平成14年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(佐田頴一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時三分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第九十五号は職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに報第二号から報第七号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第八十九号から議案第百三号まで、並びに知事専決処分報告報第二号から報第七号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 三番佐田頴一君。
  〔佐田頴一君、登壇〕(拍手)
○佐田頴一君 それでは、議長からお許しをいただきましたので、一般質問を行わせていただきます。
 本日から六月定例議会の質疑及び一般質問が始まりますが、そのトップバッターとして栄誉ある役割を与えていただき、登壇できるようご配慮いただいた議員並びに関係各位に厚くお礼を申し上げたいと存じます。
 まず、質問に入る前に、デンマークサッカーチームが五月二十日から二十七日までの八日間、短い期間でありましたが、和歌山マリーナシティにおいて事前キャンプを張られ、デンマークの紳士的、親しみ深い態度は、「サッカー大使」と言われるにふさわしいものであり、また受け入れの皆様の心のこもった対応と相まって、このチームを気持ちよく迎え、友好を深められたことは、まことに喜ばしい限りであります。デンマークの選手たちも和歌山に好印象を残して韓国に出発されましたが、その後、予選リーグに勝ち残り、再び和歌山に戻られ、決勝トーナメントに備えておられましたけれども、先日その戦いに敗れ、帰国したと聞いていますが、ワールドカップの決勝戦が横浜で終了した後も、本県とデンマークとの交流がこれを機会にさらに深まることを期待するところであります。キャンプを支援した人たちの役割は大変だっただろうと思いますが、本当にご苦労さまでした。
 また、この夏には、日本のホームラン王であった王貞治氏とハンク・アーロン氏が中心となって提唱された世界少年野球大会が、今度は紀南地方を中心に繰り広げられることになったと聞いています。世界から二十カ国、地方の少年たちが野球王国和歌山に参集し、互いに技量を競い合うとともに世界の友好を深め合うというプロジェクトであります。このようなスポーツを通じ国際交流が今後一層推進され、世界平和、世界の国々の友好関係が築かれますよう期待したいと思っております。この大会も大きく盛り上げ、ワールドカップに負けないようなしっかりとした受け入れ体制を整備するよう希望するものであります。
 それでは、一般質問に移らせていただきます。
 まず、五月に行われた国に対する政策提言活動の中から、今後の県政の重要な柱になっていくであろう施策の幾つかについてお伺いいたしたいと思います。
 今年度から県では、国に対して要望するというスタイルを変更し、地域の実情に根差した意見を政策として国に提言するという形態をとられました。これは、地域の抱える課題を単に訴えるだけでなく、その課題解決のために我々がどのような資源、資産を持ち、これらをどのように活用したいか地域に密着した発想で解決方法を示す、大変積極的な行動であると評価しております。木村県政も二年を過ぎようとしている現在、このように積極果敢な和歌山モデルの提唱・発信をしている姿は県民に夢と勇気を与えているものと確信しております。
 そこで、まず地域の実情に沿った政策実現についての進め方について、もう少し知事の考えをお教え願いたいと思います。
 次に、緑の雇用事業の推進についてであります。
 環境の保全を新たな雇用機会ととらえ、中山間地域の活性化を目指す緑の雇用事業については、昨年来の政策提言活動、大阪圏、和歌山市等で説明会などを重ねることにより、全国的に注目される施策として認識されてまいりました。十三年度では緊急地域雇用創出特別基金事業の活用でありましたが、六カ月という期間が限定された施策であり、森林整備事業に係る高度な技術習得や中山間地域への定住促進を推進するには余りにも期間が短く、困難な状況にあります。
