平成14年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十四年六月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
     ─────────────────────
議事日程 第五号
 平成十四年六月二十四日(月曜日)午前十時開議
  第一 議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに報第二号から報第七号まで(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
会議に付した事件
   一 議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに報第二号から報第七号まで(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 休会決定の件
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
     二十七番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         内   田   安   生
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   原   勝   文
     商工労働部長     石   橋   秀   彦
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       阪   口   裕   之
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   中   尾   公   彦
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       中   原   洋   二
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       鷲   山       智
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      土   井   富   夫
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
     ─────────────────────
  午前十時二分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに報第二号から報第七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十二番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。
 一番目、病病連携、病診連携についてであります。
 重病、重症の患者は、高度な医療設備を持つ病院、危機を脱したがまだ医療的な入院治療が必要な患者は療養型の病院といった急性と慢性の役割分担において病院の連携が必要であります。二〇〇〇年度の国民医療費約三十兆円のうち、老人医療費は三分の一を超えており、高齢化が進む中、医療費は伸び続けると容易に予想され、厚生労働省は医療の効率化を強く推し進めております。病病(病院と病院)連携、病診(病院と診療所)連携は、個々の医療機関がばらばらに医療を提供するのではなく、地域住民により効率よく、効果的に連続した医療が提供されるように医療機関の機能を分け、それぞれの役割を補完し合う形で地域内に医療ネットワークを構築しようというものであります。
 同省は、各医療機関に対し、二〇〇三年八月までに急性期病院か慢性期病院かを選択するように迫っています。急性期の病院は、平均入院日数が二十日以下でなければ診療報酬の加算が受けられないようになり、在院期間の管理が強く求められます。しかし、例えば脳や脊髄などに障害を負い、高度医療と長期医療の両方が必要な患者は少なくありません。入院日数は短くしたいが、急性期か慢性期か単純に患者を区分することは難しいといったジレンマもあります。行き場のない慢性期患者が急性期のベッドをふさぐことも少なくない状況があります。そこで、病院同士が互いに連携協力、補充し合って、患者の需要に合わせた機能を持って適切な病院を紹介し合うことが大切になります。一つの病院が治療を完結させるのではなく、地域全体の医療機関が患者を支え合うシステムづくりが急務ではないでしょうか。
 重篤救急患者は、救命救急センターや大学病院といった第三次医療機関へ運ばれ、一命を取りとめて直接転院できる患者もいれば、転棟あるいは転科して、その後紹介された病院や患者の近隣の病院、診療所を紹介したりして、フォローアップ体制がとられます。この病病連携、病診連携がうまくとれないと、命が助かっても寝たきりになったり、なかなか患者の方が退院したがらなかったりといったことになりかねません。まして、救命救急センターはいつも満床がちであり、後方ベッドの問題でいつも頭を悩ませている状況であります。
 県としても、病病、病診の連携システムづくりが早急に必要と思われますが、いかがでしょうか。
 特に六十五歳未満の若い患者は、介護保険も適用されず、医療費も高くて、寝たきりの状態の人の行き場所がない現実があります。基本は、入院の必要性にすべてこたえることだと思います。厚生労働省の方針で、急性期病院には患者も長くはなかなかおれない状況であります。民間の一般病院も、入院が長期に及ぶ患者を診てあげたくても、病院の報酬システム上受け入れられない現状になってきております。ことし十月から医療改正で患者負担がますますふえる中、二次病院においても診療科に一定の基準を設定して、例えばこの病院は整形外科、あの病院は胃腸科、またある病院は循環器科の患者を集中特化して診てもらうといった色分けを県がリーダーシップをとって行うことが効果的な病病、病診連携を行う上で必要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
 二番目に、建設労働者の賃金確保についてであります。
 長期に及ぶ不況の中で、和歌山県においては近畿の中でも倒産、失業の比率が高く、我が県の基幹産業の一つである建設業に至っても、不況業種の最たるものであり、受注競争が熾烈をきわめ、著しい低価格での競争になっております。当然、そのしわ寄せは下請業者に来て、末端の労働者、職人の皆さんの賃金を低下させ、仕事も少ないがゆえ、生活を圧迫させている実態があります。地方公共団体の発注する工事においても、設計金額に対して非常に低い金額での落札、契約が少なくないと聞いております。
 そこで、質問事項に移ります。
 一番目、一般的に設計単価というのは積算基準に基づいて、資材費、機械損料、燃料費、そして労務単価などの複合単価として積算されているそうですが、公共工事における末端の建設労働者の賃金が設計労務単価を下回ることのないよう、元請業者が下請業者へダンピング受注させないように監督、指導を強化いただきたいが、いかがですか。
 二番目、公共工事の受注業者に対して、発注者と元請業者だけでなく、下請業者に対しても適切な契約を文面で交わすような下請契約の適正化を指導することが必要ではないでしょうか。
 三番目、建設労働者の労働賃金や下請業者の工事代金に不払いが発生した場合、建設業法に基づいて元請業者への指導を行政で徹底していただきたいが、いかがでしょうか。
 四番目、建設業の倒産件数は和歌山県においても非常に大きな割合を占める中、地元の建設業者の育成施策は必要であると思われます。分離発注を進めて、成長努力を続ける地元の建設業者にこれまで以上に受注機会を確保していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 五番目、建設業退職金共済制度がすべての建設労働者に完全適用される充実した制度となるよう、元請業者への指導を強化していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 三番目に、人権問題であります。
 本年二月四日に、打田町役場のホームページに極めて悪質な差別メールが送信されるという事件が発覚しています。町長あてに、地域名の特定、人道にもとる卑劣きわまりない表現がなされております。
 まず、事件発生当初、県同和室が担当し、那賀振興局、打田町、そして同和委員会が取り組みを進め、四月以降は人権室に引き継がれ、和歌山市もかかわって、それぞれ連携をとりながら取り組まれていると聞くわけですが、この取り組みについて、打田町の住民、特に差別をされている当事者である地域住民にとって、十分に情報も入ってこないし、納得できるものではないというものです。この取り組みが、実は行政関係のみで進められていく中で、差別をされた者の思いとか憤りを、どこでどういう形で踏まえられ反映されるのか、全く不明瞭であります。このことは、新聞でも既に報道されているとおりであります。
 この原因はどこにあるかを考えますと、まず人権室の機能とか姿勢に問題があるのではないかと思います。つまり、人権という反面、具体的で基本的な課題である同和問題が抽象的にしかとらえられていないと言えます。企画部人権室が人権行政全体を担当するように聞いているところですが、考えてみますと、人権のそれぞれの具体的な課題、例えば女性、子供、高齢者、障害者等々については庁内の担当部局・課室が設置されております。ないのは同和問題のみであります。こうした中で、まず同和行政を推進することも人権室の役割であることを明確にすべきであります。その上で、今回のような悪質きわまりない差別事件をしっかり受けとめ、取り組んでいくことが重要ではないかと考えます。
 次に、差別事件の取り組みについてであります。
 これまでに差別事件が発生した場合、処理規程に基づいて進められてきました。ところが今回、このことが全く見えてこないし、さきにも述べましたように、行政関係者のみの取り組みで、差別を受けている側の思いが排除された中で進められており、大いに問題があると思います。この際、そうしたことを十分踏まえた取り組みの方向、処理規程を再構築する必要があると思います。
