平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(木下善之議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から監査の結果報告がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百五十号から議案第百七十二号まで】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、ただいま報告の議案第百五十号から議案第百七十二号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明を申し上げます。
 今回追加提案いたしました議案は、去る十月十六日の県人事委員会よりの職員の給与等に関する勧告に基づく給与改定を実施するため所要の措置を講ずるものでございます。
 まず、予算案件といたしましては、給与関係経費として一般会計で四十二億三千八百万円余りの減額、特別会計につきましても総額三億四千九百万円余の減額の補正予算を計上いたしております。
 また、議案第百六十号から第百七十二号をもって給与関係条例の改正をお願いいたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、当局の説明が終わりました。
  【日程第二 議案第百三十六号から議案第百四十九号まで、
        並びに報第十号】
  【日程第三 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第二、議案第百三十六号から議案第百四十九号まで、並びに知事専決処分報告報第十号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 十一番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 皆さん、おはようございます。
 十二月定例県議会のトップに質問をさせていただきますこと、大変光栄でございまして、皆様に厚くお礼を申し上げます。
 まず、質問の冒頭に当たりまして、去る十一月二十一日にご逝去されました高円宮憲仁親王殿下に謹んで哀悼の意をささげます。殿下におかれましては、平成十一年の南紀熊野体験博に妃殿下とともにお越しいただき、親しくお言葉を交わされましたことを思い出す県民も多くおられます。その飾らないお人柄が県民の心をとらえ、「癒し」の地・熊野で殿下に心をいやされたという県民の話も伺いました。我が国にとってかけがえのない方を失い、悲しみでいっぱいであります。
 さて、早いもので平成十四年もあとわずかとなりました。知事が年初めに県職員に向かって提言された「向こう傷を恐れるな」という姿勢は、この一年さまざまな形で具体化されてきました。「地方から日本を変える」と、緑の雇用事業や地球温暖化防止に貢献する森林連合の共同アピールや、一昨日、テレビ、新聞に報道された高野山、熊野を中心とした世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の文化審議会での登録推薦がされたことについて、関係された皆さんの労苦に感謝申し上げますとともに、また県民の皆さんの多くの支援のたまものであり、全国へ向けてのさまざまな発言の中心に和歌山県がいるということは、県と両輪で邁進している私ども議会としましてもまことに実の多い年であったこととして喜びたいと存じます。
 それでは、一般質問に入らせていただきます。
 元気づくり和歌山の総点検のまず第一項目め、本県の財政状況と今後の財政運営について。
 この一年を振り返ってみますと、本県を取り巻く経済環境は非常に厳しいものであったと言えると思います。国にあっても、先般の補正予算編成に当たって景気低迷から三兆円程度も国税収入の歳入不足が見込まれております。また企業活動も萎縮していると言わざるを得ない状況でありますが、その状況は本県ではそれ以上のものがあるのではないかと考えるところであります。
 ことしに入り、橋本市内においても大手スーパーのサティ、また西友ストアの撤退、かつては六百人雇用のJT(日本たばこ産業)橋本工場の来年三月末の撤退、貸しテナントビルも各事業所の合理化によって毎月のように撤退に拍車がかかっており、和歌山市においても丸正を初め和歌山ビブレ、長崎屋やワボック等、県下五十市町村においても同じように県内の大型店舗など相次いで撤退し、また先日の報道にもありましたが、今後の和歌山県を託すべき県内高校生の就職内定率が過去最低となることが懸念されているなど、本県の経済状況を象徴するような事実もあり、県税収入の落ち込みなど、私も県民の一人として今後の和歌山県を案ずるところであります。
