平成15年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(大沢広太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並
びに報第六号及び報第七号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並びに知事専決処分報告報第六号及び報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十四番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、平成十五年九月定例会の最初に質問の機会を与えてくれました議員の皆さんに感謝を申し上げまして、通告に従いまして質問に入らせていただきます。
 その前に、もう皆さんもご承知のとおり、自民党県議団が協賛をさせていただきまして、そして「悲しみと怒り、救いたい私たちの手で」ということで、拉致被害者家族を支援する県民大会を八月の三十日にビッグホエールでやらしていただきました。知事さん初め、大勢の皆さんがご参加をいただきました。五千名に上る参加をいただきまして、その節には大変お世話になりましたことを厚く御礼を申し上げさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、初めに地方分権を推進する三位一体の改革についてでございますが、私は、現在の我が国を覆う閉塞感を打破し、活力があふれ、真の豊かさを実感できる社会を実現していくために、地方がその個性と魅力を十二分に発揮することができるようにこの国の形を変えていくことが緊要であると考えております。そのためにも、行政改革や財政構造改革とともに市町村合併や三位一体改革などの地方分権改革を推し進めていくことは、現在の我が国が避けて通れない喫緊の政治課題であります。
 このような考え方から、国における経済財政諮問会議の経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、いわゆる骨太の方針第三弾に定められた三位一体改革について、長年地方政治に携わってきた者として自己決定、自己責任をキーワードとする地方分権改革が少しでも前進することを願い、ぜひ国においては実行していただきたいと強く思っております。
 しかしながら、この骨太の方針は、あくまで国主導の分権改革にすぎず、やはり当事者である地方の声を聞かずして本当の意味での地方分権の実現はあり得ないものと考えております。私は、今こそ地方の地方による地方のための三位一体改革の実現について、地方から国に対して緊急に提言をしていくべきときではないかと思っております。
 木村知事は、この骨太の方針が出た後、間髪を入れず、新しい日本をつくる国民会議、知事・市長連合会議メンバーに呼びかけられ、本県を初め岩手県、宮城県、千葉県、静岡県、福岡県の六県による、国庫補助金負担金の見直しなどを主な内容とする、まさに地方主導の三位一体改革についての提言をまとめられました。また、竹中経済財政政策担当大臣等の政府関係機関に直ちに提言活動を行われました。
 私には、地方全体の願いである地方分権の実現について、知事の時宜を得た行動力、特に知事連合をまとめていかれる行動力には、地方分権の推進の旗手とも呼ぶべきもので、大変頼もしいものと感じたところであります。多くの県民も同じ気持ちを抱いていると思っております。
 そこで、木村知事に昨今の地方分権の推進の動きについて幾つかお尋ねをいたします。
 まず、骨太の方針第三弾に位置づけられました三位一体改革について、どのように評価され、またどのような点が地方として納得できず今回の六県連合による提言活動につながったのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、地方として初めての提言である六県連合の提言内容の特徴は何か、お教えいただきたいと思っています。
 また、提言の中の国庫補助負担金の見直しで、補助金を廃止し、地方へ税源移譲を伴う場合に「義務的」と「その他」に分けられました。その際、骨太の方針に基づいて「その他」は八割の税源移譲額と機械的に試算を行ったと聞いておりますが、全額移譲ではなく八割としても地方はやっていけるのでしょうか、その対策をお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、コスモパーク加太に係る特定調停について質問をいたします。
