平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十四年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十四年十二月十一日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十六号から議案第百七十二号まで、並びに報第十号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
  第一 議案第百三十六号から議案第百七十二号まで、並びに報第十号(質疑)
  第二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         内   田   安   生
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       垣 平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀 彦
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       阪   口   裕 之
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      高   綱   直   良
     人事委員会委員長   青 木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百四十号中、職員の特殊勤務手当に関する条例の改正について、及び議案第百六十三号から議案第百六十七号まで、議案第百七十号から議案第百七十二号までは職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
〔巻末の「参考資料」を参照〕
【日程第一 議案第百三十六号から議案第百七十二号まで、
並びに報第十号】
【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第百三十六号から議案第百七十二号まで、並びに知事専決処分報告報第十号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十三番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 皆さん、おはようございます。
 平成三年四月、数多くの県民の皆様の厚いご支援に支えていただいて初当選をさせていただき、はや十二年の歳月が流れました。初当選後、初めて開かれました平成三年六月定例会で一般質問を行って以来、今回で二十六回目の質問となります。この間、私は、関西国際空港、町並み景観整備、行財政改革、観光振興、IT先端企業誘致、県立医科大学跡地再開発、企業メセナ支援などをライフワークと決め、取り組んできたところでございます。三期十二年の節目に当たり、総決算という観点から、私自身ライフワークと決め、取り組んできたこれらの項目についてこの議会でご質問申し上げたいところでございます。しかし、時間に制約がございますので、質問通告に掲げております四点に絞り、お尋ねをいたすことにいたしました。質問に当たり、私は簡潔にして要領を得たものとなるよう心がけるつもりでございます。したがって、木村知事並びに各部長におかれましては、答弁に当たって、簡にして要を得たものとなるよう心がけていただきますよう、あらかじめお願い申し上げておきたいと思います。
 それでは、通告に従い質問を申し上げます。
 初めに、「行政改革と外郭団体の整理統合は時代の要請」と題してお尋ねをいたします。
 「小さな行政で大きな仕事を」という副題を掲げました。その心は何ぞや。今、我が国は出口の見えない構造不況のどん底にあります。この数年、私の周囲でも、倒産、会社整理、解散、廃業のやむなきに至った企業、個人商店が十指に余りました。全くもってざんきにたえない次第であります。民間企業が、すべからく必死になって生き残りをかけて頑張っている今、行政もともにその痛みを分かち合わねばならないことは理の当然であります。まして、かつての高度経済成長時代やいわゆるバブル期のような経済成長は、この二十一世紀には望むべくもないのであります。したがって、いかに知恵を働かせ、いかに汗を流して努力するか、その仕事の中身こそが問われる時代に入ったと言わざるを得ません。そうした意味を込めて「行政改革は時代の要請」と表題に掲げた次第であります。
 そこで、単刀直入にお尋ねをいたします。
 一、かつて行政改革を進める当たり、職員数の削減はとの私どもの質問に対し、知事部局で百人、教育委員会で四百人削減するとの答弁がありました。また、和歌山県行政組織等検討懇話会の答申、「行政組織等の見直しに関する提言」も本年十月末に出ております。県としては、新たにどのような具体的数値目標を持って行政組織のスリム化に取り組もうとされるのか。木村知事、明確にお答えをいただきたい。
 二、行政改革を進める上で避けて通れない問題として、外郭団体の整理統合にどう取り組むかという点があります。現在、本県が抱える外郭団体は、一〇〇%出資法人が九団体、五〇%以上出資法人が十一団体、二五%以上出資法人が九団体、その他二団体、合わせて三十一団体あることは、皆様よくご存じのとおりであります。現在ある三十一の県出資法人等の外郭団体に対し、設立時に計六十三億九百八十一万余円が県から出資をされております。しかし、これら三十一団体の中には、休眠法人とは言いませんが十分機能していない団体も見受けられ、廃止や統合、整理縮小が望ましいものもあると考えます。この際、思い切って整理統合を進めるべきであり、その具体策について、知事のお考えをぜひとも聞かせていただきたい。
 二点目、「地域通貨の活用で地域の活性化を」と題してお尋ねをいたします。
 地域通貨──正直に申し上げて、私も最近までこのことに関する知識を十分には持ち合わせておりませんでした。この議場にいらっしゃる皆さんの中にも、「地域通貨」という言葉を初めて耳にされた方もあろうかと存じます。
 そこで、簡単に地域通貨のあらましを紹介しておきたいと思います。まず、円が国民通貨と言われるのに対し、地域通貨は一定の地域でのみ通用するものであるため、そう呼ばれております。昨年十二月十六日付「日本経済新聞」に「広がる地域通貨 いまなぜ?」という特集記事が掲載されておりました。現在、我が国で導入または実験中の地域は百四十カ所以上に達し、検討中も含めると三百カ所にも上ると言われております。日本での本格的な導入は一九九九年、つまり平成十一年ですから、まだ四年しかたっていないわけで、これだけ急速に広まった理由について、長年地域通貨のことを研究しておられる経済評論家の森野栄一氏が、同紙面で「原因は不況ですよ」とずばり答えておられます。森野氏によれば、「大恐慌が世界をおおった一九三〇年代初め、米国やドイツ、スイスなどで地域通貨ブームが起きました。景気回復を図る狙いでした」と述べておられます。この森野氏を講師に招いて、先月、地域づくりネットワーク和歌山県協議会が「地域通貨と地域振興」と題して研修会を開催されたと聞いております。席上、森野氏は、「もう一度繁栄する地域経済を実現していく手法として地域通貨があり、地域の温かい支え合いを取り戻し、地域社会のニーズにこたえるネットワークを構築しながら地域コミュニティーの新たな可能性を探り、地域の振興、町づくりへ展望を広げてきました。地域通貨と言っても多種の形態があり、例えば、高齢化の進む中で福祉のニーズにこたえるものから、地域経済の振興を目的にしたものまでさまざまです。このメニューの中から、自分たちが暮らす地域社会の実情に合った取り組みは何がふさわしいか、住民自身が主体的に考え、取り組んでいくことができます。地域通貨は一言で言えば、人、物、金、情報を地域内で循環させ、自立した循環型の地域経済モデルを探求する手法である」と語られていたと聞き及んでおります。
 ところで、世界で最も普及しておりますのはカナダのバンクーバーで始まった「LETS」と呼ばれる制度で、「Local Exchange andTrading System」の頭文字をとった略称であります。これは、あらかじめ登録した会員同士が会員にのみ通用する地域通貨を使って会員間で提供し合える財やサービスを取引するネットワークです。このほかにも、「トロントドル」、「タイムドル」などが地域通貨としてよく知られております。我が国でも、北海道苫小牧市の「ガル」、東京渋谷区の「アール」、千葉県千葉市の「ピーナッツ」、静岡県清水市の「EGG」、兵庫県宝塚市の「ZUKA」、滋賀県草津市の「おうみ」、福岡県福岡市の「よかよか」等、枚挙にいとまがありません。
 地域通貨のことをさらに詳しく知っていただくために、さわやか福祉財団のホームページからプリントアウトしたものをご紹介したいと思います。「「地域通貨」は互いに助けられ、支え合うサービスや行為を時間や点数、地域やグループ独自の紙券などに置き換え、これを「通貨」としてサービスやモノと交換し、循環させるシステムのことをいいます。「円」などの「国民通貨」とは違った「もうひとつのお金」とも言うべき働きをするもので、「地域コミュニティづくり」の役割を果たすものとして期待されています。 地域通貨に参加すると、自分の「できること」「してほしいこと」を登録しておき、何か助けが必要な人に対して、自分の「できること」でお手伝いをし、自分が助けてほしいときには、誰かに助けを求めることが出来ます。つまり、地域通貨は、一方通行的にボランティアをして助けるだけではなく、自分も誰かに助けてもらうという、お互いに「助け・助けられる」関係を生み出します。地域通貨は、助けてもらった相手に対して「ありがとう」の気持ちとして渡すもので、人々の間を循環していくことによって、地域での交流の輪が広がるきっかけとなります。 自分のできる時に、できることで気軽に参加して、地域での支え合いを生み出すしくみ」とあります。
 結論を申し上げますと、地域通貨とは、個人の中に眠っている潜在的能力を引き出し、それを互いに利用し合いながら、地域やコミュニティーを経済、社会、文化などいろんな面で活性化させ、新たな地域コミュニティーを築くためのメディアたり得るものであると言えると思います。
 一方、中小企業庁では、平成十三年度に実施した地域通貨を活用した商店街等の活性化に関する調査の結果を踏まえ、本年度より実践的な地域通貨の活用方策を検討するため、三県五地域をモデル地区とし、商業振興につながる地域通貨のモデルスキームの構築のための調査を行っております。また、他府県の取り組みを見てみますと、愛媛県が平成十二年に「地域支え合いのきっかけづくり─地域通貨」という百二十九ぺージに及ぶ冊子を発行し、地域住民がどのようにアプローチしていくかを、理念からメンバーづくり、運営までわかりやすく記載しており、あわせて数多くの情報提供も行っております。
 翻って本県におきましては、田辺市のNPO法人県健康アシスト協会による地域通貨「きしゅう券」の来年一月からの発行を初め、先ほど申し上げた地域づくりネットワーク和歌山県協議会による研修会の開催や財団法人和歌山社会経済研究所の取り組みなど、さまざまな動きが見られるのであります。
 そこで、企画部長にお尋ねをいたします。
 第一点、県内団体の地域通貨に関する取り組み状況や動向に関してご報告をいただきたい。
 第二点、県としては、地域の活性化のために、この地域通貨の果たす役割についてどう考えておられるか、また今後どう取り組んでいくおつもりであるのか、お答えをいただきたい。
 現下のような先行き不透明な時代にありまして、地域にとって最も重要なことは、地域が互いに助け合い、支え合って成り立ってきたことであり、今助け合って生きていこうという人をいかにふやしていくかであろうと思います。それぞれの地域が、その地域社会の実情に合ったものは一体何であるかを地域住民自身が主体的に考えることであると思います。そこにこそ地域コミュニティーの構築が可能となり、地域経済の活性化にも確実につながっていくものと思います。そのきっかけとして地域通貨制度の仕組みを広く普及していく必要性と責任、役割が行政にあるというのが私の考えであることをつけ加えておきます。企画部長、前向きの答弁を望むものであります。
 三点目、「県産品のさらなる販路拡大を」と題してお尋ねをいたします。
 木村知事の本十二月定例会の冒頭における知事説明の中で、県政をめぐる最近の主な動きの一つの項目として、県産品の販路開拓と題して取り上げていただきました。この中で知事も触れておられるとおり、十一月に相次いで東京都内で開催されました県産品フェアは、いずれも大盛況に終わったと聞き及んでおります。
 そこで、商工労働部長、農林水産部長、それぞれこの県産品フェアの成果についてご報告をいただきたい。また、同フェアについて、今後どのようなコンセプトで展開していかれるのか、今回のフェアでの反省点も踏まえ、お示しいただければ幸いであります。
 三つ目の問題として知事にお尋ねをいたしたい。
 さきの九月議会でも詳しく触れたところでありますが、県産品の販路拡大に取り組むに当たり、県組織の強化を図ることを確約されておりますが、その構想について具体的にお答えいただければ幸いであります。
 副題で申し上げておりますように、「いいものをいかに広く知ってもらうか」が販路拡大のキーポイントであると私は考えます。今回のフェアでも、名の通った商品はやはり売れ行きが好調であったと聞いております。また一方、県内にはまだまだいいものが多く埋もれていると思います。いいもの発掘とPRのためにも組織強化は必要不可欠であると思う次第であります。
 最後に、「関西国際空港を東アジアの国際ハブ(拠点)空港に」と題して質問をいたします。
 九月定例会にも関西国際空港のありようについて種々申し述べたところでありますが、それから三カ月、関西国際空港をめぐって状況は大きく揺れ動き、激変の三カ月となりました。主なものを挙げてみますと、関西、成田、中部の三国際空港の上下分離案の白紙撤回、伊丹空港の発着枠の五十便削減を国土交通省が発表、伊丹空港の二種空港への格下げを国土交通省が提示、伊丹空港の騒音対策費の一部を受益者負担に、大阪府が関空会社への出向職員全員の引き揚げを表明、交通政策審議会空港整備部会の答申に関空二期の二〇〇七年開業を明記せず等々であります。
 いつも私が言っていることでございますが、国土交通省航空局というところは定見というものがないとしか言いようがないのであります。財政当局からプレッシャーを受けると、そのたびにころころと猫の目のように政策を変更し、そのたびに地元や関係者は翻弄され続けてきたのであります。まさに確固としたポリシー、定見がない、長期的視点がない、アジアや世界の実情と趨勢が見えていないの三ない状況に陥っていると申し上げても過言ではないと思います。こんな状態では国際競争にも勝てないし、均衡のとれた航空行政が行われることも期待できないと私は断ずるものであります。
