平成14年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(金田 眞議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので一般質問を始めます。
 最初の、同和行政の「負の遺産」についてです。
 世の中は大変な不況です。先日、商売をなさっている方々と懇談する機会があり、話を聞きました。仕事がない、売り上げが半分や三分の一は日常的で、少しぐらい体調が悪くても我慢して病院に行かないから、行ったときには即入院とか手おくれという事態がふえているそうです。自殺も珍しいことではなくなり、不景気だからと店を閉める人や商売をやめれる人はまだましで、やめたくてもやめることができない。やめたら破産して住む家もなくなるという厳しい現状をお聞きしました。だれもが景気の回復を願い、まじめに働けば報われる政治を望んでおり、こんなときだからこそ中小企業の経営と暮らしを守る立場から新たな融資制度をつくるなどの対策が必要です。苦しい中でも、少しでも借金を返済している方や返済する意思のある方々には行政は温かい手を差し伸べてほしいと痛感しました。「借りたものは返す」、この当たり前の約束を守るために一生懸命頑張っている人はたくさんいます。だからこそ、中小企業高度化資金の焦げつきについて納得できる説明を聞きたいわけです。
 高度化資金については、以前から県議会の決算特別委員会で取り上げられており、私も二月議会で同和特別措置法の終了とあわせ、同和行政の負の遺産である中小企業高度化資金、住宅新築資金、進学奨学金について質問しました。
 高度化資金は、十二年度末で五十四組合に三百一億円貸し付けられ、そのうちの三十一組合が七十四億円滞納しています。その三十一組合のうち二十四組合が同和対策で六十七億円滞納しており、延滞元金の九割を占めています。今回質問するに当たって、十三年度末の見込みの数字を見て驚きました。滞納している組合が三十一組合から三十三組合にふえており、滞納額も七十四億円から百七億円へと三十三億円もふえています。よくなるどころか悪くなっています。さらに、今後もふえる見込みです。これでは、不況だからだけでは説明はつきません。
 さて、この滞納している三十三組合の十三年度末の返済率は三三・七%で、三分の一しか返されていません。これらはほとんどが無利子ですから、借りた元金に対して今までに返された合計の金額です。中には、何年も前に少し返したが、その後一円も返していない組合もあります。また、借りたお金の一〇%も返していない組合もあります。具体的に紹介しますと、十六億六百万円借り、返したのは一千四百三万円、返済率〇・八七%、二十三億九千六百万円借り、返したのは二千百七十五万円、返済率〇・九一%で倒産、二億五千四百万円借り、返したのは六百万円、返済率二・三六%で倒産、三億五千七百万円借り、返したのは一千二百五十万円、返済率三・五%で倒産、四億七千二百万円借り、返したのは五百四十七万円、返済率三・〇一%、六億二百万円借り、返したのは四千六百五十万円、返済率七・七二%、三億一千二百万円借り、返したのは二千六百二十万円、返済率八・三九%です。
 事業計画の甘さからか、返済の据置期間が過ぎてすぐに経営が赤字になり、当初から返済が滞っている組合もあります。借金を残して倒産した組合の場合、裁判所で担保の土地などを競売しても、担保の価値以上にお金を貸しているためか、貸したお金六億八千万円に対し、競売の分も含めて返ってきたのは一億九千万円、結局四億九千万円が残り、中小企業総合事業団は既に三億三千万円を不良債権として償却しています。しかし、この和歌山県の約一億六千万円は焦げついたままで、県民への負担が心配されます。
 そもそも中小企業高度化事業は、国の中小企業総合事業団や県が中小企業の設備の近代化や経営の強化のため、資金面や経営アドバイスなどで支援するものです。もちろん、貸し出されるお金は税金ですから、当然、事業計画や返済能力について国や県が厳しい審査をしてから事業者に貸し出されるべきものであります。だから、こんな焦げつきを生み出すことは異常だと思います。
 知事は、二月議会において、「県として厳しく受けとめている」と現状認識を述べられました。今回はもう一歩踏み込んで、これだけの不良債権をつくり、県民への負担が危惧されることになったその原因と責任を県民の前に説明をしていただきたいと思います。
 商工労働部長への質問です。
 一、貸し付けの際、個々の事業計画について専門的な立場から、適切な指導や厳正な審査が行われていたのですか。
