平成15年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(雑賀光夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、質問させていただきます。
 まず、教育の問題から入りたいと思います。
 さきの議会が終わった後、長崎で幼児を中学一年生が殺害するという衝撃的な事件が起こりました。私はこの問題を解明するなどという能力はありませんが、ただ言えることは、今日の社会の病理現象と競争の教育の中で子供の人格の破壊が起こっていること。その問題は、子供を厳しくしつけるだとか、学力向上だとか、それ自体は大変大事なことではありますけれども、単純に強調するだけでは解決しないことであります。「親を引き回してさらし首に」などという暴言を吐いた政治家もいました。それはともかくとして、犠牲者の親御さんが「加害者の親からおわびの言葉もない」と言われました。私は、犠牲者の親御さんのお気持ちはよくわかります。同時に私は、加害者の親御さんが、死にたいような思いで暮らしていらっしゃることにも思いを寄せます。今度の事件で、幼い子供を持つ親御さんたちが、自分の子供がこんな被害に遭いはしないかと心配されたことでしょう。同時に、中学生を持つ親御さんが、自分の子供が加害者になりはしないか、こういうふうに心配した親御さんの方がかえって多かったのではないか、こういう思いもするわけでございます。こういうことが起こっている中でございます。
 それはさておき、その後、木村知事が記者会見をされまして、向陽高校に併設して県立中学校を設立して、中高一貫教育を行うことを発表されました。戦後、小中学校教育は、私学及び和歌山大学附属小中学校を除いて、一般の教育は地域の小中学校で行ってまいりました。ここに県立中学校を設置し、市町村立中学校と県立中学校という二つのコースを置くということは、今後それが広げられていく場合があることを考えれば大改革につながるものであり、十分に慎重でなくてはなりません。
 私は、さきの県議会で、まどろっこしくても教育改革は、保護者、教職員、教育行政が子供の姿をまぶたに浮かべて話し合うことからと県民合意の教育改革を訴えたことは、今度の長崎での事件の報道を聞きながら、ますますそのことの重要性を感じているわけでございます。
 さて質問ですが、第一に、小中学校に複線化を持ち込むことが本当に子供と教育のためにいいのだろうかという問題であります。確かに、中高一貫で高校入試のない学校では、さまざまな新しい試みが行われるでしょう。新しい中高一貫の学校には、多くの保護者が子供をやりたいと希望することは十分に予想されます。しかし、考えられているのは、あくまでも一部の生徒だけを受け入れる選択的中高一貫であります。多くの生徒にとっては、選択したくても選択できないという意味では限定的中高一貫というふうに言った方がいいかもしれません。今問われているのは、中高一貫の学校が望ましいのかどうかではなくて、公立の小中学校教育の中に高校受験をしなければならない一般の中学校と、高校受験の要らない中高一貫校という二つのコースをつくる複線化というものが望ましいのかどうかという問題であります。すべての小中学校、小中学生を視野に入れた判断であります。私は、そういう立場から考えるとき、受験競争の低年齢化、小中学校教育に与えるひずみの問題など、多くの問題を持っていると考えます。また知事は、記者発表で、二、三年のうちに和歌山県の学校教育は全国で五番目ぐらいになると言われています。どういう物差しで全国で五番目と言われているのでしょうか、まず知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 第二番目の問題は、中学校教育に複線化を持ち込む、この県立中学校の設置が、小中学校関係者、保護者、県民によってどこまで議論され合意されたのかという問題であります。
