平成14年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(飯田敬文議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに知事専決処分報告報第八号、報第九号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十四番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 皆さん、おはようございます。
 三日目の一般質問最終日ということでございます。過日の論戦と少し重なる向きもありますけれども、視点の違う方向から質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。当局の簡単明瞭かつ積極的な答弁を期待して、質問を始めます。
 二十一世紀は地方の時代であります。国は、みずからの失政を後回しにし、地方において必要な公共事業を断ち切ろうとしております。第一に、道路特定財源の使途弾力化から始まった地方道路整備への緊縮、第二に、公共事業の見直しによる国全体から見た過疎地の非効率な事業が都市整備に向けられ、地方を犠牲としているところであります。また、国の行財政改革のツケを、地方に交付される地方交付金の支出を削減するため、市町村合併を見方によっては強引に推し進めようとしております。ただ、現実を見詰めたとき、少子高齢化、人口減少などの社会変動を目前にしたとき、合併はやむなきことではありますが、国主導の合併ではなく地域が主体となった合併協議を行う上で十分な時間と議論を展開しなければなりません。
 最近、那賀郡、有田郡、西牟婁郡の合併状況の現状を見たときに、さまざまな問題が浮き彫りにされておるところであります。総論賛成、各論反対、このように今地方でいろんな論議がされておるところであります。私は、この合併論議は、どういう都市を、どういう町を、二十一世紀に耐え得るどういう市をつくるのかという観点から市町村合併を展開しなければならないと、こういうふうに強く思うところであります。市長さん、町長さんのいろんな意見を聞きましたら、平成十七年三月の合併期限は極めて困難であり、私はこれを少なくとも一時延長し、真に地域住民が合意のもとに、五十年の大計に誤りのないように合意のもとに行う必要があると思うわけであります。
 地方自治をめぐる環境は、ここ数年のうちに大きく変わることが予想され、国・中央主導から脱却し、自治体サイド、特に知事主導による制度開発や運営改善などにより進めていくのが地方自治、地方分権の将来を決めることとなります。一方、量の充足を追求してきた生活者の意識が、豊かさを背景に質的な充実を求めるようになり、町づくりの主眼も潤いや景観、安全などのソフトな価値に置かれるようになってきております。また、人々の関心がよりよい地域、良好な環境のもとでの生活の実現に向かうにつれ、当然ではありますが、自治体行政のあり方にも鋭い視線を向けており、行政の公正さや透明性をさらに確保するとともに、施策や事業の評価によって行政の有効性を高めることとなっております。
 このような現実の中、私たち議会もその認識を自覚し、景気や財政状況などが非常に悪い中においても、ふるさと和歌山に活力ある施策を展開しなければなりません。いわゆる公共事業にも、必要な公共事業とむだな公共事業があるわけであります。将来にわたって有益な公共事業、例えば生活、環境、福祉関連の事業を展開するとともに、今最も必要な公共事業などは重点的な財政配分を行うことが景気浮揚や県の活性化に乗りおくれることなくつながるものであります。
 今、日本経済はデフレ経済を脱却できることなく、今や沈み行く日本とまで言われております。今最も必要なのは消費の拡大であり、需要の創出であろうと思います。民が極めて厳しい状況に置かれるとき、官が民を刺激し、官が主導していく民需消費の拡大、これが今行われることが大切だと思うわけであります。そういう意味でも私は、必要な公共事業を地方が胸を張って展開することが景気回復の一助となる、また根本となることを強く訴えるものであります。
 私は、そういう意味で県議会登壇以来、一貫して紀北地方の発展こそ和歌山県勢の浮上につながるものと訴え続けてまいりました。過去、私たちは経済の復興と生活の安定を求め、ひたすら走り続けてまいりました。その結果、大きく地域の発展が図られ、県民の生活は豊かになってまいりましたが、さまざまなひずみがあらわれ、出口の見えない不況、社会不安、教育の荒廃、自然破壊などの問題が噴き出しておるわけであります。この危機的な状況を打破するには、自然と共生し、人間本来のあり方を見詰め直すとともに、まじめに働く人々が幸せになれるような世の中の仕組み、新しい価値観に基づいた和歌山県の創造が求められております。
 私は、その中心事業として紀泉百万都市構想を提唱してきたわけであります。木村知事初当選時、私の質問に答えて、低迷する我が県の現状を認識され、我が県一県では到底活気あふれる地域づくりに限界があると指摘され、大阪府や近畿各県との協力体制のもと、我が県の浮揚に全力を挙げる旨ご発言があり、その考え方に共感したことを今思い出しております。私の公約の中の「取り払おう和泉山脈」は、知事のご発言に即した府県間の垣根を越え、関西復権に向けた施策を展開する上で重要な柱と思うわけであります。紀泉百万都市構想の中での京奈和自動車道路の早期建設と府県間道路の早期完成は、ただ道路の建設だけにとどまらず、この完成により知事説明にもある景気浮揚につながる企業誘致や農業振興、雇用対策への大きな課題であることは言うまでもありません。極めて厳しい県経済の現状認識と公共事業のあり方について、知事にお伺いをいたします。