 ところで、「日本経済新聞」紙上で、十月十八日から十一月九日にかけて八回にわたる連載記事が掲載されておりました。「瀬戸際近畿三空港」というものであります。特に後半の「関係者に聞く」というシリーズでは、関西政財界のトップ、木村知事初め六人の皆さんへのインタビュー記事で構成されておりましたが、この中で、極めて興味深く、正論とも言うべき意見が多く開陳されておりました。そのうち幾つかを紹介させていただきます。
 まず、木村知事。上下分離案は関西空港救済という批判に対し、「国際三空港が成り立つように考えるのが国政。収支面のみ強調する縮み志向の発想を、公共財の分野に持ち込むことはやめた方がいい。収支だけでモノを考える財務省の発想は「角を矯めて牛を殺す」ことになりかねない。国の玄関整備には税金(一般財源)もある程度投入すべきだ」と答えておられました。同趣旨の意見は、JR西日本会長の井手正敬氏も、関西空港の経営立て直しはとの質問に対し、「韓国・仁川国際空港はジャンボ機の着陸料が三十万円とか二十五万円といわれている時に、九十万円を前提にして収支を合わせようというのはナンセンス。国策として仁川並みの着陸料を前提に、関空会社の収支をどうするかだ。 例えば一機当たりの着陸料を三十万円にし、会社全体では一%の利益を出す。逆算して不足する分を国が持ちましょうというのが筋。そのためには空港整備特別会計の枠内にこだわらず、一般財源を投入すべきだ」と述べておられるのであります。さらに、新東京国際空港公団総裁の黒野匡彦氏も、「成田は二〇〇四年度にも特殊会社化、以後三─四年で上場できる見通し。その時点で国が得るキャピタルゲインをどう使うかは国の判断。関空への補てんはあり得る。 もう一つ。関空には、特効薬として国の一般財源を思い切り入れることが必要。元々、空港整備には一般財源投入が少な過ぎる。日本の空港着陸料が高い最大の原因で、一般財源を原資に大幅に引き下げるべきだ」と強調され、くしくも三氏の意見は一致しており、私がまた長年主張してきたことでもあります。
 一方で、伊丹空港の問題について井手氏は、「関空が苦しんでいる一方で年間百億円の環境対策費を伊丹で使っているという大変な矛盾がある。少なくとも環境対策費は利用者が負担せよというのは自然だと思う。 かつてパイロットの間では「伊丹空港ほど怖い空港はない」といわれていた。騒音問題もある。今になって利便性があるというのは、あまりにも身勝手ではないか」と。木村知事も同じく、「市街地にあって危険で、騒音問題もある国際空港は世界中でも伊丹と香港の旧啓徳空港だけだった。だから関空を造った。(中略)騒音問題はどうなのか、安全性はどうなのか。国はその原点に立ち返って判断をすべきだろう」と言われております。さらにJR西日本の南谷昌二郎社長も定例記者会見の席上で、関西空港をつくった経緯を考えるべきだ、騒音問題のある伊丹は段階的に縮小されるはずだった、国際線との乗り継ぎを考えても、関空に路線を集中させていくことが重要だと語っておられるのであります。これら各氏の意見は正論であり、至極当然のご意見であると思います。そしてまた、私がかねてから主張してきたことでもございます。
 以上、関西国際空港をめぐって紆余曲折があり、揺れに揺れた数カ月でありました。これらの状況を踏まえつつ、以下、木村知事と企画部長にお尋ねをいたすものであります。
 一、二期工事の進捗状況について。
 二、二〇〇七年の二期供用開始を明記していないのはなぜか。
 三、東アジアの国際ハブ空港であるために何をすべきか、何が必要か。
 四、伊丹の二種空港格下げは当然と思うがどうか。
 五、伊丹の騒音対策費として、受益者負担の原則に照らし、着陸料に転嫁する方針は正しいと考えるがどうか。
 六、単独民営化という国の方針は前進か後退かの六点について答弁を求めるものであります。
 一と二は企画部長から、三から六は知事からお答えいただければ幸いでございます。
 ところで、毎回のように関西国際空港のことについて同じことを言っているという批判ともやゆともつかぬ声があることを私は存じております。しかし、国の根幹にかかわることについて、それが日の目を見るまで言い続けることこそ大事なのであります。本県の県益のために、いや我が国の国益のために、関西国際空港の全体構想は何としても具体化させなければなりません。東アジアの国際空港としての地位を確立するために、滑走路三本の完全な空港として、日本の空の表玄関として、関西の空の表玄関として、関西国際空港が世界から脚光を浴びる日が必ずやってくることを念願し、その日までこの課題と取り組み、関西国際空港のことを言い続けていくことを宣言して、質問を締めくくりたいと思います。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、行政組織のスリム化についてどういうふうに考えるかということでございますが、百名を削減していくという削減目標については確実に、そしてまた速やかに達成していく所存でございます。そしてまた、そういうふうな数の削減だけではなくて、機能的な組織にしていくことを目指しておりまして、行政というのはある意味ではサービス産業でございますので、マンパワーが本当に力を発揮すれば非常に力も出ますし、力を発揮しなければうまくいきません。そのためには、適正な人事配置であるとか、人を本来生かせるような組織づくりということも削減とあわせて鋭意進めていきたいと考えております。
 次に、外郭団体の問題でございます。
 外郭団体については、和歌山県は他の都道府県に比べれば割と少ないということが前提としてありまして、さらにはここ数年、これを統合したりして数を減らしてきているということがあります。しかしながら、今、森議員のご指摘にもありましたように、そしたら残っている外郭団体がすべて十分に機能しているかどうかということと数の問題はまた別の問題でございます。中の組織が本当に県民のためになるようになっているのかどうかということを改めて見直していく必要があるだろうと思いますし、当然のことながらそういうふうなときには情報ということが非常に大事になってきます。そこで働いている人からの情報も大事だろうと思いますし、それからまた県議会の議員の方々から、ここはこういうところに問題があるよという情報も十分生かしながら、実質的な意味での外郭団体の削減というか合理化にも努めてまいりたいと、このように考えております。
 それから県産品の販売ですけれども、このような経済情勢が非常に厳しい時代には、今、県にあるものをブラッシュアップして魅力をつけて売り出すということが、それがすべてではありませんけれども、非常に大きな戦略の一つと位置づけて、ことしも銀座の三越、イトーヨーカ堂の木場店でアンテナショップ的なものをやってきまして一定の成果をおさめました。しかしながら、こういうものは一過性で、一度だけやって終わらせてしまったら、それは和歌山のもの結構よう売れたなというだけのことで終わってしまうわけでございます。これを、今後にどのように引き継いでいくか。それからまたもう一つは、ITを利用してバーチャル和歌山でわいわい市場というものをつくっているんですけれども、こういうものとどういうふうに連携させていくか。それから、今回のことでちょっと気づいたことは、和歌山には物すごくいいものがたくさんある割には、ああいうふうなアンテナショップとかを出したときに出てくるものが限られていて、いろんな事情があるらしいですけれども、物すごくいいものだなと思うものが意外と出てこないと。こういうふうな、本当にいいものの発掘ということも進めていかなければなりません。
 いずれにせよ、今は情報提供とそういう機会をつかんでいくということにたけた者が勝利をおさめるという時代になってきておりますので、今後ともこの面は最重要課題の一つとして取り組んでいきたいと思います。その場合に、組織も、例えばこれは農林水産部がやっている仕事だから農林水産部の話で自分たちだけでやりますと、こっちは商工がやっているから商工だけでやりますと、こういうふうことでは言ってみればパッチワークみたいな形になってしまって、本当の大きな施策にならないわけですので、組織のあり方なんかについても、こういうものが融合しながら、そしてまた県の研究機関なんかも一緒に入ってやれるような形の組織──固定的な組織にするのか、アドホックみたいな形のものにするのか、これはこれからいろいろ検討するところでございますけれども、いずにせよ前向きに取り組んでいきたいと思っています。
 それから、関空の問題です。
 まず、ハブ空港としての機能をどういうふうに充実していくかということで、私も先般、デンマークへ行って、デンマークとの間の航路をもう一回再開してもらおうということでスウェーデン国SASの本社へも行ってきたんですけれども、なかなか事情は厳しいです。厳しくなっていることの根本にあるのは、日本の経済力がここ十年で非常に落ちてきていると。そういうふうな中でスウェーデンとか北欧の国なんかも、どちらかというと、これから中国との関係を強めていこうという姿勢が出てきている中で、一度やめた日本との航路の再開というのはなかなか難しいという感触を──物すごく頑張ってきましたけれども──得たわけです。
 そのときに思ったのは、例えば大分割引制度を考えたんですけれども、外国が日本へ来たら物すごくもうかると思っているときには九十万円の着陸料でも十分勝負になったと思います。けれども、今日本は、ただにしてももう一回来てもらわないかんような時代なわけです。やはり、政治というのはそういうふうなダイナミックな方針で考えていかないといかんと思います。それから、どこの国へ行っても、飛行場へ入る橋で千七百円取られるような橋はありません。泳いでいくわけにはいかないので、こういうふうなものは当然損して得とれというふうなことで考えていかないといかん。それが、政治の仕事だと思います。それからまた、先ほどお話がありましたように、和歌山県からもこういうふうな声を上げていくということは物すごく大事だと思います。県だから関係ないだろうということではなくて、県からも同じようにくどいぐらいにこういうことを言っていたら、いつかそれが大きな力になってくると思って、私もいろんなところでそういうことを言うようにしているわけです。
 それから、今度はとりあえず取りやめになったみたいですけれども、伊丹を二種空港にするという問題があります。二種空港にするかどうかは別の問題として、基本的に関空をつくったときのいきさつは、都市の真ん中にあるような飛行場へおりていくときに、もう生きていくのも大変なぐらい騒音がすごいんだという話、それからもう一つはパイロットもあそこは怖いんだという話、幸いなことに事故は起こっていませんけれども、そういうふうなことがあって関空ということがあったんだから、そういう原点をもう一回冷静に考えてみるというか、頭を冷やした議論ということがこの問題については大事だと思います。
 それから、着陸料の転嫁の問題にしても、今すぐに伊丹空港を利用する人に全額というのは厳しいかもしれないけれども、いずれにせよ、今度はもう少し広い範囲で転嫁していくふうになりそうな様子ですけれども、この騒音対策に非常なお金を使うということは、これは言ってみたら、今日本が危機的な状況にある中で後ろ向きのお金の使い方なわけです。こういうふうなことをするだけの余裕がこの二十一世紀のこれからの日本にあるのかどうかということもあわせて真剣に考えて、そのときにどういうふうにすればいいかということをもっと議論していく必要があると、この問題についてはそういうふうに思っております。
 それから、単独民営化がいいのか、上下分離方式で成田に持ってもらうようなやり方がいいのかということですが、私はもうそれ以前の問題として、先ほどご質問の中にもありましたように、国の玄関ぐらいは税金でつくるのが当たり前だという考え方に立っております。
 それからもう一つは、関空がよくなれば成田は悪くなってもいいとか、成田がよくなれば関空は悪くなってもいいとか、そんな国内だけの足のけり合いみたいな議論をしていたら、よそがどんどんよくなっているときに、外から見たら、本当に何をしているんだろうあそこの国はというふうな話になってくるんで、やはり空港整備特会とか、そういうふうな小さな枠だけのことで物事を考えていくのではなくて、国策として何を考えるかということを真剣に考える必要があります。この間の識者の意見も大体そういうふうなことに集約されていたので、私も皆考えることは一緒なんだなと意を強くしたようなことがあります。これからも、そういう方向で頑張っていきたいと思っております。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、地域通貨に関するご質問の二点に対して一括してお答えをさせていただきます。
 県内における地域通貨の取り組み状況と動向でございますが、現在把握している限りにおきましては地域通貨を導入している地域はまだございません。お話にありましたように、来年一月から田辺市を中心とした地域で導入の計画があると聞いてございますし、また財団法人和歌山社会経済研究所が本年度の自主研究テーマとして取り組んでございます。このほか、和歌山市域において地域通貨を運営するNPO法人の設立が進められているところであります。
 次に、県の役割と取り組みについてでございますが、議員ご指摘のとおり、地域通貨は地域コミュニティーの発展や地域経済の活性化につなげていくことが重要であると考えてございまして、特に厳しい経済情勢の中、地域経済の再生を実現する有力な手法の一つとして注目してございます。具体的な取り組みとしましては、関係者に広く知っていただくということで、去る十一月十九日に地域づくり団体や市町村職員のほか、商工関係者にも広く呼びかけ、「地域通貨と地域振興」をテーマにした研修会を開催したところでありますが、今後ともNPOや市町村等関係団体と連携して地域経済の活性化のための地域通貨の活用について研究をしてまいりたいと考えております。
 次に、関空の二点についてお答えを申し上げます。
 まず、関西国際空港二期工事の進捗につきましては、本年五月の揚土工事開始以来順調に推移し、既に二本目の滑走路となる部分の埋め立てがほぼ終了するなど、全体計画面積五百四十二ヘクタールのうち、十一月末現在で約百六十六ヘクタールが陸化し、また施工数量をベースとした進捗率は約六〇%となってございます。なお、用地造成会社の見通しによりますと、平成十四年度末時点の進捗率は約七〇%に達する見込みとなってございます。
