平成15年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 当局の皆さん、大変お疲れのところ申しわけないですが、答弁、正確にお願いします。(「当局だけと違う」と呼ぶ者あり)いや、皆さんは適当に便所へ行っていますので。当局は席を立てないので非常に厳しいと思います。
 寝耳に水どころか、県民に激震が走った昨日でした。私は、関西電力が和歌山県御坊沖で造成中の御坊第二火力発電所の予定地に核燃料中間貯蔵施設の建設という見出しを見て驚いた県民の一人であります。
 次に、本題に入ります。
 十五年度予算に関連して、私は以下の六点について当局の考えをお尋ねします。
 日本経済の動向、指針が明確でなく、私たち国民は指をくわえてはおれません。全く中途半端やなの国の政策に黙っているわけにはいきません。知事の言う地方からの改革を、地方から国民に責任ある施策と実践を進める以外ありません。
 県民は今、仕事がない、働くところがない、お客が来ない、物が売れない、一方で自己破産の増加、生活保護家庭の増加等、大変な事態になっています。地方財政は今財政的にも厳しい中で、県民は、政治が悪い、県は何をしているのかではなくて、県行政も、県民に与える、してやるではなく、地方行政は行政と県民が協働、協力、役割分担をして地域をつくり出していくことを実践の中で、県職員の皆さんや私たちもまずその考えに立ち、県民と対峙していくことが今大切な時期だと私は考えております。
 十五年度予算が義務的経費等削減して政策経費へ、そして税収入減の中でも予算総額を四年ぶりに上回る、それでいて県債発行を抑制した、その努力を大いに評価したいと思いますし、今後の地方行財政のあり方に一石を投じたのではないかと思います。しかも、県のこの姿勢が市町村の行財政へも大きいインパクトを与えたのではないかというふうに私は思っております。
 次に具体的に、私は十五年度予算の中で五点ばかり挙げております。
 一つは、失業率が問題でありますが、十五年度重点予算と雇用創出についてですが、失業率が全国平均五・四%、和歌山がそれを上回る六・一、高卒者が六四・六の就職率、これは数字であるわけですが、事実上、就職がないから短期大学へ行かせるという父兄の方もたくさんおられます。そういう意味では非常に厳しい状況でもあります。
 私は、この十五年度予算と雇用創出という問題でテーマにしたのは、県でも景気・雇用対策本部を設置して努力されていますが、私の考え方は、予算と事業施策と雇用創出を一体化した政策として進めることが大切ではないか。そのことが、各セクションの施策の中身にもっと味のある濃いものになるのではないかというふうに考えたからであります。とりわけ、それぞれの施策によってどれだけの雇用を生み出すのか、また地域の活性化の役割はどうか、施策実施前の評価も必要ではないかと思いますが、知事のご見解をお聞きしたいと思います。
 第二点は、県内の中小企業、とりわけ中小零細企業はもう瀕死の状況です。それを助けるための国、県の施策である緊急経済対策資金、経営安定資金、新規開業支援資金等は現実的に機能、運用されているのでしょうか。現状は、銀行の貸し渋りで中小零細企業への金が回っていないのではないでしょうか。この制度活用は力のある人には優遇ですが、厳しい経営をしている人にこそ適用されるべきであるのにそうはいかない、銀行と保証協会の綱引きで結局借れない状況を生み出しているのではないかという危惧をしている一人でありますが、いかがでしょうか。どういう手を打っていくのでしょうか、県当局のお考えをお聞かせください。
 次に第三点目でありますが、建設・土木業者、知事もお答えになられておりましたが、県内六千五百業者の新分野への展開施策についてですが、公共事業中心の建設産業は今、公共事業が減少をしているため大変な状況にあり、さりとて民間の建設事業も減少している状況で、今建設産業は縮小、統合を初め新たな分野への転換を考えなくてはいけない状況にあります。県行政とどうしていくのかという問題であります。
 各都道府県でもこれを積極的に推進していくところもありますが、国が「地域経済レポート二〇〇一」という問題で、「公共投資依存からの脱却と雇用の創出」という内閣府政策統括官の平成十三年十一月のレポートがありますが、この中には、ほとんどこのときにバブルが弾けた以降、一番恐れをなすのは地域経済。地域経済があくまでも公共事業に依存して、そこに働く労働者が、二割を超えるぐらいの建設労働者がおるんではないかという分析をしながら、こういった人たち、とりわけその中でも中高年労働者が地方には多いと。これをどう転換をして、そういう中高年労働者の雇用を確保していくのか。新たな事業展開をどうしていくのか。もう一つは、そのほとんどの人たちの建設労働者は雇用保険が適用されない、そういう人たちが大幅だということも指摘されております。
 そういう意味では、この公共投資依存からの脱却と雇用の創出という意味では、とりわけ一番打撃を受けているのが建設産業ではないかということを考え、県が改めて建設産業が新たな分野への事業展開をしていく上での、県行政としてどう支援していくのかということについて県当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 第四点目は、高齢者、障害者を地域で支えるための県の取り組みについてお尋ねします。
