平成14年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 ただいま議長から発言を許されましたので、お時間を拝借して、通告に従いまして一般質問を行いたいと存じます。ただ一点だけ、文章の構成の中で通告と若干順序の違う部分もあろうかと存じますけれども、その点についてはご容赦を賜りたいと存じます。
 まず初めに、「産業振興で県勢の発展を」と題してお尋ねをいたします。
 第一に、県産品の販路拡大についてであります。
 皆さんもよくご存じの大手スーパーチェーン、イトーヨーカ堂の本年八月発行の社内報「IYGROUP四季報」第七十六号でございますが、これが実物でございます。この中で、本県の企業ですぐれた技術、ノウハウを有することで知られる株式会社ヤマヨテクスタイルの山下郁夫代表取締役社長とともに、和歌山県商工労働部の溝原聰参事のインタビュー記事が顔写真入りで大きく報じられておりました。これは「日本製品を愛するお客様のために日本各地から商品をお届けします」というキャッチフレーズのもと、同社が展開しているメード・イン・ジャパンキャンペーンの一環として掲載されたものだそうでございます。
 本年四月、県は商工労働部に県産品技術支援担当参事を新設、部局横断型の県産品活性化戦略会議が組織されました。同参事は初の役職であり途方に暮れたそうでございますが、イトーヨーカ堂のメード・イン・ジャパン企画を報じた五十行ほどの小さな囲み記事に目をつけ、同社に連絡をとり、四人の職員とともに本社を訪問したのであります。この前後の経緯は、時事通信社の「官庁速報」でも詳しく報じられておりました。同速報によれば、応対に出た衣料事業部長の日ノ沢章常務は、「地方自治体が直接やってきたのは和歌山県が初めて」と大いに歓迎してくれたそうであります。その後、県産品を持参してプレゼンテーションをするなど売り込みを図り、同社バイヤーの来県にこぎつけました。同社バイヤーとのマッチングには本県内メーカー七社が参加、同バイヤーは「一度に複数のメーカーと会うことができ県庁には感謝している。機会があればまた和歌山を訪問したい」と好反応だったということであります。「官庁速報」等で知り、その後、複数の府県から問い合わせがあったとも聞き及びました。私は、新聞記事に着目をし、勇気を持って大手スーパーの門をたたき、イトーヨーカ堂と県内メーカーとのマッチングを実現させた努力と創意を大いに評価するものであります。
 そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
 第一に、このような斬新な創意によるマッチングについての感想。
 第二に、この際、さらに県産品の販路拡大のために組織の強化を図ってはどうかと思いますが、いかがでございましょうか。
 第三に、他のスーパーチェーンやアパレルメーカーなど大手バイヤーへの接触など県産品の販路拡大にどのように取り組んでいかれるのか、商工労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 第四に、このほか農林水産県産品の販路拡大についてどのような取り組みをされているのか、農林水産部長の答弁を求めたいと思います。
 この項目の二つ目、IHS(イノベーション・ホット・スプリングス)構想についてであります。
 同構想が順調に歩み出したことに、私はまず拍手を送りたいと思います。
 そこで、同構想のスタートから今日まで、既に進出した企業等について、また今後の動きについて商工労働部長から報告をしていただきたいと思います。
 ところで、南紀白浜の地には、かつて最盛期には百五十近くの企業、団体の保養所が林立いたしておりました。しかし、近年の不況のあおりを受けて、本年四月の白浜町の調査によりますと、現在も営業中の保養所は五十五カ所と半数以下に激減をしているのであります。特に保養所が集中していた地区などは、文字どおり灯が消えたような寂しさだと聞き及んでおります。IHS構想の推進を図るために、これら閉鎖中あるいは売却希望の保養所を活用しIT関連企業に進出してもらえば一石二鳥の効果が期待できると思うものであります。この点、商工労働部長のお考えを聞かせていただきたい。
 さて、三つ目に、「長谷川章氏のことども」と題してお尋ねをいたします。
 ご存じの方も多いと思いますが、まずは長谷川章氏の来歴について紹介をしたいと思います。長谷川章氏、コプメ企画代表、一九四七年石川県小松市生まれ、職業・マルチクリエーターと言ってもこの人の人物像は想像しにくいと思います。この人のことを象徴的にあらわすエピソードを紹介した方がわかりやすいと思います。一九九八年でしたか、中国国営テレビ局中央電視台(CCTV)が新しいロゴの作成を公募したところ、世界じゅうの映像作家、企業等が参加を表明したそうであります。ところが、長谷川章氏が参加すると伝わると全員撤退した。結局、最終的には長谷川章氏がこのCCTVの新ロゴをつくったわけでありますが、そういうエピソードの持ち主であります。現在、六億人の中国人民が毎日、中央電視台(CCTV)のこのロゴを見ているそうであります。
