平成15年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(堀本隆男議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第二十七号から議案第三十二号まで、議案第六十号、議案第六十一号、議案第六十三号及び議案第六十四号は、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号まで】
   【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第一号から議案第十九号まで、議案第二十二号から議案第六十六号まで、及び議案第六十八号から議案第九十五号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 五番堀本隆男君。
  〔堀本隆男君、登壇〕(拍手)
○堀本隆男君 皆さん、おはようございます。
 一般質問最終日のトップバッターとして登壇させていただきました。この二月県議会は、申し上げるまでもなく、平成十一年四月の選挙で県民の審判を受けて当選させていただきました私ども議員にとって、任期を終わる最後の議会であります。それだけに私は、ぜひ最終日に質問をさせてほしいという希望を持っておりました。その希望どおり、先輩・同僚の皆さん方のご配慮によりまして最後の質問の機会を与えていただきましたこと、衷心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
 さて、今議会は十五名の先輩・同僚の議員が質問をされてございます。いずれも重大な問題ばかりであります。そのいずれを聞かせていただいても、すべてが和歌山県勢の発展や活性化、県民の福祉向上にかかわる重大な問題ばかりであります。今回私は、多々悩みつつ、大きく四点に絞って順次、質問をさせていただきます。当局の誠意あるご答弁をよろしくお願いいたします。
 ところで、最終日の質問については、私の心に深く刻まれた名演説がございます。元県議会議長、現弁護士をされております鈴木俊男先生が最終演説に立たれ、本県の公共施設の整備のおくれを強く指摘されました。なかんずく公共下水道整備率が全国ワーストワンで、普及率が三%と当時極端に低く、欧米においては上下水道は文化のバロメーターとまで言われております。この話を聞いて鈴木先生はショックを受けました。この不名誉なランキングを解消するために県は全力を挙げて取り組んでほしいと、声を大にされております。仮谷知事もこれを受けとめ、今後はさらに市町村と協力し、関係者ともども努力を重ね、ご卓見を受けとめてまいりたいと答弁されました。平成十四年はどのような形になっておられましょうか。
 都道府県のイメージについてであります。
 日本経済新聞社から出ております「地域情報」ナンバー四百号に、全国都道府県のイメージを取りまとめてございます。お手元にお配りしている資料を見ていただきたいのであります。首都圏のビジネスマン管理職を対象に行ったもので、九百五十人にアンケートをし、そのうち三百四十人から回答がありました。基本的な七指標と個別の十九項目について、本県のランクを若干ご説明申し上げます。
 七指標は、「認知度」三十九位、「先進的」四十位、「好感」三十六位、「居住意向」──住みたいです──二十位、「勤務意向」二十二位、「観光意向」十七位、やや高いです。「首長認知」三十三位と予想していたよりもランクが低いのであります。
 私は必ずしもこの調査結果に納得してはおりませんが、外部から見た本県のイメージも時には必要があろうかと思われるのであります。「観光意向」十七位という高さはうなずけるところであります。一方、「首長認知」三十三位はもっと上位であるべきであります。参考までに、「首長認知」一位は東京都の石原さん、二位は長野県の田中さん、三位は大阪府、四位は埼玉県知事と続きます。
