平成15年2月 和歌山県議会定例会会議録 第1号(全文)


県議会の活動

平成十五年二月 和歌山県議会定例会会議録 第一号
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議事日程 第一号
 平成十五年二月十四日(金曜日)午前十時開会・開議
  第一 会議録署名議員の指名
  第二 会期決定の件
  第三 議案第一号から議案第七十七号まで(当局説明)
会議に付した事件
   一 会議録署名議員の指名
   二 会期決定の件
   三 議案第一号から議案第七十七号まで(当局説明)
   四 休会決定の件
出席議員(四十四人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     三十六番       冨   安   民   浩
 〔備考〕
     二十三番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         内   田   安   生
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       阪   口   裕   之
     教育委員会委員長職務代行者
                駒   井   則   彦
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      高   綱   直   良
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時二分開会・開議
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまから、平成十五年二月定例会を開会いたします。
 これより本日の会議を開きます。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十時三分休憩
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  午前十一時三分再開
○議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
  【日程第一 会議録署名議員の指名】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。
 今期定例会の会議録署名議員は、十一番木下善之君、二十九番向井嘉久藏君、四十三番森正樹君の三君を指名いたします。
  【日程第二 会期決定の件】
○議長(宇治田栄蔵君) 次に日程第二、会期決定の件を議題といたします。
 お諮りいたします。今期定例会の会期は、本日から三月六日までの二十一日間といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) ご異議なしと認めます。よって、今期定例会の会期は本日から三月六日までの二十一日間と決定いたしました。
 この際、諸般の報告をいたします。
 知事から地方自治法第百八十条の規定による専決処分の報告及び地方自治法第二百二十一条第三項に定める法人の経営状況を説明する書類の提出が、監査委員から監査の結果報告及び現金出納検査の結果報告がありました。いずれもお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次に、今期定例会に提出された議案は、お手元に配付のとおり、議案第一号から議案第七十七号までの七十七件であります。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第三 議案第一号から議案第七十七号まで】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第三、ただいま報告の議案第一号から議案第七十七号までを一括して議題といたします。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 平成十五年二月定例会にご参集いただき、厚く御礼を申し上げます。
 ただいま上程されました諸議案について提案理由をご説明するに先立ち、県政に臨む私の所信を申し述べたいと思います。
 今、我が国の経済は依然として低迷を続け、経済再生の最大の課題である不良債権処理は思うように進まず、さまざまな経済指標が悪化の一途をたどっている状況でございます。私は、このままでは我が国経済の縮小化に歯どめがかからないのではないかという強い危惧を抱くとともに、本年は我が国の経済が今後恐慌に進むのか、それとも再生の転機をつかむのか、歴史的な分岐点になるものと考えております。
