平成15年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(下川俊樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(尾崎要二君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百二号は職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 意見書・決議案】
○議長(尾崎要二君) 日程第一、和議第一号「「三位一体の改革」に関する意見書(案)」を議題といたします。
 案文はお手元に配付しております。
 お諮りいたします。本案については、提出者の説明等を省略し、これより直ちに採決いたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) ご異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 和議第一号を採決いたします。
 本案を原案のとおり決することに賛成の諸君は、ご起立願います。  〔賛成者起立〕
○議長(尾崎要二君) 起立全員であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
  【日程第二 議案第百号から議案第百十四号まで】
  【日程第三 一般質問】
○議長(尾崎要二君) 次に日程第二、議案第百号から議案第百十四号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 十六番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 改選後初めての六月議会でございます。冒頭に質問をさせていただく機会をいただきましたことに、まず心から感謝を申し上げたいと思います。本会議冒頭での木村知事の説明を踏まえて、当局の所信をお伺いしたいと思います。
 初めに、分権型社会の実現を目指した国と地方の財源のあり方、すなわち三位一体改革についてお尋ねをいたします。
 戦後の日本は、目覚ましい経済発展を遂げてまいりました。しかしながら、この経済成長の中で、これまでの日本経済の成長に寄与してきた制度や仕組みが逆に新たな展開を阻害する要因になってきております。そのような中で、現在の停滞する日本経済や国民の経済社会に対する閉塞感を打破し、日本の将来を展望する上では、新世紀維新、すなわちこれからの日本が再び活力を発揮するための構造改革が必要であり、そのためには自立した地方が多様な個性と創造性を十分に発揮し、お互いに競争し、活力を引き出していく真の地方分権社会の実現が不可欠であります。そのためには、国庫補助負担金、地方交付税、税源移譲の三つの分野を、まさに三位一体で改革する必要があります。
 国では、去る十八日の経済財政諮問会議において、国庫補助負担金の四兆円程度の削減と、その中で引き続き地方が主体となって実施する必要のあるものについては八割程度、義務的な事業については徹底した効率化を前提に所要全額を税源移譲する、また地方交付税については、地方財政計画を計画的に縮小し削減するとともに、財源保障機能を縮小していくということなどが示され、今後閣議で決定されるということでありますが、具体的な作業は今後に残されるということで、その動向が大きなかぎを握ることになります。
 しかし、いずれにしましても、この三位一体改革、地方分権改革の実現を目指す以上、我々地方自身の改革も必要になってまいります。これまで、自主財源に乏しく、財源の多くを国庫補助負担金や地方交付税に依存してきた本県にとりましては、地方の事務事業に見合う税源移譲を求めるとしても、非常に大きな影響があると言わざるを得ません。今後の県政運営について、一大転換期とも言うべきときを迎えて、知事のお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、東南海・南海地震対策についてお尋ねをいたします。
 去る四月十八日、各新聞紙上は東南海・南海地震に関する記事一色となりました。中央防災会議の調査結果によれば、東南海・南海地震が同時に発生した場合、想定される地震の規模はマグニチュード八・六、地震による被害は関東から九州にかけての広い範囲に及び、建物の全壊が最大で約六十二万棟、死者が最大で約二万人、経済被害については約五十六兆円となっております。本県においても、場所によって震度六強以上の激しい揺れが発生し、特に県南部では最大七メートル以上の津波が到来して、県全体で建物の全壊が最大で約八万棟、死者が最大で五千人にも達するなど甚大な被害が想定をされているところであります。この調査結果を踏まえて、東南海・南海地震に備えた防災体制の強化を早急に進めていくべきであると、改めて確信をした次第でございます。
