平成15年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 まず初めに、地方税財政改革に関連してお尋ねいたします。
 平成十二年四月、地方分権一括法が施行され、機関委任事務が全廃されるとともに国の関与ルールの法定化、必置規制の廃止・縮小等が実現し、国と地方が対等・協力の関係となる第一次分権改革が行われました。次に実現すべき第二次分権改革は地方税財源のあり方に関するものであり、今日まで政府において地方税財源に関して三位一体の改革が検討されてきました。
 地方税財政制度において分権改革が目指す方向は、地方公共団体の歳入・歳出両面において自己決定、自己責任を拡充すること、さらに地域住民の受益と負担の関係を明確化する観点から地方公共団体の歳出規模と地方税収の乖離を縮小することであります。したがって、この改革は地方歳入における地方税の比重をどれだけ高められるかという点がポイントとなり、今日の厳しい経済状況においては、歳入の中立型の考えに立って、国と地方の税源配分の見直しによって税源移譲を行い、地方税の充実を図ることが現実的であると言われております。
 去る六月十八日、政府の経済財政諮問会議は国と地方を通じた税財政の三位一体改革を小泉首相の判断で決定し、経済財政運営の基本方針いわゆる骨太方針第三弾の原案を固めました。この三位一体改革の内容は、国から地方への補助金約二十兆円のうち、平成十八年までの三年間に四兆円程度の補助金を削減する、削減分のうち義務教育費の人件費など義務的経費については全額を地方に税源移譲し、義務的経費に当たらない補助金は削減分の八割を税源移譲する、公共事業関係の国庫補助負担金等についても改革する、移譲される税源については基幹税を基本とするとして、具体的な税目は示されませんでした。一方、地方自治体が独自のアイデアで課税する課税自主権の拡大が明記されました。地方交付税につきましては、地方の歳入不足を穴埋めする財源保障機能を縮小するとともに、地方交付税の不交付団体の割合を拡大するとしております。また、地方財政計画の歳出を徹底的に見直すことも挙げられております。
 そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
 二十一世紀の地方分権型社会の構築を目指す本県にとりまして、三位一体の改革が必要であります。とりわけ税源移譲は、片山総務大臣が提言している、税の中立性から所得税を減税した分、住民税を増税する、消費税の国、地方の割合を見直すことにより安定財源による税源移譲が必要であります。しかし、補助金の削減においては、八割の税源移譲がされても、地方において事業を行っていく場合、二割の事業の整理・縮小を行うか地方単独の財源を求めるか、いずれかとなります。今後の財政運営や本県に必要な公共事業に対して、その手法など、知恵と工夫がぜひとも必要であります。
 知事は、三位一体改革を踏まえて今後本県の財政運営にどのように対応されるのか、平成十六年度予算編成にどう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に、本県では財政健全化に向けた取り組みとして平成十一年八月に財政運営プログラムを策定し、平成十五年までの四年間を財政健全化期間と位置づけ、改革を行い、平成十二年五月には財政運営プログラムIIを策定し、今後のとるべき方策と歳出削減に努めてきました。プログラムIIでは平成十五年度財源不足見込み額百六十億円と想定し、削減目標百二十五億円、要調整額三十五億円とのことでありました。本県では、人件費の削減を初め機構改革の実施、補助金の改革、施策の抜本的見直し等、今日まで収支差の解消に努めてこられたところでございます。
 そこで、関係部長にお尋ねをいたします。
 一、財政健全化期間において本県財政の収支差がどのように改善をされたか。
 二、三位一体改革を受けて国は地方財政計画の見直しを示し、国の十六年度予算を対前年伸び率ゼロ方針と示されておりますが、今後、職員の給与を含む人件費にどう対応されるのか。
 三、地方税財源の充実については、国から税源移譲、法人事業税への外形標準課税の導入、及び課税自主権の拡大による法定外課税等に本県はどのように対応されるのか。また、税収見通しはどうか。
 四、三位一体改革で義務教育費の国家負担金が削減され、十割税源移譲されることになりました。本県では十五年度当初で三百二億円が計上されております。本年度から小学校一年生におきまして少人数学級が県下で十四校実施されておりますが、教育長は少人数学級の拡充にどう取り組まれるのか。
 以上四点、お尋ねいたします。