 こうした中、国内外からは改革を前へと進める行動力が強く求められておりますが、国民の期待を一身に集めた国の改革は足踏み状態を続け、いまだ日本経済はデフレからの出口が見えない状況にございます。私は、こうした我が国を覆う閉塞感を打ち破るには、日本のあるべき姿を見据えた地域独自の改革の積み重ねが何よりも重要であると考えております。また、スピードが鈍い国の改革を待つのではなく、地方がまずその迅速性を生かして、できることから取り組んでいくことが肝要と考えております。
 地方が改革を実践していくことで活力を取り戻すことにより我が国の再生に大きな展望が開けるものと確信しているところであり、またこうした考え方から、これまでも聖域なき行財政改革や和歌山モデルとして全国の先駆けとなる独自政策の提言、実践を行ってまいりました。特に緑の雇用事業、地方の実情に合った公共事業の改革、東南海・南海地震の総合的な防災体制の確立などについての国への政策提言や、それを踏まえたいわゆる知事連合による地方主導の国政改革に力を注いできたところでございます。その結果、国において緑の雇用担い手育成対策の創設や道路についての地方の実情に合った基準への転換、東南海・南海地震対策特別措置法の迅速な制定など、着実に成果を得てきたものと考えております。
 私は、さきに申し上げましたように、今後とも地方分権を推進し、中央依存の考え方を脱却し、自主と自立による地方主導の国づくりを目指す地方主権、並びに県民が主役の県政を実現するため、県民の参加・参画を進める県民自治の理念に基づき、地方起点の改革の県政を一層推進してまいる所存でございます。
 このため、農林水産資源を初め、地場産業、自然環境、歴史文化、県産品、人材などの多様な地域の資源を見直し、この活用に当たっては和歌山方式とも言うべき知恵と工夫を凝らした新たな手法により、産業の振興や雇用の創出、地域の活性化に結びつける地域の自立を目指す政策について、市町村や県民の方々との協働により、総合的、戦略的に施策を推進してまいります。
 例えば、公共事業の工法を見直し、紀州材を初めとした県産品の公共事業への積極的な活用による需要の拡大や民間企業の店舗網を活用した和歌山方式による首都圏でのソフトアンテナショップの展開、農林水産業や自然環境、歴史文化資源を生かした体験型観光や高野・熊野地域の世界遺産登録を契機とした新しい和歌山型観光の全国展開、IHS構想など地域資源を生かした企業誘致の推進、後継者育成や体験観光との連携など伝統産業のリバイバル、間伐材等のバイオマスなどの地域資源を生かした新エネルギーへの取り組み、地域通貨システムの推進、紀の川流域に数多く点在する貴重な文化遺産を紀ノ川緑の歴史回廊として売り出すことなど、多様な分野で施策を推進してまいります。一方、地域資源や地域特性を生かした新ふるさとづくりなど、これまで取り組んできた都市との交流による地域の活性化についても一層推進をしてまいります。
 また、食のトレーサビリティー、防災センターの整備を初めとした防災対策の充実、治安の強化など、安全・安心な県民生活の確保に重点的に取り組むとともに、住民参加による「共に支え合う地域福祉社会づくり」を推進してまいります。
 私は、これまでの改革の成果の検証並びにそれを踏まえ、前へ前へと一歩でも県民生活の充実に向けた改革を推し進めていくことを改めてここで申し上げる次第でございます。
 平成十五年度におきましては、地域の自立を目指す政策や全国に先駆けた政策の実施など、行政の最前線である地方起点の構造改革を実践し、県民生活の充実や地方主導の国づくりにおいて成果を出すことを目指してまいります。議員各位を初め県民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げる次第でございます。
 平成十五年度当初予算は、本県発展のため必要な施策について的確に対応し、安心で活力あふれる二十一世紀の和歌山づくりを推進するための重要な予算でございます。
 以下、その内容についてご説明を申し上げます。
 平成十五年度の予算編成に当たりましては、産業振興や福祉、環境、教育などの分野において本県の地域資源を最大限に活用するとともに、従来の考え方を転換し、新たな発想による思い切った施策を実践し、地域の自立や県民生活の充実を念頭に、課題解決型の県政を目指し、部局による縦割りを廃し、部局間の連携に重点を置いた総合的、効果的な行政の推進に特に配意し、予算編成に努めたところでございます。また、昨年に引き続き職員定数や全職員を対象とした給料の削減、既存事業の徹底した見直しなど行財政改革を断行し、財政の健全性の確保に積極的に取り組んだところでございます。
