平成14年12月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十四年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十四年十二月九日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第百五十号から議案第百七十二号まで(当局説明・質疑
  第二 議案第百三十六号から議案第百四十九号まで、並びに報第十号(質疑)
  第三 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百五十号から議案第百七十二号まで(当局説明・質疑
   二 議案第百三十六号から議案第百四十九号まで、並びに報第十号(質疑)
   三 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         内   田   安   生
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       阪   口   裕   之
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      高   綱   直   良
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
     医科大学学長     山   本   博   之
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から監査の結果報告がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百五十号から議案第百七十二号まで】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、ただいま報告の議案第百五十号から議案第百七十二号までを一括して議題といたします。
 議案はお手元に配付しておりますので、まず当局の説明を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま上程されました諸議案について、ご説明を申し上げます。
 今回追加提案いたしました議案は、去る十月十六日の県人事委員会よりの職員の給与等に関する勧告に基づく給与改定を実施するため所要の措置を講ずるものでございます。
 まず、予算案件といたしましては、給与関係経費として一般会計で四十二億三千八百万円余りの減額、特別会計につきましても総額三億四千九百万円余の減額の補正予算を計上いたしております。
 また、議案第百六十号から第百七十二号をもって給与関係条例の改正をお願いいたしております。
 何とぞ、ご審議の上、ご賛同賜りますようお願いを申し上げます。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、当局の説明が終わりました。
  【日程第二 議案第百三十六号から議案第百四十九号まで、
        並びに報第十号】
  【日程第三 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第二、議案第百三十六号から議案第百四十九号まで、並びに知事専決処分報告報第十号をあわせ一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第三、一般質問を行います。
 十一番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 皆さん、おはようございます。
 十二月定例県議会のトップに質問をさせていただきますこと、大変光栄でございまして、皆様に厚くお礼を申し上げます。
 まず、質問の冒頭に当たりまして、去る十一月二十一日にご逝去されました高円宮憲仁親王殿下に謹んで哀悼の意をささげます。殿下におかれましては、平成十一年の南紀熊野体験博に妃殿下とともにお越しいただき、親しくお言葉を交わされましたことを思い出す県民も多くおられます。その飾らないお人柄が県民の心をとらえ、「癒し」の地・熊野で殿下に心をいやされたという県民の話も伺いました。我が国にとってかけがえのない方を失い、悲しみでいっぱいであります。
 さて、早いもので平成十四年もあとわずかとなりました。知事が年初めに県職員に向かって提言された「向こう傷を恐れるな」という姿勢は、この一年さまざまな形で具体化されてきました。「地方から日本を変える」と、緑の雇用事業や地球温暖化防止に貢献する森林連合の共同アピールや、一昨日、テレビ、新聞に報道された高野山、熊野を中心とした世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の文化審議会での登録推薦がされたことについて、関係された皆さんの労苦に感謝申し上げますとともに、また県民の皆さんの多くの支援のたまものであり、全国へ向けてのさまざまな発言の中心に和歌山県がいるということは、県と両輪で邁進している私ども議会としましてもまことに実の多い年であったこととして喜びたいと存じます。
 それでは、一般質問に入らせていただきます。
 元気づくり和歌山の総点検のまず第一項目め、本県の財政状況と今後の財政運営について。
 この一年を振り返ってみますと、本県を取り巻く経済環境は非常に厳しいものであったと言えると思います。国にあっても、先般の補正予算編成に当たって景気低迷から三兆円程度も国税収入の歳入不足が見込まれております。また企業活動も萎縮していると言わざるを得ない状況でありますが、その状況は本県ではそれ以上のものがあるのではないかと考えるところであります。
 ことしに入り、橋本市内においても大手スーパーのサティ、また西友ストアの撤退、かつては六百人雇用のJT(日本たばこ産業)橋本工場の来年三月末の撤退、貸しテナントビルも各事業所の合理化によって毎月のように撤退に拍車がかかっており、和歌山市においても丸正を初め和歌山ビブレ、長崎屋やワボック等、県下五十市町村においても同じように県内の大型店舗など相次いで撤退し、また先日の報道にもありましたが、今後の和歌山県を託すべき県内高校生の就職内定率が過去最低となることが懸念されているなど、本県の経済状況を象徴するような事実もあり、県税収入の落ち込みなど、私も県民の一人として今後の和歌山県を案ずるところであります。
 そこで、まず知事にお伺いいたしますが、これらの状況を踏まえ本県の財政状況についてどのように認識されているのか、お示し願いたいと存じます。
 次に今後の財政運営についてでありますが、知事は平成十四年度予算においても現在の雇用情勢とこれからの環境対策なども踏まえた緑の雇用事業などこれからの和歌山県を見据えた事業を展開される一方、IT・情報関連企業を誘致されるなど県勢活性化に積極的に取り組まれてこられましたが、私は知事の行政手腕に対する県民の期待と要望は今後さらに高まっていくものと認識しております。それは、県行政が県民生活に直結しているからであります。
 そのような期待や要望の中、知事は平成十五年度当初予算編成方針において、分権時代にふさわしい個性ある地域づくりを推進するため和歌山発事業の創出に積極的に取り組み、安心で活力あふれる二十一世紀の和歌山づくりを推進すると述べられています。また、年間を通じた不断の見直しとともに、状況変化や新たな行政課題に柔軟に取り組む成果追求型の通年予算主義を打ち出されています。的確に県民の負託にこたえていくためには知事の打ち出されたこれらの考えはまさしく今後の県政運営のあるべき姿として、私も大いに賛意をあらわすものであります。
 しかしながら、この姿を絵にかいたもちにすることなく実現するためには、今後の財政運営を抜きにしては語れないと思うわけであります。加えて、現在国では構造改革について論議が続けられ、その中で国と地方の役割分担、地方の自助努力と自己責任による財政運営を問われており、国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討することが打ち出されております。知事はこの問題に対しても各県知事とも連携しながら地方の立場から積極的に発言されておられますが、現実にこれまで歳入の多くを国からの支出金に頼ってきた本県財政にとっては、いずれにしても大きな影響が考えられます。
 そこで、先ほどお伺いした現在の財政状況を踏まえ、今後の財政運営について知事の所見を伺いたいと思います。
 第二点目は、経済・雇用対策について。
 国の経済情勢については、十一月の月例報告で「景気は持ち直しているもののテンポはさらに緩やかになっている」と、一年ぶりに下方修正したようであります。景気は持ち直しに向かうことが期待されるところであるが、産業の空洞化を招くグローバル化やアメリカ経済等への懸念、我が国の株価の低迷など、今後厳しい見方をせざるを得ない状況にあると考えます。和歌山県においても消費、投資が低迷する中、国以上に厳しい状況にあると感じておりますが、県経済の現状をどう判断されているのか。
 さらに、経済対策としてこれまでも国においては社会資本の整備、金融システムの安定化、構造改革の推進等を、県内においては制度融資の拡充、新産業の創出、県内産品の販路拡大などに取り組まれ、一定の前進が図られたところでありますが、残念ながらまだ明るい展望を持っているような状況ではございません。今後も限られた予算等の中でさらに有効な手だてを打って県の活性化につなげていく必要があると思いますが、どんな施策をお考えか、知事にお尋ねをいたしたいと存じます。
 また、長期にわたり景気が低迷し、出口が見えない中、県内中小企業を取り巻く金融情勢は危機的状況にあり、県内の中小企業は円滑な事業資金の供給なくして新たな事業展開はもちろん既存事業の維持すらできない状況にあると思います。全国の企業はおよそ五百万と言われ、九九%が中小企業であって、小規模企業の比率が高い和歌山県においては民間金融機関による貸し渋り、貸しはがしが批判される中、低利・長期で活用することが可能な公的資金に多くの中小企業が期待しています。県として中小企業の金融情勢の現状をどのようにとらえているのでしょうか。県はどのような取り組み対策を行っておられるのか。
 また、雇用情勢も依然として厳しい状況にあります。全国の完全失業率は五・五%で、十五歳から二十四歳の若者の失業者は八・八%と高く、職探しをされない無業者が増加しているとなっています。近畿の完全失業率は七・二%に達していることから、本県の状況も全国に比べて非常に厳しい状況にあることがうかがえます。国においては総合デフレ対策を発表し、また補正予算で雇用対策に重点を置いた取り組みが進められておりますが、こうした対策に大きな期待を寄せるものであります。
 それとともに、本県においては特に高校生の就職が憂慮される状況にあります。来年春に卒業する生徒の就職内定率は本年十月末時点で四四・八%にとどまっております。企業への求人要請、就職アドバイザーの配置を初め、企業説明会や面接会の開催など、県も教育委員会も労働局もそれぞれの立場で取り組まれておりますが、本県の将来を担う高校生の問題も含め、本県の雇用対策について商工労働部長にお尋ねします。
 三点目は、市町村合併について。
 地方分権に伴う行財政の基盤強化を目的とした市町村合併は、二〇〇五年三月を期限として合併特例法に基づき各地方自治体が自主的な取り組みを進め、全国三千二百十七の市町村がおおむね千を目途として取り組むよう指示されており、法期限まで二カ年余りとなっていよいよ正念場を迎え、県下においてもそれぞれ取りざたされております。国は、現時点において期限の延長は認められないとされております。
 県下の現状は、法定合併協議会設置により具体的に入られているところもあり、任意の協議会あるいはオブザーバー参加等、機運はようやく高まりつつありますが、全国的にはやや低調で、地方制度調査会の一部の意見として「自主合併から強制合併への転換を図るための厳しい規制を設ける」としております。来年三月の調査会中間報告ではあめからむちへ転換していくのではないかと危惧するところであり、その主な要因は国と地方が積み上げた赤字財政は六百九十三兆円ともはや国に地方の面倒を見る余地はないとされている点について、真に地方自治体は受けとめ、住民はどこまで認識しているのかであります。仮に住民投票する上は国及び市町村の現状を周知徹底すべきで、県は指導性を発揮願いたいものであります。
 さて、県の人口は七年連続して減少となって、十月一日現在の人口は百六万一千余、前年より四千六百五十一人減少しており、四十市町村が減少、岩出を除く他は横ばいで、県人口が百万人を割る時期は見えてきた。そうした中で、地方自治体が自立し得る体制づくりを今しっかりと見定めなければならないと考えます。
 そこで、知事にお尋ねすることは、市町村合併の現状と県として今後の果たす役割についてお伺いいたします。
 支援プランについてでありますが、国と県の支援プラン五十五項目は具体性にやや乏しいのではないか、また合併しない場合はこれらの施策実現がどうなるのか、伺います。
 また、合併についての経済支援とともに人的支援についても十分かどうか、さらに、情報の提供は十分されておられるのか、今年度中は山場ととらえ多くの充実した合併支援資料の提供を特に検討していくべきと考えられますが、どうか。
 当局は、残されたわずかな時間の中であるが、県下すべての合併に関し今こそ県民が議論を尽くすべきで、真の論議することなく合併に至ることのないよう、この時期において県が総力を挙げて指導的に取り組むことが必要であると考えるが、総務部長にこのことについて答弁をいただきたいと思います。
 四点目は、道路網の整備促進について。
 本県の道路整備の状況は中山間地域が多く集落が散在しており、地理的条件は他府県に比べ必ずしもよいとは言えず、したがって道路の整備がおくれているのは確かであります。しかし、道路は経済の波及効果の上ではかり知れないものがございます。今後とも用地問題を含め県民の理解と協力を得ながら、着々と実現に向け積極的な取り組みが必要と考えます。私も今回で十四回目の質問となりますが、その大半は道路関係であり、その思いは今後とも変わりません。
 さきに木村知事を先頭に近畿ブロック知事会議に道路整備の緊急提案をされ、九府県の知事会より関係省庁へ提出されたところであり、確かに国の財政上の問題から道路関係四公団が論議の的となっておりますが、採算性のみ重視することなく、料金体系や地方の意見を十分配慮されるべきであります。また、道路特定財源についても一般財源化等、他に転用することなく全額を道路関係予算に充当すべきことなど、東京での道路整備促進大会でも他府県とともに強く要望しているところでありますが、過日十二月六日、道路関係民営化推進委員会の最終報告は、高速道路の建設費の極度の抑制など新規建設に向け大変厳しい歯どめの報告であり、地方でいる我々としてはまことに遺憾で納得できないものであります。