 なお、紀泉百万都市構想の実現に欠かせない和歌山市の活性化については、大橋新市長の誕生により大きく進められることとなるかと思いますけれども、和歌山県として県都和歌山市の関係をどのように構築していくのか、県全体の浮沈にかかわることから積極的な取り組みを期待するところであります。
 紀泉百万都市構想の実現に向けた県都和歌山市との連携と京奈和自動車道路及び府県間道路の進捗状況、具体的な計画及び紀の川流域下水道の進展についてお伺いをいたします。
 次に、農林水産業の振興についてであります。
 我が県の基幹産業である農林水産業の育成は、前段にも申し上げた人々のライフスタイルの変化に伴って新しい視点や発想の展開が可能であります。平成十二年度「食料・農業・農村白書」の中で、二十一世紀初頭の日本の食料と農業が抱える問題を「食と農の距離拡大」と表現しております。日本農業の二十一世紀の幕あけは、ネギ、生シイタケ、畳表の中国からの輸入激増によって引き起こされた国内農業への打撃を緩和する一般セーフガード暫定措置の実施で始まりました。日本政府はWTO農業交渉提案で、より機動的な新型セーフガード創設を提起し、これに対抗した形となっております。日本の食が外国農業への依存を強める食糧自給率の低下は、食と農業の距離拡大の最たるものであります。ヨーロッパでは、イギリスを中心とした牛海綿体脳症、いわゆるBSE等の発生、伝播によって牛肉消費が激減し、肉類や飼料等の過度の貿易依存がはらむ危険性への反省が強まっております。日本でも、こうした食と農業の距離拡大に対する歯どめとして地産地消、いわゆる地域の食は地域で賄うというスタイルや食の文化を尊重するスローフード運動、食品廃棄物再利用、食品表示徹底など新たな動きがあり、基本計画に基づく食糧自給率向上に向けての一歩が踏み出されましたが、昨年九月、BSEの発生により日本の食が危険と隣り合わせであることが判明をいたしました。また、食肉及び食料を扱う企業の不正行為は食品全般に対する安全認識を根底から覆したわけであります。企業側の姿勢の問題だけではなく、これを監督する行政にも不信を募らせ、一方、まじめに取り組んでいる企業者までにも大きな影響が出ており、景気の低迷をさらに深刻化させているところであります。
 昨年九月、本年二月と本議会において質問し、ご答弁をいただいた農林水産業関連の中で再三にわたって訴えてきておりますところの農林水産業の育成は、自然環境や安全と高齢化する農業に若者を呼び戻す夢のある新しい発想のもと整備し、財政の伴った対策を講じなければなりません。
 昨年九月議会において農林水産業問題についてご質問させていただいた内容は、生産の効率化を追い続けた結果、地球環境の悪化や長引く不況による販売競争による農家所得の低下が鮮明になったものであり、農業が夢のないものとなっているため、現在、後継者不足や都市開発優先による宅地化が進んで作付面積の減少を呼んでおります。しかしながら、現状では魅力のない夢の持てない農業であっても、懸命にこれを営んでいる農家も多くあることは事実であります。その方たちのお話を聞いておりますと、いろいろな事情があるにせよ、消費者の皆さんに安全で新鮮な農作物を提供する、この一念で取り組み、この心意気こそ農業の原点であります。言葉は適当でないかもしれませんが、農業は農民の誇りだと断言する姿を見たとき、私たち県政に携わる者として見過ごしにはできないものと感じました。くしくも今、世の中は健康ブームや安全について多方面にわたり議論がなされております。農業が持つ多方面の役割や機能を生かす施策が必要であり、基幹産業の農業の振興はマネー経済から実需経済への転換であり、経済復興の基本であります。例えば、農地の遊休地を利用した観光農業や産直、健康農業を目指す貸し農園制度などがあります。打田町では、産直のファーマーズマーケットめっけもん広場が人気を呼んでおるところでありますが、食の安全や環境、観光農業として和歌山県全体に普及させてはどうかと思うわけであります。
 また、知事は緑の雇用事業の展開に力を注がれ、森林公園の設置や雇用に効果を得ており、一定の評価をしておりますが、前回の質問にもありました具体的、長期的展望が開かれていないように感じるわけであります。農林水産業振興と緑の雇用事業の展開について、知事の答弁を求めたいと思います。
 同時に、長引く不況により企業誘致が進まない現状を見るとき、県内においての企業の立ち上げが大事であると考えております。例えば、物の再利用が叫ばれておる折、廃材や灌木を利用しての和歌山県産の炭を生産する企業を立ち上げ、今、現に打田町神通というところで研究され企業化されようとしていることから、こうした企業に対し工業試験場や大学などの研究機関と連携させ、情報を提供した農林水産業の二次加工業であるベンチャー企業の育成に取り組んではどうかと思うところであります。
 さらに今般、コスモパーク加太においてトマトの生産を伴った二次加工会社が進出することとなったと聞いておりますが、県有地の活用という面においては画期的な計画であろうと評価するものであります。しかし、これを和歌山県農業の振興と結びつけ、安心と安全の和歌山ブランドとして売り出すためには、県内トマト生産農家との共存共栄を図る必要があります。聞くところによれば、今度のカゴメの生産量は約六千トンであり、県内農家の生産量が約八千トンということで、対等ぐらいであります。とすれば、既存の生産農家の価格を圧迫することは目に見えており、この価格を圧迫することなく、すみ分けをし、トマト生産農業の振興をあわせて求めるものであります。また、県内各地には県所有の工業団地など遊休地が多く存在しておるわけであります。農林水産業こそ和歌山県のセールスポイントであります。「安心と安全」をキーワードとした二次加工品を含めて、その弾力的な活用を求めるものであります。
 林業振興にかかわるベンチャー企業の育成とこれにかかわる県の体制及び県所有地の弾力的な活用について、またカゴメ進出に伴う県内トマト農家との共存共栄について答弁を求めます。
 次に、教育問題について質問をいたします。
