平成14年6月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(堀本隆男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 お許しをいただきましたので、早速、一般質問をさせていただきます。午前中の原議員の地震の質問とは少し重複するところも出るかと思いますが、ご容赦ください。
 最初に、東南海・南海地震への対策について伺います。
 昨年九月に発表になった政府の地震調査委員会の分析は、東南海と南海地震が今後三十年以内に四〇%の確率で発生することを明らかにしました。いよいよ南海地震対策が待ったなしの状態になっています。
 先日、知事も出席されていました「激震が襲う日」というテレビシンポジウムを私も見ました。その中である著名な学者は、一七〇七年と一八五四年に起こった巨大地震は、東海、東南海、南海の三つの地域が同時に動いて起こった地震だったことを取り上げて、この三つの地震は本来同時に起こるのが普通であって、ばらばらに起こるものではないんだということを強調されていました。政府の中央防災会議のメンバーも出席されていて、やはり三つの地震は同時発生するかもしれない、国もこれまでの考えを変えて対策を進めるとの発言がございました。さらにこのシンポジウムでは、内陸の活断層による直下型地震についても警告がありました。兵庫県南部地震を皮切りに、西日本は地震の活動期に入ったと言われています。そして、約五十年後に起こる南海地震あたりまで危険な状態が続くと言います。その間は、およそ五年に一度は大きな地震が起こるというのが前回の活動期の状況でした。今回も兵庫県南部地震を皮切りに、一昨年の鳥取県西部地震、昨年の芸予地震と、シナリオどおりの発生をしています。和歌山市から紀の川沿いに走る中央構造線は、学者に言わせると世界に誇れる第一級の活断層だそうで、およそ二〇〇〇年周期で動きますが、ここ千数百年は動いたことがないという大変不気味な存在であります。今回の活動期に動く候補になっているそうであります。大津波を伴う巨大地震と県庁所在地を襲う直下型地震、和歌山県の地震対策はこの二つを相手にしなければならないのです。
 実際、政府の中央防災会議は、今、東海、東南海、南海の三つの地震が同時に起こったケースも含め、各ケースごとに各地の震度と津波の高さを割り出す予測作業中で、その資料がことしの秋にまとまり、被害想定を発表する予定になっています。和歌山県内での具体的な対策はそれができてから、あるいは知事が昨日発言されたように、南海地震への特別措置法が成立してから、今までの対策を仕切り直しして再検討することになると思います。しかし、少なくとも今からすぐにできる対策を確実に進めることが必要であります。人的な被害の規模は、地震が起きた直後から三十分以内の対応によって大きく左右されます。今回の私の質問では、その時間帯への対応に絞って議論をしたいと思います。
 その点でまず第一に、倒壊する家屋に押しつぶされないこと、第二に、津波からいかに早く逃げるかということが重要だと考えています。
 まず第一の、家屋の倒壊を防ぐ対策について伺います。
 県の防災計画の予想でも、南海地震では、県南部の地域で震度七、和歌山市周辺でも震度六弱が予想されます。また、中央構造線が引き起こす直下型の地震では、和歌山市周辺で震度七の予想が出ています。これらの地震での住宅の倒壊は、阪神・淡路大震災並みになるかもしれません。個人の住宅については、昨年度まで耐震診断への補助事業がありましたが、先ほど議論があったように余り人気がなく、本年度から廃止になりました。耐震診断だけしても、実際の住宅の補強には多額の費用がかかり、そこまでできないということだと思います。私は、この際、静岡県がやっているような古い木造住宅の補強に補助を出していくことを求めたいと思いますが、土木部長のご答弁をお願いいたします。
 第二に、津波からいかに早く逃げるかということであります。
 県の防災計画では、マグニチュード八・四の南海地震の場合、最も波の高い地域で八メートルを超える予想が出ています。また串本町では、たった十分で四メートル前後の津波が押し寄せると言います。