 なお、意識改革の進展に伴う若手職員の自主研究会からの提案やグループ制の導入など組織改革の成果の一つとして各振興局からの提案事業など、新しい仕組みと発想による新規施策についても積極的に推進することとしております。
 まず初めに緑の雇用事業についてでございますが、これまでさまざまな機会をとらえ、恒久化対策について政策提言を行ってまいりましたが、このたび国において雇用のセーフティーネットとしての実効性と緊急性が評価され、平成十五年度当初予算で概算要求していた緑の雇用担い手育成対策事業を補正予算に前倒しして九十五億円が予算措置されるなど、関係省庁にまたがる総合的な成果を得ることができました。具体的には、緊急雇用対策における森林整備事業で雇用・就業期間の更新が認められ、緊急雇用対策で一年間の雇用が、また緑の雇用担い手育成対策で一年間の雇用・研修が実現できることとなり、あわせて平成十五年度当初予算では、担い手育成対策を補完するための新たな地方財政措置が講じられることとなりました。これらの総合的な国の施策は、緑の雇用事業が全国規模で必要とされていることが認められた結果と受けとめております。県におきましては、各地域への定住を図る住宅整備を大胆に進めるとともに、関連する事業を幅広く展開し、地域の活性化を図ってまいります。
 緑の雇用事業は、環境保全による新たな雇用のセーフティーネットという役割だけではなく、都市から地方への人口流動を通して都市と地方の相互理解を進め、日本人の新しい生き方を提案する施策だと考えております。そのため、今後とも県内市町村や関係都道府県と協力して緑の雇用事業の輪を広げていくとともに、企業等との連携により新たな事業展開を図るなど全国に向けて情報発信を行い、さらに大きなうねりにつなげてまいりたいと考えております。
 次に、産業・雇用対策についてでございます。
 厳しい経済情勢の中、県内産業の活性化を図っていくためには、首都圏や中国市場などの大市場をターゲットとした優良県産品のマーケティング戦略が重要であり、昨年度から積極的に取り組んできたところでございますが、本年度はこれを一層進め、民間企業の協力による首都圏での店舗網を活用したソフトアンテナショップの展開や商談会の実施など、幅広く販路開拓活動を行ってまいります。また、繊維産業の活性化を図るため、産地組合や企業グループが行う中国市場進出など販路開拓に向けたやる気のある積極的な取り組みをサポートしてまいります。さらに、有望な市場として期待される中国市場への県内事業者の進出を支援するため、本県と友好提携を結んでおります山東省との間で企業間協議会を開催するとともに、上海に他県との共同による活動拠点を新たに設置いたします。
 県経済の自立を促進し、持続的、安定的な成長へとつなげていくためには、中長期的視点に立った産業育成対策が必要であります。このため、国内外において産業競争力を有する高付加価値型産業を育成、支援するという観点から、昨年度に設置いたしました企業ソムリエ委員会において選定された企業に対し、直接投資を行う投資事業有限責任組合を創設するとともに、マーケティングや技術開発サポートを積極的に展開してまいります。
 さらに、県外からの新たな産業立地にも積極的に取り組んでまいります。昨年は三社の企業進出協定を締結いたしましたが、今後ともIHS構想の具体化に向けたITビジネスモデル地区指定への取り組みやソフトウエア産業の集積促進を初め、本県各地の地域ポテンシャルを生かした企業立地を進めるため、民間企業のノウハウを取り入れた効果的な誘致活動を積極的に展開してまいります。
 伝統的工芸品産業の分野における新たな試みとして、緊急雇用創出特別基金の活用により伝統技術・技法の継承、後継者の確保に努めるとともに、伝統工芸品の魅力をPRする体験教室の実施など産地の積極的な取り組みを支援してまいります。
 また、今後も厳しい経済情勢が見込まれる中で、中小企業の需要に対してより一層きめ細やかな対応を図るため、緊急経済対策資金や小企業者向け融資を拡充し、資金需要に的確に対応するとともに、信用保証協会の経営基盤の強化を図るなど、金融支援の拡充を一層推し進めてまいります。
 なお、本年度からの新しい取り組みとして、公共事業の経済効果をより一層高めるため、部局を横断して公共工事における県産品の活用促進に取り組むこととし、県産品を活用した新工法や新製品を公共工事に広く普及させるためのパイロット事業を実施してまいります。