 二、競売も終わった不良債権一億六千万円はどのように処理されるのですか。
 三、倒産した新宮の食肉組合に平成七年に繰り上げ償還命令を出したが、平成八年から昨年八月まで組合の実質的な責任者A氏が所在等不明という理由にして対策をとらなかったのはなぜですか。
 四、組合員を連帯保証人として設定しておりますが、保証人の返済能力のチェックや保証人への対応はどうなっていたのですか。
 五、県と組合との抵当権設定・金銭消費賃貸契約では、返済がおくれた場合には年一〇・七五%の延滞金が契約で発生します。しかし、三十三組合すべて延滞金はありません。税金でも延滞金はあります。なぜ優遇するのですか。
 六、競売の価格と担保物件の抵当権設定額との間に大きな差がありますが、担保の土地などの価値を実際より高くして融資する額をふやしているのではありませんか。
 七、担保価値が下がった場合に、増担保やかわりの担保を要求していますか。
 八、資産の評価について、県は固定資産税の評価額を参考にすると言います。それならば、具体的に倒産した食肉組合の土地の場合、昭和五十七年に以前の所有者から組合員A氏が買い、五十八年に組合がA氏から平米単価十六万八千七百円で買っていますが、高いと思います。その当時の固定資産の評価額を示してください。
 九、組合員が先に土地を買い、組合が後から買い上げる事例が何件かありますが、それぞれの販売価格は調査され、適切な価格でしたか。
 以上九点について、部長の答弁をお願いいたします。
 これ以外でも、昭和五十七年に設立された組合が、平成十一年に所有権が一般の会社に移転されています。その際、高度化資金もそのまま引き継がれ、現在でも貸付元金六億三千七百六十万円に対して延滞元金は四億四千九百十万円もあり、約三〇%しか返済されていません。こうした実態がわかればわかるほど、高度化資金とは一体どんな目的の事業なのかと疑問がわいてきます。しかし、これらの疑問に答える県の姿勢は非常に消極的です。情報は非公開です。せめて、倒産して不良債権化した組合については情報を公開すべきです。
 二つ目の住宅新築資金等貸付制度は、住宅課の場合は国が、人権室の場合は県がそれぞれ市町村に貸し、それを市町村が個人に貸し付けます。十二年度末で住宅課の場合は千九百六十件、二十九億円が滞納でした。人権室の場合は千五百九十九件、二十二億円の滞納で、両方で五十一億円です。市町村別の償還状況を見ると、大きな差があります。十二年度末で住宅課では、七市二十二町の当該年度償還率は三六・六%で、最低は何と六・三二%、一〇%台一市三町、二〇%台も一市三町で、二十八のうち五市十一町は五〇%以下です。人権室の場合では、七市二十二町の償還率は四一・一五%で、最低は三・二九%、一〇%台三町、二〇%台二市二町で、二十九のうち五市十町は五〇%以下と、同じ制度であるのにこれほど県下の自治体の間で差があります。長期滞納の状況は、住宅課では前年度までの滞納金二十八億七千四百万円に対して三億四千五百万円で、一二%しか返されていません。人権室では、前年度までの滞納分二十一億三千万円に対して一億五千八百万円で、七・五%しか返されていません。市や町は、国や県との関係から、個人からの返済がない場合、市や町が立てかえており、自治体の財政を圧迫しています。特に人権室の制度は県のつくった貸付制度ですから、県の主体的責任が当然問われます。住宅課のように助成制度もありませんから、早急に特別対策の検討が求められます。現在、市や町では回収困難な債権への対応方法が十分に確立されておらず、債権回収事務に求められる法的手続等の専門知識の集約化、処理の迅速化と同時に、公平性の観点から共通のルールに基づく共通の処理が望まれていると思います。それぞれの関係部長の答弁をお願いいたします。
 第二番目の、自然と健康を守る環境行政の実現についてです。
 二月議会で私は、新宮市松山での環境破壊のおそれのある産業廃棄物処理の写真を示し、燃え殻の違法処理や産業廃棄物の違法埋め立てが行われているのではないかと実態を紹介しました。しかし、今日まで廃掃法に抵触すると思われる行為が改善されずに放置され、ある面で悪化していると思いますので、再度質問いたします。