 提言の中で、恒久的な施策への転換は必要不可欠であることを訴えられ、同時に定住促進のための魅力ある中山間地域の整備の必要性をうたわれましたが、緑の雇用事業推進に向けた恒久的対策として、林業就業支援プロジェクトの創設や中山間地域環境整備対策の創設、県内に制度の拠点となる緑の雇用センターの設立などにも万全の措置をとってほしいと思っています。
 中山間地域や森林地域は、地球温暖化防止に貢献する森林県連合共同アピールの呼びかけ人として、都市と地方がお互いに認め合い、都市と地方の関係の構造化改革の呼びかけを行い、多大の貢献をしていることを大きな声で地方から訴え、これまで以上に全国に発信されることをお願いするとともに、これら施策を実現させていくため、今後県としてどのように対応していくのか、知事並びに農林水産部長にお伺いしたいと存じます。
 次に、公共事業の地方基準導入の道筋についてであります。
 知事は、常々、地方が国をリードすることが重要であると述べられております。地域が知恵を出し、真に必要な基盤をつくるため、独自の基準を定めて社会資本を整備する地方に合った公共事業を進めていく必要があることを訴えられておりますが、私も全く同感であります。山間部に行けば、地域住民の生活道路であり、また都会の人々が憩いを求めに来る森林へいざなう道でありながら、すれ違いのできない道が多く、自転車に乗った人が車が来るたびに山肌にへばりつくようにしなければならない道路もあります。地域住民の要望が強い道路整備に全国一律の基準を当てはめる努力、工夫に腐心するよりも、地域の実情を理解し、地域住民とともにつくり上げる姿こそ地方自治の本旨に沿ったものであると考えます。
 例えば、山間部等の交通量の少ない道路においては車道幅員を七メートルから五メートルに、自転車、歩行者の少ない道路においては歩道幅員を三メートルから二メートルに、都市計画道路決定幅員四車線の事業認可を暫定二車線分による事業の認定など、地方の交通量等に見合った車道、歩道の基準に改められるような特例を考えられないかどうかであります。このような考え方は道路だけでなく、河川や海岸を初めとする公共事業全般でも適用できると考えます。
 そこで、地方基準の公共事業についての基本的な考え方と、国へ提言された際の状況について、土木部長よりお聞かせください。
 次に、公共工事等の入札及び契約手続の改善についてであります。
 県が発注する建設工事等についての入札及び契約手続について、その透明性を確保し、公正な競争の促進を図り、談合等の不正行為の排除を徹底する方針を定められたが、この具体的な改善策の取り組みの中身について異議が出ています。予定価格、最低制限価格、低入札価格調査の基準価格のすべてを公表するのは全国で和歌山県が初めての試みであると言われているが、これで談合その他不正行為の排除の徹底が図られるのかどうか。また、施設、機械も持たず、ただ営業だけの人の能力審査による不適格業者の排除も含めて、土木部長より説明をお願いしたいと思います。
 次に、東南海・南海地震対策の強化についてであります。
 紀伊半島沖から四国沖を震源地とする南海地震に対する対策についてでありますが、今月の六月三日、東京大学地震研究所島崎邦彦先生の南海地震の予測について、自民党県議団の東京での勉強会で講演を受けましたが、昭和二十一年十二月二十一日のマグニチュード八・〇の南海地震による被害は、地震後の津波による被害を含め、死者、行方不明二百六十九名、負傷者五百六十二名、家屋全壊九百六十九戸、同流失三百二十五戸、同焼失二千三百九十九戸で、津波の速さは新幹線並み、特に海底を震源とすることが予想される南海地震にあっては、直近の予知が困難な上に、大規模な津波の発生が予想される紀伊半島沿岸部は莫大な被害をこうむることが憂慮されています。このための対策が今緊急課題となっています。
 このように紀伊半島沿岸地域は、東南海・南海地震により過去幾多の大きな被害を受けてきました。また昨年、政府の地震調査委員会から公表された地震の発生確率は、今後三十年間で四〇%から五〇%と非常に高い数値が唱えられています。中央防災会議では、昨年、東南海・南海地震等に関する専門調査会を設置し、今年の秋ごろ地震発生の予測をし、被害想定が出されるとお伺いしています。同地震については、東海地震に比べ国の地震観測体制が未整備であり、地震予知に向けて早急な整備を行うなど、抜本的な対策が望まれております。