 そこで、まず知事にお伺いいたしますが、これらの状況を踏まえ本県の財政状況についてどのように認識されているのか、お示し願いたいと存じます。
 次に今後の財政運営についてでありますが、知事は平成十四年度予算においても現在の雇用情勢とこれからの環境対策なども踏まえた緑の雇用事業などこれからの和歌山県を見据えた事業を展開される一方、IT・情報関連企業を誘致されるなど県勢活性化に積極的に取り組まれてこられましたが、私は知事の行政手腕に対する県民の期待と要望は今後さらに高まっていくものと認識しております。それは、県行政が県民生活に直結しているからであります。
 そのような期待や要望の中、知事は平成十五年度当初予算編成方針において、分権時代にふさわしい個性ある地域づくりを推進するため和歌山発事業の創出に積極的に取り組み、安心で活力あふれる二十一世紀の和歌山づくりを推進すると述べられています。また、年間を通じた不断の見直しとともに、状況変化や新たな行政課題に柔軟に取り組む成果追求型の通年予算主義を打ち出されています。的確に県民の負託にこたえていくためには知事の打ち出されたこれらの考えはまさしく今後の県政運営のあるべき姿として、私も大いに賛意をあらわすものであります。
 しかしながら、この姿を絵にかいたもちにすることなく実現するためには、今後の財政運営を抜きにしては語れないと思うわけであります。加えて、現在国では構造改革について論議が続けられ、その中で国と地方の役割分担、地方の自助努力と自己責任による財政運営を問われており、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討することが打ち出されております。知事はこの問題に対しても各県知事とも連携しながら地方の立場から積極的に発言されておられますが、現実にこれまで歳入の多くを国からの支出金に頼ってきた本県財政にとっては、いずれにしても大きな影響が考えられます。
 そこで、先ほどお伺いした現在の財政状況を踏まえ、今後の財政運営について知事の所見を伺いたいと思います。
 第二点目は、経済・雇用対策について。
 国の経済情勢については、十一月の月例報告で「景気は持ち直しているもののテンポはさらに緩やかになっている」と、一年ぶりに下方修正したようであります。景気は持ち直しに向かうことが期待されるところであるが、産業の空洞化を招くグローバル化やアメリカ経済等への懸念、我が国の株価の低迷など、今後厳しい見方をせざるを得ない状況にあると考えます。和歌山県においても消費、投資が低迷する中、国以上に厳しい状況にあると感じておりますが、県経済の現状をどう判断されているのか。
 さらに、経済対策としてこれまでも国においては社会資本の整備、金融システムの安定化、構造改革の推進等を、県内においては制度融資の拡充、新産業の創出、県内産品の販路拡大などに取り組まれ、一定の前進が図られたところでありますが、残念ながらまだ明るい展望を持っているような状況ではございません。今後も限られた予算等の中でさらに有効な手だてを打って県の活性化につなげていく必要があると思いますが、どんな施策をお考えか、知事にお尋ねをいたしたいと存じます。
 また、長期にわたり景気が低迷し、出口が見えない中、県内中小企業を取り巻く金融情勢は危機的状況にあり、県内の中小企業は円滑な事業資金の供給なくして新たな事業展開はもちろん既存事業の維持すらできない状況にあると思います。全国の企業はおよそ五百万と言われ、九九%が中小企業であって、小規模企業の比率が高い和歌山県においては民間金融機関による貸し渋り、貸しはがしが批判される中、低利・長期で活用することが可能な公的資金に多くの中小企業が期待しています。県として中小企業の金融情勢の現状をどのようにとらえているのでしょうか。県はどのような取り組み対策を行っておられるのか。
 また、雇用情勢も依然として厳しい状況にあります。全国の完全失業率は五・五%で、十五歳から二十四歳の若者の失業者は八・八%と高く、職探しをされない無業者が増加しているとなっています。近畿の完全失業率は七・二%に達していることから、本県の状況も全国に比べて非常に厳しい状況にあることがうかがえます。国においては総合デフレ対策を発表し、また補正予算で雇用対策に重点を置いた取り組みが進められておりますが、こうした対策に大きな期待を寄せるものであります。