 そこでまず一点目として、防災センターと現庁舎の整備についてお伺いをいたします。
 県では、防災センターの基本設計にいよいよ着手するとのことでございますが、東南海・南海地震に備えてどのような整備を行っていくのか。また、防災センターを分庁舎として整備するとのことでありますが、分庁舎の整備に伴い、現庁舎の整備をどのようにしていくのか、検討する必要がございます。防災センターができたとしても、議会棟を含めた現庁舎が壊れてしまっては何にもなりません。昨年、諸般の情勢から、当面、建てかえより現庁舎の耐震補強を検討するとの議会答弁があり、耐震改修を念頭に置いて今回の基金条例の改正議案も出されたと思いますが、今後、耐震改修を含め、現庁舎をどのように整備されるのかについてお伺いをいたします。
 二点目として、津波被害に備えた高速道路整備についてお伺いをいたします。
 津波に備え最も大切なのは迅速な避難であり、今後の取り組みとして防災体制の整備や避難訓練などが重要なのは言うまでもありません。特に、地震後の救助活動や復旧活動において、避難した人、けがをした人、子供、お年寄りの命を守り、生活を守るため、緊急輸送道路が重要な役割を果たします。
 ご承知のとおり、紀南地方においては、多くの町や集落は直接海に面したところに位置してございます。そして、これらの町や集落を結ぶ幹線道路は国道四十二号一本だけに頼っています。しかしながら、この国道四十二号は台風時の高潮において、幾度も越波で通行どめになっているなど海岸に近く、また多くの河川を河口付近で横切ってございます。すなわち、津波に対して大変脆弱であると言わざるを得ません。海岸線より高い位置を走るため津波の被害を受けず、かつ耐震性も高い高速道路である近畿自動車道紀勢線は、この国道四十二号にかわって被災した各沿岸地域に緊急物資を運び、また救急活動を担う、まさに紀南住民の生命線であり、その早急な整備が不可欠であると考えます。
 知事も、かねてから高速道路の整備に熱心に取り組んでおられますが、改めて東南海・南海地震に備えた緊急輸送道路の確保という観点から、高速道路整備に対する今後の取り組みをお示しいただきたいと思います。
 次に、コスモパーク加太についてお尋ねをいたします。
 今回の問題は、和歌山県にとってかねてからの課題であるとともに、今後の県政に多大な影響を及ぼす案件であることから、議会においても県政の責任の一翼を担う立場、県民の代表の立場から検討委員会を設置、検討をしたところであります。私も委員の一人として五回にわたる委員会に出席をしたところでありますが、委員会においては、関西国際空港建設に伴う加太土取り事業やその後の土地利用計画等に対する県の関与などを中心としたコスモパーク加太の経緯、今回の問題に対しての弁護士や国等、専門家の意見を踏まえての法的な問題、なぜ現在の借入金に債務の保証を行っていないのかを中心とした現在までの金融機関との交渉経過などについて白熱した議論が交わされたところであります。その結果、コスモパーク加太は、今後とも県主導で秩序ある整備を行うべきであり、今回の公社債務対策については、県、土地開発公社、そして金融機関にはおのおの責任があるところであり、三者それぞれ相応に負担を分かち合い、協調することで解決すべきと委員長から報告されたところであります。
 私は、今回の問題を考えるとき、関西国際空港という国家プロジェクトへ県が積極的に参画する中で、土砂採取事業を公社に代行させてきたこと、跡地利用に対するさまざまな計画を策定したものの実現されないまま今日に至った経過など、県は大きく関与してきたことは否めない事実であると思っております。そこには、和歌山県の熱き思いが込められ、今後についてもコスモパーク加太の土地は和歌山県にとって県土づくりの大きな柱であるとともに、将来に向けて夢のある土地として引き続き県主導で整備していく必要があるものと確信をしております。このように今後の整備を考えたとき、また現実問題として、公社には多額の借入金があるという事実を直視したとき、私は委員会報告にありますように、三者が応分の負担による協調した解決策を図ることが緊要であると認識をしたところであります。
 知事におかれても、今回の委員会の報告を重く受けとめ、早速、金融機関と交渉を開始したとのことでございました。本問題解決に向け、知事はどのような決意で対応されているのでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、グリーンピア南紀についてお尋ねをいたします。
