平成14年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(金田 眞議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、一般質問を行います。
 私どもが新宮市の全世帯を対象に十三項目の県や市への要求アンケートのお願いを実施したところ、市内全域から五百五通の回答をいただきました。回答総数のうち、各項目に丸印をされた以外にご意見を記入された方は四百三十三名に上り、県政や市政、そして共産党に対する疑問や提案を含めいろいろなご意見や要望があり、もちろん厳しいご意見もありました。この結果は資料としても貴重なものであり、市民の方々の日ごろからの政治に対する思い、暮らしに対する意識の高まりをあらわすものではないかと思います。私は、「住民こそ主人公」の政治実現の立場で、このアンケート結果から質問をいたします。
 新宮港第二期整備事業(佐野湾埋め立て)について、アンケートでは、「必要だ」、「期待している」は合わせて四十四人、「むだだ」、「自然破壊だ」を合わせると四百六十四名ありました。佐野湾埋め立てを決定した一九九七年当時から、この事業は将来の見通しのない自然破壊のむだな港湾事業であり、売れる見込みのない土地造成によって多額の借財を後世に残すだけの整備開発計画ではないかと言われ、現在でも中止を望む声は根強くあります。
 現在の新宮港は、主に木材の中継基地として一九七九年(昭和五十四年)に供用を開始し、五つの岸壁がありますが、取扱貨物量は、平成五年の百三万トンをピークにして二〇〇〇年は五十九万トンと、四割以上大幅に減少しています。それでも、第二期整備後の計画貨物量は百八十七万トンと想定されており、今の三倍以上です。その取扱貨物の品目の一つである製紙の原料チップは、二〇〇〇年の取扱量七万トンに対し計画では七十二万トンと、十倍を超える無謀なものです。この七十二万トンは今の新宮港の総貨物量を超えるものであり、製紙業界も不況から市内にあった巴川製紙、王子製紙も撤退しており、余りにもかけ離れた数字です。またその七十二万トンのチップは、現在新宮港を利用していない三重県の紀州製紙が新たに利用することを期待するもので、三重県の一企業の利用を見込んだ新宮港に和歌山県だけがなぜ莫大なお金をつぎ込むのか理解できません。貨物の取扱量は減少し、過大な取扱量の計画は破綻しているのですから、当然、貨物量の見直しが迫られていると考えますが、当局の見解をお聞きします。
 また、仮に耐震性の岸壁が必要だとしても、現在の状況では今ある岸壁を改修すれば解決する問題であり、佐野湾を埋め立てて新たに耐震岸壁を含む三つもの岸壁をつくり、工業用地を造成する事業は必要ではなかったと思います。
 また、港の埋立地十七万平米への企業誘致を期待していますが、平米単価三万三千円ではどれほどの企業の進出が期待できますか。さらに、当初計画とは違って港の背後地で操業していた巴川製紙が撤退し、その跡地十五万平米が新たな工業用地として誕生し、土地は余っています。これでは、埋め立てた工業用地が売れ残り、この事業が地域経済の活性化とは逆の方向に進むことが懸念されます。さらに、県も新宮市もかねてから重要港湾昇格を要望していましたが、全国の重要港湾が地方港湾に格下げになる状況では実現されていません。このように、新宮港を取り巻く環境は悪化し、むだな公共事業となっています。しかし、埋め立ても進み、岸壁もほぼでき上がっており、今さら港の本体工事の中止は無理だと思います。事ここに至っては、たとえ自然破壊のむだな公共事業だったとしても、新宮港が釣り堀公園化し、工業用地にペンペン草が生えるのを避けるために、新たな振興策や利用計画が必要だと思います。
 例えば、今進められている、ことしからと言った方が正確かもしれません百億円の防波堤工事は、中止も含め検討し、それらの財源で震災対策のための備蓄基地を紀南地域のあちこちにつくることも一つの案です。県は耐震岸壁の重要性を強調しますが、地震で仮に港が壊れなくても、そこにアクセスする道路が確保できるかは甚だ疑問です。海岸沿いの国道や大雨でよく崩れる国道百六十八号が、南海地震でそのまま通行確保ができるとは考えにくいことです。災害時のことを考えるなら、相当長期間のライフラインの途絶にも対応できる備蓄基地を整備した方がよっぽど効果があると思います。しかし、新たな計画の前提には、今までの計画を検証し、見通しの甘さやむだな事業について反省し、原因と責任を明らかにすることが必要です。そうしなければ過ちを繰り返すことになります。そして、その総括と反省の中から、佐野湾埋立事業に反対や不安を持っていた地域の方々が協力できる環境がつくられると考えます。県の見解を求めます。
