平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(生駒三雄議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時一分再開
○副議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十七番生駒三雄君。
  〔生駒三雄君、登壇〕(拍手)
○生駒三雄君 議長のお許しをいただきましたので、通告順に従いまして一般質問をいたします。
 まず最初に、私の地元・有田地方の基幹産業の一つであるミカンの振興についてでありますが、本年度産の温州ミカンは、裏年にもかかわらず一昨年に比べ生産量が六%増加することが予想されると、先日、近畿農政局和歌山統計情報事務所から発表されました。このことにつきましては、昨年、生産者はもとより、県当局を初め関係機関一体となり取り組まれた特別摘果による成果であると認識するところでございます。
 ところで、私は去る十月六日から八日にかけて、県議会農林水産委員会の県外調査として中華人民共和国福建省のミカン栽培の状況を調査してまいりました。今回視察した農場は中国国内では技術的に高度な栽培を行っているということでありましたが、栽培環境、技術、品質面から勘案して、日本への輸出は当面無理であろうかと感じたところであります。しかしながら、高品質、安定生産を追求する姿勢には目をみはるものがあり、ミカンの先進国、先進県和歌山としても油断はできない状況であるとも感じました。
 さて、昨今の消費者ニーズである食に対する安全、安心を根底から裏切るような、いわゆる無登録農薬の使用が全国的にも問題となりました。残念ながら、本県におきましても無登録農薬の不適切な使用が認められたところであります。今後こういうことが再発すれば、消費者の信頼が失墜し、四百年の歴史を誇る有田地方のミカン産地の崩壊につながりかねません。幸い、その後の県の残留農薬分析の結果、無登録農薬は検出されず、先日開催されました農薬適正使用緊急対策本部の会議により事実上の安全宣言がなされたものと認識しております。こういった不適切な使用が二度と起こらないようにするため、生産者、農薬販売業者に対する指導の徹底が必要であると考えますが、どのような対策を講じられるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 続きまして、温州ミカンの種苗対策についてでありますが、現在、有田地方で栽培されている品種のほとんどは他産地で育成された品種であります。今後、伝統ある有田ミカンの産地を守っていくためには、地元で育成された品種が必要ではないかと考えます。それには、新しく整備された果樹試験場の研究体制の強化等、試験場機能のさらなる充実、また、民間の関係機関とも連携を図りながら地元有田に適した品種を育成する必要があるのではないかと考えますが、この温州ミカンの種苗育成についてどのような対策を講じられるのか、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 次に、地球温暖化対策についてお尋ねをいたします。
 地球温暖化問題は、我々の日常生活や事業所活動に伴って発生する二酸化炭素などの温室効果ガスが増加することにより地球全体として地表及び大気の温度が上昇し、自然の生態系及び人類に悪影響を及ぼすものであります。本県にとりましても、海面上昇による海岸の減少、生態系の変化による農産物等への悪影響なども懸念され、県民の生活、産業活動にもかかわってくる重大な問題に間違いありません。
 この地球温暖化対策における国際社会の動きといたしましては、本年八月二十六日から九月四日までの間、ヨハネスブルクにおいて持続可能な開発に関する世界首脳会議、いわゆるヨハネスブルクサミットが開催されたところです。このサミットは、今から十年前の一九九二年にリオデジャネイロで開催された地球サミットの成果を確認し、二十一世紀の持続可能な開発のための国際的な取り組みを議論するためのもので、サミットの成果である宣言では、NPOを初め各種団体等、多様な主体の参画と相互のパートナーシップの重要性が明確にうたわれていました。
 我が国を代表して参加した小泉総理大臣も、環境のための人づくりを強く訴えるとともに、パートナーシップ精神に基づく取り組みにより地球環境問題の解決を目指すことを提唱いたしました。この問題の解決に向け国内外での動きが広がりを見せているところですが、この地球温暖化というとてつもない遠大なテーマも、実は家庭での省エネ、ごみ減量など、私たちのふだんの暮らしの延長線上にある実に身近な課題であることは改めて申し上げるまでもありません。
 私は、地球環境問題解決のためには、県民、事業者、行政が協力し、地域から築き支えていく必要があると考えます。一人一人の県民や事業者などがそれぞれの立場で自発的に環境保全に取り組んでいこうとすることが、地域として環境問題をみずから解決し、よくしていこうというエネルギーをつくり出すことになります。
 県内でも、リサイクル運動を初め、森林や河川を守るためのボランティア活動、子供たちの自然体験等、既に地道な活動が始まっています。こうした活動を推し進めることによってふるさと和歌山を愛する心が育ち、環境を守るためには何をしなければならないかといった意識がおのずと芽生えてくるのではないでしょうか。また、こうした活動自体が県民の生きがいや地域主導の元気な地域づくりに広がり、和歌山県の活性化にも資するものと考えます。