 昨年の六月ごろから、ある高校の特色づくりとして、併設型県立中学校を県教育委員会は推進しようとしていました。私はその当時、和歌山県教職員組合の委員長をしておりまして、それに強く反発しました。それは、県立中学校をつくるという問題は中学校の問題であります。子供を送るのは小学校であります。小中学校の問題を県民的な論議もなしに、一つの高校の生徒集めの特色づくりのために進めることは、これは困るんではないか、これが私の意見でありました。昨年はその計画は見送られまして、十一月から小中学校関係者を集めた検討会が三回にわたって開かれたようであります。こちらにその報告書がございます。私も、その報告書をじっくりと読んでみました。こういう現場の皆さんが集まって議論をした。現場で苦労している皆さんが論議したものであれば、その報告書には現場での苦労や意見がにじみ出るものであります。けれども、どう読んでみても、そういうにじみ出るものがない。委員の中に知り合いの方が何人かおられましたので電話をして、一体どんな議論をしたんですかと聞いてみました。ある方は、「和歌山でやるとしたら連携型しかないのと違うかというのが大体全体の意見だったんだと私は思っていますが」、こういうことを言われた委員の方がいらっしゃいましたけれども、そういう意見はこの報告書には反映されていない。とても県民的どころか、教育関係者でも議論したとは言いがたいものでございます。十分の検討もないままの中高一貫教育の拙速な導入については見合わすべきではないか、このことについて、本来責任を持っているはずの教育委員会、教育長にお尋ねしたいと思います。
 教育問題での二つ目の問題は、きのかわ養護学校の問題であります。
 この学校は、教室が足りないので理科室も図書室も教室に転用しております。本来二十六学級しか置けないように建設された校舎、そこに何と四十六学級が詰め込まれている。県教育委員会の担当者の方も、予想を超えて養護学校への入学者がふえたということを認めております。
 私は、県教育委員会は障害児教育──行政用語では特殊教育と言いますが──この教育に力を入れてきていただいたと思っています。二十年ほどの間に、県下各地に養護学校が設立されてきました。養護学校に受け入れている児童生徒数は、人口比で見て近隣の府県に比べても劣ってはいないと私は思っています。また、養護学校では高等部に希望者を全員受け入れている。これも誇るべき点であります。こういう点は十分認めるわけです。
 以前は、子供が障害を抱えて適正就学指導委員会が養護学校への入学を勧めても、親は地元の小学校へ行かせたいと希望する場合も多かったわけでございます。しかし、養護学校への信頼が高まり、養護学校への入学希望者がふえたこと、これは養護学校を初めとする教育委員会も含めた関係者の努力の結果であります。このことは十分評価をいたします。しかし、その結果として異常な詰め込みが行われている。これは、ほうっておけないと思うわけです。その解消のために、紀の川筋に新しい養護学校を建てることも必要になってきていると思います。この問題で、教育長のお考えをお聞きしたいと思うわけでございます。
 さらに、養護学校の高等部からさらに教育を延長する専攻科を置いてほしいという声が大変切実であります。そのことへの期待もあわせて申し上げておきたいと思うわけでございます。
 教育は以上にして、続いて産業問題に入ります。
 日本共産党県議団で工業技術センターを視察させていただきました。興味深いものがいろいろありましたけれども、その一つが光造形という機械でありました。コンピューターに読み込まれたデータに基づいて、複雑な形をしたものでも樹脂によってつくり上げることができる機械であります。それを使って開発された水道水による入れ歯洗浄器というものを見せていただきました。お借りしてきたものがここにあります。(現物を示す)上から水道水を入れるわけです。そうすると、中のものがくるくると回って入れ歯がきれいになるという、水道水による入れ歯洗浄器でございます。おもしろいなあと思って、その数日後、私は横浜で開かれた中小商工業研究交流集会というところに民商の皆さんと一緒に参加したんですが、そこでこの洗浄器の考案者の松谷さんという方にお会いしてお話を聞いたわけであります。
 松谷さんは宮大工の家を継ぐ建築業者でありまして、さまざまな物づくりに関心を持っておられる。昭和三十六年に、こいのぼりのさおを工夫したそうです。釣りざおのように伸ばしていくという方式で、こいのぼりのさおをつくった。特許の申請をし、弁理士──特許の申請の世話をする人を弁理士と言うんだということを初めて知りました──に相談をしかけたが、結局、審査を受けて特許を取るところまでいかなかったと言います。今はこいのぼりのさおもその方式になっている、残念だと言っておられました。今回の入れ歯洗浄器の出発点はご自分の体験でありまして、入れ歯にかみ込んだものがくっついて取れにくい。最初は携帯用のモーターを使って歯磨き粉を入れて洗うという方式を試作したんだけれども、洗い直しが要るし不便だ。平成七年から十二年の五年間ぐらいかけて、水道水を使う方式で試作品──ここに持ってまいりましたけれども、こういう試作品がいっぱいあるわけです。試作品は五百ぐらいつくっただろうか、こんなふうに言っておられました。平成十三年から工業技術センターに相談に行った、そこに光造形という機械があって、そして若い技術指導者がおられた、おかげで商品にできるところまでこぎつけたんです、こういうふうに言われました。