 もし、当局がその総括を否定するならば、何を根拠に貨物量がふえ、生産活動による経済効果及び雇用促進の効果などが期待できるのか、具体的にお答えください。
 この項の最後に、新宮港に関連して住民から、港の埋め立てや防波堤の影響で台風が来るたびに佐野川河口に押し寄せる波が高くなって川の水位を上げているとの心配の声が寄せられています。潮の流れや侵食の状況調査、侵食に対する対策が必要だと考えますが、県の考え方をお聞かせください。
 この項の二番目ですが、県民がいつでも、どこでも、ひとしく保健医療サービスを受けられるようにすることは県の基本理念です。県民一人一人の命の重さは同じであり、その生命と健康に関する県の施策も公平に行われるのは当然であり、不公平であるならば県行政の怠慢であり、県民の不幸です。こうした不幸は直ちに解決すべきです。
 県の保健医療計画では、県下七つの保健医療圏で休日夜間急患センターを整備するとあり、昭和四十九年から那賀、和歌山、伊都、有田、御坊と設置され、平成七年に田辺広域休日急患診療所と六つの保健医療圏に設置されました。しかし、新宮圏域にはいまだ設置されていません。設置を求める私の質問に、二〇〇〇年九月議会では「今後とも休日夜間の診療体制が未整備な地域の整備を促進する」とし、二〇〇一年二月議会では「振興局を中心として、圏域内での医療に関する課題の中で検討をしてございます」との答弁でした。私どものアンケートの結果でも、「必要だ」と答えた人は四百二十八人、八五%と急患診療所の設置を求める声は圧倒的で、「不必要」と答えた方は五人だけでした。住民は、急患診療所の設置を強く求めています。現在までの取り組み状況と今後の見通しについてお答えください。
 この項三番目の、熊野の自然と健康を守る環境行政の実現についてです。
 アンケートの結果では、熊野の自然や環境について、「関心がある」、「少し関心がある」を合わせて三百五十四人、七〇%で、「余りない」が三十人でした。熊野古道の世界遺産登録について、「賛成」は二百二十七人、四五%、「反対」は四十人で、「わからない」と答えた方は百二十七人、二五%と少し残念ですが、自然や環境について関心は高いと思います。
 世界遺産登録に関連して熊野川沿いの不法投棄の撤去について、特に白見の滝付近の埋め立てや投棄は、自然公園法にも廃掃法にも河川法にも違反しており、撤去に向け一層努力され、早急に解決してくださることを強く要望します。
 さて、新宮市松山での環境破壊のおそれのある産業廃棄物の建設業者の自社処理については、この議場でも写真も示し、何度も取り上げてきました。焼却炉の使用方法やその燃え殻の処理、また産業廃棄物の処理が適正に行われていたのか、八月八日の立入調査の結果から実態を明らかにしてください。
 また、業者から改善計画書は提出されましたか。その計画も含め、今後の取り組みについてお答えください。
 この業者にかかわって、九月七日に新宮市の地方新聞に公告が出されました。その公告の内容は、「平成十四年五月三十日から建築リサイクル法が施行され(中略)残念ながら、排出者の名において廃棄物を適正に処理しなかったり、不法投棄などで生活環境の汚染と業界の信用を傷つける行為が、今なお後を断ちません。(中略)環境への社会的責任を負う業界の社会的、経済的地位の向上と地域の生活環境の保全など公共福祉の増進に寄与することを目的とした、新宮圏域解体工事業組合を(中略)設立いたしました」というものです。同じ日に、和歌山県解体工事業協会を同じ業者が新宮市に住所を置いて設立したと和歌山市で新聞に公告されました。この設立について、行政はどのようにかかわっているのか、今後、建築廃棄物のリサイクルを積極的に推進することを願う立場からお尋ねをいたします。
 この項の第四項目めの納得できない同和対策についてです。
 アンケートの結果では、「同和対策はやめるべき」に丸印をした人は二百四十一人で、「推進すべき」の十一人を大きく上回っています。同和貸付金の滞納や同和啓発事業に多くの意見があり、法的には終わったと言っても、今もってすっきりしない人が多く見られます。だからこそ、同和行政の負の遺産の一つである中小企業高度化資金の多額の滞納問題について納得できる対策が必要です。不透明な同和融資の解明は、同和問題の真の解決と県政の民主化のためには不可欠であると思います。
