平成14年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十四年九月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十四年九月十八日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         内   田   安   生
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       阪   口   裕   之
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      高   綱   直   良
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長職務代理者
                中   村   利   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
 この際、新任者をご紹介申し上げます。
 六月二十七日、人事委員会の委員に選任同意され、七月十九日就任されました松原敏美君をご紹介申し上げます。
 人事委員松原敏美君。
  〔松原敏美君、登壇〕(拍手)
○人事委員(松原敏美君) 去る六月議会におきまして皆様方のご同意を賜り、引き続いて人事委員会委員に選任されました松原敏美でございます。
 もとより微力ではございますが、誠心誠意職務に取り組みたいと考えておりますので、どうかよろしくご指導、ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
 まことに簡単ではございますが、ごあいさつにさせていただきます。ありがとうございました。
  【日程第一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに知事専決処分報告報第八号、報第九号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三十二番下川俊樹君。
  〔下川俊樹君、登壇〕(拍手)
○下川俊樹君 質問に入ります前に、一言申し上げたいと思います。
 昨日、日朝両首脳の間で平壌宣言に調印をされたわけです。歴史的なスタートだと思います。懸案でありました朝鮮民主主義人民共和国の日本人拉致問題に対して、私たちが想像していた以上の大変残酷で悲しい結果を知ることになりました。二十数年、我が子、兄弟の生存を信じて大変なご努力で活動をされてきましたご家族の皆様方の気持ちを思うときに、察して余りあるものがあります。ご家族の方に心から深甚なる敬意とともにお悔やみを申し上げますとともに、遠い他国でとうとい命を失われた多くの方に心からご冥福をお祈りしたいと思います。
 それでは、通告に従いまして質問に入らせていただきます。
 本日は、東南海・南海地震等に対する県の防災対策について、メタンハイドレートについて、ドクターヘリの実施について、熊野川の濁水対策について、以上の四点を質問し、当局の所信をお伺いしたいと思います。
 まず、東南海・南海地震等に対する県の防災対策についてお伺いをいたします。
 本県で死者百九十五名、行方不明者七十四名、負傷者五百六十二名、全壊・半壊・流失家屋三千七百三十六戸、浸水家屋一万四千百二戸、全焼家屋二千三百九十九戸という未曾有の大災害を招いた昭和二十一年の南海道地震──私たちの先輩による不断の努力と大いなる郷土愛をもって復興に尽くされた結果、五十余年の歳月を経て南海道地震の記憶は過去のものになりつつありました。
 ところが、昨年九月、国の地震調査研究推進本部地震調査委員会の長期評価において、東南海・南海地震の発生確率が今後三十年以内で四〇から五〇%と発表され、人々の脳裏には当時の悲惨な記憶が現実のものとしてよみがえってまいりました。そうした中、ことし七月に東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する法律がハイスピードで成立し、東南海・南海地震対策が国家的プロジェクトとしてスタートされることになりました。
 さて、南海地震は、個別発生の場合はマグニチュード八・四、東海、東南海地震が同時に発生した場合はマグニチュードが八・五にも達し、その揺れの強さは県の南部ほど大きく、那智勝浦町や古座町では震度七、新宮市や田辺市でも震度六強など、さきの南海道地震を上回る規模の地震が予想されております。そして、この地震の揺れによって新宮市では木造建物の全壊率二〇%以上、非木造建物の大破率一〇%以上となることも予想されてございます。こうした建物の倒壊や火災、津波等の被害、電気やガス、水道、電話等の断絶、さらには鉄道や道路などの道路交通網の遮断などにより孤立する地域が発生することも予想されています。
 阪神・淡路大震災では、被災地が局所的で、全国各地から救援活動が展開されましたが、南海地震の場合は広域災害に発展する可能性が高く、他府県等からの支援が困難になります。このため、県が中心となり、市町村及び防災関係機関等と連携して適切な応急対策、復旧対策を実施する必要があります。特に、地震発生源が紀伊半島沖と想定するならば、その影響を真っ先に受け、加えて甚大な被害が予想されるのは新宮市を初めとする紀南地域であり、その際は県の災害対策本部との連絡体制が大変重要なポイントになります。
 そこで、災害時の県の司令塔とも言うべき防災センターの整備を含めた県の防災体制のあり方について、知事の所見をお伺いするものでございます。
 次に、地震に伴う津波対策についてお伺いをいたします。
 「ジェット機並みの速さで陸地に近づき、新幹線並みの速度で海岸を襲う」と言われている津波から住民を守るためには、何よりもまず住民の自主的な取り組みが重要であります。同時に、防波堤や護岸堤の海岸線のハード面の整備も極めて重要であります。今後、県当局にあっては東南海・南海地震に向けた基本計画等を策定していくことになると思いますが、今回は津波対策に絞って、海岸を所管し、公共事業の大半を担うであろう関係部長に今後の取り組みの基本方針をお伺いするものであります。
 あわせて、提案を交えて土木部長の所見をお伺いいたします。
 私は、今回想定されている規模の地震が発生した場合には、紀伊半島沿岸部は壊滅状態になり、特に鉄道、道路などの交通機関は至るところでずたずたに切断され、文字どおり陸の孤島になるのではないかと大変憂慮してございます。その際、救援物質を届け、復旧活動を支援するルートは海上のみになるのではないか。仮に船による対策が講じられた場合、船が接岸する港湾は果たして大丈夫なのでありましょうか。私は、新宮、串本、田辺、御坊といった拠点地域は防災港湾として整備すべきと提案するものであります。
 現在整備中の新宮港、日高港について耐震設計はなされているのかどうか。もし想定されていなければ海上交通の拠点として防災、耐震設計を加えた防災拠点港湾としての整備をすることを提案するものであり、所見をお伺いいたしたいと思います。
 次に、メタンハイドレートについてお伺いをいたします。
 平成十四年六月二十八日の「紀南新聞」に、経済産業省が六月末からメタンハイドレートの賦存状況調査を南海トラフの東海沖、第二渥美海丘、そして熊野灘北部の海域で実施するとの記事がありました。その記事には、メタンハイドレートとは天然ガスの主成分であるメタンと水から成るシャーベット状の固形ガスで、日本近海の埋蔵量は国内天然ガス年間消費量のおよそ百年分に相当すると試算され、将来のエネルギーとして嘱望されているとありました。石油や石炭と比べて二酸化炭素の発生量が少ないとされる天然ガスを安全に取り出せるとすれば、昨今の地球温暖化問題においても二酸化炭素排出抑制にもつながるという、環境にも優しい資源として期待できるものと思われます。
 我が国ではエネルギーの約半分を石油で賄っていますが、自国に資源を持たないため、その九九・七%を輸入に頼り、また石油や石炭などのエネルギー資源には限りがあり、石油のとれる年数はあとわずか数十年で、二十一世紀半ばごろにはなくなってしまうという予想もされてございます。
 将来、このメタンハイドレートの利用が可能となれば、我が国のエネルギー自給率の向上につながり、新たな国産エネルギーとしてではなく、全人類のためのエネルギー資源として大いに期待したいところであります。さらに、和歌山県沖の熊野灘海域が賦存有望海域とされれば、商業生産に向けた開発計画の展開に伴い、至近距離にある和歌山県にとって、とりわけ埋立造成計画の進む新宮港にとっては開発調査基地としての利用など、幅広い波及効果が見込まれ、本県経済発展の一翼を担ってくれるものと期待をしてございます。
 そこで、企画部長にお尋ねをいたします。
 まず、メタンハイドレートとはどんな資源なのでしょうか。また現在、経済産業省による調査が進められているとのことでございますが、調査の進捗状況や今後の開発計画の展開等について説明をお願いいたします。
 次に、ドクターヘリの実施についてお伺いをいたします。
 我が国最大の半島である紀伊半島に位置する和歌山県は、南北に長く、山間僻地が多いという地理的な条件を持ってございます。また、人口分布の偏りによる医療資源の偏在があり、三次救急医療機関である救命救急センターは県北部の和歌山市にしか存在せず、紀南地域では拠点となる二次医療機関も沿岸の都市部に集中をしてございます。本県では、このような地理的条件から重篤救急患者の医療機関までの収容に長時間を要するケースが多く、心疾患の死亡率は二位であり、また脳卒中の死亡率も上位にあります。
 救急医療の最も重要な課題は、いかに早く救急医療行為を開始するかにあります。ヘリコプターによる救急医療体制の進んでいる欧米諸国、例えばドイツでは、国を半径五十キロメートルの円で埋め尽くし、それぞれの中心部の拠点病院にヘリコプター基地を設け、世界で最も早く体系的なヘリコプターの救急体制を構築し、アウトバーンの高速自動車事故による犠牲者を劇的に減少させております。山岳地帯の多いスイスでは、国の数十カ所にヘリコプターを配備し、国内のほとんど全域に医師が十五分で到着できる体制を整えていると聞いてございます。これは、救命のための医療行為をいかに早く開始するかの工夫であり、欧米では心肺停止者の社会復帰率は平均一〇%であるのに対して、我が国では平均数%程度だと言われてございます。