 これまで同氏が制作した主なものを挙げますと、NHKサンデースポーツ、同じくサタデースポーツのカバータイトル、NHK大河ドラマ「琉球の風」のカバー映像、日本テレビ「特命リサーチ二〇〇X」のオープニングカバーイメージビデオなどがあり、またNHK衛星放送のBSクラッチを考案し、視聴加入者を二百世帯から六百万世帯へと飛躍的に上げた契機をつくった人としても有名であります。これまで制作した映像作品は四千本に上るとのことでございます。同氏は、生まれ育った小松市にスタジオを構え、そこには電通や博報堂といった大手が長谷川氏に会うために頻繁に訪問するそうでございますが、この人のスタジオには電通や博報堂さえ持っていないようなデジタル映像編集機などのコンピューター機器を備えているということであります。業界では「小松もうで」という言葉が定着するほどの映像、アートクリエーションの世界の巨人であります。
 ところで、私の友人のS氏がコンピューター関連の仕事をしており、この長谷川氏と親交があり、ぜひとも和歌山に呼ぼうということになりました。そして、何度か来県をしていただきました。一度は、知事室で木村知事とも会っていただいたのであります。同氏の趣味は、聞くところによると釣りだそうであります。トローリングに興味を持っているとも伝え聞いております。同氏のスタジオは、小松市の郊外、背後に北陸の雄峰白山を控え、眼前に木場潟の静かな湖面が広がる土地にあり、自然豊かな土地でこそ豊かな発想と斬新な知恵もわいてくるというものでございます。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 小松市の郊外も結構ですけれども、太平洋の大海原が目の前に広がる南紀の地こそ、もっと豊かな発想と斬新な知恵も生まれると私は考えます。ぜひとも長谷川章氏を和歌山に招聘し、第二のスタジオを立地してもらおうではありませんか、知事のお考えをぜひとも聞かせていただきたいと思います。
 この項の三つ目、コスモパーク加太へのカゴメの進出計画についてお尋ねをいたします。
 先月、新聞各紙に、県と食品大手カゴメが連携してコスモパーク加太にトマト栽培の巨大ハイテク温室をつくり、同地区を食と緑の工場特区とする構想を発表し、話題を呼びました。いわゆるバブル経済の崩壊と長引く不況で五百億円を超える借金と多額の利払いに苦しむコスモパーク加太を抱える県としては久々の朗報であると思いますが、この実現までにまだまだ多くの障害が横たわっていると思います。
 そこで、一、カゴメ進出実現に向けて隘路、障害となるものはないか。
 二、食と緑の工場特区とは何なのか。
 三、コスモパーク加太に係る土地開発公社の経営状況について。
 以上三点、企画部長の簡潔にして要を得た答弁を求めたいと思います。
 この項目の最後、県内企業の支援のために新たな制度融資を設けてはどうかという点でございます。
 長引く不況の中で、大多数の中小零細企業の皆さんは、今、涙ぐましい努力を重ね、懸命に頑張っておられます。これら企業を応援するために、この際新たな制度融資をぜひとも実施していただきたい。資金面で少し後押ししてやれば頑張れる企業がたくさんございます。このことについて、商工労働部長の前向きの答弁を期待いたします。
 次に、関西国際空港を取り巻く諸問題に移りたいと思います。
 去る八月十六日に開かれた国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会の空港整備部会に関する報道や論説が八月十六日夕刊から始まって約一週間、にぎやかに紙面を飾りました。ご記憶の方もあろうかと存じます。
 席上、成田、関西、中部の三国際空港を上下分離方式で民営化しようとする国土交通省の提案に対し、民間選出の委員数人から異論が出されたことが大きな見出しつきで報じられておりました。複数の異論はいずれも首都圏在住の委員の口から出たものでございますが、日本一国全体の観点に立った議論、国益という観点に立った意見でないことはもちろん、これまで我が国政府がとってきた一貫性のない航空行政、ポリシーのない航空行政にこそ問題の淵源があることに気づかない、極めて的外れの議論であると断ぜざるを得ないのであります。まさに、上下分離イコール関空救済というミクロ的な、近視眼的な、現状だけを見て評論する発言は将来に大きな禍根を残すという点にかんがみ、私は残念でならないのでございます。
 また、この空港整備部会を報じた新聞各紙の論調も、「「救済」批判、関空に課題」八月十六日付日経夕刊、「上下分離に異論」八月十七日付朝日、「上下分離に「関空救済」批判」八月十七日付日経、「関空債務、成田肩代わりに批判」八月十七日付日経など、センセーショナルな見出しをつけていました。特に日本経済新聞の見出しが突出してセンセーショナルで、記事を書いた記者、見出しをつけた整理部デスクら、社を挙げて何か思惑があるのではないかと勘ぐりたくなるほどの異常さであったと言わざるを得ません。あたかも、上下分離は関空救済のための愚策であるという声が圧倒的であるかのような報道でしたが、果たしてそうでありましょうか。
