平成15年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十五年九月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
     ─────────────────────
議事日程 第二号
 平成十五年九月十八日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並びに報第六号及び報第七号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並びに報第六号及び報第七号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十四人)
     一  番       須   川   倍   行
     二  番       尾   崎   太   郎
     三  番       谷       洋   一
     四  番       新   島       雄
     五  番       小   川       武
     六  番       吉   井   和   視
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       町   田       亘
     十  番       浅   井   修 一 郎
     十一 番       山   田   正   彦
     十二 番       坂   本       登
     十三 番       向   井   嘉 久 藏
     十四 番       大   沢   広 太 郎
     十五 番       平   越   孝   哉
     十六 番       下   川   俊   樹
     十七 番       東       幸   司
     十八 番       山   下   大   輔
     十九 番       小   原       泰
     二十 番       前   芝   雅   嗣
     二十一番       木   下   善   之
     二十二番       山   下   直   也
     二十三番       井   出   益   弘
     二十四番       宇 治 田   栄   蔵
     二十五番       浦   口   高   典
     二十六番       藤   山   将   材
     二十七番       原       日 出 夫
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       野 見 山       海
     三十 番       冨   安   民   浩
     三十一番       尾   崎   要   二
     三十二番       阪   部   菊   雄
     三十三番       花   田   健   吉
     三十四番       角   田   秀   樹
     三十五番       前   川   勝   久
     三十六番       江   上   柳   助
     三十七番       森       正   樹
     三十八番       長   坂   隆   司
     四十 番       新   田   和   弘
     四十一番       松   坂   英   樹
     四十二番       雑   賀   光   夫
     四十三番       藤   井   健 太 郎
     四十四番       村   岡   キ ミ 子
     四十五番       松   本   貞   次
     四十六番       和   田   正   人
欠席議員(二人)
     九  番       大   原   康   男
     三十九番       中   村   裕   一
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         垣   平   高   男
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       野   添       勝
     環境生活部長     津   本       清
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     阪   口   裕   之
     県土整備部長     酒   井   利   夫
     企業局長       西       芳   男
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      宮   内       勝
     人事委員会委員長   西   浦   昭   人
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       島       光   正
     議事課副課長     藪   上   育   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主任      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       土   井   陽   義
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課主査      保   田   良   春
     ─────────────────────
  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並
びに報第六号及び報第七号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、議案第百十七号から議案第百四十五号まで、並びに知事専決処分報告報第六号及び報第七号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 十四番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、平成十五年九月定例会の最初に質問の機会を与えてくれました議員の皆さんに感謝を申し上げまして、通告に従いまして質問に入らせていただきます。
 その前に、もう皆さんもご承知のとおり、自民党県議団が協賛をさせていただきまして、そして「悲しみと怒り、救いたい私たちの手で」ということで、拉致被害者家族を支援する県民大会を八月の三十日にビッグホエールでやらしていただきました。知事さん初め、大勢の皆さんがご参加をいただきました。五千名に上る参加をいただきまして、その節には大変お世話になりましたことを厚く御礼を申し上げさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、初めに地方分権を推進する三位一体の改革についてでございますが、私は、現在の我が国を覆う閉塞感を打破し、活力があふれ、真の豊かさを実感できる社会を実現していくために、地方がその個性と魅力を十二分に発揮することができるようにこの国の形を変えていくことが緊要であると考えております。そのためにも、行政改革や財政構造改革とともに市町村合併や三位一体改革などの地方分権改革を推し進めていくことは、現在の我が国が避けて通れない喫緊の政治課題であります。
 このような考え方から、国における経済財政諮問会議の経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三、いわゆる骨太の方針第三弾に定められた三位一体改革について、長年地方政治に携わってきた者として自己決定、自己責任をキーワードとする地方分権改革が少しでも前進することを願い、ぜひ国においては実行していただきたいと強く思っております。
 しかしながら、この骨太の方針は、あくまで国主導の分権改革にすぎず、やはり当事者である地方の声を聞かずして本当の意味での地方分権の実現はあり得ないものと考えております。私は、今こそ地方の地方による地方のための三位一体改革の実現について、地方から国に対して緊急に提言をしていくべきときではないかと思っております。
 木村知事は、この骨太の方針が出た後、間髪を入れず、新しい日本をつくる国民会議、知事・市長連合会議メンバーに呼びかけられ、本県を初め岩手県、宮城県、千葉県、静岡県、福岡県の六県による、国庫補助金負担金の見直しなどを主な内容とする、まさに地方主導の三位一体改革についての提言をまとめられました。また、竹中経済財政政策担当大臣等の政府関係機関に直ちに提言活動を行われました。
 私には、地方全体の願いである地方分権の実現について、知事の時宜を得た行動力、特に知事連合をまとめていかれる行動力には、地方分権の推進の旗手とも呼ぶべきもので、大変頼もしいものと感じたところであります。多くの県民も同じ気持ちを抱いていると思っております。
 そこで、木村知事に昨今の地方分権の推進の動きについて幾つかお尋ねをいたします。
 まず、骨太の方針第三弾に位置づけられました三位一体改革について、どのように評価され、またどのような点が地方として納得できず今回の六県連合による提言活動につながったのか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、地方として初めての提言である六県連合の提言内容の特徴は何か、お教えいただきたいと思っています。
 また、提言の中の国庫補助負担金の見直しで、補助金を廃止し、地方へ税源移譲を伴う場合に「義務的」と「その他」に分けられました。その際、骨太の方針に基づいて「その他」は八割の税源移譲額と機械的に試算を行ったと聞いておりますが、全額移譲ではなく八割としても地方はやっていけるのでしょうか、その対策をお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、コスモパーク加太に係る特定調停について質問をいたします。
 コスモパーク加太についての問題は、本県にとってかねてからの懸案であり、また今後の県政に対して多大な影響も予想されることから、県政の一翼を担う県議会においてもコスモパーク加太対策検討委員会を設置し、県民を代表して検討を行ったところであります。県当局におかれましても、検討委員会の報告を受け、金融機関と鋭意精力的に交渉を重ねられました。金融機関とは合意に至らなかったところであります。その後、裁判所を介して問題解決を図る目的で、県土地開発公社は七月の二十三日に金融機関を相手方として特定調停の申し立てを行い、今日までに五回もの調停が行われたとのことでございますが、いまだ金融機関との間で合意に至っていない状況であります。このように、県土地開発公社借入金の問題が長期にわたり未解決のままの状態は、県土地開発公社及び金融機関の不安定な状況が継続するものであり、決して望ましいものではないと思うのであります。
 そこで、現在に至るまでの調停において県はどのような主張を行ってこられたのでしょうか。また、今後の調停に対してどのように取り組まれていくのでしょうか、あわせて知事にお尋ねをいたします。
 次に、IT総合センターについて質問をいたします。
 IT総合センターは、単なる教育・研修機関にとどまらず、産業支援、地域支援、IT普及啓発など、さまざまな機能をあわせ持ち、先日、白浜・田辺地区が指定を受けたITビジネスモデル地区の中核施設として位置づけられるなど、紀南地域における産業振興と県民生活の充実に極めて重要な役割を果たすプロジェクトであると私は認識しております。このような認識のもとで私も、県ひいては地域の発展を願い、この事業を積極的に支援してまいりましたが、地盤沈下による工事中断という思わぬ事態が発生をし、大変憂慮していたところであります。
 そうした中、このたび地盤沈下の原因が判明し、対策工法が決まったことを受けまして、九月補正予算案に地盤沈下対策費四億二千四百万円を含む関係経費が提案されているところでありますが、このような対策が必要となったことについて、知事の所見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、来年秋には地域情報化に関する全国的イベントである全国マルチメディア祭の開催が予定されておりますが、私はこれこそIT総合センターの完成を祝う最適のイベントだと認識しているわけであります。工期が来年十月末まで延長されたことによってこのイベントの開催に影響はないのか、あわせて知事にお伺いをいたします。
 続いて、以下三点について県土整備部長にお尋ねをいたします。
 まず一点目は、一部新聞報道によりますと、着工前の地質調査で極度の不同沈下発生を念頭に置いて基礎構造を計画すべきだということが指摘されていたとの記事が書かれているが、もしそれが本当なら、設計段階でくいを打つとか地盤改良をするとかの対策を考える必要があったのではないか。
 次に二つ目として、今回の対策費の中で、沈下現象に気がつかず工事を進めた部分の工事費約一億二千万円を請負業者等がみずから負担することになっているが、沈下に対する責任がないと判断した中でこのような処置は適正であるのか、お尋ねをいたしたい。
 次に三つ目として、建物はくい及び地盤改良でとめることができるとしても、駐車場や排水路などの屋外施設についてはどのような工法で対応するのか。
 以上、三点について答弁をお願いをいたします。
 次に、緑の雇用事業の実績と今後の展開について質問をいたします。
 本定例会冒頭の知事の説明にもありましたように、私は、緑の雇用事業はだんだんと広がりを持ちつつあることを実感しております。ご承知のとおり、緑の雇用事業は昨今の社会情勢の変化により手入れのおくれている森林が増加している中で、環境保全を重視する森林を環境林として整備を進めるということであります。先日も新聞を拝見いたしましたが、森林保全を新たな雇用の場として活用し、都市から県内へ二百七十一名の方を呼び込むとともに、新たな展開として企業等と連携した企業の森づくりに取り組むなど、緑の雇用事業の先進的な取り組みと実績に感謝しているところであります。
 こうした本県の取り組みは過疎化や高齢化に悩む全国の自治体にも大いに影響を与え、さきに「緑の雇用」議員の会が結成されたのを初め、自治体レベルでも都市と地方の共感を深め、「緑の雇用」推進県連合による共同アピールや共同政策提言を行うに至ったことは周知のとおりであります。このような動きが功を奏して、このたび緑の雇用担い手育成対策が平成十六年度農林水産省予算概算要求に盛り込まれることになったものであり、県議会としても、県当局と足並みをそろえ、今後の予算成立に向けて精いっぱい頑張っていきたいと考えております。
 仄聞するところによりますと、老人ばかりの山里に若い夫婦が住居を構えるということは、地域にとっても活気が出て大変喜ばしく、地域のイベントや奉仕作業に進んで参加し、休日には飲料水用のパイプ点検やひとり暮らしのおばあさん宅の草刈りや掃除の手伝いなど、今や地区の中でも貴重な存在と認められた方もおられるようであります。また、新規に作業員が従事することについて地元の作業員は、仕事をよそから来た者にとられるといった批判の声もあったようでありますが、最近では熱心な仕事への対応ぶりに周りの作業班にもよい刺激になっているという話も承っております。これらの人材は、林業だけではなく地域にとっての貴重な担い手でもあり、引き続き地元で頑張っていただくためにも、ぜひとも予算を成立させていただきたいと考えております。
 しかしながら、今後も森林整備を中心とした緑の雇用事業だけで人材を地元にとめるのは、収入の面からも難しい部分もあろうかと思います。これらの人材の活用のためには、農林水産業全般への広がり、あるいは観光関連産業や地場産業などでの受け入れなど、地域住民、関係団体、地元自治体が県と一体となって積極的に推進していく必要があると考えております。
