係でございます。
 盛り土部分に建物を建てる場合にはくい基礎を考えるのは当たり前ではないかということでございました。一般的に、基礎構造の選定に当たりましては、まずは建築構造を踏まえた上で、例えば総合教育センターの場合には三階建て・四階建てということでございましたが、今回のITセンターの場合には平家あるいは二階建てということでございます。そういうものを踏まえた上で、地盤特性を把握するための地質調査を実施し、その結果によって建物形態による加重から、いわゆるくい基礎とするか連続布基礎構造とするかなど、幾つかの基礎構造の中から構造の安全性や経済性を考えて選定するものでございます。
 ITセンターの設計に当たっては、平家・一部二階建ての構造を前提としておりますが、その設計に先立って行った平成十三年八月の地質調査では、特にここが高盛り土であるということから細心の注意を払いまして、通常より多い十カ所のボーリング調査を行い、地盤の支持力を調べるために平板載荷試験等も実施いたしました。この地質調査結果といたしましては、スレーキング現象による沈下は予測しなかったものの、建物を建築した直後に一般的に生じる沈下は予測しておりまして、建物の基礎構造について、くい基礎構造にするのか連続布基礎構造にするのかの二案が提案されておりました。建物の設計においては、これらの地質調査結果をもとに地盤条件やその建物形態による加重から検討した結果、基礎の剛性を高め不同沈下に対応した連続布基礎構造を選定しており、このような地質調査結果を踏まえればその設計は適切であったと判断しております。
 しかしながら、今回、盛り土材料のスレーキングが原因であったことが判明いたしましたので、これに対応すべく設計変更を行うこととし、今回追加工事費の増額をお願い申し上げているところでございます。何とぞ、ご理解を賜るようお願い申し上げます。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十七番原 日出夫君。
○原 日出夫君 ご答弁ありがとうございます。
 紀州梅の産地を守るためのいわゆる改植計画に対する答弁の中で、面積にして五千百二十ヘクタール、一五%増、生産量では二四%増の七万五千トンと言われました。現在は県下では四万七千トンですから、かなりの生産量をしていかなきゃいかん。そのための園地を確保していかなきゃいかんという意味で、具体的にこういう数字を挙げた場合に、じゃ、どこにどれだけのものをしていくかとか、いろんな部分で計画を示していただきたいというふうに思いますので、要望しておきます。
 それから、ばいじんの問題については要望しました。私たちは今、独自にこの問題に対して研究をしております。だから、大気と植物というのは今、全国的にもそういう具体的な知見は、幾つかレポートは書かれておりますが、梅と大気環境との関係の知見がまだ示されておりません。そういう意味では、幾つかの疑問とされている問題、対象とされている研究課題については避けることなくやっぱりやっていただきたいと、このことを要望しておきます。
 それから、私は緑の雇用事業と県内の土木建設業について、緑の雇用事業が緊急雇用対策としてやられていることについては十分理解した上での発言であります。一側面は緑の雇用事業が緊急雇用対策として二年間、それをさらに継続させるために知事は一生懸命頑張っていただいておりますが、それをやっていく。しかし一方、今まで農家、農村地域というのは、半農半林で半分土木事業というのが生活設計だったわけですね。そういう意味では、緑の雇用事業はまさに緑の投資の公共事業として、土木建設業者が今、その地域地域、農村地域にある業者が仕事がなかなか確保できないために外で働く、その労働力をやっぱりこの緑の雇用事業に、緊急雇用対策の一面と、もう一つは地元のそういう土木建設業者に携わっている人たちの雇用の場の、その二つの側面を今後検討していただけたらありがたいと、こういう要望であります。
 もう一つ、新規就農ワンストップのことですが、実際にこの間、九月十八日の農業新聞にも書かれておりましたが、やっぱり新規就農よりも離職者数がずっと多いということで、農業経営を断念した主な理由ということで、データが出されております。なかなか新規農業というのはそんなに甘いものじゃないですよということとか、生活する、いわゆる収益性が非常に低いことから長続きしないでやめていったというデータが出されているわけであります。
 そういう意味では、安易なと言うたらおかしいけども、家庭菜園的な物の考え方じゃなくて、新規に就農する人たちには本来、直接農家にホームステイ的に入ってもらって、その苦労をともに体験しながら技術を体験したり、農業の厳しさを体験する場を提供していく方が私はいいと思います。この間、北海道の中では特にそれのための地域の指導農業士に対して就農トレーナー制を設けて、新規就農する人たちに対するトレーナーとして位置づけて新規就農者に対する指導をしていくという体制もとられております。そういった点も考えていただけたらありがたいと思います。