 この審議会のことを取り上げた記事の中にこういう一文もあります。朝日新聞八月二十三日付二面の社説に「韓国、中国など近隣諸国は大規模な国際空港建設に力を入れている。コスト面で魅力がない日本の国際空港は、乗り継ぎ客を海外空港に奪われかねない。そうなれば、三空港共倒れの恐れさえある」と。東アジアのハブ空港の地位をめぐって、我が国の関西空港や成田の当面のライバルは韓国の仁川国際空港と中国・香港にあるチェックラップコック空港でございますが、中国の他の国際空港も決して侮れない存在であります。例えば、韓国は仁川国際空港を建設するに当たり、わざわざ航空局法という法律を改正、強化して、同空港の建設は国の威信と責任において行うことを明確にし、現に現在まで取り組んできております。中国にしてもしかりであります。
 一方の我が国はどうか。我が国の空港整備法では、その第三条で「第一種空港は、国土交通大臣──当時は運輸大臣でございます──が設置し、及び管理する」と規定してあったものが、成田、関西両空港の建設に当たりまして、同条第二項で「前項の規定にかかわらず、新東京国際空港は新東京国際空港公団が、関西国際空港は関西国際空港株式会社がそれぞれ設置し、及び管理する」と改悪、弱体化して空港建設に当たったのであります。ここには二つの大きな問題が横たわっていると思います。一つは、我が国の第一種空港は、新東京国際、関西国際、東京国際、大阪国際、それに中部国際の五つでございますが、日本の空の玄関とも言うべき国際線の離発着が行われている国際空港は、現在、新東京国際いわゆる成田と関西国際の二つであります。東京国際と大阪国際、羽田と伊丹は名前に「国際」はついておりますが国内空港であります。今二十六カ所ある第二種空港も含め、すべて設置者は国土交通大臣であり、すなわち国の責任において建設してまいりました。しかも、その中にはとても国の基幹空港とは言いがたい、前にも申し上げましたが、八尾空港、稚内空港、北九州空港、山口宇部空港なども含まれているのであります。八尾空港などは定期便が飛んでいるわけでもありません。今は専らセスナの駐機場になっておりますけれども、そういう空港でさえ国土交通大臣の設置なのであります。そして伊丹空港に至っては、その騒音問題から、今日まで防音工事や移転補償などに八千億円になんなんとする巨額の金が注ぎ込まれてまいりました。第二種空港なら九つ、南紀白浜空港のような第三種空港なら十六個もつくれる莫大な費用が国民の税金で投入されてきたのであります。しかも、この八千億円は新たに何かを生む投資的経費ではありません。
 そして第二の問題、アジアの拠点空港になるべき関西、成田の国際空港に限って国は責任の一部を放棄し、地方自治体や民間に責任を覆いかぶせてしまいました。当然、関西国際空港株式会社も成田空港公団も、その立場、責任上、経営という観点から、コスト償還のために空港使用料や着陸料、駐機料などにはね返らさざるを得ません。成田、関西が、これらの料金で世界でも一、二の高い料金を設定せざるを得ないのであります。利用者や航空各社から苦情が出るのは当然の結果であろうと思います。片や、国の威信と責任にかけて空港を建設し、料金は低く抑える、一方、国と地方自治体、民間の三者で構成する特殊法人が空港をつくり、巨額の建設費のコスト償還のため利用料金を高く設定せざるを得ない。これでは、国際競争に勝てというのが無理であると言うべきはありませんか。さすがに国土交通省は、これまでの航空行政を反省し、国の空港立地政策が原因で生じたコストのアンバランスを解消させないと公平な競争ができないとの考えに立って政策の練り直しを考え始めたこと──これは八月十七日付朝日新聞で報道されておりました。私が十数年前から言い続けてきたことで遅きに失した感は否めませんが、中国のことわざにもあるごとく、「過ちては則ち改むるにはばかることなかれ」であります。国土交通省は、国土の均衡ある発展という観点から、運輸省時代も含め、過去の航空行政の過ちを率直に認め、速やかに本来のあるべき航空行政を思い起こせと強く申し上げておきたいと思います。
 以上の観点に立ち、木村知事にお尋ねをいたします。
 この空港整備部会の一部委員やマスコミの一部が、本来国が設置すべき国際空港の建設に当たり、その責任を放棄して地方自治体や民間に責任の一部を転嫁し負担を強いたことから累積債務が膨らんだため、それへの反省と打開策として上下分離案を提案した国に対して、上下分離案は関空救済でありけしからんとする短絡的発言、報道は、木を見て森を見ない極めて近視眼的発言でありいかがなものかと考えますが、知事の率直なご意見を聞かせていただきたいと思います。
 次に、関西国際空港が抱える課題の一つ、航空需要の伸びについてであります。
 他にも需要を喚起する方策はあろうかと存じますが、ここでは取り上げません。まず何よりも、当初の予定どおり大阪空港は廃止すべきであり、神戸沖空港は白紙に戻すべきであると思います。このことについて、企画部長の答弁をいただきたい。
 第三に、大阪空港の廃止に当たっては、地元十一市協や地元財界などの相当な抵抗が予想されます。それらの多くの声は、空港が近くになくなることへの不便、不安とともに、その底流には、空港が廃止となると文字どおりぽっかりと穴があいたような形となり、この地域が寂れることの不安、経済の地盤沈下に対する危機感があると思われます。
