平成15年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(吉井和視君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 県議会初質問でございまして、意の尽くせぬところも多々あろうかと思いますが、その点はご了承よろしくお願いいたします。
 まず、平和行政についてお尋ねをいたします。
 ご承知のように、我が国の憲法前文には「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とあります。いわゆる平和的生存権と言われるものですが、憲法はひとり我が国の国民だけではなく世界じゅうのすべての人々が平和のもとで生活を送ることができる権利を認めています。また、その九十九条では「公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあります。したがって、行政は住民が平和のもとで暮らしていけるように努めていかねばならないということです。忘れがちでありますが、平和を維持する不断の努力の上に立ってこそ、さまざまな行政課題の追求もできると思います。
 平和に相対するのが戦争です。「和歌山市戦災復興誌」によりますと、昭和二十年七月九日、和歌山市への大空襲で死傷者約六千人、焼失家屋約三万三千戸、罹災者十一万人、市内中心部六百三十三ヘクタールが焦土となったとあります。今なお、戦争の傷跡や後遺症で苦しんでおられる市民の方が少なからずいらっしゃいます。戦争ではなく平和を、私は平和を維持するための努力は何物にもかえがたいと思うわけですが、この際、知事の存念を聞かせていただきたいと思います。そして、平和という問題についてどのように取り組もうとされているのか、あわせてお伺いをいたします。
 いま一つは、今国会で有事法制が成立をいたしました。今後その具体化としての国民保護法、米軍支援法などの立法化が進められるということです。このほど成立しましたいわゆる武力攻撃事態法、これは我が国の定義がなく、自衛隊の海外における武力行使をも可能にする、そういう法律であろうかと思いますが、地方自治体の責務が定められております。自治体行政や住民生活への影響はどのようになるのでしょうか。
 私は、施政権の及ぶ我が国領域への直接攻撃を受けたときの備えとしてならまだいざ知らず、海外での軍事力の行使のために、またその反撃を想定しての戦時体制づくりに住民や住民の財産が動員されることはあってはならないと思うわけです。また、そういう事態をつくってはならないと願うものです。軍事力によらない平和の維持の追求を地方自治体としても努力をしていただきたいと願うものですが、政府の考える有事法制に対して、知事の所見と今後想定される地方自治体に関連する立法についてどのように対応されようとしているのかをお伺いいたします。
 次に、和歌山市の和歌浦干潟の保全についてお尋ねをいたします。
 和歌山市の中心部を流れる和歌川は、その河口部に干潮時になると巨大な干潟をあらわします。その面積は約三十五ヘクタールで、近畿最大規模と言われています。生息する生物は約三百種類と推定され、貴重種も多く、生物の宝庫とも言われております。瀬戸内海国立公園の区域にも近く、和歌浦周辺一帯の海岸線の保全が望まれているところでもあります。
 この干潟は、一時はヘドロの堆積が進んでいましたが、漁業権を持つ漁協の再生への努力や公共下水道の普及とも相まって、以前に比べるとアサリの稚貝が育っているなど、再生しつつあるのではないかとの関係者の期待が持たれています。片男波砂州から和歌浦干潟、そして名草山を展望する景観は、万葉時代をほうふつとさせる和歌山北部を代表する景観の一つでもあり、県の施設である万葉館が片男波砂州の上に開設をされています。片男波公園は県民の憩いの場でもあり、和歌浦一帯は歴史的景観を持つ観光スポットとしても注目をされています。
 今日、地球規模での環境問題が論じられている中、和歌山の自然環境を保全し、将来に継承していくことは、私たちの世代がしておかねばならない仕事だと思うところです。県の和歌浦干潟についての基本的な考え方、対応についてお聞きをし、保全のための努力を求めたいと思います。
 そこで、環境生活部長にお尋ねをいたします。
 一つ、和歌浦干潟についての基本的な認識をどのように持っておられるのか。
 二つ目に、県が策定した環境基本計画での和歌浦干潟の位置づけはどのようになっているのか。
 三つ目に、改正河川法では従来のコンクリートで固めた護岸改修ではなく、住民の意見を反映させることや自然再生型河川整備が言われています。また和歌山型の公共事業のあり方ということも言われているわけですが、和歌浦干潟をめぐる公共事業のあり方を考えていくためにも、和歌浦干潟そのものの保全と再生を環境政策に位置づけ、そのための組織と事業計画の策定が必要ではないかと思われますが、いかがでしょうか。