 最後になりますが、今、県土整備部長からありましたが、僕は専門的なことはわかりませんが、素直なことを言ったんです。純粋に素直に考えたら、部長が自分の家を建てるのに、三十メートルも埋めたとこへ、一階であろうと二階であろうと、二年か三年ぐらいしかたっていないところに家を建てますかという話や。素直な話やで。そういうことは、一階や二階という意味ではなくて、しかも盛り土を三十メートルして、自然転圧かけたらやっぱり大分時間がかかる。そういうところに設置する場合、本来、技術屋であろうとなかろうと、素人の目から考えてもそういうことが事前に考えられることであるし、しかも教育センターを建てるときのボーリング調査した結果の中には、くい打ちをしないと大変です、くい打ちが必要ですよということもきちっと書かれているわけでありますから、その点を考慮しないで、なおかつ今また結果弁明的なことを言うことについては、なかなか私は納得できないわけです。
 まあ、これ以上言いません。後で言われる人もありますし、建設委員会でも論議されると思いますが、私は今のところ疑問として持ったまま私の質問を終わりたいと思います。
 終わります。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 私は、さきの六月議会では、和歌山の水と緑の環境保全を進めるために、産業廃棄物や残土処理のルールの確立を求める観点から水環境保全条例の検討を提案をいたしました。この九月議会では、この水と緑の環境保全という課題に、災害を防ぐ災害対策という切り口で質問をさせていただきたいと思います。
 ご承知のように、ことしはあの七・一八水害からちょうど五十年です。また、さきの台風十号の風雨によって多くの被害が県内でも出ました。広川町でも降り始めからの雨量が四百六十二ミリを記録をいたしましたし、湯浅町の山田山では谷を埋め立てた町道の堰堤の内側に二十万トン近い雨水がたまってこの巨大な堰堤が崩壊を始め、あと一歩で全面崩壊かというところでしたが、危険に気がついた町当局が二日がかりで徹夜でポンプでこの水をくみ上げて全面崩壊を免れたというところです。この場所については県の残土処分場でもあり、復旧と安全対策に今後ともお力添えを願うものです。
 一方、有田川では、この十号台風により金屋橋で水位が五・八メートルに達しました。警戒水位の四・一メートルをはるかに超えて危険水位の五・九メートルに迫る水位だったんですね。深夜、県による有田川洪水警報が発令され、金屋町、吉備町、有田市などの流域の自治体では即刻、深夜ではありましたが、地域の消防団にも出動・待機命令が出されました。有田川の支流である鳥尾川も堤防が危険な状態だということで、野田地区など、住民が避難もいたしました。今回の有田川の水位はあの二年前の梅雨前線による大雨の増水よりも水位が高くなって、有田川流域の住民は大変な恐怖を感じました。有田川北岸の国道四百八十号吉備町地内では道路の高さいっぱいまで水位が上がり、流域の河川公園がまたもや流出をいたしました。
 七・一八水害五十年の節目に当たって、水害を未然に防ぐための災害対策について質問をさせていただきます。
 私は、今回の台風の後、改めて有田川の災害対策について、住民や町行政の皆さんにご要望を伺いに回りました。その中で吉備町の住民と行政関係者からそろって出される声は、「有田川に土砂がたまって川の底がうんと上がってきている。あれを何とかならんのか」「鳥尾川や天満川の河川改修を進めても、有田川の川底を下げてもらわないと水が流れないので本当に何ともならない」などなど、一致して有田川の土砂のしゅんせつをしてほしいという声が出されました。この問題については、午前中に有田市選出の浅井議員から厳しい指摘があったところですが、その上流である有田郡内の住民や市町村関係者・議会の中でもそろってこの土砂のしゅんせつの問題が出されています。有田川改修促進委員会の席上でも、ことしも多くの委員さんから土砂しゅんせつの要望が出されています。
 洪水対策として有田川の堆積土砂のしゅんせつをぜひ具体的にスタートをしていただきたいと思いますが、県土整備部長の答弁をお願いをいたします。
 次に、洪水時の二川ダムの問題点についてお尋ねをいたします。
