平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(江上柳助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十一番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。
 ただいま、議長のお許しをいただきました。通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。
 その前に、過日、和歌山地方裁判所におきまして、今から四年七カ月前、平成十年の七月に起きましたカレー毒物混入事件におきまして林真須美被告・容疑者が極刑・死刑の判決を受けました。私は当時、市議会議員でございまして、この事件を聞くや否や現場に駆けつけまして、被害に遭われた皆様方のお見舞い、さらには激励に駆けつけた一人でございます。そして、捜査当局は懸命にこの捜査をなされておりました。夏祭り現場の付近を流れる川におきましては、潜水服に身を包んで捜査に当たられておりました。非常に私は感慨深いものを覚えるわけでございます。
 そして、市議会議員として市議会におきましては、この健康危機体制、厚生省におきましては健康危機管理マニュアルは庁内として作成はされておりましたが、まだ具体的には都道府県において指針は出されておりませんでした。そういうことを考えるにつけ、非常に感慨深いものを覚えるわけでございます。
 今日におきましては、県当局におきましても健康管理指針も作成されております。どうかこの機会にもう一度、総点検をされまして、そしてまた、かかることのなきよう十分な体制をとっていただくことを強く要望させていただきますとともに、犠牲になられた四人の方々に哀悼の誠をささげ、そして健康被害に今日苦しむ六十四人の皆様の平癒を心から願うものでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、一般質問に入らせていただきます。限られた時間での質問でございます。どうか答弁は明快かつ簡潔にお願いいたします。
 最初に、平成十五年度予算編成についてお尋ねいたします。
 知事は十二月定例会での趣旨説明の中で、平成十五年度予算編成の基本方針、基本的な考え方について、経済の活性化、新ふるさと創りの推進、防災関連、市町村合併など、既存事業を根底から見直し、予算の思い切った重点配分により歳出構造を課題解決型に変革する、また、弾力的な財政構造を確立するため財政の健全化に積極的に取り組んでまいりたい、こうした取り組みをより確実なものにするため、全事業についてシーリングを撤廃し、予算編成段階における機械的な一律カットの弊害をなくすとともに、各部局の優先順位に基づく重点的、弾力的な予算要求が行われるよう要求システムの思い切った見直しを行ったところでありますと述べられております。
 緊急の懸案事項について着実に課題解決に向けて対応することは重要であり、一定の評価をするものであります。しかしながら、財政運営プログラムでは、平成十二年度から行革大綱の最終年度であります平成十五年度までの四年間を特に財政健全化期間と位置づけ、収支不均衡の解消に積極的に取り組むとし、すべての事業にシーリングが設定されております。この財政運営プログラムとの関係はどのようになるのか、今後の財政運営とあわせ、知事のご所見を承りたいと思います。
 次に、総合予算主義と通年予算主義についてお尋ねいたします。一昨日も、このテーマにつきまして質問もございました。少し角度を変えて質問をさせていただきたいと思います。
 知事は趣旨説明要旨の中で、予算編成や執行に当たっては年間総合予算主義から通年予算主義の考え方に改めると述べられております。そして、この通年予算主義によって年度内に発生する事業の新規改廃などの需要に弾力的に対応することができるとされております。これまでの補正は、六月定例議会ではほとんど行わず、十二月議会はほとんど災害復旧、人件費のみでありましたが、通年予算では年度途中でも状況変化に応じて補正も実施されると言われております。地方自治法上、また地方財政法上、これまでの年間総合予算主義であっても補正予算編成など年度途中における状況変化への臨機応変の対応は私は十分可能であったと考えるわけでございます。なぜ今、通年予算主義に改めるのか、その本質について知事にお尋ねしたいと思います。
 次に、本県と和歌山市との協調・協力関係についてお尋ねいたします。