 次に、食の安全・安心を推進する体制の構築についてお尋ねをいたします。
 一昨年九月、BSE発生で牛肉をめぐるパニックが起きて以来、買い上げ牛肉の偽装問題、食品表示偽装問題、さらには無登録農薬使用や中国冷凍野菜の残留農薬の問題など不祥事が相次ぎ、食の安全に対する消費者の意識は大いに高まってきました。
 本年五月、食の安全と国民の健康を守ることを目的とした食品安全基本法が成立し、施行は七月一日となる見通しであります。さらに、農薬や添加物などの使用規制や罰則強化、有害物質が検出された場合の流通禁止などを盛り込んだ改正食品衛生法と、健康食品の虚偽または誇大広告の禁止条項を盛り込んだ改正健康増進法が五月に成立。さらに牛肉トレーサビリティー法案、農林水産省設置法改正案など、五つの関連法案も六月四日に成立いたしました。これにより、食の安全確保に向けた法体系が総合的に整い、食品安全行政が大きく前進することになりました。
 本県では、本年の機構改革で、環境生活部に食の安全局、農林水産部にエコ農業推進室を設置し、消費者の立場に立った食品の安全を確保するため、総合的な食品の安全対策を推進する体制の構築を目指しております。
 本県は農産物の生産高が、平成十三年度の農水省統計によりますと、梅がシェア五八%と全国第一位を占め、カキ一八・三%、第一位、ハッサク五九%、第一位、ミカン一二・一%、第三位など、果樹王国と言われてきております。また漬物の出荷額でも、梅加工を中心に総額六百十四億八千万円、全国シェア一二・五%と、第一位であります。
 こうした状況を踏まえて、本県では食の安全推進本部及び食の安全推進会議を立ち上げ、BSE、残留農薬、不正表示等の問題発生に対して消費者の食品安全に対する不安を払拭するため、生産から消費に至るまで一貫した食品安全体制の確立を図ろうとしています。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 本県の食の安全推進体制の構築と食の安全確保のための基本指針、アクションプランの策定にどう取り組まれるのか、お尋ねをいたします。
 次に、関係部長にお尋ねをいたします。
 一、食の安全・安心を消費者に直接知っていただくため、本県における農畜産物の生産履歴情報を開示するためのトレーサビリティーシステムの構築にどう取り組まれるのか。
 二、今回、残留基準が設定されていない農薬を含む食品の流通を禁止するポジティブリスト制が導入され、厚生労働省は今後三年をめどに残留基準の策定を急ぐ方針ですが、本県の農産物の安全性の確立のため、今後どう取り組まれるのか。
 三、食の安全性を高め、消費費と生産者の信頼を高める上から、食品製造、加工業者に対し、県による簡易HACCP手法の導入が必要でありますが、どう取り組まれるのか。
 四、昨年三月、県は食品衛生法及びJAS法に基づく食品表示の立入検査を実施し、違反のあった施設に対して行政指導を行ってきていますが、今後、法改正を受けて食品表示の適正化にどう取り組んでいかれるのか。
 以上四点、お尋ねいたします。
 次に、新型肺炎(SARS)対策についてお尋ねいたします。
 本年二月、上海と香港を訪れ、ベトナムのハノイ市に行った方が呼吸器疾患でハノイ市の病院に入院した後、死亡しました。その時点では原因がわからないまま同様の疾患が病院内で発生、さらに香港でも多数の患者が発生しました。こうした呼吸器疾患の多発に対し世界保健機構(WHO)は、三月十二日、全世界に新たな感染症、SARSの発生に警告を発しました。さらに、WHOの調査で、SARSは既に昨年十一月、中国広東省で患者が発生しており、同地から各国に広がったと結論づけました。SARSはその後、香港、台湾、モンゴル、カナダなど三十以上の国と地域に広がり、六月十二日現在、患者発生数は八千四百四十五人、死亡者は七百九十人になっています。世界九カ国十三カ所の研究施設で構成する国際的な共同研究により、コロナウイルス科に属する新型コロナウイルスを発見。WHOはこのウイルスがSARSの病原体であると断定し、「SARSコロナウイルス」と命名しました。
 WHOを初め世界各地での研究結果から、SARSが予想以上に強い感染力を持ち、致死性も高い点から、厚生労働省は四月三日にSARSを感染症法に基づく新感染症に指定しました。この結果、患者が発生した場合、知事は特定感染症指定病院への入院勧告・命令を出せることになりました。さらに厚生労働省は、陰圧室など菌を外部に飛散させない特別な病室の確保を進め、患者が発生したときには感染症専門家四人程度で一チームを編成し、迅速に派遣することを決めました。一方、患者発生の際、各自治体の対応策を確立する措置として、都道府県に対してSARS患者が発生した場合の具体的な行動計画の策定を要請しました。