 有田川の洪水に対する意見を聞きますと、今申し上げた砂利を取ってほしいというこの声に続いて出されるのが、ダムができてから土砂がたまるようになったという声、そして、ダムからの放流がとても危険だという、ダムにかかわる声なんですね。金屋町で有田川の警戒に当たった消防隊員の方は「大雨で川の水が目いっぱい上がってきて、本当に怖かった。それに加えてダムの放水が続いたので、この先どうなるのかと思った」とおっしゃっています。ダム下流の住民にとって、ダムによって守られているという実感は感じられない状況です。「大雨のとき、川の水がふえているのにダムが辛抱できやんようになってがばっとゲートをあけるんで悪いわな」と、恐怖感の方が大きいわけですね。
 今回の台風も、ダム下流の金屋町で連続雨量が四百ミリ近くも降りました。不幸中の幸いに、清水町では二百九十九ミリ、高野町で百五十八ミリと、普通なら山間部の方が降雨量が多いんですが、今回はダムより下流の方が多かった。これがもし上流で下流部以上の豪雨が降っていたらと思うと、本当にぞっとします。五十年前の七・一八水害では五百ミリを超える雨量が山間部であり、平野部でも三百ミリを超えました。ところが、この大水害に匹敵する雨量が現実からかけ離れたものでは決してないという思いを今回の台風で強くしたものです。
 台風当日、これだけの異常水位になったことを受けて下流では、一体ダムはどれだけ放流したんだと、二年前につかったときとどっちが多かったんだ、こういう声が実際にありました。私はすぐにダム管理事務所にお聞きをいたしましたが、今回の台風では最大毎秒六百八十トンの放流でした。二年前の梅雨前線による洪水のときは八百八十トンの放流でした。つまり、ダムの放流量はことしの方が少なかったわけですが、有田川の水位は結果としてことしの方が高くなってしまったわけですね。今回は、二年前と比べて上流部の雨が比較的少なかったのと、台風に備えて予備放流をしてダムの水位を落としてダム操作を頑張ってくれた結果だったと思います。
 ところが、私、このダムの資料を調べて感じたんですけども、ダムに対して上流から流れてくる水量とダムから放流している水量の差を見ますと、今回の台風では最大毎秒七百七十トンが入ってきて六百八十トン放流しているんです。二年前は、一千トンが入ってきて八百八十トンを放流しているんです。確かに、流入量以上には流していませんし、ダムの力で流れを少なくしたと言えなくありませんが、しかし、余りにもカットの量が少なくはないでしょうか。両方ともわずか一割のカット量にしかすぎません。
 私、ほかのダムも調べてみました。今回の台風で、先ほどもお話ありました日高川の椿山ダムでは毎秒二千トン入ってきて千四百トンの放流、広川ダムでは八十二トン入ってきて三十八トンの放流だったんです。これらのダムと比べてなぜ二川ダムが違うのかを検討していく必要があるというふうに思います。
 二川ダムには上流から大量の土砂が流れ込み、ダム湖が埋まってきています。ダム湖に蔵王橋という赤いつり橋があるんですが、もうそのすぐ先まで土砂がたまって、渇水期には底が見えています。二川ダムが建設をされて三十五年です。最終的にダムの寿命である百年間でたまると予想をされている堆積量の既に六割がこの三十五年間でたまっているというデータです。このダム湖が土砂で埋まってきたことなどにより二川ダムの洪水調節能力が低下してきているのではないでしょうか。県土整備部長の答弁を求めます。
 次に、このダムのことを調査していく中で私が一番注目すべきだと思ったのは、長くダムとかかわってこられた地元の年配の方のお話でした。「松坂さん、昔はね、雨が降り始めてからダムの水位がだんだん上がり始めるまでほぼ一日かかったんや。一日たってからだんだんダムの水位が上がってきた。ところが、今は本降りになってから二時間ほどでダムの水位が上がり出すんやで」、こうおっしゃったんですね。このお話は、ダム上流部の保水力が急激になくなってきている具体的な証拠ではないでしょうか。地球温暖化等による異常気象や異常降雨などが報告される中、有田川流域のこの保水力の変化、森林の荒廃、田んぼの減少、平地の舗装化、これに加えてダムへの土砂堆積の進行など、建設後三十五年間でこれだけ環境や条件が変化をしたのに、ダムの操作は昔と変わっていないんですね。
 県土整備部長にお尋ねをします。雨の多い時期や台風前の水位をもっと低く設定するとか、ゲート操作のタイミングや放流計画の立て方など、ダム操作規程の見直しが必要ではないでしょうか、答弁をお願いいたします。
 これまで述べてきました有田川の増水状況やダムの状況の上に立って、ダム上流の保水力、森林整備について次にお尋ねをいたします。
 今、林業不振により間伐ができずに放置をされ、昼間でも懐中電灯を持たなければ入っていけないような真っ暗の森林がふえてきています。そういう森林では雑木や下草も生えず、石ころだらけの表土がむき出しになっています。こういう荒廃した森林の状態を指して、一見して山は緑に覆われているように見えるが、緑の砂漠になっているとの指摘がありますが、本当にそうだと思います。「森は海の恋人」という言葉があるように、先日も白浜町が水源の森として富田川源流の森林を購入し整備する計画を明らかにしたように、県民の中でも、また地球規模でも関心が高まっています。