 廃棄物処理法十六条は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」としています。これは、廃棄物の投棄によって、その場所だけでなく周辺の土壌や地下水が汚染され、雨水などによって汚水が河川や海に流れ込み、結果として生活環境に悪影響を及ぼし、公衆衛生の安全を図ることができないからです。しかも、このような悪影響が一度発生した場合には、これを除去することが困難なことは橋本の例からも明らかで、和歌山県の行政が一番知っているはずであります。廃棄物処理法第十六条の解釈について、新日本法規出版の「廃棄物・リサイクルトラブル解決の手引」によれば、投棄の主体は「何人も」とされており、人を限定するわけでもなく、継続的な投棄にも限定しておりません。そして、「みだりに」とは、「正当な理由なく」と同一の意義としています。不法投棄の罪の成否が争われた平成元年七月十一日の広島高裁判決は、「廃棄物の不法投棄の罪が成立するか否かについては、その投棄された土地の利用権の有無とかその内容とかは直接関係がなく、仮に自己の所有地であっても「みだりに」廃棄物を投棄した場合には不法投棄罪が成立する」としています。したがって、自己所有地であるからといって投棄や埋め立てが正当化されるわけではありません。埋め立て処分できるものは、二十品目の産業廃棄物のうち、ゴムやガラスなど埋めても腐敗、分解しない安定五品目だけです。二月議会で写真で示したとおり、この場所は資材置き場ですが、木くずなどの安定五品目以外の廃棄物が盛り土の中にあることは、廃掃法に抵触する行為だと思われます。
 次に、燃え殻は地下への有害物質の浸透を防ぐことのできる管理型処分場でしか処理できません。この場所での燃え殻、焼却灰についての経過をたどれば、最初は二年前の二〇〇〇年六月議会で、焼却灰はすぐにドラム缶などに詰めて最終処分場に持っていくのが当然なのに、その灰は長期間地面に放置されており、雨が降って地下へ有害物質が浸透することの危険性と違法性をこの場で指摘いたしました。
 二〇〇一年の二月議会では、排出事業者から出た産業廃棄物は、最終処分場で処分されるまでの流れを伝票化したマニフェスト制度が法律で定められたことから、燃え殻などのマニフェスト、すなわち管理伝票の提出を求めました。しかし、「指導しておりますが、いまだ提出がありません」とのお答えでした。
 次に六月議会では、その「マニフェスト及び最終処分業者との委託契約書の報告書についても、事業者に再三にわたり指導を行ってまいりましたが、いまだ提出に応じない状況」との答弁で、提出されておりません。
 九月議会では、八月二十四日に事業者からやっと管理票等の写しが提出されたが、結局、燃え殻の管理伝票はなく、焼却灰は「事業場内でドラム缶容器に詰めて保管している」となり、焼却灰の「長期間の保管は廃棄物の適正処理の観点から望ましくなく、適切な処理業者に処理を委託するよう指導している」との答弁でした。
 十二月議会では、焼却灰の適正処分を指導してきたが、「実施されていないため、最終処分場において処分するよう引き続き指導してまいりたい」と答弁されました。
 さきの二〇〇二年二月議会では、「焼却灰の処理につきましては、事業者から本年三月四日に計画書が提出され、ダイオキシン類の分析調査の後、最終処分場において適正に処分されることになってございます」と、二カ月程度で処分が始まる予定でした。しかし、二カ月が過ぎても報告がなく、そのため新宮保健所は五月十七日付で事業者に産業廃棄物処分等の報告を五月二十三日までに提出することを求め、二十七日に報告がありました。しかし、今度は事前協議調査を行っているからと、またも処分は引き延ばされてしまっております。
 また、事業者は昨年八月、新宮保健所に平成十年十一月より平成十三年八月までの期間、二年十カ月分の焼却灰をドラム缶に入れ、百本貯蔵していると書類で報告しました。しかし、二〇〇二年二月議会では、「燃え殻入りドラム缶の現状については、現時点では八十六本」と答弁され、少なくとも十四本はその時点で行方不明です。そして、ことし三月、事業者から平成十四年一月十六日までの分は九十六本と文書報告されました。またこの報告書では、四カ月でドラム缶三十一本の燃え殻が発生しており、三年間で百本としてきた今までの実態とは大きく違います。こんな報告を指摘もせず、指導しないのは納得できません。
 新しい焼却炉が昨年末から稼働しておりますが、その焼却した後の燃え殻はふるいにかけ、細かい灰はドラム缶で保管していることは確認されております。しかし、ふるいに残った燃え殻も管理型廃棄物であるのに、当局は把握していないだけでなく、その燃え殻が地面に放置され、雨にぬれ、地下に浸透する環境汚染を指摘しても放置されたままでした。その燃え殻や木くずなどが埋められたのではないかと住民が心配し、裏づけるような写真もこの議場で紹介いたしました。これらのことが事実であれば環境犯罪です。当然、事実関係の確認や住民の不安に敏速に対応すべきだのに、対応した形跡がありません。新宮保健所も廃棄物対策課もどう対応したか、お答えください。