 一方、雇用対策につきましても、雇用失業情勢が厳しさを増す中、緊急雇用創出特別基金の積極的な活用により、雇用のセーフティーネットの充実を図るとともに、新規卒業予定者や若年未就職者のスキルアップなど就職に必要な能力を向上させるため、民間のノウハウを活用した就職活動パワーアップセミナーを実施し、円滑な就職活動が行われるよう支援してまいります。また、企業に対する求人開拓等を積極的に行い、潜在化している求人ニーズを顕在化させ、雇用の拡大を図ってまいります。
 農林水産業の活性化につきましては、農村に対して新鮮、安全・安心な農産物の供給や自然体験の場としての期待が高まる中で、都市農村交流活動を通じた新たな販路開拓やアグリビジネス化を目指す意欲的な農家組織等を市町村と連携を図りながら育成、支援し、地域活性化を促進いたします。
 また、農業の生産基盤の整備や流通加工施設の充実を図り、産地の体質強化に努めるとともに、本県の基幹作物である温州ミカンの高品質生産を拡大するため、周年マルチ栽培の推進に取り組んでまいります。
 さらに、本県の持つすばらしい海岸線や地域の水産資源を活用して、都市との交流を図ろうと昨年度からスタートしました海遊モデル事業につきましては、本年度は実施漁協をふやし、交流の輪をさらに拡大させるとともに、本県内陸部の都市近郊住民を水産振興モニターとして登録し、沿岸漁村との新しい交流の流れを創造する取り組みにも着手いたします。
 次に、観光振興についてでございます。
 新しい個性と魅力を持った活力ある和歌山を創造していくため、昨年度から本県の貴重な財産である豊かな歴史・文化、自然を活用した新しい観光戦略に取り組んでいるところでございます。世界遺産登録を目前に控え、観光客の誘致に向け、さらなるステップアップを図る必要がございます。本年を二十一世紀型の観光立県を目指した飛躍の年とし、世界遺産登録に向けて首都圏対策の強化など、戦略的な事業を和歌山型観光として積極的に展開してまいります。東京観光センターをミニアンテナショップとしてオープンさせ、首都圏における人と物の情報交流・発受信拠点の場とするとともに、高野・熊野や温泉など本県の魅力を大都市で情報発信することに加え、世界遺産登録に合わせた県、市町村、民間事業者、JR六社が一体となって実施するデスティネーションキャンペーンを行うための体制整備を行ってまいります。また、台湾、韓国、香港そして中国本土を中心に国際的な観光客の誘致についても積極的に推進してまいります。さらに、県内各地域で行っている体験メニューの整備に加えて、自然環境の保全を図るエコツーリズムや「懐かしの郷」づくりなどの和歌山らしい自然、歴史・文化を生かした観光の振興に努めてまいります。
 次に、安全・安心な県民生活の確保についてでございます。
 食品の偽装表示や農産物の残留農薬問題が全国的に発生し、消費者の食に対する関心が高まっております。このため、生産から消費に至るまでの食品の安全性を確立させるため、総合的な食品の安全衛生対策に関する企画立案を行う機関として食品安全推進委員会を設置し、消費者の立場に立った食品の安全推進基本方針を策定いたします。具体的には、食品の製造、流通過程における衛生指導や自主管理体制の強化などを行ってまいります。また、消費者を対象に正しい食品の表示や安全な農産物の生産現場を理解していただくため、表示制度等に関する食の講座等を開催してまいります。さらに、消費者と生産者が顔の見える信頼関係を築くため、いつ、どこで、だれが、どのような方法で生産したのかという情報提供を行うトレーサビリティーシステムを構築し、和歌山発のほんまもん農産物として全国の消費者に供給してまいりたいと考えております。
 次に防災対策についてでございますが、本年六月に予定されている東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の施行、及び昨年十二月の東南海・南海地震等に関する専門調査会の審議結果等を踏まえ、二十一世紀前半での発生が予想されている東南海・南海地震に備えた防災対策を積極的に進めてまいりたいと考えております。このため、各部局が地震防災対策を進める上での行動指針を策定するほか、被害想定の見直し、特別措置法を推進するための推進計画書の作成、シンポジウムや県民講座を開催することといたしております。また、建設を予定しております防災センターの整備の一環として、県、市町村、防災関係機関が把握しているさまざまな防災情報の一元化、高度化、共有化を図るための総合防災情報システムや衛星系無線等の基本設計に着手いたします。
