平成14年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 お許しを得て、質問を続けてまいります。
 通告を見ていただいてもわかりますように、質問項目はかつて私が取り上げてきた課題のものばかりであります。それだけにより新鮮味を持って受けとめていただけるような工夫と努力を重ねたと、こういうふうなつもりでこれから発言をさせてもらいます。
 まず一つは、生石山のススキ原の復元の問題についてであります。
 さきに幾たびか取り上げたことの結果として、このたび補正を組まれて生石山ススキ原復元へ向けて地元の取り組みに県が支援を送ろうと予算を措置されたことは、大変評価したいわけであります。月並みな言葉で申し上げると、大変うれしいと申し上げておきたいと思います。これは単に取り上げた当の本人の「自分の気持ちが受けとめられた」というような個人的な立場からのものではなくて、県が取り組んできたものを保存会やボランティアの皆さんが引き継いでやっている同事業であることに対して「県は手を引いたのではないよ」と、強い励ましと支援の保証だと受けとめられるからであります。関係している皆さんを大いに激励する大きな行政ではないかというふうに受けとめられるからであります。
 二つ目の問題は、生石山大好きの地元小学校の児童生徒の学習の発展として大きな展望を与えることになるからであります。
 三つ目の問題は、地元自治体の共同してやろうじゃないかという連帯感を促し、強化をさせることにつながるからであります。中でも、ふるさとの山を愛し慈しむ心のはぐくみは、山にかかわり山で汗をかき働くことを通じてこそ育つものだというふうなかたい考えから、評価したいわけであります。
 翻って考えてみれば、県はよく決断したなと、こういうふうにさえ思うところであります。木村知事になってから、白浜の航空大学の計画を見直し、はたまた雑賀崎の埋め立ても中止する。こういう決断にまさるとも劣らない決断ではないかと思うわけです。まかり間違ったら、山に火をつけて類焼し、高野山のみならず和歌山県の山を皆焼いてしまうことにさえなりかねない、そういうことを思うにつけて夜もろくろく眠れない、こういう事業に通ずる話であります。そうと違いますか、知事。よく決断したと思うからこそ、個人的な評価を送るのではなくて、県政の大きな決断、発展として受けとめてみたら、第三弾目の木村知事の決断と、こう申し上げたらいかがなものかというふうに考えるからであります。
 まだいろいろ申し上げたいことがあるんだけれども、次に移ってまいりたいと思います。
 それらを促す取り組みとなるからであることのみならず、生石山のススキ原復元に人知れず心を寄せている多くの人々とともにお礼を申し上げ、これが完全に遂行されるまで力添えをお願い申し上げるということを前提にしながら、次の質問を申し上げたい。
 これらの全体計画はどのようになっているのかということを、議会を通じて県民の皆さんにお知らせください。
 二つ目は、防火水槽設置は隣接する山に火が及ばないための策の一つだと思われるけれども、山焼きに当たる人的体制、人々の力をかりなければ実現されることではないだろうというふうに考えるときに、関係市町村のみならず県がこれを実施しようとするときの人的体制をどのようにお考え、お取り組みいただけるのかということもあわせてお聞かせください。
 三つ目の問題は、ススキ原復元によって生石山は一大観光資源として活用されることになるであろう。また、それをねらってのことであろうし、それを願ってのことであります。おのずから登山者もふえてくるわけであります。そのような状況を考えてみるときに、山へ上がっていく道路状況はどのようになっているかということを考えたら、地元自治体の長のみならず、皆さんは大変気に病んでいるところであります。それにあわせて、たくさん来るであろう人々を輸送し、運び上げたりおろしたりする道路を早急に整備していただきたいということが課題として浮上してくるのは当然かと思います。それに備えてどのような道路整備のご計画があるのかということもあわせお聞かせ願いたい。これが生石山ススキ原復元にかかわる話であります。前に取り上げた質問の内容といささか違ったところを感じ取っていただいたのではないかと思います。
 次に、農作物被害対策の問題について申し上げたいと思います。
 さきの議会でタイワンザルを取り上げ、続いてイノブタ論争を試みるとしてお話を聞いていただきました。結果、農作物被害を起こしているのは、いろいろあろうが、海南地域では大方はタイワンザルとイノブタだと認知されるに至って今日に来ているのが状況であります。今回はこれに加えてアライグマを新たに登場させて、皆さんにご審議を煩わそうということであります。
