平成14年2月 和歌山県議会定例会会議録 第7号(全文)


県議会の活動

平成十四年二月 和歌山県議会定例会会議録 第七号
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議事日程 第七号
 平成十四年三月十二日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに報第一号(質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
  第四 請願付託の件
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに報第一号(質疑)
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 請願付託の件
   五 休会決定の件
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         安   居       要
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       増   田   充   孝
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   中   尾   公   彦
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      井   口   好   晴
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時二分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに報第一号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十七番神出政巳君。
  〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 おはようございます。議長のお許しを得ましたので、通告に基づき質問に入らせていただきます。
 すっかり春めいた気候になってまいりました。平成十四年の奈良東大寺二月堂お水取りのきょうのよき日、まず冒頭、本席をおかりし、皆様に御礼とお願いを申し上げます。
 私こと、都合により、本定例会を最後にこの議場とお別れしたいと決意をいたしました。平成七年の春の統一地方選挙県議選におきまして、郷土の有権者の期待と負託を背に、中山豊議員とともに海南市よりこの歴史と伝統ある和歌山県議会にお送りいただきました。先輩・同僚議員初め、知事を筆頭に県関係職員の皆様には大変お世話になりました。ご指導いただきましたことに対し、まずもって衷心より御礼申し上げます。ありがとうございました。
 思い起こせば、初当選直後、有田の松本泰造様のお申し出にこたえ、和歌山の山下直也君にお声をかけ、新人三人で新保守クラブを結成し、はや今日まで七年の月日が流れました。感慨無量であります。故仮谷志良元知事、西口勇前知事、そして木村良樹知事と県のトップが目まぐるしくかわられたときに陪席でき得ましたこと、重ねて感謝申し上げます。本当に貴重な体験をさせていただきました。勉強させていただきました。世の移り変わりの速さをつぶさに実感させていただきました。まさに、木村知事が知事選挙のときに言われたドッグイヤー、マウスイヤーの時代であります。今となってはいろいろな思いは千々に乱れるわけでありますが、私自身の今後と同じく、同志山下直也君、原日出夫君の行く末も心配であります。御一同様には今後ますますのご活躍をお祈り申し上げますとともに、私どもへの変わらぬご厚誼、お願い申し上げます。
 そして、きょうは県議会での私の最後の登壇、勇姿ということで、この世に私を送り出し、「政巳」という政治の「政」──まつりごと──という名をつけてくれた、ことし八十歳になる両親もそろって傍聴席で不安げに見守ってくれております。私同様、あわせてお見知りおきのほどをお願い申し上げます。それでは、海南市民のためにも知事並びに関係部長の力強いご答弁を期待申し上げ、これより順次、限りなく要望に近い質問に入らせていただきます。
 まず最初に、新年度予算編成についてお尋ねします。
 時代の潮流にマッチした二十一世紀型積極的予算にされたということで、約二十八億円、百に上る新規事業を打ち出されたわけであります。要求基準を設けないで取り組まれたということでありますが、どこが窓口となり、提案の集約をされ、知事公室政策審議室、総務部財政課等がどのようにかかわって選定作業をされ、最終的にどのように知事が決断されたのか。また、今回の予算編成において知事自身の自由になった予算枠はどれくらいの金額になったのか。後学のためにもお教えいただきたく、まずお尋ねします。
 続きまして、公共事業の考え方についてお尋ねします。
 新年度予算において、特に職員の斬新なアイデアを生かした取り組みの中で、わかやまの道基準づくり事業が盛り込まれています。これは、全国で統一的、画一的な道路整備が行われているのに対し、地域の実情に合った整備を行おうということのようですが、どのようなお考えで行われるのか、知事にお尋ねします。
 一方、税収が大きく落ち込む中、財源確保のために徹底した財政改革の断行ということで既存事業について行政の棚卸しをされ、特に旧来型事業や県単独補助金の徹底した見直しや、全職員を対象とした給料の削減を実施されました。大変な作業、大変な交渉だったのではと敬服し、大いに評価するものであります。
 そこで、昨年の骨太の方針発表以来、地方交付税の削減が大きく論じられていることに関して、国の交付税制度の動向と市町村への交付税配分の見通しについて総務部長よりお答えください。
 続いて同じく市町村の問題で、喫緊の課題として一番大きな市町村合併についてお尋ねします。
 県は昨年七月、自主的な市町村合併推進のため総合的で効果的な支援を行おうと、知事を本部長に県市町村合併支援本部を設置。この三月四日の本部会議で県市町村合併支援プランの策定などについて協議され、県も傍観者的に一般論を語るのではなく、市町村と同じ土俵に乗って進めていきたい、県独自の支援策を策定していく必要があると言明されています。平成十七年三月末の合併特例法期限まで約三年となり、県は合併推進の立場で順次合併重点支援地域の指定を進め、関係市町村と一体となって考えていくということであります。県下五十市町村、温度差はさまざまで、私どもの身近なところでは住民にはせっぱ詰まった感じがないのが実情であります。
 また知事は、先日の同僚議員の質問に対して、理念、数の問題、地域の実情、住民の気持ち、高まりを考慮し、県としても悩みながら真剣にアドバイス、助成したいとのことであります。特にハード面の整備についても、法定合併協議会を立ち上げる前の任意協に対してでも二分の一補助を実施されるという思い切った予算を計上された市町村合併事業について、具体的にどのような事業がなされ、市町村に働きかけるおつもりなのか。また反面、それぞれの市町村が合併前に駆け込みで実施しようとするかもしれない地域エゴと認められるような事業については、歯どめをかけられるようなこともお考えなのか。そして、合併後の市町村と県の組織である振興局等との関係はどのようなものとなるのか、将来像についても知事にお尋ねします。
 海草・海南地域では、道路や上下水道というインフラ、社会資本整備の問題もありますが、特に公立病院の問題があります。野上町の厚生病院と海南市民病院について、県としての現状認識と近い将来に対する見通し、お考えを総務部長よりお答えください。
 次に、知事の専権事項であります人事について、二点お尋ねします。
 知事は、昨年六月上旬の中国山東省での北東アジア首長会議出席の際の感想を産経新聞「知事のリレーエッセイ」の欄に寄稿されていました。「中国で日本の構造改革の必要性実感」というタイトルで、その中で、公務員の育成方法で感心したことが一つ、山東省では前年初めて約四千人の職員の中から職場推薦と厳密な試験により数十人の幹部候補を選び、これらの人名を一般に公示して意見を求め、最終的に十数人に絞り込み育成しているとのことであり、知事自身、この候補者の一人と会って話したということでありました。年齢は三十歳後半くらいか、受け答えの物腰、内容とも実にしっかりとした、なるほどと思わせる人物であったとのことで、人材選抜育成法としては科挙をほうふつとさせる徹底したやり方だと思うが、十三億人という人口を擁する国の奥の深さを改めて感じさせられたとも載せられていました。
 私は、昨年より、本県の職員の昇任・昇格年限や知事の前任地大阪府の主査級昇任考査制度、四十七都道府県の職級別の昇任の実施方法、そして本県の警察本部警察官の昇任制度や教育委員会の教頭・校長選抜制度についても調査研究させていただいてきたところでありますが、これも後学のため知事にお尋ねするわけですが、理想とする人材選抜育成方法についてのお考えはどうか。そして、三月末に迫った人事異動構想については人事課の参考資料と助言をどのように参考にされ、独自の判断をどのように反映されているのか、お尋ねします。
 次に防災問題、大規模災害への対応についてお尋ねします。
 昨年九月、政府は、南海地震については今後三十年以内に四〇%の確率で起きる、東南海地震については五〇%との予測を発表しました。県は南海地震等の発生に備え、県庁舎周辺に防災センターを整備するために予算計上され、防災総合情報システムの基本構想の策定をし、大規模災害対応ということであります。市町村との連携についてどのように取り組まれるのか、総務部長にお尋ねします。
 また、津波対策については避難訓練実施事業について予算が計上されていますが、昭和二十一年(一九四六年)十二月二十一日未明の南海道地震を想定し、和歌山県の約六百キロメートルの沿岸部に対しどのような事業を計画されているのか、総務部長にお尋ねします。
 最後に、緑の雇用事業と相まって、技術習得の面でお尋ねします。