 知事は議会の冒頭、「高齢者や障害者の自立と社会参加を促進し、地域で生き生きとした生活を送れるようにするためには、地域住民の福祉意識を醸成し、住民参加による支え合い、助け合いのふるさとづくりを進めていかなければなりません。このため、地域福祉支援計画の策定を進め」と、県政に臨む所信を表明されました。このことを大いに評価しながら、この立場を踏まえて高齢者、障害者を地域で支える地域福祉の充実をどうしていくのか。国の施策に準じたものだけをやるという考え方ではなく、和歌山の中で働く環境づくりをどう県として支援していくのか、政策方針を確立することが大切ではないでしょうか。国の施策が県民にとって実態にそぐわなかったり不十分な点を、県としてそれを補いながら国に対して改善を求めていく姿勢が必要ではないでしょうか。
 例えば、高齢者の地域を支える福祉の一つとして、県民の参画でつくり出すNPO等の宅老所、小規模ケア施設の初期投資に長野県では二億円を超える額の施策を実施し──これは長野県だけではありません。他の都道県でも積極的に今されています。その要因は、介護保険を毎年上げざるを得ない。施設中心の福祉政策ではもたない。こういう中で、地域で支えながら介護保険をどう引き下げていくのか。そのために民間の力で運営していく路線をとっていることは理にかなった動きとして私は参考になると思いますが、いかがなもんでしょうか。
 次に、障害者の措置費から支援費への移行に伴う知的障害者地域生活援助事業の対応では、国の支援制度では対応していけるのか、県として支援していく必要があるのではないでしょうか。例えば、非常に財政が厳しい大阪府でさえ、この支援制度を府の独自の府単独事業として新たな障害者グループホームの設置促進事業にかかわってグループホームステップアップ事業、それから世話人養成研修事業など、新たにその地域が求めている本当に地域福祉支援をしていくための障害者のための支援が県、国にない分を、府でもやっていこうということで、新たな支援制度も確立されています。和歌山県としていかがなもんでしょうか。障害者の生活支援と就労支援についても県として具体的にどう対応していくのかを、あわせてご質問申し上げたいと思います。
 以上の事例を含め、県が主体的に高齢者、障害者に対する福祉政策と計画を明確にしていくことが今必要ではないでしょうか。私はこれをくどく言っているのは、県として県民の高齢者・障害者福祉政策を確立することがまず先決だ。どういう状況にあって、どういう政策が和歌山県としての主体性でどういうものが必要なのかという施策を、きちっと関係者の意見をまとめ上げながらつくり出していくその姿勢が今問われているのではないかということであります。
 次に第五点に、県立の学校五十五校の教室、管理棟、体育館の施設の整備についてであります。
 県教育委員会ではなく知事部局の総務部長に見解をお聞きします。私の持論ですが、教育施設の整備計画と予算の裏づけを総務当局は明確にする必要があるのではないでしょうか。
 第一点目は、整備計画は大規模改造整備、教育内容の改定に伴う新築・改造整備、維持管理上必要な部分整備、それから耐用年数五十年から六十年を周期とすれば毎年一校分の規模の建てかえ等、以上四項目の整備事業が必要であります。これに必要な予算は概算で年間七十四億円を必要とされています。
 しかし、実態はどうでしょう。平成元年度から平成十五年を時系列で見ると、平成十年の四十六億九千万円をピークに、平成十四年二十四億五千万円、新年度・平成十五年は二十二億七千万円と減少している中で、総務部としてその考え方をお聞かせ願いたいわけであります。この整備は、教育内容の充実はもちろん、この投資は地域の活性化にもつながるという意味での積極的な投資が今望まれているのではないでしょうか。総務部長の見解をお尋ねいたします。
 次に、東南海・南海地震対策についてであります。これは先日も質問されましたので、私の方からは簡単に質問をしたいと思います。
 一つは、県アクションプログラムの策定の考え方と中身であります。今、いつ起こるかわからない、三十年後は四〇%と言われておりますが、県民の意識は、選挙区じゅういろいろ歩いてみますと、かなりな地震、津波に対する危機感を県民は感じています。そういう意味では非常にいい意味で、自主的に市民一人一人が自分の生命財産を守るために何をするかということが今スタートしておりますから、そういう意味では非常に大きな意義があるというふうに思います。しかし、行政は少なくとも行政として何をしていくのかという部分のアクションプログラムはことし策定していくということになっておりますが、私はそのアクションプログラムの中身、考え方をまずお聞きしたいと思います。私の政策としては、市民と行政の共同で、市民参加でアクションプログラムをつくろうではないかという考え方であります。そういう意味で、県当局のお考えをお聞きしたいと思います。
 次に、県アクションプログラムの策定と予算計画についてであります。
 私はこれについて少なくとも二十カ年計画から二十五カ年計画が必要ではないかというふうな考え方をしているわけですが、まず行政としてアクションプログラムを策定した場合に、それに対して予算計画をどうしていくのか。それはもちろん、地震防災対策特別措置法に基づく事業計画は踏まえた中ではありますが、県のアクションプログラムとその裏づけとしての予算計画を一定示す必要があるのではないでしょうか。これについてお聞きしたいと思います。東南海・南海地震特別措置法がその関係でどう運用されていくのかについても、お尋ねしたいと思います。
 次に、アクションプログラムの中での緊急にして必要な施策への積極的な支援策についてであります。
