平成14年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十四年九月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十四年九月十九日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
   第四 請願付託の件
 会議に付した事件
   一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 請願付託の件
   五 休会決定の件
出席議員(四十四人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     五  番       堀   本   隆   男
 〔備考〕
     二十三番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         内   田   安   生
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       阪   口   裕   之
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      高   綱   直   良
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに知事専決処分報告報第八号、報第九号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十四番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 皆さん、おはようございます。
 三日目の一般質問最終日ということでございます。過日の論戦と少し重なる向きもありますけれども、視点の違う方向から質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。当局の簡単明瞭かつ積極的な答弁を期待して、質問を始めます。
 二十一世紀は地方の時代であります。国は、みずからの失政を後回しにし、地方において必要な公共事業を断ち切ろうとしております。第一に、道路特定財源の使途弾力化から始まった地方道路整備への緊縮、第二に、公共事業の見直しによる国全体から見た過疎地の非効率な事業が都市整備に向けられ、地方を犠牲としているところであります。また、国の行財政改革のツケを、地方に交付される地方交付金の支出を削減するため、市町村合併を見方によっては強引に推し進めようとしております。ただ、現実を見詰めたとき、少子高齢化、人口減少などの社会変動を目前にしたとき、合併はやむなきことではありますが、国主導の合併ではなく地域が主体となった合併協議を行う上で十分な時間と議論を展開しなければなりません。
 最近、那賀郡、有田郡、西牟婁郡の合併状況の現状を見たときに、さまざまな問題が浮き彫りにされておるところであります。総論賛成、各論反対、このように今地方でいろんな論議がされておるところであります。私は、この合併論議は、どういう都市を、どういう町を、二十一世紀に耐え得るどういう市をつくるのかという観点から市町村合併を展開しなければならないと、こういうふうに強く思うところであります。市長さん、町長さんのいろんな意見を聞きましたら、平成十七年三月の合併期限は極めて困難であり、私はこれを少なくとも一時延長し、真に地域住民が合意のもとに、五十年の大計に誤りのないように合意のもとに行う必要があると思うわけであります。
 地方自治をめぐる環境は、ここ数年のうちに大きく変わることが予想され、国・中央主導から脱却し、自治体サイド、特に知事主導による制度開発や運営改善などにより進めていくのが地方自治、地方分権の将来を決めることとなります。一方、量の充足を追求してきた生活者の意識が、豊かさを背景に質的な充実を求めるようになり、町づくりの主眼も潤いや景観、安全などのソフトな価値に置かれるようになってきております。また、人々の関心がよりよい地域、良好な環境のもとでの生活の実現に向かうにつれ、当然ではありますが、自治体行政のあり方にも鋭い視線を向けており、行政の公正さや透明性をさらに確保するとともに、施策や事業の評価によって行政の有効性を高めることとなっております。
 このような現実の中、私たち議会もその認識を自覚し、景気や財政状況などが非常に悪い中においても、ふるさと和歌山に活力ある施策を展開しなければなりません。いわゆる公共事業にも、必要な公共事業とむだな公共事業があるわけであります。将来にわたって有益な公共事業、例えば生活、環境、福祉関連の事業を展開するとともに、今最も必要な公共事業などは重点的な財政配分を行うことが景気浮揚や県の活性化に乗りおくれることなくつながるものであります。
 今、日本経済はデフレ経済を脱却できることなく、今や沈み行く日本とまで言われております。今最も必要なのは消費の拡大であり、需要の創出であろうと思います。民が極めて厳しい状況に置かれるとき、官が民を刺激し、官が主導していく民需消費の拡大、これが今行われることが大切だと思うわけであります。そういう意味でも私は、必要な公共事業を地方が胸を張って展開することが景気回復の一助となる、また根本となることを強く訴えるものであります。
 私は、そういう意味で県議会登壇以来、一貫して紀北地方の発展こそ和歌山県勢の浮上につながるものと訴え続けてまいりました。過去、私たちは経済の復興と生活の安定を求め、ひたすら走り続けてまいりました。その結果、大きく地域の発展が図られ、県民の生活は豊かになってまいりましたが、さまざまなひずみがあらわれ、出口の見えない不況、社会不安、教育の荒廃、自然破壊などの問題が噴き出しておるわけであります。この危機的な状況を打破するには、自然と共生し、人間本来のあり方を見詰め直すとともに、まじめに働く人々が幸せになれるような世の中の仕組み、新しい価値観に基づいた和歌山県の創造が求められております。
 私は、その中心事業として紀泉百万都市構想を提唱してきたわけであります。木村知事初当選時、私の質問に答えて、低迷する我が県の現状を認識され、我が県一県では到底活気あふれる地域づくりに限界があると指摘され、大阪府や近畿各県との協力体制のもと、我が県の浮揚に全力を挙げる旨ご発言があり、その考え方に共感したことを今思い出しております。私の公約の中の「取り払おう和泉山脈」は、知事のご発言に即した府県間の垣根を越え、関西復権に向けた施策を展開する上で重要な柱と思うわけであります。紀泉百万都市構想の中での京奈和自動車道路の早期建設と府県間道路の早期完成は、ただ道路の建設だけにとどまらず、この完成により知事説明にもある景気浮揚につながる企業誘致や農業振興、雇用対策への大きな課題であることは言うまでもありません。極めて厳しい県経済の現状認識と公共事業のあり方について、知事にお伺いをいたします。
 なお、紀泉百万都市構想の実現に欠かせない和歌山市の活性化については、大橋新市長の誕生により大きく進められることとなるかと思いますけれども、和歌山県として県都和歌山市の関係をどのように構築していくのか、県全体の浮沈にかかわることから積極的な取り組みを期待するところであります。
 紀泉百万都市構想の実現に向けた県都和歌山市との連携と京奈和自動車道路及び府県間道路の進捗状況、具体的な計画及び紀の川流域下水道の進展についてお伺いをいたします。
 次に、農林水産業の振興についてであります。
 我が県の基幹産業である農林水産業の育成は、前段にも申し上げた人々のライフスタイルの変化に伴って新しい視点や発想の展開が可能であります。平成十二年度「食料・農業・農村白書」の中で、二十一世紀初頭の日本の食料と農業が抱える問題を「食と農の距離拡大」と表現しております。日本農業の二十一世紀の幕あけは、ネギ、生シイタケ、畳表の中国からの輸入激増によって引き起こされた国内農業への打撃を緩和する一般セーフガード暫定措置の実施で始まりました。日本政府はWTO農業交渉提案で、より機動的な新型セーフガード創設を提起し、これに対抗した形となっております。日本の食が外国農業への依存を強める食糧自給率の低下は、食と農業の距離拡大の最たるものであります。ヨーロッパでは、イギリスを中心とした牛海綿体脳症、いわゆるBSE等の発生、伝播によって牛肉消費が激減し、肉類や飼料等の過度の貿易依存がはらむ危険性への反省が強まっております。日本でも、こうした食と農業の距離拡大に対する歯どめとして地産地消、いわゆる地域の食は地域で賄うというスタイルや食の文化を尊重するスローフード運動、食品廃棄物再利用、食品表示徹底など新たな動きがあり、基本計画に基づく食糧自給率向上に向けての一歩が踏み出されましたが、昨年九月、BSEの発生により日本の食が危険と隣り合わせであることが判明をいたしました。また、食肉及び食料を扱う企業の不正行為は食品全般に対する安全認識を根底から覆したわけであります。企業側の姿勢の問題だけではなく、これを監督する行政にも不信を募らせ、一方、まじめに取り組んでいる企業者までにも大きな影響が出ており、景気の低迷をさらに深刻化させているところであります。
 昨年九月、本年二月と本議会において質問し、ご答弁をいただいた農林水産業関連の中で再三にわたって訴えてきておりますところの農林水産業の育成は、自然環境や安全と高齢化する農業に若者を呼び戻す夢のある新しい発想のもと整備し、財政の伴った対策を講じなければなりません。
 昨年九月議会において農林水産業問題についてご質問させていただいた内容は、生産の効率化を追い続けた結果、地球環境の悪化や長引く不況による販売競争による農家所得の低下が鮮明になったものであり、農業が夢のないものとなっているため、現在、後継者不足や都市開発優先による宅地化が進んで作付面積の減少を呼んでおります。しかしながら、現状では魅力のない夢の持てない農業であっても、懸命にこれを営んでいる農家も多くあることは事実であります。その方たちのお話を聞いておりますと、いろいろな事情があるにせよ、消費者の皆さんに安全で新鮮な農作物を提供する、この一念で取り組み、この心意気こそ農業の原点であります。言葉は適当でないかもしれませんが、農業は農民の誇りだと断言する姿を見たとき、私たち県政に携わる者として見過ごしにはできないものと感じました。くしくも今、世の中は健康ブームや安全について多方面にわたり議論がなされております。農業が持つ多方面の役割や機能を生かす施策が必要であり、基幹産業の農業の振興はマネー経済から実需経済への転換であり、経済復興の基本であります。例えば、農地の遊休地を利用した観光農業や産直、健康農業を目指す貸し農園制度などがあります。打田町では、産直のファーマーズマーケットめっけもん広場が人気を呼んでおるところでありますが、食の安全や環境、観光農業として和歌山県全体に普及させてはどうかと思うわけであります。
 また、知事は緑の雇用事業の展開に力を注がれ、森林公園の設置や雇用に効果を得ており、一定の評価をしておりますが、前回の質問にもありました具体的、長期的展望が開かれていないように感じるわけであります。農林水産業振興と緑の雇用事業の展開について、知事の答弁を求めたいと思います。
 同時に、長引く不況により企業誘致が進まない現状を見るとき、県内においての企業の立ち上げが大事であると考えております。例えば、物の再利用が叫ばれておる折、廃材や灌木を利用しての和歌山県産の炭を生産する企業を立ち上げ、今、現に打田町神通というところで研究され企業化されようとしていることから、こうした企業に対し工業試験場や大学などの研究機関と連携させ、情報を提供した農林水産業の二次加工業であるベンチャー企業の育成に取り組んではどうかと思うところであります。
 さらに今般、コスモパーク加太においてトマトの生産を伴った二次加工会社が進出することとなったと聞いておりますが、県有地の活用という面においては画期的な計画であろうと評価するものであります。しかし、これを和歌山県農業の振興と結びつけ、安心と安全の和歌山ブランドとして売り出すためには、県内トマト生産農家との共存共栄を図る必要があります。聞くところによれば、今度のカゴメの生産量は約六千トンであり、県内農家の生産量が約八千トンということで、対等ぐらいであります。とすれば、既存の生産農家の価格を圧迫することは目に見えており、この価格を圧迫することなく、すみ分けをし、トマト生産農業の振興をあわせて求めるものであります。また、県内各地には県所有の工業団地など遊休地が多く存在しておるわけであります。農林水産業こそ和歌山県のセールスポイントであります。「安心と安全」をキーワードとした二次加工品を含めて、その弾力的な活用を求めるものであります。
 林業振興にかかわるベンチャー企業の育成とこれにかかわる県の体制及び県所有地の弾力的な活用について、またカゴメ進出に伴う県内トマト農家との共存共栄について答弁を求めます。
 次に、教育問題について質問をいたします。
 現在、国民生活は荒廃をしております。世界的な窒素酸化物汚染、廃棄物の不法投棄、農薬害など、地球環境は破壊への一途をたどっていると言われております。それにも増して今日、青少年による凶悪犯罪が新聞紙上に載らない日がないくらい、環境問題と並び、人間性や心の破壊が進んでいるように思われてなりません。青少年犯罪の中に見る現在の青少年は、過去日本がとり続けた大量生産、大量消費の時代に生き、育ってまいりました。この消費社会は、青少年の欲望を奔放にさせ、みずからその欲望を抑えたり断念することを教えられないまま来たのであります。さらに、現代社会の特徴である情報化社会は、テレビに代表される情報機器のはんらんの中で人とのかかわりをなくし、対人関係が希薄にならざるを得ない環境を生み出しております。情報化社会は、豊富な情報を提供するかわりに、さまざまな負の現象をもたらしております。だれもが望む未来の姿は、人間と人間が交流でき、仲間が集い合える温かい社会であることは言うまでもないことであります。
