平成14年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(下川俊樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
 この際、新任者をご紹介申し上げます。
 六月二十七日、人事委員会の委員に選任同意され、七月十九日就任されました松原敏美君をご紹介申し上げます。
 人事委員松原敏美君。
  〔松原敏美君、登壇〕(拍手)
○人事委員(松原敏美君) 去る六月議会におきまして皆様方のご同意を賜り、引き続いて人事委員会委員に選任されました松原敏美でございます。
 もとより微力ではございますが、誠心誠意職務に取り組みたいと考えておりますので、どうかよろしくご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
 まことに簡単ではございますが、ごあいさつにさせていただきます。ありがとうございました。
  【日程第一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに知事専決処分報告報第八号、報第九号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十二番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 質問に入ります前に、一言申し上げたいと思います。
 昨日、日朝両首脳の間で平壌宣言に調印をされたわけです。歴史的なスタートだと思います。懸案でありました朝鮮民主主義人民共和国の日本人拉致問題に対して、私たちが想像していた以上の大変残酷で悲しい結果を知ることになりました。二十数年、我が子、兄弟の生存を信じて大変なご努力で活動をされてきましたご家族の皆様方の気持ちを思うときに、察して余りあるものがあります。ご家族の方に心から深甚なる敬意とともにお悔やみを申し上げますとともに、遠い他国でとうとい命を失われた多くの方に心からご冥福をお祈りしたいと思います。
 それでは、通告に従いまして質問に入らせていただきます。
 本日は、東南海・南海地震等に対する県の防災対策について、メタンハイドレートについて、ドクターヘリの実施について、熊野川の濁水対策について、以上の四点を質問し、当局の所信をお伺いしたいと思います。
 まず、東南海・南海地震等に対する県の防災対策についてお伺いをいたします。
 本県で死者百九十五名、行方不明者七十四名、負傷者五百六十二名、全壊・半壊・流失家屋三千七百三十六戸、浸水家屋一万四千百二戸、全焼家屋二千三百九十九戸という未曾有の大災害を招いた昭和二十一年の南海道地震──私たちの先輩による不断の努力と大いなる郷土愛をもって復興に尽くされた結果、五十余年の歳月を経て南海道地震の記憶は過去のものになりつつありました。
 ところが、昨年九月、国の地震調査研究推進本部地震調査委員会の長期評価において、東南海・南海地震の発生確率が今後三十年以内で四〇から五〇%と発表され、人々の脳裏には当時の悲惨な記憶が現実のものとしてよみがえってまいりました。そうした中、ことし七月に東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する法律がハイスピードで成立し、東南海・南海地震対策が国家的プロジェクトとしてスタートされることになりました。
 さて、南海地震は、個別発生の場合はマグニチュード八・四、東海、東南海地震が同時に発生した場合はマグニチュードが八・五にも達し、その揺れの強さは県の南部ほど大きく、那智勝浦町や古座町では震度七、新宮市や田辺市でも震度六強など、さきの南海道地震を上回る規模の地震が予想されております。そして、この地震の揺れによって新宮市では木造建物の全壊率二〇%以上、非木造建物の大破率一〇%以上となることも予想されてございます。こうした建物の倒壊や火災、津波等の被害、電気やガス、水道、電話等の断絶、さらには鉄道や道路などの道路交通網の遮断などにより孤立する地域が発生することも予想されています。
 阪神・淡路大震災では、被災地が局所的で、全国各地から救援活動が展開されましたが、南海地震の場合は広域災害に発展する可能性が高く、他府県等からの支援が困難になります。このため、県が中心となり、市町村及び防災関係機関等と連携して適切な応急対策、復旧対策を実施する必要があります。特に、地震発生源が紀伊半島沖と想定するならば、その影響を真っ先に受け、加えて甚大な被害が予想されるのは新宮市を初めとする紀南地域であり、その際は県の災害対策本部との連絡体制が大変重要なポイントになります。
