平成14年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(中山 豊議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十三番中山 豊君。
  〔中山 豊君、登壇〕(拍手)
○中山 豊君 議長からお許しを得ましたので、通告に従い、質問を進めてまいります。
 まず第一に、セイカ商事海南工場の排出水ダイオキシン汚染についてであります。
 県は、海南地区公共用水域において水質環境基準を超え、また事業所排出水が基準を超過したとして、汚染原因をセイカ商事海南工場と特定して、汚染水の排出停止、並びに原因究明及び汚染防止対策を指示し、事業所からの排出を全面停止し、外部へは排出されない対策をとったということだが、次の諸点についてご質問を申し上げます。
 まず第一に、海南地域において、かなり以前から環境基準を超える汚染があり、いわば汚染されっ放しの状態にあったのではないかという心配があります。実際、判明した平成十三年初頭以前どのくらい汚染されていたのかをお聞かせください。
 二番目、同事業所が排出水をとめて後も継続的に海域や河川の検査をしているけれども、その後の検査結果について依然として基準超過の結果が出ているようですが、排水を事業所外へ出さないことを条件に検証運転をしていることの関係はどうなのか。排出水を場外に出さないような策をとっているのに、その後も検出されていることのわけを聞きたい。
 三番目、調査地点図を見る限り、事業所周辺の海域に限っているけれども、港外や魚は大丈夫なのでしょうか。
 四番目、県がセイカ商事海南工場にとった措置の結果というか、その成果をどのように評価されているのかも含めて、ご答弁をお願いいたします。
 次に、JR阪和線海南駅延伸を目指して、快速電車の海南駅までの増便をお願い申し上げることとのかかわり合いで申し述べます。
 これについてJRの態度は、乗客数が増便に見合うほどないからとの態度をとり続けているようですが、この考えに立つ限り、この課題解決は百年河清を待つ形にしかならないと、こういうふうに思うわけであります。この態度を潔く改めるよう、県は地元海南及び周辺自治体や住民とともにJRに強く求めていくようにしていただきたいわけであります。増便をしてこそ乗客が漸増するとの考えに改めさせることが肝要であります。これを実現することにより、当地方は大阪方面への通勤圏内に入り、人口増が望まれるようになるわけであります。海南市を中心とする地域の発展を促す重要なかぎとなることを確信するからであります。強力に推し進めるようお願い申し上げながら、答弁をお願いするところです。
 次に、国道三百七十号、仮称・阪井バイパスの問題であります。
 県政とのかかわり合いで、地域の発展と活性化を求め続け、中でも課題に道路整備を中心的に取り上げてきたのが、今までの私の一貫した態度でありました。今日まで幾たびとなく取り上げてきた三百七十号の整備、中でも阪井地区のバイパス対策であります。顧みれば、地元海南市の対応にも問題はなかったとは言えませんが、いつまでも事が前に進められないでは済まされないわけであります。海南市の都市機能はこのために大きく変貌し、将来発展を望むべくもない状態に陥りつつあると言っても過言ではありません。可及的速やかにこれを前に進める施策をとられたいわけであります。市長もかわりました。これの実現に極めて積極的であります。県市協調体制は強固なものがあろうと確信します。現状と展望をお尋ね申し上げます。
 続いて、四百二十四号の未整備区間の整備についても急がれたいわけであります。
 知事説明要旨にもあるように、これまでのような受け身の姿勢から脱却し、国に対し積極的に施策提案を行い、国政に反映させていくという方向に意識や行動を変えていかねばならないとして、要望型のものでなく、新しい発想に立った施策を国に提案していこうという姿勢で臨んできたとして、地域の実情に合った構造基準による道路整備の推進として、山間部等の交通量の少ない道路には実情に合った極めて可能な道を探ろうとする試みを打ち出されていることは好感の持てるところであります。それに対応させて考えれば、四百二十四号初め県下の未整備部分はどう考えているのか、お聞きしたいところであります。