 さて、本県については何といっても高規格道路など京奈和自動車道、紀伊半島一周の近畿自動車道紀勢線の早期実現が先決であると考えます。また、府県間道路では国道三百七十一号は河内長野より橋本、高野山を経て南紀へ通ずる道路、さらに国道四百八十号は和泉市より那賀町、かつらぎ町を経て高野山道路、那賀郡では県道泉佐野打田線、同じく県道泉佐野岩出線、和歌山には第二阪和等、整備中の各府県間道路があります。いずれも当局の熱意で県内にあっては相当の進捗で早期の完成を望むところでありますが、国境とも言える和泉山脈があって、大阪府側の動きは極めて低調と言わざるを得ません。事業採択はされておるようでありますが、目に見えてこないわけであります。工事に向けて手のつけていない道路もございます。大阪府も財政難から府県間道路にあっては現行の四〇%を削減したいと聞かされており、大阪府側の道路整備に増額いただく条件交渉をすべきと考えます。大阪府との風通しをよくすることは、本県の活性化を図る上で最大のものと考えております。
 ただいま申し上げた五つの府県間道路の大阪府の完成は平成三十年までに果たして国道三百七十一号等を初め幾つかの路線が完成されるのか危惧するところであり、大阪府との交渉経過も含め、今後の道路整備の取り組みについて知事の答弁をいただきたいと存じます。
 また、府県間道路で五つの路線のうちには長大トンネルもあって、国の直轄代行事業で着手する手だてを一度真剣に検討いただきたい。また、県下の中山間地域では費用対効果の点で、知事が進めております、二車線でなく五メートル道路も望ましいと考え、県内二時間ネットワークの構築を初め、国道、県道、市町村道に至る各種道路の整備促進に当局は一層努力されるよう強く要望を申し上げておきます。
 五点目は、本県農業の振興策について。
 食料、農業、農村の新たな農業基本法が一昨年制定され、穀物の自給率を四五%に引き上げるとされておりますが、一方、百九十万トンという古米の適正化を図るため、来年度の生産調整面積は百一万ヘクタールに五万ヘクタール上乗せの拡大方針が固まるようであります。したがって、国はこれまでの政策を大きく転換し、三十年間続いた米の生産調整も、限度感、強制感、不公平感等、混迷を深めており、五年後の二〇〇八年には農業者、農業団体の自主的な調整システムに移行せざるを得ない方針であります。つまり、国は生産調整から手を引くこととなり、やむを得ない事態と受けとめていますが、当局はどう理解されているのか、伺います。
 一方、荒廃地が極度にふえ、特に高齢化と後継者難により担い手は減少の一途をたどり、本年七月現在の数値で県下の耕地面積三万六千四百ヘクタールは前年に比べ四百ヘクタール、約一%減となり、とりわけ中山間地帯の比率が高いようであるが、中山間直接支払い制度は功をなしているのか、伺います。
 また、本県は果樹王国と言われ、カキ、梅は全国第一位、ミカン二位、桃三位を維持されている点、喜ばしいところであるが、ここ数年、消費の低迷で果樹や野菜、花卉農家は暗いトンネルから抜けられるのかとの強い声がございます。当局は消費宣伝あるいは加工に向け、また海外輸出等含めて大変努力されているところでありますけれども、さらに産地の生き残りをかけての戦いと受けとめていただき、今後の重点的な取り組みについて答弁をいただきたいのであります。
 次に、食の安全は人間が生活を営む上で最も重要なことであります。さきに本県の特産物である梅の無登録農薬「ダイホルタン」の検査で農家一千戸の検査が行われましたが、一件も検出されなかったことは大変喜ばしいところでありますが、今後すべての農産品やBSEいわゆる狂牛病を含め、安全、安心され消費者に望まれる和歌山産品を供給する生産現場での指導強化や検査体制が必要と考えるが、どう対処をされるのか、以上何点かを農林水産部長にお尋ねをいたします。
 次に、個人情報保護条例について質問をさせていただきます。
 近年における情報通信技術、ITの発展とネットワーク化の急速な進展により、さまざまな情報が自由に流通する情報化社会が到来しております。これにより企業活動や日常生活は非常に便利なものとなり、個人情報についても官民を問わずITを活用した利用がますます拡大していくと考えられます。ただし、一方では知らないところからのダイレクトメールなど名簿が流出、漏洩しているのではないかといった不適正な取り扱いに対する不安感が広がっております。プライバシーを初めとする個人の権利、利益の侵害を防止する必要がますます高まってきたところであります。
 県においては、個人情報の取り扱いについて従来から適切な保護措置がとられてきたところであるが、今後、庁内のIT化が進められていくとき、個人情報の漏洩など不適正な取り扱いはあってはならないものであり、県として個人情報保護の総合的な対策を講じることが必要であると考えております。今回提案のあった個人情報保護条例には県における個人情報の原則的な取り扱いや開示請求等の権利についての定めが設けられており、こうした保護対策が講じられた時宜にかなった取り組みであると考えております。
 そこで、この条例の特色や今後運用される本県の個人情報の保護制度全体についての基本的な考え方について、知事にお伺いしたいと思います。
 次に、医大跡地の利用についてお尋ねをいたします。
 私はかつて、県立医科大学跡地利用懇話会の委員の一人として医大跡地の利用について検討させていただいた経緯もあって、昨年の六月議会でこの問題について質問いたしました。また、その後も関心を持って見守ってまいりましたが、この話は最近、割合聞こえてまいりません。和歌山市の中心市街地では、さきに申し述べたとおり相次ぐ大型店の撤退で中心市街地の空洞化は一層深刻となってまいりました。町は危機状態にあります。こうした厳しい状況の中、和歌山市の中心部にあって和歌山城を望む医大跡地は本県に残された数少ないすぐれた立地条件にあり、県民、市民はその有効利用を大いに期待するところであります。
 医大跡地のうち、事業コンペを実施した敷地の利用については、コンペ入選のダイワロイヤル株式会社の応募提案に基づき現在基本計画を策定しており、事業化へ向けた作業を進めていると聞いておりますが、医大跡地の一部と防災センター用地としての雄湊公園を交換する件については、この九月に新市長が医大用地に計画されていた大学構想を白紙に戻すと明言し、県も防災センターを県印刷所に決定したことから交換の話は白紙となり、その対象であった敷地の利用計画は明確でなくなったように思います。私は、このような時期であるからこそ中心市街地にある貴重な医大跡地の利用計画を早急に具体化し、この事業を起爆剤として中心市街地の活性化を図り、かつてのようなにぎわいを取り戻すことが県、市にとって何よりも必要でないかと考えます。
 そこで、企画部長にお尋ねします。
 こうした状況を踏まえて、医大跡地全体をどのように利用しようとしているのか、また今後どのようなスケジュールで事業を展開しようとしているのか、県としての考え方をお聞きしたいと思います。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず和歌山県の財政状況についてのご質問でございますけれども、ご案内のように、日本の国は不良債権の処理の問題、そしてデフレが引き続いているという中で非常に先行き不透明な状況にございます。こういうふうな中で、和歌山県の税収につきましても法人二税を中心に毎年減少をしてくるというふうな厳しい状況でございますし、この状況は来年度、急に変わるものではないというふうな厳しい認識を持っております。
 こういうふうな中で今までどおりの財政運営ということでありますと、片方では活気が出てきませんし、そしてまた片方では厳しくやっていかないといかん。両にらみでやっていかないといかんと、非常に難しい問題がございますので、そういうふうな中で、まず一つは施策の弾力化を図ると。今までの考え方にとらわれない、新しいゼロベースでいろいろな施策を考えていくということを進めております。それから、最近言っておりますのが「民間感覚を持て」ということで、今や民間企業も非常に厳しい状況の中で利益を生み出す努力をしている。自治体は、利益を生み出すということは目的ではございませんけれども、しかしながら、そういうふうな厳しい感覚を持たないとこの時代には対処できないということで対応しておりますし、それから予算につきましても、一度決めてしまったらもうそれでずっといくというふうな考え方じゃなくて、議会に諮りながら通年──一年間を通して必要なもの、そして要らないものを省くというふうな形での対応をしていきたいということを考えているわけでございます。
 そしてまた、予算につきましても非常に限られた予算でございます。そういうものについて効率的な配分をより一層進めるということで進めておりますし、それからまた、国の方は三位一体すなわち補助金と交付税と税源移譲を一体として考えるというふうなことを言っておりましたけれども、補助金のカットと交付税の見直しは思い切りいろいろ進んでくるようでございますけれども、税源の移譲ということについてはまあノータッチというふうな状況になっておりますので、これからもこういう点、厳しく地方から声を上げていかなければならないという気持ちを強く持っているところでございます。
 次に、経済・雇用対策でございます。
 ただいま申し上げましたように、不良債権の問題、そしてデフレ、こういうことで株価が非常に低迷しているというふうな中で、和歌山県の産業も非常に厳しい状況にあります。私がかねてから申しておりますのは、こういう時代には和歌山県に今まである産業というふうなものをブラッシュアップして、付加価値をたくさんつけていくような施策をとっていかなければならないだろうということを言っております。
 今言われておりますのが、グローバルニッチということで世界的にすき間産業を探していくというふうなこととか、それから各地の地場産業が相互に連携をとりながら自分たちのいいところを教え合ってより付加価値を高めていくというふうな動きが全国的に出てきておりますので、こういうふうなことを支援して和歌山県で、オンリーワンでもオンリーツーでもオンリースリーでもいいんですけれども、そういうふうな特色のある企業がどんどんふえてくるような形で対応していきたいというふうに思っております。
 それから、今産業の空洞化ということは大変な事態になっておりますけれども、これは私は中国との関係で新しい段階に入っているという認識がございますので、来年度から五つの県で合同して上海に事務所を設け、そして従来の事務所じゃなくて非常に大きな機能を果たせるような事務所、こちらからの物を売っていくこともできるような、中国を市場として見ることもできるような形の事務所というふうなものを設けるようなことを今考えております。
 それから、和歌山県の産品のアピールということに関しましては、例えばことしは銀座の三越、そしてイトーヨーカ堂と協力して首都圏でアンテナショップ的なものを開催いたしましたけれども、これ非常に成果が上がっておりますので、来年度以降、箱物をつくるようなアンテナショップではないソフトな形の和歌山の産品を全国へ発信できるようなアンテナショップをつくっていきたいと、このように考えているところでございます。
 次に、市町村合併の問題でございます。
 ご案内のように、法期限が十七年の三月に迫っているというふうな中で、全国的な取り組みがおくれているということから、最近では、この期限内に合併しなかった小さな町村というものに対して非常に厳しい対応をとっていくんだというような発表もいろんなところでなされておりまして、私もある意味で非常に心を痛めているというふうなところがあるわけでございます。
 和歌山県では、この十月に橋本、伊都、そして十一月には南部、南部川で法定協ができました。そして、同じく十一月には串本、古座、古座川、それから川辺、中津、美山で任意協ができたというふうなことで、全国の状況から見ると非常に和歌山県はこの合併問題については私は先進県の中に入っているだろうというふうに思っております。そしてこれも県下の市町村長の人たちがこれからの自分たちの町の行く末ということについて非常に真剣に考えていることの証左だろうということで、非常に敬意を持って対応しているところでございますけれども、先ほどもご質問にありましたように、これからが非常に大事な時期になってきますので、県としてもこれは、強制するというふうなことではございませんので、できるだけ協力して、合併したいというところが円滑に合併に進めるような形での支援を考えていきたいというふうに思っているところでございます。
 次に、道路網の整備についてでございます。
 ご案内のように、私は交流から産業を生み出そうということで、府県間道路、京奈和自動車道、そして高速道路の南伸と、こういうふうなものを非常に重要なものとして施策を行っておりまして、例えば高速道路につきましても、民営化推進委員会の報告が出て非常に混乱しておりますけれども、こういうふうな形になってきたのも、東京なんかで我々がある程度発言してきたと、そしてそれは守旧派的な発言じゃなくて理屈からの発言をしたことが一つ大きな成果があったものであろうというふうに思っているところでございます。
 今、府県間道路につきましては、先般も泉佐野岩出線を私走りましたら、大阪側で金熊寺バイパス、これは大分前からトンネルつくってどうなるのかなと思って見ていたら、もうこれが開通しておりまして、かなり便利にはなってきております。こういうふうに、やはりこの府県間道路、トンネル等ができますと本当に交流がどんどん活発化するということで、大事なものというふうに思っておりますので、これからも、例えば一・五車線道路を活用するとか、そういうふうな形でどんどん進めていきたいと思いますし、大阪府側に対しても、非常に財政状況厳しいと思いますけれども、この府県間道路の持つ重要性ということを強く訴えていきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、最後に個人情報保護の問題でございますけれども、この条例は県が保有する個人情報を中心に適正な取り扱いを行うために今回提案させていただいたものでございます。中身の特徴といたしましては、例えば、対象に亡くなった方や法人の役員に関する個人情報を含めるとか、それから県にある個人情報の取り扱いの厳格化であるとか、それから自己情報のコントロール権の創設であるとか、こういうふうな新しいものを含んでいるわけでございます。しかしながら、条例だけで個人情報が保護されるというふうなわけにはいきませんので、この条例が成立いたしました暁には運用について十分意を用いて和歌山県の個人情報の保護に努めていきたいと、このように考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 経済・雇用対策の中の県内の中小企業における金融情勢についてでございますが、十一月末に近畿経済産業局や和歌山財務事務所との共催により地域融資動向に関する情報交換会を開催いたしましたところ、県内の金融機関、経済団体から「不況の中、中小企業の資金繰りは厳しく、設備資金などの前向きの資金需要は乏しい」との意見が多く出されました。県といたしましても、今後、金融機関の不良債権の処理の進展等によりさらに厳しくなることを懸念しているところでございます。