 つきましては、緑の雇用事業に広がりを持たせるために今後どのように取り組まれるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 まず一点目に、就農支援を初めとした第一次産業全般でどう取り組まれるのか。
 二点目に、観光産業や地場産業とのかかわりの中で緑の雇用事業を活用する方策をどのように考えておられるのか。
 三点目として、都市からの活力を導入する企業の森は今後どう展開されるのか。
 以上の三点について、知事の所見をお伺いいたします。
 続きまして、中高一貫教育について質問をいたします。
 知事は、去る七月の二十二日、向陽高等学校に県立中学校を設置し、県内で初めての併設型中高一貫教育を行うと発表されました。私は、思春期という人間の最も難しい成長過程にあるほとんどの中学生が高等学校へ進学するという教育環境において、中学校から高校にかけてのこの六年間にどのような教育制度を整えておくかということは、今日の社会の現状にかんがみるとき、大変重要な課題であると認識しております。そのため本県では総合学科や単位制高校の設置など、特色のある教育を行ってきたものと理解していますが、こうした高校教育の改善にとどまらず、学校制度として公立の六年間一貫教育の仕組みを提供していくことは今日の県民ニーズに的確にこたえるものであると確信しており、このような教育改革の取り組みに対しまして私は大いに賛同いたすものであります。
 県立の中高一貫校では、ぜひともトータルな意味での人間教育を行っていただきたいと思っています。六年間の計画的な教育課程を編成する中で確かな学力を身につけさせることは当然のことでありますが、それに加えて社会性や人間性、幅広い教養等を身につけさせることによって、次世代の和歌山県を牽引することのできる人材を育成していただきたいと願っております。
 ところで、国では、この中高一貫教育校が通学範囲の身近なところに一校整備されるよう設置目標を定めています。私は、本県においてこうした併設型中高一貫校が適正に配置されるべきであると考えております。現状では六年間の一貫教育を実施している私立高校は和歌山市を中心としたところにありますので、紀南地方を含めて県内のすべての保護者や生徒が中高一貫教育を選択できるように今後県立中学校を計画的に整備していくことが重要であると考えておりますが、このことについて今後どのように進めていかれるつもりであるのか、教育長にお尋ねをしたいと思います。
 なお、先日、教育委員会において熊野高等学校に県内三校目の総合学科を設置するとの発表がありました。総合学科については、平成六年度に和歌山高校、平成九年度に有田中央高校が設置され、大きな成果を上げていると聞いておりますが、かねてから紀南地方にも総合学科を設置していただきたいという強い希望があり、田辺・西牟婁地方のPTAや学校関係者からも寄せられていた経緯があり、それにこたえる形での今回の決定に対し、この場をおかりしてお礼を申し上げておきたいと思います。
 次に、今後予想される東南海・南海地震等の大規模災害発生に備えた防災体制の充実強化のための防災センターの早急な整備が待たれるところでありますが、防災センターを含めた分庁舎について質問をいたします。
 知事は六月議会において防災センターについては分庁舎機能を持った建物として整備したいとの答弁がありましたが、現在の県庁舎の執務環境を見た場合、廊下を初め各課室において書類等が山積みされ、防災上や美観上決して好ましい状態ではなく、また会議室も少なく狭隘な執務スペースの中で事務を行っていることから、私は、災害時に迅速な対応をするためにも、また県民に対するサービスの向上のためにも、執務スペースの改善がぜひ必要であると考えるところであります。
 そこで、分庁舎の建設規模についてどのように計画されているのか、また防災センターの機能及び庁舎の執務環境の改善についてどのようにお考えになっているのか、知事にお尋ねをしたいと思います。
 次に、近畿自動車道紀勢線御坊─南部間の早期供用開始についてでありますが、まず、県民の悲願である近畿自動車道紀勢線の南伸が知事を初め関係者のご努力、地権者のご協力により着実に進捗していることに感謝申し上げたいと思います。
 御坊─南部間の工事進捗については、八月の二十五日、和歌山県議会高速自動車道紀南延長促進議員連盟主催で実施した現地調査では、町田会長初め県議十七名、御坊市から串本町の関係市町村長、また日高・西牟婁振興局長など関係者総勢五十五名の参加をいただき、工事の進捗状況を調査させていただきました。また、建設委員会の九月三日の県内視察におきましても当区間の工事進捗を調査させていただいたところであります。御坊から南部までの延長二十一・四キロを、一部現道を走ったものの、ほとんどの区間を大型バスで走行し、工事の進捗状況に驚きと喜びを感じたところでございます。
 そこで、供用開始の時期について県土整備部長にお尋ねをいたします。
 お正月を温泉で過ごす観光客や一月から二月にかけての南部、南部川あるいは上芳養、石神の観梅客などによる経済効果等を考えると、紀南地方にとって年内に開通するメリットははかり知れないものがあると思います。そこで、ぜひとも平成十五年内の供用開始が実現するように願っているわけですが、県土整備部長の前向きな答弁をよろしくお願いいたします。
 また、アクセス道路整備につきましても御坊─南部間の供用にあわせて整備されるよう、これは要望とさせていただきますので、このことについてもあわせてよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、県道白浜温泉線と国道四十二号との交差点である富田橋交差点について質問をいたします。
 国道四十二号を田辺方面から走ってまいりますと、本交差点に右折レーンがないため、富田橋を渡り白浜方面に行く車が一台でもあった場合、後続車がつかえ渋滞が発生している状況で、地元から交差点改良に対する強い要望があります。将来、高速道路が白浜インターチェンジまで延伸した場合におきましては車が交差点に集中することが予想されますので、インターチェンジと白浜温泉や南紀白浜空港を結ぶ道路として都市計画決定している白浜空港フラワーラインの整備等、抜本的な対策が必要でありますが、それまでの間、本交差点は白浜温泉への南の玄関口でもあり、現時点の対策として早急に交差点改良が必要と考えますが、県土整備部長の考えをお聞かせください。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革についてのご質問でございます。
 骨太の方針に三位一体、すなわち補助金の削減と、そしてそれに見合う税源の地方への移譲と交付税制度の見直しと、これが上がったこと、特に税源の移譲が言われたということは私は画期的なことだというふうに思っております。
 しかしながら、実はこれは大変難しいことでございまして、今現に行われている予算編成の中でも必ずしもそういう方向が生かされているというふうにはなっておりませんし、そういうふうな中で私自身、これからの日本の社会は、国は国の仕事を思い切りやっていくと。それから、住民の生活にかかわるようなことは地方公共団体がこれまた責任を持ってやっていくと。そして国は、地方公共団体に対してお金をもっておせっかいをすると──おせっかいと言ったら悪いですけども、介入するというようなことはなくしていって、むしろ大所高所から地方へいろんなアドバイスをするというふうな形の役割分担が望ましいと、このように考えているところでございまして、そういう中での三位一体ということが実は国の方から出てきているということ。これは一つはいいことなんですけれども、やはり地方の方からもこうあるべきだということを言わなければ、これは今までのお仕着せの地方分権ということから一歩も出ないのではないかというふうなこと。
 それから、もう一つは、おいしいところだけつまみ食いされて、補助金はなくなったけれども、税源は来なかったとか、そういうふうなことになるということになるとこれはもう地方公共団体にとっては致命傷になりますので、そういうことがないように、先般、二十一世紀臨調の知事・市長会議という場を通じてそのような主張をなしたところでございます。
 その中で、一定の補助金については税源移譲が八割でということで計算したわけでございますけども、これはあくまで試算をしたということでございまして、地方の方でもやはり、今国の方も大きな借金をしながら補助金を出しているということはあるわけでございますから、地方の方でもやっぱり一定の努力ということは必要であろうということの中でそういう試算を行ったということで、これが確定的なものであるということではなくて、むしろこの意義としては、地方の方からそういうことを積極的に言っていって、国のなかなか動きがたい大きな壁を動かしていこうというふうなことをしているというところだというふうに考えております。
 次に、コスモパーク加太に係る特定調停のことでございますけれども、ご質問にありましたように、特定調停につきましては、八月五日を第一回目とし、九月三日までの間に合計五回の調停が行われた中で県も利害関係人として参加し、調停成立に向け鋭意努力を重ねてきたところでございます。ただ、いまだ金融機関とは合意に至っておりません。
 調停の中では、県の保証の考え方について主張をするとともに、県土地開発公社の再建を支援する観点から、公社借入金の長期返済や将来金利の減免等についても主張を行ってまいりました。私といたしましては、今後も引き続き調停の中で本問題の解決を図ってまいりたいと考えており、これまでと同様に、さきにご検討いただきましたコスモパーク加太対策検討委員会からの報告を十分踏まえ、県民に納得していただける結果となるよう最善を尽くすとともに、できるだけ早期の解決に向け努力を行ってまいりたいと、このように考えております。
 次に、IT総合センターの地盤沈下の問題でございます。
 地盤沈下のため半年近く工事が中断し、県民の皆様に大変ご心配をおかけしたところでございますけれども、九月一日から工事が再開をいたしております。
 原因につきましては、後ほど部長の方から詳しくご説明をいたしますけれども、岩塊がぼろぼろと細粒化するスレーキング現象が引き金となっており、設計に当たっての調査においてこれを予測することは極めて難しかったと、これはもう技術的な話でございますけども、私の方は報告を受けているところでございます。
 IT総合センターにつきましては、白浜・田辺ITビジネスモデル地区やIHS構想などの中核施設として大きな役割を果たすことが期待されておりますので、地域の活性化と発展につなげるためにも施設の早期完成ということを願っているということでございます。
 次に、マルチメディア祭につきましては、開催は平成十六年、来年の十一月を想定しておりまして、このITセンターをメーン会場として使用することは可能であると、工期の延長が開催に影響を及ぼすことはないと、このように考えております。
 次に、緑の雇用の問題でございます。
 ご質問にもありましたように、緑の雇用、非常に全国的な広がりを持ってきておりまして、これは喜んでいるんですけれども、確かにいつまでも税金をもって雇用を続けると、税金をすべて財源として雇用を続けるということは非常に難しいので、これを広がりを持たしていかなければなりません。
 一つは、CO2の吸収ということを観点として公的な仕事を、例えば森林組合なんかへ委託していくようなものを国とともに考えていく必要がありますし、それから観光でありますとか、それから木をできるだけ公共事業でありますとか県の事業に使っていくというふうな形で需要を喚起するとか、いろんなことを多面的にやっていく必要があるというふうに考えております。
 そしてまた、これ今、緑の雇用ということで中山間の山を守るということを中心に考えておりますけれども、これを農業の方にも広げていこうということで、農業版緑の雇用事業というものを積極的に進めようと思っております。これにつきましては、今御坊にあります試験場を新規就農ワンストップ支援センターというふうな形で機能変化をさせていって大きくここをそういうものの中心にしていきたいと、このように考えておりますし、そういうふうな方向で農林水産省も来年の予算に概算要求が出たというふうに聞いておりますので、こちらともタイアップしてこれも進めていきたいと思います。
 それから、もう一つは海でございます。海も、一昨年から海遊事業というのを進めておりまして、これについても漁業に従事する若手の人なんかを中心に徐々に理解が深まってきているというふうに思っております。こういうものを核といたしまして、私は海についてもある意味では海の振興事業というふうなものを新たに大きく打ち出して、森林、そして農業、そして海というふうな、和歌山で非常に大事なこの三つ、それこそ三位一体でやるようなことをこの和歌山の新しいふるさとづくりの核にしていきたいと、このように考えているところでございます。
 そして、あわせて企業の森につきましては、これをただ単なる雇用の問題だけにするのじゃなくて、例えば企業であるとか、労働組合であるとか、NPOであるとか、こういうふうなところと連携をしながら和歌山の森を大きく振興していくということをねらっておりまして、以前、ユニチカユニオンが和歌山県内に企業の森を設置してくれたんですけども、つい先般は本宮町に関電の労組がこのような森を設置してくれることになりました。これは一つ大きなこれからのいい方向になってくると思いますので、どんどんこれPRして、和歌山にこういうふうな企業の森を持たなかったら恥ずかしいというふうな感じになるようにしていきたい、このように考えております。
 それから、次に分庁舎の問題でございます。
 先般の議会で一応、防災センターを含めた分庁舎をつくっていくんだということを申しましたけれども、きょうその規模についてここでご報告したいんでございますけども、高さとしては十二階建てというふうなことを考えておりまして、防災センター部分が四千六百平米、それから庁舎部分が五千四百平米、合計一万平米ぐらいの建物を考えております。そして、屋上には防災用のヘリポートというものを設けたような施設にしていきたいというふうに考えております。そして、この防災センターには総合防災情報システムでありますとか衛星系の無線というものを備えて、文字どおり、昨日地域指定の案が出ましたけども、本当に東南海・南海地震に備える和歌山県の中核という形で持っていきたいと思っております。
 それから、もう一つは、ご質問にもありましたように、非常に和歌山県庁、この議会も含めて手狭になっております。そういうふうな中で、私も組織変更をどんどんやってるんですけども、組織変更をやっても建物自体が全然変わらないんでは、やはりこれ仕事の運びにいろいろ支障が出てくるというふうな面もありまして、この十二階建ての分庁舎をつくって、そこへいろんなものが入っていくことによってまたこの本庁舎とか議会部分とか、そういうところが大きくスペースを使えるような形になっていくと、そしてまたそれにも手を入れていって本当に、大きな新しい庁舎をつくることはできませんけれども、しかしながら、こういうふうな分庁舎によってこの和歌山県の執務機能というふうなものを高めていきたいと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 大沢議員にお答え申し上げます。大沢議員からは、IT総合センターに関して三点、近畿自動車道に関して一点、国道四十二号について一点、都合五点、お尋ねがございました。
 まず、IT総合センターの地盤沈下の予測についてのご質問です。
 地盤沈下の原因についてでございますが、本年二月から原因究明のためボーリング調査八カ所、コア採取による土質の判別、地下水位の変動を把握する水位調査、傾斜計設置などによる水平変位調査、土の物理的特性を把握する土質試験、岩の崩壊の程度や脆弱性を判別する岩石試験等を実施し、あわせて沈下量についても二百十三カ所で計測いたしました。
 その結果、盛り土中に含まれる岩塊が乾燥、湿潤を繰り返すことによりぼろぼろと細粒化するいわゆるスレーキング現象による水浸沈下を起こしたことが原因であると判明いたしました。当初の地質調査では、高盛り土であることから、土質やそのかたさを調査するため、通常より多い十カ所のボーリング調査を実施し、地盤の支持力を調べるため平板載荷試験等を実施しておりました。これらの地質調査についても、コアサンプルを含め調査結果資料をすべて今回調査した結果、盛り土材料は岩質のかたい砂岩を主体としたもので、その時点でスレーキング現象を予測することは極めて困難であると思慮されます。