 六月十二日現在、厚生労働省のまとめによりますと、日本での患者数は、疑い例五十二人、可能性例十六人、確定ゼロとなっております。しかし、SARSに感染した台湾人医師が関西、四国を旅行したことにより、立ち寄った施設、ホテル、飲食店など、安全を守る立場から大変な努力が払われました。相次ぐキャンセル等による風評被害は、新聞報道によると四億五千万にも上るとのことであります。
 木村知事は、六月県議会の説明におきまして、「私は、県民の安全・安心を守る立場から、新型肺炎に対する危機管理体制の整備が重要な課題であると認識しております。そのため、和歌山県重症急性呼吸器症候群行動計画を策定し、具体的な対応策を決定するとともに、専門家による医療関係機関連絡会議を開催するなど、体制整備に努めております」と述べております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 本県では、高野・熊野の世界遺産登録を目指しており、観光立県としてアジアとの交流を推進してきています。新型肺炎に対する本県の相談患者の実態及び行動計画の充実など、新型肺炎に対する危機管理体制の整備にどう取り組まれるのか。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、SARS対策として、感染者を入国させないことが重要であります。本県における港での検疫体制の整備はどうか。
 二、SARSに対する相談体制、患者の搬送、指定病院の整備及び実態はどうか。
 三、指定病院等における医師の確保と院内感染対策はどうか。
 四、県民への正しい知識や予防方法の周知徹底にどう取り組まれるのか。
 五、SARSによる本県への影響とその対応にどう取り組まれるのか。
 以上五点、お尋ねをいたします。
 次に、和歌山市内における街路事業についてお尋ねいたします。
 財政状況の厳しい中、本県では投資的経費が年々減少し、普通建設単独も同様に減少してきましたが、平成十五年度予算におきましては、県勢の活力導出を図るため、予算規模をプラスに転じられたことに敬意を表する次第であります。
 高野龍神スカイライン無料開放に伴う経費を除いても、投資的経費全体で地財計画五・二%減に対して本県では一・五%減となり、普通建設単独で本県では一二・二%増と、投資的経費に力点を置いた予算措置は県民にとって喜ばしいことであります。また、本年四月には待望の第二阪和国道の和歌山北バイパスが開通し、紀の川を渡る紀の国大橋により市内南北の交通渋滞の改善が図られました。
 和歌山市内においては、従来から東西幹線道路の整備のおくれが指摘されてきました。平成十三年九月に都市計画道路湊神前線東工区が開通したのを初め、各路線において当局の努力で事業が進められているところであります。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 一、都市計画道路市駅小倉線については、県道井ノ口秋月線道路改良事業として井ノ口─栗栖間千百メーターは工事中であり、栗栖から国道二十四号線に至る千四百メートルは用地買収等が進められております。事業の進捗状況及び供用開始の見通しはどうか。
 二、都市計画道路湊神前線西工区八百二十三メートルについては、現在、新堀橋から国体道路に至る間で施工中であり、市内東部から中心市街地に入る幹線道路となるため、一日も早い完成が望まれております。事業の進捗状況及び供用開始の見通しはどうか。
 三、都市計画道路南港山東線については、西工区二百七十一メートル、東工区六百五十メーター、県道三田三葛線道路改良事業として五百メーター間で事業が進められております。都市計画道路湊神前線東工区が国体道路まで開通したことにより、県道秋月海南線が恒常的に交通渋滞する状況にあります。そのため、南港山東線の早期整備を願っております。事業の進捗状況及び供用開始の見通しはどうか。
 以上三点、お尋ねをいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねをいたします。
 平成十五年度の高校入試においては普通科の学区制を撤廃し、県下の中学生が自分の個性を生かした高校を選択できるようになり、入試結果から見ましても比較的スムーズに実施されたとの印象を受けました。各学校が自校のカラーを鮮明にするため学力検査問題を自校作成で実施する高校もふえ、各高校が特色ある学校づくりに意欲を持って取り組まれていると感じた次第であります。