 そこで、この欠陥空港の大阪空港の廃止と十一市協を初めとする地元がのむような提案、一石二鳥の案を、前にも一度申し上げましたが再度言わせていただきたいと思います。大阪空港を廃止して、その跡地に首都機能を移転させることであります。ただし、その条件として、一、関西国際空港の全体構想の実現を前倒しして促進し、アジアのハブ空港としての地位の確立を図る、二、大阪湾ベイエリア構想などの実現による関西全体の交通網の整備促進を図る、三、テクノスーパーライナーの実現を見据え、関西全体の海の玄関として和歌山下津港をTSL基地と位置づけ、関連施設の整備や交通アクセスの整備を促進することを関西全体の取り組むべきテーマとして認知されるよう、今後開催されるであろういろんな会議の場でぜひ知事の口から提言をしていただきたい、あわせて各方面にも働きかけていただきたいと思うものであります。
 大阪空港は三百十七ヘクタール、周辺整備機構が所有している空港周辺の移転跡地八十四ヘクタールを合わせると計四百一ヘクタールであります。一方、私の試算によれば、東京永田町、霞ケ関に分布する首都機能は、国会議事堂や衆参両院議員会館、首相官邸、国立国会図書館を初め財務省、外務省、法務省など各省庁はもちろん、最高裁判所などまで含めて、ほぼ百ヘクタールの中におさまっております。国会等移転調査会の報告の中でも、首都機能の移転で発生する跡地を関連施設等も含めて最大二百十ヘクタールとしているのであります。
 ところで、同調査会は移転先候補地の選定基準として、一、東京からの距離が鉄道で一、二時間のおおむね六十キロメートルから三百キロメートル程度の範囲であること、二、広大な用地の迅速かつ円滑な取得が可能な地域で、第一段階だけで約二千ヘクタールの土地、三、政令指定都市級の大都市からは十分な距離を保つなどの東京中心の発想や実現困難な選定基準も挙げておりますが、このほかに、一、国内各地からのアクセスに極めて大きな不均衡が生じない場所、二、欧米主要各国の元首専用機等が発着可能な滑走路を有し、四十分程度以内で到達可能な地域、三、災害により都市活動に著しい支障を生じないよう十分配慮、四、極端に標高の高い山岳部や急峻な地形の多い場所は避けるといった条件を挙げているのであります。
 大阪空港跡地は、これら後の四つの選定基準に照らしてみてもぴったりであり、我が国の場合、巨大なプロジェクトを実施する場合、必ずネックとなる用地買収や移転補償といった難問題を簡単にクリアできる最適地であると私は確信をいたします。
 ところで、大阪空港はなぜ廃止すべきなのか、それは来る二十一世紀の航空需要には到底対応できない欠陥空港であるからであります。すなわち、一、夜間の離発着が不可能なこと、二、一日の発着枠に厳しい制限があること、三、将来の需要増に対応すべき新滑走路やターミナルの拡張が無理であること、四、騒音問題等についての周辺地域及び住民の根強い抵抗があること等々の理由により大都市圏関西の空の表玄関とはなり得ないからであります。それであれば、他の用途への転換が得策ではありませんか。ひいては、大阪空港廃止を声高に叫びながらも、同空港による経済効果、恩恵を受け、騒音問題などをてこに国から補償費を引き出すことに躍起となってきた騒音公害訴訟団や十一市協、地元経済団体をも満足させることになると私は思います。
 知事、私のこの提言について、ぜひとも機会あるたびにあらゆる場所で提案していただき、働きかけをしていただきたいのでありますが、この場で知事のお考えを聞かせていただきたいと申し上げたいところでありますけれども、事が事だけに強く要望することにとどめておきたいと思います。
 三点目、教育現場の憂うべき現状についてであります。
 今月五日、県教育委員会のまとめた小・中・高校生による暴力行為の発生件数が公表され、マスコミ等でも報じられました。これによりますと、小・中・高の総数ではほぼ横ばいであるのに対し、小学生による暴力行為が一昨年は十六件であったのに対し、十三年度では三十二件とちょうど倍増していることが明らかになりました。県下で分校も含め三百四十校、児童数六万一千七百八十六人の中でたった三十二件の暴力行為であり、ごく限られた一部の現象と片づけてしまっていい問題ではないと私は考えます。なぜなら、本来、小学生と暴力行為は無縁であるはずであります。決して起こってはならない事象であると思うからであります。教育長、この現状についてどう考えておられるのか、率直な意見を聞かせていただきたい。
 二つ目に、この県教育委員会のまとめが公表されたことを報じた九月六日付読売新聞によれば、県教委は「対応は各校に任せている」と新聞記事の見出しにはなっておりました。本当に県教委はそう思っておられるのでしょうか。もしそう思っているとすれば大問題でありますが、県教委の真意と今後の対応も含めて語っていただければ幸いでございます。
 次に、小・中・高校生等の昨今のマナーの低下と学校におけるマナー教育についてであります。