 二点目の、今回の答申になぜ二〇〇七年二期供用が明記されていないのかというご質問でございます。
 議員ご指摘のとおり、交通政策審議会航空分科会答申には、「早期の平行滑走路供用を目標として予定どおり工事を着実に推進する必要がある。今後、需要動向、関西国際空港株式会社の経営状況等について十分見極めつつ整備していく必要がある」と明記されてございます。関西国際空港に係る今後の需要予測が下方修正されたことや、昨年九月のテロ以降、成田空港の暫定滑走路供用の影響もあり、現状の航空需要の回復力が弱いことなどが大きな理由の一つではないかと考えております。このため、県といたしましては、航空需要の拡大に努めることが最も重要であるとの認識から、さきに県議会のご協力も得ながら、台湾及びデンマークへミッション派遣を行ったところでございますが、今後とも関係自治体、経済界とも連携しながら、関西国際空港の需要喚起、利用促進に取り組んでまいる決意でございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県産品の販路拡大の中で、十一月に行われた二つの県産品フェアの成果についてでありますが、東京江東区にあるイトーヨーカ堂木場店におきまして、十一月二十七日から十二月二日の六日間、三十五の業者、団体の参加のもと、まるごと和歌山物産展を開催いたしましたが、周辺の方のみならず、本県にゆかりのある方々も数多く来店されるなど大変なにぎわいを見せ、成功裏に終了いたしました。期間中の売上額は六百万円弱と、一日平均百万円の売り上げでありましたが、商品は原則イトーヨーカ堂の買い取りであり、物産展終了後も引き続き本県の産品の販売が行われております。
 今回の物産展は、単なる一過性のイベントではなく、今後に続くニューマーケティング戦略の第一歩と位置づけており、売れ筋商品はもとより、余り売れなかった商品の情報も価値ある情報であり、これらの分析を重点的に行い、品質面、表示面、販売方法等、どのような工夫をすれば首都圏で売れるようになるのか、農林水産部と連携をとりながら、イトーヨーカ堂並びに出展業者とともに十分研究をしてまいりたいと考えてございます。
 次に今後の展開についてでありますが、現在、イトーヨーカ堂と今回の物産展の結果検討及び今後の進め方について協議をしているところであり、同社の首都圏の販売網を活用した和歌山発の新たな販路開拓事業の取り組みを進めております。また、商品の品ぞろえも重要であり、一月から県内くまなく調査に回り、すぐれた県産品の掘り起こしを行ってございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 十一月に行われた二つの産品フェアの成果並びに今後の展開についてございます。
 二つの産品フェアのうち、物産展・紀州旬の市は、紀伊国屋文左衛門の故事を活用いたしまして、和歌山の農林水産品などのよさを全国にPRした物産展でございました。有田市での出発式、東京での荷受け式を行った後、十一月六日から六日間、三越銀座店で物産展を開催したところでございます。この間、地元メディアはもちろん、首都圏の新聞、テレビにも取り上げられまして、本県の農林水産品の大きなPRにつながったものと考えてございます。また、物産展開催期間中の来場者は約三十一万人、売上額は約二千四百万円でございまして、出展者にとりましては、首都圏における販売方法や売れ筋商品の把握がある程度できたのではないかと考えてございます。
 今後は、首都圏において本県農林水産品のすばらしさをより多くの人々に知っていただくためには、商工労働部とも十分連携を図りながら、継続的な取り組みをしていく必要があるのではないかと考えてございます。このため、今回の物産展の成果を生かしながら、やる気のある生産者の育成や首都圏で売れる商品開発の支援に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、森正樹君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。
 最初の項目、納得できない同和対策についてです。
 不透明な同和向け中小企業高度化資金の解明は、同和問題の真の解決と県政の民主化を進め、県民の信頼を高めるとの立場から質問をいたします。
 同和向け中小企業総合事業団の都道府県別延滞状況を見れば、総延滞額百七十二億円のうち、和歌山県の延滞額は五十六億円で三二%を占め、全国一位です。
 さて私は、昭和五十八年当時、新宮市議会の経済建設常任委員でした。その委員会で、中小企業高度化制度に関する新宮市同和地区中小企業構造の高度化事業利子負担軽減補助要綱を審議し、反対しました。その審議の過程で、今回の質問対象となった熊野食肉生産協同組合の設立を知り、最近法務局で登記状況を調べ、今回裁判所の競売で破産の事実を確認しました。この調査から、正常な貸し付け融資ではないとの思いがします。中小企業高度化資金は、幾つかの中小企業が共同して一つの組合をつくり、経営改善を図る事業に国と県が資金面からも支援する制度です。その目的に沿って審査が適切に行われ、運用されていたか疑問であり、県の実施した施策について具体的に質問いたします。
 この熊野食肉生産協同組合は、昭和五十八年四月、五人の組合員で設立され、三億五千七百万円を同和向け高度化資金として融資を受けました。昭和六十一年から返済を始めましたが、滞納を繰り返し、平成四年までに一千二百五十万円を返しただけで平成七年に倒産しました。結局、償還率は三・五%で、三億四千五百万円が残ったままです。県は、平成七年十一月に繰り上げ償還命令を出しましたが、その後一円の返済もないまま、本日十二月十一日に裁判所の競売入札が行われる予定です。土地や建物は県が抵当権を設定しています。土地は、昭和五十七年に組合員のA氏が事前に購入し、五十八年にA氏が組合に売っています。この土地は、平米単価十六万八千七百円で一億二千二百万円です。しかし、競売での標準価格は平米七万九百円とされ、一千七百九十一万円と安い競売評価額でした。一億二千二百万円が千八百万円です。一億一千八百万円の建物の競売価格は六百五十九万円でした。二億二千万円の機械設備は、経済的価値がないとゼロ円です。四億五千万円の担保物件が競売の最低入札価格二千百二十一万円と、二〇分の一以下の安い担保として評価されております。県は、事業団による審査も受け、承認を得た上で貸し付け決定を行っており、事務手続上問題はなかったとします。しかし、土地だけ見ても、余りにも実情に合わない高い値段で売買されていました。ちなみに県は、融資の際の資産の評価について、固定資産税の評価額を参考とするとしていますが、平成十三年度のこの土地の固定資産評価は三千二百六十八万五千二百四円で、平米単価四万五千二百八円です。確かに、現在地価は下がっていますが、地価が高騰する以前の昭和五十八年当時と現在を比べても、新宮ではそれほど大差はありません。これでも過剰融資でないとする、納得できる根拠を示してください。
 県は、返済について、組合が倒産したため、責任者との連絡がとれなくなり、その当時会うことができなかった。放置していたのではないとします。しかし、実際は放置していました。今回の競売以外に給料や財産の差し押さえなどの法的措置をなぜとらなかったのか、お答えください。
 抵当権設定・金銭消費賃貸契約では、組合が返済をおくれた場合は年一〇・七五%の違約金が発生します。しかし、なぜか違約金はありません。そのことへの質問に県は、違約金は全額徴求することが基本です、弁済金の充当は、すなわち借金を返す順番は原則として違約金、利子、元金の順で充当する、充当順序の変更は違約金を後で回収することの方が貸し付け先の償還意欲を促し、徴収上有利と認められる場合などがあるとします。しかし、この充当の順番の変更は、債務者が償還に対して十分に誠意があると認められる場合に限るのであって、返済が一割もされていないのに、十分に誠意があると判断するのは誤りではありませんか。ほかにも疑問点はありますが、このように審査の不備や不適切な運営であったと思われますが、知事の見解と部長の説明をお願いします。
 次に、一九七三年につくられた県同和教育基本方針は、同和対策が大きく前進した現状においては、この基本方針の幾つかの規定は現実にそぐわないものになっており、逆に人権教育、人権擁護運動に混乱を持ち込むことになるのではありませんか。例えば、この基本方針の性格を規定する「はじめに」の項は、「今なお部落差別が人びとの考え方や同和地区の生活実態のなかに生きています」とあります。しかし、この規定は、過去はともかく今の現実を正しく反映しているとは思えません。また、「はじめに」の部分に「「同和対策審議会答申」の精神及び「同和対策事業特別措置法」の趣旨にのっとり、教育行政機関の責務を自覚し、この基本方針を作成」とあります。「別記」にも「「同和対策審議会答申」と「同和対策事業特別措置法」に基づいた長期計画による年次計画をたて」とあります。しかし、その根拠の特別措置法がなくなった現状からすれば、それに基づいた基本方針を廃止するのが道理ある姿ではありませんか。さらに、ことし四月からは人権尊重の社会づくり条例が制定されましたが、この県条例との関連からも解消させるべきではありませんか。
 さて、以前から私どもは、旧身分を特定する「校区に同和地区を含む学校の状況調査」をこれ以上続けることの法的根拠と科学的裏づけがないとして、この調査の中止を求めてきました。しかし県教委は、これまで基本的な調査、必要な調査、格差があるから必要としていましたが、地域や人を特定する特別措置法がなくなる中、本会議や予算委員会で、多くの方々のご意見をいただきながら検討していくのは必要であろうとされ、十四年度はこの状況調査は実施されませんでした。そして、新たに人権教育の推進に関する調査が行われました。この人権調査については意見はありますが、少なくとも、今後「校区に同和地区を含む学校の状況調査」は中止するのか、この点を明らかにしてください。
 次に補充書ですが、これは決算委員会で村岡議員の質問で明らかになりましたが、高校入試に際して中学校から高校に提出されるものです。県教委の「平成十四年度和歌山県立高等学校入学者選抜の判定に係る口頭説明事項」という文書では、「同和地区生徒など、教育的環境にめぐまれない生徒や身体に障害のある生徒で、本人のもつ能力が十分発揮されていないと考えられる相当の根拠がある者」としています。そして「補充書作成上の留意点」として、「本人のもつ能力が十分発揮されていないと考えられる理由と、指導経過及び現在の状況等について記入する」ことを挙げています。この補充書の実際の提出は、県教委の資料では、平成十年度が延べで五百一人、十一年度が五百二十六人、十二年度が三百八十七人、十三年度が四百十五人、十四年度が三百八十二人です。これを受け付けした高校は、全日制では十年度から十四年度までで三十二校から三十六校です。この補充書の身体の障害や農業後継者を希望する特別の事情については一定理解はできますが、教育的環境に恵まれない生徒の例として同和地区生徒などと例示するのは、旧同和地区を依然として環境の劣悪な地域として考えているとすれば大変な問題があると考えます。
 また、この補充書の提出については、中学校長は本人の同意を得て提出するようにはなっていません。本人の同意なしにこうした文書を出すことは、個人のプライバシーを侵害することにはなりませんか。人や地域を特定した同和対策をやめているとき、こうした制度を残すことは和歌山県の子供の将来にとって好ましいとは思われません。入試判定に当たって、同和地区の出身だということを合否の判定材料にすることは直ちに中止することが適切な対応だと考えます。
 以上、教育長の答弁をお願いいたします。
 二項目めの、熊野の自然と健康を守る環境行政の実現についてです。
 毎議会取り上げています、新宮市松山での環境破壊のおそれのある産業廃棄物の建設業者の自社処理について、さきの九月議会で環境生活部長は、「八月八日に新宮保健所と合同で廃棄物対策課が立入調査を実施いたしましたところ、燃え殻の保管や廃棄物まじりの土砂等に不適正な処理が見受けられましたので、期限を付して適正に処理するよう指導しているところであります。 なお、(中略)事業者からいまだ改善計画書が提出されておりませんが、指導期限が経過しても処理がなされていない場合、また改善が十分でない場合には、廃棄物処理法に基づき改善を命ずる考えでございます」とご答弁がなされましたが、その後の住民の皆さんへの対応も含め、経過をお知らせください。
 また県は、焼却灰の長期保管は廃棄物の適正処理の観点から望ましくないとの立場から、一度も処理されずに長年置いている焼却殻や灰を適正処分することを、十月三十一日までと改善期限を切って指導しています。改善はされましたか。その結果をお知らせください。
 私は、九九年の九月議会からこの問題を取り上げ、今回で十三回目です。やっと「燃え殻の保管や廃棄物まじりの土砂等に不適正な処理が見受けられました」と、不法な処理の実態がこの議場で明らかになりました。住民の訴えに、新宮保健所や環境生活部、土木部、和歌山県警、そして知事が、それぞれの立場で努力してくれている結果だと思います。しかし、問題はまだ解決していません。私が質問を始めた三年の間にも自然や生活環境の破壊は進み、現在も進んでいます。この問題の完全な解決と、今後はもっと素早く対応でき、違法な処理を許さない方策を、国の動きも見ながら検討されることを強く要望するものであります。
 次に、世界遺産にふさわしい熊野川についてです。
 河川審議会は、人と川とのかかわりは古来より人の生活そのものともいえ、河川は畏怖すべき自然であると同時に、清らかな水が流れ、豊かな生物がはぐくまれる地域の共有財産であり、流れる水は日本の風土と文化の源泉でもあったとしています。昨年の九月議会で、熊野川に清流を取り戻すために、初めて二津野ダムの発電停止と撤去問題を取り上げました。その後、県は、昨年十一月、電源開発に濁水の軽減対策は十分なものでないとして、実効性のある長期化対策を求める要望書を出し、抜本的解決ではありませんが、電源開発から発電停止の延長などが示され、前進していると思います。
 さて今回は、熊野川の環境問題の一つとして砂利採取についてお尋ねします。
 ご承知のように、平成九年に河川の持つ多様な自然環境や水辺空間に対する国民の関心の高まりにこたえることや、地域の実情に即した河川整備の必要性から、従来の河川管理の目的の治水・利水だけでなく、河川環境を加えて、水質、景観、生態系などの整備と保全を推進する河川法に改正されました。