 昨年十一月に行われた日本災害情報学会の「南海地震に備えて」というシンポジウムで、東京大学地震研究所の阿部教授は次のように述べています。「前回の南海地震がマグニチュード八・一、想定される次の地震がマグニチュード八・四。マグニチュードで〇・三の差というのは、地震のエネルギーに直すと約三倍です。昭和の南海地震が三つ同時に発生したようなエネルギーを持つことになる。津波の高さから言うと二倍くらいになる。現在、当時の経験を持って生きておられる方は、昭和の南海地震は経験したけれども、次の地震はそれが再現されるというより、むしろ危険性はもっと高くなる。地震の規模が大きいということは、強い揺れの領域が広がるということで、昭和の南海地震は当てにならない。津波の発生域も広がる。そのため、過去に津波が何分後に来たということも、地震が大きくなるともっと早く来る可能性がある。前回十分後に津波が来たといっても、今回は五分後かもしれない」、このように言って警告を発しております。
 また、同じシンポジウムで高知県の消防防災課の職員は、次のように述べています。「実際に芸予地震があって、そのとき高知市では震度五弱でした。その瞬間には、これが南海地震か何地震かは当然わからないわけです。ずっと、沿岸地域の人には避難訓練ということで、揺れたらすぐに逃げましょうということにしていたけれども、皆さん、ラジオ、テレビをつけてじっと見ている。津波なしと出るまで八分かかりましたが、八分というと既に津波は到達している。そういうものを待って行動していては遅い。実際、みずから避難した人は一人しかいなかった。情報というものを当てにし過ぎたために命を失うケースが出てくる。揺れたら逃げるということがどれだけ徹底しているかが一番の心配です」、このように述べて、住民の主体的な判断の重要性を述べています。
 したがって、今後、住民には地震が来たらすぐに高台に避難すること、できなければ近くのコンクリート製の建物の三階以上に避難すること、この周知徹底を図らなければなりません。また、前回の南海地震より震度も津波も大きくなるということを、ふだんから住民に意識づけをしておく必要があります。その一環として私が提案したいのは、例えば、今、海岸部の市町村に行きますと、昭和南海地震の当時に津波がここまで来ましたという石柱なんかが立っていて、赤いラインで到達の線が引かれているんですけれども、それを見て住民は日々警戒しているわけです。しかし、今度に限って言えば、それ以上のが来るかもしれないということなんです。ですから、次の南海地震で予測される津波の高さ、これは秋に出るそうですが、これも同時に標示することによって、ふだんから住民に、今度のは危ないよという意識づけをきちんとしておくことも必要ではないかと考えています。その点について、総務部長のご答弁をお願いいたします。
 次に、避難場所に指定されていることの多い公的な建物の耐震診断の進捗状況はどうなっているでしょうか。おくれているのなら、今後どのように推進していくのでしょうか。さらに、避難場所で心配なのは、休日や夜間など、建物にかぎがかかってあけられない状態にある場合一体どうしたらいいか、この声も串本町でせんだって聞いてまいりましたが、そうしたことへの対策はどうなっているでしょうか、答弁をお願いしたいと思います。
 次に、子供たちへの教育について伺います。
 地震は、それこそいつ起こるかわかりません。時と場合によっては、たとえ小さな子供たちでも、自分の命を守るための主体的な判断が必要になる状況が生まれてきます。学校教育の中で防災訓練の実施などはもちろんですが、学校外にいるときの対処の仕方、あるいは地震と津波の科学的な理解を進める必要があるのではないでしょうか。教育長の答弁を求めます。
 この問題の最後に、東海地震への対策について若干伺います。
 東海地震については、さきに地震防災対策強化地域が拡大され、三重県でも熊野市までの海岸の市町村が指定をされています。この東海地震の強化地域に入ると、東海地震の警戒宣言が政府から出された場合に、あらかじめ決めておいたマニュアルに従い、交通や安全管理の面でいろいろな規制が行われることになっています。しかし、東海地震による津波が来るのは、新宮市から串本町にかけての海沿いの市町村も同じであります。指定地域では警戒宣言による規制がかかっているのに、こちらはふだんどおりというわけにはいかないと思います。鉄道や交通、ライフライン、さらには小中学校での対応などさまざまな検討課題があると思いますが、そのマニュアルをつくっておく必要はないでしょうか。答弁をお願いいたします。
 次に、ホームレスの問題について伺います。
