平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(山田正彦議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 議長のお許しをいただきましたので、質問をさせていただきます。
 通年予算主義ということについて、平成十五年度当初予算編成に関連してお伺いいたします。
 知事は、十月に発表された平成十五年度当初予算編成方針において、活力あふれる二十一世紀の和歌山づくりを実現するための取り組みの一つとして、「通年予算主義」という余り聞きなれない、耳なれない新しい考え方を示されました。実質重視の予算編成と成果追求型の予算運営を目指すということとなっております。私なりにこの通年予算主義を解釈させていただきますと、これはまさしく民間企業の発想そのものではないかな、そう思います。
 まあ民間企業と地方公共団体とでは、その目指すところはおのずから異なるものがありますが、その目的達成のため与えられた資源をいかに効率的、効果的に使うかということでは何ら違いはないのではないかと考えます。これを県に当てはめれば、県民からの血税をいかに有効に活用していくかということ、いかに県勢浮揚のため、県勢活性化、住民福祉の向上に役立つ施策を実施していくかということにおいては、常に神経を払うということになると考えるわけであります。
 右肩上がりの経済成長時代のいわゆる年間総合予算主義からの決別、そのような意味において私はこの通年予算主義の考え方には大いに賛同しますし、期待するものでありますが、今後実際の予算編成や運営に当たりその対応を具体的にどのようにされるつもりなのか、知事にお尋ね申し上げます。
 次に、和歌山型公共事業のあり方ということについて申し上げたいと思います。
 今、この私たちを取り巻く社会情勢は未曾有の不況のどん底にあります。特に和歌山県にとっても、大半の業種がデフレ経済の下で生死をさまようほどの大不況の真っただ中であえいでいます。立ちおくれた社会基盤整備の一翼を担う建設業界も、公共事業の抑制とも重なり、特筆すべき瀕死の状態にあると思います。しかし、そんな中にあっても、地域の基盤整備のための公共工事、あるいは県勢浮揚のための公共工事も当然必要であります。それらの公共事業をすることによって、結果として地域経済に与える波及効果も大きく期待されるわけであります。
 厳しさを増す財政事情の中、また年々公共工事の予算が縮小されているとはいえ、平成十三年度において土木部発注工事実績では五百二十一億三千万円余り、あるいは農林水産部工事実績でも百二十四億円余りの発注があったと聞いております。にもかかわらず、建設業界は日ごとにその苦しさを増しています。決して、地域経済にも好結果をもたらしているとは言えません。業界従事者もどんどん失業しています。なぜこんなことになるんだろうと思います。
 そこで、私なりに和歌山型の公共工事のあり方を考えてみました。ご提言を申し上げますので、土木部長のご見解をお伺いしたいと思います。
 申し上げるまでもなく、特に公共工事においては経済効率をよく考え、コスト縮減に努めるのは当然のこと、工期短縮とか工事の精度を高くするのは当たり前のことであります。が、それは右肩上がりの経済状況の中でのこととして、この現下の厳しい社会情勢を考慮した取り組みを今すべきと考えます。
 私の手元には、和歌山県生コンクリート工業組合の平成十一年度から十三年度までの出荷数量表があります。これはまあ組合加入率九〇%ということでありますが、この出荷表を見ましても、年々五万立米ぐらいずつ生コンの出荷量が減っています。これは、公共事業あるいは民間事業の減少が大きな要因の一つであろうと思いますが、また他方ではコンクリート製品を多用したというんですか現場打ちの作業がなくなった、こういうことが大きな原因の一つではないかなと思います。
 蛇足でありますが、生コンを使うということは、そこには鉄筋工が鉄筋を編み、仮枠大工が型枠をし、コンクリートを打つ土工さんがいて、それを左官屋さんがその仕上げをするということになります。地元ではまた、生コンプラントが稼働し、バラスや砂やセメント等が運搬され、その運転手さんが働きます。
 平成八年から平成十一年までの少し古い資料でありますが、建設業に携わられる職種別の従業者数の調査表があります。各業種、職種とも大幅に減少している事実があります。少なくともこの平成十三年度は、もっとひどい、厳しい結果が出ているものと思われます。
 そこでご提案申し上げるのですが、今このときだからこそしばらく時計をとめて、いや十年前の施工法に戻してでも雇用を重点的に置いた和歌山型の公共事業として取り組むべきだと思います。
 くどいようですが、すべての工事──緊急を要する工事とか、いろんなものがありますからすべての工事とは申し上げませんが、ケース・バイ・ケースで見直す必要があるんではないかな、こう思います。また、デフレ経済の中、実勢価格で予算を組めばコストアップにつながるとは思いません。ある意味では、これは政策的、政治的判断が必要かもしれませんが、そのご見解をお伺いしたいと思います。