 コスモパーク加太についての問題は、本県にとってかねてからの懸案であり、また今後の県政に対して多大な影響も予想されることから、県政の一翼を担う県議会においてもコスモパーク加太対策検討委員会を設置し、県民を代表して検討を行ったところであります。県当局におかれましても、検討委員会の報告を受け、金融機関と鋭意精力的に交渉を重ねられました。金融機関とは合意に至らなかったところであります。その後、裁判所を介して問題解決を図る目的で、県土地開発公社は七月の二十三日に金融機関を相手方として特定調停の申し立てを行い、今日までに五回もの調停が行われたとのことでございますが、いまだ金融機関との間で合意に至っていない状況であります。このように、県土地開発公社借入金の問題が長期にわたり未解決のままの状態は、県土地開発公社及び金融機関の不安定な状況が継続するものであり、決して望ましいものではないと思うのであります。
 そこで、現在に至るまでの調停において県はどのような主張を行ってこられたのでしょうか。また、今後の調停に対してどのように取り組まれていくのでしょうか、あわせて知事にお尋ねをいたします。
 次に、IT総合センターについて質問をいたします。
 IT総合センターは、単なる教育・研修機関にとどまらず、産業支援、地域支援、IT普及啓発など、さまざまな機能をあわせ持ち、先日、白浜・田辺地区が指定を受けたITビジネスモデル地区の中核施設として位置づけられるなど、紀南地域における産業振興と県民生活の充実に極めて重要な役割を果たすプロジェクトであると私は認識しております。このような認識のもとで私も、県ひいては地域の発展を願い、この事業を積極的に支援してまいりましたが、地盤沈下による工事中断という思わぬ事態が発生をし、大変憂慮していたところであります。
 そうした中、このたび地盤沈下の原因が判明し、対策工法が決まったことを受けまして、九月補正予算案に地盤沈下対策費四億二千四百万円を含む関係経費が提案されているところでありますが、このような対策が必要となったことについて、知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、来年秋には地域情報化に関する全国的イベントである全国マルチメディア祭の開催が予定されておりますが、私はこれこそIT総合センターの完成を祝う最適のイベントだと認識しているわけであります。工期が来年十月末まで延長されたことによってこのイベントの開催に影響はないのか、あわせて知事にお伺いをいたします。
 続いて、以下三点について県土整備部長にお尋ねをいたします。
 まず一点目は、一部新聞報道によりますと、着工前の地質調査で極度の不同沈下発生を念頭に置いて基礎構造を計画すべきだということが指摘されていたとの記事が書かれているが、もしそれが本当なら、設計段階でくいを打つとか地盤改良をするとかの対策を考える必要があったのではないか。
 次に二つ目として、今回の対策費の中で、沈下現象に気がつかず工事を進めた部分の工事費約一億二千万円を請負業者等がみずから負担することになっているが、沈下に対する責任がないと判断した中でこのような処置は適正であるのか、お尋ねをいたしたい。
 次に三つ目として、建物はくい及び地盤改良でとめることができるとしても、駐車場や排水路などの屋外施設についてはどのような工法で対応するのか。
 以上、三点について答弁をお願いをいたします。
 次に、緑の雇用事業の実績と今後の展開について質問をいたします。
 本定例会冒頭の知事の説明にもありましたように、私は、緑の雇用事業はだんだんと広がりを持ちつつあることを実感しております。ご承知のとおり、緑の雇用事業は昨今の社会情勢の変化により手入れのおくれている森林が増加している中で、環境保全を重視する森林を環境林として整備を進めるということであります。先日も新聞を拝見いたしましたが、森林保全を新たな雇用の場として活用し、都市から県内へ二百七十一名の方を呼び込むとともに、新たな展開として企業等と連携した企業の森づくりに取り組むなど、緑の雇用事業の先進的な取り組みと実績に感謝しているところであります。
 こうした本県の取り組みは過疎化や高齢化に悩む全国の自治体にも大いに影響を与え、さきに「緑の雇用」議員の会が結成されたのを初め、自治体レベルでも都市と地方の共感を深め、「緑の雇用」推進県連合による共同アピールや共同政策提言を行うに至ったことは周知のとおりであります。このような動きが功を奏して、このたび緑の雇用担い手育成対策が平成十六年度農林水産省予算概算要求に盛り込まれることになったものであり、県議会としても、県当局と足並みをそろえ、今後の予算成立に向けて精いっぱい頑張っていきたいと考えております。