 この夏に至って急激に出現し、スイカやブドウなどに被害が出た話で持ち切りであります。次から次へと加害動物の新手が登場して農作物に被害を加えるこの環境をどうとらえたらいいのか、これが今回私が取り上げようとする課題の基本問題であります。ただ単にイノブタやの猿やのアライグマやのという、そういう対症療法的な施策だけを求めようとして登壇しているわけではありません。
 あるときは人工林で山の内容を変えてしまった。動物の食べるものがなくなり、動物の生息に適しないものとなってしまったことから、えさを求めて人里近くへ出没するようになったんや。この間、新聞でも取り上げられましたけれども、きのくに線の紀南方面でシカが電車にはねられる、事故死が多発するというようなこと。これも同じ現象として見てはばからないのではないかと考えるわけであります。
 しかし、昨今の話に、山にえさがなくなったから人里におりてくるというような話は一面的で、動物も学習を積むというか、山にあるえさより人間がつくる農作物の方がうまくて豊富にある、こういうことに至って人里近く、人間の居住圏にまで侵入してくるのだという見方をされるのがきょうこのごろの傾向ではないかと教えられたところであります。
 それとは少し異なるけれども、ことしの夏、アライグマという新手が加わったことはさらに複雑化してきているというふうにさえ見るわけであります。というのも、アライグマは日本在来の動物ではない。厄介さが加わってくるというものです。それら加害者に対して対症療法的な対策ではもう追いつけないということに、さらに追い打ちをかける出現だと見ているのであります。要は、これらと共生関係を保ちながら人間が好ましい自然環境を保持するため、もろもろの状況をどうとらえどう対処したらよいのかという問題ではないでしょうか。これらについての見解をまずお聞きしたいというところから始めます。
 次に、タイワンザルをえづけして捕獲するとの方針を確定し、その取り組みを始めましたけれども、これについての実績というのか、成果というのか──問題などはやっぱり明らかにしながら次への取り組みをしなけりゃならないところにあるのではないかということをご指摘申し上げたいわけであります。この取り組みは本年のみにとどまらず、生き物を相手にしてのことだから、かなり腰を据えた取り組みになろうとは思われますが、これはどうなのかということをお示しください。
 また、業者に委託されたとのことですけれども、今後に備えての問題もあったのではないか。これらを総括し、さらには、イノシシ類の被害防止は捕獲することが唯一の道だと考えを申し上げましたけれども、これがタイワンザルの生息領域を拡大してしまうという結果を引き起しかねないのではないかと思います。イノシシを追って猟師がタイワンザルが生息する領域に入り込んで鉄砲を撃つ、鉄砲を撃たれてタイワンザルは脅かされて、自分たちの生息領域から離れて大きな群れから小さなグループに分かれ、いまだかつてないようなところへ拡大されて逃げていく、こういう事態が起こってきているのではないかと思われます。海南でも、温山荘の近くに及んでいる船尾山にさえ猿がきょうこのごろあらわれてきているというようなことが市民の間で問題になっているくらいですから。大池遊園周辺の山に生息していたものがそのあたりにまで生息する領域を広めてきているのは、タイワンザルを捕獲しようとしてえづけをしてあれこれ施策をしたけれども、イノブタが出たということでイノブタに対症療法的な取り組みを進めたら、結果としてえづけどころか拡散してしまったと、こういうふうなことになりかねない。こういう事態になっているのではないかと地域の人たちも見ているようだし、的確に今までの取り組み状況と今後に備えてのお考えを聞かせてほしいわけであります。
 イノシシの問題です。
 地域住民や猟師の人たちは皆「イノシシ」とは言わないで「イノブタ」と言っているのは前の議会で申し上げたとおりなんですが、あえて「イノシシ類」と申し上げる方が──和歌山県の農産物被害の状況をとらまえるのにイノブタということだけに限られるということであってはならないと思うから「イノシシ類」と申し上げますけれども、これは去年から、侵されないように、被害を受けないようにと言うて防護さくを県の補助事業として始められました。そして、ことし、来年と三年計画で進められているようですけれども、これの設置の仕方等について関係住民の深く広いコンセンサスを得ることに十分成功しているようには聞きません。それだけに、もう一遍地域住民たちの気持ちを吸い上げて、もっと効果的にこれらが進められるように意を尽くされるよう申し上げたいわけであります。