 先日、田辺市内にいましたホームレス状態にあった方が、もう腰が痛くてどうしようもなくなって、生活保護を受けたいんだという旨相談がございました。早速、市や県の福祉事務所と相談いたしましたが、まず住むところを決めてくださいとの指導でありました。また、入院が認められるような健康状態なら入院した時点で職権保護ができるとのことでしたが、その方は病院には行っていたものの、薬を出されただけの状態でした。私は、仕方なく、知り合いに頼み込んで、アパートの一室を借りて、そこの住所から生活保護の申請を現在しているところです。たまたま相談に乗りましたので、あれこれと手を尽くすことができましたが、例えば、もし仮にそうしたホームレスの方が一人で相談に行ったとき、まず住所を決めてくださいと言われればどうでしょうか。せっかく福祉事務所を訪ねたが、やはり救われなかったと悲観するのではないでしょうか。白原部長、住所が定められないからホームレスをやっているんじゃないですか。こんなひどい話はないと思います。
 私は、こんなはずはないとその後いろいろ調べてみますと、厚生労働省も、今不況のもとで大変な事態になっているということで、昨年三月の全国の担当課長会議ではっきりと見解をこのように出しています。少し読んでみます。「ホームレスに対する基本的な生活保護の適用について」という資料ですが、その中に「居住地がないこと(中略)のみをもって保護の要件に欠けるものではない」、このようにきちんと書かれています。ちゃんと、ホームレスの状態でも保護はできるんだということだと思います。でも、現場での運用は必ずしもそうなっていないというのが実情であります。以下、福祉保健部長に質問いたします。
 一、各福祉事務所別のホームレスの状況は把握されているでしょうか。
 二、ホームレスの方が生活保護を申請した場合の対応が間違っているのではないでしょうか。
 三、ホームレスの方が相談に行ったときなど、公営住宅の空き部屋の活用などをして、一時避難できるような対応が必要ではないでしょうか。答弁をよろしくお願いいたします。
 次に、市町村への総合交付金制度の創設について伺いたいと思います。
 聞きなれない言葉だと思いますが、例を挙げて言いますと、今お手元にお配りしております鳥取県のパンフレットがありますが、中山間地域活性化交付金というのがございます。過疎地の住民がみずから集落を元気にするアイデアに、県と市町村が一地域当たり三年間で最大二千万円を交付する制度になっています。お金を出す側がメニューを限定しない自由さが売り物になっています。二〇〇一年度は十三地区の採用を予定していたらしいですが、申し込みが殺到し、補正予算を組んで対応したといいます。
 この事業の適否については、一、住民が広範な参加をした話し合いのもとに計画されているか、二、計画が住民合意を得ているか、三、将来にわたる継続性があるか、この三点で県や市町村が各集落の計画を判定して採択します。しかし、中身には口を挟みません。行政が住民を信頼するやり方で、当然その裏返しとしては住民には自己責任がつきまとうのです。いいか悪いかは別にして、鳥取県の担当者は市町村を均等に支援することは考えていない、こうはっきり言っていて、この制度は集落や市町村に創意工夫の知恵比べを迫っています。
 そして、この交付金をもらうのに欠かせない取り組みが地域住民の参画によるワークショップの開催であります。ワークショップとは、みんなで寄り集まって自由濶達に意見交換しながら計画を練り上げていくやり方であります。住民みずからが地域の資源を掘り起こし、問題点を明らかにするために、子供から大人まで参加する意見交換の場を持っています。このワークショップ方式は、今各地で地域おこしの原動力になっています。岩手県では、それを「地元学」と呼び、県の総合計画の中で推進を図っています。岩手県の総合計画は、次のように述べています。「住民が何げなく過ごしてきた地域には、実は貴重な資源が存在しています。こんなものがと思うような当たり前のものが、実は地域外の人々にとっては新鮮で価値あるものだったりする。それを見出すことが地元学の第一歩です」、このように書いています。お隣の三重県では「三重ふるさと学」と言っていますが、こうした取り組みを市町村職員の研修の場として取り入れているようです。「仏つくって魂入れず」というような、今まで余りにもこのような補助事業が多かったのではないでしょうか。これからは、まず行政がしっかりお手伝いをして、地域の魂をつくった上で仏さんをつくる。この方法が税金のむだ遣いをなくすためにも有効であると考えます。
