平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 ただいまから、一般質問を行ってまいります。
 私は、今まで数回は空気や水の環境問題についての質問を行ってまいりました。しかし今回は、一転趣を変えまして、地元の人々の要望を取り上げて知事のご見解を賜りたいと思います。
 そうはいっても、今までの陳情にありがちな、県にお金を出してほしい、国からお金を持ってきてほしい、こういったおんぶにだっこの陳情ではなく、地元の人々一人一人が知恵を出し、そして努力をし、お金を集めながら町づくりをしていくという、こういう取り組みの陳情でございます。これは多分、これからの地方自治の時代、つまり地方分権の時代に、自分たちのふるさとは自分たちの手でつくっていく、こういった取り組みの大きな町づくりのモデルになると私は思いまして、この取り組みを質問として取り上げた次第でございます。
 傍聴席におられる方々がその主人公でございます。きょうは、その地域づくりのために署名や陳情に立ち上がったその中の三十六名の方々が来られております。
 ただいまから、早速質問に入ります。
 知事もご存じのように、椿温泉にある県立軽費老人ホーム無憂園の園舎を取り壊し、更地にしようとすることの件でございます。
 解体費用約七千五百万円が本年度の予算に計上されています。県としても、この施設利用等については十分検討され探してきたが、これというものが見つからなかった。いよいよ解体をする。時間的には大変難しいことは承知の上で、夜も眠れない中、地元の女性の人たちが中心になり、椿に残っている灯を消さず、子供や孫のためにふるさと椿を大人の責任として残していきたい、そういった熱い思いで立ち上がり、一晩で四百名を超える署名を集め、十一月二十二日には町、及び十一月二十五日は県に陳情したところであります。言うは簡単ですが、本当に何回も集まり、そうはいっても自分たちでやっていけるだろうか、みんなから協力を得られるだろうかと悩み悩んで決断をされたのであります。
 そこで、地元の皆さんはどういう青写真をつくればよいのか、またこの施設がどこまで使えるのか、調べました。地元の一級建築士の専門家グループに診断をしてもらっています。こういう結果になります。
 地元の皆さん方の趣旨に合わせた診断結果は、かいつまんで申し上げますと、「施設利用の方針は、現代における湯治場の復活であり、熊野古道の世界遺産登録や国民の癒しへの欲求の高まりなどの時勢と、奥白浜的な椿温泉の性格にふさわしい計画と言え、当該施設をそうした利用に供することの可能性について検討を行った。今後の構造体の詳しい調査によるが、目視によれば耐震補強などにより建物再利用も可能と判断され、設備についてもリニューアルによって延命できるものと考える。 取り壊し予定の建物のうち約半分を残し、施設規模を縮小した上で、用途変更と改修の工事を行ったらいけるのではないか」と、診断がされています。また、それを改築する場合にどれくらいの費用が要るかという試算も出ています。そうした準備を経た上で、どうか跡施設を利用させていただきたいのであります。
 壊して更地にするだけではもったいない。そして、更地にするだけでは、今の経済状況から言えば買う人もないから、結局は県の持ち出しに終わってしまう。そこで、地元にとってもプラスになり、そこで何がしかの収入が得られるような利用の仕方、あるいは新しい観光スポットみたいなものをつくりたいという声が女性を中心としてにわかに上がってきたのであります。
 ただいまから、その陳情書を私から紹介をさせていただきたいと思います。
 「陳情書 (主旨) 県立軽費老人ホーム「無憂園」園舎のとりこわし猶予と施設有効利用について陳情致します。 (説明) 県知事におかれましては、日頃県勢伸展のため、日夜ご奮闘いただいていますこと、心からお礼申し上げます。 中でも「緑の雇用事業」を提唱し、具体化に努められ、又、地方分権時代の地方自治についての提言など、先進的な活動をされていることについて、県民として、大いに敬意と信頼を申し上げているところであります。 さて、仄聞するところによりますと、椿温泉に所在する県立軽費老人ホーム「無憂園」は隣接する「旧老人休養ホーム真静荘」を改装し移転、園舎はとりこわされるとのことであります。 私ども、地区民として、この園舎を「とりこわす」ことは余りにも惜しく、園舎の「有効利用」について、有志相寄り協議を重ねております。 