 次に、アライグマの話であります。
 まずは、ことしの夏、被害実態はどういうことだったのかということを県当局も十分把握し切れていないのではないかと思われます。何しろ、ことしの夏、突発的に県下の至るところで農産物被害を与えたというふうなことですから、県のみならず、例えば海南市でさえ、そういう把握が十分だとは申し上げられにくいのではないかと申し上げたいわけであります。だって、地域の被害を受けた農家の人でさえ「アライグマ」とは言わないで「タヌキ」だと言ってみたり、そういうことにかかわる状況認識が的確でない、十分なコンセンサスを得るところに行政から情報を提供し切れていないというふうなことを顧みるとき、被害の実態さえ把握し切れていないのではないかと申し上げてはばからないわけです。
 地域の住民やお百姓の皆さんは、スイカの畑を荒らされたというようなことを行政に申し上げるということはもうしないような雰囲気にあります。「一々そんなことを言うてくるな」と言われるような気持ちに立たされているのが、今の住民の姿ではないかと思います。これは大変なことだと思います。行政に対する信頼を寄せるどころか、行政に言ったって何にもならない、何も顧みられるところがないというような立場に市民や農民が立たされているとするならば、これは大変なことだと思います。今日起こっている新手の加害者に対する状況を把握されて、それに対応する的確な対策をお立てになるように申し上げたいと思います。ことしの夏の話ですから、まだ十分把握し切れていないと言われたらそれまでだと思います。そういうことであるだけに、地方自治体の皆さんのご協力を得ながら的確な状況認識と把握をされるようお勧め申し上げたいと思います。
 さらに追加して申し上げたら、寄せられてくる話をまとめてみると、アライグマは木に登り、作物を荒らすと。地上の作物だけではない。例えば、この間、海南の高津という貴志川町に隣接している地域へ入って農家の皆さんに教えてもらったんですが、初めはタヌキか何かだと思っていたけれども、ブドウの木に登って、枝を針金にはわして伸ばしているのを伝ってブドウを取りよると、こういうふうなものを現実に見ているわけです。タヌキは木に登るかと、専らそういう話です。ある人はタヌキは木に登らないと言う。タヌキでなかったら何なということになるんです。顔に何か黒い筋があったとか、しっぽに何かしまがついていたとか、いろいろあれこれこもごもに話が出るんだけれども、情報が的確に流されてそれはアライグマだと提起されていないものだから、あれやのこれやのと話に尾ひれがついてさらに大きくなって、それに伴って被害も大きくなると、こういうことになるわけです。そういう状況を市当局、農林水産課の方へちゃんと届けているかと言ったら、届けていないと言うわけです。そんなもの言うたって「言うてくるな」というふうなことさえ感じさせられるような対応をされたらもうしまいやと、こういうお話であります。重ねてのお話ですけれども、そんなことがありました。
 最後に、これらについてかつて高田県議がちょうど二年前のこの議会で、農産物を荒らすということへの対応とそれに係る自然の生態系をどのように見ていくかということにかかわって、国の委託研究を受けることも含めて科学的に進める調査研究機関を立ち上げる必要があるのではないかというふうに申し上げておられます。僕はそれを、引き続いてこの議会を通じて申し上げたいわけです。
 この問題を取り上げて、当局の皆さんといろいろあれこれとやりとりをし、論議をし合ってまいりました。しかし、行政というのはそれぞれ与えられた守備範囲を忠実に守ることのみに一生懸命で、新たに起こってきているそういう状況や事態に対応する柔軟な判断のできないようなことになっているのではないかということに突き当たりました。この問題を提起したら、教育委員会からは何もそういうお話がない。これらに対して教育委員会の方ではどんなにしたらいいんでしょうかということの感覚さえ示してもらえない。農林水産部の話になったら、畜産課と果樹園芸課とかなり温度差があったり隔たりがあるような感じもします。環境生活部、これはこれとしてまたそれなりの守備範囲で一生懸命に考え対応してくれることはよくわかります。しかし、僕が今提起しようとしている自然の生態系や知事が言っている緑の雇用の問題にかかわって山をどうするか、緑の文化をどう創造するかということになったらすっとこかみ合うてくれない県庁の機構にあることを痛いほど知らされたわけであります。これ、どうでしょうかね。県庁は今までそれでよかったかもしれない。それで県民の暮らし向きや生活を守るに十分な組織、対応するに十分な体制であったかもしれない。しかし、事態がいろいろ進展し発展していることとのかかわり合いで考えると、もう一つ手の届かない部分を引きずりながら今日来ているのではないか。それにどのように対応してくれるかと考えたときに、先ほども言いましたように、国の委託事業も受けながらこれに対応するような研究調査機関、科学的に進められるような組織をお立ち上げいただけないだろうかと、こういうことであります。
