平成14年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


県議会の活動

平成十四年九月 和歌山県議会定例会会議録 第二号
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議事日程 第二号
 平成十四年九月十七日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         内   田   安   生
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       宮   地       毅
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       阪   口   裕   之
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   大   岡   淳   人
     警察本部長      高   綱   直   良
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(宇治田栄蔵君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百十九号は職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに報第八号、報第九号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(宇治田栄蔵君) 日程第一、議案第百十四号から議案第百三十四号まで、並びに知事専決処分報告報第八号、報第九号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十九番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 皆さん、おはようございます。
 初めに少しひとり言を言わせていただきたいと思うんですが、米国多発テロに思うということで、少ししゃべらせていただきたいと思います。
 米国同時多発テロ発生から、ちょうど一年。九・一一ニューヨーク世界貿易センタービル跡地「グラウンド・ゼロ」を中心に、世界各国で追悼式が行われました。昨年の九・一一、テレビニュースでリアルタイムで航空機が世界貿易センタービルに突っ込む光景を見ました。その後もテレビ画面上に繰り返し流されるこの模様を長時間見ておりました。当時よく言われたことでありますが、まさにハリウッド映画の映像を見ているようで、まさかテロによるものだとは思えませんでした。それは想像を超えたもので、よもやこれが人間のすることかと、いまだに信じられないところであります。
 九月十一日、テレビ、新聞などマスコミはいろいろな面から報道しておりますが、いずれも事件の一面でしかないようにも思うのであります。この事件後、世界はいろんな意味で大きく変わったようにも思うのであります。テロに対しては、各国の世界観、戦争観が変わりました。また、世界の景気に対しはかり知れない大きなダメージを与えました。WTCビルが崩れ、救助に向かった消防士、警察官、ビル内のオフィスに勤めていた人たち、航空機の乗客・搭乗員など、とうとい人命三千余名、うち日本人二十二名が一瞬のうちに亡くなったのであります。罪もない、戦いとは無縁の人たちでありました。
 テロは断じて許してはならないのであります。亡くなられた方々に改めて哀悼の誠をささげるものであります。テロを実行した者、指示した者、それらの者もはるかに超えたダメージが、一年を経過した今も世界経済を揺さぶっております。米国からテロを指示したとして名指しされたアルカイダの指導者・ビンラディン、また、テロ支援国家「悪の枢軸」としてイラク、北朝鮮が名指しされました。
 特に北朝鮮は、我が国に近く、永年にわたり日本国の主権を侵してまいりました。日本人拉致事件、有本恵子さんを含む十一人。また、よど号ハイジャック犯をかくまう。この中で小西タカ子は日本人拉致事件に関与したとされております。また、大陸弾道弾ミサイルを日本に向けて発射いたしました。再三にわたる不審船による領海侵犯、工作員の上陸等々も言われております。
 その北朝鮮と小泉首相はきょう、日朝首脳会談に挑むのであります。きょう午前九時六分、まさに歴史的な会談の、日本政府の専用機が北朝鮮の空港に着陸いたしました。訪朝を前にして、北朝鮮側から小泉首相の政府専用機使用を拒否していると報道されておりました。いかにも北朝鮮らしいやり方だなというふうに感じました。話し合いによる成果を期待する余り、何でも出された条件をのむことのないように、場合によっては勇気ある決断をも視野に入れた首脳会談であってほしいと小泉首相に願うものであります。
 それでは、通告申し上げました一般質問に入らせていただきます。
 智弁和歌山の準優勝に思うということでございます。
 甲子園、それは野球少年の夢舞台であり、高校野球球児のあこがれでもあります。まさかと思っていた智弁和歌山が、準優勝という大きなプレゼントを和歌山県民にくれました。ことしのチームを高嶋監督は「あかんたれ軍団」と辛らつに言っておりました。しかし、甲子園に登場した選手たちは一試合一試合力をつけ、大きくたくましくなっていくのがブラウン管を通して感じ取れました。この十年間で春夏三度の全国制覇、常勝智弁和歌山に対する期待は大きく、選手にプレッシャーとしてのしかかっていたと思われます。それにも増して高嶋監督にはもっと大きなプレッシャーがかかっていたのではないかと思うのであります。
 優勝戦の明暗を分けたのは、評論家的に申し上げますと、一点を先制された直後の四回の攻撃、ワンアウト二、三塁のチャンスにツー・ワンからのスクイズバントの失敗であったと、このように思います。しかし、明徳義塾バッテリー側にすれば当然のピッチアウトでもあったようにも思うのでございます。その後の試合経過についてはご存じのとおりで、明徳義塾ペースで終わりましたが、智弁高校の準優勝を心から喜んでおるわけでございます。
 ここで考えられるのは、智弁よりも明徳の方が勝利への執念が強かったのではないか、こういうふうに思います。智弁和歌山は、星陵・松井秀喜──現在は巨人軍の選手で三冠王に向けてばく進中でありますが──彼に負けたのではないかと私は思います。皆さんも覚えておられると思います。十年前、星陵・松井に対し五打席連続の敬遠四球を監督は指示しました。監督の指示とはいえ、投手として屈辱以外の何物でもなかったと思います。当の明徳元投手・河野和洋さんは──現在、専修大学のコーチをしておりますが──「批判は少しも気にならなかった。言いたい人がいれば言えばいいという気持ちだった。それよりも、敬遠しなければならないという自分の力不足を何とかしなければならないと思った」と言っております。明徳の優勝は八二年の選抜初出場以来、春夏合わせて十九回目につかんだ栄冠でありました。明徳高校・馬淵監督の優勝を心からお祝い申し上げたいと思います。
 もう一人の甲子園を紹介いたします。和歌山県派遣審判として夏の甲子園で審判を務めた小山良男さん──田辺市の方でありますが──大変ご苦労さまでございました。
 前振りが長くなりましたが、知事も準決勝、決勝と応援に行かれ、決勝戦に勝ち進んだチームの輩出をした県知事としての感想を伺いたいと思うのであります。
 土木部長に、続いてお伺いいたします。紀三井寺球場のグラウンドの拡張であります。
 ルールブックに、こう書いてございます。野球は公認野球規則というのがございまして、日本のプロ野球、また日本野球連盟、日本学生野球協会、全日本大学野球連盟、日本高校野球連盟、全日本軟式野球連盟がこの公認野球規則をもとに試合を進めておるわけでございますが、公認野球規則には事細かくルールが載っております。公式ボールの縫い目の数まできっちり決められております。その中で、こういうことがございます。一条の四項でありますが、競技場は──野球のグラウンドのことですが──次に記す要領により設定するというふうに書かれておりまして、途中は省略いたしますが、グラウンドの広さに関して、両翼は三百二十フィート(九十七・五三四メートル)以上、中堅は四百フィート(百二十一・九一八メートル)以上あることが優先して望まれるというふうに書いてあります。ところが、紀三井寺球場は九十三・六メートルしかありません。軟式のボールでもオーバーフェンスはするわけです。
 もう一つこの野球規則の中に付記されておりますのが、一九五八年六月一日からプロフェッショナル(プロ野球)のクラブが建造する競技場(グラウンド)は、本塁より左右両翼のフェンス、スタンドまたは左右両翼のフェアグラウンド上にあるプレイの妨げになる施設まで──ということは外野のフェンスのことでありますが──の最短距離は三百二十五フィート(九十九・〇五八メートル)、センターのフェンスまでの距離は四百フィート(百二十一・九一八メートル)を必要とすると、こう書いてある。ということは、紀三井寺球場ではプロ野球の試合はできない。和歌山県営球場がプロ野球の試合のグラウンドとしては使えないよと、こういうふうなことだと思うんです。
 そこで土木部長に改めて伺うんですが、紀三井寺球場は、黒潮国体がございました当時、そのときにつくった球場であります。しかし、それから二十数年たっておりますから、全国の各球場は両翼百メートル近く、このルールブックにのっとった球場に全部変わっております。この国体があった時分は、非常に狭いプロ野球のグラウンドもございました。後楽園しかり、大阪球場しかり、平和台球場しかり、名古屋球場しかり、広島球場しかりであります。しかし、現在は広島球場を除いてグラウンドの両翼はほとんど百メートルであります。
 そういう意味で、紀三井寺の野球場のグラウンドの拡張、特に両翼九十三・六メートルを広くできないものだろうかと、こういうふうに私は提案し考えてみたわけですが、外野は土で盛ったスタンドでありますので、改めてこの外へ外野をしなくてもいいんじゃないか、中でカットするだけで十分いけるんじゃないかなと。工事費だけで済みますので、グラウンド拡張について積極的な取り組みをお願いしたい、こういうふうに思いまして土木部長に質問するわけです。
 全国球児のメッカはあこがれの甲子園であります。また、野球王国・和歌山の全国への登竜門は紀三井寺であります。どうかよろしくお願いしたいと思います。
 続いて、不況対策と雇用促進について質問したいと思います。
 バブル崩壊後、日本経済は立ち直ることなく不況が企業、国民をむしばんでおります。その上、九・一一テロ以降の米国の景気急落の余波は、なお一層の厳しさで不況に追い打ちを加えております。金融機関の崩壊、雪印、日本ハム等々に象徴される日本のトップ企業の経営倫理欠如からくる社員の解雇とリストラ等々、おのれがまいた原因により不況に一層輪をかけております。国が打つ不況対策も後手後手に回り、一向に効果が上がらないのが実情であります。その上、企業の雇用意識の変化により、終身雇用から企業努力を抜きにしたリストラに頼る安直な方法をとるようになってまいりました。
 ここで、幾つかの例や提言を申し上げ、不況対策と雇用促進全般について知事に、各項目内容につきましては関係部長の答弁をいただきたいと思うのであります。
 まず一つといたしまして、企業、商店を廃業に追い込まない施策を商工労働部長にお願いいたしたいと思うのであります。
 零細企業、商店等は財政的に体力も弱く、不況に対して一番先に被害をこうむっております。よく今まで頑張っているなとの思いが非常に強うございます。その零細企業、商店が和歌山県では比重が高く、また多くの雇用を支えてまいりました。それがデフレになってからは、商店はスーパーに押され、そのスーパーですら安い中国製品に食いつぶされております。今ここでこれら企業、商店を支えなければ、県下商工の先は見えないと思うのであります。「ざるで水をくむ」の例えがございますが、幾ら雇用促進に向けて手を打ったとしても、穴のあいたおけにざるで水をくむことに等しいと思うのであります。
 廃業に追い込まれる零細商店が多いのは、橋本でも例外ではございません。ここで紹介するのは、橋本市内、JR・南海橋本駅に隣接する上本町商店街の例であります。上本町商店街は、最盛時には六十店舗余りも軒を連ねていた商店街であります。ほかに広い道路もでき、人通りも途絶え、商店数も十三店舗に激減しております。どこにでもある通りであります。
 その商店街で九月八日、チャレンジショップ十二店がオープンいたしました。これは、県の支援で行った事業でございます。駅前周辺商店街を活性化しようと空き店舗を利用するもので、一般公募の市民がアイデアを凝らした十二店が来年一月までの五カ月間、新しい商売に挑むものであります。当日はイベントもあり、終日大勢の人出でにぎわいました。ある商店主は「これだけの人通りがあるのは何十年ぶりかな」と言っておりました。思わず、この企画が成功してほしいものだと思いました。
 紹介したのは一例でございますが、成功すれば少なくとも三十人余りの人が職につき、寂れている商店街にも活気が戻るのではと期待が膨らむのであります。このような施策を、県の強力な支援をいただき、今後も継続的に続けていただきたいと思うのであります。