 県は、地震・津波対策に対するいわば避難地、避難路のマニュアルをつくっていろいろやられていることについては評価しますが、現実的に各市町村では今、民間自主防災組織をつくり、具体的にみずからの命をどう守るかということで最初に出てくるのが避難地、避難路であります。これを今、各地域で計画しておりますし、私たちも自分とこはどこへ逃げるかということで住民の皆さんとお話をして、このコースが必要だと決めても、非常にそれに対する財政的措置、民間の土地であった場合は民間の個人所有者に対するアクションを起こさなければならない。その非常に難しい部分があります。そういった点で、避難地、避難路を住民でつくり上げた場合、県行政としてどうかかわりながらそれをつくり上げていくかについてのお考えを聞きたい。
 そして、自主防災組織については今つくっても、実際に最低限の資材はどれだけ行政が支援してくれるんだろうか、私たちの持ち出しはどれだけすればいいんだろうかということで具体的に悩んでいる自主防災組織の方もおられます。そういう意味では、行政はこういう形で最低限これだけは責任を負うと、あとは住民の皆さん、これだけは持ってくださいという形での明確な方向を示すことの方が住民が納得していくのではないかというふうに思いますが、いかがなものでしょうか。
 耐震調査については、先日述べられました。私からは要望にかえますが、自己管理はもちろんです。皆さんは自分の家は自分で守っていくということではもちろんですが、具体的に耐震調査に対して不安を持っている市民の方にどこまで行政が支援してくれるんだろうかという、この疑問も持っております。もう全然できないのか、いや、こういう方向でなら、こういうところであればどれだけ支援できるということを、やっぱり県民に明確に今示しておく方がいいんではないか、このように考えているわけであります。
 最後になりますが、津波対策についての考え方であります。
 これについては以前も私は本会議で質問させていただきましたが、防潮堤や河川の問題、水門の問題、その老朽化、それから防潮堤のかさ上げについてどうして補強していくのか、もうそのままなのか、そういった点も質問させていただきました。今、地域で具体的に、とりわけ私たち田辺市の問題は、海に囲まれた田辺市であります。したがって、防潮堤や、そういったところへのかさ上げをするのか、そして津波対策についてはどの程度のハード面のアクションを起こしていくのかということについて、県行政の先が見えない。まず逃げたらええんやということにとどまっていないかという疑問を持った市民の方がたくさんおられます。そういう意味では、県行政としてアクションを起こすハード面の最低限はこれしかできないとか、この程度だったら長期的にやっていくという方向を今示していかないと、全体の自主防災組織の考え方とがマッチしていかないという非常に不安な中での現状であります。そういう意味では、津波対策への今後、具体的なハード面での取り組みの県の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
 次に、農業問題であります。梅の立ち枯れの平成十三年、十四年の比較から見た農林水産部長のご感想を聞かせていただきたいということであります。
 私は今、地域でこの実態を皆さんにご披露申し上げながら、あとの考え方は個人にお任せしているわけですけれども、十三年と十四年の梅生育不良の発生本数という状況と御坊の火力発電所の稼働率との関係を数字で示させていただきながら説明しているわけですが、我々西牟婁の田辺市を中心とする産地では、十三年に比べてこの十四年は枯れた本数の確率が六〇%、四〇%減っております。ところが、日高ではむしろ一〇〇%を超えたところが三カ所、より一〇〇%に近いところが四カ所というふうに若干ふえている地域があるという現象が起こっております。
 これは、稼働率から見ますと、平成十三年、十四年では七月、八月、九月と一月、二月以外はすべて稼働率はゼロであります。平均では十三年度では一三・六%と、一、二、三号基のトータルは一番高いところで八月ですが、ことし十四年度はその一番高い八月でも三・五%と、非常に稼働率は下がっております。そういう中で、以前からの時系列の立ち枯れの状況が実際に田辺周辺、西牟婁郡では立ち枯れが六〇%、むしろ煙突に近いところの立ち枯れの方がかなり一〇〇を超えているという、こういう実際の現象面での評価として出ていることについて、私はおのずからその問題の基本にあるのは何かということが、科学的に今証明されないけれども、現実的に火電の稼働率と立ち枯れの相関関係、火電の稼働状況と立ち枯れのエリア、その範囲の問題、その中での現象面として具体的に数字が示してきていることについて、今まで私が議会で質問してきたこととの間で結論がここに示されているんではないかということを感じましたので、農林水産部長の感想をお聞かせいただきたいと思います。
 第二は、梅、ミカンの現状認識と対策についてであります。
 まず私は、昨年末からことしにかけてミカンの値動きを見て大変な状況にあることを、数字だけでなく、農家の皆さんの声や実情を知ると、農家を守り農業で生活をすることの厳しさを痛感しているところであります。