 そこで、環境生活部長にお尋ねいたします。地域を巻き込んだ環境問題解決のための人づくり、地域づくりについての今後の施策方針について見解をお伺いいたします。
 続いて、行き届いた学校教育をということについてでありますが、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律いわゆる標準法によれば、公立の小学校の一学級の児童数の標準は四十人とされ、複式の学級では十六人、小学一年生を含む複式学級は八人となっています。
 各都道府県の教育委員会はこの標準法に従い一学級の児童数の基準を定めるとのことでありますが、平成十三年の制度改正により、児童の実態を考慮して特に必要があると認められる場合、国の標準の数を下回る数を一学級の児童数の基準として定めることが可能となりました。この制度改正により、学級編制の弾力化を既に実施している府県も多数あります。特に、小学低学年における学級編制において少人数学級制を採用しているところが多いと聞いております。
 少し私ごとを申し上げ恐縮とは存じますが、最近、年を重ねるに従い昔の記憶はだんだん薄れ、思い出すために苦労することがあります。しかし、小学校へ入学したときの緊張や不安、幼いながらに持ったこれからの学校生活に対する期待などは今でもしっかりと心に残っております。当時、担任していただいた先生のお名前もはっきり覚えているほどであります。
 新入児童は、幼いながらも新しい生活への期待に胸を膨らます一方で、初めての就学に対する緊張感や新しい友達との関係への不安など、さまざまな感情を抱いて入学してきています。このような中、すぐに学校生活に溶け込む児童もいれば、学校生活や授業になかなかなれることができず不安定な状態が続く児童もいるようです。一方、こうしたことにより児童に落ちつきがなく一年生の授業がうまく進められないという教員の声もあります。結果として児童が学校生活の第一歩につまずき、後々まで影響を及ぼすことも危惧されます。言いかえれば、この時期こそ児童一人一人に対するきめ細かな指導を行うことが重要であり、そのための環境を整える必要があるのではないかと考えるのであります。
 何事も最初が肝心であります。就学当初につまずくことなくうまくスタートができれば、学校生活への適応や後々の学習意欲の向上へも一定の効果があるのではないか。また、不登校やいじめ問題などの解決策の一つにもなるのではないかと考えるところであります。
 この少人数学級問題については、今までの県議会一般質問において何度か質問されておりますので、私はあえて答弁は求めませんが、私の政治活動におけるキャッチフレーズは「次世代へ」であります。次世代を担うのは子供たちであります。その子供たちがまず最初に集団生活を体験するところが学校であります。スムーズな社会生活の第一歩のスタートができるように、きめ細かな行き届いた学校教育の実現のため、今後とも学校現場の実態を十分把握してこの少人数学級問題をぜひとも前向きにかつ早急に検討していただきたいと強く要望しておきます。
 次に、同じ学級編制及び教職員定数という視点から、小・中学校における特殊学級についてお尋ねをいたします。
 特殊学級は、知的障害、情緒障害、肢体不自由などの障害種類に応じて学級編制されており、現在、県内の小・中学校では平成十四年五月一日現在での児童生徒数は八百九十四名、学級数は小学校で二百八十学級、中学校では百二十一学級の合計四百一学級であります。特殊学級については標準法において一学級の児童または生徒数は原則八名以内となっておりますが、一人一人の児童生徒の障害はそれぞれ全部違い、より実態に即した教育指導体制が必要でないかと考えています。
 ここで、私の知る事例を少し紹介させていただきますと、小学校の特殊学級に子供を通わせている知人がおり、彼は障害を持つ我が子の成長ぶりを本当に気にかけております。最近では、自分でスリッパがはけるようになった、コップの水をこぼさず飲めるようになったなど、私の子育ての経験とは違った、子供の成長を願う親の気持ちが痛いほどひしひしと伝わってくるのです。また、常日ごろから担任の先生には大変お世話になっているということもよく聞きます。これは彼の特殊学級に対する感謝の気持ちであり、また非常に大きな期待のあらわれであろうとも感じております。
 繰り返しになりますが、特殊学級はそれぞれの学級の実態に即した教育・指導体制が必要です。児童や生徒の可能性を最大限に伸ばし、自立し社会参加するための基盤となる生きる力を養うため、障害の種類や程度に応じた適切な教育が行われていると存じますが、さらにきめ細かい指導体制や担当教員の指導力向上のためのより充実した専門的知識取得などが重要であると考えます。
 これらのことを踏まえ、特殊学級の設置についての考え方と担当教員の指導力の向上について教育長にお尋ねをいたします。
 最後に、県道有田湯浅線の事業推進についてでありますが、このことについては本年六月県議会で質問させていただき、大山土木部長から事業の進捗状況について答弁をいただきました。また、過日、松本有田市長と私が木村知事を訪ね、当該路線のさらなる事業の促進をお願いしたところであります。