 高度化資金の滞納額は、十二年度の七十四億円から、十三年度は百七億円へと三十三億円もふえ、年々悪化しており、返済率が一割以下の組合が八つもあるなど、こんなに不良債権化している融資制度がほかにあるでしょうか。しかし、議会での私の質問に対して県は、「情報は非公開」と消極的立場で、倒産して不良債権化した組合についても具体的な答弁はなく、到底納得できるものではありません。そのため、六月二十七日付で公文書開示請求を行いましたが、貸付先名、実行年度、資金種類が消された数字だけの資料が開示されただけです。皆さんのお手元にあります資料一がそれであります。開示を求めたのは、中小企業総合事業団に報告している中小企業高度化資金貸し付けに係る十三年度延滞貸付先一覧表のうち既に廃業している件であって、営業している組合の開示請求を行っているものではありません。貸付先名、実行年度、資金種類が明らかにされなければ、実態を正確に把握し、同資金に係る県行政の執行が適正なものであったかどうかさえ知ることはできません。この高度化資金は、総事業費の八〇%を国と県が無利子で融資し、二〇%が自己資金です。その自己資金について和歌山県信用保証協会が関与している場合が多く、高度化資金の滞納とあわせ返済が滞っていることが危惧されます。
 次に、八月七日付で、さきの開示請求の対象となっていない中小企業総合事業団が既に償却済みの協業組合にかかわる交渉経過に関する文書の公文書開示請求を行いました。しかし、これも貸付先名などを塗りつぶした資料が開示されただけです。これが資料二です。十何年も前に倒産し、競売も終わり、中小企業団が償却処理し、県の貸付金一億五千九百万円が回収不能の状態、すなわち県民のお金が返されていない状態なのに、既に存在しない組合名すら知らせないのでは行政の姿勢が疑われます。倒産し不良債権化した組合の利益と公費の支出がよかったかどうかを県民の前に明らかにする公益性をはかりにかけたら、今の時点においては当然県民の公益性を優先させるべきであるはずであります。それが行政の責任ある姿だと私は思います。
 さて、この延滞貸付先状況表を見ると、貸付金額の六億七千九百九十九万八千円に対し、延滞金額は四億八千九百四十九万一千七百三十二円です。その延滞金の事業団分三億三千四十万三千円は平成八年三月に回収不能として既に中小企業団が債権償却をしていますが、残り一億五千九百万円は県の債権として今も残っています。返済された額は、貸付金額から延滞金額を差し引いた額一億九千五十万六千二百六十八円と計算すればなりますが、その額はそこにある昭和六十三年十月四日の競売による配当受領額一億九千五十万六千二百六十八円と一致し、この組合から競売するまで県に一円の返済金もなかったことがわかります。こんな結果になっても、この組合の事業計画について厳正な審査が行われたというのでしょうか、お答えください。
 また、協業組合の名前すら明らかにされていないので断定はできませんが、もちろん誤りがあったら指摘をしてください。この組合の総事業費は八億五千万円で、そのうち八〇%の六億八千万円が県の融資です。残り二〇%のうち一五%、一億二千七百五十万円は市の同和産業構造改善資金の融資であり、残り五%の自己資金四千二百五十万円に信用保証協会が関与していたと思われます。そして、県にも市にも一円の返済もしないまま倒産し、土地や建物などが競売にかけられているということがわかります。融資総額八億五千万円に対して競売落札価格は二億三千八十五万円で融資総額の三分の一ということは、バブル崩壊の前でもあり、常識的に考えたら担保価値以上の過剰融資ではなかったかと思いますが、そうした融資を行った県に何の落ち度もないのかとお聞きしたいわけであります。お答えください。
 同じようなことが、この組合だけでなくほかの組合でも考えられます。県は、みずから行った中小企業高度化資金に関する活動の内容を隠すのではなく、情報を県民と共有し、社会的な世論を高め、延滞の回収を促進する立場に立つべきです。知事は、さきの議会で、「今後その焦げつきについて、ガラス張りの中でどのように県民の方々の納得を得ながら回収をしていくかということが大きな問題」としていますが、しかし現状はこうであります。今後どのように県民の前に明らかにされるのか、知事お答えください。
 この問題は、昨年の十二月に新聞で、「複数の元同県融資担当者は「同和対策事業としての側面が重視され、採算性だけで判断できず過大な融資を認めた案件が多かった」」と報道されましたが、県の認識と一致しますか、お答えください。