 政府は、二十一世紀を迎え、教育改革を進めており、規制緩和、地方分権、情報公開、アカウンタビリティーの向上という時代の流れと軌を一にしております。その一つに、本年四月より実施されている学校週五日制があります。その理念は「ゆとりある教育の実現」ということでありますが、実態はそれにほど遠いものとなっており、六日制の私立学校との学力格差や学校での行事や授業へのしわ寄せなどにより、休日の過ごし方をめぐって塾通いが増加している現状は、必ずしも学校週五日制が教育に生かされていないことを物語っております。現実に、土曜、日曜は私学が授業をしているわけでありまして、この私学との学力格差を心配し、塾へ通う子供が急増しております。また、皮肉にも週五日制の導入が、これまで厳しい経営であった塾を忙しくしておるという現実があるわけであります。塾が忙しくなる、こういうふうな現実があります。また、教師もそのしわ寄せを受け、労働条件の悪化で苦しんでおるところであります。学校週五日制の現状と認識を教育委員会にお伺いするところであります。
 さて、通学区分の弾力化、いわゆる高校普通科の学区制の自由化促進は、地理的理由や身体的理由に加え、頻発するいじめに対応したものとなっておりますが、一面、競争原理が働き、学校間の序列化や選択の名のもとに社会的差別が学校に持ち込まれる危惧があることから、慎重に検討する余地があろうと思います。現在、前段でも申しました青少年の荒廃を正常化し、青少年を差別化することなく均等な教育を受けられることを目指し、また長引く不況により新卒学生の就職が困難をきわめており、以前より質問させていただいていますところの工業系の特色ある学校建設を推進させることこそが大事であろうと思うわけであります。特に私は、工業系の物づくりの観点から和歌山工業高校、これは和歌山県の中でも専門の唯一の県立工業高校であろうと思いますけれども、その実態は極めて劣悪であり、この建てかえが最も必要であろうと強く思うところであります。
 なお、現行の中学校と高等学校の制度に加えて、生徒や保護者が六年間の一貫した教育課程や学習環境のもとで学ぶ機会を選択できるようになった中高一貫教育は、平成十一年四月より導入され、設置者が適切に対応できる三つの形態を選択できるものとなっております。この利点は、高等学校入学者選抜の影響を受けず、計画的で継続的な教育指導が展開できるなど大きな利点があるとされておりますが、一方、受験競争の低年齢化や受験準備に偏った教育、また心身発達の差の大きい生徒に対する対応など留意すべき点が数々あり、適切な対応が迫られております。見方を変えるとエリート集団の形成につながるものと危惧しており、これも導入については十分検討の上、目的に反しない制度や形態を考えていただきたいと思います。
 平成十四年四月現在、設置校は全国で七十三件となっており、和歌山県においては連携型による公立校二件となっております。これまで実施されてきた実施校の成果と課題、今後の設置計画など、十分な検討を加えたものとしていただきたいと思います。
 なお、和歌山市内と紀南地域だけの実施であり、紀北地域、特に那賀郡地域は人口増加に伴う生徒数が急増しており、この現状を見るとき、中高一貫教育の観点から、過密、マンモス校の解消と新しい教育システムの導入として新設の県立高校、中学校を建設することも視野に入れたものとなることを望むものであります。特にマンモス高校の那賀高校を初め那賀郡には三校の公立高校があるわけでありますが、那賀高校においては、理科の実験室を普通科の教室に充て、小学生の机で高校生が授業を受けているというのが実態であります。また、那賀郡には工業科、商業科という専門科が一つもない実態であります。普通科の学区制の自由化に対する認識と、中高一貫教育の中での那賀郡を初めとした各地域の特色ある学校の新設についてお伺いをいたすものであります。
 さらに、教育は学校のみで行われるものではなく、スポーツを通じ青少年の育成を考える必要もあります。県下においても、あらゆる取り組みが常に行われております。少年野球を例に挙げますと、例えば那賀郡各町では多数のチームが活動しており、他府県との試合など、年間を通じ多くの試合が行われております。しかし、練習場所や試合場所が河川敷を利用してのものであり、各町の運動場も設置されておりますが、他のスポーツとの場所の取り合いになっておることを考えますと、少なくとも郡単位の広域的なスポーツ公園の設置が急務であります。先ごろ打田町に多目的運動公園の建設が予定されていると聞き及んでおりますが、これを県立の国際競技もできるスポーツ公園としていただき、社会教育の拠点としてはどうかと思うところであります。社会教育、スポーツ振興の中での県立競技場の設置についてお伺いをいたすところであります。
 最後に、同和問題と人権問題についてであります。
 知事の部落問題を初めとする人権問題に積極的に取り組んでいる姿勢に心から敬意を表するものでありますが、二月議会で県当局並びに県議会の人権に対する深い見識と積極的な方向によって和歌山県人権尊重の社会づくり条例が成立し、和歌山県もいよいよ人権立県として本格的な取り組みをされていることと思いますが、このこととかかわって幾つかの質問をさせていただきます。
 まず、同和行政についてであります。
 このことについては、この場で何回となく質問をし、知事からも積極的な所見を伺い、関係部長からも具体的な答弁をいただきました。私自身の考えと共通する認識を得ておられることと確信をするものであります。つまり、同和行政は同和問題を解決するために実施する行政であり、特別措置法の失効をもって終了や放棄されるものではない、今後とも、差別が現存する限り問題解決のために積極的に取り組むことが行政の責務であるということであります。また、このことを踏まえ、四月当初より人権室の設置あるいは人権啓発センターの開設が、同和問題を初めとする人権の確立に向けて両輪となって取り組みが進められていると思うわけであります。さきの議会で同僚の長坂議員も質問をいたしましたが、人権室の機能、任務について再確認をいたしたいと思います。
 人権室は、言うまでもなく和歌山県の人権行政のかなめであり、具体的な施策はもちろん、人権全体の基本的な方向、進行管理という任務がありますが、特に部落問題以外の人権問題については、それぞれ障害者、女性、子供等窓口が存在しており、具体的な窓口がないのは同和問題だけであるということを十分踏まえることが重要であります。このことについては、企画部あるいは人権室は、「同和問題が中心的課題である。さきの同和室の任務を引き継いでいる」というふうに言われており、前年度においても県方針として、一般施策に工夫して引き続き同和行政を進めるということが明らかにされているわけであります。ところが、四月になった途端に極めて消極的になっているという印象を私は強く受けておるわけであります。例えば、このことと深くかかわりを持つ和歌山県同和行政総合推進プランというプランがあるわけでありますが、三月末で大詰めに来てもうできると、このように聞いておったわけでありますけれども、どうなってしまったのか、どこまで進んでいるのか、いつ出されるか全くわからない、そういう実態であります。また、一般対策に工夫して、引き続いて同和行政を進めるということの具体的な内容が示されておらないわけであります。さらに、打田町を初めとする各町で差別事件の多くが存在をしておるわけでありますが、差別事件の処理が遅々として進んでおらないのではないか。
 これまで県の重点施策として同和行政を進めてこられ、さまざまな成果を上げてきたところでありますが、現実は依然として残された課題があります。例えば、同和問題解決の中心的課題として取り組んできた産業就労対策は、極めて厳しい経済状況と相まって、部落産業の壊滅的な状況や大半の共同作業場が休業状態にあるという現実、住宅の建てかえ、補修、道路の維持などの環境改善、また差別事件についても、インターネットやメールを使っての事件を初め後を絶たず発生しているなど、多くの課題が残されております。少なくとも、具体的な課題を持つ各部局においては、それぞれの具体的な課題や事業を通じて積極的な取り組みをされていると認識しておりますが、それぞれの取り組みが目的意識的に進められなければならないということが特に重要であり、それを人権という観点から連携され、統括されなければなりません。そういう意味で、人権室の役割は大なるものがあるわけであります。
 そうしたことから、これまでも総合行政と言われてきた同和行政を進める上で、具体的な方針、方向に基づいて、庁内組織として同和対策協議会、人権同和施策推進委員が設置されているが、現状はどうなっているのか、四月以降十分機能していないというふうに感じられるわけでありますが、現状を踏まえた同和行政の推進についてお伺いをしたいと思います。
 次に、市町村の指導についてであります。
 市町村の状況を見てみますと、多くの市町村において同和行政が見えなくなっておるというのが実態であります。従来と同様の窓口を設置しているところが五十市町村のうち二から三の市町村しかありません。市町村にはそれぞれの事情もあり一概には言えないまでも、総務、住民、福祉などの窓口で対応するということになっておると聞いていますが、それぞれの窓口に来て初めて担当しているということがわかるというふうな状態で、住民からは全くわからないというふうになっております。課題が全くないのかというと、先ほども言ったようなさまざまな課題があるわけでありまして、このことについて人権室からの行政指導や文書をもって県の方針徹底を図っていると聞いておりますが、なかなか改善されていないわけであります。このことは、同和問題の解決にとって市町村の具体的な取り組みによるところが大部分であり、極めて重大な問題であろうと思うところであります。こうしたことを踏まえ、抽象的な市町村指導ではなく、具体的な課題解決のための手法、支援も含めて指導が必要ではないかと考えます。市町村への県の指導についてお尋ねをいたします。
 同和問題については以上の二点を質問をさせていただいたわけでありますが、次に人権全体の問題について改めてお伺いをさせていただきます。
 これまでの議会のやりとりやさまざまな場面での行政や話を通じて、木村知事の同和行政にかける積極的な姿勢に対し敬服するものであり、基本的な方針に敬意を表するものであります。しかし、具体的な場面になると、知事のそうした積極的な姿勢が消えてしまっているというか、あるいはそうした現実の実態が知事に伝わっていないのか、極めて腑に落ちないところがあるわけであります。これまでのように法があり、特別対策があった時代ではなく、課題はあるが法も特別対策もない、それこそさまざまな創意と工夫をして課題解決に当たらなければならない状況にあります。それだけに、今まで以上に現状認識や課題意識、具体的方針に基づく積極的な取り組みが要請されております。このことは、単に同和行政だけではなく、人権行政全般にかかわる取り組みも同様のことであります。ぜひとも、知事のご所見と決意をお伺いしたいと思います。
 次に、さきに制定された和歌山県人権尊重の社会づくり条例の具体化でありますが、内容については過日発足した審議会の議論をまたなくてはなりませんが、県自身の主体的な方向や審議会での具体的な議論、検討の状況についてお伺いをいたします。
 最後に、住民基本台帳ネットワークについて、人権の視点で若干お伺いをいたします。
 いわゆる住基ネットの導入についてはさまざまな意見を醸し出しているところでありますが、特にこの問題は人権に直結する問題としてとらえることが大切であろうと思います。氏名や性別、生年月日、住所の四項目の個人情報がネットワークを使って統一的に管理されますが、やはりセキュリティーへの不安が解消されず、絶対的な条件とされていた個人情報保護法も成立されないままの見切り発車であります。言うまでもなく、私たちの情報はだれのものでもなく、私たち自身のものであります。現実的にダイレクトメールや名簿屋が存在していることや、牛は十けたであるそうですが、牛より多い十一けたの数字で管理することに私は不信と不満を感じるところであります。さらには、利便性が強調されておりますが、利便性と人権を引きかえにはできないと思うところであります。住民基本台帳ネットワークにかかわっての県の見解と個人情報保護についての対策をお伺いいたします。
 最後に、木村知事就任直前から続き、約八百件もの差別的な書き込みがあった電子掲示板の問題、また我が打田町に差別メールを送られてきた事件、毎日のように行われているインターネットを使用しての差別的な書き込みは後を絶たず発生しております。こうした状況を十分踏まえ考えたとき、行政や私たちの責任を痛感するところであり、今後さらに積極的な取り組みを期待申し上げ、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの飯田議員のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、低迷する経済の状況と公共事業のあり方についてのご質問でございます。