 次に、農作物の鳥獣被害とその対策についてお尋ねをいたします。
 本県の近畿二府四県の中で占める農業の位置を見てみますと、一九九九年の数字ではありますが、全人口に占める農業就業者の割合はトップ、一人当たり農業粗生産額もトップ、とりわけ果実の生産額が十倍近くあり、青森、長野、山梨と肩を並べての果樹王国であることもわかります。野菜の生産額も兵庫、京都に次いでおり、耕作地面積の比較から見ると高い生産性を上げていると思われます。生産者を初め関係者の努力のたまものと思うわけですが、近年、農業生産をめぐる環境が厳しさを増してきているだけに、農業を本県の基幹産業と位置づけて振興策の拡充を図る必要があると思われます。
 本県の地理的条件でもありますが、中山間地域で農業経営されている方が頭を痛めている問題として、農作物の鳥獣被害の問題があります。朝収穫に行くとイノシシもしくはイノブタにすべて掘り起こされていた、このミカンの木は猿のために植えているようなものという話を聞きます。県は農作物被害に対して被害防除と駆除の両面から対策をとられていますが、被害の実態から見て果たして十分な対応と言えるのかどうか、今後の対応をどのように考えておられるのか。鳥獣の生息状況や生態の調査を初め、被害防止のための本腰を入れた取り組みが求められていると思われますが、関係部長に何点かお尋ねをいたします。
 一つ、鳥獣被害の現状をどのように把握をされ、認識をされておられるのか。また、現状の対策と今後の方向をお示しください。
 二つ目に、和歌山県北部において移入種であるタイワンザルについて特定鳥獣保護管理計画を策定し、捕獲事業を行っていますが、その進捗状況と今後の見通しについてお答えください。
 三点目に、今回の構造改革特区、和歌山も認定をされておりますが、その中の新ふるさと創り特区の内容の一つとして有害鳥獣捕獲における狩猟免許を有しない従事者を容認すると、こういう内容がございます。この特区で何が期待でき、どのような効果があるのか、お尋ねいたします。
 次に、介護保険事業についてお尋ねをいたします。
 今年度、介護保険の事業計画の見直しにより新たな保険料体系が設定をされました。六十五歳以上の一号被保険者の保険料の全国平均は、改定前の二千九百十一円に比べ一三・一%アップの三千二百九十三円となっています。年金が引き下げられたもとでの保険料引き上げが高齢者の生活を脅かし、必要な介護サービスの抑制につながりはしないか、懸念がされます。今回の事業見直しによって県内の保険料の標準負担額の地域間格差が改定前の一・五倍から二倍へと広がりました。
 また、保険料の所得区分によって保険料が定額で五段階もしくは六段階に区分をされておりますが、この中の矛盾も広がっています。第一段階は、生活保護世帯もしくは老齢福祉年金受給者で非課税世帯となっております。第一段階より高い保険料が設定されている第二段階は、世帯員が非課税であるというくくりだけで、収入ゼロから年金収入年額二百六十数万円までの非常に幅の広い所得区分となっていますが、今回の保険料改定によって収入に対する保険料負担率の開きが一層拡大をしております。保険料が負担できなければ介護サービスが受けられない事態ともなります。保険料のきめ細かな低所得者への配慮が求められていると思います。
 また、最近、通院や施設などへの移送サービスについての苦情がふえ、改善してほしいという訴えをよく耳にします。今年度は介護報酬の変更もあって、通院に利用されていた介護タクシーについてタクシー運賃の新たな負担が生じることになったり、予約でいっぱいで数カ月後でないと新規に利用できない、こういう問題、また市町村が行っている高齢者生活支援事業の一つとしての移送サービス、これを実施をしていない自治体があることなど、県民の要望にこたえ切れていないのではないかと、このようにも思います。
 県は、これまでホームヘルパーやボランティアが自家用車を利用しての有償での移送は認めない方針を示してきました。ところが、今般の構造改革特区において福祉分野の特区として社会福祉法人やNPOが行う自家用車を利用しての有償移送サービスも認められるようになって、他府県では採用する自治体も出てきております。利用者の通院や移送についての選択肢を広げ、必要とする移送サービスが受けられるように改善を進めることが求められていると思います。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 一つ、今回の介護保険事業の見直しについて、とりわけ保険料の地域間格差についての認識をどのように持っているのか、また県としての緩和策があるのかどうか。
