平成14年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(向井嘉久藏議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百十九号は職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに知事専決処分報告報第八号、報第九号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十九番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 皆さん、おはようございます。
 初めに少しひとり言を言わせていただきたいと思うんですが、米国多発テロに思うということで、少ししゃべらせていただきたいと思います。
 米国同時多発テロ発生から、ちょうど一年。九・一一ニューヨーク世界貿易センタービル跡地「グラウンド・ゼロ」を中心に、世界各国で追悼式が行われました。昨年の九・一一、テレビニュースでリアルタイムで航空機が世界貿易センタービルに突っ込む光景を見ました。その後もテレビ画面上に繰り返し流されるこの模様を長時間見ておりました。当時よく言われたことでありますが、まさにハリウッド映画の映像を見ているようで、まさかテロによるものだとは思えませんでした。それは想像を超えたもので、よもやこれが人間のすることかと、いまだに信じられないところであります。
 九月十一日、テレビ、新聞などマスコミはいろいろな面から報道しておりますが、いずれも事件の一面でしかないようにも思うのであります。この事件後、世界はいろんな意味で大きく変わったようにも思うのであります。テロに対しては、各国の世界観、戦争観が変わりました。また、世界の景気に対しはかり知れない大きなダメージを与えました。WTCビルが崩れ、救助に向かった消防士、警察官、ビル内のオフィスに勤めていた人たち、航空機の乗客・搭乗員など、とうとい人命三千余名、うち日本人二十二名が一瞬のうちに亡くなったのであります。罪もない、戦いとは無縁の人たちでありました。
 テロは断じて許してはならないのであります。亡くなられた方々に改めて哀悼の誠をささげるものであります。テロを実行した者、指示した者、それらの者もはるかに超えたダメージが、一年を経過した今も世界経済を揺さぶっております。米国からテロを指示したとして名指しされたアルカイダの指導者・ビンラディン、また、テロ支援国家「悪の枢軸」としてイラク、北朝鮮が名指しされました。
 特に北朝鮮は、我が国に近く、永年にわたり日本国の主権を侵してまいりました。日本人拉致事件、有本恵子さんを含む十一人。また、よど号ハイジャック犯をかくまう。この中で小西タカ子は日本人拉致事件に関与したとされております。また、大陸弾道弾ミサイルを日本に向けて発射いたしました。再三にわたる不審船による領海侵犯、工作員の上陸等々も言われております。
 その北朝鮮と小泉首相はきょう、日朝首脳会談に挑むのであります。きょう午前九時六分、まさに歴史的な会談の、日本政府の専用機が北朝鮮の空港に着陸いたしました。訪朝を前にして、北朝鮮側から小泉首相の政府専用機使用を拒否していると報道されておりました。いかにも北朝鮮らしいやり方だなというふうに感じました。話し合いによる成果を期待する余り、何でも出された条件をのむことのないように、場合によっては勇気ある決断をも視野に入れた首脳会談であってほしいと小泉首相に願うものであります。
 それでは、通告申し上げました一般質問に入らせていただきます。
 智弁和歌山の準優勝に思うということでございます。
 甲子園、それは野球少年の夢舞台であり、高校野球球児のあこがれでもあります。まさかと思っていた智弁和歌山が、準優勝という大きなプレゼントを和歌山県民にくれました。ことしのチームを高嶋監督は「あかんたれ軍団」と辛らつに言っておりました。しかし、甲子園に登場した選手たちは一試合一試合力をつけ、大きくたくましくなっていくのがブラウン管を通して感じ取れました。この十年間で春夏三度の全国制覇、常勝智弁和歌山に対する期待は大きく、選手にプレッシャーとしてのしかかっていたと思われます。それにも増して高嶋監督にはもっと大きなプレッシャーがかかっていたのではないかと思うのであります。