 グリーンピア南紀は、昭和六十一年の開業以来、宿泊者五十二万人、日帰り客を含めると二百四十三万人に利用され、地元の観光の核として経済振興や雇用の面において大きな役割を果たしてまいりました。この施設は、全国に十三カ所ある大規模年金保養基地の一つとして設置されたものであり、敷地は那智勝浦町と太地町にまたがり、約百十万坪の敷地に、宿泊はもとより、スポーツ、レクリエーション施設を備えた県内屈指の施設であります。営業が始まった昭和六十一年は、日本全体が右肩上がりで、余暇人口の増加により、テニス、グラススキー、ミニゴルフなど屋外レクリエーションの需要を満たせるこの施設に地域全体が大きな期待を寄せたものであります。しかしながら、バブルの崩壊とともに始まった長引く景気の低迷、また国内旅行より海外旅行へと趣向が変わる中で、国の方針もあり、本年三月末をもって営業が停止され、十七年間の歴史に幕を閉じたことは、地元にとっては大変寂しいものであります。この間、銀行からの借入金の問題が発生し、今回、財団法人グリーンピア南紀がその解決策として和歌山地方裁判所に民事調停を申し立てたとのことでありますが、その民事調停についてお伺いをいたします。
 まず一点目として、財団法人が民事調停を申し立てた背景はどうなのか、また県及び両町が調停に参加する理由があったのか。
 二点目として、当初県は県費投入に対し難色を示したとの記事がありましたが、五月十六日に調停委員会から示された調停案に対して、県としてそれを受け入れていこうとしておりますが、なぜそうした方針に至ったのか、知事の答弁を求めるものであります。
 さらに、今後はあの広大な敷地を持つ施設の有効利用をいかに図っていくかが大きな課題であると考えます。六月末をもって、県はこの施設を厚生労働省の外郭団体である年金資金運用基金に返還すると聞いておりますが、今後の跡地利用について、県としてどのような役割を果たしていくのか、この点について福祉保健部長から答弁をいただきたいと思います。
 次に、緑の雇用事業の農業への展開についてお尋ねをいたします。
 緑の雇用事業は、一昨年九月の発表以来、大変な反響を呼んでございます。今や、失業対策いわゆるセーフティーネットの切り札として、また疲弊する林業の救世主として国の施策にも取り上げられるなど全国的広がりを持つまでになりました。先駆けとなった本県においては、百名を超える都会からのIターン者が定住するなど大きな成果を上げております。とりわけ、新しく住民になられた方が、既に地域の中に溶け込み、地域の新たな活力源となっている話などを伺うと、少子・高齢化に苦しむ地域を長らく目の当たりにしてきた私にとって、それこそ暗やみの一隅に光を見出した気持ちになります。今後も、県を挙げて積極的に取り組んでいくべき事業であると確信をしているところであります。
 さて、去る五月二十三日付の読売新聞に掲載された寄稿文で、これからは林業分野に限らず、農業分野にもこの取り組みを広げていくことを知事は表明をされてございます。私たちは、農山村から都会への人の移動は必然のものとして、半ばあきらめにも似た気持ちで眺めてまいりました。この平成の大不況とも言うべき時代を逆手にとり、都市から農山村への人口の逆流動を生む、いわば時代の転換への壮大なる挑戦をこの農業版緑の雇用事業で仕掛けていくわけであります。しかしながら、知事が寄稿文の中でも書かれているとおり、就農は林業に比較し、さまざまな形態があります。本格的な有機農業に取り組む若者もあれば、定年退職後のついの住みかを田舎に求め、ゆったりと農業を楽しむ人もあるでしょう。また、週末だけ農業にいそしみたいという人の需要もあることと思います。こうした多様なニーズにこたえていくためには、従来の農業支援策の枠を超え、雇用対策、教育、文化、観光、さらには高齢者対策など、幅広い施策の展開が必要であると考えます。これから制度がスタートするわけであります。知事の理念、そしてこれからの取り組みの方向をお伺いするものであります。
 次に、市町村合併についてお尋ねをいたします。
 平成十七年の合併特例法期限内の市町村合併を目指して、全国あるいは県内での動きが活発であります。改めて、原点に返る意味から、いま一度市町村合併の意義と課題を整理しておきたいと思います。
 なぜ市町村合併が議論の俎上に上ってきたか。第一点は、昭和三十五年の合併によって誕生した全国三千三百の市町村という行政単位が、現在の私たちの生活様式に合わなくなってきていることであります。すなわち、情報や交通といった私たちの日々の生活を支えるいわゆる日常生活圏が、道路や通信手段の整備・発達により飛躍的に拡大していることが挙げられます。第二点としては、地方分権といいますか、これからの地方自治体は、これまでの中央依存のみでなく、みずからの努力と責任において地方自治を進めていかなければならないという地方自治体を取り巻く環境の変化も挙げられます。地方の財政基盤を強化するとともに、行政効率を高め、高度化、多様化する行政ニーズに対応しなければならないといった背景が二点目として指摘できます。
 しかしながら、四十年間なれ親しんできた現在の行政組織であります。住民にとって、合併による不安、課題も大きなものがあると思います。一番よく耳にしますのが、中心地と周辺部の格差の問題であります。行政関連施設や医療、商業、教育あらゆるサービスが中心部に集約され、遠いところは置き忘れられるのではないかといった不安があるわけであります。