 二つ目に、保険料の第二段階に区分されている人で第一段階より低い収入の人もあります。また、第二段階の所得区分は非課税というくくりだけになっていて、非課税世帯の中でもより所得の低い人への配慮が必要なのではないでしょうか。県当局の見解と今後の対応についてどのように考えているのか、お尋ねいたします。
 三つ目に、移送サービスについて現状はどのようになっているのか。供給側が利用者の要望に追いついていない自治体も多いのではないでしょうか。今後どのような方針を持って進めようとされているのか。
 四つ目に、NPOやボランティアが移送サービスに取り組める条件整備を今後どのように進めていくのか。また、移送車への補助制度など検討できないものかどうかをお尋ねをいたします。
 最後に、健康対策についてお尋ねをいたします。
 わかやま21世紀健康づくり推進会議から、県民みんなの健康づくり運動「元気わかやま行動計画」が提言をされております。早朝の和歌山城公園を初め各地域の公園や広場では、中高年の皆さんがウオーキングを初め体操など、それぞれの運動をしている姿をよく見かけます。また、肥満や糖尿病、高血圧の予防、病後のリハビリとして和歌山市にある県の体力開発センターのプールを利用している人も多くあります。
 しかし、一方では、総務省統計局の社会生活基本調査を見てみますと、県民が生活時間の配分及び自由時間に余暇活動としてどの程度スポーツに時間を割いているかという設問では、本県は全国平均値の七二・三よりも低く六七・六という指数で、近畿では実に最低となっております。スポーツを楽しんでいる人口や時間が短いということを一方ではあらわしております。
 元気わかやま行動計画の中の推進体制の整備として、県民の健康づくりを実践するためには地域活動の活性化が重要として、自主的グループの育成・支援を行うとあります。そのためには、指導者と身近に利用できる施設がどうしても必要であります。行動計画には健康運動指導士などの専門資格職の養成確保が必要ということ、また健康づくりの中核となるセンターの設置等、健康づくりの基盤整備を行うとも書かれてあります。指導者と施設の確保など、県としての受け皿づくりをどのように進めていくのか、関係部長にお尋ねをいたします。
 一つ、健康対策とスポーツ振興についての基本的な考え方をお聞かせください。
 二つ目、県民みんなの健康づくり運動を進めていく上で、指導員や専門資格職の養成など、体制づくりはどのようになっているのか。
 三つ目に、屋内スポーツ施設の耐震診断、耐震補強や整備がどの程度進められているのか。建てかえが必要な施設が放置をされているということはないのか。
 四つ目に、市民が気軽に利用し、専門家の指導が受けられる県の施設として体力開発センターがあります。先日もこの会議で議論されたところでありますが、和歌山市内のセンターは年間十一万人を超す利用者があるということです。この施設の利用者はここ数年増加傾向にあり、特に一年じゅう利用できるプールの利用者がふえてきています。この施設の存続、充実を私は望むものでありますが、今存廃問題が議論をされているということでもあります。県民の健康増進、健康日本21和歌山県での実践を進めていくためにも、また県民の生涯スポーツ振興の拠点の一つとして、より充実を目指して整備を進めていくべきではないのかと思うところですが、いかがでしょうか。
 以上、お尋ねをいたしまして、私の第一問といたします。
○副議長(吉井和視君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 平和についてのご質問でございます。
 恒久平和というものは人類永遠の願いであり、我が国もこれを国是としているところでございます。ただ、二十一世紀、東西冷戦構造が終わったら平和な世界が来るかと思っていたわけですけども、大変いろんな地域で紛争が起こっております。毎日のように、自爆テロで若い人が死んだり、そしてまたそれを受けた側もたくさん死んでいるというようなことがテレビで報道されたりして、本当に心を痛めているところでございます。
 ただ、こういうふうな状況であればあるほど、この平和を愛するということの重要性は輝きを増してくるというふうに思うところで、私はこの日本の国の恒久平和を願う気持ちというのは非常に立派なものであるというふうに思っているところでございます。
 こういうふうな中で、今般、有事法制に関する法律が成立いたしました。今も申し上げましたように、日本の国も戦後五十数年、非常に平和な中に世の中が進んできたわけでございますけども、最近の世界の情勢を見ると、日本だけがこういうふうな状況のらち外にあるというふうなことは難しい状況になってきているのではないかというふうに思っているわけでございます。