 三重県では、近年の経済状況のもと、間伐等の事業について、従来の森林組合だけでなく土木事業者などにも請負をできるようにするため、請負のための必要条件として間伐技術指導員の制度を平成十二年に創設、年間十人程度認定し、現在は約三十人の認定者がいます。これまで森林組合などの実施する間伐材等の技術に対して何も評価がなかったので、一定の技術に対して認定を与える意味もあるということであります。
 そこで、本県でもこのような間伐技術員の制度導入を検討されてはいかがでしょうか。農林水産部長にお尋ねします。
 以上で、終わりといたします。ご清聴、ありがとうございました。ごきげんよう。
○議長(井出益弘君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 神出議員には、この激動の時代にくれぐれも健康に留意されまして地方自治振興の場でますますご活躍されること、心から祈念をいたしているところでございます。
 私に対するご質問に順次お答えを申し上げます。
 まず、予算編成についてでございます。
 予算編成につきましては、この二十一世紀は大変な時代でございます。今、和歌山県は財政的に非常に厳しい状況ではございますけれども、一方で県に勢いをつける新しい仕事をたくさんしていかなければならないということで財政課等々と打ち合わせをした結果、シーリング制度、要するに前の年の分をちょっとずつ下げていくという、これはまあどこでもやっていることですけれども、こういう制度をやめにしよう、すべての事業をゼロから考えていこうということにいたしました。しかしながら、昔と同じように貯金を取り崩したり新たな借金をするという形では好ましくないということで、職員に非常に負担のかかることでありますけれども、給与をカットしたり職員の数を削減したり、それから長い間行ってきた県単の補助金を見直したり、すべての事業を棚卸しすると。こういうふうなことから財源を生み出して、百の事業と言っておりますけれども、新しい和歌山発の事業をつくってきたということでございます。そういうことでございますので、総額的には少なくはなっておりますけれども、非常に筋肉質の予算になったと自負しているところでございます。
 そして、ご質問の中にもありました、それでは知事として裁量のきく部分はどれぐらいあるのかというお話でございます。これはなかなか難しいことで、よくそういう話をするんですけれども、今回のような予算編成を行いますと、例えば人件費。これは固定的な経費でどうしようもない部分があるんですけれども、それについても一応最初から見直しをしているということがあって、これもやはり見直しの対象にはなってきている。それから公共事業についても、やはり削減の中で、例えば十三カ月予算ということを考えたり、それから配分について、地域配分であるとか、用地費を使うよりは事業に回していくとか、大規模なものよりはできるだけ住民の人が願っている地域の中小のもので役に立つものに厚く配分するとかいうことも考えて行っております。そういうふうな固定的な部分もある意味ではすべて見直しの対象にしているということでございますから、こういうやり方をしていきますと、幾らが知事の自由になるというふうな考え方ではなくて、トータルな予算の編成の中で、手間はかかりますけれども、すべてを見直したということでございます。予算をつくるとき、よく、知事のつかみ金は、市長のつかみ金はこれぐらいで、こういうものについては自由に配分してもらってもいいというような発想がありますけれども、和歌山県の今回の予算はそういうふうなやり方は行っていないということでございます。
 次に、わかやまの道基準づくりということでございます。
 今、緑の雇用事業というのを打ち出しておりますけれども、私は来年度のもう一つの大きな和歌山からの発信の柱にしていきたいと考えて、これからもっと大きく提言をしていこうとも思うのでございますが、例えば北海道の平野でも和歌山の山の中でも、道路は七メーターというふうな形。こういうことが基準で決まっているわけだけれども、山の中の人にしてみたら別に七メーターの道は要らないんだ、五メーターで車が行き合えれば十分なんだと。それから、無理に歩道をとることによって山を何メーターも削るというふうな形で、都会の人から田舎の道はむだなことをしているなんて痛くもない腹を探られるのは望ましくないんだと。これはもう、私もそういうことだろうと思います。
 そういうことから言いますと、国土交通省も非常に立派な基準を設けて今まで日本の国づくりを進めてきたわけですけれども、これからは地方分権の時代でもあるので、地方の方から道路のつくり方の基準なんかについても提言していくべきではないかと考えましたし、そのことが、例えばこの道はこれぐらいの幅がなかったら、この橋はこれぐらいの大きさがなかったら国の補助制度に乗らないから、だから大は小を兼ねるということで大きいものをやっておくということが仮にあるとすれば、その地域にとってはプラスにはなるわけですけれども、国民経済的には非常にマイナスになると。そしてまた、そのことが都市が地方に対して非常な不信感を持つということの原因にもなってくると。そういうふうなことはやはり改めていって、本当に地域のためになる公共事業をどんどん進めていこうということから、昔、井沢弥惣兵衛さんが紀州流ということをひっ提げて江戸へ行って大活躍したわけですけれども、そういうふうな現代版の紀州流的な公共事業のあり方というものを和歌山県から提起していくと。これはまあ非常に気宇壮大な考えではあるんですけれども、これをひとつ打ち出していきたいと考えているわけでございます。
 それから、市町村合併についてでございます。
 昨年の十二月に三カ所の合併重点支援地域を指定いたしまして、来年度もこの合併協議会の運営に対する補助を行うとか、シンポジウムを行うとか、連携のための会議を行うとか、その市町村の身になった立場で県としても合併について一緒に悩み苦しみ進めていこうというふうな立場に立っているわけでございます。実際問題といたしまして、今、合併して何のメリットがあるのかというようなことがよく言われますし、そしてまた地元の方がそういう気持ちを持たれるのも無理もないところだと思う面もあるんですけれども、例えば観光でありますとか福祉でありますとか、いろんな面で今の市町村の枠組みがもしそういうことの制約になっている、要するに町が違うからこういうことでむだがあるとか重複があるとかというようなことがあれば、やはり二十一世紀になっているわけですから、もう少し大きな範囲で行政のあり方をこの際考えてみることも私は必要であろうと考えているわけでございます。
 そして、そういうふうな中で、駆け込みで、今までのそれぞれの市町村の懸案をこの際解決しておこうという動きがあることは、これは事実でございます。そしてまた、そうしようというふうに思う市町村長さんとか地元の人の気持ちも、それはなるほどと。お金もためていたかもしれませんし、もっともなところもあるわけですが、ここはひとつ大局的な立場に立って、仮に大きな町ができた場合に全体的な視野からそういうふうな施設のことを考えていくべきじゃないかと。これはまあ強制はできませんけれども、大所高所に立った考え方でやってほしいというようなことを県として適宜アドバイスをしていくべきなのかなというふうに考えているわけでございます。
 そしてまた、この市町村合併と県の組織ということでございますけれども、都道府県制度につきましても、再三再四総務大臣が言っておりますように、市町村合併の次は都道府県の合併、連携だというようなことがもう既にマスコミなんかにも出てきております。いずれにせよ、この二十一世紀というのは大きな変革が要求される年でございますので、県としても市町村の合併について、ただ単に市町村がひっつくというだけの物の考え方じゃなくて、大きな構造改革の一環だというとらえ方の中で県のあり方についても真剣に考えていきたいと考えております。
 それから、第四点の人事の問題でございます。
 先ほど、私が前に新聞に書いておりました中国の育成方法ということが出ておりました。中国に関しては、このごろ毀誉褒貶相半ばするような本が何冊も本屋へ行ったら出ておりまして、日本の国における中国の関心が大変高まっている時期でございます。そういう中で、確かに数千人の中から何人かの人間を選抜して優秀な人をつくっているというやり方、これもひとつ傾聴に値するものがあると思って前に書いたんですけれども、和歌山県に関して言いますと、和歌山県は今こういう不況時でありますし、職員の採用は非常に競争率も高く、そしてまた少子化の時代でもありますので郷土へ帰って県のために働きたいという若い人も非常に多いと。そういう中から選抜しておりますので、私は大変力のある人たちがあると思います。
 この間、中堅の人と話をしていたら、和歌山県の職員は自分たちもよくできると思うし、しかもその上に郷土愛の気持ちが非常に強いんで、この二つが一緒になれば相当な力が発揮できるんだというようなことを言っておりましたけれども、私もその点、大いに共鳴したところでございます。そしてまた、そういう人たちの力を最大限に発揮するということが知事としての私の仕事だと考えておりまして、人事に関しては能力主義、また若手とかやる気のある人の抜てき、そして女性職員等の登用というようないろんな事柄で、情実を排して能力や合理的な判断によっていろんな選考を進めているところでございます。こういうふうな形でやっていけば、当然人々の意欲も高まりますし、それこそ百の事業というような新しいものをやっているわけですけれども、こういうものについても職員の人の意見を入れてつくっているものですから、きっと皆が自分の仕事として県をよくするために頑張ってくれるんじゃないかなというふうに考えているような次第でございます。
 非常に簡単ですけれども、私からは以上のようにお答えします。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず新年度の予算編成に関連しまして、交付税制度の動向と市町村への配分見通しについてでございます。
 平成十四年度の地方交付税につきましては、大変厳しい財政状況の中で国、地方を通じた歳出の徹底した合理化による地方の財源不足の圧縮やいわゆる赤字地方債による交付税からの振りかえなどによりまして、結果として交付税総額の抑制が図られたところでございます。またその算定方法につきましても、経済財政諮問会議のいわゆる骨太の方針を受けまして、地方団体の自主的、主体的な財政運営を促す方向で事業費補正あるいは段階補正の見直しが行われたところでございます。