 次に、公共工事発注に際しての地元業者への配慮についてであります。
 これはまことに恐縮でありますが、私の選挙区である那賀郡を例に挙げて少し申し上げさせていただきたいと思います。
 今、那賀郡は、紀の川中流域下水道事業として、県工事で大変な大工事がされています。処理場を入れまして約六百二十億円という巨大な予算を見込んでおりますし、また那賀郡六町の面整備に関しては七百億円というような見込みのある大工事がありますし、また泉佐野岩出線が岩出町を通っておりますが、そこの風吹峠のトンネルも平成十五年秋ぐらいから六百メートルのトンネルを二本掘ると、そう聞いています。その事業費も約三十六億円と聞いておりますので、大型工事が目の前にあるわけですね。土木業者はもとよりですが、地域住民の経済活性化の大きな起爆剤として期待はしているのですが、これらの工事のロットというのが大変大きくて、地元建設業者が現状の入札参加資格の要件では参加できません。当然、困難な、あるいは難易度の高い工事でありますから大手スーパーゼネコンを中心とするのは、これはやむを得ないことかもしれませんが、第一番目には大手スーパー、第二番手としては県内の大手業者、三番目にはせめて地元業者というような共同企業体方式がとれないものか。そうでなければ、地元業者も参加できない、地元経済にも何ら反映されない公共事業では、余りにも残念でなりません。ただただ手をこまねいて見ているだけのことになります。
 地元業者が参画できれば地元商業にも直接影響を与えますし、地元労働者の雇用にもつながり、地元の活性化に寄与するのは当然のことであります。経営審査事項の点数による、それだけの入札参加基準をいま一度ここで見直して真心ある対応をしてはどうかと思いますが、ご見解をお伺いしたいと思います。
 最後に、国営大和紀伊平野土地改良事業の中の山田ダムの関係施設改修工事への取り組みについてであります。
 山田ダムは、貯水量三百三十七万トンの農業用水を有する受益面積四百八十四ヘクタールという、畑地を潤す、水を供給するダムとして昭和三十九年から用水開始して以来現在まで利用されてきましたが、老朽化が進み、このダムの管理運営を受け持つ山田ダム土地改良区の長年の要望がかないまして関係施設改修工事が一部着工されているようにお伺いしていますが、その今後の見通しについてお尋ねをいたします。
 また、改修工事についてはすべて国営で管理されるようでありますが、ダム本体のゲート、その他の改修というのは大変特殊性もありますのでこれは別といたしまして、水路の十四キロメートル、約三十億円にも上る予算が必要とされる水路改修につきましては、前にも述べましたように、ぜひ県内業者、地元業者に受注の機会を与えてあげられるよう国に強く働きかけていただきたいと思いますが、いかがですか。
 以上で、私の質問を終わります。誠意あるご回答を期待して、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの山田正彦君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの通年予算主義についてのご質問でございます。
 予算というのは議会の同意のもとに成立したものでございまして、非常に重要なものという認識を私はまず基本に持っております。しかしながら、今、例えば民間会社が年度最初に計画を立てて、それが世の中の実情に合わなくなったときに最後までそれでいって倒産するというようなばかなことがあるかということを考えたとき、やはり予算というものも機動的に運用していく必要があるということを考えたのが一つでございます。それからもう一つは、予算をつくるときに鳴り物入りで発表したりいろいろしたものが、最後、終わってみたらどうなっていたのか、私自身もよくわからないというふうなものが往々にしてあると。しかしながら、金銭的にはちゃんと使い切られていたとか、それからいつの間にか不用額になっていたと、こういうふうな形になっているものもあります。こういう厳しい財政状況の時代にはこういうふうなことはやはり許されることではないという考え方でございますので、例えば補正予算であるとか、そしてまた予備費の活用であるとか予算の流用、それからあとは専決処分、こういうふうなものをいろいろ──制度上は自治法上、財政法上、用意されているわけですけれども、こういうものをうまく組み合わせて機動的な予算執行、そしてまたそのことについて適宜適切に議会のご了解を得ながら進めるような活力ある予算運営ということが必要だろうというふうに考えて申し上げたわけでございます。
 事業につきましては、当然のことながら、年度が終わった後の事後評価ということも非常に大事なんですけれども、こういう時代でございますので、終わる前でも要らなくなったようなものについては変化させていくということが大事だと思います。