 今、県内各地の合併問題に目を転ずれば、南部町と南部川村のようなモデルケースとも言うべき理想的な合併の形もあれば、答えを求めてかなり苦戦をしている市町村もまた多数見受けられるといった現状であります。
 私の地元とも言うべき新宮、東牟婁に例を求めてみたいと思います。本地域では、本宮町が田辺圏域への合併を選択し、「新宮・熊野川・北山」、「勝浦・太地」、そして「古座・古座川・串本」の四つのブロックに編成をされようとしてございます。このことは、住民の方々が一生懸命考え、悩み、その上で選択された結果でありますから、私もスムーズに合併事務が進むことを願う者の一人でございます。しかしながら、いま一度合併論議の背景、原因を改めて考えてみますと、こうした細分化された合併では、さきに申し上げた種々の問題、課題に対する答えが見出せるのか、さらには合併の効果として期待されている行政サービスの向上、広域的、一体的な町づくり、行財政の効率化と強化、地域のイメージアップといった面が満たされるのでありましょうか、私はいささか疑問を感ずるものであります。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 第一点は、平成十三年一月に出された市町村合併推進要綱の取り扱いであります。この中では、市町村の合併パターンが示されています。もとより参考資料であり、これをもとに地域の論議を待つといったたぐいの資料であると思いますが、少なくともこの段階では、こうあった方がいいな、こうしてほしいなという県の意思が込められていたのではないかと思います。市町村合併の事務手続が最終の段階を迎え、市町村の苦悩が県内各地から聞こえてまいります。県は、合併パターンで示したこの意思を現時点でどう位置づけ、市町村の判断に対してどう指導し、対処しようとしているのか、見解をお伺いいたしたいと思います。
 第二点は、第二次の合併についてであります。私は、先ほども申し上げましたが、当面の取り組みは理解するものであり、応援する立場であります。しかしながら、長期にこの問題をとらえれば、より強い自治体、より自立した自治体を求めて、もう一段の大合併があってしかるべしとの立場であります。この点に関する知事のご所見をお伺いいたしたいのであります。
 最後に、私の地元の新宮市、熊野川河口大橋の建設に係る要望であります。
 地域の方々、四千名弱の署名を今ここにお持ちをして、知事にその熱意をお伝えしたいと思います。(現物を渡す)
 新宮市内の国道四十二号は、和歌山市の方面から走りますと、国道百六十八号、すなわち新宮から熊野川、本宮を経て奈良に通ずる国道の分岐点までは片側二車線の立派な道路に整備されていますが、ここから熊野川堤防までは市内の中心部を走ることとなり、また熊野川を渡る橋が一本しかないため、一日当たり二万二千台以上の交通量があり、慢性的に交通渋滞を引き起こしてございます。しかしながら、平野部の少ない新宮市にあって、この部分を拡幅することは大変難しい問題であると言わざるを得ません。私は、県会議員に当選直後から、こうした新宮市特有の立地条件を背景に、海岸沿いの新線建設を強く訴えてまいりました。県道あけぼの広角線の建設整備であります。おかげさまで、着実に整備を進めていただいてございます。この路線の持つ意味は、言うまでもなく、新宮市内のバイパス機能であります。さきに申しました四十二号の現状と海岸沿いの県道の役割を考え合わせ、私はこの県道を熊野川河口大橋として延長し、三重県の海岸部と直線で連絡してはどうかと考える次第であります。また、事業手法としては、三重県と和歌山県の合同プロジェクトとして建設されることを提案するものであります。この問題につきましては、折に触れ要望、提案をしてまいりましたので、今回も要望としてとどめておきますが、引き続きこの問題を取り上げてまいりますので、次回は確たる答弁を望むものでございます。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(尾崎要二君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの質問にお答えを申し上げます。
 まず、第一点の三位一体の改革でございます。
 一昨日、経済財政諮問会議において、総理が決断されて、一応数値目標も入った形での三位一体の改革の中身が出てきたわけでございます。私は、基幹的な税源の移譲ということも含めた形になっておりますので、これは今の時点ではなかなかいい案だというふうに評価しているわけでございますけれども、早速、閣議了解が難しいというふうな動きも出てきておりまして、今後こういうふうな動きは予断を許さないものだというふうに思っております。