 ご質問のように、県の経済情勢は非常に厳しい状況にあります。そういうふうな中で公共事業、いろいろなところで問題になりますけれども、どういうふうな方向で持っていくかということについては、私も日ごろから腐心しているところでございます。そして、今これだけ景気が悪くなって、雇用が大変な問題になっているときに、やはり県としては公共事業が基盤整備であるとともに、大変な雇用吸収効果を持っているということに着目して対策を考えていくべきであると。しかしながらまた、一方で従来型の公共事業のあり方では、やはりこの時代の変化には対応できないだろうということで、一つには、公共事業について透明性を高めていくということ、それからもう一つは、ご質問にもありましたように本当に必要なところに重点化して公共事業を行っていくということ、またその事業者についてもできるだけ地元の事業者の繁栄につながるような形での発注の仕方、そういうふうなものを考えていくということ、それからまた単に公共事業というふうなとらえ方だけじゃなくて、例えば公共事業の中で県産材を活用する、これも新しい方式で活用していくというような少し違った形での公共事業のあり方を考えていく、こういうふうな四つ、五つの基準を設けまして、昨年来、公共事業のあり方について検討を進めているところでございますけれども、今後ともこういうふうなやり方をどんどん進めていきまして、トータルで県経済の振興になる公共事業という形で進めていきたい、このように思っております。
 次に、紀泉百万都市構想についてのご質問でございます。
 私は、この紀泉百万都市構想には大賛成でございまして、ただいま質問の中にありました和泉山脈をなくすような地域づくりを考えるということを私も考えております。たびたび私も風吹峠を自分で車を運転して通りますけれども、非常にこの地域は近い。しかしながら、山があるので何か非常に遠いような感じがしますけれども、運転していると簡単に行けるようなところがあります。ただ、大阪側を中心にまだ府県間道路が整備されていないということもありますし、それから京奈和自動車道については、橋本道路にことしは百億円を超えるお金が投入される形になっておりますけれども、まだまだこれからという状況にあります。
 この紀泉百万都市構想に考えておられる和歌山の地域については、いずれ和歌山県の中心的な地域になってくるというふうな考え方を持っておりますので、そういうふうな方向で地域に反映するよういろいろ考えていきたい。例えば農業につきましても、めっけもん広場の話が出ておりましたけれども、やはり非常にここは位置的優位性というものがあるわけでございまして、そういうふうなものを高めるような形での紀泉百万都市構想というものを、いろんな形でアプローチしていきたいと思います。
 そういうふうな中で、和歌山市が大きな役割を果たすことは間違いありません。今まで、この紀泉百万都市構想というのは那賀郡を中心に考えているようなところがあって、和歌山市は等閑視されてきたような感じもあったんですけれども、これからは和歌山市もこの紀泉百万都市構想の中に大きく取り込んで、地域の一体的な発展を考えていくという方向で臨んでいきたいというふうに思っております。
 それから三番目の、農林水産業についての考えです。
 私は、和歌山県の発展、この農林水産業の生産高というのは、はっきり言って割合を減らしてきているんですけれども、和歌山県がこれから発展していくためには、やはり和歌山の農林水産業であるとか地場産業であるとか、今あるものを高めていくという形以外には発展の仕方はないというふうな考え方に立っております。
 私は就任以来、成果が出ているかどうかまだわかりませんけれども、農林水産業に非常に力を入れているところでございます。一つには、例えば、繰り返しになりますけれども、紀の川地域の地理的な優位性を活用した地産地消的な活動を振興していく、そしてまた観光と結びつけたような形での農林水産業を振興していく、そしてあわせて当然のことながら本来的な農業振興ということを三つの柱にしてやっているわけでございます。特に最近は、農林水産物について安全性という観点が非常に高く評価される時代になってきております。必ずしも価格だけではない、体にいいとか安全であるということがありますので、これからの和歌山の農業はそういうところをセールスポイントにして売っていかないといかんというふうなことを強く感じているところでございます。
 そして、緑の雇用との関係でございますけれども、緑の雇用につきましては昨年六カ月の短期雇用というふうなことでスタートしたわけでございますけれども、ことしの概算要求で林野庁が九十五億円、三年間ぐらい雇えるというふうな方向での予算要求という形を行っております。総理大臣もこれについては非常に関心を示していただいているということで、この事業をどんどん進めていきたいんですけれども、ただ単に中山間での雇用を高めるということだけでは無理があるので、もちろん環境面から森林を大事にするということは大変なことだということを訴えつつ、あわせて森林からの生産物を活用するような方向を考えていかないといかんということを今考えております。
 一つには、先ほど言いましたように、公共事業等の中で県産材を使っていくというふうなことがあります。それから、バイオマス発電でありますとか、こういうふうな新しい技術を導入して林産物について新しい需要を見出していく、そしてまたもう一つは、森林等を利用したベンチャー企業というものが何かないかというふうなことについてもアンテナを高くして考えていく。こういうふうなことで、要するに入り口から出口まで考えていくような施策にしていかないと長続きしないという感じでおりますので、またいろいろアイデア等をお教えいただいたらと思います。
 最後に同和問題についてでございますけれども、同和問題につきましては、法律が終わっても、差別がある限りこの問題は大変大事な問題、人権問題のかなえの問題であるというふうな観点で毎日対処しているところでございます。そしてまた、相変わらずインターネットでありますとか、メールでありますとか、こういうふうな見えないところでの卑劣な差別事象が起こっているということも十分存じております。
 そういうふうな中で、和歌山県ではことし人権条例をつくりまして、現在、人権施策推進審議会を設置し、人権施策基本方針の策定に取り組んでいるところでございます。これに人権問題ということの重要性が十分反映されるよう努めてまいりたいと思います。そしてまた、十一月十一日から十二月十日を人権を考える強調月間に指定をし、先般つくりました和歌山県人権啓発センター──これは非常に新しい活動をいろいろ行っておりますけれども──こういうものを中心に、NPOの方々の参加も得ながら、人権というものがいかに大事なものかということを県民に対して引き続き啓発してまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 和歌山県の活性化についてのご質問のうち、第三項目めのご質問に順次お答えいたします。
 まず京奈和自動車道につきましては、橋本道路において用地取得率が九二%となっておりまして、現在、本体工事が実施されております。また紀北東道路におきましても、地元との設計協議が進められておりまして、今後、設計協議の調った地区から順次用地買収に着手してまいります。紀北西道路におきましては、早急に現地の測量調査に着手をしまして、西からも事業展開をするよう国に働きかけているところであります。今後とも、より効果的、効率的に整備が図られるよう国に強く働きかけてまいります。
 次に府県間道路の泉佐野岩出線につきましては、大阪府側では金熊寺バイパスが今年度供用される予定であります。引き続き、府県境までの事業促進を大阪府に強く働きかけてまいります。和歌山県側では、トンネル前後の区間の整備を促進しているところでございます。泉佐野打田線につきましては、大阪府側では府県境部の用地買収と犬鳴地内の地元調整が依然難航している状況でありますけれども、引き続き整備促進を働きかけてまいります。
 次に紀の川中流流域下水道の進展につきましては、処理場建設に伴う地域整備に関する県と那賀郡六町間の合議が調ったところであります。それを受けまして、本年度から岩出町内の幹線管渠工事及び処理場の用地取得、処理場施設の実施設計に着手いたします。今後、那賀郡六町と連携しまして、関係住民の方々の理解と協力を得ながら、早期供用を目指して事業を推進してまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) この際、申し上げます。
 当局は、議員の質問に対して、的確かつ簡潔な答弁を行うようお願いを申し上げます。
 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 和歌山県農林水産業の振興についてのご質問のうち、カゴメ進出に伴う県内農家との共存共栄についてでございますが、県では、野菜の振興計画として、昨年、和歌山の野菜グリーンウエーブ計画を策定いたしまして、新鮮で安全な高品質野菜の安定供給産地づくりを進めてございます。その中で、施設栽培のトマトを成長性のある品目と位置づけまして生産拡大を図ることとしてございます。一方、セーフガードの発動など国際化の進展の中で野菜産地の構造改革が進められており、今回のカゴメの進出は民間活力導入という視点から本県農業の活性化にとって大きなインパクトになると考えてございます。今後検討すべき課題もございますが、栽培方法や経営形態など既存産地での生産と異なることも十分予想されますので、お互いの特性を発揮しながら、共存共栄ができるよう努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 林業に関連したベンチャー企業の育成についてお答えを申し上げます。
 本県の農林水産品のブラッシュアップ、セールスプロモーション活動、さらには物づくり技術を活用した新しいビジネスなど、いわゆるベンチャー企業の育成は、変化の時代にあって極めて重要であると考えております。このため、大学や工業技術センターなどと連携して、事業化に取り組むコンソーシアム研究開発やマーケットリサーチ、ビジネスマッチングなど、事業の構想から事業化に至る各段階に応じたさまざまな支援策を展開しているところであり、今後とも農林水産部局と連携してベンチャー企業の育成に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 四点のご質問についてお答えを申し上げます。
 まず農林水産業の振興に関連して、県有地の弾力的な活用というご質問でございます。
 県が所有する未利用地の活用につきましては、昨年度、未利用土地利活用方策検討委員会から、現下の市場動向等を踏まえて、柔軟に計画変更する必要性を提言されたところでございます。県としては、用途変更、販売価格の再設定、リース方式の新たな導入等、個々のプロジェクトごとにその再生を図り、従来の企業誘致方策はもとより、地域資源の活用や雇用の確保といった視点から土地の利活用を弾力的に検討する必要があると考えてございます。
 次に、同和問題についての二点のご質問でございます。
 まず、同和問題に係る市町村への指導についてでございます。
 同和問題解決のためには、住民と直接接する市町村の役割は大変重要でございまして、すべての市町村において同和問題にかかわる総合窓口の設置をいただいているところでございますが、ご指摘がございましたように、窓口となる課室が住民にとってわかりやすく利用しやすいということが大変重要でございますので、改善を求めているところでございます。県としましては、同和問題が残されている限り、問題解決に向けた取り組みを実施していかなければならないという考えのもと、市町村にあっては、同和問題の重要性を再認識し、それぞれ必要とされる事業に対して主体的に取り組むことが必要であり、そのためのきめ細かい助言や支援が必要と考えております。このため、市町村においては、同和問題に対する適正な現状認識を行い、それぞれの実態と課題に応じた取り組みを実施するよう文書や課室長会議を通じて求めているところでございまして、さらに今年度から新たに市町村が実施する啓発やシンポジウムの開催、リーダーの養成等に対し助成を行っております。今後も、市町村に対するきめ細かい助言や支援も行ってまいります。
 次に、同和行政の推進と具体的な方針及び方向についてお答えを申し上げます。
 まず庁内体制については、同和行政は総合行政であり、その推進については、庁内各部局を有機的に連携するとともに、統括することが重要と考えております。このため、企画部人権室が同和行政の総合窓口となるとともに、庁内各課室及び振興局各部に設置してございます人権同和施策推進委員については、同和問題についての課題の整理や課題に基づく積極的な取り組みについて中心的役割を果たす中で、同和問題を初めとするあらゆる人権問題の解決の視点に立った行政を適切に推進することとしておりまして、その任務を十分遂行するよう引き続き研修会等を実施してまいります。
 また、和歌山県同和対策協議会につきましては、同和問題の解決を図るための県としての方向づけや総合調整の役割を果たしてまいりましたが、あらゆる人権問題の解決へと広がりを持った取り組みができる新たな庁内組織を設置することとしております。その中で、引き続き行政の責務として同和問題の解決に取り組んでまいります。
 平成十年一月に策定しました和歌山県同和行政総合推進プランにつきましては、なお同和問題が解決に至っていないという現状にあって、問題解決のために必要な取り組みについては一般対策において対応することとしたところでございますが、新しい時代に即したプランとするために、現在その改定作業に取り組んでおります。今後、人権施策推進審議会等のご意見をいただきながら早急に改定作業に努めてまいります。
 差別事件の処理につきましては、国において人権救済体制が整備されるまでの間、地方行政が主体的に取り組むという考えのもと、処理体制のあり方を検討するなど、事件の内容に応じた適切な処理を行ってまいります。                         最後に、和歌山県人権尊重の社会づくり条例の具体的な取り組みと現状についてでございます。