 優勝戦の明暗を分けたのは、評論家的に申し上げますと、一点を先制された直後の四回の攻撃、ワンアウト二、三塁のチャンスにツー・ワンからのスクイズバントの失敗であったと、このように思います。しかし、明徳義塾バッテリー側にすれば当然のピッチアウトでもあったようにも思うのでございます。その後の試合経過についてはご存じのとおりで、明徳義塾ペースで終わりましたが、智弁高校の準優勝を心から喜んでおるわけでございます。
 ここで考えられるのは、智弁よりも明徳の方が勝利への執念が強かったのではないか、こういうふうに思います。智弁和歌山は、星陵・松井秀喜──現在は巨人軍の選手で三冠王に向けてばく進中でありますが──彼に負けたのではないかと私は思います。皆さんも覚えておられると思います。十年前、星陵・松井に対し五打席連続の敬遠四球を監督は指示しました。監督の指示とはいえ、投手として屈辱以外の何物でもなかったと思います。当の明徳元投手・河野和洋さんは──現在、専修大学のコーチをしておりますが──「批判は少しも気にならなかった。言いたい人がいれば言えばいいという気持ちだった。それよりも、敬遠しなければならないという自分の力不足を何とかしなければならないと思った」と言っております。明徳の優勝は八二年の選抜初出場以来、春夏合わせて十九回目につかんだ栄冠でありました。明徳高校・馬淵監督の優勝を心からお祝い申し上げたいと思います。
 もう一人の甲子園を紹介いたします。和歌山県派遣審判として夏の甲子園で審判を務めた小山良男さん──田辺市の方でありますが──大変ご苦労さまでございました。
 前振りが長くなりましたが、知事も準決勝、決勝と応援に行かれ、決勝戦に勝ち進んだチームの輩出をした県知事としての感想を伺いたいと思うのであります。
 土木部長に、続いてお伺いいたします。紀三井寺球場のグラウンドの拡張であります。
 ルールブックに、こう書いてございます。野球は公認野球規則というのがございまして、日本のプロ野球、また日本野球連盟、日本学生野球協会、全日本大学野球連盟、日本高校野球連盟、全日本軟式野球連盟がこの公認野球規則をもとに試合を進めておるわけでございますが、公認野球規則には事細かくルールが載っております。公式ボールの縫い目の数まできっちり決められております。その中で、こういうことがございます。一条の四項でありますが、競技場は──野球のグラウンドのことですが──次に記す要領により設定するというふうに書かれておりまして、途中は省略いたしますが、グラウンドの広さに関して、両翼は三百二十フィート(九十七・五三四メートル)以上、中堅は四百フィート(百二十一・九一八メートル)以上あることが優先して望まれるというふうに書いてあります。ところが、紀三井寺球場は九十三・六メートルしかありません。軟式のボールでもオーバーフェンスはするわけです。
 もう一つこの野球規則の中に付記されておりますのが、一九五八年六月一日からプロフェッショナル(プロ野球)のクラブが建造する競技場(グラウンド)は、本塁より左右両翼のフェンス、スタンドまたは左右両翼のフェアグラウンド上にあるプレイの妨げになる施設まで──ということは外野のフェンスのことでありますが──の最短距離は三百二十五フィート(九十九・〇五八メートル)、センターのフェンスまでの距離は四百フィート(百二十一・九一八メートル)を必要とすると、こう書いてある。ということは、紀三井寺球場ではプロ野球の試合はできない。和歌山県営球場がプロ野球の試合のグラウンドとしては使えないよと、こういうふうなことだと思うんです。
 そこで土木部長に改めて伺うんですが、紀三井寺球場は、黒潮国体がございました当時、そのときにつくった球場であります。しかし、それから二十数年たっておりますから、全国の各球場は両翼百メートル近く、このルールブックにのっとった球場に全部変わっております。この国体があった時分は、非常に狭いプロ野球のグラウンドもございました。後楽園しかり、大阪球場しかり、平和台球場しかり、名古屋球場しかり、広島球場しかりであります。しかし、現在は広島球場を除いてグラウンドの両翼はほとんど百メートルであります。
 そういう意味で、紀三井寺の野球場のグラウンドの拡張、特に両翼九十三・六メートルを広くできないものだろうかと、こういうふうに私は提案し考えてみたわけですが、外野は土で盛ったスタンドでありますので、改めてこの外へ外野をしなくてもいいんじゃないか、中でカットするだけで十分いけるんじゃないかなと。工事費だけで済みますので、グラウンド拡張について積極的な取り組みをお願いしたい、こういうふうに思いまして土木部長に質問するわけです。