 そのことを申し上げたら、国の方で調査されたものの結果をいただいて、そしてそれぞれ地方自治体におろして地方自治体でそれを検証し実証してもらうというふうな取り組みだというお話も聞きました。ならば、県がなぜ率先してそういうものをまとめてやろうとしないのやと言うたら「うーん」と、こういうふうなことにしかならないわけです。知事、深くご検討いただいて、ご回答いただけるように申し上げたいわけであります。
 こんなお話をし出したら横道へそれていって幾らでもあるんやけど、もうこのぐらいにとどめておきます。
 次は、道路問題であります。
 国道四百二十四号、三百七十号、四十二号については今回お預けにして、今回は海南市内の県道の実情を述べながら、これの整備促進について申し上げたいと思います。今ここで「海南市内の県道」と申し上げたけれども、海南の県道の状況と実態は県下全域に共通した課題ではないかとも思われるので、そういうふうな立場からお聞き取りいただけたら幸いであります。
 海南市内の県道は、和歌山野上線、森小手穂線初め、七つあるんかな、八つあるんかいな、ようけあるんや、とにかく。それで、今そうしなくちゃならないという住民の要求にこたえて予算を組み、箇所づけもし、工事もしていただいているのは、海南から岩出の方へ通っている、黒江駅からずっと東の方へ通っている岩出海南線。着実に毎年箇所づけし、工事をしていただいています。地域の人たちは一年間の工事でもっと距離を延ばしてもらえるようなことにならんのかというふうな要求はありますけれども、それは言うだけのことにしておいて、状況だけ先に述べておきましょう。これが一つあります。
 もう一本ある。和歌山市は東部の山東、黒岩の方から海南市領に入ってきて野上へ抜けていく道、和歌山野上線があります。この沿線にはタイワンザルの生息している地域もあるんですが、いずれにしたって、その道をしゃんとしようということで、別院、野尻──和歌山市領から山を越えてきて海南市領へ入ってきたところのバイパスをやろうということでやられています。この二本だけです。そのほかは、地域住民にこれはこんなになっているんやというふうなお話さえ余りされたことのないような道路状況にあるわけであります。
 それで、申し上げたいわけですけれども、これらについていろいろな状況説明を申し上げてきましたけれども、こういうお話を、これはこんなになってあるんや、将来こんなにしたいんやと──県道だから主要道路であり地域にあっては生活道路としてはまさに幹線道だけれども、県の事情から言うたらなかなかうまいこといかんのやというふうな話は、二年に一回ないし三年に一回ぐらいは地域に入ってそういうお話をしていただいて、将来に向けて協力願えやすいような道路行政の土壌を掘り起こしていくという取り組みがあってもいいのではないかという気がするわけです。
 ここでまとめて申し上げたいわけですけれども、工事を進めようと箇所づけをしたり予算をつけたりしたところだけあれこれということではなくって、それ以外の県道にかかわり国道にかかわるようなところについては、地域住民に全然説明のないまま長年放置するのではなくって、時々そのような事情説明をしていただくことをご提起申し上げたいと思います。
 それと重ねて、今着工されている工事箇所については早急に完成されるように、箇所づけ予算づけも住民が言うようにもう少し延ばしてやれるようにご努力いただくという、この二つだけこの課題について申し上げておきたいと思います。
 ごみ処理の問題であります。これも以前に議会で申し上げました。それだけに、要点だけ申し上げておきましょう。
 ダイオキシン発生が大きな問題とされるところとなって、平成九年に国のダイオキシン類発生防止ガイドラインに基づいて広域化し、一日当たり少なくとも百トン以上、海南・海草・那賀の広域処理施設を共同で建設するという立場からの協議会を設立いたしました。