 今まで指摘してきたことが事実とすれば、廃棄物の不法投棄になり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によって懲役や罰金の刑となります。刑事訴訟法第二百三十九条では、「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。」、二項では「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めております。だのに、長い間放置して告発をしないのは不思議です。このままでは、この場所がダイオキシン汚染対策地域に指定されても不思議ではありません。橋本の日本工業所の教訓を生かし、行政の責任ある対応と、健康と環境を守る毅然とした姿勢をもって事に当たられることを強く求めるものであります。
 同じ松山の自社処分場について、土木部長への質問とお願いです。
 一九九九年十二月議会で、この資材置き場の一部を道路用地として県が用地取得しました。しかし、その後もその県用地を自社処理場の一部として使用していたので、早急に塀などの撤去をお願いし、部長も「関係者に対して通知、指導を行うとともに、早急な撤去に着手させた」と約束され、くいを打って境界をはっきりさせ、立入禁止にしました。しかし、最近この用地を業者がまた使用しており、なぜ何度も同じことを繰り返すのか不思議です。対応をお願いいたします。
 二〇〇一年九月議会では、この業者が里道あるいは水路を無断使用していることについて、土木部長は「里道を無断で埋め立てて使用することは、国有財産の適切な管理に反する行為と認識しております。(中略)里道を埋め立てて使用している者に対して(中略)引き続き強力に指導を行い、境界を明確化するとともに、適切な財産管理に努めてまいります」とご答弁いただきました。その後、解決されたのか、お伺いをいたします。
 二項目めの、世界遺産登録にふさわしい熊野川についてです。
 昨年の九月議会で、熊野川を清流に戻すため、二津野ダムの撤去を含めた発電停止を求める質問を行いました。その際知事は、「県の幹部を電源開発の方へ派遣して、この問題にいかに地元として強い要望があるかということを(中略)示していきたい」と答弁されました。そして、地元からの陳情など強い要望も踏まえて、昨年十二月四日、電源開発へ副知事を派遣し、実効性のある濁水対策を早急に実施することを強く要望されました。その要望は、特に十津川第二発電所からの放流は、吉野熊野の自然を背景に発展してきた地域の環境を損なっている、濁水軽減対策を実施しているが不十分なものである、そして紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録を目指しており、今後、熊野川の清流を再現することは何よりも重要とした上で、実効性のある濁水対策を求める内容のものだったと私は理解しております。
 木村知事の熊野川流域住民の願いへの誠意ある取り組みに本当に感謝するものですが、このような県独自の積極的な取り組みが以前からあったのでしょうか。こうした動きに電源開発は、この六月に今後の熊野川の濁水軽減対策を示しました。しかし私は、この電源開発の濁水軽減対策は従来の濁水対策の延長線上のもので、抜本的な濁水対策にはなっていないと思います。なぜなら、新たな濁水対策を具体的に示さないで、濁質の沈殿促進等に関する研究開発をするとあるだけで、雲をつかむような話であります。結局は、従来やってきたダムの運用の変更が主な対策だと思います。なぜそうなるのか。それは、今まで先人たちが何十年もかけて試行錯誤し、いろいろと対策を講じても、結局解決できないほど困難な問題だからです。今さら特効薬は見つかりません。ですから、私はやるべき抜本対策はもうない。最後の手段として、二津野ダムの発電停止、撤去しかないと言っているのです。今回も、電源開発の濁水軽減対策の一つとして発電停止期間の延長があります。効果は期待できます。ですから、その発電停止を一年じゅうやってもらえば濁水対策は抜本的な解決になるわけです。
 今までの県独自の取り組みと、県は今回の電源開発の濁水軽減対策をどう評価し、今後、発電停止を含む熊野川の濁水対策にどう取り組むのか、土木部長のご答弁をお願いいたします。
 次は要望ですが、毎回お願いしています。世界遺産登録と熊野川沿いの不法投棄の撤去についてです。