 全国球児のメッカはあこがれの甲子園であります。また、野球王国・和歌山の全国への登竜門は紀三井寺であります。どうかよろしくお願いしたいと思います。
 続いて、不況対策と雇用促進について質問したいと思います。
 バブル崩壊後、日本経済は立ち直ることなく不況が企業、国民をむしばんでおります。その上、九・一一テロ以降の米国の景気急落の余波は、なお一層の厳しさで不況に追い打ちを加えております。金融機関の崩壊、雪印、日本ハム等々に象徴される日本のトップ企業の経営倫理欠如からくる社員の解雇とリストラ等々、おのれがまいた原因により不況に一層輪をかけております。国が打つ不況対策も後手後手に回り、一向に効果が上がらないのが実情であります。その上、企業の雇用意識の変化により、終身雇用から企業努力を抜きにしたリストラに頼る安直な方法をとるようになってまいりました。
 ここで、幾つかの例や提言を申し上げ、不況対策と雇用促進全般について知事に、各項目内容につきましては関係部長の答弁をいただきたいと思うのであります。
 まず一つといたしまして、企業、商店を廃業に追い込まない施策を商工労働部長にお願いいたしたいと思うのであります。
 零細企業、商店等は財政的に体力も弱く、不況に対して一番先に被害をこうむっております。よく今まで頑張っているなとの思いが非常に強うございます。その零細企業、商店が和歌山県では比重が高く、また多くの雇用を支えてまいりました。それがデフレになってからは、商店はスーパーに押され、そのスーパーですら安い中国製品に食いつぶされております。今ここでこれら企業、商店を支えなければ、県下商工の先は見えないと思うのであります。「ざるで水をくむ」の例えがございますが、幾ら雇用促進に向けて手を打ったとしても、穴のあいたおけにざるで水をくむことに等しいと思うのであります。
 廃業に追い込まれる零細商店が多いのは、橋本でも例外ではございません。ここで紹介するのは、橋本市内、JR・南海橋本駅に隣接する上本町商店街の例であります。上本町商店街は、最盛時には六十店舗余りも軒を連ねていた商店街であります。ほかに広い道路もでき、人通りも途絶え、商店数も十三店舗に激減しております。どこにでもある通りであります。
 その商店街で九月八日、チャレンジショップ十二店がオープンいたしました。これは、県の支援で行った事業でございます。駅前周辺商店街を活性化しようと空き店舗を利用するもので、一般公募の市民がアイデアを凝らした十二店が来年一月までの五カ月間、新しい商売に挑むものであります。当日はイベントもあり、終日大勢の人出でにぎわいました。ある商店主は「これだけの人通りがあるのは何十年ぶりかな」と言っておりました。思わず、この企画が成功してほしいものだと思いました。
 紹介したのは一例でございますが、成功すれば少なくとも三十人余りの人が職につき、寂れている商店街にも活気が戻るのではと期待が膨らむのであります。このような施策を、県の強力な支援をいただき、今後も継続的に続けていただきたいと思うのであります。
 二つ目には、頑張る企業に応援をということで商工労働部長に質問いたします。
 今、国内企業、特に零細企業は厳しい環境に置かれております。しかし、日本国内の企業には隠された能力を持っているところが非常に多うございます。中小企業の中にも、世界をリードする先端技術を有する企業もございます。県下の頑張り元気ある企業をさらに支援し、大きく飛躍することで多くの雇用が見込めると思うのであります。
 ここで紹介するのは、元気ではないが頑張っている零細企業の話であります。業種は、構造不況が長く続く織物製造業であります。九月三日付「産経」の記事によれば、オムロン開発本部の社員が猫のロボットを手に橋本市内の織物製造業・坂上商店を訪れ、同社が開発したペット型ロボット──これ「ネコロ」と言うんですけれども(現物を示す)──「ネコロ」の試作品に本物の手ざわりの縫いぐるみをつくってほしいとの依頼でありました。依頼を受けた企業は、プロジェクトチームを高野口地域の加工業者等十社が参加して結成いたしました。試行錯誤の後、十一カ月後に美しい毛並みの「ネコロ」が誕生いたしました。先日、社長と会って話しましたが、謙虚な中にも自信を持った話でありまして、「布で毛皮をつくる依頼を受けたときは非常に困った。今はつくった毛皮にどのような使用方法があるのか、仲間と知恵を出し合って次の商品づくりに取り組んでいきたい」との積極的な話でありました。