 十四年度のミカンの価格を見ますと、ことしは裏作で量が少なく値段もある程度の高値で動くと予想されていたのが、実際はそうではなくて、例えば平成十年と十一年を比較してみますと、実際に十年が非常に裏作で量が少なかった。値段が二百四十三円。それから平成十一年は量が多くて百十五万キロ、七千五百、七億──済みません。本来は、裏作で量がないときには値段がよかった。二百四十三円。量が多いときには百五十七円と下がった。ところが、平成十三年は量がよくとれて百六十九円だったんですが、平成十四年度、ことしは百五十三円というふうに、量が下がったのに値段も下がったという現象を言いたかったわけです。だから、今までは量が多いときには値が下がって、裏作で量が少ないときにはある程度、値動きは高くで動いたんだが、この十三年、十四年を比較して見ると、量に関係なく、ことしはどんと裏作で高値を信じていたんだけど百五十三円という値段しかつかなかったと、こういう状況が今起こっているわけであります。
 こういう状況の中でミカン農家はどうしたらいいのかという中で、JA紀南の管内では、ミカンづくりはあかんということで、梅への転換を図る農家がふえております。私の知っている人でも、五反、一町とミカンを切って梅に変えるんやということで、ことしずっと作業をしている人たちもあります。国がしますミカン、リンゴの新たな果樹政策の支援というのがありますが、これもことしの単価を百五十四円として、県の基準単価百八十五円はさらに下がって大きな力にならないと私は考えております。こんな実態で、国はいつもそういう状況の中ではミカンの生産調整に入って、十三年は百二十五万トンに減らし、十四年は百十五万トンという量に減らして帳じりを合わそうとしています。この方針は正しいのでしょうか。生産量を減らしてもミカンの価格は下落する一方で、結果は効果が出ていません。私たちは、ミカン農家の経営をどう守り続けていくかについて重点を置いた施策を今考えていく必要があります。生産調整をして生産量を減らすことは、商社の思うつぼであります。これは私の個人の考えです。外国農産物の輸入の拡大につながることは目に見えています。そのような状況は既に生まれているわけであります。
 じゃ、どうすればいいのか。第一は、消費者が求めるミカンづくりを目指すこと。それに対する栽培方法とその支援であります。二つ目は、消費拡大を目指すための施策であります。三つ目は、地産地消の運動は、思いつきではなく、地に足のついた継続する運動を行政と民間の力で徹底する必要があります。私は、一つ一つの町や村がその積み重ねで全国に波及し、日本国民の意識として国内農産物の流通と消費を生み出すことにつながるんではないか。そうしなければ日本の農業は守れないし、日本の独立国としての主権が侵されることになりかねない。ミカンと梅の文化を県民の中に根づかせるための活動をどうするのか。四季を通じて生産されるミカンがどこに行っても盛られていて、味を見ることができる。学校給食にも、どんなイベントにも。そんなミカンと梅の文化をつくり出す仕掛けは行政の力をかりないと難しいし、県民思想として根づかせることは何も難しいことではなくやる気の問題だと私は考えるが、いかがでしょう。そうすれば、生産調整せず積極的に生産する、やる気の農家への大きな力、後押しになると信じております。
 梅についても同じであります。昨年からことしにかけて梅の価格破壊は大変なものです。昨年末の売り上げは二〇%落ち込みました。バイヤーは、利益率を上げるため低価格の仕入れに躍起になっている現状であります。梅も大変厳しい状況にあります。紀州梅ブランドが消費者に信頼される商品づくり、生産・加工の顔の見える商品化、梅の消費拡大への新商品開発、国内から国外へ売り出すための研究等、一つの枠内からの脱皮も今求められています。こういった厳しい現状の中で、県行政の果たす役割は何かを行政サイドだけで考えるのではなく、広く関係者と知恵を出し合い、果樹王国日本一・和歌山を守るための施策を確立してください。どうでしょうか。
 厳しい農家の経営を支えるために、私はもう一つ、生産農家の立場から、このデフレ不況の中で農業生産を維持していくために一番やらなくてはいけないのは、生産コストを下げるために生産資材や農薬等の価格を見直し、まず県行政はその実態調査をすることを要望したいと思います。農林水産省もようやくこのことを問題にして、全農への改善を求めています。県当局の積極的な対応をお願いしたいと思います。
 次に、食品安全推進委員会の役割と考え方についてでありますが、もう時間がございませんが、今国会、食品安全委員会の設置の八法案が提出されております。県はそれに基づいて、消費者優先の立場という立場で食品安全委員会はつくられますが、結論から言えば、私は生産者代表もぜひその委員会並びに関係するところへ入れてほしい。消費者と生産者が交流し合いながら真に理解を求めていく生産に立ち行かないと大変矛盾が起こってくるという意味では、この委員会並びに関係する機関に生産者代表をぜひとも入れてほしいということを要望したいと思いますが、当局の見解をお聞きしたい。
 この問題の最後ですが、地球温暖化と農産物の産地化研究についてですが、簡単に言えば、昨年からミカンがポンカンの煮え腐りがあったり、それからイチゴの栽培も紀南では非常に大きな打撃を受けたり、そういった意味で年々、青梅の生産出荷も半月から一カ月昨年は早かったし、ことしも早くなるのではないかということで、非常に気候変動と、いわゆる地球温暖化と農作物は無関係ではないなということで今研究されております。