 ドクターヘリは、まさに本県のような半島地域において、治療開始時間を短縮することにより患者の救命率向上や後遺症の軽減に大きな成果を期待できるものであり、また今後数十年以内に発生が予想されています東南海・南海地震の災害医療にも重要な役割を果たすものであります。
 私は、本会議において、これまで何度も紀南地域を対象とした救急医療はどうあるべきかについて当局に質問をしてまいりました。昨年二月定例会本会議においてもこの問題について質問したところ、知事より「ドクターヘリ導入について検討し、しかるべき時期に導入していきたい」との力強い答弁をいただき、その後わずか一年で予算化されたところであります。紀南地域は特に高速交通体系が未整備で高度な医療が不足している状況にあり、それだけにこのドクターヘリに対して紀南地域の住民が寄せる期待は大きなものがございます。
 そこで、ドクターヘリ実施に向けての県の取り組み状況についてお伺いをいたします。
 ドクターヘリの運航に当たっては、臨時ヘリポートの確保や消防機関を初めとする関係機関との連携などが重要な課題であると考えますが、これらの進捗状況はどうなっているのでありましょうか。
 また、全国で初めて運航方法として本県と三重県、奈良県との協力による三県共同利用が予定をされてございますが、協力体制は整っているのか、知事にお伺いをいたします。
 最後に、熊野川の濁水対策についてお伺いをいたします。
 新宮川水系の熊野川は、奈良県十津川村を源に、大小の支川を合わせながら十津川渓谷を南流し、大台ケ原山を水源とする北山川と合流した後、熊野灘に注ぐ流域面積二千三百六十平方キロメートル、幹川流域路延長百八十三キロメートルの、和歌山県、三重県及び奈良県の三県にまたがる河川であります。新宮川水系は年間降水量が三千ミリを超える日本有数の多雨地帯であり、豊富な水量を生かして発電を行うために昭和三十年から四十年の間に九基のダムが完成し、関西地域の電力供給地として重要な役割を果たしてまいりました。ところが、熊野川町椋呂の十津川第二発電所から熊野川に放流される濁水は、流域住民にとって大きな環境問題となってございます。
 私は、以前から本会議において熊野川の濁水問題について県当局の考え方をただしてきましたが、これまで電源開発株式会社は流域における治山事業への協力、風屋ダムに表面取水設備の設置、風屋、二津野ダムでの発電停止期間の延長、さらには洪水後、ダム水位のさらなる低下による濁質貯留量の減少等の対策を講じているとお聞きをしてございます。こうした対策により北山川では、大雨が降って河川が増水しても、速やかに澄んだ水としてよみがえっています。
 しかしながら熊野川の方は、大雨が降った場合、奈良県十津川村の二津野ダムに濁水が流入・貯留され、その後、送水管により十津川第二発電所まで送水され、そして発電後、熊野川に放流されておりますが、水はなかなか澄んでこず、北山川の合流地点までは熊野川と左岸側が濁水の帯となって流れ、北山川との合流後は河川全体に汚濁が拡散し、長期間にわたって濁水が流れ続けるなど、いまだ改善をされてございません。この濁水の長期化は、景観面だけではなく、アユ等の河川の生物への影響も大きく、そして豊かな自然環境を後世の人たちに残していく上でも決して見過ごせない問題であり、紀伊山地の霊場と参詣道としての世界遺産登録を円滑に進めるためにも熊野川の清流確保は大変重要であります。
 こうした現状を踏まえて、昨年十二月、県当局が電源開発株式会社に対し、実効性のある濁水長期化対策を早急に実施することについて要望されていますが、これに対して電源開発株式会社からどのような回答があったのか、そしてその回答に対する県当局の評価はいかがなものか、土木部長にお尋ねをして質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの下川俊樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの防災センターを含む県の防災体制についてのご質問でございます。
 ご案内のように、この七月に県議会各位の大変なご支援もありまして、国の方で東南海・南海地震の法律が大変なスピードででき上がるという形になりました。これを受けて、この法律だけかと思っておりましたが、各省ともこの概算要求でいろいろな調査とか研究とかについての予算要求をしているところでございますし、内閣府の方でも被害想定等、現在鋭意作業を進めているところでございますので、この法律によって南海地震というものが国全体の大変な地震として初めて認定されることになったということで、私も非常に喜んでいるところでございます。
 今後は、国のいろいろな動きと合わせながら、県も独自で、いろいろな被害想定でありますとか、それから防災体制の確立、ハード・ソフトを合わせた対応策について検討してまいりたいと思います。それから、津波を想定した大規模な被害訓練ということも行っていきたいというふうに思っております。
 あわせまして、以前から防災センターの必要を申し上げてまいりました。これは、この建物が防災本部になりますと地震のときに大変なことも予想されますので、早急に防災センターをということを言っていたわけでございますけれども、この法律ができましたことによりまして、この必要性というものは以前以上に大変重要なものになってきていると思っております。
 緊急時の指令等を行う場所ということになってまいりますので、やはりこの県庁のそばが適地だということになりますので、今三カ所ほど適地を考えて最終的な詰めを行っているところでございまして、年内にも一番適切な土地を選んで建設にかかってまいりたいと、このように思っております。
 あわせて、箱だけではいけませんので、衛星通信の制度の導入ということを考えております。これは多額な費用がかかるわけでございますけれども、やはり人の命が一番大事でございますので、これについては非常に厳しい財政状況下でございますけれども、この防災センターとあわせて進めてまいりたいというふうに考えております。
 次に、ドクターヘリについてでございます。
 議員のいろいろなご質問等のこともありまして、私ども、何とかドクターヘリの導入ということで頑張ってきたわけでございますけれども、ようやく今年度から導入の方向で進んでまいりました。これも県議会のご理解のたまものというふうに思っております。
 これは導入しただけではいけませんので、ご質問にもありましたように、運航体制でありますとか、それから消防機関が要請する場合の基準でありますとか、県民に対する啓発でありますとか、今こういうことについて鋭意詰めているところでございます。
 それから、初めて県立医大が基地となるということでございますので、県立医大の対応ということも非常に重要になってまいります。今、鋭意担当のところで詰めているところでございます。
 この結果といたしまして、紀南地方では三十分以内に専門医による高度救急医療が受けられるということになりますので、おくればせではございますけれども、紀南の方々にも安心していただける体制がとれるものと喜んでいるところでございます。
 そして、このやり方につきましては、これも一つの和歌山方式なんですけれども、和歌山県が初めて三重県、奈良県と共同して運航をするという方法をとりました。これはまあ、一つには費用を軽減させるというメリットもあるわけでございますけれども、それよりもやはりこの紀伊半島というのは一つということの中でいろいろな対応をとっていかなければならないということの一つの試みでございまして、ことしの八月に共同運航の基本協定を結んで、これも順調に協議が進んでいるところでございます。そして、この和歌山のやり方を、既に導入しているところとか、そういうところでも見習おうというふうな動きが出てきているということも付言させていただきます。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、地震に伴う津波対策についてですが、農林水産部の対策もあわせてお答えいたします。
 現在、津波対策としては湯浅広港において津波防波堤の整備を進めておりまして、引き続きこのようなハード対策を進めてまいりたいと考えております。
 しかしながら、これらハード対策には多くの費用と時間がかかりまして、その間に津波発生の危険性も増すことから、一刻も早く関係市町村と連携をとり、ソフト対策、すなわち避難対策を充実させていくよう考えております。今後、東南海・南海地震に係る特別措置法による基本計画等の策定に当たっても、このような考え方で取り組んでまいりたいと考えております。
 また、議員ご指摘のとおり、大規模地震発生後の被災者の救援や緊急物資の輸送、あるいは復旧活動には、海上輸送の活用が重要であります。そのため、新宮港、串本漁港、文里港、日高港において、それぞれ耐震性を強化した岸壁を整備しております。今後とも、耐震岸壁を着実に整備してまいりたいと考えております。
 次に、熊野川の濁水対策に関しての電源開発株式会社への要望に対する回答とその評価についてお答えいたします。
 県では、昨年十二月に、議員のご支援もいただき、電源開発株式会社に対し濁水対策を実施するよう強く申し入れを行ったところであります。それに対して、八月九日に電源開発株式会社から二つの対策をとるとの回答を受けております。
 その一つ目は、洪水時の対策の強化であります。風屋ダム及び二津野ダムにおいて、これまで以上に濁水を多量に早く放流し、きれいな水をできるだけ多く貯留することにより発電再開後の濁度を軽減させることであります。
 二つ目は、平常時の濁水対策の強化であります。風屋ダムにおいて、貯留中の水のうち、できるだけきれいな水の層から取水するよう取水位置を変えること、また両ダムにおいて夏場の観光シーズンに発電停止を行うこと、並びに早く濁りが沈む方法を研究開発することであります。
 以上の対策による効果をシミュレーションしてみますと、洪水時対策の強化により二津野ダムからの放流水の濁度が約六割低減でき、放流水がささ濁り程度──五ppm──で、それ以上となる濁水期間が年間で約六カ月から約三カ月に短縮できるとの結果が出ております。
 今回の対策により濁水軽減には大きな効果があると思われますが、今後とも対策案の効果を検証するとともに、電源開発株式会社への働きかけを継続してまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) メタンハイドレートの質問二点について、一括してお答えを申し上げます。
 メタンハイドレートとはメタンガスと水の分子から成る氷状の固体物質でございまして、陸地では永久凍土の下部ですとか、あるいは海では約千メートル程度の深海の地層中に存在することが知られております。