 この中に幾つかの小さなモーターも使われておるんですが、このモーターは和歌山県内のホシデンさんの製品だと聞いております。ちょっとスイッチを入れさせていただきます。余り動かすと私の話を聞いてもらえないので、すぐスイッチは切ります。いろいろ千種類ほどの動作をするんですが、ここをなでてやったら目を細めて喜ぶんです。──目を細めて喜んでおる。
 この例は、構造不況に悩む繊維業界に「やればできるのでは」と一筋の光明をともしたのではと思うのであります。──スイッチを切っておかないと話を聞いてくれへんから。後からゆっくり動かさせていただきます。
 元気を出して頑張る企業に支援する。雇用を創造することの難しさ、財政投資、労力から考えても、大きく伸びる企業をより大きく伸ばすことの方が現実的ではないでしょうか。
 三つとして、緑の雇用事業についてお伺いいたします。
 緑の雇用事業は和歌山発として木村知事が考えられ、国の大きな施策の柱にもなっているところでございます。緑の雇用事業がいよいよ本格始動を始めました。四十二億五千万円が予算化され、教員、警察官等の採用にも使用され、十四年度森林作業員雇用予定四百三十六名と聞かされております。六カ月間の短期間であると、その成果を正直言って私は危ぶんでおりました。このような事業継続性が必要と考えていたからであります。
 ここに来て林野庁は、緑の雇用担い手育成対策事業として十五年度国家予算概算要求をいたしました。小泉首相もこの事業を重点施策と位置づけているので、継続事業として認知されたものと理解しております。この事業は平成十七年まで続くそうで、その後も何らかの施策をもって継続的に続けていってもらいたいというふうに思うところでございます。私は、この事業が雇用を重視したものからCO2削減のための地球温暖化防止対策の事業となることを望んでおりますし、そのようになるものと考えます。
 そこで、緑の雇用事業でもこのような作業をしてほしいなといったことを提言させていただきたいと思います。
 作家C・W・ニコルさんが育ててきた長野県信濃町・黒姫の森が緑の雇用事業の進むべき道を示唆しているのではないかと考え、紹介いたします。
 ニコルさんは昭和五十五年に黒姫に定住いたしまして、土地を少しずつ買い上げて健全な森に再生してきました。間伐し、樹木の一本一本に養分が行き渡り陽光が当たるようにしてきました。下草を取り、風通しをよくし、池を掘り、水路をきれいにし、カエルやイモリ、サギたちが暮らせる環境を整えてきました。今では、ツキノワグマが木登りをするのも見られるようでございます。また、オオタカも姿を見せているようでございます。小鳥がさえずり、スミレがじゅうたんのように咲く。昆虫も七百種類以上が確認されているようであります。三万坪を超える美しい森となった森は、二酸化炭素を吸収し、たくさんの酸素をつくってくれます。キノコが育ち、何にも増して人間をいやしてくれます。これが緑の雇用事業の進む道ではないかと考えます。
 次に、福祉保健部長にお尋ねいたします。福祉も大きな雇用の柱ということで、雇用促進についてお伺いいたします。
 福祉関係に今従事している人は何人ぐらいいるのでしょうか。市町村の社協に属しているヘルパー、それ以外に市町村からの委託を受け諸サービスを行っている民間業者、県知事の許可を受け福祉法人として活動している団体等、相当の人が従事しております。ちなみに、介護保険施設では、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設で施設数で百三十八、従事者四千三百十五名となっております。また、障害福祉関係施設では、施設数で七十四、従事者数で一千五百二十四名、計五千八百三十九名となり、市町村関係を加算すると優に一万名を超すと思われるのであります。県民百人に一人が福祉に関係している、こういうことになろうかと思います。
 また、平成十六年整備目標から整備必要数を見ると、特養で百八十五、三施設分であります。介護老人保険施設で整備必要数三百二十九、七施設分であります。現在の従事者数を施設数で割ると、一施設約三十二名が従業員として働いております。これを単純に整備必要数から割り出した施設数十施設を掛けますと、三百二十名の雇用が見込まれるのであります。これを前倒しして実施していただきたい。この不況のときであります。即時にやっていただきたい、このように思うわけでございます。今、本県で近々に雇用促進を図られる業種は、IT関連でもなければ製造業でもない。環境と福祉であります。