 私は、二年前に所用があって県立田辺商業高校を訪ねたことがあります。一歩校内に足を踏み入れますと、校舎内はもちろん、校庭の隅々までちり一つ落ちておらず、掃除が大変行き届いていることが一目見てわかりました。その途端、何か校内の空気までがすがすがしく感じられたのであります。このことは今に至るまでよき印象として私の心に残っていることを、この場で皆さんにぜひとも申し上げておきたいと思います。もちろん、校長先生にもお会いしました。用事が済むなり、私は聞かずにはおれませんでした。「なぜ、校内の隅々までこんなに美しいのですか」と。校長先生は得意げになるでもなく、淡々と同校の長年の取り組みを簡潔に話してくださいました。同様の地道な活動は他の小・中・高校でもきっと行われていると私は信じます。ともすれば、近年、若者たちのマナーの悪さや社会常識に欠けた言動、傍若無人ぶりが目につく時世であるだけに、田辺商業高校は際立っていたのでありましょうか。田辺商業高校で三年間学んだ生徒たちは、きっとよきマナーを身につけ、よき社会人になっていると私は信じます。
 学校におけるマナー教育の取り組みはどうなのか、また県教育委員会として日ごろどのような指導を行っておられるのか、教育長の答弁を求めるものでございます。
 最後に、身体障害者補助犬法の施行に当たり要望を申し上げます。
 身体障害者補助犬とは、皆さんもよくご存じの盲導犬、聴覚に障害のある人の耳がわりをする聴導犬、体の不自由な人を助ける介助犬の総称でございます。
 同法は主に、一、公共施設や公共機関、不特定多数の人が利用する民間施設などは原則として補助犬の同伴を拒否できない、二、職場の事業主や賃貸住宅の家主は補助犬の受け入れに努力する、三、補助犬の使用者は犬の衛生状態の確保や十分な管理に努めることなどが盛り込まれ、さらには質の高い補助犬の育成を図るために必要な措置を講じることなどがうたわれているのであります。同法の施行により、障害者の人たちの日常生活を助け、より積極的に、より自由に社会参加する道が一つ開かれたこととなり、まことに喜ばしい限りであります。なお、同法につきましては、私たち公明党が国、地方自治体の議員が一体となって、その実現を目指して長年運動を展開してまいりました。このたび、自民党、保守党の与党各党などのご協力をいただいて成立にこぎつけたことをご報告申し上げておきたいと思います。
 ところで、同法の施行により、公共施設においては本年十月から、民間施設については明年十月から補助犬の受け入れがスタートいたします。あたかも、本年十一月二十三、二十四の両日、和歌山ビッグ愛において第九回全国盲導犬使用者の会総会が開催され、日本全国から多くの視覚障害者の皆さんと多くの盲導犬が来県します。この受け入れに当たりましては、トラブルや行き違いがないよう万全の体制をとることはもちろん、これを契機に県としては、身体障害者補助犬の取り組みに関しては、補助犬の訓練、育成も含め、我が国トップレベルにあると誇れるような積極的かつ心の行き届いた施策を講じられますよう強く要望いたすものでございます。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず初めの県産品の販路拡大とイトーヨーカ堂の関係に関するご質問でございますが、私はこのことについて非常に力を入れております。どういうことかと言いますと、以前から職員がアンテナを高くして、和歌山県のためになるようないい情報があったら思い切りそれに対応していくべしということを言っておりましたことの一つの大きなサンプルがこの件だと考えているわけでございます。
 先ほどのご質問にもありましたように、イトーヨーカ堂がメード・イン・ジャパン、日本の国産品を大事にしようということのキャンペーンの中で、和歌山県のものが一つ、ポロシャツだったと思いますけれども取り上げられていたわけですが、これにすぐに気がついて飛び込みで──営業の人だったらよく飛び込みということがあるんですけれども、公務員はなかなか飛び込みでいろんな活動をするということはないんですが、飛び込みでイトーヨーカ堂へ乗り込んでいって話をしたことが相手の好感を得て、その結果として七月に既に商談会が行われ、さらに秋には物産フェアも行われるような方向になってきている。そして、私が以前から東京でアンテナショップをつくろうということでいろいろ施策を進めてきていたんですけれども、家賃とかの非常に難しい問題もあるんですが、イトーヨーカ堂とかこういうふうなところと組んで、和歌山県の物産を首都圏でソフトな形で売り出していくような仕組みができてきたら、これはまた新しい形の和歌山型のアンテナショップというふうなものにもなる可能性があるということで大いに期待しているところでございます。
 いずれにせよ、こういうふうなどこにでもありそうで、しかもだれもなかなかすぐに体を動かさないということについて、すぐ動かした結果がこういうことにつながってきているということの一番いい例だと思っております。私は、和歌山県の地場の産品のよさというものを全国に発信していくことからしか和歌山県の勢いは出てこないと考えておりますので、この組織強化の問題もありましたけれども、とにかくこの分野は非常に重要な分野と考えておりますので、そういう方向で今後も対応していきたいというふうに考えております。
 それから、長谷川さんにつきましては、私も去年、ご紹介によってお会いしました。私はこういう分野はそんなに詳しくないんですけれども、業界では大巨人ということで、しかも今の時代に非常にマッチしているのが、東京に居を定めているではなくて、石川県の小松市という地方に居を定めてこういう活動をされているということで、非常にこれは時宜にかなったライフスタイルだというふうに考えております。この方がIHS構想を進めている──最近新しい企業なんかも来出して大分感じが出てきたんですけれども、この田辺、白浜地域へ来ていただいて、趣味とあわせていろいろ活動していただけたら非常にありがたいという気持ちも持っておりますので、今後どんな形で接触していけばいいか、いろんなことを含めて検討してまいりたいと考えております。