 現在、田坂トンネルを含む有田郡湯浅町田─栖原間のバイパス区間では、田坂トンネルの調査を含め、一部の箇所で工事も完成し、事業計画が順調に進んでいるようであります。知事初め担当部局も従来から国道四十二号線の補完道路、さらには地域の生活、産業の幹線道路として当該路線の重要性を認識する中、県内の道路整備における重点整備区間として位置づけをされております。地元選出議員としても大変感謝しているところであります。
 当該路線のもう一つの未整備区間である有田市千田─高田間の狭隘区間についてもさらなる事業促進に向け事業の早期着手等、前向きな検討を強く要望いたします。
 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(小川 武君) ただいまの生駒三雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) ミカン産地の振興についてのご質問のうち、まず無登録農薬についてでございますが、これまで、国からの情報提供に基づき立入調査を行うとともに、啓発パンフレットを県内全農家に配布して農薬の適正使用の啓発に努めたほか、すべての農薬販売業者を対象とする無登録農薬の販売状況調査を実施するなど、積極的に取り組んできたところでございます。また、去る十二月四日に農薬取締法が改正されましたので、今後新たに使用者責任の明確化や罰則の強化など改正内容の周知徹底を図るとともに、生産農家における使用農薬の記帳推進などを行い、指導の徹底を図ってまいりたいと考えてございます。さらに、農薬販売業者に対しましては、ブロック別の研修会の開催や取り締まり員の増員による指導監督の強化など、農薬の流通の適正化に努めてまいります。
 次に、温州ミカンの種苗対策についてでございますが、優良品種の育成は果樹振興の主要課題の一つと考えてございまして、これまで果樹試験場での育種や枝変わりによる優良系統の探索に努め、今日まで極わせからおくてまで、十数品種を育成してございます。その中で、「田口早生」や「由良早生」などといった糖度が高く味のよい品種が育成されてございまして、現在、有望品種として育苗組合や生産者団体と一体となり産地化に向け取り組んでいるところでございます。今後とも、果樹試験場を核に育種研究を行うとともに、地元農家並びに果樹新品種研究同志会など関係団体のご協力を得ながら、地域に適した品種の探索や育成に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 地域における地球温暖化対策についてお答えします。
 現代においては、大量生産、大量消費、大量廃棄の経済構造が地球温暖化を初めとする環境問題を引き起こしてきました。このため、循環型社会の構築に向けてライフスタイルの変革が強く求められています。このような中で、環境保全の輪を大きくして取り組みのすそ野を広げるため、議員ご指摘のように、環境に視点を置いた人づくりや地域づくりが極めて重要であると考えております。
 そこで、まず将来を担う子供たちがさまざまな体験を通じて段階的に環境保全の意識を深めるとともに、その学んだことを地域や家庭に広めてもらうため、学校教育の場における環境教育の実践など、学校側と連絡を密にして取り組んでまいります。また、地域活動を促進するため、家庭での取り組みマニュアルを示すことやNPO、企業等が自主的に活動しやすい仕組みづくりに取り組んでまいります。さらに、二酸化炭素吸収の向上につながる環境林整備を効果的に進めるため、緑の雇用事業との整合を図りつつ大学等と県との共同研究体制づくりを推進するなど、幅広いパートナーシップの構築を目指し、これまで以上に環境保全活動の活性化に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(小川 武君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 心身の障害が比較的軽度の子供たちの学ぶ場として小・中学校に置いております特殊学級につきましては、児童生徒の障害の状況や学校の指導体制、さらに就学指導の経過などについて市町村教育委員会から十分その事情を聴取した上で、子供たち一人一人に応じた行き届いた教育ができるようにとの観点から学級の設置を行っております。さらに、きめ細かな指導を一層支援するという立場から、本年度から小学校十一校に特殊学級の補助教員を配置したところでございます。
 子供たちの障害が年々重度重複化する傾向にある中で、担当教員の指導力を向上させることが極めて大切であると考えております。このため、和歌山大学などの特殊教育専攻課程のある大学へ教員を研修に派遣するとともに、県教育研修センター等においても各種の専門講座を開催するなど、研修機会の充実に努めているところでございます。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(小川 武君) 以上で、生駒三雄君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時二十七分散会

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