 中小企業への円滑な資金供給を図るために、県は融資制度の必要な融資枠を確保するとともに、償還期間の延長、小企業者への金利引き下げ、さらに売掛金を担保とする短期資金の創設など、中小企業の資金需要に応じて種々工夫しながら対応しているところであります。この結果、制度融資の本年度における新規融資の件数、融資額は昨年度に比べ大幅に増加している状況にございます。今後とも、県信用保証協会を初め関係機関との連携を密にし、中小企業への金融対策の充実を図ってまいりたいと考えております。
 次に雇用対策についてでありますが、県下の厳しい雇用情勢を踏まえ、新たな雇用機会の創出及び雇用の安定に努めるとともに、求人側と求職者とのミスマッチの解消が重要であると考えております。このため、本県に交付された緊急地域雇用創出特別交付金を活用し、緑の雇用事業などで約四千人の雇用を生み出す計画で事業を進めているのを初め、労働局や経済団体とともにUターンフェアや合同面接会を開催するほか、就職に必要な技能を身につけてもらうための高等技術専門校での訓練あるいは離職者に対する訓練を行っております。さらに、本年度から離職者や未就職者に対し就職活動に必要な知識や手法を身につけてもらうための就職セミナーを開催しているところでございます。
 また、高校生の就職状況も大変憂慮される状況であります。県といたしましても、企業への求人要請や就職慣行の見直しなど労働局や教育委員会とともに努めているところでございますが、本年度からは高校生を対象にした就職セミナーを開催し、就職活動の支援とともに就職に対する意識の向上を図っているところでございます。
 いずれにいたしましても、議員お話しのように大変厳しい状況であり、今後も関係機関と連携をとりながらこうした取り組みを一層進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併に関する県の支援と情報の提供についてお答えを申し上げます。
 現在、県内におきまして法定協議会が三、任意協議会が三設置されておりまして、構成市町村数は二十七市町村、全体に対する割合で五四%となっております。また、合併重点支援地域といたしましては六地域、三十五市町村を指定しております。
 合併に関する県の支援につきましては、十月に策定いたしました和歌山県市町村合併支援プランに登載しております。主な内容としましては、協議会事務局への職員派遣などの人的な支援や協議会運営経費に対する財政的支援、インフラ整備の重点投資や優先採択、障害除去などとなっておりまして、市町村との協議を通じて事業の具体化をしてまいりたいと考えております。また、プランにつきましては毎年度見直しを行うこととしておりますので、今後さらなる充実に向けて必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に情報提供についてでありますが、既に「県民の友」への特集の掲載やシンポジウム、セミナーの開催などを行ってまいりました。また、二月には橋本市で広く住民の方々を対象にしたセミナーを開催する予定であり、ビデオの作成やテレビ放映などの啓発を集中的に実施することでさらなる機運醸成に努めてまいりたいと考えております。また、地方制度調査会を初め平成十七年四月以降の地方制度のあり方に関する議論につきましても情報の入手及び提供に努めるとともに、必要に応じて提言や意見の発信を行ってまいりたいと考えております。
 県としましては、正念場の時期を迎えているという認識のもと、支援本部と地域支援本部の連携を密にしながら、機運醸成や支援に対する取り組みを強化してまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 本県農業の振興策についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず新しい米政策についてでございますが、今回、国が直接関与する生産調整から農業者や農業者団体主体の需給調整システムへ移行する基本方向が示されたところでございます。本県の自給的生産農家を中心とした飯米農家が多い稲作実態から考えますと、農業者の経営判断に基づき地域の特色を生かした産地づくりや水田の多面的機能の活用を進めることができ、今回の米政策は地域に受け入れられるのではないかと考えてございます。
 次に中山間地域等直接支払い制度についてでございますが、この制度は農地の荒廃などによる農業、農村の持つ多面的機能の低下を防止するため集落協定を締結し、五年以上営農を継続する農業者に対し交付金を支払うものでございます。平成十三年度の実績では一万二千ヘクタール余りの農地で協定が締結されまして、約十五億円の交付金が支払われてございます。各集落ではこの交付金を活用いたしまして、農道や用排水路などの維持管理、鳥獣害防止施設の設置など、農地の荒廃防止を初め地域資源を生かした活性化への取り組みが行われてございます。県といたしましても、今後ともこの直接支払い制度を積極的に活用し、優良農地の荒廃防止と農村地域の活性化に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に果樹振興についてでございますが、カキを初めミカン、梅、桃など主要四品目につきまして生産から流通加工に至る具体的な戦略プランの策定を進めてきたところでございます。現在、原案を関係機関と協議しており、本年度内には取りまとめることとしてございます。
 その中で、カキでは過剰基調にあります「刀根早生」を中心とした品種構成の適正化対策として「中谷早生」や「太秋」の産地化、ミカンでは県内育成品種「由良早生」の産地化やマルチ栽培の拡大対策など、高品質で安定した生産体制の確立を中心に消費者に安心を届けるトレーサビリティーシステムの構築などに取り組むこととしてございます。また、野菜、花卉につきましても、平成十三年に策定いたしました和歌山の野菜グリーンウエーブ計画と花の紀州路ネットワーク計画に基づき、新鮮で安全な高品質野菜・花卉産地育成を重点的に進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、無登録農薬問題に関連した検査体制などについてでございますが、県ではこの問題に対応し、去る九月十日、和歌山県農薬適正使用緊急対策本部を設置し、これまでカキ、ミカン、梅干しの安全性の確認を行うなど積極的に取り組んできたところでございます。また、十二月二日には第三回本部会議を開催し、消費者にさらに安全で安心な本県農産物を提供するため、農協営農指導員など指導者に対する研修会の開催や生産農家の農薬使用記帳の推進、販売業者に対する立入検査の強化、また関係部局などとの連携による検査体制の整備充実などを取り決めたところでございます。今後とも、本県農畜産物の安全性を確保するため積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 医大跡地の活用についてでございます。
 和歌山市と交渉を行ってまいりました医大跡地の一部敷地につきましては、和歌山市が公立大学構想を白紙に戻したことを受けまして、県市の最重要課題である中心市街地の活性化を図るという観点から、これらの敷地の新たな利用方策について関係者とも協議をしてまいりました。その結果、和歌山城に面したいわゆるA敷地で整備予定のホテル、商業施設、駐車場につきましては対象地域を拡大し、数百台規模の立体駐車場を北側の一区画に配置がえするなど、医大跡地全体を一体的に整備してまいりたいと考えてございます。これによりまして、移転が予定されております済生会病院等の利便性の向上ですとか、ぶらくり丁への回遊性の確保などを図り、中心市街地全体の活性化につなげてまいりたいと思います。
 今後のスケジュールについてでございますが、基本計画につきましては今年度中の策定を目指し、施設の建設につきましては来年度早々にも工事着手ができればと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、木下善之君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十五番鶴田至弘君。
  〔鶴田至弘君、登壇〕(拍手)
○鶴田至弘君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いましして一般質問をさせていただきます。
 今議会冒頭の知事説明要旨において知事は、地方の税財政制度が大きな変革期を迎えようとしているとして、それにたえ得る予算の編成を考えていくことを表明しておられます。
 ところで、最近の地方税財政制度に関する国の動向は、必ずしも地方自治の強化とか地方分権を促す方向には進んでいないように思われます。地方交付税制度一つとってみても削減の方向がしきりに提起され、全国の均衡ある発展を支える交付税の役割を軽視し、その根幹を揺るがすような動きさえ見せています。補助金制度でも、教育関係予算の教職員費の一般財源化などに見られるように、地方にとってはゆゆしき問題も出てきております。総じて、地方分権の名のもとに国としての最低限の義務でさえも地方に肩がわりさせ、財源措置が十分講じられないままに地方負担を強化する傾向が強まっております。道州制が提唱されたり、市町村合併も市町村の自主性をうたいながら、結局、結論的には強制の形で進められています。
 このような傾向の中にあって唯々諾々と国のなし崩し的な地方税財政改革に呼応していくことは、本来の地方自治、地方分権の道にもとることになると危惧するところであります。知事の所見を伺います。
 二番目に、来年度の予算編成に当たっての幾つかの課題を要望しながら知事の考え方をお聞きしたいと思います。
 予算編成に当たっては、県の将来を見据えながら、同時に焦眉の問題の解決という両面を考慮されなければならないと思いますが、これだけの厳しい経済情勢にあっては県民生活の安定こそ最も重視しなければならないことではないかと考えるところです。そういう視点から幾つか質問をいたします。
 まず、県経済の活性化の視点からも、県民生活の安定を図る視点からも、中小零細企業に仕事を多くつくり出せるような予算編成を望みたいと思います。公共事業で仕事をつくり出すということは、地方自治体のできる経済対策として数少ない仕事の一つです。中小企業が参画できるような生活に関連した道路、河川改修、身近な防災、バリアフリー対策、震災対策等々、必要にして欠くべからざる身近な事業でかつ緊急性の高い事業を興していくこと、公共事業はまずその視点を重視していただきたいと思います。それは同時に、県民生活に利便性と安全性を生み出すものであります。将来を展望する事業も当然必要ではありますが、経済情勢が厳しいだけに、このような対策が強められなければならないと思います。
 次に、福祉施策を一層強化していただきたいことです。本年度は高齢者の福祉医療制度が大きく後退させられました。医療保険制度が改悪され高齢者の医療負担が大きくなっているとき、この後退は高齢者を悲しませました。高齢者が集まると、必ずこの話が出てまいります。
 ついては、この制度の所得制限を緩和することを考えられてはいかがでしょうか。同時に、その他の福祉医療制度については住民負担が強化されることのないよう努力を願いたいと思います。
 児童扶養手当の制度も改悪されようとしており、母子家庭に大きな不安を与えています。そのような事態が到来しないよう努力されるとともに、それをフォローする施策なども考えておいていただきたいと思います。
 また、高齢者福祉については、現在千三百九十九人の特別養護老人ホーム待機者がおられます。本人にとっても介護する家族にとっても極めて深刻な問題です。介護のため家族が就労できずに家計に大きな問題を生じている家庭もあります。この方々の一日も早い入所を可能にするため、ホームの建設計画を前倒しで進めていただきたいと思います。この事業はまた新しい雇用を創出することは、既に幾度も議論されてきたところであります。私どもの試算によりますと、五十人定員ホームで対応するときはあと二十五カ所、百人定員で対処するときには十三カ所以上のホームが建設されなければなりません。そこで働く人員は五百人から六百人と見込まれます。それだけの雇用が創出されるわけですから、来年度に一挙にとは言いませんが、大きく前倒しすることによって福祉の拡大と雇用を前進させる工夫を望みたいと思います。
 さらに、介護ヘルパーについて言えば、平成十六年度末の数値目標二千四百五十三人に対し六百人以上が不足している。こういう福祉関係事業所をふやすことによって、福祉サービスを受ける方も仕事を求める方も潤うことになります。その他老健施設等、こういう考えのもと福祉施設の拡充を大きく前進させていくことを考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 三番目に、三十人学級、少人数学級の施策を推進できる予算を考えていただきたいと思います。
 この問題については幾度かこの場でも申し上げました。既に二十を超える県がそこに踏み出しております。子供たちの現在と未来のために、財政のこともありますが、一気にとは言いませんが、来年度が着実にその一歩を踏み出した年度だと言えるような予算にしていただきたいことを切に願うものであります。少人数授業などを工夫されること、結構なことです。しかし、少人数学級が基礎ですから、そこに大胆に踏み切っていただきたいと思うところです。いかがでしょうか。
 一方、厳しい財源の問題もございます。当局の皆さんもさまざまなご苦労をされていることを察します。それぞれの事業の中にたとえ小さくてもむだがあれば省いていくことは当然でしょうが、同時に、費用対効果に大きな疑問が出されている大規模事業や、現在は小さな支出でも将来には過大な負担が迫られる可能性のあるものや、あえて和歌山県が負担する道理がないもの等を含めて見直す必要があろうと思います。
 例えば、関空二期事業は極めて複雑な議論が繰り返されておりますが、つまるところ将来にわたっての採算のめどが立たないというところから来ております。現在の空港で間に合っている現実や巨大な滑走路の費用対効果を率直に見直して、中止を求めるべきではないでしょうか。