 文部科学省の平成十五年度スーパーサイエンスハイスクールに桐蔭高校が指定を受け、今後平成十七年までの三年間、科学技術、理科・数学教育を重点に、和歌山大学、近畿大学、県立医科大学との効果的な連携を行って課題研究に取り組むとのことであります。また、本年四月より星林高校と和大附属中学が連携型の中高一貫教育を実施し、その成果が期待されております。さらに本県では、併設型の中高一貫教育や六年間一貫教育を行う中等教育学校の導入を目指して昨年十一月に和歌山県中高一貫教育推進懇談会が設置され、本年三月に報告書がまとめられたところであります。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 特色ある学校づくりとして、本県における併設型中高一貫教育、中等教育学校の実施へ今後どう取り組まれるのか、また総合学科、単位制高校の導入をどう推進されるのか、お尋ねをいたします。
 次に、スポーツ振興の観点からお尋ねをいたします。
 去る五月、友人の紹介で和歌山オレンジ体操クラブの練習を和歌山北高校の体育館において見学をいたしました。高校生、中学生、小学生が熱心に各種目の練習に取り組んでおり、指導される先生方も一人一人の能力に合わせて指導に当たっておられました。説明によりますと、日本体操協会ジュニア強化選手や日本体操協会優秀選手賞を受賞した選手もいて、充実した練習内容でした。
 また、昨年、県議会文教委員会で長崎県を視察したときに、長崎県の高校ではスポーツ推薦による入試を実施しており、各高校では自校のスポーツ種目を決め、その学校へ県下から優秀な選手を受験してもらって集める、教育委員会はその学校へ指定種目の専門の体育教員を配置することで競技力の向上を図っているとのことでした。こうしたスポーツ推薦は島根県や佐賀県でも実施し、成果を上げているところであります。
 本県においても、推薦入試において、スポーツで活躍した受験生を評価して入学させてきておりますが、各学校がスポーツ種目まで決めていないため、高校総体や国体などでの活躍につながりにくいのではないかと感じる次第であります。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、高校の推薦入試にスポーツ推薦枠を導入し、その学校に指定種目の教員を確保して優先的に配置することにより競技力の向上を図られてはどうか。さらに、現在、行革実施期間ということで体育指導員の採用が中止されておりますが、募集されてはどうか。
 二、本県においては体操競技を行う施設が少ない状況にあり、来年度からビッグホエールを教育委員会が管理委託を受けることから、広く各スポーツ競技に利用していただくためにも体操競技が実施できる会場に改善されてはどうか。
 三、高校生のスポーツ強化事業としてハイスクール強化指定校事業やジュニアの競技力対策としてtotoの助成金と県費によるきのくにジュニアトレーニングセンター事業がありますが、こういった事業を充実させ、競技力向上に取り組まれてはどうか。
 以上三点お尋ねいたしまして、第一回目の質問とさせていただきます。ご清聴、ありがとうございました。
○副議長(吉井和視君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、三位一体の改革に伴う来年度を中心とする本県の財政運営についてのご質問でございます。
 三位一体の改革は、総理大臣の決断によって税源の移譲ということも含まれた形で一応決まったわけですけれども、今後の動きというふうなものはなお予断を許さないものがありますし、それから補助金がどうなっていくのか、交付税がどうなっていくのか、細部については何も決まっていない状況でございます。
 しかしながら、今後こういうことの中で、国も税源移譲ということで非常な犠牲を払うわけでございますけれども、地方の方も相当厳しい状況になってくるということは間違いないことだと思いますので、この動きは来年度の和歌山県の予算編成にも大きく影響してまいりますので注視をしてまいりたいと思いますし、それからいたずらに地方に負担がかかってくることのないように必要に応じて国に対しても意見を申していきたいというふうに思っているところでございます。
 それから次に、食の安全推進体制の構築と基本方針やアクションプログラムをつくりなさいというご質問でございました。
 ご案内のように、現在、食品の偽装表示でありますとか、それから無登録農薬の使用ということで世間が非常にこの食の安全ということに関心が高まってきているところでございます。そういう中で、本県でもいち早くこの四月から食の安全局という耳なれない局でございますけれども、つくって、これへの対応に先進的に取り組んでいるところでございます。中身が、まだ割と新しい分野でございますのではっきりしないところがあるんですけれども、まず食の安全推進本部というのを副知事をキャップにして設けまして、そこで基本方針それから具体的なアクションプログラムというのを策定していきたいというふうに思っております。