 仄聞するところによりますと、老人ばかりの山里に若い夫婦が住居を構えるということは、地域にとっても活気が出て大変喜ばしく、地域のイベントや奉仕作業に進んで参加し、休日には飲料水用のパイプ点検やひとり暮らしのおばあさん宅の草刈りや掃除の手伝いなど、今や地区の中でも貴重な存在と認められた方もおられるようであります。また、新規に作業員が従事することについて地元の作業員は、仕事をよそから来た者にとられるといった批判の声もあったようでありますが、最近では熱心な仕事への対応ぶりに周りの作業班にもよい刺激になっているという話も承っております。これらの人材は、林業だけではなく地域にとっての貴重な担い手でもあり、引き続き地元で頑張っていただくためにも、ぜひとも予算を成立させていただきたいと考えております。
 しかしながら、今後も森林整備を中心とした緑の雇用事業だけで人材を地元にとめるのは、収入の面からも難しい部分もあろうかと思います。これらの人材の活用のためには、農林水産業全般への広がり、あるいは観光関連産業や地場産業などでの受け入れなど、地域住民、関係団体、地元自治体が県と一体となって積極的に推進していく必要があると考えております。
 つきましては、緑の雇用事業に広がりを持たせるために今後どのように取り組まれるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 まず一点目に、就農支援を初めとした第一次産業全般でどう取り組まれるのか。
 二点目に、観光産業や地場産業とのかかわりの中で緑の雇用事業を活用する方策をどのように考えておられるのか。
 三点目として、都市からの活力を導入する企業の森は今後どう展開されるのか。
 以上の三点について、知事の所見をお伺いいたします。
 続きまして、中高一貫教育について質問をいたします。
 知事は、去る七月の二十二日、向陽高等学校に県立中学校を設置し、県内で初めての併設型中高一貫教育を行うと発表されました。私は、思春期という人間の最も難しい成長過程にあるほとんどの中学生が高等学校へ進学するという教育環境において、中学校から高校にかけてのこの六年間にどのような教育制度を整えておくかということは、今日の社会の現状にかんがみるとき、大変重要な課題であると認識しております。そのため本県では総合学科や単位制高校の設置など、特色のある教育を行ってきたものと理解していますが、こうした高校教育の改善にとどまらず、学校制度として公立の六年間一貫教育の仕組みを提供していくことは今日の県民ニーズに的確にこたえるものであると確信しており、このような教育改革の取り組みに対しまして私は大いに賛同いたすものであります。
 県立の中高一貫校では、ぜひともトータルな意味での人間教育を行っていただきたいと思っています。六年間の計画的な教育課程を編成する中で確かな学力を身につけさせることは当然のことでありますが、それに加えて社会性や人間性、幅広い教養等を身につけさせることによって、次世代の和歌山県を牽引することのできる人材を育成していただきたいと願っております。
 ところで、国では、この中高一貫教育校が通学範囲の身近なところに一校整備されるよう設置目標を定めています。私は、本県においてこうした併設型中高一貫校が適正に配置されるべきであると考えております。現状では六年間の一貫教育を実施している私立高校は和歌山市を中心としたところにありますので、紀南地方を含めて県内のすべての保護者や生徒が中高一貫教育を選択できるように今後県立中学校を計画的に整備していくことが重要であると考えておりますが、このことについて今後どのように進めていかれるつもりであるのか、教育長にお尋ねをしたいと思います。
 なお、先日、教育委員会において熊野高等学校に県内三校目の総合学科を設置するとの発表がありました。総合学科については、平成六年度に和歌山高校、平成九年度に有田中央高校が設置され、大きな成果を上げていると聞いておりますが、かねてから紀南地方にも総合学科を設置していただきたいという強い希望があり、田辺・西牟婁地方のPTAや学校関係者からも寄せられていた経緯があり、それにこたえる形での今回の決定に対し、この場をおかりしてお礼を申し上げておきたいと思います。
 次に、今後予想される東南海・南海地震等の大規模災害発生に備えた防災体制の充実強化のための防災センターの早急な整備が待たれるところでありますが、防災センターを含めた分庁舎について質問をいたします。