 県においては、さきの政策提言活動の中で、急遽、与党幹事長に南海地震対策について、防災センターの早期整備とともに、関連地域への特別立法、仮称・南海地震対策特別措置法の制定に向けて積極的な取り組みをされ、これを受け、政府の地震調査研究推進本部も、近い将来起こると予想される東南海・南海地震に備え、観測体制を強化するような方針が決められたと報道されています。
 東海地震、東南海・南海地震は、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込むことが原因と言われており、これら三つの地震の発生時期には関連があるとも言われております。実際、東海地震が発生してから、時を置かずして東南海・南海地震が発生している事例が多いのでありますから、地震に対するハード、ソフトの両面の対応は、東海地震と同様に緊急の課題として検討される必要がある事項であります。東海地震には、これまで一兆円を超える対策が国家プロジェクトとしてとられてきたと言われていることに比べると、東南海・南海地震の対策はこれからという気がしてなりません。
 知事は今回、東南海・南海地震を国家プロジェクトとして対応するよう訴えたわけでありますが、本県は地震による津波に、稲むらに火をつけて住民を避難させたという誇るべき偉人、浜口梧陵氏を生んだ地域であります。近畿、ひいては日本を救う第二の浜口梧陵と呼ばれるよう奮闘をお願いするものでありますが、地震対策の強化に対する知事の決意と、総務部長より現状をもう少し詳しくお聞かせ願いたいと思います。
 次に、国立のナショナルトレーニングセンターの誘致の件であります。
 文部科学省は、財政上大変苦しい中でも、全国に三カ所程度のナショナルトレーニングセンターの設立を検討されていると聞いています。本県は、豊かな自然環境のもと、スポーツの振興に積極的に取り組んでおり、空からのアクセスとして関西国際空港の至近距離に位置するとともに、南紀白浜空港も有し、また京奈和自動車道、近畿自動車道等の交通基盤の整備が進んでおります。
 そこで、ナショナルトレーニングセンターの整備構想の策定におきましては、このような本県のすぐれた立地条件を考慮に入れ、検討されるよう、国の方のご理解をいただくよう積極的な働きかけを知事にお願いしたいと思いますが、知事の考えをお聞かせください。
 次に、市町村合併の現況についてであります。
 最近、小泉首相は、市町村合併を促すため、「三千以上ある地方自治体のうち、地方交付税をもらっていない市町村は百に満たない。それでは財源の調整はできない。財源もみずから決めることができる自治体の規模がどういうものか、改めて考えてもらわなければならない」と述べ、市町村合併への考えを示しています。また、全国知事会でも、「あめとむちをどう考えて市町村合併を進めていくか考えていかなければならない」と述べ、財政支援などの優遇策だけでなく、強制的な手法を用いても合併を進めると述べています。
 地方分権の時代が到来してはや二年、各自治体も厳しい財政状況にあることを考え、生活圏の拡大化、行政の広域化の中で、そのための選択肢の一つとして市町村合併がかなり急テンポで進められており、住民も真剣に考え、参加することの重要な時期になりつつあります。しかし平成の大合併は、総論で賛成しても、各論になると反対の立場をとる人が多いと聞いています。現在、県下に合併研究協議会、広域任意合併協議会という研究会は設置されているが、正式な地区合併協議会は設置されていません。このままの推進テンポで果たして合併が成立する地域があるのかどうか、大変疑問であります。合併は急がなくてもよい、どうせ期限内に合併ができない、過去の実例を見ても、その時期が来れば期限が延期されるとの声が強いが本当でしょうか。国の方針は、今回、絶対に期限を延長しないという厳しい考えであるのかどうか、まずここで確認しておきたいと思います。