 主に海底に埋蔵されるメタンハイドレートの量は、天然ガスや原油、石炭などの化石燃料と言われる資源の総埋蔵量の二倍以上あると言われております。また、日本近海には我が国の天然ガス年間消費量の百年分に相当する量が賦存しているとの試算もあります。しかしながら一方において、メタンハイドレートは新しいタイプの資源であり、いかに経済的に安全に開発を行うかについてさまざまな課題もあります。
 メタンハイドレートに関する研究は一九八〇年代から国内外で研究され始め、経済産業省では平成十二年六月にメタンハイドレート開発検討委員会が設置されまして、平成十三年七月にメタンハイドレート開発計画が策定をされております。この計画では、日本周辺海域におけるメタンハイドレートの商業的産出に向けて、二〇一六年度までに日本近海域での賦存有望地域の選定、産出試験実施場所の確定、メタンハイドレートに関する基礎研究、商業的産出のための技術の整備、経済性等の評価を行うこととなっております。
 今般の調査は、静岡県沖の東海沖海域から愛知県沖の第二渥美海丘、三重県・和歌山県沖の熊野灘北部の三海域を選定し、経済産業省資源エネルギー庁から委託を受けた石油公団が六月末から八月中旬、九月下旬から十一月下旬の二期に分けて音波探査による基礎調査を開始いたしました。八月末までに東海沖と第二渥美海丘の一部の探査を予定どおり終了し、和歌山県沖の熊野灘北部につきましては、十月中旬から開始される予定であると聞いております。
 県としましても、このメタンハイドレートの開発計画に強い関心を持ってございまして、これまでも和歌山県沖での調査事業について経済産業省に強く要望してきたところでございます。今後ともこの計画の進展に注目し、情報収集に努めてまいるとともに必要な対応を行ってまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(宇治田栄蔵君) 以上で、下川俊樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 お許しをいただきましたので、早速、一般質問に入ります。
 まず最初に、食と緑の工場特区について伺います。
 六月に発表されました骨太の方針第二弾には、構造改革特区の構想が盛り込まれました。そのうち、農業に関する特区では約九十の提案が自治体から寄せられたそうで、そのほとんどが企業の参入を促すものとなっているようです。
 農地をめぐっては、既に昨年三月の農地法改正で、農業生産法人の枠内ではありますが、株式会社の農地取得を認めています。このとき、日本共産党は、農業生産法人の要件緩和は株式会社、法人大企業の農地取得、農業支配への一歩を踏み出すものであること、そして日本農業の家族経営を守る柱となってきた耕作者主義、つまり実際に耕作に従事する者が農地についての権利を有するという原則を破るものであり、家族経営を基本とした農政のあり方を変えてしまうものだとして、反対いたしました。しかし、結果として法案は成立しました。その影響がまだこれからどのように出るかもわからない現在、また再び農業特区によってなし崩し的に農地規制が緩和されようとするのは、余りにも性急過ぎます。
 この構造改革特区のねらいは、最初、地域的な規制改革をやって、実績が上がっていけば全国的な規制改革へつなげていくというもので、いつまでも地域限定版でやろうという意図ではないようです。農地が乱開発、投機の対象になりはしないか、全国農業会議所や全国農協中央会も懸念を表明しています。
 農業県和歌山が、その基礎を崩す先頭に立ってよいとは思いません。今回、知事があえて既存の法律の枠内ではなくて特区ということにこだわるのは、農業生産法人でも何でもない、株式会社に農地を取得させようとするねらいが最初からあるからではないでしょうか。コスモパークの土地について、なぜ特区に設定する必要があるのか。その意図するところは何なのでしょうか。知事の今回の特区構想への考えを伺いたいと思います。
 次に、県内農業への影響について知事に伺います。
 今回のカゴメの計画では生食用のトマトを生産するそうですが、和歌山県のトマト出荷量は年間約八千トンにしかすぎません。そこに、一カ所で約六千トンもの生産が可能と言われる大団地をつくって大丈夫でしょうか。県内農業に及ぼす影響をどう考えておられるのか、ご答弁をお願いしたいと思います。
 次に、住民基本台帳ネットワークについて伺います。
 八月からこのネットワークが稼働し始めたわけですが、全国あちこちの自治体で、住民の情報が漏れないのか、漏れた場合どうするのかなど、さまざまな疑問が出され、中には、つい先日の東京都中野区のように、ネットワークとの切断をした自治体も出てきました。何よりも問題なのは、住民基本台帳法の制定時に当時の小渕首相もネットワークシステム実施の前提として約束をしていた個人情報保護の法制度がいまだに整備されていないことです。国への早期整備を要望されるとともに、この未整備のまま住民基本台帳ネットワークを始められた状況について知事としてどう考えているのか、答弁をお願いいたします。
 この問題では、今後、県内の市町村の中でも、ネットワークの切断や情報更新のストップをするところも出てくる可能性があります。こうした市町村の意見、態度は政府が約束を守っていないことによるもので、個人情報の保護という観点から市町村の意見を尊重しなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
 また、個人情報の保護法案がきちんとできていればそれでいいかというと、それでは済まない問題があります。どんなコンピューターのシステムでも絶対に情報が漏れないというのは、理論的にはあり得ないと言います。また、全員に十一けたの背番号を振るという国民合意があるかというと、今の状況を見れば、ないと言っていいでしょう。
 日本共産党は、この住民基本台帳法に対し、国会審議の中で明確に反対してきました。しかし、法律ができたからといって、国民の十分な納得のないまま運用されることは避けるべきではないでしょうか。引き続き、今からでも見直し、中止を求めていきたいと思います。
 次に、公立学校の耐震診断計画について教育長に伺います。
 文部科学省が、各都道府県教育委員会に七月三十一日付で出した通知「公立学校の耐震化について」では、耐震診断を行っていない校舎について、平成十七年度末までにすべて耐震診断を行うよう求めています。これまでも耐震診断の必要性は言われてきましたが、和歌山県の実施率は三・三%で、全国ワースト五位です。なぜ和歌山県はおくれてきたのか、その理由は何なのでしょうか。この際、明らかにしていただきたいと思います。
 また、耐震診断の実施計画の提出期限は八月末ということでしたが、県内ではどのような計画になっているのでしょうか。お示しをいただきたいと思います。
 さらに、実際の耐震補強工事についての国の財政措置はどのようなものでしょうか。不十分なら強化すべき要望を上げるべきではないでしょうか。答弁をお願いいたします。
 次に、事業所でのオゾンという物質の使用について伺います。
 オゾンとは聞きなれないと思うので若干説明いたしますと、酸素原子が三個集まってできた不安定な物質で、強力な酸化作用があり、これにより殺菌、脱臭、殺虫、漂白などの用途に使われています。一般の薬品などと比べると比較的安全な物質で、使用してもすぐに分解・消滅するため、近ごろでは食品などの殺菌にも好まれて使われているようです。
 先日、私のところに、ある食品工場で働く方から相談がありました。食品の消毒に使っているオゾン水というオゾンを溶かし込んでつくっている殺菌用の水でのどが痛んで仕方がないが、どうにかならないかということでありました。その後、いろいろ調べましたが、このオゾンの使用については労働安全衛生法でも明確な規制がなく、日本産業衛生学会というところが定めた〇・一ppmという指針があるにすぎません。一方で、大気汚染という点からこのオゾンの規制を見ますと、環境基準が〇・〇六ppm以下です。そして、〇・一ppmを超えますと光化学オキシダントの予報が出され、〇・一二ppmでは注意報、〇・三ppmでは警報が出ることになっています。ですから、一般に事業所内で使われる基準と大気環境の環境基準には大きな隔たりがあるわけです。
 先日、私は、このオゾン水を使っている模範的な食品工場を見てまいりましたが、そこでは食品の消毒とともに、夜間、無人になったとき、高濃度のオゾンで作業場内を殺菌しているとのことでありました。そして、作業場にはオゾン濃度が基準の〇・一ppmを超えたときに点滅する警告灯が設置され、また携帯用の測定器も備えられていました。工場長の話によると、夜間の消毒を行った後、朝、仕事にかかるときにオゾンが抜け切っていないと警告灯が点滅をしているので、作業にかかる前に十分換気をするとかの対応をしているそうです。また別の工場では、職員が濃度の設定を間違えてかなり濃い濃度になり、ホースなどのゴム類がぼろぼろになったこともあったそうであります。
 そこで、商工労働部長に伺います。
 県内の事業所でのオゾンの使用状況は把握されていますか。もちろん、主には国の労働基準監督署の仕事だと思いますが、県としても任意のアンケート調査をするなど、実態の把握に努める必要があるのではないでしょうか。
 また、先ほど述べたように法的な基準がありませんから、実態調査の上、必要なら国に対し法的規制を求めてはいかがですか。さらに、そうした法的規制ができていない現時点でも、行政指導で警告灯の設置や測定器の配備、安全教育など進める必要があるのではないでしょうか。答弁をお願いいたします。
 最後に、市町村合併について伺います。
 この六月に、政府はいわゆる骨太の方針第二弾を発表しました。その中では、市町村合併にさらに積極的に取り組むことと同時に、小規模市町村には仕事と責任を小さくし、都道府県がそれを肩がわりするなど、これまでの地方行政の根幹を揺るがすような内容が盛り込まれています。そうした中、総務省の私的研究会である地方自治制度の将来像についての研究会では、小規模市町村についての考え方の素案をまとめました。それによると、合併しない人口一万人未満の市町村から憲法上の地方公共団体としての法人格を取り上げ、区に格下げすること、行財政の権限を制約すること、さらに人口三千人未満の市町村は自動合併することなど、地方分権とは縁もゆかりもない行政的合併をちらつかせたひどい内容になっています。この素案が事実上、政府の地方制度調査会のたたき台の役割を果たしていて、今後、この案に基づいて法制化される可能性もあると言われています。こうした方針に全国町村会の山本会長は、小なりとはいえ、町村は住民サービスに責任がある、そこを認識していない論議だと反発しました。また全国町村議長会の会長も、極めて小さい町村との理由で都道府県の直轄にするのは論外だと、これも厳しく批判をしています。こうした国の方向がすんなり受け入れられないのは、当然であります。しかし、こうした議論をちらつかせることによって、小規模市町村に独立独歩の道の選択をあきらめさせる心理的効果は十分にあると言えるでしょう。