 特に、白見の滝付近の違法埋め立て・投棄は、自然公園法にも廃掃法にも河川法にも違反しており、撤去に向けて県当局は努力されていることは十分に承知しておりますが、一層頑張って早急に解決してください。世界遺産登録は、最近、保全に関する審査が厳しくなっており、国内法での保護が前提条件となっていることからすれば、このような自然や環境を破壊する問題を解決しないと、現状では世界遺産登録は夢に終わってしまうのではないかと心配されます。早期の解決を強く要望しておきます。
 最後の項目の、自動車税減免制度についてです。
 私は先日、視覚障害一級のご婦人からの相談を受けました。開口一番、「和歌山県は障害者に冷たいですね」と言われました。何のことかとお話を伺えば、この方が三重県で住んでいたときは、ご主人名義の軽自動車の税金が減免されていたそうです。今度新宮市に引っ越しされ、普通自動車に買いかえ、振興局に自動車の減免申請に行ったら、それがだめだったそうです。なぜ、だめなのか。和歌山県税条例では、運転が困難な身体障害者のために家族などが運転する自動車の名義が、障害者本人が運転できなくても、障害者本人でなければ自動車税は減免されないという仕組みだからです。運転できない人に車の所有者になれとは、少しおかしな話だと思います。運転者が自分の運転する自動車を管理するということは一般的にごくごく当然のことであり、運転資格のない人に税金を安くするために名義を変更させることは、自動車を所有する意味、すなわち車を持つことによって生じてくる義務や責任をどう考えているのか疑問です。運転することのできない障害者に運転や管理することへの義務や責任を負わせることは、たとえ税金対策としても許されるのでしょうか。
 他府県の状況は、減免の条件を障害者本人だけと限定しないで、同一生計者にも枠を広げており、障害者本人以外の名義でも税の減免が条例で認められているのは二十六都道府県、常時介護者運転の自動車では十五府県あります。つまり、同一生計者運転では約半分、常時介護者運転では三分の一の都道府県が障害者本人以外の名義でも税の減免が認められています。近畿でも、京都、大阪、兵庫、奈良では身体障害者本人以外の名義による減免が認められており、ぜひ和歌山でも同じようにしていただきたいと思います。また、県下でも市町村によっては軽自動車税の減免を同じようにしているところもあります。
 紀の国障害者プランには、障害者の社会活動への完全参加と平等の実現のために関係機関は施策の充実に努めるとしております。これを機会に県の条例を改正し、自動車税、自動車取得税の減免対象となる名義を家族などに拡大するなど、いろんな面で条件を拡大していただきいと思います。
 どうか、総務部長の本当に温かい回答を心からお願い申し上げまして、私の第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 中小企業高度化資金貸付に係る現状に至った原因と責任ということでございますが、社会環境や経済状況等の変化に伴い、貸付金に多額の延滞が生じていることは県として厳しく受けとめているところでございます。
 地域改善対策高度化事業は、国の施策として、地域の産業または企業の実態に沿って中小企業の協業化、集団化を推進することにより経営基盤の強化や雇用の安定を図るため、中小企業総合事業団及び府県が協力して行う融資制度でございます。「借りたものは返す」ということが原則なので、きめ細かい回収をする必要があり、現在、事務体制を整備充実し、弁護士と連携を密にしながら、適切な債権管理に努めているところでございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ご質問の、中小企業高度化資金の未返済に係る九点についてお答えをいたします。
 初めに、一と六は関連のある貸し付け時の審査等についてでありますので、一括してお答えをいたします。
 高度化資金を貸し付けるに当たり、中小企業庁の通達に従い、すべての案件について企業診断を行い、中小企業総合事業団から指導を受けながら貸し付け審査を行っております。また、同事業団による審査も受け、承認を得た上で貸し付け決定を行っており、事務手続上問題はなかったと考えております。
 二番目の競売後の債権管理についてでありますが、一般的に組合資産の競売を行った後に残債がある場合につきましては、債務者等の資産などの状況を把握し請求していくこととしております。
 三番目の倒産組合の対応についてでありますが、繰り上げ償還命令以降、組合が倒産したため、責任者との連絡がとれなくなり、面会するためのいろいろな努力を重ねてまいりましたが、その当時会うことができなかったものであります。放置していたということではございませんので、ご理解をいただきたいと思います。