 さらに、さきの県議会で知事の熱意によって、人権が尊重される社会づくり条例ができましたが、今回のような極めて悪質な差別事件が発生して、条例の視点からどのようにされるのか、また国の人権擁護法とも関係あると思いますが、これまでも差別落書きが続発し、インターネットを使っての差別事件が日常的に横行し、さらに今回の事件等を踏まえたとき、人権を具体的にどのように擁護し、差別行為から抑止するのか、一方的に差別を受けている地区住民と差別行為を行っている側、両方に対してこの条例がどのような効力があるのか、お伺いいたしたいと思います。
 この三月末で特別措置法が期限切れとなって、今後は一般行政の中に同和行政を位置づけて取り組むということになっております。しかし、この時期、同和行政は行わない、人権の中でということで、多くの市町村で窓口が消え、意識的に「同和」から「人権」へということの書きかえが行われています。この背景には、同和問題はもう終わりという考え、風潮があるのではないでしょうか。こうした中で、依然変わらず悪質きわまりない差別事件が続発しているという事実を、私も含め、非常に恐縮ですが、ここにいる皆様で再認識する必要があると思います。そして、今回の場合もそうですが、ここに公務員がかかわっているということに対し、行政にかかわる者皆の共同責任であるというくらいの思いを持つ必要があると思います。こうしたことを十分踏まえられ、一層同和行政を、しかもより具体的に推進していくことを強く要請いたしたく、質問いたします。
 一番目、同和行政はもう終わりという風潮の中、実際に差別事件が続発しております。しかも、今回の事件のように公務員がかかわったということはゆゆしき事態であります。インターネットでの差別事象の具体的な防御策等、二度とこのような問題が起こらないよう、県の取り組みの方向性と処理規程の再構築の必要性について、知事の今後の同和行政への所見をお伺いいたします。
 二番目、今回のようなインターネットでの事件などが起こったとき、県におかれては人権を具体的にどのように擁護し、差別行為を抑止するのですか。
 三番目、差別を受けている地区住民と差別行為を行っている側と両方に対して、人権が尊重される社会づくり条例がどのような効力があるのか、お伺いいたしたいと思います。
 以上、三点にわたって、一回目の質問をさせていただきました。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの病病連携、病診連携についてお答えを申し上げます。
 各医療機関が互いに連携協力、補完し合い、急性期、慢性期などの患者の状態に合った入院治療を提供できる体制を整備することは重要であると、このように認識をいたしております。
 県といたしましても、県民が質の高い医療を受けられるよう、医師会、病院協会等の協力を得ながら、基幹病院を中心とした連携など、効率的な医療連携システムの確立を図ってまいりたいと考えております。
 次に人権問題についてでございますが、今回のインターネットによる差別事件は、ご指摘のとおり、極めて陰湿にして悪質な差別事件であり、しかも同和行政の第一線に携わる市の職員がかかわったということで、県としても私としても本当に残念であり、あってはならないことであると真剣に受けとめているところでございます。
 インターネットによる差別事件が続いて発生していることから、地方公務員に対する研修を徹底するとともに、厳正に対処してまいりたいと考えております。地対財特法がことしの三月をもって失効いたしましたが、私は差別が存在する限り、同和問題の一日も早い解決を目指した取り組みをしていかなければならないと考えているものでございます。こうしたことから、本年四月に人権に係る教育・啓発の拠点となる人権啓発センターを設置し、県民の人権意識の一層の高揚を図ることとしたところでございます。
 また、さきの二月議会でご承認いただいた人権が尊重される社会づくり条例の具現化を図ることで、同和問題を初めとするすべての人権が尊重され、二度とこうした問題が起こらない社会をつくってまいりたいと考えております。
 なお、事件の処理に当たっては、国において人権救済体制が整備されるまでの間、地方行政が主体的に取り組むという考えのもと、処理体制のあり方を検討するなど、事件の内容に応じた適切な処理を行ってまいりたいと、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) 病病連携、病診連携で県のリーダーシップをということでございますけれども、これまで各保健医療圏域内を中心に、医師会や関係機関と連携し、かかりつけ医の普及や紹介、逆紹介システムの推進などモデル事業の実施に取り組んでまいりました。また、昨年度は県内の医療施設相互間の機能連携と効率的な医療提供体制の確立を図るため、医師会や病院協会を初め各圏域の基幹病院の皆さんに参加いただき、地域医療連携推進協議会を設置いたしました。本年度は、同協議会で連携システムの構築に向けた方向づけ等をいただく予定でございます。県といたしましても、県民の皆さんに効果的に医療を提供できるよう、病病、病診連携を積極的に推進してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 建設労働者の賃金確保についての五点のご質問に一括してお答えいたします。
 ダンピング受注の防止、下請契約の適正化及び工事代金等の不払いにつきましては、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針等に基づき、適正な執行をするよう指導しております。
 また、工事発注に際しましては、県内建設業者の育成を図るため、可能な限り分離発注に努めております。
 さらに、建設業退職金共済制度の適用につきましては、今後も経営事項審査等の際、公共工事の元請業者に対して指導してまいります。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 人権問題の二点についてお答えを申し上げます。
 まず、今回のようなインターネットでの人権が起こったときに、人権をどのように擁護し、差別行為を抑止するのかというご質問でございますが、インターネットの発達は、瞬時に情報が伝達されるという利便性がある反面、匿名性、あるいは拡散性を持った重大な人権問題を発生させるおそれがございます。
 このため、不適切な書き込みを防止するための法規制等を国に対し要望を行ってきたところ、いわゆるプロバイダー責任法が五月二十七日から施行されました。この法律の骨子は、重要な二点を規定してございます。まず、インターネットの書き込み等により自己の権利を侵害されたとする者が関係するプロバイダー等に対し、プロバイダーが保有する発信者の情報の開示を請求することができるというのが一点でございます。第二点としては、インターネットの書き込み等により権利が侵害された者からの申し出により、関係するプロバイダー等がこの情報を削除しても、これによって生じた発信者側の損害について、プロバイダー側の賠償の責任を問われないという二点でございます。したがって、この法律に基づき、プロバイダーが発信者の開示を行うことが可能となり、人権の擁護及び差別行為の抑止につながるものと考えてございまして、この周知に努めてまいりたいと考えてございます。
 県としましては、差別的な書き込みが行われない土壌の醸成が重要であるという認識から、本年四月に設置しました和歌山県人権啓発センターの活動等を通じまして、県民に対する人権教育啓発を積極的に行ってまいりたいと考えてございます。
 次に、人権条例の効力についてでございます。
 和歌山県人権尊重の社会づくり条例は、すべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現を目的として制定をされました。県民一人一人がこの条例を遵守することにより、一人一人の人権が尊重され、差別を受けることも差別を行うこともない社会が実現されると考えてございます。同時に、県としましては、差別を受けた側の思いを勘案し、国において人権救済に関する法律が一日も早く制定されるよう、引き続き強く求めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十二番長坂隆司君。
○長坂隆司君 ご答弁いただきました。
 知事にご決断いただきましたドクターヘリの運航も、いよいよ来年一月に迫ってまいりました。当局も、関係機関とともに準備に追われる毎日であると推察いたしております。しかし、県民、患者の側のニーズからして、ドクターヘリの後は病病連携であります。ぜひ積極的な推進を要望しておきます。
 建設労働者の賃金確保についてですが、丹田にもっと力を込めていただいて、ぜひとももっと目線を低く、職人さんたちの立場に立った指導と対応をお願いいたします。
 人権問題についてでありますが、和歌山県人権尊重の社会づくり条例の前文の中に、「私たちは、社会の構成員としての責任を自覚し、常に他者の人権の尊重を念頭に置いて、自らの人権を行使するようにしなければならない」という表現があります。せっかく今年四月に県人権啓発センターもできました。本当に実効性のあるものとしてこの条例のくだりを、県民すべてが認識できるように人権教育・啓発に全力で取り組んでいただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので一般質問を始めます。
 最初の、同和行政の「負の遺産」についてです。
 世の中は大変な不況です。先日、商売をなさっている方々と懇談する機会があり、話を聞きました。仕事がない、売り上げが半分や三分の一は日常的で、少しぐらい体調が悪くても我慢して病院に行かないから、行ったときには即入院とか手おくれという事態がふえているそうです。自殺も珍しいことではなくなり、不景気だからと店を閉める人や商売をやめれる人はまだましで、やめたくてもやめることができない。やめたら破産して住む家もなくなるという厳しい現状をお聞きしました。だれもが景気の回復を願い、まじめに働けば報われる政治を望んでおり、こんなときだからこそ中小企業の経営と暮らしを守る立場から新たな融資制度をつくるなどの対策が必要です。苦しい中でも、少しでも借金を返済している方や返済する意思のある方々には行政は温かい手を差し伸べてほしいと痛感しました。「借りたものは返す」、この当たり前の約束を守るために一生懸命頑張っている人はたくさんいます。だからこそ、中小企業高度化資金の焦げつきについて納得できる説明を聞きたいわけです。