 本年八月二十五日執行の和歌山市長選挙で、大橋建一市長が誕生いたしました。当選後の和歌山市議会の緊急質問で県市協調について、「過去歴代市長もその必要性を言われていますが、いつの間にか県との主従関係へと変わっているような感がある。一例を挙げると、世界リゾート博事業に際して、当初、本市(和歌山市)が負担すべき費用がたび重なる事業費の増額等で最終的には百二十億円という多額の費用負担を強いられている。県との関係について共生できる関係を構築されたい」という市議会での質問でございました。これに対して大橋市長は答弁の中で、「本市(和歌山市)の発展を図っていくためには県と互いに協調・協力していくことが必要であると考えていますが、しかし、これまでの県・市の関係は、議員ご指摘のように、どちらかといえば県の要請を受けて市が相当の負担をしてきた場合もあったことは否めません。県との関係について、上下の関係ではなく、あくまでも対等の関係でなければならないと思っていますので、県市間の信頼関係を築き、その上に立って本市のために主張すべきことはしっかり主張してまいりたい」と、大橋建一市長は答弁されております。
 県都和歌山市は、申すまでもなく中核都市でございます。一方で、中心市街地の活性化や生活関連道路の整備、経済・雇用対策、財政の硬直化など、多くの懸案事項を抱えております。政治、行政、経済、教育、歴史的、文化的に見ても、本県と和歌山市との協調・協力関係を構築していかなければならないと思うわけであります。本県と和歌山市との協調・協力関係について、知事の基本的なお考えをお聞かせください。
 この際、知事は和歌山市長と会って和歌山市との協力関係について話し合いをされたらどうでしょうか。いかがでございましょう。
 次に、食と緑の工場特区構想についてお尋ねいたします。
 地域特性を生かした和歌山らしい特区構想として緑の経済特区を提案し、コスモパーク加太については食と緑の工場特区構想と位置づけ、その中で民間資本の活用によるトマトの生産を通して雇用の確保と地域の振興を図ることとされております。景気低迷により来春卒業予定の県内高校生の就職内定率、求人数とも過去最低であります。カゴメの進出は、本県での雇用情勢が大変に厳しい状況の中での雇用の確保、また県有地の活用という面や民間活力導入という観点においても画期的な計画であろうと評価するものであります。この計画について、和歌山県民、市民は大いなる期待を寄せているところであります。
 一方で、県内トマト生産農家を圧迫するとの一部の議論もあります。現在、健康ブームと相まってトマトの消費量は年々増加しております。西洋には「トマトが赤くなれば医者が青くなる」とか、「トマトのある家には骨病なし」ということわざがあります。トマトの薬効について、健脳──脳が健康になるという意味だそうでございます──胃腸病、肝臓病、糖尿、心臓病、動脈硬化、高血圧症、貧血症などに効き、肌荒れを防ぎ、疲労回復にもよく、肉食の消化を助け、利尿を促すなどと記したものが多くあります。
 食用作物の中でトマトがどの程度の順位にあるかを見ますと、世界の順位を見ますと日本国内の順位となぜか符合いたしまして、ぴったり一緒でございまして、第十二位でございます。しかし、野菜の仲間では世界では第一位であります。日本の野菜の順位では第六位に甘んじております。これは、食用作物というのは米とか麦とかが入ってまいります。野菜では世界では一位、日本では第六位と、欧米のようにトマトを煮炊きして利用する料理が今後増加していけば消費量は一段と進むことを示唆しております。
 トマトの原産地はペルーとボリビアにまたがるアンデス高地と言われております。世界じゅうに八千種の種子があり、このうちカゴメは六千五百品種の種子を持っているそうであります。トマトの皮のかたいものは大手パン業者のサンドイッチ。サンドイッチにしますと、やわらかいトマトですとつぶれますから、皮のかたいトマトはサンドイッチ用。また、大きいもの、小さいプチトマト、赤いもの、白いもの、青いもの、黄色いもの、いろんな品種があるわけでございます。私は、トマト生産農業とカゴメとのすみ分け、特性を生かした共存共栄は可能であると考えるものであります。
 これに加え、本県の代表的な農業生産物としては、ミカン、カキ、桃、梅といったものがあります。トマトは、太陽光線の豊富な地域がふるさとであります。とりわけ、光線が好きな食物であります。日照時間の長い本県は、トマトにとって最適地であると言えるわけでございます。日照時間の長さは本県は全国で第四位、しかも、コスモパーク加太の高台ですと、一方は海に面し、そして障害物がないわけで、非常に日照時間もよろしい、日当たりもいいわけで、これは本県全体もそのことは言えると思います。