 そこで、私はもう一回工業技術センターにお邪魔をして、センター長や光造形の技術指導をされた方にもお会いしました。ここでも松谷さんに対する評価は大変高いものでした。センター長は言われます。工業技術センターを利用する十カ条というものを聞いてください。私もノートに書きとめました。一、夢を持つこと。二、受け身でなく自分も研究すること。三、一度や二度で成果が上がると思うな。以下省略しますが、センターとしては、丸投げ的な研究依頼でなくてセンターとともに研究するお客さんをお待ちしているんです、こういう話でございましたけれども、松谷さんはこの十カ条をクリアするセンターのお客さんだったようであります。また、若い技術指導者の方も、センター長がそこまでやるのかと思うほど入れ込んで支援されたようであります。そして、松谷さんがやっていた手づくりではできないことを光造形の機械で何度も何度も試作をした。そして、とうとうプラスチック成形の業者にお願いできるところまでいったわけです。一時期はプラスチックの成形業者が見つからずに、松谷さんの熊本県の知り合いに頼もうかという話も出まして、工業技術センターの方はやきもきしたそうです。結局、海南の業者に落ちつきまして、話を聞いて、私も海南出身ですから、ほっとしたわけでございます。こういう開発をした松谷さんの「プロジェクトX」のようなお話から、幾つか質問をしたいと思います。
 第一は、こうした製品開発を特許で保護するという問題です。松谷さんは、最初は弁理士に頼もうとしたが、結局こいのぼりのさおでは特許を取らなかったわけです。こういう専門家に頼むと、六十万円はまずかかるんだそうです。けれども今では、この方自身はノウハウがわかっているから二万一千円あれば特許の申請はできるというふうに言います。これから、新しい技術を開発する人を支援する特許アドバイザー──今でも発明協会でも助言はいただけると言いますが、さらに充実してほしいというのがご意見でありました。
 第二は、せっかくの工業技術センターをもっと宣伝し、使いやすくする問題であります。
 松谷さんは、五年間、手づくりで五百もの試作品をつくって、そしてその後に工業技術センターを紹介されて、二年間で新しい製品に仕上げていくわけですが、もっと早く工業技術センターに足を踏み入れていれば、七年間の開発が四年間でできていたかもわかりません。海南市の日用家庭用品業界の大手などは頻繁にこのセンターを使わせていただいているんですが、もっともっと多くの、これから新しいものを開発する皆さんが使いやすいように、そういう利用を促進していただきたい。これが、二つ目の問題でございます。
 第三番目の問題は、商品開発のための資金援助でございます。ベンチャー企業の援助ということがいろいろ言われておりますが、松谷さんにとっては、この資金の問題は大変だったというふうに言っておられました。
 そして第四は、松谷さんがプラスチック成形を熊本県の業者に頼もうとしたという話をしましたけれども、県内の物づくりをしている、いろんな技術を持っている業者の間のネットワークをつくって、そしてこういう仕事だったらここへ頼んだらいいですよ、こういう業者間の提携を行うという問題でございます。こうした問題で、本当に血のにじむような努力で研究開発をされている皆さんの声にどうこたえていかれるのか、商工労働部長にお伺いしたいと思います。
 以下、余り時間がありませんので簡単にしますけれども、第三は鳥獣被害の問題でございます。
 タイワンザルの捕獲については一定の進展があり、当面、被害も減っているとお聞きしています。最近、訴えが多いのはイノシシ被害の問題です。被害の実態と対策を、農林水産部長及び環境生活部長にお聞きいたします。
 また、被害の防止と有害鳥獣の駆除のほかに、被害に遭った農家への救済措置として個人補償というものは考えられないのか、農林水産部長にお聞きしたいと思います。
 第四は、海南市の道路問題であります。
 前回は、国道三百七十号、国道四十二号のバイパス問題などお聞きしました。関係の県会議員、地元自治体の皆さんと力を合わせていますので、県としても引き続き大きなご支援をお願いいたします。
 きょうお尋ねするのは県道海南金屋線、その全体の整備もさることながら、海南市では重根─別所間拡幅、さらに一部バイパスも含めての整備が急務であります。また、神田方面拡幅、地元の協力体制も前進してきております。拡幅をぜひ急いでいただきたい。