 紀淡海峡道路は、大分トーンが落ちてまいりました。今年度組まれた予算は会議費に類する程度の金額であったように思いますが、この種の将来性のないものには、金額がわずかであっても予算計上は考え直すべきです。
 和歌山下津港の北港沖南防波堤は、関電埋立地を保護することを主要な目的とするものです。和歌山県がその四分の一、約七十五億円を負担しなければならないものではないと思います。県が埠頭を建設するということが根拠になっておりますが、あえてそこに埠頭が必要だとも思われません。このようなところも見直すところがあると思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、大きな三番目としての不況対策についてお尋ねをいたします。
 深刻な不況が県民生活に暗い影を投げかけております。三万五千人以上の人が職を失っていると言われておりますが、実態はもっと大きなものだとも推定されます。昨年は百五十件の産業が倒産し、ことし十月でも既に百五件が倒産しました。撤退する大型小売店も続出し、県下事業所の趨勢は平成八年から平成十三年の間に事業所数の減少は四千二百三十一件に上り、それに伴う就業者数の減少は二万五千四百八十八人と、実に憂うべき状態になっております。
 県下の深刻な経済状況を当局はどのようにとらえ、どう対処しようとしていますか。庁内組織として不況対策会議などが組織され、対応しようということが昨年来言われてまいりましたが、その存在感も余り見えてまいりません。どのような活動をされ、どのような対策がされようとしていますか、お示しいただきたいと思います。
 次に、金融対策についてお尋ねをいたします。
 中小企業が塗炭の苦しみにあえいでおります。不良債権早期処理を迫られる銀行が、中小零細企業を相手に貸し渋りだけでなく貸しはがしというような異常な行為に走り、不況の苦しみを拡大しています。小泉政権の不良債権早期処理という施策の当然の帰結でしょうが、それでよしとできないのが末端の中小零細業者です。当局にあっては数年来横行した貸し渋りに対しては直接銀行に対してもいろいろと要望活動を行ってきたところでありますが、このような金融業界の行為に対しても中小企業の存立を守るという立場から十分に自重することを求めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、融資制度の拡大についてお尋ねをいたします。
 もう金を借りる馬力もないという状況の企業も決して少なくはありませんが、制度融資は何といっても中小企業にとっては命の綱であります。制度融資の利用状況を見てもそれがよくわかります。本年導入された緊急経済対策資金制度が長期分だけでも十月末一挙に二千二百五十件を超えていることは、待ちに待たれていたということだと思います。適切な融資制度を設けられたこと、大いに評価したいと思います。
 しかし、返済に苦慮する業者もまたおられます。そういう方のために、現在の何件かの借入金を一本にまとめ返済期間を長期化できる借りかえのための制度をつくれないものでしょうか。現在利用している制度が県や市にまたがりいろいろ工夫しなければならない条件もあるでしょうが、京都府は京都市と提携してそのような制度をつくって府民に喜ばれているというところです。和歌山県も考えてみてはいかがでしょうか。
 また、制度の運用にはそれこそ貸し渋りなどのないよう柔軟に対応していただきたいと望むところですが、緊急性を要する連鎖倒産防止資金などに担保や保証人を一律に求めるなどして制度を設けた本来の趣旨が生かされないとか希望がかなえられないということのないようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、緊急雇用創出についてお尋ねをいたします。
 ハローワークに行ってもなかなか適職が見つからない、それでも何とか働かなければならないというとき、とりあえず緊急雇用創出事業で本来の就職までつなぐということで、その制度で就職できた人はひとまず喜んでおられます。しかし、それは長くてたった六カ月でしかありません。仕事の内容では二、三カ月というのも普通です。これでは余りにも短過ぎます。県下の失業者は三万五千人をはるかに超えます。緊急雇用創出事業は、そういう短期就労をする人が三年間に四千人ということです。一年では千人余りという、ないよりはうんといいことですけれども、就職を求める人数との関係では差があり過ぎます。国へその枠の拡大と期間の延長を求めるとともに、県独自でもその努力ができないものでしょうか。昨年も同じことを求め、かなえられなかったところですが、今回いま一度求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 住友金属が去る十一月、新日鉄、神戸製鋼と資本提携を基本とする中期経営計画を発表しました。今回の計画では直ちに労働者の削減はうたわれていませんが、自然減百五十人の雇用の場が減少するとされております。また、関連企業で百余名の余剰人員が出るとされていますが、それは関連事業者の自助努力で解決すべしとしているようであります。また、関連中小企業などには製造・輸送業務などでさまざまな否定的な影響が出ることが予想されます。商工会議所なども住金関連企業の経営安定と雇用確保について最善の対策を講じてほしいと申し入れたとの報道もありましたが、県としても知事が善処方を要望したとも聞いております。しかし、過去、住金合理化の前には県の要望も十分にはかなえられないまま住金の企業目標が着々と進められ、最近でも三千名の労働者が出向・離籍となり、運輸関係業者には過酷な運賃切り下げが行われたところでした。
 ついては、今回、企業に対して県が何を要望したか、住友金属はどうこたえたのかを明らかにしていただきたい。そして、その要望がどのようにこたえられるのか、しっかりと確認していくことが必要だと思いますが、そのような意思はありますか、お伺いをいたします。
 次に、不況対策というよりも一般的・恒常的施策ということになりますが、郷土産品の販路拡大についてお尋ねをいたします。
 この課題については常々努力されているところだとは思いますが、海外へのアプローチをもっと積極化してはいかがでしょう。こんな話があります。海南市の漆器関係の業者にイタリアから話が来たそうですが、来年四月、イタリアで家具の展示会がある、費用は一千万円のうち日本から出展するのであればイタリアの地元自治体で七百万円出しましょうという話があった。そこで、残りの三百万円、主に運送費や派遣する人の人件費に当たるそうですが、県にそんな補助制度がないかと聞いたところ、外国での展示にはどうも消極的で、ことしは予算がないという話だったそうであります。そんな話を聞きながら、県産品の販路拡大には中国への接近をしばしば聞くところですが、そこにとどまらず、ヨーロッパを含め大きく視野を広げた構えと対策が必要ではないかと思った次第であります。地場産業発展のためにもぜひ一考いただきたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 さて、不況対策といえば多岐にわたります。自治体にはおのずから限界があります。国に対してその責任をしっかり果たすよう求めなければなりません。先ほどからいろいろ申し上げておりますが、そのほか緊急の課題として、一つは社会保障での三兆円の国民負担が介護保険・雇用保険・年金保険・医療保険制度の改正の中で進められています。年金切り下げは前代未聞のことでもありますが、県下には年金収入を主な収入とする所帯が二五・八五%もいるわけですから、庶民生活にとってはまことに大変なことであります。これら一連の負担増を中止することを求めていただきたいと思います。あの橋本内閣時代の失政と同じ轍を踏みつつあるように思いますから。
 二番目は、大企業の退職強要やサービス残業などがまかり通っている問題です。
 有無を言わさぬ首切りとただ働きが、労働者の生活を圧迫しております。和歌山県下でも、昨年来の住友の大合理化やNTTの合理化はすさまじいものでした。このような労働者の権利無視を法的にも許さないような措置を国に対して求めていただきたい。そして、不幸にして失業された方々の雇用保険の受給期間を延長することを求めていただきたいと思います。失業して新しい職場を確保することがどんなに困難か、もうご承知のとおりです。せめて給付期間を一年にしてほしい。多くの方々の切実な求めです。国民の貧困化が不況を深刻化させ、悪循環を呼びます。県民の生活を守るという課題とともに、デフレスパイラルから脱出するためにもぜひとも必要な措置だと思います。国に対して強く要望していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、外形標準課税と消費税改正についてお聞きをいたします。
 まず外形標準課税ですが、これについては昨年もお尋ねしたところですが、いよいよ本格化してまいりましたし、商工会議所やあちこちの商工団体にも外形標準課税反対の旗が立ってきております。いま一度、知事の見解を聞きたいと思います。
 この税については、地方財源を安定させるものとして全国知事会や和歌山県の国に対する予算要望の中にも掲げられてきたところです。地方自治確立協議会という県も参加している団体が、きれいなパンフレットをつくってこの税の導入を呼びかけています。それを読むと、全体としては増税にはならない、努力したところは報われるとか、小規模企業やベンチャーにとっても負担にはならないとか、所得にかかわる負担は大幅に軽減されるとか、その他その他、うれしいことがいっぱい書いてあります。それなのに、なぜ全国の多くの中小企業団体が反対ののろしを上げているのか。なぜ彼らを説得できないのか。答えは簡単です。中小零細企業が確実に負担を強いられるからです。和歌山県の中小企業で、この税の創設で喜んでもらえるところがどれだけあるでしょうか。あるかもしれませんが、しかしそれは指折り数えられるほどでしょう。中小零細企業の大方は赤字経営です。そこにも遠慮なく課税されるのがこの税です。資本金一千万以下の企業では簡易外形税額を選択すれば四万八千円で済むからいいではないかという考え方は、今の不況の現実を知らない方の言うことではないかと思います。
 しかし一方、大手企業はこの税の導入によって法人税の莫大な減税を得ることができます。例えば、一つの試算によりますと、トヨタ自動車では三百二十億円、武田薬品では百十億円、アコムで七十億円等々と、その減税額が試算されています。零細企業への厳しい課税は、一方では甘い減税にもなっているのです。先ほど紹介した知事会などによって作成されたパンフレットには、「外形標準課税については、今後、各方面の意見を聞きながら検討を深め、具体案を得たうえで、景気の状況も勘案しつつ、その導入を図る」という閣議決定が傍線入りで紹介をされておりますが、この決定の前提は平成十四年以降の二・五%の経済成長を見込んでおりますが、果たしてそれがそういうふうになるのか、ほとんど見通しがありません。また、それ以前に、各界の「意見を聞き」という条件が満たされていません。商工会議所などが絶対反対を唱えていることが何よりのあかしであります。
 消費税について言えば、免税点を三千万円から一千万円に引き下げるという方向での議論が進められています。全国で新たに百五十万人の零細業者が課税事業者になります。全国商工団体連合会の調査によると、中小業者の六六・七%の事業者が消費税を消費者から完全には徴収できないという現実があります。日本商工会議所会頭も、「売り上げ三千万の業者の所得は三百万程度。消費税は転嫁できない」と述べています。とりわけ小零細企業は、大手大量販店との競争や下請単価切り下げの競争の中で、生死をかけた日々を送っています。そこにこのような税がかかることがどういう事態を招くか。さらに、簡易課税制度をなくすことによって中小業者に膨大な事務負担が新たに追加されるということにもなります。一方、トヨタや日産などの大企業には輸出戻し税で輸出売り上げの五%が還元されます。昨年度の数字で年間約二兆円、輸出上位十社の還元税額が六千億円、トヨタ一社で千五百五十一億円が還付されているという実態もあります。余りにも大きな矛盾ではありませんか。私たちの目の前の県下の事業者が年間平均八百件を前後して姿を消しているとき、このような税の導入や改正で県経済がまた新たな困難に見舞われることになりかねません。
 外形標準課税の導入が知事会等の要望から出ているということや、和歌山県経済が圧倒的に小零細企業から成り立っていることを考えるとき、このような税制の変更は知事において国に対して再検討を求めるべきでないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、国立大学の独立行政法人化と県立医科大学についてお聞きをいたします。
 国立大学が独立行政法人にしていこうということで盛んに議論されているところですが、その意図するところは大学を民間経営の手法で運営する国立大学法人にするということです。法人化はこれまでの大学制度を解体し、大学の独立性、自主性を根底からなくすことになります。国立大学の教育研究の目標は各大学がみずから決めるものですが、大学法人は文科省が各大学の中期目標を設定し、これを大学が達成できなければ予算が削られることになります。教授会を基礎にした大学運営は、トップダウンの仕組みに変わることになります。教職員を非公務員化するとともに、大学の執行部に企業からの学外者が参加して大学の意思決定を握り、競争原理や効率的運営を追求するということにもなりかねません。それは、効率を追求するという側面のメリットがあることにはなりますが、本来の大学の任務が果たせなくなる危険性が内蔵されております。大学関係者からは、当然のこと、さまざまな異論が出されているところでもあります。たくさんの意見がありますが、二、三、紹介をいたします。
 藤原正彦お茶の水大教授は、「これはかなり危険をはらんでいる。ノーベル物理学賞の小柴氏が成功させた巨大実験を果たして法人にできるだろうか」と危惧を示し、池内了名古屋大学教授は「産業界と結びつかない基礎的な分野、文化にのみ寄与するような「役に立たない」分野は立ち枯れていくのではないか。ノーベル賞は夢のまた夢となりかねない」という批判的見解を述べています。片山善博鳥取県知事はことしの六月議会で、鳥取県西部地震のときに鳥取大学が地道な研究の成果を生かして余震の正確な予測を行い、的確なアドバイスをもらったことを例に挙げ、「政府の大学改革によって、本当に必要な研究、地道で息の長い研究、効率性や採算性の尺度から合わない研究がなくなってしまうのではないか」と、批判的見解を述べています。
 医科大学長にあっては、政府の進める大学の法人化をどのようにお考えになっておられますか。