 なお、当初の地質調査においては盛り土のスレーキング現象による沈下は予測しなかったものの、建設直後に一般的に生じる沈下として三・四センチメートルを予測しており、建物の基礎構造について、くい基礎構造とするか連続布基礎構造にするかの二案が提案されておりました。建物の設計においては、これらの地質調査結果をもとに検討し、基礎の剛性を高め、不同沈下に対応した連続布基礎構造を選定しております。このような地質調査結果を踏まえれば適切な設計であったと判断されます。
 次に、請負業者には地盤沈下に対する責任がないとした中、一・二億円の負担を求める措置が適正であるのかというお尋ねでございます。
 請負業者は今回のスレーキング現象による地盤沈下の原因には直接関係がないため、沈下に対する責任はないと判断いたしました。しかしながら、基礎工事に当たり長期間にわたって沈下に気づかず工事を進めていたことは事実であり、施工管理上に問題があったことは否定できないと思われます。このことから、今回、くい基礎を施工するために支障となる基礎部分の対策工事費用については施工業者等がみずから負担することといたしております。
 次に、屋外施設に対する対策工法についてのお尋ねでございます。
 ご指摘のように、建物については沈下を起こさないように対策を講ずることとしておりますが、建物以外の部分については、ある程度の沈下を前提に、出入り口部分についてはスロープ等の設置により段差の解消を図るとともに、沈下に対応する配管材料を使用することとしております。また、沈下をできる限り少なくするため、雨水が浸透しないようアスファルト舗装を行い、スムーズに雨水が処理できるよう排水路を適切に設置する等の対策をあわせて実施することとしております。
 次に、近畿自動車道紀勢線御坊─南部間の早期供用開始についてでございます。
 近畿自動車道紀勢線御坊─南部間につきましては、現在、日本道路公団が平成十五年内の供用を極力視野に入れながら最終段階の工事を進めており、県としてもその実現に向けて引き続き強く働きかけてまいります。
 最後に、国道四十二号富田橋交差点の改良についてのお尋ねがございました。
 富田橋交差点の改良につきましては、既に国土交通省紀南河川国道事務所において右折レーンの設置について検討中であると聞いております。今後、県としても必要な協力をしながら、国に対し早期に計画を策定し工事着手するよう働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 中高一貫教育の推進に関するご質問にお答えいたします。
 中高一貫教育は、中等教育に対する県民の多様なニーズに対応し、現行の中学校、高等学校に加え、生徒や保護者が六年間の一貫した教育課程で学ぶ機会を選択できるよう導入いたしたものであります。
 特色ある公立の中高一貫教育を提供することにより、確かな学力を身につけさせ、個性や才能をより一層伸ばすとともに、議員ご指摘の人間教育を展開する中で豊かな社会性や幅広い教養など、未来を切り開くリーダーに必要な資質や能力を養成していく考えであります。
 今後の併設型中高一貫教育校の設置については、より広い範囲の生徒や保護者が選択できるよう、全県的な地域バランス等も考慮しながら、適切な配置に向け鋭意努力してまいります。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十四番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 ただいま、知事初め関係部長から答弁をいただきましたが、IT総合センター、この問題は大変大きな問題もあり、この九月定例会で私以外にあと四、五名の議員の方からこの問題について質問があると聞いております。ですから、私も実は建設委員会にも属させていただいておりますので、また委員会の席でいろいろと細かく質問もさせていただきたいと思います。
 しかし、大変重要な問題でありますので、一点だけ要望をさせていただきたいと思っています。特に私は地元議員として、IT総合センターに関しまして要望いたします。
 今回は予想できないスレーキング現象を原因とする地盤沈下により工期のおくれが生じるとともに、四億二千四百万円もの追加事業費が必要となったことでありますが、当初の計画事業費に加えて四億二千四百万円の大きな追加事業費が必要となったことについて、私は県民感情からすれば納得しにくく、まことに遺憾なことだと思っております。
 今後は、この経験を貴重な教訓として、将来における新たなプロジェクトに取り組まれる際には十分生かしていくことが肝要であると考えております。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十二番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次質問に入らせていただきたいと思います。
 まず、質問に先立ちまして一点ご報告をさせていただきたいと存じます。
 去る七月の八日、九日と、私ども新生わかやま県議団六名は、議員の政策提案条例とそして議会改革について、また世界遺産登録事業への和歌山・奈良・三重三県の取り組みについて、次いでNPO事業への取り組みについてなどを目的といたし、三重県に視察に行ってまいりました。
 特にこの中で、議員の政策提案条例につきましては、三重県生活創造圏ビジョン推進条例や県が所管する公益法人及び公益信託に関する条例等、全部で八本出されておりまして、これは全国で宮城県に次いでの数であるとのことでありました。ちなみに、条例一本つくるのに約一年かかったそうでありまして、議決するまでの間の議会と当局との苦労やその手順などについて、熱く語られておったわけでございます。
 なお、当日、ご多忙の中、三重県議会より三名の議員さんと、そして当局から議会事務局政策法務監初め教育委員会、地域振興部、生活部NPOチーム主幹等、十二名の方々が出席をしてくださり、活発な意見交換が行われました。私どもにとりましても、また本県にとりましても得るものがたくさんあったことを、まずご報告をさせていただくものでございます。そして、県政をもっと身近に、オープンに、開かれた議会にという言葉がたびたび聞かれ、私自身もそのとおりだと感じた次第でございます。
 よって、本県におきましても、既に知事、議会、当局、それぞれが広報誌やホームページ等を使い、そのご努力をされているところは十分承知をいたしておるわけでございますけれども、今以上にもっと身近に県政を感じていただくとともに開かれた議会というものを目指す、また議会というものを県民にご理解していただくために、本日も大変ご多忙の中、多くの皆さんに傍聴においでいただいております。
 私はこれから三項目にわたり質問をさせていただきますが、まず、安心、安定、安全の三つを県民に提供すべき生活者基点の立場に立ってそれぞれ質問させていただきますので、何とぞ、知事初め県当局の方々におかれましてもその点ご理解をいただきまして、熱のある積極的なご答弁のほどをよろしくお願いを申し上げます。
 では、質問に入ります。
 まず第一点目、今議会に上程されております議案第百四十三号工事請負変更契約の締結についてといたし、仮称IT総合センター建築工事についてお尋ねをいたします。
 元契約金額二十一億一千五十万円、変更契約金額二十五億三千四百七十三万三千五十円とありますが、これは地盤沈下対策経費として約四億二千四百万円の増額補正となっております。
 そもそも、平成十四年六月より平成十六年三月を工期として、県民の大きな期待のもと、田辺市新庄町東内ノ浦の地に平成十二年十月、地元田辺市から約十億円にて造成地約四・八ヘクタールを取得、そこに鉄骨づくり平屋、一部二階建て、建築面積約八千五百平方メートル、延べ床面積約九千四百平方メートル、総工事費約四十二億五千万円にて、さまざまなIT活動の情報発信の拠点となり得る複合的機能を有する施設として、この建物が建てられるものと解釈をいたしておりました。
 しかし、本年二月中旬、基礎のアンカーボルトの位置が一部で低いことが判明いたし、この工事を一たん中断し、その原因調査と対築工法の検討をしてきたとのことでありました。その結果、現在も沈下は進行しているものの、その沈下量については七月ごろから減少傾向を示していること、及び地すべりのおそれがないこと等により工事を再開することにした旨の報告が県当局からなされました。
 先ほど、大沢議員よりこのことについて質問がなされ、知事初め担当部長より答弁がなされたわけでありますけれども、いま一度、過去の事実関係についてこの場で確認をさせていただきたく質問をさせていただきます。
 まず、地盤沈下の原因と土地造成について、県は工事写真や試験結果資料等、その検査内容の調査及び関係者より聞き取りを行ったのかどうか、またその内容はどうであったのか。次に、基礎の設計について、地盤支持力等、地質調査の結果において適切な設計をしていたのかどうか。そして、今後完成までのスケジュールについて。以上三点、県土整備部長にお伺いをいたしたく存じます。
 二点目の質問に入ります。
 私のみならず過去多くの先輩・同僚議員の皆さんが、今日までこの議場において多くの時間をコスモパーク加太問題に費やしてまいりました。テーマパーク誘致の可能性や紀淡海峡道路等に関連したインタージャンクション用地としての使用の必要性、さらにはドーム型スキー場、そしてナショナルトレーニングセンターの誘致や現在紀三井寺にありますスポーツ施設の移設等々でありました。そして、それは関西国際空港土取り跡地に二十一世紀の新しい都市を築くという構想が和歌山県の発展に大いに貢献するだろうと考えたからであります。
 それが、社会経済の激変といった事情もありますが、土取り終了後十一年以上経過した今日に至っても広大な粗造成地となったまま放置されているのを見るにつけ、この地に夢を見、経過に心を痛めた私といたしましても大変残念でなりません。正直言って、今もって土地開発公社に多くの借入金を残した土地ではありますが、しかし、和歌山県内で唯一まとまった平地であり、これからもそのやり方次第では県民の生活の向上に多くの夢を描ける土地でもあり、その利用が和歌山県発展のためには大変重要な土地であることも事実であるというふうに考えます。
 現在、県が土地開発公社から一定期間お借りをいたし、県により利用を促進するという方向で土地開発公社の債務について金融機関と和歌山地方裁判所において特定調停されているところでありますが、県当局は本県の将来を見据え、話し合いに挑まれていることと存じます。
 そこで、まず、さきの質問にもございましたが、現在の特定調停の進捗状況について企画部長よりご報告願いたく存じます。
 次に、コスモパーク加太に進出予定となっておりますカゴメ株式会社のいわゆる大規模トマト生産工場の進捗状況についてお尋ねをいたします。
 これは、四十ヘクタールの土地にコンピューター管理されたアジア最大の二十ヘクタールのトマト養液栽培施設が建設され、農薬のかわりに害虫の天敵でありますある種のハチを使用し、廃棄物はリサイクルされ、約三百人の新たな雇用が生まれるという、まさにハイテクトマト生産工場と言っても過言でないものであります。上水道等、地元和歌山市との協議もあり、インフラが未整備な土地への誘致ということでご苦労もあろうかと思いますが、厳しい社会経済状況の中で久々の明るい話題として私は大いに期待をいたしております。
 現段階でのカゴメ株式会社との協議状況について、また地元和歌山市との協議状況についてお教えいただきたく存じます。
 さて、本年四月に国の中央防災会議専門調査会から東南海・南海地震の被害想定が発表され、まさにそれは巨大地震の恐ろしさを私たちに改めて認識させられた結果でありました。人的被害は死者最大二万五百人、建物倒壊は最大十八万二千二百戸というものであり、経済的な被害は交通網の遮断に派生する間接的なものを含め約五十六兆円、一週間後の避難者は四百四十万人に上ると予想され、和歌山県に至りましては、死者最大五千百人、建物倒壊七万六千戸という想定結果でありました。これは、地震が発生する季節や時間、天候等により、また住民の防災意識の高い・低いにより幅を持った最悪の数値とのことでありましたが、いずれにいたしましても想像以上の被害をもたらすことに改めて驚いたのは私だけではなかったというふうに思います。
 先ほど知事おっしゃっておりましたが、けさの新聞の方にもこのことについて、本県のほぼ全域、四十八市町村が指定された。そのことにつきまして知事は、予想されていたこととはいえ大変なことというふうにおっしゃっておるわけでございます。私は、忘れてはならないのが、やはり阪神・淡路大震災のことであるというふうに思います。そのときに、要らなくなった自転車を神戸に運びに行ってまいりました。それから、おでんや炊き出し等にも三回ほど神戸に入りました。そのことが今、鮮明によみがえってまいります。
 地震災害の防止対策は、熱く語らなければなりませんけれども、被災を前提とした対策はその被害を冷静に受けとめる必要があるというふうに考えます。知事の率先した行動により東南海・南海地震対策推進特別措置法が公布され、この七月二十五日に施行された中、県の今日までの積極的な地震対策への取り組みを評価していた折、コスモパーク加太対策委員会で県当局から対策案の一つとして、県が加太の土地を公社から借りる旨の説明を聞き、私はある方法を思い浮かべたのであります。
 東南海・南海地震は百数十年前後の間隔で繰り返し発生すると言われており、江戸時代・安政の大地震から九十年後、一九四四年の東南海地震、その二年後の一九四六年に発生した南海地震から半世紀以上が経過をし、今ではいつ発生してもおかしくないと言われております。不幸にも被災し救助を求める人々に対してコスモパーク加太の広大な空間は、支援のための拠点基地として有効に機能すると考えたのであります。
 建物の耐震性は、テクノロジーの発達により全体として向上していくことでありましょう。それゆえに、二十二世紀に起こるであろう次の次の地震時には建物倒壊の数は飛躍的に少なくなっているはずであり、急な支援が必要な人々も同様に少なくなっていることとは思います。人類の知恵としてぜひそうあってほしいと思うものであります。
 よって、今度の地震に対してのみ被災者支援にはある程度のまとまった空間が必要になってくるのではないかと考えるのであります。もちろん、土地開発公社の土地でありますから、最終的には和歌山県発展のため企業誘致や各種施設の土地として販売する必要がありますけれども、来るべき地震に備えて上下水道等、基本的なインフラ整備の上、コスモパーク加太の一部を、ふだんは県民の憩いの場としての広場や市街地に住む人々に対して四季折々の草花を植え、自然や土地と親しむことのできる公園や、例えば貸し農園等として広く県民に開放し、事が起こった場合には即座に必要な用途に転用するといったフレキシブルな対応ができる暫定的な利用ができる部分として確保する必要があるのではないかと思うのであります。
 そういった意味からも、東南海・南海地震といった長いスパンではありますけれども、近い将来必ず発生するだろうこの巨大地震災害の被災者救援に際しましては、長い時間をかけて恒久施設を整備するのは難しいものがありますけれども、暫定的に空間を確保しておくといった対応は効果的であるというふうに考えます。
 また、現在、二期土取りの土砂を砕く施設として土地開発公社が企業に貸与している投入口は、地表部分こそほとんど見えない状況ではありますけれども、深さが約三十メートル、長さが約七十メートルもあり、擁壁も一メートルのコンクリートでつくられており、非常に頑強な施設であるというふうに聞いております。ちなみに、地下に、今の広さは経済センタービルがそっくりそのまま入るほどの約三万立米にも及ぶ空間があるというふうに聞いております。これは平成十九年三月終了予定の二期土取り後は不必要となるものと聞いておりますけれども、災害救援のための広域な地下施設、例えば食料等の備蓄倉庫や地下会議室等として改修、利用ができるものではないかと提案をいたすものでございます。この施設は、コスモパーク加太が支援中核基地となった場合、その機能を十分に発揮できる広さと空間を持ったものになるだろうと、私は大いに期待できるものと感じております。