 さて、十九項目中、第一ランキング別に紹介いたしますと、「文化・歴史がある」三十五位、「自然に恵まれている」十三位、「観光産業が盛ん」三十四位、「スポーツ・アウトドアに適している」十六位、「食べ物がおいしい」二十六位、「物価が安い」二十九位、「インフラが整っている・交通アクセスが便利」四十四位、低いのであります。「文化・スポーツ・福祉・医療施設が豊富」二十五位、「土地・住宅が確保しやすい」二十六位、「教育環境がよい」四十四位、「国際性がある」二十七位、「優良企業が多い」二十七位、「ベンチャー企業が多い」二十五位、「優秀な人材を多く輩出している」三十三位、「産業と学問の連携が盛ん」四十位と低い。「企業誘致・企業活動の理解に積極的」四十四位、大変低いのであります。「地域情報発信などに積極的」三十二位、「独自の政策を持っている」四十六位、「知事が優秀」十八位となっております。知事の十八位は、就任三年目や自己PRしない点からうなずけるところでありますが、一県民として、地域主導型構造改革派のリーダーとしてご活躍中の木村知事なのですから、もっと上位にランクされるべきではなかろうかと思われます。
 ただ、気になる点は、「企業誘致に積極的」の四十四位。これは積極的でないという表であります。ある程度の交通インフラの限界性と表裏の関係にあるとは思いますが、もう一つ「独自の政策を持っている」四十六位とはいかにも低く、県のPRの不足が痛感されるわけであります。今後、本県政策の展開の一つの指針とされたいものであります。
 総合平均は三十八位であります。本県のイメージとして、私はこのイメージ一覧表に目を通して感じますことは、順位が十台であれば上でき、二十台であればまずまず、三十台はもっと頑張ってほしい、四十台なら必死になって頑張れ、そういうサインと受けとめてございます。企画部長にこの指標に対する感想をお聞きいたします。
 次に、構造改革特区について。
 本年二月十八日、「朝日新聞」三面に見出し大きく構造改革特区攻防戦終焉の特集がありました。「引き下がってはだめだ」、二月十七日の経済財政諮問会議で小泉首相は構造改革特区の実現に強い意欲を示されました。相次ぐ政策転換で構造改革の看板がすっかり色あせる中、構造改革特区は唯一の具体策。抵抗する省庁を説き伏せ、再び改革姿勢を打ち出してほしいもの。小見出しには「クズと宝物」、片山総務相は「はしにも棒にもかからないクズのようなものも出されている」と。それに対して小泉首相は「いや、すべて宝物だ。全部やるつもりで、やってほしい」。二月十七日の経済財政諮問会議で、全国から寄せられた六百五十一の構造改革特区構想に難色を示す片山総務相を小泉首相は強い調子で突っぱねました。「鴻池大臣の考えが通じるようしっかりやってほしい」、規制改革会議と経済財政諮問会議がそれぞれ資料を提出し、規制改革会議として重点検討項目十二項目をまとめ、先般、新聞報道されたところであります。
 しかし、同時に小見出しに「省庁したたか」と表現し、「構造改革特区での規制緩和が、全国的に広がるアリの一穴となることを恐れ、消極的な姿勢を崩していない」と鋭く指摘しております。鴻池大臣は、「全国から寄せられた六百五十一のアイデアは地域の創意工夫のかたまりだ。実現を目指したい」と、大変意欲的であります。
 医療、学校運営、農地とハードルが高く、省庁が対応を約束したのはこの三〇%と低いのであります。この規制緩和で毎年一・五兆円規模の経済効果があると試算されておりますが、本県が今後国に提出する予定の構造改革特区計画認定申請案件として三つのタイプ、イ、緑のIターン特区、ロ、紀の川緑の交流区、ハ、食と緑の工場特区の三つの構想が用意されていると聞いてございます。この特区構想に対する県の姿勢について、知事のご所見をお伺いします。
 また、特区に対する具体的な取り組みについて、一、これらの経済特区計画をいつ申請するのか、二番目、これらはいつごろ国から認定される見通しになるのか、三、認定を受けた構造改革特区の実現に向けたスケジュールは、四、国は第三次の特区募集を行うのかどうか、五、その際、高野・熊野の文化遺産特区などがプラス提案できないものか、六、特区の本県の経済、社会に与えるインパクトをどう考えておられるか、この六点について企画部長にお尋ねします。県の総力を挙げて取り組まれることが成否を分けるものと思われます。
 なお、東京都、大阪府とともに和歌山県もカジノ構想の実現について中央に要望されたとのことでありますが、その結果、中央の反応はいかがでありましょうか。全国的にも関心が高く、県内のホテル関係業者から私などもよく質問を受けます。あわせて企画部長からご答弁をお願いいたします。