 知事は六月議会において防災センターについては分庁舎機能を持った建物として整備したいとの答弁がありましたが、現在の県庁舎の執務環境を見た場合、廊下を初め各課室において書類等が山積みされ、防災上や美観上決して好ましい状態ではなく、また会議室も少なく狭隘な執務スペースの中で事務を行っていることから、私は、災害時に迅速な対応をするためにも、また県民に対するサービスの向上のためにも、執務スペースの改善がぜひ必要であると考えるところであります。
 そこで、分庁舎の建設規模についてどのように計画されているのか、また防災センターの機能及び庁舎の執務環境の改善についてどのようにお考えになっているのか、知事にお尋ねをしたいと思います。
 次に、近畿自動車道紀勢線御坊─南部間の早期供用開始についてでありますが、まず、県民の悲願である近畿自動車道紀勢線の南伸が知事を初め関係者のご努力、地権者のご協力により着実に進捗していることに感謝申し上げたいと思います。
 御坊─南部間の工事進捗については、八月の二十五日、和歌山県議会高速自動車道紀南延長促進議員連盟主催で実施した現地調査では、町田会長初め県議十七名、御坊市から串本町の関係市町村長、また日高・西牟婁振興局長など関係者総勢五十五名の参加をいただき、工事の進捗状況を調査させていただきました。また、建設委員会の九月三日の県内視察におきましても当区間の工事進捗を調査させていただいたところであります。御坊から南部までの延長二十一・四キロを、一部現道を走ったものの、ほとんどの区間を大型バスで走行し、工事の進捗状況に驚きと喜びを感じたところでございます。
 そこで、供用開始の時期について県土整備部長にお尋ねをいたします。
 お正月を温泉で過ごす観光客や一月から二月にかけての南部、南部川あるいは上芳養、石神の観梅客などによる経済効果等を考えると、紀南地方にとって年内に開通するメリットははかり知れないものがあると思います。そこで、ぜひとも平成十五年内の供用開始が実現するように願っているわけですが、県土整備部長の前向きな答弁をよろしくお願いいたします。
 また、アクセス道路整備につきましても御坊─南部間の供用にあわせて整備されるよう、これは要望とさせていただきますので、このことについてもあわせてよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、県道白浜温泉線と国道四十二号との交差点である富田橋交差点について質問をいたします。
 国道四十二号を田辺方面から走ってまいりますと、本交差点に右折レーンがないため、富田橋を渡り白浜方面に行く車が一台でもあった場合、後続車がつかえ渋滞が発生している状況で、地元から交差点改良に対する強い要望があります。将来、高速道路が白浜インターチェンジまで延伸した場合におきましては車が交差点に集中することが予想されますので、インターチェンジと白浜温泉や南紀白浜空港を結ぶ道路として都市計画決定している白浜空港フラワーラインの整備等、抜本的な対策が必要でありますが、それまでの間、本交差点は白浜温泉への南の玄関口でもあり、現時点の対策として早急に交差点改良が必要と考えますが、県土整備部長の考えをお聞かせください。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革についてのご質問でございます。
 骨太の方針に三位一体、すなわち補助金の削減と、そしてそれに見合う税源の地方への移譲と交付税制度の見直しと、これが上がったこと、特に税源の移譲が言われたということは私は画期的なことだというふうに思っております。
 しかしながら、実はこれは大変難しいことでございまして、今現に行われている予算編成の中でも必ずしもそういう方向が生かされているというふうにはなっておりませんし、そういうふうな中で私自身、これからの日本の社会は、国は国の仕事を思い切りやっていくと。それから、住民の生活にかかわるようなことは地方公共団体がこれまた責任を持ってやっていくと。そして国は、地方公共団体に対してお金をもっておせっかいをすると──おせっかいと言ったら悪いですけども、介入するというようなことはなくしていって、むしろ大所高所から地方へいろんなアドバイスをするというふうな形の役割分担が望ましいと、このように考えているところでございまして、そういう中での三位一体ということが実は国の方から出てきているということ。これは一つはいいことなんですけれども、やはり地方の方からもこうあるべきだということを言わなければ、これは今までのお仕着せの地方分権ということから一歩も出ないのではないかというふうなこと。