 高度化資金については、以前から県議会の決算特別委員会で取り上げられており、私も二月議会で同和特別措置法の終了とあわせ、同和行政の負の遺産である中小企業高度化資金、住宅新築資金、進学奨学金について質問しました。
 高度化資金は、十二年度末で五十四組合に三百一億円貸し付けられ、そのうちの三十一組合が七十四億円滞納しています。その三十一組合のうち二十四組合が同和対策で六十七億円滞納しており、延滞元金の九割を占めています。今回質問するに当たって、十三年度末の見込みの数字を見て驚きました。滞納している組合が三十一組合から三十三組合にふえており、滞納額も七十四億円から百七億円へと三十三億円もふえています。よくなるどころか悪くなっています。さらに、今後もふえる見込みです。これでは、不況だからだけでは説明はつきません。
 さて、この滞納している三十三組合の十三年度末の返済率は三三・七%で、三分の一しか返されていません。これらはほとんどが無利子ですから、借りた元金に対して今までに返された合計の金額です。中には、何年も前に少し返したが、その後一円も返していない組合もあります。また、借りたお金の一〇%も返していない組合もあります。具体的に紹介しますと、十六億六百万円借り、返したのは一千四百三万円、返済率〇・八七%、二十三億九千六百万円借り、返したのは二千百七十五万円、返済率〇・九一%で倒産、二億五千四百万円借り、返したのは六百万円、返済率二・三六%で倒産、三億五千七百万円借り、返したのは一千二百五十万円、返済率三・五%で倒産、四億七千二百万円借り、返したのは五百四十七万円、返済率三・〇一%、六億二百万円借り、返したのは四千六百五十万円、返済率七・七二%、三億一千二百万円借り、返したのは二千六百二十万円、返済率八・三九%です。
 事業計画の甘さからか、返済の据置期間が過ぎてすぐに経営が赤字になり、当初から返済が滞っている組合もあります。借金を残して倒産した組合の場合、裁判所で担保の土地などを競売しても、担保の価値以上にお金を貸しているためか、貸したお金六億八千万円に対し、競売の分も含めて返ってきたのは一億九千万円、結局四億九千万円が残り、中小企業総合事業団は既に三億三千万円を不良債権として償却しています。しかし、この和歌山県の約一億六千万円は焦げついたままで、県民への負担が心配されます。
 そもそも中小企業高度化事業は、国の中小企業総合事業団や県が中小企業の設備の近代化や経営の強化のため、資金面や経営アドバイスなどで支援するものです。もちろん、貸し出されるお金は税金ですから、当然、事業計画や返済能力について国や県が厳しい審査をしてから事業者に貸し出されるべきものであります。だから、こんな焦げつきを生み出すことは異常だと思います。
 知事は、二月議会において、「県として厳しく受けとめている」と現状認識を述べられました。今回はもう一歩踏み込んで、これだけの不良債権をつくり、県民への負担が危惧されることになったその原因と責任を県民の前に説明をしていただきたいと思います。
 商工労働部長への質問です。
 一、貸し付けの際、個々の事業計画について専門的な立場から、適切な指導や厳正な審査が行われていたのですか。
 二、競売も終わった不良債権一億六千万円はどのように処理されるのですか。
 三、倒産した新宮の食肉組合に平成七年に繰り上げ償還命令を出したが、平成八年から昨年八月まで組合の実質的な責任者A氏が所在等不明という理由にして対策をとらなかったのはなぜですか。
 四、組合員を連帯保証人として設定しておりますが、保証人の返済能力のチェックや保証人への対応はどうなっていたのですか。
 五、県と組合との抵当権設定・金銭消費賃貸契約では、返済がおくれた場合には年一〇・七五%の延滞金が契約で発生します。しかし、三十三組合すべて延滞金はありません。税金でも延滞金はあります。なぜ優遇するのですか。
 六、競売の価格と担保物件の抵当権設定額との間に大きな差がありますが、担保の土地などの価値を実際より高くして融資する額をふやしているのではありませんか。
 七、担保価値が下がった場合に、増担保やかわりの担保を要求していますか。
 八、資産の評価について、県は固定資産税の評価額を参考にすると言います。それならば、具体的に倒産した食肉組合の土地の場合、昭和五十七年に以前の所有者から組合員A氏が買い、五十八年に組合がA氏から平米単価十六万八千七百円で買っていますが、高いと思います。その当時の固定資産の評価額を示してください。
 九、組合員が先に土地を買い、組合が後から買い上げる事例が何件かありますが、それぞれの販売価格は調査され、適切な価格でしたか。
 以上九点について、部長の答弁をお願いいたします。
 これ以外でも、昭和五十七年に設立された組合が、平成十一年に所有権が一般の会社に移転されています。その際、高度化資金もそのまま引き継がれ、現在でも貸付元金六億三千七百六十万円に対して延滞元金は四億四千九百十万円もあり、約三〇%しか返済されていません。こうした実態がわかればわかるほど、高度化資金とは一体どんな目的の事業なのかと疑問がわいてきます。しかし、これらの疑問に答える県の姿勢は非常に消極的です。情報は非公開です。せめて、倒産して不良債権化した組合については情報を公開すべきです。
 二つ目の住宅新築資金等貸付制度は、住宅課の場合は国が、人権室の場合は県がそれぞれ市町村に貸し、それを市町村が個人に貸し付けます。十二年度末で住宅課の場合は千九百六十件、二十九億円が滞納でした。人権室の場合は千五百九十九件、二十二億円の滞納で、両方で五十一億円です。市町村別の償還状況を見ると、大きな差があります。十二年度末で住宅課では、七市二十二町の当該年度償還率は三六・六%で、最低は何と六・三二%、一〇%台一市三町、二〇%台も一市三町で、二十八のうち五市十一町は五〇%以下です。人権室の場合では、七市二十二町の償還率は四一・一五%で、最低は三・二九%、一〇%台三町、二〇%台二市二町で、二十九のうち五市十町は五〇%以下と、同じ制度であるのにこれほど県下の自治体の間で差があります。長期滞納の状況は、住宅課では前年度までの滞納金二十八億七千四百万円に対して三億四千五百万円で、一二%しか返されていません。人権室では、前年度までの滞納分二十一億三千万円に対して一億五千八百万円で、七・五%しか返されていません。市や町は、国や県との関係から、個人からの返済がない場合、市や町が立てかえており、自治体の財政を圧迫しています。特に人権室の制度は県のつくった貸付制度ですから、県の主体的責任が当然問われます。住宅課のように助成制度もありませんから、早急に特別対策の検討が求められます。現在、市や町では回収困難な債権への対応方法が十分に確立されておらず、債権回収事務に求められる法的手続等の専門知識の集約化、処理の迅速化と同時に、公平性の観点から共通のルールに基づく共通の処理が望まれていると思います。それぞれの関係部長の答弁をお願いいたします。
 第二番目の、自然と健康を守る環境行政の実現についてです。
 二月議会で私は、新宮市松山での環境破壊のおそれのある産業廃棄物処理の写真を示し、燃え殻の違法処理や産業廃棄物の違法埋め立てが行われているのではないかと実態を紹介しました。しかし、今日まで廃掃法に抵触すると思われる行為が改善されずに放置され、ある面で悪化していると思いますので、再度質問いたします。
 廃棄物処理法十六条は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」としています。これは、廃棄物の投棄によって、その場所だけでなく周辺の土壌や地下水が汚染され、雨水などによって汚水が河川や海に流れ込み、結果として生活環境に悪影響を及ぼし、公衆衛生の安全を図ることができないからです。しかも、このような悪影響が一度発生した場合には、これを除去することが困難なことは橋本の例からも明らかで、和歌山県の行政が一番知っているはずであります。廃棄物処理法第十六条の解釈について、新日本法規出版の「廃棄物・リサイクルトラブル解決の手引」によれば、投棄の主体は「何人も」とされており、人を限定するわけでもなく、継続的な投棄にも限定しておりません。そして、「みだりに」とは、「正当な理由なく」と同一の意義としています。不法投棄の罪の成否が争われた平成元年七月十一日の広島高裁判決は、「廃棄物の不法投棄の罪が成立するか否かについては、その投棄された土地の利用権の有無とかその内容とかは直接関係がなく、仮に自己の所有地であっても「みだりに」廃棄物を投棄した場合には不法投棄罪が成立する」としています。したがって、自己所有地であるからといって投棄や埋め立てが正当化されるわけではありません。埋め立て処分できるものは、二十品目の産業廃棄物のうち、ゴムやガラスなど埋めても腐敗、分解しない安定五品目だけです。二月議会で写真で示したとおり、この場所は資材置き場ですが、木くずなどの安定五品目以外の廃棄物が盛り土の中にあることは、廃掃法に抵触する行為だと思われます。
 次に、燃え殻は地下への有害物質の浸透を防ぐことのできる管理型処分場でしか処理できません。この場所での燃え殻、焼却灰についての経過をたどれば、最初は二年前の二〇〇〇年六月議会で、焼却灰はすぐにドラム缶などに詰めて最終処分場に持っていくのが当然なのに、その灰は長期間地面に放置されており、雨が降って地下へ有害物質が浸透することの危険性と違法性をこの場で指摘いたしました。
 二〇〇一年の二月議会では、排出事業者から出た産業廃棄物は、最終処分場で処分されるまでの流れを伝票化したマニフェスト制度が法律で定められたことから、燃え殻などのマニフェスト、すなわち管理伝票の提出を求めました。しかし、「指導しておりますが、いまだ提出がありません」とのお答えでした。
 次に六月議会では、その「マニフェスト及び最終処分業者との委託契約書の報告書についても、事業者に再三にわたり指導を行ってまいりましたが、いまだ提出に応じない状況」との答弁で、提出されておりません。
 九月議会では、八月二十四日に事業者からやっと管理票等の写しが提出されたが、結局、燃え殻の管理伝票はなく、焼却灰は「事業場内でドラム缶容器に詰めて保管している」となり、焼却灰の「長期間の保管は廃棄物の適正処理の観点から望ましくなく、適切な処理業者に処理を委託するよう指導している」との答弁でした。