 平成十一年三月の河川審議会答申では、新たな水循環、国土管理に関する課題として、一つ、廃棄物投棄による水質汚染、環境ホルモンなどの新たな汚染物質の顕在化、生態系の変化、水文化の喪失等、水循環に関するさまざまな弊害を挙げ、二つ、川と人間とのかかわりの希薄化、三つ、川と川沿いの地域との関係の希薄化、四つ、立ちおくれている危機管理対策を指摘しています。そして五つ目として、土砂・砂利に関する問題の多様化、複雑化を挙げ、ダム等の築造に伴う下流河川への土砂供給の低減、過度の砂利採取などにより河床低下、海岸侵食等の安全、利用上の問題に加えて、砂浜の喪失等の環境上の問題も顕在化し、多様化かつ複雑化しているとしております。まさに、熊野川の姿です。
 特に砂利問題は、本宮町では砂利が上流に堆積し、河床を上げ、浸水の原因となる。一方で、海岸部では海岸侵食が進んでいます。本宮町が浸水被害を軽減する河床整備の方法として、昭和六十二年から砂利採取を実施した結果、以前は洪水時三千トンの出水で浸水していたのが、現在では四千トンの出水にも大丈夫だそうです。また、地元建設用骨材の確保から、紀南砂利生産協同組合が昭和五十二年から砂利採取を行っています。平成十三年度の熊野川での和歌山県の砂利採取量十五万二千立米の内訳は、本宮町十一万六千立米、紀南砂利三万六千立米であり、手数料として一立米当たり二百二十円が県の財産収入となっています。熊野川という一つの母なる川の恵みを受けている対岸同士の和歌山と三重ですが、三重県は昭和五十五年から熊野川での砂利採取は行っておらず、同一流域としての整合性を求める声があります。例えば、和歌山県の本宮町では、砂利採取の収益が上がり、三重県の御浜町では、井田海岸の海岸侵食対策の費用がかかっており、熊野川の恵みと環境面からも、同一流域市町村との整合や協力が必要ではないでしょうか。砂利採取で上がる収益は、流域地域の目に見える形での県独自対策での活用や、また両県の連携した活用も検討が必要だと思いますが、県の考えをお聞かせください。
 また、本宮町は、平成十九年三月末で砂利採取を中止するそうですが、その中止計画とその後の堤防補強などの河川整備について、県の考えをお聞かせください。
 さて、紀伊山地の霊場と参詣道を世界遺産に推薦することが十二月六日、文化審議会文化財分科会で承認されました。平成十六年の第二十八回世界遺産委員会での登録を願うものです。しかし、世界遺産登録とは、文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界遺産として損傷、破壊などの脅威から保護し、保存するためのものですから、その責任は重大です。熊野川も川の参詣道として登録されますから、熊野川の自然と環境を守っていくことが必要となり、自然本来の熊野川のあり方や姿を考えるとき、当然、濁水問題、廃棄物の不法投棄、砂利採取についてその対応が迫られると思います。
 熊野川の砂利採取は、昭和四十年ごろから河川管理上支障を与えない範囲内で許可をしてきました。しかし、国立公園でもあり、二十一世紀の河川環境や世界遺産登録を考えるとき、砂利採取をどうとらえるのか、また本宮町が中止の方向であるだけに、雇用の場合でもある民間の砂利採取を今後どうしていくのか、砂利採取の許可権者としての県の考えを聞かせてください。
 国の河川整備計画待ちという消極的姿勢ではなく、和歌山県が河川管理者として熊野川のあり方を国に提案する基本の一つの柱として、知事と部長の答弁をお願いいたします。
 世界遺産登録にも関連する熊野川沿いの不法投棄ですが、特に白見の滝付近の埋め立てや投棄は二〇〇〇年二月議会からの宿題ですが、一向に解決されません。この件は、昭和六十三年からの口頭指導から始まっており、平成十二年九月七日に違法行為者に対して「不法埋立に関する報告書の提出について」の文書を出し、一、埋め立てを処理し始めた時期及び期間、廃棄物の処理、埋め立てた量と面積、廃棄物等の種類と量及びそれらを図示したもの、二、処理し始めた経緯及び現在までの経過、三、今後の対応について、平成十二年九月二十一日までに提出することを指示しました。しかし実行されず、その後十月四日に口頭で、さらに十月三十日に文書通知で督促しましたが未提出で、十二月二十二日に平成十三年一月十日までに当局あてに報告書の提出なき場合は、刑事告発もしくは廃棄物の撤去に向け行政代執行の措置をとり得る場合もあると督促しましたが、いまだに実行されておりません。また、土木部長は「和歌山地方法務局など関係機関との協議の結果、河川区域を特定するための図面を作成中です。その作業終了後、除去に向け監督処分などの法的措置を実施」としていますが、一向に改善された様子はありません。世界遺産登録が間近に迫っているとき、河川管理者の県が、この議会で違法行為とした不法投棄、埋め立ての案件をいつまでも解決できないでは、これから熊野川を世界遺産として保護、保存していけるのか不安です。県は、熊野川の河川管理と環境についてどのように考えておられるのか、またこの一件の早期解決に向けての特別対策や見通しについて、部長、お答えください。
 最後の項目、グリーンピア南紀についてお尋ねします。
 十一月十五日、財団法人グリーンピア南紀の理事会は、和歌山県からの運営委託を辞退する決議を行い、県と年金資金運用基金が協議した結果、紀南大規模年金保養基地グリーンピア南紀が平成十五年三月いっぱいで運営停止することを決定しました。小泉内閣の経済効率を第一に弱者に負担を押しつける構造改革は、国の特殊法人の整理合理化計画で、グリーンピア事業を財政基盤の弱い地方への譲渡や民間企業へ売却する無責任きわまりない方針を打ち出し、廃止か民営化かと迫ったわけです。
 グリーンピア南紀は、那智勝浦町、太地町にまたがる三百六十四ヘクタールの敷地を持ち、ホテルやコテージのほか多様な施設を持つ国民の総合保養施設として昭和六十一年に開設されました。運営は年金資金運用基金が県に委託し、さらに県と那智勝浦町、太地町が出捐した同財団に運営を再委託し、観光でも雇用の面でも地域に貢献してきました。しかし、景気の低迷もあり、平成九年度から単年度収支が赤字となり、昨年十一月には公益法人には珍しいリストラ策として希望退職の募集を行うなどの一定の経営改善計画を策定し、努力がなされていたやさきだけに、運営停止に地元は驚きました。十月二十八日に行政組織等の見直しに関する提言が提出され、熟読する間もなく、早々と見切りをつけるようなやり方は、そこで働く人の意欲をそぎ、地域にも大きな影響を与えることを考えないものです。それだけではありません。宿泊や施設利用の予約は六カ月前から受け付けていましたが、団体客を含めた予約を断る事態をつくり出し、利用客に迷惑をかけ、信頼を失墜させる乱暴で無計画なやり方は経営責任が問われます。ですから、経営改善や存続について十分に論議された結論だとは思われません。現場の意見も含めて十分に論議し、検討された上で決断したのですか。存続の可能性について、知事、お答えください。
 理事長でもある木村知事の本会議での知事説明要旨には、「今後、この施設が地域振興につながるよう、地元町や施設の所有者である年金資金運用基金と運営停止後の利活用について、さらに協議を重ねてまいりたいと考えております」とあります。しかし、そこには、働く人たちのことは残念ながら一言も触れられておりません。不況の中、年末年始に向け、忙しい現場では不安の声が上がっております。理事長として木村知事は、そこで働く人の生活と雇用に重大な責任を負うことは当然です。グリーンピア南紀の今後について、知事の決意をお聞かせください。
 昨年十一月に希望退職者を二十名募集したところ、何と三十五名が手を挙げました。その理由は、将来不安と経営のやり方に反発が多かったようです。しかし、三十五人も一度に退職されたら日常業務が成り立たないと、三月までの慰留を行ったそうです。これも、経営体質の改善と計画の甘さを感じさせる出来事でした。希望退職に応じなかった人たちは、これまでも人件費や経費の削減に努力し、お粗末な経営改善計画にも協力して、財団を信頼して、職場を守るため一生懸命頑張り、グリーンピア南紀を支えてきました。そんな人たちを切り捨てるようなことはあってはならないと思います。今働いている人たちの生活と雇用を保障することに対する部長の決意をお聞かせください。
 最後に、グリーンピア南紀の運営停止を知って、今までどおりのリゾート施設として存続を求める声は多いですが、老人施設とか障害者施設への転用を望む声もあります。さきの提言でも、「地域の振興策に十分配慮しつつ、施設の今後のあり方については関係自治体と早急に協議を行うことが必要である」としており、この施設の今後について部長の答弁をお願いいたします。
 これで、私の第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 高度化資金の三点につきましてお答えを申し上げます。
 貸し付けの審査については、その時々の状況の中で判断がなされ、今日に至っております。今は債権回収に最善を尽くすため、本年度から組織体制の強化を図り取り組んでいるところであり、処理に当たっては、ガラス張りの中で、すべて法律に基づき公正に処理を行ってまいります。
 次に熊野川の砂利採取のあり方については、治水・利水、そして世界遺産登録の問題もあり環境、この総合的な観点に立って、今後策定する熊野川河川整備計画において検討する予定でございます。
 次に、グリーンピア南紀の存続の可能性についてお答えいたします。
 グリーンピア南紀については、県といたしましては、地域振興、雇用等の観点からできるだけ長く運営を継続する方向で経営改善への支援や民間事業者への働きかけなどを行ってきましたが、最終的に効果を見るには至らず、非常に苦しい選択ではありましたが、これ以上の支援は困難であるとの判断を行ったところでございます。
 施設の今後につきましては、地域振興に役立つようなものになるよう引き続き地元自治体と協議を続けるとともに、雇用の確保についても努力をしてまいりたいと、このように考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 同和高度化資金の実態の中で、審査が適正か、過剰融資ではないかのご質問でありますが、この件につきましては、既にさきの議会でも答弁したとおりでございますので、ご了解をお願いいたします。
 また特定の組合に関するご質問については、答弁を差し控えさせていただきたく、ご理解を賜ります。
 次に返済について、競売以外の法的措置を講じたのかにつきましては、一般的には競売申し立てと並行して、可能な範囲で財産等の調査を行っております。その後、競売の進捗状況を踏まえ、連帯保証人の財産も含め差し押さえを実施することとなります。いずれにいたしましても、法律に従って処理をしてまいりたいと考えてございます。
 次に、違約金を取らない理由と今後の対応についてでございますが、一般的には充当する時点で違約金を後順位にするのは十分に誠意があると認められる場合で、中小企業総合事業団で承認されるものでございます。
 また、今後の対応といたしましては、一層慎重な取り扱いをするとともに、違約金が幾らあるか認識してもらうため、一定の期間ごとに債務者に通知する必要があろうかと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 産業廃棄物関係の質問についてお答えします。
 去る十月十八日に、新宮保健所立ち会いのもと、事業者が現地を掘削したところ、廃棄物の混入が認められましたので、十一月一日付で廃棄物処理法の処理基準に従い、平成十五年一月三十一日までに適正に処理するよう知事名で改善命令を行ってございます。また、十二月五日には新宮保健所と合同で現地調査を行い、改善作業に着手していることを確認するとともに、地元住民の方々には作業場における不適正な廃棄物の処理への県の対応状況を説明してございます。
 次に焼却殻についてでございますが、去る十二月五日調査したところ、灰状の燃え殻はふたつきのドラム缶により、スラグ状の燃え殻はコンテナに防水シートで覆うことにより保管しております。しかし、ドラム缶による保管が長年にわたれば腐食の心配もございますので、できるだけ速やかに適正処理するよう引き続き指導してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず熊野川の砂利採取のあり方についてですが、砂利採取収益の活用につきましては、県、町で一般財源に充当しており、結果的に河川などの公共事業に還元しております。なお、熊野川の河床変動と井田海岸の侵食との因果関係は明白ではございません。
 砂利採取も含めた熊野川の整備のあり方につきましては、流域委員会の設置を国に働きかけているところであり、その中で順次策定する熊野川河川整備計画において検討する予定であります。
 次に白見の滝付近での不法投棄につきましては、監督処分をすべく、不法投棄前の航空写真をもとに、流水の状況、水生植物の状況、石、砂の状況等により、河川区域の図面を五月に策定したところであります。その後、和歌山地方法務局、さらには大阪法務局と協議した結果、当該地域は公図混乱地域であり、監督処分を行う場合についても地番を特定した方がよいとの指導を受け、現在、地番を特定するために公図を整理しております。地番の特定ができ次第、監督処分を実施してまいります。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) グリーンピア南紀についてでございます。
 まず、働く人の生活と権利の保障についてお答えいたします。
 グリーンピア南紀は、これまで雇用面でも多大の貢献をしてまいりました。このため、民間事業者による経営継続の道も探りましたが、長期展望が不明なことなどから民間事業者の参画は得られず、断念いたしました。従業員の雇用の確保については非常に重要な問題であり、ハローワークなどの協力を得て、財団、県、地元二町が連携をしながら企業訪問等を行い、再就職支援のために最大限の努力をしてまいります。
 次に、施設の今後のあり方と関係自治体との協議についてでございますが、土地の所有者である年金資金運用基金では、施設について、まず公共団体で有効利用を図ってほしいとの意向があり、地元の那智勝浦町と太地町に対し、跡地の譲り受け、有効利用を図る方向での検討をお願いしているところであります。県としても、地域経済の活性化や雇用の場の確保という観点から、引き続き施設の跡地の利活用について、地元自治体や年金資金運用基金と積極的に協議をしてまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 人権教育に関連したご質問にお答えします。
 人権に関する国際的な機運の高まりや、教育及び啓発に関する法律の制定など、今日的な状況を踏まえながら、さまざまな人権問題の解決に向けて教育の充実に努めているところでございます。