 五項目めの佐野川、荒木川の早期改修についてですが、アンケートに寄せられた個別要求の中で多かったのがこの問題です。
 当地域の浸水被害は年に一回から三回発生し、流域一帯は常に浸水の被害を受け、特に昨年九月三十日には佐野会館に避難しなければならないほど大きな被害を受けました。蜂伏の住宅化が進み、県立の養護学校や看護学校だけではなく、保育園や中学校や高校など多くの公的施設があり、新宮医療センターが診察を始めましたが、佐野川、荒木川の浸水で救急車両が通行できない事態が生まれており、道路の冠水による交通の遮断は生命にもかかわる重大問題です。二級河川の佐野川は三・六キロ、一九七四年(昭和四十九年)から県の単独事業として改修工事が開始されましたが、三十年かかって五〇%の進捗率で非常に遅いです。そして、河口より二・一キロまで一部を残し用地買収を終わっていますが、工事費は二〇〇〇年に二億五千万円、二〇〇一年に一億五千万円、二〇〇二年の当初予算では八千万円と年々減少しており、改修が進みません。また荒木川は、九百メーターに対して市道までの間三百四十メーターが平成八年度で完了してから、その先は進んでいないため、地元から「荒木川の早期改修要望書」が知事に出されているほどであります。何度かこの議場でも要望しておりますが、その浸水対策がより一層緊急性を帯びており、佐野川、荒木川の改修と荒木川上流の砂防堰堤の事業の継続と完成は住民の切実な願いです。県は、住民のこの切実な願いにぜひお答えください。
 障害者福祉制度が来年、二〇〇三年四月から大きく変わります。今は、障害者が福祉サービスを利用する場合、措置制度によって国と地方自治体がサービスの提供に直接的な責任を負っています。しかし、来年度からは介護保険と同じように、障害者本人が利用したいサービスを決め、みずからサービス業者を選んで契約する仕組みになります。また、県の仕事が町村に移り、県下で二万六千四百人程度の利用が見込まれております。十月から市町村でこの申請受け付けが開始されますが、今、大変な状態を生み出しております。支援費制度の導入を決めた社会福祉法は、行政責任を現行より大幅に後退させたため、次のような問題があると思います。
 第一は、福祉サービスの確保は原則として障害者個人の責任とされ、国や自治体は支援費の助成など、あくまで第三者的なものとなることです。第二は、在宅、施設ともサービスが圧倒的に不足しており、自由に選択できるどころか新制度発足の前提条件すら欠く状況にあることです。第三は、障害者、家族の負担が増大する心配があるからです。
 さて、新制度の実施が迫った今、国や自治体が障害者福祉に対する公的責任を十分に果たし、障害者が安心して利用できる支援費制度にするための対策を質問いたします。
 一、障害者が自立して生活できる支援費制度にするには、制度について関係者に周知徹底するきめの細かい対応が求められますが、実態は市町村によって格差があり、県の積極的で親切な対応が求められており、その対策を伺います。
 二、市町村が障害者の生活実態と要求に見合ったサービスの提供が行えるよう、独自の上乗せ措置を積極的に存続、拡充することを支援するなど、現行のサービス水準は絶対に後退させないという県の決意をお聞かせください。
 三、障害者の生活実態を反映した認定がどれだけ保障できるのか、大きな不安があります。市町村は、支給の可否とともにサービスの支給量、支給期間、障害程度の区分を決めますが、最初から家族介護を前提にするのではなく、障害者が地域で自立した生活を送ることができるよう、必要で十分なサービス量を認定すべきです。そして、支給決定の公正を期すために、市町村ごとに専門的知識を持つ人たちによる集団的な審査体制を確立し、家族や施設職員の声も審査に生かすことが必要です。また、情報提供、相談窓口の体制を充実するとともに、申請待ちではなく積極的に障害者を訪問し、要求を掘り起こす体制が必要です。これらについてお答えください。
 四、どんな新しい制度でも、障害者が必要なサービスを受けられなければ、全く絵にかいたもちです。基盤整備のおくれをどのように認識し緊急に打開するのか、お答えください。
 五、支援費制度の対象外となる事業、小規模授産施設、無認可小規模作業所、精神障害者施設などについて各種補助事業の一層の拡充を図ることは当然だと思いますが、県の今後の方針をお聞かせください。
 最後の質問です。非常に残念な質問です。