 今回の地震の被害想定を考えますと、コスモパーク加太と同様に、紀中・紀南地方にも拠点となるところが必要と考えます。それらにつきましても、現在県が所有する未利用地となっているところを活用すれば対応していくことができるのではないかと考える次第でございます。
 以上のように、コスモパーク加太の抱える債務問題、土地利活用問題の解決の中で県が一定期間、利活用にかかわる方策の一つとしてコスモパーク加太の一部を東南海・南海地震に対する防災救援機能を持たせた、暫定的ではございますけれども、その可能性について知事のご見解をお伺いしたいと存じます。
 最後の質問に入ります。
 私は、今日まで人権について何回か、この場から質問をしてまいりました。同和対策について、男女共同参画について、高齢者問題について、また児童虐待についてなどがそうでありました。今回は、色覚特性の問題についてお伺いをいたしたく存じます。
 なお、今回この問題を提起するに当たり、一言申し添えさせていただきたいと思います。このことにつきましては、差別的表現を避けるため種々の表現がなされており、例えば本年五月に出されております文部科学省の「色覚に関する指導の資料」──これでございますけれども(現物を示す)──この中では「色覚異常」という言葉が多々使われておるところでございます。しかし、私はこの表現がどうも余り好ましくないと感じ、また日本色覚差別撤廃の会というのがございまして、こちらの資料の中には「色覚特性」というふうに書かれてあるわけでございます。私は今回、この質問に当たり、「色覚異常」ではなく「色覚特性」、つまり人間には個人差があり、色の見え方も必ずしも同じではないということであって、この言い方を使わせていただきたいと思います。その意味を十分ご理解の上、お聞きをいただきたく存じます。
 これまで本県は福祉の町づくりに関するさまざまな施策を進めていることは十分承知をしているところでありますけれども、色覚特性に配慮したバリアフリー、いわゆる色のバリアフリーについての取り組みは、残念ながら極めて不十分な状況であるというふうに感じております。
 かつては、色覚特性を有する方々は、就職や大学進学の際などに不当な取り扱い、つまりある種の差別を受けてきたという事実がありましたが、関係者の今日までの長年のご努力によって、そのような企業や学校は少なくなってきました。
 いわゆる色覚特性を有する方々は、男性で人口の約五%近く、女性で約〇・二%いると言われており、学校において言うならば、四十人のクラスに一人の生徒さんがいるということになります。
 色覚特性は、遺伝子遺伝の特徴として男性に症状があらわれる確率が高いわけでありますけれども、女性の場合も〇・二%、五百人に一人の割合とはいえ、我が国の総人口から見れば約十二万人という数に上ります。男性に至っては約三百万人という計算になり、本県におきましても男女合わせて約二万六千人もの方がおられると推計されております。
 また、女性については、この症状があらわれていなくとも保因者である場合があることから、昔よりこの問題にかかわるさまざまな差別がありました。その意味におきまして、これは女性の人権にかかわる問題であるとも言えるわけであります。さらには、色のバリアフリーは色覚特性を有する人だけでなく、今後ますます進んでいくであろう高齢化社会におきましても、白内障に代表される目の疾患等を抱える高齢者の方々にとっても大変大切な問題と言えると思います。
 昨今の情報通信技術の進展、とりわけカラー印刷の技術の向上によってフルカラーの表現、表示等が当たり前のような時代となりました。また、各種の標識、掲示、案内板等がさまざまな色によるデザインを施されて設置をされております。このこと自体は、より美しく便利になった、わかりやすくなったととらえることもできますが、その反面、色覚特性を有する人に対する配慮、いわゆる色のバリアフリーがこれまで以上に重要とされるようになってきたと言えるのではないでしょうか。それまで文字や記号で区別していたものが手軽に色を使い分けることができるようになって、色の違いだけで区別したり表現したりというようなことが目につくようになってまいりました。県庁で作成されたパンフレットや統計資料等にも、時折そのような例が見られることがあります。これらは、だれもが同じように色の違いを見分けられることを前提にしているのでしょうが、色覚特性を有する方々には見にくかったり判別できなかったりするわけであります。
 このパネルをごらんになっていただきたいと思います。(パネルを示す)これは折れ線グラフです。左側の折れ線グラフが見やすいと。現在、使われているのは大体こっち側、ペケとしておりますけれども、こういう感覚で書かれている場合が多いということですね。
 二つ目、これは地図なんかの場合に使われている例が多いと思うんですけれども、やはりこういう形が多かった。それは、こちらの方が見やすいですよという、こういう例のものでございます。
 最後なんですけれども、もうこれを見ていただいたら一番おわかりだと思いますね。
 こういうことで、私は今回パネルを今使わしていただきましたですけれども、見やすさの違いは明らかになるということがおわかりいただいたと思います。
 ちなみに、東京都におきまして交通局が作成している十三色の地下鉄路線図について以前に問題提起がなされ、加えて去る六月八日開催されました日本展示学会においても、伊藤さんという東大の助教授などが東大の研究グループのアンケート調査から、東京都のこの地下鉄の路線図の中に路線名を入れた色分けの説明や数字、アルファベットを付記すればわかりやすくなるとの報告を行っております。
 以上、述べてまいりましたが、今こそこの問題に対し、和歌山県といたしましても先陣を切って色のバリアフリーについて取り組みを行っていくべきと考えます。この取り組みにつきましては、人権のみならず、福祉、県土整備、教育等、関係部局が多岐にわたることから、各部局でノウハウを共有できるような体制づくりと色のバリアフリー推進の指針の策定などを行い、全庁的に進める必要があるというふうに考えます。加えて、県庁内だけにとどまらず、県内の企業や多くの県民が利用する公的施設、商業施設に対しましても色のバリアフリーを働きかけていくべきと考えます。
 そのため、私は一つの提案としてお聞きいただきたいわけでございますけれども、この色のバリアフリー推進のための、例えばシンボルマークのようなものを定めてはいかがでしょうか。その理由といたしまして、一つは、それぞれの部局においてこの問題に対する意識づけを行い、具体的かつわかりやすい形で取り組みを進めることができると考えるからであります。二つ目に、県のパンフレットや広報誌等の印刷物にそのマークを使用することで、県民に対する意識啓発につながるとともに、県内のみならず全国的に和歌山県の取り組みをアピールすることができると考えるからであります。
 色のバリアフリーの推進という考え方について、知事のご所見をお願いをいたします。
 色のバリアフリーは、先ほども述べましたように、多部局にまたがる問題であると同時に、その基本は人権問題であります。しかしながら、この問題は、三百数十万人という身体障害者手帳をお持ちの方々に匹敵するほどの当事者の数がありながら、これまではほとんど触れられてきませんでした。和歌山県では「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画に基づき、同和、女性、高齢者、子供、障害者等、人権の重要九課題を中心とした取り組みが進められていると認識しておりますが、この色覚問題を初め、性同一性障害など、これまで顧みることのなかった人権問題は他にも多数存在するものと思われます。
 現在、平成十四年四月一日施行されました和歌山県人権尊重の社会づくり条例で定められた人権施策基本指針の策定が進められていると伺っておりますが、この色覚問題を含め、埋もれてきた人権問題をどのように指針の中に位置づけていくのか、人権担当部長である企画部長にお伺いをいたします。
 この色覚の話をするとき、私たちの記憶に残っているのが小学校で受けた石原式と呼ばれる色覚検査であります。石原式検査表はもともと徴兵検査の一つとして用いられた非常に厳格なものであり、不十分な環境の中で異常者のレッテルを張られることで大きな心の傷を受けた子供たちが多かったということであります。
 幸いにして、本年四月一日からは学校保健法施行規則の一部改正によって小学校における色覚検査の義務づけは廃止されておりますが、その一方で、教科書や副教材、地図などのカラー化が格段に進んでいることから、学習環境の整備充実と黒板のチョークの色使いへの配慮等、色覚特性についての教員の正しい理解が浸透するよう強く望むものであります。
 教育長、いかがでしょうか、ご見解をお伺いいたしたく存じます。
 以上、少し長くなりましたが、私の一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのコスモパーク加太の土地に東南海・南海地震に対する防災救援機能を持たせて暫定利用してはどうかということのご質問でございますけれども、さきのコスモパーク加太対策検討委員会から、県が主体となり責任を持ってこの土地の利活用を図っていく必要がある旨のご報告をいただいているところでもあり、私もコスモパーク加太の今後の利用については、企業誘致に全力を傾注して取り組む一方で暫定的な土地の利活用も重要であると、このように考えているところでございます。
 そうした中で、昨日も地域の候補が出てきている、五十市町村中四十八が該当するという大変なことなわけでございますけれども、そういうふうな中で防災拠点というものを設置していかなければならないというふうに僕はなってくると思うんですけども、その有力な候補地の一つとしてなってくるだろうというふうな気持ちを私も持っているところでございます。
 それから、投入口を改造して備蓄倉庫等にしてはどうかと。これは、実は私もその現場を見たことがないので、直ちにそれがいいアイデアであるとかいう答えはできないんですけれども、本当にそんな大きな空間があって、しかもセメントで囲われてしっかりしているということであれば、確かに防災資機材とか、そういうふうな備蓄とか、そういうことの置き場とかいうようなことで可能性もあると思いますので、これはやはり検討していくというふうなことについて私はやぶさかではないというふうに思っております。
 それから、次に色覚バリアフリーの問題でございます。
 昔、小学校なんかでそういう検査があって、いろいろ確かに、ご質問の中にそういうことで心の傷を負った人がいるというお話を私今伺ったわけですが、本当に確かにそういことがあったんだろうなというふうに今思っているところでございますけども、この色覚の特性を有する方が日常生活や学校生活等において不便を受ける、社会参加を妨げる障壁となっているというふうなことは、これはご指摘のとおりだと思います。
 色のバリアフリーの推進について、色覚の特性を有する方々が社会において不利益を受けることなく安心して生活が送れるよう取り組まなければならないわけでございますし、また、それをこの和歌山が先進地となってやっていくということは非常に僕は意義のあることだろうというふうに思っております。
 ご提案のシンボルマークについても、今後どのようにあるべきか、これは積極的に検討をしてまいりたいというふうに思いますし、また、色のバリアフリーということは公共施設や商業施設といったあらゆる分野にわたる問題であるため、全庁的な取り組みというものを推進してまいりたいと、このように考えております。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 山下議員にお答え申し上げます。
 山下議員から、IT総合センター建設工事について三点お尋ねがございました。
 まず、地盤沈下の原因と土地造成のお尋ねでございます。
 原因につきましては、先ほど大沢議員にお答えを申し上げたとおりでございますが、盛り土中に含まれる岩塊がぼろぼろと細粒化するスレーキング現象による水浸沈下を起こしたことが原因であると判明いたしております。
 土地造成につきましては、工事写真や各種試験結果資料などの工事関係図書、工事竣工検査及び宅造・開発の検査内容等、現在残っている資料をすべて調査するとともに、当時工事を管理していた担当者からの聞き取り調査を行った結果、妥当な施工がされており、特に問題は見られませんでした。
 次に、基礎の設計についてのお尋ねがございました。
 これも先ほど大沢議員にお答えを申し上げたとおりでございますが、当初の地質調査においては盛り土のスレーキング現象による沈下は予測しなかったものの、建設直後一般的に生じる沈下として三・四センチメートルを予測しており、建物基礎構造について、くい基礎構造とするか連続布基礎構造とするかの二案が提案されておりました。これらの地質調査結果をもとに基礎の設計を行っておりますが、地盤条件や建物形態から検討した結果、基礎の剛性を高め不同沈下に対応した連続布基礎構造を選定しております。このような地質調査結果を踏まえれば適切な設計であったと判断しております。
 最後に、今後のスケジュールについてお尋ねがございました。
 今議会議決後、追加工事に着手いたしまして、十二月末までにはくい工事を完了いたします。来年二月末には鉄骨組み立てを完了し、八月末には建物本体工事を完成する予定でございます。また、十月末までには屋外整備工事及び植樹工事等を含め竣工する予定でございます。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 企画部長野添 勝君。
  〔野添 勝君、登壇〕
○企画部長(野添 勝君) コスモパーク加太に係る調停の進展状況についてお答えいたします。
 県土地開発公社の金融機関からの借入金の問題につきましては、七月二十三日に県土地開発公社が金融機関を相手に特定調停の申し立てを行った後、八月五日を第一回目として九月三日までの間に合計五回の調停が行われました。県も利害関係人として調停に参加し、県の保証の考え方について、また県土地開発公社借入金の長期返済や将来金利の減免等について主張を行い、調停成立に向け全力をもって取り組んできたところでございますが、金融機関との間には主張に隔たりがあり、現在までの間においては合意に至っておりません。
 この問題につきましては、今後も調停の場で解決を図ってまいりたいと考えておりまして、コスモパーク加太対策検討委員会からのご報告も十分踏まえ、できるだけ早期に解決できるよう全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、カゴメ株式会社の大規模トマト生産工場の進捗状況についてでございます。
 月一回のペースで県、和歌山市、県土地開発公社、カゴメ株式会社の間で協議を重ね、コスモパーク加太への誘致に取り組んでおります。カゴメ株式会社との協議では、現在、具体的な施設配置やそれに伴うインフラ整備等について詳細の詰めを行っているところでございます。また、和歌山市におきましても地域の活性化という面から誘致の実現に取り組んでいただいておりまして、上水道、公共下水道や立地に関連する諸法令等への対応について緊密な連携を図りつつ協議を行ってございます。
 議員ご指摘のとおり、環境にも優しい企業の誘致であり、約三百人の雇用創出が見込まれる、またコスモパーク加太の土地の利活用も図れることから、誘致の実現に向け最善の努力をしてまいりたいと考えております。
 次に、色覚問題を含めた埋もれてきた人権問題についてでございますけども、すべての人は平等に豊かな社会の恩恵を享受する権利を持っており、そのためすべての人の人権が尊重される社会づくりを推進しなければならないと考えております。
 議員ご指摘の色覚の特性を有する方々の人権につきましても大変重要な問題であるとの認識をしておりまして、本年六月には県内各市町村及び町内各部局に対しまして、広報誌や資料等の作成時における配慮など、色覚バリアフリーに向けた取り組みを依頼しているところでございます。さらに、色覚問題を含め埋もれてきたさまざまな人権につきましても、昨年四月に施行しました和歌山県人権尊重の社会づくり条例に基づいて現在策定中の人権施策基本方針の中で、さまざまな特性を持つ一人一人の人権が尊重されなければならないとの観点で位置づけてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校における色覚バリアフリーについてお答えします。