 和歌山県にも振興局単位ではそうした趣旨の補助金がございますが、まだまだ不十分だと思います。市町村への総合交付金制度の創設、及び住民がみずからの地域を元気にするためのワークショップの開催を推進していくことを提案いたしますが、知事の考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、観光地バリアフリー情報のPRについて伺います。
 今、観光地ではホスピタリティー、いわゆる温かくもてなす心の重要性が言われています。どんなに設備が豪華な施設でも、お客さんに対して心のこもった対応が行われなければ満足されないという接客の基本がこの言葉の背景にあると言われています。ホテルなら接客、部屋の掃除、食事などを一つのまとまりとしてお客は評価するそうです。
 なぜこんなことを言うかというと、私の地元の県内最大の観光地の一つである白浜町を振り返るとき、この温かくもてなす心が欠けていはしないかと心配しているからです。特に夏場は、早朝、深夜を問わず、どこもかしこも車だらけやごみだらけになって、かつてならカランコロンとげたの音がして、お客さんがにぎやかに歩く音がうるさいぐらいでしたが、そんな音の風景も今は車によってかき消されているような状態です。町内にあふれ返る車を減らせば、お客さんにとっても住民にとっても居心地のいい町になりますが、しかしそれではお客さんが減ってしまいます。この相反する課題を解決できないかということで、先日私は地方新聞の紙上に投書をいたしまして、旧白浜空港の跡地利用についての提案を行いました。要点を言えば、かつて白良浜と旧空港付近を結んでいた白浜ロープウエーというのがありましたが、これを復活させて、その上で夏場の車の渋滞対策として空港跡地の一部を駐車場として無料開放し、町内にあふれる車を誘導する、そこでロープウエーに乗りかえ、旧空港から白良浜までの約四分の空中散歩は大変楽しいと思うのです。もちろん、ロープウエーの採算をとるためにも、一年を通してお客がなければなりませんから、町民からも、また合宿に訪れる大学のスポーツクラブなどからも大変要望が強いスポーツグラウンドを含めた公園を空港跡地につくってはどうかと提案しています。今後、県当局にも知恵をかりたいと思っていますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 さて、このホスピタリティーの問題で考えさせられることがありました。この前の日曜日には、白浜町で介助犬についての講演がありました。飼い主の名前は木村さん、介助犬の名前はシンシアといい、その方面では知る人ぞ知る有名人と有名犬であります。介助犬とは、体の不自由な人の手や足のかわりとなって働く犬のことです。折しも、五月二十二日には超党派の議員立法で身体障害者補助犬法が国会で成立したばかりであります。盲導犬や聴導犬、介助犬などは、今後、公共施設でも民間施設でも堂々と同伴できるようになってまいります。もちろん、観光地としても、介助犬など同伴の方にも開かれた観光地としてのPRが今後欠かせなくなってまいります。
 その点で、最近の三重県の観光PRを見たんですけれども、大変よくできているなと感じました。ここに「三重バリアフリーレジャーガイド」というのがあるんですけれども、各施設について、車いすでの利用や介助犬の同伴の可否についても記載をされています。「誰でも、行けそう、楽しそう」というのがキャッチフレーズになっていまして、三重県ですから中尾ミエさんを表紙にしていることがしゃれになっているんですけれども、いろいろな障害がある人でも、あちこち観光できますよという意思表示といいますか、地域全体でホスピタリティーあふれる観光地としてのPRを展開されています。和歌山県でも、バリアフリーを強調することは得になっても損はしないと思います。
 観光地のバリアフリー化並びに体験型観光にもバリアフリーメニューを取り入れること、さらにその積極的なPRについて、今後の決意を商工労働部長にお尋ねをしたいと思います。
 最後に、JRきのくに線の合理化問題について伺います。
 このJRの問題については、昨年十二月議会でも取り上げ、大きな問題になりましたが、早くも次の合理化計画が提案されているんです。今度は、きのくに線の御坊から紀伊田辺間の普通電車をワンマン電車にしようという計画で、予定ではこの十月のダイヤ改正で導入されるようであります。基本的に、ワンマン電車は安全上二両編成になっています。今は四両編成で運用されていますから、利用者に不便にならないか私は心配しています。何よりワンマン運転では、あの悪名高い田辺から新宮間のトイレなし電車の例がありますから、どうなるのか大変危惧をしております。私はこの話を労働組合の方から伺いましたが、この問題では知事にも骨を折っていただき、県とJRとの十分な協議をするようになっているはずです。今回の合理化計画を県としてどのように把握され、またどう対応しようとされているのか、企画部長に明快な答弁をお願いしたいと思います。