 そこで、災害時の県の司令塔とも言うべき防災センターの整備を含めた県の防災体制のあり方について、知事の所見をお伺いするものでございます。
 次に、地震に伴う津波対策についてお伺いをいたします。
 「ジェット機並みの速さで陸地に近づき、新幹線並みの速度で海岸を襲う」と言われている津波から住民を守るためには、何よりもまず住民の自主的な取り組みが重要であります。同時に、防波堤や護岸堤の海岸線のハード面の整備も極めて重要であります。今後、県当局にあっては東南海・南海地震に向けた基本計画等を策定していくことになると思いますが、今回は津波対策に絞って、海岸を所管し、公共事業の大半を担うであろう関係部長に今後の取り組みの基本方針をお伺いするものであります。
 あわせて、提案を交えて土木部長の所見をお伺いいたします。
 私は、今回想定されている規模の地震が発生した場合には、紀伊半島沿岸部は壊滅状態になり、特に鉄道、道路などの交通機関は至るところでずたずたに切断され、文字どおり陸の孤島になるのではないかと大変憂慮してございます。その際、救援物質を届け、復旧活動を支援するルートは海上のみになるのではないか。仮に船による対策が講じられた場合、船が接岸する港湾は果たして大丈夫なのでありましょうか。私は、新宮、串本、田辺、御坊といった拠点地域は防災港湾として整備すべきと提案するものであります。
 現在整備中の新宮港、日高港について耐震設計はなされているのかどうか。もし想定されていなければ海上交通の拠点として防災、耐震設計を加えた防災拠点港湾としての整備をすることを提案するものであり、所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、メタンハイドレートについてお伺いをいたします。
 平成十四年六月二十八日の「紀南新聞」に、経済産業省が六月末からメタンハイドレートの賦存状況調査を南海トラフの東海沖、第二渥美海丘、そして熊野灘北部の海域で実施するとの記事がありました。その記事には、メタンハイドレートとは天然ガスの主成分であるメタンと水から成るシャーベット状の固形ガスで、日本近海の埋蔵量は国内天然ガス年間消費量のおよそ百年分に相当すると試算され、将来のエネルギーとして嘱望されているとありました。石油や石炭と比べて二酸化炭素の発生量が少ないとされる天然ガスを安全に取り出せるとすれば、昨今の地球温暖化問題においても二酸化炭素排出抑制にもつながるという、環境にも優しい資源として期待できるものと思われます。
 我が国ではエネルギーの約半分を石油で賄っていますが、自国に資源を持たないため、その九九・七%を輸入に頼り、また石油や石炭などのエネルギー資源には限りがあり、石油のとれる年数はあとわずか数十年で、二十一世紀半ばごろにはなくなってしまうという予想もされてございます。
 将来、このメタンハイドレートの利用が可能となれば、我が国のエネルギー自給率の向上につながり、新たな国産エネルギーとしてではなく、全人類のためのエネルギー資源として大いに期待したいところであります。さらに、和歌山県沖の熊野灘海域が賦存有望海域とされれば、商業生産に向けた開発計画の展開に伴い、至近距離にある和歌山県にとって、とりわけ埋立造成計画の進む新宮港にとっては開発調査基地としての利用など、幅広い波及効果が見込まれ、本県経済発展の一翼を担ってくれるものと期待をしてございます。
 そこで、企画部長にお尋ねをいたします。
 まず、メタンハイドレートとはどんな資源なのでしょうか。また現在、経済産業省による調査が進められているとのことでございますが、調査の進捗状況や今後の開発計画の展開等について説明をお願いいたします。
 次に、ドクターヘリの実施についてお伺いをいたします。
 我が国最大の半島である紀伊半島に位置する和歌山県は、南北に長く、山間僻地が多いという地理的な条件を持ってございます。また、人口分布の偏りによる医療資源の偏在があり、三次救急医療機関である救命救急センターは県北部の和歌山市にしか存在せず、紀南地域では拠点となる二次医療機関も沿岸の都市部に集中をしてございます。本県では、このような地理的条件から重篤救急患者の医療機関までの収容に長時間を要するケースが多く、心疾患の死亡率は二位であり、また脳卒中の死亡率も上位にあります。