 次に、さきに登壇した議員が申されておったこととも重複しますが、新学習指導要領、学校五日制実施に関連して質問を進めてまいります。
 完全学校五日制と新学習指導要領が導入されて三カ月、これは日本の教育史上初めての経験であります。これを実施するまでの準備というか試行期間はそれなりにありましたが、十分こなし切れたとは思えないところにあったのではないでしょうか。それだけに今日、学校現場や保護者の間に大きな戸惑いがあり、混乱があって当然ではないかと見るのですが、今議会で取り上げたからといって、すべてがどうなるものではないと考えるところでありますけれども、先行き起こり得るであろう問題を考え、段階的かつ持続的に取り上げて検討を加えていく手がかりとして以下の提案をしながら、お尋ね申し上げます。
 まず一番目に、保護者や学校、地域でどのような事態になっているか、把握されている点を赤裸々に申し上げてください。
 二番目、ゆとりを生み出すはずのものが、子供や教職員が大変難儀を強いられている事態にはありませんか。例えば、休む子供がふえている傾向とか、あるいはまた休むまでもないけれども集中力に欠ける状態、また先生の授業時数が過密になり過ぎていないでしょうか。ある中学校の理科の先生の授業時数を見せてもらいましたけれども、ゆとりどころの騒ぎではありません。学力低下にあるのではないかという声もしきりにあります。必要な学校行事は減っていないか、これも気になるところです。
 学校が地域の文化と融合し、地域の教育力を存分に受け入れ、発展させるかという相互の関係をどのように培われているのでしょうか。
 次に、五日制導入が学校や家庭、地域社会に十分受け入れられ、根づくほどになっていないのではないでしょうか。未熟な状態だと言わざるを得ません。そんな状況下であればこそ、子供の実態把握は極めて重要だと考えます。既に試みられていることかもしれませんけれども、そのあたりのお考えを示されたいわけであります。ゆとりをもたらすはずの学校五日制が、子供たちや学校に過密な状態を生んでいるのではないでしょうか。重ねて申し上げますが、総合的学習の時間は、子供たちに新たな忙しさを招き、学力低下が心配され、授業時間確保のために学校からゆとりがなくなるという悪循環を起こしていやしないでしょうか。
 夏休みや冬休みを短縮して授業などに充てる学校のあることは過日発表されていました。終業日をおくらせたり、始業日を早めたり、長期休暇を短縮したり、長期休業中に授業日を設けたりするなどの向きは、やはり学力低下をもろに懸念してのことではないでしょうか。教育委員会は、自己撞着を起こしかねないところにあるのではないでしょうか。地域や学校の事情に合わせた柔軟かつ自由な判断があってもよいのではないでしょうか。
 むしろ、ゆとりのある時間割りに基づき、伸び伸びとした学校教育をつくり上げる取り組みの中で、今日の子供たちにかかわる諸問題の解決に当たるようにすべきではないでしょうか。五日制や総合学習などでかつて経験したことのない新しい課題を、現場や地域で腰を据えてきめ細かく取り組まねばならないときに、教育委員会は何ゆえか新しい制度というか、特徴のあるものをつくり出そうとして急ぎ過ぎやしないでしょうか。例えば、県立学校の校長や教頭を全国に公募するとか、いささか疑問を抱かざるを得ないと申し上げておきたいわけであります。
 次に、とりわけミカン対策について申し上げてまいりたいと思います。