 次に、観光大県を目指して。
 世界の物づくり競争で、中国の製品は確実に世界ナンバーワンになりつつあります。物づくり日本のお株を奪う製品と価格の安さ、もはや日本産業は物づくりをあきらめざるを得ないのではないでしょうか。日本の優良企業が倒産に追い込まれ、失業者が増加の一途であることは皆さんご承知のとおりであります。不況の長期化で世相は一向に明るくならない。グローバル経済の流れの中で日本はどう生き残っていくのでしょうか。
 私は、昭和六十二年に和歌山社会経済研究所主催のアメリカ経済視察当時にアメリカで受けた衝撃的な事象を思い出します。つまり、アメリカ経済は当時、日本の輸出製品の攻撃に見舞われ、全米の多くの企業が倒産し、不況にあえいでおりました。ちょうど今の日本と中国の関係と全く同じでございます。
 結論的に申しますと、アメリカ経済は物づくり産業からサービス産業に転換しました。そして、物流、観光、サービス業が大きくその後伸びたのであります。その結果、アメリカ経済は再生されたのでないでしょうか。現在の日本経済が直面している課題をアメリカは既に乗り越えていたのでありました。つまり、日本経済の将来展望も、観光産業化、サービス産業化を推し進めなければならないということであります。
 昭和五十三年、通商産業省主催の都道府県幹部職員で構成するリサーチコア調査団に上司から命ぜられ、ドイツ、フランス、英国のインキュベーター施設を視察してまいりました。研修は二週間にわたったのでありますが、土・日曜日は商店街がパリでは一斉に休みます。商店主に土・日曜日をどのように過ごすのかと聞きますと、「バカンスだよ。地中海にヨットを持っていって、それで楽しむんだ」という答えが返ってまいりました。急遽、私も予定を変更して、土曜日、パリ・ド・ゴール空港をフライト、一時間後にニース国際空港に到着、観光センターで日本人学生の通訳を探してもらい、一日タクシーを借り上げて地中海沿岸のコートダジュール、周辺のリゾート地、リゾート開発、バカンスの過ごし方等、いろいろと聞いてまいりましたが、ニースの中腹に開いた研究所群・ソフィア・アンティポリス開発の動機や成果などもそのときに勉強したわけであります。
 特に私が感心しましたのは、フランスにはバカンス法が制定されていたことであります。一九三六年に政府と労働者代表との間で話し合いで決められており、労働者のためのバカンス取得権を制度化していることでありました。当時のフランスは、第一次大戦後の不況のあらしのど真ん中で、世相は混乱し、失業者は二〇%から三〇%という荒れ方で失業者が町にあふれ、社会不安の状況にあったと言われております。
 結論的に申しますと、政府はバカンス法の制定によって大成功をいたしました。ワークシェアリングが進み、消費が拡大し、労働者たちも落ちついたそうです。その後、フランスは観光産業に非常に力を入れるようになりまして、経済の規模が拡大したと評価されている。
 さて、日本についてでありますが、政府は一月二十四日に観光立国懇談会を発足させ、小泉首相は眠っている観光資源を国際交流、経済再生、地域の活性化につなげる観光立国を目指すと、意欲を見せております。施策として、ビジット・ジャパン・キャンペーンを実施中であります。
 衆議院では枝野幸男氏外五名で、ゆとりのある生活の実現に資するための長期休暇制度の創設及び年次有給休暇の取得の推進に関する法律案を去る一月二十日の厚生労働委員会に提出されました。多分、日本型長期連続休暇制度になると思われております。
 先日、紀南、地元のホテルの支配人から伺った話でございますが、近年、年を追って台湾、香港からのバスツアー客が多くなってまいっております。今後さらに増加の兆しにあります。理由は何かと聞きますと、自然景観が全国一美しい──台湾の人が言うんです。和歌山県は非常にきれい。そして、豊富な温泉がある。香港も台湾も温泉は大変好きらしいんですが、関空におりたらバスを借り切って、そして紀南の方へ行くわけですが、そこで施設のよさと温泉の豊富さにほれるわけでございます。宿泊施設もよく、多分これは口コミで今うわさが広がっているんだろうと。来年も、再来年も予約もあって伸びていく、そういうふうに推測しているということであります。