 平成十七年三月末までの合併特例法の法期限まで残された期間を考えると、できるだけ早い時期に正式な合併協議会を設置し、特にどの町とどの町とが合併するのか未定のままでは合併は進んでいきません。昨年の十二月末に合併重点支援地域に指定した三地域の那賀郡、有田郡市、田辺地域の枠組み、組み合わせが決定され、三地域の合併協議会の設置を確定したのでしょうか。残り三年を切った段階に達しても合併協議会を発足したという地域は聞こえてきませんが、遅くとも本年度中には合併する市町村の枠を決めなければ期限内の合併はできなくなります。県当局に、本年度中に合併協議会を発足できると予想される地域はどの地域か、まず説明を求めます。
 また、合併期限内に合併できなかった市町村や合併絶対反対の市町村に対する県や国の対応についても総務部長よりお教えください。
 最後に、学校教育の諸問題について質問させていただきます。
 まず学校五日制実施について、若い世代の著しい学力低下は、日本人の活力が根底から問われている時期に完全週休二日制の導入がなされ三カ月が経過しましたが、読売新聞の世論調査で、完全五日制への反対意見が六割を占めて、四五%が完全五日制実施にそっぽを向いています。理由は、一年間三百六十五日、学校に来る日が二百日、休みが百六十五日と休みが多く、学力が低下し、テレビゲーム時間がふえただけと懸念を表明しています。しかし反面、生徒の学力低下を防ぐためのさまざまな対応策が今各地で検討されています。
 私は、学ぶ内容が三割も削減されたゆとり教育が続いたら、公立学校の生徒の学力低下を招き、難関の有名学校への進学を進めるためには、法的に五日制に拘束されない私学が有利となり、東京のように私学志向ばかりが高まっていくのではないかと心配をしております。また、大学入試センター試験の科目数が、平成十六年の入試から国立大学の大半の学部で、現在三教科以下の試験科目数が五教科七科目となり、受験科目がふえるのに対し、逆に授業時間が減少する公立の学校は学力低下のおそれが出てくるため、公立学校では授業時間数の確保が問題となっています。
 県内のある高校のPTAがこの五月初め、全生徒にアンケート調査をしたところ、土曜日に教室を開放してくれるのであれば五五%の生徒が必ず行く、できれば行きたいと答えています。また、ある県では、月二、三回の土曜日の授業、各四時間がなくなるのを補うため、一日七時間の授業を検討しているところもあります。また、県内のある高校では、教育振興会を設置し、授業時間確保計画に取り組まれています。内容は、一、授業時間数の確保(十三年度と十四年度の時間の比較)、二、夏休み等の活用(補習の充実プラス一部授業の実施)、三、土曜日の活用(自由な学習と読書、OB大学生によるボランティアの学習支援)、四、週五日制に対応した事業に対する経営(財源)等、このように通常の授業内容で対応できない独自の対策、施策が検討されており、公立学校の頑張りにも期待を寄せたいと思っています。また、少人数学級の導入も含め、休日対策のOB卒業生のボランティアの人たちの奉仕だけでは長続きはしないと思いますので、土曜日及び三割授業削減に対応する施策を講じた学校に対し、県独自の支援策を講じられないかどうかお聞きします。
 高校生の雇用問題について質問いたします。
 いまだ景気が低迷し厳しい時代の真っただ中にありますが、社会への門出を祝福されるはずの多くの若者、高校卒業生の就職内定率が過去最悪となり、就職を目指している十八歳の若者の苦闘が続いています。就職したくても就職できない。本年春に卒業した県内高校生の就職率は七七・四%、就職希望者二千六百十二人に対し決定した人二千二十一人で過去最低、全国的に見て沖縄の五六・八%に次ぐ低さであり、昨年まではまだ三位だったが、本年度は高知県を抜いて全国ワースト二位に低下しています。
 先日、テレビを見ていますと、来年度の新卒採用計画は、大学卒でふやす会社は一〇%、減らす会社は一三%、高校卒でふやす会社は七%、減らす会社は一五%となると発表されていましたが、高校新卒への求人は大学生以上に細っており、来年はさらにきつくなってきています。一方、県内の採用する側の会社は、長引く景気の低迷で人減らしの構造計画に迫られ、雇いたくても雇えない厳しい時代が続き、就職苦闘の時代が続いています。また就職できたとしても、県内への勤め先の就職は七三・三%、県外への就職は八八・五%と、県内での就職率は目立って低く、県内の厳しい就職状況が目につきます。高校生がひとり立ちする時期に、全く希望、夢が持てないのは社会的な問題であります。