 各市町村ごとの具体的な算定方法につきましては現時点では決まっておりませんが、来年度の交付税総額が本年度に比べまして四%の減少となっていることなどを考えますと、市町村への配分は厳しく、またその厳しさも年々増していくことは避けられないのではないかと考えております。
 続きまして、市町村合併に関連しまして、海南市民病院及び国保野上厚生総合病院についてのご質問についてでございます。
 両病院は直線距離で十キロ程度と近く、診療科目も内科、外科など五診療科目が両病院に設置されるなど、隣接した、しかも似通った診療科目を持つ病院となっておりますが、それぞれ和歌山保健医療圏における中核病院、僻地中核病院として地域医療の確保に大きな役割を果たされていると認識をしております。
 しかし、道路交通網の発展、あるいは県立医科大学附属病院の移転や医療機関の整備進展に加えまして、医療保険制度の改革など、これらの病院経営を取り巻く環境が大きく変化してきていることも確かでございます。このため、地域医療計画を踏まえつつ、地域住民の医療ニーズや地域における医療供給体制等を的確に把握することにより、この地域における両病院の役割など公立病院のあり方について不断の検討が必要ではないかと考えております。
 なお、仮に当該地域での市町村合併を考えた場合、両病院のあり方につきましては、これは大変難しい課題であると思いますけれども、広域的な連携や再編などを含め、市町村建設計画の中で十分な議論が行われるものと考えております。
 続きまして、大規模災害への対応に関しまして、まず防災センターの整備、基本構想の策定についてでございます。
 南海地震等の大規模災害が起こった場合には、国、県、市町村、さらにはその他の防災関係機関において情報の収集・伝達機能を確保し、これらの機関が連携して迅速かつ的確な応急対策を講じていく必要がございます。このため、県の防災センターの心臓部とも言うべき防災総合情報システムの基本構想の策定に当たりましては、最新のIT技術を活用して、市町村を初めとした防災関係機関がスムーズに連携できるようなシステムの構築を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、津波の避難訓練についてでございます。
 津波につきましては、これをハード対策で防ぐには限界があると言われておりまして、ソフト対策を進めていくことが重要であると考えております。このため、県では津波避難計画策定マニュアルの作成や自主防災組織を対象とした図上訓練などの事業を行ってきたところでございます。
 津波に対しましては、住民みずからができるだけ早くかつ安全な場所に避難することが何よりも大切でございますので、来年度から新たに市町村と住民が主体となった津波の避難訓練を行うこととしたところでございます。
 この訓練の具体的な内容につきましては、今後沿岸市町村とともに検討してまいりますが、現在のところ、県の防災行政無線により津波警報を発令し、あらかじめ指定しておいた沿岸区域の住民が一斉に避難するといったようなものを想定しているところでございます。また、より効果的な訓練にするため、参加される方には事前にパンフレットを配布し、地震や津波の正しい知識、あるいはこれへの身の処し方等を理解していただくことといたしております。この訓練などを通じまして、避難についての問題点や課題の検証を行うなど、ソフト対策の充実を図ってまいります。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 間伐技術指導員制度の導入についてでございますが、三重県で実施されている制度は、間伐が健全な森林を育成する上で重要な作業であることから、一定期間の実務経験者を対象として高度な講習を行い、試験の上、認定する制度でございます。本県では、従来より間伐技術指針の設定や間伐技術研修会の開催などにより森林組合作業員などの技術の向上に努めてきたところでございますが、今後はこういった認定制度の導入も含め、新たな発注方法の検討を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、神出政巳君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十四番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 皆さん、おはようございます。
 お許しをいただきましたので、市長候補の後を引き継ぎまして、私の方からまじめな質問をさせていただきたいと思います。どうか、当局には簡単でまじめな回答をひとつよろしくお願い申し上げまして、質問を始めさせていただきたいと思います。
 初めに、和歌山県の発展に多大なるご尽力をいただきました岸本光造衆議院議員並びに中西啓介元衆議院議員が相次いでご逝去されましたことに、生前のご遺徳をしのび、謹んで哀悼の意をあらわし、ご冥福をお祈りいたします。
 さて、日本経済は、今、デフレに陥っております。戦後、一貫した成長になれてきた我が国社会では、デフレそのものの印象が悪というふうにとらえられておりません。その証拠に、今はやりのユニクロや百円ショップに象徴される価格破壊や、通信料金、コンピューター、航空運賃などの価格低下が歓迎され、いわゆる「よいデフレ」とされてきました。従来ならば、物の値段が下がることにより消費や需要がふえてまいったわけでありますが、長引く不況と将来の不安が連なり、一向にその気配がない上に、企業が同じ数量を販売しても売上高が減り、借入金の重みがさらに増し、企業経営が圧迫されております。このため、従業員の給料が引き下げられるとともに経営の行き詰まりからリストラが進み、失業者が増大するという悪循環が起きております。これと同時に金融不安が連鎖し、戦後最大の危機的状況に直面しております。
 政府は、昨今、総合デフレ対策をまとめ、金融危機に対して公的資金の注入を示唆しておりますが、今までのような安易な公的資金の注入ではなく、まず銀行の合理化や経営責任並びに株主責任を明確にすること、あわせて政治責任をも追及することを前提としなければなりません。また、不良債権処理も同時に行うべきであり、過去行ってきた土地担保に頼らない新しい金融システムの確立を進めることが大事であります。
 このように考えていきますと、デフレの要因は需要が極端に少ないことであることから、需要の創出を強力に推し進めるべきであります。その一つに所得税や土地税制の見直し、さらには税制改革を行うこととあわせて、今、日銀による量的緩和政策によるインフレ目標を定め、そのすべてを連動させることがデフレ危機からの脱却のかぎと考えるところであります。
 県内においてデフレ傾向が急激に浸透し、県内景気は一段と厳しさを増していることから、知事として、このデフレ下における県経済をどのように考え、どのようにされようとしておるのか、お聞きをしたいところであります。
 さて、平成十四年度当初予算が出されました。知事は、知事説明の中で、県自体にも痛みを伴った改革の県政を前面に掲げ、時代潮流にマッチした二十一世紀型施策を積極的に推し進めると説明されました。このことについては、私自身も過去数回にわたり質問や提言を行ってきておるところであり、評価をしておるところではありますが、基本は県民の幸福な生活の実現であり、長期的視野に立った施策をどのように進めてまいるかにかかっております。
 県民は、長引く不況の中、さまざまな側面において我慢をし、痛みを享受しておりますが、国における昨今の政治不信や官僚による不正や混乱などを見るとき、国を含めた行政への不安が募っており、将来に夢を持てない状況であります。私たち県政の一翼を担う者として、今こそ明確で夢のある我が県の方向を示すことが責任であります。
 木村知事が就任されて以来、私は、和歌山県のあるべき姿や将来の進むべき方向を木村ビジョンとして掲げた上で県政のかじ取りを進めていただきたいとお願いをしてきたところでありますが、これまでの施策が県民に知事のその意思、つまり将来展望やこれからの進むべき方向、夢に対して理解されておらない、このように感じるわけであります。木村ビジョンを明確にし、そのことによって県民の中でさまざまな議論が展開され、その中から我が和歌山県の進むべき方向が明らかになると考えます。和歌山県の重要な指針となる木村ビジョンができておるのか。木村ビジョンの策定状況とその中身をお聞かせいただきたい。
 次に平成十四年度当初予算の方針と内容について、具体的にお伺いいたします。
 当初予算は、前年度比四・一%と三年連続の減額を示し、厳しい財政状況であります。県民は、デフレスパイラル下の長期構造不況の中で政府の痛みを伴う構造改革の直撃を受け、失業と倒産で大きな不安の中にあります。知事を初め私たち県政を担う者として、県民に将来の展望なり夢を持って生活できる政策を提示しなければなりません。まだ数年続くと思われる厳しい経済状況の中で政府が打ち出してくる構造改革は国民生活に大きな痛みを及ぼし、最も弱者とされる地方や中小企業、まじめに働く県民にそのしわ寄せが押しつけられようとしております。こうした県民の生活を守り、安心して暮らせるためにこそ、予算は編成されなければなりません。
 これまで県財政の健全化のために財政運営プログラムに基づいて推進されてきたことは、私自身、大いに評価するものでありますが、私は、この際、デフレスパイラル下の県民生活の防衛と景気回復の観点から財政運営プログラムを見直し、一時凍結するなり目標年次を延期するなど、知事の思い切った決断が必要であろうと思います。県民生活防衛のための景気回復と財政運営プログラムの見直しについて、知事の所見をお伺いいたします。
 次に、当初予算の中心をなす緑の雇用事業が予算案として提案され、環境保全型の新しい公共事業として、また雇用をふやすという目的を持った新たな試みを提唱しております。新しい発想を持った政策として、その全面的な展開を期待するものでありますが、雇用の面だけを見たとき、原則半年間の雇用であり、その後の見通しは不透明で、何より事業全体の目標設定が明確でありません。県として、経過を含めた確実な成果を上げることができるかどうか。貴重な財源を使っての事業であり、継続した大きな政策展開をするためには、農林業の振興と雇用対策を絡めた総合的で大きな視点での推進をするべきであると考えます。