 二つ目には、頑張る企業に応援をということで商工労働部長に質問いたします。
 今、国内企業、特に零細企業は厳しい環境に置かれております。しかし、日本国内の企業には隠された能力を持っているところが非常に多うございます。中小企業の中にも、世界をリードする先端技術を有する企業もございます。県下の頑張り元気ある企業をさらに支援し、大きく飛躍することで多くの雇用が見込めると思うのであります。
 ここで紹介するのは、元気ではないが頑張っている零細企業の話であります。業種は、構造不況が長く続く織物製造業であります。九月三日付「産経」の記事によれば、オムロン開発本部の社員が猫のロボットを手に橋本市内の織物製造業・坂上商店を訪れ、同社が開発したペット型ロボット──これ「ネコロ」と言うんですけれども(現物を示す)──「ネコロ」の試作品に本物の手ざわりの縫いぐるみをつくってほしいとの依頼でありました。依頼を受けた企業は、プロジェクトチームを高野口地域の加工業者等十社が参加して結成いたしました。試行錯誤の後、十一カ月後に美しい毛並みの「ネコロ」が誕生いたしました。先日、社長と会って話しましたが、謙虚な中にも自信を持った話でありまして、「布で毛皮をつくる依頼を受けたときは非常に困った。今はつくった毛皮にどのような使用方法があるのか、仲間と知恵を出し合って次の商品づくりに取り組んでいきたい」との積極的な話でありました。
 この中に幾つかの小さなモーターも使われておるんですが、このモーターは和歌山県内のホシデンさんの製品だと聞いております。ちょっとスイッチを入れさせていただきます。余り動かすと私の話を聞いてもらえないので、すぐスイッチは切ります。いろいろ千種類ほどの動作をするんですが、ここをなでてやったら目を細めて喜ぶんです。──目を細めて喜んでおる。
 この例は、構造不況に悩む繊維業界に「やればできるのでは」と一筋の光明をともしたのではと思うのであります。──スイッチを切っておかないと話を聞いてくれへんから。後からゆっくり動かさせていただきます。
 元気を出して頑張る企業に支援する。雇用を創造することの難しさ、財政投資、労力から考えても、大きく伸びる企業をより大きく伸ばすことの方が現実的ではないでしょうか。
 三つとして、緑の雇用事業についてお伺いいたします。
 緑の雇用事業は和歌山発として木村知事が考えられ、国の大きな施策の柱にもなっているところでございます。緑の雇用事業がいよいよ本格始動を始めました。四十二億五千万円が予算化され、教員、警察官等の採用にも使用され、十四年度森林作業員雇用予定四百三十六名と聞かされております。六カ月間の短期間であると、その成果を正直言って私は危ぶんでおりました。このような事業継続性が必要と考えていたからであります。
 ここに来て林野庁は、緑の雇用担い手育成対策事業として十五年度国家予算概算要求をいたしました。小泉首相もこの事業を重点施策と位置づけているので、継続事業として認知されたものと理解しております。この事業は平成十七年まで続くそうで、その後も何らかの施策をもって継続的に続けていってもらいたいというふうに思うところでございます。私は、この事業が雇用を重視したものからCO2削減のための地球温暖化防止対策の事業となることを望んでおりますし、そのようになるものと考えます。
 そこで、緑の雇用事業でもこのような作業をしてほしいなといったことを提言させていただきたいと思います。
 作家C・W・ニコルさんが育ててきた長野県信濃町・黒姫の森が緑の雇用事業の進むべき道を示唆しているのではないかと考え、紹介いたします。
 ニコルさんは昭和五十五年に黒姫に定住いたしまして、土地を少しずつ買い上げて健全な森に再生してきました。間伐し、樹木の一本一本に養分が行き渡り陽光が当たるようにしてきました。下草を取り、風通しをよくし、池を掘り、水路をきれいにし、カエルやイモリ、サギたちが暮らせる環境を整えてきました。今では、ツキノワグマが木登りをするのも見られるようでございます。また、オオタカも姿を見せているようでございます。小鳥がさえずり、スミレがじゅうたんのように咲く。昆虫も七百種類以上が確認されているようであります。三万坪を超える美しい森となった森は、二酸化炭素を吸収し、たくさんの酸素をつくってくれます。キノコが育ち、何にも増して人間をいやしてくれます。これが緑の雇用事業の進む道ではないかと考えます。
 次に、福祉保健部長にお尋ねいたします。福祉も大きな雇用の柱ということで、雇用促進についてお伺いいたします。
 福祉関係に今従事している人は何人ぐらいいるのでしょうか。市町村の社協に属しているヘルパー、それ以外に市町村からの委託を受け諸サービスを行っている民間業者、県知事の許可を受け福祉法人として活動している団体等、相当の人が従事しております。ちなみに、介護保険施設では、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設で施設数で百三十八、従事者四千三百十五名となっております。また、障害福祉関係施設では、施設数で七十四、従事者数で一千五百二十四名、計五千八百三十九名となり、市町村関係を加算すると優に一万名を超すと思われるのであります。県民百人に一人が福祉に関係している、こういうことになろうかと思います。
 また、平成十六年整備目標から整備必要数を見ると、特養で百八十五、三施設分であります。介護老人保険施設で整備必要数三百二十九、七施設分であります。現在の従事者数を施設数で割ると、一施設約三十二名が従業員として働いております。これを単純に整備必要数から割り出した施設数十施設を掛けますと、三百二十名の雇用が見込まれるのであります。これを前倒しして実施していただきたい。この不況のときであります。即時にやっていただきたい、このように思うわけでございます。今、本県で近々に雇用促進を図られる業種は、IT関連でもなければ製造業でもない。環境と福祉であります。
 続いて、土木部長にお尋ねいたします。ダム中止に伴う波及についてであります。
 国道三百七十一号、特に紀の川以南の現道対策についてお伺いいたします。
 「行くも浪費 戻るも浪費」と題して毎日新聞が八月二十二日付でダム中止・休止の全国七十八事業について掲載しておりますが、結論に至るまでに調査費などで多額の税金が投入されている実態を指摘しております。それによりますと、既に支出されているのが千三百億円、和歌山県では美里が五億二千万円と記載されておりまして、私が質問する丹生川ダムについては触れてございません。
 丹生川ダムに関して見ると、計画が持ち上がったのは二十八年前であります。調査が始まったのが平成元年。平成元年から十三年までの間に、調査費が総額四十億一千三百万円が使われております。丹生川ダムの調査が始まってからは、紀の川以南の三百七十一号の改修投資額は抑えられ、地元もそれをよしとして容認してきた節もあります。しかるに、ここに来て突然の中止であります。地元住民が釈然としないのは当然であります。国、県は失われた十四年の空白の穴を埋めるべく最大の努力をすべきであると思うのです。本日は、道路に照準を合わせて質問させていただきました。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず最初に智弁学園和歌山高校の準優勝についての感想ということでございますけれども、ご質問にもありましたように、私も準決勝、決勝と二試合、甲子園へ行きまして、本当に感動を与えてもらったという一語に尽きると思います。
 智弁和歌山につきましては、昨年の甲子園へ行く県大会で一回戦敗退、それでことしは選抜で甲子園へ出場したもののまた一回戦で敗れるということで、そういう面で非常に精神力の強いチームに成長したものと思いますし、そしてまた高嶋監督が大変立派な人柄でチームを率いた成果がこのようにあらわれたと思っております。
 この智弁和歌山の準優勝の反響ですけれども、私自身が思っていた以上に県外の人たちから「智弁よく頑張ったね」「よかったね」というふうなことを聞くことが多うございます。今さらながらに、この甲子園での活躍ということの反響の大きさということをかみしめている次第でございます。今後も、智弁和歌山に限らず、県内の高等学校が甲子園で大活躍してくれることを心から祈念をしているところでございます。
 次に、不況対策でございます。
 米国の景気が不分明なこと、そしてまた我が国の株価も低迷を続けているというふうな中で、なかなか景気の回復、そしてまた雇用の改善ということが見込めないというふうな厳しい状況に我が国があり、そしてまた和歌山県も同じような状況であろうかと思っております。
 こういう中で、県では景気雇用対策本部を昨年設けまして、緊急雇用対策として緑の雇用事業でありますとか、いろんな事業を展開しております。そしてまた、就職対策でありますとか、生活安定対策、そして金融支援、新産業の創出等々、考えられるいろいろな施策を実施しているところでございます。
 こういうふうな中で、なかなか即効性はないんですけれども、新しい企業を和歌山県内に誘致してくるというふうな仕事も一生懸命進めておりまして、先般はリゾート島のわかやま館にコールセンターが進出して大変な数の新規雇用が見込まれることになりましたし、そのほかにも幾つかの会社が和歌山へ進出してくる。アンテナを高くして、こういうふうな雇用機会の創出に努めているところでございます。
 そしてまた、先ほど猫の毛皮の話がありましたけれども、こういうふうな和歌山県特有の技術を真摯に生かしていく企業を支援していくことがまず私は大事だと思っておりまして、今、ソムリエ委員会というのをつくって、こういう和歌山からいろんなことを発信できる企業に対して支援をしていく方策ということを真剣に検討しているところでございます。
 それから、福祉。福祉というのは一般的に福祉の面だけでとらえられがちなんですけれども、ご質問のように、雇用問題で非常に大きな役割を果たすということ、私はもうそのとおりだと思います。これから二十一世紀には、今まで雇用という面で余りとらえてこられなかった福祉であるとか環境であるとか、そういうものが雇用の大きな担い手になってくるというふうな考えでございますので、私もそういう方向で仕事を進めていきたいと思っております。
 それから、緑の雇用につきましても、これは中山間への就業というふうなことに極限されるのではなくて、ご質問にありましたようにCO2の吸収、地球環境という方向へどんどん話を大きくしていかないと、なかなかこれしりすぼみになってしまうということも考えられますので、そういうふうな方向で頑張っていきたいと思いますので、ご支援方よろしくお願いを申し上げます。
 どうもありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、智弁和歌山準優勝についてのご質問ですが、和歌山県は伝統的に野球が盛んであり、議員ご指摘のとおり、野球王国であると認識しております。
 ご質問の紀三井寺公園野球場のグラウンド拡張につきましては、他府県の状況も踏まえ、その必要性、緊急性について検討してまいりたいと考えております。
 次に、紀伊丹生川ダム計画の中止に伴うダム関連地域の地域振興対策に関しましては、国、県、地元橋本市、九度山町、高野町で構成される旧紀伊丹生川ダム地域振興協議会の場において検討協議される予定となっております。
 議員ご質問の国道三百七十一号の現道対策につきましては、地元の意向を聞きながら、必要なものから優先順位をつけて順次対策を進めてまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 三番目の不況対策と雇用促進の中で、企業、商店を廃業に追い込まない施策をについてでございますが、本県の経済情勢は依然として厳しい状況にあり、中小企業の資金繰りも悪化傾向にあります。このため、既存産業活性化のための各種施策の充実や金融対策に力を入れて取り組んでいるところでございます。
 今年度、新たに低利の融資制度、緊急経済対策資金及び連鎖倒産防止資金を合わせて三百六十億円の融資枠で創設いたしました。本年度は四月から七月までの四カ月間で約千四百件、百五十八億円の融資実績があるなど、よく活用をいただいているところでございます。
 また商店街支援として、中心市街地や各商店街等へのハード整備やソフト事業への支援を実施するとともに、これらの事業を有効に活用し、意欲のある商店街がみずから考え提案する事業に対し支援に努めているところでございます。今後も、議員のご提言のように、雇用の確保を図る観点から商店街や地場産業の振興と中小企業金融の円滑化に鋭意取り組んでまいる所存でございます。
 次に、頑張る企業に応援をにつきましては、議員ご指摘のとおり、頑張る中小企業への支援も大変重要であると考えております。県内の中小企業者や産地組合は新事業の展開や新分野への進出、新たな販路開拓を目指し頑張っております。これらの中小企業が行う経済環境の変化に即応した経営革新や新技術・新商品の研究開発に対しまして、補助金や融資など各種支援策がございます。さらには、次代の県経済をリードし得る企業を発掘・育成する施策として、知事の答弁にもありましたように本年度から企業ソムリエ委員会を設置し、支援に向けて取り組んでございます。一方、工業技術センターでは、技術の転換や製造方法の改良、品質管理、新製品の開発や商品化を目指す企業を技術面から支援をしております。これらの支援制度の周知になお一層努めてまいります。