 今年二月県議会において、すべての人の人権が尊重され、人権という普遍的な文化として県民に根づいた平和で明るい和歌山県づくりの推進を図るための和歌山県人権尊重の社会づくり条例のご制定をいただいたところでございます。この条例では、人権が尊重される社会づくりのための根幹をなす人権施策基本方針を策定することとなってございまして、その際「あらかじめ和歌山県人権施策推進審議会の意見を聴かなければならない」となってございます。このために、人権に関し学識経験を有する方十五名で構成する和歌山県人権施策推進審議会を設置し、本年八月九日に第一回審議会を開催、九月十一日に第二回審議会を開催したところでございます。今後も、月に一度の開催を重ね、議論を深めてまいります。審議会においては、基本方針の内容となる人権尊重の社会づくりの基本理念を初め、人権意識の高揚を図るための施策や人権に関する相談支援体制の整備、あるいは人権問題における分野ごとの施策等の事項について、さまざまな角度からご議論をいただいているところでございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 住民基本台帳ネットワークの認識と個人情報保護の関係についてお答えを申し上げます。
 住民基本台帳ネットワークシステムにつきましては、住民サービスの向上や行政事務の効率化を目的にその整備、運営が図られておりますが、行政手続のオンライン化の推進など、今後の電子政府、電子自治体の実現におきましても不可欠な情報基盤になるものと考えております。しかしながら、このシステムにつきましては、情報の漏えい防止や個人情報保護が最大限保障される必要がありまして、セキュリティー確保は極めて重要だと認識しております。
 当システムは、専用回線を利用した閉じられたネットワークとされているほか、住民基本台帳法におきまして利用事務を限定するとともに、目的外利用の禁止や関係職員の守秘義務違反に対する通常より重い罰則規定など、個人情報保護法案と同等あるいはそれ以上の個人情報保護措置が講じられております。さらに、これらの制度面、技術面での対策に加えまして、運用面におきましても、全地方公共団体におきましてセキュリティー体制の確立や緊急時対応マニュアルの作成などの対策を講じてきております。
 県といたしましても、個人情報保護は最優先事項との考えのもと、万全のセキュリティー対策を講じつつ、県内市町村とも密接な連携をとりながら、ネットワークシステムの適正な運営に努めてまいりますとともに、先日も個人情報保護法制の早期整備について全国知事会等で緊急決議をいたしておりますが、引き続きその早期整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題、三点についてお答えいたします。
 まず学校週五日制は、自然体験や社会体験の機会をふやすことにより、子供たちに社会性や豊かな心などをはぐくむことをねらいとしており、本年四月から完全実施されております。そうした趣旨の実現を目指し、土、日曜日の学校や社会教育施設等の開放、スポーツ・文化教室の開催など、各市町村ではさまざまな事業が展開されているところであります。しかしながら、テレビを見たり、特に何もせずに家庭で過ごす子供も少なくない実態があることも事実であり、学校外での活動の機会を一層充実させる必要があると考えております。
 一方、学力に対する関心も高まっておりますので、本県では小学校十校、中学校五校を拠点校に指定して学力向上フロンティア事業を実施し、基礎学力を定着させるとともに、実験や観察、調査を重視した問題解決的な学習を通して、みずから考える力、表現する力の育成に取り組み、その成果を県全体に広めることとしております。また、地域ぐるみで教育を推進する機運を盛り上げるため、八地方で地域教育力活性化セミナーを開催するとともに、十一月十日からの一週間を中心にして全県で学校開放週間を設け、すべての公立学校が授業や学校行事を県民に公開することにしております。
 次に、学区制と学校の新設についてお答えいたします。
 学区制については、平成十五年度の入学者選抜からこれを撤廃することにいたしました。これにより、生徒の学校選択の幅が広がるとともに、高校教育の個性化、多様化が一層進むものと考えております。
 中高一貫教育については、現在実施している連携型一貫教育校において中高教員の相互交流を行い、六年間を見通した指導内容や方法についての研究を重ねるとともに、中高生合同のフィールドワークや生徒会活動での交流など特色ある多様な教育活動が展開されております。今後の中高一貫教育については、こうした取り組みの成果を踏まえるとともに、各方面から広くご意見を伺いながら、併設型一貫教育校の設置計画を那賀地方も視野に入れながら検討してまいります。
 なお県立高校の新設については、中学校卒業生徒数が長期間にわたり減少する傾向にあることから、現時点では計画はありませんが、那賀地方における生徒数の変化や通学区域撤廃に伴う進路状況等を注意深く見守り、総合的に研究してまいりたいと考えております。
 最後に、青少年の健全育成の上でスポーツの果たす役割は極めて大きいものがあり、地域住民のだれもが参加できるスポーツクラブの育成に力を入れているところであります。その活動基盤として、学校施設を含めた既存施設を有効活用するとともに、施設の整備について各市町村に働きかけを行っております。
 なお、広域的に利用できる県立スポーツ施設の整備については、長期的な観点から関係部局等と連携を図り検討してまいります。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番飯田敬文君。
○飯田敬文君 ありがとうございました。
 時間がありませんので、一点だけ要望したいと思います。
 今、特に県民の生活、経済はデフレ経済だということで、県民も含めて日本の経済は沈没するんでないかというおそれがある、やればやるほど経済は悪くなるという悪循環に陥っていると思うところでございます。その根本の原因は、やっぱり消費拡大、需要をどうするかということの一点に絞ってこれを解決しなければ突破できないというふうに思うわけであります。そういう意味では、デフレという構造改革はやらなければいけないと思いますけれども、構造改革をやることによって経済を破滅に導くということにもなりかねないという現状だと思うわけであります。今は、総力を挙げて必要な公共事業を、消費を拡大して公が民を引っ張っていくという形で公共事業の積極的な展開をしていただきたいと思います。地方の立場、県民の立場、弱者の立場からその政策展開を、やっぱり全国的なうねりをせないかんと思いますので、ほかの知事とも連携をとりながら、経済復興、景気回復を、ひとつ地方の立場から全力で取り上げていただくように強く要望いたしまして、質問にかえます。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 おはようございます。
 議長のお許しを得ましたので、一般質問を行います。
 私どもが新宮市の全世帯を対象に十三項目の県や市への要求アンケートのお願いを実施したところ、市内全域から五百五通の回答をいただきました。回答総数のうち、各項目に丸印をされた以外にご意見を記入された方は四百三十三名に上り、県政や市政、そして共産党に対する疑問や提案を含めいろいろなご意見や要望があり、もちろん厳しいご意見もありました。この結果は資料としても貴重なものであり、市民の方々の日ごろからの政治に対する思い、暮らしに対する意識の高まりをあらわすものではないかと思います。私は、「住民こそ主人公」の政治実現の立場で、このアンケート結果から質問をいたします。
 新宮港第二期整備事業(佐野湾埋め立て)について、アンケートでは、「必要だ」、「期待している」は合わせて四十四人、「むだだ」、「自然破壊だ」を合わせると四百六十四名ありました。佐野湾埋め立てを決定した一九九七年当時から、この事業は将来の見通しのない自然破壊のむだな港湾事業であり、売れる見込みのない土地造成によって多額の借財を後世に残すだけの整備開発計画ではないかと言われ、現在でも中止を望む声は根強くあります。
 現在の新宮港は、主に木材の中継基地として一九七九年(昭和五十四年)に供用を開始し、五つの岸壁がありますが、取扱貨物量は、平成五年の百三万トンをピークにして二〇〇〇年は五十九万トンと、四割以上大幅に減少しています。それでも、第二期整備後の計画貨物量は百八十七万トンと想定されており、今の三倍以上です。その取扱貨物の品目の一つである製紙の原料チップは、二〇〇〇年の取扱量七万トンに対し計画では七十二万トンと、十倍を超える無謀なものです。この七十二万トンは今の新宮港の総貨物量を超えるものであり、製紙業界も不況から市内にあった巴川製紙、王子製紙も撤退しており、余りにもかけ離れた数字です。またその七十二万トンのチップは、現在新宮港を利用していない三重県の紀州製紙が新たに利用することを期待するもので、三重県の一企業の利用を見込んだ新宮港に和歌山県だけがなぜ莫大なお金をつぎ込むのか理解できません。貨物の取扱量は減少し、過大な取扱量の計画は破綻しているのですから、当然、貨物量の見直しが迫られていると考えますが、当局の見解をお聞きします。
 また、仮に耐震性の岸壁が必要だとしても、現在の状況では今ある岸壁を改修すれば解決する問題であり、佐野湾を埋め立てて新たに耐震岸壁を含む三つもの岸壁をつくり、工業用地を造成する事業は必要ではなかったと思います。
 また、港の埋立地十七万平米への企業誘致を期待していますが、平米単価三万三千円ではどれほどの企業の進出が期待できますか。さらに、当初計画とは違って港の背後地で操業していた巴川製紙が撤退し、その跡地十五万平米が新たな工業用地として誕生し、土地は余っています。これでは、埋め立てた工業用地が売れ残り、この事業が地域経済の活性化とは逆の方向に進むことが懸念されます。さらに、県も新宮市もかねてから重要港湾昇格を要望していましたが、全国の重要港湾が地方港湾に格下げになる状況では実現されていません。このように、新宮港を取り巻く環境は悪化し、むだな公共事業となっています。しかし、埋め立ても進み、岸壁もほぼでき上がっており、今さら港の本体工事の中止は無理だと思います。事ここに至っては、たとえ自然破壊のむだな公共事業だったとしても、新宮港が釣り堀公園化し、工業用地にペンペン草が生えるのを避けるために、新たな振興策や利用計画が必要だと思います。
 例えば、今進められている、ことしからと言った方が正確かもしれません百億円の防波堤工事は、中止も含め検討し、それらの財源で震災対策のための備蓄基地を紀南地域のあちこちにつくることも一つの案です。県は耐震岸壁の重要性を強調しますが、地震で仮に港が壊れなくても、そこにアクセスする道路が確保できるかは甚だ疑問です。海岸沿いの国道や大雨でよく崩れる国道百六十八号が、南海地震でそのまま通行確保ができるとは考えにくいことです。災害時のことを考えるなら、相当長期間のライフラインの途絶にも対応できる備蓄基地を整備した方がよっぽど効果があると思います。しかし、新たな計画の前提には、今までの計画を検証し、見通しの甘さやむだな事業について反省し、原因と責任を明らかにすることが必要です。そうしなければ過ちを繰り返すことになります。そして、その総括と反省の中から、佐野湾埋立事業に反対や不安を持っていた地域の方々が協力できる環境がつくられると考えます。県の見解を求めます。
 もし、当局がその総括を否定するならば、何を根拠に貨物量がふえ、生産活動による経済効果及び雇用促進の効果などが期待できるのか、具体的にお答えください。
 この項の最後に、新宮港に関連して住民から、港の埋め立てや防波堤の影響で台風が来るたびに佐野川河口に押し寄せる波が高くなって川の水位を上げているとの心配の声が寄せられています。潮の流れや侵食の状況調査、侵食に対する対策が必要だと考えますが、県の考え方をお聞かせください。
 この項の二番目ですが、県民がいつでも、どこでも、ひとしく保健医療サービスを受けられるようにすることは県の基本理念です。県民一人一人の命の重さは同じであり、その生命と健康に関する県の施策も公平に行われるのは当然であり、不公平であるならば県行政の怠慢であり、県民の不幸です。こうした不幸は直ちに解決すべきです。
 県の保健医療計画では、県下七つの保健医療圏で休日夜間急患センターを整備するとあり、昭和四十九年から那賀、和歌山、伊都、有田、御坊と設置され、平成七年に田辺広域休日急患診療所と六つの保健医療圏に設置されました。しかし、新宮圏域にはいまだ設置されていません。設置を求める私の質問に、二〇〇〇年九月議会では「今後とも休日夜間の診療体制が未整備な地域の整備を促進する」とし、二〇〇一年二月議会では「振興局を中心として、圏域内での医療に関する課題の中で検討をしてございます」との答弁でした。私どものアンケートの結果でも、「必要だ」と答えた人は四百二十八人、八五%と急患診療所の設置を求める声は圧倒的で、「不必要」と答えた方は五人だけでした。住民は、急患診療所の設置を強く求めています。現在までの取り組み状況と今後の見通しについてお答えください。
 この項三番目の、熊野の自然と健康を守る環境行政の実現についてです。
 アンケートの結果では、熊野の自然や環境について、「関心がある」、「少し関心がある」を合わせて三百五十四人、七〇%で、「余りない」が三十人でした。熊野古道の世界遺産登録について、「賛成」は二百二十七人、四五%、「反対」は四十人で、「わからない」と答えた方は百二十七人、二五%と少し残念ですが、自然や環境について関心は高いと思います。
 世界遺産登録に関連して熊野川沿いの不法投棄の撤去について、特に白見の滝付近の埋め立てや投棄は、自然公園法にも廃掃法にも河川法にも違反しており、撤去に向け一層努力され、早急に解決してくださることを強く要望します。
 さて、新宮市松山での環境破壊のおそれのある産業廃棄物の建設業者の自社処理については、この議場でも写真も示し、何度も取り上げてきました。焼却炉の使用方法やその燃え殻の処理、また産業廃棄物の処理が適正に行われていたのか、八月八日の立入調査の結果から実態を明らかにしてください。