 教職員は、学校教育の場においても色の見分けが困難な児童生徒がいるという前提のもとで色覚特性について正しい知識を持って接するとともに、学習環境を整備し、必要な場合は保護者からの個別相談に応じ、適切な対応を心がけるべきであると考えております。
 このようなことを踏まえ、本年六月に文部科学省作成の色覚に関する指導の資料を県内すべての教員に配布するとともに、担当者の研修会においても副教材などへの配慮を行うとともに、不用意な対応等で子供を傷つけることがないよう指導しているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十二番山下直也君。
○山下直也君 ただいま、知事並びにまた教育長、担当部長からそれぞれご答弁をいただきました。
 一点だけ申し上げたいと思います。
 私は、先ほどもおっしゃっておられましたが、人は生まれながらにしてひとしく持っていなければならないはずの人権を尊重されるべく社会づくりが大切であると、これはもう同じ考え方であるというふうに思います。そういう観点から今回、この色覚バリアフリーという質問をさせていただいたわけでございますけれども、恐らくこの問題が提起されましたのは県下では今回初めてではないかなというふうに思っております。まず県が率先して、言うなれば、先ほどもおっしゃっていただいたわけでございますけれども、そのとおりに全庁的な取り組みをしていただいて、和歌山県が全国に先駆けてこの問題に取り組んでいくという姿勢を見せていただきたいというふうに思います。
 エレベーターを設置したり、例えば道路の段差をなくしたり、点字ブロックを設置するといったほかのバリアフリーとは異なりまして、色覚バリアフリーは行政が行う社会基盤の整備を持っていれば進むという性質のものではないというふうに思うんですね。色を用いた毎日の生活といいますか、日々のコミュニケーション自体がバリアフリーの対象であり、この社会に生きるすべての人が当事者である、私はそのように感じます。
 この点から、色覚バリアフリーの推進における最大の障害というのは、これまで見なれたものを、やりなれた習慣、慣習というものを余り変えたくないというような素朴な感情なのかもしれません。しかし、現実に困っている人がいることを知った上でこれまでの慣例をあえて続けることは、これはちょっとやっぱり消極的な対応であるんではないかなというように私は感じました。
 私も、バリアの存在を認識しまして、それを除くような行動を自分ができることから実践していきたいというふうに考えておりますので、何とぞ、くどいようでございますけれども、県ご当局におかれましてもこの問題に対しまして積極的に取り組んでいただきますよう再度要望を申し上げさせていただきまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下直也君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(尾崎要二君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十二番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、質問させていただきます。
 まず、教育の問題から入りたいと思います。
 さきの議会が終わった後、長崎で幼児を中学一年生が殺害するという衝撃的な事件が起こりました。私はこの問題を解明するなどという能力はありませんが、ただ言えることは、今日の社会の病理現象と競争の教育の中で子供の人格の破壊が起こっていること。その問題は、子供を厳しくしつけるだとか、学力向上だとか、それ自体は大変大事なことではありますけれども、単純に強調するだけでは解決しないことであります。「親を引き回してさらし首に」などという暴言を吐いた政治家もいました。それはともかくとして、犠牲者の親御さんが「加害者の親からおわびの言葉もない」と言われました。私は、犠牲者の親御さんのお気持ちはよくわかります。同時に私は、加害者の親御さんが、死にたいような思いで暮らしていらっしゃることにも思いを寄せます。今度の事件で、幼い子供を持つ親御さんたちが、自分の子供がこんな被害に遭いはしないかと心配されたことでしょう。同時に、中学生を持つ親御さんが、自分の子供が加害者になりはしないか、こういうふうに心配した親御さんの方がかえって多かったのではないか、こういう思いもするわけでございます。こういうことが起こっている中でございます。
 それはさておき、その後、木村知事が記者会見をされまして、向陽高校に併設して県立中学校を設立して、中高一貫教育を行うことを発表されました。戦後、小中学校教育は、私学及び和歌山大学附属小中学校を除いて、一般の教育は地域の小中学校で行ってまいりました。ここに県立中学校を設置し、市町村立中学校と県立中学校という二つのコースを置くということは、今後それが広げられていく場合があることを考えれば大改革につながるものであり、十分に慎重でなくてはなりません。
 私は、さきの県議会で、まどろっこしくても教育改革は、保護者、教職員、教育行政が子供の姿をまぶたに浮かべて話し合うことからと県民合意の教育改革を訴えたことは、今度の長崎での事件の報道を聞きながら、ますますそのことの重要性を感じているわけでございます。
 さて質問ですが、第一に、小中学校に複線化を持ち込むことが本当に子供と教育のためにいいのだろうかという問題であります。確かに、中高一貫で高校入試のない学校では、さまざまな新しい試みが行われるでしょう。新しい中高一貫の学校には、多くの保護者が子供をやりたいと希望することは十分に予想されます。しかし、考えられているのは、あくまでも一部の生徒だけを受け入れる選択的中高一貫であります。多くの生徒にとっては、選択したくても選択できないという意味では限定的中高一貫というふうに言った方がいいかもしれません。今問われているのは、中高一貫の学校が望ましいのかどうかではなくて、公立の小中学校教育の中に高校受験をしなければならない一般の中学校と、高校受験の要らない中高一貫校という二つのコースをつくる複線化というものが望ましいのかどうかという問題であります。すべての小中学校、小中学生を視野に入れた判断であります。私は、そういう立場から考えるとき、受験競争の低年齢化、小中学校教育に与えるひずみの問題など、多くの問題を持っていると考えます。また知事は、記者発表で、二、三年のうちに和歌山県の学校教育は全国で五番目ぐらいになると言われています。どういう物差しで全国で五番目と言われているのでしょうか、まず知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 第二番目の問題は、中学校教育に複線化を持ち込む、この県立中学校の設置が、小中学校関係者、保護者、県民によってどこまで議論され合意されたのかという問題であります。
 昨年の六月ごろから、ある高校の特色づくりとして、併設型県立中学校を県教育委員会は推進しようとしていました。私はその当時、和歌山県教職員組合の委員長をしておりまして、それに強く反発しました。それは、県立中学校をつくるという問題は中学校の問題であります。子供を送るのは小学校であります。小中学校の問題を県民的な論議もなしに、一つの高校の生徒集めの特色づくりのために進めることは、これは困るんではないか、これが私の意見でありました。昨年はその計画は見送られまして、十一月から小中学校関係者を集めた検討会が三回にわたって開かれたようであります。こちらにその報告書がございます。私も、その報告書をじっくりと読んでみました。こういう現場の皆さんが集まって議論をした。現場で苦労している皆さんが論議したものであれば、その報告書には現場での苦労や意見がにじみ出るものであります。けれども、どう読んでみても、そういうにじみ出るものがない。委員の中に知り合いの方が何人かおられましたので電話をして、一体どんな議論をしたんですかと聞いてみました。ある方は、「和歌山でやるとしたら連携型しかないのと違うかというのが大体全体の意見だったんだと私は思っていますが」、こういうことを言われた委員の方がいらっしゃいましたけれども、そういう意見はこの報告書には反映されていない。とても県民的どころか、教育関係者でも議論したとは言いがたいものでございます。十分の検討もないままの中高一貫教育の拙速な導入については見合わすべきではないか、このことについて、本来責任を持っているはずの教育委員会、教育長にお尋ねしたいと思います。
 教育問題での二つ目の問題は、きのかわ養護学校の問題であります。
 この学校は、教室が足りないので理科室も図書室も教室に転用しております。本来二十六学級しか置けないように建設された校舎、そこに何と四十六学級が詰め込まれている。県教育委員会の担当者の方も、予想を超えて養護学校への入学者がふえたということを認めております。
 私は、県教育委員会は障害児教育──行政用語では特殊教育と言いますが──この教育に力を入れてきていただいたと思っています。二十年ほどの間に、県下各地に養護学校が設立されてきました。養護学校に受け入れている児童生徒数は、人口比で見て近隣の府県に比べても劣ってはいないと私は思っています。また、養護学校では高等部に希望者を全員受け入れている。これも誇るべき点であります。こういう点は十分認めるわけです。
 以前は、子供が障害を抱えて適正就学指導委員会が養護学校への入学を勧めても、親は地元の小学校へ行かせたいと希望する場合も多かったわけでございます。しかし、養護学校への信頼が高まり、養護学校への入学希望者がふえたこと、これは養護学校を初めとする教育委員会も含めた関係者の努力の結果であります。このことは十分評価をいたします。しかし、その結果として異常な詰め込みが行われている。これは、ほうっておけないと思うわけです。その解消のために、紀の川筋に新しい養護学校を建てることも必要になってきていると思います。この問題で、教育長のお考えをお聞きしたいと思うわけでございます。
 さらに、養護学校の高等部からさらに教育を延長する専攻科を置いてほしいという声が大変切実であります。そのことへの期待もあわせて申し上げておきたいと思うわけでございます。
 教育は以上にして、続いて産業問題に入ります。
 日本共産党県議団で工業技術センターを視察させていただきました。興味深いものがいろいろありましたけれども、その一つが光造形という機械でありました。コンピューターに読み込まれたデータに基づいて、複雑な形をしたものでも樹脂によってつくり上げることができる機械であります。それを使って開発された水道水による入れ歯洗浄器というものを見せていただきました。お借りしてきたものがここにあります。(現物を示す)上から水道水を入れるわけです。そうすると、中のものがくるくると回って入れ歯がきれいになるという、水道水による入れ歯洗浄器でございます。おもしろいなあと思って、その数日後、私は横浜で開かれた中小商工業研究交流集会というところに民商の皆さんと一緒に参加したんですが、そこでこの洗浄器の考案者の松谷さんという方にお会いしてお話を聞いたわけであります。
 松谷さんは宮大工の家を継ぐ建築業者でありまして、さまざまな物づくりに関心を持っておられる。昭和三十六年に、こいのぼりのさおを工夫したそうです。釣りざおのように伸ばしていくという方式で、こいのぼりのさおをつくった。特許の申請をし、弁理士──特許の申請の世話をする人を弁理士と言うんだということを初めて知りました──に相談をしかけたが、結局、審査を受けて特許を取るところまでいかなかったと言います。今はこいのぼりのさおもその方式になっている、残念だと言っておられました。今回の入れ歯洗浄器の出発点はご自分の体験でありまして、入れ歯にかみ込んだものがくっついて取れにくい。最初は携帯用のモーターを使って歯磨き粉を入れて洗うという方式を試作したんだけれども、洗い直しが要るし不便だ。平成七年から十二年の五年間ぐらいかけて、水道水を使う方式で試作品──ここに持ってまいりましたけれども、こういう試作品がいっぱいあるわけです。試作品は五百ぐらいつくっただろうか、こんなふうに言っておられました。平成十三年から工業技術センターに相談に行った、そこに光造形という機械があって、そして若い技術指導者がおられた、おかげで商品にできるところまでこぎつけたんです、こういうふうに言われました。
 そこで、私はもう一回工業技術センターにお邪魔をして、センター長や光造形の技術指導をされた方にもお会いしました。ここでも松谷さんに対する評価は大変高いものでした。センター長は言われます。工業技術センターを利用する十カ条というものを聞いてください。私もノートに書きとめました。一、夢を持つこと。二、受け身でなく自分も研究すること。三、一度や二度で成果が上がると思うな。以下省略しますが、センターとしては、丸投げ的な研究依頼でなくてセンターとともに研究するお客さんをお待ちしているんです、こういう話でございましたけれども、松谷さんはこの十カ条をクリアするセンターのお客さんだったようであります。また、若い技術指導者の方も、センター長がそこまでやるのかと思うほど入れ込んで支援されたようであります。そして、松谷さんがやっていた手づくりではできないことを光造形の機械で何度も何度も試作をした。そして、とうとうプラスチック成形の業者にお願いできるところまでいったわけです。一時期はプラスチックの成形業者が見つからずに、松谷さんの熊本県の知り合いに頼もうかという話も出まして、工業技術センターの方はやきもきしたそうです。結局、海南の業者に落ちつきまして、話を聞いて、私も海南出身ですから、ほっとしたわけでございます。こういう開発をした松谷さんの「プロジェクトX」のようなお話から、幾つか質問をしたいと思います。
 第一は、こうした製品開発を特許で保護するという問題です。松谷さんは、最初は弁理士に頼もうとしたが、結局こいのぼりのさおでは特許を取らなかったわけです。こういう専門家に頼むと、六十万円はまずかかるんだそうです。けれども今では、この方自身はノウハウがわかっているから二万一千円あれば特許の申請はできるというふうに言います。これから、新しい技術を開発する人を支援する特許アドバイザー──今でも発明協会でも助言はいただけると言いますが、さらに充実してほしいというのがご意見でありました。
 第二は、せっかくの工業技術センターをもっと宣伝し、使いやすくする問題であります。
 松谷さんは、五年間、手づくりで五百もの試作品をつくって、そしてその後に工業技術センターを紹介されて、二年間で新しい製品に仕上げていくわけですが、もっと早く工業技術センターに足を踏み入れていれば、七年間の開発が四年間でできていたかもわかりません。海南市の日用家庭用品業界の大手などは頻繁にこのセンターを使わせていただいているんですが、もっともっと多くの、これから新しいものを開発する皆さんが使いやすいように、そういう利用を促進していただきたい。これが、二つ目の問題でございます。
 第三番目の問題は、商品開発のための資金援助でございます。ベンチャー企業の援助ということがいろいろ言われておりますが、松谷さんにとっては、この資金の問題は大変だったというふうに言っておられました。
 そして第四は、松谷さんがプラスチック成形を熊本県の業者に頼もうとしたという話をしましたけれども、県内の物づくりをしている、いろんな技術を持っている業者の間のネットワークをつくって、そしてこういう仕事だったらここへ頼んだらいいですよ、こういう業者間の提携を行うという問題でございます。こうした問題で、本当に血のにじむような努力で研究開発をされている皆さんの声にどうこたえていかれるのか、商工労働部長にお伺いしたいと思います。
 以下、余り時間がありませんので簡単にしますけれども、第三は鳥獣被害の問題でございます。
 タイワンザルの捕獲については一定の進展があり、当面、被害も減っているとお聞きしています。最近、訴えが多いのはイノシシ被害の問題です。被害の実態と対策を、農林水産部長及び環境生活部長にお聞きいたします。