 「わせものにうまいものなし」──お百姓さんの知恵だと思います。「わせものにうまいものなし」、この言葉はあるけれども、これにたがえて、極わせに対し、従来のものにかえて新種として登場させようと新わせの呼び名を与えて、熊本県は豊福早生と肥のあけぼのの二品種を極上の品質として市場に送り込んでいるとの話を読んだり聞いたりしているわけであります。そうでもしないと成り立たない苦境にミカン農家が追い込まれているというわけであります。十月上旬に出荷できる極わせの豊福早生の糖度は十一度、中下旬に出る肥のあけぼのは十二度、極わせのせいぜい九度に比べれば驚異的であります。このように、今日の厳しいミカン生産農家にとって、しのぎを削る取り組みをして生き残ろうと懸命であるわけであります。その抜け道は、「品種にまさる技術なし」の例えのように、品種改良に尽きるとして、生産地は辛酸をなめつつ奮闘しているわけであります。県も、試験場を整備拡充して成果を上げるべく取り組みを進めているけれども、県内のミカン農家にどれだけ優良品種を提供してきているのか問いたいところです。せんだって、吉備の果樹試験場を見せてもらってきました。立派ですね、知事。立派です、これは。あの立派な建物に沿うような中身を添えていただこうという願いが私のこの質問にあるわけであります。
 かつて、高糖度の丹生系ミカンの改良で紀の国温州等を育成されたが、糖度が高いが実がなりにくいとの欠陥があり、県内農家には余り普及しなかったようでした。農家の皆さんに不向きで受け入れられなかったようでした。また、極わせ生産の宮本わせを育成したけれども、これは木の勢いが余り強くなく、強くするための改良に励まれたようですけれども、糖度を高める取り組みもあわせて追求せねばならず、「二兎を追う者は一兎をも得ず」の例えのように、結果として世評に伴うほど世に普及するに至らなかったとの話を聞き及んでいるところであります。
 戦後半世紀にわたるミカンを取り巻く情勢を大別すれば、復興、躍進、国際化と大きく変動し、主幹作物である温州ミカンは、昭和五十年をピークに五年前に激減して、この方、上向きになっていないのであります。つくれば売れた時代は過ぎて久しいわけであります。もちろん、消費量の減少傾向にストップがかからない状態が続いているわけであります。これにあわせ、平成三年、オレンジの自由化に伴い、果樹農業は完全に国際化の時代に突入してまいりました。また、消費者の嗜好は高級化し、多品目化し、少量化し、品種に対する消費者の目も大きく変わり、その傾向の赴くままに支配されようとしているところであります。昭和三十年から量産体制から品質重視の時代へと移り変わり、その過程でニーズに対応するための栽培手法の改善研究もされてきているけれども、「品種にまさる技術なし」であらわされるところに問題解決のかぎがあると考え、果樹試験場に寄せる期待は極めて大きいものがあるわけであります。そして、果たす役割の大きさを改めて考えるのであります。
 長々と述べてきましたけれども、要はミカン農家にどれだけの優良品種を育成し、提供しているかをお聞きしたいわけであります。ミカン生産県のそれなりの特徴を見るとき、和歌山県はミカン生産県としてどのような特徴を形成しようとしているのでしょうか。
 ミカン生産にかかわっては余り大した知恵がなかったので、この課題を設定してから、いささかいろいろと勉強させてもらいました。それによると、それぞれのミカン生産県の特徴を出そうということで、それぞれのミカン生産県が努力をして、それなりの取り組みをしているようであります。例えば静岡県は、年を越してミカンが少なくなってくるころに市場に送り込もうとして、貯蔵かんの生産に大きく切りかえて、静岡県のミカンの生産県としての特徴を維持しようとして努力しているようであります。聞いてみれば、和歌山県や熊本県、愛媛県などと違って、少し緯度が高いところにあるからそうするのが適当だという生産者の意向のようだったというふうにもお聞きしました。熊本県は、先ほど述べましたように、豊福早生とか他の優良な糖度の高い極わせをつくって、それを市場に送り込もうとして、熊本県のミカン生産県としての特徴をつくり出しているという話も聞きました。愛媛県もミカン県の一つですが、これは伊予カンがすべて畑を支配しているところに多量につくられていったということもあったりして、その伊予カンは今市場で受け入れられない、それで壊滅的な打撃を受けて、これをいかに切りかえるかということで大変腐心をなさっているのが愛媛県だということも聞きました。