 ここ四、五年の国外からの観光客の動向について、商工労働部長にお尋ねいたします。
 台湾、香港、韓国からの観光客の増加の原因はどのようになされておりますか。二〇〇一年の本県への観光客は、台湾から二万一千五百四十四人、韓国五千二百二十七人、香港一万八千九百七十三人。米国からの六千四百十三人を考えますと、アジア地域の本県への観光ブームが起こっているというふうに考えていいようです。この現象をさらにふやす方向、つまりキャンペーンを積極的に行っているのかどうか、お尋ねしたいのであります。
 ここに、辛口の提言もございます。本県紀南の観光はマンネリ化している。このままでは伸びる要素が少ない。紀南のホテル事業は現在とんとんではあるが大変苦しい状況にある。自然景観については私たちは胸を張っておりますが、もっともっと大型キャンペーンを組み、エージェントを動員して、この台湾との関係を密にしてほしい、自然を壊すというふうなことは絶対にやめてほしいと要望されました。
 この原稿の作成に当たり、県観光振興課、観光交流課、そして和歌山県東京事務所のスタッフの皆さんに多くの資料と話をいただきました。その熱心な取り組みぶりを目の当たりにしまして本当に心強く、心から感謝申し上げたいと思います。いよいよ和歌山県も観光大国になるんだという覚悟を決めてほしいのであります。和歌山県観光振興計画は、若干、日切れの感じがあります。その他、政府の観光白書、観光振興に関する副大臣会議報告書、労働省の長期休暇(L休暇)の普及に向けての資料、ダイヤモンド社の「ニッポン観光革命」と、本当にいろいろ協力をしていただきました。ありがとうございました。
 そこで、特に観光振興に関する副大臣会議報告、これは非常に時代の向こうを見据えた二十一世紀の観光を的確につかまえております。この大臣会議の感想を商工労働部長にお尋ねいたしたい。
 最後に、知事にお尋ねいたします。
 本県は、マリーナシティでのリゾート博、南紀熊野体験博の展開でバカンスとは何か、リゾートとは何かを教えられました。一県議として、アゲイン南紀熊野体験博パートツーをぜひもう一度実現していただきたい。高野・熊野世界遺産の指定をきっかけに、長期的にスケールの大きいイベントを展開してほしいのであります。また、そのような準備を進められているとのことでありますが、ご意見をお伺いいたします。
 観光産業を大きく発展させるためには、入り込み客の増加を図る以外に道はございません。入り込み客がウイークデーに、土・日ではなくウイークデーに東京から三泊四日、四泊五日と車で一家がやってきて、安いところでとっぷり温泉につかって、そして帰りには「和歌山県よかった」というふうな、そういうコースをこれからもみんなでつくり上げていってほしいのであります。
 長期連続休暇制度、働く側がこの制度を使える構造改革制度は絶対に必要であります。現在、中央政府において検討中の長期連続休暇取得についてご見解をお願いいたします。私は、休暇を与える方向での努力を賜りたいのであります。つまり、観光大国和歌山の実現に向けていかにしていこうかとするご所見をお伺いいたしたいのであります。
 県政の中期展望についてお尋ねいたします。
 かねてより私は、企画部長は理論家であり、行動力も抜群と尊敬している人物の一人であります。南紀熊野体験博を契機に、本県の観光産業は大きく前進いたしました。今や紀南は観光産業なくして生きていけないと、紀南の人々は共通して断言しております。この博覧会を成功に導いた企画部長の功績は大であります。
 今回の質問に当たって県観光振興基本計画の冊子を読みましたが、大変意欲的にまとめられております。県の長計にリンクして今後改定を行っていく旨の記述もありました。しかし、現在、県の長期総合計画は運用されておりません。そして、県の中期ビジョンも立てられておりません。県民から見ますと、県政は何を重点課題として今後の県勢の発展、展望を考えていこうとしているのか、構築しようとしているのか、よくわからないのであります。現状では、思いつき、場当たり的な県政を展開していると県民に言われても仕方がないんかなというふうな話も県民の皆さん方とはしております。