 同和教育上の課題に対しましては、和歌山県同和教育基本方針の理念に基づき必要な取り組みを行っているところでございます。また、人権教育の推進状況を幅広い観点から把握するため、本年度から各学校における同和問題を初めとしたさまざまな人権にかかわる課題や、その解決に向けた取り組み等について調査を実施することといたしました。
 次に補充書につきましては、高等学校入学者選抜において、教育的環境や身体の障害などにより能力が十分発揮されていない生徒、農業後継者等を希望している生徒などの特別な事情について、調査書や副申書の記載を補充するために行ってきたものでございます。現在、中学校と高等学校との連携を密にする観点から、その実施方法等について検討を行っているところでございます。今後とも、これまでの取り組みの成果を踏まえ、人権が尊重される豊かな社会づくりに向けた教育の一層の充実に努めてまいります。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 土木部長に、再度質問いたします。
 熊野川の砂利の問題と井田海岸の問題なんですけれども、私は別に海岸侵食の因果関係、そんなことをお尋ねしたわけではありません。私がお尋ねしたのは、読み上げますけれども、「砂利採取で上がる収益は、流域地域の目に見える形での県独自対策での活用や、また両県の連携した活用も検討が必要だ」と、こういうことを言ったわけであります。こういうご答弁をいただくと、何か、因果関係がないから三重県とも仲よくしないよと誤解されるような気がして心配なんです。私は、そういうことを聞いたわけではありません。三重県とも一緒になって、流域の市町村とも一緒になって考えていったらどうですかということを提案したのであって、こういうご答弁は真意ではありませんので、再度お尋ねします。
 もう一つ、この砂利採取の今後のあり方で、いろんな皆さんのご意見を聞く、また国の動向を見る、このことは大事だと思います。しかし、今回あえて私は河川審議会の答申を引用させていただいて、平成十一年の時点で河川審議会はこういうふうに現状認識をしています、だから和歌山県も熊野川についてどういう認識を持っておられて、どういう方針で取り組んでいこうとしているのですかと、そのことをお聞きしているのです。そうした方針がない、まだつくられていないんだったら、まだつくられていないと、その点をはっきりしてください。
 その二点を再質問させていただきます。
 グリーンピア南紀の問題について、運営停止までの営業に最大限の努力を払ってください。そして、那智勝浦町、太地町とも一緒になって運営停止後の職員の雇用対策に全力の努力を払ってください。さらに、両町と協議してグリーンピア南紀の施設の有効活用に向けて、地元のいろんな方の意見を聞いて、ぜひ有効活用できるようご努力されることを、本当に心から要望いたします。
 次に、同和の高度化資金の問題です。
 非常に残念な答弁でありました。議員が、行政が行った施策が正しく行われているのが疑問だと思い、それを質問することは当然のことであり、改善を求めるのも当たり前のことだと思います。なぜなら、議会はチェック機関だと思うからであります。しかし今回、お金が百億円以上返されていない状態。ある組合は一円のお金も返さないで倒産している。また、一割も返さないような返済ができていない、そんな組合がたくさんある。だれでもおかしいなと思うのは当然であり、行政は何をしていたのだと思うのは当たり前のことではないでしょうか。そんな疑問を解決するために、そうなった原因を調べるためにいろんな資料の提出を議員として求めましたが、知りたいことは教えてくれません。だから、今、文書の開示請求を行っているところですが、それを待つわけにいきませんから独自調査をして、なぜこうした滞納などの事態を生み出してきたのか、その疑問点を探して議会で質問する。すると今回は答弁を差し控えさせていただきますと、答弁をしない。具体的な根拠となる数字を示しても、これも答えない。一円の返済もない非常に返済率の悪い組合に対して、借金返済に対して十分誠意があると開き直るような答弁、おかしいと思います。これでは、一生懸命調査して、準備して真剣に質問しても、まともな答弁、あるいは答弁そのものが期待できないわけであります。あえて、こういう状態になったら言わせていただきます。行政が行った過去の誤りを隠し、身内をかばっているのではないか、そんな不信感さえ抱いてしまいます。私も考えます。どうか、知事を初め職員の皆さんも、本当に考えてください。百億もの借金が返されないというこの責任、そのことを本当に考えていただきたいと思います。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 砂利採取収益の活用につきましては県、町で一般財源に充当しており、両県の連帯した活用は考えておりません。
 熊野川における砂利採取のあり方につきましては、流域委員会の設置を国に働きかけているところであり、その中で順次策定する熊野川河川整備計画において検討する予定であります。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 知事及び部長にお願いします。
 昔、新宮の河原で泳げたんです。今、泳げないんです。本当に子供たちが、子供だけでなく市民があの河原で泳げる、そんな熊野川であってほしい、こう思っておるんです。そんな川が本当に世界遺産にふさわしい川である、このように思います。そのためにも、濁水問題の解決、あるいは不法投棄の問題の解決、そして砂利問題の対応、ぜひ一生懸命頑張っていただきますことを心から要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十五分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 ただいまから、一般質問を行ってまいります。
 私は、今まで数回は空気や水の環境問題についての質問を行ってまいりました。しかし今回は、一転趣を変えまして、地元の人々の要望を取り上げて知事のご見解を賜りたいと思います。
 そうはいっても、今までの陳情にありがちな、県にお金を出してほしい、国からお金を持ってきてほしい、こういったおんぶにだっこの陳情ではなく、地元の人々一人一人が知恵を出し、そして努力をし、お金を集めながら町づくりをしていくという、こういう取り組みの陳情でございます。これは多分、これからの地方自治の時代、つまり地方分権の時代に、自分たちのふるさとは自分たちの手でつくっていく、こういった取り組みの大きな町づくりのモデルになると私は思いまして、この取り組みを質問として取り上げた次第でございます。
 傍聴席におられる方々がその主人公でございます。きょうは、その地域づくりのために署名や陳情に立ち上がったその中の三十六名の方々が来られております。
 ただいまから、早速質問に入ります。
 知事もご存じのように、椿温泉にある県立軽費老人ホーム無憂園の園舎を取り壊し、更地にしようとすることの件でございます。
 解体費用約七千五百万円が本年度の予算に計上されています。県としても、この施設利用等については十分検討され探してきたが、これというものが見つからなかった。いよいよ解体をする。時間的には大変難しいことは承知の上で、夜も眠れない中、地元の女性の人たちが中心になり、椿に残っている灯を消さず、子供や孫のためにふるさと椿を大人の責任として残していきたい、そういった熱い思いで立ち上がり、一晩で四百名を超える署名を集め、十一月二十二日には町、及び十一月二十五日は県に陳情したところであります。言うは簡単ですが、本当に何回も集まり、そうはいっても自分たちでやっていけるだろうか、みんなから協力を得られるだろうかと悩み悩んで決断をされたのであります。
 そこで、地元の皆さんはどういう青写真をつくればよいのか、またこの施設がどこまで使えるのか、調べました。地元の一級建築士の専門家グループに診断をしてもらっています。こういう結果になります。
 地元の皆さん方の趣旨に合わせた診断結果は、かいつまんで申し上げますと、「施設利用の方針は、現代における湯治場の復活であり、熊野古道の世界遺産登録や国民の癒しへの欲求の高まりなどの時勢と、奥白浜的な椿温泉の性格にふさわしい計画と言え、当該施設をそうした利用に供することの可能性について検討を行った。今後の構造体の詳しい調査によるが、目視によれば耐震補強などにより建物再利用も可能と判断され、設備についてもリニューアルによって延命できるものと考える。 取り壊し予定の建物のうち約半分を残し、施設規模を縮小した上で、用途変更と改修の工事を行ったらいけるのではないか」と、診断がされています。また、それを改築する場合にどれくらいの費用が要るかという試算も出ています。そうした準備を経た上で、どうか跡施設を利用させていただきたいのであります。
 壊して更地にするだけではもったいない。そして、更地にするだけでは、今の経済状況から言えば買う人もないから、結局は県の持ち出しに終わってしまう。そこで、地元にとってもプラスになり、そこで何がしかの収入が得られるような利用の仕方、あるいは新しい観光スポットみたいなものをつくりたいという声が女性を中心としてにわかに上がってきたのであります。
 ただいまから、その陳情書を私から紹介をさせていただきたいと思います。
 「陳情書 (主旨) 県立軽費老人ホーム「無憂園」園舎のとりこわし猶予と施設有効利用について陳情致します。 (説明) 県知事におかれましては、日頃県勢伸展のため、日夜ご奮闘いただいていますこと、心からお礼申し上げます。 中でも「緑の雇用事業」を提唱し、具体化に努められ、又、地方分権時代の地方自治についての提言など、先進的な活動をされていることについて、県民として、大いに敬意と信頼を申し上げているところであります。 さて、仄聞するところによりますと、椿温泉に所在する県立軽費老人ホーム「無憂園」は隣接する「旧老人休養ホーム真静荘」を改装し移転、園舎はとりこわされるとのことであります。 私ども、地区民として、この園舎を「とりこわす」ことは余りにも惜しく、園舎の「有効利用」について、有志相寄り協議を重ねております。 地区民、「自らの発意と智恵と協働による、地域づくり」をめざし、この園舎を県から譲り受け、自主運営し、これからの超高齢社会にむけて、昔からの椿温泉の希有な泉質を生かし「湯治の場」や「託老所」として、又、「高齢者共同住宅」として、はまゆう病院と連携して「ケアセンター」として、等々の提案がなされ、種々協議中であります。 これらの提案は、まさしく、今の時代に即応した「予防医療」「介護予防」の具体的な取り組みであると自画自賛しております。 加えて、知事のご尽力が実を結び、海沿いの熊野古道「大辺路」が世界遺産登録にむけて、国の史蹟として文化審議会の答申がなされたとのことであり、広域観光、観光立県の見地からも、鄙びた、静かな、温泉地の特徴を生かした長期滞在型の「癒し」の拠点として、今後の椿温泉の役割が想定されます。 私どもの願いがかなえられ、園舎を県から譲り受け、地元民間団体による自主運営が実現した場合には、NPO法人の設立が必要であり、町や県の行政のお力添えもお願いしたいと考えております。 以上のように、地元関係者が種々協議していますので、事情ご賢察の上、「園舎とりこわし」について、しばらくの猶予と、「施設の有効利用」について、ご高配賜りますよう、住民連署の上陳情申し上げます。 平成十四年十一月二十五日 和歌山県知事木村良樹様」。
 椿温泉は、古くから「サギの湯」、「ツバキの湯」などと呼ばれ、リューマチ、神経痛、胃潰瘍、各種後遺症に効能が著しく、名湯と言われ、湯治場として最盛期には多くの入湯客でにぎわっていました。古くは一二八四年(弘安七年)に藤原定家の子孫も入湯している記録もあります。その当時からもいろんな温泉があったのですが、椿温泉のお湯がいいとだんだんと広がったのでしょう。それぐらい立派な温泉地であります。
 何をするのか要約いたしますと、一つは、椿温泉というのは古い湯治場として知られているし、これからの医療の流れであります予防医療とリハビリ医療のこの二つを兼ねたものをつくり上げたいということ。さらに、これからの時代に即応した介護予防に取り組みたいということ。二つ目は、それをつくり上げることによって白浜への観光が、短期間の観光の魅力と同時に、長期滞在型の旅行客を招致する一つの観光スポットとしての魅力にしたいということ。三つ目は、世界遺産登録がいよいよ実現のスケジュールに迫っている折、高野山や信仰の深い空海とのつながりもあると言われているこの歴史の古い椿の湯治場が復活することによって日本的な観光のスポットが入り、ますます世界遺産登録に花を添えることになるのではないかということ。四つ目は、このことが実現すれば、地元の皆さんも試算をしていますが、新しい雇用が生まれてくることなどであります。
 国の厚生労働省の方針も、薬だとか施術でお金がかかるよりも疾病に陥らないように予防医学の段階で抑えようとする方針へ、寝たきり老人をつくらないという介護予防の方向に向いており、この計画案と合致をしてくるのであります。また、私も平成十三年六月議会で、世界遺産を生かした南紀の先駆的施設開発、予防医療と健康リハビリセンターづくりを取り上げ、知事も、いろいろ研究してよい成果が出ていくように勉強していきたいと考えると、前向きな答弁をいただいています。
 これからの観光の形態も、短期間の娯楽ではなくて、これからはじっくり過ごすために滞在して暮らすというヨーロッパ型の暮らし方が多くなってきます。そこに予防とリハビリ医療が備わっている観光地であれば、安心して行け、しかも観光客の増加につながります。一番ありがたいことは、椿周辺の人たちが、こうした施設ができれば観光の売り物になり、客を伸ばすことにもつながるのであります。また、建築費の一部や運営資金集めについても、NPOなどを立ち上げる準備を進め、検討しています。南紀熊野の大辺路を中心として世界遺産登録されたときには、観光客は華々しい観光地よりも地味ながら人間的な生活を持続できるようなスポットに引かれていくのではないでしょうか。しかも、高野熊野という日本の代表的な聖地と空海の生み出した日本独特の宗教の場所にこういうものがつくられるのは、意義の深いものであります。
 ここまでの緊急の決断は、今年度に撤去予算が組まれているという時間的にない、大変難しいことは十分承知の上での知事へのお願いであります。それだからこそ、夜も眠れない中で地元の女性の方々が中心となり、何回も話し合い決断をし、椿温泉地域全体に賛同が広がったことを知ってほしいのであります。このように、住民が話し合ってつくろうとするこのプロセスというのが一番大事なのではないでしょうか。