 また、業者から改善計画書は提出されましたか。その計画も含め、今後の取り組みについてお答えください。
 この業者にかかわって、九月七日に新宮市の地方新聞に公告が出されました。その公告の内容は、「平成十四年五月三十日から建築リサイクル法が施行され(中略)残念ながら、排出者の名において廃棄物を適正に処理しなかったり、不法投棄などで生活環境の汚染と業界の信用を傷つける行為が、今なお後を断ちません。(中略)環境への社会的責任を負う業界の社会的、経済的地位の向上と地域の生活環境の保全など公共福祉の増進に寄与することを目的とした、新宮圏域解体工事業組合を(中略)設立いたしました」というものです。同じ日に、和歌山県解体工事業協会を同じ業者が新宮市に住所を置いて設立したと和歌山市で新聞に公告されました。この設立について、行政はどのようにかかわっているのか、今後、建築廃棄物のリサイクルを積極的に推進することを願う立場からお尋ねをいたします。
 この項の第四項目めの納得できない同和対策についてです。
 アンケートの結果では、「同和対策はやめるべき」に丸印をした人は二百四十一人で、「推進すべき」の十一人を大きく上回っています。同和貸付金の滞納や同和啓発事業に多くの意見があり、法的には終わったと言っても、今もってすっきりしない人が多く見られます。だからこそ、同和行政の負の遺産の一つである中小企業高度化資金の多額の滞納問題について納得できる対策が必要です。不透明な同和融資の解明は、同和問題の真の解決と県政の民主化のためには不可欠であると思います。
 高度化資金の滞納額は、十二年度の七十四億円から、十三年度は百七億円へと三十三億円もふえ、年々悪化しており、返済率が一割以下の組合が八つもあるなど、こんなに不良債権化している融資制度がほかにあるでしょうか。しかし、議会での私の質問に対して県は、「情報は非公開」と消極的立場で、倒産して不良債権化した組合についても具体的な答弁はなく、到底納得できるものではありません。そのため、六月二十七日付で公文書開示請求を行いましたが、貸付先名、実行年度、資金種類が消された数字だけの資料が開示されただけです。皆さんのお手元にあります資料一がそれであります。開示を求めたのは、中小企業総合事業団に報告している中小企業高度化資金貸し付けに係る十三年度延滞貸付先一覧表のうち既に廃業している件であって、営業している組合の開示請求を行っているものではありません。貸付先名、実行年度、資金種類が明らかにされなければ、実態を正確に把握し、同資金に係る県行政の執行が適正なものであったかどうかさえ知ることはできません。この高度化資金は、総事業費の八〇%を国と県が無利子で融資し、二〇%が自己資金です。その自己資金について和歌山県信用保証協会が関与している場合が多く、高度化資金の滞納とあわせ返済が滞っていることが危惧されます。
 次に、八月七日付で、さきの開示請求の対象となっていない中小企業総合事業団が既に償却済みの協業組合にかかわる交渉経過に関する文書の公文書開示請求を行いました。しかし、これも貸付先名などを塗りつぶした資料が開示されただけです。これが資料二です。十何年も前に倒産し、競売も終わり、中小企業団が償却処理し、県の貸付金一億五千九百万円が回収不能の状態、すなわち県民のお金が返されていない状態なのに、既に存在しない組合名すら知らせないのでは行政の姿勢が疑われます。倒産し不良債権化した組合の利益と公費の支出がよかったかどうかを県民の前に明らかにする公益性をはかりにかけたら、今の時点においては当然県民の公益性を優先させるべきであるはずであります。それが行政の責任ある姿だと私は思います。
 さて、この延滞貸付先状況表を見ると、貸付金額の六億七千九百九十九万八千円に対し、延滞金額は四億八千九百四十九万一千七百三十二円です。その延滞金の事業団分三億三千四十万三千円は平成八年三月に回収不能として既に中小企業団が債権償却をしていますが、残り一億五千九百万円は県の債権として今も残っています。返済された額は、貸付金額から延滞金額を差し引いた額一億九千五十万六千二百六十八円と計算すればなりますが、その額はそこにある昭和六十三年十月四日の競売による配当受領額一億九千五十万六千二百六十八円と一致し、この組合から競売するまで県に一円の返済金もなかったことがわかります。こんな結果になっても、この組合の事業計画について厳正な審査が行われたというのでしょうか、お答えください。
 また、協業組合の名前すら明らかにされていないので断定はできませんが、もちろん誤りがあったら指摘をしてください。この組合の総事業費は八億五千万円で、そのうち八〇%の六億八千万円が県の融資です。残り二〇%のうち一五%、一億二千七百五十万円は市の同和産業構造改善資金の融資であり、残り五%の自己資金四千二百五十万円に信用保証協会が関与していたと思われます。そして、県にも市にも一円の返済もしないまま倒産し、土地や建物などが競売にかけられているということがわかります。融資総額八億五千万円に対して競売落札価格は二億三千八十五万円で融資総額の三分の一ということは、バブル崩壊の前でもあり、常識的に考えたら担保価値以上の過剰融資ではなかったかと思いますが、そうした融資を行った県に何の落ち度もないのかとお聞きしたいわけであります。お答えください。
 同じようなことが、この組合だけでなくほかの組合でも考えられます。県は、みずから行った中小企業高度化資金に関する活動の内容を隠すのではなく、情報を県民と共有し、社会的な世論を高め、延滞の回収を促進する立場に立つべきです。知事は、さきの議会で、「今後その焦げつきについて、ガラス張りの中でどのように県民の方々の納得を得ながら回収をしていくかということが大きな問題」としていますが、しかし現状はこうであります。今後どのように県民の前に明らかにされるのか、知事お答えください。
 この問題は、昨年の十二月に新聞で、「複数の元同県融資担当者は「同和対策事業としての側面が重視され、採算性だけで判断できず過大な融資を認めた案件が多かった」」と報道されましたが、県の認識と一致しますか、お答えください。
 五項目めの佐野川、荒木川の早期改修についてですが、アンケートに寄せられた個別要求の中で多かったのがこの問題です。
 当地域の浸水被害は年に一回から三回発生し、流域一帯は常に浸水の被害を受け、特に昨年九月三十日には佐野会館に避難しなければならないほど大きな被害を受けました。蜂伏の住宅化が進み、県立の養護学校や看護学校だけではなく、保育園や中学校や高校など多くの公的施設があり、新宮医療センターが診察を始めましたが、佐野川、荒木川の浸水で救急車両が通行できない事態が生まれており、道路の冠水による交通の遮断は生命にもかかわる重大問題です。二級河川の佐野川は三・六キロ、一九七四年(昭和四十九年)から県の単独事業として改修工事が開始されましたが、三十年かかって五〇%の進捗率で非常に遅いです。そして、河口より二・一キロまで一部を残し用地買収を終わっていますが、工事費は二〇〇〇年に二億五千万円、二〇〇一年に一億五千万円、二〇〇二年の当初予算では八千万円と年々減少しており、改修が進みません。また荒木川は、九百メーターに対して市道までの間三百四十メーターが平成八年度で完了してから、その先は進んでいないため、地元から「荒木川の早期改修要望書」が知事に出されているほどであります。何度かこの議場でも要望しておりますが、その浸水対策がより一層緊急性を帯びており、佐野川、荒木川の改修と荒木川上流の砂防堰堤の事業の継続と完成は住民の切実な願いです。県は、住民のこの切実な願いにぜひお答えください。
 障害者福祉制度が来年、二〇〇三年四月から大きく変わります。今は、障害者が福祉サービスを利用する場合、措置制度によって国と地方自治体がサービスの提供に直接的な責任を負っています。しかし、来年度からは介護保険と同じように、障害者本人が利用したいサービスを決め、みずからサービス業者を選んで契約する仕組みになります。また、県の仕事が町村に移り、県下で二万六千四百人程度の利用が見込まれております。十月から市町村でこの申請受け付けが開始されますが、今、大変な状態を生み出しております。支援費制度の導入を決めた社会福祉法は、行政責任を現行より大幅に後退させたため、次のような問題があると思います。
 第一は、福祉サービスの確保は原則として障害者個人の責任とされ、国や自治体は支援費の助成など、あくまで第三者的なものとなることです。第二は、在宅、施設ともサービスが圧倒的に不足しており、自由に選択できるどころか新制度発足の前提条件すら欠く状況にあることです。第三は、障害者、家族の負担が増大する心配があるからです。
 さて、新制度の実施が迫った今、国や自治体が障害者福祉に対する公的責任を十分に果たし、障害者が安心して利用できる支援費制度にするための対策を質問いたします。
 一、障害者が自立して生活できる支援費制度にするには、制度について関係者に周知徹底するきめの細かい対応が求められますが、実態は市町村によって格差があり、県の積極的で親切な対応が求められており、その対策を伺います。
 二、市町村が障害者の生活実態と要求に見合ったサービスの提供が行えるよう、独自の上乗せ措置を積極的に存続、拡充することを支援するなど、現行のサービス水準は絶対に後退させないという県の決意をお聞かせください。
 三、障害者の生活実態を反映した認定がどれだけ保障できるのか、大きな不安があります。市町村は、支給の可否とともにサービスの支給量、支給期間、障害程度の区分を決めますが、最初から家族介護を前提にするのではなく、障害者が地域で自立した生活を送ることができるよう、必要で十分なサービス量を認定すべきです。そして、支給決定の公正を期すために、市町村ごとに専門的知識を持つ人たちによる集団的な審査体制を確立し、家族や施設職員の声も審査に生かすことが必要です。また、情報提供、相談窓口の体制を充実するとともに、申請待ちではなく積極的に障害者を訪問し、要求を掘り起こす体制が必要です。これらについてお答えください。
 四、どんな新しい制度でも、障害者が必要なサービスを受けられなければ、全く絵にかいたもちです。基盤整備のおくれをどのように認識し緊急に打開するのか、お答えください。
 五、支援費制度の対象外となる事業、小規模授産施設、無認可小規模作業所、精神障害者施設などについて各種補助事業の一層の拡充を図ることは当然だと思いますが、県の今後の方針をお聞かせください。
 最後の質問です。非常に残念な質問です。
 新宮市の高田と蜂伏を結ぶ林道高田蜂伏線約十三キロが今年度で休止されることになりました。なぜ今ごろとの思いであります。平成八年に着工し、平成十年に最初の切り取り面に大きな崩壊があり、百三十メーター進んだだけで工事が中断し、地質調査が行われました。平成十二年九月に和歌山県公共事業再評価委員会で審議されましたが、事業は継続となりました。もちろん事業主体は新宮市ですが、私は平成十二年九月議会の一般質問でこの場で、県からの技術的なアドバイスや工法への配慮、財政的な支援をお願いし、県当局も「技術指導を行ってまいりたい」とご答弁いただきました。しかし、残念ながら、平成十三年には三度ものり面崩壊があり、地元住民からも工事に対する不安や疑問の声が上がりました。それで、私は昨年の決算特別委員会で、こう何度も崩壊する場所での工事継続は問題があると見直しを求めましたが、県は、今度はきっちりやると言っているからと工事を継続させました。しかし、結局はのり面崩壊が続き、環境破壊につながることから休止し、改めて調査するとしています。
 総事業費三十億四千万円のうち既に四億八千万円が投じられ、県も二〇%負担しているのに、わずか百三十メートル、一%しか進捗せずに工事が休止されます。こうした判断も必要なことだと思いますが、何度も指摘があったのに、なぜもっと早く判断できなかったのか、そこが問題です。結局判断を誤り、こんなむだな税金の使い方をしたことの責任は問われます。県はどのように総括し対応するのか、説明ください。
 また、高田の住民の皆さんは生活道路としての林道に期待をしておりましたが、現実は厳しいものとなってしまいました。だからこそ、県道高田相賀線への思いは一層強くなっています。高田第一号のトンネルの着工と那智勝浦町への県道の延長に格別のご配慮を強く要望し、私の第一回目の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 新宮港の第二期工事についてのご質問でございますが、過疎や高齢化により就労の場の確保に悩む熊野地域において、その唯一の港湾である新宮港の整備事業は、地元の強い要請を受けて取り組んでいる事業であり、企業誘致による雇用の創出や物流の効率化を通じて地域経済の活性化を目指すものでございます。
 ご質問のように、今大変厳しい経済状況のもとでございまして、大変ではございますけれども、もうでき上がっておりますので、これについて、県と市と地元が一丸になって、後ろ向きに物事を考えていくのではなくて、やはりあの地域は海の方へ向かって何か発展をしていきたいという気持ちが非常に強い地域でありますので、新しいあの地域の特性に応じた、合ったような進出企業でありますとか活用方法をこれから私も真剣に考えていかないといかんというふうに考えているところでございます。
 それから次に、中小企業の高度化資金についてのご質問でございます。
 この高度化資金に関して、今後どのように県民の前に明らかにしていくかということでございますけれども、この問題については、私も多くの課題があることを認識しており、中でも未償還金が多額になっているということについては厳しく受けとめているところでございます。