 また、紹介のありました猫型ロボットの例のように、産地のすぐれた技術や活性化に向けた新たな取り組みなど、頑張っている企業の情報を収集し、あらゆる機会をとらえて広く紹介していくことも重要であり、今後も積極的に情報発信に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 不況対策と雇用促進についてのご質問のうち緑の雇用事業についてでございますが、緑の雇用事業は、過疎・高齢化が進む地域で森林の環境保全により雇用創出を図り、地元雇用はもとより、Iターン者などの参入を進め、中山間地域の活性化を図るものでございます。また、緑の雇用事業の推進に当たりましては、広葉樹林への部分転換やすぐれた自然景観を保ち、鳥獣などが生息できる環境林の造成を進めることとしてございます。
 議員お話しのように、地域活性化のためには継続した雇用が必要なことから、本年四月から国に対し恒久対策化の政策提言、要望を実施してまいりました。こうした中で、さきに発表されました国の平成十五年度予算の概算要求におきまして、緑の雇用担い手育成対策が盛り込まれたところでございます。今後は、この緑の雇用担い手育成対策の予算の実現に向けまして積極的に取り組むとともに、地球温暖化防止に係る二酸化炭素の吸収源対策の観点からも引き続き恒久対策を国に要望してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 福祉も柱に雇用促進をについてお答えいたします。
 近年、福祉ニーズが多様化する中で、老人福祉施設を初め障害者福祉施設、児童福祉施設等で、議員ご指摘のとおり、多くの人が従事しており、就労の場としても大きな位置を占めております。
 介護保険施設につきましては、平成十六年度を目標年次としてわかやま長寿プランに基づき整備を進めておりますが、この整備目標を達成いたしますと、新たに約三百二十名程度の雇用が見込まれます。また、障害者福祉施設につきましては、平成十五年度を目標年次とした障害者プランに基づき整備を進めておりますが、このうち本年度は五施設を、来年度は一施設の整備を予定しており、約百四十人の雇用が予定されております。このうち、本年九月に大塔村に開所いたしました定員五十人の知的障害者更生施設「あすなろ平瀬の郷」におきましては三十一人の職員が雇用されております。
 施設整備の前倒しについてでございますが、これまでは関係市町村の実情等を総合的に勘案した上で整備を図ってまいりました。とりわけ昨年度は国の緊急経済対策を活用し前倒しして実施するなど、計画の早期実現を図っているところでございます。
 福祉事業は多くの雇用を生み出すという観点からも、今後とも福祉施設の整備充実を図るとともに、従事者の資質の向上や人材の育成を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十九番向井嘉久藏君。
○向井嘉久藏君 要望を申し上げておきたいと思うんですが。
 まず雇用問題でありますが、新規の企業を立ち上げて、そこで雇用を創出するというのは、時間とまた投資が相当な額に上るんじゃないかなと、このように思うわけでございます。先ほども申し上げましたが、穴のあいたおけに水をくむような作業になると思うんです。今望まれているのは、早急に雇用を創出しなければならないと。それじゃ何で創出するんやということになったら、知事が提唱されております緑の雇用事業であり、また福祉の関係の雇用であろうと思うんです。
 特に、緑の雇用事業についてはもうスケジュールが決まっておるようでございますので結構ですが、福祉の面につきましてできるだけ前倒しをして、十五年度ではもう百四十名もの雇用が発生するということでありますから、できるだけ早く雇用が発生するように努力をしていただきたい。
 それから、大塔村で知的障害者の更生施設ができたと。これは本当に大変なことだと思うんです。一つ役場ができたぐらいのことじゃないでしょうか。特に大塔村の地元の皆さんの雇用が、今までなかったことが発生したということで、恐らく村を挙げて非常に喜んでいる、また村の施設として喜んでくれているんやないかなと、こういうふうに思うわけですね。特に、そこへ出入りする業者の方。地元で買っていただけるということも波及効果として出てまいりますので、ひとつなるべく早く前倒しでやっていただきたいと思うのです。
 それと、土木部長に最後にお願いしておきますが、ダムの中止に伴って三百七十一号の対策です。実は、このダムの話が出たのは二十八年前ですよね。二十八年前から、現道を拡幅したり急なカーブをカットするというのは二重投資になるから、今度立派ないい道を山の上につけるからちょっと待っておくれよと、これはもう当然の理屈でございまして、地元も、そんないい道をつくってもらえるんやったら我慢しましょうということで、二十八年間──私「十四年間」と言うたのは、これは事務所が動き出してからの話ですから、二十八年間もう辛抱してきたと。しかし、これがもし一年間に一億ずつこの道路拡張に投資してくれておったら、もう既に二十八億円使って高野山までいい道ができておるのと違うんかいなというような思いで質問をさせていただいたのであります。どうかひとつ、その辺の地元の気持ちをお酌みいただいて、ひとつ前向きに早急に取り組んでいただきたい、このようにお願い申し上げまして、要望とかえます。
 ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 お許しを得て、質問を続けてまいります。
 通告を見ていただいてもわかりますように、質問項目はかつて私が取り上げてきた課題のものばかりであります。それだけにより新鮮味を持って受けとめていただけるような工夫と努力を重ねたと、こういうふうなつもりでこれから発言をさせてもらいます。
 まず一つは、生石山のススキ原の復元の問題についてであります。
 さきに幾たびか取り上げたことの結果として、このたび補正を組まれて生石山ススキ原復元へ向けて地元の取り組みに県が支援を送ろうと予算を措置されたことは、大変評価したいわけであります。月並みな言葉で申し上げると、大変うれしいと申し上げておきたいと思います。これは単に取り上げた当の本人の「自分の気持ちが受けとめられた」というような個人的な立場からのものではなくて、県が取り組んできたものを保存会やボランティアの皆さんが引き継いでやっている同事業であることに対して「県は手を引いたのではないよ」と、強い励ましと支援の保証だと受けとめられるからであります。関係している皆さんを大いに激励する大きな行政ではないかというふうに受けとめられるからであります。
 二つ目の問題は、生石山大好きの地元小学校の児童生徒の学習の発展として大きな展望を与えることになるからであります。
 三つ目の問題は、地元自治体の共同してやろうじゃないかという連帯感を促し、強化をさせることにつながるからであります。中でも、ふるさとの山を愛し慈しむ心のはぐくみは、山にかかわり山で汗をかき働くことを通じてこそ育つものだというふうなかたい考えから、評価したいわけであります。
 翻って考えてみれば、県はよく決断したなと、こういうふうにさえ思うところであります。木村知事になってから、白浜の航空大学の計画を見直し、はたまた雑賀崎の埋め立ても中止する。こういう決断にまさるとも劣らない決断ではないかと思うわけです。まかり間違ったら、山に火をつけて類焼し、高野山のみならず和歌山県の山を皆焼いてしまうことにさえなりかねない、そういうことを思うにつけて夜もろくろく眠れない、こういう事業に通ずる話であります。そうと違いますか、知事。よく決断したと思うからこそ、個人的な評価を送るのではなくて、県政の大きな決断、発展として受けとめてみたら、第三弾目の木村知事の決断と、こう申し上げたらいかがなものかというふうに考えるからであります。
 まだいろいろ申し上げたいことがあるんだけれども、次に移ってまいりたいと思います。
 それらを促す取り組みとなるからであることのみならず、生石山のススキ原復元に人知れず心を寄せている多くの人々とともにお礼を申し上げ、これが完全に遂行されるまで力添えをお願い申し上げるということを前提にしながら、次の質問を申し上げたい。
 これらの全体計画はどのようになっているのかということを、議会を通じて県民の皆さんにお知らせください。
 二つ目は、防火水槽設置は隣接する山に火が及ばないための策の一つだと思われるけれども、山焼きに当たる人的体制、人々の力をかりなければ実現されることではないだろうというふうに考えるときに、関係市町村のみならず県がこれを実施しようとするときの人的体制をどのようにお考え、お取り組みいただけるのかということもあわせてお聞かせください。
 三つ目の問題は、ススキ原復元によって生石山は一大観光資源として活用されることになるであろう。また、それをねらってのことであろうし、それを願ってのことであります。おのずから登山者もふえてくるわけであります。そのような状況を考えてみるときに、山へ上がっていく道路状況はどのようになっているかということを考えたら、地元自治体の長のみならず、皆さんは大変気に病んでいるところであります。それにあわせて、たくさん来るであろう人々を輸送し、運び上げたりおろしたりする道路を早急に整備していただきたいということが課題として浮上してくるのは当然かと思います。それに備えてどのような道路整備のご計画があるのかということもあわせお聞かせ願いたい。これが生石山ススキ原復元にかかわる話であります。前に取り上げた質問の内容といささか違ったところを感じ取っていただいたのではないかと思います。
 次に、農作物被害対策の問題について申し上げたいと思います。
 さきの議会でタイワンザルを取り上げ、続いてイノブタ論争を試みるとしてお話を聞いていただきました。結果、農作物被害を起こしているのは、いろいろあろうが、海南地域では大方はタイワンザルとイノブタだと認知されるに至って今日に来ているのが状況であります。今回はこれに加えてアライグマを新たに登場させて、皆さんにご審議を煩わそうということであります。
 この夏に至って急激に出現し、スイカやブドウなどに被害が出た話で持ち切りであります。次から次へと加害動物の新手が登場して農作物に被害を加えるこの環境をどうとらえたらいいのか、これが今回私が取り上げようとする課題の基本問題であります。ただ単にイノブタやの猿やのアライグマやのという、そういう対症療法的な施策だけを求めようとして登壇しているわけではありません。
 あるときは人工林で山の内容を変えてしまった。動物の食べるものがなくなり、動物の生息に適しないものとなってしまったことから、えさを求めて人里近くへ出没するようになったんや。この間、新聞でも取り上げられましたけれども、きのくに線の紀南方面でシカが電車にはねられる、事故死が多発するというようなこと。これも同じ現象として見てはばからないのではないかと考えるわけであります。
 しかし、昨今の話に、山にえさがなくなったから人里におりてくるというような話は一面的で、動物も学習を積むというか、山にあるえさより人間がつくる農作物の方がうまくて豊富にある、こういうことに至って人里近く、人間の居住圏にまで侵入してくるのだという見方をされるのがきょうこのごろの傾向ではないかと教えられたところであります。
 それとは少し異なるけれども、ことしの夏、アライグマという新手が加わったことはさらに複雑化してきているというふうにさえ見るわけであります。というのも、アライグマは日本在来の動物ではない。厄介さが加わってくるというものです。それら加害者に対して対症療法的な対策ではもう追いつけないということに、さらに追い打ちをかける出現だと見ているのであります。要は、これらと共生関係を保ちながら人間が好ましい自然環境を保持するため、もろもろの状況をどうとらえどう対処したらよいのかという問題ではないでしょうか。これらについての見解をまずお聞きしたいというところから始めます。
 次に、タイワンザルをえづけして捕獲するとの方針を確定し、その取り組みを始めましたけれども、これについての実績というのか、成果というのか──問題などはやっぱり明らかにしながら次への取り組みをしなけりゃならないところにあるのではないかということをご指摘申し上げたいわけであります。この取り組みは本年のみにとどまらず、生き物を相手にしてのことだから、かなり腰を据えた取り組みになろうとは思われますが、これはどうなのかということをお示しください。
 また、業者に委託されたとのことですけれども、今後に備えての問題もあったのではないか。これらを総括し、さらには、イノシシ類の被害防止は捕獲することが唯一の道だと考えを申し上げましたけれども、これがタイワンザルの生息領域を拡大してしまうという結果を引き起しかねないのではないかと思います。イノシシを追って猟師がタイワンザルが生息する領域に入り込んで鉄砲を撃つ、鉄砲を撃たれてタイワンザルは脅かされて、自分たちの生息領域から離れて大きな群れから小さなグループに分かれ、いまだかつてないようなところへ拡大されて逃げていく、こういう事態が起こってきているのではないかと思われます。海南でも、温山荘の近くに及んでいる船尾山にさえ猿がきょうこのごろあらわれてきているというようなことが市民の間で問題になっているくらいですから。大池遊園周辺の山に生息していたものがそのあたりにまで生息する領域を広めてきているのは、タイワンザルを捕獲しようとしてえづけをしてあれこれ施策をしたけれども、イノブタが出たということでイノブタに対症療法的な取り組みを進めたら、結果としてえづけどころか拡散してしまったと、こういうふうなことになりかねない。こういう事態になっているのではないかと地域の人たちも見ているようだし、的確に今までの取り組み状況と今後に備えてのお考えを聞かせてほしいわけであります。