地区民、「自らの発意と智恵と協働による、地域づくり」をめざし、この園舎を県から譲り受け、自主運営し、これからの超高齢社会にむけて、昔からの椿温泉の希有な泉質を生かし「湯治の場」や「託老所」として、又、「高齢者共同住宅」として、はまゆう病院と連携して「ケアセンター」として、等々の提案がなされ、種々協議中であります。 これらの提案は、まさしく、今の時代に即応した「予防医療」「介護予防」の具体的な取り組みであると自画自賛しております。 加えて、知事のご尽力が実を結び、海沿いの熊野古道「大辺路」が世界遺産登録にむけて、国の史蹟として文化審議会の答申がなされたとのことであり、広域観光、観光立県の見地からも、鄙びた、静かな、温泉地の特徴を生かした長期滞在型の「癒し」の拠点として、今後の椿温泉の役割が想定されます。 私どもの願いがかなえられ、園舎を県から譲り受け、地元民間団体による自主運営が実現した場合には、NPO法人の設立が必要であり、町や県の行政のお力添えもお願いしたいと考えております。 以上のように、地元関係者が種々協議していますので、事情ご賢察の上、「園舎とりこわし」について、しばらくの猶予と、「施設の有効利用」について、ご高配賜りますよう、住民連署の上陳情申し上げます。 平成十四年十一月二十五日 和歌山県知事木村良樹様」。
 椿温泉は、古くから「サギの湯」、「ツバキの湯」などと呼ばれ、リューマチ、神経痛、胃潰瘍、各種後遺症に効能が著しく、名湯と言われ、湯治場として最盛期には多くの入湯客でにぎわっていました。古くは一二八四年(弘安七年)に藤原定家の子孫も入湯している記録もあります。その当時からもいろんな温泉があったのですが、椿温泉のお湯がいいとだんだんと広がったのでしょう。それぐらい立派な温泉地であります。
 何をするのか要約いたしますと、一つは、椿温泉というのは古い湯治場として知られているし、これからの医療の流れであります予防医療とリハビリ医療のこの二つを兼ねたものをつくり上げたいということ。さらに、これからの時代に即応した介護予防に取り組みたいということ。二つ目は、それをつくり上げることによって白浜への観光が、短期間の観光の魅力と同時に、長期滞在型の旅行客を招致する一つの観光スポットとしての魅力にしたいということ。三つ目は、世界遺産登録がいよいよ実現のスケジュールに迫っている折、高野山や信仰の深い空海とのつながりもあると言われているこの歴史の古い椿の湯治場が復活することによって日本的な観光のスポットが入り、ますます世界遺産登録に花を添えることになるのではないかということ。四つ目は、このことが実現すれば、地元の皆さんも試算をしていますが、新しい雇用が生まれてくることなどであります。
 国の厚生労働省の方針も、薬だとか施術でお金がかかるよりも疾病に陥らないように予防医学の段階で抑えようとする方針へ、寝たきり老人をつくらないという介護予防の方向に向いており、この計画案と合致をしてくるのであります。また、私も平成十三年六月議会で、世界遺産を生かした南紀の先駆的施設開発、予防医療と健康リハビリセンターづくりを取り上げ、知事も、いろいろ研究してよい成果が出ていくように勉強していきたいと考えると、前向きな答弁をいただいています。
 これからの観光の形態も、短期間の娯楽ではなくて、これからはじっくり過ごすために滞在して暮らすというヨーロッパ型の暮らし方が多くなってきます。そこに予防とリハビリ医療が備わっている観光地であれば、安心して行け、しかも観光客の増加につながります。一番ありがたいことは、椿周辺の人たちが、こうした施設ができれば観光の売り物になり、客を伸ばすことにもつながるのであります。また、建築費の一部や運営資金集めについても、NPOなどを立ち上げる準備を進め、検討しています。南紀熊野の大辺路を中心として世界遺産登録されたときには、観光客は華々しい観光地よりも地味ながら人間的な生活を持続できるようなスポットに引かれていくのではないでしょうか。しかも、高野熊野という日本の代表的な聖地と空海の生み出した日本独特の宗教の場所にこういうものがつくられるのは、意義の深いものであります。
 ここまでの緊急の決断は、今年度に撤去予算が組まれているという時間的にない、大変難しいことは十分承知の上での知事へのお願いであります。それだからこそ、夜も眠れない中で地元の女性の方々が中心となり、何回も話し合い決断をし、椿温泉地域全体に賛同が広がったことを知ってほしいのであります。このように、住民が話し合ってつくろうとするこのプロセスというのが一番大事なのではないでしょうか。