 それとともに、本県においては特に高校生の就職が憂慮される状況にあります。来年春に卒業する生徒の就職内定率は本年十月末時点で四四・八%にとどまっております。企業への求人要請、就職アドバイザーの配置を初め、企業説明会や面接会の開催など、県も教育委員会も労働局もそれぞれの立場で取り組まれておりますが、本県の将来を担う高校生の問題も含め、本県の雇用対策について商工労働部長にお尋ねします。
 三点目は、市町村合併について。
 地方分権に伴う行財政の基盤強化を目的とした市町村合併は、二〇〇五年三月を期限として合併特例法に基づき各地方自治体が自主的な取り組みを進め、全国三千二百十七の市町村がおおむね千を目途として取り組むよう指示されており、法期限まで二カ年余りとなっていよいよ正念場を迎え、県下においてもそれぞれ取りざたされております。国は、現時点において期限の延長は認められないとされております。
 県下の現状は、法定合併協議会設置により具体的に入られているところもあり、任意の協議会あるいはオブザーバー参加等、機運はようやく高まりつつありますが、全国的にはやや低調で、地方制度調査会の一部の意見として「自主合併から強制合併への転換を図るための厳しい規制を設ける」としております。来年三月の調査会中間報告ではあめからむちへ転換していくのではないかと危惧するところであり、その主な要因は国と地方が積み上げた赤字財政は六百九十三兆円ともはや国に地方の面倒を見る余地はないとされている点について、真に地方自治体は受けとめ、住民はどこまで認識しているのかであります。仮に住民投票する上は国及び市町村の現状を周知徹底すべきで、県は指導性を発揮願いたいものであります。
 さて、県の人口は七年連続して減少となって、十月一日現在の人口は百六万一千余、前年より四千六百五十一人減少しており、四十市町村が減少、岩出を除く他は横ばいで、県人口が百万人を割る時期は見えてきた。そうした中で、地方自治体が自立し得る体制づくりを今しっかりと見定めなければならないと考えます。
 そこで、知事にお尋ねすることは、市町村合併の現状と県として今後の果たす役割についてお伺いいたします。
 支援プランについてでありますが、国と県の支援プラン五十五項目は具体性にやや乏しいのではないか、また合併しない場合はこれらの施策実現がどうなるのか、伺います。
 また、合併についての経済支援とともに人的支援についても十分かどうか、さらに、情報の提供は十分されておられるのか、今年度中は山場ととらえ多くの充実した合併支援資料の提供を特に検討していくべきと考えられますが、どうか。
 当局は、残されたわずかな時間の中であるが、県下すべての合併に関し今こそ県民が議論を尽くすべきで、真の論議することなく合併に至ることのないよう、この時期において県が総力を挙げて指導的に取り組むことが必要であると考えるが、総務部長にこのことについて答弁をいただきたいと思います。
 四点目は、道路網の整備促進について。
 本県の道路整備の状況は中山間地域が多く集落が散在しており、地理的条件は他府県に比べ必ずしもよいとは言えず、したがって道路の整備がおくれているのは確かであります。しかし、道路は経済の波及効果の上ではかり知れないものがございます。今後とも用地問題を含め県民の理解と協力を得ながら、着々と実現に向け積極的な取り組みが必要と考えます。私も今回で十四回目の質問となりますが、その大半は道路関係であり、その思いは今後とも変わりません。
 さきに木村知事を先頭に近畿ブロック知事会議に道路整備の緊急提案をされ、九府県の知事会より関係省庁へ提出されたところであり、確かに国の財政上の問題から道路関係四公団が論議の的となっておりますが、採算性のみ重視することなく、料金体系や地方の意見を十分配慮されるべきであります。また、道路特定財源についても一般財源化等、他に転用することなく全額を道路関係予算に充当すべきことなど、東京での道路整備促進大会でも他府県とともに強く要望しているところでありますが、過日十二月六日、道路関係民営化推進委員会の最終報告は、高速道路の建設費の極度の抑制など新規建設に向け大変厳しい歯どめの報告であり、地方でいる我々としてはまことに遺憾で納得できないものであります。