 例えば、前回の質問でも指摘しました県所有の岩出町にある県立緑花センター。この現状は、知事の緑の雇用事業の提唱とは裏腹に入園者数は年々減少の一途をたどり、森林の持つ社会的機能、都市と農村の交流の実現を考えるとき、その中核となる緑花センターのあり方こそ見直されるべきであります。地元の岩出町、打田町と連携して地元住民に開かれたセンターとして林産物、植木の直販や出店を促し、林産物のめっけもん広場として住民が主体的に楽しめる方策を考えてはどうか、このように思います。また、現行の緑花センターの駐車場は有料であり、入場料も有料であります。これを無料にして地元住民に開放し、まず集まっていただける、大いに活用できる──人が集まらなければ話にならないわけであります。そういった意味で、財政運営プログラムによりましたら、これは無料にできないというふうな話だそうでございますけれども、こういったことは見直していただいて、地元住民に開放して大いに活用できるようにしていただきたいと、このように強くお願いをするものであります。
 緑の雇用事業の展開と県立緑花センターの活用、これについて農林水産部長の見解を求めます。
 さて、予算にかかわっての要望でありますが、知事説明の中に「開かれた和歌山の基盤づくりとして道路網の整備は欠かせない」となっており、特に京奈和自動車道路、府県間道路等の整備は本県の発展に不可欠なもので重点的な整備に努めると述べられております。例えば京奈和自動車道路は、那賀郡、伊都郡の紀北地域が阪和自動車道路と高速道路で直接つながるとともに、近畿圏が二時間で結ばれ、紀北地域、ひいては和歌山県全体の発展に欠かせない道路であります。このことは、私が提唱し、また多くの同僚議員も同じことを叫ばれておるわけでございますけれども、知事にいたしましても、重点整備の道路として集中的に予算を投下するとかねがね言明され、長期計画にも重点施策と位置づけられてきた紀泉百万都市構想の中心的道路であります。しかし、この重要な道路についての予算を見ると、先行用地取得の平成十三年度予算が橋本道路で三十億円余りあったものが、平成十四年度予算では紀北東道路の先行取得として十億円足らずが初めて計上され、橋本道路と合わせて二十四億五千万円となっており、前年度比約八〇%になっておるわけであります。また、高速道路建設に不可欠な関連道路整備を見ると、例えば市町村道路等整備補助金が、京奈和関連市町村道路の整備が目に見えて進展していないにもかかわらず、これまた減額となっておるわけであります。これは、話を聞きましたら、橋本道路の進捗状況や国土交通省関連の予算があるということも聞いており、一定の理解はするわけでありますが、県としても今後一層の重点的な予算配分、予算要望をされ、早期の完成を目指して国に強い要請と市町村指導を進められるよう強く要望をするものであります。
 続いて、安全な町づくりについて質問をさせていただきたいと思います。
 近年、我が国は危険きわまりない社会になっております。交通事故、薬害、自殺、凶悪犯罪、いじめなど、多種多様な危険があらゆる面で待ち受けております。このような危険から、自身をも含めた地域社会をどのようにして守ることができるでしょうか。ここでは、青少年と社会を中心に安全な町づくりとは一体何かを考えていきたいと思います。
 今や、青少年をめぐる出来事が新聞紙上をにぎわさない日が一日としてありません。年少者による凶悪事件は、高度経済成長期以前に比べるとはるかに低い発生率にとどまっているにもかかわらず、凶悪事件が起こるたびに青少年イコール凶悪事件と見る傾向がだんだん強くなってきております。また一方で、この凶悪事件の被害に遭う青少年も急増しておることも見逃せない事実であります。
 今、青少年を取り巻く社会環境は、経済成長の身がわりとして劣化し、社会の混乱がきわまった今日、ますます貧相になっています。私たちは、青少年のこの生のありようを近代社会の本質を照らし出す合わせ鏡として反省を忘れてはならないと考えるところであります。
 閉塞する社会の中で私たちが忘れ、置き去りにしてきた青少年に対する応答作業に丁寧に取り組み、青少年自身が自己と他者に向き合う余地を残し、失われた関係性を回復させ、現出する課題にそれぞれの持ち場で具体的、反省的にかかわっていくことが現代社会の形成に責任を持っている私たち大人の責務であることを踏まえ、質問をさせていただきたいと思います。
 さて、県内において人口の急増する那賀郡地域では、平成十三年度の一年間に二千八百件余りの刑法犯罪が続発しております。その中身は、窃盗犯が七九%を占め、粗暴犯、凶悪犯と続いております。町別に見ますと、岩出町の千三百三十五件が群を抜いており、前年度比でも約一三%の増加であり、那賀郡全体でも前年度比一八%の増加率を示していることから、決して安全な町とは言えない、非常に危険な状態であります。
 このような現状の中、青少年による事件が多発しております。具体的には、ことし平成十四年二月、和歌山市内の中学生十人及び那賀郡内中学生十二人による集団暴力事件の発生、平成十三年十一月、無職少年四名と中学生七名による女子中学生への暴力事件等、深刻な事件が続発しており、そのほか、集合店舗周辺において事件事故が多い傾向が出ております。
 このような中、岩出警察署の呼びかけにより、本年二月、地域の青少年にかかわる団体、行政が一堂に会し、少年犯罪の防止対策検討会を開催されましたことは少年の非行を真剣に考えるためのことと敬意を表したいと思いますが、さらに継続されることを強く念願するものであります。県下の治安悪化と青少年問題、特に続発する那賀郡内青少年暴力事件の経過と今後の取り組みについて、警察本部長並びに教育長の答弁を求めます。
 治安の悪化は全国的な重要問題であり、各都道府県にあっても、これの対策に苦慮しているところであります。その中、大阪府では新聞紙上にあった安全なまちづくり条例が検討され、今議会に提案されることとなっております。この中身は、安全な町づくりの実現は一朝にして成るものではなく、私たち一人一人が危機意識を持ち、警察のみならず行政、事業者、地域住民、その他すべての人が一体となった良好な地域社会の形成に取り組まなければならないとして、二十五カ条から成る条例の制定に取り組んでおります。この際、和歌山県においても安全な街づくり条例の制定が必要であると、このように思うところであります。安全な街づくり条例の制定について、警察本部長の答弁を求めます。
 さて、前段でも申し上げました大人の責務については、国の将来を託した国会議員による事件、教育現場による教師の生徒からの逃避と無関心、県内では警察職員による殺人事件と被害者対応の不完全さ、家庭、家族や地域住民の連帯意識の希薄など、恥ずべき事柄が蔓延し、大人の責務を全うされておりません。であるならば、例えば警察官の増員と質の向上、条例の制定はもちろん、何よりも警察、県、市町村、教育委員会と地域が一体となって地域全体が犯罪の抑止効果として運動を展開していくことが重要であろうと思います。このままでは、景気悪化が進む中、犯罪が横行し、極めて危険な町になりかねません。人口が急増し、町が発展すればするほど、その影の部分として治安悪化が心配されます。地域の抑止効果と安全啓発について、当局の見解を求めます。
 最後に、人権行政の推進並びに同和行政のあり方について質問をいたします。
 初めに、一昨年九月に知事が就任されて以来、人権行政の推進を強く掲げてこられ、施策の推進と機構体制の整備を進めてこられました。さらに、今議会に和歌山県人権尊重の社会づくり条例が提案されていることと本年四月に本格的にスタートされることになった人権啓発センター等、知事の推進姿勢に対し深く敬意を表するものであります。
 さて、本年三月末をもって同和対策にかかわる法が期限切れとなることから、国を初めさまざまな動向を踏まえ、同和対策事業がこれまでの特別対策から一般対策に移行し、同時に同和行政も人権行政の枠組みの中でとらえられるなど、長い年月にわたって続けられてきた同和行政が大きな転換期を迎えていると言われております。しかし現実は、インターネットを使っての差別事件や人権侵害を初めとする差別、同和地区におけるさまざまな格差の問題や解決への展望等の状況を見たとき、まだまだなお多くの課題が存在をしているわけであります。つまり、地域改善対策協議会意見具申でも明らかなように、人権行政への移行は、これまでの同和事業の推進の中で培ってきたノウハウや視点を他の人権問題にも生かすということであり、同和行政の廃止を意味するものではないということであります。当然、差別がある限り同和行政は必要ということにほかならないと考えます。そうした視点から見ると、この転換期ということは、手法としての特別対策が一般対策に移行するということであり、法をよりどころとしてきたこれまでから、地方自治体の主体的な姿勢や人権行政の立場からの同和行政の一層の推進が問われておるということであります。
 こうしたことを踏まえながら、今まで以上に現状認識や課題意識が問われており、人権行政の重要な柱としての同和行政の位置づけが必要であります。さらに、今日的な状況や課題をとらえての和歌山県同和行政総合推進プランの改定が必要と考えるものであります。知事の同和行政の積極的な推進に向けての全体的な考え方と決意を、ぜひお伺いいたしたいと思います。
 次に、人権条例にかかわって、これは委員会で十分議論されると思いますが、概括的に私の考え方を述べさせていただきたいと思います。
 今議会に提案されております条例案を検討させていただき、全体的には、全国の自治体で制定されております条例よりは相当具体的な内容であり、これは知事の姿勢やこれまでの同和行政を初めとする人権にかかわる県の施策の推進姿勢が積極的に反映されたものと感じております。
 まず、前文の中に、「社会的身分、門地、人種、民族、信条、性別等を理由とした」と書かれておるわけであります。これは憲法の精神を踏まえた表現であると把握するところでありますが、人権教育のための国連十年では、具体的に同和、女性、高齢者、障害者、子供、アイヌ、HIV感染者、刑を終えて出所した人等、そのほか極めて具体的な内容になっておるわけでありまして、この条例案では少し抽象的な表現にとどまっております。条例というのは、その具体的な内容にも指摘されているように、行政関係者だけでなく、広く県民に浸透し、日常的な実践を促すものでなければならないとすると、少し具体性に欠けているのではないかと思うわけであります。