 きょうお見えの、代表しています吉田さんから話を聞き、私は大変感動しました。たしか、十一月十八日の電話だったと思います。「お父さんが、これから署名や陳情など動くのに何もないんではと、郵便局で十万円の通帳をつくってきてくれた。大変ありがたかった。仏さんに供えてきたんや」と。そして吉田さん自身も、人生の残りを椿のためにかけてみようと自分に言い聞かせたのだそうです。実は、きょうの傍聴も、みんな少しずつお金を出して、バス代を自己負担をして、ふるさとを守るために仕事を休んできています。国や県のお金よりも小さいですが、一人一人が集まればかなりの額になります。
 知事、こうした住民の要望や時代の流れに即した県の予算の使い方についての、画期的な弾力性を持った知事の決断を求めたいのであります。方針どおり建物を税金で撤去し、更地にした場合、今の経済状況から言えば買う人も少ないから、結局は県の持ち出しに終わり、県には一銭も財政収入が入らないのではないでしょうか。見直しをしていただければ、予防医療やリハビリ医療によって医療費の増加も抑えられるし、和歌山県全体の活性化にも広がる。これが黒字になったら、県への税金もふえるでしょう。更地にして置いておくよりも金のなる木になるのではないでしょうか。つまり、知事が言われています、前向きな県民の税金の使い方ではないでしょうか。
 建物の診断によると、半分は使えるとなっています。予算のうちの半分を解体費用として、大変虫のいい話かもしれませんが、その残りを改修費用に回してもらいたいのです。手続上の問題があると思いますが、そのタイミングと目的によって臨機応変に知事の判断をしてもらいたいのであります。このことは、知事の、地方自治の時代であるからこそ硬直した行政から弾力性を持った、裁量権が広がるという事例にもつながり、県有施設の有効利用のあり方として、また県政と住民のふるさとづくりのあり方にもつながる大きな意義を持つことだと確信をいたします。知事のご見解をお伺いいたしまして、私の一番目の質問を終わります。
 続いて、地球温暖化防止に貢献する緑の雇用事業と連動し、豊かな自然を守り、農作物や森林への野生動物被害を解決する和歌山からの発信について質問をしてまいります。
 第一番目は、地元の「紀伊民報」等で報道されていますが、猿、イノシシ、シカ、アライグマによる農産物の被害が大きくて農家の方々も茫然自失の状況にあり、祖先伝来の農地で農作物をつくっていた人はこれからどうしていいのか、途方に暮れています。全く生産意欲を失った人もおられます。
 私の選挙区では、今、夜、懇談会をして住民の要望を聞いていますが、至るところで一番多く訴えられるのは、農作物の被害を何としても防いでほしいとの声であります。具体的に申し上げますと、中辺路町では、猿に梅を食べられたり、農作物を荒らされ困っているところ、大塔村やすさみ町では、祖先を祭っているお墓がイノシシに荒らされて困っているところ、また富田町や白浜町、田辺市ではアライグマに農作物を荒らされているところ、日置川町、すさみ町、串本町などでは猿、シカ、イノシシに農作物が荒らされているところ、至るところでこの鳥獣被害は拡大していると思います。多分、そういうことからすると県内全体の被害は甚大なものだと私は思います。
 田辺・西牟婁地方の平成十四年度上半期、つまり四月から九月の有害鳥獣捕獲数が十月二十六日付の「紀伊民報」で報道されているのを見ると、猿が前年度八十一が百二十八に、シカが二十九が五十三に、イノシシが二十五が四十九に、アライグマが二が二十六になるというように、四種類すべてが前年度一年間の数を既に上回っています。特に急増しているのが、実はアライグマであります。各市町村の担当者も、農産物の鳥獣被害は毎年あるが、ことしは被害の数が多いと話をしています。
 県がまとめた被害状況は、平成十年から十三年度まで、私の手元に出してもらっていますが、平成十三年度では七百四十三ヘクタール、二億三千二百五十六万九千円となっています。ことしの被害状況はまだ取りまとめられていないようですが、これらの野生動物被害に対して県としてはどういう認識なのか、どういう対策をとってきたのか、関係部長にお伺いをしたいと思います。
 ところで、全国的に農作物の被害が多いため、国は三年前に法律を改正し、特定鳥獣保護管理計画という制度を設けて野生動物保護管理に対して県が独自の方針を立てられるようにしましたが、我が和歌山県はどういう方針を立てたのでしょうか。例えば猿の場合は、ニホンザルとタイワンザルの交雑による遺伝子汚染への取り組みがなされていますが、猿による農作物被害も同じく過酷な課題だと思います。そして、この猿の被害への取り組みがおろそかになっているのではないかと憂慮をしています。生活を失うおそれのある農家の方は、もっと深刻ではないでしょうか。県下全体の猿の保護管理計画をつくるべきだと思いますが、お伺いをいたします。