 現在、破産申し立ての組合等に対して競売の手続を準備しているものや、交渉の回数を重ね弁護士の方と連携を密にしながら未償還金の縮減に努力をしているところでございます。この六月議会におきまして「ガラス張りの中で進めてまいりたい」というふうにお答えしたところでございますけれども、情報公開条例の中で、法人の利益を害するおそれがある場合は非開示ということになっておりまして、今回の開示に当たって法律の専門家の方と相談いたしましたところ、廃業しているとはいえ、清算結了や法的処理の終了していない、いわゆる法人格が残っている場合の開示には慎重を期すべきであるというふうなご意見をいただきましたので、そのような墨で消したような形の一部開示に現在至っているところでございます。
 なお、本件の開示につきましては、現在、異議の申し立てがなされているところであり、近く情報公開審査会に意見を求めることとなっていることを付言しておきます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、新宮港についてのご質問にお答えいたします。
 新宮港は、第一期事業完成後、現在、年間四十から六十隻の外航商船が入港するとともに、背後用地は完売し、二十八社の企業が進出して約五百七十名の雇用を創出するなど、三重県南部も含めた紀伊半島南部地域唯一の外貿港湾として地域経済にとって重要な役割を果たしております。第二期事業におきましても同様の経済波及効果が期待できるものと考えております。厳しい経済情勢にはありますけれども、熊野地域の雇用の創出と経済活性化のために最大限の努力をしてまいります。
 取扱貨物量につきましては、一時的な減少が見られますが、これは主に砂、砂利の搬出が減少したことによるものであります。本年は回復基調にあります。現在、県や新宮市では、港湾振興を担当する組織を整備し、地元経済界で構成される新宮港振興会などと一丸となって計画貨物量の実現に向けて振興ビジョンの策定を行うとともに、企業訪問などのポートセールスを行っており、チップも含めて、新規貨物の獲得や新規企業の誘致などに精力的に取り組んでおります。外に開かれた和歌山県としましては、三重県の企業も新宮港にとっては大切なお客様と考えております。
 また、佐野川河口部につきましては、環境に配慮した緩傾斜護岸を整備する計画であります。
 次に、和歌山県解体工事業協会は任意に設立された民間団体であり、行政としては関与する立場にはないと考えてございます。
 次に、佐野川の改修につきましては、下流より順次河道拡幅を行っておりますが、一部用地難航箇所がございます。しかし、新宮市からの強い要望もありますので、地権者の協力が得られれば引き続き改修を進めてまいります。
 また、支川荒木川の改修につきましては、過去に用地難航のため休止となっており、地権者の協力が得られない状況では再改修に着手するのは困難なところでございます。
 荒木川上流の砂防堰堤につきましても、新宮市の強い要望もあり、計画的に事業を実施しておりまして、既に堰堤一基が完成し、今年度残り一基を事業着手しております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 休日夜間急患センターの設置と支援費制度についてお答えいたします。
 まず、休日夜間急患センターの早期設置をについてでございます。
 新宮保健医療圏域における休日夜間急患センターの設置につきましては、基本的には市町村が整備するものでございます。設置に向けては、平成十二年に市町村長、地元医師会、病院等関係者で構成する新宮保健医療圏医療体制検討会を設置し、現在も会議を重ねるとともに、実務担当者による部会等も開催し、検討を進めております。今後、地元医師会や病院関係者等の意見を踏まえ、検討会で議論となっている設置主体、設置場所、経費面などの課題を解決すべく努力をいただくとともに、早期に休日夜間急患センターが設置できるよう、県としても関係機関と連携し、積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、障害者が安心して利用できる支援費制度についてでございますが、障害者が安心して利用できる支援費制度にするためには、関係者への周知徹底が極めて重要でございます。このため、市町村職員の研修や関係者等に対する説明会を開催するとともにホームページへの掲載等を行っておりますが、今後も広報紙への掲載や視覚障害者のために点字版、カセットテープでの広報等を行ってまいります。
 現行のサービス水準の確保につきましては、介護保険等の事業者の新たな参入が見込まれ、施設間等での競争の原理が働くことにより、サービスの質、量とも低下することなく利用者本位のサービス提供ができるものと考えておりますが、現行サービス水準を後退させないため、市町村や関係者との連携を深め、地域のニーズやバランスを勘案しながら必要な整備を図ってまいります。
 次に支給決定等についてでございますが、支援費の支給決定は利用者本位のきめ細かな対応が必要でございます。県といたしましても、障害程度区分や支給量の認定は極めて大きな役割を担うものであり、更生相談所の支援体制の確保や市町村間での著しい格差が生じないように、各圏域別に調整会議の設置等を検討しているところでございます。
 次に基盤整備についてでございますが、支援費制度を円滑に運用していくためには、地域的な供給体制の整備が必要であります。先ほどお答えいたしましたとおり、今後とも地域のニーズやバランスを勘案しながら、必要な整備を進めてまいります。
 最後に、支援費制度の対象外となる小規模授産施設、小規模作業所等の補助事業等につきましては、障害者の働く場、活動の場を確保する上で重要であり、今後なお一層こうした施設への助成や精神障害者施策の充実を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 新宮市松山での産業廃棄物の処理についてお答えいたします。
 去る八月八日に新宮保健所と合同で廃棄物対策課が立入調査を実施いたしましたところ、燃え殻の保管や廃棄物まじりの土砂等に不適正な処理が見受けられましたので、期限を付して適正に処理するよう指導しているところであります。
 なお、本日の時点では、事業者からいまだ改善計画書が提出されておりませんが、指導期限が経過しても処理がなされていない場合、また改善が十分でない場合には、廃棄物処理法に基づき改善を命ずる考えでございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ご質問の中小企業高度化資金の貸し付けがいずれも適正に行われたのかの三点についてでございますが、さきの議会でもお答え申し上げましたとおり、高度化資金を貸し付けるに当たり、中小企業庁の通達に従い、すべての案件について企業診断を行い、中小企業総合事業団の指導を受けながら、計画から二、三年の期間をかけ、貸付審査を行ってございます。また、同事業団による審査も受けながら、承認を得た上で貸付決定を行っており、個別案件を見る限り、事務手続上問題はなかったと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 林道高田蜂伏線の工事休止となった反省総括と対応についてのご質問でございますが、本路線は新宮市が事業主体となって佐野地区と高田地区を結ぶ林道であり、森林整備の基盤として、また緊急時の迂回路として平成八年度より高田地区側から着手してございます。平成十年度の工事途中に予期せぬ不安定地盤によるのり面崩壊が再三発生したため、県からも森林土木技術に精通した職員を派遣し、復旧対策の指導に当たりました。その間、経費や期間を要しましたが、本年度で復旧対策を完了する予定でございます。また、佐野地区側からも工事の準備を進めておりましたが、荒木川の防災工事などとの調整が必要となってきてございます。このようなことから、新宮市は再三にわたる検討の結果、平成十五年度工事を一時休止し、全体計画について起点の見直しや線形、並びに幅員などの検討を行い、改善策を見出していくこととしていると把握してございます。いずれにいたしましても、新宮市の今後の計画が重要であり、事業の再開に当たりましては、改善策に対しさまざまな角度から技術指導を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 まず、知事にお願いなんですけれども。
 同和の貸付資金の問題、今いろいろこちらも開示請求を行ってやっておりますけれども、知事のガラス張りというのは、ただ単に情報公開、これだけではないと、このように私は信じたいと思うんです。ぜひ、そういう意味で県民の前に納得できるような形でガラス張りにしていただいて、本当に同和問題を解決していきたい。同和地区に住んでいる、いた住民の方からも、こんな問題は本当に早く解決してほしいんだと、そうした声が寄せられているんですね。一般地域というか人だけでなく、同和関係者の中からもこの声は大きいということを、ぜひご理解いただきたいというふうに思います。
 それと、新宮地域の休日夜間の救急診療所の問題です。
 知事、これは和歌山県の手帳です。この中に「県民手帳」というのがついていますが、これの最後の方を見ていただくとわかるんですけれども、「休日や夜間の急病は、休日夜間急患センターへ」と書いているんですよ。結構なことなんですよ。ずっと見ていくと六つの地域はあるけれども、新宮市だけないんですよね。こういうことっていうのは非常に寂しいです。市町村の責任であると同時に、やはりこうした面について県民が不公平感を感じないように、特に命と健康にかかわる問題ですから、ぜひその点は力を入れていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 中小企業の高度化資金の問題、部長にもいろいろ申し上げたいことがあります。再質問もしたいところですが、時間がありませんから言いませんけれども。
 「問題がなかった」と言いますけれども、問題がなかったらこんな実態になっていませんよ。その問題がなかったかどうか、そのことを知るために私ども頑張っているんですよ。一緒になって問題解決のために努力しようではありませんか。そのことを強く要望しておきます。
 新宮港の問題についてです。
 土木部長、河口の海岸侵食の問題について計画があるんだというようなご答弁をいただきました。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 知事は、「前向きに」というご答弁でした。私も、今回は非常に前向きな姿勢でこれを質問いたしました。ただ、むだな公共事業だというだけで批判するのではなく、むだなものはむだだとしてきっちりと認めなさいよ、そこから次のステップを踏み出そうじゃないですか、そのことを提案しているわけです。私ども、具体的に数字を挙げました。実際、どんどん貨物量が減ってきているんです。これは仕方ないことなんです、経済的な問題ですから。そんなこと、だれも期待していませんよ。予想もしていなかったかわかりませんけれども、こうした実態になっているんです。先ほど挙げました二〇〇〇年、すなわち平成十二年度は五十九万トンでした。しかし、平成十三年度は四十五万トンとまた減っているのも事実です。十四年度は今頑張っている、伸ばしているんだということで、それは期待したいんですけれども、やはり最高時に比べて三分の一程度になってきている、半分程度になってきている、こんな問題はしっかりと見据えていくことが必要ではないでしょうか。
 いろんなこともおっしゃられましたが、ここに平成四年九月に和歌山県が出した新宮港に関する文書があります。その中で、砂利が減ったんや何やかやと言っていましたけれども、砂利が減るなんということは以前は想定していなかったんですよ。「急増する建設資材への対応」ということで、「圏域の公共投資の拡大に伴って、砂・砂利、セメントを主体とする建設資材が増加し、荷捌・保管施設の不足が顕在化しているため、新たな公共ふ頭の整備が必要となってきている」と書いているんです。そうあなたが書いておきながら、今何で減っているんですかと言ったら、砂が減っていると言っているんでしょう。やっぱり計画の見直しは必要ではないかなと思って当然ではないですか。木材もふえるんだと言っているけれども実際木材はふえなかった、そういうことを言っているんですよ、私は。そうした意味で、やはり一つの計画がこれはこうやから絶対なんだというようなことではなくて、やっぱり情勢が変わったら変わったで対応していく。そのために、今回も私は新たな提案もさせていただきましたよ。
 そういう意味で、反対していたものも少しでも──あの港が釣り堀公園になってしまう、環境破壊までされて釣り堀公園にされたらたまりませんよ。そんなことを避けたいな、地域住民だれもがそう思っているのではないでしょうか。そのためにも、しっかりと計画の見直しをして、何が誤ったのか、こうした事態になったのか、こうしたことを明らかにしていく、そのことが本当に県民のために、住民のために必要だと私は思います。
 このままやったら大丈夫だと言いますけれども、再度伺います。計画貨物量は一体どれだけふえる、その保障は一体どこにあるんですか、今の情勢で。この点について再度質問いたします。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 再質問にお答えいたします。