 以上で、第一回の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの元気が出る地域づくりの交付金、こういうふうなものを和歌山県も取り入れたらどうかというご質問です。
 和歌山県でも、これに類するような小さな規模のものはあるわけですけれども、これからのいろいろの仕組みというのは、NPOであるとか、地域の住民が自分たちで地域をつくっていく、そういうふうなものに県が支援するという形でなかったら、本当に補助金などがむだになっていくというようなことがあります。
 先般、和歌山県でも根来山げんきの森がオープンしました。これは大々的なもっと大きな公園にする予定だったんですけれども、今回その一部をオープンしたわけです。これについては、私もオープンに行きましたけれども、その整備に住民とかNPOの人たちが参加しており、それゆえにその人たちが物すごくその公園を大事にする気持ちが強いということで、非常にうまくいっているということもあります。そういうことですので、これは非常にいいご提言だと思いますので、和歌山県でもこういうふうな方向をいろいろ取り入れてやっていけるような形で考えていきたいと、このように思っております。
○副議長(堀本隆男君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 地震対策のうち、住宅の安全性についてお答えいたします。
 昨日、特別法が国会に上程され、地震防災対策の必要性が改めて強く認識されているところでもあり、古い木造住宅の耐震対策は重要であると考えております。そのため、耐震診断につきましては、ホームページを開設し、簡易に耐震診断できるプログラムを提供してまいります。また、耐震対策に要する改修費用につきましては、住宅金融公庫等の融資制度の活用を推奨してまいりたいと考えております。
○副議長(堀本隆男君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 東南海・南海地震対策のうち、住民へのふだんからの意識づけが必要ではないかというご質問でございます。
 県では、地域防災計画の策定に当たり、その前提となる南海地震の地震想定を、過去に発生した最大規模のマグニチュード八・四として、各地域の震度分布の予測あるいは津波浸水想定を立てているところでございます。住民への啓発も、当然のことながらこの想定を前提として行っているところでございます。例年、防災安全地方講習会、「県民の友」での防災特集記事の掲載、あるいは自主防災組織を対象とした図上訓練等を行っているところでございますが、本年度からは新たに沿岸地域住民を対象とした津波避難訓練も実施してみたいと考えております。今後とも、住民の皆様に対しまして、防災の基本である自分の命はまず自分で守るという意識づけをさまざまな機会を通して行ってまいりたいと考えております。
 また、その関連でご指摘のありました浸水高の実績及び想定を示す標識の設置についてでございますが、既に幾つかの市町村におきまして浸水の実績を示す標識あるいは石碑等が設置されているところでございますが、津波避難対策をする上で一つの有効な方策であると考えております。
 それから、避難場所の安全性についてでございます。
 市町村によりまして、その多くを避難場所として指定されております県と市町村の公共施設の耐震診断の進捗状況につきましては、平成十三年四月一日現在で見ますと、全六千百九十五棟のうち、建築基準法の改正により耐震基準が強化された昭和五十七年以降に建築されたものが二千百六十三棟で三四・九%でございますが、また昭和五十六年以前に建築されたものが四千三十二棟で六五・一%という状況になっております。この昭和五十六年以前に建築された四千三十二棟のうち六百五十棟について耐震診断が実施されているという状況でございます。実施率といたしましては県施設で四六・五%、市町村施設で九・二%、全体の実施率としては一六・一%という状況でございます。今後は、本年四月に設立いたしました県地震対策協議会耐震化対策部会などを通じまして、その早期実施について要請・指導してまいる所存でございます。