 ところが、この森林整備による保水力や水質向上の効果というのは、もう経験的にははっきりしているんですけども、数値的にデータで示せとなると難しかったわけです。これは森林の二酸化炭素の吸収量や炭素固定量を数値にするというのも苦労しているのと同じだと思うんですが、しかし、今日、森林の持つ多機能な能力とかけがえのない役割を科学的に明らかにしながら、山間部に住む人たちも都市に住む人たちも一緒になって森を大事にしていこうという時代になりました。
 この森林の保水力の問題を勉強しようと、私は実はこの夏に長野県と徳島県に調査に出向きました。長野県では、脱ダム政策の裏づけということで、コンクリートのダムにかわって川を治める治水、飲料水などを確保する利水対策として、流域の保水力向上に取り組んでいます。森林整備による保水力をこれだけふやそうとか、水田のあぜを十センチ上げたらどれだけの効果があるとか、利用が減って荒れているため池を復活させたら全部でこれだけの効果があるとか、積極的かつ具体的に保水力の向上に取り組んでいます。
 私、県庁でお話を伺った後、現場に出向きました。信濃川水系の薄川の大仏ダムの計画中止に伴い、長野県はダムにかわる薄川流域の総合的な治水対策を進めて「森と水プロジェクト」、こういう事業を三年前から立ち上げています。幾つかの谷に雨量計と谷水の流量計を設置し、森林がどれだけの保水力を持っているのかを調べています。ここにあります第一次報告では、雨量にして約百ミリの保水力を森林があるというふうに研究・検証を進めていました。そして、この保水力を高めるために人工林を間伐し、針葉樹の間に広葉樹が生えているような針広混交林をふやし、そして保水力の変化を数値データとして得ようとしています。そして、この試験研究と並行して、このプロジェクトの実験林に多くの県民を招き、そして参加を募り、森林をよみがえらせる試みを県民と一緒に進めていました。林野の分野から河川そして土木と、県の部局を横断する施策を大胆に進めていたのにはびっくりをしました。
 また、徳島県の吉野川では、吉野川河口堰の建設の是非が県民的大議論になったところですが、森の保水力を洪水対策に生かそうと、住民と行政が一緒になって研究をしていました。森林から出てくる雨水は、表面を流れていく水、表土に吸い込まれて後から出てくる水、岩盤まで行ってからゆっくりと出てくる水に、大きく分けて三つに分かれると思うんですが、水の出てき方をグラフにしますと、表面を流れる水は急激に立ち上がって急激になくなっていきます。ところが、土にしみ込んで出てくる水は、ゆっくり出てきて低い山を描きます。岩盤まで行く水はもっともっとゆっくりカーブを描きます。この保水力の部分をふやして水が出てくる時間を後におくらせる、そして最大値も下げようというのがこの研究なんですね。徳島では、森林の間伐、針葉樹、広葉樹の針広混交林化を進めることにより吉野川の洪水ピーク流量を下げようとしていました。現地の皆さんは、縦割り機構で動きのとれない行政にかわり、住民が自前の資金活動をしながら専門家と共同して新たな公共事業を提言する活動なんだと、胸を張っておられました。
 私は、この二つの視察を通して、専門家や研究者と行政、住民が一緒になって研究と森林整備を同時進行で進める必要性を痛感してきました。そしてまた、どちらの県の行政関係者からも「和歌山県は緑の雇用事業など森林整備に頑張っていますね」と褒めていただいたこともあわせてご報告をしておきます。
 さて、話題を和歌山に戻しまして、県内の森林整備は住民にどう映っているでしょうか。清水町のある区長さんはおっしゃいました。「緑の雇用事業で間伐が進んで、本当にありがたいと思っている。間伐したくてもようせん山をこのままほうっておけないという気持ちでいっぱいだ。しかし、この谷の上に三億円かけて砂防ダムをつくっていただいたが、それだけのことを今せんなんかどうか、わしにはわからん。国からのお金の出どころが違うんやろうけど、そのお金で間伐やってもろたら、もっとようけ手が入れられるのになと思う」、これは山を見詰めて暮らしている住民の、私は実感だと思いました。