 十二月議会では、焼却灰の適正処分を指導してきたが、「実施されていないため、最終処分場において処分するよう引き続き指導してまいりたい」と答弁されました。
 さきの二〇〇二年二月議会では、「焼却灰の処理につきましては、事業者から本年三月四日に計画書が提出され、ダイオキシン類の分析調査の後、最終処分場において適正に処分されることになってございます」と、二カ月程度で処分が始まる予定でした。しかし、二カ月が過ぎても報告がなく、そのため新宮保健所は五月十七日付で事業者に産業廃棄物処分等の報告を五月二十三日までに提出することを求め、二十七日に報告がありました。しかし、今度は事前協議調査を行っているからと、またも処分は引き延ばされてしまっております。
 また、事業者は昨年八月、新宮保健所に平成十年十一月より平成十三年八月までの期間、二年十カ月分の焼却灰をドラム缶に入れ、百本貯蔵していると書類で報告しました。しかし、二〇〇二年二月議会では、「燃え殻入りドラム缶の現状については、現時点では八十六本」と答弁され、少なくとも十四本はその時点で行方不明です。そして、ことし三月、事業者から平成十四年一月十六日までの分は九十六本と文書報告されました。またこの報告書では、四カ月でドラム缶三十一本の燃え殻が発生しており、三年間で百本としてきた今までの実態とは大きく違います。こんな報告を指摘もせず、指導しないのは納得できません。
 新しい焼却炉が昨年末から稼働しておりますが、その焼却した後の燃え殻はふるいにかけ、細かい灰はドラム缶で保管していることは確認されております。しかし、ふるいに残った燃え殻も管理型廃棄物であるのに、当局は把握していないだけでなく、その燃え殻が地面に放置され、雨にぬれ、地下に浸透する環境汚染を指摘しても放置されたままでした。その燃え殻や木くずなどが埋められたのではないかと住民が心配し、裏づけるような写真もこの議場で紹介いたしました。これらのことが事実であれば環境犯罪です。当然、事実関係の確認や住民の不安に敏速に対応すべきだのに、対応した形跡がありません。新宮保健所も廃棄物対策課もどう対応したか、お答えください。
 今まで指摘してきたことが事実とすれば、廃棄物の不法投棄になり、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によって懲役や罰金の刑となります。刑事訴訟法第二百三十九条では、「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。」、二項では「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めております。だのに、長い間放置して告発をしないのは不思議です。このままでは、この場所がダイオキシン汚染対策地域に指定されても不思議ではありません。橋本の日本工業所の教訓を生かし、行政の責任ある対応と、健康と環境を守る毅然とした姿勢をもって事に当たられることを強く求めるものであります。
 同じ松山の自社処分場について、土木部長への質問とお願いです。
 一九九九年十二月議会で、この資材置き場の一部を道路用地として県が用地取得しました。しかし、その後もその県用地を自社処理場の一部として使用していたので、早急に塀などの撤去をお願いし、部長も「関係者に対して通知、指導を行うとともに、早急な撤去に着手させた」と約束され、くいを打って境界をはっきりさせ、立入禁止にしました。しかし、最近この用地を業者がまた使用しており、なぜ何度も同じことを繰り返すのか不思議です。対応をお願いいたします。
 二〇〇一年九月議会では、この業者が里道あるいは水路を無断使用していることについて、土木部長は「里道を無断で埋め立てて使用することは、国有財産の適切な管理に反する行為と認識しております。(中略)里道を埋め立てて使用している者に対して(中略)引き続き強力に指導を行い、境界を明確化するとともに、適切な財産管理に努めてまいります」とご答弁いただきました。その後、解決されたのか、お伺いをいたします。
 二項目めの、世界遺産登録にふさわしい熊野川についてです。
 昨年の九月議会で、熊野川を清流に戻すため、二津野ダムの撤去を含めた発電停止を求める質問を行いました。その際知事は、「県の幹部を電源開発の方へ派遣して、この問題にいかに地元として強い要望があるかということを(中略)示していきたい」と答弁されました。そして、地元からの陳情など強い要望も踏まえて、昨年十二月四日、電源開発へ副知事を派遣し、実効性のある濁水対策を早急に実施することを強く要望されました。その要望は、特に十津川第二発電所からの放流は、吉野熊野の自然を背景に発展してきた地域の環境を損なっている、濁水軽減対策を実施しているが不十分なものである、そして紀伊山地の霊場と参詣道の世界遺産登録を目指しており、今後、熊野川の清流を再現することは何よりも重要とした上で、実効性のある濁水対策を求める内容のものだったと私は理解しております。
 木村知事の熊野川流域住民の願いへの誠意ある取り組みに本当に感謝するものですが、このような県独自の積極的な取り組みが以前からあったのでしょうか。こうした動きに電源開発は、この六月に今後の熊野川の濁水軽減対策を示しました。しかし私は、この電源開発の濁水軽減対策は従来の濁水対策の延長線上のもので、抜本的な濁水対策にはなっていないと思います。なぜなら、新たな濁水対策を具体的に示さないで、濁質の沈殿促進等に関する研究開発をするとあるだけで、雲をつかむような話であります。結局は、従来やってきたダムの運用の変更が主な対策だと思います。なぜそうなるのか。それは、今まで先人たちが何十年もかけて試行錯誤し、いろいろと対策を講じても、結局解決できないほど困難な問題だからです。今さら特効薬は見つかりません。ですから、私はやるべき抜本対策はもうない。最後の手段として、二津野ダムの発電停止、撤去しかないと言っているのです。今回も、電源開発の濁水軽減対策の一つとして発電停止期間の延長があります。効果は期待できます。ですから、その発電停止を一年じゅうやってもらえば濁水対策は抜本的な解決になるわけです。
 今までの県独自の取り組みと、県は今回の電源開発の濁水軽減対策をどう評価し、今後、発電停止を含む熊野川の濁水対策にどう取り組むのか、土木部長のご答弁をお願いいたします。
 次は要望ですが、毎回お願いしています。世界遺産登録と熊野川沿いの不法投棄の撤去についてです。
 特に、白見の滝付近の違法埋め立て・投棄は、自然公園法にも廃掃法にも河川法にも違反しており、撤去に向けて県当局は努力されていることは十分に承知しておりますが、一層頑張って早急に解決してください。世界遺産登録は、最近、保全に関する審査が厳しくなっており、国内法での保護が前提条件となっていることからすれば、このような自然や環境を破壊する問題を解決しないと、現状では世界遺産登録は夢に終わってしまうのではないかと心配されます。早期の解決を強く要望しておきます。
 最後の項目の、自動車税減免制度についてです。
 私は先日、視覚障害一級のご婦人からの相談を受けました。開口一番、「和歌山県は障害者に冷たいですね」と言われました。何のことかとお話を伺えば、この方が三重県で住んでいたときは、ご主人名義の軽自動車の税金が減免されていたそうです。今度新宮市に引っ越しされ、普通自動車に買いかえ、振興局に自動車の減免申請に行ったら、それがだめだったそうです。なぜ、だめなのか。和歌山県税条例では、運転が困難な身体障害者のために家族などが運転する自動車の名義が、障害者本人が運転できなくても、障害者本人でなければ自動車税は減免されないという仕組みだからです。運転できない人に車の所有者になれとは、少しおかしな話だと思います。運転者が自分の運転する自動車を管理するということは一般的にごくごく当然のことであり、運転資格のない人に税金を安くするために名義を変更させることは、自動車を所有する意味、すなわち車を持つことによって生じてくる義務や責任をどう考えているのか疑問です。運転することのできない障害者に運転や管理することへの義務や責任を負わせることは、たとえ税金対策としても許されるのでしょうか。
 他府県の状況は、減免の条件を障害者本人だけと限定しないで、同一生計者にも枠を広げており、障害者本人以外の名義でも税の減免が条例で認められているのは二十六都道府県、常時介護者運転の自動車では十五府県あります。つまり、同一生計者運転では約半分、常時介護者運転では三分の一の都道府県が障害者本人以外の名義でも税の減免が認められています。近畿でも、京都、大阪、兵庫、奈良では身体障害者本人以外の名義による減免が認められており、ぜひ和歌山でも同じようにしていただきたいと思います。また、県下でも市町村によっては軽自動車税の減免を同じようにしているところもあります。
 紀の国障害者プランには、障害者の社会活動への完全参加と平等の実現のために関係機関は施策の充実に努めるとしております。これを機会に県の条例を改正し、自動車税、自動車取得税の減免対象となる名義を家族などに拡大するなど、いろんな面で条件を拡大していただきいと思います。
 どうか、総務部長の本当に温かい回答を心からお願い申し上げまして、私の第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 中小企業高度化資金貸付に係る現状に至った原因と責任ということでございますが、社会環境や経済状況等の変化に伴い、貸付金に多額の延滞が生じていることは県として厳しく受けとめているところでございます。
 地域改善対策高度化事業は、国の施策として、地域の産業または企業の実態に沿って中小企業の協業化、集団化を推進することにより経営基盤の強化や雇用の安定を図るため、中小企業総合事業団及び府県が協力して行う融資制度でございます。「借りたものは返す」ということが原則なので、きめ細かい回収をする必要があり、現在、事務体制を整備充実し、弁護士と連携を密にしながら、適切な債権管理に努めているところでございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) ご質問の、中小企業高度化資金の未返済に係る九点についてお答えをいたします。
 初めに、一と六は関連のある貸し付け時の審査等についてでありますので、一括してお答えをいたします。