 そういう意味では、今後、温暖化によって植生気候帯が大幅に北上してきているという農産物の産地の変化、それから既存作物への影響、こういった面でぜひとも検討していかなければならない。これは、二十一世紀中期から後半にかけて温度は摂氏二・五度上昇するという警告が予測されております。そういう意味では、県下のこういう地球温暖化の現象が気候変化と作物の状況を真剣に考える、各試験場ではそういう植生気候と温度資源、それから日射資源、水資源の豊かさでこう評価されます。植生気候の中では、とりわけ、温度資源の変化に着目した研究テーマをこの各試験場で研究テーマとしてぜひ取り上げてほしいというのが私の要望であります。これが農業の問題です。
 あと、最後になりますが、南紀熊野体験博の二十一協議会、そして高野・熊野世界遺産についてであります。
 これは簡単に申し上げますと、南紀熊野体験博とその後、南紀熊野二十一協議会の中で、南紀熊野二十一協議会は、いわゆるコンセプトとして南紀熊野地域に残る歴史と文化、それをはぐくみ続けた豊かな自然環境を守り、南紀熊野体験博を通じて生まれた地域を愛する人々の活動を支援、組織化し、自分たちが住む地域を誇りを持って情報発信を行うことを行動の基本方針とするということで、南紀熊野の新時代を築くんだということでやっておりました。これ、三年間続けてまいりまして、この十四年末で終わるわけでありますが、これを私は、この意味でソフト面では語り部の組織化やネットワークづくりへ一歩前進していること、三重県の東紀州活性化推進協議会との連携など、紀州は一つのネットワークへも進んでいますし、また熊野古道の大辺路街道の発掘と再発見も大きな成果を上げておりました。熊博の取り組みの三年間、二十一協議会の三年間の実績と成果をどこでどう継承し、発展させていくのでしょうか。
 各関係する十六市町村では、独自と相互のネットワークで官民が協力して取り組む体制づくりも今積極的に進んでいます。県として今後どのような形でコーディネートしていくのか、お尋ねしたいと思いますし、そのことが高野・熊野世界遺産登録を受けての受け皿としてどう取り組んでいくのかについて、あわせてご質問したいと思います。
 第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 雇用創出についてのご質問でございます。
 デフレ不況の中で各社が固定費の節減を図るというふうな中で、セーフティーネットというふうな問題が非常に大きな問題になってきているわけでございます。こういう中で、ご質問の中にありましたように、雇用対策というのをすべての施策を考える上での一つの主視座に据えるというふうなご質問の考え方、私も大賛成でございます。
 そういうふうな中で、和歌山県といたしましては、例えば、基金事業といたしまして、福祉とか環境とか治安とか教育等々の部門で千五百五十人の雇用の創出、さらには福祉施設の整備、これはまあじかには雇用の創出ということではないわけですけれども、雇用効果が大きいものといたしまして三百人弱、さらには緑の雇用事業等で千五十人ぐらいというふうに、いろんな事業で雇用の創出が図られるようなことを考えております。
 さらには、そのほかにも、例えばアグリビジネスの支援でありますとか、県産品のニューマーケティングシステムでありますとか、県産材の活用でありますとか、いろんな事業の中で新たに産業を興して、そしてそこへいろんな人が雇用されるというふうなことを図っていきたいというふうに思っておりますし、こういうふうな仕事を進めていく上では、県が独善的に物事を行っていくんじゃなくて、NPOとか民間団体との協力・協働関係というのが今まで以上に大事な時代になっている、このように考えております。
○副議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県内中小企業、零細企業への金融支援についてでございますが、県下の中小企業を取り巻く金融情勢は大変厳しいものがあると認識しております。また、金融機関による貸し渋りについては、金融相談や経済団体等との地域融資動向に関する情報交換会を通じて状況の把握に努めているところです。
 これまでも制度融資においては中小企業が借りやすく返済しやすくするために種々工夫するとともに、金融機関、信用保証協会等に対しさまざまな機会をとらまえて可能な限り弾力的な対応をお願いしてきたところでございます。
 これらにより平成十五年一月末における新規融資の実績は六千三百六十八件、約五百九十一億円となっており、昨年同期に比べ約三割の増加となってございます。また、平成十五年度制度融資においては緊急経済対策資金を初めとする需要の高い資金の融資枠を拡大するとともに、小規模な企業の金融情勢は一段と厳しくなることが懸念されることから新たに一般貸付資金に小企業枠を設定し、より低利な貸付利率を適用するなど、中小零細企業に対する金融支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、建設業者の新分野進出に関するご質問についてでございますが、公共、民間ともに建設投資額が減少している中、県内建設業許可業者数はそれほど減少しておらず、県内業者の受注機会の確保にきめ細かく努めておりますが、需要と供給のバランスがとれてない状況にあります。そのため、建設業の需給ギャップにより生ずる失業に対する施策が必要であり、県といたしましては雇用のセーフティーネットとして展開している緑の雇用事業への参入を業界団体に要請しているところであります。
 また、国の補正予算において建設業の新分野進出活動を支援する建設業セーフティーネット構築緊急事業が新設されたところであり、今後早急にこの制度の有効性について検討してまいりたいと考えております。