 きょうお見えの、代表しています吉田さんから話を聞き、私は大変感動しました。たしか、十一月十八日の電話だったと思います。「お父さんが、これから署名や陳情など動くのに何もないんではと、郵便局で十万円の通帳をつくってきてくれた。大変ありがたかった。仏さんに供えてきたんや」と。そして吉田さん自身も、人生の残りを椿のためにかけてみようと自分に言い聞かせたのだそうです。実は、きょうの傍聴も、みんな少しずつお金を出して、バス代を自己負担をして、ふるさとを守るために仕事を休んできています。国や県のお金よりも小さいですが、一人一人が集まればかなりの額になります。
 知事、こうした住民の要望や時代の流れに即した県の予算の使い方についての、画期的な弾力性を持った知事の決断を求めたいのであります。方針どおり建物を税金で撤去し、更地にした場合、今の経済状況から言えば買う人も少ないから、結局は県の持ち出しに終わり、県には一銭も財政収入が入らないのではないでしょうか。見直しをしていただければ、予防医療やリハビリ医療によって医療費の増加も抑えられるし、和歌山県全体の活性化にも広がる。これが黒字になったら、県への税金もふえるでしょう。更地にして置いておくよりも金のなる木になるのではないでしょうか。つまり、知事が言われています、前向きな県民の税金の使い方ではないでしょうか。
 建物の診断によると、半分は使えるとなっています。予算のうちの半分を解体費用として、大変虫のいい話かもしれませんが、その残りを改修費用に回してもらいたいのです。手続上の問題があると思いますが、そのタイミングと目的によって臨機応変に知事の判断をしてもらいたいのであります。このことは、知事の、地方自治の時代であるからこそ硬直した行政から弾力性を持った、裁量権が広がるという事例にもつながり、県有施設の有効利用のあり方として、また県政と住民のふるさとづくりのあり方にもつながる大きな意義を持つことだと確信をいたします。知事のご見解をお伺いいたしまして、私の一番目の質問を終わります。
 続いて、地球温暖化防止に貢献する緑の雇用事業と連動し、豊かな自然を守り、農作物や森林への野生動物被害を解決する和歌山からの発信について質問をしてまいります。
 第一番目は、地元の「紀伊民報」等で報道されていますが、猿、イノシシ、シカ、アライグマによる農産物の被害が大きくて農家の方々も茫然自失の状況にあり、祖先伝来の農地で農作物をつくっていた人はこれからどうしていいのか、途方に暮れています。全く生産意欲を失った人もおられます。
 私の選挙区では、今、夜、懇談会をして住民の要望を聞いていますが、至るところで一番多く訴えられるのは、農作物の被害を何としても防いでほしいとの声であります。具体的に申し上げますと、中辺路町では、猿に梅を食べられたり、農作物を荒らされ困っているところ、大塔村やすさみ町では、祖先を祭っているお墓がイノシシに荒らされて困っているところ、また富田町や白浜町、田辺市ではアライグマに農作物を荒らされているところ、日置川町、すさみ町、串本町などでは猿、シカ、イノシシに農作物が荒らされているところ、至るところでこの鳥獣被害は拡大していると思います。多分、そういうことからすると県内全体の被害は甚大なものだと私は思います。
 田辺・西牟婁地方の平成十四年度上半期、つまり四月から九月の有害鳥獣捕獲数が十月二十六日付の「紀伊民報」で報道されているのを見ると、猿が前年度八十一が百二十八に、シカが二十九が五十三に、イノシシが二十五が四十九に、アライグマが二が二十六になるというように、四種類すべてが前年度一年間の数を既に上回っています。特に急増しているのが、実はアライグマであります。各市町村の担当者も、農産物の鳥獣被害は毎年あるが、ことしは被害の数が多いと話をしています。
 県がまとめた被害状況は、平成十年から十三年度まで、私の手元に出してもらっていますが、平成十三年度では七百四十三ヘクタール、二億三千二百五十六万九千円となっています。ことしの被害状況はまだ取りまとめられていないようですが、これらの野生動物被害に対して県としてはどういう認識なのか、どういう対策をとってきたのか、関係部長にお伺いをしたいと思います。
 ところで、全国的に農作物の被害が多いため、国は三年前に法律を改正し、特定鳥獣保護管理計画という制度を設けて野生動物保護管理に対して県が独自の方針を立てられるようにしましたが、我が和歌山県はどういう方針を立てたのでしょうか。例えば猿の場合は、ニホンザルとタイワンザルの交雑による遺伝子汚染への取り組みがなされていますが、猿による農作物被害も同じく過酷な課題だと思います。そして、この猿の被害への取り組みがおろそかになっているのではないかと憂慮をしています。生活を失うおそれのある農家の方は、もっと深刻ではないでしょうか。県下全体の猿の保護管理計画をつくるべきだと思いますが、お伺いをいたします。
 続いてシカについては、平成八年、九年に、県でシカ生息調査をしています。シカの被害を防止するという線に沿った生息数だとか移動調査をして対策の一つになっていることは認めますが、私がそのレポートを見て驚いたのは、調査翌年の平成十年から雌ジカを新たに有害駆除に加えて、駆除していい雌ジカを県下全体で年間二百頭を上限とする具体的な数字を挙げているのに、実績は、平成十年度は四十頭、十一年度は七十二頭、平成十二年度は二十頭しか駆除をされていません。また、上限の二百頭に近い頭数を駆除していたらシカの繁殖は多少なりとも抑えられて、今の被害にまで広がらなかったかもしれません。上限二百頭の根拠や意味は何か。シカの保護管理と農作物被害の抑制のためには、県の方針として積極的に雌ジカ二百頭を駆除してはどうか。上限数値に至らなかったのは何が理由なのか。関係部長にお伺いをいたします。
 また、専門家は、雄ジカは狩猟期に捕獲され数が減っても、一頭の雄が雌十頭、二十頭と交尾が可能なので妊娠率も落ちない、雄を少々駆除しても繁殖数を減らせない、減らすのであれば雌を駆除することを考えるべきだ、そのためにはシカの特定鳥獣保護管理計画をつくり雌ジカの個体数を調節するという方針が必要だろうと言っています。また、ハンターの方々に頼るばかりではなく、全体的な方針を県が示し、有効な計画を立てるべきではないでしょうか。お伺いをしたいと思います。
 続いて、憎きイノシシについては調査を行っていないようです。なぜ行っていないのか、関係部長にお聞きをしたいと思います。
 さらに、被害の深刻なものはアライグマによるものであります。
 全国的な状況は、北海道、東京都、神奈川県、岐阜県、愛知県、そして和歌山県など、全国各地で自然繁殖をしています。特に北海道、神奈川県では被害が顕著になっています。県内での被害発生市町村は、高野口町、清水町、美浜町、田辺市、白浜町、上富田町、太地町などであります。(「かつらぎもある」と呼ぶ者あり)かつらぎも。あと数年もすれば県下に、また全国に生息域が広がり、その被害というものは、農産物被害だけではなく住居への侵入など多様になると予想されています。
 アライグマは北米原産の動物で、日本にはもともといない、いわゆる外来動物であります。和歌山県の場合も、どこかで逃げたか、放された少数の個体が繁殖をし、分布を広げていると考えられます。したがって、この対策を考える場合、一つの市町村だけの取り組みではだめであるということ。また、各地で問題となっているブラックバスのように外来生物による在来生物への影響は、はかり知れないものがあります。となれば、アライグマに対しては市町村による有害駆除だけでなく、県が主体となって県下のアライグマを駆除するという徹底的な取り組みが必要になると考えますが、いかがでしょうか。
 残酷な措置だと思われるかもれませんが、東京ではカラスがめっきり減ったと言います。カラスによる被害は、例えば生ごみを捨てに来る人間を襲ってくるとか、都会の真ん中でカラスと人間の戦いが繰り広げられています。それに敢然と石原東京都知事が立ち向かいました。カラスを捕獲し、卵を壊してカラスの数を三分の二に減らしたと言われています。都民はカラス公害から解放され、ほっとしているということもあるので、行政というのは時には嫌な決断をしなければならないときもあると思いますが、関係部長の見解をお伺いしたいと思います。
 アライグマのこれからのことについても提案をいたします。
 一つは、少なくとも室内のペットとして飼う人には、安易な飼育放棄をさせないための教育指導、義務づけが必要と考えます。そのためにはペットとしての登録制度や違反者への罰則も必要ではないかという考えがありますが、お伺いをしたいと思います。
 条例などを早急に波及させることが急務ですが、それと並行して強固なアライグマ駆除作戦を展開する必要が私はあると思います。それには、先ほど述べた飼い主のモラルとともに、アライグマを捕獲・駆除したらそれなりの報奨金を出す、事前に猟友会等にアライグマ駆除作戦を徹底させるなど、そこまで事態は深刻化してきていますので、関係部長にお伺いをしたいと思います。
 シカ以外については、何しろ生息調査ができていないということですが、早速生息調査を始め、動物の現状を把握して、効果的、効率的な対策を立てて合理的に駆除していくということが農作物の被害を抑えることにつながることになりますので、今すぐにでも始めてもらいたいと思います。そうすると、来年の駆除数は、その生息数から編み出すことになると思います。それと、各農家に農作物を荒らされた被害状況、危険情報を知らせ、JAとの協力を得ながら駆除するという、早目に手を打つということを考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 幾つか申し上げてきましたが、これだけの総合的な取り組みをしていくためには、市町村やJA、農家、猟友会等の連携はもちろんでありますが、東京都のようにプロジェクトを組み、県としての本格的な専門家を含めた専門体制をつくり、県行政が主体的に判断をし、目的を持って個体数調整をして取り組んでいくことが大変重要だと私は考えますが、いかがでしょうか。さらに、県内の市町村議会でも国に対して意見書が出され、県としても国に働きかけていただいていますが、わななどの免許の規制緩和、法律の規制緩和などを積極的に働きかけ、早急に改善をしていくべきだと考えますが、その見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、木村知事、もう一つ重要なことがあります。休耕地や放棄地がやぶとなり、まき取りもやめて荒れてしまった里山、雑木林が広がっています。昔は田畑、山に思い出がありました。カブトムシも飛んでいました。今はそこがやぶばかりになり、動物にとってすみやすくなっているのであります。すみにくくしなければだめであります。また、戦前は山にオオカミがいて、天敵としてにらみをきかせたり、戦後の初めごろは山に人間が多く入り、野生動物ににらみをきかせていたのが、いなくなった。それと、水田、畑、果樹畑など耕作地の放棄が進み、野生動物にとって格好のすみかとなってきている。いわば、人間が彼らのために、広範な地域で人間の不始末、えづけをしていると専門家は指摘をしています。
 動物にとってすみにくくすることは、里山、雑木林の整備をすることであります。木村知事の常々言われています緑の雇用事業というものは、こうした農作物、林業への被害対策をも視野に入れたものであるのか。このことは軽く見ることはできません。つまり、地球温暖化防止に貢献をする森林づくり、緑の雇用事業にも農産物被害、林業への被害というものが回り回って深刻な事態を起こそうとしているのであります。県としては、被害を軽く見ず、深刻に取り組んでほしい。知事の決意をお伺いし、私の質問を終わりたいと思います。
 ご清聴、ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの無憂園についてのご質問でございます。
 まず一つ明らかにしておきたいのは、これは、軽費老人ホームが古くなってきて、そして施設が老朽化して、入っている人が非常に困っていると、なかなか新しいものを建てるわけにもいかないので後ろの建物を改築して、そして前は更地にしようというふうなことになっている計画ですので、地元にこういうふうに使いたいということがあれば、別に私どもとしてはつぶすのを急ぐという気持ちは全然ありませんし、そしてまた更地にしても、はっきり言って何かにすぐに売れるという見込みがある土地でもありませんので、これは十分時間をかけて検討してもらったらいいだろうというふうに思っています。
 椿のお湯は非常に歴史があって、私も、いつも白浜が中心なんだけれども、椿の湯も非常にいいところなので、何とかこの地域の振興ということも考えていきたいと日ごろから思っております。そしてまた、あぜみちという物産の販売所なんかも非常にうまくいっている。やっぱり地域の人のエネルギーでうまくいっている例もあります。
 ただ、私が今のお話の中でちょっと危惧しましたのは、何というんですか、来た人への療養というふうな施設をつくっていくということになるとお医者さんなんかの関係も出てくるし、ちょっとした地域の盛り上がりだけではなかなか難しい面もあろうかと思いますので、今言いましたように、私どもとしては今年度中に予算がついているから絶対何が何でも引き倒してつぶしてしまおうなんていう気持ちはありませんから、ぜひ地元でよくその辺のこれからの運営の仕方とかなんかもかっちりした──一たんやったらある程度続いてできるようなものを考えていただかないといかんと思います。そしてまた、地元の白浜町の方も余りずっと聞いていなかった話みたいですので、その辺ともよく相談していただいてやっていただいたら、県の方としてもいい話になってきたら、これは十分協力していくと。今、地元の人たちの盛り上がりで何でもやっていく、そしてまた廃物利用と言ったら悪いですけれども、要らなくなったものを大事にして使っていくということはこれからの時代には非常にいいことだと思いますので、そんなふうに思っております。
 それから次に、イノシシとかシカとか猿とか、こういうふうな駆除の問題です。
 私も、県下の南の方へ行ったりしたら、朝なんか歩いていると、けさここの畑をやられたんですわ、もうイタチごっこで本当に困っているんですという話をよく耳にしています。これは、ある意味では過疎化の中で野生動物に人間がちょっとなめられ出しているというふうな状況があろうかと思うわけです。そして、私もこれは非常に重要な問題だと思っておりまして、今度の構造改革の特区の中で、こういうふうな中山間の地域については、特に今までの有害鳥獣の駆除なんかを補助員みたいな人もできるようにしたり、それから自分のための野菜畑をつくっている人なんかもわなを仕掛けられるようにしたらどうかということで提言してきたら、これは一部、それはそのとおりだなということで、今、制度改正に結びついてきています。