 全国には、小さいけれども、いや小さいからこそ住民と一体となって活気ある地域づくりに成功している市町村が幾つもあります。そうした市町村は、行政能力でも独自の景観条例をつくったり、職員の知恵と工夫が生かされる行政をしています。にもかかわらず、人口が少ないからだめなんだ、能力がないんだなどと言うのは、実際の地方行政を知らない中央官僚の傲慢な発言と言わざるを得ません。
 知事、あなたは強制的市町村再編とも言うべきこの流れをどう感じておられますでしょうか。率直な感想を聞かせていただきたいと思います。
 次に、市町村合併で、特に財政面から幾つか総務部長に伺います。
 最初に、地方交付税の算定がえ特例の問題であります。
 総務省は、合併後十年間は合併しなかった場合の普通交付税を全額保障、その後五年間で激変緩和措置がとられると説明をしております。しかし現実には、地方交付税の額は、毎年度ごとに基準財政需要額を算定するための単位費用、測定単位、補正係数などが総務省によって変更されており、これは合併後も当然変更がされていくものです。ですから、合併した場合の交付税算定がえの特例も地方交付税の算定を合併前の単位で行うだけのものであり、合併以前に交付されていた金額を十年間保障するものではありません。
 大変わかりにくいと思うので資料で説明をしたいと思います。──資料の左の上、一をごらんください。例えば、田辺広域七市町村が特例法の期限までに合併して、新しい市がつくられたとします。ここで、お配りした資料の一番ですが、上の欄では、総務省の言い分どおり平成十七年に合併しても、合併後十年の交付税は百七十六億円ですね。合併しない場合も合併した場合も百七十六億円が平成十七年から二十六年まで保障されて、その後五年をかけて本来の一本算定と言われる交付税の額に減らされるという流れになるわけです。これは総務省の言い分どおりなんですが。
 しかし問題は、合併した後も今やられているような小規模自治体への段階補正の見直し──段階補正というのは、標準的な自治体の人口を十万人として、それより人口が少ない自治体の交付税については割り増しして配分されるようになっているわけなんですけれども、この段階補正やその他の補正が縮小されれば、合併後の特例期間の十年以内でも新しい市の交付税額は削減されてしまいます。それをあらわしているのが一の下の方です。合併しない場合は、そういう段階補正の見直しなどがあって百七十六億円から百五十八億円に約一割、この十年間で減らされるという試算をしたわけなんですが、じゃ、合併した場合はこの百七十六億円が保障されるかというと、やはり合併しなかった場合と全く同じように百五十八億円に減らされてしまいます。これは、総務省の言っていることと矛盾するように思うんです。
 なぜ、こういうふうになるのか。これは、さっきも言いましたが、合併した場合の交付税というのは、もとの市町村がそのまま存在すると仮定して計算をして、それを足した額、合計額を十年間は保障するという仕組みだからであります。したがって、もとのそれぞれの市町村に来る交付税が少なくなるような見直しがあれば、当然、合併後の新しい市に来る交付税も減少することになるのであります。しかし、このことをきちんと理解できている首長や職員さんは少ないのではないか。
 先日、ある町の合併に詳しい職員にこのことを尋ねましたが、そんな計算になるとは知らなかったと言われていました。合併に詳しい職員でも勘違いする。私の試算が間違いなければ、合併前の交付税が全額保障されるなんてことはとても言えないと私は思います。
 総務部長に伺います。
 この試算は合っていますか、間違っていますか。答弁をお願いいたします。
 次に、合併二十年後の財政の姿がどうなるか、お尋ねをいたします。
 合併した場合の財政問題で最も重要なのは、合併後十五年たって先ほどの交付税算定の特例がなくなった時点で、極端な地方交付税の落ち込みにどう対応するかだと思います。
 ここに示したのは、新潟県のある合併協議会の長期財政シミュレーションです。──左の下側ですが、資料の二です。四つの町村が平成十七年度に合併をして、合併により職員を約二割減らして投資的経費については赤字にならない範囲で実施という、かなり厳しい前提のシミュレーションだと思います。下のグラフを見ていただきたいんですが、これは合併した場合としない場合で、普通建設事業が将来どうなるかを試算したものです。普通建設事業とは、道路をつくったり学校を建てたり、いろんな投資的な事業のことでありますけれども、この試算によると、合併した場合は、合併特例債などの活用で合併後十年までは従来の倍以上の事業を確保できますが、十五年たつと、やはり先ほど言ったように交付税が大幅に減らされ、これはつまり事業の元手になる一般財源が不足するものですから普通建設事業も合併前の二分の一以下に落ち込まざるを得ないという状況をあらわしたものです。そして、この財政シミュレーションは次のように結論づけています。「この結果は、単なる人件費の削減と財政支援措置による箱物建設だけでは、合併は所期の効果を十分に上げ得ないということを示しています。合併を成功に導いていくためには、投資効果を考えた特例債の活用を図るとともに、さらには事務事業経費の軽減に取り組んでいくことが重要となります」と、このように述べています。つまり、特例債も野放図に使っちゃだめですよ、また行政サービスはもっと見直して減らしなさいというようなことだと思います。
 一方、合併しない場合のシミュレーションは地方交付税が約二〇%も減額されるという相当厳しい条件で試算をしていますが、それでも二十年後には四町村合わせて二億円の赤字が出るという試算が出ています。合併した場合と比べて、私は随分有利な試算だと思います。
 田辺広域合併協議会でも、実はこのような試算が出されています。──右端の資料三のグラフです。こちらは一般職員の削減による効果が入っていない試算ですが、歳入から歳出を差し引いた額──点線の方です──これで見ますと、合併後十二年ぐらいで赤字になり、それ以後赤字が拡大していって、十五年後では約四十三億円にまで赤字が膨れる結果になっています。そういうもとで普通建設事業がどうなるかというと、これは上の実線のグラフですが、合併後十五年の数字では年間三十四億円の事業費しか確保できない。
 実は、現在、田辺広域七市町村では、平成十二年度で百七十七億円の事業が実施されています。それとこの三十四億円を比べますと、約五分の一に激減をするわけです。五分の一に事業費を減らしたとしても、単年度の収支は、先ほど見ましたように十五年後には赤字になってしまっています。ということは、合併十五年後に事業量を現状維持か少し削減する程度を維持しようと思ったら、かなりの借金をしなければならないという状況があらわれてくると思います。
 合併特例債によるバブルの後は極端な緊縮財政、借金財政となり、財政破綻が懸念されるというのは、この二つのシミュレーションから私は大変心配しているところであります。
 そこで、総務部長に伺います。
 地方自治体にとって、合併特例債のような巨額の地方債を短期間に使うというのは後年度の財政を硬直化させ、必要な公共事業でさえできないような財政状況になるのではと私は危惧していますが、このことについていかがでしょうか。
 また、今後、それぞれの合併協議会で財政のシミュレーションをする場合、私は少なくとも合併特例債の返済がほぼ終了する二十年後まで行うことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
 この合併問題の最後に述べたいことがあります。
 先日来、西牟婁郡大塔村の富里地区で、産業廃棄物の処分場建設計画が持ち上がっています。この計画地の下流には日置川が流れているんですが、それに対し村長さんはこのような意見書を県に提出しました。「県下的にも数少ない清流であり、現在まで保存された良い環境を「将来の世代に引き継ぐ責務を有している。」と考えています。依って(中略)産業廃棄物最終処分場設置については、同意出来ません」、このような明確な反対の態度を表明されています。
 今、産廃の処分場をめぐって各地で行政と業者を裁判する中で、行政側が敗訴するという事例も出ているもとで、この明確な意見表明は、私は大変勇気のある行政の態度だと思います。しかし、こうした地域に根差した判断が、田辺広域のような広大な行政になったときに本当にできるかどうかというと、私は実際は不可能だと思います。
 私は、これまで合併問題を幾度となく取り上げる中で、自分なりに研究もし、合併先進地と言われる兵庫県篠山市や香川県の讃岐市も見てまいりました。また、小さくても元気な自治体の例として、高知県の馬路村、長野県の栄村、小布施町なども調査いたしました。そして、今はっきり言えるのは、住民自治という点から見ても、また将来的な財政破綻の心配から、今論議されているこの田辺の広域合併についてはどう見ても住民の利益にはならないという判断をしています。こうしたとてつもない大きな広域合併計画には、私は明快に反対の立場を表明して、この問題の締めくくりといたします。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、食と緑の工場特区についてお答えをいたします。
 国において法制度化を目指している構造改革特区は、規制緩和による経済活性化を基本方針とし、自治体等からの提案を踏まえ、現在具体的な内容を検討しているところでございます。
 本県といたしましては、地域特性を生かした和歌山らしい特区構想ということで、緑の経済特区というものを提案したところでございます。この内容は、定住促進タイプ、交流促進タイプ、企業促進タイプの三タイプによって、都市から地方への人口の逆流動や交流活性化を図るものでございます。
 コスモパーク加太につきましては、企業促進タイプの一つとして食と緑の工場特区構想と位置づけ、その中で民間資本の活用によるトマトの大規模生産を通して雇用の確保と地域の振興を図ることとしております。