 また、被害の防止と有害鳥獣の駆除のほかに、被害に遭った農家への救済措置として個人補償というものは考えられないのか、農林水産部長にお聞きしたいと思います。
 第四は、海南市の道路問題であります。
 前回は、国道三百七十号、国道四十二号のバイパス問題などお聞きしました。関係の県会議員、地元自治体の皆さんと力を合わせていますので、県としても引き続き大きなご支援をお願いいたします。
 きょうお尋ねするのは県道海南金屋線、その全体の整備もさることながら、海南市では重根─別所間拡幅、さらに一部バイパスも含めての整備が急務であります。また、神田方面拡幅、地元の協力体制も前進してきております。拡幅をぜひ急いでいただきたい。
 続いて、県道岩出海南線の岡田方面であります。着実に進んできておりますが、少しずつで、あと何年かかるのかわからない。テンポアップをお願いしたいのでございます。
 さらに、国道四百二十四号海南─金屋間拡幅、今、海南、金屋の皆さん、関係県会議員の皆さんとともに声を大きくしております。その推進への姿勢を県土整備部長にお聞きしたいと思います。
 最後に、五番目でございます。
 最近、海南市に産業廃棄物の不適正処理や不法投棄の事案が集中しているという問題でございます。
 私も最近、海南東部の東畑という地域住民の訴えを聞いて調査をいたしました。一見、家屋解体後の木くず、畳などを一時保管して分別しているように見えます。しかし、搬入分別した廃材などは搬出した形跡が全く見られず、埋めているのではないかという懸念が地域住民に起こっているわけでございます。この業者は朝早く搬入しており、和泉ナンバー車であることから、突きとめ指導することは県としても大変苦労しておられるようでございます。海南保健所には担当職員は一人しかおらず、本庁の支援もいただきながら頑張っていただいていますが、人員増員も含めたその対策の強化をお願いしたいと思うわけでございます。これは、環境生活部長の答弁をお願いいたします。
 以上で、私の第一回目の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの、併設型の中高一貫教育についてのご質問にお答えを申し上げます。
 私自身は、教育というのは分権の最たるものというふうに思っておりまして、そういうふうな中で、今、義務教育の教員の月給の補助金とかが来ているんですけれども、こういうふうなものもできるだけ一般財源化して、例えば三十人学級であるとか、それから本当にいろんな形での教育を望んでいるところに教員をたくさん配置するとか、そういうことがやはり実情に合った形でできるような仕組みというふうなのがこれからの発展した市民社会、日本の国はこれからそうなってくるんだと思うんだけれども、そういう中では大事なことだと思っているわけです。そういうふうな中で、教育のシステムというふうなことも、できる限り多様化していって、そういう中で住民や子供たちの能力であるとか、適性であるとか、ニーズであるとか、そういうことにいろんな形でこたえるような場を提供していくということが行政の大きな責務であろうと思っています。
 中高一貫については、もう既に私立の学校では当然これが主流になってきているわけですし、そしてまた今回行うのは、和歌山県の学校全部を併設型の中高一貫にするというわけではもちろんありませんし、できるわけでもありません。やはり、いろんな形のものをやっていって、それが別に学力だけでなくて、いろんな面で子供の発展とか発達とかというふうなことにどういうふうな効果があって一番いいかと。そして、それも入りたいという人のニーズに応じてやっていくというふうなことから発展があると思うので、やはり全部一律にやらないとうまくいかないからやらないということでは、これはもう社会の発展はあり得ないし、これからの多様性を求める社会の中では、そういういろんな仕組みの中で生まれてきた子供たちが能力を発揮してこの和歌山県、そしてまた日本の国をよくしていくというふうな形ということが大事だろうと思います。教員の方々も、毎年同じことをやっていくのはある意味では楽だろうと思いますけれども、こういうふうな新しい制度に果敢に積極的に和歌山の教育をどんどんよくしようというような形でチャレンジしていただくような気概が必要だろうと。これは別に教育の分野だけではなくて、すべての分野に当てはまることだと思っています。
 それから、私は教育ということを一番大事な事柄だと考えておりまして、そういう中で和歌山県の教育が四十七都道府県の中でいつも後ろの方からついていくということになったら、これは和歌山県の子供たちが非常に不幸なことだと思っているわけです。できるだけ新しいことで、そしてまあそんなに財源のある県ではありませんけれども、できるようなことについては、あっ、和歌山というのはそんなに大きな県じゃないけれども、教育の問題では、例えば学区制を全県取り払うようなことをやったり、それからこれはいろいろ意見があるんだけれども学校内での禁煙というふうなことをやっていくとか、それからいろんな学科制度をとっていくとか、本当にいろんなことを考えてやっている県なんだな、非常に活性化の進んでいる県なんだなというふうなことを教育の分野でもみんなが思ってくれることが、やはりそこで学ぶ子供たちに自信をつけることになるし、きっとそれが将来の和歌山県にとってプラスになるということで、先ほど私は五番とかなんとか言いましたけれども、これは別に五番がいいのではなくてトップになれば一番いいと思うんだけれども、そういうふうな気持ちでやっておりますので、ぜひご理解をいただきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 新製品の研究開発を支援する問題に関する四点についてお答え申し上げます。
 まず特許に関する質問ですが、特許を含む知的財産の活用支援は、経済の活性化、産業の維持発展のために大変重要なことと認識をしております。県では、社団法人発明協会和歌山県支部に特許情報検索アドバイザー、特許流通アドバイザー及び特許出願アドバイザーを配置することで、特許に関する意識の向上を図り、特許出願の環境整備を進めております。これからもこうした制度の普及啓発を一層進め、利用促進を図ることで特許の取得を促進してまいりたいと考えております。
 次に工業技術センターについてでありますが、工業技術センターでは、研究成果や活動内容をインターネットや広報誌を通じて広く県民の皆様にお知らせするとともに、県内企業からの各種技術相談や共同研究に積極的に取り組んでおります。今後とも、県内企業の皆さんが必要とする研究活動を促進し、開かれた工業技術センターとして一層の利用の促進を図ってまいります。
 次に企業、個人への資金を含めた援助についてでありますが、新製品などの開発を進める場合、その事業計画を県が認定することで、資金面においては低利融資や補助金の申請資格が得られる中小企業創造活動促進法の制度などがございます。こうした制度の周知徹底を図るとともに、オンリーワン企業の発掘、育成を目指した企業ソムリエ委員会の活用も含め、総合的な支援策を講じてまいります。
 次に業者間の連携についてでありますが、中小企業の事業展開の上で事業の協力者を得ることは大変大事なことと考えており、県では、財団法人和歌山県中小企業振興公社にプロジェクトマネジャー等を配置して、総合的な窓口相談に応じるとともに、必要に応じてきのくにマッチングプラザに参加いただくことでビジネスパートナーを見出すなど事業展開の促進を図っており、今後も積極的に対応してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 鳥獣被害について、一括してお答えいたします。
 イノシシ被害の実態につきましては、稲を押し倒したり、カキやミカンを食害したり、園地を掘り返したりなどの報告があり、平成十四年度のイノシシの被害金額は鳥獣被害金額の三七%に当たる約一億一千八百万円となってございます。
 対策につきましては、農作物が栽培されている農地を電気さくや防護さくで守ることを基本に、従来の国庫補助事業の活用に加え、平成十三年度に創設した県単独の農作物鳥獣害防止対策事業により、市町村との連携を図りながら、地域の実態に即した対応に努めているところでございます。
 また鳥獣被害への個人補償は困難と考えてございますが、被害を受けた農家の損失を補てんする制度として農業共済がございますので、その加入促進を図っているところでございます。今後とも、被害防止に向けての施設の設置事業を進めるとともに、関係部局と一体となって取り組んでまいりいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 鳥獣被害について、一点目の最近のイノシシ被害対策についてでございますが、農作物に被害を及ぼすイノシシの有害鳥獣捕獲を促進するため、本年四月十六日から第九次和歌山県鳥獣保護事業計画を改定し、捕獲方法等の許可基準を緩和するとともに、市町村が行うイノシシの有害鳥獣捕獲に対する補助について、従来の銃器による捕獲に加え、今年度からおりによる捕獲に対しても補助を行うことといたしております。しかしながら、農作物被害につきましては、各方面から状況を聞いており、大変深刻に受けとめております。今後とも、新ふるさと創り特区における狩猟免許を有しない者でも有害鳥獣捕獲に従事できる新しい制度の活用を図るとともに、関係部局や市町村とも密接に連携し、被害が最小限にとどめられるよう努めてまいります。
 次に海南市の産業廃棄物の対策についてでございますが、本年度から各振興局の廃棄物・環境問題について、地域の核となる専任の環境指導員を配置し、廃棄物・環境対策の充実を図ったところでございます。
 県下の廃棄物の不適正処理や不法投棄事案につきましては、早期発見、早期の調査指導を基本に積極的に取り組んでいるところでございます。
 ご質問にあります海南市東畑地区の事案につきましては、海南保健所が既に数回現地に立入調査を実施し、適正処理を強く指導しているところでございます。海南市は、和歌山市に隣接しているとともに大阪府泉南地域からも高速道路で直結していることから、産業廃棄物の不適正処理や不法投棄事案が最近集中しており、環境指導員を初め保健所全体での対応を図るとともに、海南市及び警察との連携を密にし、監視指導を強めてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 雑賀議員からは、海南市の道路問題について三点お尋ねをいただいております。
 まず県道海南金屋線、重根─別所間拡幅につきましては、半島振興道路整備事業により一・三キロ区間を平成九年度から実施してございます。このうち現在、重根地区の現道拡幅区間〇・三キロメートルを整備しており、平成十七年度末の供用を予定しております。続く別所地区のバイパス区間一・〇キロメートルは、現在海南市で行っている地籍調査完了後、用地買収を進めることとしております。
 神田方面拡幅でございますが、都市計画道路日方大野中藤白線街路事業により、一・二八キロメートル区間を平成十一年度から実施中であります。このうち、日方川沿いの狭隘区間〇・三キロメートルについては、早期に事業効果を発揮できることから優先的に用地買収を行っており、現在、用地進捗率は五八%となってございます。また、供用開始までの間は待避所設置などきめ細やかな取り組みを行っており、今後も地元の関係者の皆様方のご協力をいただきながら事業を促進してまいります。
 次に県道岩出海南線につきましては、岡田地区において小規模道路改良事業により二ツ池付近から順次西向きに現道拡幅を進めており、現在、約二百メートルが完成しております。財政的に厳しい状況ではございますが、今後とも地元関係者の皆様方のご協力をいただきながら整備を進めてまいります。
 最後に国道四百二十四号海南─金屋間につきましては、海南湯浅道路の四車線化を踏まえ、路線の位置づけ、将来交通量、費用対効果等を検証し、整備のあり方を検討してまいります。当面の対策としては、海南市上谷、金屋町西ケ峰において線形不良区間や狭隘区間の現道対策を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、二点についてお答えいたします。
 まず県立中学校の開設についてですが、併設型中高一貫教育を実施するということに当たっては、小学校、中学校の代表者を含む県内各界の方々で構成する中高一貫教育推進懇談会から、併設型中高一貫教育校を軸として、複数設置するのが望ましいとの報告書をいただいたところであります。これを受け、具体的な設置について庁内のプロジェクトチーム等において慎重に検討を重ね、このたび決定したところであります。
 次に本県の養護学校については、ハード面、ソフト面の両面で全国的にも相当に高いレベルにあると思っております。こうしたことを背景として、全県的に入学希望者が増加する傾向が見られます。一方、一学級当たりの定員を少なくしたことから、多くの普通教室が必要となってきておりますが、当面、養護学校を新設する考えはございません。今後、さまざまな工夫をしてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 再質問と要望意見を申し上げておきたいと思います。
 第一は、向陽高校に併設して県立中学校を併設する問題です。
 まず、知事が何よりも教育が大事だというふうに言っていただいたことは大変ありがたいと思っています。今後、知事とも教育の問題でいろいろの場所で大いに意見交換をし、教育を高めるために力を出していただきたいというふうに思っているわけでございます。
 ただ、教育の問題というのは決して単純ではございませんで、新しいことをやったら、あるいは新しい改革をやったら一番になるとか五番になるとか、そう単純な問題ではございませんので、そういうことだけは申し上げておきたいと思います。
 なお、教育の専門家である教育長には、もう少し突っ込んで再質問をしたいと思います。
 ただいま答弁をお聞きしていましても、これだけの大きな改革の第一歩になるものが、教育委員会の内部でも県民的にも十分検討されたとは言えないという感じを持ちました。
 その第一は、中高一貫の学校をつくった場合、その学校の生徒がどうなのかという問題ではなくて、和歌山の小中学校教育全体に何をもたらすかが問題だということを、私はさきの質問で明瞭に申し上げたつもりでございます。しかし、答弁ではそういう観点から検討されたという形跡がない。推進懇談会の報告書も同様であります。これが、もし民間の中高一貫の学校を推進してほしいというグループが提言するんだったら、それはそれでもいいんです。けれども、県の教育委員会はすべての小中学校、すべての小中学生に責任を持たなくてはなりません。その立場からどうなのかという点で、もう少し検討が欲しいということが私の意見であります。
 例えば、向陽高校の隣に日進中学校という中学校があります。この中学校には四つの小学校から生徒が集まるわけですが、四つの小学校六年生の総数は二百九十九人でした。ことしの日進中学校の一年生は二百三十五人であります。六十四人の生徒が私学へ進学するわけですね。そうすると、小学校でリーダー的役割を果たした生徒が抜けるという問題があって、もちろん学校では新しいリーダーを育てる努力はするわけですけれども、しかし教育が大変だという苦労をよく中学校の先生から聞くわけであります。そういう問題。そうしたら、この日進中学校と県立向陽中学校が並んだときに一体今後この地域にどういう教育問題が起こってくるんだろうか、こういう問題も検討する必要があるわけでありまして、そういうあたりの論議がどんなぐあいに教育委員会内部でもあるいは協議会でも行われたのだろうか、その辺を少し聞かせていただければありがたいと思っています。
 第二番目に、きのかわ養護学校の過密の問題というのは、これは許されない問題でございます。                   私は、和歌山県の障害児教育というのは立派にやっているということは、これは教育長さんが言われた以上に、私も質問で申し上げたわけです。よく頑張ってくれているんです。けれども、頑張っているからと言って、二十六学級しか入れない学校に四十六学級も置いておくということは、これは許されない問題であります。その点、教育長、当面は計画がございませんではなくて、教育長自身がどういう思いでこの問題を見ているのか。心の痛みといいますか、教育長としての思いを語っていただきたいというふうに思います。