 新宮市の高田と蜂伏を結ぶ林道高田蜂伏線約十三キロが今年度で休止されることになりました。なぜ今ごろとの思いであります。平成八年に着工し、平成十年に最初の切り取り面に大きな崩壊があり、百三十メーター進んだだけで工事が中断し、地質調査が行われました。平成十二年九月に和歌山県公共事業再評価委員会で審議されましたが、事業は継続となりました。もちろん事業主体は新宮市ですが、私は平成十二年九月議会の一般質問でこの場で、県からの技術的なアドバイスや工法への配慮、財政的な支援をお願いし、県当局も「技術指導を行ってまいりたい」とご答弁いただきました。しかし、残念ながら、平成十三年には三度ものり面崩壊があり、地元住民からも工事に対する不安や疑問の声が上がりました。それで、私は昨年の決算特別委員会で、こう何度も崩壊する場所での工事継続は問題があると見直しを求めましたが、県は、今度はきっちりやると言っているからと工事を継続させました。しかし、結局はのり面崩壊が続き、環境破壊につながることから休止し、改めて調査するとしています。
 総事業費三十億四千万円のうち既に四億八千万円が投じられ、県も二〇%負担しているのに、わずか百三十メートル、一%しか進捗せずに工事が休止されます。こうした判断も必要なことだと思いますが、何度も指摘があったのに、なぜもっと早く判断できなかったのか、そこが問題です。結局判断を誤り、こんなむだな税金の使い方をしたことの責任は問われます。県はどのように総括し対応するのか、説明ください。
 また、高田の住民の皆さんは生活道路としての林道に期待をしておりましたが、現実は厳しいものとなってしまいました。だからこそ、県道高田相賀線への思いは一層強くなっています。高田第一号のトンネルの着工と那智勝浦町への県道の延長に格別のご配慮を強く要望し、私の第一回目の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 新宮港の第二期工事についてのご質問でございますが、過疎や高齢化により就労の場の確保に悩む熊野地域において、その唯一の港湾である新宮港の整備事業は、地元の強い要請を受けて取り組んでいる事業であり、企業誘致による雇用の創出や物流の効率化を通じて地域経済の活性化を目指すものでございます。
 ご質問のように、今大変厳しい経済状況のもとでございまして、大変ではございますけれども、もうでき上がっておりますので、これについて、県と市と地元が一丸になって、後ろ向きに物事を考えていくのではなくて、やはりあの地域は海の方へ向かって何か発展をしていきたいという気持ちが非常に強い地域でありますので、新しいあの地域の特性に応じた、合ったような進出企業でありますとか活用方法をこれから私も真剣に考えていかないといかんというふうに考えているところでございます。
 それから次に、中小企業の高度化資金についてのご質問でございます。
 この高度化資金に関して、今後どのように県民の前に明らかにしていくかということでございますけれども、この問題については、私も多くの課題があることを認識しており、中でも未償還金が多額になっているということについては厳しく受けとめているところでございます。
 現在、破産申し立ての組合等に対して競売の手続を準備しているものや、交渉の回数を重ね弁護士の方と連携を密にしながら未償還金の縮減に努力をしているところでございます。この六月議会におきまして「ガラス張りの中で進めてまいりたい」というふうにお答えしたところでございますけれども、情報公開条例の中で、法人の利益を害するおそれがある場合は非開示ということになっておりまして、今回の開示に当たって法律の専門家の方と相談いたしましたところ、廃業しているとはいえ、清算結了や法的処理の終了していない、いわゆる法人格が残っている場合の開示には慎重を期すべきであるというふうなご意見をいただきましたので、そのような墨で消したような形の一部開示に現在至っているところでございます。
 なお、本件の開示につきましては、現在、異議の申し立てがなされているところであり、近く情報公開審査会に意見を求めることとなっていることを付言しておきます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、新宮港についてのご質問にお答えいたします。
 新宮港は、第一期事業完成後、現在、年間四十から六十隻の外航商船が入港するとともに、背後用地は完売し、二十八社の企業が進出して約五百七十名の雇用を創出するなど、三重県南部も含めた紀伊半島南部地域唯一の外貿港湾として地域経済にとって重要な役割を果たしております。第二期事業におきましても同様の経済波及効果が期待できるものと考えております。厳しい経済情勢にはありますけれども、熊野地域の雇用の創出と経済活性化のために最大限の努力をしてまいります。