 次に県内農業への影響でございますが、この大規模温室の立地が実現いたしますと、和歌山県は、現在の県内生産量と合わせ、近畿圏でのトマトの主要産地となります。産地化が進みますと、市場での競争力の強化や加工産業への発展の可能性などを秘めておりますので、県内の生産者と連携することで相乗効果を生み出し、トマトと言えば和歌山県と言えるようなブランドの形成を目指してまいりたいと、このように考えております。
 次に、住民基本台帳ネットワークについてでございます。
 まず、ネットワークと個人情報保護法の関係ですが、住民基本台帳法は個人情報保護の基本法である個人情報保護法に対する個別法と考えられるものでございまして、住民基本台帳ネットワークにつきましては、住民基本台帳法により関係職員の守秘義務違反に通常より重い罰則が適用されるなど、個人情報保護法と同等あるいはそれ以上の個人情報保護措置が講じられているものでございます。しかしながら、住民基本台帳ネットワークの運用を契機といたしまして、情報化社会の進展に伴ってプライバシー保護に対する漠然とした不安、懸念があるということも事実でございますので、これらの不安を払拭する意味で早期の個人情報保護法制の整備が必要であると考えております。このような趣旨から、全国知事会等におきましても、個人情報保護法制の早期整備に関する緊急決議をいたしております。今後、継続審議となっております個人情報保護法案が国会において審議がなされるものと期待をいたしております。
 次にネットワークへの参加についてでございますが、住民の選択制、市町村の任意制の参加方法を認めるとすれば、一部の住民の本人確認情報が記録されないこととなり、全国共通の本人確認を可能とするシステムの機能を十分果たすことができなくなったり、住民の転出入に伴って複雑な事務処理を行わざるを得ないなど課題があり、その結果、事務処理時間の増加や高コスト化により、かえって住民の利益、利便性を妨げるおそれがあると考えられます。
 県内市町村におきましては、このことを十分ご理解いただき、ネットワークの適正な運営にご尽力いただいているものと考えております。
 次に、市町村合併についてのご質問でございます。
 分権時代にふさわしい自治制度のあり方について、国においては地方制度調査会を中心に議論が進められているところでございます。地方分権を進め、少子高齢化の進展、人口減少に直面している状況にあって、二十一世紀における我が国の国家像をどのように構築していくかは大変重要な課題であり、このような観点から、合併後の都道府県や市町村のあり方について私もかねてから問題提起を行ってきたところであり、議論が深められていくことは結構なことであると、このように考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 事業所でのオゾン使用についての三点でございますが、労働安全衛生法におきましては、事業所内で使用されるオゾンは、健康障害を生ずるおそれのある化学物質のうち、特に有害性が強いとされる作業環境測定対象の化学物質として規定されてはおりません。しかし、労働基準監督署においては、化学物質等による労働者の健康障害を防止するため、必要な措置に関する指針に基づき、国の所管する社団法人日本産業衛生学会がオゾンの使用に当たって基準としている〇・一ppm以下を許容濃度として事業所の指導を行っていると聞いております。
 県といたしましては、使用状況の把握はしてございませんが、議員ご提言の測定器や警告灯の設置を含む三項目につきまして、機会をとらえ、労働局に対し申し入れを行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 市町村合併についての二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、交付税算定がえ特例の関係でございますが、お示しいただきました試算につきましては、試算の前提となります各年度の算定方式が具体的に実際にどうなるかがはっきりしておりません。そのため、具体的な数値につきましては、算定方式が実際どうなるかによって変わってくると考えます。
 しかし、議員のご見解のとおり、地方交付税の算定がえの特例は、毎年毎年、その年の算定方式により、合併後の市町村が合併しなかったものとみなして十年間算定されるものでございます。総務省の説明も、「合併しなかった場合の」というふうにされておりまして、「合併前の」とはされておらず、まさにこのことを説明しているものと考えております。
 もし、算定方式が削減の方向で改正されました場合には、合併した市町村でも合併しなかった市町村でも削減されることになるところでございまして、こうした厳しい状況を踏まえ、行財政の効率化に資する市町村合併は重要であると考えております。
 次に合併二十年後の財政の予想についてでございますが、議員ご指摘の田辺広域合併協議会の試算は、市町村建設計画の根幹の一つとなる財政計画を立てる上で参考とするため、合併特例債の上限額すべてを発行した場合の試算であると認識しております。
 今後、市町村建設計画の策定作業が進み、事業の重点化や実施時期などが明確になってくる中で、中長期的な見通しも含めた財政計画が明らかになってくるものと考えております。
 また、合併後の市町村につきましては、行財政を取り巻く環境の変化を的確に反映をさせながら絶えず財政計画を検討し、健全財政の維持に努める中で、元利償還の際により有利な交付税措置がなされる合併特例債を有効に活用し、町づくりを進めることが肝要であると考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校の耐震診断についてお答えいたします。
 学校施設は児童生徒の学びの場であると同時に、非常災害時には地域住民の応急避難場所ともなり、その安全性が確保されていることが重要であります。
 昭和五十六年以前に建築された小中学校の校舎について、従来から、設置者である市町村に対し耐震診断を進めるよう働きかけを行ってきたところですが、校舎改築計画との関連や財政事情等のために現在のところ低い実施率となっていることは事実であります。
 このたび、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法が成立した中で、先般、市町村長に対し、学校施設の耐震診断を早急に実施するよう強く要望いたしました。各市町村においては、八月末に平成十五年度からの三カ年でほぼ全部の校舎の耐震診断を実施する計画を策定したところです。
 今後、当該計画に基づき早期に完了できるよう市町村に対して積極的に指導するとともに、国に対しても必要な予算措置を働きかけてまいりたいと考えております。
 なお、県立学校につきましては、平成十三年度末現在で約六二%が実施済みとなっており、今後さらに計画的に進めてまいりたいと存じます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 答弁をいただきましたが、まず先に教育長さん。耐震診断なんですけれども、今、ご答弁にあったように、やはり財政の状況というのが一つのネックになってできていないというのは事実だと思うんです。国へ十分な予算措置を要望するとともに、ぜひ県からも応援を一遍考えていただけたらというのが現場の状況だと思うんです。ぜひ、これは要望しておきたいと思います。
 それから、ちょっと食と緑の工場特区で知事と議論をしたいと思うんですけれども。
 私、質問の最初には、大規模な株式会社に農地を取得させるのが知事さんの特区の一つのねらいではないかということを質問として申し上げたんですが、それにどうも明確に答えられなかったように思います。その点、もう一度ご答弁をお願いします。
 今のご答弁の中では、近畿圏でのトマトの主力産地に和歌山県がなるんだ、トマトと言えば和歌山県なんだというようなことで言われたんですけれども、たしかカゴメさんが六千トンつくって、大きな産地になると思うんですが、八千トンしかない県の生産に対して、さあ小さな農家も一緒になって和歌山県をトマト王国としていきましょうよということをカゴメさんが言ってくれるかどうかというと、私はそれは絶対できない話じゃないかと思っているんです。もしそういう意図がカゴメさんにあるのなら、また行政の側にあるのなら──この特区の研究会というものにも肝心の農業団体なんかは一切入っていないわけですよね。そんな意見をまだ聞いていないまま、この間の記者発表では十六年にも着工したいと、これは部長ですけれども言われていましたよね。私は、このやり方というのは、やはり県内の農業者の理解は得られないんじゃないかというふうに思います。もしそうなら、今後、そうした県内の農業団体やトマト生産者たちとの対話というのは日程として入ってくるのかどうか、このことも改めてお伺いしたいと思います。
 それから、知事はカゴメの会社の構想というのはご存じだと思うんですけれども、以前から、全国を対象にした大型温室産地ネットワーク構想というのを打ち出しています。その第一弾が茨城県の美野里町でやられていて、これはカゴメが約四億円で温室を建設して、それを農事組合法人にリースするというやり方でやっています。彼らの会社の計画によると、こうした農場を全国に十カ所、五十法人つくれば年間四万トンの生産が可能だというふうに言っています。トマトと言えば和歌山、このように言われましたけれども、私は、カゴメさんはそんなことは考えていないと思います。温室団地を全国展開して、強いて言えばトマトと言えばカゴメという、そういう体制をつくろうとしている。各地の温室を中央本部が管理して、アグリフランチャイズチェーン構想と言うらしいんですが、まあコンビニみたいなものです。だから、カゴメには昨年の農地法改正や今回の特区構想は、私は大変うまみのある話だと思うんです。
 私は、この質問をするに当たって担当課に聞いたんですが、なぜわざわざコスモパークにやるのかと。そうすると担当課は、泉南にも遊休地はいっぱいあって、そこでやられても同じ結果になるんじゃないですかという返事なんですけれども、まさにそうだと思うんです。大企業の力をもって農業経営に参入すれば、コスモスパークでやろうが泉南でやろうが茨城でやろうが、家族経営のトマト農家は大打撃を受けることは、私は同じだと思うんです。ですから、和歌山県が大企業の農業参入の露払いをさせられるような、そういうような特区構想になっていないか。私は、そういう特区なら認められないというふうに意見を表明しておきたいと思います。
 再質問の部分だけ、答弁をお願いします。