 木村知事は、二十一世紀のグローバル社会がどうなっていくのか、また日本経済の未来図も描けない現状、まして本県の長期計画は難しいと、高田議員の質問に対し先日答えておられます。私も、県の長期総合計画は大変難しいとは思います。しかし、国においても二十一世紀のグランドデザインはつくらなければならない。簡単な冊子でありますが、トータルに国は進めようとしている方向は示してあります。そういうふうなことを見ますとき、少なくとも県政は何を重点に、これとこれとこれとこれを重点にして事業を展開していきます、柱立てはこうでありますというふうなものを見せていただければありがたいと、このように考えているわけであります。
 県民にとって県の将来図が見えにくいということは、県民個々の生活にも大きくかかわります。県民の中には「県民に対する説明責任の放棄に近い」と極言する人もおられます。県勢発展のカンフル剤はなかなか見つかりにくいと思われますが、営々と事業を重ね、そして常に県民の協力を得ながら、ともに働き、そして本県の活性化を図っていただきたいのであります。企画部長の答弁をお願いいたします。
 最後になりました。「議場は議員の戦場だ」と、先輩議員から教えられてまいりました。県が進めようとしている数々の施策について、この議場で論戦を交え、攻防を繰り広げるという意味では、まさに議場は戦場であります。そして、当然のことながら、議会は議員が主役であります。この議場において、さまざまなドラマがありました。その一こま一こまが今思い出され、走馬灯のように脳裏をよぎります。私は私なりに自分を燃焼させてまいりましたが、今議会限り、この議場を去り行く身であります。四期十六年という長いようで短かった議員生活ではありましたが、先輩・同僚の皆さん、木村知事を初め執行部の皆さん、そして私の議会活動をアシストしていただいた中原事務局長を初め事務局の皆さん、本当に長い間ありがとうございました。さらに、昭和六十二年二月の選挙以来、選挙の開票をいつもはらはらしながら辛抱強く私を応援していただきました支援者の皆さんを初め県民の皆さん、本当にありがとうございました。再び戻ることのない議場から、そして壇上から、厚くお礼を申し上げる次第でございます。
 今後は、木村知事が二十一世紀に向けて推進しておられます観光立県を初めビッグプロジェクトに大きな期待を寄せながら、県民の一人として静かに県勢の発展を見守ってまいります。
 また、この春の戦いに挑まれる先輩・同僚の議員の皆さんには、戦いを通じて県民の生の声をぜひお聞きになられ、晴れてこの議場で再会され、県民の負託に見事にこたえられますよう心からお祈り申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの堀本隆男君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 特区についてでございますが、国からモデルを示すのではなく、自治体や民間の知恵と工夫による取り組みにより制度を変えていく新たな国と地方のパートナーシップとして評価しているところでございます。
 和歌山県も、ご指摘のとおり、和歌山の地域資源や特性を生かした新たなふるさとづくり型の特区の実現に向けて、関係市町村との連携をとりながら積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、バカンス法というものの制定についてでございますが、長期連続休暇制度いわゆるバカンス法については、滞在型観光ニーズの高まる中、従来よりご提言されており、その先見性についても敬意を表する次第でございます。観光やリゾートの振興にとって休暇制度の充実は欠かせないものと考えております。国におきましても、ハッピーマンデーや学校の完全週休二日制の実施等でその方向に向かいつつありますが、十分とは言えない状況にあります。今後、国において長期連続休暇について制度的に誘導していくことが観光大国実現への大きな一歩となるものであり、本県の観光、リゾートの振興にも大きく寄与するものと考えております。