 次に、津波対策への県の考え方についてお答えいたします。
 津波のハード対策につきましては、湯浅広港において津波防波堤の整備を行っています。その他、防潮堤や水門は高潮対策として整備していますが、津波に対しても一定の効果があるものと思われますので、その老朽化対策や津波に対応した管理体制の強化を検討してまいります。
 いずれにしても、ハード対策を進めるには多くの時間と費用を要するため、ソフト対策として避難対策を充実させていくことが重要と考えております。県といたしましては、今後、市町村と連携を図り、ソフト対策及びハード対策の総合的な組み合わせにより県全体の津波に対する防護水準の引き上げを図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 高齢者や障害者を地域で支えていくための県の取り組みについてお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、高齢者や障害者の自立と社会参加を促進し、地域で生き生きとした生活を送れるようにするためには、国の施策を活用するとともに、地域の実情に応じた独自の施策を展開していくことが必要であります。
 そのため、県においては高齢者が在宅で安心して暮らしていくことができるよう、市町村と連携を図りながら、地域で高齢者を見守り安否を確認する事業を初め、地域支え合い事業の拠点を整備するゆうゆうコミュニティ事業など、県単独事業として実施しております。
 また、障害のある人が地域において自立し安心して生活できるよう、グループホームについては国の補助事業の対象とならない部分を県単独で補完するとともに、障害児の夏休みの社会的活動の場の提供と介護者の負担を軽減するための活動を支援する事業や授産施設等の経営改善、製品開発、販路拡大等について検討し具体化する事業等を新しく行うこととしております。
 なお、来年度におきましては、福祉全般において地域で支え合う体制づくりを支援するため、地域福祉支援計画の策定を進めるとともに、わかやま長寿プランや紀の国障害者プラン等をもとに本県の実情に応じた福祉施策を計画的に進めてまいります。
○副議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) まず、教育環境の整備についてお答えを申し上げます。
 将来の和歌山県を担う世代の教育のために施設環境を整えるということも重要なことでありまして、平成十五年度の予算の編成につきましてもこのような認識に立って臨んだところでございます。
 ただ、本県の財政環境には厳しいものがございまして、財源確保に当たり全庁的に義務的経費の削減努力や徹底した事業見直しなど、できる限りの努力を重ねてきておりますものの、一方で、国全体の動向もありまして、県全体の投資事業縮減の中で教育施設整備経費が減少してきたことも事実でございますが、教育施設環境につきましては、今後とも教育委員会とも十分協議しながら着実な整備を図っていけるよう対応してまいりたいと考えております。
 次に、東南海・南海地震対策についてお答えを申し上げます。
 アクションプログラムの策定につきましては、まず県民の命を守ること、県民の生活を守ること、復旧・復興を進めることを理念といたしました基本方針を策定した上で全庁的なワーキンググループを立ち上げ、防災対策の各部門ごとに基本方針に沿ったプログラム素案を作成してまいりたいと考えております。この素案には、市町村や防災関係機関などの意見も反映させていきたいと考えております。
 また、プログラムの素案を作成した段階で、東南海・南海地震等の学習会も兼ねた説明会を開催して、参加された県民の皆さんの声をお聞きするとともに、インターネットを活用して広く意見を求めることとしたいと考えております。
 そして、アクションプログラムの策定に当たりましては、施策の体系化を図り、施策の事業主体、優先順位、整備目標等を明確にし、策定後も施策の進捗状況、効果などをにらみながら毎年進行管理を行って見直しを行ってまいりたいと考えております。
 次に、アクションプログラムと予算計画の関係でございますが、アクションプログラムでは公共施設等の耐震化や津波対策などに重点を置きながら施策の優先順位や整備目標などを設定する予定でありまして、これを踏まえて毎年、適切な予算措置を行ってまいりたいと考えております。
 なお、地震防災対策の事業につきましては、地震防災対策特別措置法に基づいて事業を進めているところでございますが、東南海・南海地震対策特別措置法の施行もにらみながら、今後もこの制度の十分な活用を図りますとともに、さらなる支援を国にも要望してまいりたいと考えております。
 次に、緊急にして必要な施策への支援策についてでございますが、地震防災対策の中でも住民の命を守る対策が最も重要であると考えておりまして、県は市町村などが行います自主防災組織への資機材供給に要する経費やハザードマップ作成に要する経費の補助、あるいは自主防災組織を対象とした図上訓練や県下一斉の津波避難訓練の実施など、種々の対策を行ってきております。
 また、津波避難計画策定モデル事業によりまして既に三つのモデル町で津波避難計画が作成されたところでございまして、残る沿岸市町でも速やかに津波避難計画を作成していただくよう県としても働きかけを行ったところでございます。今後、沿岸各市町で津波避難計画が作成され、これを津波避難訓練等で検証していくことによりまして、各市町村において住民の意向も踏まえて避難地や避難路なども含めまして早急に講ずべき具体的な課題が浮かび上がってくるものと考えております。