 それから、第三点目の関空の上下分離についていろいろ批判的な意見が出た。私は、このことについては非常に心を痛めております。というのは、私自身は、今の高速道路の問題もそうですけれども、こういうふうな国策として日本の国がどういうふうになっていこうかというふうな高速道路とか国際空港とかの問題について、収支だけで物を考えるというふうなことは、これは日本国内だけならばいいんですけれども、この大競争時代によその国と対抗していろんなことをやっていかなければならない時代には、本当に陳腐な議論になるわけです。そういうことで、本来、負債の借金を返すのを三つの空港を一緒にしてやるということは、確かにそれは関空が楽になることは楽になるのかもしれないけれども、そんな関空が楽になるからとか成田がどうだとかというふうな発想ではなくて、本来、今着陸料が九十万とかということで世界一高い。これが競争力を落としているわけだから、これを三十万にするぐらいの方策を考えるべきであって、何も成田が悪いとか関空がどうだとか、こういうふうな小さな子供のけんかというような方向へ持っていくべきものじゃないと思うんです。
 ただ、そういう中でもこの上下分離は一つの方策ですし、さらには僕がさっき言ったように九十万を三十万に落とすような方策を考えていかないといかんと思っていますけれども、いずれにせよ、これが関空救済だとか、そういうふうな矮小化された議論になっていることを非常に残念に思いますし、私はこれからも関空が本当の意味のハブ空港になっていくような方策というものを地方からもどんどん発信していかなければならないと思っております。
 それから、大阪空港が中止した場合の後の話、これは今、首都機能移転については三カ所決めていろいろやられているんで、私がここがいいと言うとちょっと問題があるかと思うんですけれども、発想としては、やはり首都機能の移転とか学園都市とかいうふうなもの、今まで日本でもやられてきたし世界でもやられてきたんだけれども、余り人間臭さのないところへ移ってもそうすぐに成功した例は僕はないというふうに考えているんで、この四百ヘクタールぐらいの土地にうまく移ってくるようなことがあれば非常にいいことだと思いますが、今三カ所でやってはるときに、また四カ所目を僕がつけ加えたというというとちょっとぐあいが悪いと思いますので、またいろんな機会にこういう考え方があるということを披瀝していきたいと、このように思っております。
 以上でございます。
  〔「知事、組織強化」と呼ぶ者あり〕
○知事(木村良樹君) 組織強化も前向きに考えてまいりたいと思います。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県産品の販路拡大に関して、他のスーパーチェーンやアパレルメーカーなど大手バイヤーへの接触についてでありますが、現在は、イトーヨーカ堂を中心に首都圏をターゲットとして事業展開をしておりますが、今後、他地域への展開や他の方法による県産品のPRも必要であると考えており、企業や生産者のニーズに合わせ、他の大手スーパーやマスメディアなど各方面へ働きかけを行い、販路拡大を図ってまいりたいと考えております。
 次にIHS構想についてでありますが、既に進出した企業につきましては、昨年六月に東京に本社のあるクオリティ株式会社が田辺市に新たにエスアールアイを設立し、本年三月、白浜町内の遊休保養所を活用し、活動拠点の開発センターを増設したところであります。現在、新規の地元雇用者数は二十三名で、当初の予定を大きく上回っております。また本年八月、県や白浜町と進出協定を締結した株式会社アスクソフトクリエイトについては、白浜町内に和歌山開発センターを開設し、来年四月には操業開始の予定であります。同社は三年間で十五名を採用する予定で、先日、田辺市で開催されましたUターンフェアにも募集等を始めるなど着実な事業展開が図られております。
 次に閉鎖中の保養所の活用についてでありますが、これらの施設を情報通信関連企業の開発部門のオフィスとして活用していただけるよう、各物件のリフォーム調査を行った上で活用例を提案するという、全国的にもユニークな誘致活動を展開しているところであります。イノベーション・ホット・スプリングスは今お湯が沸き始めたところであり、これからの大きな可能性に向けて全力投球で取り組んでおります。