 イノシシの問題です。
 地域住民や猟師の人たちは皆「イノシシ」とは言わないで「イノブタ」と言っているのは前の議会で申し上げたとおりなんですが、あえて「イノシシ類」と申し上げる方が──和歌山県の農産物被害の状況をとらまえるのにイノブタということだけに限られるということであってはならないと思うから「イノシシ類」と申し上げますけれども、これは去年から、侵されないように、被害を受けないようにと言うて防護さくを県の補助事業として始められました。そして、ことし、来年と三年計画で進められているようですけれども、これの設置の仕方等について関係住民の深く広いコンセンサスを得ることに十分成功しているようには聞きません。それだけに、もう一遍地域住民たちの気持ちを吸い上げて、もっと効果的にこれらが進められるように意を尽くされるよう申し上げたいわけであります。
 次に、アライグマの話であります。
 まずは、ことしの夏、被害実態はどういうことだったのかということを県当局も十分把握し切れていないのではないかと思われます。何しろ、ことしの夏、突発的に県下の至るところで農産物被害を与えたというふうなことですから、県のみならず、例えば海南市でさえ、そういう把握が十分だとは申し上げられにくいのではないかと申し上げたいわけであります。だって、地域の被害を受けた農家の人でさえ「アライグマ」とは言わないで「タヌキ」だと言ってみたり、そういうことにかかわる状況認識が的確でない、十分なコンセンサスを得るところに行政から情報を提供し切れていないというふうなことを顧みるとき、被害の実態さえ把握し切れていないのではないかと申し上げてはばからないわけです。
 地域の住民やお百姓の皆さんは、スイカの畑を荒らされたというようなことを行政に申し上げるということはもうしないような雰囲気にあります。「一々そんなことを言うてくるな」と言われるような気持ちに立たされているのが、今の住民の姿ではないかと思います。これは大変なことだと思います。行政に対する信頼を寄せるどころか、行政に言ったって何にもならない、何も顧みられるところがないというような立場に市民や農民が立たされているとするならば、これは大変なことだと思います。今日起こっている新手の加害者に対する状況を把握されて、それに対応する的確な対策をお立てになるように申し上げたいと思います。ことしの夏の話ですから、まだ十分把握し切れていないと言われたらそれまでだと思います。そういうことであるだけに、地方自治体の皆さんのご協力を得ながら的確な状況認識と把握をされるようお勧め申し上げたいと思います。
 さらに追加して申し上げたら、寄せられてくる話をまとめてみると、アライグマは木に登り、作物を荒らすと。地上の作物だけではない。例えば、この間、海南の高津という貴志川町に隣接している地域へ入って農家の皆さんに教えてもらったんですが、初めはタヌキか何かだと思っていたけれども、ブドウの木に登って、枝を針金にはわして伸ばしているのを伝ってブドウを取りよると、こういうふうなものを現実に見ているわけです。タヌキは木に登るかと、専らそういう話です。ある人はタヌキは木に登らないと言う。タヌキでなかったら何なということになるんです。顔に何か黒い筋があったとか、しっぽに何かしまがついていたとか、いろいろあれこれこもごもに話が出るんだけれども、情報が的確に流されてそれはアライグマだと提起されていないものだから、あれやのこれやのと話に尾ひれがついてさらに大きくなって、それに伴って被害も大きくなると、こういうことになるわけです。そういう状況を市当局、農林水産課の方へちゃんと届けているかと言ったら、届けていないと言うわけです。そんなもの言うたって「言うてくるな」というふうなことさえ感じさせられるような対応をされたらもうしまいやと、こういうお話であります。重ねてのお話ですけれども、そんなことがありました。
 最後に、これらについてかつて高田県議がちょうど二年前のこの議会で、農産物を荒らすということへの対応とそれに係る自然の生態系をどのように見ていくかということにかかわって、国の委託研究を受けることも含めて科学的に進める調査研究機関を立ち上げる必要があるのではないかというふうに申し上げておられます。僕はそれを、引き続いてこの議会を通じて申し上げたいわけです。
 この問題を取り上げて、当局の皆さんといろいろあれこれとやりとりをし、論議をし合ってまいりました。しかし、行政というのはそれぞれ与えられた守備範囲を忠実に守ることのみに一生懸命で、新たに起こってきているそういう状況や事態に対応する柔軟な判断のできないようなことになっているのではないかということに突き当たりました。この問題を提起したら、教育委員会からは何もそういうお話がない。これらに対して教育委員会の方ではどんなにしたらいいんでしょうかということの感覚さえ示してもらえない。農林水産部の話になったら、畜産課と果樹園芸課とかなり温度差があったり隔たりがあるような感じもします。環境生活部、これはこれとしてまたそれなりの守備範囲で一生懸命に考え対応してくれることはよくわかります。しかし、僕が今提起しようとしている自然の生態系や知事が言っている緑の雇用の問題にかかわって山をどうするか、緑の文化をどう創造するかということになったらすっとこかみ合うてくれない県庁の機構にあることを痛いほど知らされたわけであります。これ、どうでしょうかね。県庁は今までそれでよかったかもしれない。それで県民の暮らし向きや生活を守るに十分な組織、対応するに十分な体制であったかもしれない。しかし、事態がいろいろ進展し発展していることとのかかわり合いで考えると、もう一つ手の届かない部分を引きずりながら今日来ているのではないか。それにどのように対応してくれるかと考えたときに、先ほども言いましたように、国の委託事業も受けながらこれに対応するような研究調査機関、科学的に進められるような組織をお立ち上げいただけないだろうかと、こういうことであります。
 そのことを申し上げたら、国の方で調査されたものの結果をいただいて、そしてそれぞれ地方自治体におろして地方自治体でそれを検証し実証してもらうというふうな取り組みだというお話も聞きました。ならば、県がなぜ率先してそういうものをまとめてやろうとしないのやと言うたら「うーん」と、こういうふうなことにしかならないわけです。知事、深くご検討いただいて、ご回答いただけるように申し上げたいわけであります。
 こんなお話をし出したら横道へそれていって幾らでもあるんやけど、もうこのぐらいにとどめておきます。
 次は、道路問題であります。
 国道四百二十四号、三百七十号、四十二号については今回お預けにして、今回は海南市内の県道の実情を述べながら、これの整備促進について申し上げたいと思います。今ここで「海南市内の県道」と申し上げたけれども、海南の県道の状況と実態は県下全域に共通した課題ではないかとも思われるので、そういうふうな立場からお聞き取りいただけたら幸いであります。
 海南市内の県道は、和歌山野上線、森小手穂線初め、七つあるんかな、八つあるんかいな、ようけあるんや、とにかく。それで、今そうしなくちゃならないという住民の要求にこたえて予算を組み、箇所づけもし、工事もしていただいているのは、海南から岩出の方へ通っている、黒江駅からずっと東の方へ通っている岩出海南線。着実に毎年箇所づけし、工事をしていただいています。地域の人たちは一年間の工事でもっと距離を延ばしてもらえるようなことにならんのかというふうな要求はありますけれども、それは言うだけのことにしておいて、状況だけ先に述べておきましょう。これが一つあります。
 もう一本ある。和歌山市は東部の山東、黒岩の方から海南市領に入ってきて野上へ抜けていく道、和歌山野上線があります。この沿線にはタイワンザルの生息している地域もあるんですが、いずれにしたって、その道をしゃんとしようということで、別院、野尻──和歌山市領から山を越えてきて海南市領へ入ってきたところのバイパスをやろうということでやられています。この二本だけです。そのほかは、地域住民にこれはこんなになっているんやというふうなお話さえ余りされたことのないような道路状況にあるわけであります。
 それで、申し上げたいわけですけれども、これらについていろいろな状況説明を申し上げてきましたけれども、こういうお話を、これはこんなになってあるんや、将来こんなにしたいんやと──県道だから主要道路であり地域にあっては生活道路としてはまさに幹線道だけれども、県の事情から言うたらなかなかうまいこといかんのやというふうな話は、二年に一回ないし三年に一回ぐらいは地域に入ってそういうお話をしていただいて、将来に向けて協力願えやすいような道路行政の土壌を掘り起こしていくという取り組みがあってもいいのではないかという気がするわけです。
 ここでまとめて申し上げたいわけですけれども、工事を進めようと箇所づけをしたり予算をつけたりしたところだけあれこれということではなくって、それ以外の県道にかかわり国道にかかわるようなところについては、地域住民に全然説明のないまま長年放置するのではなくって、時々そのような事情説明をしていただくことをご提起申し上げたいと思います。
 それと重ねて、今着工されている工事箇所については早急に完成されるように、箇所づけ予算づけも住民が言うようにもう少し延ばしてやれるようにご努力いただくという、この二つだけこの課題について申し上げておきたいと思います。
 ごみ処理の問題であります。これも以前に議会で申し上げました。それだけに、要点だけ申し上げておきましょう。
 ダイオキシン発生が大きな問題とされるところとなって、平成九年に国のダイオキシン類発生防止ガイドラインに基づいて広域化し、一日当たり少なくとも百トン以上、海南・海草・那賀の広域処理施設を共同で建設するという立場からの協議会を設立いたしました。
 平成十一年三月、和歌山県はごみ処理広域化計画を立て、当初の計画を変更され、平成二十年四月稼働予定とされ、その計画に基づいて県下のごみ処理広域化計画を進められることとなっています。県下にはまた、このこととは別に幾つか広域化計画に基づいてそれらが進められようとしていることがあるんでしょうが、それについては自分の──あえて「守備範囲」と言っておきましょう──守備範囲外だから、よそのことについて口出しするというようなことは控えさせてもらって、海南・海草・那賀に及ぶ広域化計画についてのみ申し上げておきたいと思います。
 平成十一年三月、そのような変更をされて、海南市にかかわる地域が大きな問題として、取りかかったわけであります。用地選定の経緯を見れば、五カ所の候補地から平成十二年十月、コンサルタントから井ノ口上ノ段のスポーツ公園周辺がよしとして結果が出され、平成十二年十一月の用地委員会及び協議会で承認・決定されたとのことであります。今日、広域ごみ処理施設建設へ向けて地区住民たちに理解を求めるべく説明会を開いているというところであります。
 ところが、この動きとは別に、ダイオキシン対策は背に腹はかえられないとして各自治体は、例えば海南市は十四億九千八百万円──国が三億七千万円、県が三千万円──をかけて、下津町は九億千七百万円かけて、排ガス高度処理及び灰固形化を十三年度につくり上げているわけであります。そして、ことし十二月一日からダイオキシンの新しい規制が適用されることとなる。これらの事情を勘案するにつけて、以下の諸点についてお考えをお聞きしたいわけであります。
 焼却プラント、リサイクル施設、最終処分場の施設一体について井ノ口上ノ段のスポーツ公園周辺を適地として用地委員会及び協議会が承認されたと言われるところですが、十四年十二月実施の国の新たな規制を既設の管内施設は明確にクリアできるところから、それでもなお三百十五億円をかけて広域処理施設を建設し、各自治体に多大の財政負担をさせるということは検討し直すべきではないか、このような声があちこちにあるわけであります。住民、自治体の利益にかなうものに考え直すべきだというお話であります。これについていかがなものか。
 この計画は、協議会がごみ処理にかかわる当時の状況にあふられて多角的検討に至らないまま用地選定を急ぎ過ぎ、その結果にくくられることのないように、その後の事態の変化に柔軟に対応されたいというのが私の二つ目の質問であり要求であるわけであります。
 三つ目は、貴志川町自身、長期地域づくり計画に基づき町の個性的発展計画を持っておられるけれども、これをさておいて広域ごみ処理場にとってかえさせるということについてはいかがなものか、区民、町民の理解と協力が得られにくいところにあるのではないかと申し上げたいわけであります。県の立場から、広域化計画をこれらの事情とのかかわり合いを見て再考すべきだという立場でご指導されるべきではないかというふうに考えるわけであります。