○議長(宇治田栄蔵君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問ですけれども、株式会社に農地をということを考えているんじゃないかというお話ですが、コスモパーク加太は雑種地ということですので、これは農地ではありません。
 それから、基本的には、もともと特区構想というものが先にあってこの構想が出てきているんじゃなくて、やはり和歌山県として何とか雇用を確保していきたいと。今、非常に不景気な中で、地元の人の働き口がないと。そういうふうなときに、なかなか製造業が新たに立地することは難しい。そういうときに、こういうふうな環境に優しい、ある意味で和歌山のイメージアップにつながるようなものが出てきて、これは非常にいいんじゃないかということが一つあるということです。
 それからもう一つは、ご案内のように、コスモパーク加太につきましては借入金で造成を行っていて、そして後、ずうっとたくさんの人を抱えていろんな経費が積み重なってきて、今、はっきり言ってにっちもさっちもいかなくなっている中で、いろんな方面に手を伸ばして、一番和歌山に合ったような何か処分方法はないかということを考えてきている中からこういうものが出てきており、大方のご賛同をいただいているというふうに私は考えております。
 それからまた、和歌山県が日本のトマトの大産地になるかどうかは別として、仮に和歌山県が手をおろしたら、必ずどこか別のところが手を上げて同じようなことが行われるわけで、和歌山県として──私は和歌山県の行政を預かっておりますので、和歌山県の雇用確保ということを一番大事に考えたいということでこの問題についてこれからも頑張っていきたい。
 ただ、いずれにしましても、地元の農家──これは全国レベルの話ですので、和歌山県でトマトをつくっている人にじかにすごく大きな影響が出るというふうには考えませんけれども、しかしながら、皆さんに理解を求めていくということは情報公開の時代には非常に大事なことだと思っておりますので、適宜、県民の皆様にこの進捗状況なんかを情報公開しながら対応していきたいと、このように考えております。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 トマトの問題については、雇用確保が大きなポイントだというふうに言われたんですが、私は、やはりこの農業特区の中でも、今、そうした大企業の農地取得という問題で、ここに先鞭をつけて、そこを穴にして突破していこうという戦略があると思いますから、それを和歌山県の行政として進めるというのは本当に注意をしていただきたいというふうに考えています。
 そのことだけ申し上げて、終わりたいと思います。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十七分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(小川 武君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十八番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 通告に従いまして、順次、質問を行ってまいります。
 去る七月二十六日公布された東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法につきましては、議会冒頭の提案説明、また質問に対して力強い答弁が知事からありました。私たち政治や行政に携わる者が地震のことを正しく理解し十分に備えておけば、何千、何万という命を助けることができ、多額の資産が失われずに済むのであります。今後の政令、各種政策に対しての取り組みに大きな期待をいたします。
 そこで、私からはまず防災センターの機能と本庁舎の耐震補強について伺います。
 南海道地震に限らず、そもそも地震の予知については不可能であるというのが今日でも通説となっております。そうしますと、実際、地震はいつ起きるかわからないわけでありますから、防災担当職員は勤務時間中に地震が起きた場合は対応できるものとして、勤務時間外に起きた場合は、センターそのものはびくともしなくても、肝心の職員が自宅で被災したり、被災しなくてもセンターまでたどり着けないということが予想されます。そのため、地震が差し迫ったとき──実はこれがいつかわからない可能性が高いので、日常的に防災担当職員は、昼間防災センターで勤務し、帰るのも自宅ではなく防災センターの至近距離にある住宅または防災センター内へ居住する必要が出てくるのではないかと思います。少なくとも近い将来には必要になってまいります。したがって、今回の建設に当たってはこのようなことにも配慮しておくべきでありますが、どのように計画されているのでしょうか。
 次に、議会棟については平成元年から、県庁舎は平成七年から将来の建てかえのために基金を積み立ててきましたが、折からの財政悪化で平成十一年時点からはそのままとなっております。この際、建てかえをあきらめて耐震補強することも考えなくてはと思います。とは申しましても、耐震補強をしても、もとがかなり老朽化してきていることも事実でありますから、地震が起きるのが先になればさらに老朽化が進むということになります。大変難しい判断でありますが、どのようにお考えでしょうか。
 また、今日の自治体を取り巻くリスクは、自然災害に限らず、人為的災害、経済事象など、社会や経済が巨大化、複雑化し激変する中でさまざまなリスクが顕在化しつつあります。あるアンケートでは、自治体の危機管理は自然災害と環境問題には高いが、そのほかには低いという結果が出ました。果たして本県のリスクマネジメントはどのように取り組まれているのでしょうか。
 さらに、リスクマネジメントを担当するリスクマネジャーもそうでありますし、以前質問をしました防災監や医療政策のかなめであります医務課長などのポストは、長年の経験と知識がないと思い切った政策の立案や任務遂行が困難であると思います。しかし、これらのポストはいわゆる登竜門で、大体一、二年で交代してしまいます。そこで、このようなポストでは人を育てる観点から、じっくり任せて、そのかわり責任もとらせる人事をすべきであると思います。
 また、「すまじきものは宮仕え」と言われるように、職員は辞令一つでどこへでも行かねばならないわけでありますが、果たして人間の能力はそう簡単に見きわめることができるものでしょうか。確かに組織上の問題点もあり、上司が評価を行うことの合理性は認めますが、ここはひとつ逆に積極的な人事、例えばプロ野球のフリーエージェント制度のようなものを導入してはいかがでしょうか。既に上場企業でも実施しているところがあり、社員にやる気がみなぎり、上司には緊張感が生まれる制度であると言われております。
 次は、生活排水の問題であります。
 先日の報道によりますと、長年大変不名誉な成績でありました本県下水道普及率が、昨年度実績において徳島県を抜いて一〇・九%となり最下位を脱しました。生活排水対策は市町村の仕事とはいえ、結果的には県の責任のように言われるわけですから、一歩前進ではあります。しかしながら、私は生活排水施策をさらに強力に進めることが大きな課題であると思いますので、県において下水道局を設置し、生活排水対策部局の一元化を図る提言をいたします。
 現在、生活排水を衛生処理するための事業は土木部の公共下水道事業や農林水産部の集落排水事業、環境生活部の合併処理浄化槽設置事業などがあり、採択規模の大小はあっても目的は同じで、問題は監督官庁が違うため補助金の出るところが違うということであります。そのため、国庫補助率が有利な事業、県費補助がどの程度あるかなどが優先され、せっかく生活排水処理計画はあっても有効に機能していないように思います。既に市町村では一元的に取り組んでいるところがあり、一歩進めて、どの事業で取り組んでも住民の負担は同じという住民の立場に立った調整をしているところもあります。知事は、生活排水部局の一元化をどのようにお考えでしょうか。
 三番目は、緑の雇用事業の成功を期して、以下質問をいたします。
 さきに国において森林整備隊などが来年度の概算要求に盛り込まれ、さらなる前進をいたしました。知事が熱心に新しい試みに取り組んでおられる姿に敬服し、引き続きの尽力をお願い申し上げます。
 先日、御坊の地元紙にユニチカの労働組合員が中津村にやってきて下草刈りに精を出す姿が報道されました。このまま村に定住し、それが呼び水となって人口の逆流が始まることを期待いたします。ただ、県内の失業率も高く、できるだけ多くの人を収容できるよう要望しておきます。
 さて、林野率七七%の本県で緑の雇用事業が成功するためには、林産物をいかに経済原則に乗って売るかというのが大切で、林業関係者だけではなく、あらゆる立場の人が一致協力して取り組む必要があると思います。特に役所は、全庁を挙げて取り組むべきでしょう。
 土木部の「土木」は「土」と「木」と書きます。恐らく、かつての土木事業が土と木で行われていたあかしであります。ところが、現在、土木工事現場へ行ってもほとんど木材は見られません。あるのは合板の幕板と定規、看板の枠ぐらいで、これでは「土木」と言うよりも「土鉄」あるいは「土コンクリート」という感じであります。決して鉄やコンクリートを否定するものではありません。鉄やコンクリートなしで土木工事は成り立ちません。しかし、木を使えるところは随所にあります。例えば、幕板やバリケード、さらにガードレール、防護さく、土砂どめ、防音壁などがあります。木製防音壁などは、百メーター分で木造家屋一軒分の木材を使うと言われています。
 かつて、「鉄は国家なり」と言われていた時代がありました。ですから、土木工事現場だけではなく、何でも鉄や樹脂でつくることを前提にした基準になってしまっています。時計の針を少し戻して、土木工事の現場、農作業の現場、身の回りに温かみがあってリサイクルがきく木材を使うことによって、かつての山と地域の共生関係を取り戻していこうではありませんか。
 既に、県においては農林水産部、土木部において木材の利用が始まっていますが、この際、ボリュームの大きい土木部のさらなる取り組みを求めるものであります。土木部長はどのようにお考えでしょうか。
 次は、紀州材のブランド化についてであります。