 しかしながら、それより何より根本的なこととしては、やはり、先ほどありましたように、山が荒れてきているということで、家の近くの昔の美林まで雑木林になってきて、そして人のところへ出てくるようになってきているというような問題がありますので、山奥の方にえさ場をつくるようなやり方とか、緑の雇用になるのかどうかわかりませんけれども、そういうふうな大きな抜本的な対策も考えないといかんと思います。それから、猟をする人もちょっと高齢化してこられているんで、そういうふうな対策みたいなのもやっぱり考えていかないといかんのかなというふうに──なかなか一朝一夕にできる問題じゃありませんけれども、総合的に考えていきたい、このように思っております。
○副議長(小川 武君) 農林水産部長辻 健君。
  〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 野生動物による県下全体の被害状況の認識と対策についてでございますが、鳥獣被害が県内に広がっており、生産者が苦慮していることは十分認識してございます。こうした中で、従来の国庫補助事業の活用に加えまして、平成十三年度からは県単独の農作物鳥獣害防止対策事業を創設し、市町村と連携を図りながら、地域の実態に即した防護さくや電気さくの設置などに努めてきたところでございます。
 今後とも、専門家を招いての研修会を開催するとともに、国の防止対策事業と有機的に組み合わせながら、関係部局と一体となって被害防止に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○副議長(小川 武君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 野生動物被害に関する五点についてお答えいたします。
 本県では、第九次鳥獣保護事業計画に基づき、鳥獣による農林水産物被害や人身への危害などが現に生じているか、またそのおそれがある場合に、被害防除対策を実施してもなお被害が防止できないとき、市町村長の許可によって有害駆除を行っております。
 また、対象とする種のうち、有害駆除を奨励するため、猿については昭和六十一年度から、イノシシにつきましては平成十三年度から市町村に助成を行っているところです。
 次に、県全体の計画といたしましては和歌山県第九次鳥獣保護事業計画があり、この中で、猿も含めて有害鳥獣駆除の方針等について定めております。
 有害鳥獣駆除に際しましては、地域によっては、例えば猿に発信器をつけて動向を把握しながら適宜追い払ったり、さくで囲って農作物を守ったり、さらには作付方法に工夫を凝らすことにより農作物被害の軽減に成功している事例もあることから、こういったさまざまな取り組みを市町村や地元に紹介するなど、支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、議員ご質問の雌ジカの有害駆除頭数の上限二百頭の根拠でございますが、農作物被害の増加に対応するため雌ジカの有害鳥獣駆除ができる上限の捕獲数であり、また県におけるシカの個体群が絶滅しないための最大値として平成六年から平成九年の調査によるシカの生息数から算定し、平成十年三月に定めたものであります。
 実際の駆除頭数が上限から離れている理由については、角のない雌ジカを撃ちたがらないハンターの意識や、平成九年度まで雌ジカの捕獲を自粛していたため、平成十年度から解禁になっていることがハンターに十分浸透していないことなどによるものと考えております。このため、今後、雌ジカの駆除についても、駆除頭数の上限に近づくよう、さらに市町村等にも働きかけけてまいります。
 四点目のイノシシに関しましては、今のところイノシシの個体数を推定する実用的な方法がないということとともに、短期間で大幅に個体数が変動する種であり、専門家の間では、個体数調整などの管理ではなく、捕獲や被害防除対策を行うことにより管理を行うことが必要と言われております。
 農作物被害防止については、県内では農作物の周囲に電気さくを設置するなど、駆除よりも防止対策を行うことにより効果が上がっている事例もあることから、今後とも関連部局などと連携を図りながら被害防止対策を進めてまいりたいと考えております。
 最後にアライグマにつきましては、今年度になって大きく被害が報じられ、被害地域についても県下に広がっており、他県の例によりますと、繁殖力が強いことから爆発的に被害が増加する可能性があると言われております。このため、今後の被害の拡大を防止する観点から、有害鳥獣駆除の期間や頭数の基準を緩和することや市町村が行う有害駆除への奨励について積極的に検討をしてまいりたいと考えております。
 また、アライグマを含むペットにつきましては、動物の愛護及び管理に関する法律に基づき、愛玩動物の飼育を放棄すること、逃げ出さないようにすること、及び最後まで飼い続けることが飼育者に課せられており、捨てたり置き去りにすると罰則の適用もあることから、今後なお一層の啓発・指導に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 知事、大変勇気ある、励ましの言葉を含めて、ありがとうございました。
 私は実は、今回のこの問題は大変厳しいと思っておりました。そういう中で、きょうは手弁当で皆さんが来たこの熱い思いを知事が受け入れてくれたと思っております。本当に感謝をしております。
 つぶすのを急ぐという気持ちではない、十分時間をかけて検討しようということを言ってくれましたので、今度は反対に地元の責任が大変大になってくると思っております。今後ともご指導をお願いしたいと思うんです。
 この議場に、傍聴に来ておられる方は、県庁へも来たことのない人がほとんどであります。私も含めて地元の議員におんぶにだっこということではなしに、先ほど申しましたように、自分らで、みずから金を出して来るんだということで来ていただいております。自分たちの責任と喜びで町づくりをしようと、そういうところまで来ておるんではないかと私は思っております。あくまでも、これからの主人公というのは署名をした人たちときょう本会議を傍聴している皆さん方でありますので、これから一緒に手を携えながら頑張らなくてはと思っています。
 初めて県庁に物を言い、初めて政治への参加──恐らくきょうは緊張と新しい喜びを持っておるんではないかなと私は思っております。傍聴しているだけでも緊張していると思うんですけれども、私はやっぱり、こうした住民参加の町づくり、地方自治はこういうことから始まるんだと思っております。これから長い時間、しかも継続的に永久に続いていく作業を始めようとしているのでありますけれども、このことに賛同していただきまして、本当にありがたく思っております。この芽を県全体に広げていくために、ぜひともこの椿地域の県有施設の跡利用について成功するように頑張っていくように、私も一緒になってやっていきたいと思っています。どうか、県としても、先ほど申しましたような後押しをお願いしたいと思います。
 もう一つ、鳥獣被害につきましては、先ほど知事が総合的に取り組んでいくということをおっしゃっていただきました。これは、そういう視点で初めて県が乗り出すことにしてくれるんだなと思っておりますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げまして、これは要望にしておきます。終わります。
○副議長(小川 武君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。
質疑及び一般質問を続行いたします。
 四番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 玉置さんの応援団の三十六名がもうお帰りでございまして、大変寂しい限りでありますが──本日四人目となりまして、議場の中にはいささかお疲れの方もお見えかと思いますが、ご清聴のほど、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、大きく揺れ動いております高速道路問題についてであります。
 この問題は初日にも取り上げられましたが、私は、紀南地方に高速道路が必要であるとの観点で質問をさせていただきます。
 政府の道路関係四公団民営化推進委員会は、今月六日、高速道路の通行料新規建設費用への活用を大幅に制限するなど、民営化会社による高速道路の新規建設に厳しく歯どめをかける最終報告を高速道路建設に前向きな今井委員長の辞任の後、賛成多数で可決し、小泉首相に意見書として提出、今後国会への法案提出がどのような格好で行われるかが各方面から注目されているところであります。また、新聞などマスコミも、与党や地方の反発は必至で今後作業の難航が予想される、小泉首相は大きいリスクを負ったなどと報じています。この最終報告を受けて木村知事は、十分な審議が尽くされた内容とは認めがたい、結果的には債務返済にとらわれる余り建設を著しく抑制する案で、本県としては到底容認できるものではない、議会を初め他府県などと連携し、地方が一丸となって働きかけていきたいとコメントをしております。我が県議会もさきの九月定例会で「近畿自動車道紀勢線の整備促進に関する意見書」を全会一致で採択し、首相や両院議長、民営化推進委員会など、五十一カ所に提出しています。
 一部の民営化委員がマスコミに登場し、地方の実情もわからずに高速道路の建設に歯どめをと発言する状況に対して木村知事は、さきに岩手や鳥取など六県の知事と一緒になり、これからの高速道路を考える地方委員会をつくり、高速道路の必要性やコスト削減案などを打ち出したほか、先月二十日には十五の道県知事がスクラムを組んで地方主導の公共事業の見直しに向けた共同提案を国に発信しました。このほか、我が自民党県議団が開いた時局講演会では森前首相も、高速道路づくりは、地方と都市との立場は違うが、均衡のある国土発展のために高速道路は絶対に必要であり、小泉総理や石原長官に強く働きかけているなど、講演をされておりました。
 私は、紀南地方が国土軸から外れて陸の孤島にならないためにも、高速道路の必要性や、さきの議会では、南海地震クラスの地震に見舞われた際、紀南の海岸線を走る国道四十二号線は完全に麻痺することから、三百十一号や百六十八号線の整備促進が緊急の課題であると質問をしてまいりました。また、南部インターの供用開始が平成十五年度には予定されていますが、これに伴い、国道四十二号線や田辺市内の幹線道路などでは大きな交通渋滞の発生は必至で、近畿自動車道紀勢線の紀南延伸の早期実現や渋滞解消のための田辺西バイパスや上富田南部線の整備促進を強く訴えてきました。
 紀南地方の主要産業の一つでもある観光産業の推進発展のためや、高野熊野の世界遺産登録に向けた準備も整い、このほど手続が進められていますが、道がなければ観光ルートの設計や地方が生き残っていく施策も不透明なものとなります。高野熊野の世界遺産登録に向けて高速道路の紀南延伸や奈良県などが積極展開を図っている高規格幹線道路五新線との道路ネットワークづくりをどのように進めていくのかについても、大きな問題であります。
 このようなことから、高速道路に対する知事の力強い取り組みについてお伺いをいたしたいと思います。
 次に、来年春に卒業予定の県内の高校生の就職内定率は依然として厳しく、深刻な雇用情勢についてお伺いをいたします。
 この問題は初日の一般質問でも取り上げられましたが、私は、県内でも雇用情勢が厳しい田辺・西牟婁地方を中心とした紀南の雇用情勢について質問を続けます。
 和歌山労働局が十月末現在でまとめたデータによりますと、県内の高校新卒者のうち求職者は千九百三十人とされています。これに対して就職内定者は八百六十五人で、内定率が四四・八%──昨年の同期より三・七ポイント下回っています。このうち、串本、すさみを除いた田辺・西牟婁地方では、三百六十八人の求職者に対して内定者はわずか百四十八人で、内定率も四〇・二%と低くなっております。この数字の背景には、景気の低迷による観光産業の地盤沈下が大きなウエートを占め、この現象は年々悪くなる一方であります。
 この厳しい状況の中、県や県教委、和歌山労働局の三者が県商工会連合会など県内の経済五団体に高卒者の求人枠の確保や増大を要請され、その場に中山副知事や小関教育長らも出席し、一人一社採用制の見直しや指定校制などの見直しを要請、協議したということで、この要請はまことに意義深いものがあります。また、学校の現場の教職員の皆さんも、この問題に一丸となって取り組んでいます。
 そこで、過疎に悩む紀南地方の活性化、若者の地方への定住、こういう点から踏まえ、行政機関と地域の企業、事業所がより一層連携を深め、この問題への対応策として県の出先機関の振興局の中に、例えば田辺・西牟婁雇用推進対策委員会や協議会のようなプロジェクトチームを設けて、振興局の各部や各課、それに教育事務所なども加わり、地域の企業、事業所に足を運んでもらってお願いするなどして求人企業の掘り起こしを図り、地域とともに歩み、地域社会を引っ張っていく出先機関づくりに当たられてはいかがなものでしょうか。
 しかしながら、企業、事業所の方は、デフレ不況の中、何人かの新卒者等を雇用すれば採算面でうまくいくのか、事業展開がうまく図られないのではなどと不安な面も抱え、採用については慎重になっているのが現状であります。
 そこで、県内での雇用不振の地域を指定するなど、新たな雇用奨励制度を期限つきで導入してはいかがなものでしょうか。新卒者の雇用に踏み込んで取り組んでいる企業、事業所に対して、事業資金の助成や税制面での優遇措置を講じるなどのバックアップの対策が必要と思います。
 それと、雇用する企業側の不安面を考えてみますと、もし新卒者を雇った場合、その人が会社の職種に合わなかったとき、どう対処するのか。大手企業の場合は、他の部署への配置転換を行い、その人に合った人事異動ができますが、中小企業ではうまくできず、いわゆる首切りをしなくてはなりません。
 そこで、行政が仲立ちをする格好で中小企業間の新規雇用者ネット制度をつくり、その職種に合わないA社の事務職従業員がB社の営業販売職へ、B社の営業販売職がC社の生産現場職へと企業間同士の配置の転換を行うなどしてはいかがなものでしょうか。平たく言えば、トレード人事を行えるシステムを行政が中小企業に対してサポートすべき時代に来ているのではないかと思うのであります。これらのシステムが採用されれば、企業間の異業種交流や地域経済の情報ネットワーク化につながるものと思います。
 首を切られた若者は、地元に雇用の機会がなければ県外に流出してしまいます。そうしますと、紀南地方は高齢化社会がより深刻になります。地域ぐるみでの人材育成を図り、地域の発展を推進していく上からでも多くの対策が求められています。県の取り組みについてお伺いをいたします。