 実は、基本的にはこれはこれからの政治過程の中で決まっていくことだと思いますけれども、三位一体──税源は譲らないわ、交付税、補助金は減らすということになると、これはもう和歌山県と和歌山県下の市町村が立ち行かないことになりますので、そういうことにならないように、引き続き声を上げながら、そしてまた具体的な提言をし、地方分権ということの実を上げていくように進めてまいりたいと、このように思っております。
 それから、防災センターと庁舎の整備でございます。
 ご案内のように、東南海・南海地震が三十年以内に四〇%の確率で起こると、しかも全体で二万人以上の方が亡くなることが予想されるというふうな大変厳しいことが示されているというふうな中で、和歌山県には防災センターがございません。これを早急に整備しないといかんということで、以前から議会にもお諮りしてきたところでございますけれども、ようやく場所も決まって、大体こういうふうな形でしていこうというふうなことが出てまいりました。その際、この庁舎、議会棟を含む庁舎、それから警察の庁舎、これ自身の耐震がおぼつかないというふうな状況でございますので、これも三位一体といいますか、一つは防災センターを整備する、それから防災センターとあわせて、一つのビルをつくるときには、そちらにこちらの庁舎の幾つかの部分を移せるような形にして分庁舎的にして、今いろいろ機構改革を行うものの、廊下なんかはもう荷物でいっぱいになっていますので、そういうふうな状況を解消するということ。それからこの庁舎、そして警察──警察がつぶれては地震対策にもなりませんので、そういうことをやりたい。その際、財源が必要なわけでございますけれども、なかなか今新しい庁舎をつくるというほどお金もたまっておりませんし、そういう形にもなかなか難しいという中で、今の基金というふうなものを有効に使わせていただきたいということで今議会にご提案を申し上げたいというふうに考えているところでございます。
 それから次に、津波と高速道路の関係でございます。
 先年来、和歌山県にとっては高速道路の南伸は命の道であると、絶対に大事であるということで、ありとあらゆるところで訴えてまいりました。都市の人を中心に田舎の方の高速道路は要らないというふうな声があったわけですけれども、和歌山県が発展していくためには高速道路の南伸なくしては考えられない。そのときに、時あたかも東南海・南海地震の問題が出てきました。これからは四十二号線一本では人の命は守れないということで、この高速道路を命の道として整備していくということで、初めは六月をめどに直轄方式の高速道路の整備をどこをするかということが決まる予定だったんですが大分延びておりますけれども、この和歌山の南の方の路線というふうなものがちゃんと採択されていくように、この高速道路は防災の問題として大事なんだということを訴えていこうということで、来月、高知県の知事と徳島の知事と三重の知事と私と、それからNHKの解説委員の方なんかで東京でシンポジウムを開きまして、こういう面で高速道路が大事だという新しいことを訴えかけていきたいと、このように考えております。
 それから、コスモパーク加太の問題でございます。
 これにつきましては、先般来、議会で本当にもう全員出席というふうな中で検討委員会を五回にわたって開いていただいて、本当に真摯な議論を尽くしていただいたことに、私は非常に感謝しているところでございます。
 非常に大きな問題でございますし、金額的にも大変な問題、そして法的な問題と実態の問題の乖離とかいろいろな問題があるわけでございますけれども、議会の方から一定の考え方というふうなことが示されましたので、その考え方に沿って、今、金融機関と鋭意交渉を進めているところでございます。これは県民の利益ということが第一義でございますので、これをおろそかにはできませんけれども、そういう姿勢のもと、そしてまた議会の考え方を基本にした交渉がまとまれば今議会にも議案を出していきたいと思いますし、いずれにせよなかなか難しい問題でございますので粘り強く交渉をしていきたいと、このように考えております。
 次に、グリーンピア南紀の問題でございます。
 これは、すばらしい施設であったわけでございますけれども、しかしながら、時利あらずということで赤字がどんどん累積するというふうな中で、この清算ということを決めたわけでございます。そういうふうなときに、清算をするに当たって、県、そしてまた地元の二町から出していたお金があります。これをどういうふうに処理するかと。これも今の三セクの扱いの中で非常に難しい問題になったわけでございます。実態と法的な問題の乖離ということで非常に難しかったわけでございますけれども、これについて、やはり対応を考えるときにはガラス張りでしていかなければならない。私は、今は行政というのは広く皆さんが関与する中で物事を決めていくということが第一義だと思っておりますので、このことについてもいろいろ意見があった中で地方裁判所の調停というふうな、日本では裁判所が一番公正ということになりますので、そこにゆだねたわけでございます。そして、そこからこういうふうな県と地元の二町にも責任があるので負担をしなさいというふうな調停案が示されたので、それにのっとって対応しようと、こういうふうなことを決めたわけでございます。