 四番目の連帯保証人の返済能力と対応についてですが、高度化資金の貸し付けにつきましては、貸し付け対象物件に対し一番抵当権を設定し、債権保全措置を講じるとともに、人的担保として組合員全員が連帯感と責任を持って償還するよう連帯保証を求めているものでございます。なお、連帯保証人の返済能力につきましては、所得証明、固定資産課税台帳登録証明などにより資産状況等を把握しています。連帯保証人への対応につきましては、一般的には抵当物件の資産処分を行った後の残債について連帯保証人への請求を行っております。
 五番目の延滞金いわゆる違約金についてでございますが、違約金は全額徴求することが基本でございます。違約金の充当については、原則、償還金を違約金、利息、元金の順で充当することとなっておりますが、違約金を後で回収することの方が貸し付け先の償還意欲を促し、徴収上有利と認められる場合などがあり、中小企業総合事業団と協議した上で、そのような措置が認められております。ご指摘の延滞組合すべてにおいて違約金が課せられていないとのご指摘ですが、個々の組合にそれぞれ交渉過程があり、その中でまず大事なことは、延滞の早期解消のため元利金の償還に努力をしていただくことだと考え、そのような方法を講じております。しかし、違約金がなくなるというものではございません。
 七点目の追加担保についてですが、貸し付け対象物件の担保資産価値が下がった場合の追加担保につきましては、経済状況が長期に低迷する中、経営環境が非常に厳しくなっており、担保価値のある追加担保の提供は厳しい案件もありますが、基本的には債務者等に担保があれば追加担保の提供を求めていくことにしております。
 八番目の固定資産の評価額についてでございますが、個人のプライバシーにかかわるものであるため、答弁を差し控えさせていただきます。
 九番目の事業用地の事前取得についてでございますが、組合設立前などに組合員が事業用地を一時先行取得する形で購入し、組合が当該用地を取得するケースもございますが、売買価格については提出書類等により審査をした結果、適正な価格であると判断してございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 住宅新築資金の滞納のうち、企画部所管分について一括してお答えをさせていただきます。
 企画部が所管しております同和対策住宅新築資金等貸付事業につきましては、昭和四十六年、国の事業を補完する形で市町村に貸付資金を貸し付けるといった制度として発足をしてございます。
 長期滞納に係る今後の見通しでございますが、現在の経済状況等、借り受け側を取り巻く厳しい状況を勘案すれば、今後なお増加するおそれもあるのではないかと考えている次第でございます。償還状況の格差や長期滞納の問題が市町の財政負担となっていることは私どもも十分認識してございまして、昨年から始まりました現状調査を今年度も引き続き実施し、効果的な対策が何であるか、よく研究をしてまいりたいと考えてございます。
 現在、二十五の市町におきまして、住宅新築資金等貸付制度改善対策和歌山県協議会を組織し、お互いの情報交換や回収に伴うノウハウの取得などについて活動されてございますので、県としましてもこれに積極的に参画し、弁護士からの指導もいただくなど、債権回収や処理に関する知識の向上を図ることにより、より適切な債権管理が行えるよう市町村を指導し支援をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、土木部にかかわる住宅新築資金等貸付事業における滞納につきましては、累計償還率で平成十二年度は九二・七五%であり、全国平均よりも高く、年々向上している状況でございます。今後とも、市町村における債権管理の適正化を図るため、研修等を通じ債権管理力を高めるよう市町村を指導してまいります。
 次に里道管理につきましては、適正な財産管理の観点から、無断占用者を強く指導してまいりました結果、本年四月に境界確定を終えてございます。その後提出された占用許可申請につきましては、土地を利用する上で必要不可欠なものと認め、五月三十日にこれを許可し、管理の適正化を図ったところでございます。
 なお、この項の中の道路予定地の無断使用につきましては、四月下旬に放置物を確認し、現場にて厳重注意の上、直ちに撤去させております。
 次に、熊野川の濁水対策に関する二点の質問に一括してお答えいたします。