 それから、もう一つは、おいしいところだけつまみ食いされて、補助金はなくなったけれども、税源は来なかったとか、そういうふうなことになるということになるとこれはもう地方公共団体にとっては致命傷になりますので、そういうことがないように、先般、二十一世紀臨調の知事・市長会議という場を通じてそのような主張をなしたところでございます。
 その中で、一定の補助金については税源移譲が八割でということで計算したわけでございますけども、これはあくまで試算をしたということでございまして、地方の方でもやはり、今国の方も大きな借金をしながら補助金を出しているということはあるわけでございますから、地方の方でもやっぱり一定の努力ということは必要であろうということの中でそういう試算を行ったということで、これが確定的なものであるということではなくて、むしろこの意義としては、地方の方からそういうことを積極的に言っていって、国のなかなか動きがたい大きな壁を動かしていこうというふうなことをしているというところだというふうに考えております。
 次に、コスモパーク加太に係る特定調停のことでございますけれども、ご質問にありましたように、特定調停につきましては、八月五日を第一回目とし、九月三日までの間に合計五回の調停が行われた中で県も利害関係人として参加し、調停成立に向け鋭意努力を重ねてきたところでございます。ただ、いまだ金融機関とは合意に至っておりません。
 調停の中では、県の保証の考え方について主張をするとともに、県土地開発公社の再建を支援する観点から、公社借入金の長期返済や将来金利の減免等についても主張を行ってまいりました。私といたしましては、今後も引き続き調停の中で本問題の解決を図ってまいりたいと考えており、これまでと同様に、さきにご検討いただきましたコスモパーク加太対策検討委員会からの報告を十分踏まえ、県民に納得していただける結果となるよう最善を尽くすとともに、できるだけ早期の解決に向け努力を行ってまいりたいと、このように考えております。
 次に、IT総合センターの地盤沈下の問題でございます。
 地盤沈下のため半年近く工事が中断し、県民の皆様に大変ご心配をおかけしたところでございますけれども、九月一日から工事が再開をいたしております。
 原因につきましては、後ほど部長の方から詳しくご説明をいたしますけれども、岩塊がぼろぼろと細粒化するスレーキング現象が引き金となっており、設計に当たっての調査においてこれを予測することは極めて難しかったと、これはもう技術的な話でございますけども、私の方は報告を受けているところでございます。
 IT総合センターにつきましては、白浜・田辺ITビジネスモデル地区やIHS構想などの中核施設として大きな役割を果たすことが期待されておりますので、地域の活性化と発展につなげるためにも施設の早期完成ということを願っているということでございます。
 次に、マルチメディア祭につきましては、開催は平成十六年、来年の十一月を想定しておりまして、このITセンターをメーン会場として使用することは可能であると、工期の延長が開催に影響を及ぼすことはないと、このように考えております。
 次に、緑の雇用の問題でございます。
 ご質問にもありましたように、緑の雇用、非常に全国的な広がりを持ってきておりまして、これは喜んでいるんですけれども、確かにいつまでも税金をもって雇用を続けると、税金をすべて財源として雇用を続けるということは非常に難しいので、これを広がりを持たしていかなければなりません。
 一つは、CO2の吸収ということを観点として公的な仕事を、例えば森林組合なんかへ委託していくようなものを国とともに考えていく必要がありますし、それから観光でありますとか、それから木をできるだけ公共事業でありますとか県の事業に使っていくというふうな形で需要を喚起するとか、いろんなことを多面的にやっていく必要があるというふうに考えております。
 そしてまた、これ今、緑の雇用ということで中山間の山を守るということを中心に考えておりますけれども、これを農業の方にも広げていこうということで、農業版緑の雇用事業というものを積極的に進めようと思っております。これにつきましては、今御坊にあります試験場を新規就農ワンストップ支援センターというふうな形で機能変化をさせていって大きくここをそういうものの中心にしていきたいと、このように考えておりますし、そういうふうな方向で農林水産省も来年の予算に概算要求が出たというふうに聞いておりますので、こちらともタイアップしてこれも進めていきたいと思います。