 取扱貨物量につきましては、一時的な減少が見られますが、これは主に砂、砂利の搬出が減少したことによるものであります。本年は回復基調にあります。現在、県や新宮市では、港湾振興を担当する組織を整備し、地元経済界で構成される新宮港振興会などと一丸となって計画貨物量の実現に向けて振興ビジョンの策定を行うとともに、企業訪問などのポートセールスを行っており、チップも含めて、新規貨物の獲得や新規企業の誘致などに精力的に取り組んでおります。外に開かれた和歌山県としましては、三重県の企業も新宮港にとっては大切なお客様と考えております。
 また、佐野川河口部につきましては、環境に配慮した緩傾斜護岸を整備する計画であります。
 次に、和歌山県解体工事業協会は任意に設立された民間団体であり、行政としては関与する立場にはないと考えてございます。
 次に、佐野川の改修につきましては、下流より順次河道拡幅を行っておりますが、一部用地難航箇所がございます。しかし、新宮市からの強い要望もありますので、地権者の協力が得られれば引き続き改修を進めてまいります。
 また、支川荒木川の改修につきましては、過去に用地難航のため休止となっており、地権者の協力が得られない状況では再改修に着手するのは困難なところでございます。
 荒木川上流の砂防堰堤につきましても、新宮市の強い要望もあり、計画的に事業を実施しておりまして、既に堰堤一基が完成し、今年度残り一基を事業着手しております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 休日夜間急患センターの設置と支援費制度についてお答えいたします。
 まず、休日夜間急患センターの早期設置をについてでございます。
 新宮保健医療圏域における休日夜間急患センターの設置につきましては、基本的には市町村が整備するものでございます。設置に向けては、平成十二年に市町村長、地元医師会、病院等関係者で構成する新宮保健医療圏医療体制検討会を設置し、現在も会議を重ねるとともに、実務担当者による部会等も開催し、検討を進めております。今後、地元医師会や病院関係者等の意見を踏まえ、検討会で議論となっている設置主体、設置場所、経費面などの課題を解決すべく努力をいただくとともに、早期に休日夜間急患センターが設置できるよう、県としても関係機関と連携し、積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、障害者が安心して利用できる支援費制度についてでございますが、障害者が安心して利用できる支援費制度にするためには、関係者への周知徹底が極めて重要でございます。このため、市町村職員の研修や関係者等に対する説明会を開催するとともにホームページへの掲載等を行っておりますが、今後も広報紙への掲載や視覚障害者のために点字版、カセットテープでの広報等を行ってまいります。
 現行のサービス水準の確保につきましては、介護保険等の事業者の新たな参入が見込まれ、施設間等での競争の原理が働くことにより、サービスの質、量とも低下することなく利用者本位のサービス提供ができるものと考えておりますが、現行サービス水準を後退させないため、市町村や関係者との連携を深め、地域のニーズやバランスを勘案しながら必要な整備を図ってまいります。
 次に支給決定等についてでございますが、支援費の支給決定は利用者本位のきめ細かな対応が必要でございます。県といたしましても、障害程度区分や支給量の認定は極めて大きな役割を担うものであり、更生相談所の支援体制の確保や市町村間での著しい格差が生じないように、各圏域別に調整会議の設置等を検討しているところでございます。
 次に基盤整備についてでございますが、支援費制度を円滑に運用していくためには、地域的な供給体制の整備が必要であります。先ほどお答えいたしましたとおり、今後とも地域のニーズやバランスを勘案しながら、必要な整備を進めてまいります。
 最後に、支援費制度の対象外となる小規模授産施設、小規模作業所等の補助事業等につきましては、障害者の働く場、活動の場を確保する上で重要であり、今後なお一層こうした施設への助成や精神障害者施策の充実を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 新宮市松山での産業廃棄物の処理についてお答えいたします。
 去る八月八日に新宮保健所と合同で廃棄物対策課が立入調査を実施いたしましたところ、燃え殻の保管や廃棄物まじりの土砂等に不適正な処理が見受けられましたので、期限を付して適正に処理するよう指導しているところであります。