 平成十一年三月、和歌山県はごみ処理広域化計画を立て、当初の計画を変更され、平成二十年四月稼働予定とされ、その計画に基づいて県下のごみ処理広域化計画を進められることとなっています。県下にはまた、このこととは別に幾つか広域化計画に基づいてそれらが進められようとしていることがあるんでしょうが、それについては自分の──あえて「守備範囲」と言っておきましょう──守備範囲外だから、よそのことについて口出しするというようなことは控えさせてもらって、海南・海草・那賀に及ぶ広域化計画についてのみ申し上げておきたいと思います。
 平成十一年三月、そのような変更をされて、海南市にかかわる地域が大きな問題として、取りかかったわけであります。用地選定の経緯を見れば、五カ所の候補地から平成十二年十月、コンサルタントから井ノ口上ノ段のスポーツ公園周辺がよしとして結果が出され、平成十二年十一月の用地委員会及び協議会で承認・決定されたとのことであります。今日、広域ごみ処理施設建設へ向けて地区住民たちに理解を求めるべく説明会を開いているというところであります。
 ところが、この動きとは別に、ダイオキシン対策は背に腹はかえられないとして各自治体は、例えば海南市は十四億九千八百万円──国が三億七千万円、県が三千万円──をかけて、下津町は九億千七百万円かけて、排ガス高度処理及び灰固形化を十三年度につくり上げているわけであります。そして、ことし十二月一日からダイオキシンの新しい規制が適用されることとなる。これらの事情を勘案するにつけて、以下の諸点についてお考えをお聞きしたいわけであります。
 焼却プラント、リサイクル施設、最終処分場の施設一体について井ノ口上ノ段のスポーツ公園周辺を適地として用地委員会及び協議会が承認されたと言われるところですが、十四年十二月実施の国の新たな規制を既設の管内施設は明確にクリアできるところから、それでもなお三百十五億円をかけて広域処理施設を建設し、各自治体に多大の財政負担をさせるということは検討し直すべきではないか、このような声があちこちにあるわけであります。住民、自治体の利益にかなうものに考え直すべきだというお話であります。これについていかがなものか。
 この計画は、協議会がごみ処理にかかわる当時の状況にあふられて多角的検討に至らないまま用地選定を急ぎ過ぎ、その結果にくくられることのないように、その後の事態の変化に柔軟に対応されたいというのが私の二つ目の質問であり要求であるわけであります。
 三つ目は、貴志川町自身、長期地域づくり計画に基づき町の個性的発展計画を持っておられるけれども、これをさておいて広域ごみ処理場にとってかえさせるということについてはいかがなものか、区民、町民の理解と協力が得られにくいところにあるのではないかと申し上げたいわけであります。県の立場から、広域化計画をこれらの事情とのかかわり合いを見て再考すべきだという立場でご指導されるべきではないかというふうに考えるわけであります。
 野上町や美里町のように、ごみ処理場を独自にお持ちでないような地域にとってみれば、この計画に乗ってその要求が満たされていくという、こういうふうなものも含まれております。これらはこれらとして、事態は事態として対応できるような物の考え方。海南や下津のような、もう既に巨大な投資をしてダイオキシン対策などをクリアできている自治体も巻き込んでやるということについてはいささか問題ではないかと。柔軟な対応を求めてなりません。
 さらに、県立公園や町の自然環境保全区域及び山田川、貴志川等の環境問題とのかかわり合い、県の環境行政との関係はどうなるのかということが問われてならないのではないかということを申し上げて、最後の問題に移りたいと思います。
 これも前の議会で申し上げました。阪和線快速電車の海南駅までの増便の問題であります。
 これについてさきの議会で申し上げましたけれども、その後、海南市当局は、まさに県の立ち働きを支援するかのように、あるいはまた自分とこの町を立派なものに活性化させたい、JR海南駅の乗客をふやしたいという形で、九、十、十一の三カ月間、土、日、祝日の三十日間、「ぶらり海南あるき旅」というイベントを組んで、お客さんをたくさん海南へ引き込もう、藤白神社、鈴木屋敷、川端通り、博物館そしてマリーナといったところをお客さんに見てもらおう、海南市へのお客さん、海南駅の乗降客をふやしたいと並々ならぬ努力をしながら、県がJRに対して急行の増便を願うことについてこういう形でフォローアップしたいと懸命であります。これらの事情などを十分勘案してJRとさらなる交渉を強めて、これの実現のために立ち働いていただきたい、こういうふうなことを要望申し上げて、私の第一回目の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 中山議員ご質問の三点についてお答えいたします。