 県教委も就職率向上を目指して真剣な求人開拓に取り組まれていると思うが、その実態と対策及び就職アドバイザー採用の実績とその効果を含め、今後の進め方についてお教えください。
 学校の警備についてでありますが、大阪教育大附属池田小学校児童殺傷事件から一年が経過しましたが、この無差別の殺傷事件は学校の安全や危機管理を根本的に考え直す機会となりました。
 この事件を受けて、幼稚園から高校まで、校門にインターホンを取りつけたり、防犯カメラ、出入り口の限定、来訪者の名簿記入、さらに警備会社を通じて警察に通報できる非常通報装置を設置された学校もあると聞いています。全く事実上無防備だった学校の安全度が飛躍的に向上していると思いますが、子供を守ってやるという配慮、子供たちが安心して学校に行けるように、緊急時の対応マニュアルの整備や安全確保の指針について実態をお教えください。
 以上、教育委員会に関する質問については、教育長の方からご答弁をお願いいたします。
 最後に、従来型の行政からの脱皮に向けて、新機軸の施策展開には大いに注目、期待しているところでありますので、その結果が早急に見えるよう期待し、冒頭の質問を終えたいと思います。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの佐田頴一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 和歌山モデルということについて、私がどのように考えているかというご質問でございます。
 今、地方分権ということが言われておりまして、いろいろな方面でその動きが出ておりますけれども、やはり根本は地域から地域に合った施策を発信していって、それが日本全体の施策になってくるということが私は非常に大事なものであると考えております。そういうふうな中でも、ぜひ和歌山の実情というものを地方の実情として反映した施策というものが発信され、それが日本全国の施策になるというようなことになれば、一番和歌山県も元気づきますし、そして日本の国にとってもいいような形になるのではないかということを思いまして、例えば地方財政のあり方についてとか、緑の雇用事業、和歌山型の公共事業のあり方、そしてまた高速道路整備の必要性、近くは森林県連合でありますとか、東南海地震、南海地震の法制化等々について、志を同じくするような県の知事さん方を募って、いろいろな形で発信をしてきたところでございます。幾つか具体的に成果も出てきておりますし、そしてまたそれがマスコミ等で報道されることによって、和歌山県民の方も喜んでくださっておるのではないかと思います。
 これからの時代、何といっても和歌山県は外との交流、そして外への発信、このことによって発展していくべきであるという信念を持っておりますので、これからもいろんな形で発信を続けていきたいと思います。そしてまた、発信するだけではいけませんので、それから具体的な成果というものを引き出すような努力をしていきたいと、このように考えております。
 次に、緑の雇用でございます。
 これは昨年提唱したものでございますけれども、今年度に入ってまた勢いがついてきております。当初は、今の制度は六カ月間の雇用という形しかできないということでございましたので、入ってくる人も少なかったんですけれども、関係部局、そしてまた森林組合であるとか市町村の血の出るような努力によりまして、三けたを超える人がこの和歌山県で都会から就労するような形になってまいりました。そしてまた、これを受けて林野庁、環境省等も、この和歌山県の取り組みというのは本当に地に足のついた、ただ単に浮ついたものではないということをようやくわかってくれまして、国の施策にも一番重要な施策として林野庁なんかは入れていくというふうな形になってきております。
 先般発表されました小泉総理の骨太の方針第二弾にも、はっきりと「緑の雇用」という言葉で活字化されました。こういうふうな事柄をもとに、この六カ月の雇用ではなかなか安心して中山間で働いていくというわけにはいきませんので、これをもう少し長く働いて、本当の意味で地域に根差した人々になっていただいて、和歌山県の中山間が活性化するという方向を目指していきたいと思います。それは、何も森林の整備だけに限らず、観光であるとか、物産の販売であるとか、過疎化対策等いろんなこと、合併の問題なんかにもつながってくると思いますけれども、大きな意味を持ってくるのではないかと思っております。