 それから、もう一つは海でございます。海も、一昨年から海遊事業というのを進めておりまして、これについても漁業に従事する若手の人なんかを中心に徐々に理解が深まってきているというふうに思っております。こういうものを核といたしまして、私は海についてもある意味では海の振興事業というふうなものを新たに大きく打ち出して、森林、そして農業、そして海というふうな、和歌山で非常に大事なこの三つ、それこそ三位一体でやるようなことをこの和歌山の新しいふるさとづくりの核にしていきたいと、このように考えているところでございます。
 そして、あわせて企業の森につきましては、これをただ単なる雇用の問題だけにするのじゃなくて、例えば企業であるとか、労働組合であるとか、NPOであるとか、こういうふうなところと連携をしながら和歌山の森を大きく振興していくということをねらっておりまして、以前、ユニチカユニオンが和歌山県内に企業の森を設置してくれたんですけども、つい先般は本宮町に関電の労組がこのような森を設置してくれることになりました。これは一つ大きなこれからのいい方向になってくると思いますので、どんどんこれPRして、和歌山にこういうふうな企業の森を持たなかったら恥ずかしいというふうな感じになるようにしていきたい、このように考えております。
 それから、次に分庁舎の問題でございます。
 先般の議会で一応、防災センターを含めた分庁舎をつくっていくんだということを申しましたけれども、きょうその規模についてここでご報告したいんでございますけども、高さとしては十二階建てというふうなことを考えておりまして、防災センター部分が四千六百平米、それから庁舎部分が五千四百平米、合計一万平米ぐらいの建物を考えております。そして、屋上には防災用のヘリポートというものを設けたような施設にしていきたいというふうに考えております。そして、この防災センターには総合防災情報システムでありますとか衛星系の無線というものを備えて、文字どおり、昨日地域指定の案が出ましたけども、本当に東南海・南海地震に備える和歌山県の中核という形で持っていきたいと思っております。
 それから、もう一つは、ご質問にもありましたように、非常に和歌山県庁、この議会も含めて手狭になっております。そういうふうな中で、私も組織変更をどんどんやってるんですけども、組織変更をやっても建物自体が全然変わらないんでは、やはりこれ仕事の運びにいろいろ支障が出てくるというふうな面もありまして、この十二階建ての分庁舎をつくって、そこへいろんなものが入っていくことによってまたこの本庁舎とか議会部分とか、そういうところが大きくスペースを使えるような形になっていくと、そしてまたそれにも手を入れていって本当に、大きな新しい庁舎をつくることはできませんけれども、しかしながら、こういうふうな分庁舎によってこの和歌山県の執務機能というふうなものを高めていきたいと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 大沢議員にお答え申し上げます。大沢議員からは、IT総合センターに関して三点、近畿自動車道に関して一点、国道四十二号について一点、都合五点、お尋ねがございました。
 まず、IT総合センターの地盤沈下の予測についてのご質問です。
 地盤沈下の原因についてでございますが、本年二月から原因究明のためボーリング調査八カ所、コア採取による土質の判別、地下水位の変動を把握する水位調査、傾斜計設置などによる水平変位調査、土の物理的特性を把握する土質試験、岩の崩壊の程度や脆弱性を判別する岩石試験等を実施し、あわせて沈下量についても二百十三カ所で計測いたしました。
 その結果、盛り土中に含まれる岩塊が乾燥、湿潤を繰り返すことによりぼろぼろと細粒化するいわゆるスレーキング現象による水浸沈下を起こしたことが原因であると判明いたしました。当初の地質調査では、高盛り土であることから、土質やそのかたさを調査するため、通常より多い十カ所のボーリング調査を実施し、地盤の支持力を調べるため平板載荷試験等を実施しておりました。これらの地質調査についても、コアサンプルを含め調査結果資料をすべて今回調査した結果、盛り土材料は岩質のかたい砂岩を主体としたもので、その時点でスレーキング現象を予測することは極めて困難であると思慮されます。
 なお、当初の地質調査においては盛り土のスレーキング現象による沈下は予測しなかったものの、建設直後に一般的に生じる沈下として三・四センチメートルを予測しており、建物の基礎構造について、くい基礎構造とするか連続布基礎構造にするかの二案が提案されておりました。建物の設計においては、これらの地質調査結果をもとに検討し、基礎の剛性を高め、不同沈下に対応した連続布基礎構造を選定しております。このような地質調査結果を踏まえれば適切な設計であったと判断されます。