 それから、この食の安全ということについて、役所の独善というふうなことになってはいけませんので、食の安全県民会議というものを設置して、県民や生産者、もちろん県、それから学識経験者、いろんな人に入ってもらって若干厳し目の対応というのがとれるように、そしてまたそのことが和歌山県でつくっている食品なんかが非常に安心だというふうなことから信頼性を高めていくという面も大事だと思いますので積極的に取り組んでいきたいと、このように思っております。
 それから、SARSへの取り組みでございます。
 SARSにつきましては、幸いなことに、ここのところ外国においても症例が減ってきているというか、なくなってきたところがございます。しかしながら、聞くところによりますと、これまた空気の乾燥する冬になってくると再発するようなおそれもあるということで、手を緩めることができない状況かと思います。そういうふうな中で、県の方といたしましては、今度の騒ぎの中で、保健所を窓口にしたわけですけれども、二百五十件ぐらいの問い合わせが、私の方は大丈夫だろうかというようなことでありました。幸いなことに、これは全部大丈夫だったわけですけれども、いずれにせよ、こういうふうな相談窓口の体制を確実に整備していく、それからまたそういう二百五十件の問い合わせなんかをもとにして、不安の解消とか知識の啓発ということについての知見を蓄積していって適切な対応ができるようにしていかないといかんと思っておりますし、それからアイソレーターという患者を搬送する機械、これも先般購入いたしました。それから、特定の病室を減圧して菌が外へ出ないようにするような設備も整えました。しかしながら、先般、台湾の医師の人がこの近畿を──和歌山県は幸い来なかったんですけれども──回ったときのパニック状態というふうなこともあったわけでございまして、いずれにせよ、こういうことは実際起こったときにどういうふうに迅速に的確な対応がとれるかということが一番大事です。
 先ほど議員のご質問の中にもありましたように、和歌山県は来年世界遺産の登録を目指して観光立県ということで売り出していこうとしているわけで、そういうときに、こういうふうなことでもし万が一不幸にも何か起こったときに適切な対応がとれなかったということになったら大変なことになりますので、流行は、ちょっと今はおさまってきているとはいうものの、こういうふうな危機における管理体制ということについては今後とも十分意を用いてやっていきたい、このように考えております。
○副議長(吉井和視君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 地方税財政改革の関連についてお答えを申し上げます。
 まず、財政運営プログラムに基づく財政健全化期間中の収支改善についてでございますが、平成十二年の五月に策定いたしました財政運営プログラムIIでは、平成十五年度当初予算時点での何も対策を講じない場合の収支不足額を百六十億円と見込んでおりましたのに対しまして、実際の平成十五年度当初予算では収支不足が七十八億円となったところでございまして、相当程度収支不足は解消しておりますが、単純に数字を比較いたしますと、プログラムで計画をしました目標額三十五億円には及びませんでした。
 ただし、この結果につきましては、歳出の方では人件費を初めとして歳出削減に努めて計画を上回る成果を上げましたものの、景気低迷により県税収入が計画策定時点の見込み額を百三億円下回るなど、歳入面で計画どおりにまいらなかったものでありまして、そうした点を加味すれば相当の成果があったものと考えております。
 次に、職員の人件費につきましては本県独自の抑制策に努めておりまして、職員定数の削減のほか、給与カットの実施、特殊勤務手当の見直し、超過勤務手当の縮減などを行ってまいりました。しかしながら、ご質問にもございましたように、今後とも本県におきましては大変厳しい財政運営を余儀なくされるものと予想されるところでありまして、さらに徹底した事務事業の見直しや組織機構の簡素効率化を行うことによります定員削減など、人件費の抑制に引き続き努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方税財源の充実と税収見通しについてお答えを申し上げます。