 再度お伺いをするわけでありますが、社会的身分、門地というのは同和問題のことを指しているのか。あるいは障害者や高齢者はどこに入るのか。このことの説明を受けたいと思います。あわせて、県の責務あるいは人権施策基本方針にかかわって、それぞれの具体的な課題についての位置づけと施策の基本的方向や基本計画を策定すると、そういうふうに理解をしていいのか、お伺いをするわけであります。前文の具体化と人権条例の制定にかかわる基本的方向や基本計画の策定について、福祉保健部長にお伺いをするものであります。
 最後に、人権施策推進審議会──これは条例の中で審議会の設置がうたわれておるわけであります。これからの同和問題、人権問題の方向を決めるに当たって極めて重要な審議会であろうと思います。この人権施策推進審議会の設置に当たっては人権問題に精通された委員を委託する、このことは当然であろうと思いますが、私は、設置される審議会が、本当に差別を受け人権を侵害されている当事者の悲しみや苦しみ、怒りを受けとめられる人選が必要ではなかろうかと強く思うわけであります。人権行政や同和行政が後退しないものとなることが強く望まれるところであります。人権施策推進審議会の設置に当たっての審議委員の選出基準についてもお伺いをして、第一回目の私の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴、ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問でございます。
 まず、現下の厳しい経済情勢──昨今、若干株価が上向いてきておりますので、これに大きく期待をかけておりますのと、それからアメリカの景気が予想以上の立ち直りということでその辺を期待はしているんでございますけれども、基本的には、先ほど飯田議員のご質問の中にもありましたように、大変なデフレスパイラル的な様相を呈していると。
 私も、先週の日曜日に百円ショップへ行ってまいりました。時々私は見に行くんですけれども、売っているものがどんどん多品種になってきていて、こんなものを百円で売られたら国内の製造業者はちょっとやっていけんだろうなというふうな感じに現在なってきております。そういうふうな中で、和歌山県も非常に経済情勢が厳しく、県としてとれる道は非常に少ないわけですけれども、力いっぱい県内景気の回復に努めていかなければならないという認識を持っております。
 そういう中で、私がまず考えておりますのは、新しい産業の導入もいいけれども、まずは現在ある和歌山県の地場の産業、そして一次産業も含めてでございますけれども、そういうものをブラッシュアップすることによって、高齢者の人からみんなが欲しいと本当に思うようなもの、差別化した製品をつくっていかないとなかなか厳しいだろうと。そういうことについて、県の工業技術センターでありますとか、いろいろなものが協力しながら何とかそういうことの振興を深めていきたい、そしてまたセールスをしていく場面もつくっていくということを、まず一つ考えております。
 それからもう一つは、昨日の質問にもありましたけれども、県はいろいろ遊休地を抱えております。こういうところもずっと置いてあるわけですけれども、これについてもいろんな形で手を尽くして、新しい感じの企業が来るような誘致にどんどん努めていく。──現に努めているところでございます。
 それから、今、貸しはがしとかいろんなことが問題になっておりますけれども、中小企業の金融関係が非常に厳しい状況にある。そういう中で県の制度融資も充実させて、中小企業の人が本当に厳しいところで困らないような、何とか助けになるような方策を考えていく。
 それからもう一つはベンチャーの育成ということでございまして、去年和歌山市内にスタートアップ・オフィスをつくったんですけれども、来年度もこれをもっと充実して、県内の学生の人なんかも含めて新しい起業にチャレンジする人の意欲を高めていきたい。それから、例えば田辺とか白浜の地域には、きのうも言いましたイノベーション・ホット・スプリングスというような形でIT関係の企業を東京から来てもらって、いろんな形で振興していくと。
 まあ多種多様なことをしていって、一気にはいかないと思いますけれども、何とかこの和歌山県の厳しい経済情勢が改善されるように努力をしていきたい。このように考えているところでございます。
 次に、当初予算についてのご質問でございます。
 当初予算につきましては、ずっと申し上げておりますように、片方で経済・財政再建ということをしていかなければならない。そして一方では、県の活力を高めるような施策をしていかなければならない。言ってみれば二兎を追うという政策展開を行っているわけで、非常に厳しいわけでございます。
 例えば公共事業については、こういうご時世ですから十三カ月予算というふうなものを組んで、できるだけ仕事が出てくるような形で努力をしているということがあります。こういうふうな中で、ドクターヘリの導入でありますとか、県独自の奨学制度の新設でありますとか、就学前の子供の入院への補助とかといった福祉の面でも、もうカットするということで新しく出てくるような制度ではないわけですけれども、こういうふうなものにも目配りをしているわけでございます。
 そして、財政運営プログラムということとの関係でございますけれども、私は、このプログラムがすべてというふうには思っておりません。施策を考えていく上では柔軟に物事に対処しておりますので、例えば来年度から美術館や博物館への高校生以下の入場料をただにする、そしてみんなに活用してもらうということも考えました。そして今、別のところのご質問ですけれども、緑花センターをもっと活用されるようにしないといかんと。私もかねてから、あそこの前を通るたびに思っていたことでございまして、こういうことにも、ただ単に財政運営プログラムでこう書かれているから、もうそれを金科玉条のようにしてやっていくというふうな考えは持っておりません。ただやはり、大きなしんのところは、先ほど言いましたように財政再建もしていかないとぐあいが悪いというふうな状況になっておりますので、その辺、兼ね合いを考えながら適正な財政運営を進めていきたいと、このように考えております。
 次に、法期限後の同和対策の推進についてのご質問でございます。
 同和行政は、同和問題を解決するために実施する行政であり、特別措置法の失効をもって終了や放棄されるべきものではないと考えております。県といたしましては、今後とも差別が現存する限り問題解決のために積極的に取り組むことが行政の責務であるという認識のもと、他府県の状況を見きわめながら和歌山県同和行政総合推進プランの見直しを行い、市町村を初め、県民と一致協力して粘り強く取り組んでいくということでございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) ビジョンの策定状況でございます。
 時代の変化が激しい中、わかやまアドバイザー会議を初め、さまざまな機会でいただいたご意見等を踏まえまして作業を進めてまいりましたが、今般、その案を作成したところでございます。
 その概要でございますが、五つの柱から構成をしてございます。まず一つ目の柱といたしましては、地域特性を生かし、都会の人々にとって和歌山がふるさとと思えるような状況を創出することによって人口の逆流動を起こそうという和歌山新ふるさとづくり、二つ目の柱は、関西大都市圏の外縁部としての紀の川流域、豊かな自然や歴史文化を有する紀中・紀南地域がそれぞれの特色に応じた都市との交流・連携を機軸に発展を目指す開かれた和歌山の形成、三つ目は、和歌山の資源・ポテンシャルなど地域特性を生かした内発的発展を目指す産業の活性化、四つ目は、高齢化時代にあって高齢者が住みやすく生きがいを持って暮らせる社会、豊かな自然と共生する循環型社会、あるいはすべての人々の人権が当然のこととして尊重される社会などを目指す安全・安心・いやしの社会づくりでございます。五つ目といたしましては、これらの施策の方向性を実現するための仕組みとして、職員の意識改革、簡素で効率的な行政組織の構築、さまざまな分野での県民、企業、NPOなどとの協働を進める開かれた行政の実現でございます。
 本ビジョンの取り扱いにつきましては、非常に変化が激しい今日にあって、固定的に位置づけるのではなく、時代潮流や国の施策動向等を的確にとらえつつ、柔軟かつ弾力的に対応してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 緑の雇用事業の展開と県緑花センターの活用についてでございますが、緑花センターをより特色のある施設にするために、現在、施設全体のあり方の検討を行っているところでございます。
 議員ご提言の活用方策やふるさとの店の活性化策、また緑の雇用事業として取り組む事業の導入や本年春に一部オープンいたします隣接の根来山げんきの森との一体的な活用など、関係町等と連携を図りながら、幅広い視点で検討を深めてまいりたいと考えてございます。
 なお、議員お話しの駐車料金などの無料化につきましては、課題はございますが、入園者増加の有効な方策の一つとして考えてございまして、全体のあり方とあわせて検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 安全な町づくりについてお答えします。
 議員ご指摘のような現在の青少年を取り巻く厳しい状況を踏まえ、県といたしましても、大人の意識と行動改革に重点を置いた新たな青少年プランを策定し、広報啓発や青少年対策事業に取り組んでいるところでございます。
 特に中学生の非行防止や健全育成のため、毎年「いよいよ中学生」という広報冊子を作成し、新中学生の保護者全員に配布しているほか、県内十九カ所の青少年補導センター、教育委員会、各学校の連携・協力のもと、啓発に努めております。また新年度から、大人から子供への声かけ運動も実施する予定でございます。