 では和歌山県の特徴はと聞いたら、和歌山県は北と南に長いので特徴がないのが特徴だというような言われ方もされたりしているようであります。北と南に長いという特徴をミカン生産県としての和歌山県を形成するのにいかに有利に使っていくか、研究していくか、このあたりがこれからの課題ではないかというふうにも教えられたわけであります。そのあたりは、賢明な県の果樹試験場の皆さんのお考えの結果を待つよりほかないと思いますけれども、今、ミカン農家の皆さんはそのあたりに期待するところが極めて大きいのではないかとさえ思われるところであります。その立場からの取り組みと展望を教えていただきたいわけであります。
 優良品種を育成普及する取り組みは、かなり年月が必要であります。即座に結果を求められるものではないということぐらいは承知するわけであります。地道な努力の要るものであります。その取り組みの体制はいかがなものでしょうか。関係者の要求が満たされるところにあるのでしょうか、そのあたりもお聞かせください。
 最後に、ことしは裏年で不作が予想されているようであります。ことしのこの苦境を乗り切れないとするなら生産農家は大きなダメージを受けるという、こういう専らの話であります。作柄の実情がわかるころを見通して、不作、安値の打撃からの救済策を今から検討しておくべきではないでしょうかということを申し上げて、当局の答弁を賜りたいと思います。
 私の一般質問の最後に、ワールドカップサッカーの問題を取り上げたいと思います。これは二月議会でもるる申し上げたことでもあるので、二番せんじにならないようなお話に気をつけて申し上げたいと思います。
 五月三十一日にフランス対セネガル戦は韓国で、アイルランド対カメルーンは日本で開幕した二〇〇二年第十七回ワールドカップサッカー大会は、多くの人々の関心を集めて、それなりの盛り上がりを見せて進められ、第一次リーグを終えて決勝トーナメントの段階に入り、きのうでベストエイトが決まったというところであります。日本は残念ながら負けましたけれども、共催国である韓国はイタリアに勝ってベストエイトに入り、準々決勝にこまを進めるという成果を得ているわけであります。横浜で行われる決勝戦、韓国大邱で行われる三位決定戦ですべて終了しようとしているわけであります。
 和歌山県が、デンマークチームのキャンプ地として決定され、県民の強い関心が寄せられる中で、デンマークが決勝トーナメントに進出したことをとってみても、多大の効果を得たものと考えます。二月定例議会で知事が、ワールドカップサッカーが歴史のいろんな場面で非常に大きな役割を地域や国々の間において果たしてきたことを踏まえ、その意義を県民の皆さんに広報し、和歌山の特色を出した歓迎の仕方をして盛り上げ方を考えていきたいと申されました。その成果でしょうか。デンマークチームの活躍の結果、決勝トーナメントに覇を進めて、再び和歌山に戻ってこられました。評価されるところであろうかと思います。関係者の皆さんの努力を高く評価し、よくやったと言うべきではないかと考えます。しかし、これが日本国レベルで見ると、いかにもまずいことを指摘せねばならないことが幾多感じられたわけであります。これを指摘して、政府及び日本組織委員会に反映していただきたいことを申し上げ、W杯の今後のさらなる発展のために和歌山県も一定の貢献をすべきではないかということから、以下申し上げたいわけであります。
 アジアで、しかも初めて、その上に二カ国が共同開催するとの方式で十七回大会が開催されることの画期的意義、すなわち過去を本当に清算し、未来志向の新たな日韓関係に発展させ、日韓共同開催で日韓両国国民の間に急速に高まった友好と連帯の機運をより前に進めることに力を尽くさねばならないところでした。四日夜、釜山で韓国チームはポーランドに二対〇で勝ちました。その瞬間に立ち上がった韓国のサポーターたちは、これでトーナメントに進出間違いなし、そして日本も頑張って一緒に十六強に進もう、トーナメントに行こうと叫び合ったといいます。これほどに両国国民の間に友情と連帯が高められたことは、過去に日本が朝鮮を侵略し、植民地支配した時代以来あったでしょうか。さらに、取り組みの中で北朝鮮でも会場を持とうという機運さえ持ち上がったという話も聞きました。そのとき、朝鮮の南北統一を促し、日朝の友好連帯を促進する上で、極めて大きな役割をW杯が必然的に担っていたのではないかと考えるわけであります。