 和歌山県立医科大学のあり方懇談会という組織が県立医大のあり方についていろいろと議論を始めているところですが、ただあるべき姿を検討するということではなく、国立大学の法人化を視野に入れ、医大のあり方を考えるというところから出発されています。懇談会でも法人化の意見が出てきているようで、医科大学長の意見を幾つかお聞きしておきたいと思います。
 医科大学が制度疲労を起こしていると第二回の会合は総括しているようですが、解決しなければならない問題があるということと制度疲労を起こしているということはイコールではありません。大学長として、何をもって現在の医大が制度疲労を起こしていると考えておられますか。それは現制度の中で解決できない問題なのでしょうか。効率重点主義に陥る危険性を持った法人化という制度に目を向ける前に、現在抱えている問題を現制度の中でどう解決するか、大学内で十分検討する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 大学にはまた、いろんな組織があります。教授会、職員組合、学生組織、病院等々、それぞれが違った角度からの問題意識を持っています。大学法人化についても、その効率主義を危惧する強い意見も存在しています。学長としてはそれらを十分くみ上げ、あり方懇談会に対してもそれぞれの意見表明の場を保証すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、カジノに関連して知事にお尋ねをいたします。
 過日、東京都庁で模擬カジノが催されたとの報道がありました。カジノによって観光客を呼び込もうということだそうですが、大阪の太田知事も大いに乗り気だったとの報道もありました。その報道の一角に木村知事の談として「有効な観光資源で経済波及効果や雇用が期待でき賛同」という見解も載せられていましたので、それに関してお尋ねをいたします。
 賭博行為は、もともと刑法二十三条で禁止されております。法務省も、カジノにかかわる行為は刑法第二十三条に規定する罪の構成要件に該当し得る行為であるとして、現行法では禁止されているとの見解を表明しています。禁止されているには、それなりの理由があってのことだと思います。射幸心の刺激、勤労意欲の低下、犯罪の温床化、暴力団の資金源化、青少年に対する否定的影響等々が挙げられるのではないかと思います。知事にとっては、この禁止されておられる理由について、どのように考えておられますか。
 また、カジノ誘致を歓迎とのことですが、法改正までしてカジノを誘致することが和歌山県を総合的に発展させるという立場から見て本当に好ましいことと考えられるでしょうか。財源のためには何でもありというのは、余りにも品位がなさ過ぎます。それが特区という形で設定されるとすれば、「賭博のできる和歌山」というありがたくもない地位に置かれることにはなりはしないでしょうか。兵庫県知事が「そこまで落ちぶれたくはない」と談話していましたが、私もそういうふうに思います。所信を聞かせてください。
 和歌山県では、ここ数年来に場外馬券場売り場やボートピア誘致の話が五件ほどありました。その都度、県民から大きな反対運動が起こり、ことごとく断念に追い込まれております。県民の中に賭博行為やそれに類する行為に大きな拒否感があることを物語っています。かつて馬券売り場誘致が問題になったときも、時の教育長は「一般的に言って賭博行為は青少年の健全育成の障害になる」というような意味の意見を表明されましたが、知事はこのような態度をどういうふうにお考えですか。願わくは、和歌山県へのカジノ誘致はないということを明らかにし、県民に安心を与えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 以上で、第一回目の質問を終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの鶴田至弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、地方財政の今の非常に厳しい状況についてどういうふうに考え、また国の方へどういうふうに対応していくかというご質問でございますけれども、先ほども申し上げましたが、先般、地方分権推進委員会が諮問されていた三位一体の改革ということについて、税源移譲ということには余り触れずに答申を出したと。そして、財政制度審議会も交付税制度を将来なくすんだ──なくすのはまあいいんだけど、それにかわる、地方公共団体がちゃんとやっていけるような仕組みということへの言及なしにこういうふうなことを言っている。私は、こういうふうなことを考えて、今非常に厳しい状況だと思います。
 そしてまた、それについて先ほど「唯々諾々と」ということがありましたけれども、何も反論することなくいると、これはそのまま流されてしまうというふうな可能性もありますので、私どもとしましては積極的に「こういうふうにあるべきだ」というふうなことについてこれからも提言を行っていきたいと思うし、それについて地方公共団体の側でも自主的な実践というふうなことも伴った対応をしていきたい、このように考えております。
 それから、中小企業対策についてのご質問でございますけれども、めり張りをつけた公共事業ということは私も大賛成でございまして、これからの時代、公共事業は投資した額以上の効果を県民に対して与えるような公共事業を選んでやっていくということなくしては財源的にも厳しい、そしてまた情報公開の面から県民の見る目も厳しい中で対応できないというふうに考えております。
 来年度の予算編成に当たりましてもこのような観点を重視し、さらには、県で使うお金はできるだけ県内の事業者の収入になって、それが県の経済の活性化につながるというふうな観点にも十分配慮しながら、そして先ほど言いました透明性ということを考慮しながら対応していきたい、このように考えております。
 次に、福祉の拡大と雇用創出を結合してということについてのご質問でございますが、福祉施策の一層の強化についてですけれども、国において医療、介護、年金等の社会保障制度に係る財源問題について、予想以上に進む少子高齢化問題を主因とした負担と給付の見直しが行われ、また検討されているところでございます。県といたしましては、これらの動向を注視する一方、厳しい財政状況の中ではありますが、福祉・医療制度は県民の安心を支える基盤であるという認識のもと、事業内容を精査する中ででき得る限りの対応を講じていきたいと思っています。
 なお、ことしの八月から現行制度がスタートしている高齢者の福祉医療制度につきましては、高齢者を取り巻く状況が大きく変わったこと、県の財政状況は極めて厳しいこと等を背景とし、限られた財源の中で増大、多様化する福祉ニーズに対応するため、福祉施策全体を再検討する中で見直しを行ったものでございます。見直しに当たっては、市町村とも協議検討した結果、既に受給されている方及び経済的に低位にある方に限り存続することとしました。スタートから四カ月しかたっていない状況で現行制度の見直しは厳しい状況にありますが、今後、市町村の実施状況や住民の意見等の把握に努めてまいりたいと考えております。
 また、特別養護老人ホーム等の介護保険施設については、わかやま長寿プランに基づき積極的かつ計画的に整備を進めてきましたが、今年度中に、待機者数等も勘案事項の一つとしながら、平成十九年度を目標年次とした新たな介護保険施設の整備目標を策定する予定でございます。施設整備の前倒しについても、昨年度は国の緊急経済対策を活用し実施するなど、計画の早期実現を図ってまいります。今後とも福祉事業は多くの雇用を生み出すという視点も加味しながら、福祉施設の整備充実を図るとともに、従事者の資質向上や人材の育成を図っていきたいと考えております。
 次に、少人数学級についてでございます。
 教育問題は、非常に国の根幹、県の根幹をなすものであるというふうな観点を持ちまして、そしてまたこれは地方主権の立場から自由度を増して地域に合ったような形の対応をしていく必要があるというのが私の信念でございます。
 そういうふうな中で、少人数学級でございますけれども、これはこういうふうな信念と、それからもう一方は、先ほどご質問の中にもありましたが、財政問題ということもありますので、ただいまは二十人程度の少人数学習であるとかチームティーチングというようなことを進めておりますが、これをさらに一歩進めていくというふうなことについても多面的に検討して対応していきたいと、このように思っております。
 それから、不要の事業についての見直しをということでございますけれども、これはもうおっしゃるとおり、当然のことでございます。ただ、ご質問の中にありました関空の二期工事につきましては、私自身はこの日本の国に世界への窓口というふうなものが三つぐらいあるのはこれは当然のことだと思っておりますし、そしてまた本来は税金で行うべきものだというふうな感覚を持っております。やはり、この国際化時代に、ただ単に借入金の収支というふうなことだけで物事を考えていると、何十年かたった先に唖然としないといかんというふうな状況も想定されますので、私自身、この関空の二期工事については積極的に、そしてまた早期に進んで、さらには、例えば渡る橋のお金がただになるような方向とか、そういうふうなやっぱりダイナミックな改革をして、この関空というものが本当にもっと役に立つような形にしていくのが本来の姿ではないかというふうに考えております。
 それから、次に北港沖の南防波堤につきましては、これはコンテナ等を扱うターミナルとして現在整備を進めているということでございます。これの行き方等については私も真剣に考えていきたいというふうに考えておりますし、それから紀淡海峡については非常に厳しいというふうな認識を持っているということを申し上げておきたいと思います。
 それから、国への緊急要望ということでございますけれども、医療保険や介護保険等の社会保障の問題は、現在直面している少子高齢化社会にとって極めて大きな課題となっており、国において真剣な議論、審議等がなされ、医療保険制度の体系のあり方など抜本改革に向け検討されているところです。県としては給付と負担の公平を図り、安心できる保険制度の一日も早い実現を国に対し要望してまいります。
 次に、労働者の雇用環境と雇用保険関係についてですが、労働条件の基準を定めた労働基準法を初めとする関係法規を遵守することは当然のことでありますし、現在、国の労働政策審議会においても解雇ルールの法制化等、労働基準法などの改正が検討されております。また、雇用保険についても、受給期間等、給付のあり方など、現在の雇用・失業情勢に応じた制度にするよう労働政策審議会において検討が重ねられております。これらの問題についてはさまざまな意見があり、十分な議論が尽くされると思いますので、こうした議論を注視してまいりたいと考えております。本県としましても、雇用を確保し生活の安定を図るため、積極的に努めてまいりたい、このように考えております。
 次に、外形標準課税の問題についてでございます。
 この問題は、ご質問にもありましたように非常に悩ましい問題というふうに私は思っております。本来、こういうのは景気のいいときにやっておくべき問題でございまして、今こういう時期にこの問題が議論されているということは非常に、ある意味では大変な状況だというふうな認識を持っているわけでございますけれども、ご質問の中にもありましたように、小規模の会社だと簡易制度で年間四万八千円の負担という方法とか、それから赤字法人では六カ月を最大限とした徴収猶予の制度でありますとか、それから中小は大規模の大きな会社から二年おくれで行われるということとか、それから本格的に実施されるのが七年目以降というふうな、まあ初めにこの外形標準課税制度を考えたときから考えると、もうありとあらゆる延期措置といいますか、緩和措置ということを講ぜられた上での実施ということが今検討されているわけでございまして、そしてまた、この制度が導入されると確かに地方財政に関して安定的な税収の確保ということになることはこれはもう間違いないことでございますので、私ども、この問題について今、何とか今回の税調の中で前向きな議論が出てくるように期待しているというところでございます。
 それから、消費税制の問題につきましては、これはやはり国、地方、そしてまた地方主権ということの中でどういうふうな財源をこれから考えていくのかということの大きな流れの中にありますので、そういうふうな状況を見きわめながら注視して対応していきたいと、このように考えております。
 最後に、カジノの問題でございます。
 この問題につきましては、東京都知事が言い出して、私も実は大阪で副知事をしているときに前横山ノック知事が非常にこれ熱心で、そのときに私もいろいろこれを研究したという経緯があるわけでございます。
 確かに、ご心配のようにいろいろ怪しげなことが起こると、そしてまた青少年の問題等を考えないといかんということはもう本当にお説のとおりだと思いますけれども、やはり今、日本の国はいろんな面で沈滞しているわけでございまして、こういうときにやっぱりある程度コペルニクス的な発想の転換ということが必要な面もあります。何でもだめな方から考えるのではなくて、よりよく運営していくためにはどういうふうにすればいいかというふうなことを考えていくことも非常に必要なことだろうと思っております。
 これはまあ、すぐにあしたからカジノができるというふうな話でもございません。和歌山県でも、例えば白浜であるとか、勝浦であるとか、こういうふうな全国的に有名な観光地を持っているわけでございまして、こういうところに何らかの付加価値がつくと、そしてまた風紀が乱れたりそういうふうなこともないというふうなことが担保されれば、私はやっぱり積極的に検討していくべきものではないかと思って、ああいうふうな回答をしたということでございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県下の不況の現状認識についてでありますが、長引く不況の影響により、本県中小企業も非常に厳しい環境下に置かれております。このため、まず中小企業の経営の安定化を図ることが喫緊の課題であり、緊急経済対策資金の創設など金融支援の強化を図っています。また、同時に技術開発支援や販路開拓支援を行うなど、本県の地域資源を生かした中小企業の活性化に取り組んでおり、雇用の場の確保につなげていきたいと考えております。
 一方、全国的にも事業所数が減少する中、新たな企業をつくり出すことも大きな課題であります。このため、新事業創出対策や企業誘致対策を積極的に実施しているところであります。また、失業者の方につきましては、まず再就職を促進することが重要であり、県下各地で就職ガイダンスを開催するほか、緊急雇用創出特別基金を活用し、県や市町村など公的部門における雇用の創出に努めております。