 続いてシカについては、平成八年、九年に、県でシカ生息調査をしています。シカの被害を防止するという線に沿った生息数だとか移動調査をして対策の一つになっていることは認めますが、私がそのレポートを見て驚いたのは、調査翌年の平成十年から雌ジカを新たに有害駆除に加えて、駆除していい雌ジカを県下全体で年間二百頭を上限とする具体的な数字を挙げているのに、実績は、平成十年度は四十頭、十一年度は七十二頭、平成十二年度は二十頭しか駆除をされていません。また、上限の二百頭に近い頭数を駆除していたらシカの繁殖は多少なりとも抑えられて、今の被害にまで広がらなかったかもしれません。上限二百頭の根拠や意味は何か。シカの保護管理と農作物被害の抑制のためには、県の方針として積極的に雌ジカ二百頭を駆除してはどうか。上限数値に至らなかったのは何が理由なのか。関係部長にお伺いをいたします。
 また、専門家は、雄ジカは狩猟期に捕獲され数が減っても、一頭の雄が雌十頭、二十頭と交尾が可能なので妊娠率も落ちない、雄を少々駆除しても繁殖数を減らせない、減らすのであれば雌を駆除することを考えるべきだ、そのためにはシカの特定鳥獣保護管理計画をつくり雌ジカの個体数を調節するという方針が必要だろうと言っています。また、ハンターの方々に頼るばかりではなく、全体的な方針を県が示し、有効な計画を立てるべきではないでしょうか。お伺いをしたいと思います。
 続いて、憎きイノシシについては調査を行っていないようです。なぜ行っていないのか、関係部長にお聞きをしたいと思います。
 さらに、被害の深刻なものはアライグマによるものであります。
 全国的な状況は、北海道、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、そして和歌山県など、全国各地で自然繁殖をしています。特に北海道、神奈川県では被害が顕著になっています。県内での被害発生市町村は、高野口町、清水町、美浜町、田辺市、白浜町、上富田町、太地町などであります。(「かつらぎもある」と呼ぶ者あり)かつらぎも。あと数年もすれば県下に、また全国に生息域が広がり、その被害というものは、農産物被害だけではなく住居への侵入など多様になると予想されています。
 アライグマは北米原産の動物で、日本にはもともといない、いわゆる外来動物であります。和歌山県の場合も、どこかで逃げたか、放された少数の個体が繁殖をし、分布を広げていると考えられます。したがって、この対策を考える場合、一つの市町村だけの取り組みではだめであるということ。また、各地で問題となっているブラックバスのように外来生物による在来生物への影響は、はかり知れないものがあります。となれば、アライグマに対しては市町村による有害駆除だけでなく、県が主体となって県下のアライグマを駆除するという徹底的な取り組みが必要になると考えますが、いかがでしょうか。
 残酷な措置だと思われるかもれませんが、東京ではカラスがめっきり減ったと言います。カラスによる被害は、例えば生ごみを捨てに来る人間を襲ってくるとか、都会の真ん中でカラスと人間の戦いが繰り広げられています。それに敢然と石原東京都知事が立ち向かいました。カラスを捕獲し、卵を壊してカラスの数を三分の二に減らしたと言われています。都民はカラス公害から解放され、ほっとしているということもあるので、行政というのは時には嫌な決断をしなければならないときもあると思いますが、関係部長の見解をお伺いしたいと思います。
 アライグマのこれからのことについても提案をいたします。
 一つは、少なくとも室内のペットとして飼う人には、安易な飼育放棄をさせないための教育指導、義務づけが必要と考えます。そのためにはペットとしての登録制度や違反者への罰則も必要ではないかという考えがありますが、お伺いをしたいと思います。
 条例などを早急に波及させることが急務ですが、それと並行して強固なアライグマ駆除作戦を展開する必要が私はあると思います。それには、先ほど述べた飼い主のモラルとともに、アライグマを捕獲・駆除したらそれなりの報奨金を出す、事前に猟友会等にアライグマ駆除作戦を徹底させるなど、そこまで事態は深刻化してきていますので、関係部長にお伺いをしたいと思います。