 まず税源移譲につきましては、去る十八日に政府の経済財政諮問会議がまとめました「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三」の原案におきまして、税源移譲は基幹税とするなどの方向が示されておりますが、具体的な税目についてはまだ触れられておりません。
 国庫補助負担金の廃止・縮減や地方交付税の縮小に見合う税源移譲は、地方公共団体間に税源の格差がある以上、本県にとって厳しいことも予想されるところでございますが、今後ともより偏在性の少ない所得税や消費税の移譲について提言するなど、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
 次に法人事業税の外形標準課税につきましては、平成十五年度の地方税法の一部改正によりまして、資本金一億円を超える法人を対象に平成十六年の四月一日以降開始の事業年度から適用され、所得課税の割合を四分の三に、給与報酬額や資本等の金額を基準としました外形標準課税の割合を四分の一とするものでございまして、今議会において県税条例の一部を改正する条例案を提案させていただいております。
 なお、対象となります法人に係る詳細な給与報酬額等につきまして把握しておりませんので、税収の見通しについては不透明なところでありますが、このたびの外形標準課税の導入に当たりましては、過去十年間の全国の事業税額をもとに税収中立で制度設計されているものと承知しております。
 次に、法定外課税の導入や超過課税の実施といった課税自主権の活用につきましては、受益と負担の関係を明確にして今日的な行政課題を解決していく上で有効な手段の一つであると考えておりまして、今後とも検討を進めてまいりたいと考えておりますが、主要な税源が法定税の対象になっているという現状におきましては、自治体の税財政基盤の拡充を図ることには限界があるものとも考えてございます。
○副議長(吉井和視君) 農林水産部長阪口裕之君。
  〔阪口裕之君、登壇〕
○農林水産部長(阪口裕之君) 食の安全・安心を推進する体制の構築についてお答えいたします。
 まず、トレーサビリティーシステムの構築への取り組みについてでありますが、現在、食に対する安全・安心が強く求められており、県といたしましても、消費者の視点に立ち、県産農畜産物の安全性を確保していくことが大変重要と考えてございます。
 まず牛肉につきましては、議員お話しの牛の固体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法が本年十二月から生産段階を対象に施行されますが、県ではこれに先行して、本年度から熊野牛について生産から流通までの経歴をたどる畜産わかやまトレーサビリティシステム導入モデル事業に取り組むこととしてございます。
 一方、農産物につきましては、生産者、流通業者、消費者、学識経験者等の代表から成るトレーサビリティシステム推進本部を六月四日に設置し、農場から食卓まで生産者の顔の見えるシステムづくりに取り組むこととしており、第一回の会合を七月中旬に予定しております。
 また、生産農家では、ことしから農薬や肥料の使用について記帳運動が積極的に展開されており、食の安全性に対する意識が高まっている中で、新たにミカン・梅・カキの主要果樹三品目について国の補助事業を活用し、生産履歴が開示できるシステムの構築に向けて取り組むこととしてございます。
 次にポジティブリスト制導入に伴う本県農産物の安全性の確立への取り組みについてでございますが、国においては食品の安全性を確保するため、去る五月二十三日に食品衛生法を改正し、今後三年以内に残留農薬基準の設定を進め、基準値を超えた食品の流通を禁止するポジティブリスト制を導入することとしてございます。
 一方、農薬取締法におきましても、残留農薬基準との整合を図るため、散布回数、散布濃度などの農薬使用基準の見直しを進めることとなってございます。したがいまして、農薬取締法に基づく使用基準を遵守しておれば食品衛生法の残留農薬基準を超える心配はないものと考えてございます。
 県といたしましては、農薬使用基準の基礎データづくりに取り組むとともに、より一層関係機関、団体と連携を密にし、あらゆる機会を活用しながら農薬使用者に対する適正使用の啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
○副議長(吉井和視君) 環境生活部長津本 清君。
  〔津本 清君、登壇〕
○環境生活部長(津本 清君) 食の安全についての簡易HACCP手法の導入についてでございますが、食品の高度な衛生管理手法として国が総合衛生管理製造過程の承認制度に取り入れているHACCPいわゆるハサップは、食の安全確保のため、広く普及させる必要があると考えてございます。