 現在、国民生活は荒廃をしております。世界的な窒素酸化物汚染、廃棄物の不法投棄、農薬害など、地球環境は破壊への一途をたどっていると言われております。それにも増して今日、青少年による凶悪犯罪が新聞紙上に載らない日がないくらい、環境問題と並び、人間性や心の破壊が進んでいるように思われてなりません。青少年犯罪の中に見る現在の青少年は、過去日本がとり続けた大量生産、大量消費の時代に生き、育ってまいりました。この消費社会は、青少年の欲望を奔放にさせ、みずからその欲望を抑えたり断念することを教えられないまま来たのであります。さらに、現代社会の特徴である情報化社会は、テレビに代表される情報機器のはんらんの中で人とのかかわりをなくし、対人関係が希薄にならざるを得ない環境を生み出しております。情報化社会は、豊富な情報を提供するかわりに、さまざまな負の現象をもたらしております。だれもが望む未来の姿は、人間と人間が交流でき、仲間が集い合える温かい社会であることは言うまでもないことであります。
 政府は、二十一世紀を迎え、教育改革を進めており、規制緩和、地方分権、情報公開、アカウンタビリティーの向上という時代の流れと軌を一にしております。その一つに、本年四月より実施されている学校週五日制があります。その理念は「ゆとりある教育の実現」ということでありますが、実態はそれにほど遠いものとなっており、六日制の私立学校との学力格差や学校での行事や授業へのしわ寄せなどにより、休日の過ごし方をめぐって塾通いが増加している現状は、必ずしも学校週五日制が教育に生かされていないことを物語っております。現実に、土曜、日曜は私学が授業をしているわけでありまして、この私学との学力格差を心配し、塾へ通う子供が急増しております。また、皮肉にも週五日制の導入が、これまで厳しい経営であった塾を忙しくしておるという現実があるわけであります。塾が忙しくなる、こういうふうな現実があります。また、教師もそのしわ寄せを受け、労働条件の悪化で苦しんでおるところであります。学校週五日制の現状と認識を教育委員会にお伺いするところであります。
 さて、通学区分の弾力化、いわゆる高校普通科の学区制の自由化促進は、地理的理由や身体的理由に加え、頻発するいじめに対応したものとなっておりますが、一面、競争原理が働き、学校間の序列化や選択の名のもとに社会的差別が学校に持ち込まれる危惧があることから、慎重に検討する余地があろうと思います。現在、前段でも申しました青少年の荒廃を正常化し、青少年を差別化することなく均等な教育を受けられることを目指し、また長引く不況により新卒学生の就職が困難をきわめており、以前より質問させていただいていますところの工業系の特色ある学校建設を推進させることこそが大事であろうと思うわけであります。特に私は、工業系の物づくりの観点から和歌山工業高校、これは和歌山県の中でも専門の唯一の県立工業高校であろうと思いますけれども、その実態は極めて劣悪であり、この建てかえが最も必要であろうと強く思うところであります。
 なお、現行の中学校と高等学校の制度に加えて、生徒や保護者が六年間の一貫した教育課程や学習環境のもとで学ぶ機会を選択できるようになった中高一貫教育は、平成十一年四月より導入され、設置者が適切に対応できる三つの形態を選択できるものとなっております。この利点は、高等学校入学者選抜の影響を受けず、計画的で継続的な教育指導が展開できるなど大きな利点があるとされておりますが、一方、受験競争の低年齢化や受験準備に偏った教育、また心身発達の差の大きい生徒に対する対応など留意すべき点が数々あり、適切な対応が迫られております。見方を変えるとエリート集団の形成につながるものと危惧しており、これも導入については十分検討の上、目的に反しない制度や形態を考えていただきたいと思います。
 平成十四年四月現在、設置校は全国で七十三件となっており、和歌山県においては連携型による公立校二件となっております。これまで実施されてきた実施校の成果と課題、今後の設置計画など、十分な検討を加えたものとしていただきたいと思います。
 なお、和歌山市内と紀南地域だけの実施であり、紀北地域、特に那賀郡地域は人口増加に伴う生徒数が急増しており、この現状を見るとき、中高一貫教育の観点から、過密、マンモス校の解消と新しい教育システムの導入として新設の県立高校、中学校を建設することも視野に入れたものとなることを望むものであります。特にマンモス高校の那賀高校を初め那賀郡には三校の公立高校があるわけでありますが、那賀高校においては、理科の実験室を普通科の教室に充て、小学生の机で高校生が授業を受けているというのが実態であります。また、那賀郡には工業科、商業科という専門科が一つもない実態であります。普通科の学区制の自由化に対する認識と、中高一貫教育の中での那賀郡を初めとした各地域の特色ある学校の新設についてお伺いをいたすものであります。
 さらに、教育は学校のみで行われるものではなく、スポーツを通じ青少年の育成を考える必要もあります。県下においても、あらゆる取り組みが常に行われております。少年野球を例に挙げますと、例えば那賀郡各町では多数のチームが活動しており、他府県との試合など、年間を通じ多くの試合が行われております。しかし、練習場所や試合場所が河川敷を利用してのものであり、各町の運動場も設置されておりますが、他のスポーツとの場所の取り合いになっておることを考えますと、少なくとも郡単位の広域的なスポーツ公園の設置が急務であります。先ごろ打田町に多目的運動公園の建設が予定されていると聞き及んでおりますが、これを県立の国際競技もできるスポーツ公園としていただき、社会教育の拠点としてはどうかと思うところであります。社会教育、スポーツ振興の中での県立競技場の設置についてお伺いをいたすところであります。
 最後に、同和問題と人権問題についてであります。