 続いて、県道岩出海南線の岡田方面であります。着実に進んできておりますが、少しずつで、あと何年かかるのかわからない。テンポアップをお願いしたいのでございます。
 さらに、国道四百二十四号海南─金屋間拡幅、今、海南、金屋の皆さん、関係県会議員の皆さんとともに声を大きくしております。その推進への姿勢を県土整備部長にお聞きしたいと思います。
 最後に、五番目でございます。
 最近、海南市に産業廃棄物の不適正処理や不法投棄の事案が集中しているという問題でございます。
 私も最近、海南東部の東畑という地域住民の訴えを聞いて調査をいたしました。一見、家屋解体後の木くず、畳などを一時保管して分別しているように見えます。しかし、搬入分別した廃材などは搬出した形跡が全く見られず、埋めているのではないかという懸念が地域住民に起こっているわけでございます。この業者は朝早く搬入しており、和泉ナンバー車であることから、突きとめ指導することは県としても大変苦労しておられるようでございます。海南保健所には担当職員は一人しかおらず、本庁の支援もいただきながら頑張っていただいていますが、人員増員も含めたその対策の強化をお願いしたいと思うわけでございます。これは、環境生活部長の答弁をお願いいたします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの、併設型の中高一貫教育についてのご質問にお答えを申し上げます。
 私自身は、教育というのは分権の最たるものというふうに思っておりまして、そういうふうな中で、今、義務教育の教員の月給の補助金とかが来ているんですけれども、こういうふうなものもできるだけ一般財源化して、例えば三十人学級であるとか、それから本当にいろんな形での教育を望んでいるところに教員をたくさん配置するとか、そういうことがやはり実情に合った形でできるような仕組みというふうなのがこれからの発展した市民社会、日本の国はこれからそうなってくるんだと思うんだけれども、そういう中では大事なことだと思っているわけです。そういうふうな中で、教育のシステムというふうなことも、できる限り多様化していって、そういう中で住民や子供たちの能力であるとか、適性であるとか、ニーズであるとか、そういうことにいろんな形でこたえるような場を提供していくということが行政の大きな責務であろうと思っています。
 中高一貫については、もう既に私立の学校では当然これが主流になってきているわけですし、そしてまた今回行うのは、和歌山県の学校全部を併設型の中高一貫にするというわけではもちろんありませんし、できるわけでもありません。やはり、いろんな形のものをやっていって、それが別に学力だけでなくて、いろんな面で子供の発展とか発達とかというふうなことにどういうふうな効果があって一番いいかと。そして、それも入りたいという人のニーズに応じてやっていくというふうなことから発展があると思うので、やはり全部一律にやらないとうまくいかないからやらないということでは、これはもう社会の発展はあり得ないし、これからの多様性を求める社会の中では、そういういろんな仕組みの中で生まれてきた子供たちが能力を発揮してこの和歌山県、そしてまた日本の国をよくしていくというふうな形ということが大事だろうと思います。教員の方々も、毎年同じことをやっていくのはある意味では楽だろうと思いますけれども、こういうふうな新しい制度に果敢に積極的に和歌山の教育をどんどんよくしようというような形でチャレンジしていただくような気概が必要だろうと。これは別に教育の分野だけではなくて、すべての分野に当てはまることだと思っています。
 それから、私は教育ということを一番大事な事柄だと考えておりまして、そういう中で和歌山県の教育が四十七都道府県の中でいつも後ろの方からついていくということになったら、これは和歌山県の子供たちが非常に不幸なことだと思っているわけです。できるだけ新しいことで、そしてまあそんなに財源のある県ではありませんけれども、できるようなことについては、あっ、和歌山というのはそんなに大きな県じゃないけれども、教育の問題では、例えば学区制を全県取り払うようなことをやったり、それからこれはいろいろ意見があるんだけれども学校内での禁煙というふうなことをやっていくとか、それからいろんな学科制度をとっていくとか、本当にいろんなことを考えてやっている県なんだな、非常に活性化の進んでいる県なんだなというふうなことを教育の分野でもみんなが思ってくれることが、やはりそこで学ぶ子供たちに自信をつけることになるし、きっとそれが将来の和歌山県にとってプラスになるということで、先ほど私は五番とかなんとか言いましたけれども、これは別に五番がいいのではなくてトップになれば一番いいと思うんだけれども、そういうふうな気持ちでやっておりますので、ぜひご理解をいただきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 新製品の研究開発を支援する問題に関する四点についてお答え申し上げます。