 次に、東南海・南海地震の法制化でございます。
 私も、知事になる以前から南海地震、これは戦後二年目に起こったわけでございますけれども、その大変さということについては十分知識を持っていたつもりでございます。そしてまた、和歌山県では「稲むらの火」、これはラフカディオ・ハーンが小説化したわけでございますけれども、大変な美談もあるということでわかってはいたんですが、つい先般、テレビに出演することがありまして、そのときにあわせて南海地震の大変さということを改めて勉強いたしました。そしてその中で、東海地震はもう日本全国人口に膾炙するというふうな形になっているにもかかわらず、南海地震そしてまた東南海地震については、昔そういうものがあったなという古老の方の知識としてはあるんだけれども、それが本当に三十年以内には四〇%、そしてまた五〇%の確率で起こると政府で発表しているものほどには十分に認知されていないということに危機感を持ちまして、和歌山県選出の国会議員の方々と一緒に自民党、公明党、保守党の三党の幹事長の方に何とか法制化をしてもらえないかということで陳情いたしました。そして、こういう内容というのは非常に皆さん、関心を持っていただけるということもあって、実に本日、国会に上程されると。これはまだ半月ぐらいしかたっておりませんので、日本の国の記録的なものになるんではないかと思っておりますけれども。こういうふうな冠ができるということになってきましたら、これにあわせて津波対策──大変なことになってくると思いますので、和歌山県でも防災センターを整備したり、そしてまた津波などについて十分な周知を図るような仕組みを新たに考えていくなど弾みをつけてこの東南海・南海地震対策に当たっていきたいと、このように思っている次第でございます。
 それから、第四点目のナショナルトレーニングセンターでございます。
 これについては、非常にすばらしい環境と自然を持っている和歌山にはもってこいのものだというふうに思っておりまして、何とかこういうものを国でつくるということになれば和歌山へ誘致したいなと思って前から働きかけをしているんですけれども、このところちょっと国の方で動きがとまっているというふうなことがあるわけであります。しかしながら、こういうことについては常にアンテナを高くして、動きが出たり、そしてまた働きかけをこちらから積極的にするなどして、いいような方向が出てくれば和歌山県にぜひ誘致するような形で一生懸命努めてまいりたいと、このように思っております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 緑の雇用事業の推進についてでございますが、現在、国の緊急地域雇用創出特別基金事業を積極的に活用いたしまして、新たな雇用の場の創出に取り組んでいるところでございます。
 去る五月十九日と二十日に第一回目の就業説明会を開催いたしましたが、その際、百八十二名の応募がございまして、そのうち五十九名が内定されたところでございます。今回、就業に結びつかなかった方の主な理由といたしましては、議員お話しのように、基金事業では六カ月という短期雇用しか認められていないことによるものでございます。こうしたことから、基金事業終了後も継続的な雇用に結びつけるため、緑の雇用支援森林整備特別交付金事業やIターン者など新規就業者の定住条件を整備する緑の雇用支援定住促進特別交付金事業などの政策提言を行ってきたところでございます。また、地球温暖化防止に貢献する森林県連合共同アピールの具体的な施策につきましても早急に取りまとめることとしてございます。今後とも、恒久対策の実現に向けまして、関係部局と連携を図りながら、積極的に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、公共事業の地方基準導入の道筋についてでございますが、今議会の冒頭で知事より、地方基準の公共事業についての考え方を述べさせていただきましたとおり、公共事業の実施につきましては、地方が知恵を出し、それぞれの実情に合った独自基準を定め、それに基づき補助体系の見直しや財源移譲を進め、地方にとって真に必要な社会資本の整備を推進することが地方分権の時代にあっては重要であると考えております。