 野上町や美里町のように、ごみ処理場を独自にお持ちでないような地域にとってみれば、この計画に乗ってその要求が満たされていくという、こういうふうなものも含まれております。これらはこれらとして、事態は事態として対応できるような物の考え方。海南や下津のような、もう既に巨大な投資をしてダイオキシン対策などをクリアできている自治体も巻き込んでやるということについてはいささか問題ではないかと。柔軟な対応を求めてなりません。
 さらに、県立公園や町の自然環境保全区域及び山田川、貴志川等の環境問題とのかかわり合い、県の環境行政との関係はどうなるのかということが問われてならないのではないかということを申し上げて、最後の問題に移りたいと思います。
 これも前の議会で申し上げました。阪和線快速電車の海南駅までの増便の問題であります。
 これについてさきの議会で申し上げましたけれども、その後、海南市当局は、まさに県の立ち働きを支援するかのように、あるいはまた自分とこの町を立派なものに活性化させたい、JR海南駅の乗客をふやしたいという形で、九、十、十一の三カ月間、土、日、祝日の三十日間、「ぶらり海南あるき旅」というイベントを組んで、お客さんをたくさん海南へ引き込もう、藤白神社、鈴木屋敷、川端通り、博物館そしてマリーナといったところをお客さんに見てもらおう、海南市へのお客さん、海南駅の乗降客をふやしたいと並々ならぬ努力をしながら、県がJRに対して急行の増便を願うことについてこういう形でフォローアップしたいと懸命であります。これらの事情などを十分勘案してJRとさらなる交渉を強めて、これの実現のために立ち働いていただきたい、こういうふうなことを要望申し上げて、私の第一回目の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 中山議員ご質問の三点についてお答えいたします。
 生石山のススキ草原につきましては、地域の重要な観光資源であるとともに豊かな生態系を有する貴重な自然景観であるところから、行政のみならず地域住民やボランティア団体など、さまざまな方々がその保全に取り組んでいただいているところです。
 山焼きは、こうしたススキ草原保全への取り組みをさらに推進するために実施されるもので、野上町、金屋町を中心として実務的な検討を行っており、県としても財政面を含め支援することとしております。本年度につきましては、野上町において防火水槽を設置するほか、他地域における山焼きの手法の研究や従事者の研修等を行うとともに、試行的に一千平方メートル程度の小規模な山焼きを実施し、本格実施に向けてのノウハウを蓄積する予定と聞いております。来年度以降につきましては、本年度の試行結果に基づき、安全を十分に確保しながら対象面積を段階的に拡大するなど、より効果的な山焼きの実施に向けて各種の準備を行うこととしております。
 また、人的体制についてでございますが、実施に際しましては野上町、金屋町及び両町消防団を初めとした地域住民の方々が中心になるものと考えられますが、県においてもできる限りの協力を行ってまいりたいと考えているところです。また、生石山の大草原保存会を初めとするボランティア団体や自然環境の保全に興味を有する方々にも広く呼びかけ、何らかの形で山焼きに参加していただきたいと考えておりますので、具体的な方法等につきましては地元町等と協議を行ってまいります。
 次に、野生鳥獣との共生についてでございますが、農作物被害は、議員ご指摘の点も含め、さまざまなものが複合して原因をなしているものと考えております。このような中で、今まで行ってきている被害の防止や有害動物の駆除という施策はもちろんのこと、今後は山間部における動物の生息環境の整備のため、えさとなる実のなる木の植栽や中山間部における有害動物の追い払い、住民への適切なペットの飼い方の啓発など、野生鳥獣に対する総合的な施策が必要だと考え、現在検討しているところでございます。
 次に、交雑猿への取り組みにつきましては、昨年九月十四日の猿保護管理計画の決定を受け、十一月九日に捕獲事業に着手しております。その後のえづけにより、本年六月は山に自然のえさがあってえさ場に来る頻度が少なかったのですが、七月、八月は頻繁にあらわれるようになり、日によっては猿がえづけ場所に十数頭あらわれる状況でございます。また、えづけ場所の周りには猿の通り道ができてきております。
 なお、二カ所あるえづけ場所のうち一カ所はおりの設置場所を確保するための木の伐採がほぼ終了し、もう一カ所も近々伐採を開始する予定でございます。これまで地元で協力していただいている方々や専門家と調整しつつ、えづけ方法等について工夫しながら行ってまいりましたが、今後ともさらに地元の方々や専門家のご意見を十分伺いながら、より効果的に捕獲できるよう努めてまいります。
 最後に、広域ごみ処理計画の見直しについてでございますが、本計画は市町村がお互いに連携・協力し、広域的な観点からごみ処理体制を構築していくための指針として国が示したガイドラインに基づき、平成十一年三月に市町村の意向を踏まえて策定し、平成十二年十二月に一部変更を行ったものであります。
 議員ご指摘の海南・海草・那賀ブロックについては、本年十二月からのダイオキシン類排出基準の規制に対応する必要があることから、広域施設が稼働するまでの緊急対策として既存施設の改造を実施した後、広域施設を整備する計画となっております。
 なお、施設の老朽化等により新基準への対応が不可能な施設があること、より安定的な燃焼管理によるダイオキシン類の削減、余熱利用、リサイクルの推進など、効率性の観点からもごみ処理の広域化は必要であると認識しております。また、施設整備に当たっては地域住民への説明や周辺環境への配慮などについて関係市町村に対する指導を行い、本計画を円滑に進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(宇治田栄蔵君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、生石山ススキ原復元についてのご質問のうち県道野上清水線の生石高原までの整備につきましては、特に交通の支障となる箇所に待避所を設置する等の現道対策を講じております。事業区間の一部につきましては地権者の協力が得られていない箇所もございます。今後、地元関係者のご協力をいただきながら整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、県道整備促進についてのご質問ですが、道路の整備につきましては、ネットワーク上の位置づけや交通量などに着目して優先順位を決めて計画的に整備を進めております。実施に際しましては従来から地元説明会等により事業の目的や必要性を説明しておりますが、用地買収が難航し事業の滞っている箇所につきましては、その状況を十分説明した上で、予算の効率的な執行の観点から地元協力の得られる別の箇所に事業展開してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 農作物被害対策についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、イノシシ類の対策についてでございますが、鳥獣被害の拡大に対応し、平成十三年度に県単独の農作物鳥獣害防止対策事業を創設いたしまして、市町村と連携を図りながら、これまで地域の実態に即した防護さくや電気さくの設置などに努めてきたところでございます。その効果につきましては、市町村から被害が軽減できたとの報告も得ており、今後とも現場からの情報をもとに国などの試験研究機関との連携を図りながら取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、アライグマの被害実態とその対策についてでございますが、平成十三年度の被害金額は、タヌキとの区別がつきにくいことからタヌキの被害金額の中に含めまして約百五十万円となってございます。本年九月時点での聞き取り調査では十九市町村でスイカなどの野菜や果樹で被害があったとの報告を受けておりますが、夜行性でもありその生態が十分解明されていないのが現状でございます。今後、国に対しその解明と防護対策の開発について要望する一方、既存の県単独事業を活用し、電気さくの効果を検証するなど、よりよい防護方法について検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、調査研究機関の設置による恒久対策についてでございますが、被害防止技術の開発を行うためには鳥獣の生態系の研究から対策技術の確立まで一貫した総合的な研究が必要であり、現在、国が中心となり被害対策の研究が進められ、この研究成果などを活用した実証を各県が行ってございます。今後とも地域の実態の把握に努めるとともに、国や他府県の情報収集に努めながら、普及センターや市町村など関係者が一体となって効率的な防除対策を推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番中山 豊君。
○中山 豊君 幾つかご要望を申し上げて終わりたいと思いますけれども。
 そう、生態系にかかわる、こういう農産物への被害対策の問題などと、部長もお答えいただきましたけれども、国が中心となり被害対策の研究が進められている、その結果を活用した実証をしていくということで済ましているここの部分をもう少し、先ほども申し上げましたように、それぞれに関係する部課で総合的、横断的に対応できるような調査研究機関を立ち上げていただきたい。県の職員の中にも、そのことにかかわってかなりの博識を持つ職員もいらっしゃるようです。そういう人たちの総合した力が行政に反映され、県民ニーズにこたえられるような立ち上がりをぜひ知事、お願い申し上げておきます。
 さらに、土木部長のお話の中にありましたように、協力を得られないところは別の箇所へ変えてでも早くやれるようにという、つい聞いていたら当たり前のお話のようですが、よう聞いてみたらいまだかつて聞かされたことのないような、新たな発想で新たな取り組みをしてくださるんだなということを改めて答弁いただきました。協力が得られないところを何年もそのまま動かしがたいものとして放置してその道がしゃんとされない、こういうことはいつまでも置いておくわけにはいかないだろう。このことは、地域住民の道路行政への協力の仕方にも及んでくるんじゃないかと思うから、先ほど土木部長が答弁なさったそのやり方は、かなり道路行政に新しい発想と転換を県民に抱いてもらえるものだとして評価をしておきたいと思います。ぜひやっていただきたいと思います。
 まだ申し上げたいことがたくさんありますが、もう時間がないので終わります。ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十三分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○議長(宇治田栄蔵君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十三番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 ただいま議長から発言を許されましたので、お時間を拝借して、通告に従いまして一般質問を行いたいと存じます。ただ一点だけ、文章の構成の中で通告と若干順序の違う部分もあろうかと存じますけれども、その点についてはご容赦を賜りたいと存じます。
 まず初めに、「産業振興で県勢の発展を」と題してお尋ねをいたします。
 第一に、県産品の販路拡大についてであります。
 皆さんもよくご存じの大手スーパーチェーン、イトーヨーカ堂の本年八月発行の社内報「IYGROUP四季報」第七十六号でございますが、これが実物でございます。この中で、本県の企業ですぐれた技術、ノウハウを有することで知られる株式会社ヤマヨテクスタイルの山下郁夫代表取締役社長とともに、和歌山県商工労働部の溝原聰参事のインタビュー記事が顔写真入りで大きく報じられておりました。これは「日本製品を愛するお客様のために日本各地から商品をお届けします」というキャッチフレーズのもと、同社が展開しているメード・イン・ジャパンキャンペーンの一環として掲載されたものだそうでございます。
 本年四月、県は商工労働部に県産品技術支援担当参事を新設、部局横断型の県産品活性化戦略会議が組織されました。同参事は初の役職であり途方に暮れたそうでございますが、イトーヨーカ堂のメード・イン・ジャパン企画を報じた五十行ほどの小さな囲み記事に目をつけ、同社に連絡をとり、四人の職員とともに本社を訪問したのであります。この前後の経緯は、時事通信社の「官庁速報」でも詳しく報じられておりました。同速報によれば、応対に出た衣料事業部長の日ノ沢章常務は、「地方自治体が直接やってきたのは和歌山県が初めて」と大いに歓迎してくれたそうであります。その後、県産品を持参してプレゼンテーションをするなど売り込みを図り、同社バイヤーの来県にこぎつけました。同社バイヤーとのマッチングには本県内メーカー七社が参加、同バイヤーは「一度に複数のメーカーと会うことができ県庁には感謝している。機会があればまた和歌山を訪問したい」と好反応だったということであります。「官庁速報」等で知り、その後、複数の府県から問い合わせがあったとも聞き及びました。私は、新聞記事に着目をし、勇気を持って大手スーパーの門をたたき、イトーヨーカ堂と県内メーカーとのマッチングを実現させた努力と創意を大いに評価するものであります。