 生石山のススキ草原につきましては、地域の重要な観光資源であるとともに豊かな生態系を有する貴重な自然景観であるところから、行政のみならず地域住民やボランティア団体など、さまざまな方々がその保全に取り組んでいただいているところです。
 山焼きは、こうしたススキ草原保全への取り組みをさらに推進するために実施されるもので、野上町、金屋町を中心として実務的な検討を行っており、県としても財政面を含め支援することとしております。本年度につきましては、野上町において防火水槽を設置するほか、他地域における山焼きの手法の研究や従事者の研修等を行うとともに、試行的に一千平方メートル程度の小規模な山焼きを実施し、本格実施に向けてのノウハウを蓄積する予定と聞いております。来年度以降につきましては、本年度の試行結果に基づき、安全を十分に確保しながら対象面積を段階的に拡大するなど、より効果的な山焼きの実施に向けて各種の準備を行うこととしております。
 また、人的体制についてでございますが、実施に際しましては野上町、金屋町及び両町消防団を初めとした地域住民の方々が中心になるものと考えられますが、県においてもできる限りの協力を行ってまいりたいと考えているところです。また、生石山の大草原保存会を初めとするボランティア団体や自然環境の保全に興味を有する方々にも広く呼びかけ、何らかの形で山焼きに参加していただきたいと考えておりますので、具体的な方法等につきましては地元町等と協議を行ってまいります。
 次に、野生鳥獣との共生についてでございますが、農作物被害は、議員ご指摘の点も含め、さまざまなものが複合して原因をなしているものと考えております。このような中で、今まで行ってきている被害の防止や有害動物の駆除という施策はもちろんのこと、今後は山間部における動物の生息環境の整備のため、えさとなる実のなる木の植栽や中山間部における有害動物の追い払い、住民への適切なペットの飼い方の啓発など、野生鳥獣に対する総合的な施策が必要だと考え、現在検討しているところでございます。
 次に、交雑猿への取り組みにつきましては、昨年九月十四日の猿保護管理計画の決定を受け、十一月九日に捕獲事業に着手しております。その後のえづけにより、本年六月は山に自然のえさがあってえさ場に来る頻度が少なかったのですが、七月、八月は頻繁にあらわれるようになり、日によっては猿がえづけ場所に十数頭あらわれる状況でございます。また、えづけ場所の周りには猿の通り道ができてきております。
 なお、二カ所あるえづけ場所のうち一カ所はおりの設置場所を確保するための木の伐採がほぼ終了し、もう一カ所も近々伐採を開始する予定でございます。これまで地元で協力していただいている方々や専門家と調整しつつ、えづけ方法等について工夫しながら行ってまいりましたが、今後ともさらに地元の方々や専門家のご意見を十分伺いながら、より効果的に捕獲できるよう努めてまいります。
 最後に、広域ごみ処理計画の見直しについてでございますが、本計画は市町村がお互いに連携・協力し、広域的な観点からごみ処理体制を構築していくための指針として国が示したガイドラインに基づき、平成十一年三月に市町村の意向を踏まえて策定し、平成十二年十二月に一部変更を行ったものであります。
 議員ご指摘の海南・海草・那賀ブロックについては、本年十二月からのダイオキシン類排出基準の規制に対応する必要があることから、広域施設が稼働するまでの緊急対策として既存施設の改造を実施した後、広域施設を整備する計画となっております。
 なお、施設の老朽化等により新基準への対応が不可能な施設があること、より安定的な燃焼管理によるダイオキシン類の削減、余熱利用、リサイクルの推進など、効率性の観点からもごみ処理の広域化は必要であると認識しております。また、施設整備に当たっては地域住民への説明や周辺環境への配慮などについて関係市町村に対する指導を行い、本計画を円滑に進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、生石山ススキ原復元についてのご質問のうち県道野上清水線の生石高原までの整備につきましては、特に交通の支障となる箇所に待避所を設置する等の現道対策を講じております。事業区間の一部につきましては地権者の協力が得られていない箇所もございます。