 さて、本県については何といっても高規格道路など京奈和自動車道、紀伊半島一周の近畿自動車道紀勢線の早期実現が先決であると考えます。また、府県間道路では国道三百七十一号は河内長野より橋本、高野山を経て南紀へ通ずる道路、さらに国道四百八十号は和泉市より那賀町、かつらぎ町を経て高野山道路、那賀郡では県道泉佐野打田線、同じく県道泉佐野岩出線、和歌山には第二阪和等、整備中の各府県間道路があります。いずれも当局の熱意で県内にあっては相当の進捗で早期の完成を望むところでありますが、国境とも言える和泉山脈があって、大阪府側の動きは極めて低調と言わざるを得ません。事業採択はされておるようでありますが、目に見えてこないわけであります。工事に向けて手のつけていない道路もございます。大阪府も財政難から府県間道路にあっては現行の四〇%を削減したいと聞かされており、大阪府側の道路整備に増額いただく条件交渉をすべきと考えます。大阪府との風通しをよくすることは、本県の活性化を図る上で最大のものと考えております。
 ただいま申し上げた五つの府県間道路の大阪府の完成は平成三十年までに果たして国道三百七十一号等を初め幾つかの路線が完成されるのか危惧するところであり、大阪府との交渉経過も含め、今後の道路整備の取り組みについて知事の答弁をいただきたいと存じます。
 また、府県間道路で五つの路線のうちには長大トンネルもあって、国の直轄代行事業で着手する手だてを一度真剣に検討いただきたい。また、県下の中山間地域では費用対効果の点で、知事が進めております、二車線でなく五メートル道路も望ましいと考え、県内二時間ネットワークの構築を初め、国道、県道、市町村道に至る各種道路の整備促進に当局は一層努力されるよう強く要望を申し上げておきます。
 五点目は、本県農業の振興策について。
 食料、農業、農村の新たな農業基本法が一昨年制定され、穀物の自給率を四五%に引き上げるとされておりますが、一方、百九十万トンという古米の適正化を図るため、来年度の生産調整面積は百一万ヘクタールに五万ヘクタール上乗せの拡大方針が固まるようであります。したがって、国はこれまでの政策を大きく転換し、三十年間続いた米の生産調整も、限度感、強制感、不公平感等、混迷を深めており、五年後の二〇〇八年には農業者、農業団体の自主的な調整システムに移行せざるを得ない方針であります。つまり、国は生産調整から手を引くこととなり、やむを得ない事態と受けとめていますが、当局はどう理解されているのか、伺います。
 一方、荒廃地が極度にふえ、特に高齢化と後継者難により担い手は減少の一途をたどり、本年七月現在の数値で県下の耕地面積三万六千四百ヘクタールは前年に比べ四百ヘクタール、約一%減となり、とりわけ中山間地帯の比率が高いようであるが、中山間直接支払い制度は功をなしているのか、伺います。
 また、本県は果樹王国と言われ、カキ、梅は全国第一位、ミカン二位、桃三位を維持されている点、喜ばしいところであるが、ここ数年、消費の低迷で果樹や野菜、花卉農家は暗いトンネルから抜けられるのかとの強い声がございます。当局は消費宣伝あるいは加工に向け、また海外輸出等含めて大変努力されているところでありますけれども、さらに産地の生き残りをかけての戦いと受けとめていただき、今後の重点的な取り組みについて答弁をいただきたいのであります。
 次に、食の安全は人間が生活を営む上で最も重要なことであります。さきに本県の特産物である梅の無登録農薬「ダイホルタン」の検査で農家一千戸の検査が行われましたが、一件も検出されなかったことは大変喜ばしいところでありますが、今後すべての農産品やBSEいわゆる狂牛病を含め、安全、安心され消費者に望まれる和歌山産品を供給する生産現場での指導強化や検査体制が必要と考えるが、どう対処をされるのか、以上何点かを農林水産部長にお尋ねをいたします。
 次に、個人情報保護条例について質問をさせていただきます。
 近年における情報通信技術、ITの発展とネットワーク化の急速な進展により、さまざまな情報が自由に流通する情報化社会が到来しております。これにより企業活動や日常生活は非常に便利なものとなり、個人情報についても官民を問わずITを活用した利用がますます拡大していくと考えられます。ただし、一方では知らないところからのダイレクトメールなど名簿が流出、漏洩しているのではないかといった不適正な取り扱いに対する不安感が広がっております。プライバシーを初めとする個人の権利、利益の侵害を防止する必要がますます高まってきたところであります。
 県においては、個人情報の取り扱いについて従来から適切な保護措置がとられてきたところであるが、今後、庁内のIT化が進められていくとき、個人情報の漏洩など不適正な取り扱いはあってはならないものであり、県として個人情報保護の総合的な対策を講じることが必要であると考えております。今回提案のあった個人情報保護条例には県における個人情報の原則的な取り扱いや開示請求等の権利についての定めが設けられており、こうした保護対策が講じられた時宜にかなった取り組みであると考えております。