 そこで、木村知事にお尋ねをいたします。
 第一に、このような斬新な創意によるマッチングについての感想。
 第二に、この際、さらに県産品の販路拡大のために組織の強化を図ってはどうかと思いますが、いかがでございましょうか。
 第三に、他のスーパーチェーンやアパレルメーカーなど大手バイヤーへの接触など県産品の販路拡大にどのように取り組んでいかれるのか、商工労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 第四に、このほか農林水産県産品の販路拡大についてどのような取り組みをされているのか、農林水産部長の答弁を求めたいと思います。
 この項目の二つ目、IHS(イノベーション・ホット・スプリングス)構想についてであります。
 同構想が順調に歩み出したことに、私はまず拍手を送りたいと思います。
 そこで、同構想のスタートから今日まで、既に進出した企業等について、また今後の動きについて商工労働部長から報告をしていただきたいと思います。
 ところで、南紀白浜の地には、かつて最盛期には百五十近くの企業、団体の保養所が林立いたしておりました。しかし、近年の不況のあおりを受けて、本年四月の白浜町の調査によりますと、現在も営業中の保養所は五十五カ所と半数以下に激減をしているのであります。特に保養所が集中していた地区などは、文字どおり灯が消えたような寂しさだと聞き及んでおります。IHS構想の推進を図るために、これら閉鎖中あるいは売却希望の保養所を活用しIT関連企業に進出してもらえば一石二鳥の効果が期待できると思うものであります。この点、商工労働部長のお考えを聞かせていただきたい。
 さて、三つ目に、「長谷川章氏のことども」と題してお尋ねをいたします。
 ご存じの方も多いと思いますが、まずは長谷川章氏の来歴について紹介をしたいと思います。長谷川章氏、コプメ企画代表、一九四七年石川県小松市生まれ、職業・マルチクリエーターと言ってもこの人の人物像は想像しにくいと思います。この人のことを象徴的にあらわすエピソードを紹介した方がわかりやすいと思います。一九九八年でしたか、中国国営テレビ局中央電視台(CCTV)が新しいロゴの作成を公募したところ、世界じゅうの映像作家、企業等が参加を表明したそうであります。ところが、長谷川章氏が参加すると伝わると全員撤退した。結局、最終的には長谷川章氏がこのCCTVの新ロゴをつくったわけでありますが、そういうエピソードの持ち主であります。現在、六億人の中国人民が毎日、中央電視台(CCTV)のこのロゴを見ているそうであります。
 これまで同氏が制作した主なものを挙げますと、NHKサンデースポーツ、同じくサタデースポーツのカバータイトル、NHK大河ドラマ「琉球の風」のカバー映像、日本テレビ「特命リサーチ二〇〇X」のオープニングカバーイメージビデオなどがあり、またNHK衛星放送のBSクラッチを考案し、視聴加入者を二百世帯から六百万世帯へと飛躍的に上げた契機をつくった人としても有名であります。これまで制作した映像作品は四千本に上るとのことでございます。同氏は、生まれ育った小松市にスタジオを構え、そこには電通や博報堂といった大手が長谷川氏に会うために頻繁に訪問するそうでございますが、この人のスタジオには電通や博報堂さえ持っていないようなデジタル映像編集機などのコンピューター機器を備えているということであります。業界では「小松もうで」という言葉が定着するほどの映像、アートクリエーションの世界の巨人であります。
 ところで、私の友人のS氏がコンピューター関連の仕事をしており、この長谷川氏と親交があり、ぜひとも和歌山に呼ぼうということになりました。そして、何度か来県をしていただきました。一度は、知事室で木村知事とも会っていただいたのであります。同氏の趣味は、聞くところによると釣りだそうであります。トローリングに興味を持っているとも伝え聞いております。同氏のスタジオは、小松市の郊外、背後に北陸の雄峰白山を控え、眼前に木場潟の静かな湖面が広がる土地にあり、自然豊かな土地でこそ豊かな発想と斬新な知恵もわいてくるというものでございます。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 小松市の郊外も結構ですけれども、太平洋の大海原が目の前に広がる南紀の地こそ、もっと豊かな発想と斬新な知恵も生まれると私は考えます。ぜひとも長谷川章氏を和歌山に招聘し、第二のスタジオを立地してもらおうではありませんか、知事のお考えをぜひとも聞かせていただきたいと思います。
 この項の三つ目、コスモパーク加太へのカゴメの進出計画についてお尋ねをいたします。
 先月、新聞各紙に、県と食品大手カゴメが連携してコスモパーク加太にトマト栽培の巨大ハイテク温室をつくり、同地区を食と緑の工場特区とする構想を発表し、話題を呼びました。いわゆるバブル経済の崩壊と長引く不況で五百億円を超える借金と多額の利払いに苦しむコスモパーク加太を抱える県としては久々の朗報であると思いますが、この実現までにまだまだ多くの障害が横たわっていると思います。
 そこで、一、カゴメ進出実現に向けて隘路、障害となるものはないか。
 二、食と緑の工場特区とは何なのか。
 三、コスモパーク加太に係る土地開発公社の経営状況について。
 以上三点、企画部長の簡潔にして要を得た答弁を求めたいと思います。
 この項目の最後、県内企業の支援のために新たな制度融資を設けてはどうかという点でございます。
 長引く不況の中で、大多数の中小零細企業の皆さんは、今、涙ぐましい努力を重ね、懸命に頑張っておられます。これら企業を応援するために、この際新たな制度融資をぜひとも実施していただきたい。資金面で少し後押ししてやれば頑張れる企業がたくさんございます。このことについて、商工労働部長の前向きの答弁を期待いたします。
 次に、関西国際空港を取り巻く諸問題に移りたいと思います。
 去る八月十六日に開かれた国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会の空港整備部会に関する報道や論説が八月十六日夕刊から始まって約一週間、にぎやかに紙面を飾りました。ご記憶の方もあろうかと存じます。
 席上、成田、関西、中部の三国際空港を上下分離方式で民営化しようとする国土交通省の提案に対し、民間選出の委員数人から異論が出されたことが大きな見出しつきで報じられておりました。複数の異論はいずれも首都圏在住の委員の口から出たものでございますが、日本一国全体の観点に立った議論、国益という観点に立った意見でないことはもちろん、これまで我が国政府がとってきた一貫性のない航空行政、ポリシーのない航空行政にこそ問題の淵源があることに気づかない、極めて的外れの議論であると断ぜざるを得ないのであります。まさに、上下分離イコール関空救済というミクロ的な、近視眼的な、現状だけを見て評論する発言は将来に大きな禍根を残すという点にかんがみ、私は残念でならないのでございます。
 また、この空港整備部会を報じた新聞各紙の論調も、「「救済」批判、関空に課題」八月十六日付日経夕刊、「上下分離に異論」八月十七日付朝日、「上下分離に「関空救済」批判」八月十七日付日経、「関空債務、成田肩代わりに批判」八月十七日付日経など、センセーショナルな見出しをつけていました。特に日本経済新聞の見出しが突出してセンセーショナルで、記事を書いた記者、見出しをつけた整理部デスクら、社を挙げて何か思惑があるのではないかと勘ぐりたくなるほどの異常さであったと言わざるを得ません。あたかも、上下分離は関空救済のための愚策であるという声が圧倒的であるかのような報道でしたが、果たしてそうでありましょうか。
 この審議会のことを取り上げた記事の中にこういう一文もあります。朝日新聞八月二十三日付二面の社説に「韓国、中国など近隣諸国は大規模な国際空港建設に力を入れている。コスト面で魅力がない日本の国際空港は、乗り継ぎ客を海外空港に奪われかねない。そうなれば、三空港共倒れの恐れさえある」と。東アジアのハブ空港の地位をめぐって、我が国の関西空港や成田の当面のライバルは韓国の仁川国際空港と中国・香港にあるチェックラップコック空港でございますが、中国の他の国際空港も決して侮れない存在であります。例えば、韓国は仁川国際空港を建設するに当たり、わざわざ航空局法という法律を改正、強化して、同空港の建設は国の威信と責任において行うことを明確にし、現に現在まで取り組んできております。中国にしてもしかりであります。
 一方の我が国はどうか。我が国の空港整備法では、その第三条で「第一種空港は、国土交通大臣──当時は運輸大臣でございます──が設置し、及び管理する」と規定してあったものが、成田、関西両空港の建設に当たりまして、同条第二項で「前項の規定にかかわらず、新東京国際空港は新東京国際空港公団が、関西国際空港は関西国際空港株式会社がそれぞれ設置し、及び管理する」と改悪、弱体化して空港建設に当たったのであります。ここには二つの大きな問題が横たわっていると思います。一つは、我が国の第一種空港は、新東京国際、関西国際、東京国際、大阪国際、それに中部国際の五つでございますが、日本の空の玄関とも言うべき国際線の離発着が行われている国際空港は、現在、新東京国際いわゆる成田と関西国際の二つであります。東京国際と大阪国際、羽田と伊丹は名前に「国際」はついておりますが国内空港であります。今二十六カ所ある第二種空港も含め、すべて設置者は国土交通大臣であり、すなわち国の責任において建設してまいりました。しかも、その中にはとても国の基幹空港とは言いがたい、前にも申し上げましたが、八尾空港、稚内空港、北九州空港、山口宇部空港なども含まれているのであります。八尾空港などは定期便が飛んでいるわけでもありません。今は専らセスナの駐機場になっておりますけれども、そういう空港でさえ国土交通大臣の設置なのであります。そして伊丹空港に至っては、その騒音問題から、今日まで防音工事や移転補償などに八千億円になんなんとする巨額の金が注ぎ込まれてまいりました。第二種空港なら九つ、南紀白浜空港のような第三種空港なら十六個もつくれる莫大な費用が国民の税金で投入されてきたのであります。しかも、この八千億円は新たに何かを生む投資的経費ではありません。
 そして第二の問題、アジアの拠点空港になるべき関西、成田の国際空港に限って国は責任の一部を放棄し、地方自治体や民間に責任を覆いかぶせてしまいました。当然、関西国際空港株式会社も成田空港公団も、その立場、責任上、経営という観点から、コスト償還のために空港使用料や着陸料、駐機料などにはね返らさざるを得ません。成田、関西が、これらの料金で世界でも一、二の高い料金を設定せざるを得ないのであります。利用者や航空各社から苦情が出るのは当然の結果であろうと思います。片や、国の威信と責任にかけて空港を建設し、料金は低く抑える、一方、国と地方自治体、民間の三者で構成する特殊法人が空港をつくり、巨額の建設費のコスト償還のため利用料金を高く設定せざるを得ない。これでは、国際競争に勝てというのが無理であると言うべきはありませんか。さすがに国土交通省は、これまでの航空行政を反省し、国の空港立地政策が原因で生じたコストのアンバランスを解消させないと公平な競争ができないとの考えに立って政策の練り直しを考え始めたこと──これは八月十七日付朝日新聞で報道されておりました。私が十数年前から言い続けてきたことで遅きに失した感は否めませんが、中国のことわざにもあるごとく、「過ちては則ち改むるにはばかることなかれ」であります。国土交通省は、国土の均衡ある発展という観点から、運輸省時代も含め、過去の航空行政の過ちを率直に認め、速やかに本来のあるべき航空行政を思い起こせと強く申し上げておきたいと思います。
 以上の観点に立ち、木村知事にお尋ねをいたします。
 この空港整備部会の一部委員やマスコミの一部が、本来国が設置すべき国際空港の建設に当たり、その責任を放棄して地方自治体や民間に責任の一部を転嫁し負担を強いたことから累積債務が膨らんだため、それへの反省と打開策として上下分離案を提案した国に対して、上下分離案は関空救済でありけしからんとする短絡的発言、報道は、木を見て森を見ない極めて近視眼的発言でありいかがなものかと考えますが、知事の率直なご意見を聞かせていただきたいと思います。
 次に、関西国際空港が抱える課題の一つ、航空需要の伸びについてであります。
 他にも需要を喚起する方策はあろうかと存じますが、ここでは取り上げません。まず何よりも、当初の予定どおり大阪空港は廃止すべきであり、神戸沖空港は白紙に戻すべきであると思います。このことについて、企画部長の答弁をいただきたい。
 第三に、大阪空港の廃止に当たっては、地元十一市協や地元財界などの相当な抵抗が予想されます。それらの多くの声は、空港が近くになくなることへの不便、不安とともに、その底流には、空港が廃止となると文字どおりぽっかりと穴があいたような形となり、この地域が寂れることの不安、経済の地盤沈下に対する危機感があると思われます。