 シカ以外については、何しろ生息調査ができていないということですが、早速生息調査を始め、動物の現状を把握して、効果的、効率的な対策を立てて合理的に駆除していくということが農作物の被害を抑えることにつながることになりますので、今すぐにでも始めてもらいたいと思います。そうすると、来年の駆除数は、その生息数から編み出すことになると思います。それと、各農家に農作物を荒らされた被害状況、危険情報を知らせ、JAとの協力を得ながら駆除するという、早目に手を打つということを考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 幾つか申し上げてきましたが、これだけの総合的な取り組みをしていくためには、市町村やJA、農家、猟友会等の連携はもちろんでありますが、東京都のようにプロジェクトを組み、県としての本格的な専門家を含めた専門体制をつくり、県行政が主体的に判断をし、目的を持って個体数調整をして取り組んでいくことが大変重要だと私は考えますが、いかがでしょうか。さらに、県内の市町村議会でも国に対して意見書が出され、県としても国に働きかけていただいていますが、わななどの免許の規制緩和、法律の規制緩和などを積極的に働きかけ、早急に改善をしていくべきだと考えますが、その見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、木村知事、もう一つ重要なことがあります。休耕地や放棄地がやぶとなり、まき取りもやめて荒れてしまった里山、雑木林が広がっています。昔は田畑、山に思い出がありました。カブトムシも飛んでいました。今はそこがやぶばかりになり、動物にとってすみやすくなっているのであります。すみにくくしなければだめであります。また、戦前は山にオオカミがいて、天敵としてにらみをきかせたり、戦後の初めごろは山に人間が多く入り、野生動物ににらみをきかせていたのが、いなくなった。それと、水田、畑、果樹畑など耕作地の放棄が進み、野生動物にとって格好のすみかとなってきている。いわば、人間が彼らのために、広範な地域で人間の不始末、えづけをしていると専門家は指摘をしています。
 動物にとってすみにくくすることは、里山、雑木林の整備をすることであります。木村知事の常々言われています緑の雇用事業というものは、こうした農作物、林業への被害対策をも視野に入れたものであるのか。このことは軽く見ることはできません。つまり、地球温暖化防止に貢献をする森林づくり、緑の雇用事業にも農産物被害、林業への被害というものが回り回って深刻な事態を起こそうとしているのであります。県としては、被害を軽く見ず、深刻に取り組んでほしい。知事の決意をお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。
 ご清聴、ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの無憂園についてのご質問でございます。
 まず一つ明らかにしておきたいのは、これは、軽費老人ホームが古くなってきて、そして施設が老朽化して、入っている人が非常に困っていると、なかなか新しいものを建てるわけにもいかないので後ろの建物を改築して、そして前は更地にしようというふうなことになっている計画ですので、地元にこういうふうに使いたいということがあれば、別に私どもとしてはつぶすのを急ぐという気持ちは全然ありませんし、そしてまた更地にしても、はっきり言って何かにすぐに売れるという見込みがある土地でもありませんので、これは十分時間をかけて検討してもらったらいいだろうというふうに思っています。
 椿のお湯は非常に歴史があって、私も、いつも白浜が中心なんだけれども、椿の湯も非常にいいところなので、何とかこの地域の振興ということも考えていきたいと日ごろから思っております。そしてまた、あぜみちという物産の販売所なんかも非常にうまくいっている。やっぱり地域の人のエネルギーでうまくいっている例もあります。
 ただ、私が今のお話の中でちょっと危惧しましたのは、何というんですか、来た人への療養というふうな施設をつくっていくということになるとお医者さんなんかの関係も出てくるし、ちょっとした地域の盛り上がりだけではなかなか難しい面もあろうかと思いますので、今言いましたように、私どもとしては今年度中に予算がついているから絶対何が何でも引き倒してつぶしてしまおうなんていう気持ちはありませんから、ぜひ地元でよくその辺のこれからの運営の仕方とかなんかもかっちりした──一たんやったらある程度続いてできるようなものを考えていただかないといかんと思います。そしてまた、地元の白浜町の方も余りずっと聞いていなかった話みたいですので、その辺ともよく相談していただいてやっていただいたら、県の方としてもいい話になってきたら、これは十分協力していくと。今、地元の人たちの盛り上がりで何でもやっていく、そしてまた廃物利用と言ったら悪いですけれども、要らなくなったものを大事にして使っていくということはこれからの時代には非常にいいことだと思いますので、そんなふうに思っております。