 そこで、この条例の特色や今後運用される本県の個人情報の保護制度全体についての基本的な考え方について、知事にお伺いしたいと思います。
 次に、医大跡地の利用についてお尋ねをいたします。
 私はかつて、県立医科大学跡地利用懇話会の委員の一人として医大跡地の利用について検討させていただいた経緯もあって、昨年の六月議会でこの問題について質問いたしました。また、その後も関心を持って見守ってまいりましたが、この話は最近、割合聞こえてまいりません。和歌山市の中心市街地では、さきに申し述べたとおり相次ぐ大型店の撤退で中心市街地の空洞化は一層深刻となってまいりました。町は危機状態にあります。こうした厳しい状況の中、和歌山市の中心部にあって和歌山城を望む医大跡地は本県に残された数少ないすぐれた立地条件にあり、県民、市民はその有効利用を大いに期待するところであります。
 医大跡地のうち、事業コンペを実施した敷地の利用については、コンペ入選のダイワロイヤル株式会社の応募提案に基づき現在基本計画を策定しており、事業化へ向けた作業を進めていると聞いておりますが、医大跡地の一部と防災センター用地としての雄湊公園を交換する件については、この九月に新市長が医大用地に計画されていた大学構想を白紙に戻すと明言し、県も防災センターを県印刷所に決定したことから交換の話は白紙となり、その対象であった敷地の利用計画は明確でなくなったように思います。私は、このような時期であるからこそ中心市街地にある貴重な医大跡地の利用計画を早急に具体化し、この事業を起爆剤として中心市街地の活性化を図り、かつてのようなにぎわいを取り戻すことが県、市にとって何よりも必要でないかと考えます。
 そこで、企画部長にお尋ねします。
 こうした状況を踏まえて、医大跡地全体をどのように利用しようとしているのか、また今後どのようなスケジュールで事業を展開しようとしているのか、県としての考え方をお聞きしたいと思います。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず和歌山県の財政状況についてのご質問でございますけれども、ご案内のように、日本の国は不良債権の処理の問題、そしてデフレが引き続いているという中で非常に先行き不透明な状況にございます。こういうふうな中で、和歌山県の税収につきましても法人二税を中心に毎年減少をしてくるというふうな厳しい状況でございますし、この状況は来年度、急に変わるものではないというふうな厳しい認識を持っております。
 こういうふうな中で今までどおりの財政運営ということでありますと、片方では活気が出てきませんし、そしてまた片方では厳しくやっていかないといかん。両にらみでやっていかないといかんと、非常に難しい問題がございますので、そういうふうな中で、まず一つは施策の弾力化を図ると。今までの考え方にとらわれない、新しいゼロベースでいろいろな施策を考えていくということを進めております。それから、最近言っておりますのが「民間感覚を持て」ということで、今や民間企業も非常に厳しい状況の中で利益を生み出す努力をしている。自治体は、利益を生み出すということは目的ではございませんけれども、しかしながら、そういうふうな厳しい感覚を持たないとこの時代には対処できないということで対応しておりますし、それから予算につきましても、一度決めてしまったらもうそれでずっといくというふうな考え方じゃなくて、議会に諮りながら通年──一年間を通して必要なもの、そして要らないものを省くというふうな形での対応をしていきたいということを考えているわけでございます。
 そしてまた、予算につきましても非常に限られた予算でございます。そういうものについて効率的な配分をより一層進めるということで進めておりますし、それからまた、国の方は三位一体すなわち補助金と交付税と税源移譲を一体として考えるというふうなことを言っておりましたけれども、補助金のカットと交付税の見直しは思い切りいろいろ進んでくるようでございますけれども、税源の移譲ということについてはまあノータッチというふうな状況になっておりますので、これからもこういう点、厳しく地方から声を上げていかなければならないという気持ちを強く持っているところでございます。
 次に、経済・雇用対策でございます。
 ただいま申し上げましたように、不良債権の問題、そしてデフレ、こういうことで株価が非常に低迷しているというふうな中で、和歌山県の産業も非常に厳しい状況にあります。私がかねてから申しておりますのは、こういう時代には和歌山県に今まである産業というふうなものをブラッシュアップして、付加価値をたくさんつけていくような施策をとっていかなければならないだろうということを言っております。