 既に、平成十五年度政府要望において道路に関する県独自基準による補助事業採択を提言しており、理解を示していただいているところであります。現在、河川など公共事業全般にわたり地方基準の導入について同じ考え方を持つ他の県に呼びかけ、連携してその実現に向け努力しているところであります。その一環で、来る七月二十六日には、知事が先頭に立ち、他の県の知事とともに、東京でこの課題に関するシンポジウムを予定しているところであります。その成果を踏まえ、さらに国に強く働きかけてまいります。
 次に、公共工事等の入札及び契約手続の改善についてですが、公共工事の入札及び契約に当たっては、透明性の高い手続のもとに公正な競争が行われなければならないと考えております。今回の改善策方針では、契約の上限の価格である予定価格や工事の品質及び安全を確保するため設ける最低制限価格等を事前公表することにより透明性を確保し、不正行為の排除を図り、公正な競争を促してまいります。
 また談合の防止については、積算内訳書の提出、指名業者数の拡大、談合が行われた際の請負契約書への損害賠償予約条項及び契約解除条項の明記等の措置を講じてまいります。
 また不良、不適格業者の排除につきましては、経営事項審査とあわせ、営業所調査、工事現場における施工体制の点検等の措置を講じておりますが、さらにその充実を図ってまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、東南海・南海地震対策の強化についてでございます。
 東南海・南海地震は、歴史的に見ますと、百年から百五十年間隔で繰り返し発生しておりまして、今世紀前半にも発生のおそれがあることが関係者の間で強く指摘され始めております。一たび東南海・南海地震が起きますと、その被害は広範囲に及ぶことが予想されます。特に本県沿岸部には大規模な津波が短時間に来襲いたしますことから、あらかじめ周到な防災対策が必要であると認識をいたしております。
 本県では、これまでも防災監の設置、防災センター整備の推進、初動対応マニュアルの整備、各種訓練の実施、あるいは自主防災組織の育成などを通じまして防災体制の強化を図ってまいりましたが、ことし四月には県下全市町村、県、振興局を構成メンバーとする県地震対策協議会を新たに設立いたしまして、県下の沿岸市町村が一斉に行います津波避難訓練の実施でありますとか、公共施設の耐震化促進などに向けまして取り組みを強化することとしているところでございます。
 今国会における東南海及び南海地震対策のための特別措置法の制定の動きは、本県の地震防災対策を進める上でも極めて時宜を得たものでございまして、その早期成立に心から期待するところでございます。今後、中央防災会議に設けられております東南海・南海地震等に関する専門調査会の動向なども踏まえながら、本県の地震防災対策のさらなる強化に努めてまいる所存でございます。
 続きまして、市町村合併の状況についてお答えをいたします。
 まず、平成十七年三月末の合併特例法の法期限についてでございますが、国としての方針はいろいろな場で明言されておりますけれども、去る二月二十一日に開催されました政府の市町村合併支援本部におきましても、片山総務大臣から、これは延長しない方針であるということが示され、了承されておるところでございます。県といたしましても、法期限の延長はないものとして合併を推進してまいりたいと考えております。
 次に、合併重点支援地域の指定を行った地域などの状況についてでございますが、田辺地域におきましては、七月下旬に法定協議会を設置する予定と一昨日公表されたところでございます。那賀地域、有田地域につきましては、九月議会ごろを目標にいたしまして法定協議会の設置に向けた調査研究や調整が行われているところでございます。また橋本、伊都地域につきましても、住民発議による請求に基づき法定協議会の設置について審議が進んでいると理解をいたしているところでございます。