 次に治安の強化についてでございますが、昨年度に引き続き警察官の大幅な増員による人的基盤の強化を図るとともに、街頭犯罪抑止対策を中心とする機動遊撃隊の編成、交番相談員等の増員による警察官の街頭活動強化など、県民が安心して暮らせる生活環境の確保に努めてまいります。
 なお、和歌山東警察署における留置室等の不足を解消するため、別館の新築整備を行うことといたしております。
 次にBSE対策についてでございますが、先般の県内BSE発生を受け、直ちに対策本部を設置し、正確な情報の把握、提供を行うとともに、風評被害等の防止に努めてきたところでございます。すべての牛に対してBSE検査が確実に行われ、安全な牛肉しか流通しないという県民の皆様の正しいご理解と冷静な対応のもと、現在に至っております。今後とも、生産農家や流通業者等への支援対策を実施するとともに、県民の皆様の不安払拭と信頼確保を図るための消費者対策の強化など、関係者が一体となったBSE対策に万全を期して取り組んでまいります。
 次に、環境問題への対応についてでございます。
 地球温暖化防止を進めるため、環境を保全する緑の雇用事業に加え、本年度におきましては、温室効果ガスの排出抑制対策と森林吸収対策を車の両輪として一層積極的に取り組むことといたしております。
 まず、排出抑制対策につきましては、家庭や職場における省エネルギー、省資源活動を広げていくため、NPO、子供たち、先進的な企業などによる先駆的、モデル的な取り組みを進め、その成果を地域に広げてまいります。また森林吸収対策として、二酸化炭素吸収に効果的な環境林を整備することができるよう環境部門及び農林水産部門の研究機関と和歌山大学との共同研究を行ってまいります。さらに、教育委員会との連携により、環境教育に携わる人材の育成や環境学習プログラムの作成を行い、環境立県を目指し、本県や地球の環境を守る意識の高い子供たちの育成を図ってまいります。
 廃棄物対策につきましては、平成二十二年度を目標とする廃棄物処理計画を推進するとともに、公共関与も含めた適正な廃棄物処理のあり方を事業者、市町村及び県による協議会で具体的に検討してまいります。また、資源を循環的に活用し、環境産業の育成を図るため、本県独自のリサイクル製品認定制度を創設いたします。生活排水対策につきましても、市町村が行う浄化槽整備事業に対し、新たに支援制度を設け、積極的に取り組んでまいります。
 次に、福祉・保健・医療の充実についてでございます。
 少子高齢化の進展や核家族化の定着により、家庭や地域の相互扶助機能が弱体化している昨今、高齢者や障害者の自立と社会参加を促進し、地域で生き生きとした生活を送れるようにするためには、地域住民の福祉意識を醸成し、住民参加による支え合い、助け合いのふるさとづくりを進めていかなければなりません。このため、地域福祉支援計画の策定を進め、県として地域福祉の理念を広く啓発してまいります。
 また、地域における子育て支援体制の充実を図るため、子育てサポーターの育成、親子の交流の場や児童虐待防止ネットワークづくりの推進を初め、夏休み中に障害児の社会参加活動事業を実施している自主グループへの支援を行うとともに、子育て情報を一元化して市町村等住民の身近なところで情報を提供してまいります。
 なお、医療・健康面からの安心して子供を生み育てる環境づくり施策といたしまして、小児科のある病院が輪番制により休日、夜間の小児救急患者の受け入れを行う小児救急医療体制の充実を図るとともに、小さな子供を持つ保護者の方にわかりやすい感染症流行情報を迅速に提供することで感染予防を促し、感染症の蔓延を防ぐ感染症情報システムを構築してまいります。
 次に、高齢者の生きがいと健康づくりはもちろん、その能力を生かした社会参加活動を支援し、介護予防のための事業を重点的に実施していくとともに、在宅介護支援センターの充実など、地域全体におけるケア体制の向上に努めてまいります。
 なお、介護保険制度の運営のかなめであるケアマネジャーの活動を支援し、良質な介護サービスを実現するため、ケアマネジャーサポートセンターを設置し、相談体制の充実や専門的な研修を行ってまいります。
 また、平成十五年度は障害者の自己選択、自己決定を尊重する支援費制度が始まる重要な年度でありますので、ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービスの在宅三事業のほか、グループホームの整備等、地域における自立支援策を一層充実させてまいります。
 さらに、従来の盲導犬に加え、介助犬、聴導犬を給付するほか、障害者福祉施設での魅力ある製品づくりや販売先の開拓等を支援するなど、障害者の社会参加と自立を促進してまいります。