 知事の部落問題を初めとする人権問題に積極的に取り組んでいる姿勢に心から敬意を表するものでありますが、二月議会で県当局並びに県議会の人権に対する深い見識と積極的な方向によって和歌山県人権尊重の社会づくり条例が成立し、和歌山県もいよいよ人権立県として本格的な取り組みをされていることと思いますが、このこととかかわって幾つかの質問をさせていただきます。
 まず、同和行政についてであります。
 このことについては、この場で何回となく質問をし、知事からも積極的な所見を伺い、関係部長からも具体的な答弁をいただきました。私自身の考えと共通する認識を得ておられることと確信をするものであります。つまり、同和行政は同和問題を解決するために実施する行政であり、特別措置法の失効をもって終了や放棄されるものではない、今後とも、差別が現存する限り問題解決のために積極的に取り組むことが行政の責務であるということであります。また、このことを踏まえ、四月当初より人権室の設置あるいは人権啓発センターの開設が、同和問題を初めとする人権の確立に向けて両輪となって取り組みが進められていると思うわけであります。さきの議会で同僚の長坂議員も質問をいたしましたが、人権室の機能、任務について再確認をいたしたいと思います。
 人権室は、言うまでもなく和歌山県の人権行政のかなめであり、具体的な施策はもちろん、人権全体の基本的な方向、進行管理という任務がありますが、特に部落問題以外の人権問題については、それぞれ障害者、女性、子供等窓口が存在しており、具体的な窓口がないのは同和問題だけであるということを十分踏まえることが重要であります。このことについては、企画部あるいは人権室は、「同和問題が中心的課題である。さきの同和室の任務を引き継いでいる」というふうに言われており、前年度においても県方針として、一般施策に工夫して引き続き同和行政を進めるということが明らかにされているわけであります。ところが、四月になった途端に極めて消極的になっているという印象を私は強く受けておるわけであります。例えば、このことと深くかかわりを持つ和歌山県同和行政総合推進プランというプランがあるわけでありますが、三月末で大詰めに来てもうできると、このように聞いておったわけでありますけれども、どうなってしまったのか、どこまで進んでいるのか、いつ出されるか全くわからない、そういう実態であります。また、一般対策に工夫して、引き続いて同和行政を進めるということの具体的な内容が示されておらないわけであります。さらに、打田町を初めとする各町で差別事件の多くが存在をしておるわけでありますが、差別事件の処理が遅々として進んでおらないのではないか。
 これまで県の重点施策として同和行政を進めてこられ、さまざまな成果を上げてきたところでありますが、現実は依然として残された課題があります。例えば、同和問題解決の中心的課題として取り組んできた産業就労対策は、極めて厳しい経済状況と相まって、部落産業の壊滅的な状況や大半の共同作業場が休業状態にあるという現実、住宅の建てかえ、補修、道路の維持などの環境改善、また差別事件についても、インターネットやメールを使っての事件を初め後を絶たず発生しているなど、多くの課題が残されております。少なくとも、具体的な課題を持つ各部局においては、それぞれの具体的な課題や事業を通じて積極的な取り組みをされていると認識しておりますが、それぞれの取り組みが目的意識的に進められなければならないということが特に重要であり、それを人権という観点から連携され、統括されなければなりません。そういう意味で、人権室の役割は大なるものがあるわけであります。
 そうしたことから、これまでも総合行政と言われてきた同和行政を進める上で、具体的な方針、方向に基づいて、庁内組織として同和対策協議会、人権同和施策推進委員が設置されているが、現状はどうなっているのか、四月以降十分機能していないというふうに感じられるわけでありますが、現状を踏まえた同和行政の推進についてお伺いをしたいと思います。
 次に、市町村の指導についてであります。
 市町村の状況を見てみますと、多くの市町村において同和行政が見えなくなっておるというのが実態であります。従来と同様の窓口を設置しているところが五十市町村のうち二から三の市町村しかありません。市町村にはそれぞれの事情もあり一概には言えないまでも、総務、住民、福祉などの窓口で対応するということになっておると聞いていますが、それぞれの窓口に来て初めて担当しているということがわかるというふうな状態で、住民からは全くわからないというふうになっております。課題が全くないのかというと、先ほども言ったようなさまざまな課題があるわけでありまして、このことについて人権室からの行政指導や文書をもって県の方針徹底を図っていると聞いておりますが、なかなか改善されていないわけであります。このことは、同和問題の解決にとって市町村の具体的な取り組みによるところが大部分であり、極めて重大な問題であろうと思うところであります。こうしたことを踏まえ、抽象的な市町村指導ではなく、具体的な課題解決のための手法、支援も含めて指導が必要ではないかと考えます。市町村への県の指導についてお尋ねをいたします。
 同和問題については以上の二点を質問をさせていただいたわけでありますが、次に人権全体の問題について改めてお伺いをさせていただきます。
 これまでの議会のやりとりやさまざまな場面での行政や話を通じて、木村知事の同和行政にかける積極的な姿勢に対し敬服するものであり、基本的な方針に敬意を表するものであります。しかし、具体的な場面になると、知事のそうした積極的な姿勢が消えてしまっているというか、あるいはそうした現実の実態が知事に伝わっていないのか、極めて腑に落ちないところがあるわけであります。これまでのように法があり、特別対策があった時代ではなく、課題はあるが法も特別対策もない、それこそさまざまな創意と工夫をして課題解決に当たらなければならない状況にあります。それだけに、今まで以上に現状認識や課題意識、具体的方針に基づく積極的な取り組みが要請されております。このことは、単に同和行政だけではなく、人権行政全般にかかわる取り組みも同様のことであります。ぜひとも、知事のご所見と決意をお伺いしたいと思います。