 それから次に、イノシシとかシカとか猿とか、こういうふうな駆除の問題です。
 私も、県下の南の方へ行ったりしたら、朝なんか歩いていると、けさここの畑をやられたんですわ、もうイタチごっこで本当に困っているんですという話をよく耳にしています。これは、ある意味では過疎化の中で野生動物に人間がちょっとなめられ出しているというふうな状況があろうかと思うわけです。そして、私もこれは非常に重要な問題だと思っておりまして、今度の構造改革の特区の中で、こういうふうな中山間の地域については、特に今までの有害鳥獣の駆除なんかを補助員みたいな人もできるようにしたり、それから自分のための野菜畑をつくっている人なんかもわなを仕掛けられるようにしたらどうかということで提言してきたら、これは一部、それはそのとおりだなということで、今、制度改正に結びついてきています。
 しかしながら、それより何より根本的なこととしては、やはり、先ほどありましたように、山が荒れてきているということで、家の近くの昔の美林まで雑木林になってきて、そして人のところへ出てくるようになってきているというような問題がありますので、山奥の方にえさ場をつくるようなやり方とか、緑の雇用になるのかどうかわかりませんけれども、そういうふうな大きな抜本的な対策も考えないといかんと思います。それから、猟をする人もちょっと高齢化してこられているんで、そういうふうな対策みたいなのもやっぱり考えていかないといかんのかなというふうに──なかなか一朝一夕にできる問題じゃありませんけれども、総合的に考えていきたい、このように思っております。
○副議長(小川 武君) 農林水産部長辻 健君。
  〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 野生動物による県下全体の被害状況の認識と対策についてでございますが、鳥獣被害が県内に広がっており、生産者が苦慮していることは十分認識してございます。こうした中で、従来の国庫補助事業の活用に加えまして、平成十三年度からは県単独の農作物鳥獣害防止対策事業を創設し、市町村と連携を図りながら、地域の実態に即した防護さくや電気さくの設置などに努めてきたところでございます。
 今後とも、専門家を招いての研修会を開催するとともに、国の防止対策事業と有機的に組み合わせながら、関係部局と一体となって被害防止に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(小川 武君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 野生動物被害に関する五点についてお答えいたします。
 本県では、第九次鳥獣保護事業計画に基づき、鳥獣による農林水産物被害や人身への危害などが現に生じているか、またそのおそれがある場合に、被害防除対策を実施してもなお被害が防止できないとき、市町村長の許可によって有害駆除を行っております。
 また、対象とする種のうち、有害駆除を奨励するため、猿については昭和六十一年度から、イノシシにつきましては平成十三年度から市町村に助成を行っているところです。
 次に、県全体の計画といたしましては和歌山県第九次鳥獣保護事業計画があり、この中で、猿も含めて有害鳥獣駆除の方針等について定めております。
 有害鳥獣駆除に際しましては、地域によっては、例えば猿に発信器をつけて動向を把握しながら適宜追い払ったり、さくで囲って農作物を守ったり、さらには作付方法に工夫を凝らすことにより農作物被害の軽減に成功している事例もあることから、こういったさまざまな取り組みを市町村や地元に紹介するなど、支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、議員ご質問の雌ジカの有害駆除頭数の上限二百頭の根拠でございますが、農作物被害の増加に対応するため雌ジカの有害鳥獣駆除ができる上限の捕獲数であり、また県におけるシカの個体群が絶滅しないための最大値として平成六年から平成九年の調査によるシカの生息数から算定し、平成十年三月に定めたものであります。