 そういうふうな中で、やはり日本に──まあこれはないことだと思いますけども──他国が攻め込んで来るというふうなときにどういうふうに対応するかという手続を定めてないというのは、これはやはり今の時代状況からは適切でないというのもまた私の基本的な考え方でございます。
 ただ、その中で、国民を守る国民保護法制が一緒にできれば非常によかったんですけども、これがこの有事法制施行後一年以内に検討するというふうなことになっているわけでございます。現在、私は最後の沖縄県知事・島田知事──官選の知事の方ですけども、もう沖縄が戦場になるということを覚悟の上で沖縄へ行って、そして県民を守って自分も亡くなられたという方の本を今読んでいるところでございますけれども、しかしながら、日本で唯一戦場になったその沖縄で、必ずしも沖縄県民の権利が守られなかったというふうなことが、そういう島田知事のような立派な人がいても──これはまあ戦争中だから仕方がないということはありますけども──そういう事実があったこともまた疑いもない事実でございますので、そういうことから考えてもこの国民保護法制ということは非常に重要なことだと思いますし、この保護法制の中に和歌山県民が守られるような形の内容になっていくように、私もいろいろな機会を見て発言をしていきたいと、このように思っております。
○副議長(吉井和視君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 和歌浦干潟の保全についてのご質問にお答えいたします。
 まず基本的な認識についてでございますが、和歌浦干潟は本県最大の干潟であり、平成十三年の調査では三十七種の貴重種を含む二百八十九種の生物が生息し、豊かな生態系を有しており、環境省の重要湿地五百にも指定されております。現在の干潟の状況は比較的良好に保たれておりますが、和歌浦干潟は県民の貴重な財産でもありますので、干潟環境を損なわないよう配慮していかなければならないと考えております。
 次に、環境基本計画での位置づけについてでございますが、干潟はカニ、貝などの小動物のすみかであるとともに、それらをえさとする鳥類も多数集まる場所であり、環境基本計画の中では「わんど、干潟、藻場、砂場など多様な生物の生息基盤となる自然環境を保全します」と位置づけております。
 三点目のご質問の干潟保全のための組織と事業計画についてでございますが、現在の和歌浦干潟の状況は比較的良好と思われますが、干潟の保全について課題が予測される時点において、関係者と相談しながら干潟保全に向けた必要な取り組みや対策、並びにこれらを協議する組織を含めて検討してまいります。
 続きまして、農作物の鳥獣被害対策について、一点目のご質問の鳥獣被害対策と今後の方向についてでございますが、農作物に大きな被害を及ぼす有害鳥獣捕獲を促進するため、本年四月十六日から第九次鳥獣保護事業計画を改定し、捕獲方法、捕獲時期等の許可基準を大幅に緩和したところでございます。また、市町村が行う有害鳥獣捕獲に対する助成を、従来から実施している猿に加え、平成十三年度からイノシシ、平成十五年度からアライグマを対象に実施しております。今後とも、有害鳥獣捕獲がより促進されるよう努めてまいります。
 次に、二点目のご質問のタイワンザルの捕獲事業の進捗と今後の見通しについてでございますが、平成十三年九月のサル保護管理計画の決定を受け、えづけを行いながら二カ所の大型捕獲おりを建設してまいりましたが、本年三月、おりが完成し、直後の三月二十八日、二十九日の両日、計十八頭捕獲いたしました。今後は、電波発信器による群れ位置確認やえづけ方法を工夫しながら、特に山にえさが少ない時期を重点に捕獲するなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 三点目のご質問の新ふるさと創り特区と有害鳥獣捕獲についてでございますが、中山間地域を中心に野生鳥獣による農作物被害が増加するとともに、狩猟者の減少、高齢化により有害鳥獣捕獲に従事する者を確保することが困難な状況にあることから、安全性等が確保される場合、網・わな狩猟免許所持者の監督のもと、免許を所持していない者が有害鳥獣捕獲に従事できることといたしてございます。このことにより、有害鳥獣捕獲のより円滑な実施が図られることと考えております。なお、対象地域は十二町村となってございます。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 鳥獣被害の現状と対策等についてでございますが、平成十四年度の農作物被害金額は約三億二千万円で、イノシシが最も多く約一億一千八百万円、次いでカラスが約七千万円、次いで猿が約五千三百万円など、県内で大きな被害が出ており、生産者が苦慮していることは十分認識してございます。