 いずれにいたしましても、青少年の非行防止には、行政や警察はもとより、地域の子供は地域で育てるという連帯意識のもと、地域、家庭、学校、各種団体などが一体となった取り組みが重要であり、一部地域では新たな組織、体制をつくって活動を始め、効果を見ているところもございます。
 こうした取り組みは、関係者の自助努力と行政等の支援がマッチして定着し、持続していかなければ効果が期待できないものでありますので、県といたしましても、関係機関、各種団体等と一層の連携を図り、総合的な青少年対策に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 人権尊重の社会づくり条例でございますが、日本国憲法や人権擁護施策推進法等の立法例に倣いまして、社会的身分、門地、人種、民族、信条、性別等を理由としたあらゆる人権侵害や不当な差別が行われることなく、すべての人の人権が尊重される社会をつくることは私たちみんなの願いであるという表現で、あらゆる人権問題の解決を望む県民の総意をうたっているところでございます。そこには、議員ご指摘の同和問題や高齢者、障害者の人権問題はもちろん、あらゆる人権問題を含んで規定をしてございます。こうした人権の具体的な課題について、人権施策基本方針に盛り込み、人権教育啓発の推進、相談支援体制の整備、各分野ごとの施策の推進に努めてまいります。
 次に人権施策推進審議会の委員の選定についてでございますが、この審議会は、人権尊重の社会づくりの主体であります県民の意見を幅広く受けとめ、本県の施策に反映させるために設置するものでございます。
 委員についてでございますが、人権問題に精通した学識経験者や長年人権問題に取り組んでこられた方等で構成してまいりたいと考えてございます。
 なお、議員ご指摘のような人権を侵害されている人々の思いを受けとめられる人選という点も踏まえながら委員の選定に当たってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 青少年事件に対する取り組みについてお答えいたします。
 今日、青少年の非行は低年齢化しているだけではなく、凶悪化、粗暴化しており、大きな社会問題となっております。こうした問題の背景として、飯田議員ご指摘のように、価値観の多様化に伴い、社会全体の規範意識が希薄化し、家庭や地域の教育力が低下していることに加えて、青少年自身も生活体験が不足し、社会性が育っていないことなどが考えられます。
 本県でも、児童生徒にかかわる問題行動は、全体としては近年減少の傾向にありますが、中学生の暴力行為はふえております。しかも、今回の那賀地方の事件のように、集団化し広域化する傾向が見られるなど、憂慮すべき状況にあります。そのため、学校では問題行動を未然に防止する指導体制を整えることが肝要であり、命の大切さや善悪の判断など、人間としての基本的な倫理観をしっかりと身につけさせるため、道徳の時間や豊かな体験活動などを通して心の教育の一層の充実に努めているところでございます。
 また、最近の問題行動は学校だけでは対応できない事例がふえており、警察や児童相談機関等と共同して問題の解決に当たることが必要になっております。平素から、関係機関との間で情報の提供や協力の依頼ができるネットワークを構築するよう、各学校を指導いたしております。
 こうしたことを踏まえ、学校関係者のほか、自治会や社会教育団体、民生児童委員など幅広い関係者で構成する連携推進委員会を設け、学校、家庭、地域、関係機関が一体となって青少年の健全育成に取り組む動きが各地で盛り上がってきており、県教育委員会といたしましてもこれを積極的に支援してまいります。
○議長(井出益弘君) 警察本部長岩井良行君。
  〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 県内の治安悪化状況と那賀郡内の相次ぐ青少年暴力事件について、お答え申し上げます。
 県下における治安情勢は、残念ながら依然として厳しく、治安指標と言われております刑法犯の認知件数は四年連続して二万件を超え、昨年は二万四千二百七十三件と、過去最高を記録しております。
 少年非行の状況を見ますと、刑法犯の認知件数の増加と歩調を合わせて刑法犯犯罪少年の検挙人員は、過去五年間、毎年八百人から千人を検挙するなど、高い水準で推移しております。また、粗暴犯、凶悪犯の検挙人員が年々増加しておりまして、昨年は殺人、強盗などの凶悪事件の検挙人員が二十五名と前年比一九・〇%増、傷害や暴行などの粗暴犯事件の検挙人員が百四十四人と前年比一四・三%増と、増加しております。
 議員ご質問の那賀郡内の少年非行状況についてでありますが、刑法犯犯罪少年の検挙人員は、ここ数年を見ますと七十人から百二十人の間で推移しておりますけれども、ご指摘のとおり、昨年十一月から本年二月にかけて中学生による集団乱闘事件や集団リンチ事件が相次いで発生しており、県下全体の傾向である粗暴化傾向があらわれておると認識しております。
 こうした少年非行問題に対する警察の取り組みについてでありますが、昨年四月一日、警察本部に少年課を設けるとともに警察署の少年係の体制強化を図り、関係機関やボランティア団体などと連携しつつ非行防止対策を推進しているところであります。
 また、最近の少年非行の大きな原因背景として、少年自身の規範意識の欠如や地域社会の他人の子供への無関心が問題として指摘されているところであり、本年度から補導経験の豊富な少年補導職員が小中学校を訪問して担任の教員とともに非行事例を素材として法や社会の規範を守る大切さを理解させる授業を行うことを計画しております。また、地域社会における規範教育を高めるために、学校などの教育関係機関やボランティアなどと連携して、地域ぐるみによる非行防止活動が展開されるような働きかけが必要かと思います。
 ご指摘のありました岩出警察署におきましては、こうした観点に立ち、集団化、粗暴化する少年非行に対応するため、事件の迅速な処理とともに、教育関係者、地域住民、地元ボランティア、集合店舗の管理者などとの会議を重ねて対策を協議するなど、地域ぐるみによる非行防止対策が図られるよう努めているところでございます。
 県警察といたしましては、今後、少年課の体制の一層の充実強化を図り、少年の規範意識の向上や地域と一体となった少年非行防止総合対策を推進してまいる所存であります。
 次に、安全な街づくり条例の制定についてお答え申し上げます。
 安全な街づくり条例につきましては、それぞれ名称は異なっておりますが、通称「生活安全条例」として住民の安全意識の高揚と自主的な安全活動の推進を図ることなどを目的に、本県におきましても平成九年以降、五十市町村中、既に四十四市町村において順次制定されているところであります。
 議員ご指摘の大阪府の条例案につきましては、現在府議会で審議されている段階でありますが、犯罪による被害防止のために必要な規制と罰則を盛り込み、地域安全活動を都道府県のレベルでもさらに推進していこうというものであります。
 今後、本県におきましても、知事部局等関係機関と十分協議した上で、こうした条例の制定の必要性を含め、検討してまいりたいと考えておりますが、安全な町づくり推進の必要性につきましては議員ご指摘のとおりでありまして、いずれにせよ、地域安全活動をさらに推進してまいりたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番飯田敬文君。
○飯田敬文君 答弁をいただきました。いつもより長い答弁だという感じがしたわけでございますけれども、ご丁寧に答弁をしていただきました。
 二、三、提言なり要望を申し上げて再質問にかえたいと思います。
 まず、木村ビジョンについてであります。
 企画部長から、たたき台が出てきたということで、これから成案にしていこうと、こういうことだというふうに理解をいたしました。内容については、県議会の総務委員会等の中でいろいろ論議をされるとして、厳しい県民の生活の実態を考えるときには、痛みとともに──痛みだけを伴うてもうちょっと頑張らんかえと、こういうことではいかんと思います。やっぱり、和歌山県に住んで和歌山の夢を県民に与えるということが今一番大事ではなかろうかと思うわけでございまして、そういった意味で、木村ビジョンの早期の策定をひとつしていただいて県民に明らかにしていただきたいと、このように強く要望しておきたいと思います。
 それから二つ目でございますが、財政運営プログラム。
 知事の回答によりましたら、それにこだわらないと。こだわらないというか、それも含めて財政再建をしていかなあかんけれども、そういう厳しい状況を踏まえて対応していきたいと、こういう答弁だったと思います。私は、まあそのとおりだと思いますけれども、ひとつ全国的にも非常に厳しい──和歌山県というのは、景気が一番いいときには一番遅く来て、悪いときは一番初めに、銀行にしてもスーパーにしても何でもそうでありますけれども、地方の中でも和歌山県が一番犠牲を強いられる地域だというふうに思いますので、これを守るのが県なり県行政、我々の責任であろうと思うわけでございまして、そういった意気込みで、こだわらずにひとつ展開をしていただきたいとお願いをするものでございます。県庁栄えて県民が滅びるということのないように、ひとつお願いをしておきたいと思います。
 特に、そういう面で雇用問題。先ほども言いましたけれども、緑の雇用事業の展開等で、私は具体的に岩出の緑花センターのこと一つを提起させていただいたわけでございますけれども、緑の雇用事業という展開の割には、本当の意味で和歌山県下全体がそのことについて具体的に展開できるような体制になっておるのかということを非常に危惧するものでございます。
 緑花センター一つとってみても、地元の住民はだんだん行かなくなっておるわけでございまして、地元住民と泉南とか和歌山市とかと融合してこの緑の雇用事業の趣旨を緑花センターの中で生かしていく、わいわいしていくということでなければ、本当の意味での成功にはならないと思います。そういった意味で、去年からずっと問題提起をしておるわけでございますけれども、駐車料は年間六百万です。年間六百万を取ることによって地域の人は壁をつくられて、そこへ入っていこうと思っても入っていけない。金を払ってまで、地元の人は行きませんわ。そういったこともございますので、やっぱり人を集めてみんなが楽しめる、あるいは緑のことを考えられるという、そういう県の住民に対する開放といいますか、県民の方に目を向けてやっていかんとこの事業は成功しないというふうに思います。財政運営プログラムがあるから有料にするんやとか、金がきついからもう県民から駐車場代を取るんやとか、そういうことは意味がないと私は思います。私が問題提起しているのはその一つですが、ほかにいろいろあるかもわかりませんので、その点の予算編成をひとつお願いをしたいと思います。