 そこで、この欠陥空港の大阪空港の廃止と十一市協を初めとする地元がのむような提案、一石二鳥の案を、前にも一度申し上げましたが再度言わせていただきたいと思います。大阪空港を廃止して、その跡地に首都機能を移転させることであります。ただし、その条件として、一、関西国際空港の全体構想の実現を前倒しして促進し、アジアのハブ空港としての地位の確立を図る、二、大阪湾ベイエリア構想などの実現による関西全体の交通網の整備促進を図る、三、テクノスーパーライナーの実現を見据え、関西全体の海の玄関として和歌山下津港をTSL基地と位置づけ、関連施設の整備や交通アクセスの整備を促進することを関西全体の取り組むべきテーマとして認知されるよう、今後開催されるであろういろんな会議の場でぜひ知事の口から提言をしていただきたい、あわせて各方面にも働きかけていただきたいと思うものであります。
 大阪空港は三百十七ヘクタール、周辺整備機構が所有している空港周辺の移転跡地八十四ヘクタールを合わせると計四百一ヘクタールであります。一方、私の試算によれば、東京永田町、霞ケ関に分布する首都機能は、国会議事堂や衆参両院議員会館、首相官邸、国立国会図書館を初め財務省、外務省、法務省など各省庁はもちろん、最高裁判所などまで含めて、ほぼ百ヘクタールの中におさまっております。国会等移転調査会の報告の中でも、首都機能の移転で発生する跡地を関連施設等も含めて最大二百十ヘクタールとしているのであります。
 ところで、同調査会は移転先候補地の選定基準として、一、東京からの距離が鉄道で一、二時間のおおむね六十キロメートルから三百キロメートル程度の範囲であること、二、広大な用地の迅速かつ円滑な取得が可能な地域で、第一段階だけで約二千ヘクタールの土地、三、政令指定都市級の大都市からは十分な距離を保つなどの東京中心の発想や実現困難な選定基準も挙げておりますが、このほかに、一、国内各地からのアクセスに極めて大きな不均衡が生じない場所、二、欧米主要各国の元首専用機等が発着可能な滑走路を有し、四十分程度以内で到達可能な地域、三、災害により都市活動に著しい支障を生じないよう十分配慮、四、極端に標高の高い山岳部や急峻な地形の多い場所は避けるといった条件を挙げているのであります。
 大阪空港跡地は、これら後の四つの選定基準に照らしてみてもぴったりであり、我が国の場合、巨大なプロジェクトを実施する場合、必ずネックとなる用地買収や移転補償といった難問題を簡単にクリアできる最適地であると私は確信をいたします。
 ところで、大阪空港はなぜ廃止すべきなのか、それは来る二十一世紀の航空需要には到底対応できない欠陥空港であるからであります。すなわち、一、夜間の離発着が不可能なこと、二、一日の発着枠に厳しい制限があること、三、将来の需要増に対応すべき新滑走路やターミナルの拡張が無理であること、四、騒音問題等についての周辺地域及び住民の根強い抵抗があること等々の理由により大都市圏関西の空の表玄関とはなり得ないからであります。それであれば、他の用途への転換が得策ではありませんか。ひいては、大阪空港廃止を声高に叫びながらも、同空港による経済効果、恩恵を受け、騒音問題などをてこに国から補償費を引き出すことに躍起となってきた騒音公害訴訟団や十一市協、地元経済団体をも満足させることになると私は思います。
 知事、私のこの提言について、ぜひとも機会あるたびにあらゆる場所で提案していただき、働きかけをしていただきたいのでありますが、この場で知事のお考えを聞かせていただきたいと申し上げたいところでありますけれども、事が事だけに強く要望することにとどめておきたいと思います。
 三点目、教育現場の憂うべき現状についてであります。
 今月五日、県教育委員会のまとめた小・中・高校生による暴力行為の発生件数が公表され、マスコミ等でも報じられました。これによりますと、小・中・高の総数ではほぼ横ばいであるのに対し、小学生による暴力行為が一昨年は十六件であったのに対し、十三年度では三十二件とちょうど倍増していることが明らかになりました。県下で分校も含め三百四十校、児童数六万一千七百八十六人の中でたった三十二件の暴力行為であり、ごく限られた一部の現象と片づけてしまっていい問題ではないと私は考えます。なぜなら、本来、小学生と暴力行為は無縁であるはずであります。決して起こってはならない事象であると思うからであります。教育長、この現状についてどう考えておられるのか、率直な意見を聞かせていただきたい。
 二つ目に、この県教育委員会のまとめが公表されたことを報じた九月六日付読売新聞によれば、県教委は「対応は各校に任せている」と新聞記事の見出しにはなっておりました。本当に県教委はそう思っておられるのでしょうか。もしそう思っているとすれば大問題でありますが、県教委の真意と今後の対応も含めて語っていただければ幸いでございます。
 次に、小・中・高校生等の昨今のマナーの低下と学校におけるマナー教育についてであります。
 私は、二年前に所用があって県立田辺商業高校を訪ねたことがあります。一歩校内に足を踏み入れますと、校舎内はもちろん、校庭の隅々までちり一つ落ちておらず、掃除が大変行き届いていることが一目見てわかりました。その途端、何か校内の空気までがすがすがしく感じられたのであります。このことは今に至るまでよき印象として私の心に残っていることを、この場で皆さんにぜひとも申し上げておきたいと思います。もちろん、校長先生にもお会いしました。用事が済むなり、私は聞かずにはおれませんでした。「なぜ、校内の隅々までこんなに美しいのですか」と。校長先生は得意げになるでもなく、淡々と同校の長年の取り組みを簡潔に話してくださいました。同様の地道な活動は他の小・中・高校でもきっと行われていると私は信じます。ともすれば、近年、若者たちのマナーの悪さや社会常識に欠けた言動、傍若無人ぶりが目につく時世であるだけに、田辺商業高校は際立っていたのでありましょうか。田辺商業高校で三年間学んだ生徒たちは、きっとよきマナーを身につけ、よき社会人になっていると私は信じます。
 学校におけるマナー教育の取り組みはどうなのか、また県教育委員会として日ごろどのような指導を行っておられるのか、教育長の答弁を求めるものでございます。
 最後に、身体障害者補助犬法の施行に当たり要望を申し上げます。
 身体障害者補助犬とは、皆さんもよくご存じの盲導犬、聴覚に障害のある人の耳がわりをする聴導犬、体の不自由な人を助ける介助犬の総称でございます。
 同法は主に、一、公共施設や公共機関、不特定多数の人が利用する民間施設などは原則として補助犬の同伴を拒否できない、二、職場の事業主や賃貸住宅の家主は補助犬の受け入れに努力する、三、補助犬の使用者は犬の衛生状態の確保や十分な管理に努めることなどが盛り込まれ、さらには質の高い補助犬の育成を図るために必要な措置を講じることなどがうたわれているのであります。同法の施行により、障害者の人たちの日常生活を助け、より積極的に、より自由に社会参加する道が一つ開かれたこととなり、まことに喜ばしい限りであります。なお、同法につきましては、私たち公明党が国、地方自治体の議員が一体となって、その実現を目指して長年運動を展開してまいりました。このたび、自民党、保守党の与党各党などのご協力をいただいて成立にこぎつけたことをご報告申し上げておきたいと思います。
 ところで、同法の施行により、公共施設においては本年十月から、民間施設については明年十月から補助犬の受け入れがスタートいたします。あたかも、本年十一月二十三、二十四の両日、和歌山ビッグ愛において第九回全国盲導犬使用者の会総会が開催され、日本全国から多くの視覚障害者の皆さんと多くの盲導犬が来県します。この受け入れに当たりましては、トラブルや行き違いがないよう万全の体制をとることはもちろん、これを契機に県としては、身体障害者補助犬の取り組みに関しては、補助犬の訓練、育成も含め、我が国トップレベルにあると誇れるような積極的かつ心の行き届いた施策を講じられますよう強く要望いたすものでございます。
 以上で、第一回目の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず初めの県産品の販路拡大とイトーヨーカ堂の関係に関するご質問でございますが、私はこのことについて非常に力を入れております。どういうことかと言いますと、以前から職員がアンテナを高くして、和歌山県のためになるようないい情報があったら思い切りそれに対応していくべしということを言っておりましたことの一つの大きなサンプルがこの件だと考えているわけでございます。
 先ほどのご質問にもありましたように、イトーヨーカ堂がメード・イン・ジャパン、日本の国産品を大事にしようということのキャンペーンの中で、和歌山県のものが一つ、ポロシャツだったと思いますけれども取り上げられていたわけですが、これにすぐに気がついて飛び込みで──営業の人だったらよく飛び込みということがあるんですけれども、公務員はなかなか飛び込みでいろんな活動をするということはないんですが、飛び込みでイトーヨーカ堂へ乗り込んでいって話をしたことが相手の好感を得て、その結果として七月に既に商談会が行われ、さらに秋には物産フェアも行われるような方向になってきている。そして、私が以前から東京でアンテナショップをつくろうということでいろいろ施策を進めてきていたんですけれども、家賃とかの非常に難しい問題もあるんですが、イトーヨーカ堂とかこういうふうなところと組んで、和歌山県の物産を首都圏でソフトな形で売り出していくような仕組みができてきたら、これはまた新しい形の和歌山型のアンテナショップというふうなものにもなる可能性があるということで大いに期待しているところでございます。
 いずれにせよ、こういうふうなどこにでもありそうで、しかもだれもなかなかすぐに体を動かさないということについて、すぐ動かした結果がこういうことにつながってきているということの一番いい例だと思っております。私は、和歌山県の地場の産品のよさというものを全国に発信していくことからしか和歌山県の勢いは出てこないと考えておりますので、この組織強化の問題もありましたけれども、とにかくこの分野は非常に重要な分野と考えておりますので、そういう方向で今後も対応していきたいというふうに考えております。
 それから、長谷川さんにつきましては、私も去年、ご紹介によってお会いしました。私はこういう分野はそんなに詳しくないんですけれども、業界では大巨人ということで、しかも今の時代に非常にマッチしているのが、東京に居を定めているではなくて、石川県の小松市という地方に居を定めてこういう活動をされているということで、非常にこれは時宜にかなったライフスタイルだというふうに考えております。この方がIHS構想を進めている──最近新しい企業なんかも来出して大分感じが出てきたんですけれども、この田辺、白浜地域へ来ていただいて、趣味とあわせていろいろ活動していただけたら非常にありがたいという気持ちも持っておりますので、今後どんな形で接触していけばいいか、いろんなことを含めて検討してまいりたいと考えております。
 それから、第三点目の関空の上下分離についていろいろ批判的な意見が出た。私は、このことについては非常に心を痛めております。というのは、私自身は、今の高速道路の問題もそうですけれども、こういうふうな国策として日本の国がどういうふうになっていこうかというふうな高速道路とか国際空港とかの問題について、収支だけで物を考えるというふうなことは、これは日本国内だけならばいいんですけれども、この大競争時代によその国と対抗していろんなことをやっていかなければならない時代には、本当に陳腐な議論になるわけです。そういうことで、本来、負債の借金を返すのを三つの空港を一緒にしてやるということは、確かにそれは関空が楽になることは楽になるのかもしれないけれども、そんな関空が楽になるからとか成田がどうだとかというふうな発想ではなくて、本来、今着陸料が九十万とかということで世界一高い。これが競争力を落としているわけだから、これを三十万にするぐらいの方策を考えるべきであって、何も成田が悪いとか関空がどうだとか、こういうふうな小さな子供のけんかというような方向へ持っていくべきものじゃないと思うんです。
 ただ、そういう中でもこの上下分離は一つの方策ですし、さらには僕がさっき言ったように九十万を三十万に落とすような方策を考えていかないといかんと思っていますけれども、いずれにせよ、これが関空救済だとか、そういうふうな矮小化された議論になっていることを非常に残念に思いますし、私はこれからも関空が本当の意味のハブ空港になっていくような方策というものを地方からもどんどん発信していかなければならないと思っております。
 それから、大阪空港が中止した場合の後の話、これは今、首都機能移転については三カ所決めていろいろやられているんで、私がここがいいと言うとちょっと問題があるかと思うんですけれども、発想としては、やはり首都機能の移転とか学園都市とかいうふうなもの、今まで日本でもやられてきたし世界でもやられてきたんだけれども、余り人間臭さのないところへ移ってもそうすぐに成功した例は僕はないというふうに考えているんで、この四百ヘクタールぐらいの土地にうまく移ってくるようなことがあれば非常にいいことだと思いますが、今三カ所でやってはるときに、また四カ所目を僕がつけ加えたというというとちょっとぐあいが悪いと思いますので、またいろんな機会にこういう考え方があるということを披瀝していきたいと、このように思っております。