 次に、緑の雇用を農業分野にということでございます。
 非常にご理解のあるご質問をいただいて喜んでいるところでございますけれども、緑の雇用、おかげさまで議会のご理解も得て、相当全国的な事業になってまいりました。しかしながら、スローライフといいますか、ゆとりのある生活をしたいという人は、何も森林作業をしたいという人ばかりではございません。どちらかといえば、遊休農地とかそういうふうなものを使って農業にいそしみたい、それから週末等に来て、いろんな形で地域で活動して帰りたい、そういうふうな多様なニーズがあるわけでございます。和歌山県の場合、隣に大阪なんかもありますので、そういうことへの対応をしやすい県ではないかということで、そしてまたそれが交流の中から和歌山県に元気をもたらすのではないかということがありまして新聞に投稿して動きを始めたわけでございます。これには農林水産省も非常に乗り気になってくれておりまして、来年度の予算からまた一つの動きが出てくるかもしれません。しかしながら、これも和歌山発の動きでございますし、トータルでこういうことをやっていくということによって、今ともすれば農業というのは、特区を設けて株式会社で大農的に機械化でやるという方向ばかりが注目されますけれども、逆に言えば小さく、そしてまた新しい人、新しい血を入れてきて、付加価値の高いものをやっていくというふうな行き方も僕はあってもいいと思うし、和歌山県ではむしろそういうものの方が似合っているのではないかというふうに思いますので、これをこれから大きな流れにしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 最後に、市町村合併についてのご質問でございます。
 市町村合併につきましては、ご質問にありましたように県も合併パターンを示しまして、まあ今の時点ではこんな形が一番いいんではないですかというふうなものを示してやってきたんですけれども、議員もご案内のように、実は地元にはいろんな事情があったりして、それが今ちょっと千々に乱れてきているというふうな状況ではあるんですけれども、しかしながら関係の市町村長さん方には自分の政治生命をかけて一生懸命頑張っていただいているということも、これまた事実であろうと思います。なかなか理想的な形ではない中で、それぞれがその方向を今模索しているというところであろうと思います。
 そうしたら、一次はこういうふうな形でいいけれども二次はどうなんだというふうなご質問でございます。
 これは、最初にも申し上げましたように、三位一体の改革、これもなかなか難しいです。だけれども、こういうことが実際に行われてくると、これは国も大変だけれども地方ももっともっと自立しなさいという話になってきて、今、形だけで幾つかのところが市町村合併しているというふうな状況で十分対応できるものではないと僕は思っております。だから、今回の合併ということを一次の合併として、二次的にはまたそれを踏み台というか土台にしてまた大きな合併ということが模索されるような時期が必ず来ると。しかも地方制度調査会においても、今の合併特例法失効後の新しい法律の枠組みまでもう検討が始まっているということでございますので、県といたしましても、そういうふうな観点の中から、今頑張っている合併については力強く支援していく、そしてまた将来的にはそういうふうな大きな方向も見据えて対応していきたいと、このように考えているところでございます。
○議長(尾崎要二君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) グリーンピア南紀の跡地の利活用についてお答えいたします。
 現在の基地施設は、今月末をもって年金資金運用基金に返還することとしております。返還後、当面の間、那智勝浦町及び太地町が基金から維持管理を受託する予定となっており、この間、基地施設の野球場、テニスコート、園地等については住民に開放していく方向で基金と協議中でございます。
 なお、跡地につきましては、現在、那智勝浦町と太地町で基金からの購入も含め利用方法等検討されておりますが、今後は県も二町の検討会に参画し、情報収集し提供するとともに、地域経済や福祉の向上等に資する跡地の有効利用等を検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(尾崎要二君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(尾崎要二君) 以上で、下川俊樹君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