 救急医療の最も重要な課題は、いかに早く救急医療行為を開始するかにあります。ヘリコプターによる救急医療体制の進んでいる欧米諸国、例えばドイツでは、国を半径五十キロメートルの円で埋め尽くし、それぞれの中心部の拠点病院にヘリコプター基地を設け、世界で最も早く体系的なヘリコプターの救急体制を構築し、アウトバーンの高速自動車事故による犠牲者を劇的に減少させております。山岳地帯の多いスイスでは、国の数十カ所にヘリコプターを配備し、国内のほとんど全域に医師が十五分で到着できる体制を整えていると聞いてございます。これは、救命のための医療行為をいかに早く開始するかの工夫であり、欧米では心肺停止者の社会復帰率は平均一〇%であるのに対して、我が国では平均数%程度だと言われてございます。
 ドクターヘリは、まさに本県のような半島地域において、治療開始時間を短縮することにより患者の救命率向上や後遺症の軽減に大きな成果を期待できるものであり、また今後数十年以内に発生が予想されています東南海・南海地震の災害医療にも重要な役割を果たすものであります。
 私は、本会議において、これまで何度も紀南地域を対象とした救急医療はどうあるべきかについて当局に質問をしてまいりました。昨年二月定例会本会議においてもこの問題について質問したところ、知事より「ドクターヘリ導入について検討し、しかるべき時期に導入していきたい」との力強い答弁をいただき、その後わずか一年で予算化されたところであります。紀南地域は特に高速交通体系が未整備で高度な医療が不足している状況にあり、それだけにこのドクターヘリに対して紀南地域の住民が寄せる期待は大きなものがございます。
 そこで、ドクターヘリ実施に向けての県の取り組み状況についてお伺いをいたします。
 ドクターヘリの運航に当たっては、臨時ヘリポートの確保や消防機関を初めとする関係機関との連携などが重要な課題であると考えますが、これらの進捗状況はどうなっているのでありましょうか。
 また、全国で初めて運航方法として本県と三重県、奈良県との協力による三県共同利用が予定をされてございますが、協力体制は整っているのか、知事にお伺いをいたします。
 最後に、熊野川の濁水対策についてお伺いをいたします。
 新宮川水系の熊野川は、奈良県十津川村を源に、大小の支川を合わせながら十津川渓谷を南流し、大台ケ原山を水源とする北山川と合流した後、熊野灘に注ぐ流域面積二千三百六十平方キロメートル、幹川流域路延長百八十三キロメートルの、和歌山県、三重県及び奈良県の三県にまたがる河川であります。新宮川水系は年間降水量が三千ミリを超える日本有数の多雨地帯であり、豊富な水量を生かして発電を行うために昭和三十年から四十年の間に九基のダムが完成し、関西地域の電力供給地として重要な役割を果たしてまいりました。ところが、熊野川町椋呂の十津川第二発電所から熊野川に放流される濁水は、流域住民にとって大きな環境問題となってございます。
 私は、以前から本会議において熊野川の濁水問題について県当局の考え方をただしてきましたが、これまで電源開発株式会社は流域における治山事業への協力、風屋ダムに表面取水設備の設置、風屋、二津野ダムでの発電停止期間の延長、さらには洪水後、ダム水位のさらなる低下による濁質貯留量の減少等の対策を講じているとお聞きをしてございます。こうした対策により北山川では、大雨が降って河川が増水しても、速やかに澄んだ水としてよみがえっています。
 しかしながら熊野川の方は、大雨が降った場合、奈良県十津川村の二津野ダムに濁水が流入・貯留され、その後、送水管により十津川第二発電所まで送水され、そして発電後、熊野川に放流されておりますが、水はなかなか澄んでこず、北山川の合流地点までは熊野川と左岸側が濁水の帯となって流れ、北山川との合流後は河川全体に汚濁が拡散し、長期間にわたって濁水が流れ続けるなど、いまだ改善をされてございません。この濁水の長期化は、景観面だけではなく、アユ等の河川の生物への影響も大きく、そして豊かな自然環境を後世の人たちに残していく上でも決して見過ごせない問題であり、紀伊山地の霊場と参詣道としての世界遺産登録を円滑に進めるためにも熊野川の清流確保は大変重要であります。
 こうした現状を踏まえて、昨年十二月、県当局が電源開発株式会社に対し、実効性のある濁水長期化対策を早急に実施することについて要望されていますが、これに対して電源開発株式会社からどのような回答があったのか、そしてその回答に対する県当局の評価はいかがなものか、土木部長にお尋ねをして質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの防災センターを含む県の防災体制についてのご質問でございます。