 また、災害時の避難場所につきましては、県の地域防災計画におきまして、「市町村長がそれぞれの地区の実情、災害の種類等を十分検討の上、危険区域と危険図を想定し、関係機関と協議の上、あらかじめ選定」すると定めておりまして、これを受けまして、県下市町村により避難場所として九百十六カ所、広域避難場所として一カ所、避難施設千四百五十施設が指定されている現状でございます。ご指摘のありました夜間、休日等の対応につきましては、市町村の地域防災計画の修正協議等を通じまして、市町村に対して要請・指導してまいりたいと考えております。
 最後に、東海地震の警戒宣言への対応についてでございます。
 東海地震の警戒宣言が発せられた場合における応急対応につきましては、県の地域防災計画におきまして、東海地震の警戒宣言に伴う対応措置計画を定めているところでございます。東海地震の想定震源域の見直しがされましたことから、警戒宣言が発令された場合における対応について定めておくことが重要でございますので、津波の影響があるとされております熊野灘沿岸の関係市町に対しまして、まずその基本となる地域防災計画にこれを定めるよう要請・指導を行っていくこととしているところでございます。
○副議長(堀本隆男君) 福祉保健部長白原勝文君。
  〔白原勝文君、登壇〕
○福祉保健部長(白原勝文君) ホームレス問題の三点についてお答えいたします。
 まず、県内のホームレスの状況でございますけれども、平成十三年九月現在で各市町村が把握している直近の状況は、和歌山市四十六名、海南市二名、橋本市二名、田辺市一名の合計五十一名となっております。
 次に、ホームレスの方が生活保護の申請を行った場合の対応についてでございますが、居住地がないことや稼働能力があることのみをもって保護の要件に欠けるものではなく、一般世帯と同様に取り扱うこととなっております。したがって、個々のケースの実情に応じ保護の要否を判定することとなっておりますが、保護が必要な場合は施設入所等の方法により保護を行うことができますので、各振興局等に対し、さらにこの趣旨を徹底してまいります。
 次に、緊急避難場所としての公営住宅の活用等につきましては、ホームレスの方々の個々の実情等を勘案しながら、市町村等関係機関と連携を図り対処するよう各振興局等を指導するとともに、自立に向けての指導、援助を十分行うようケースワーカーを指導してまいります。
 なお、国においてはホームレスの自立支援対策が進められており、県といたしましても国の動向等を見ながら対応してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 商工労働部長石橋秀彦君。
  〔石橋秀彦君、登壇〕
○商工労働部長(石橋秀彦君) 観光地バリアフリー情報のPRについてでございますが、社会の急速な高齢化や障害者の自立と社会参加の要請等に適切に対応していくためには、観光面においてもバリアフリー化は極めて重要であると考えてございます。こうした観点から、これまでも啓発や情報発信などに努めてきたところでございますが、特に本年度予算におきましては、新規事業として市町村が実施する観光地のバリアフリー化事業に対して補助することとしてございます。
 議員ご指摘のバリアフリー情報の発信につきましても、観光連盟が定期発行している観光情報誌など各種刊行物を活用し積極的にPRをしてまいりたいと考えており、今回の身体障害者補助犬法の趣旨徹底を含めた事業者に対する啓発など、ハード、ソフト面にわたる施策をより一層推進してまいる所存でございます。また、体験型観光のバリアフリー化につきましても、今後も市町村並びに受け入れ側の施設にご理解が得られるよう努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) JRきのくに線の合理化問題についてお答えを申し上げます。
 ご指摘の合理化策につきましては、JR西日本和歌山支社によりますと、JR内部の調整段階であって、社としての方針決定には至っていないということでございます。県といたしましては、時期を失することなく情報収集に努め、県議会や沿線自治体のご協力を得ながら、利用者の利便性確保を第一義として対応してまいりたいと考えてございます。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 地震対策のうち、子供たちの教育に関してお答えいたします。
 平成七年一月に起こりました阪神・淡路大震災は、学校等における防災体制や防災教育のあり方に大きな課題を残しました。災害時の危機管理や安全に対する判断能力を高めることは極めて大切であると考えております。