 景気雇用対策本部につきましては、長引く景気低迷の中、昨年来、緊急雇用創出特別基金による雇用創出、就職対策と失業の生活安定、金融支援や新産業の創出を初めとする緊急経済対策を三つの柱として掲げ、各部局一体となって取り組みを進めております。また、土木部、農林水産部と合同で新たに県産品活用部会を設置し、公共事業における県産品の積極的な活用の取り組みも始めております。本年十月には景気・雇用対策本部幹事会を開催し、特に雇用対策に寄与する事業の予算化を協議するなど、現下の厳しい景気・雇用情勢を踏まえ、さらなる全庁的な取り組みを進めていきたいと考えてございます。
 次に、金融対策の中小企業への貸し渋り、貸しはがしについてですが、県としましては、これまでも金融相談などを通じて対処してきたところです。また、十月には金融機関及び県信用保証協会に対し現下の厳しい経済情勢を踏まえて個別企業の実情に応じた配慮を要請したところでございますが、今後、和歌山財務事務所等との連携を図りながら対応を強化してまいりたいと考えてございます。
 また、ご提案のありました借りかえ融資制度の創設につきましては、県内中小企業の状況を踏まえながら、他府県の制度や金融機関、信用保証協会、関係市町村との連携のあり方など、今後研究してまいりたいと考えてございます。
 県としましては、景気動向を注視しながら、県信用保証協会など関係機関との連携を密にし、連鎖倒産防止資金を初め県制度融資の適切かつ迅速な対応を図り、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、緊急雇用創出事業の期間延長と採用枠の拡大についてでありますが、緊急地域雇用創出特別交付金事業は、議員のお話のように、雇用期間が原則六カ月以内と定められておりまして、本県としましては国に対し期間の延長等を要望しているところでございますが、現在編成中の国の補正予算において交付金事業の拡充が厚生労働省から要求されていると伺っております。また、先ごろ発表された経済財政諮問会議の改革加速のための総合対応策において当交付金事業の運用の改善や緑の雇用事業の活用が盛り込まれたところであり、本県の要望活動が実ったものと判断しておりまして、交付金事業の拡充が行われればさらに新たな雇用を生み出せるものと期待をしております。今後も、県単独事業を含め、いろいろな事業を有効に活用して雇用の拡大を図ってまいりたいと考えております。
 次に、住金中期経営計画への対応についてでございますが、去る十一月十四日に住友金属工業株式会社が中期経営計画を発表いたしました。この計画では、和歌山製鉄所は今後、上工程及びシームレスパイプのフル生産、並びに薄板高級品の生産となり、懸案だった和歌山製鉄所の構造改革が完了し、安定的な経営が確保される見通しとなっております。
 ただ、平成十七年四月から薄板生産の鹿島製鉄所への集中に伴い一部生産工程が休止されますので、下請事業者等の経営安定や雇用の維持などへの影響が懸念されるところであります。このため、十一月十九日、同社の下妻社長に対し知事から、計画実施までの二年余りの期間を活用し地域経済に与える影響を極力軽減するよう、また和歌山への関連企業の進出など本県経済の活性化につながる努力を強く要請したところであります。また、十二月二日には特定企業対策連絡会議を開催し、同計画について和歌山製鉄所から詳細な内容を聴取するとともに、雇用対策、下請対策などについて意見交換をいたしてございます。今後とも、状況把握に努めながら適切に対処してまいる所存でございます。
 次に販路の拡大でありますが、昨今の厳しい経済情勢の中、海外での販路拡大も重要な課題の一つととらまえ、本年十月には本県の技術を生かした高付加価値商品の販路拡大を目的に繊維業界の関係者とともに上海市において市場参入可能性調査をモデル事業として実施したところであります。今後、地方分権研究会の実行プログラムとして五県共同による上海での活動拠点設置への取り組みを進めるとともに、海外市場への進出に前向きな民間団体との連携を強化しながら海外での販路拡大へとつながる取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 また、ヨーロッパなど他の地域につきましても、販路拡大に向けた調査研究に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 医科大学学長山本博之君。
  〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 大学の法人化問題でございますが、議員ご指摘のとおり、我が国の高等教育、学術研究の将来を左右する重大な問題でございまして、公立大学の全国組織でございます公立大学協会におきましても法人化問題特別委員会を設け、さまざまな角度から研究しているところでございます。
 私といたしましては、この検討も踏まえ、本学の目的を達成するために、また納税者の理解が得られるような大学づくりのためにどのような運営形態が最適なのかについて、設置者とも十分に話し合い、検討を行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、本学における現状の取り組みについてでございますが、学内に自己点検評価委員会を設置し、本学の使命、役割がより果たせるように点検評価し、また将来のあり方を検討し、それに基づいてできるところから改善を行っているところでございます。
 次に、法人化に対する大学構成員の意見についてでございますが、本年七月に学内に法人化問題の調査研究を行うための法人化問題委員会を設けまして、研究検討を進めているところでございます。広く学内の意見を聞いてまいりたいと考えてございます。そして、この委員会での意見などを踏まえ、県立医科大学のあり方懇談会に反映させてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十五番鶴田至弘君。
○鶴田至弘君 それでは、要望を含めて再質問をさせていただきます。
 地方税財政制度の問題について、本当に憂うべき状態が今進行しているんではないかというふうに思います。地方分権という言葉が本当に華々しく近年論議されてきたところですが、中身がずっと伴っていないという面がだんだん露骨に出てきたんじゃないかというふうに思うわけです。そういう点では、やはり一県の長として、本当に地方自治が今後発展していけるようなそういう立場でしっかりと発言をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に予算編成について、これも重ねての要望にいたしますが、私はとにかく、めり張りのある予算というふうに知事はおっしゃいましたが、そういう立場からやはり、来年度の予算が具体的に県下の人々の仕事づくりということに、今年度の予算より以上に効果を発揮するというようなものにぜひともしてあげていただきたいというふうに思うんですね。さらに、それが福祉と結びつければよりよい成果が上がってくるということも、これは大方の人が最近ずっとこの議場でも議論してきたところですので、ぜひそういう立場からの取り組みを予算編成について考えていただきたい。これをお願いをいたしておきたいと思います。
 また、教育関係については、これからまた少人数学級について検討・研究していきたいというお話がございました。一遍にいくとは私も思いません。金の要ることですから。しかし、やはり着実に一歩を切り開いていくということが大事じゃないかと思うんですね。いつまでも金がない金がないということで、その一歩も切れなかったらずるずると他府県にもおくれをとってしまうということになりかねません。小さな一歩でも来年度に踏み出せるように、少人数学級の一歩が踏み出せた年度にぜひともしていただきたいというふうに思います。
 それから、次は質問です。外形標準課税の問題について。
 現実問題として、知事もいろいろと苦慮されておられるだろうというふうには思います。事態が事態ですからね。これだけの不況のもとで新たな負担をかけるということがどういうことかというふうな思いはあろうかと思いますけれども、実際問題として、四万八千円だという考え方は改めていただきたいと私は思うんですよ。そういう金額が今の中小零細企業にとってどれだけしんどいものであるかということ。やっぱりあれだけの廃業が出てきておるわけですから、これは大変な事態だと思うんですよ。そこへそういう課税をかけていくということ。地方財源として何とか欲しいというのは当然わかりますけれども、一方で同じ法人税のあの改正によって莫大な金額が、先ほど例示いたしましたけれども、大きな企業のところへは減税になっているんですよね。だから、そういう庶民と大企業とのアンバランス、ここらあたりはどうしても考えてもらわなければならないことだし、そういうものを前提に含んだ課税というのは明らかに間違っていると思いますので、そこらあたり知事がどういうふうに考えておられるのか。ぜひとも、国に対してそういう税はつくるべきでないということも申し上げていただきたいというふうに思いますので、その点ひとつ、お聞きしたいと思います。
 それから、カジノです。
 毒を抜いていけばいいんじゃないかというお話だったと思います。しかし、もともと刑法で禁止されてきた賭博行為というのは、その賭博行為の原理自体が否定的な内容を持っているんですね。だからこう禁止されてきた。それが、地方財政の理由によって、競輪ができるように、競馬ができるように、モーターボートがというような格好でだんだんと拡大をされてきて、その否定面はそのまま残っているんですよね。それに対して私たち自身が不感症になっているんではないかというふうに思うんです。そういう点では、やはりきちっと「だめなものはだめだ」という認識が前提になければ大変なことになるんじゃないか。特に青少年の教育問題については考え直さなければならないんではないかと思いますので、そういう点で品格のある和歌山県というようなことも考えていただきたい、今のカジノも場合によってはいいのではないかということについては考え直していただきたいというふうに思います。これは質問です。
 医科大学長にお尋ねをいたします。
 私は三つお尋ねしたんですね。一つは、大学の法人化という問題が今国レベルでもいろんな格好で国立大学で議論されておると。それの法人化ということがどんな問題点を持っているかというのを私は私なりの見解を表明いたしました。学長としてはそういう点ではどういうふうにお考えになっているのかというのが一つの質問だったんです。
 それからもう一つは、大学が医科大学も含めて制度疲労を起こしているというふうなこの間からの懇談会の中での話がありましたが、そういうように医科大学は制度疲労を起こしている、何をもってそういうふうにおっしゃられているのか。法人化を前提にしてそういうふうな話をしていくと、必然的に法人化という話に行きます。現在の問題が今の体制で解決できない問題なのかどうか、そこのところをはっきりしてくださいと、そういうふうな質問をしたところです。そういう点ではどういうふうにお考えになっておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
 それから、医科大学の中には非常にたくさんのいろんな組織もあります。そういう点が懇談会の中でどのように反映されておられるのか、そういう方々が直接意見反映をできるようにすべきではないかというふうに思いますが、この点についてはもう一度お答えをいただきたい。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 なお、時間も迫っておりますので、答弁は簡潔にお願いをしたいと存じます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、外形標準の問題でございます。
 私自身は、これはまあ非常厳しい問題だと思っておりますけれども、現在、党税調でいろんなことを勘案しながら、もう議論の最終段階を迎えているということでございますので、この状況を注視していきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、カジノにつきましては、収入という観点もあるんですけれども、和歌山県の場合、やはり二十一世紀のリーディング産業として観光というふうなものを挙げている中で、そこに一定の魅力をつけ加えていくという面ではやはり真剣に検討しないと、ほかのところがカジノができて栄えて和歌山県の観光地だけが枯渇するというふうなことになるのはやはり好ましいことではないというふうな観点から、慎重に検討していきたいと、このように思っております。
○議長(宇治田栄蔵君) 医科大学学長山本博之君。
  〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 再度お答えいたします。
 法人化問題につきましては、国立大学が十六年四月から法人化と。しかし、中身がいま一つ見えません。要するに、大学における教育、学術研究の本質が生かされるような運営の方法が非常に重要になってくると考えてございます。
 それから、制度疲労でございますが、私、あり方懇談会で医科大学が制度疲労をと申し上げたつもりはございません。どうぞ誤解のないようにお願いいたします。なぜ国立大学が法人化されるのかという論議の中に制度疲労というご意見を申し上げる方があったと。医科大学が制度疲労をしておるというふうなことを申し上げたつもりはございません。
 それから第三点でございますが、あり方懇談会における大学の各層の意見を直接言えと、そういう機会をということでございますが、私も一委員でございます。現在、大学からオブザーバー参加を許可していただいておりまして、そしてあの会議は公開でございます。そういうふうなことは大学内で意見集約をいたしまして、あり方懇談会に反映させてまいりたいというふうにお答えしたつもりでございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間六十分が過ぎておりますが、再々質問をされますか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、鶴田至弘君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十九分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 早速、質問に入らせていただきます。