 高度化資金を貸し付けるに当たり、中小企業庁の通達に従い、すべての案件について企業診断を行い、中小企業総合事業団から指導を受けながら貸し付け審査を行っております。また、同事業団による審査も受け、承認を得た上で貸し付け決定を行っており、事務手続上問題はなかったと考えております。
 二番目の競売後の債権管理についてでありますが、一般的に組合資産の競売を行った後に残債がある場合につきましては、債務者等の資産などの状況を把握し請求していくこととしております。
 三番目の倒産組合の対応についてでありますが、繰り上げ償還命令以降、組合が倒産したため、責任者との連絡がとれなくなり、面会するためのいろいろな努力を重ねてまいりましたが、その当時会うことができなかったものであります。放置していたということではございませんので、ご理解をいただきたいと思います。
 四番目の連帯保証人の返済能力と対応についてですが、高度化資金の貸し付けにつきましては、貸し付け対象物件に対し一番抵当権を設定し、債権保全措置を講じるとともに、人的担保として組合員全員が連帯感と責任を持って償還するよう連帯保証を求めているものでございます。なお、連帯保証人の返済能力につきましては、所得証明、固定資産課税台帳登録証明などにより資産状況等を把握しています。連帯保証人への対応につきましては、一般的には抵当物件の資産処分を行った後の残債について連帯保証人への請求を行っております。
 五番目の延滞金いわゆる違約金についてでございますが、違約金は全額徴求することが基本でございます。違約金の充当については、原則、償還金を違約金、利息、元金の順で充当することとなっておりますが、違約金を後で回収することの方が貸し付け先の償還意欲を促し、徴収上有利と認められる場合などがあり、中小企業総合事業団と協議した上で、そのような措置が認められております。ご指摘の延滞組合すべてにおいて違約金が課せられていないとのご指摘ですが、個々の組合にそれぞれ交渉過程があり、その中でまず大事なことは、延滞の早期解消のため元利金の償還に努力をしていただくことだと考え、そのような方法を講じております。しかし、違約金がなくなるというものではございません。
 七点目の追加担保についてですが、貸し付け対象物件の担保資産価値が下がった場合の追加担保につきましては、経済状況が長期に低迷する中、経営環境が非常に厳しくなっており、担保価値のある追加担保の提供は厳しい案件もありますが、基本的には債務者等に担保があれば追加担保の提供を求めていくことにしております。
 八番目の固定資産の評価額についてでございますが、個人のプライバシーにかかわるものであるため、答弁を差し控えさせていただきます。
 九番目の事業用地の事前取得についてでございますが、組合設立前などに組合員が事業用地を一時先行取得する形で購入し、組合が当該用地を取得するケースもございますが、売買価格については提出書類等により審査をした結果、適正な価格であると判断してございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 住宅新築資金の滞納のうち、企画部所管分について一括してお答えをさせていただきます。
 企画部が所管しております同和対策住宅新築資金等貸付事業につきましては、昭和四十六年、国の事業を補完する形で市町村に貸付資金を貸し付けるといった制度として発足をしてございます。
 長期滞納に係る今後の見通しでございますが、現在の経済状況等、借り受け側を取り巻く厳しい状況を勘案すれば、今後なお増加するおそれもあるのではないかと考えている次第でございます。償還状況の格差や長期滞納の問題が市町の財政負担となっていることは私どもも十分認識してございまして、昨年から始まりました現状調査を今年度も引き続き実施し、効果的な対策が何であるか、よく研究をしてまいりたいと考えてございます。
 現在、二十五の市町におきまして、住宅新築資金等貸付制度改善対策和歌山県協議会を組織し、お互いの情報交換や回収に伴うノウハウの取得などについて活動されてございますので、県としましてもこれに積極的に参画し、弁護士からの指導もいただくなど、債権回収や処理に関する知識の向上を図ることにより、より適切な債権管理が行えるよう市町村を指導し支援をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、土木部にかかわる住宅新築資金等貸付事業における滞納につきましては、累計償還率で平成十二年度は九二・七五%であり、全国平均よりも高く、年々向上している状況でございます。今後とも、市町村における債権管理の適正化を図るため、研修等を通じ債権管理力を高めるよう市町村を指導してまいります。
 次に里道管理につきましては、適正な財産管理の観点から、無断占用者を強く指導してまいりました結果、本年四月に境界確定を終えてございます。その後提出された占用許可申請につきましては、土地を利用する上で必要不可欠なものと認め、五月三十日にこれを許可し、管理の適正化を図ったところでございます。
 なお、この項の中の道路予定地の無断使用につきましては、四月下旬に放置物を確認し、現場にて厳重注意の上、直ちに撤去させております。
 次に、熊野川の濁水対策に関する二点の質問に一括してお答えいたします。
 今までの県の取り組みにつきましては、昭和五十三年に設立された熊野川水質汚濁防止連絡協議会の一員として水質汚濁の調査研究を行うとともに、濁水対策について電源開発株式会社に働きかけを行ってきております。その結果、平成二年からは、風屋、二津野ダムでの洪水後の発電停止が実施されてございます。また、平成十三年十二月には、電源開発に実効性のある濁水対策に関する要望書を提出したところでございます。電源開発の濁水対策につきましては、事前説明を受けているところでございまして、正式な回答を受けて評価をすることになります。今後とも、熊野川の濁水対策について電源開発に働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 自然と健康を守る環境行政の実現をの、新宮市松山での産業廃棄物処理についてお答えいたします。
 本年四月以降、場外からの監視を毎週二回から三回行っているほか、立入調査とスカイパトロールを各一回実施し、当該場所における産業廃棄物処理の監視を強化したところでありますが、焼却灰や燃え殻の場外での適正処分がおくれていることなど、対応が十分進んでいないことにつきましては遺憾に感じており、引き続き強く指導してまいります。
 また、本年四月に廃棄物行政に対する県民の信頼を確立するため廃棄物対策課を設置し、不法投棄の撲滅と業者の資質向上に取り組んでいるところであり、産業廃棄物の不法投棄や不適正処理が明らかになった事案につきましては、廃棄物処理法に基づき、行政処分を含め厳正に対処してまいります。また、積極的に県民に情報を公開することで、住民の皆様のご理解とご協力を得て、自然と健康を守る環境行政を進めてまいる所存でございます。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 自動車税の減免制度についてのご質問にお答えをいたします。
 身体障害者等の方々に対する自動車税及び自動車取得税の減免制度につきましては、身体障害者等の方々が自動車を利用することにより支障なく社会生活を営むことができるよう税制上の配慮を加えたものでございます。
 自動車税といたしましては、平成十四年度の当初課税において約九千百台、額にして約三億四千万円の減免、また自動車取得税は平成十三年度で約千百台、額にいたしまして約八千七百万円の減免を行っている状況でございます。また、関係団体の要望等を踏まえ、本年度から減免対象者の範囲を一部拡充したところでございます。
 ご指摘のありました身体障害者等本人以外の方が運転する場合の減免につきましては、身体障害者等が同乗しない利用形態もございますことから、自動車の使用に係る要件として、専ら身体障害者等の通院、通学、通所、通勤のために使用することとされてきているところでございます。このため、当該自動車が専ら身体障害者等のために使用され、減免制度が適正に運用され、課税の公平さが保たれるように自動車の名義を身体障害者等本人に限定しているものでございます。また、使用目的を限定しているのも同様の趣旨に基づくものでございます。
 なお、自動車の名義を身体障害者等本人に限定していることにつきましては、他府県の状況あるいは運用の実態等を調査しながら、さらに研究をしてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 一点、答弁との関係で土木部長、あえて申し上げておきます。
 あそこの県有地の無断使用について、特に四月下旬に放置物を確認して撤去させるということで非常にありがたいんですが、私は六月の最初の時点でも確認をしております。そういうことで、日常化しているようなのでパトロール等を強化していただいて、そうしたことのないように、ぜひお願いしたいと思います。
 また総務部長、答弁をいただきましたけれども、そちらの事情もわかりますが、普通、一家族一台というのは自動車を所有する場合、そうですよね。わざわざ障害者のためにもう一台買ってという、そんな財政的な余裕のある方は結構ですが、そうでない方は一緒に家族で乗るというのが普通ですから、ぜひその家族の一台の車、減免してあげていただきたい。このことを強くお願いしておきます。
 知事に、残念ですが再質問になります。
 私は、原因とか責任をお伺いしたんです。最初に言ったように、本当に厳しい経済状態です。もう本当にわかります。だから、お金を返せない人がたくさんいるのはわかるんです。でも、ちょっとこれは違うんじゃないですか。一%も返していない、一割も返していない人がいっぱいいる。そんな制度そのもの、それは何か問題があったのではないか、こうだれもが考えるんじゃないですか。そのことの原因についてお聞きしているんです。まだ原因が解明されていないんだというのならそれで結構です。そのようなご答弁をしてください。経済状態が悪いから、社会情勢が悪いからということで、この原因とか責任をあいまいにされては困ります。その点で、再度ご答弁をお願い申し上げます。