 続いて、土木部長にお尋ねいたします。ダム中止に伴う波及についてであります。
 国道三百七十一号、特に紀の川以南の現道対策についてお伺いいたします。
 「行くも浪費 戻るも浪費」と題して毎日新聞が八月二十二日付でダム中止・休止の全国七十八事業について掲載しておりますが、結論に至るまでに調査費などで多額の税金が投入されている実態を指摘しております。それによりますと、既に支出されているのが千三百億円、和歌山県では美里が五億二千万円と記載されておりまして、私が質問する丹生川ダムについては触れてございません。
 丹生川ダムに関して見ると、計画が持ち上がったのは二十八年前であります。調査が始まったのが平成元年。平成元年から十三年までの間に、調査費が総額四十億一千三百万円が使われております。丹生川ダムの調査が始まってからは、紀の川以南の三百七十一号の改修投資額は抑えられ、地元もそれをよしとして容認してきた節もあります。しかるに、ここに来て突然の中止であります。地元住民が釈然としないのは当然であります。国、県は失われた十四年の空白の穴を埋めるべく最大の努力をすべきであると思うのです。本日は、道路に照準を合わせて質問させていただきました。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初に智弁学園和歌山高校の準優勝についての感想ということでございますけれども、ご質問にもありましたように、私も準決勝、決勝と二試合、甲子園へ行きまして、本当に感動を与えてもらったという一語に尽きると思います。
 智弁和歌山につきましては、昨年の甲子園へ行く県大会で一回戦敗退、それでことしは選抜で甲子園へ出場したもののまた一回戦で敗れるということで、そういう面で非常に精神力の強いチームに成長したものと思いますし、そしてまた高嶋監督が大変立派な人柄でチームを率いた成果がこのようにあらわれたと思っております。
 この智弁和歌山の準優勝の反響ですけれども、私自身が思っていた以上に県外の人たちから「智弁よく頑張ったね」「よかったね」というふうなことを聞くことが多うございます。今さらながらに、この甲子園での活躍ということの反響の大きさということをかみしめている次第でございます。今後も、智弁和歌山に限らず、県内の高等学校が甲子園で大活躍してくれることを心から祈念をしているところでございます。
 次に、不況対策でございます。
 米国の景気が不分明なこと、そしてまた我が国の株価も低迷を続けているというふうな中で、なかなか景気の回復、そしてまた雇用の改善ということが見込めないというふうな厳しい状況に我が国があり、そしてまた和歌山県も同じような状況であろうかと思っております。
 こういう中で、県では景気雇用対策本部を昨年設けまして、緊急雇用対策として緑の雇用事業でありますとか、いろんな事業を展開しております。そしてまた、就職対策でありますとか、生活安定対策、そして金融支援、新産業の創出等々、考えられるいろいろな施策を実施しているところでございます。
 こういうふうな中で、なかなか即効性はないんですけれども、新しい企業を和歌山県内に誘致してくるというふうな仕事も一生懸命進めておりまして、先般はリゾート島のわかやま館にコールセンターが進出して大変な数の新規雇用が見込まれることになりましたし、そのほかにも幾つかの会社が和歌山へ進出してくる。アンテナを高くして、こういうふうな雇用機会の創出に努めているところでございます。
 そしてまた、先ほど猫の毛皮の話がありましたけれども、こういうふうな和歌山県特有の技術を真摯に生かしていく企業を支援していくことがまず私は大事だと思っておりまして、今、ソムリエ委員会というのをつくって、こういう和歌山からいろんなことを発信できる企業に対して支援をしていく方策ということを真剣に検討しているところでございます。
 それから、福祉。福祉というのは一般的に福祉の面だけでとらえられがちなんですけれども、ご質問のように、雇用問題で非常に大きな役割を果たすということ、私はもうそのとおりだと思います。これから二十一世紀には、今まで雇用という面で余りとらえてこられなかった福祉であるとか環境であるとか、そういうものが雇用の大きな担い手になってくるというふうな考えでございますので、私もそういう方向で仕事を進めていきたいと思っております。