 以上でございます。
  〔「知事、組織強化」と呼ぶ者あり〕
○知事(木村良樹君) 組織強化も前向きに考えてまいりたいと思います。
○議長(宇治田栄蔵君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 県産品の販路拡大に関して、他のスーパーチェーンやアパレルメーカーなど大手バイヤーへの接触についてでありますが、現在は、イトーヨーカ堂を中心に首都圏をターゲットとして事業展開をしておりますが、今後、他地域への展開や他の方法による県産品のPRも必要であると考えており、企業や生産者のニーズに合わせ、他の大手スーパーやマスメディアなど各方面へ働きかけを行い、販路拡大を図ってまいりたいと考えております。
 次にIHS構想についてでありますが、既に進出した企業につきましては、昨年六月に東京に本社のあるクオリティ株式会社が田辺市に新たにエスアールアイを設立し、本年三月、白浜町内の遊休保養所を活用し、活動拠点の開発センターを増設したところであります。現在、新規の地元雇用者数は二十三名で、当初の予定を大きく上回っております。また本年八月、県や白浜町と進出協定を締結した株式会社アスクソフトクリエイトについては、白浜町内に和歌山開発センターを開設し、来年四月には操業開始の予定であります。同社は三年間で十五名を採用する予定で、先日、田辺市で開催されましたUターンフェアにも募集等を始めるなど着実な事業展開が図られております。
 次に閉鎖中の保養所の活用についてでありますが、これらの施設を情報通信関連企業の開発部門のオフィスとして活用していただけるよう、各物件のリフォーム調査を行った上で活用例を提案するという、全国的にもユニークな誘致活動を展開しているところであります。イノベーション・ホット・スプリングスは今お湯が沸き始めたところであり、これからの大きな可能性に向けて全力投球で取り組んでおります。
 次に県内企業の支援のために新たな融資をでありますが、長期にわたる不況の中で、県といたしましては、これまでも中小企業の資金ニーズに応じ、県制度融資を種々工夫してきたところでございます。しかし、議員からもご提案がありましたが、昨今の厳しい金融情勢の中、中小企業に対する資金支援を一層充実することは重要なことであると考えております。このため、中小企業の資金調達の多様化と円滑化を図るため、政府のデフレ対策に位置づけられている売り掛け債権担保融資保証制度を県制度融資への早期導入に向け準備をしてまいります。今後も、県内中小企業を支援するため金融対策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 県産品の販路拡大についてのご質問のうち、農林水産県産品の販路拡大の取り組みについてでございますが、県として県産農林水産物の販路拡大に積極的に取り組む必要があると考えてございまして、その一環として、本年五月に東京で紀州ほんまもん物産展を開催し、十一月には紀伊国屋文左衛門にちなんだ消費拡大イベント、果樹ある王国わかやまグルメピアを実施するなど、大消費地での消費拡大と和歌山ファンの獲得に向け取り組むこととしてございます。
 また紀州材の販路拡大につきましては、首都圏での展示販売や紀州材の魅力を県内外へ発信するアドバイザーを設置するとともに、紀州材をPRし、農産物の直売所としても活用できる木の薫る店を設置することとしてございます。さらに、地域の水産資源を活用した海洋モデル事業の実施や量販店を対象とした農林水産物の販路拡大などにも積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、コスモパーク加太へのカゴメ株式会社進出に関連する三点のご質問についてお答えを申し上げます。
 コスモパーク加太へのカゴメの進出計画は、加太の恵まれた気温あるいは日射量などの気象、気候条件を生かし、広大な用地に二十ヘクタールのハイテク温室を建設し、生鮮トマトの養液栽培を行うというものでございまして、これが実現すれば、地元での雇用の確保などを通じて地域経済を活性化させるものと考えております。
 去る、七月三十日に食と緑の工場特区構想について発表し、八月二十八日には和歌山県、和歌山市、和歌山県土地開発公社、カゴメ株式会社の四者による第一回研究会を開催し、安全で安心できる食材の提供、環境への負荷を与えないゼロエミッション計画やコージェネレーションなどエネルギーの高度利用などを協議するとともに、コスモパーク加太へのトマト菜園実現に向けての検討を行っているところでございます。計画実現への課題、隘路といたしましては、上下水道、工業用水などのインフラ整備のほか、都市計画法上の取り扱いなどがございます。
 次に特区構想についてでございますが、大阪圏に近接し、広大な土地を有するコスモパーク加太の農業生産的利活用を進める一環として食と緑の工場特区構想を計画したものでございます。
 現在、国においては、内閣官房において構造改革特区の法制化等に向け取り組んでいるところでございまして、八月には和歌山県における構造改革特区として国に対し緑の経済特区を提案したところでございます。その内容は、定住促進、交流促進、起業促進の三タイプのプロジェクトから構成してございまして、うち起業促進タイプとして加太地域における食と緑の工場特区構想を国に強く要請しているところでございます。
 次に、コスモパーク加太に係る土地開発公社の経営状況についてでございますが、加太開発につきましては、関空への土取り跡地を利用し、民間活力も生かし、町づくりを推進しようとした事業でありますが、バブル崩壊という日本経済の大変動により土地需要が低迷し、地価下落が長期化する中、昨年度、土地区画整理という一括整備について見直しを行うとともに、厳しい経営状況にある県土地開発公社につきましては、経営スリム化方針を策定し、人員の大幅削減、経費節減等、経営改善に向け種々の取り組みを行ってございます。
 コスモパーク加太に係る借入金につきましては、償還期限が今年度末に参りますが、公社経営の現状から一括返済は困難であり、金融機関に対しましては借りかえをお願いしているところでございまして、県としても借りかえができますよう公社を支援するとともに、引き続き適切な運営を指導してまいります。
 次に関西国際空港に関連して、大阪空港の廃止と神戸空港の白紙撤回をとのご質問についてお答えを申し上げます。
 伊丹空港が関西三空港の中で果たすべき役割につきましては、関西国際空港建設に至った経緯ですとか、あるいは現に巨額の環境対策費が投入されているという現状にかんがみ、関空二期工事が計画どおり完成し、当初の航空需要を十分賄える段階にあっては、そのあり方が議論の対象になるものと考えてございます。
 神戸空港につきましても、中間取りまとめの中で、神戸空港は百五十万都市神戸市及びその周辺の国内航空需要に対応する地方空港としての役割を有することとなるとの位置づけがなされており、関西三空港がそれぞれの役割分担により、今後増大が予測される関西圏の航空需要に対応していくとの考え方が示されてございます。
 今後、関西空港が国際拠点空港としての機能を十分発揮できるようになった段階におきましては、オール関西として関西三空港のあり方について議論していくことが必要になってまいると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(宇治田栄蔵君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題についてお答えいたします。
 本県における児童生徒の暴力行為は、お話のありましたように、小学校では教室のガラス等を破壊する器物損壊を中心に、前年度に比べて十六件増加いたしました。一方、中学校では十八件の減少となっております。しかし近年、粗暴化、広域化する傾向が見られ、憂慮すべき状況にあると受けとめております。こうした問題行動に対応するため、生徒指導上の課題の大きい学校に教員を加配するとともに、スクールカウンセラーや生活相談員を配置し、市町村教育委員会とともに指導の充実に努めているところであります。また、学校や警察、児童相談所などが相互に連携して取り組むことが極めて大切であることから、サポートチーム等地域支援システム事業などを三つの地域で実施し、ネットワークづくりに取り組んでおります。
 次に、社会生活を送る上での基本的なルールやマナーにつきましては、本来、幼いころから家庭や地域の中でしっかりと身につけさせていくべきものでありますが、学校においても知識や技能を教えるだけではなく、ルールを守る心や思いやりの心などをはぐくんでいくことが大切であると考えております。こうしたことから、学校周辺の清掃や公共施設の花壇の手入れなどの奉仕活動、福祉施設等での実習や交流、ボランティア活動などに取り組んでおります。また、このほど服装等の身だしなみや携帯電話、登下校時の自転車、電車の乗車マナーについて啓発リーフレットを作成し、学校での指導に活用するとともに、すべての高校生と保護者に配布したところであります。今後とも、あらゆる教育活動を通じて人間としての基本的な倫理観をしっかりと身につけさせ、社会性や豊かな心をはぐくむ教育に努めてまいります。
○議長(宇治田栄蔵君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番森 正樹君。
○森 正樹君 二、三点申し上げます。
 まず県産品の販路拡大についてでございますが、県産品活性化戦略会議の組織強化をということを項目として申し上げておりました。壇上をおり際に知事、「やります」とおっしゃったんで、必ず組織強化していただけるものと私は確信をしております。ひとつ、ぜひとも和歌山県経済の活性化のためにそういう取り組みをしていただきたい。それが一点。
 それから、関空のことに関して申し上げたいんですが、日本人というのは本当に付和雷同性があって、一人が声高に叫び出すと、みんなそれにそうだそうだと雷同する傾向があると言われております。この交通政策審議会の委員の名簿が私の手元にあるんですが、二十八名中──これは恐らくほとんど東京在住の人でしょうね。一人、八戸工業大学の教授という人がいらっしゃいますけれども。ただ、僕の友人で和歌山に住んでいて八戸工業大学の講師をしている人もおりますから、あながちに言えませんけれども、恐らくこの人は向こうの方だと思います。それ以外はほとんど全部東京です。一体、国土交通省は何を考えているのか。日本全体の航空行政についてどうするか、あるいは交通問題についてどうするかということを審議する会議であるのに、東京の人間ばかり集めて──実は、この中に東大の教授、助教授が七人も入っているんですよ。東大の教授がそんなにいいものかと私は思うんですけれども。何でこういう委員構成になるのか、私は不思議で仕方がないんです。これでは、私たち地方の声、本当に血の叫びというのは届かない。マスコミの報道では、審議会というのは飾り物みたいなことを一部で言っていますけれども、そうではなくて、そこで反映された意見というのはある程度答申の中に盛り込まれていきますし、政策として取り上げられることもあるでしょうし、この委員構成は何とも理解しがたいわけであります。
 そういう意味で、知事もおっしゃっていただいたとおり、関西国際空港の完全なハブ空港としてのこれからの取り組みというのは今が正念場だと思いますし、我々も尾崎関西国際空港対策特別委員長を筆頭に体を張って頑張りますので、県も知事を先頭に体を張って取り組んでいただきたい、そのように申し上げておきたいと思います。
 最後に、実は県産品技術支援担当参事が注目した記事というのはこれなんですよ、これは拡大してあるんですけれども、日経新聞のたった五十行の本当に小さな囲み記事です。これ、普通だと見逃してしまうことも大いにあり得るんです。これに着目をして、そして直接自分から門をたたいて大企業に乗り込んだという、私はその勇気に本当に敬意を表したいし、ここのひな壇におられる部局長の皆さんを含めて、幹部の皆さんに、ぜひとも県職員はそういう視点を持っていただきたいと。前に私、建設委員会で「県職員は全部笑ゥせぇるすまんになれ」と申し上げました。部長、覚えていますよね。そういうふうに言いましたけれども、そのぐらいの心意気、サービス業であると。しかも、和歌山県のいいところを全国にいっぱい売り込んでいくんだ、発信していくんだと、そういう視点をぜひ持っていただきたい。
 私は、日ごろ余り人を褒めたりはしない男でございますが、この際はこの参事の努力を本当に評価したいし、そういう組織をつくった知事の取り組みも評価したいと思います。めったに私は人を褒めませんけれども、そういうふうに申し上げておきたいと思います。ぜひとも、今後も和歌山県産業の発展のために頑張っていただきたいと申し上げて、以上、すべて要望であります。
○議長(宇治田栄蔵君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十五分散会

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