 ご案内のように、この七月に県議会各位の大変なご支援もありまして、国の方で東南海・南海地震の法律が大変なスピードででき上がるという形になりました。これを受けて、この法律だけかと思っておりましたが、各省ともこの概算要求でいろいろな調査とか研究とかについての予算要求をしているところでございますし、内閣府の方でも被害想定等、現在鋭意作業を進めているところでございますので、この法律によって南海地震というものが国全体の大変な地震として初めて認定されることになったということで、私も非常に喜んでいるところでございます。
 今後は、国のいろいろな動きと合わせながら、県も独自で、いろいろな被害想定でありますとか、それから防災体制の確立、ハード・ソフトを合わせた対応策について検討してまいりたいと思います。それから、津波を想定した大規模な被害訓練ということも行っていきたいというふうに思っております。
 あわせまして、以前から防災センターの必要を申し上げてまいりました。これは、この建物が防災本部になりますと地震のときに大変なことも予想されますので、早急に防災センターをということを言っていたわけでございますけれども、この法律ができましたことによりまして、この必要性というものは以前以上に大変重要なものになってきていると思っております。
 緊急時の指令等を行う場所ということになってまいりますので、やはりこの県庁のそばが適地だということになりますので、今三カ所ほど適地を考えて最終的な詰めを行っているところでございまして、年内にも一番適切な土地を選んで建設にかかってまいりたいと、このように思っております。
 あわせて、箱だけではいけませんので、衛星通信の制度の導入ということを考えております。これは多額な費用がかかるわけでございますけれども、やはり人の命が一番大事でございますので、これについては非常に厳しい財政状況下でございますけれども、この防災センターとあわせて進めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、ドクターヘリについてでございます。
 議員のいろいろなご質問等のこともありまして、私ども、何とかドクターヘリの導入ということで頑張ってきたわけでございますけれども、ようやく今年度から導入の方向で進んでまいりました。これも県議会のご理解のたまものというふうに思っております。
 これは導入しただけではいけませんので、ご質問にもありましたように、運航体制でありますとか、それから消防機関が要請する場合の基準でありますとか、県民に対する啓発でありますとか、今こういうことについて鋭意詰めているところでございます。
 それから、初めて県立医大が基地となるということでございますので、県立医大の対応ということも非常に重要になってまいります。今、鋭意担当のところで詰めているところでございます。
 この結果といたしまして、紀南地方では三十分以内に専門医による高度救急医療が受けられるということになりますので、おくればせではございますけれども、紀南の方々にも安心していただける体制がとれるものと喜んでいるところでございます。
 そして、このやり方につきましては、これも一つの和歌山方式なんですけれども、和歌山県が初めて三重県、奈良県と共同して運航をするという方法をとりました。これはまあ、一つには費用を軽減させるというメリットもあるわけでございますけれども、それよりもやはりこの紀伊半島というのは一つということの中でいろいろな対応をとっていかなければならないということの一つの試みでございまして、ことしの八月に共同運航の基本協定を結んで、これも順調に協議が進んでいるところでございます。そして、この和歌山のやり方を、既に導入しているところとか、そういうところでも見習おうというふうな動きが出てきているということも付言させていただきます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、地震に伴う津波対策についてですが、農林水産部の対策もあわせてお答えいたします。
 現在、津波対策としては湯浅広港において津波防波堤の整備を進めておりまして、引き続きこのようなハード対策を進めてまいりたいと考えております。