 次に、ITわかやまの推進についてでございます。
 昨年、総務省よりIT関連ビジネス集積に関する魅力的な環境の先行的実現を図るITビジネスモデル地区構想が発表されたところであり、本県といたしましてはIHS構想や平成十六年春の開所に向けて整備を進めておりますIT総合センターを核としたリゾート型のITビジネスモデルを打ち出し、白浜・田辺地域の平成十五年度の指定に向け活発に働きかけを行ってきたところでございます。
 去る二月八日、片山総務大臣が来県された際に、IT総合センターの建設地やIHS構想による誘致企業をご視察いただき、本県のリゾート型ITビジネス集積に向けた取り組みについて高い評価をいただいたところでございます。あわせて同日、片山大臣より平成十六年度の全国マルチメディア祭が本県で開催されることが発表されました。今後は、平成十五年度のITビジネスモデル地区の指定に向けて、地元市町村、産業界及び大学と一体となってITビジネス環境の整備に関する諸施策を強力に推進するとともに、その中核となるIT総合センターの建設や全国マルチメディア祭の開催など和歌山モデルのIT推進に積極的に取り組んでまいります。
 また、地域的なデジタルデバイドの解消を図るため、過疎地域のADSL網整備を促進する新たな支援制度を創設するとともに、携帯電話の通話エリア拡大についても引き続き取り組むなど総合的な施策を展開してまいります。
 さらに、IT革命の進展に伴い、高度化、多様化する県民ニーズに対応するとともに、ITを活用した行政運営の簡素効率化を図るため、県民がインターネット上で行政手続を行う窓口となる電子申請受け付けシステムや税務申告システム、電子入札・調達システム等の整備に取り組んでまいります。
 次に、教育、スポーツの振興についてでございます。
 昨年度より小中学校において新しい学習指導要領が実施され、基礎的、基本的な内容の確実な定着や個性を生かす教育を充実させるため、学校や児童生徒の実態に応じた指導体制の工夫改善や個に応じた教育指導を展開していくことが求められております。そのため、県内すべての小中学校における学力の実態を調査する学力診断プログラム事業の実施や小学校第一学年において学級編制を弾力化し、三十五人以下で編制するなどの少人数学級を取り入れることで、課題を明らかにし、検証するとともに、本県の教育をより充実発展させてまいります。
 また、現在、英語教育のあり方が課題となっていることから、小学校から話せる英語教育を取り入れ、外国人講師を指導した小中一貫の英会話学習を行い、進んで英語が使える子供を育ててまいりたいと考えております。
 なお、児童生徒一人一人が環境に関する理解と知識を深め、また環境を守り育てる態度や能力を身につけることができるよう和歌山県独自の学校版ISO基準を作成し、学校における環境教育、環境保全にも積極的に取り組んでまいります。
 次に、本年七月には、ヨットレースのアメリカズカップ連続優勝チームのキャプテンであり、世界的に著名なヨットマンのラッセル・クーツ氏を招聘し、和歌浦湾を中心にヨットレースなど多彩なイベントを通じ、和歌山の魅力を国内外に広くPRしてまいります。
 また、本年で三回目を迎える、生きがいのある社会の形成と健全な心身の維持向上を目的としたスポーツの祭典である日本スポーツマスターズ二〇〇三和歌山大会を本年九月に開催いたしますが、生涯スポーツの普及・振興とともに、本県の観光振興にも大いに役立つものと期待しているところでございます。
 次に、文化の振興についてでございます。
 本県は、美しい自然に恵まれ、高野山や熊野古道を初め国内外に誇れる歴史文化資源が多数存在するとともに、すぐれた人材が数多く輩出されております。私は、こうした本県固有の財産を積極的に活用することにより、文化の一層の振興を図り、心の豊かさが実感できる文化の薫り高い和歌山県の実現に向け積極的に取り組んでまいります。
 まず世界遺産登録についてでございますが、去る一月二十七日、ユネスコ世界遺産センターに対し紀伊山地の霊場と参詣道の推薦書が提出されたところでございます。本年度中にも国際的な専門機関による現地調査が行われることから、これを機に世界遺産登録を確実なものにしていきたいと考えております。
 また、緑の山々と豊かな水に恵まれた紀の川流域には貴重な文化遺産が数多く残されております。これらの文化遺産の保存整備を行うとともに、拠点施設として根来寺内にある旧県議会議事堂を整備・活用することで、紀の川流域の文化施設、観光施設、経済施設等を一体とした面でとらえ、本流域の歴史・文化・観光を県内外に強くアピールし、紀北地区の経済効果をも見据えた紀ノ川緑の歴史回廊事業を展開してまいります。こうした取り組みの一環として、植物公園緑花センターをより多くの方々にとって利用しやすい施設とするため、駐車場の使用料を無料化いたします。