 したがって、トマト生産農業の振興とあわせ、消費者ニーズにこたえた安全で、また安心できるおいしいトマトを和歌山ブランドとして売り出していくことによって、本県農業の活性化にとって大きなインパクトになると考えるものであります。ぜひともこの計画を成功させていきたいものであります。
 グリーンハウスによるトマト養液栽培に欠かせないものは、何といっても良好な水と下水処理であります。コスモパーク加太には、工業用水はありません。また、この地域は市街化調整区域でありますから、公共下水道は利用できないわけであります。この工水と下水処理の問題を解決していかなければなりません。これらはすべて和歌山市の事業であります。県の食と緑の工場特区構想であっても、雇用の確保、経済の活性化といった面でその恩恵の多くは和歌山市民が受けるわけであります。私は、この事業は県・市間でプロジェクトを編成するくらいの決意をもって県市協調で取り組むべきだと考えます。知事のご見解を承りたいと思います。
 次に、食と緑の工場特区構想に関連した産業の誘致についてお尋ねいたします。
 私は一昨年十二月の定例会本会議において、旧白浜空港跡地を家庭で栽培しにくいベゴニアなどの世界的に珍しい美しい花の温室栽培施設を備えた自然公園として県民の交流広場にしたらどうかと質問いたしました。知事の答弁では、私の提案を検討してまいりたいということでございました。現在、具体的には進んでないようでございます。このことをどうこう言おうというつもりではないんですけれども、実は本年の十一月九日、三重県桑名郡長島町にあります豊かな自然と多彩な施設が調和した広大なオアシス「なばなの里」を見学してまいりました。そこには大温室「アンデスの花園 ベゴニアガーデン」があり、一年じゅうけんらんたる花々が栽培・展示されておりました。
 余りにも美しいベゴニアガーデンでございました。非常に厳しい情勢の中での議論も続いておりますので、きょうはちょっと、きれいなお花をひとつご提示させていただきたいと思います。(写真を示す)これが、ベゴニアガーデンでございます。さらには、こういうものですね。これは家庭ではほとんど栽培できない品種です。それから、こういうものとか、大変美しく、入場された方も感嘆をされておりました。ちょっと知事にも。(写真を手渡す)
 トマトの原産地は、先ほど申し上げたようにアンデス高地です。どういうわけか、このベゴニアも、ふるさとはアンデスなんですね。私、何かこうトマトと共通性があるような感がいたしました。ベゴニアガーデン施設をコスモパーク加太に誘致されたらどうかと思うわけでございます。
 また、カゴメ進出に伴って、トマト料理を基本とした、今の県内、また和歌山市もそうですが、若者が集まる場所というのがほとんどございません。そういう若者の集まるレストランの開設やトマトケチャップ、トマトジュース工場などの誘致が実現するならば、大変経済情勢が厳しい中、地域経済の活性化にとって大きく寄与するものと期待するものであります。コスモパーク加太に緑の経済特区としてこのような関連産業を民間活力で誘致したらどうかと考えます。ご見解を承りたいと思います。
 次に、ドクターヘリ事業についてお尋ねいたします。
 いよいよ本年一月から、県立医科大学病院においてドクターヘリ事業が開始されます。私は、一昨年の十二月定例本会議において初めてドクターヘリの導入を提唱させていただきました。その後、先輩議員の下川議員初め多くの先輩・同僚議員から、本県のような半島地域における患者の救命率向上への有効性からドクターヘリの早期導入をめぐる議論がなされました。本県の紀中・紀南部では、交通事故や急病のため救急車で地元の病院に運ばれた患者が手に負えないと判断をされまして、同じ救急車で二時間以上かけて和歌山市内の高度医療機関へ転送される例が珍しくないそうであります。近畿で初めてのドクターヘリ事業に、県民を初め共同運航される奈良・三重県民は大いなる期待を寄せております。今日までこの事業を推進してきた一人として、感慨深いものがあります。ドクターヘリ導入にご尽力をされました知事を初め関係者の皆様に、深く敬意を表するものであります。ぜひともこのドクターヘリ事業を成功させていきたいものであります。
 医師、看護師が同乗して救急患者を搬送するドクターヘリは、最も安全性、機動性が要求され、またそれを担保することが重要であることは申すまでもございません。県立医科大学病院では、ドクターヘリの運航委託にかかわる業者選定についてはドクターヘリ運航事業審査委員会を設置してコンペ方式で業者を選定されました。業者選定は、ドクターヘリの運営は適正に行われることが見込まれること、及び委託契約額が他社と比較して安価であったことを総合的に判断されたようであります。現時点でドクターヘリ──現時点と申しますのは、この選定のときでございます。このコンペで選定した当時は一機しか保有してなかった、こういう会社でございました。予備機調達が果たして履行可能かどうか、そして機動性、安全性をどのように確保するお考えか、また和歌山県、奈良県、三重県でのドクターヘリの共同運航でありますが、その運航体制はどのようになるのか、さらに今後の課題は何か、お伺いいたします。