 部長に対しては九項目すべてにわたって再質問をしたいんですが、する時間がありません。もう簡単に言います。この問題は、昨年の十二月に共同通信が配信をいたしました。それで、新聞に載りましたね。その新聞記事を今見ているわけですけれども、その中でこう書いているんです。「経営破綻しているほか、多くの案件で担保価値が大幅に不足している。同県は担保物件の売却を含む債権回収策の検討を始めたが、最終的に数十億円がこげつく見通しで、一般会計からの損失補てんを迫られそうだ」、こんな内容がありました。さらにもう一つ注目すべきことは、「複数の元同県融資担当者は「同和対策事業としての側面が重視され、採算性だけで判断できず過大な融資を認めた案件が多かった」」、このように新聞で報道をされております。元融資担当者ということは直接かかわった方なのかもしれませんが、その方がこのように新聞記者に対してお話ししたんでしょうけれども、これは新聞記事ですから、その真実性についてはわかりませんが、あっ、そう言われてみればそうなのかなと思ってしまいます。
 そんな状況なんですけれども、少なくとも一点だけ。審査とか事業計画を見ていく──知事に対する質問と同じになりますけれども、それは問題がなかったとおっしゃいましたけれども、問題がなくて、こんな焦げつきになるといったら、一体何をやっていたんですかということになりますよ。五十四組合のうち一組合あるいは二組合とかというんだったらわかります。三十三組合が滞納しているでしょう。一割も返済していないところが六つも七つもあるんでしょう。一%も返してくれていないところが二組合もあるんでしょう。それだのに、適正に審査が行われて問題がなかったというようなご答弁をされたらおかしいでしょう。これからこの問題を解決していかなければならないときに、なぜこうなったのかというときに、どこに原因を持っていくんですか。その点について、再度ご答弁をお願いいたします。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 高度化資金の貸し付けの焦げつきということについての再度のご質問でございます。
 それぞれの貸し付けは、その当時の社会情勢に応じて一定の処理のもとになされたということでございます。しかしながら、銀行でも今、不良債権処理の問題が大変なことになっておりまして、日本の国としてまだ不良債権がどれぐらいあるか、これだけ三年も四年も問題になってきても確定できないような状況の中でございます。
 問題は、今後その焦げつきについて、ガラス張りの中でどのように県民の方々の納得を得ながら回収をしていくかということが大きな問題だろうと考えております。これについては先ほどもご答弁申し上げましたように、弁護士、法律の専門家を交えて適正な債権の回収ということに努めてまいりたいということでございますので、ご理解をいただきたいと思います。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 再質問の審査、計画に問題がなかったという件でございますが、先ほども答弁をさせていただきましたように、この審査に当たっては、国の指導、また国との協議を重ねながら進めておりまして、計画から実際の融資までには二、三年の年月がかかってございます。そういった意味で、経済状況あるいは社会環境が大きく変わっている現在の中でいろんな問題が生じておりますので、こういった結果になったわけでございます。ただ、当時の計画等に当たっての審査につきましては私どもは問題がなかったというふうに考えてございますので、ご了解願います。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 時間がありません。ガラス張りというお言葉を聞きました。本当にお願いします。情報を公開して、本当にだれもが納得できる──仕方がないなということもあると思うんです。そういうような努力をぜひしていただきたい。この回収に当たっている職員の皆さん、大変だと思っております。そのためにも、きっちりと解明をしなければならないなと思っております。ぜひ頑張ってください。答弁は納得したわけではありません。
 以上です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十六分休憩
     ─────────────────────
  午後一時一分再開
○議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 一番新島 雄君。
  〔新島 雄君、登壇〕(拍手)
  〔「ネクタイ、ええな」と呼ぶ者あり〕
○新島 雄君 お許しをいただきました。一般質問も、私が最後になります。凜として、短く、きりりと終わりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 ネクタイの話が出ましたが、きょうのために買ってきました。実は、今までのワールドカップの開催国の国旗であります。ここには「ようこそデンマーク」──和歌山へようこそお越しをいただきましたというバッジをある人にいただきました。つけていかないかんのかなと思いながら、冷やかされながらつけてまいりました。
 八咫烏──日本サッカー協会のシンボルマークです。八咫烏と言えば、日本神話で熊野にお入りになった神武天皇をご先導した戦勝の神様です。なぜ八咫烏が協会のシンボルになったかは定かではありませんが、一説には、日本サッカーの生みの親の一人でもある中村覚之助氏が那智勝浦町の出身であったことに由来するとも言われております。
 私たちの国日本には、何とすばらしい若者たちがいるのでしょうか。景気が悪く、大変暗い話題ばかりのこの時期に、二十三名の若者たちがこの国に光と力を与え、歴史の扉を開きました。
 私は、去る六月九日、ワールドカップサッカーの日本代表対ロシアの勝利の一戦を横浜国際競技場の二階席より、声をからし、しっかりこの目で見てきました。内容は皆さんもご存じでしょうが、なぜか試合終了時には目から汗が出てきました。
 試合当日、関空から羽田に向かいましたが、その飛行機の中には青いシャツを来た若者が数名乗り込んでおり、いやが上にもムードが盛り上がり、羽田から新横浜に移動するバスの中は、大半が応援の人であります。新横浜駅前に着くと、試合開始の五時間前というのに、駅前はジャパンブルーの人の波で埋め尽くされておりました。私たちは早速ホテルに向かい、恥ずかしながら青いシャツに着がえ、競技場へと行ったのを思い出します。実は、和歌山から青いシャツを着ていこうかという話もあったのですが、この年ですので少し恥ずかしくて、それはようしませんでした。会場に着くと六万六千人以上のサポーターで騒然としており、選手が入場するときには、あの大きな競技場が本当に揺れるのをこの肌で感じてまいりました。そしてまたその二日後、この和歌山の地で、そこには知事もおりましたが、私たちの町でキャンプをするデンマークチームが前回の王者フランスを破り決勝トーナメントに進む姿をビッグホエールの大画面で、千人以上の方々と一緒になって喜び合いました。残念ながらデンマークも日本もベストエイトに残ることはできませんでしたが、大きな感動と勇気を与えてくれました。
 聞くところによりますと、デンマークの国旗は世界で一番古くにつくられた国旗だそうでございます。そして、デンマークを和歌山へ招致するのには大変なご苦労があったことと思います。知事、すばらしいチームが本当に来てくれましたね。──何も、直接知事が呼んだわけではないんですが。ただ、ビッグホエールでの勝った瞬間の知事の笑顔、これは一人のサポーターとして本当にすばらしい顔をしていました。教育長、大変な仕事だったと思います。でも、大満足のワールドカップだったのではないでしょうか。しかし、教育長がボール拾いをしたわけでも通訳をしたわけでも、何でもないんですが。ボランティアの人や部下の人たちが裏方として、本当によくやってくれた。そのように思っております。
 そこで、質問です。
 現在、共催国の韓国がベストフォーに勝ち残り、アジア初の快挙をなし遂げ、ますます目が離せなくなったワールドカップ。チケット問題では、開催地の知事が怒りの声を上げていましたが、オリンピック以上と言われるワールドカップに対する知事の感想をお聞かせください。そして、和歌山の地でキャンプを行ったデンマークの地を表敬訪問するのも大変よいことだと考えますが、いかがですか。
 イングランドがキャンプをした淡路島の津名町では、グラウンドの名称を「イングランドサッカー場」にするとか、監督やベッカムなどの像を建てるとか、姉妹提携の話など、たくさんの話題に包まれています。
 知事、サッカー協会の方や有志、関係者と一緒に行きませんか。時期は早い方がいいと思います。議員の中にも行きたいと考えている人はいらっしゃると思いますし、私もぜひ訪問したいと思っております。連れていってあげますよ。一緒に行きましょう。
 続いて、教育長に質問です。
 これだけサッカー熱が盛り上がっている今、次の目標は、和歌山生まれ、和歌山育ちの日本代表選手にと夢が広がります。ところが我が県は、まだまだ指導者やトレーニング施設が不十分です。それは当局も認識していることと考えます。しかし、そんな中で、デンマークの事前キャンプには百七十六名のボランティアが参加をしてくれました。自主的にデンマークを応援しよう、ワールドカップに参加しようと集まった人々であります。中には、仕事を休んでまで参加をされている人がおり、その人のひとみはきらきらと輝いていました。その人に話を聞いたとき、これには多くの物語がある、そんな感じを受けました。
 このボランティアに集まった人たちの組織は、これからどうなっていくのでしょうか。デンマークチームがいない今、自然消滅の形になっていくのでしょうか。何か考えておられるのであれば、お答えをいただきたい。
 もう一点。ボランティアの人たちとキャンプ実行委員会並びに支援委員会が協力して、この感動を一冊の本として発行してはどうかと思います。和歌山にデンマークがやってきた、そんな財産として、誘致運動の経緯や裏話、汗と涙と失敗と笑顔のいっぱい詰まった本があったらと考えます。いかがですか。答弁をお願いいたします。
 次に、デンマークについてです。