 それから最後に、治安の悪化の問題でございます。
 私は特に人口急増しておる地域に住んでおりまして、泉南地域とか和歌山地域とか、いろんな形の中で発展すればするほどいろんな問題が出てくるわけでございまして、その中で自治会機能が非常に低下しておる、あるいは住民と住民同士の触れ合いというか、これまでのつながりが非常に少ないという中でこういう問題が青少年という形では出ておりますが、それは矛盾の一つの集中的なあらわれでございまして、これから我々が目をそっちの方へ向けていかないといかん状態になっておるんじゃないかというふうに思います。特に、学校は学校、警察は警察、県庁は県庁、市役所は市役所という形でそれぞれが勝手に自分らの思惑で、自分たちのメンツとか体面で自分たちの、いわゆる子供たちのことを本当に真剣に考えないということであってはいかんと特に思うわけでございます。
 特に警察のOBの皆さんがたくさんおられると思いますので、その人たちを嘱託にするとか相談員にするとかして活用して、学校に、一週間に一回でも二回でも三回でも結構ですから、ふらっと寄っていくと。その中でいろんな問題を解決していこうという雰囲気をつくり上げていくことがなければ、この問題は解決しない。
 教育委員会も、自分のところの学校のメンツで、暴力事件があっても上に上げないとか、あるいは警察と相談しないとか。この少年事件がわかったのも、警察が見つけたのでも、学校関係者が見つけたのでもないわけです。子供たちが十数人で乱闘事件を起こして、血まみれになった子供が民家に駆け込んで、その民家の人から警察に通報したからわかっただけなんです。これがそのままほうっておかれたら、これ、ないということになってしまいますわね。そういうことでは私はいかんと思うんですね。景気も悪化してくるし、治安も非常に厳しくなってくると、これからこういうことになってこようと思いますので。まあ条例は条例として、積極的に条例をつくっていただくことを要望いたしますけれども、特に警察と行政と教育委員会、地域自治会、こういったものが一体となって安全な町づくりをつくっていくんだという──これは大人の我々の責任だと思いますので、その点、県当局なり警察本部のさらに一層の取り組みを心から期待して再質問にかえたいと思います。
 以上、要望です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十四分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 最終の日の一般質問──今回、最終日にさせてもらうのは初めてでございますけれども、通告に従ってこれから質問をしたいと思います。
 「県民の飲み水を守り、全国初の危機管理条例を」のテーマで一般質問を行います。
 国連の統計によると、二十一世紀末には世界の人口が九十億人に達すると言われ、そのうちの三分の一の方、つまり三十億の方が水不足により何らかの影響を受け、中には亡くなっていく方も出てくる可能性があるというぞっとする統計が出ています。国連の関係者によると、二十一世紀前半から大きな規模で水をめぐる争いが後を絶たなくなるのではないかと懸念をしています。
 昨年の十月に放映されたNHKスペシャル「ウォータービジネス・水を金に変える男」で、飲料会社に委託されたバイヤーが約九億の人口を擁するインドに入り、小さな飲料水の会社を買収したり、またアメリカのフロリダ州の人たちの水がある日突然バイヤーによって買い上げられたりして、その周辺の人たちは水が飲めなくなって困っている映像が映し出されていました。そのバイヤーは、実に一日に億単位のお金を払って水の権利を得て商売をしていますが、その費用に十分見合う利益を出していると言い、「飲料水はこれから一番もうかる商品だ」とインタビューで言い放っている姿を見て、不気味な気持ちにさせられました。
 世界じゅうで急速に進む水の商品化、ボトルウオータービジネスの市場は実に年間八兆円と言われています。一獲千金をねらって世界を飛び回ってきた欧米の業者が次にねらう市場は、全世界の人口の七〇%近くを占めるアジアにねらいを定めるのは当然の成り行きであると私は思います。
 こうした状態が我が国に起これば、どうなるのでしょうか。仮定でもそんなことが起こっては困ると思いながら、そこで私は県内外の飲み水に関する権威者の大学関係者や専門家、そして地方自治体関係者に会い、調査をしました。その中で、ある大学の先生はこんなことを言っていました。「日本の水は大丈夫だよ。水は重たい。タンカーに乗せて運ぶとすれば高くつく。インドやフロリダのように外国の水バイヤーに買われることはないよ」、非常に楽観的な見方でありました。私はこれには驚きました。それというのも、日本の名水百選に選ばれています中辺路町の「野中の清水」が三年前に日量百トンあったのが四分の一に激減をし、町挙げて水量調査や原因究明の取り組みがされたことがありました。つまり、我が国の飲み水でさえ少なくなってきている中で、フロリダのようになったらどうなるのでしょうか。だからこそ、外国の水バイヤーに対してより一層敏感にならなくてはならないと私は思います。
 また、中東から日本へ原油を運んでくるタンカーが帰りには神戸の六甲のわき水を満載して帰っていったことを聞きます。このことは、中東の砂漠において飲み水の確保がいかに苦労し、高いものにつくのかを物語っていると思います。また、ヨーロッパの幾つかの国では、飲み水は貴重なため、水よりもうんと安いワインを水がわりに飲んでいるのです。それだから、日本の世界一うまいと言われる飲み水が外国からねらわれないはずはないと私は思います。
 次に、私は今の日本の法律ではどうなっておるのか、このことについて調査をしました。その結果、今の法律で地下水の取水規制について調べたところ、これに関連する地盤沈下防止を目的とした工業用水法等はありますが、広くわき水を含めた地下水の飲み水そのものに対する法律の規制は一切ありません。国の法律はない、そこで、それならば我が和歌山県の条例はどうなっているのかを調べましたが、これまた飲み水についての防御策は一切触れていません。私は、全国に問い合わせをしたり、現地に行ったりして調査をしたところ、都道府県では熊本県のほか十五都府県にありました。しかし、これらはすべて今問題にしています地下水の飲み水をバイヤーからガードすることにつながる内容のものではありませんでした。わかりやすく説明すると──皆さん方にお配りをしている資料を説明したいと思います。
 私は、サントリー山崎で有名な大阪の島本町や宮水で有名な兵庫県の西宮市、全国で一番進んでいると思われる熊本県や、和歌山で唯一、条例ではありませんけれども、地下水保全要綱がある白浜町など、全国に問い合わせをしてきました。全国の都道府県における地下水関連条例の制定状況は、都道府県のみでありますけれども、皆さんに配付の表のとおりであります。
 条例の名称はばらばらですが、熊本県を除いたところは地盤沈下を防ぐためにつくられたものであります。唯一、熊本県だけが──表で言えば上から四番目ですけれども──地盤沈下防止だけでなく地下水の水質保全と水量の保全、涵養を目的につくられています。取水をするためには、届け出制になっており、罰則については勧告、公表ができるとなっています。これは言いかえれば、何かがあったときには行政指導ができるということであります。実績報告の義務もうたっておりますが、水量保全の方は報告のみで規制がありません。つまり、水のバイヤーが自由に入ってきて、わき水を含めた地下水の飲み水の取水権を札束に物を言わせて買いあさることが熊本県でさえも自由にできる状況にあると言っても過言ではありません。
 私たちは、全国の地方自治体に先駆けて、このわき水を含めた地下水の飲み水についての外国資本からの買い占めを事前にチェックするための条例をつくらなければならないと思います。国に頼っても頼みにならないのならば、国に先駆けて私たち独自の条例を一刻も早くつくる必要が求められていると思います。知事、その点はいかがでしょうか。
 関西一の環境に恵まれた和歌山。先刻も、緑の雇用事業という画期的な話題になっている和歌山県です。そして、地下水利用が全国でも多い我が県として、環境対策として率先してイニシアチブをとる必要があると私は思います。なぜ和歌山県が率先してやらなければならないか、その証拠に次のようなデータがあります。
 我が県では、飲み水を中心としたわき水を含めての地下水の利用は全国平均の二倍近くまでという極めて高い利用状況にあります。地下水を飲み水に利用しているところが二人に一人あるということです。ちなみに、そのデータですが、和歌山県は約四二%と全国平均の二五%を大きく上回っています。飲み水ばかりではありませんが、これだけ地下水について関係が深いのであります。また、私たちの周りにすばらしい飲み水があるという証拠でもあります。
 私は、わき水を飲み水として利用している県内の現場を調査してきました。今から説明をしたいと思います。(写真を示す)
 今、県下でわき水も含めて地下水を飲み水にしておるのは大体九十カ所ぐらいあるらしいです。そのうちの、これは私自身が下手くそな写真を撮ってきたんですけれども、この二枚は龍神の自然水の水源地です。これは、ちょうど高野龍神スカイラインの入り口の手前のところを入っていって、山のちょうど中腹にあります。これが水源です。
 そして、これは白浜町の富田のわき水の現場です。これは、実は地元のお寺さんの法人がここを守るために整備をしております。そして、大変地元の人たちは敬意を払って、さらに大変ありがたがっております。ここでは実は上水道がもう既に完備されておるんですけれども、地元の人たちは名水ですのでくみに行っておると。さらに、遠くからもくみに行っております。(「知ってるよ」と呼ぶ者あり)──知ってる。この手前にあるのは別の業者さんが売っておるんですけれども、これはただです。