 それから、緑の雇用につきましても、これは中山間への就業というふうなことに極限されるのではなくて、ご質問にありましたようにCO2の吸収、地球環境という方向へどんどん話を大きくしていかないと、なかなかこれしりすぼみになってしまうということも考えられますので、そういうふうな方向で頑張っていきたいと思いますので、ご支援方よろしくお願いを申し上げます。
 どうもありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、智弁和歌山準優勝についてのご質問ですが、和歌山県は伝統的に野球が盛んであり、議員ご指摘のとおり、野球王国であると認識しております。
 ご質問の紀三井寺公園野球場のグラウンド拡張につきましては、他府県の状況も踏まえ、その必要性、緊急性について検討してまいりたいと考えております。
 次に、紀伊丹生川ダム計画の中止に伴うダム関連地域の地域振興対策に関しましては、国、県、地元橋本市、九度山町、高野町で構成される旧紀伊丹生川ダム地域振興協議会の場において検討協議される予定となっております。
 議員ご質問の国道三百七十一号の現道対策につきましては、地元の意向を聞きながら、必要なものから優先順位をつけて順次対策を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 三番目の不況対策と雇用促進の中で、企業、商店を廃業に追い込まない施策をについてでございますが、本県の経済情勢は依然として厳しい状況にあり、中小企業の資金繰りも悪化傾向にあります。このため、既存産業活性化のための各種施策の充実や金融対策に力を入れて取り組んでいるところでございます。
 今年度、新たに低利の融資制度、緊急経済対策資金及び連鎖倒産防止資金を合わせて三百六十億円の融資枠で創設いたしました。本年度は四月から七月までの四カ月間で約千四百件、百五十八億円の融資実績があるなど、よく活用をいただいているところでございます。
 また商店街支援として、中心市街地や各商店街等へのハード整備やソフト事業への支援を実施するとともに、これらの事業を有効に活用し、意欲のある商店街がみずから考え提案する事業に対し支援に努めているところでございます。今後も、議員のご提言のように、雇用の確保を図る観点から商店街や地場産業の振興と中小企業金融の円滑化に鋭意取り組んでまいる所存でございます。
 次に、頑張る企業に応援をにつきましては、議員ご指摘のとおり、頑張る中小企業への支援も大変重要であると考えております。県内の中小企業者や産地組合は新事業の展開や新分野への進出、新たな販路開拓を目指し頑張っております。これらの中小企業が行う経済環境の変化に即応した経営革新や新技術・新商品の研究開発に対しまして、補助金や融資など各種支援策がございます。さらには、次代の県経済をリードし得る企業を発掘・育成する施策として、知事の答弁にもありましたように本年度から企業ソムリエ委員会を設置し、支援に向けて取り組んでございます。一方、工業技術センターでは、技術の転換や製造方法の改良、品質管理、新製品の開発や商品化を目指す企業を技術面から支援をしております。これらの支援制度の周知になお一層努めてまいります。
 また、紹介のありました猫型ロボットの例のように、産地のすぐれた技術や活性化に向けた新たな取り組みなど、頑張っている企業の情報を収集し、あらゆる機会をとらえて広く紹介していくことも重要であり、今後も積極的に情報発信に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 不況対策と雇用促進についてのご質問のうち緑の雇用事業についてでございますが、緑の雇用事業は、過疎・高齢化が進む地域で森林の環境保全により雇用創出を図り、地元雇用はもとより、Iターン者などの参入を進め、中山間地域の活性化を図るものでございます。また、緑の雇用事業の推進に当たりましては、広葉樹林への部分転換やすぐれた自然景観を保ち、鳥獣などが生息できる環境林の造成を進めることとしてございます。
 議員お話しのように、地域活性化のためには継続した雇用が必要なことから、本年四月から国に対し恒久対策化の政策提言、要望を実施してまいりました。こうした中で、さきに発表されました国の平成十五年度予算の概算要求におきまして、緑の雇用担い手育成対策が盛り込まれたところでございます。今後は、この緑の雇用担い手育成対策の予算の実現に向けまして積極的に取り組むとともに、地球温暖化防止に係る二酸化炭素の吸収源対策の観点からも引き続き恒久対策を国に要望してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 福祉も柱に雇用促進をについてお答えいたします。