 次に、さきに制定された和歌山県人権尊重の社会づくり条例の具体化でありますが、内容については過日発足した審議会の議論をまたなくてはなりませんが、県自身の主体的な方向や審議会での具体的な議論、検討の状況についてお伺いをいたします。
 最後に、住民基本台帳ネットワークについて、人権の視点で若干お伺いをいたします。
 いわゆる住基ネットの導入についてはさまざまな意見を醸し出しているところでありますが、特にこの問題は人権に直結する問題としてとらえることが大切であろうと思います。氏名や性別、生年月日、住所の四項目の個人情報がネットワークを使って統一的に管理されますが、やはりセキュリティーへの不安が解消されず、絶対的な条件とされていた個人情報保護法も成立されないままの見切り発車であります。言うまでもなく、私たちの情報はだれのものでもなく、私たち自身のものであります。現実的にダイレクトメールや名簿屋が存在していることや、牛は十けたであるそうですが、牛より多い十一けたの数字で管理することに私は不信と不満を感じるところであります。さらには、利便性が強調されておりますが、利便性と人権を引きかえにはできないと思うところであります。住民基本台帳ネットワークにかかわっての県の見解と個人情報保護についての対策をお伺いいたします。
 最後に、木村知事就任直前から続き、約八百件もの差別的な書き込みがあった電子掲示板の問題、また我が打田町に差別メールを送られてきた事件、毎日のように行われているインターネットを使用しての差別的な書き込みは後を絶たず発生しております。こうした状況を十分踏まえ考えたとき、行政や私たちの責任を痛感するところであり、今後さらに積極的な取り組みを期待申し上げ、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの飯田議員のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、低迷する経済の状況と公共事業のあり方についてのご質問でございます。
 ご質問のように、県の経済情勢は非常に厳しい状況にあります。そういうふうな中で公共事業、いろいろなところで問題になりますけれども、どういうふうな方向で持っていくかということについては、私も日ごろから腐心しているところでございます。そして、今これだけ景気が悪くなって、雇用が大変な問題になっているときに、やはり県としては公共事業が基盤整備であるとともに、大変な雇用吸収効果を持っているということに着目して対策を考えていくべきであると。しかしながらまた、一方で従来型の公共事業のあり方では、やはりこの時代の変化には対応できないだろうということで、一つには、公共事業について透明性を高めていくということ、それからもう一つは、ご質問にもありましたように本当に必要なところに重点化して公共事業を行っていくということ、またその事業者についてもできるだけ地元の事業者の繁栄につながるような形での発注の仕方、そういうふうなものを考えていくということ、それからまた単に公共事業というふうなとらえ方だけじゃなくて、例えば公共事業の中で県産材を活用する、これも新しい方式で活用していくというような少し違った形での公共事業のあり方を考えていく、こういうふうな四つ、五つの基準を設けまして、昨年来、公共事業のあり方について検討を進めているところでございますけれども、今後ともこういうふうなやり方をどんどん進めていきまして、トータルで県経済の振興になる公共事業という形で進めていきたい、このように思っております。
 次に、紀泉百万都市構想についてのご質問でございます。
 私は、この紀泉百万都市構想には大賛成でございまして、ただいま質問の中にありました和泉山脈をなくすような地域づくりを考えるということを私も考えております。たびたび私も風吹峠を自分で車を運転して通りますけれども、非常にこの地域は近い。しかしながら、山があるので何か非常に遠いような感じがしますけれども、運転していると簡単に行けるようなところがあります。ただ、大阪側を中心にまだ府県間道路が整備されていないということもありますし、それから京奈和自動車道については、橋本道路にことしは百億円を超えるお金が投入される形になっておりますけれども、まだまだこれからという状況にあります。
 この紀泉百万都市構想に考えておられる和歌山の地域については、いずれ和歌山県の中心的な地域になってくるというふうな考え方を持っておりますので、そういうふうな方向で地域に反映するよういろいろ考えていきたい。例えば農業につきましても、めっけもん広場の話が出ておりましたけれども、やはり非常にここは位置的優位性というものがあるわけでございまして、そういうふうなものを高めるような形での紀泉百万都市構想というものを、いろんな形でアプローチしていきたいと思います。
 そういうふうな中で、和歌山市が大きな役割を果たすことは間違いありません。今まで、この紀泉百万都市構想というのは那賀郡を中心に考えているようなところがあって、和歌山市は等閑視されてきたような感じもあったんですけれども、これからは和歌山市もこの紀泉百万都市構想の中に大きく取り込んで、地域の一体的な発展を考えていくという方向で臨んでいきたいというふうに思っております。
 それから三番目の、農林水産業についての考えです。
 私は、和歌山県の発展、この農林水産業の生産高というのは、はっきり言って割合を減らしてきているんですけれども、和歌山県がこれから発展していくためには、やはり和歌山の農林水産業であるとか地場産業であるとか、今あるものを高めていくという形以外には発展の仕方はないというふうな考え方に立っております。