 今までの県の取り組みにつきましては、昭和五十三年に設立された熊野川水質汚濁防止連絡協議会の一員として水質汚濁の調査研究を行うとともに、濁水対策について電源開発株式会社に働きかけを行ってきております。その結果、平成二年からは、風屋、二津野ダムでの洪水後の発電停止が実施されてございます。また、平成十三年十二月には、電源開発に実効性のある濁水対策に関する要望書を提出したところでございます。電源開発の濁水対策につきましては、事前説明を受けているところでございまして、正式な回答を受けて評価をすることになります。今後とも、熊野川の濁水対策について電源開発に働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 自然と健康を守る環境行政の実現をの、新宮市松山での産業廃棄物処理についてお答えいたします。
 本年四月以降、場外からの監視を毎週二回から三回行っているほか、立入調査とスカイパトロールを各一回実施し、当該場所における産業廃棄物処理の監視を強化したところでありますが、焼却灰や燃え殻の場外での適正処分がおくれていることなど、対応が十分進んでいないことにつきましては遺憾に感じており、引き続き強く指導してまいります。
 また、本年四月に廃棄物行政に対する県民の信頼を確立するため廃棄物対策課を設置し、不法投棄の撲滅と業者の資質向上に取り組んでいるところであり、産業廃棄物の不法投棄や不適正処理が明らかになった事案につきましては、廃棄物処理法に基づき、行政処分を含め厳正に対処してまいります。また、積極的に県民に情報を公開することで、住民の皆様のご理解とご協力を得て、自然と健康を守る環境行政を進めてまいる所存でございます。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 自動車税の減免制度についてのご質問にお答えをいたします。
 身体障害者等の方々に対する自動車税及び自動車取得税の減免制度につきましては、身体障害者等の方々が自動車を利用することにより支障なく社会生活を営むことができるよう税制上の配慮を加えたものでございます。
 自動車税といたしましては、平成十四年度の当初課税において約九千百台、額にして約三億四千万円の減免、また自動車取得税は平成十三年度で約千百台、額にいたしまして約八千七百万円の減免を行っている状況でございます。また、関係団体の要望等を踏まえ、本年度から減免対象者の範囲を一部拡充したところでございます。
 ご指摘のありました身体障害者等本人以外の方が運転する場合の減免につきましては、身体障害者等が同乗しない利用形態もございますことから、自動車の使用に係る要件として、専ら身体障害者等の通院、通学、通所、通勤のために使用することとされてきているところでございます。このため、当該自動車が専ら身体障害者等のために使用され、減免制度が適正に運用され、課税の公平さが保たれるように自動車の名義を身体障害者等本人に限定しているものでございます。また、使用目的を限定しているのも同様の趣旨に基づくものでございます。
 なお、自動車の名義を身体障害者等本人に限定していることにつきましては、他府県の状況あるいは運用の実態等を調査しながら、さらに研究をしてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 一点、答弁との関係で土木部長、あえて申し上げておきます。
 あそこの県有地の無断使用について、特に四月下旬に放置物を確認して撤去させるということで非常にありがたいんですが、私は六月の最初の時点でも確認をしております。そういうことで、日常化しているようなのでパトロール等を強化していただいて、そうしたことのないように、ぜひお願いしたいと思います。
 また総務部長、答弁をいただきましたけれども、そちらの事情もわかりますが、普通、一家族一台というのは自動車を所有する場合、そうですよね。わざわざ障害者のためにもう一台買ってという、そんな財政的な余裕のある方は結構ですが、そうでない方は一緒に家族で乗るというのが普通ですから、ぜひその家族の一台の車、減免してあげていただきたい。このことを強くお願いしておきます。
 知事に、残念ですが再質問になります。
 私は、原因とか責任をお伺いしたんです。最初に言ったように、本当に厳しい経済状態です。もう本当にわかります。だから、お金を返せない人がたくさんいるのはわかるんです。でも、ちょっとこれは違うんじゃないですか。一%も返していない、一割も返していない人がいっぱいいる。そんな制度そのもの、それは何か問題があったのではないか、こうだれもが考えるんじゃないですか。そのことの原因についてお聞きしているんです。まだ原因が解明されていないんだというのならそれで結構です。そのようなご答弁をしてください。経済状態が悪いから、社会情勢が悪いからということで、この原因とか責任をあいまいにされては困ります。その点で、再度ご答弁をお願い申し上げます。