 雇用問題のもう一つの側面は、新たな雇用の創生であり、新しい産業や企業の誘致についてであります。
 先月二十二日、白浜町のホテルで、総務省が主催した地方におけるIT人材の交流拠点形成に関する研究会が開かれました。この研究会は、国が来年度にも全国数カ所で指定するITビジネスモデル地域をどのように機能させるかについて検討するもので、都心から地方への事業所移転や新たな起業──いわゆる起こす起業──をどうサポートしていくかなどについて協議が行われたということであります。この会の座長を務められました月尾嘉男総務省総務審議官は、IT企業の集積を目指す地方のリゾート地などは、ネットワークなどハード面だけではなく、どういうサービスが提供できるか、ITの技術者が必要としているソフト面をいかに提供、充実させるかが地域に求められるとコメントをしておられました。
 また、研究会の一行は、県が田辺・白浜地域をIT産業の集積地にしようと進めているIHS構想が研究会でも紹介をされ、白浜温泉を初めとするロケーションのよさや白浜の遊休保養所の活用策にも高い評価で受けとめたということであります。
 また、研究会の一行は、田辺市と白浜町に進出したIT先端企業エスアールアイや、平成十六年、田辺市にオープン予定の県IT総合センターを見学されました。進出したこの企業の幹部は、地元で若い人材が確保できるのが魅力の一つでもあり、地元から県外へ流出していた若者のUターン採用につながると大変喜んでおられました。しかも、ベンチャー企業にとって、事務所などの管理経費などが都会に比べ格段に安い上、自然環境にも恵まれ、事業開発には最適地だと話しておりました。
 そこで、田辺・白浜地域のIHS構想における県の熱き取り組みについてお伺いをいたします。
 続きまして、バリアフリーのソフト面についてお伺いいたします。
 今月三日、テレビのニュースを見ておりますと、そこに座っておられます白原福祉保健部長が県や市の職員さんらと和歌山駅前でたすきをかけられ、ビラやティッシュペーパーなどを配り、その日からスタートした障害者週間の街頭啓発に当たっておられました。早朝から大変ご苦労さんでございました。
 健常者の生活や健常者が利用する施設づくりを前提とした町づくりや商品づくりは、障害者や高齢者に対して無意識のうちに障害、いわゆるバリアをつくってきたのがこれまでの時代の流れでありました。そのバリアをなくし、障害者らが安心して暮らせる環境づくりを進めるのがバリアフリーとされ、一昨年の五月には国の交通バリアフリー法が成立し、障害者や高齢者らが鉄道、バス、航空の公共交通機関を利用する際、エレベーターやエスカレーターの設置、床を低くしたバスの導入などが公共交通に従事する事業者らに義務づけられ、大都市などを中心に障害者らの移動の円滑化が図られるよう施設整備などが進められております。
 このバリアフリー化とともに最近よく使われる「ユニバーサルデザイン」という言葉があります。これは、細かい文字が読めなくなった人のために触れただけで識別できる器具を初め、余り足腰を上下させないでも乗りおりができる自動車の設計開発などが進められており、健常者にも障害者にも高齢者にも安心して利用できるような商品づくりや空間づくりの展開が図られているものであります。
 先月二十四日の夕方放送されましたTBSの報道特集では、色覚バリアフリー問題が取り上げられました。色盲など色覚に障害のある人に配慮した色の表示を取り入れておられましたが、赤や黄色などの色覚障害者にとっては、健常者が色分けできる色でもできないケースが数多くあるというものであります。例えば地下鉄など電車の色分けした系統路線図などは色覚障害者にはわかりにくく、斜線や曲線を使うなどした看板や標識づくりも取り入れるべきだとの活動を紹介したものであり、テレビの画面を通じてこの運動の大切さが実感できた次第であります。
 そこで、本県では、観光立県を推進する上で車いすを使って移動がスムーズにできるタクシーやバスの導入などはさきのバリアフリー法によって進められておりますが、ソフト面でのバリアフリーに真剣に取り組まなくてはなりません。観光地での手話通訳のできるボランティア従事者の拡大は、その一つであります。
 このほか、県が小学生を対象に進めている優しい心の町づくり事業でありますが、これは、「何かお手伝いすることはありますか」と一声かけてもらう運動を推進しようと手話通訳や車いす介護講座などで学んでもらい、地域ぐるみで福祉の町づくりを進めているものであります。この事業のさらなる拡大、発展を図られてはいかがでしょうか。
 このほか、ことし十月から補助犬法が施行され、二カ月余りたちました。この補助犬は盲導犬や介助犬、聴導犬を対象としており、公共施設や交通機関への受け入れが義務づけられましたが、民間のレストランなど飲食店を中心にペット連れはお断りとされ、補助犬がペット扱いされるという現状で、市民の認識の低さがうかがわれ、より一層の啓発、広報が望まれるところであり、この点について県の取り組みをお伺いしたいと思います。
 ソフト面での町づくりについてでありますが、デパートやスーパーで私たち健常者が何気なく買い物を楽しんでいますが、ほとんどのデパートなどでは健常者の目線で買い物ができるような商品の陳列などのデザイン設計が図られ、車いすの障害者の目線での商品づくりが行われていません。
 そこで、バリアフリーを推進する上でも車いすに三、四十センチぐらい高くできるような安全な補助器具を取りつけて、車いすの障害者が自分の目線より上の方に陳列されてある商品を見て楽しく買い物ができるよう、行政機関が車いす製造会社やデパートなどの事業所に対して補助器具の開発を働きかけ、これら器具の普及を和歌山から発信させてはいかがなものでしょうか。
 車いすの障害者に対しては、デパートなどでは職員が対応しているケースもありますが、障害者みずからが自由に買い物ができるといった優しい町づくりも大切なことだと思います。
 さらに、補助器具も一つの方策でありますが、売り場全体、また地域挙げてのユニバーサルデザインに向けての町づくりを推進することが大切であります。県の取り組みについてお伺いをいたします。
 次に、交通機関の施設整備面のバリアフリー化が進められている中、県内では和歌山駅や海南駅、白浜駅などでバリアフリー化が進められております。しかし、紀伊富田駅や稲原駅など無人駅ではこういった施設のバリアフリー化は対象外となっております。
 そこで、車いすを利用する障害者や体の不自由なお年寄りらがこういった無人駅などで列車から乗りおりする際に、JRなど鉄道会社の職員だけでは対応し切れないケースも生じております。こういった場合には、駅周辺に住む人たちが中心となっていただき、障害者らを手助けするボランティア組織をJRなどとともに結成していただいてはいかがなものでしょうか。
 施設面を整備するハード面のバリアフリー化もまた大切なことでありますが、ソフト面での心のこもった地域挙げての取り組みが観光立県を目指す本県のあるべき姿だと思う次第であります。県の取り組みについてお伺いをいたします。
 以上で、一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 高速道路の問題でございます。
 民営化推進委員会が、先般、非常に不正常な形で最終の答申をまとめたわけです。そしてその中身につきましては、基本的には私は、この委員会等でいろいろな議論が行われ、それが全国民的な関心を巻き起こす中から、例えば組織のあり方とかファミリー企業であるとかいうふうなもの、それからまた道路の構造とかについての簡素化とか、いろんな方向が出てきたことは、この問題は全然今まで光が当てられずにずっと来ていたものですから、それはそれで非常によかったと思うんですけれども、一点やはり困るのは、今後新しくできた会社ではもう高速道路をつくらないというふうな答申になっていることです。
 国の方も今、仄聞するところでは、残っている区間の一定区間は道路特定財源、そしてまたそれの一部を地方公共団体に回すことによって国と地方の負担によりある程度は高速道路をつくるということにもなっていますし、それから構造等の見直しで何兆円分も──残りが二十兆円ぐらいと言われていますけれども、そのうち六兆円ぐらいとかはそれで減ってくるんだとか、それから今後民間へ移行するまでの間に今の組織であと三兆円分ぐらいはできるというふうな計算もありまして、要するに七兆とか八兆というものを今までの利用料金でやっていくか、もうそれはやらないかということが最終的な争点になってきていると思うんです。
 いずれにせよ、そういうふうな部分を全部国の税金と地方の負担で行うということになりましたら、当然のことながら高速道路はいつまでたってもできない。今までも相当ゆっくりしていて、もういいかげんに早くやってほしいという気持ちでいたところが、もう本当に先が見えないような状況になってきますので。
 私自身は、今度の民営化推進委員会がこういう不正常な形で終わり、しかもそれに対して非常な非難も高まってきている。それから高速道路の必要性についても、私どもも六県ほどの知事でいろいろアピールしてきた。これも効果があったと思います。それからまた、県会議員の皆さん方も国会議員の方々と共同していろいろな形で働きかけを強められたことが、やはり今回のこういうふうなどたばたということに大きな効果というか影響があったと思うわけですけれども、こうなった上は最後になお、そういうふうな合理化ということはしないといかんけれども、高速道路はやはりちゃんとつくっていかないといかんと。
 それからまた、地方公共団体の負担でやる部分というのを国の方はちょっと考えているみたいなんですけれども、この部分についても、最後に回されたところの自治体だけが一部負担をするということは、まあ言ってみれば正直者がばかを見るというふうな形にもなりますので、仮にそういう方式がとられるということになっても、その部分については完全に国の方で財源措置がされるようにこれから意見を言っていきたい、このように思っております。
 これからまたそのことに関しまして非常に大事な時期が来ると思いますので、県議会とも共闘しながら和歌山県の高速道路が絶対にできるように頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○副議長(小川 武君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 雇用対策の中の中小企業への助成策等についてでございますが、議員お話しのように、田辺・西牟婁地域を初め紀南地域の雇用情勢は、高校生の就職状況のみならず一般の有効求人倍率も、県全体と比べ、厳しい状況にあります。こうした状況を踏まえ、御坊・日高地域も含め、紀南地域を雇用機会増大促進地域に指定したところであり、当地域では国の地域雇用開発促進助成金など新規雇用に対する企業への優遇制度が適用されております。
 今後もこの制度の活用を促進するとともに、県としての新たな支援策についても検討していきたいと思います。
 それとともに、求人企業の掘り起こしについても、公共職業安定所等と連携をとりながら進めてまいりたいと存じます。
 また、中小企業間での配置がえを行う新規雇用者ネット制度をというご提案につきましては、失業なき転職という点からも意義のあるものと存じますので、関係機関等とも協議しながら研究してまいりたいと考えております。
 次に紀南地方の新たな雇用の創生についてでありますが、紀南地域の活性化と雇用機会の確保を図るため、地域の持つ産業資源を最大限活用し、時代をリードする情報通信関連産業の集積を促進することは極めて重要であると認識しております。そのため、総務省が進めているITビジネスモデル地域の指定を受け、IHS構想を進めるべく、国等の要望はもとより首都圏を中心にさまざまな機会をとらまえてプレゼンテーションや企業訪問を行っております。
 また、IT総合センター──仮称であります──の活用や人材育成について、ハード・ソフトにわたる効果的な施策等を地元市町とも鋭意検討しており、さらには大学、高専、高校などの教育機関やハローワークなどの労働関係機関とも一層連携しながら、企業が円滑に立地するための諸条件の整備に努めてございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) バリアフリーのソフト対策の五点についてお答えいたします。
 まず、手話通訳ボランティアの育成と障害者を支えるボランティアサークルの結成について、一括して回答させていただきます。
 今後の多様化する福祉ニーズに対応するためには、行政施策の充実はもとより、住民参加による地域福祉活動の展開が重要となり、ボランティア活動等の推進を図ることが必要であると考えております。
 議員ご指摘のとおり、観光地や駅周辺など地域に根づくボランティアの活動は非常に重要と認識しております。今後、県民がこうしたボランティア活動に参加しやすい環境づくりに積極的に取り組んでまいります。
 次に、優しい町づくり事業の拡大についてでございますが、議員ご指摘の関係事業といたしましては、感受性豊かな子供たちが体験しながら障害や障害のある人への理解と認識を深め、そのお手伝いの仕方を学ぶことによって障害者に限らずお互い助け合う心を持ち、実行することを目的とした福祉のまちづくりキッズサポーター養成事業を実施しております。受講した子供や関係者からは好評を得ており、引き続き、こうした事業を充実してまいりたいと考えております。
 次に身体障害者補助犬法への理解と啓発についてでございますが、関係機関や団体、市町村はもとより、広く県民の方々に理解と認識を深めるため、「県民の友」、テレビ、ラジオ、ホームページの開設やポスター、パンフレットの配布などによりその周知に努めるとともに、公共交通機関等に対しては個別に訪問し、周知徹底を図ってまいりました。
 なお、ホテル、デパート、レストラン等につきましては、来年十月から補助犬受け入れが義務化されますので、引き続き関係者等に対して機会あるごとに補助犬法の周知徹底を図ってまいります。
 最後に補助器具の開発等についてでございますが、ノーマライゼーションの理念のもと、バリアフリーを推進する中で新たな補助器具の開発や普及なども重要なことであると認識しております。
 議員のご指摘を貴重な意見として受けとめ、今後、優しい心の町づくりを進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(小川 武君) 以上で、大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十二分散会

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