 県文化表彰創設四十周年を記念し、歴代受賞者の作品展や演奏会などを開催するとともに、県民の方々が質の高いクラシック音楽を気軽に楽しめる機会を提供するなど、文化振興事業に積極的に取り組んでまいります。
 また、県立図書館を県の中核図書館として蔵書の充実に努めるとともに、インターネットを活用したサービスが実施できる情報環境を整備するほか、県立近代美術館や県立博物館に音声ガイドシステムを導入し、県民の方々がより利用しやすい施設として充実してまいります。
 次に、県政の構造改革についてでございます。
 私は、改革の県政を一層推進するため、本年度におきましても思い切った組織・機構の見直しや制度改革について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 まず、現在検討を進めている平成十五年度の機構改革に当たりましては、効率的な組織の構築はもちろん、責任の明確化、意思決定ラインの簡素化を図るとともに、新たな行政需要に組織構造的に取り組む体制を整備いたします。具体的には、すべての部に局制を導入し、効率的で責任体制の明確な組織の構築を図ってまいります。また、道路整備事業のほか、農業集落排水事業などの下水道関連事業に関する部門を一元化するとともに、組織横断的課題に取り組む体制として、食の安全や県産品のブランド化、販路の開拓拡大を担当する局などを設置したいと考えております。あわせて、これらの新たな組織体制が十分機能するよう、人事異動につきましても、従来の観念にとらわれることなく、部局や専門分野の壁を超えた交流人事を積極的に行い、職員の意識改革を進めてまいります。
 制度改革への取り組みといたしましては、公共事業において一層の効率性、透明性を確保するため、公共事業実施前に事業の必要性や効果等を評価し、効率的かつ効果的な事業執行を行うための公共事業事前評価システムの構築に取り組んでまいります。また、その事業の決定プロセスを公表することにより、県民への説明責任を果たし、透明性のある公共事業を目指してまいります。
 次に、昨年、私が呼びかけを行い、十五道県による共同提言をいたしました地域の実情に合った道づくりについてでございますが、国の道路整備における補助事業について、地方道の採択基準の一部が見直されたところでございます。この成果を受け、本年度では二路線三カ所において取り組んでまいりたいと考えております。単独事業につきましても、大幅なコスト縮減により整備区間の延伸を図り、効果の早期発展を目指してまいります。
 また林道整備におきましても、基盤整備の促進や紀州材の生産コストのより一層の縮減を図る観点から、林道の幅員など規格構造の見直しによる整備コストの縮減に努め、紀州「木の国」緑の道づくり事業として、和歌山方式による新たな林道整備に取り組むとともに、国に対し公共事業の採択基準の見直しについて働きかけてまいります。
 次に、高野龍神スカイラインについてでございます。
 昭和五十五年の供用開始以来、県道路公社が管理運営を行ってまいりましたが、本年十月一日から無料開放いたします。これにより、世界遺産登録に推薦されておりますこの地域を中心として、産業や観光振興など地域のさらなる発展に寄与できるものと考えております。
 次に、市町村合併についてでございます。
 市町村合併は、まさに二十一世紀の地方自治の姿を決めていくものであり、市町村や地域住民はもとより、国、都道府県が一体となって取り組んでいくことが不可欠であると考えております。平成十七年三月末の合併特例法の法期限を踏まえますと、法定協議会を早期に設置し、一日でも早く具体的かつ本格的な合併協議を進める必要があると考えております。県といたしましては、昨年十月に策定した和歌山県市町村合併支援プランによるさまざまな支援とともに、合併後の市町村に対する新たな支援策の創設に向けた取り組みを行うなど、合併協議をより一層積極的に促進してまいります。
 次に、県立の試験研究機関の活性化を図るとともに、県内の新しい産業を育成するための技術開発に資するため、本年度から試験研究機関が実施する研究テーマの選定方法等について新しい手法を取り入れることといたしました。まず、テーマの選定に当たっては、外部有識者による事前評価を行い、また選定されたテーマについての財源確保と重点的な予算配分を行うため、新たな基金を創設いたします。こうした新しい手法により研究機関の職員のやる気を喚起するとともに、研究テーマの客観性と実利性を確保しながら、実践的かつ将来性のある研究を推進してまいりたいと考えております。