 今言われておりますのが、グローバルニッチということで世界的にすき間産業を探していくというふうなこととか、それから各地の地場産業が相互に連携をとりながら自分たちのいいところを教え合ってより付加価値を高めていくというふうな動きが全国的に出てきておりますので、こういうふうなことを支援して和歌山県で、オンリーワンでもオンリーツーでもオンリースリーでもいいんですけれども、そういうふうな特色のある企業がどんどんふえてくるような形で対応していきたいというふうに思っております。
 それから、今産業の空洞化ということは大変な事態になっておりますけれども、これは私は中国との関係で新しい段階に入っているという認識がございますので、来年度から五つの県で合同して上海に事務所を設け、そして従来の事務所じゃなくて非常に大きな機能を果たせるような事務所、こちらからの物を売っていくこともできるような、中国を市場として見ることもできるような形の事務所というふうなものを設けるようなことを今考えております。
 それから、和歌山県の産品のアピールということに関しましては、例えばことしは銀座の三越、そしてイトーヨーカ堂と協力して首都圏でアンテナショップ的なものを開催いたしましたけれども、これ非常に成果が上がっておりますので、来年度以降、箱物をつくるようなアンテナショップではないソフトな形の和歌山の産品を全国へ発信できるようなアンテナショップをつくっていきたいと、このように考えているところでございます。
 次に、市町村合併の問題でございます。
 ご案内のように、法期限が十七年の三月に迫っているというふうな中で、全国的な取り組みがおくれているということから、最近では、この期限内に合併しなかった小さな町村というものに対して非常に厳しい対応をとっていくんだというような発表もいろんなところでなされておりまして、私もある意味で非常に心を痛めているというふうなところがあるわけでございます。
 和歌山県では、この十月に橋本、伊都、そして十一月には南部、南部川で法定協ができました。そして、同じく十一月には串本、古座、古座川、それから川辺、中津、美山で任意協ができたというふうなことで、全国の状況から見ると非常に和歌山県はこの合併問題については私は先進県の中に入っているだろうというふうに思っております。そしてこれも県下の市町村長の人たちがこれからの自分たちの町の行く末ということについて非常に真剣に考えていることの証左だろうということで、非常に敬意を持って対応しているところでございますけれども、先ほどもご質問にありましたように、これからが非常に大事な時期になってきますので、県としてもこれは、強制するというふうなことではございませんので、できるだけ協力して、合併したいというところが円滑に合併に進めるような形での支援を考えていきたいというふうに思っているところでございます。
 次に、道路網の整備についてでございます。
 ご案内のように、私は交流から産業を生み出そうということで、府県間道路、京奈和自動車道、そして高速道路の南伸と、こういうふうなものを非常に重要なものとして施策を行っておりまして、例えば高速道路につきましても、民営化推進委員会の報告が出て非常に混乱しておりますけれども、こういうふうな形になってきたのも、東京なんかで我々がある程度発言してきたと、そしてそれは守旧派的な発言じゃなくて理屈からの発言をしたことが一つ大きな成果があったものであろうというふうに思っているところでございます。
 今、府県間道路につきましては、先般も泉佐野岩出線を私走りましたら、大阪側で金熊寺バイパス、これは大分前からトンネルつくってどうなるのかなと思って見ていたら、もうこれが開通しておりまして、かなり便利にはなってきております。こういうふうに、やはりこの府県間道路、トンネル等ができますと本当に交流がどんどん活発化するということで、大事なものというふうに思っておりますので、これからも、例えば一・五車線道路を活用するとか、そういうふうな形でどんどん進めていきたいと思いますし、大阪府側に対しても、非常に財政状況厳しいと思いますけれども、この府県間道路の持つ重要性ということを強く訴えていきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、最後に個人情報保護の問題でございますけれども、この条例は県が保有する個人情報を中心に適正な取り扱いを行うために今回提案させていただいたものでございます。中身の特徴といたしましては、例えば、対象に亡くなった方や法人の役員に関する個人情報を含めるとか、それから県にある個人情報の取り扱いの厳格化であるとか、それから自己情報のコントロール権の創設であるとか、こういうふうな新しいものを含んでいるわけでございます。