 次に県内企業の支援のために新たな融資をでありますが、長期にわたる不況の中で、県といたしましては、これまでも中小企業の資金ニーズに応じ、県制度融資を種々工夫してきたところでございます。しかし、議員からもご提案がありましたが、昨今の厳しい金融情勢の中、中小企業に対する資金支援を一層充実することは重要なことであると考えております。このため、中小企業の資金調達の多様化と円滑化を図るため、政府のデフレ対策に位置づけられている売り掛け債権担保融資保証制度を県制度融資への早期導入に向け準備をしてまいります。今後も、県内中小企業を支援するため金融対策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 県産品の販路拡大についてのご質問のうち、農林水産県産品の販路拡大の取り組みについてでございますが、県として県産農林水産物の販路拡大に積極的に取り組む必要があると考えてございまして、その一環として、本年五月に東京で紀州ほんまもん物産展を開催し、十一月には紀伊国屋文左衛門にちなんだ消費拡大イベント、果樹ある王国わかやまグルメピアを実施するなど、大消費地での消費拡大と和歌山ファンの獲得に向け取り組むこととしてございます。
 また紀州材の販路拡大につきましては、首都圏での展示販売や紀州材の魅力を県内外へ発信するアドバイザーを設置するとともに、紀州材をPRし、農産物の直売所としても活用できる木の薫る店を設置することとしてございます。さらに、地域の水産資源を活用した海洋モデル事業の実施や量販店を対象とした農林水産物の販路拡大などにも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、コスモパーク加太へのカゴメ株式会社進出に関連する三点のご質問についてお答えを申し上げます。
 コスモパーク加太へのカゴメの進出計画は、加太の恵まれた気温あるいは日射量などの気象、気候条件を生かし、広大な用地に二十ヘクタールのハイテク温室を建設し、生鮮トマトの養液栽培を行うというものでございまして、これが実現すれば、地元での雇用の確保などを通じて地域経済を活性化させるものと考えております。
 去る、七月三十日に食と緑の工場特区構想について発表し、八月二十八日には和歌山県、和歌山市、和歌山県土地開発公社、カゴメ株式会社の四者による第一回研究会を開催し、安全で安心できる食材の提供、環境への負荷を与えないゼロエミッション計画やコージェネレーションなどエネルギーの高度利用などを協議するとともに、コスモパーク加太へのトマト菜園実現に向けての検討を行っているところでございます。計画実現への課題、隘路といたしましては、上下水道、工業用水などのインフラ整備のほか、都市計画法上の取り扱いなどがございます。
 次に特区構想についてでございますが、大阪圏に近接し、広大な土地を有するコスモパーク加太の農業生産的利活用を進める一環として食と緑の工場特区構想を計画したものでございます。
 現在、国においては、内閣官房において構造改革特区の法制化等に向け取り組んでいるところでございまして、八月には和歌山県における構造改革特区として国に対し緑の経済特区を提案したところでございます。その内容は、定住促進、交流促進、起業促進の三タイプのプロジェクトから構成してございまして、うち起業促進タイプとして加太地域における食と緑の工場特区構想を国に強く要請しているところでございます。
 次に、コスモパーク加太に係る土地開発公社の経営状況についてでございますが、加太開発につきましては、関空への土取り跡地を利用し、民間活力も生かし、町づくりを推進しようとした事業でありますが、バブル崩壊という日本経済の大変動により土地需要が低迷し、地価下落が長期化する中、昨年度、土地区画整理という一括整備について見直しを行うとともに、厳しい経営状況にある県土地開発公社につきましては、経営スリム化方針を策定し、人員の大幅削減、経費節減等、経営改善に向け種々の取り組みを行ってございます。
 コスモパーク加太に係る借入金につきましては、償還期限が今年度末に参りますが、公社経営の現状から一括返済は困難であり、金融機関に対しましては借りかえをお願いしているところでございまして、県としても借りかえができますよう公社を支援するとともに、引き続き適切な運営を指導してまいります。
 次に関西国際空港に関連して、大阪空港の廃止と神戸空港の白紙撤回をとのご質問についてお答えを申し上げます。
 伊丹空港が関西三空港の中で果たすべき役割につきましては、関西国際空港建設に至った経緯ですとか、あるいは現に巨額の環境対策費が投入されているという現状にかんがみ、関空二期工事が計画どおり完成し、当初の航空需要を十分賄える段階にあっては、そのあり方が議論の対象になるものと考えてございます。
 神戸空港につきましても、中間取りまとめの中で、神戸空港は百五十万都市神戸市及びその周辺の国内航空需要に対応する地方空港としての役割を有することとなるとの位置づけがなされており、関西三空港がそれぞれの役割分担により、今後増大が予測される関西圏の航空需要に対応していくとの考え方が示されてございます。
 今後、関西空港が国際拠点空港としての機能を十分発揮できるようになった段階におきましては、オール関西として関西三空港のあり方について議論していくことが必要になってまいると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題についてお答えいたします。