 最後になりました。文化財の修復、再建を通じての紀州材の活用についてお尋ねいたします。
 林野庁では、文化財など伝統的な木造建造の修復に使う木材が不足することに備えまして、国有林にヒノキの苗木を植え、約四百年間伐採せずに巨木の森に育てる「古事の森」事業を始めると聞き及んでおります。文化庁によりますと、国内には現在、国宝、重要文化財に指定されております木造建造物が京都、奈良など計三千三百四十五棟あり、解体して組み立て直す大規模な修理は百年から五百年ごとに必要になります。
 国宝や重要文化財に指定されている木造建築の修復は、種類や大きさなどが同じ木材を使うのが原則であります。例えば、文化財の山門などで光の当たる場所にある木は、その山の光の当たるところに植えられた木でなければ使えない。また、光の当たらないところで山門などで置かれている木は、光の当たらないところで育った木しか使えない、こういうふうになっているようでございまして、本県のように史跡、文化財の多い県では今からその対策を講じる必要があると思うわけであります。
 また、全国にある文化財の木造建築物の修復、再建に紀州材の活用を積極的にアピールし提唱されたらどうかと考えます。
 実は、この議論につきましては本年の六月二日に国会の農林水産委員会の方で議論されておりまして、要するに国家プロジェクトとしてこれを取り組むべきだと。確かにこれ、国有林ということが林野庁の方針でありますけれども、和歌山県は民有林が非常に多いわけですね。しかし、後世代への遺産として、これはしっかり残していくべきである。そういった意味で、まだ今議論が始まったばかりかもわかりませんけれども、こうした取り組みというのが非常に重要である。
 そしてまた、このことによって内需の拡大、林業の振興、さらには知事が提唱されております緑の雇用事業の定着といったことにもなっていくわけでございます。国会では、この質問というか議論のときに拍手喝采が起きたようでございます。まあそれはそれといたしまして、本県にある紀州材の需要創出により、現在厳しい状況にある林業もさらに活性化をし、知事が提唱されております緑の雇用事業も、先ほど申し上げたとおりでございますが、定着してくるわけでありますから、どうぞこの事業に積極的に取り組んでいただきたい。ご所見を承りたいと思います。
 以上、お尋ねして、私の第一回目の質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 財政運営に当たっての財政運営プログラムと今の財政運営の関係ということでございますけれども、現下非常に、一方では厳しい財政状況にございます。そしてもう一方では、やはり県に元気をつけるような施策を積極的に打っていかないといかんということで、両にらみで対応していかなければならない非常に難しい時期なわけです。そういうときに、シーリングというふうな機械的なやり方ではもう対応できないということで、積極的にゼロベースで施策を考えていくということで、これはまあ非常に手間がかかることですけれども、財政当局そしてまた各部局を中心に鋭意頑張っているところでございまして、当然のことながら、財政運営プログラムの基本的な理念、こういうふうなものは生かしながら対応をしているということでございます。
 それから、予算の考え方について私が通年予算というようなことを言っておりますのは、これは理念の問題であるわけです。というのはどういうことかと言うと、今も当然のことながら、一昨日も言いましたけれども、補正予算であるとか、予備費であるとか、流用であるとか、いろんな制度は用意されているわけです。しかしながら、これを本当の意味でその年々の年内のいろんな状況の変化に応じて有効に使っていくというふうな気持ちがなければ、予算というものは実は逆にその県の発展を縛るものにもなりかねない。そういうことで、こういうふうな今までの道具というふうなものを改めて、原点に立ち返ってもう一回、職員ともども考え直して、そして機動的な財政運営をしていこうというふうな考え方を言っていることでございまして、これは別に今までのことと変わるというふうなことではございません。