しかしながら、条例だけで個人情報が保護されるというふうなわけにはいきませんので、この条例が成立いたしました暁には運用について十分意を用いて和歌山県の個人情報の保護に努めていきたいと、このように考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 経済・雇用対策の中の県内の中小企業における金融情勢についてでございますが、十一月末に近畿経済産業局や和歌山財務事務所との共催により地域融資動向に関する情報交換会を開催いたしましたところ、県内の金融機関、経済団体から「不況の中、中小企業の資金繰りは厳しく、設備資金などの前向きの資金需要は乏しい」との意見が多く出されました。県といたしましても、今後、金融機関の不良債権の処理の進展等によりさらに厳しくなることを懸念しているところでございます。
 中小企業への円滑な資金供給を図るために、県は融資制度の必要な融資枠を確保するとともに、償還期間の延長、小企業者への金利引き下げ、さらに売掛金を担保とする短期資金の創設など、中小企業の資金需要に応じて種々工夫しながら対応しているところであります。この結果、制度融資の本年度における新規融資の件数、融資額は昨年度に比べ大幅に増加している状況にございます。今後とも、県信用保証協会を初め関係機関との連携を密にし、中小企業への金融対策の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に雇用対策についてでありますが、県下の厳しい雇用情勢を踏まえ、新たな雇用機会の創出及び雇用の安定に努めるとともに、求人側と求職者とのミスマッチの解消が重要であると考えております。このため、本県に交付された緊急地域雇用創出特別交付金を活用し、緑の雇用事業などで約四千人の雇用を生み出す計画で事業を進めているのを初め、労働局や経済団体とともにUターンフェアや合同面接会を開催するほか、就職に必要な技能を身につけてもらうための高等技術専門校での訓練あるいは離職者に対する訓練を行っております。さらに、本年度から離職者や未就職者に対し就職活動に必要な知識や手法を身につけてもらうための就職セミナーを開催しているところでございます。
 また、高校生の就職状況も大変憂慮される状況であります。県といたしましても、企業への求人要請や就職慣行の見直しなど労働局や教育委員会とともに努めているところでございますが、本年度からは高校生を対象にした就職セミナーを開催し、就職活動の支援とともに就職に対する意識の向上を図っているところでございます。
 いずれにいたしましても、議員お話しのように大変厳しい状況であり、今後も関係機関と連携をとりながらこうした取り組みを一層進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併に関する県の支援と情報の提供についてお答えを申し上げます。
 現在、県内におきまして法定協議会が三、任意協議会が三設置されておりまして、構成市町村数は二十七市町村、全体に対する割合で五四%となっております。また、合併重点支援地域といたしましては六地域、三十五市町村を指定しております。
 合併に関する県の支援につきましては、十月に策定いたしました和歌山県市町村合併支援プランに登載しております。主な内容としましては、協議会事務局への職員派遣などの人的な支援や協議会運営経費に対する財政的支援、インフラ整備の重点投資や優先採択、障害除去などとなっておりまして、市町村との協議を通じて事業の具体化をしてまいりたいと考えております。また、プランにつきましては毎年度見直しを行うこととしておりますので、今後さらなる充実に向けて必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に情報提供についてでありますが、既に「県民の友」への特集の掲載やシンポジウム、セミナーの開催などを行ってまいりました。また、二月には橋本市で広く住民の方々を対象にしたセミナーを開催する予定であり、ビデオの作成やテレビ放映などの啓発を集中的に実施することでさらなる機運醸成に努めてまいりたいと考えております。また、地方制度調査会を初め平成十七年四月以降の地方制度のあり方に関する議論につきましても情報の入手及び提供に努めるとともに、必要に応じて提言や意見の発信を行ってまいりたいと考えております。