 日本の国はどうなっていくのか。日本経済の進路は全く見えない状況にあります。日本経済は評論家集団によってもみくちゃにされ、気づいたときは日本の自主性が失われ、他国によって経済植民地化されていたとなっても不思議ではありません。私たち国民は、小泉内閣に何を期待したのでしょうか。戦後五十数年の総決算をして、むだのない効率的なスリム化した国に、国民、地方の視点に立った民主的国家の建設を夢見ていたのです。しかし、現状は一体何なのでしょうか。地方への痛みを増加させ、日本経済を下支えしてきた中小零細企業の切り捨て、失業と医療、福祉、教育の国民負担の増加、先が見えない日本つぶしの方向しか見えない状況にあります。まだ期待するのでしょうか。県民は、今何をすべきかを、日本経済はどうなっていくのかを示されない、そういう状況の中で失望しています。木村知事においては、そのような厳しい情勢の中で、地方の声を国に対して積極的に訴え、行動されていることを評価し、県民と一体になってさらなる力強い行動を期待したいと思います。
 さて、平成十五年度予算編成方針は、国の政策がダッチロールしている中で、県民に責任を負う立場での編成はより厳しいと受けとめ、その方針を一読し、知事の冒頭発言を含め、その努力と熱意を大いに評価するものです。活力あふれる和歌山づくりのための二つの観点から質問と問題提起をしたいと思います。
 第一は、まず徹底した行財政改革が求められています。まず「隗より始めよ」であります。具体的に県民に示さなくてはいけません。平成十三年六月議会において、私は行革大綱に基づく県の具体的方針を示すよう提言しました。県当局はそれに即座に対応し、平成十三年九月、和歌山県行政組織等検討懇話会を設立、一年間にわたり論議を尽くし、ことし十月二十八日に懇話会からの提言を受けています。私は、一つ一つの中身に立ち入ることはしませんが、総論的に県政にとって実現への方向を具体的に示すことが大きな行革の成果を上げるし、より県民の理解と協力を得られるものと考えます。私は、グリーンピア南紀についての問題提起を初め、外郭団体の廃止、統合、縮小等の見直しを徹底することを提言し、一定の成果を上げています。
 そこで、三十一ある外郭団体について、県として具体的なタイムスケジュールを立てるとともに、財政面も含めてその効果を分析し、県民の協力を求めていく必要があると考えるが、どうでしょうか。実施時期を示すなど、具体的な道筋を示す必要があるが、どうでしょうか。また、地方機関の見直しの方向として、振興局、試験研究機関の見直し等については、トップダウンでなく、職員の議論を積み上げ、保守主義でなく、より効率的、効果的な県民の立場での見直しを求めたいと思いますが、どうでしょうか。
 次に補助金、負担金の見直しについてですが、私は平成十三年六月議会で補助金の見直しについて提言しました。この結果、平成十四年度当初予算における県単独補助金の見直しによって約四十四億円の削減効果があったと聞いているところであります。現下の厳しい財政状況を踏まえると、今後とも一層の見直しが必要ではないかと考えるところであり、また負担金についても、国直轄事業に係る負担金について国に見直しの要望をするなど、負担金全般について踏み込んだ見直しが必要ではないかと考えるが、知事の所見をお聞きしたいと思います。
 三点目に、より効率的な経費削減につなげるため、県民と行政の役割分担を見直してはどうか。県庁のすべての部課で県民とかかわっている事業、イベント事業を見直し、県民主導の事業に位置づけるものは県民の協力で、県行政はあくまでもコーディネーターとしての役割を担う方向で見直し、もちまき行政からの脱皮を図ることを提起したいと思います。知事のお考えをお聞きします。
 四点目は、政策課題に対する組織の見直しについてですが、事業課題が共通するもの、政策目標が一致するものについて、組織が分散化していることによって、非効率性と市町村、県民にとって同じ事業、政策がどうしてという疑問を感じています。これらを全面的に見直すことは、事業の効率性、経費削減への大きな効果があると考えます。例えば、地域振興と文化と観光、第二のテーマでも述べますが、農林業における地域産業複合体のシステム確立のため、農林・商工労働部協力体制化、生活排水、汚水処理の一元化、振興局経由本庁へを改めて本庁一元化と簡素化役割分担、市町村への権限移譲の明確化であります。
 次に県民生活を守るための施策の展開についてですが、県民生活を守る、つまり県民のセーフティーネットを張る施策は避けて通れないと考えております。とりわけ医療、福祉、教育、環境、防災対策などの施策は、県民の福祉の向上と県民の生命と財産を守る立場から年次的な計画を立てるなど、最重点的に将来に向けて予算化を図っていく必要があると考えておりますが、県民の生活を守る施策の将来にわたる予算措置についてどうお考えか、お聞きします。
 また、現下の低迷する県経済のもとでの公共事業の役割と雇用の拡大に、公共事業の持つ効果、これは景気低迷の中でこそ重視することが必要でありますが、これについてどのようにお考えでしょうか。
 とりわけ、福祉事業計画の中の新長寿プラン、新障害者プランに伴う新たな施策の拡大、教育事業計画に当たっては、年内の欠損を見ましても二十五億から三十億という程度であります。少なくとも、長期的に年に一つ改築、新設をする場合には、六十億から七十億の教育のハード面の新規予算が要ると伺っておりますが、こういった問題。防災計画では、東南海地震に対する津波対策、アクションプログラムに基づくハード、ソフト面の実施計画による予算化。こういった長期、短期計画を示し、県民の協力と理解を得るとともに、財源をどうするのか。地方交付税、県税収入の減少と不安定の材料ばかりの中で何ができるのか。
 私は第一に、県民生活を守るための施策は借金をしてもやるべきと考えています。もちろん国の制度を活用してではありますが、後世へのツケは許される。私たちの世代だけで返済を考えるのではなく、二世代、三世代にわたる返済を見込んだ政策を示すことも地方自治であると考えるが、どうでしょうか。県債残高が六千億円を超え、起債制限比率一二・四%、公債費比率一八・一%と財政硬直化を理解した上で、あえて今この時代だからこそ県債の発行について積極的な活用を提言しているわけですが、知事のご所見をお伺いいたします。私は、第一点で提言をしたように、行財政改革を徹底的に思い切りやることで、経費削減とそれを県民生活にかかわる事業へという課題も含めての提言であります。
 もう一つは、県のミニ公募債の発行であります。私が提案するのは今回で三回目であります。既に全国的に発行が相次いでいる状況でありますが、私は厳しい財政状況の中で、県民参加の町づくりを確立するための方策の一つとしてミニ公募債を提案してまいりました。今回は具体的に、防災センター建設をミニ公募債発行のスタートにしてはどうでしょうか。東南海地震、津波に対する県民の防災意識の向上も含めた県民参加による防災センターづくりを提案したいと思います。知事のご見解をお伺いします。
 次に、農林業に関して質問します。
 第一点は、農業、林業を基軸とした地域産業複合体の形成と行政の果たす役割について問題提起したいと思います。
 今、日本の農林業を取り巻く状況は大変厳しいものがあります。生鮮食品、加工食品、外食等の最終消費量は八十兆四千億円と言われています。そのうち日本国内で生産されるのは一三%で、八七%は輸入に依存し、全体の消費量がふえても国内生産が減少しているのが実態であります。このままでは日本の農林業は守れません。その中で各地域では、その土地の農産物や、林業産地では新たな品目産地化を目指すことや、ただ単に生産するだけでなく付加価値をつける加工、そして生産者、生産地の顔の見える販売戦略へと変革をしています。私たち和歌山の農業、林業の特徴、とりわけ紀伊山地の霊場と参詣道、高野・熊野古道の世界遺産登録という自然と文化と人、これは二十一世紀のテーマである、まさに物質と精神という新たな価値観を地方が創造していくチャンスでもあります。このような問題で──私は議長の承認を得て──(図表を示す)今後の私たちの地域づくりが、ただ生産だけではなくて地域産業複合体が、このように農林業、生産、加工、付加価値を与えての販売、そして観光、そして加工におけるリサイクル事業、バイオマス事業という形で、各地域の市町村で一つの産業だけではなくて、新たな事業の組み合わせによって発展を遂げていくというテーマを、私は今、地域で皆さんと論議をしているところです。
 そこで、農・林の産地を生かした生産、加工、販売、それに加工から出る廃棄物のリサイクル、バイオマスエネルギー化、また観光立地化、このシステムを今までの個々のものを融合させ、産業の複合化を形成することは、農林業の多面的、循環的利用を展開し、幾つかの産業が有機的に結合して、多くの関連企業、事業をつくり出せますし、これらの地域の産業、技術、文化を土台にした自立的な地域づくり、県下では梅産業が一つのモデルではありますが、それが真に有機的に結合し、生産農家が再生可能なシステム、つまり生産農家はつくる人、加工する人は買う人という関係でなく、共存していくための共同体制が課題になると思います。
 そこで、この地域産業複合体形成を地域と行政が協力してどう構築していくのか、県行政の果たす役割は何か。また農林業だけでなく、この複合体は農業、工業、商業が連携していくことこそ効果が発揮されます。今、県は県産品の販路開拓やわいわい市場など、部分部分で一定の成果を上げていますが、これを地域と行政が連合した方向をプロジェクトとして検討されることを期待します。知事のご見解をお聞きします。
 第二点として、梅の立ち枯れへの対策について、要点のみ質問したいと思います。
 梅の立ち枯れは、依然として原因がわからないままとどまることなく発生しています。西牟婁管内は十四年度一万九千二十一本、日高管内は十四年度七万八千十二本であります。西牟婁管内は、十三年度に比べますと六〇%とかなり減少しています。これは改植等の努力で減少していると思いますが、日高管内は前年比九六%となっておりますけれども、地域によっては一〇〇%を超えている地域が幾つか見られます。増加しているところであります。そこで、試験研究での成果はどうか、課題、問題点は何か、十五年度は何を重点に取り組まれるのかをお聞きしたいと思います。
 第三点は、食と農の再生プランに基づく和歌山県としてどう具体的に取り組むのか。
 国の食品安全委員会と県の関係、食品のリスク管理、消費・安全局と県の関係、農業と食品産業の連携と県の役割、生産段階から消費段階までの顔の見える農業と食品を県としてどう組織的に実践的に対応していくのか、十五年度その課題は何か、お考えがありましたら聞かせてください。
 第四点は、果樹、野菜、花卉の農薬の適用拡大についてですが、一つは地域特産物、とりわけ果樹においては、農薬の消費量が少ないものは安全で効果のあるものであっても、農薬メーカーの採算性から失効農薬となり、結局は無登録農薬になっています。これも矛盾しています。二つは、野菜に使われていて果樹に使えない、農薬の適正で問題のないものについては、適用を拡大することによって農家への負担が軽減化されることになります。県としては、実態を踏まえて、適用拡大について国への調整を図られるよう要望したいと思いますが、農林水産部長のお考えをお聞きします。
 次に、和歌山県の汚水処理の考え方についてご提言申し上げます。
 和歌山県の汚水処理率全国ワーストワンの汚名を返上するために、また世界遺産登録にふさわしい環境づくりのために、第一は生活排水対策についてですが、これまで下水道を主とした考え方から、各地域の立地、環境、人口集積を尊重して地域に見合った、しかもコストを踏まえた対策を総合的に検討する時期にあると考えるものであります。下水道一〇・二%、農業集落排水事業二・三%、合併浄化処理一四・二%の実態であります。和歌山県全県域汚水適正処理構想の見直しを図る必要がないのか、お尋ねします。しかも、市町村と協力して五カ年、十カ年の実施計画を策定する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 二つ目は、和歌山県が地理的条件、都市計画区域における人口空洞化と高齢化が進む中で、集合処理が非常に困難な条件のところが多くなってきています。したがって、合併浄化槽を積極的に活用すべきではないか。その一方策として、環境省の特定地域生活排水処理事業を活用することによって、より効率的でコスト、受益者負担が軽減される制度でありますが、国の採択条件は一定の規制があることから条件拡大を国に求めるべきであると考えますが、いかがでしょうか。関係部長のご見解をお伺いいたします。
 最後に、地域で支える福祉事業への支援について質問します。
 来年から、わかやま長寿プランと紀の国障害者プランの見直しと障害者自身がサービスを選んで利用する新たな支援制度が始まります。サービスの供給主体となるのは自治体です。施設から地域での暮らしへ、この流れを確かなものにできるかどうかは県と市町村の熱意と取り組みにかかっています。長寿プランの見直しと新障害者プラン策定に当たり提言したいと思います。
 第一は、高齢者を地域で支える事業に支援することについてでありますが、高齢者の八〇%は在宅で過ごしたいと望んでいます。しかし、家族や介護の条件からやむなく施設に入所しているというのが実態であります。施設入所を否定するのではありませんが、在宅を中心に介護できる方策にも支援する方針をいろんな角度から検討していただきたいと思います。在宅サービス、訪問看護等だけでなく、家族にとって昼間、朝から夕方までの留守の間、通所デイサービスを強く望んでいます。それが宅老所です。地域でボランティア精神で高齢者を支える活動が全国に広がり、自治体の支援も広がってきています。施設入所依存は逆に介護度を高め、介護保険料を値上げするという悪循環を繰り返しております。より寝たきりに近い状況にさせているのではありませんか。これを地域で支えることを広め、やる気のある人たちの参加を求めるには、基本となるホームの確保と介護にふさわしい施設の改修が必要です。それへの初期投資の支援をぜひ検討してください。このことは介護保険料を引き下げる役割も果たすのです。
 次に、障害者を地域で支え、障害者が自立して地域社会に参加し、暮らせるための環境づくりをどう考えていくのか、新紀の国障害者プランを具体的にどう策定するのか、ホームヘルプ、ショートステイ、グループホームの実施計画は新障害者プランの中でどう生かされていくのか、しかもそのプランづくりには障害者関係者の参画をどう考えているのか、福祉保健部長にお尋ねします。
 第一回の質問を終わらせていただきます。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、十五年度以降の財政運営と組織の見直しについてでございますけれども、県の組織、外郭団体、研究所、そういうもののあり方については、この十月に行政組織等検討懇話会の答申を得たところでございます。この答申は、委員の皆さんが熱心に検討された結果でございまして、私どもとしては、この内容を十分熟読玩味しながら、工程表という話がありましたけれども、計画的に計画を立てて実現に移してまいりたいと考えております。