 まず特許に関する質問ですが、特許を含む知的財産の活用支援は、経済の活性化、産業の維持発展のために大変重要なことと認識をしております。県では、社団法人発明協会和歌山県支部に特許情報検索アドバイザー、特許流通アドバイザー及び特許出願アドバイザーを配置することで、特許に関する意識の向上を図り、特許出願の環境整備を進めております。これからもこうした制度の普及啓発を一層進め、利用促進を図ることで特許の取得を促進してまいりたいと考えております。
 次に工業技術センターについてでありますが、工業技術センターでは、研究成果や活動内容をインターネットや広報誌を通じて広く県民の皆様にお知らせするとともに、県内企業からの各種技術相談や共同研究に積極的に取り組んでおります。今後とも、県内企業の皆さんが必要とする研究活動を促進し、開かれた工業技術センターとして一層の利用の促進を図ってまいります。
 次に企業、個人への資金を含めた援助についてでありますが、新製品などの開発を進める場合、その事業計画を県が認定することで、資金面においては低利融資や補助金の申請資格が得られる中小企業創造活動促進法の制度などがございます。こうした制度の周知徹底を図るとともに、オンリーワン企業の発掘、育成を目指した企業ソムリエ委員会の活用も含め、総合的な支援策を講じてまいります。
 次に業者間の連携についてでありますが、中小企業の事業展開の上で事業の協力者を得ることは大変大事なことと考えており、県では、財団法人和歌山県中小企業振興公社にプロジェクトマネジャー等を配置して、総合的な窓口相談に応じるとともに、必要に応じてきのくにマッチングプラザに参加いただくことでビジネスパートナーを見出すなど事業展開の促進を図っており、今後も積極的に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 鳥獣被害について、一括してお答えいたします。
 イノシシ被害の実態につきましては、稲を押し倒したり、カキやミカンを食害したり、園地を掘り返したりなどの報告があり、平成十四年度のイノシシの被害金額は鳥獣被害金額の三七%に当たる約一億一千八百万円となってございます。
 対策につきましては、農作物が栽培されている農地を電気さくや防護さくで守ることを基本に、従来の国庫補助事業の活用に加え、平成十三年度に創設した県単独の農作物鳥獣害防止対策事業により、市町村との連携を図りながら、地域の実態に即した対応に努めているところでございます。
 また鳥獣被害への個人補償は困難と考えてございますが、被害を受けた農家の損失を補てんする制度として農業共済がございますので、その加入促進を図っているところでございます。今後とも、被害防止に向けての施設の設置事業を進めるとともに、関係部局と一体となって取り組んでまいりいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 鳥獣被害について、一点目の最近のイノシシ被害対策についてでございますが、農作物に被害を及ぼすイノシシの有害鳥獣捕獲を促進するため、本年四月十六日から第九次和歌山県鳥獣保護事業計画を改定し、捕獲方法等の許可基準を緩和するとともに、市町村が行うイノシシの有害鳥獣捕獲に対する補助について、従来の銃器による捕獲に加え、今年度からおりによる捕獲に対しても補助を行うことといたしております。しかしながら、農作物被害につきましては、各方面から状況を聞いており、大変深刻に受けとめております。今後とも、新ふるさと創り特区における狩猟免許を有しない者でも有害鳥獣捕獲に従事できる新しい制度の活用を図るとともに、関係部局や市町村とも密接に連携し、被害が最小限にとどめられるよう努めてまいります。
 次に海南市の産業廃棄物の対策についてでございますが、本年度から各振興局の廃棄物・環境問題について、地域の核となる専任の環境指導員を配置し、廃棄物・環境対策の充実を図ったところでございます。
 県下の廃棄物の不適正処理や不法投棄事案につきましては、早期発見、早期の調査指導を基本に積極的に取り組んでいるところでございます。