 実際の駆除頭数が上限から離れている理由については、角のない雌ジカを撃ちたがらないハンターの意識や、平成九年度まで雌ジカの捕獲を自粛していたため、平成十年度から解禁になっていることがハンターに十分浸透していないことなどによるものと考えております。このため、今後、雌ジカの駆除についても、駆除頭数の上限に近づくよう、さらに市町村等にも働きかけけてまいります。
 四点目のイノシシに関しましては、今のところイノシシの個体数を推定する実用的な方法がないということとともに、短期間で大幅に個体数が変動する種であり、専門家の間では、個体数調整などの管理ではなく、捕獲や被害防除対策を行うことにより管理を行うことが必要と言われております。
 農作物被害防止については、県内では農作物の周囲に電気さくを設置するなど、駆除よりも防止対策を行うことにより効果が上がっている事例もあることから、今後とも関連部局などと連携を図りながら被害防止対策を進めてまいりたいと考えております。
 最後にアライグマにつきましては、今年度になって大きく被害が報じられ、被害地域についても県下に広がっており、他県の例によりますと、繁殖力が強いことから爆発的に被害が増加する可能性があると言われております。このため、今後の被害の拡大を防止する観点から、有害鳥獣駆除の期間や頭数の基準を緩和することや市町村が行う有害駆除への奨励について積極的に検討をしてまいりたいと考えております。
 また、アライグマを含むペットにつきましては、動物の愛護及び管理に関する法律に基づき、愛玩動物の飼育を放棄すること、逃げ出さないようにすること、及び最後まで飼い続けることが飼育者に課せられており、捨てたり置き去りにすると罰則の適用もあることから、今後なお一層の啓発・指導に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 知事、大変勇気ある、励ましの言葉を含めて、ありがとうございました。
 私は実は、今回のこの問題は大変厳しいと思っておりました。そういう中で、きょうは手弁当で皆さんが来たこの熱い思いを知事が受け入れてくれたと思っております。本当に感謝をしております。
 つぶすのを急ぐという気持ちではない、十分時間をかけて検討しようということを言ってくれましたので、今度は反対に地元の責任が大変大になってくると思っております。今後ともご指導をお願いしたいと思うんです。
 この議場に、傍聴に来ておられる方は、県庁へも来たことのない人がほとんどであります。私も含めて地元の議員におんぶにだっこということではなしに、先ほど申しましたように、自分らで、みずから金を出して来るんだということで来ていただいております。自分たちの責任と喜びで町づくりをしようと、そういうところまで来ておるんではないかと私は思っております。あくまでも、これからの主人公というのは署名をした人たちときょう本会議を傍聴している皆さん方でありますので、これから一緒に手を携えながら頑張らなくてはと思っています。
 初めて県庁に物を言い、初めて政治への参加──恐らくきょうは緊張と新しい喜びを持っておるんではないかなと私は思っております。傍聴しているだけでも緊張していると思うんですけれども、私はやっぱり、こうした住民参加の町づくり、地方自治はこういうことから始まるんだと思っております。これから長い時間、しかも継続的に永久に続いていく作業を始めようとしているのでありますけれども、このことに賛同していただきまして、本当にありがたく思っております。この芽を県全体に広げていくために、ぜひともこの椿地域の県有施設の跡利用について成功するように頑張っていくように、私も一緒になってやっていきたいと思っています。どうか、県としても、先ほど申しましたような後押しをお願いしたいと思います。
 もう一つ、鳥獣被害につきましては、先ほど知事が総合的に取り組んでいくということをおっしゃっていただきました。これは、そういう視点で初めて県が乗り出すことにしてくれるんだなと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げまして、これは要望にしておきます。終わります。
○副議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。

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