 計画貨物量の主なものは、砂、砂利、木材、セメント、チップであります。砂、砂利につきましては、ことしは回復基調にあります。木材、セメントは堅調に推移しているところであります。チップにつきましては、輸送コスト削減を図る製紙業者の企業ヒアリングにより推計して計画貨物量をセットしているところでございますけれども、それを達成すべく努力しているところでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、厳しい経済情勢下にありますが、この熊野地域の雇用の創出と経済の活性化のために最大限の努力をしてまいりたいと考えてございます。そのため、新宮市、それから地元経済界と一丸となりまして、チップも含めまして新規貨物の獲得や新規企業の誘致などに精力的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 一生懸命頑張って貨物量をふやしていただく、そのことをだれも悪いと言っているんではないんですよ。余りにも見通しが大き過ぎるのではないですか、計画が大き過ぎるのではないですか、これでは計画が失敗してしまうのではないですか、そのことを指摘しているんです。そのことによって、見直しをして本当に雇用が拡大できる、そんな港づくりを一緒にやっていこう、こっちは提起しているんです。その点だけをつけ加えさせていただきます。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後零時四分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十番小原 泰君。
  〔小原 泰君、登壇〕(拍手)
○小原 泰君 一般質問も、私が最後となりました。今定例会のトリを務めさせていただきますこと、大変光栄に存じます。ご配慮いただきました先輩方に厚く感謝いたしまして、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 私は、県議会議員初当選後、この本会議場で一般質問に立たせていただき、はや三年半が経過し、この間、多くの県政の課題に取り組んできたところでございます。特に紀南地方の問題点や課題に対し指摘や提言を行ってきたところでありますが、このような中で、観光立県推進のためにと観光行政の機構改革を提言したところ、昨年四月、観光局を設置され、バージョンアップが図られたほか、NHKのドラマ「ほんまもん」のブームに乗ってほんまもんの体験観光を推進されていることや、山間部を多く抱える本県の将来のかぎを握るとも言える緑の雇用事業を木村知事は三重県の北川知事らとスクラムを組んで発信させ推進されるなど、本県の自然環境を生かした取り組みが全国から注目を集め始めているところであり、住民の願いが一つ一つ前進してきているところであります。しかしながら、本県の活性化を図るためにはまだまだ多くの解決しなければならない課題があるのも事実であります。その中でも最も欠かせないのが、道路網の整備であります。
 まず一点目は県内高速道路の整備についてでありますが、現在、国において高速道路や自動車専用道路の整備のあり方について検討がなされており、赤字が見込まれる路線の凍結や地方に負担を求めるなど見直しを打ち出している道路関係四公団民営化推進委員会がマスコミを中心に注目を浴びているところであります。本県でも、近畿自動車道の南部以南の延伸は無理なのではないか、いや白浜まで延伸させ、それ以南は無理ではないかなど、各方面でさまざまな憶測が飛び交っているのが現状であります。
 このようなことから、議会でも民営化推進委員会の動きに対し、「近畿自動車道紀勢線の整備促進に関する意見書」を九月議会の初日に提案し、決議した次第であります。また、知事もこれらの動きを受け、今月四日、鳥取県の片山知事や高知県の橋本知事ら六つの県の知事による「これからの高速道路を考える地方委員会」を東京で開き、地方の意見が取り入れられていないなどとして、政府と地方との協議の場の設置要求などを盛り込んだ共同声明を発表しました。共同声明の中には、高速道の整備は国土全体のグランドデザインをにらんで、責任を持って取り組むべきだとしております。
 今月の六日、新宮市と那智勝浦町を結ぶ自動車専用道路・那智勝浦道路の川関トンネルの貫通式が行われ、地元の少年たちがたるみこしをかついで貫通を祝いました。このトンネルは来年二月に完成する予定であり、那智勝浦道路全体は平成二十年ごろの完成予定であるということであります。しかし、民営化推進委員会の検討内容などを勘案するとき、今後見直しを迫られるなど影響が出ないかと懸念するものであります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 今後、紀伊半島全体をも視野に入れた県内の高速道路の整備についてどのようにお考えなのか、また政府に対してどのように働きかけていくおつもりなのか、お聞かせください。
 二点目は、紀南地方の道路整備のあり方についてであります。
 平成十年三月に打ち出された「二十一世紀の国土のグランドデザイン」では、サブタイトルを「地域の自立の促進と美しい国土の創造」と掲げ、それを実現するための四つの戦略の一番目には「多目的居住地域の創造」が掲げられています。つまり、国民がゆとりと豊かさを持ってよりよい自然環境に恵まれたところで過ごせるような地域づくり、町づくりを行うとされています。これはまさに本県の、特に紀南地方のような自然環境を生かした中での国土の整備のあり方を盛り込んでいるものであり、本宮町の中山前町長が提唱し、全国九百三十二の市町村の共感を得ている森林交付税構想や、知事が進めている地方と都市との新たな関係により都市から地方への人口流動を促進し、山村地域の活性化を図ろうとする新ふるさと創りや緑の雇用事業の理念そのものであると考えるものであります。
 本県はこれまで過疎対策や山村振興、観光振興等に正面から取り組み、県内二時間行動圏構想を打ち出すなど道路整備に取り組んできており、明らかにむだと言われるような道路は一つもないものと確信しております。
 現在、公共工事の実施に際しては、その評価手法として費用対効果分析が導入され、交通量の少ない地方での公共道路工事はむだ遣いであるかのように言われていますが、必ずしもそうではないと思うのであります。
 一つ例を挙げると、私が平成十一年十二月議会で取り上げた紀南の山間僻地の総合医療体制整備充実に関してでありますが、その際、高度医療機器が整備された医療施設の充実ということで、県立医科大学紀南分院の誘致等を働きかけました。その後、県では、山間僻地での緊急医療体制としてドクターヘリの導入を決め、現在はそれにより対応しており、このことは一歩前進ととらえられるものの、必ずしも満足できるものではありません。ヘリでは、気象条件の悪いときは運航が難しいなど、天候に左右されやすいものであるからであります。
 先日、知事は、読売テレビに出演された際、「守旧派のように言われているが、命の道ということもある」と述べておられました。ヘリが飛べない場合には、そのかわりはもちろん道路が行うことになり、山村僻地に住む者にとってまさに「命の道」であります。紀南の山村地域で暮らす住民が安心して生活する上において、また新ふるさと創りや緑の雇用事業を積極的に展開し、中山間地域の活性化を図る上においても、近畿自動車道の紀南延伸とあわせて山間部における道路整備が重要であると考えますが、知事が提唱する地方基準の公共事業の手法を用いたむだのない山間部の道路整備など、今後の紀南地方の道路整備のあり方についてどのようにお考えなのか、知事にお尋ねいたします。
 次に、観光振興と連動した道路整備についてであります。
 紀南地方の観光振興策として、地域の持つ自然を生かした体験型観光を企画し、積極的に推進しているところでありますが、観光振興を図る上においては観光客が安全に移動できることが重要であると考えます。しかしながら、県道などの一般道はもちろんのこと、紀南の主要道である国道四十二号や国道百六十八号においても、いまだに大型の観光バス同士がスムーズに対向できない場所があります。例えば、国道四十二号では那智勝浦町湯川地内の湯かし潟付近であり、国道百六十八号では熊野川町能木地内の三津野橋などであります。国道百六十八号は地域高規格道路の指定を受け、工事が始まっているところであり、地域住民は早期の完成を待ち望んでいるところでありますが、完成までには相当の歳月を要するということであります。
 県が発行している「ほんまもん体験」の観光ガイドを見ますと、その内容は、紀南地方での農林漁業体験や自然観察体験、それに歴史文化体験などといった幅広いプログラムで構成されており、体験のためのフィールドは従来の観光では考えたことのないほど奥地にまで広がり、今後は国道など主要道の利用増加はもちろんのこと、奥地の整備がなされていない一般道にまで利用が拡大されるものと考えられます。
 紀南地方において体験型観光を推進するに当たっては観光客が安全に移動できることが重要でありますが、それと同時に、入り込み客の増加によって地域住民の生活に支障が生じないようにすることが必要最小限のことであると考えます。
 そこで、土木部長にお伺いいたします。
 体験型観光の推進と連動して、支障を来している主要道の改良とアクセスに用いる奥地一般道の未整備区間の解消を並行して行うことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。
 次は、東南海・南海地震対策についてお伺いいたします。
 一点目は、地震防災対策アクションプログラムの策定についてであります。
 昨年九月に国の地震調査研究推進本部が公表した東南海・南海地震の長期評価は、我々に大きなショックを与えたところであります。長期評価における地震の発生確率は、今後三十年以内に東南海地震で五〇%、南海地震で四〇%というもので、この数字をどうとらえてよいものか判断しにくいものではありますが、歴史上、九十年から百五十年間隔で発生しており、南海地震はあと三十四年でちょうど九十年が経過することになり、発生の確率は年々高まっていくことに間違いはありません。
 また、前回の地震は歴史的に見てその規模は小さく、蓄積されていたエネルギーのすべてが解放されずにまだ残っていると推測されているため、次回の発生までの間隔はこれまでの発生間隔よりも短くなるとも言われております。
 静岡県沖の東海地震は、前回の発生から既に百四十八年経過した今でもまだ起きていません。二十年以上も前からいつ起きても不思議はないと言われ、二十年以上かけて対策を講じたわけであります。これに比べると東南海・南海地震はまだ少しの余裕があると考えられますが、本県が作成している地域防災計画における今後の地震防災対策についての計画に関する記述は不十分なものに感じられるとともに、他の防災に関する計画書などを見ましても具体的な記述は見当たらないように思われます。
 長期評価が発表され、東南海・南海地震等に関する専門調査会が発足し、本年度末にも被害想定が出される今こそ、知事のご努力もあって特別措置法が成立した今こそ東南海・南海地震の発生を想定したアクションプログラムを策定し、これを県民に示していく時期ではないかと思うのであります。
 アクションプログラムの策定に当たっては、第一に、十年もしくは十五年くらいの間に実施していくべき対策を示し、五年程度のスパンでの見直しを想定すること、第二に、これまで個々に行われた県の各部局での対策、取り組みをハード・ソフトの両面にわたり集約し、それぞれを有機的に結びつけたものとすること、第三に、県民の命を守るため直ちに行うべき対策から十年、十五年かけてじっくりやっていくべき対策まで、その緊急性を適切に分類しながら策定すること、第四に、中央防災会議の今後の地震対策のあり方に関する専門調査会の提言にもあるように対策の主体を自助・公助・共助の三面から評価し、それぞれの役割分担を明確にすること、第五に、策定したアクションプログラムはこれをあらゆる手法によって県民に広く公表し、県民の正当な評価を仰ぐものとすることと考えるものであります。
 そこで、総務部長にお伺いいたします。
 県として、早い機会にこのようなアクションプログラムを策定していこうとする考えを持たれているのでしょうか。私は、今この時期に東南海・南海地震に対する県の姿勢を県民に具体的に示すことが県民各自の地域防災対策の必要性についての有効な啓発手段となるとともに、あらゆる機関と県民が一体となって地震に対する防災対策を進めていく契機になるものと考えるものであります。今後、これらの地域防災対策に相当な予算が必要になると思うのでありますが、これに対する県民の理解を求めていく上でも重要であると考えます。いかがでしょうか。
 次に、観光客等の津波避難対策についてお伺いいたします。
 県が作成した津波シミュレーションや新聞、テレビなどの報道によりますと、県内随一の観光地である白浜には、地震発生から二十分以内に高さ約五メートルの津波が襲うとされています。同様に勝浦には、東南海、南海地震とも、おおむね十分程度で津波がやってくるものとされております。知事は、東南海・南海地震の特徴である津波からの円滑な避難対策に重点を置き、これからの地域防災対策を講じていくと言っておられます。また、本年十一月十三日には和歌山県で初めての津波避難訓練を行う予定と聞いているところでもあります。本県も津波避難対策についてやっと緒についたという感じがいたします。
 先日放送されていましたNHKのテレビ番組によれば、白浜町のホテルでは観光客の津波避難対策を始めているとのことでありました。しかし、このような対策を講じているのはほんの一部にすぎないとも伝えておりました。
 来年度当初に当たり施行が予定されている東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法第七条第一項には、推進地域内において不特定多数の者が出入りする施設を管理・運営する者は津波からの円滑な避難に関する対策計画を定めなければならないとされております。東海地震に適用される大規模地震対策特別措置法及び同法施行令を参考とするならば、恐らく不特定多数の者が出入りする施設の中にはホテル、旅館が含まれることになるかと思います。東南海・南海地震が注目されている中、本県の沿岸部を観光に訪れようとする方々はいかに考えるでしょうか。