 こうした課題につきましては、それぞれの市や町が住民とともにみずから取り組むべき課題として市や町へ十分な対応をお願いいたしますとともに、県といたしましても、市町村の意向なども踏まえながら、市町村や自主防災組織への支援策の拡充なども検討してまいりたいと考えております。
 また、この点につきましても、特別措置法の施行もにらみながら国への支援も要望してまいりたいと考えているところでございます。
○副議長(小川 武君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 農業問題についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、梅の立ち枯れの平成十三年、十四年の比較から見た感想についてでございますが、生育不良の発生状況につきましては、ここ数年、全般的に新規発生は少なくなっており、樹勢は良好でありますが、地域的にはばらつきがございます。このことは、冬季温暖であったことや適度な降雨に恵まれたこともございますが、生産者の地道な努力により土づくりや整枝・剪定、かん水方法など、これまでの試験研究や現地実証で得られた対策技術の成果があらわれてきたためではないかと考えてございます。なお、その一方で御坊発電所の稼働率とのかかわりを疑念する地元の方々のご意見もあることも承知してございます。今後とも、試験研究成果を十分生かしながら、安定生産対策に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、梅、ミカンの現状認識と対策についてでございますが、梅、ミカンを初めとする農産物につきましては、最近の厳しい経済情勢に加え、消費者ニーズの多様化や流通構造の変化などにより農産物の需要は停滞しており、これに伴いまして市場価格も低調に推移しているところでございます。
 そのような中で十四年産ミカンが低価格に推移したことにつきましては、これらの要因に加えまして、従来のような需要と供給のバランスによる価格形成が維持できなくなったためではないかと考えてございます。
 一方、このような状況の中でも安全で高品質な農産物に対する消費者ニーズは高い現状から、県では本年三月、果樹農業振興アクションプログラムを策定し、品種の見直しやマルチ栽培の拡大といった高品質果実の生産対策やトレーサビリティーシステムの導入による安全で安心できる農産物を消費者に届ける施策を推進することとしてございます。
 また、消費拡大対策としましては、毎日くだもの二百グラム運動を推進するとともに、量販店への産直などによる安全でこだわりのある農産物の販売に努めるほか、地元での消費拡大を目指し地産地消運動を広く展開することとしてございます。
 また、議員お話しのミカンや梅の文化を県民の食生活の中に定着させていくことも非常に重要なことだと思ってございます。今後とも、生産者を初め、消費者、流通業者などさまざまな関係者のご意見を広くお聞きしながら本県果樹農業の振興に努めてまいりたいと考えてございます。
 最後に、地球温暖化と農産物の産地化研究についてでございますが、地球温暖化に伴う作物への影響につきましては、栽培地域が北上しているなどの情報もある中で、環境の変化は非常に長期的で、その影響についても正確な予測は困難な問題であると考えてございます。一方、国におきましては、平成十四年度から地球温暖化による主要作物へのストレスや土壌微生物の変化など、農林水産業に与える影響について研究が着手されたと聞いてございます。
 県といたしましては、現時点では基幹作物を中心に地域に密着した試験研究を推進しておりますが、温暖化の影響などにつきましても、こうした国の動向を見ながら検討してまいります。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 食の安全推進委員会についてお答えします。
 県では、新年度から食の安全を確保するため、部局横断的な組織として和歌山県食品安全推進委員会を設置することとしてございます。この委員会では、食品の安全確保基本方針を策定し、安全な食品の生産段階での指導、流通食品の監視指導の充実などを図るとともに、消費者及び生産者等から食品安全行政に対する提言をいただく組織を設け、食に関する情報を一元化し消費者への情報提供を行うなど、消費者の立場に立った食品安全行政の推進に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(小川 武君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 南紀熊野二十一協議会に関するご質問についてお答えを申し上げます。
 ご指摘のように、南紀熊野二十一協議会は平成十一年に開催されました南紀熊野体験博を機に県と西牟婁・東牟婁地域の十六市町村で設立されまして、南紀熊野の豊かな自然、歴史、文化の情報発信など、地域の活性化を目的にさまざまな事業を展開してまいりました。特に、三年間で十六市町村をめぐる南紀スタンプラリーでは延べ三千名の参加を、また大辺路を含めた熊野古道ウオークでは延べ五千名の参加を得て、世界遺産登録に向け熊野古道を県内外に広くアピールすることができました。このほか、ガイドボランティアの交流会や研修会、間伐体験や水源の森の観察会、講演会等の環境保全の取り組みなどの事業を実施してきたところでございます。