 それから、和歌山市との協力、これはもう当然のことでございまして、私も知事になりましてからずっと和歌山市との協力ということに努めてきたわけでございます。例えば、大学をつくるというふうなときには県立医大の跡地の一部の交換に応じるとか、いろんなことで対応してきたわけでございますけれども、今度市長がかわって、そしてそういうふうな中で新たな対応ということですけれども、県市協調ということはもうこれは当たり前のことですので、今後も同じように続けていくわけでございますし、それから実は、現市長とは共通の知人が昔からの人でたくさんありまして、もう既に何度もお会いしてお互い話をしているというふうなことでございます。
 それから食と緑の工場特区ですけれども、これについては、当然のことながら、水の問題とか、いろんなことで和歌山市との協力の中でやっていかなければならないと。そしてまた、そのときには、県が独善に陥ってやるのではなくて、市の方からも、こういうふうにやってもらったら和歌山市のためにもっとなるんだというふうな意見も積極的にもらってそれを体現していくということはこれは当然のことでございますし、それから、関連のいろんなことに広げていきたいというのは、これは私自身も非常に思っておりまして、先般、この会社の社長が私のところへ来たときにそういう話をしたんですけれども、実は会社の方ももうぎりぎりの採算ベースでいろんなことを、こういう時代ですので考えているということで、これは大分いろんなことで努力していかないと難しい。私ども知恵を絞って、その会社のみならず、ほかのところとかいろんなところがこういうふうな関連であの地域に来てくれるというふうなことになるような形で頑張っていきたいというふうに思っております。
 それから、紀州材を文化財の修復にということ、本当にこれは非常に望ましいことで、今も一部は紀州材を使っているということですけれども、やはり大きな柱というふうなことになってくると、そのためにずっとつくっていた木曽のヒノキとかそういうふうなものを使っているというふうな状況があるようです。
 これから、非常に長いスパンの話になりますけれども、国有林が少なくて民有林の多い和歌山でも、こういうふうな本格的な文化財の修築というか、これに使えるような紀州材というふうなものができてくるような形のいろんな形での施策を、また緑の雇用なんかとあわせて考えていきたいと、このように思っております。
○議長(宇治田栄蔵君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 年間総合予算主義と通年予算主義についてお答えを申し上げます。
 先ほどの知事の答弁とも関連いたしますが、今日的な課題や状況変化への積極的な対応といった、いわば攻めの行政に転換していくという考え方のもと、これを予算面からアプローチしていくことであると認識をしております。これまでの年間総合予算という考え方は予算統制にやや重きを置いた予算運営の考え方でありましたため、年度当初の決定の内容に拘束されたり、年度途中における事業効果の検証や予算執行の効率性や新たな課題への即応性など、経営的な視点に欠けるうらみがあったことは否めないところでございます。
 通年予算主義の考え方は、このような従来の考え方への反省を踏まえて対応をしようとしているところでもございまして、着実に実践をしてまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) ドクターヘリ事業の三点についてお答えいたします。
 まず、予備機調達と機動性、安全性の確保についてでございますが、今回使用するドクターヘリの機種はEC一三五で、これは厚生労働省の試行事業でも採用されるなど、救急専用ヘリとして実績のあるものでございます。なお、専用機のほか予備機も同型機で確保し、機体には最新の人工呼吸器を初め救急用モニターや超音波診断装置など各種医療機器を装備し、現場及び搬送での対応に万全を期しております。
 消防機関からの救急要請は病院のドクターヘリ運航指令センターの専用ホットラインに入り、患者や現地の状況を確認後、速やかに出動することとなります。また、総飛行時間二千時間以上の飛行経験を有する操縦士など、運航スタッフには十分実績のある者を従事させることとし、安全性、機動性の確保を図ってまいります。
 次に運航体制についてでございますが、基地病院である県立医科大学附属病院の屋上ヘリポートにドクターヘリを常駐させるとともに、医師、看護師、操縦士、整備士の四人が搭乗し出動いたします。運航時間は原則午前九時から午後五時までとなっております。運航範囲は附属病院から半径百キロメートル圏内で、三重県、奈良県との協定に基づき両県南部にも出動いたします。なお、最も遠い地点でも三十分で到着いたします。運航に当たっては、各消防機関と数多く訓練を重ね、訓練実施済みの消防機関からの要請に順次対応することとしております。