 これまでは、材木も、そして間伐材も、余すところなく高値で売れたので間伐はしっかりと進んできました。ところが、現在では、間伐材はおろか四十年を超す木材でも山から出す経費にもならないという状況です。これを解決し、森林をよみがえらせるには、林業が業としてきちんと成り立つような国産材を大事にする国の林業政策の根本的な転換が必要だと考えます。そして、森林に関する予算の使われ方を見ると、いわゆる公共事業部分が大部分であり、森林整備の部分はわずかです。公共事業との関係で言えば、私は林道整備や治山工事、砂防工事を軽視するわけではありません。大変大事な役割を果たしてきました。しかし、土木的工法と林業家による間伐が合わさって進んできたこれまでの時代と違って、これだけ森林の荒廃が進んでいる中では、土木的工法で森林に手を入れる予算と、間伐など森林整備に手を入れる予算の配分は思い切って見直して転換を図っていく時期に来ているのではないでしょうか。
 私は、CO2の吸収や温暖化防止、豊かな水資源の供給など、森林の持つ多機能な価値の中でも、今回とりわけその保水力による災害の防止、川を治める治水といった機能に注目し、間伐材の有効利用も進めながら思い切った森林整備事業を進めるべきだと考えています。林業を業として成り立たせるには、間伐材をどう活用できるかが一つのかぎになると思うんです。間伐することが割に合わないから、お金にならないから、事業としての間伐が成り立たないわけです。税金や補助金で間伐をするのは、今はおのずから限界があります。間伐材がいろいろな用途に使われ売れるようになるとか、木質バイオマスの原料としてクリーンなエネルギー資源として安定的に出荷できるようになるとか、間伐材がお金になる仕組みを応援する必要があります。そうすれば、山に活気と雇用が生まれます。
 この点では、知事も提案されているように、木材を公共や県の事業に使っていく工夫をどんどん進めるべきだと思います。例えば、今は森林組合などに間伐をお願いしても、間伐材を切ってそのまま山の中に放置してある状況が多いですね。これらの材木は、水害のときに、例えば災いになります。しかし、間伐をする現場の立場からすれば、縦にほうっておくより横にそろえて置いた方がいいと言われるのはわかるけども、面積当たり幾らで請け負っておる仕事だし、次を急がなければならないし、実際そこまで手が回らないというのが実態だと思うんですね。
 ところが、これを新たな事業として位置づければ、違ってくると思うんです。例えば、間伐の現場、その間伐材を現地で調達できる安価な建築資材として活用し、横に並べてくいでとめていくというような、保水力を高め、土砂の流出を防ぐ有効な工法が研究開発されていけば、間伐とは別にこれが一つの効果ある土木的な手法として山を守ることになる、公共事業としての雇用も生まれる、そしてまた山主にとっては──これ大事だと思うんですが──工事の資材として間伐材を幾らかでも買い取ってもらえれば間伐の自己負担金にも回せると、随分メリットが出てくるんじゃないでしょうか。奥の山から間伐材を出してきて、加工して、また現場まで持って上がるというのはコストがかかり過ぎますが、こういう工夫でうまく回転する方法もあるはずです。ぜひそういった工夫や努力を森林整備の中でも、土木工法の中でも大いに進めていくべきだと考えています。
 これまで述べました森林整備の必要性について、知事にお尋ねをいたします。緑のダムとしての森林の保水力回復という位置づけを高め、森林の間伐や針葉樹と広葉樹の混交林化を進めること、広葉樹林を拡大することなど、総合的な見地から一層の事業展開を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか、答弁をお願いいたします。
 あわせて、先ほども触れました保水力にかかわる研究と実践についてですが、和歌山県内でも清水町に京都大学の研究林があります。八百四十ヘクタールの広大で貴重な実験林を持っています。近年では県立有田中央高校清水分校との交流も深め、生徒が授業で研究林に通い、ユニークな実践に一役買っていただいています。
 この研究林が、試験研究のために一切手を加えていない自然林、そして間伐をして手を入れた実験林、そしてわざと間伐せずに放置した実験林、こういうのがあるんです。これらを生かしてそれぞれに谷からの水量をはかるなどして、その違いや間伐による変化を調査しようという研究をスタートをしています。県や林業試験場にも協力の要請が届いているようです。
 私は、この和歌山県が水と緑の環境保全に熱心な県として、森林と地球環境の未来を照らす研究、情報発信と森林整備を相乗効果を持って進めていくことが大事だと思います。この京都大学研究林が実験林を活用して取り組み始めた森林保水力の調査研究に県としても大いに連携・協力をしていくべきだと思いますが、農林水産部長の答弁をお願いします。
 続いて、二つ目の柱の農業問題に移ります。ここでは二点についてお伺いをします。
 まず第一に、イノシシやシカによる鳥獣被害についてです。