 さらに、本年度の新たな取り組みとして、県民文化会館、ビッグホエール、ビッグ愛について、管理受託者の自助努力による一層の経費節減や効率的な管理運営を促進するため利用料金制を導入いたします。施設の利用料金を管理受託者の収入とすることで自主財源が確保されるとともに、管理受託者の顧客志向、コスト意識の醸成が図られることとなり、県民サービスの向上や施設のより一層の有効活用につながるものと大いに期待しているところでございます。今後とも、二十一世紀型の新しい社会システムづくりを目指し、県政の構造改革に積極的に取り組み、県民の方々が将来に夢と希望の持てる和歌山の創造に努めてまいります。
 以上が、当初予算の主な内容でございます。
 次に、国の補正予算への対応についてでございます。
 今般、国において構造改革の取り組みへのさらなる政策強化を図るため、民間需要の誘発効果や雇用の創出効果が特に高く、経済への即効性が見込まれる施策を中心に補正予算が編成されたところでございます。県といたしましても、現下の厳しい経済・雇用情勢に的確に対応するため、公共事業や福祉施策を初め緊急雇用創出特別基金の積み立てなどを内容とした補正予算を当初予算とあわせて編成し、十三カ月予算として事業の切れ目ない執行に配慮したところでございます。
 なお、景気対策以外の補正予算につきましては、整い次第ご提案申し上げることといたしております。
 続きまして、条例案件等について、その主なものをご説明申し上げます。
 議案第二十六号は、事務事業の整理合理化、事務改善等により知事部局の職員定数について、議案第五十九号は、児童生徒数及び学級数の減少に伴い県立学校等職員の定数について、それぞれ削減し、定数を改めるものでございます。
 議案第二十七号は、財政状況を考慮して知事等の給料を減額するものであり、議案第二十八号、第六十号、第六十一号、第六十三号については、同じく財政状況を考慮して職員、教育職員、市町村立学校職員、警察職員について給料月額を減ずるとともに、昇給停止年齢を引き下げるものでございます。
 議案第三十三号は、機構改革に伴い部の名称を変更するものであり、議案第三十七号は、和歌山県印刷事業特別会計を廃止するためのものでございます。
 議案第四十七号は、国民健康保険事業運営の広域化を行う保険者の保険料の平準化等を支援するための基金を創設するものでございます。
 議案第五十三号は、和歌山マリーナの駐車場の使用料の額を改定するものであり、議案第五十四号は、日高港において新たに供用を開始する港湾施設の一部を美浜町に管理委託するとともに、和歌山下津港で供用を開始する荷さばき施設の使用料の額を定めるものでございます。
 議案第五十七号は、県営住宅芝崎団地を廃止するものであり、議案第六十五号は、和歌山県植物公園緑花センターの駐車場を無料化するとともに、県立近代美術館及び県立博物館において音声解説機器を設置することに伴う使用料の額等を定めるものでございます。
 議案第六十六号及び第六十七号は建設事業施行に伴う市町村負担金について、議案第六十九号は包括外部監査契約について、議案第七十号は訴訟の提起について、議案第七十一号は財産の無償貸し付けについて、議案第七十二号は権利の放棄について、議案第七十三号及び第七十四号は高野龍神スカイラインの無料開放についての同意等について、議案第七十五号から第七十七号までは工事請負契約等の締結について、それぞれ議決をお願いするものでございます。
 また、諸報第一号は地方自治法第百八十条第一項の規定による委任専決処分報告でございます。
 このほか、法人の経営状況を説明する書類を別途提出いたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 お諮りいたします。二月十七日は議案調査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) ご異議なしと認めます。よって、二月十七日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は二月十八日定刻より再開し、補正予算及び同関連議案、議案第二十号、議案第二十一号及び議案第六十七号を日程といたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午前十一時五十分散会

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