韓国はその立場を堅持されていたと、マスコミを通じて知るところであります。さらに、日本がチュニジアに勝ち、決勝トーナメントに進出を決めた夜、韓国チームは日本に続こうと頑張って決勝トーナメントに進出を決めた翌日のある新聞の社説は、「よかった、よかった」と題して、次のように書きました。「複雑な歴史を背負った日韓両国民ではあるが(中略)互いに声援を送ってきた人々が多かったのではなかろうか。その気持ちがかなえられたことで、W杯の歴史的共催の意義がさらに膨らんだのは何よりのことである。 決勝トーナメントの初戦で、日本はトルコと、韓国はイタリアと、ベスト8をかけて戦う。 がんばれニッポン、がんばれ韓国。」と結んでおりました。友情と連帯をはばかることなくあらわに出されていた社説であります。
 それに比べて、日本はこの見地にしっかりと立たれて対応したと思えない節が幾つも目につきました。極めて残念でなりません。国際感覚のずれというか、おくれを感じないではおれません。具体的なあれこれについては触れることを差し控えますが、両国共催の意義にもとる極めて無神経、非国際的な態度と受けとめられかねないところでした。折しも、インド、パキスタンの核戦争回避で国際社会が苦心しているとき、しかもW杯開催をあすに控えているそのときに、非核三原則をめぐる政府要人の話などは全くいただけない話でありました。これだけ盛り上がろうとしているワールドカップサッカーの雰囲気に水をかけるとしか思えなかったのは私一人でしょうか。国際連帯と日韓友好の機運に水を差す以外の何物でもないと私は受けとめました。両国共催とは日本国にとって何だったのかということを改めて問いたいところであります。
 次に、ワールドカップサッカーのチケットをめぐる問題であります。大会場に臨んで試合を観戦したいという人々が多くあるのに、スタンドが空席のまま、しかもテレビを通して国民の前にさらされることがありました。これに対して韓国側、すなわち韓国組織委員会及び大統領の発言は、直ちにFIFA及びFIFAから委託を受けたバイロム社に抗議し、立ち上がって提訴を辞さないという強い態度を表明されたところです。これは、単に大会を取り仕切る組織委員会のみで済まされない問題であります。国際大会を受け入れた日本国の権威にもかかわる問題でありまして、これについては世論の反発と批判の高まりの中で、FIFA及びバイロム社、組織委員会の三者会議で六日以降のチケットの配券に改善を加えたようですけれども、大会場を受け持った各県にとっても大変なことでした。他県のこととは思えないはずのものでした。日本組織委員会ともども、日本国の果たさねばならない事柄が幾多あったのではと思うにつけて、穏やかならざる心情になったことを素直に申し上げておきたいわけであります。
 日本国選手は、W杯初めての得点をし、勝利をするという歴史的な実績を残され、日本のサッカー活動に少なからぬ功績を残されました。その選手たちは、国及び国民の期待を受けて奮闘されたわけであります。日本を代表してグラウンドに赴いた選手たちは、彼らが代表した日本をしっかりと背負ってよく戦ってくれたと思います。戦い傷つきながらも、見事に責任を果たしてくれたと思います。私たちが、テレビを通じてあのグラウンドの上に見たものは何だったのか。今日、日本の国の人々が失いかけていたものを見ることができたとの思いでいっぱいでありました。代表選手としての責務を果たそうと、ただひたすらに無心に戦う姿にその責任の遂行の美しさととうとさを覚えたのは私一人だけはないでしょう。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)ありがとう。