 今、実りの秋を迎え、農家は収穫の喜びの季節を迎えています。しかし、ここ数年のイノシシやシカなどによる鳥獣被害は、一層ひどくなってきています。今議会でも、昨日お二人の議員からこの問題が取り上げられましたが、この事態の深刻さを物語っていると思います。この問題では、さきに登壇された議員の質問と重複しないように質問させていただきます。
 有田地方においては、清水町や金屋町、広川町など、山間地を初めすべての町から被害の訴えが出されています。その中でも、最近では被害が拡大し、人家のすぐそばまで被害が及んできているのが特徴だと思うんです。シカも、最近は人家の近くまでおりてきます。金屋町糸川では、シカによってミカンの枝と葉っぱが食べられて、白く骨のようにむかれてしまいました。イノシシの被害では、清水町の各地で冬から春にかけて、田んぼやサンショウの畑の土をまるでトラクターのように掘り起こし、石垣をむちゃくちゃに破壊されました。ミミズを掘り起こして食べているそうです。以前は冬場の山にえさのない時期に被害が出ていたのですが、今は年じゅうです。そして、この実りの秋には収穫前の田になだれ込み、容赦なく稲を歯でしごくようにして食べ荒らします。
 先週の月曜日、イノシシに荒らされたという清水町の田んぼに案内していただきましたら、まるでテレビに出てくるミステリーサークルのように、イノシシが暴れ回った輪が田んぼの中にできていました。稲は無残に踏み倒され、土の中に練り込まれていました。農家の方は、「この踏まれた後の稲は手で刈り取って始末をしておかないと、土を巻き上げるのでコンバインで刈り取りができんのや。あと収穫まで十日というところなのに」、こんなふうに途方に暮れた様子で訴えられました。
 その人はおっしゃいます。「猟師の人がイノシシを追いかけても、山の向こうの禁漁区に逃げ込むんやて。そしてまたそこから出てきて、こっちへやってくる。何とかならんのか。人間には安全なわなを田んぼの周りへつけられるようにならんかの」、こんなお話なんですね。被害のあった田んぼの周り、私見せていただきましたが、イノシシよけのさくが苦労して張りめぐらされていました。ナイロンの網や鉄の網も食いちぎられていました。それで、トタンを追加したそうです。今度はそれを飛び越えるので、トタンの上に黄色いロープを三段に張りめぐらせていました。決して立派な囲いではありませんでしたが、本当に苦労がにじみ出ていたように思います。それでも、だめだったんです。幾ら防いでも切りがない。このままやったら、この在所で何もつくれんようになってしまう。こういう先が見えない状況なんですね。
 昨日の答弁でも、捕獲方法の拡大や防護さくの対策、追い払う方法などの答弁がありました。そこで、この保護区に関してですが、鳥獣保護区は貴重な生態系を守るために設定されていることは承知していますが、こういう実態に合わせて被害の著しいところは鳥獣保護区や休猟区などの制限を見直すなど、柔軟に対応して捕獲のできるようにならないのかどうか、環境生活部長から答弁をお願いいたします。
 最後に、中山間地でのハウス栽培農家への支援の問題についてお尋ねをいたします。
 金屋町では、近年、スプレー菊という小ぶりの花をたくさんつける、そんな菊の花の生産が盛んです。仏壇や季節の催し事など用途も幅広く、値段も安定していて、スプレー菊の生産は和歌山県が全国第四位と大きく成長しており、その県内でも金屋町が約半分のシェアを占めるというふうに、中山間地ながら大健闘をいたしております。農協のスプレー菊生産部会の皆さんは、若い後継者の皆さんを中心に元気に生産量と仲間をふやし、これまで国や県の補助を受けながらハウスを拡大してきました。
 以前のハウスの補助事業は一カ所にまとまった大規模な面積を持つ施設に対する補助という基準で、金屋町など中山間地ではそのサイズが合わないという問題があったんです。近年になって一カ所でなくて町内に分散して建設していてもよいというようになり、生産者からも喜ばれています。中山間地に合った比較的小さい規模でも取り組める補助事業が拡充されれば、もっと希望者が出てくるとおっしゃっています。中山間地での担い手を支え、元気な特産品づくりを応援する事業に一層の支援を求めたいと思いますが、今後の取り組みについて農林水産部長の答弁をお願いいたします。
 以上の点、お尋ねをいたしまして、第一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの緑のダム関係のご質問、私も非常に勉強になって、聞かしてもらいました。
 私自身はいわゆるセメントでつくったダムというのもまあ大きな役割を果たしているという考え方なんですが、ただ、百年間で埋まる予定だったものがもう三十五年で六割ぐらい埋まってしまってて、そしてそれの保水力が非常に減ってきていると、それを地元の人からの聞き取りによって実証的にお話しされた。非常に私は参考になりました。