 県といたしましては、従来の国庫補助事業の活用に加えて、平成十三年度に県単独の農作物鳥獣害防止対策事業を創設しまして、市町村との連携を図りながら地域の実態に即した防護さくや電気さくの設置に努めているところでございます。
 今後とも被害防止に向けてのハード事業を進めるとともに、専門家を招いての研修会の開催や本年度設置されました有害鳥獣対策連絡会での協議など、関係部局と一体となって取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(吉井和視君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) まず、介護保険についてお答えいたします。
 介護保険料についてでございますが、平成十五年度からの本県全体の介護保険料につきましては、平均保険料は三千五百二十七円で、平成十四年度までの保険料二千九百十円に比べ六百十七円、二一・二%の上昇となっております。これは、介護保険制度の普及に伴い施設・居宅の各種介護サービス利用量が増加したことによるものでございます。
 ご指摘のとおり、各市町村により保険料の格差が見られますが、これは介護サービス利用量の相違等によるものであると考えられます。こうした保険料の設定につきましては基本的には保険者である市町村の問題であり、各市町村においても独自の保険料減免措置が講じられております。
 次に、保険料の低所得者への配慮についてでございます。
 県といたしましては、保険料算定のための所得段階区分については、低所得者層、特に二段階区分層への賦課基準の見直しを行うなど、生活困窮者に対する減免要件を法令上位置づけるよう国に要望しているところでございます。
 次に移送サービスの現状についてでございますが、現在、移送サービスについては、公共交通機関や介護タクシーのほか、市町村においても移送車両により居宅と福祉施設や病院などとを送迎する外出支援事業等が行われております。県はこの事業を実施している市町村に対し補助を行っており、今年度は前年度比約一・五倍の九千九百万円を予定しております。
 なお、介護タクシーについてでございますが、移送は介護保険給付対象外でありますが、介護報酬適正化の観点から今回、乗車・降車の介助に対する介護報酬が設定されたところでございます。今後の移送サービスについては、この介護タクシーや公共交通機関あるいは市町村による外出支援事業などを組み合わせて行うことが適当であると考えます。
 次に、NPOやボランティアの移送サービスの整備につきましては、今後、地域の実情に応じた対応等について検討してまいりたいと考えております。
 なお、移送車購入への補助につきましては、外出支援事業の中で行っております。
 次に、健康対策のうち健康づくりと指導員養成についてお答えいたします。
 健康日本21を推進するため、本県は元気わかやま行動計画を策定いたしております。この計画では、日常生活における身体活動の重要性をうたうとともに、生活の質の改善や生活習慣病の予防等のための具体的な目標値を設定しております。この計画を推進するため、健康運動指導士養成講習会に参加するなど指導員の養成にも努めております。健康日本21が県民の健康づくり運動として広く浸透するためには市町村の計画策定が必要で、策定に当たっては県も保健所等を通じ支援を行っております。
 今後、この運動を実行性のあるものにするためには、関係機関等との連携を図るとともに、学校や企業の運動施設の開放や公共スポーツ施設の利用時間の拡大等を推進するほか、健康運動指導士等による啓発や実践活動等を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興、とりわけ生涯スポーツについてお答えします。
 すべての人々がそれぞれのライフステージや特性などに応じ主体的、継続的に日常生活の中でスポーツに親しめるよう、県民の健康・体力づくりの充実、各種スポーツの普及などを推進するため、さまざまな施策を展開しております。
 次に、県立体育館などのスポーツ施設の耐震診断については、現段階では実施しておりませんが、今後、耐震改修も含め、最も経済的で合理的な対応策を検討してまいりたいと考えております。
 最後に、体力開発センターは体操教室、水泳教室、健康講座を開催するとともに、プールを利用してリハビリに活用されるなど、多くの県民に親しまれております。今後も高齢者等の健康維持を初め、さまざまな教室の内容を充実させて実施してまいりたいと考えております。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕
○藤井健太郎君 再質問を行わせていただきますが、初めての登壇でもございますので、要望ということになろうかと思いますが、ぜひ聞いていただきたいと思います。
 初めて県の皆さんから、知事からも答弁をいただいたわけでありますが、全体としてもう一歩前に出た施策展開を進めてもらいたいという印象が残りました。
 平和の問題で知事は、今日、地域的な紛争、民族紛争というのが絶えない状況にあって、さきのイラク戦争でもそうですが、平和という問題、恒久平和を願う気持ちというのは大切にしなくてはいけないという答弁をしていただきました。日常的にはこの平和という問題を意識しながら生活するというのはほとんどないんじゃないかと思うんですが、今日よく生活の中でそれを感じるようになってきたわけです。
 そういう中で、恒久平和を願うという答弁でもありましたので、ぜひ、思いだけではなくて目に見える形での施策展開をしていただきたいと思うんです。例えば、五月三日の憲法記念日であるとか、七月九日の和歌山市での大空襲を受けた日、八月六日、九日、広島、長崎に原爆を投下された日、八月十五日の終戦記念日、平和を顧みる機会というのは多々あるわけでございまして、そういうときにひとつ県が主催をして講演会やシンポジウムを行うということで、被爆の実相や戦争体験を語り継ぐ。私どもはもう戦後の時代ですから、そういう思いというのが実感としてございません。しかし、やはり語り継いでいくということは大事なことだと思うわけです。平和を意識するそういう取り組みというのもぜひ検討していただきたいと、これは要望しておきたいと思います。
 また、今、政府の方ですが、周辺事態法を初め今回の有事法制、受けとめ方はそれぞれいろいろあろうかと思うんですが、しかし、大事なことは、このような有事法制が発動されないにこしたことはないと思うんです。そういう意味での国際環境づくり、憲法の要請でもありますが、そういう呼びかけをひとつ和歌山から発信していってはどうかと。平和行政を推進していくという一つの中身にもなりますので、ぜひその具体的な取り組みを期待をして、今後推移を見ていきたいと思います。
 和歌浦干潟の保全と再生の問題ですが、干潟そのものに着目した事業やそれを推進する体制というのは今のところないと思うんですね。部長からは干潟環境を損なわないよう配慮しなければならないと考えているという答弁がありましたが、考えているだけではだめだと思うんです。環境基本計画の位置づけを聞きましたが、それには干潟の保全が位置づけられているという答弁でもございましたので、ぜひ事業化を進めていただきたいと思います。
 現在の状況は比較的良好だと、このように言われておりましたが、自動的にそうなったのではありません。一問でも申し上げましたけど、関係者の並々ならぬ努力、住民の和歌浦干潟を注視する、そういう中でこの干潟が保全をされ再生されつつあるということで期待が高まっているわけですから、そういうこともぜひ理解をしていただいて。現在、この片男波公園の護岸の工事についてどうするかということが検討されております。知事の立場も既に表明をされておりますが、これを機会に干潟そのものの保全と再生を進めるという、干潟そのものに着目をした取り組みというものをぜひ進めていただきたいと、これも要望しておきたいと思います。
 鳥獣被害の問題ですが、地元は大変苦慮をし、頭を痛めております。十分認識しているという部長の答弁がありましたけども、まずそのことをよく理解をしていただきたいと思うんです。これは和歌山の特性であるとも思うんですが、中山間地域での農業経営をされている方というのがたくさんいらっしゃいます。そこでは、高齢化も進み、後継者もないということで、耕作放棄される田畑というのも多くありまして、人手が入らないことによってそれが動物たちの一つのすみかにもなってくるということもあるという話を聞きます。中山間地域での農業振興をどのように進めていくのかということもしっかりと位置づけをして、鳥獣被害対策だけではなくて、そういう農業振興の中にも位置づけをしていただきたい。この問題については、地元関係者とよく協議をして積極的に対応をしていただきたいということを要望しておきます。