 大体、新しい学校をつくるなんという問題は、教育委員会がその方針を持ったとしても、用地の取得も含めて、五年や十年はすぐたつわけですね。今その問題を検討したいというふうに答えても、相当時間がかかる。そういう問題ですから、当面ございませんというのでは、いつになるのかわからない。特に、きのかわ養護学校の用地での建て増しは困難でございますから、分校をつくることも含めて新しい養護学校の建設について検討していただきたい。これは要望といたします。
 それから、教育長に申し上げたいんですが、やはり教育委員長、教育長というのは和歌山県の教育の最高の責任者でございます。もっともっと教育にかける夢や思いをこの県議会でも語っていただきたいという思いがあるわけです。もちろん財政権はございませんが、しかし財政権がないための痛みも含めて、和歌山の教育をこうしたいんだという夢をもっともっとこの場で語って、教育者としての小関洋治の姿を県民の前にぜひとも見せていただきたいなというふうに思うわけでございます。
 次に、水道水による入れ歯洗浄器にかかわる感想、要望意見でございます。
 私にとっては、全く専門外の問題で質問させていただきまして、大変いい勉強になりました。そこで気がついたのは、私の質問で要望した問題は、行政の形としてはできているということであります。それなのに、現場で四苦八苦しておられる方が、このことについて言ってほしいというふうに私のところに言われるのはなぜなんだろうか、この問題を考えながら答弁を聞いておりました。
 この間、横浜の中小商工業者研究交流集会でも勉強したことなんですが、各地域に例えば中小企業センターがある。しかし、行政の施策があったからといって、それが必ずしも血の通ったものになっているとは限らない、こういう話を各地でお聞きしました。そういう場合に、市町村の職員、あるいは県の職員の皆さんが苦労している中小企業のところを回って訪問して、悉皆調査をして、どんな苦労をなさっているのかを聞いて、そういうことから血の通う行政が進んだという話をお聞きしました。私は、この問題で実態がどうなっているのかについてここで述べるには私自身まだ研究不足でございます。しかし、そういうことも含めて、私自身も今後研究していろいろな提言をしていきたいと思っていますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 最後、産業廃棄物の問題だけ触れておきますけれども、極めて短い質問でございましたが、私はこの問題では担当課の皆さんのやる気を感じました。昨日は、私の質問をかぎつけたマスコミ関係の方からも取材がありました。海南市議会でも取り上げ、海南市長も注目していただいているわけでございます。こういうぐあいに打てば響く議会と県当局、あるいは県政と市政、あるいは世論をつくっているマスコミ、こういうもので住みよい町をつくっていくために産業廃棄物の問題、今、海南は特にこの問題が大きな問題になっているわけですけれども、こういう問題に取り組んでいけることを大変頼もしく思ったということを申し上げて、私の質問と要望意見を終わらさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 二点にわたって再質問がございましたので、お答えいたします。
 まず、中高一貫教育の新たな段階としての併設型一貫校の導入に係るプロセスについて、議論が十分尽くされたのかということではないかと思うのですが、これは随分時間をかけてやってまいりました。当然、前提としては、連携型の中高一貫教育を既にやっておりますから、その龍神地区、古座川地区の検証も含めながら、さまざまな地方の中学校関係者や市町村教育委員会の方々の意見も伺いながら、次の段階としての併設型へ進むことについての議論は、雑賀議員がご存じないかもしれませんが、随分やってきていると私どもは思っております。
 それから、中高一貫教育推進懇談会の中での議論について何人かの委員にお尋ねになったということでございますが、これは議論の過程をつぶさに聞いていただければそのようなことはないということは明瞭でありまして、三回にわたる議論は、毎回予定された時間をオーバーするぐらいの極めて白熱した多方面からの熱心なご議論がなされたというふうに私どもは受けとめております。その間、教職員組合の方々がただの一度も傍聴にはおいでになっていなかったのではないかと思います。これはマスコミにも公開している、まさに公開の議論の場であったということをご認識いただきたいと思っております。
 それから、公立にこういう形の中高一貫教育を導入することが非常にマイナスを生むんではないかというご懸念かと思いますが、公立中学校、例に挙げられた日進中学校も含めてさまざまな状況は、我々なりに当然のことながら把握しております。その中でこういう新しい形態の中学校教育というか、県立の学校が発足することによって、そのことが刺激の一つとなって公立の中学校、市町村立の中学校が活性化する側面も、これは考えられることでもあるし、それから私学の中高一貫教育、県立の中学校、市町村立の中学校、それぞれが切磋琢磨していく中で、画一化を乗り越えた次なる発展が考えられるというふうに私どもは思っております。
 それからもう一つ、養護学校については、ご指摘のきのかわ養護学校、これは昭和六十一年に開設されました。当時の担当班長でございました。どれだけ苦労したかは、つぶさにまだ覚えておりますが、十八年たって、約百五十名の在籍生徒がおります。雑賀議員は学級数のみをおっしゃっていましたけれども、この学校を想定したときの生徒数は百四十名という規模で設立いたしました。その後、確かに学級編制基準が変わってきて、一学級当たりの子供の数をできるだけ引き下げてきた。これは先ほどの答弁でも申し上げたとおり、一般の小中学校に先駆けて少人数学級を実現してきたわけです。結果として、現在のきのかわ養護学校には、一学級当たり二、三人という学級が多数ございます。そうした中で、一学級当たりの人数を減らせば、当然、学級数がふえてくるということになるわけで、その中で過密、マンモスということを一元的におっしゃられても少し実態と違う面があると、先ほどの答弁では言葉が十分でなかったかもしれませんが、申し上げているわけでありまして、ただしそれでもって満足な状態だと、何もしないということを、また言っているつもりもありません。新たな学校の設立ということは、紀伊コスモス養護学校を数年前に立ち上げましたし、十数年かけて県下全域にわたる養護学校の整備計画は完了したというふうに基本的には考えている中で、その範囲の中で、例えば校区の変更とか、通学方法の工夫とか、いろんなことを含めてさまざま工夫してまいりますということをお答えしているわけでございますので、十分な意を尽くしてないところがあるかと思いますが、ご了解を願いたいと思います。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 四十二番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 まだいろいろ言いたいことがありますが、また文教委員会でも議論できることですから、きょうの質問はこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十四番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 六月に引き続き登壇をさせていただきました。先輩・同僚議員におかれましては、最後までよろしくお願いを申し上げます。
 さて現在、各省庁から財務省への十六年度予算概算要求が八月末で締め切られ、年末に固まる政府予算案に対して、私は公明党の一員として大変期待をしているものでございます。一方、木村知事におかれましては、将来にわたり県民一人一人が希望と安心のできる和歌山県の構築にさらなるご尽力を傾注されるよう心から願いまして、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、観光振興についてお尋ねいたします。
 「国土交通白書」によりますと、「観光は、ゆとりと潤いのある生活にとって重要であるのみならず、国際親善や地域の振興、産業・雇用の創出等に非常に大きな役割を果たし、国際社会にとっては、国際相互理解の増進を通じて、国際親善、ひいては国際平和に貢献するものである。また、観光は、地域にとっては、交流人口を増加させ、地域の活性化に大きく寄与する」と指摘されております。特に、旅行業、宿泊業、飲食産業、アミューズメント産業、土産品産業、旅行関連産業等幅広い分野を通じ、産業や雇用の創出に大きな役割を果たしています。また、平成十三年の国民経済に対する効果については、観光に係る直接消費は二十兆六千億円、さらに波及効果を含めると四十八兆八千億円、雇用効果は三百九十三万人と推計されており、我が国のGDPや雇用に占める比率で見ると、他の基幹産業に匹敵する貢献度となっております。
 このたびの国土交通省関係の予算要求に目を通せば、観光立国の実現に対し、昨年の倍額予算が要求されています。また、七月三十一日付の観光立国関係閣僚会議資料に観光立国行動計画が示され、我が国の観光の意義について、今後の施策として幅広い観点から幾つかの提案がなされております。現在、世界が大交流の時代を迎える中、日本に訪れる外国人が世界で三十五位であるなど、国際観光については日本は後進国であると言わざるを得ません。また、欧米はもとより、アジアの国々についても、観光は自国の国力を高め、文化を諸外国に発信する有効な手段ととらえております。経済に刺激を与え、教育を充実し、国民の国際性を高めると同時に、国の将来、地域の未来を切り開く有力な手段であると分析をし、観光立国の推進に当たっては、まずこうした観光の原点に立ち返り、観光概念の革新が必要であると位置づけられておりました。
 以上のことから、知事にお伺いいたします。
 第一点は、本県も過去から観光立県として歩んできた歴史がございます。このたびの政府において取り組もうとされる観光立国行動計画について、知事のご所見をお伺いいたします。
 第二点は、明年六月に紀伊山地の霊場と参詣道がユネスコの世界の文化遺産及び自然遺産に関する条約、いわゆる世界遺産条約に基づき世界遺産登録に向け期待が高まる中、知事は今までトップセールスをなさってきておりましたが、新たなるトップセールス並びに将来に向けた本県のあるべき姿についてお伺いをいたしたいと思います。
 第三点は、和歌山県には本州最南端を有する紀伊半島がございます。しかしながら、この地域は、皆様もご承知のとおり、高速道路未開通区間でございます。これに対する今後の鉄道網の整備として、三重県側に紀勢本線との早期電化運行への強い働きかけをすべきであると私自身考えますが、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 次に農政問題について、特に農作物の鳥獣被害対策についてお尋ねいたします。
 先ほど同種の質問がございましたので、観点を変えて質問をさせていただきたいと思います。
 先月八月二十六日の委員会視察の際、県警ヘリにて上空から県下を見させていただきました。本県は、豊かな山の緑と美しい海岸線の白い色が非常に色合いのいい景観で、眼下に広がる自然の宝庫であると実感した次第でございました。一方、自然界と共生する農政事情は、依然後を絶たない有害鳥獣の被害で大変厳しい状況でございます。
 私自身、地元の方の要請で、去る六月に那智勝浦町の色川地区、また八月には広川町の津木地区を視察させていただきました。色川地区は、「弁当忘れても傘忘れるな」というぐらいの非常に雨の多いところでございますが、今現在、イノシシ、猿、シカといった動物の被害──津木地区は、主にイノシシによる被害状況を地元の方々とともに現場に赴きお話を聞き、そして同時に被害実態についても確認をした次第でございます。また、この県都和歌山市内でも、近ごろ園部地区においてイノシシが民家近くにおりてきたというお話もお聞きいたしました。
 私は、平成三年に市会議員に当選をさせていただいて以来十二年間、いろんな和歌山市内を回らせていただきましたが、特に県境の滝畑地区というところにおいてのイノシシ被害の対策に大変苦労したことも事実でございます。田植えの時期になりますと田んぼの縁を掘り、そしてミミズをえさにするため、田んぼの水がなくなり、稲がだめになったこともございました。そこで急遽、農水の担当官に申し上げまして、水路にコンクリートのU字溝を設置させていただいたり、畑には波板を張ったりもいたしました。しかし、抜本的な解決策には至らなかったのが現状でございます。こういった被害は何もこの和歌山だけではないようでありまして、先日の新聞報道を見ますと、滋賀県の土山町において、農作物に被害を与える猿やシカを追い払うという対策に追い払い隊というものが昨年から結成されております。隊員たちは、住民からの通報があれば現場に駆けつけ、エアガンやロケット花火で威嚇をして追い払うという方法を現在使っております。この事業は、県の緊急雇用対策事業として実施しているとの記事でございました。
 担当部局においては、今まで数々の対策を講じていただいておりますが、先ほどの答弁にあったように、依然、被害は横ばい状況であるところから、今後関係機関の方々の協力も得て、先ほど申し述べました緊急雇用対策事業の一つとして追い払い隊といった方策を講じ、対応されてはどうかと思いますが、環境生活部長にお伺いをいたします。
 次に、県営住宅における高齢者や身体障害者への対策についてお伺いいたします。
 先日、私のもとに五十代の母子家庭の方から、住宅施策について強い要望がございました。ご本人は、介護つきの二級障害者で、両下肢機能障害で車いすの生活でありますが、娘さんの助けもあり積極的に社会生活にチャレンジをしております。しかし、近い将来ひとり暮らしになったとき、日常の移動を初め、生活面において現在お住まいになっておられる民間の借家では到底やっていけなくなると言っておられました。
 今現在、和歌山市での身体障害者向け戸数は二十三戸とお聞きしておりますが、県営住宅のバリアフリー化をより推進することで、一般向けの住宅でもスロープやエレベーター、また浴槽内の段差解消を図ることで、ある程度の身体障害者の方への対応が可能になると思われます。
 以上のことから、県土整備部長にお伺いいたします。
 第一点は、県下における受け入れ体制の現状と今後の対応について。
 第二点は、川永団地における改善事業及び建てかえについてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、将来の国道二十六号線、紀の川大橋の渋滞緩和策についてお伺いいたします。
 国交省和歌山河川国道事務所の発行した和歌山北バイパス開通約一カ月後の交通状況についての資料を参考にいたしますと、四月二日に和歌山北バイパスが開通した後、紀の川大橋を利用する交通量は二十四時間調査で三千五十七台の減少で、開通前の六万一千八百八台から五万八千七百五十一台になったとありました。今後この状態であれば、特に何も問題は生じては来ないと思われますが、今地元で問題となっているのは、近い将来、元住友金属グラウンド跡地に二十四時間営業の大型スーパーの出店計画がございます。また、電力需要の拡大に伴い関西電力のLNG火力発電所の建設が始まる。さらには、河西地域に人口増加等が予想される。こういった諸条件のことから、将来において紀の川大橋の渋滞緩和策が前もって必要であると思いますが、県土整備部長にその旨お伺いをしたいと思います。
 次に、教育行政についてお伺いいたします。
 まず初めに、今定例会において、知事説明要旨に教育改革の推進が挙げられております。内容は、中高一貫教育の推進について、公立高校で中高一貫教育を受けたいという県民のニーズにこたえるという観点で、平成十六年度より県立向陽高等学校に県立中学校を併設するという議案が今定例会に上程されております。