 このワールドカップを契機に、すばらしい関係ができたものと考えます。この関係をどう続けていくのか、また日ノ御埼にあるクヌッセン機関長の碑などを通じた今後の友好関係をどうしていくのか、大変気になるところですが、先日、質問もありましたが、もう一歩突っ込んだ形でサッカー以外のスポーツ交流をどうするか、人的交流を考えているか、また観光・物産の面から定期的なデンマーク物産展、また和歌山からデンマークのコペンハーゲンに物産展を定期開催するとか、そのほかにも日本に進出しているデンマークの企業が行っている事業、例えばノボ・ノルディクスという糖尿病の薬をつくっている企業が毎年日本各地で開催しているウオークラリーを和歌山で定期的に開催していただくとか、またヒュンメルという、デンマークの代表チームのユニホームをつくっている会社ですが、この会社が各地で販売促進のためにデンマーク代表選手も参加してサッカー教室が開催をされています。それを毎年和歌山で開催していただくようにしてもらうとか、いろいろ考えることは出てくると思います。
 皆さんのご存じのデンマークの物産には、おもちゃのレゴ、陶器で言えばロイヤル・コペンハーゲン、またビールのカールスバーグ、これらはすべてデンマークの商品であります。また、ビールのカールスバーグにつきましては、ビールの世界三大発明という特殊な技術を持っておりまして、今、サントリーと共同開発もいろいろしているようであります。
 そのように、いろいろ探していけば、もっともっと深いおつき合いができるものと考えをいたしております。答弁をお願いします。
 次は、これからの青少年に対する一つの考え方です。
 いろんなスポーツ、文化、芸術などの大会で、県代表として高校生や中学生または小学生などが全国大会などに出場しています。そのときにいつも頭を悩ませるのは、遠征費用のことであります。保護者の皆さんは寄附を募るのに走り回り、頭を下げて何とか費用を捻出します。十分できないときは、かなりの出費になると聞いています。今回のワールドカップを見ていても、大きな感動を与え、大きな刺激となり、地域や学校が一つになる大きな要素を持っている青少年の活動に拍手を送るだけでなく、金銭的な援助があれば大変うれしく思います。
 そこで、現在、県代表として出場する場合、県よりの補助金はどの程度出ているのか、また今まで以上に応援すると考えておられるのか、お聞かせください。財政厳しい折ですが、和歌山の名を高めるのですから、冷たいご答弁はご遠慮いただき、未来とあすを担う和歌山の青少年に温かい愛の手を差し伸べていただきたいと思います。
 次です。先ほども申し上げましたが、私は横浜国際競技場で六万六千人以上のサポーターが試合開始の前に大きな声で国歌を合唱するのを、自分も含め、この目で見てきました。一緒に歌ってまいりました。もちろん、選手たちも歌っていました。あの熱狂しているサポーターが全員、大きな声を張り上げて国歌を歌うのです。それは、埼玉の競技場でも、長居競技場でも、仙台でも同じだったと聞いています。なぜなのでしょうか。私は、ここに教育の原点があるように感じます。顔には日の丸をペイントして国歌を歌うのです。若者たちにとって一種のファッションかもしれませんが、皆が国歌を歌うことによって一体感が生まれ、力を合わせて頑張ろうと感じてくるものです。学校教育の中で歌えと強制してもあれだけ歌わない国歌が、サッカーを行う競技場では皆が大きな声で合唱するという現実をどう考えるか。そして、そんなすばらしいモチベーションを教育の現場にも望むものであります。答弁をお願いいたします。
 次の質問に移ります。「夫婦別姓を考える」。
 平成八年二月二十六日、法制審議会総会にて、民法の一部を改正する法律案要綱が決定をされています。その中に、結婚の際に希望すれば夫婦は別々の姓を名乗ることを認めるという選択的夫婦別姓制の導入を採用したことから始まります。そのときまさに国会に上程されよとしていたこの改正案は、反対意見も根強く、上程されないまま現在に至っております。この法案は、民法改正を考えている法務省とは別に、男女共同参画会議が平成十二年暮れに提出した答申の中に、十年以内に夫婦別姓制を導入することを求めています。
 昨年七月に国の行政機関において職員の旧姓使用が通称として広範囲に認められるようになり、現在、和歌山県庁においても認められております。あくまで通称としてであります。
 本日は、議場にいらっしゃる先輩・同僚議員とともに、また当局の関係者だけでなく、国家、地域、家族を考える上で大変重要なことと考えますので、一緒に考えたいと思います。
 アリの穴から堤の崩れ──この法案に対して、私はそんな思いを持っています。そんな大げさなと思われるかもしれませんが、ちょっとしたことで事態は大きく変わります。男女共生は崇高なことです。しかし、男と女は同じではありません。本当に女性は男と同じになりたいと思っているでしょうか。私は、そうは思いません。多くの女性はそんなことを考えていないと思います。我々男性から見れば、愛すべきは女性です。
 平成十三年五月に内閣府が「選択的夫婦別氏制度に対する世論調査」を行い、八月五日付の各紙にて発表されています。各紙とも、国民世論が夫婦別姓制度の導入に大きく踏み出したような印象を与える紙面となっています。では、今回の調査の内容をよく読んでみたいと思いますし、大変僣越ですが、皆さん方に同じ質問をさせていただきますので、お考えをいただきたいと思います。
 四つの項目があります。一番、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字を名乗ることができるよう法律を改めても構わない、二番、夫婦は同姓を名乗るべきだが、婚姻前の名字を通称として使えるように法律を改めることは構わない、三番、夫婦は同じ姓を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない、四番、わからない。この四項目であります。各項目の割合を申し上げます。一番四二・一%、二番二三・〇%、三番二九・九%、四番五・〇%。
 ここで、内容を考えたいと思います。私は、一と答えた人の中には、法律を改めてもよいけれども、私は夫婦別姓をしませんと考えている人が何割かいると思います。また、考えの中には、必要としている人があるのならばその人たちのために法律を改めても構わない、そう考えた人が多いと思います。また、二番を選ばれた方。通称なら認めてもよいが私には関係ない、だから通称は認めてあげてもいいよと考えている人が多くいると考えます。ところが、新聞の紙面は、一と二を足して六割以上の方が容認をしている、夫婦別姓制に賛成しているという論調が各紙の紙面をにぎわしております。質問の問題点は、私はここにあると思います。世論調査は本当に国民の意見なのかと考えてしまいます。なぜ、夫婦別姓についてあなたは賛成か反対かと質問しなかったのか。おかしな世論調査と言わざるを得ません。
 こんな質問もあります。婚姻により名字が変わった場合、不便が生じると答えたのは四一・九%、生じないは五二・九%となっています。その内容を未婚・既婚で分けると、未婚者では不便が生じると答えたのが五〇・三%、既婚者では不便が生じないが五四・四%と逆転します。ということは、未婚者では将来不便が生じるのではないかなと考えるが、既婚者はそんなことないよという結果だと私は見ます。
 次に、家族という観点からの調査結果では、別姓の場合、夫婦間の子供に何か影響が出るかとの質問では、出ると答えた人は六六・〇%、出ないは二六・八%、子供同士の名字では、異なっても構わない──二人子供がおれば、別姓の場合、選択が二つできるということでありますので、異なっても構わないが一二・二%、同じにすべきが六七・五%。しかし、この法案が通ると、夫婦別姓は親子別姓になるわけです。家族そのものに悪影響が出ると考えられ、また親子関係に悪い影響が考えられます。国民の大半が危惧する夫婦別姓は、文部科学省がよく言う家庭での心の教育と相反するものであります。
 私は、少数意見を切り捨てると言っているのではありません。どうしても仕事上不便が生じたり、何らかの問題がある場合は通称使用を認めることで解決することであり、原則として夫婦・親子は同姓であると考えますし、また一般の国民意識とはかけ離れたところで物事が決まっていくことに大変不安を覚えています。
 そこで、質問というより当局に意見を求めます。
 県庁内にも通称名を使用している人がいると思いますが、和歌山県の方針をお示しください。また、県民世論はどう考えていると思うか、世論調査はするのか、国に対する対応はどうするのか、答弁をお願いいたします。
 最後に、夫婦別姓の民法改正に対する反対・慎重の意見書決議や請願・陳情を採択した議会数は、全国で七県議会、六十四市議会、二百八十九町議会、六十七村議会、合計四百二十七議会となっていることを申し添え、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの新島雄君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのワールドカップ、そしてデンマークが和歌山でキャンプを張ったことについての感想ということでございます。
 今回のワールドカップ、和歌山県は非常な努力の結果としてデンマークのキャンプ地招致に成功したわけですけれども、これは本当に心の底からいい国が来てくれたなと。そしてまた、その国を迎えるのに県民の人、いろんな形──通訳であるとか、サポーターであるとか、ローリガンというのを組織した人たちもいました。いろんな形で交流が深まった。そして、その和歌山県民の気持ちをデンマークのチームの人たちも受けとめてくれた。中でも私が一番うれしかったのは、一次リーグを戦った韓国の地で、自分たちは和歌山へもう一回帰りたいから頑張っているんだということを記者会見なんかで言ってくれたと。これは本当にお互いの気持ちが、相思相愛というかつながったんだなというふうな感じがしました。私も、そういうことで何度も練習しているところへも足を運びましたし、二万人の人が来てくれたテストマッチにも行きました。そして、デンマーク大使館でのレセプション、それから新潟へも応援に行ってきました。新潟は、本当に残念でした。実は、新潟で応援したとき、ちょうどイングランドの国旗とデンマークの国旗は逆さまにしたような形なんですけれども、その新潟の競技場は九九%までイングランドの応援という中で、和歌山から百何十人ぐらいの人が応援に行ったと思うんですけれども、そういう人たちがデンマークの国旗を垂らして、まあ多勢に無勢でしたが、一生懸命応援をして、そして武運つたなくデンマークは敗れたわけですが、敗れた後も、ここが本当に立派だと思うんですけれども、選手たちが疲れているのに和歌山の応援団の前まで行って、よく応援してくれたというふうな形で対応をしてくれました。