 部長に対しては九項目すべてにわたって再質問をしたいんですが、する時間がありません。もう簡単に言います。この問題は、昨年の十二月に共同通信が配信をいたしました。それで、新聞に載りましたね。その新聞記事を今見ているわけですけれども、その中でこう書いているんです。「経営破綻しているほか、多くの案件で担保価値が大幅に不足している。同県は担保物件の売却を含む債権回収策の検討を始めたが、最終的に数十億円がこげつく見通しで、一般会計からの損失補てんを迫られそうだ」、こんな内容がありました。さらにもう一つ注目すべきことは、「複数の元同県融資担当者は「同和対策事業としての側面が重視され、採算性だけで判断できず過大な融資を認めた案件が多かった」」、このように新聞で報道をされております。元融資担当者ということは直接かかわった方なのかもしれませんが、その方がこのように新聞記者に対してお話ししたんでしょうけれども、これは新聞記事ですから、その真実性についてはわかりませんが、あっ、そう言われてみればそうなのかなと思ってしまいます。
 そんな状況なんですけれども、少なくとも一点だけ。審査とか事業計画を見ていく──知事に対する質問と同じになりますけれども、それは問題がなかったとおっしゃいましたけれども、問題がなくて、こんな焦げつきになるといったら、一体何をやっていたんですかということになりますよ。五十四組合のうち一組合あるいは二組合とかというんだったらわかります。三十三組合が滞納しているでしょう。一割も返済していないところが六つも七つもあるんでしょう。一%も返してくれていないところが二組合もあるんでしょう。それだのに、適正に審査が行われて問題がなかったというようなご答弁をされたらおかしいでしょう。これからこの問題を解決していかなければならないときに、なぜこうなったのかというときに、どこに原因を持っていくんですか。その点について、再度ご答弁をお願いいたします。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 高度化資金の貸し付けの焦げつきということについての再度のご質問でございます。
 それぞれの貸し付けは、その当時の社会情勢に応じて一定の処理のもとになされたということでございます。しかしながら、銀行でも今、不良債権処理の問題が大変なことになっておりまして、日本の国としてまだ不良債権がどれぐらいあるか、これだけ三年も四年も問題になってきても確定できないような状況の中でございます。
 問題は、今後その焦げつきについて、ガラス張りの中でどのように県民の方々の納得を得ながら回収をしていくかということが大きな問題だろうと考えております。これについては先ほどもご答弁申し上げましたように、弁護士、法律の専門家を交えて適正な債権の回収ということに努めてまいりたいということでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 再質問の審査、計画に問題がなかったという件でございますが、先ほども答弁をさせていただきましたように、この審査に当たっては、国の指導、また国との協議を重ねながら進めておりまして、計画から実際の融資までには二、三年の年月がかかってございます。そういった意味で、経済状況あるいは社会環境が大きく変わっている現在の中でいろんな問題が生じておりますので、こういった結果になったわけでございます。ただ、当時の計画等に当たっての審査につきましては私どもは問題がなかったというふうに考えてございますので、ご了解願います。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 時間がありません。ガラス張りというお言葉を聞きました。本当にお願いします。情報を公開して、本当にだれもが納得できる──仕方がないなということもあると思うんです。そういうような努力をぜひしていただきたい。この回収に当たっている職員の皆さん、大変だと思っております。そのためにも、きっちりと解明をしなければならないなと思っております。ぜひ頑張ってください。答弁は納得したわけではありません。
 以上です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十六分休憩
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