 もし津波が発生した場合に多くの観光客を津波から避難させられなかったときは、もはや観光地としての価値は著しく損なわれてしまうことでしょうし、それ以前に、津波避難に対する十分な対策が講じられていない観光地を果たして観光客はどのように感じるでしょうか。安全に対する十分な配慮がなされている観光地こそがよい観光地であることを理解し、これに対する付加価値を認めてくれるものだと考えるものであります。恐らく、特別措置法において対策計画の策定を求められる者は、一定規模の施設を管理・運営する者に限られると思います。
 そこで、総務部長にお伺いいたします。
 和歌山県の観光地が全国から信頼を得るためには万全な津波対策を求めていくべきものと考えますが、対策計画の策定対象者と具体的な策定に係る今後のスケジュールはどうなっておるのか、また県は観光客に対する津波避難についてどのように対処していくつもりなのか、ご答弁をお願いいたします。
 最後は、地震発生後の緊急輸送路の整備についてでございます。
 東南海・南海地震、特に南海地震が起こった場合には紀南の基幹道路である国道四十二号は津波により被災し、緊急輸送路として活用できない事態になることは容易に想像できるものであります。地震発生から少なくとも六時間は津波がおさまらず、また余震の影響で六時間を過ぎても通行するのが困難な状況になることも考えられるところであります。
 先月の二十三日、本県の山間部を南北に走る道路の一つである国道三百七十一号沿線の東牟婁・西牟婁の町村長や議会の議長さん、それに私ども県会議員ら関係者が集まって、三百七十一号の整備改修を国や県の関係者に要望したところであります。南海地震クラスの地震が発生した場合、国道四十二号は津波で全面通行どめとなり、東牟婁・西牟婁の海岸筋の交通手段はなくなり、三百七十一号に頼らざるを得なくなるのは必至であると思います。この路線には未整備な箇所が何箇所もあり、防災対策面から見ても早急な整備改修が必要であると考えるものであります。国道三百七十一号を津波発生時の緊急輸送路として位置づけ整備を図っていくことが、事が起こった場合にも対処することができる、まさに知事の言われる「命の道」になるのではないかと考えております。
 そこで、土木部長にお伺いいたします。
 国道三百七十一号を大地震の際の緊急輸送路として位置づけることについてどのように考えておられるのか。またあわせて、この路線を今後どのように整備していく予定であるのか、整備方針についてもお伺いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。当局の誠意あるご回答をお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの小原泰君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの高速道路についてのご質問でございます。
 高速道路につきましては、先般、民営化推進委員会が中間報告を出しまして、それを子細に読みますと、一方では凍結とか規格の見直しをしながらやっていくんだという話がある一方で、また財源としては、新しいどこかの保有機構からのお金と、それからプール制ではないけれども、それぞれの高速道路から上がってくる利用料金と国、地方のお金を合わせてやっていくんだということが書いてありまして、これは、どういうふうにしていくのか、幾ら読んでもなかなかわからないような状況でございます。
 それからまた、国会議員の中では整備計画区間は全部やるんだという形の意見が出てきておりまして、いずれにいたしましても、これから年末にかけて未整備区間の取り扱いについては相当激しい議論がなされてくるというふうに考えております。
 そういう中で私が一番危惧しておりますのは、民営化推進委員会が費用対効果と申しますか、例えば百円の利用料金を上げるのに百五十円かかるようなところは要らないんだとかいうふうな、単なる矮小化された議論で高速道路の必要性を言う立場に立っていることが非常に危惧されるところでございます。高速道路は本来、日本の国全体の流通とか物流、人流を合わせた中でどういうふうに整備していくのかということから考えるべきでありますし、そしてまた、日本の国一国のことじゃなくて国際競争力の中から考えていくことなので、四十兆円の借金をどうするかということから入っていくというのは、これはちょっと本末転倒の議論であろうかというふうに思っております。
 そういう意味で、和歌山県にとっての高速道路の紀南延伸は、県にとっても、当然のことながら物流、人流の中から地域の振興を図っていこうということでぜひとも大切なものでございますし、これは何としても整備計画区域、さらには計画区域全体について整備されるように思い切った働きかけをしていかないといかんというふうに思っております。
 そして、その中で一つ危惧されますのは、それほど重要な道なんだったら県がお金を出してつくればいいんじゃないかというふうな方向へ話が行くことがあるわけでございますけれども、高速道路というのは日本全国で順番に──和歌山県もお金を出したり努力したりしながら、先のところも、できれば後のところもできるという順番にやってきている、まあ言ってみれば頼母子講のようなものでございまして、和歌山県はそろそろ頼母子講を落とそうかなと思っていたら、もうこの講はやめになりましたと言われているようなことと同じようなことになりますので、これはやはり国策としてちゃんと全部の高速道路をつくってもらうということにしてもらわなければならないので、多面的にこの和歌山県の高速道路の必要性ということを私はいろんな場面で述べていきたいと考えているところでございます。
 それから、その他一般の紀南の方の道路のことでございますけれども、当然のことながら、和歌山県がこれから発展していくためには豊かな自然とか観光とか、そういうふうなものを生かしながら発展していくことが大変大事なことだと思っておりまして、そのためにも物流、人流の道は、高速道路に限らず通常の生活道路というものも非常に大事ですし、それから住民の方にアンケート調査をとっても、公共事業で一番やってほしいのは圧倒的に道路というふうな結果が出ているわけです。
 ただ、そういうふうな中で、若干必要性に乏しいような道路とか、それからまた本当の必要性はそれほど大きなものでなくてもいい、もう少し小さな基準でもいいんだけれども補助制度の中で大きなものになっているという例もなきにしもあらずというふうに考えますので、そういうことについては、地方からの公共事業のあり方と基準ということに従って地方が主体になって道路づくりを進めていく。そういうふうなことを今研究し、そしてまた国の方へも提言しているところでございます。
 いずれにせよ、そういうふうな制度をとったから補助金が来なくなったということになっては困りますので、ちゃんと来るべきものは来て、そのことによって、そのお金で必要なものを住民にとって一番役に立つような形でつくっていくということでこれからも道路整備を進めていきたいと、このように考えております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、観光振興と連動した道路整備についてでございますが、議員ご指摘のとおり、豊かな自然とそれにはぐくまれました歴史・文化を生かした観光振興が紀南地方の活性化に有効な施策であると考えております。そのため、広域観光ルートとして、近畿自動車道紀勢線を初め、地域高規格道路である国道百六十八号、国道百六十九号等の幹線道路の整備を重点的に進めるとともに、国道四十二号については現道対策などを国に働きかけてまいります。
 幹線道路に連なる一般道につきましても、市町村が重点を置く体験型観光の拠点へのアクセスを意識し、優先順位をつけて地方基準により順次整備を進めてまいります。
 次に、東南海・南海地震対策のうち緊急輸送路の整備についてでございますが、昭和二十一年の南海道地震の被災状況を見ても、地震に伴う津波により国道四十二号が寸断されることが予想されます。国道四十二号の代替路及び緊急輸送路として近畿自動車道紀勢線の整備が不可欠であり、その必要性を強く国に訴えてまいります。
 国道三百七十一号につきましては、国道四十二号から古座川町蔵土の臨時ヘリポートまでの区間が緊急輸送路として位置づけられておりまして、当面この区間を重点に、国道四十二号の代替路となるよう現道対策を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 地震対策につきましてお答えを申し上げます。
 まず、地震防災対策アクションプログラムの策定についてでございますが、本県におきましては、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、平成七年度以降、和歌山県地域防災計画震災対策計画編の大幅な見直しや地震防災対策特別措置法に基づき地震防災緊急事業五箇年計画を策定し、これを推進するなど、地震防災対策の強化を図ってきております。
 あの大震災から七年余りが過ぎまして防災意識の風化が危惧される中、東南海・南海地震の長期評価の発表、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の成立を契機に、県民の地震防災に対する関心が高まりつつある状況にあるものと認識しております。
 このような状況を踏まえますと、これまでに構築してきた制度、枠組みの効果的な運用と社会的定着を図り、その実効性を高めるとともに今後取り組むべき地震防災対策について、来るべき東南海・南海地震に万全を期するという新たなステップへ移行させるべき時期に来ているものと考えております。
 このため、特別措置法に定められました推進計画の策定に取り組むとともに、議員ご指摘のとおり、今後十年程度の期間に進むべき基本的方向性やそれに伴って講ずべき具体的施策を取りまとめることが必要であると考えておりまして、アクションプログラムの策定につきまして、議員のご意見も踏まえながら積極的に検討を行ってまいりたいと考えております。
 次に、観光客等の津波避難対策についてでございます。
 まず対策計画の策定対象者でございますが、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法により対策計画を作成しなければならないとされている者は、推進地域内において病院、百貨店等不特定多数の者が出入りする施設等で、政令で定めるものを管理し、または運営することとなる者とされておりまして、政令が公布されていない現段階では具体的に定まっておりませんが、大規模地震対策特別措置法の例で見ますと、地震防災応急計画を定めることとされている者は、議員のご指摘にもありましたが、旅館、ホテル、そして飲食店、店舗などと具体的に示されておりまして、今具体的に挙げましたものにつきましては収容人数三十名以上の施設の管理者とされております。
 今後の策定スケジュールについてでございますが、特別措置法は公布の日、すなわち平成十四年七月二十六日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとされております。
 国は、現在調査を進めております東南海・南海地震等に関する専門調査会における調査結果を推進地域の指定や基本計画の策定に反映することとしておりまして、調査結果が公表される時期が今年度末とされておりますことから、おおむね平成十五年度当初には施行の運びになるのではないかと考えております。
 県といたしましては、専門調査会の動向を見ながら、法施行後、民間事業者等の対策計画の作成がスムーズに進むよう準備を進めてまいりたいと考えております。
 また、観光客等の津波避難につきましても、住民と同様、その対策を講じていくことが必要であると考えております。県では現在、消防庁の指導のもとに地域ごとの津波避難計画策定モデル事業に取り組んでおりまして、今年度末には沿岸全市町に対しその成果を示して津波避難計画の策定を促していくこととしており、今後、沿岸市町が作成していく津波避難計画に観光客等の避難に関する事項を盛り込むよう指導してまいりたいと考えております。
 また、本年度実施いたします津波避難訓練には、初めての試みということもあり、観光客等の避難に関するメニューは入れられておりませんが、今後、沿岸市町の協力も得ながら旅館等に参加していただくなど、観光客の避難についても取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、小原泰君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
  【日程第三 議案等の付託】
○議長(宇治田栄蔵君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件のうち、議案第百三十三号平成十三年度和歌山県歳入歳出決算の認定について及び議案第百三十四号平成十三年度和歌山県公営企業決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
  【日程第四 請願付託の件】
○議長(宇治田栄蔵君) 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。九月二十日、二十四日及び二十五日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) ご異議なしと認めます。よって、九月二十日、二十四日及び二十五日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、九月二十六日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時三十八分散会

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