 本県における児童生徒の暴力行為は、お話のありましたように、小学校では教室のガラス等を破壊する器物損壊を中心に、前年度に比べて十六件増加いたしました。一方、中学校では十八件の減少となっております。しかし近年、粗暴化、広域化する傾向が見られ、憂慮すべき状況にあると受けとめております。こうした問題行動に対応するため、生徒指導上の課題の大きい学校に教員を加配するとともに、スクールカウンセラーや生活相談員を配置し、市町村教育委員会とともに指導の充実に努めているところであります。また、学校や警察、児童相談所などが相互に連携して取り組むことが極めて大切であることから、サポートチーム等地域支援システム事業などを三つの地域で実施し、ネットワークづくりに取り組んでおります。
 次に、社会生活を送る上での基本的なルールやマナーにつきましては、本来、幼いころから家庭や地域の中でしっかりと身につけさせていくべきものでありますが、学校においても知識や技能を教えるだけではなく、ルールを守る心や思いやりの心などをはぐくんでいくことが大切であると考えております。こうしたことから、学校周辺の清掃や公共施設の花壇の手入れなどの奉仕活動、福祉施設等での実習や交流、ボランティア活動などに取り組んでおります。また、このほど服装等の身だしなみや携帯電話、登下校時の自転車、電車の乗車マナーについて啓発リーフレットを作成し、学校での指導に活用するとともに、すべての高校生と保護者に配布したところであります。今後とも、あらゆる教育活動を通じて人間としての基本的な倫理観をしっかりと身につけさせ、社会性や豊かな心をはぐくむ教育に努めてまいります。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番森 正樹君。
○森 正樹君 二、三点申し上げます。
 まず県産品の販路拡大についてでございますが、県産品活性化戦略会議の組織強化をということを項目として申し上げておりました。壇上をおり際に知事、「やります」とおっしゃったんで、必ず組織強化していただけるものと私は確信をしております。ひとつ、ぜひとも和歌山県経済の活性化のためにそういう取り組みをしていただきたい。それが一点。
 それから、関空のことに関して申し上げたいんですが、日本人というのは本当に付和雷同性があって、一人が声高に叫び出すと、みんなそれにそうだそうだと雷同する傾向があると言われております。この交通政策審議会の委員の名簿が私の手元にあるんですが、二十八名中──これは恐らくほとんど東京在住の人でしょうね。一人、八戸工業大学の教授という人がいらっしゃいますけれども。ただ、僕の友人で和歌山に住んでいて八戸工業大学の講師をしている人もおりますから、あながちに言えませんけれども、恐らくこの人は向こうの方だと思います。それ以外はほとんど全部東京です。一体、国土交通省は何を考えているのか。日本全体の航空行政についてどうするか、あるいは交通問題についてどうするかということを審議する会議であるのに、東京の人間ばかり集めて──実は、この中に東大の教授、助教授が七人も入っているんですよ。東大の教授がそんなにいいものかと私は思うんですけれども。何でこういう委員構成になるのか、私は不思議で仕方がないんです。これでは、私たち地方の声、本当に血の叫びというのは届かない。マスコミの報道では、審議会というのは飾り物みたいなことを一部で言っていますけれども、そうではなくて、そこで反映された意見というのはある程度答申の中に盛り込まれていきますし、政策として取り上げられることもあるでしょうし、この委員構成は何とも理解しがたいわけであります。
 そういう意味で、知事もおっしゃっていただいたとおり、関西国際空港の完全なハブ空港としてのこれからの取り組みというのは今が正念場だと思いますし、我々も尾崎関西国際空港対策特別委員長を筆頭に体を張って頑張りますので、県も知事を先頭に体を張って取り組んでいただきたい、そのように申し上げておきたいと思います。
 最後に、実は県産品技術支援担当参事が注目した記事というのはこれなんですよ、これは拡大してあるんですけれども、日経新聞のたった五十行の本当に小さな囲み記事です。これ、普通だと見逃してしまうことも大いにあり得るんです。これに着目をして、そして直接自分から門をたたいて大企業に乗り込んだという、私はその勇気に本当に敬意を表したいし、ここのひな壇におられる部局長の皆さんを含めて、幹部の皆さんに、ぜひとも県職員はそういう視点を持っていただきたいと。前に私、建設委員会で「県職員は全部笑ゥせぇるすまんになれ」と申し上げました。部長、覚えていますよね。そういうふうに言いましたけれども、そのぐらいの心意気、サービス業であると。しかも、和歌山県のいいところを全国にいっぱい売り込んでいくんだ、発信していくんだと、そういう視点をぜひ持っていただきたい。
 私は、日ごろ余り人を褒めたりはしない男でございますが、この際はこの参事の努力を本当に評価したいし、そういう組織をつくった知事の取り組みも評価したいと思います。めったに私は人を褒めませんけれども、そういうふうに申し上げておきたいと思います。ぜひとも、今後も和歌山県産業の発展のために頑張っていただきたいと申し上げて、以上、すべて要望であります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十五分散会

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