 私は就任以来、成果が出ているかどうかまだわかりませんけれども、農林水産業に非常に力を入れているところでございます。一つには、例えば、繰り返しになりますけれども、紀の川地域の地理的な優位性を活用した地産地消的な活動を振興していく、そしてまた観光と結びつけたような形での農林水産業を振興していく、そしてあわせて当然のことながら本来的な農業振興ということを三つの柱にしてやっているわけでございます。特に最近は、農林水産物について安全性という観点が非常に高く評価される時代になってきております。必ずしも価格だけではない、体にいいとか安全であるということがありますので、これからの和歌山の農業はそういうところをセールスポイントにして売っていかないといかんというふうなことを強く感じているところでございます。
 そして、緑の雇用との関係でございますけれども、緑の雇用につきましては昨年六カ月の短期雇用というふうなことでスタートしたわけでございますけれども、ことしの概算要求で林野庁が九十五億円、三年間ぐらい雇えるというふうな方向での予算要求という形を行っております。総理大臣もこれについては非常に関心を示していただいているということで、この事業をどんどん進めていきたいんですけれども、ただ単に中山間での雇用を高めるということだけでは無理があるので、もちろん環境面から森林を大事にするということは大変なことだということを訴えつつ、あわせて森林からの生産物を活用するような方向を考えていかないといかんということを今考えております。
 一つには、先ほど言いましたように、公共事業等の中で県産材を使っていくというふうなことがあります。それから、バイオマス発電でありますとか、こういうふうな新しい技術を導入して林産物について新しい需要を見出していく、そしてまたもう一つは、森林等を利用したベンチャー企業というものが何かないかというふうなことについてもアンテナを高くして考えていく。こういうふうなことで、要するに入り口から出口まで考えていくような施策にしていかないと長続きしないという感じでおりますので、またいろいろアイデア等をお教えいただいたらと思います。
 最後に同和問題についてでございますけれども、同和問題につきましては、法律が終わっても、差別がある限りこの問題は大変大事な問題、人権問題のかなえの問題であるというふうな観点で毎日対処しているところでございます。そしてまた、相変わらずインターネットでありますとか、メールでありますとか、こういうふうな見えないところでの卑劣な差別事象が起こっているということも十分存じております。
 そういうふうな中で、和歌山県ではことし人権条例をつくりまして、現在、人権施策推進審議会を設置し、人権施策基本方針の策定に取り組んでいるところでございます。これに人権問題ということの重要性が十分反映されるよう努めてまいりたいと思います。そしてまた、十一月十一日から十二月十日を人権を考える強調月間に指定をし、先般つくりました和歌山県人権啓発センター──これは非常に新しい活動をいろいろ行っておりますけれども──こういうものを中心に、NPOの方々の参加も得ながら、人権というものがいかに大事なものかということを県民に対して引き続き啓発してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 和歌山県の活性化についてのご質問のうち、第三項目めのご質問に順次お答えいたします。
 まず京奈和自動車道につきましては、橋本道路において用地取得率が九二%となっておりまして、現在、本体工事が実施されております。また紀北東道路におきましても、地元との設計協議が進められておりまして、今後、設計協議の調った地区から順次用地買収に着手してまいります。紀北西道路におきましては、早急に現地の測量調査に着手をしまして、西からも事業展開をするよう国に働きかけているところであります。今後とも、より効果的、効率的に整備が図られるよう国に強く働きかけてまいります。
 次に府県間道路の泉佐野岩出線につきましては、大阪府側では金熊寺バイパスが今年度供用される予定であります。引き続き、府県境までの事業促進を大阪府に強く働きかけてまいります。和歌山県側では、トンネル前後の区間の整備を促進しているところでございます。泉佐野打田線につきましては、大阪府側では府県境部の用地買収と犬鳴地内の地元調整が依然難航している状況でありますけれども、引き続き整備促進を働きかけてまいります。
 次に紀の川中流流域下水道の進展につきましては、処理場建設に伴う地域整備に関する県と那賀郡六町間の合議が調ったところであります。それを受けまして、本年度から岩出町内の幹線管渠工事及び処理場の用地取得、処理場施設の実施設計に着手いたします。今後、那賀郡六町と連携しまして、関係住民の方々の理解と協力を得ながら、早期供用を目指して事業を推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) この際、申し上げます。
 当局は、議員の質問に対して、的確かつ簡潔な答弁を行うようお願いを申し上げます。
 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 和歌山県農林水産業の振興についてのご質問のうち、カゴメ進出に伴う県内農家との共存共栄についてでございますが、県では、野菜の振興計画として、昨年、和歌山の野菜グリーンウエーブ計画を策定いたしまして、新鮮で安全な高品質野菜の安定供給産地づくりを進めてございます。その中で、施設栽培のトマトを成長性のある品目と位置づけまして生産拡大を図ることとしてございます。一方、セーフガードの発動など国際化の進展の中で野菜産地の構造改革が進められており、今回のカゴメの進出は民間活力導入という視点から本県農業の活性化にとって大きなインパクトになると考えてございます。今後検討すべき課題もございますが、栽培方法や経営形態など既存産地での生産と異なることも十分予想されますので、お互いの特性を発揮しながら、共存共栄ができるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 林業に関連したベンチャー企業の育成についてお答えを申し上げます。