 近年、福祉ニーズが多様化する中で、老人福祉施設を初め障害者福祉施設、児童福祉施設等で、議員ご指摘のとおり、多くの人が従事しており、就労の場としても大きな位置を占めております。
 介護保険施設につきましては、平成十六年度を目標年次としてわかやま長寿プランに基づき整備を進めておりますが、この整備目標を達成いたしますと、新たに約三百二十名程度の雇用が見込まれます。また、障害者福祉施設につきましては、平成十五年度を目標年次とした障害者プランに基づき整備を進めておりますが、このうち本年度は五施設を、来年度は一施設の整備を予定しており、約百四十人の雇用が予定されております。このうち、本年九月に大塔村に開所いたしました定員五十人の知的障害者更生施設「あすなろ平瀬の郷」におきましては三十一人の職員が雇用されております。
 施設整備の前倒しについてでございますが、これまでは関係市町村の実情等を総合的に勘案した上で整備を図ってまいりました。とりわけ昨年度は国の緊急経済対策を活用し前倒しして実施するなど、計画の早期実現を図っているところでございます。
 福祉事業は多くの雇用を生み出すという観点からも、今後とも福祉施設の整備充実を図るとともに、従事者の資質の向上や人材の育成を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十九番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 要望を申し上げておきたいと思うんですが。
 まず雇用問題でありますが、新規の企業を立ち上げて、そこで雇用を創出するというのは、時間とまた投資が相当な額に上るんじゃないかなと、このように思うわけでございます。先ほども申し上げましたが、穴のあいたおけに水をくむような作業になると思うんです。今望まれているのは、早急に雇用を創出しなければならないと。それじゃ何で創出するんやということになったら、知事が提唱されております緑の雇用事業であり、また福祉の関係の雇用であろうと思うんです。
 特に、緑の雇用事業についてはもうスケジュールが決まっておるようでございますので結構ですが、福祉の面につきましてできるだけ前倒しをして、十五年度ではもう百四十名もの雇用が発生するということでありますから、できるだけ早く雇用が発生するように努力をしていただきたい。
 それから、大塔村で知的障害者の更生施設ができたと。これは本当に大変なことだと思うんです。一つ役場ができたぐらいのことじゃないでしょうか。特に大塔村の地元の皆さんの雇用が、今までなかったことが発生したということで、恐らく村を挙げて非常に喜んでいる、また村の施設として喜んでくれているんやないかなと、こういうふうに思うわけですね。特に、そこへ出入りする業者の方。地元で買っていただけるということも波及効果として出てまいりますので、ひとつなるべく早く前倒しでやっていただきたいと思うのです。
 それと、土木部長に最後にお願いしておきますが、ダムの中止に伴って三百七十一号の対策です。実は、このダムの話が出たのは二十八年前ですよね。二十八年前から、現道を拡幅したり急なカーブをカットするというのは二重投資になるから、今度立派ないい道を山の上につけるからちょっと待っておくれよと、これはもう当然の理屈でございまして、地元も、そんないい道をつくってもらえるんやったら我慢しましょうということで、二十八年間──私「十四年間」と言うたのは、これは事務所が動き出してからの話ですから、二十八年間もう辛抱してきたと。しかし、これがもし一年間に一億ずつこの道路拡張に投資してくれておったら、もう既に二十八億円使って高野山までいい道ができておるのと違うんかいなというような思いで質問をさせていただいたのであります。どうかひとつ、その辺の地元の気持ちをお酌みいただいて、ひとつ前向きに早急に取り組んでいただきたい、このようにお願い申し上げまして、要望とかえます。
 ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。

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