 まだ、今のところ理念どまりで、すぐそれで動いていくというわけではございません。今後十分研究して、これもひとつ和歌山からの発信になるようなよい形をつくっていきたいと思いますので、ご協力方お願いいたします。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 和歌山型公共事業のあり方について、まず雇用を考えた工法選択も必要ではとのお尋ねですが、厳しい経済状況の中、公共事業を進める上で県内雇用の確保が従来に増して重要な観点であると認識しております。このため、景気・雇用対策本部において、公共事業における県産品の優先使用に取り組んでおります。今年度は数値目標を定め、利用拡大に努めております。
 今後とも、県内雇用を確保するため、多少コスト増があっても公共事業において県産品の優先使用を進めてまいります。
 次に工事発注に際しての地元業者への配慮についてですが、デフレ経済のもとでは、公共事業の地域経済に占める役割が一層高まっていると認識しております。予算編成に当たっては用地補償費を抑制して工事費をより多く確保し、発注に当たっては、技術的難易度の高い工事以外は分離・分割発注に努めるなど地域性に配慮し、県内業者の受注機会の確保に努めております。また、県外業者への発注については、公募型指名競争入札において、県内業者が特定建設工事共同企業体の構成員として参加しやすい要件を設定しております。
 今後ともなお一層地域性に配慮し、県内業者の受注機会の確保に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 国営大和紀伊平野土地改良事業の中の山田ダム関係施設の改修工事の取り組みについてでございますが、山田ダムの改修につきましては、山田ダム施設改修を含めた事業が国営農業用水再編対策事業大和紀伊平野地区として実施されているところでございます。
 事業の実施につきましては、国の予算の関係上、分割採択となってございまして、山田ダム本体ゲートなどの改修を含む一期分が平成十三年度から着手されており、現在、測量設計が実施されてございます。工事内容の詳細が決まり次第、国土交通省との河川法に基づく協議を行った上で工事着手することとなってございます。
 また、山田ダム関係水路の更新整備を含む二期分につきましては、平成十五年度で新規採択の要望を行っているところでございまして、工事の実施時期につきましては、事業が採択された後、関係機関や土地改良区との協議により決定されることになります。
 また、工事発注の形態につきましては、農林水産省の直轄で行われることになっておりますけれども、お話がありましたように、地域経済活性化の観点から地元業者の受注機会の拡大に格段の配慮がなされるよう、国に強く働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二番山田正彦君。
○山田正彦君 通年予算主義に対する知事の取り組みについては、先ほど申し上げましたように大変いいことだと思うんですが、県民なりにとっては、どうしてもまだ行政依存型というんですか、そういう体質が抜け切れていないという感は否めないと思うんです。どうしてもやっぱり、私たちのために県なり町が何をしてくれるんだというような考えがまだ根強く残っている中で、私も、手前事ですが集会なんかでも、これからは地域住民として地域のために、町のために、県のために何ができるかという意識改革をお願いしたいというふうに絶えず申し上げています。そういう意味で、今後この意識改革が重要ではないかなと。啓発の方にご尽力いただきたいと思います。
 それと、公共工事発注云々のことについては、行政としてのおっしゃりたいというんですか言える範囲というのは私もおのずとわかるつもりでありますが、私が一貫して申し上げたいのは、公共工事というのは地域経済に与える影響が即効的にある、そんな中で、やっぱり地元に根づいた中小零細建設業者の育成というのをぜひ最優先にやっていただきたい。
 例えば、お答えは要りませんが、各振興局に多分市町村の細かい、工事から修繕、補修、改良、河川改修などのいろんな要望がたくさん来ていて、予算がないからということで積み残しにしているような状況が多々あるんではないかなと。そういう中で、多少新設工事の着工を抑制してでも即効性のある、そういう身の回りの公共事業を重点的にやってあげるだけでも大きい効果があるんではないかなと思いますので。
 とにかく中小零細地元企業の、忘れてはないと思いますが、大きいロットでその地域の上空をジェット機で飛んでしまうような公共事業のあり方であってはいかんと思いますので、十分ご留意をいただいて、これは要望にしておきますが、よろしくお願いしておきます。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山田正彦君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時十六分休憩
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