 そしてまた、そのことからやはり山の保水力というふうなものを大いに回復していくような施策が大事だということについても、私はもう全面的にそのとおりだと思います。
 今進めております緑の雇用事業というのは、一つにはCO2の吸収というふうな側面に留意して行っているわけでございますけれども、これとあわせて、いわゆる緑のダム的な山の持つ保水力というふうなものの重要性ということにもあわせて目を向けていけばいいと思いますし、そしてまた、そのことの中でそこへ、ある意味では緑の公共事業的に、いわゆるセメントのいろんな工事とのバランスをとりながら緑の公共事業的なものとして緑のダムを考えていくという発想は非常に大事なものだというふうに思っています。
 県でも、この緑の雇用事業の中でどんどん広葉樹を植えていくというふうなことをやっているわけです。実は先般、私は三重県の速水林業というところへ行きまして、これは非常に立派な林業家の方ですけども、なかなか実は、針葉樹というのは割と植えて育てやすいんだけれども、広葉樹というのはなかなか植えたからつくというふうなものでもないというふうなことで非常に難しいという話を聞いてきましたけれども、しかしながら、そうではあってもそういうふうな努力をして森林の持つ保水力を高めていく、旧来のダムとあわせてそういう形で洪水が出ないようにするというふうなことは非常に大事。先般も古座川で同じような問題がありまして、これも非常に苦慮したんですけども、有田川でもこの間そういうふうな話があったということで、そういうこととあわせて真剣に対応していきたいと、このように思います。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 洪水対策としての有田川の河床堆砂土砂のしゅんせつにつきましては、先ほどのご質問にもお答え申し上げましたが、現在の有田川の河床は堆積と洗掘が入りまじった状態であり、今後の変動状況を見ながら対応を検討してまいりたいと存じます。
 次に、二川ダムの問題でございます。
 ダム湖への堆砂により二川ダムの洪水調整能力が低下しているのではないかということでございますが、ダムを計画する場合には、あらかじめ一定の堆砂量を見込んでおります。二川ダムにおけます現在の堆砂量はその容量以内であるため、洪水調整能力が現在低下しているという状況にはございません。
 また、ダムを取り巻く諸条件の変化に対応してダムの操作規程を見直すべきではないかというご質問ですが、二川ダムの操作規程の見直しにつきましては、より効果的な洪水調整を行う観点から今後検討を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) まず、京都大学が取り組み始めた森林保水力の調査研究に連携と協力をという項目についてお答えいたします。
 森林には、水源涵養を初め、多様で貴重な機能がございます。こうした機能を一層高めていくためにはどのような森林整備が必要であるのかという点に関しては、さまざまな自然条件等が複雑に関係し合うことや、植栽、間伐、枝打ちといった森林施業が及ぼす効果の検証に長期間を要することなどから、間伐、枝打ち等の森林整備や樹種、樹齢等の変化が水源涵養機能に与える影響の解明が今後の重要な課題となってございます。
 こうした試験研究については森林整備のあり方を検討する基礎となるものであり、国レベルでの研究に加え、地域での研究についても本県の森林の地域特性を探る上から意義があるものと考えてございます。このようなことから、今後は地域での森林の保水機能の検証方法などを初めとして、大学等の研究機関とも連携できる研究課題や方策を研究、検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、農業問題の中の中山間地での立地条件に適した中小規模のハウス栽培への支援策拡大についてでございますが、県では、中山間地域の定住条件の整備など、さまざまな施策に取り組んでいるところでございます。特に、市町村が地域の振興に必要と認める産品に関する施設整備等につきましては、県単独の補助制度を設け、支援しているところでございます。今後、市町村の事業計画に基づきまして協議してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 農業問題につきまして、一点目の鳥獣被害対策として鳥獣保護区等の制限の見直しについてでございますが、本州の最南端に位置する本県には、温暖な気候、地形等により豊富な種類の生物が存在し、中には希少鳥獣も多く含まれていることから、これらの保護・繁殖を図ることは重要であります。このため、現在、県内では百一カ所の鳥獣保護区、三カ所の休猟区を指定しております。