 「沖の暗いのに白帆が見える、あれは紀の国ミカン船」と歌われたのは紀伊国屋文左衛門ですが、紀伊国屋がもうけたのはミカンだけではなく、紀伊山地に生い茂る紀州材、杉、ヒノキを火事とけんかが華の江戸に送ったからだと言われています。しかしながら、今日の紀州材は、ヤング係数などが他産地に比べすぐれており、値段も高く取引されていて玄人受けはしているものの、まだ広く一般消費者には知られておりません。昨今、中国製が工業製品、農産物にかかわらず洪水のように流れ込んできていますが、幾ら中国で努力をしても日本製はつくれません。そこに国産の生きる道があると思います。つまり、国産の紀州材のブランド化が有効であると考えます。
 まず、そのためには品質を確保することであります。紀州の山で生産される木材はすべてよいというわけではありません。紀州材の特性であるヤング係数や光沢などの品質を持つ材だけが名乗れる確かな基準をつくるのです。またPRも、問屋や工務店だけの専門家だけではなく、広く一般の消費者つまり施主となる人にこそ紀州材のよさ、すばらしさを知ってもらわなければなりません。そういったブランド化が必要であると思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 さらに、今度は経済発展著しい中国に逆に攻め込んではと考えます。中国の住宅事情を観察いたしますと、木は余り使われてないことがわかります。コンクリート、石、レンガばかりで、木を使う習慣が余りないのか、はたまた大方の中国の山に木が生えていないように、木が少ないからかもしれません。私の町・御坊市は木材の町ですが、主要な外材の製材所は今や国産杉をひいております。杉が安いということと、北米からの原木が中国へ流れているという事情のようであります。まだまだ木材に親しむという習慣がない中国市場ではありますが、既に富裕層が多く発生している中国へは、木材そのものだけを売るのではなく、ライフスタイルともども売ることによって大きな市場になる可能性があります。カラオケという文化は、既に浸透しつつあります。山東省との長年のおつき合いを生かしてチャレンジすべきであると思いますが、いかがお考えでしょうか。なお、宮崎県が中国への輸出に取り組んでいることを報告しておきます。
 四番目は、少子化対策と不妊治療についてであります。
 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、我が国の人口は数年後にピークを迎え、その後は減り続け、今世紀末には今の半分以下の約四千六百万人、多く見積もっても八千百万人程度になるとの報告がされています。このため、高齢化とともに少子化対策は国の大きな課題となり、さまざまな政策が打ち出されています。しかしながら、個人的な経験から考えますと、少子化対策が有効に作用するのは大変困難に思います。最近の報道では、一人っ子政策をとる中国でも人口の伸び悩みを心配して政策の見直しが行われると言われていますが、富裕層が集まる都会では、もう見直しをしても子供はつくらないという家庭が多いと聞きます。本当に難しい問題であります。
 一方、世の中には子供が欲しくてもできない家庭があります。日本では、健常に性行為があっても二年間妊娠しない場合を不妊症と定義していますが、最近では不妊症の原因になりやすい病気も増加しており、十組に一組は不妊症と言われております。幸い、不妊治療は年々確実に進歩しており、少し前まで原因不明と片づけられていたものも原因が究明され、体外受精の技術が根づき、治療が受けられる病院施設も全国に広がっています。
 しかし、不妊治療において、普通、一般治療の段階で妊娠にこぎつけるのは二年で四割、そして残りの多くが高度医療に進み、数回以上の治療で妊娠できるのがまた四割といったぐあいであります。さらに、不妊治療の一部は保険が適用されるものの、ほとんどは適用外で、一回数万円から四十万円前後の費用は妊娠適齢期の若い世代には二重の重荷になっています。
 このような状況下、去る七月十三日、坂口厚生労働大臣が記者会見で、不妊治療について少子化対策の観点から公的支援の対象とし、九月に取りまとめる政府の少子化対策に患者の負担軽減などを盛り込むとの考えを明らかにしました。私もこの県議会で質問をする予定にしておりましたので、坂口大臣の発言はまさに我が意を得たりとの感がいたしましたが、その後、政府ではどのように取り組んでいるのでしょうか。
 また、高齢化が先駆けて進む本県では独自の施策を考えてはと思いますが、どうでしょうか。「子供を産まない」と言っている人に「さあ、産め」と言うよりも、欲しいと念願している人を助けてあげるのが政治や行政の仕事であると思います。
 五番目は、青少年補導センターについてであります。
 最近は、毎日のように議会に提供のあったペーパーが送られてきます。県政の動きが刻々わかり、大変親切な制度であると思いました。
 さて、その中に就職啓発のリーフレットとともに「見つめよう 今の自分! 考えよう 自分の未来!!」というリーフレットがあり、高校生や父兄に対して携帯電話についての諸注意ですが、最後に何かあったときの相談は教育委員会関係の教育相談窓口、県警本部の少年サポートセンターとともに、やはり最寄りの青少年補導センターへとありました。身近な補導センターの利便性、重要性を再認識いたしました。
 ところが、今度、派遣教員が引き揚げられて、とうとう補導センターが閉鎖するというような話が聞こえてまいります。果たしてこんな時期にまさかと思いますが、一体どうなっているのでしょうか。
 そこで、青少年補導センターの目的は何だったのか。これまでどのような活動をしてきたのか。その活動を県はどのように評価し、今後をどう展望するのか。また、センターでの派遣教員の役割や必要性についての見解はどうでしょうか。さらに、国へ要望していくことはないのでしょうか。それぞれ所見を伺いたいと思います。
 最後に入札制度について、一点は要望を、一点は質問をいたします。
 まず、公共工事の入札についてであります。
 今年度入札及び契約手続改善方針が示され、一連の制度改革が行われ、一層の競争性、透明性が確保されました。しかし、公平性という観点では疑問もあります。具体的には、工事実績対象期間の二年間に受注がなければ工事成績評価を零点としていますが、そもそも主観点数とは、業者の施工能力、技術力、賞罰、社会性など、経営事項審査だけではわからない全体像を主体的に判断するためのもので、二年間に直接受注がないからといって、その施工能力、技術力がにわかに零点とするほど著しく劣化するとは考えにくいものです。現に、国土交通省において、期間を二年間としていた旧運輸省の方式を四年間とする旧建設省の方式に統一する準備が進められていると聞きます。また、加点についても最高百点とされていますが、ことしから導入された国際標準基準のISO取得点数がわずか十五点であることに比べると、偶然の支配する受注が前提となる工事成績評価の百点は過大であります。さらに、市町村などが行う国費、県費の補助事業の完成検査を県工事と同様の和歌山県工事検査規程に基づいて県が行っているのであれば、これも対象とすべきであります。また、障害者の雇用などの項目を追加し、多面的に判断してはどうかと思います。
 土木部においては、今後の見直しを入札監視委員会などにおいて検討するとしていますが、役所の事務の透明性、説明責任も含めて早急な改善を要望するものであります。
 次は、IT関連の発注についてであります。
 県ではIT戦略を策定し、県政策へのITの積極的な導入を図ることとしており、それに沿って最近IT関連の委託が各部各課から発注されております。県報掲載案件を見ますと、税務事務管理のような高度の技術を要するものもあれば、ホームページ制作のような簡単なものもあります。しかし、発注の方法は、金額が大きくても随意契約であったり、小さくとも一般競争入札であったりと、さまざまで統一されたものがありません。また、県報に掲載されただけで、鳴り物入りで誘致したIT企業でさえ知らないということもありました。それでは、インキュベーターに入っている零細業者やSOHOの皆さんは知る由もないでしょう。せっかく立派な畑を用意し、種をまいても、水や肥料をやらなければ作物は育ちません。
 IT産業の振興なくしてIT先進県たり得ないと私は思います。なぜこんなことが起きるのか、よく考えてみますと、IT政策を担当するところと発注するところが別ですし、産業振興をしているところがこれまた別といったぐあいであります。これは配慮が足りないといった問題ではなく、組織のあり方の問題であると思います。この際、IT戦略が実効あるものとするため、発注方法の改善と一元化を望むものでありますが、どのようにお考えでしょうか。
 以上であります。
○副議長(小川 武君) ただいまの中村裕一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 南海道地震との関連での県庁の耐震補強についてのご質問でございます。
 ご質問にありましたように、県庁舎、そして議会棟、警察、これの建てかえということで、平成二年から議会棟について進めて、平成七年度から本格的にお金を積み立ててきたところでございます。平成十一年度に積み立てを一応とめておりますけれども、今のところ百億近いお金が基金としてたまっているというところであるわけでございます。
 これは条例で定めておりますので、にわかにこの使途を変更するということはなかなか──また議会等とご相談しながら進めないといかんことでございますけれども、地震に対する耐震設計というのは大変大事なことですし、特に警察庁舎等、非常に危険性の高い建物もございます。そういうふうなことも含めて、人命のことが一番大事でございますので、どういうふうな対応をしていくのが一番合理的であるかということを真剣に考える時期が来ていると私は思っております。
 そしてまた、庁舎につきましても、これは私が以前総務部長をしていたときに大幅に基金をつくってやっていこうということで進めた経緯もあるんですけれども、やはりなかなかこの厳しい状況の中で新しい県庁舎をつくっていくということについて県民の理解が十分得られるものかどうかというふうな諸般の情勢もあります。そういうふうなことも踏まえて議会の方と相談をしていきたいと、こういうふうに思っているところでございます。
 それから、下水道の整備について一元的な組織にしたらどうかというふうなご質問でございます。
 これは私も以前、国の方で担当の室長をしていたことがありまして、公共下水道、そして農集、漁集、合併処理浄化槽、そしてコミュニティープラント、いろんなものがあって、結局これがすべて衛生処理率という形では統合されるんですけれども、下水道普及率ということになるとまた別々ということもありまして、何か一元化できないかというふうなことを東京にいたときも考えていた経緯がございます。