 本県の農林水産品のブラッシュアップ、セールスプロモーション活動、さらには物づくり技術を活用した新しいビジネスなど、いわゆるベンチャー企業の育成は、変化の時代にあって極めて重要であると考えております。このため、大学や工業技術センターなどと連携して、事業化に取り組むコンソーシアム研究開発やマーケットリサーチ、ビジネスマッチングなど、事業の構想から事業化に至る各段階に応じたさまざまな支援策を展開しているところであり、今後とも農林水産部局と連携してベンチャー企業の育成に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 四点のご質問についてお答えを申し上げます。
 まず農林水産業の振興に関連して、県有地の弾力的な活用というご質問でございます。
 県が所有する未利用地の活用につきましては、昨年度、未利用土地利活用方策検討委員会から、現下の市場動向等を踏まえて、柔軟に計画変更する必要性を提言されたところでございます。県としては、用途変更、販売価格の再設定、リース方式の新たな導入等、個々のプロジェクトごとにその再生を図り、従来の企業誘致方策はもとより、地域資源の活用や雇用の確保といった視点から土地の利活用を弾力的に検討する必要があると考えてございます。
 次に、同和問題についての二点のご質問でございます。
 まず、同和問題に係る市町村への指導についてでございます。
 同和問題解決のためには、住民と直接接する市町村の役割は大変重要でございまして、すべての市町村において同和問題にかかわる総合窓口の設置をいただいているところでございますが、ご指摘がございましたように、窓口となる課室が住民にとってわかりやすく利用しやすいということが大変重要でございますので、改善を求めているところでございます。県としましては、同和問題が残されている限り、問題解決に向けた取り組みを実施していかなければならないという考えのもと、市町村にあっては、同和問題の重要性を再認識し、それぞれ必要とされる事業に対して主体的に取り組むことが必要であり、そのためのきめ細かい助言や支援が必要と考えております。このため、市町村においては、同和問題に対する適正な現状認識を行い、それぞれの実態と課題に応じた取り組みを実施するよう文書や課室長会議を通じて求めているところでございまして、さらに今年度から新たに市町村が実施する啓発やシンポジウムの開催、リーダーの養成等に対し助成を行っております。今後も、市町村に対するきめ細かい助言や支援も行ってまいります。
 次に、同和行政の推進と具体的な方針及び方向についてお答えを申し上げます。
 まず庁内体制については、同和行政は総合行政であり、その推進については、庁内各部局を有機的に連携するとともに、統括することが重要と考えております。このため、企画部人権室が同和行政の総合窓口となるとともに、庁内各課室及び振興局各部に設置してございます人権同和施策推進委員については、同和問題についての課題の整理や課題に基づく積極的な取り組みについて中心的役割を果たす中で、同和問題を初めとするあらゆる人権問題の解決の視点に立った行政を適切に推進することとしておりまして、その任務を十分遂行するよう引き続き研修会等を実施してまいります。
 また、和歌山県同和対策協議会につきましては、同和問題の解決を図るための県としての方向づけや総合調整の役割を果たしてまいりましたが、あらゆる人権問題の解決へと広がりを持った取り組みができる新たな庁内組織を設置することとしております。その中で、引き続き行政の責務として同和問題の解決に取り組んでまいります。
 平成十年一月に策定しました和歌山県同和行政総合推進プランにつきましては、なお同和問題が解決に至っていないという現状にあって、問題解決のために必要な取り組みについては一般対策において対応することとしたところでございますが、新しい時代に即したプランとするために、現在その改定作業に取り組んでおります。今後、人権施策推進審議会等のご意見をいただきながら早急に改定作業に努めてまいります。
 差別事件の処理につきましては、国において人権救済体制が整備されるまでの間、地方行政が主体的に取り組むという考えのもと、処理体制のあり方を検討するなど、事件の内容に応じた適切な処理を行ってまいります。
 最後に、和歌山県人権尊重の社会づくり条例の具体的な取り組みと現状についてでございます。
 今年二月県議会において、すべての人の人権が尊重され、人権という普遍的な文化として県民に根づいた平和で明るい和歌山県づくりの推進を図るための和歌山県人権尊重の社会づくり条例のご制定をいただいたところでございます。この条例では、人権が尊重される社会づくりのための根幹をなす人権施策基本方針を策定することとなってございまして、その際「あらかじめ和歌山県人権施策推進審議会の意見を聴かなければならない」となってございます。このために、人権に関し学識経験を有する方十五名で構成する和歌山県人権施策推進審議会を設置し、本年八月九日に第一回審議会を開催、九月十一日に第二回審議会を開催したところでございます。今後も、月に一度の開催を重ね、議論を深めてまいります。審議会においては、基本方針の内容となる人権尊重の社会づくりの基本理念を初め、人権意識の高揚を図るための施策や人権に関する相談支援体制の整備、あるいは人権問題における分野ごとの施策等の事項について、さまざまな角度からご議論をいただいているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 住民基本台帳ネットワークの認識と個人情報保護の関係についてお答えを申し上げます。