 次に、世界遺産登録後のイベント展開についてでございますが、高野・熊野は世界に誇れる本県固有の資源であると考えております。ご提言の世界遺産登録後のイベント展開も、観光客の誘致にとって有効な手法の一つでありますが、県としましては、高野・熊野世界遺産登録後に市町村、観光関係者や全国JR六社と連携し実施するデスティネーションキャンペーンにおいて県内各地でイベントを開催することとし、高野・熊野世界遺産登録を本県の観光振興の柱として和歌山イメージの確立を図ってまいります。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 三項目のご質問についてお答えを申し上げます。
 まず第一点は、メディアによる都道府県のイメージ調査をどう活用するのかというご指摘でございます。
 今後、真の意味での地方分権型社会を築いていく上で、地域がそれぞれの特性を遺憾なく発揮し、主体的な地域づくりを進めることが極めて大切なことであると考えてございます。そのためには、地域自身が持つみずからの資源を見直してさらに磨きをかけていくことはもちろん必要なことでございますが、その際には、地域内の価値観だけで考えるのではなくて、地域外からの開かれた視点で評価することも非常に重要なことであると考えてございます。そうした観点から、ご指摘のように、アンケート調査、特に今回の調査のように首都圏の方々が本県に対して持っているイメージ調査あるいは評価、そういったものは真摯に受けとめて今後の施策に活用していくということが大変重要であろうというふうに考えてございます。
 また、全国的なマスメディアのアナウンス効果というのは大変大きなものがあると思いますので、これからもメディアから高い評価が得られるように積極的な情報発信に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 二点目は、構造改革特区についてでございます。一括してお答えを申し上げます。
 構造改革特別区域計画の認定申請につきましては、平成十五年度すなわち平成十五年四月一日から第一次の申請を受け付けることとしてございまして、おおむね三カ月以内に認定の可否が決定されると聞いてございます。本県ではご指摘の三つのタイプを申請すべく、現在、市町村ですとか関係機関との協議を重ねながら準備を取り進めているところでございます。認定後のスケジュールとしましては、規制が緩和され、構想の実現に向けて、主として民間による事業が実施されていくこととなります。第三次の募集につきましては、本年六月一日から一カ月間というふうなものが予定されてございます。
 次に、高野・熊野文化遺産特区といったものが考えられないかというご指摘でございますが、高野・熊野地域につきましては、世界遺産の登録に向けまして着実に作業が取り進められているところでございまして、世界遺産に登録されれば、かけがえのない歴史・自然遺産でございまして、当然のことながら、保全という観点からの規制も必要となってくると思います。その一方で、歴史的、文化的な風土と調和した景観づくりですとか、あるいは熊野古道沿線のホスピタリティーの向上といった視点からの整備も場合によっては必要となることもあるのではないか、今後、規制改革事項の研究対象として検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、構造改革特区が地域に与えるインパクトはいかがかというふうなご質問でございます。
 地域の振興に当たりましては、これまでの中央依存から地方の独自性を発揮した地方主導の施策展開が求められてございまして、こうした視点から構造改革特区というのは地方の主体的な取り組みをバックアップする有力な制度であるというふうに受けとめてございます。本県にありましても、新ふるさと創りの推進や農業工場の建設誘致など独自の施策を展開しておりますが、このためには幾つかの分野での規制緩和が必要となってまいります。言いかえれば、本県としては今回の特区構想を積極的に活用した施策の具体的な展開を図って、雇用機会の増大ですとか地域の活性化に資してまいりたいと考える次第でございます。
 続きまして、カジノ構想の要望に係る中央の反応ということでございます。
 去る二月六日、カジノ合法化に賛同する関係五府県がそろって鴻池構造改革特区担当大臣を初め関係者に対してカジノ実現のための法整備を働きかける旨の要求を行いました。その際、大臣からは「オープンな議論を行い、前向きに検討をする」との回答を得たところでございます。