 やはり、地方公共団体というのは、そういういろんな施策を首長のもとに一本化してできるところがある意味ではメリットということも言えようかと思いますので、こういうふうなものを統合して和歌山県の──今ようやく下水道処理率についてはびりから二番目になったということでございますが、これで満足できるような状況ではございませんので、ご提言の趣旨も含めて組織のあり方について前向きに検討してまいりたいと、このように考えております。
○副議長(小川 武君) 総務部長宮地 毅君。
  〔宮地 毅君、登壇〕
○総務部長(宮地 毅君) 防災関係のご質問のうち、防災センターの機能と専門家の養成についてお答えを申し上げます。
 防災センターの機能についてですが、災害の発生時、迅速かつ的確な被害情報の収集、適切な応急・復旧対策の実施は、災害による被害の軽減を図るために大変重要であります。このため、防災センターにおいては、まず職員数名が夜間も常駐する二十四時間即応体制をとる必要があると考えております。また、いざ災害が発生した場合は、半径二キロ以内に居住しております職員約百名が緊急参集し、初動態勢の確立を図ることとしております。さらに、防災センター内には常設の災害対策本部室と県及び防災関係機関の職員約二百名が災害対策業務に当たる防災対策室を設けまして、速やかに災害対策活動を実施できる体制を整備する必要があると考えております。
 ご質問にございました当直体制等の強化につきましては、職員の近隣への居住も含め、防災センターの整備にあわせて検討してまいりたいと考えております。
 次に、専門家の養成の関係でございますが、職員の異動は職場の活性化、不正防止、総合的な人材育成の観点から一定のローテーションで行っているところでございますが、一方で複雑多様化する現代社会におきましては専門的な知識、経験を有した幹部職員が不可欠となってきているのは議員ご指摘のとおりであります。このため、今後幹部職員を養成する上で、特定分野における専門的知識を有するいわゆるスペシャリストの養成にも意を尽くしてまいりたいと考えております。
 次に、プロ野球のフリーエージェント制のようなものを導入してはどうかというご提言につきましては、職場の活性化や職員の意欲喚起につながる方法の一つとも考えられますので、今後、具体化に当たってどのような方策が可能なのか、検討してまいりたいと考えております。
○副議長(小川 武君) 知事公室長小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) 防災に関連しまして、あらゆる危険に対応するためのリスクマネジメントはというご質問でございます。
 県組織の危機管理体制の整備としましては、地震や台風、大規模火災などの災害に対応するため、平成十三年度に総務部に防災監を設置したところでございます。さきには、和歌山市において、カレーへの毒物の混入や住友金属工業株式会社和歌山製鉄所に搬入されたコンテナからの放射線の検出など、これまでにも地方公共団体が想定していない不測の事態が発生しております。
 このような事件、事故等が発生したときの対応といたしましては、知事、副知事、関係部長等への速報体制や対策組織の迅速な立ち上げなどの手続を定めました「県政に影響を及ぼす事件・事故の処理方法」に基づき、適切な処理ができるよう常に徹底を図っているところでございます。
 県といたしましては、県民の生命、財産を守ることを第一に考え、起こり得るであろうあらゆる危機に対応するため、さらに危機管理意識の向上、危機管理体制の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(小川 武君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 土木工事にも材木の使用をとのお尋ねですが、県内の雇用の維持増大を図るため、県が実施する公共事業において県産品を積極的に活用する「つかおう・つくろう・けんさんぴん」運動を推進しております。この七月からは、県庁ホームページで木製品を含めた県産品の情報検索システムの運用を開始し、設計の段階から県産品の優先使用に努めているところでございます。中でも、紀州材を一層活用するため、土木部紀州材・間伐材活用促進ワーキンググループを本年六月に設け、昨年実績を大幅に上回る目標を設定し、その実現に取り組んでございます。
 今後は、材料が紀州材であると特定できる仕組みづくりや新工法、新材料の試験施工の実施、あるいは入札契約システムの創意工夫などに努め、紀州材、間伐材の積極的な活用に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 緑の雇用事業が成功するためにについてのご質問のうち、二点についてお答えいたします。
 まず、紀州材のブランド化についてでございますが、木材の利用拡大を図ることは、植林から保育、伐採、利用に至る雇用を生み出し、活力ある森林を維持するという幅広い波及効果が期待できます。そのため、専門的アドバイザーの活動を通じて、紀州材のすぐれた特性や製品情報をPRするとともに、紀州材流通促進協議会などと連携し、製品の乾燥度合いや強度表示をした製品の販売を促進しているところでございます。
 今後、激化する産地間競争や法令等の改正により従来にも増して製品の品質や信頼性が要求されるため、紀州材流通促進協議会などと連携した品質規格の統一と性能表示をした製品の供給体制づくりに取り組み、さらには建築士、工務店などの関係者が参画した組織づくりを通じて消費者に対する紀州材の情報提供を行い、安心、信頼をキーワードにブランド化を推進してまいります。
 次に、中国への輸出につきましては、本県では昭和六十年に森林組合が取り組みましたが、輸出にまで至らなかった経緯がございます。経済成長が著しく将来の巨大な市場としての可能性が見込まれる中国では、住宅等に木材需要が増加してくることが予想されますが、輸出の検討に当たりましては、中国での利用用途や価格の動向、さらにはロット、航路などの調査研究が必要でございます。現在、本県と友好関係にある山東省へ木材の価格や需給の現状について照会を行っているところでございまして、今後とも広く情報収集に努め、海外市場への販路拡大について研究してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 少子化対策と不妊治療につきましてお答えいたします。
 まず、坂口厚生労働大臣発言のその後についてでございますが、国では、少子化対策を進めるため、厚生労働相の私的諮問機関として少子化社会を考える懇談会を設置しております。この懇談会は、今月十三日、新たな少子化対策の中間報告を取りまとめましたが、この中で不妊治療については、倫理的にどこまで容認すべきかといった問題、技術の有効性、安全性、医療機関の体制整備、さらには経済的な負担、不妊治療を継続して受けられる職場環境の整備など問題があり、そのあり方を検討する必要があると報告されております。国では、その議論を踏まえながらこうした問題について検討されるものと聞いております。
 次に、不妊治療に県単独の制度をについてでございます。
 本県の少子化対策につきましては、平成十三年度に和歌山県少子化対策推進本部を設置するとともに「わかやま子育てスタイル」を策定し、各種施策に取り組んでおります。
 不妊治療に関しましては、厚生労働省に対し医療保険の適用を要望しておりますが、国の少子化社会を考える懇談会等の議論を見守りつつ、引き続き要望してまいります。当面は、県内の不妊治療に不安を持つ方々のニーズの把握に努めるとともに、県立保健所に不妊相談窓口を設置し、不妊治療についての情報提供や相談に応じることのできる体制の整備を検討してまいります。
 以上です。
○副議長(小川 武君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 補導センターについてお答えいたします。
 青少年補導センターは、昭和三十二年、和歌山市に設立されたのを初めとして、以後、発展的に県内十九カ所に青少年補導センターが設置されております。設置の根拠は、設置主体の市町村や広域事務組合の条例、規則、規約となります。
 青少年補導センターのこれまでの成果についてでございますが、最近の少年人口の減少にもかかわらず、少年犯罪の増加や少年犯罪の凶悪化、いじめや不登校の増加等、青少年問題は複雑・深刻化の一途をたどっている現状であります。十九の青少年補導センターには、教員二十一人、警察職員二十七人がそれぞれ派遣され、市町村職員四十四人とともに地域の青少年補導員等と連携し、補導活動や相談活動、環境浄化活動、広報啓発活動などを通して多くの成果を上げてきたところであります。
 補導センターの評価についてでございますが、三位一体の方式は先進的な取り組みとして他府県からも評価されているところであり、その有効性は広く県民に認識されているものと考えております。
 議員ご指摘の派遣教員につきましては、各学校や市町村教育委員会と青少年補導センター間の連絡調整や指導助言など、青少年問題の現状に対応するためにはなくてはならない存在と考えております。
 国への要望についてでございますが、今後、市町村関係機関とともに青少年補導センターの効率的なあり方などを検討し、国に対し訴えてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(小川 武君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) IT関連業務発注の方法についてお答えを申し上げます。
 ご指摘のとおり、IT関連業務は、企業規模にかかわらず、技術力を有する企業等が実施することが可能な業務でございます。
 IT関連業務の今後の発注のあり方につきましては、業者団体や所管団体等を通じて、中小企業、新規立地企業等に対し、さまざまな方法を通じ十分な情報提供を行うとともに、発注業務の性質に応じて公平さが確保されるよう、企画部IT推進局が中心となって環境の整備を行ってまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(小川 武君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(小川 武君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十三分散会

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