 住民基本台帳ネットワークシステムにつきましては、住民サービスの向上や行政事務の効率化を目的にその整備、運営が図られておりますが、行政手続のオンライン化の推進など、今後の電子政府、電子自治体の実現におきましても不可欠な情報基盤になるものと考えております。しかしながら、このシステムにつきましては、情報の漏えい防止や個人情報保護が最大限保障される必要がありまして、セキュリティー確保は極めて重要だと認識しております。
 当システムは、専用回線を利用した閉じられたネットワークとされているほか、住民基本台帳法におきまして利用事務を限定するとともに、目的外利用の禁止や関係職員の守秘義務違反に対する通常より重い罰則規定など、個人情報保護法案と同等あるいはそれ以上の個人情報保護措置が講じられております。さらに、これらの制度面、技術面での対策に加えまして、運用面におきましても、全地方公共団体におきましてセキュリティー体制の確立や緊急時対応マニュアルの作成などの対策を講じてきております。
 県といたしましても、個人情報保護は最優先事項との考えのもと、万全のセキュリティー対策を講じつつ、県内市町村とも密接な連携をとりながら、ネットワークシステムの適正な運営に努めてまいりますとともに、先日も個人情報保護法制の早期整備について全国知事会等で緊急決議をいたしておりますが、引き続きその早期整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、三点についてお答えいたします。
 まず学校週五日制は、自然体験や社会体験の機会をふやすことにより、子供たちに社会性や豊かな心などをはぐくむことをねらいとしており、本年四月から完全実施されております。そうした趣旨の実現を目指し、土、日曜日の学校や社会教育施設等の開放、スポーツ・文化教室の開催など、各市町村ではさまざまな事業が展開されているところであります。しかしながら、テレビを見たり、特に何もせずに家庭で過ごす子供も少なくない実態があることも事実であり、学校外での活動の機会を一層充実させる必要があると考えております。
 一方、学力に対する関心も高まっておりますので、本県では小学校十校、中学校五校を拠点校に指定して学力向上フロンティア事業を実施し、基礎学力を定着させるとともに、実験や観察、調査を重視した問題解決的な学習を通して、みずから考える力、表現する力の育成に取り組み、その成果を県全体に広めることとしております。また、地域ぐるみで教育を推進する機運を盛り上げるため、八地方で地域教育力活性化セミナーを開催するとともに、十一月十日からの一週間を中心にして全県で学校開放週間を設け、すべての公立学校が授業や学校行事を県民に公開することにしております。
 次に、学区制と学校の新設についてお答えいたします。
 学区制については、平成十五年度の入学者選抜からこれを撤廃することにいたしました。これにより、生徒の学校選択の幅が広がるとともに、高校教育の個性化、多様化が一層進むものと考えております。
 中高一貫教育については、現在実施している連携型一貫教育校において中高教員の相互交流を行い、六年間を見通した指導内容や方法についての研究を重ねるとともに、中高生合同のフィールドワークや生徒会活動での交流など特色ある多様な教育活動が展開されております。今後の中高一貫教育については、こうした取り組みの成果を踏まえるとともに、各方面から広くご意見を伺いながら、併設型一貫教育校の設置計画を那賀地方も視野に入れながら検討してまいります。
 なお県立高校の新設については、中学校卒業生徒数が長期間にわたり減少する傾向にあることから、現時点では計画はありませんが、那賀地方における生徒数の変化や通学区域撤廃に伴う進路状況等を注意深く見守り、総合的に研究してまいりたいと考えております。
 最後に、青少年の健全育成の上でスポーツの果たす役割は極めて大きいものがあり、地域住民のだれもが参加できるスポーツクラブの育成に力を入れているところであります。その活動基盤として、学校施設を含めた既存施設を有効活用するとともに、施設の整備について各市町村に働きかけを行っております。
 なお、広域的に利用できる県立スポーツ施設の整備については、長期的な観点から関係部局等と連携を図り検討してまいります。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番飯田敬文君。
○飯田敬文君 ありがとうございました。
 時間がありませんので、一点だけ要望したいと思います。
 今、特に県民の生活、経済はデフレ経済だということで、県民も含めて日本の経済は沈没するんでないかというおそれがある、やればやるほど経済は悪くなるという悪循環に陥っていると思うところでございます。その根本の原因は、やっぱり消費拡大、需要をどうするかということの一点に絞ってこれを解決しなければ突破できないというふうに思うわけであります。そういう意味では、デフレという構造改革はやらなければいけないと思いますけれども、構造改革をやることによって経済を破滅に導くということにもなりかねないという現状だと思うわけであります。今は、総力を挙げて必要な公共事業を、消費を拡大して公が民を引っ張っていくという形で公共事業の積極的な展開をしていただきたいと思います。地方の立場、県民の立場、弱者の立場からその政策展開を、やっぱり全国的なうねりをせないかんと思いますので、ほかの知事とも連携をとりながら、経済復興、景気回復を、ひとつ地方の立場から全力で取り上げていただくように強く要望いたしまして、質問にかえます。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。

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