 県といたしましては、本年度はこの合併にとって非常に重要な正念場の年であると考えておりまして、三月末に示されました国の指針にもあるとおり、本年度中に全県的に法定協議会が設置されるよう、さまざまな支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、合併しなかった市町村に関するご質問でございますけれども、合併をしなかった市町村につきましては、合併市町村との間に結果として将来、行財政基盤に格差が生じるものと考えておりまして、地方行財政の構造改革である市町村合併によりまして行財政基盤の充実強化に努めていくことが重要であると考えておるところでございます。
 なお、国におきましては、市町村合併など社会経済情勢の変化に対応した地方行財政制度について議論が始まっております。その中で、小規模市町村について、県や周辺市町村への一定の事務を移譲すること、あるいはその事務配分の見直しが検討される予定となってくるなど大変厳しい状況も出始めておりますので、県といたしましては、その動向にも留意しつつ、必要に応じて施策等を提言してまいりたいと、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育に関する三つのご質問にお答えいたします。
 まず、学校週五日制完全実施のもとでの教育活動についてでございますが、議員ご指摘のとおり、各高等学校では生徒や保護者、さらには地域のニーズにこたえるため、多様な取り組みを展開いたしております。本県におきましては、これまでも選択の幅を広げ、個性を伸ばす教育を進める観点から、総合学科や専門学科の設置、単位制の導入などさまざまな改編を進めるとともに、自校問題による入試の導入を初めとする学校裁量の拡大に努めてまいりましたが、授業時数の確保についても六十五分や七十分授業、二学期制などの導入を通じて努力いたしております。また、大学の教員や社会人講師を活用するあすなろ支援事業や和歌山大学の講座を高校生が受講できることとしたほか、学校独自の夏休み等、長期休業日の設定など、各学校が特色ある教育活動を行うことができるよう、制度の弾力化や支援施策を講じてきたところでございます。さらに本年度は、県外の進路指導の先進校五校に県内の五つの高等学校から教員を派遣し、進学指導や学校運営について三カ月間研修をさせることといたしております。こうしたさまざまな取り組みを行ってまいりました結果、近年の国公立を初めとする大学進学において、本県の公立高等学校は、進学率、実数いずれの面でも増加をいたしております。
 次に高校生の就職の問題でありますが、非常に厳しい状況が続いております。各高等学校においては、県内外の求人開拓を積極的に行うことはもとより、生徒の基本的生活習慣の確立と望ましい職業観、勤労観の育成に役立つ就業体験の実施や適切な進路指導を行うガイダンス機能の充実に努めているところであり、教育委員会といたしましても、昨年度から就職アドバイザーを各地方に前期、後期合わせて延べ二十名配置しております。社会人としての経験豊かな就職アドバイザーは、求人開拓だけではなく、面接指導やマナー指導を通した職業意識の高揚の面でも大きな成果を上げております。また、今年度新たに就職支援教員を三名配置し、就職指導の一層の充実に努めているところであります。さらに、県内主要経済団体に対して、来年春の卒業予定者への求人確保について協力を依頼するとともに、和歌山労働局と共同で高等学校就職問題検討会議を開催し、就職機会拡大のため、雇用慣行の見直しなどについて協議をいたしております。
 最後に、学校の安全管理につきましては、昨年の大阪での痛ましい事件の後、各学校では来訪者を確認したり、防犯ベルやスプレー等を備えたりするとともに、緊急時の避難訓練や護身術の講習を実施するなど、さまざまな取り組みを進めてきております。その結果、教職員の安全管理に対する意識の向上、緊急時の校内連絡体制の整備などが大きく改善をされました。不審者情報への対応など危機管理マニュアルについても見直し等を進めるよう指導し、小規模校を除くほとんどの学校で見直しやマニュアル作成を終えております。また、事件から一年が経過したことから、先般、市町村教育委員会並びに学校に対して、関係機関と連携し、学校の安全管理に一層努めるよう、改めて通知をしたところであります。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、佐田頴一君の質問が終了いたしました。

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