 しかしながら、これらハード対策には多くの費用と時間がかかりまして、その間に津波発生の危険性も増すことから、一刻も早く関係市町村と連携をとり、ソフト対策、すなわち避難対策を充実させていくよう考えております。今後、東南海・南海地震に係る特別措置法による基本計画等の策定に当たっても、このような考え方で取り組んでまいりたいと考えております。
 また、議員ご指摘のとおり、大規模地震発生後の被災者の救援や緊急物資の輸送、あるいは復旧活動には、海上輸送の活用が重要であります。そのため、新宮港、串本漁港、文里港、日高港において、それぞれ耐震性を強化した岸壁を整備しております。今後とも、耐震岸壁を着実に整備してまいりたいと考えております。
 次に、熊野川の濁水対策に関しての電源開発株式会社への要望に対する回答とその評価についてお答えいたします。
 県では、昨年十二月に、議員のご支援もいただき、電源開発株式会社に対し濁水対策を実施するよう強く申し入れを行ったところであります。それに対して、八月九日に電源開発株式会社から二つの対策をとるとの回答を受けております。
 その一つ目は、洪水時の対策の強化であります。風屋ダム及び二津野ダムにおいて、これまで以上に濁水を多量に早く放流し、きれいな水をできるだけ多く貯留することにより発電再開後の濁度を軽減させることであります。
 二つ目は、平常時の濁水対策の強化であります。風屋ダムにおいて、貯留中の水のうち、できるだけきれいな水の層から取水するよう取水位置を変えること、また両ダムにおいて夏場の観光シーズンに発電停止を行うこと、並びに早く濁りが沈む方法を研究開発することであります。
 以上の対策による効果をシミュレーションしてみますと、洪水時対策の強化により二津野ダムからの放流水の濁度が約六割低減でき、放流水がささ濁り程度──五ppm──で、それ以上となる濁水期間が年間で約六カ月から約三カ月に短縮できるとの結果が出ております。
 今回の対策により濁水軽減には大きな効果があると思われますが、今後とも対策案の効果を検証するとともに、電源開発株式会社への働きかけを継続してまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) メタンハイドレートの質問二点について、一括してお答えを申し上げます。
 メタンハイドレートとはメタンガスと水の分子から成る氷状の固体物質でございまして、陸地では永久凍土の下部ですとか、あるいは海では約千メートル程度の深海の地層中に存在することが知られております。
 主に海底に埋蔵されるメタンハイドレートの量は、天然ガスや原油、石炭などの化石燃料と言われる資源の総埋蔵量の二倍以上あると言われております。また、日本近海には我が国の天然ガス年間消費量の百年分に相当する量が賦存しているとの試算もあります。しかしながら一方において、メタンハイドレートは新しいタイプの資源であり、いかに経済的に安全に開発を行うかについてさまざまな課題もあります。
 メタンハイドレートに関する研究は一九八〇年代から国内外で研究され始め、経済産業省では平成十二年六月にメタンハイドレート開発検討委員会が設置されまして、平成十三年七月にメタンハイドレート開発計画が策定をされております。この計画では、日本周辺海域におけるメタンハイドレートの商業的産出に向けて、二〇一六年度までに日本近海域での賦存有望地域の選定、産出試験実施場所の確定、メタンハイドレートに関する基礎研究、商業的産出のための技術の整備、経済性等の評価を行うこととなっております。
 今般の調査は、静岡県沖の東海沖海域から愛知県沖の第二渥美海丘、三重県・和歌山県沖の熊野灘北部の三海域を選定し、経済産業省資源エネルギー庁から委託を受けた石油公団が六月末から八月中旬、九月下旬から十一月下旬の二期に分けて音波探査による基礎調査を開始いたしました。八月末までに東海沖と第二渥美海丘の一部の探査を予定どおり終了し、和歌山県沖の熊野灘北部につきましては、十月中旬から開始される予定であると聞いております。
 県としましても、このメタンハイドレートの開発計画に強い関心を持ってございまして、これまでも和歌山県沖での調査事業について経済産業省に強く要望してきたところでございます。今後ともこの計画の進展に注目し、情報収集に努めてまいるとともに必要な対応を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、下川俊樹君の質問が終了いたしました。

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