 ご質問にあります海南市東畑地区の事案につきましては、海南保健所が既に数回現地に立入調査を実施し、適正処理を強く指導しているところでございます。海南市は、和歌山市に隣接しているとともに大阪府泉南地域からも高速道路で直結していることから、産業廃棄物の不適正処理や不法投棄事案が最近集中しており、環境指導員を初め保健所全体での対応を図るとともに、海南市及び警察との連携を密にし、監視指導を強めてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 雑賀議員からは、海南市の道路問題について三点お尋ねをいただいております。
 まず県道海南金屋線、重根─別所間拡幅につきましては、半島振興道路整備事業により一・三キロ区間を平成九年度から実施してございます。このうち現在、重根地区の現道拡幅区間〇・三キロメートルを整備しており、平成十七年度末の供用を予定しております。続く別所地区のバイパス区間一・〇キロメートルは、現在海南市で行っている地籍調査完了後、用地買収を進めることとしております。
 神田方面拡幅でございますが、都市計画道路日方大野中藤白線街路事業により、一・二八キロメートル区間を平成十一年度から実施中であります。このうち、日方川沿いの狭隘区間〇・三キロメートルについては、早期に事業効果を発揮できることから優先的に用地買収を行っており、現在、用地進捗率は五八%となってございます。また、供用開始までの間は待避所設置などきめ細やかな取り組みを行っており、今後も地元の関係者の皆様方のご協力をいただきながら事業を促進してまいります。
 次に県道岩出海南線につきましては、岡田地区において小規模道路改良事業により二ツ池付近から順次西向きに現道拡幅を進めており、現在、約二百メートルが完成しております。財政的に厳しい状況ではございますが、今後とも地元関係者の皆様方のご協力をいただきながら整備を進めてまいります。
 最後に国道四百二十四号海南─金屋間につきましては、海南湯浅道路の四車線化を踏まえ、路線の位置づけ、将来交通量、費用対効果等を検証し、整備のあり方を検討してまいります。当面の対策としては、海南市上谷、金屋町西ケ峰において線形不良区間や狭隘区間の現道対策を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、二点についてお答えいたします。
 まず県立中学校の開設についてですが、併設型中高一貫教育を実施するということに当たっては、小学校、中学校の代表者を含む県内各界の方々で構成する中高一貫教育推進懇談会から、併設型中高一貫教育校を軸として、複数設置するのが望ましいとの報告書をいただいたところであります。これを受け、具体的な設置について庁内のプロジェクトチーム等において慎重に検討を重ね、このたび決定したところであります。
 次に本県の養護学校については、ハード面、ソフト面の両面で全国的にも相当に高いレベルにあると思っております。こうしたことを背景として、全県的に入学希望者が増加する傾向が見られます。一方、一学級当たりの定員を少なくしたことから、多くの普通教室が必要となってきておりますが、当面、養護学校を新設する考えはございません。今後、さまざまな工夫をしてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 再質問と要望意見を申し上げておきたいと思います。
 第一は、向陽高校に併設して県立中学校を併設する問題です。
 まず、知事が何よりも教育が大事だというふうに言っていただいたことは大変ありがたいと思っています。今後、知事とも教育の問題でいろいろの場所で大いに意見交換をし、教育を高めるために力を出していただきたいというふうに思っているわけでございます。
 ただ、教育の問題というのは決して単純ではございませんで、新しいことをやったら、あるいは新しい改革をやったら一番になるとか五番になるとか、そう単純な問題ではございませんので、そういうことだけは申し上げておきたいと思います。
 なお、教育の専門家である教育長には、もう少し突っ込んで再質問をしたいと思います。
 ただいま答弁をお聞きしていましても、これだけの大きな改革の第一歩になるものが、教育委員会の内部でも県民的にも十分検討されたとは言えないという感じを持ちました。