 県といたしましても従来より衛生管理水準の向上に努めておりますが、本県の産品が衛生管理面で高い評価を受けることはブランドとして確立するための基本であり、食の安全確保の基本指針策定に際して、県独自の簡易なHACCP規格の作成を重要課題として検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に食品表示の適正化についてでございますが、消費者の信頼を回復するために適正な表示を行うことは、基本的には事業者みずからの責任として企業モラルの向上に努めることが必要です。そのため、今回の食品衛生法等の改正により、表示義務違反に対する罰則と監視・検査体制の強化についての法整備が図られたところでございます。
 現行の食品表示制度は、食品衛生法、農林水産物の品質表示のためのいわゆるJAS法など複数の法律により規定されておりますが、県といたしましては、新たに設置した食の安全局を窓口に、各担当部局が密接な連携を図りながら消費者と事業者がともに表示制度を正しく理解し、相互の信頼関係が構築できるよう情報提供を行うとともに、監視指導計画の策定や本年度から新たに設置する食品表示ウオッチャー制度の活用などの取り組みを強化してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) SARS対策についてお答えいたします。
 まず港での検疫体制についてでございますが、検疫所では中国、香港、台湾からの入国者に健康状態質問票を配布し、健康状態を確認するなどし、症状があれば医師が診察するなどの対応を図ることとしております。また、全乗組員に対しても発熱などの健康状態を確認しており、入国後、発熱があれば速やかに保健所等へ連絡するよう指導しております。
 和歌山下津港に関しましては、県、検疫所、入国管理局、海上保安庁等による連絡会議を開催したほか、昨日田辺で、地元保健所、海上保安部、消防本部の合同で、船舶乗組員のSARS感染が疑われるとの想定のもと訓練を行っております。
 次に相談体制ですが、各保健所に相談窓口を開設し、二十四時間体制で対応しております。
 また、今月十三日に患者搬送用車両とアイソレーターを購入し、これを使用した患者搬送訓練を県立医大附属病院紀北分院で実施いたしました。
 患者の診療については県内九病院で、入院については陰圧室を整備した六病院で担当いたします。
 次に医師の確保と院内感染対策についてでございますが、感染症の専門医は全国的に不足しているため、SARSは主として呼吸器の専門医が対応することとなっております。
 院内感染につきましては、従来から各医療機関において対策委員会を設けるなどの取り組みを行っておりますが、入院を担当する六病院では院内感染対策の確認徹底等を行っております。
 次に正しい知識や予防方法の周知についてでございますが、現在までテレビやラジオスポットを放送したほか、チラシ五千枚とポスター百枚を製作し、配布いたしました。また、県ホームページの活用やマスコミへの情報提供を行うとともに、各保健所長が地域に出向く講習会等を四十回開催するなど、県民への正しい知識の普及、不安解消に努めております。今後も積極的に情報提供等を行ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(吉井和視君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) SARSによる本県への影響と対応でございますが、製造業につきましては、発症地域への出張を控える企業が多いものの徐々に緩和の方向に向かっており、現在のところ、県内企業に目立った影響は出ていないという状況でございます。しかし、観光への影響につきましては、香港、台湾を中心とする東アジアからの観光客が激減していることから、観光関連事業者に影響があると考えられます。
 対応といたしましては、関連企業や業界に発症地域の動向や予防対策等の情報提供を行うとともに、県内中小企業の資金繰りへの影響も懸念されることから、県の制度融資などによる金融対策を行ってきたところであります。また観光面では、国内観光客の誘致に取り組む一方、香港、台湾からの観光客は平成十四年実績で四万人と大変多い状況にあり、この問題が終結された時点で一日も早く誘客ができるよう準備を行っているところであります。
 いずれにいたしましても、長期化すると影響も大きくなりますので、今後も引き続き県内企業等への状況を把握し、対応してまいります。
 以上でございます。