 最後に申し上げたいのですが、参加三十二国について国際感覚を高め、国際理解を高める上で、またとないいい機会であったはずであります。私の知る多くの人々や子供たちは、参加三十二カ国の四分の一も地図上に示されないという実態を把握しました。三十二カ国のそれぞれについてあれこれ言われて、ああ、あの国は世界地図上のどこにある、ここにあると、議場の皆さんもはっきりとことごとく指し示す状況にはないのではないかということを、はばかりながら申し上げさせてもらいたいわけであります。それだけに、何ゆえこの機会に世界地図上で参加国を示して、子供たちや県民に知らせる具体的な手だてがとられなかったのかということを悔やまれてなりません。それで、はばかりながら皆さんにこの議場で地図をお配りしようと思ったんだけれども、余りおこがましいので用意することを差し控えました。もし必要なれば事務局の方へ預けておきますから、コピーでもしていただきたいと思います。あのワールドカップがどうだったのかということで、日本で開かれた機会に把握をお互いにし合えたらなと、遅まきながら教育委員会及び県当局は、この機会に日本で開かれたワールドカップが国際理解と国際親善、特に両国共催の意味合いをさらに強め、強化していくことのために大いに活用していただければと思います。
 以上でもって、私の質問を終わります。議長にお渡ししておきます。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの中山豊君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) セイカ商事海南工場の排出水ダイオキシン汚染についてお答えいたします。
 まず一点目の、平成十三年初頭以前の汚染についてでございますが、県では平成十二年度から県内各地点で常時監視を実施してきており、平成十二年七月から八月にかけて、海南地区公共用水域で環境基準点五地点について実施したところ、三地点で一・三から五・四ピコグラムと、環境基準の一ピコグラムを超過しておりました。このため、超過した三地点とその周辺部において、確認のための再調査を平成十二年十月と平成十三年一月の二回実施いたしましたが、いずれもすべての地点で環境基準を満足してございました。このことから、環境基準の超過状態は定常的なものではなく、一時的なものであったと考えてございます。
 次に二点目の、排出水を場外へ出さない策の後も検出されていることについてでございますが、平成十四年三月の排出水全面停止から十日後の調査結果と約四十日後の調査結果を比較いたしますと、事業場近辺の海域では顕著な低減傾向が見られますが、依然、環境基準を満足するまでには至っておりません。これは、事業場近辺は閉鎖性水域となっており、海水が停滞しているため、その交換率が低いことによるものと思われます。いずれにしましても、引き続き注意深く監視を続けていく必要があると考えており、六月にも継続調査を実施したところでございます。
 三点目の港外や魚についてでございますが、平成十四年三月と四月に実施したダイオキシン類環境調査では、湾口部からマリーナシティ沖の調査地点でいずれも環境基準を満足しており、特に問題となる数値ではありませんでした。また、魚につきましても、本年四月に実施した水生生物調査の結果、平成十一年度環境庁全国調査と比べても、特に問題となる数値ではありませんでした。
 最後に、県のとった措置による成果の評価についてでございますが、平成十三年十二月の工場立入検査の結果が本年二月に判明し、直ちに汚染水の排出停止と原因究明、及び改善対策を指示いたしました。その直後、二回目の立入検査を行ったところ、原因施設と思われる製造プラント停止後も排水処理設備等の残留汚染の影響で汚染排水が事業場外へ出ていたことが判明し、三月二十七日に全面排出停止を指示したところであります。その後、四月十日には事業場外へ工場排水を出さないことを条件に、原因究明と改善対策のための検証運転等を指示し、去る六月十四日に終了したところであります。この結果について専門家の先生方も交え検討を行い、再発防止のための訓練等を含めた確認運転に移ったところでございます。今後、事業者に対し、ハード、ソフト両面からあらゆる再発防止策を講じるよう強く指導することにより、地域の皆様が安心していただける環境づくりを目指してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) JR阪和線の快速列車を海南駅まで増便せよというご指摘についてお答え申し上げます。