 その第一は、中高一貫の学校をつくった場合、その学校の生徒がどうなのかという問題ではなくて、和歌山の小中学校教育全体に何をもたらすかが問題だということを、私はさきの質問で明瞭に申し上げたつもりでございます。しかし、答弁ではそういう観点から検討されたという形跡がない。推進懇談会の報告書も同様であります。これが、もし民間の中高一貫の学校を推進してほしいというグループが提言するんだったら、それはそれでもいいんです。けれども、県の教育委員会はすべての小中学校、すべての小中学生に責任を持たなくてはなりません。その立場からどうなのかという点で、もう少し検討が欲しいということが私の意見であります。
 例えば、向陽高校の隣に日進中学校という中学校があります。この中学校には四つの小学校から生徒が集まるわけですが、四つの小学校六年生の総数は二百九十九人でした。ことしの日進中学校の一年生は二百三十五人であります。六十四人の生徒が私学へ進学するわけですね。そうすると、小学校でリーダー的役割を果たした生徒が抜けるという問題があって、もちろん学校では新しいリーダーを育てる努力はするわけですけれども、しかし教育が大変だという苦労をよく中学校の先生から聞くわけであります。そういう問題。そうしたら、この日進中学校と県立向陽中学校が並んだときに一体今後この地域にどういう教育問題が起こってくるんだろうか、こういう問題も検討する必要があるわけでありまして、そういうあたりの論議がどんなぐあいに教育委員会内部でもあるいは協議会でも行われたのだろうか、その辺を少し聞かせていただければありがたいと思っています。
 第二番目に、きのかわ養護学校の過密の問題というのは、これは許されない問題でございます。                   私は、和歌山県の障害児教育というのは立派にやっているということは、これは教育長さんが言われた以上に、私も質問で申し上げたわけです。よく頑張ってくれているんです。けれども、頑張っているからと言って、二十六学級しか入れない学校に四十六学級も置いておくということは、これは許されない問題であります。その点、教育長、当面は計画がございませんではなくて、教育長自身がどういう思いでこの問題を見ているのか。心の痛みといいますか、教育長としての思いを語っていただきたいというふうに思います。
 大体、新しい学校をつくるなんという問題は、教育委員会がその方針を持ったとしても、用地の取得も含めて、五年や十年はすぐたつわけですね。今その問題を検討したいというふうに答えても、相当時間がかかる。そういう問題ですから、当面ございませんというのでは、いつになるのかわからない。特に、きのかわ養護学校の用地での建て増しは困難でございますから、分校をつくることも含めて新しい養護学校の建設について検討していただきたい。これは要望といたします。
 それから、教育長に申し上げたいんですが、やはり教育委員長、教育長というのは和歌山県の教育の最高の責任者でございます。もっともっと教育にかける夢や思いをこの県議会でも語っていただきたいという思いがあるわけです。もちろん財政権はございませんが、しかし財政権がないための痛みも含めて、和歌山の教育をこうしたいんだという夢をもっともっとこの場で語って、教育者としての小関洋治の姿を県民の前にぜひとも見せていただきたいなというふうに思うわけでございます。
 次に、水道水による入れ歯洗浄器にかかわる感想、要望意見でございます。
 私にとっては、全く専門外の問題で質問させていただきまして、大変いい勉強になりました。そこで気がついたのは、私の質問で要望した問題は、行政の形としてはできているということであります。それなのに、現場で四苦八苦しておられる方が、このことについて言ってほしいというふうに私のところに言われるのはなぜなんだろうか、この問題を考えながら答弁を聞いておりました。
 この間、横浜の中小商工業者研究交流集会でも勉強したことなんですが、各地域に例えば中小企業センターがある。しかし、行政の施策があったからといって、それが必ずしも血の通ったものになっているとは限らない、こういう話を各地でお聞きしました。そういう場合に、市町村の職員、あるいは県の職員の皆さんが苦労している中小企業のところを回って訪問して、悉皆調査をして、どんな苦労をなさっているのかを聞いて、そういうことから血の通う行政が進んだという話をお聞きしました。私は、この問題で実態がどうなっているのかについてここで述べるには私自身まだ研究不足でございます。しかし、そういうことも含めて、私自身も今後研究していろいろな提言をしていきたいと思っていますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 最後、産業廃棄物の問題だけ触れておきますけれども、極めて短い質問でございましたが、私はこの問題では担当課の皆さんのやる気を感じました。