 鳥獣保護区の存続期間は十年間、休猟区は三年間となっており、休猟区は原則として期間満了後引き続き指定することはございませんが、鳥獣保護区につきましては、更新時に保護の必要性と農産物被害の状況等について地元市町村の意見を聞くとともに、県環境審議会での審議を経た上で区域の変更等の見直しを行っているところでございます。
 これらの区域では、狩猟による捕獲は禁止されてございますが、有害鳥獣捕獲で対応することは可能であり、農作物被害の大きい地区での取り組みを市町村と連携して促進してまいりたいと考えております。
 なお、イノシシ等、野生鳥獣による農作物被害や生活環境への影響について、ただいま議員から詳細にご報告をいただきました。また、昨日、二人の議員からもご指摘をいただいてございます。県といたしましては、総合的な対策を講じるため関係する部局横断型の検討会を立ち上げて対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番松坂英樹君。
○松坂英樹君 知事並びに関係部長から積極的なご答弁をいただいたというふうに思います。ぜひ県民の期待にこたえて、森林整備や中山間地の支援に一層思い切った努力を期待申し上げるものです。
 時間がないので、一点だけ再質問をさせてもらいます。
 有田川の土砂のしゅんせつの話ですが、部長の答弁をいただきましたが、率直に申し上げましてこの点は大変不満であります。現在の川底の状況を危険な状態とか、何とかしなければいけない課題として認識されるまでには至っておられないようです。やろうと思うがなかなかできないという回答でなくて、いい状態ではないと。たまっているところもあれば、削れているところもあるけどもと、そういう答弁だったように思います。たまっているところが危ないとか、こうしたいとか、そういう具体的な作業を進めていただきたいというふうに思うんですね。
 これは、私と答弁者の見解の相違ということではなくて、流域住民や自治体の認識と県行政の認識に開きがあるという問題だというふうに思うんですね。先ほどは、鳥尾川やそれから天満川など、支流にも危険が及んでいるんだと、それほど堆積があるというふうに私からは指摘をさせていただきました。地元では、もう土砂をどこかに持っていけなくても、掘って川の両脇に寄せるだけでもできないかと、こんな声まで出されるぐらい切実なんです。
 本当に、それほど心配する程度ではないとお考えなんでしょうか。河川管理者としての立場もあるでしょうし、しゅんせつによる川の濁りや生態系への影響なども慎重に対応しなければならないでしょう。それから、しゅんせつした土砂を持っていくところも要るでしょうし、何よりもその予算の問題もあるでしょう。しかし、これほど流域の自治体が切望している課題で具体的な動きがないというのは、私は問題だと思うんです。
 県土整備部長に再質問をします。この河床のしゅんせつについて、地元の市町村の意見や関係機関の意見、これを聞く機会をこれまで以上に持って協議を重ねながら現状と今後の方向を一緒に見出していく、その努力を重ねる用意がありますか、お答えをお願いします。
 あわせて、今度は要望ですが、一つだけ。
 昔はこの川の土を──有田の方では「キゴウ」って呼ぶんですが──栄養分が豊富なので、農家が田んぼや畑の客土として取りに行く習慣がありました。一方、災害防止のために村人総出で川の底をさらっていたという地方もあるそうです。こういった川と地域とのかかわりが今なくなってきているというふうに思うんですね。
 きちんとした管理のもとで、農家の皆さんにキゴウを取りに来てもいいぞと、こういう場を持てば結構それだけでも取りに来てくれるのになと、町の方も言っておられました。試験的にやってみるのもおもしろいと思うんです。ぜひこういったことも検討されるよう、これは要望しておきます。
 以上です。
○副議長(吉井和視君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) ただいまの有田川の河床堆積土砂のしゅんせつの問題でございますが、単純に掘削すればいいという問題ではないということは、まさに議員ご指摘のとおりでございます。
 これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、今後の変動状況を見ながら対応を検討してまいりたいと考えておりますが、あわせて関係の皆様のご意見を承り、よりよい方法があるのであれば、そういうことも含めて検討をしてまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、九月二十二日、定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後三時十六分散会

このページの先頭へ