 このため、大震災以降、防災教育担当者講習会や防災教育、災害時の心の健康に関する研修会等を開催し、防災教育の一層の充実を図るとともに、教員等の指導力の向上に努めているところでございます。また、各学校では、各教科、道徳、特別活動の教育活動全体を通じて、日ごろから防災上必要な安全教育の推進を図り、避難訓練等を実施して防災対応能力の育成を図っているところであります。
 なお、このたび東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法案が国会に提出されたところであり、その内容を踏まえ、これまで以上に防災の重要性について指導の充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 三点、少し文句といいますか、要望も言わせていただきたいと思います。
 まず地震対策では、子供の教育について要望したいと思います。
 私自身は、海の近くで生まれ育って、波というものの怖さは十分わかっているつもりなんですけれども、例えば白浜へ来ているお客さんが千畳敷なんかへ行って、土用波のあるときにでも行って足をすくわれてはたき込まれるというのが何年かに一度必ず起こるんです。大人は県なりがする勉強会である程度学習する場があるかもわからないんですけれども、やはり子供には教育の場で海の波の持つ破壊力のすごさというのが実感としてわかるようなプログラムといいますか、それが必要かなと考えているんです。
 実は、那賀郡の消防組合なんですけれども、夏休みを利用して、防災問題の試験にチャレンジして、受かったら防災博士認定ということで子供たちに表彰状を渡して啓発をしているそうなんですけれども、小中学生が楽しく学ぶ中で知識を得ていくというような工夫も大事じゃないかなと思っています。よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、ホームレスの問題です。
 県内の状況についてはご答弁いただきましたが、今、議場のあちこちから声が上がったとおり、地元の方の認識とは違っているわけなんです。もっと多い状況にあります。この状況把握はきちんと──これは多分、目視でずっと回られたやつだと思うんですが、把握できるような状態を確立していただきたい。
 それから、全国的にも今大きな問題になっています。どんな実情かと言うと、行き倒れ状態になって医療機関へ運び込まれると。そこでは生活扶助を職権で適用されて、しばらく入院するんだけれども、治療を終わりましたと。その後、行く場所をきちんと探してくれるかというと、そうじゃなくて、そのまままた野外へ行って、そういうことが繰り返されているというふうになっています。私は、行政機関が相談を受けたら、この住み場所の確保も含めてもっと真剣に探してあげる対応をしていただきたいと思うのです。職員が、住むところをきちんと一緒に考えましょうよというふうに対応してもいいと思うんですね。現場にいる職員に、一緒に行って住むところを見つけてくださいよと言われて、僕らが相談に乗って探し回ったりするわけなんですけれども、おかしな話だと思うんですよ。やはり、相談を受けた現場が親身になってきちんと対応をするようにしていただきたいと思います。
 それからJRの合理化問題ですが、部長、十月のダイヤ改正からもうやられようとしているのは、これは一つの情報なんですね。いまだ何の話もない、県と協議する機関をせっかくつくったのに、そんなことでは意味をなしていないということだと思うんです。
 実は、きのう現場に聞きました。ワンマン化への車両の改造とか、御坊で折り返し運転ができるように──ワンマンは御坊から北へ向いて行けませんから──そういう工事の計画がもう入っていると言うんです。現場はそうなのに、肝心の県がそういうところを把握できない状態にあるというのはおかしいと思います。舞台裏で準備しておいて、県との協議は形だけということになっていはしないかということを危惧しています。私は、こういう姿勢のJR西日本に大変憤りを感じています。それとともに、周辺自治体や利用者の声が十分反映できるようにきちんと意見集約をして、しっかりした態度で臨んでいただきたい。これも要望して、私の質問を終わります。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十分散会

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