 なお、本日の時点では、事業者からいまだ改善計画書が提出されておりませんが、指導期限が経過しても処理がなされていない場合、また改善が十分でない場合には、廃棄物処理法に基づき改善を命ずる考えでございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ご質問の中小企業高度化資金の貸し付けがいずれも適正に行われたのかの三点についてでございますが、さきの議会でもお答え申し上げましたとおり、高度化資金を貸し付けるに当たり、中小企業庁の通達に従い、すべての案件について企業診断を行い、中小企業総合事業団の指導を受けながら、計画から二、三年の期間をかけ、貸付審査を行ってございます。また、同事業団による審査も受けながら、承認を得た上で貸付決定を行っており、個別案件を見る限り、事務手続上問題はなかったと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 林道高田蜂伏線の工事休止となった反省総括と対応についてのご質問でございますが、本路線は新宮市が事業主体となって佐野地区と高田地区を結ぶ林道であり、森林整備の基盤として、また緊急時の迂回路として平成八年度より高田地区側から着手してございます。平成十年度の工事途中に予期せぬ不安定地盤によるのり面崩壊が再三発生したため、県からも森林土木技術に精通した職員を派遣し、復旧対策の指導に当たりました。その間、経費や期間を要しましたが、本年度で復旧対策を完了する予定でございます。また、佐野地区側からも工事の準備を進めておりましたが、荒木川の防災工事などとの調整が必要となってきてございます。このようなことから、新宮市は再三にわたる検討の結果、平成十五年度工事を一時休止し、全体計画について起点の見直しや線形、並びに幅員などの検討を行い、改善策を見出していくこととしていると把握してございます。いずれにいたしましても、新宮市の今後の計画が重要であり、事業の再開に当たりましては、改善策に対しさまざまな角度から技術指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 まず、知事にお願いなんですけれども。
 同和の貸付資金の問題、今いろいろこちらも開示請求を行ってやっておりますけれども、知事のガラス張りというのは、ただ単に情報公開、これだけではないと、このように私は信じたいと思うんです。ぜひ、そういう意味で県民の前に納得できるような形でガラス張りにしていただいて、本当に同和問題を解決していきたい。同和地区に住んでいる、いた住民の方からも、こんな問題は本当に早く解決してほしいんだと、そうした声が寄せられているんですね。一般地域というか人だけでなく、同和関係者の中からもこの声は大きいということを、ぜひご理解いただきたいというふうに思います。
 それと、新宮地域の休日夜間の救急診療所の問題です。
 知事、これは和歌山県の手帳です。この中に「県民手帳」というのがついていますが、これの最後の方を見ていただくとわかるんですけれども、「休日や夜間の急病は、休日夜間急患センターへ」と書いているんですよ。結構なことなんですよ。ずっと見ていくと六つの地域はあるけれども、新宮市だけないんですよね。こういうことっていうのは非常に寂しいです。市町村の責任であると同時に、やはりこうした面について県民が不公平感を感じないように、特に命と健康にかかわる問題ですから、ぜひその点は力を入れていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 中小企業の高度化資金の問題、部長にもいろいろ申し上げたいことがあります。再質問もしたいところですが、時間がありませんから言いませんけれども。
 「問題がなかった」と言いますけれども、問題がなかったらこんな実態になっていませんよ。その問題がなかったかどうか、そのことを知るために私ども頑張っているんですよ。一緒になって問題解決のために努力しようではありませんか。そのことを強く要望しておきます。
 新宮港の問題についてです。