○副議長(吉井和視君) 県土整備部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○県土整備部長(大山耕二君) 和歌山市内の街路事業について、順次お答えいたします。
 和歌山市内の幹線道路につきましては、県市で役割分担して整備を行っております。整備に当たっては土地収用法を活用するとともに、複数の渋滞交差点の早期事業化や買収済みの用地を活用して早期に効果を発揮させるべく暫定二車線での供用を図るなど、きめ細かい事業展開に努めております。
 まず市駅小倉線ですが、松下公園から県道岩橋栗栖線までの一・一キロメートルは、平成十六年度供用を目指しております。県道岩橋栗栖線から国道二十四号までの一・四キロメートルにつきましては用地買収率が七〇%になっておりまして、平成二十年ごろの供用を目指しております。
 次に湊神前線西工区ですが、きめ細かい事業展開の一環として本年三月に国体道路から西行きの一方通行を解消し、好評をいただいております。引き続き宮前消防出張所付近の狭隘区間につきましても本年度暫定二車線で供用を図り、平成十六年度には全線供用を目指してまいります。
 次に南港山東線ですが、国体道路から県道三田海南線までの一・九キロメートルを事業中であります。このうち、西工区〇・三キロメートルにつきましては平成十六年度供用を、また東工区〇・七キロメートルにつきましては本年度から和田川橋梁工事に着手しまして平成十八年度供用を目指しております。さらに、続く東側の〇・五キロメートルにつきましては用地買収率が一七%となっておりまして、引き続き用地買収を促進してまいります。
 以上です。
○副議長(吉井和視君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育とスポーツに関する八点についてお答えいたします。
 まず少人数学級につきましては、本年度から小学校第一学年の児童が初めての学校生活で基本的な生活習慣や基礎学力を身につけることができるよう、県の単独措置により三十五人程度の学級編制を行ったところです。
 今後、これらの学校でどのような教育効果が見られるか十分検証した上で、学級編制の弾力化のあり方について検討してまいります。
 次に、昨年設置いたしました中高一貫教育推進懇談会で有識者や教育関係者から幅広いご意見を賜り、従来の連携型に加え、特色ある併設型や中等教育学校の設置を軸に推進していくのが望ましいとの提言をいただきました。これを受けて、現在、教育委員会事務局内のプロジェクトチームにおいて、その具体化に向けた協議を行っているところでございます。
 総合学科については、地域性や学校の特色、生徒のニーズ等を勘案し、三校目の設置を目指して取り組みを進めております。
 また、本県では単位制高校を総合学科を含めて十一校設置してきております。現在、その割合は全国的に見て極めて高い状況にございます。
 次にスポーツ競技力の向上対策ですが、議員ご提言のスポーツ推薦枠の導入については、部活動等、各学校の特色に応じて競技種目を特定した形での推薦を取り入れるなど、現行の推薦入学制度をより有効に活用できるよう幅広く検討してまいります。
 また、中学・高校の保健体育科教員をここ八年間継続して採用してきております。その際、各競技種目の専門的な力量の高い者、すぐれた指導者を確保するとともに、教員配置についても各学校の競技力向上につながるよう工夫し、努力してきたところであります。
 次にビッグホエールでの体操競技の実施については、収納スペースの関係で競技用器具が備えられていないという問題があり、これを解決していく必要があると考えております。
 また、きのくにジュニアトレーニングセンター事業において、県内の小中学校から優秀なジュニア選手を発掘し、各地域の拠点施設で育成するとともに、現在、県立高校十一校に導入しているハイスクール強化指定校で継続的な指導を行っております。今後、こうした事業をより一層充実させることにより、全国トップレベルを目指して競技力の向上に努めてまいります。
○副議長(吉井和視君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(吉井和視君) 以上で、新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は六月二十三日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時四十五分散会

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