 それから、県単の補助、直轄事業負担金の見直しでございます。県単の補助につきましては、県民の皆さん、そしてまた県下の市町村から非常に喜ばれているものもたくさんあるわけでございますけれども、やはり長年続いてきたということの中で見直しが必要なものも多いだろうということで見直しに着手しているところでございます。世の中の動きは非常に急でございます。こういうふうな状況の中で、さらに必要なものに絞っていくというふうな見直しを進めていきたいと思います。それから直轄事業負担金については、これは本来だめと、要らないという考え方に立っております。現在、必要悪的に残っておりますけれども、このような直轄事業負担金がなくなるという方向に向けて活動を進めていきたいと思っております。
 それから、県の事業等に関する県民の役割ということでございますけれども、これはもう日本全国的にですが、今までの行政頼みという感じから、やはりここ十年の非常に厳しいリセッションの中で、県民の方も自分たちのことは自分たちでやっていかないといかんという感じが相当広く出てきているのは、これは間違いないことだと思います。私どもとしましては、一発勝負的なイベントというふうなものじゃなくて、やはり県民の自立をしていこうという動きに、後ろから適切に効果的に下支えをしていくような施策を中心に県の仕事をしていきたいと思いますし、そういうことに合わせた県の組織というものを柔軟かつ迅速に見直しをしていきたい。午前中のご質問でも申し上げましたけれども、民間感覚を持った組織の対応ということが大事ですし、そしてまた縦割りの組織の中ではどうしても横の連携が悪くなるということがありますから、もとの組織から見直すという発想を持って今鋭意検討を進めているところでございます。
 それから県民の生活を守る施策については、長期的な視野を持ってということでございますが、これはもうそのとおりでございまして、私どもも根本に類するようなことについては、単年度だけの施策という形ではなくて、長期的な視野を持って対応していきたいと思っております。
 それから、公共事業の役割でございます。これは、非常に難しい問題でございまして、国、そしてどこの地方公共団体とも、もう何年も公共事業を減らしていくというふうなことの中で非常に事業量が減ってきているわけでございますけれども、一方で、県下を見ましても、雇用の大きな吸収源であるという事実もあるわけでございます。この両方をにらみながら、できるだけその公共事業というものが本当の意味の効果を発揮するような形で、そしてまた地元の企業に少しでも対応できるような形で仕事をしていくというふうなことに今進めているわけでございます。いずれにせよ、長期的にはこの構造というものを改善するというか、変化していく方向に進んでいく必要があるのではないか、また県も長い目ではそういうふうな方向でいろいろな施策を組んでいかないといかんと思っております。
 それから、県債の発行でございます。県債の発行については、世代間負担の公平化ということで、県も今まで必要に応じて県債を発行してまいりましたし、これからもその方針は変わるものではございません。ただ、今、交付税制度の見直しが非常にありまして、従来は借金返済の一部分を交付税で見るというふうな借金が多かったんですけれども、これからそういうものが整理されていくという中で、やはり慎重な対応ということも必要になってまいります。既に、公債費比率とか公債費負担比率なんかがある程度上がってきておりまして硬直化が進んできているという状況もございますので、その両方をにらみながら対応していきたいと考えております。
 それからミニ公募債ですが、これは非常におもしろい考え方でもう全国的に動きが出てきておりますので、県もこういうことについて積極的に検討していきたいと思います。それから地方債に関しましては今後──今までは地方公共団体が発行する起債というものは信用が皆同じと。要するに、最終的には国家の統治機構なんだからということだったんですけれども、だんだんとそういう状況でもなくなってきましたので、他県と組んで公募債を発行するとか、そういうふうな新しい資金調達の方法なんかも広く検討していっておかないと、あるとき急に和歌山県の借金は引き受けられませんというようなことになっても困りますので、そういう面もあわせて鋭意検討していきたいと思っております。
 最後に、農林業基軸の地域産業複合体をと、この考え方には私は全面的に賛成でございますし、私が考えていることもほぼこういうことでございます。施策というのは、場当たり的にパッチワークのような形でやってもだめなんで、やはりトータルでどういうふうな形に地域社会を持っていくかということが必要でございます。緑の雇用事業なんかにつきましても、ただ単に中山間へ人が行く、そして当面は税金で仕事を見つけてということだけではだめなんで、長期的には自立して動いていけるような仕組みを考える。そのときには、先ほどありましたようなバイオマスでありますとか、リサイクルでありますとか、観光でありますとか、こういう面で収入を得られるような仕組みにしていかなければならないということがあると思います。これは、緑の雇用に限らず、農業についてもそうですし、地産地消も目指していかなければならない。すべてのことが大きな方向の中の一つずつの要素として入ってくるというふうな物の考え方でやっていきたいと思いますので、またいろいろご示唆いただけたらと思います。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 農林業政策についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、梅の立ち枯れの原因究明に向けどこまで解明されているのかとのお尋ねでございますが、梅の生育不良につきましては、県ではこれまで生産者を初め関係機関と連携を図りながら、暖地園芸センターを中心に、大気環境を初め、栽培、土壌、病理など総合的な試験研究に取り組んできたところでございます。これまでの研究では生育不良の原因を完全に解明するまでには至ってございませんが、着果負担が樹体に及ぼす影響でありますとか、有機物マルチ、緑肥作物による土壌改良の効果など、栽培管理に生かしていただける研究成果も得てございます。これらにつきましては、「うめ安定生産のための栽培管理マニュアル」として取りまとめ、地元にお示しているところでございます。今後は、平成十六年度の開所に向けて整備を進めてございますうめ研究所を中心に、梅産業の持続的な発展を図る観点から、生育不良の早期解明を初め、安定生産のための技術開発や優良品種の選抜品種など、こういったことを中心に総合的な取り組みを行うこととしてございます。
 次に、食と農の再生プランに基づく県の取り組みについてでございますが、国におきましては、内閣府に食品安全委員会を、農林水産省には消費・安全局が設置されると聞いてございます。県におきましては、食の安全、安心の関心の高まりに一層効果的に対応していくため、国の消費安全行政とも連携した組織づくりについて、現在検討を行っているところでございます。また、生産現場を抱えている農林水産部といたしましては、消費者に安全な食品を提供していくため、食品産業との連携は不可欠であると考えてございます。これまでも、梅におきまして、生産者と加工業者との間で安全確保について話し合いの場を設けてきたところでございますが、今後とも食品産業との連携強化を支援してまいりたいと考えてございます。
 さらに、消費者に顔の見える農業をより一層図るため、本県の基幹品目でございます果樹につきまして、トレーサビリティーシステムの確立を目指し、生産者はもとより、流通関係者や消費者のご意見もお聞きしながら、最良のシステムを構築してまいりたいと考えてございます。
 次に、果樹、野菜、花卉の農薬の適用拡大についてでございますが、生産量の少ない地域特産物に対する農薬の登録につきましては、農薬メーカーにとって登録コストに見合う収益が期待できない場合が多く、適用拡大が進まない状況にあることから、生産農家では防除に使用できる農薬が少なく、対応に苦慮しているところでございます。現在、国では農薬取締法の改正に伴いまして、アブラナ科作物を一まとめにするなど対象作物をグループ化する方向で検討がなされていると聞いてございますが、県といたしましても適用の拡大につきまして強く国に要望してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 和歌山県全県域汚水適正処理構想の見直しについてでございますが、平成七年三月の構想策定以降、県内各地域において過疎化や市街地のドーナツ化現象等が進展しているため、今年度関係各市町村と連携し、見直しを行っているところでございます。見直しに当たっては、人口密度の高い市街地においては公共下水道で整備し、人家のまばらな地域においては合併処理浄化槽で整備する等、地域の実情に合わせた処理方式を採用し、汚水処理施設整備率の早期向上に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 議員ご質問の特定地域生活排水処理事業は、市町村が設置主体となって戸別に合併処理浄化槽を整備する事業として早期に効果が出てくるものであり、県としても期待をしているところです。当該事業について、国では平成十五年度概算要求の中で、採択条件の拡大を初め、特に予算額については対前年比三・六倍の要求がなされているところです。県としましては、こうした国の動きを踏まえ、市町村における事業導入等の動向を見ながら積極的に支援してまいりたいと考えております。また、必要に応じて事業採択条件の拡大等の要望も行ってまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 地域で支える福祉事業への支援についてお答えいたします。
 介護サービスの充実につきましては、わかやま長寿プラン二〇〇〇に基づき整備を促進してまいりましたが、現在、プランの見直し作業を行っております。新プランでは、住みなれた地域の皆さんが支え合う社会づくりを取り組みの一つに掲げ、特別養護老人ホーム等の入所施設の整備とあわせ、在宅サービスも重視してまいりたいと考えております。また、少人数の宅老所的な施設もバランスよく整備し、より身近なところでもサービスの利用ができるようにすることも大切でございます。そのため、グループホームや生活支援ハウスを初め、ふれあいサロン推進事業や民家改修型デイサービスの整備等を進めておりますが、今後もこれらの身近な在宅機能の向上に努めてまいります。
 なお、新たに民家等を活用した小規模多機能なサービス拠点の整備等、地域ケアのネットワークづくりを支援する事業も国において検討されており、県もこうした動きにも対応してまいります。
 障害者施策につきましては、圏域の中心となる施設の充実はもちろんのこと、今後、地域で生活するためのグループホームや福祉的就労の場である授産施設の整備を促進するとともに、在宅サービスの充実を図ってまいりたいと考えております。
 また現在、関係者の参画を得て新しい紀の国障害者プランの策定の準備を進めておりますが、新プランではノーマライゼーションの理念を継承し、障害のある人の自立、社会参加を促進し、地域においてだれもがお互い支え合いながら、豊かに生活できる内容にしてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 質問というより要望です。よろしくお願いします。
 一点目の平成十五年度以降の財政・組織運営の問題ですけれども、知事が申されたように、非常に厳しい中でのことは十分承知の上で、あえて今の情勢の中で──将来に向かって日本の経済がどうなっていくかというのは非常に不透明なところがありますが、地方自治体として国の動きを待ってもう二年になるわけですね。どうしようもないというのが県民の意識です。だから我々和歌山県だけでも、少し借金しても、県民に直接関係あって雇用も拡大して、五年、十年後には所得拡大にもつながって、それがまた税収入につながっていくという展望もしながらやらんと、うっとうしいばかりですわ。そういうことも思い切って年次計画を立てて、今、約五千五百億の年間一般予算ですけれども、それに対して少なくともあと二百億ぐらい追加して。その二百億だったら国の関係でまたふえると。それをしていかなんだら、議員からいろんな要望をどんどん言うてますけれども、私は借金せなんだら難しいぞと思いながら聞かせていただいております。
 そういう意味で、一つはそれをやる。しかし、それだけでやるというんじゃなくて──一つは、補助金カットだけでも四十四億やれたんです。あとは、先ほど知事が申されたように、県民と協力、共同で民間参画型運営を各部課でやったら、これで数十億浮いてきます。私も自分で試算してみました。すごいイベントですわ。もう各課めちゃめちゃで年一回、二回はやられています。趣旨や目的は県がコーディネートしても、それを市町村や地域住民に任せたら数億浮くと思います。
 もう一つは知事、知事室に一回、年間出版されている印刷物を机の上に積んでみてください。もう、どえらい量です。私、よう読み切りませんけれども。一回ためていたんですけれども、もうため切れんぐらいです。その本も、だれのために、何のために発行しているのか一回見直してみたら、これもどえらい額が浮いてきます。それを、印刷物で見せるのか、ホームページで見せるのかを区分けして効果的な体制をとるならば、これもかなり効果的な経費削減につながり、それを投資的経費へ回せるのではないか、このように思っております。
 もう一つは、最後になりますけれども福祉の関係です。
 私は、このまま施設入所を、午前中の答弁にありました老健や特養をふやすなとは言っていません。今の状態ではふやさなければならないでしょう。しかし、そのことばかりに依存していると、施設入所によって──本来、老健なんかは三カ月でリハビリをやって家庭へ帰すというのが、もうそうではなくて、趨勢としたら特養も老健も既にもう寝たきりの状況になっているのが現状です。それよりも、施設へ入所させないための前段のそういう地域で福祉を支える事業には今支援も何もありません。国もありませんし、県もありませんし、市町村もありません。だから、そういう意味で、ひとつぜひともその点お願いしたいと思います。
 どうぞよろしくお願いいたします。終わります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十一分散会

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