 南紀熊野二十一協議会の組織は三年間の活動を終えて本年度末で解散されますが、この間、二十一協議会の活動の中で培ってまいりました人的ネットワークや地域おこしのノウハウなどは、県や市町村がそれぞれ引き継ぐこととなります。
 また、世界遺産の登録は、熊野・高野の魅力を国内外に向けて情報発信をし、県の活性化につなげていく絶好の機会でもございますので、今後とも市町村や関係部局と連携を図り、総合的な施策展開を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 三点ばかり要望します。
 一点は、教育施設について質問しましたが、現状、私、何カ所か見て回ったんですが、ある体育館なんかは築後もう四十一年、そして田辺市内にある小学校の体育館よりもお粗末。クラブは国体選手また国際大会へ派遣する選手を生み出しながらも、時間差練習。夜十時、十一時までやると、そういう時間差練習もしなければならないし、田辺市内の市の施設や中学校、小学校の施設をどんどん借りながらジプシー生活をしているクラブと、そういう実態も見受けられます。
 そういう意味では、県としてやっぱり、そういう教育施設、本当に生徒がクラブに打ち込める、また教育に打ち込める施設の対応が今早急に望まれていると思いますので、知事におかれてもぜひ実態を見て、子供たちの教育内容を充実させていくという意味では、予算が当初必要な七十億から二十数億という程度の三分の一足らずではどうしてもおくれがちになっていくんではないかということで、教育予算に対する、もう少し評価をしながら予算を考えていく時期に来ているんではないかということを第一点、要望しておきます。
 二つ目は、建設産業の新たな産業への展開ですけれども、これは土木部だけではなかなかうまくこれに対応していかない。国が建設業セーフティーネットの構築緊急事業というのがありますが、これはまあ言えば全く無責任なことでありまして、財団法人の建設業振興基金をゆだねてそこでやりなさいという形であります。むしろ私たち県は、具体的に知事も申されている六千五百の事業者というのはなかなかこれからの公共事業でとか、地方の民間の事業では飯を食っていけないという事態はもうはっきりしているわけですから、こういった状況を正しく踏まえながら、どのようにして県行政が手を加えて支援をしていくのかというのを、むしろ土木部、商工労働部、農林水産部が横断的に論議をしながら、建設業者に新たにしていける、まじめに今度もう一度こういう事業で生きていこうという人たちに支援する制度をぜひ設けていく、まず相談窓口ぐらいつくっていく、そういうものをぜひつくっていただけたらありがたいなと、こう思っております。
 三点目には、高野・熊野世界遺産との関係と二十一協議会の果たしてきた役割なんですが、実際、私は大辺路をずっと歩き、それから熊博をずっと体験しながらやってきた一人として、この後どうしていくのか。実際に、市町村の民間の皆さんは非常に、知事も地域活性化、体験イベント、いろいろ地域体験学習を各地方でしていることについては評価されているわけですが、事実上、二十一協議会が解散した後、じゃ具体的に培ってきた成果をどこで継承しながらやっていくのかという部分で、一つはこの紀南の地域十六市町村の地域振興、世界遺産の登録がされるという前提での地域振興をどう考えていくのか。それから交通のアクセスをどうしていくのか。まだまだ不十分でありますし、それから自然との対応。森林保全をしながら自然と林業政策はどうあるべきか。それから住民活動、民間の活動をどう支援していくのか。また、観光行政として観光政策をどうしていくのかという、こういう観点が今望まれているわけでありますが、それは各セクションでやりなさいと。この経験をして、ばっとばらまいて各セクションで責任を持っていきなさいということにはなりにくいんではないかと。これもむしろ横断的な発想で、世界遺産の専任部署が、教育委員会という中ではなくて、全体に成果を上げたことをどう、いわばコーディネートしていくか。県行政がすべてやるんではなくても、各十六市町村の官民が一体になってやっていくことに対してどうコーディネートしていくかという部分の専任機関が必要ではないかというふうに私は考えているわけで、それを要望したいと思います。
 たくさんあるわけですけれども、そういう意味で、実際に世界遺産が来て受け入れする、せっかく熊博をやり二十一協議会をやってきたことに対しても、まだまだしかし登録された段階での対応が不十分なところがあります。私は実際歩いて、先ほど言いました熊野古道の交通アクセスは非常にまだ改善されておりません。そういう問題とか、三重県では語り部の組織が一本化されているんですけれども、和歌山ではまだまだ一体にして──先ほど言いましたように、せっかくつくってきたんだけど、ネットワークとして事務局を持ってこの語り部を養成しながら全体を三重県とも連携しながらやっていく組織がまだ生まれ切れていないという問題。
 それから、大辺路の整備については、歩いてもトイレがない。標識も非常に不十分だと、こういう部分もあります。そういう意味で、ぜひとも一度点検をされて、世界遺産登録に向けての官民一体となった受け皿をつくりながら地域振興に役立てていただきたいと思います。
 それを要望して、終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後三時十七分散会

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