 紀勢本線と阪和線を直通する快速列車の本数は、平成十二年三月のダイヤ改正によりまして、朝の通勤時間帯は変動がないものの、昼間の時間帯を中心に減少し、和歌山駅での乗りかえとなっております。これはJR西日本によりますと、車両の運用上の問題、あるいは沿線各駅の利用状況等によるものと聞いておりますが、利用者の利便性の確保につきましては、和歌山駅でのダイヤ調整など乗りかえについて十分配慮がなされているとのことでございます。昨年のJR西日本の完全民営化や規制緩和に伴う赤字ローカル線の廃止問題など、今後は収益性がさらに優先される状況にあり、鉄道を取り巻く環境はより一層厳しいものがございます。
 このような状況の中、県とJRは本年二月に、当面するさまざまな問題を協議するためにJR関連懇話会を設けたところでございまして、阪和線快速列車の海南駅延伸につきましては、このことを推進することが当地域の大阪方面への通勤圏としての位置づけを高めるという認識のもとにJRと協議してまいりたいと思います。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 国道三百七十号阪井バイパスにつきましては、平成二年に都市計画案の公告及び縦覧を行いましたが、反対意見が多数のため都市計画決定に至ってございません。現在は、以前に提示を行ったルートを基本とし、周辺道路網を勘案した計画案に基づき、海南市の協力を得て、地元同意形成のための努力を行っております。地元の皆様方のご協力を得ながら、早期の都市計画決定に向けて努力してまいります。
 次に国道四百二十四号の未整備区間につきましては、海南市上谷、ひや水地区において現道対策事業を実施中でありますが、一部用地買収が難航しているため、引き続き関係者のご協力を得て整備を進めてまいります。
 また、県下の未整備路線の整備の進め方につきましては、地域の生活路線であるかどうかなど、ネットワーク上の位置づけや交通量に着目して地方基準による整備対象路線を絞り込み、コストを縮減し、整備延長を延ばしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) ミカン対策についてでございますが、優良品種の育成につきましては、果樹振興の主要課題の一つと考えまして、これまで果樹試験場での育種や枝変わりによる優良系統の探索などに努めてきたところでございます。
 この間、県下の篤農家が中心となって組織してございます果樹新品種研究同志会などの協力を得ながら、極わせからおくてまで十数品種を育成してございます。また、近年、糖度が高く味のよいゆら早生や田口早生といった有望品種が育成されており、今後、生産者団体と一体となって産地化に向け取り組んでまいりたいと考えてございます。
 ご承知のとおり、本県は歴史のある産地として、また他産地と異なる南北に長い地理的条件を生かし、極わせから年明けの貯蔵ミカンまで長期間の出荷体制を整えており、今後もこの特性を生かした産地形成を図ってまいりたいと考えてございます。
 価格の低迷が続くなど厳しい状況の中で、農家経営の安定と産地の活性化を図るため、優良品種の導入はもとより、マルチ栽培などによる高品質生産や消費拡大対策などを一層推進するとともに、価格低落時に農家に補てん金を交付する果樹経営安定対策を昨年度に引き続き実施してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 学校週五日制は、平成四年九月に月一回導入されて以来、十年の移行期間を経て、今年四月完全実施されたところでございます。この間の取り組みを踏まえ、土、日曜日の学校や社会教育施設等の積極的な開放、子供や保護者を対象としたスポーツ・文化教室など、さまざまな事業を行ってきました。しかしながら、テレビを見るなど家庭で過ごす子供も多い実態にあり、学校外活動の機会をさらに充実させるとともに、休日の過ごし方について指導することが今後とも大切であると考えております。