 土木部長、河口の海岸侵食の問題について計画があるんだというようなご答弁をいただきました。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 知事は、「前向きに」というご答弁でした。私も、今回は非常に前向きな姿勢でこれを質問いたしました。ただ、むだな公共事業だというだけで批判するのではなく、むだなものはむだだとしてきっちりと認めなさいよ、そこから次のステップを踏み出そうじゃないですか、そのことを提案しているわけです。私ども、具体的に数字を挙げました。実際、どんどん貨物量が減ってきているんです。これは仕方ないことなんです、経済的な問題ですから。そんなこと、だれも期待していませんよ。予想もしていなかったかわかりませんけれども、こうした実態になっているんです。先ほど挙げました二〇〇〇年、すなわち平成十二年度は五十九万トンでした。しかし、平成十三年度は四十五万トンとまた減っているのも事実です。十四年度は今頑張っている、伸ばしているんだということで、それは期待したいんですけれども、やはり最高時に比べて三分の一程度になってきている、半分程度になってきている、こんな問題はしっかりと見据えていくことが必要ではないでしょうか。
 いろんなこともおっしゃられましたが、ここに平成四年九月に和歌山県が出した新宮港に関する文書があります。その中で、砂利が減ったんや何やかやと言っていましたけれども、砂利が減るなんということは以前は想定していなかったんですよ。「急増する建設資材への対応」ということで、「圏域の公共投資の拡大に伴って、砂・砂利、セメントを主体とする建設資材が増加し、荷捌・保管施設の不足が顕在化しているため、新たな公共ふ頭の整備が必要となってきている」と書いているんです。そうあなたが書いておきながら、今何で減っているんですかと言ったら、砂が減っていると言っているんでしょう。やっぱり計画の見直しは必要ではないかなと思って当然ではないですか。木材もふえるんだと言っているけれども実際木材はふえなかった、そういうことを言っているんですよ、私は。そうした意味で、やはり一つの計画がこれはこうやから絶対なんだというようなことではなくて、やっぱり情勢が変わったら変わったで対応していく。そのために、今回も私は新たな提案もさせていただきましたよ。
 そういう意味で、反対していたものも少しでも──あの港が釣り堀公園になってしまう、環境破壊までされて釣り堀公園にされたらたまりませんよ。そんなことを避けたいな、地域住民だれもがそう思っているのではないでしょうか。そのためにも、しっかりと計画の見直しをして、何が誤ったのか、こうした事態になったのか、こうしたことを明らかにしていく、そのことが本当に県民のために、住民のために必要だと私は思います。
 このままやったら大丈夫だと言いますけれども、再度伺います。計画貨物量は一体どれだけふえる、その保障は一体どこにあるんですか、今の情勢で。この点について再度質問いたします。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 再質問にお答えいたします。
 計画貨物量の主なものは、砂、砂利、木材、セメント、チップであります。砂、砂利につきましては、ことしは回復基調にあります。木材、セメントは堅調に推移しているところであります。チップにつきましては、輸送コスト削減を図る製紙業者の企業ヒアリングにより推計して計画貨物量をセットしているところでございますけれども、それを達成すべく努力しているところでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、厳しい経済情勢下にありますが、この熊野地域の雇用の創出と経済の活性化のために最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。そのため、新宮市、それから地元経済界と一丸となりまして、チップも含めまして新規貨物の獲得や新規企業の誘致などに精力的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 一生懸命頑張って貨物量をふやしていただく、そのことをだれも悪いと言っているんではないんですよ。余りにも見通しが大き過ぎるのではないですか、計画が大き過ぎるのではないですか、これでは計画が失敗してしまうのではないですか、そのことを指摘しているんです。そのことによって、見直しをして本当に雇用が拡大できる、そんな港づくりを一緒にやっていこう、こっちは提起しているんです。その点だけをつけ加えさせていただきます。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後零時四分休憩
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