昨日は、私の質問をかぎつけたマスコミ関係の方からも取材がありました。海南市議会でも取り上げ、海南市長も注目していただいているわけでございます。こういうぐあいに打てば響く議会と県当局、あるいは県政と市政、あるいは世論をつくっているマスコミ、こういうもので住みよい町をつくっていくために産業廃棄物の問題、今、海南は特にこの問題が大きな問題になっているわけですけれども、こういう問題に取り組んでいけることを大変頼もしく思ったということを申し上げて、私の質問と要望意見を終わらさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 二点にわたって再質問がございましたので、お答えいたします。
 まず、中高一貫教育の新たな段階としての併設型一貫校の導入に係るプロセスについて、議論が十分尽くされたのかということではないかと思うのですが、これは随分時間をかけてやってまいりました。当然、前提としては、連携型の中高一貫教育を既にやっておりますから、その龍神地区、古座川地区の検証も含めながら、さまざまな地方の中学校関係者や市町村教育委員会の方々の意見も伺いながら、次の段階としての併設型へ進むことについての議論は、雑賀議員がご存じないかもしれませんが、随分やってきていると私どもは思っております。
 それから、中高一貫教育推進懇談会の中での議論について何人かの委員にお尋ねになったということでございますが、これは議論の過程をつぶさに聞いていただければそのようなことはないということは明瞭でありまして、三回にわたる議論は、毎回予定された時間をオーバーするぐらいの極めて白熱した多方面からの熱心なご議論がなされたというふうに私どもは受けとめております。その間、教職員組合の方々がただの一度も傍聴にはおいでになっていなかったのではないかと思います。これはマスコミにも公開している、まさに公開の議論の場であったということをご認識いただきたいと思っております。
 それから、公立にこういう形の中高一貫教育を導入することが非常にマイナスを生むんではないかというご懸念かと思いますが、公立中学校、例に挙げられた日進中学校も含めてさまざまな状況は、我々なりに当然のことながら把握しております。その中でこういう新しい形態の中学校教育というか、県立の学校が発足することによって、そのことが刺激の一つとなって公立の中学校、市町村立の中学校が活性化する側面も、これは考えられることでもあるし、それから私学の中高一貫教育、県立の中学校、市町村立の中学校、それぞれが切磋琢磨していく中で、画一化を乗り越えた次なる発展が考えられるというふうに私どもは思っております。
 それからもう一つ、養護学校については、ご指摘のきのかわ養護学校、これは昭和六十一年に開設されました。当時の担当班長でございました。どれだけ苦労したかは、つぶさにまだ覚えておりますが、十八年たって、約百五十名の在籍生徒がおります。雑賀議員は学級数のみをおっしゃっていましたけれども、この学校を想定したときの生徒数は百四十名という規模で設立いたしました。その後、確かに学級編制基準が変わってきて、一学級当たりの子供の数をできるだけ引き下げてきた。これは先ほどの答弁でも申し上げたとおり、一般の小中学校に先駆けて少人数学級を実現してきたわけです。結果として、現在のきのかわ養護学校には、一学級当たり二、三人という学級が多数ございます。そうした中で、一学級当たりの人数を減らせば、当然、学級数がふえてくるということになるわけで、その中で過密、マンモスということを一元的におっしゃられても少し実態と違う面があると、先ほどの答弁では言葉が十分でなかったかもしれませんが、申し上げているわけでありまして、ただしそれでもって満足な状態だと、何もしないということを、また言っているつもりもありません。新たな学校の設立ということは、紀伊コスモス養護学校を数年前に立ち上げましたし、十数年かけて県下全域にわたる養護学校の整備計画は完了したというふうに基本的には考えている中で、その範囲の中で、例えば校区の変更とか、通学方法の工夫とか、いろんなことを含めてさまざま工夫してまいりますということをお答えしているわけでございますので、十分な意を尽くしてないところがあるかと思いますが、ご了解を願いたいと思います。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 まだいろいろ言いたいことがありますが、また文教委員会でも議論できることですから、きょうの質問はこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