 また新学習指導要領につきましては、学習内容の厳選に伴う学力面での不安が指摘されていますが、学力の実態がどのようなものであるかを的確に把握するとともに、習熟度別学習や少人数学習など指導方法の工夫改善を図ることが重要であると考えております。そのため、本年度から県内小学校十校、中学校五校において学力向上フロンティア事業を実施し、その成果を県全体に普及させることとしております。こうした取り組みを進めていく上で、学校週五日制や新学習指導要領の趣旨について家庭や地域の方々に十分理解していただくことが肝要であることから、公立学校の全保護者に向けに、既に二度リーフレットを配布し、新しい教育の啓発に努めてまいりました。さらに、地域ぐるみで教育を推進する機運を盛り上げることを目指して、六月から県内八地方において学社連携による地域教育力活性化セミナーを実施するとともに、十一月にはすべての公立学校が授業や行事等を一斉に公開する学校開放週間を設けることとしております。今後とも、家庭、地域社会と一体となって子供一人一人を大切にした教育活動を推進し、学校教育に対する信頼を強めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十三番中山 豊君。
○中山 豊君 ご答弁ありがとうございました。質問というよりも、ご要望を申し上げておきたいと思います。
 セイカ商事のダイオキシンの問題で、よくわかりました。ところが、港外に流出して魚などを汚染しているという事態はないと、はっきりお答えをいただきましたので、関係住民や特に漁業者などは安心しておられるであろうと思います。今後もそのようなことにならないように、特に監視を強めて努力をしていただくようお願い申し上げておきます。
 JRの快速の海南駅への増便の問題ですけれども、大阪方面への近畿圏の通勤圏内に大きく貢献するであろうという認識に立たれて、今後もその立場から懇談会ですか、関係する者たちが寄って、県及びJRとの関連懇話会なるものの中でそれを一層追求していただくというようなお話でありましたから、特に地元海南市や関連する周辺の自治体や住民の皆さんも入れて、その意向がJRに強く反映されるよう県の方でお取り計らいをお願い申し上げておきたいと思います。
 三百七十号の通称・阪井バイパスの問題ですけれども、部長の答弁はもう一貫してそのようなことにしかならないという事態で推移しているんです。そこのところを、もういいかげん一歩踏み出して都市計画審議会にかけるというふうなことにでもしてもらえないかという心持ちを込めて質問したわけですが、依然としてそういうふうなところには踏み込もうという答弁ではありませんでした。それを考えるときに、やっぱり海南市にはまずいことをしたんだな、県にも大変ご迷惑をかけたんだなということ、痛いほどよくわかるんです。もう十年以上もかかっているんだから、その傷の痛みやその傷のいやしをどんなにかしてもらえないものだろうか。地元の皆さんや海南市当局が、県の皆さんの傷の痛手のいやしをどのようにさせてもらったらいいのかという、こういうふうなことで腐心するわけです。どのように表明したら、それはそうや、県が計画したものを反対してほったらかしておいて、せっかくやろうと言ったものの出ばなをくじくようなことをおまえたちがしたんだから、今度やるには相当な何かをもって対応してこなかったら、それはあかんでというふうに言われていることではないかと思います。そういうふうなことであるなれば、地元及び海南市当局が県の皆さんの傷のいやしをどのようにもって報いたらこたえてもらえるのかという、こういうふうなことにしかならないんじゃないかと思う。
 そのようなことが如実に示されたとしたら、都市計画審議会に早期になどと言わないで、今年度中にでもやってみようという、こういうふうなことになるのかならないのか、こういうふうなことを一つの課題として投げかけておいて、引き続きこれについて何回でも尋ねさせてもらうという、こういうふうなことについてご要望申し上げておきたいと思います。
 以上です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で中山豊君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十五分休憩
     ─────────────────────

このページの先頭へ