 最後に今後の課題でございますが、現状では夜間の運航に対応できず、日中のみの運航になっております。これは、安全面から有視界飛行が原則とされていることや、夜間照明設備の整ったヘリポートが少ない等の状況にあるためで、こうした課題については国においても検討されておりますが、今後県としても夜間運航の可能性について検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに関係部長からご答弁をいただきました。
 知事、済みません。私は、全シーリングをかけるという財政運営プログラム──平成十二年度から十五年度まで──にはきちっとシーリングをかけるんだと、こううたっているわけです。それが変更になった。一部の計画に固執しない、これを私は言ってるんじゃないんです。それは、今の社会情勢、経済情勢から言って当然だと思うんです。一つの計画に固執する余り、財政運営・出動ができないということは。私は、手続がきちっと、私が質問して初めてそういう理由も説明されましたけれども、本県の財政の内容というのは、私もかつてホームページを見たことがあるんです。各都道府県のホームページの状況。特に和歌山県の財政に関するホームページは非常にいいという評価を受けておるんです。だったら、この財政運営プログラムとの関係も私はきちっと担保すべきである。そして手続、手順をきちっと踏んでいただけば、私は何ら問題はないことだと思うんです。
 というのは、平成十四年度の予算編成方針の中ではきちっと財政運営プログラムIIのかかわりについてもうたっておられます。平成十五年度の予算編成方針では、その「財政運営プログラム」の字すらないわけなんですね。ですから、変更することは決して悪いと言っているんじゃないんです。ですから、そういった手順、手続だけきちっと踏んでいただいて、もっとわかりやすいような形で提示していただければいいわけなんです。この点、今後ひとつ、強く要望しておきます。
 それから、今後の財政運営、大変私は厳しい情勢で大変ご苦労も多いかと思うんです。平成四年からの国の経済対策における起債の発行の償還が始まっておりまして、公債費比率が一八、負担比率が二〇%の中で大変ご苦労も多いかと思うんです。しかし、一方では今日のいろんな経済情勢に対応しなきゃいけない、またいろんな課題に対応しなきゃいけないということで、ご苦労も多いかと思いますけれども、しっかりとその辺を、財政健全化に──これはもう当然のことなんです。財政法でも財政健全化に努めなさいとはっきり言っているわけですから、これ当然のことで、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 それから、県市協調・協力関係でありますけれども、これなぜ今回のテーマとして質問させていただいたかと申しますと、何もかも──という表現は悪いですが──うまくいっておけばこんなこと言う必要ないんです。緑の特区構想につきましても、話し合いがスムーズにいっておけば私はこんな質問する必要なかったと思う。しかし、非常にやっぱり現実は厳しい課題があるようでございます。どうぞ、知事、市長と会われ、会談をされたときに、こういったことも含めてひとつしっかりと取り組んでいただきたい。
 それから、県市の人事交流、こういったこともひとつ今後考えていってもらいたいなというふうに思うわけでございます。
 それから、ドクターヘリです。
 先ほどご答弁いただきましたけれども、朝九時から五時までと。病気するんだったら昼間しなさいと、まあ現実こうなるわけでございますが、交通事故とか病気というのは待ったなしでございまして、どうしてもヘリポート基地、これが必要になってきます。残念ながら和歌山市にはそういったヘリポート基地というのがないわけで、実はこの議論が和歌山市でもなされておりまして、その場所をどこにするんだという問題があるわけでございまして、ぜひ県市協調で、これも和歌山市の協力をいただかなければならないと思いますけれども、ヘリポート基地をひとつつくっていただいて、二十四時間体制でこのドクターヘリをさらに有効に、そしてまた県民の皆様が安心して医療を受けられる、安心して生活できるように、ひとつ取り組んでいただきたいことを強く要望させていただきまして、すべて──何か聞こうかなと思ったんですけれども、もう時間もあれでございますから、すべて要望で終わらせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時十七分休憩
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