 次に、請負業者には地盤沈下に対する責任がないとした中、一・二億円の負担を求める措置が適正であるのかというお尋ねでございます。
 請負業者は今回のスレーキング現象による地盤沈下の原因には直接関係がないため、沈下に対する責任はないと判断いたしました。しかしながら、基礎工事に当たり長期間にわたって沈下に気づかず工事を進めていたことは事実であり、施工管理上に問題があったことは否定できないと思われます。このことから、今回、くい基礎を施工するために支障となる基礎部分の対策工事費用については施工業者等がみずから負担することといたしております。
 次に、屋外施設に対する対策工法についてのお尋ねでございます。
 ご指摘のように、建物については沈下を起こさないように対策を講ずることとしておりますが、建物以外の部分については、ある程度の沈下を前提に、出入り口部分についてはスロープ等の設置により段差の解消を図るとともに、沈下に対応する配管材料を使用することとしております。また、沈下をできる限り少なくするため、雨水が浸透しないようアスファルト舗装を行い、スムーズに雨水が処理できるよう排水路を適切に設置する等の対策をあわせて実施することとしております。
 次に、近畿自動車道紀勢線御坊─南部間の早期供用開始についてでございます。
 近畿自動車道紀勢線御坊─南部間につきましては、現在、日本道路公団が平成十五年内の供用を極力視野に入れながら最終段階の工事を進めており、県としてもその実現に向けて引き続き強く働きかけてまいります。
 最後に、国道四十二号富田橋交差点の改良についてのお尋ねがございました。
 富田橋交差点の改良につきましては、既に国土交通省紀南河川国道事務所において右折レーンの設置について検討中であると聞いております。今後、県としても必要な協力をしながら、国に対し早期に計画を策定し工事着手するよう働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 中高一貫教育の推進に関するご質問にお答えいたします。
 中高一貫教育は、中等教育に対する県民の多様なニーズに対応し、現行の中学校、高等学校に加え、生徒や保護者が六年間の一貫した教育課程で学ぶ機会を選択できるよう導入いたしたものであります。
 特色ある公立の中高一貫教育を提供することにより、確かな学力を身につけさせ、個性や才能をより一層伸ばすとともに、議員ご指摘の人間教育を展開する中で豊かな社会性や幅広い教養など、未来を切り開くリーダーに必要な資質や能力を養成していく考えであります。
 今後の併設型中高一貫教育校の設置については、より広い範囲の生徒や保護者が選択できるよう、全県的な地域バランス等も考慮しながら、適切な配置に向け鋭意努力してまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十四番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 ただいま、知事初め関係部長から答弁をいただきましたが、IT総合センター、この問題は大変大きな問題もあり、この九月定例会で私以外にあと四、五名の議員の方からこの問題について質問があると聞いております。ですから、私も実は建設委員会にも属させていただいておりますので、また委員会の席でいろいろと細かく質問もさせていただきたいと思います。
 しかし、大変重要な問題でありますので、一点だけ要望をさせていただきたいと思っています。特に私は地元議員として、IT総合センターに関しまして要望いたします。
 今回は予想できないスレーキング現象を原因とする地盤沈下により工期のおくれが生じるとともに、四億二千四百万円もの追加事業費が必要となったことでありますが、当初の計画事業費に加えて四億二千四百万円の大きな追加事業費が必要となったことについて、私は県民感情からすれば納得しにくく、まことに遺憾なことだと思っております。
 今後は、この経験を貴重な教訓として、将来における新たなプロジェクトに取り組まれる際には十分生かしていくことが肝要であると考えております。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。

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