今後、地元関係者のご協力をいただきながら整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、県道整備促進についてのご質問ですが、道路の整備につきましては、ネットワーク上の位置づけや交通量などに着目して優先順位を決めて計画的に整備を進めております。実施に際しましては従来から地元説明会等により事業の目的や必要性を説明しておりますが、用地買収が難航し事業の滞っている箇所につきましては、その状況を十分説明した上で、予算の効率的な執行の観点から地元協力の得られる別の箇所に事業展開してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 農作物被害対策についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、イノシシ類の対策についてでございますが、鳥獣被害の拡大に対応し、平成十三年度に県単独の農作物鳥獣害防止対策事業を創設いたしまして、市町村と連携を図りながら、これまで地域の実態に即した防護さくや電気さくの設置などに努めてきたところでございます。その効果につきましては、市町村から被害が軽減できたとの報告も得ており、今後とも現場からの情報をもとに国などの試験研究機関との連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、アライグマの被害実態とその対策についてでございますが、平成十三年度の被害金額は、タヌキとの区別がつきにくいことからタヌキの被害金額の中に含めまして約百五十万円となってございます。本年九月時点での聞き取り調査では十九市町村でスイカなどの野菜や果樹で被害があったとの報告を受けておりますが、夜行性でもありその生態が十分解明されていないのが現状でございます。今後、国に対しその解明と防護対策の開発について要望する一方、既存の県単独事業を活用し、電気さくの効果を検証するなど、よりよい防護方法について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、調査研究機関の設置による恒久対策についてでございますが、被害防止技術の開発を行うためには鳥獣の生態系の研究から対策技術の確立まで一貫した総合的な研究が必要であり、現在、国が中心となり被害対策の研究が進められ、この研究成果などを活用した実証を各県が行ってございます。今後とも地域の実態の把握に努めるとともに、国や他府県の情報収集に努めながら、普及センターや市町村など関係者が一体となって効率的な防除対策を推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番中山 豊君。
○中山 豊君 幾つかご要望を申し上げて終わりたいと思いますけれども。
 そう、生態系にかかわる、こういう農産物への被害対策の問題などと、部長もお答えいただきましたけれども、国が中心となり被害対策の研究が進められている、その結果を活用した実証をしていくということで済ましているここの部分をもう少し、先ほども申し上げましたように、それぞれに関係する部課で総合的、横断的に対応できるような調査研究機関を立ち上げていただきたい。県の職員の中にも、そのことにかかわってかなりの博識を持つ職員もいらっしゃるようです。そういう人たちの総合した力が行政に反映され、県民ニーズにこたえられるような立ち上がりをぜひ知事、お願い申し上げておきます。
 さらに、土木部長のお話の中にありましたように、協力を得られないところは別の箇所へ変えてでも早くやれるようにという、つい聞いていたら当たり前のお話のようですが、よう聞いてみたらいまだかつて聞かされたことのないような、新たな発想で新たな取り組みをしてくださるんだなということを改めて答弁いただきました。協力が得られないところを何年もそのまま動かしがたいものとして放置してその道がしゃんとされない、こういうことはいつまでも置いておくわけにはいかないだろう。このことは、地域住民の道路行政への協力の仕方にも及んでくるんじゃないかと思うから、先ほど土木部長が答弁なさったそのやり方は、かなり道路行政に新しい発想と転換を県民に抱いてもらえるものだとして評価をしておきたいと思います。ぜひやっていただきたいと思います。
 まだ申し上げたいことがたくさんありますが、もう時間がないので終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十三分休憩
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