 県としましては、正念場の時期を迎えているという認識のもと、支援本部と地域支援本部の連携を密にしながら、機運醸成や支援に対する取り組みを強化してまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 本県農業の振興策についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず新しい米政策についてでございますが、今回、国が直接関与する生産調整から農業者や農業者団体主体の需給調整システムへ移行する基本方向が示されたところでございます。本県の自給的生産農家を中心とした飯米農家が多い稲作実態から考えますと、農業者の経営判断に基づき地域の特色を生かした産地づくりや水田の多面的機能の活用を進めることができ、今回の米政策は地域に受け入れられるのではないかと考えてございます。
 次に中山間地域等直接支払い制度についてでございますが、この制度は農地の荒廃などによる農業、農村の持つ多面的機能の低下を防止するため集落協定を締結し、五年以上営農を継続する農業者に対し交付金を支払うものでございます。平成十三年度の実績では一万二千ヘクタール余りの農地で協定が締結されまして、約十五億円の交付金が支払われてございます。各集落ではこの交付金を活用いたしまして、農道や用排水路などの維持管理、鳥獣害防止施設の設置など、農地の荒廃防止を初め地域資源を生かした活性化への取り組みが行われてございます。県といたしましても、今後ともこの直接支払い制度を積極的に活用し、優良農地の荒廃防止と農村地域の活性化に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に果樹振興についてでございますが、カキを初めミカン、梅、桃など主要四品目につきまして生産から流通加工に至る具体的な戦略プランの策定を進めてきたところでございます。現在、原案を関係機関と協議しており、本年度内には取りまとめることとしてございます。
 その中で、カキでは過剰基調にあります「刀根早生」を中心とした品種構成の適正化対策として「中谷早生」や「太秋」の産地化、ミカンでは県内育成品種「由良早生」の産地化やマルチ栽培の拡大対策など、高品質で安定した生産体制の確立を中心に消費者に安心を届けるトレーサビリティーシステムの構築などに取り組むこととしてございます。また、野菜、花卉につきましても、平成十三年に策定いたしました和歌山の野菜グリーンウエーブ計画と花の紀州路ネットワーク計画に基づき、新鮮で安全な高品質野菜・花卉産地育成を重点的に進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、無登録農薬問題に関連した検査体制などについてでございますが、県ではこの問題に対応し、去る九月十日、和歌山県農薬適正使用緊急対策本部を設置し、これまでカキ、ミカン、梅干しの安全性の確認を行うなど積極的に取り組んできたところでございます。また、十二月二日には第三回本部会議を開催し、消費者にさらに安全で安心な本県農産物を提供するため、農協営農指導員など指導者に対する研修会の開催や生産農家の農薬使用記帳の推進、販売業者に対する立入検査の強化、また関係部局などとの連携による検査体制の整備充実などを取り決めたところでございます。今後とも、本県農畜産物の安全性を確保するため積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 医大跡地の活用についてでございます。
 和歌山市と交渉を行ってまいりました医大跡地の一部敷地につきましては、和歌山市が公立大学構想を白紙に戻したことを受けまして、県市の最重要課題である中心市街地の活性化を図るという観点から、これらの敷地の新たな利用方策について関係者とも協議をしてまいりました。その結果、和歌山城に面したいわゆるA敷地で整備予定のホテル、商業施設、駐車場につきましては対象地域を拡大し、数百台規模の立体駐車場を北側の一区画に配置がえするなど、医大跡地全体を一体的に整備してまいりたいと考えてございます。これによりまして、移転が予定されております済生会病院等の利便性の向上ですとか、ぶらくり丁への回遊性の確保などを図り、中心市街地全体の活性化につなげてまいりたいと思います。
 今後のスケジュールについてでございますが、基本計画につきましては今年度中の策定を目指し、施設の建設につきましては来年度早々にも工事着手ができればと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、木下善之君の質問が終了いたしました。

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