 介護保険の問題ですが、新しい事業計画の見直しで事業量が、確かにふえた自治体とかそういった自治体間の格差はありますが、保険料の格差も随分と開いてまいりました。県においては低所得者対策を国に要望しているということですが、それはそれで国の方で実現するまでぜひやり続けていっていただきたいと思うんです。しかし、ここで、国待ちではなく、昨今、地方分権、地方主権といいますか、地方が主体となってこういった介護問題や福祉問題に対応していくということが言われておりますので、ここはひとつ和歌山方式というものをつくり出していただいて、すべての県民が必要とする介護サービスを受けることができると。これは介護保険からの給付もあるでしょうけども、高齢者福祉の施策としてもぜひそのように位置づけて和歌山方式というものをつくり出していけたらなと、そういうふうに思うわけです。
 部長の答弁では、高齢者生活の支援事業、採用する自治体についてはそれが採用されているわけですが、県下全域ではありませんね。これは、地域の特性もさまざまあろうかと思うんですが、非常に財政的な問題で苦慮している自治体もたくさんあると思うんです。その地域に応じたそういった高齢者福祉施策のあり方というのもあろうかと思うんですが、ぜひその点も十分に配慮をいただいて、現在では十分ではないと思いますので、県民が必要な介護が受けられないというような事態にならないように努力をしていただきたいと思うんです。
 今、NPOやボランティアというのが注目をされておりますが、県民の自主的な地域福祉の向上のための取り組みを支援するということも県の大事な施策でもあります。そういう点で、今回、市町村での介護保険事業計画や保健福祉計画の見直しが行われたところでもありますので、一度県内自治体の状況把握を行って、県として適切な支援策が講じられるようにひとつ努力をしていただきたいと思います。
 最後に、健康対策と指導員の確保、施設の整備の問題でありますが、私、常々思うんです。和歌山というのは非常に自然環境に恵まれている。気候も温暖で、日照時間も長い。そういう中で、心臓病やがん、また生活習慣病というのが多いという、心臓病やがんでの死亡率も高いという県になっているのが不思議だなと思うわけですが、このあたりの研究と対策も必要だと思うわけです。
 一方では、県民がどのぐらい健康増進として運動を取り入れているか、スポーツを取り入れているかということを見ますと、全国的に見ても非常に低いという中で、力を入れていく必要があろうかと思うんですが、部長のお話ですと、運動を実行性あるものにするためには関係機関との連携なくしては進まないと、こういう答弁でした。福祉保健部や教育委員会に限らず、関係部局が連携をとりながら効果的に進めていただきたいと思うんです。答弁では一般的な方針しか示されておりませんでして、こういうことも、ああいうこともやっているよという話でしたが、それが具体的にどのような内容になっていて健康対策、健康増進につながっているのかというのがよくわかりませんでした。また機会があるときにお尋ねをしたいと思うんですが。
 それと、屋内施設の耐震診断がまだできていないというお話でした。和歌山市中之島には県立体育館があるわけですが、ここは県民の災害時における避難場所にも実は指定をされております。千九百人の収容予定ということで、炊き出し施設もある、鉄筋づくりだということで、多くの県民は大丈夫だと思っているんじゃないかと思うんですが、耐震診断もされていないということで、施設整備がその点でも大丈夫なのかという問題もわかりました。
 体力開発センターの問題については、内容を充実させていきたいというお話でありました。県民のニーズに合った施設の一つとして維持をし、存続をさせ、充実させていく方向をぜひ打ち出していただきたいと思います。
 財政上のさまざまな問題もあろうかと思うんです。最も経済的な──何とおっしゃったんですかね──方法というんですか、早急に検討していくというようなお話もありましたが、県民の健康増進を通じて、やはり医療費や介護費用のコストダウンを図っていくという観点もぜひ視野に入れて取り組んでいただきたいと思うんです。
 幾つか申し上げましたが、こうした県民生活に密着した事業を進めていくというためには、やはり予算と体制が必要だろうと、そういうふうに思うんですね。和歌山県も非常に厳しい財政状況の中で苦慮をしているように見受けられるわけですが、限られた財源の中で、庁内での行政の事務のあり方、絶えず見直しを進められて、県民サービスと福祉の向上に予算と人員を振り向けるように努力をしていただきたいということを申し上げたいと思います。
 きょうは、初めての登壇ということでもございました。また、幾つかのご要望も申し上げました。また機会を見て、要望申し上げたことについてまた質問をする機会もあろうかと思いますので、当局の皆さんにはぜひ私の意を酌んでいただきまして努力をしていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。

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