 中高一貫教育制度は、現行の中学校、高等学校の制度に加えて、生徒や保護者が六年間の一貫した教育課程や学習環境のもとで学ぶ機会をも選択できるようにし、中等教育の一層の多様化を推進し、生徒一人一人の個性をより重視した教育を目指すものであります。制度施行については、平成九年に中央教育審議会の第二次答申の提言を受け、学校教育法の一部を改正する法律が平成十年六月に成立、翌平成十一年四月より中高一貫教育が導入可能となりました。今回、本県にて導入しようとされる併設型の中高一貫教育については、県立向陽高等学校に県立中学校を設置するものであります。その概要及び設立基準についてお伺いをいたします。
 続いて、熊野高校への総合学科の設置についてお伺いいたします。
 総合学科の設置についての実施制度は、平成三年四月、第十四期中央教育審議会において、「新しい時代に対応する教育の諸制度の改革について」を答申し、個々の特性にきめ細かく対応する質的拡大へ、現在の普通科と職業学科とを統合するような新たな学科を設置することが適当と考えられる旨の提言がなされ、今日に至っております。
 本県では、和歌山高等学校と有田中央高等学校に続き三校目であります。熊野高校は、皆様もご承知のとおり、農林業を主とした創立八十年の歴史ある高等学校であります。今後の新しく生まれ変わる総合学科においては大変期待をする一人であります。
 以上のことから、熊野高校における総合学科を設置する目的等、その概要について教育長にお伺いいたします。
 最後に、防犯町づくりについてお伺いをいたします。
 昔と言っては誤解があるかもしれませんが、私が小中学校の時代から思えば、考えもつかない事件がここ近年、住宅、学校、公共施設等に関係する犯罪が多くなっており、二年前の小学校に乱入し、多くの小学生を殺傷し、裁判中の事件については特に社会的に問題視されているのが現状であります。こういった凶悪な社会現象の中、都市再生本部──本部長は内閣総理大臣、本部委員は国家公安委員長の──決定に基づき、具体的な施策等が取りまとめられました。日本を本当に世界一安全な国への復活を目指し、身近な犯罪の抑止を図るためには、地域住民とのかかわりや防犯意識の醸成についての取り組みを一層充実、普及させることが不可欠であるという内容であります。
 「「防犯まちづくりの推進について」の概要」として一つには、「防犯まちづくりの基本的な考え方」では、「「世界一安全な国」の復活のためには、従来は接点の乏しかった防犯とまちづくりを相互に組み込んだ対応が必要」と挙げられております。二つ目には、「市街地類型ごとの進め方」で「市街地を「まちなかの商住混在地区」など五類型に分けて、死角の多さや匿名性など犯罪発生との関係から特性を整理して対応を検討」する。その他、関係省庁における具体的な施策や公共施設等の整備・管理に係る留意事項が挙げられております。また、「防犯まちづくりの基本的な考え方」では、「近年、わが国においては犯罪が急速に増加している。平成十四年の刑法犯認知件数は二百八十五万件に達し、七年連続で戦後最高を更新するに至った。特に、住宅への侵入犯罪やひったくりなど、市民が身近に脅威を感じる犯罪の増加が著しい。 こうした状況に対応し、「世界一安全な国」の復活を目指して身近な犯罪の抑止を図るためには、従来行われてきた住民、警察等様々な主体によるソフト面の防犯活動を一層充実・普及させるとともに、住宅、学校、公共施設等の構造、設備、配置等に係るハード面の取り組みを推進することが重要である」と指摘されておりました。
 こういった中、既に自主的な取り組みを行っているところがございます。那賀郡貴志川町の教育委員会では、「子供たちに安心と安全を」といったスローガンに、スクールサポーター制度を立ち上げ、子供たちの登下校時や授業中の校内の巡視、清掃時、休憩中での児童生徒との触れ合いを中心に活動を実施されておられます。現在の登録者は百十九名であります。また、JA、郵便局、銀行、企業といったところにも呼びかけ、協力体制で取り組まれております。さらに、六十四台の車両には、岩出警察署、貴志川町、貴志川町教育委員会の名称を表示したステッカーを張り、緊急時に対応できるよう取り組みもされていて、今後も周辺地域の防犯にボランティア活動員を幅広く募集し、犯罪の抑止に積極的に取り組もうとされております。
 以上のことから、県警本部長にお伺いいたします。
 第一点は本県の刑法犯の現状について、第二点は今後の対策についてお伺いいたしまして、第一問を終わります。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) このたび国が定めました観光立国行動計画についてのご質問ですが、私はこの計画に大賛成でございます。
 この二十一世紀は、大変デフレで厳しい状況が続いていくと思うんですけれども、そういうときに、やはり日本の国は産業の柱の一つに観光というふうなものを据えていくべきだと思うし、今現に、日本から外国へ行く人と、外国から日本へ来る人というのを比べても全然数が違うというふうな形になっておりまして、ぜひ海外から日本へもっともっと来てもらうというふうな状況にしていかなければならないし、そしてまた日本には海外の人に対して魅力のあるものが大変あるわけです。我々は、例えば和歌山の山というのは、そこに住んでいるからそれほど大したものだとは思わないかもしれないけれども、外国の人から見ると、この和歌山の紀伊半島の山であるとか、それから海とか、温泉とか、こういうふうなものは大変に魅力のあるものであるというふうに思っております。そしてまた、国内を見ても、この和歌山県の歴史というふうなものは非常にこれからのいやしの時代には売りになるというふうな感覚でいるわけでございます。
 そういうことで一方では、一昨年ですか私、韓国の方へ行って観光のプロモーションみたいなことをしましたけれども、こういうことをどんどんやっていかないといかんと思いますし、あとは台湾でありますとか、それからこのところ所得水準が非常に上がってきている中国の沿海部分、特に山東省なんかとは和歌山県はずっと姉妹県でやっておりますので、こういうところからもたくさんの観光客が来るような努力というふうなことをしていかなければならないと思っています。
 それから、国内に目を転じても、昨年、東京そして名古屋で、私も出席して大規模な観光プロモーションをやりましたけれども、非常に反響がよかったというふうなことがあります。それから、熊野古道は歩いてみたい日本の道の第一番目に新聞社のアンケート調査でなっているというふうなことで、非常に恵まれたものが和歌山にはあるわけです。これをブラッシュアップして、そして来年の六月には確実になるであろう高野・熊野の世界遺産の登録とあわせて、ここで爆発的に和歌山ブーム、紀伊半島ブームというものを観光の世界で起こせるように頑張っていきたいと思います。
 そしてまた、それにあわせて、本当に和歌山の観光を魅力のあるものにする努力というのをしていかないと、かけ声だけでは、はっきり言って、行ってみて大したことなかったなということになると、来てもらわないよりむしろ悪いぐらいの状況にもなりかねませんので、体験型観光とかいろんなことで和歌山の魅力を引き出す努力というものをしていきたいと、このように思っております。
 それから、紀勢線の三重県部分の亀山─新宮間百八十キロの複線電化の問題でございます。
 実は、複線電化の問題はもう数十年前の話で、いまだにディーゼルが走っているとは悲しいわけですけれども、ある意味ではちょっと時代に乗りおくれたというようなところもあるんですが、これについても、三重県の方もこの複線電化と、それからまたワイドビュー南紀の増便、こういうようなことに非常に努力をされているというふうなことです。そして、今言いましたように、来年の六月には世界遺産の登録ということで、この紀伊半島にまた大きな関心が寄せられると思われますので、こういうことともあわせて、和歌山県も三重県と協力してこの複線電化、なかなか難しいとは思いますけれども努力をしていきたいと、このように思っております。
○議長(尾崎要二君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 鳥獣被害対策としての緊急雇用対策事業の活用についてでございます。
 野生鳥獣による農作物被害を防止するとともに、野生鳥獣と人間の共生、すみ分けを図るため、本年度、緊急雇用創出特別基金事業を活用して猿の追い払い事業を実施する予定であります。イノシシにつきましても、市町村と連携を図りながら、同事業を活用した効果的な追い払い方法を検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(尾崎要二君) 県土整備部長酒井利夫君。
  〔酒井利夫君、登壇〕
○県土整備部長(酒井利夫君) 角田議員からは、県営住宅における高齢者、身体障害者対策について二点、国道二十六号紀の川大橋について一点、お尋ねがございました。
 まず県営住宅における高齢者、身体障害者対策についてお答えいたします。
 県下における受け入れ体制の現状と今後の対応についてでございますが、現在、県営住宅五千三百二十九戸のうち七百九戸がバリアフリー化してございます。また、高齢者や身体障害者の方には、一般入居枠に加え、優先入居枠を設定し、入居機会の拡大を図っているところであります。施設面におきましては、高齢者や身体障害者向け住戸を初めとし、平成四年度以降の建てかえ・改善事業による住宅では、住戸内外の段差解消などバリアフリー化を実施しております。また、建てかえ・改善事業を実施していない住宅にあっては、入居者の障害の程度に応じ、段差解消など、必要な対応を図ってまいります。
 次に川永団地における改善事業についてでございますが、老朽化した設備の改修、また段差の解消やエレベーターの設置など、バリアフリー化による居住性向上のための大規模な改善を行うものであります。現在、川永団地二十四棟のうち八棟について、アンケート調査などを通じ、入居者の意見を取り入れながら、来年度の事業実施を目指して設計を進めているところであります。なお、残りの十六棟の建てかえにつきましては、建物の耐用年数などを考慮しながら検討してまいります。
 最後に将来の国道二十六号紀の川大橋の渋滞緩和策についてでございますが、議員ご指摘のとおり、本年四月の和歌山北バイパスの開通により渋滞はかなり緩和されたところでございます。今後、さらに来年度に予定されている和歌山市施行の都市計画道路西脇山口線の平井─栄谷間の開通や将来の大阪への第二阪和国道の整備などにより、現国道から交通が転換され、渋滞は大幅に解消されるものと考えております。このため、今後ともこれらの道路整備について国及び市と連携を図りながら対応してまいります。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) このたびの向陽高等学校への併設型中高一貫教育の導入については、これまでの同校の教育改革への取り組みや教育実績、さらに交通の利便性などを踏まえて決定をしたものでございます。来年四月のスタートに向けて、系統性のある六年一貫した教育課程を編成するとともに、中学校と高等学校が合同で行う学校行事、中高教員の相互交流による授業などを計画する等々、さまざまな検討を行っております。また、保護者等に周知するため、現在、学校説明会の開催や募集要項の作成など、具体的な準備作業を進めているところです。
 次に、総合学科の設置についてであります。
 熊野高校への設置は、これまで多くの面で成果を上げてきました和歌山高校、有田中央高校に次いで三校目、紀南地方では初めてとなります。同校では、農業関係学科の伝統を受け継いだ系列や、本県で二校目となる本格的な福祉系列を初めとして、六つの系列を設けるとともに、それぞれに特色ある内容を持つ多彩な科目を開設することとしております。こうしたことを通して、生徒の興味、関心、進路希望等に応じた主体的な学習を促進し、地域に信頼され、貢献できる学校づくりに一層努めてまいりたいと考えております。
○議長(尾崎要二君) 警察本部長宮内 勝君。
  〔宮内 勝君、登壇〕
○警察本部長(宮内 勝君) 防犯町づくりの推進についてお答えいたします。
 まず初めに本県の刑法犯の現状でありますけれども、刑法犯の認知件数は五年連続して二万件を上回っておりまして、昨年の犯罪の発生率を見ますと、全国でワースト十六位という厳しい状況にあります。本年におきましても、八月末現在で一万四千三百六十九件ということで、昨年に比べ若干減少しているものの、依然、凶悪化、粗暴化の傾向が続いております。また、少年による犯罪が依然として高水準で推移するとともに、子供が犯罪の被害者となる事案が相次ぐなど、少年に係る治安上の問題は、非行と被害の両面において深刻化しております。
 こうした厳しい犯罪情勢に歯どめをかけるために、犯罪の約七〇%を占める路上強盗やひったくりなどのいわゆる街頭犯罪の抑止対策を県警察の最重要課題ととらえて、犯罪が多発している深夜帯を中心とした機動遊撃隊の効率的運用を初め、制服警察官等によるパトロール活動を強化するなどの総合対策を講じてまいりました。
 その結果、八月末現在の検挙人員は、昨年同期と比較しまして三百三十八人増加する一方で、刑法犯の認知件数は三百九十件減少するなど、その効果があらわれつつあるのではないかと考えております。しかしながら、今日における治安の悪化は、規範意識の低下、不況の長期化、国際化の進展などの問題に起因する構造的なものであることから、警察の活動だけではおのずと限界があると考えております。
 警察といたしましては、検挙対策と並行して、議員ご指摘の貴志川町における取り組みのような、地域住民の自主的な防犯活動を積極的に支援すると同時に、自治体、事業者等と連携した街路灯の増設、防犯カメラの設置など、犯罪に強い町づくりを促進することとしております。また、防犯町づくりを進める有効な手段として、今議会にいわゆる迷惑防止条例の一部改正をお願いしているところであります。今後とも、官民協働による防犯町づくりを進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十四番角田秀樹君。
○角田秀樹君 ただいま、知事並びに関部部局長から答弁をいただきました。
 知事の、観光についての基本的な認識につきましては、私の考えていたとおりのお話だったというふうに感銘しております。
 私も、実は議会人になる前、観光関係のサービス業に従事しておりました。和歌山の海岸線の羨望、他都市にはない先人が残していただいた自然のそういったものを来年の世界遺産という方向へ行く中、千載一遇のチャンスであるととらえて、これからいろんな関係機関に対しても、トータル的に、行政主導というよりも、行政の皆さんと民間関係者が同レベルに立って、異業種間のいろんな交流も含めながら、観光事業というのは本当は進めていかなければならないんじゃないかな、こういうふうに考えております。
 先ほどの力強い知事のお答えがございましたので安心しておりますが、最終的に大成功裏に終わり、またこの和歌山というものを全世界、また国内外へ発信できるように一生懸命取り組んでいただきたいということを強く要望いたします。
 もう一点は防犯町づくりなんですが、和歌山市も昨今高齢化がどんどん進んでいく中、いろんなところでお話しする機会がございます。よく話が出てくるのは、やはり昔で言うお巡りさんという、こういうイメージが警察の方に対する強い要望というものがあるんですね。自転車に乗って各家庭を回っていただく、そういった中で、未然に犯罪を抑止できるという、そういうものが過去にはあったんじゃなかったかなというふうに思います。ただ、いろんな犯罪件数がどんどんふえる中で、そういうところまでなかなか手が回らないということもよくわかるんですけれども、何とかそういうふうに努力をしていただいて、昔で言うお巡りさんの本来の警務であるそういうところに従事できるような、そういう体制づくりにご努力していただけるとともに、交番という一つの地域の拠点を中心とした交番制のあり方、昔は何かあれば交番へ走っていって、百円拾ったとか、どこどこ何々という、そういうコミュニケーション、いわゆる地域型の交番行政のこれからの進め方というものも非常に大事ではないかなというふうに思うところから、今後も交番制度の充実をするために強い要望をしておきまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十五分散会

このページの先頭へ