 カジノをめぐりましては、昨年来、カジノ特区構想が提案されるなど、全国的な動きがあるところでございます。仮にカジノが認められますと、全国で三十兆円産業が創出をされる、あるいは三十万人の雇用が生まれるとの試算もございまして、厳しい経済情勢の中、産業の活性化、地域振興等に大きなインパクトを与えるものと期待をされてございます。
 しかしながら、青少年への悪影響、治安の問題等、懸念される事柄も少なからずあると指摘されているところでございます。今後は、国レベルのオープンな議論を促しつつ、自治体によるカジノ研究会において情報の収集や我が国にふさわしいカジノ像や法制度のあり方等に関する検討を行ってまいり、全国的な動向に柔軟かつ適切に対応いたしてまいりたいと考えております。
 最後に、県政の中期展望を示してはというご質問でございます。
 施策の企画立案に当たりましては、社会経済情勢が日々激しく変化をし将来の見通しが不透明な時代であればこそ、地方が主体性を持って取り組まなければならないと考えてございます。具体的には、都市から地方への人口の逆流動を起こす新ふるさと創りや県境にとらわれない交流・連携を目指す開かれた和歌山の実現、地域特性を生かした産業の活性化、環境や人権を大切にする安全・安心・いやしの社会づくり、あるいは県民やNPO等との協働で進める開かれた行政の実現といった基本的な考え方に基づきまして、社会・経済の底流の変化に対して弾力的かつ迅速に対応することが最も重要であると考えてございます。こうした認識のもと、和歌山県に対して期待される役割、あるいは果たすべき役割等を明確にしながら、独自性を持った和歌山モデルというべき施策の企画立案に邁進してまいりたいと考えてございます。
 今後とも、新しい時代に合った和歌山県づくりに全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 観光振興に関する副大臣会議報告についての感想と国際観光の推移についてお答え申し上げます。
 昨年二月に決定されました観光振興に関する副大臣会議報告書につきましては、観光を我が国の経済活性化の重要産業として推進しようとする五つの提言で構成されておりますが、いずれの項目も本県が目指す観光振興と方向性は同じであると認識してございます。この提言を受けて関係省庁はさまざまな施策を打ち出しておりますが、地域資源を活用した体験型観光の推進などは和歌山県が先駆けて取り組んでいるところでございます。今後とも関係部局との連携を密にして、交流人口の拡大にという視点に立っての事業の展開を図ってまいりたいと考えてございます。
 また、国際観光につきましても、日本への関心が高まる中、東アジアをターゲットとして現地での観光宣伝とともに旅行会社やマスコミを招致するなど積極的に誘致活動を行ってまいりました。その結果、外国人観光客の本県への入り込みは過去四年間で二倍、アジアの方に限れば四・五倍の伸びとなってございまして、議員お話しのとおり、東アジアからの観光客には特に温泉と自然景観さらに食事などに好評をいただいているところでございます。
 今後は、台湾、香港、韓国に加え、新たに将来大きな市場となるであろう中国も視野に入れ、一層効果的な誘致宣伝を展開してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 五番堀本隆男君。
○堀本隆男君 誠意をもってお答えをいただき、ありがとうございました。
 要望でございます。
 観光立県について、東アジアのみでなく世界各国から、本県の美しさ、温泉のよさ、人々の心の温かさ、県、県民がともに取り組んで全力を挙げて今後県政の重要事項にして特色を出していただきたい。心から願うものであります。
 以上、職員の皆々さんには大変でありましょうが、ひとつ大きなポイントづくりにこの観光振興、観光立国を挙げて取り組んでいただきたいと、このように思います。
 要望です。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で堀本隆男君の質問が終了いたしました。

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