 本当にいろんなことで、私はこのデンマークが和歌山でキャンプを張ったということは大きな意味があったと。和歌山のサッカーの歴史にも一ページを築くことになったと思います。そしてまた、国際交流という面でも非常に成功した例だというふうに考えているわけです。
 そして、そのデンマークのことだけ言ったらいけません。日本のチームも非常によく頑張りました。ベスト十六まで行って、今後のワールドカップでのアジア勢の活躍に大きな期待が持てるような状況になりましたし、そしてまた共催国である韓国が今ベストフォーまで来ている。これも本当にうれしいことです。私は、できたら決勝まで進出して、場合によって優勝もしてくれたら、アジアのサッカーの力がこんなにすごいんだということを全世界に発信できるということで非常に喜んでいるわけです。
 こういうふうなことで、県民の努力もあって非常に成功した和歌山県のデンマーク招致ですけれども、これを一過性のものに終わらせることなく、非常にいい国なんで、何とか今後もつないでいくというふうな方向を私は考えたい。
 先ほどご提言にありました、こっちへ来てサッカーの指導をしてもらうなんていうのも非常にいい考えだと思いますし、どんなやり方があるのか考えていきたいと思いますけれども、本当に意味のある、こういうふうなみんなの中から盛り上がった国際関係というものを今後ますます育てていくような努力をしていきたいと思いますし、また私自身も機会があればデンマークの方へ行って、そういうふうなことの話をしていきたい、そしてまた大使館の大使の方などとももう友達になりましたので、そういうふうな話もしていきたいと、このように思っております。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) デンマークとの物産・観光面の交流についてお答えをいたします。
 商工労働部といたしましては、デンマークのキャンプ受け入れにおいて、デンマーク語の観光パンフレットを作成するとともに、デンマークプレスを対象とした観光案内などを実施し、本県の魅力を積極的にアピールをいたしました。また、受け入れ側の意識を高めるために、タクシーを初め観光事業者に「おもてなしミニ会話集」を配布いたしました。さらに、キャンプ期間中には、神戸にあります在日デンマーク通商代表事務所長が来県され、案内いたしましたところ、和歌山に大変興味を示されました。
 こうしたワールドカップを契機に芽生えたきずなを大切にはぐくみながら、今後、議員ご提言のように、和歌山の観光や物産をデンマークに紹介したり、北欧の風土が感じられるデンマークの物産を県民の皆様に紹介するなど、幅広い交流ができるよう考えてまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 夫婦別姓に関する県の方針並びに国に対する対応等についてのご質問にお答えします。
 社会の制度や慣行が男女いずれかに不利な影響を及ぼすことのないよう配慮を行うことは必要なことですが、夫婦別姓の問題は国民生活に広く深くかかわるテーマであり、男女の平等や社会参画といった観点だけでなく、これまで日本が培ってきた文化、家族や親子の関係を初め、さまざまな角度からの国民的議論が必要であると考えるところです。県といたしましては、その推移を見守ってまいりたいと考えます。したがって、国等に具体的な働きかけを行う予定はしておりません。
 なお、県職員から職場での旧姓使用についての申請があった場合は、名刺、出勤簿、起案文書等での旧姓使用を認めているところです。
 次に県民世論及びその調査に関するご質問ですが、この問題に関しては、県民の方々にもさまざまな考え方があるものと思います。夫婦別姓の問題のみを取り上げた調査の予定はございませんが、この問題に限らず、県民ニーズを把握することは施策を進める上で必要と考えております。
 夫婦別姓の問題につきましては、今後、県民の皆様の関心の高まりを見ながら、必要に応じて県民意識調査等を行う際の検討事項として考えてまいりたいと考えます。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ワールドカップサッカーについてでありますが、今回のデンマークチームの本県でのキャンプは、県サッカー協会を初め多くの関係団体、さらにボランティアの皆様方のご支援をいただいて大成功のうちに終了できたと思っております。公認キャンプ地としての責務を全うできたと考えております。
 特に、遠くは東京や埼玉などからも参加した百七十六名という多くのボランティアの皆様には、暑い中、献身的に活動していただきました。
 デンマークチームはすべての練習を公開したことから、連日多くの見学者が詰めかけ、その整理・誘導等に大変ご苦労をおかけいたしましたが、デンマークチームのオルセン監督からもその行動に高い評価をいただいたところでございます。
 ボランティアにつきましては、今回限りということで募集した経緯もありますが、キャンプ終了後、このうちの約二十人の方々は引き続き通訳ボランティアとして世界少年野球大会に協力していただくことになっているなど、今後、さまざまな機会にお願いをしてまいりたいと考えております。
 また、議員ご提言のさまざまなエピソード等についての本の出版につきましては、今後、報告書など、何らかの形で今回のキャンプの経緯や裏話等を含めた記録を残していきたいと考えているところでございます。
 次に、キャンプ終了後のこれからのデンマークとの友好関係をどのに発展させていくかということでございますが、スポーツ面、人的な交流について極めて重要であるというふうに考えております。
 これまで、このキャンプの招致に当たって、例えばデンマークという国がどういう国なのかということについて県民の皆様方に知っていただくという意味で講演会を開催したり、PR用チラシや国際Aマッチの際に発行しましたパンフレットにデンマークについての紹介を入れたほか、さまざまな活動を通じてデンマークについての理解の深まりをやってまいりました。
 その上で、この八月に本県の紀南地方を中心に世界少年野球大会が開催されるわけでありますが、当初、デンマークからは参加する予定になっておりませんでした。キャンプ終了後、急遽デンマークからの参加が特別にできるよう主催者側に要請をいたしまして、このほど了解をいただいたところでございます。さらに本年十一月には、本県教職員が海外教育事情視察に際してデンマークを訪問することになっております。その際、現地の学校で野球教室や柔道教室を開く計画をいたしております。
 このような交流を行うことにより友好関係の基礎をつくり上げてまいりたいと考えております。
 なお、お話のありましたウオークラリーやサッカー教室等については、その実現等に向けて研究をしてまいります。
 次に、本県の子供たちがスポーツ・文化面などの各種全国大会に和歌山県の代表として出場し、活躍してくれることは、大変意義のあることでございます。このため、全国大会等への派遣に要する経費の一部を工夫を凝らしながら関係団体を通じて精いっぱい補助いたしているところでございます。
 スポーツ・文化活動は、豊かな人間性や多様な個性の育成に資するものであり、今後ともその振興に努めてまいります。
 最後に、我々国民が、学校教育はもとより、さまざまなスポーツイベントを通して国歌を大きな声で歌うことは大切なことであると考えております。今回のワールドカップにおいて、日本の選手を初め多くの観客が声高らかに国歌を歌う場面が見られたことは大変感動的なことであり、子供から高齢者までの幅広い世代に国歌がより身近なものになったと確信いたしております。
 このように、多くの人々が心を一つにして大会を盛り上げることができたのも、スポーツの持つよさであると考えるものであります。本県のさまざまな大会におきましても、参加者が心を込めて国歌を歌えるよう、今後とも積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 一番新島 雄君。
○新島 雄君 知事、デンマークへ行きますね。━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ただ、教育長、私は知事に行け行けと言っていますが、知事だけに行っていただいてもいいんではないんで、教育長もぜひ機会をつくって行けるようにお願いしたいと思います。
 それと教育長、県代表として子供たちが県外へ遠征をします。その折の、補助金という名前で言うんですが、子供らにとったら一種の奨学金ですよね。これは勉強に値する費用なんですから、その辺のことをもう一度──まあ人をつくるために。人をつくらずして国滅びますから、そのことをもう一度ご認識をいただきたいと思います。
 それから、環境生活部長。実は二月の議会でも吉井議員から、男らしさ女らしさというような質問がありました。ちっちゃな話かもしれませんが、そこからどんどん崩れていっている今の我が国であります。このまま行けば国が滅びます。大変なことです。国が言っているからといって地方は知らん顔をできないです。大変大事なことは、地方から責任を持って国に対して意見を述べる。その必要性があると思います。男らしさ女らしさがだめなら、大人らしく子供らしく責任世代として頑張りましょう。もっと十分な議論を望みます。
 以上、要望であります。終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新島雄君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
  【日程第三 議案等の付託】
○議長(井出益弘君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。六月二十五日、二十六日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、六月二十五日、二十六日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、六月二十七日定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時四十五分散会

このページの先頭へ