 大体、一日数百人。あいている時間が少ないというぐらい、はやっております。大変地元にとっては誇りに思っているんですけれども、今、県下の市町村合併の話もございます。私は、合併のときにこういう水というのは最高のプレゼントになると思いますけれども、こういう現場も行ってまいりました。これは地元でありますけれども。
 それと、これはちょうど夕方の六時ごろ、松本議員さんの地元の湯浅の自然水の給水地のところに行ってきました。実は、県下で飲料水として売っているところは五カ所あるわけです。そのすべてに行ってきまして、そのうちの一つですけれども、ここは自動販売機で十リッター百円で売っております。そして、大体一日に七十五トンから八十五トンぐらい出ているらしいですけれども、年間売り上げをその近くの人に聞きましたら二千万円ぐらいあると言うておりました。さらに、これ以外の地域でも、大体一日に百五十トンも出しておるところもあります。
 そういうことを見れば、大変この方々は、地域のPR、いわゆる村おこしですね、そして財政収入というようなことで、第三セクターとか個人の業者さんが今五カ所でやっているわけですけれども、国内でさえももうかると。だから、金に糸目をつけんような水バイヤーがもしこれを見たら、上陸をしてきてやっぱり買い取っていくだろうと、そんなことを私は思いますけれども、以上がちょっと現場を見てきた実情であります。
 これを見てくる中で私は感じたわけでありますけれども、実は、これだけ水が豊富でありますけれども、この地域の水がこんなに短期間──一部の人でありますよ。一部の人でありますけれども──で水を売るということについては大変心配しておるという方々も聞きます。温泉のように水源が枯渇するのではないかと、これはあくまでも一部の声でありますけれども、こういう声があります。
 そういうことで、私は、乱暴な言い方をさせていただければ、行く行くは──今すぐではありませんけれども──私はやっぱり飲み水というのはお金の売買の対象にしないということが地域の平和な生活を支えるためにも必要ではないかと、この現地調査をしながら感じた次第であります。
 そこで、わき水はきれいでおいしいから、直接人の口に入ります。川の水とか田に引いた水など、またごく一部の汚染された水とは使用目的が違うのであります。余計に神秘と言うべきわき水を含めた地下水の飲み水の利用について関心と監視を払い、感謝の気持ちを持つべきであると私は思います。それが、和歌山から全国に発信したいと思っているわき水を含めた地下水の飲み水に対する私のメッセージなのであります。
 また、わき水はいろいろなところで役割を果たしてくれています。例えば、わき水は緊急のときに大きな役割を果たしてくれます。運んですぐ飲めるという手っ取り早い対応等ができるからであります。外国資本に搾取されずに、いざというときのわき水を確保しなければならない。だから、県内の人の日常ののどを潤すとともに、大震災のときにも役立つのです。水を確保することは危機管理に対する対応の一つであります。その証拠に、阪神大震災があります。阪神大震災では百二十万世帯が断水に見舞われ、この直後に発生をした火災に対して消火用水が行き渡らず被害を大きなものにしたこと。このような混乱の中で地下水の井戸水が災害発生時の貴重な水資源として活用された教訓からも、地下水の有効利用ということにつながると思うのであります。
 少なくとも、このわき水を含めた地下水の飲み水規制がぜひとも必要であり、この後、我が県でつくられるであろうその条例が各府県に普及し、そしてそれがさらに国の法律につながる、つまり和歌山を変えることによって国の地下水への対応というものは変わっていく。そのターニングポイントにしたいと思います。
 そこで、非常に具体的なケースを挙げながら、これから質問に入りたいと思います。
 まず第一点目として、新しい危機意識、リスクマネジメントを和歌山から発信させ、国を変えるという視点についてであります。つまり、不審船、震災、外国からの攻撃から守るための危機管理ではなく、我々の飲み水に対する日常の意識と感謝の気持ちから武器を使わないで条例で飲み水を守る、そういう新しい危機管理であります。
 知事さん、私の調べたところでは、外国人バイヤーが日本に来てわき水を含めた地下水の飲み水の取水権を地主と交渉して買うという行為は、今の県条例では規制できないと思いますが、どうでしょうか。自由だとしたら、日本の豊かな水が外国人バイヤーに買い占められ、日本人すら自分の国の水を飲むことができなくなる可能性が出てきます。先ほども申しましたが、インドでは自国の水でありながら買い占められたために自分の土地の水が飲めないということが現実に起こっています。これはゆゆしき問題であり、また極めて現実性の高いケースであると思います。知事さん、どうでしょうか。
 第二点目として、危機管理と同時に新しい水というものをクローズアップさせ、条例をつくる意識として、個人の所有権よりも公共性が優先するという新しい視点についてであります。つまり、従来の私有権の法体系が環境問題が出てくるために変わってきた。水を通じてはっきりさせるという新しい視点を打ち出すということであります。
 もし仮に水バイヤーを規制することができなかったら、次の手段として、この地下水の取水権を所有している地主に売らないよう指導監督するということが考えられますが、この場合、ほかの法律との整合性はどうなのでしょうか。わき水を含めた地下水の飲み水の所有権は所有者の権利というよりも日本全体の公共的な商品ということであり、つまり一人で勝手に売買できるものではなく、売らない間は個人の権利だが、売る場合は国や県の権利に移行するものではないかと思うのですが、その解釈はどうでしょうか。
 私の持論ですが、これからの環境対策というのは、すべて水とか空気、太陽は自由にできるものではなくて、個人の所有から離れて公共的な性格のものであり、地球共通の財産という見方をしないと我々の生きていく生活環境を守ることはできないし、そうした認識がないと和歌山発の条例にはならない。私がさきの十二月議会で質問をいたしました地球温暖化防止で空気のことに触れたのも、その一つであります。そういう自然というものを公共的性格だと認識することが新しい条例の視点につながると考えますが、どうでしょうか。
 ある人は財産権との兼ね合いを心配しますが、はっきり違うと思います。つまり、金銭や家屋敷などとは違うと思います。だれでもが生きていく上で最低限必要なものであり、一人が独占するものとは違う。水の危機管理と同時に、水というものは個人の所有権よりも公共性が優先するという新しい視点であります。条例の段階でそれを判断するというのは画期的な解釈だと思いますが、いかがでしょうか。
 第三点目として、わき水を含む地下水による飲み水のハザードマップをつくり、和歌山発の防災を含めた地下水情報網の県と市町村、県民のホットライン化についてであります。
 事前に地下水に関する動き、外国人バイヤーが暗躍しているとか調査が入っているとか、こうした情報をできる限り早く県の当局者に情報として入ってくるようなシステムをつくることが必要であり、それがあればインドやフロリダのようになる前に予防策として手を打てるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。特に、市町村の責任者と県とホットラインを持つことが大事だと思います。そして、県全体、県民全体の目でそういう人たちの監視、観察をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
 また、地下水が減ってきているのか、水質はどうなのかなど、危機的になっているのか科学的に探知する必要があります。そして、先ほどパネルを使って説明をした場所のように、ハザードマップのようなものをつくって、ここのわき水というのは今危険信号だ、ここは多少余裕があるなど、県民の目に入るようにして県民に水のありがたさを認識してもらうとともに、災害発生時の貴重な水資源としての重要な意味もあり、わき水も含め地下水による飲み水の危険度を知らせるべきだと考えるが、いかがでしょうか。そういうところは、少しでも売ってはだめだなどの危険度のランクづけをしてみてはどうか。そのために総点検というものを県民に徹底すべきと思うが、いかがでしょうか。
 行政だけに任すのではなくて、県民の親水性や──つまり県民が水に親しみ敬意をあらわすということですが──そして防災上の認識を高めるとともに、今知事が進められています森林づくりの水資源確保につながり、さらに事前に水バイヤーからの予防にもつながると思うが、いかがでしょうか。
 第四点目は、飲み水を守るべき水は国外に出さないという新しい視点についてであります。
 ハザードマップの中で、水の売買に関してのもめごとがあったときに外部から水バイヤーの侵入を許してしまう危険性がある。もめごとのない状態に保っておくことが、バイヤーを寄せつけない防衛策であると思います。いつも平和な関係が保たれないと信頼関係が壊れ、一方的に水バイヤーに売られる可能性があります。つまり、トラブルがあるために外国に売られるかもしれない。そうならないためにも、仮定ですが、夫婦の離婚の調停のようなものがあるとすれば、水のトラブルの問題での調停の部署が県にできてもよいくらいであると思います。地下水業者と周りのいつも地下水を利用する住民とはどういう折衝をしているのか、トラブルがないのか、いかがでしょうか。
 世界は、三十億の人が水を飲めない悲惨な状況に来ています。まず、これからの時代は水を確保しなければならないと私は思います。貴重な県民の飲み水を守るという県の方針を全国に先駆けて強く打ち出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。先進国で水の豊かなカナダでも、水を外に出すことについては厳しい規制があったり、禁止されている州もあると聞いております。
 第五点目は、これからの環境対策は厳しい規制や売買する双方に対する罰則の適用という視点についてであります。
 これからの環境問題とは、今言われている規制緩和とは逆に、うんと厳しい規制を強いる、強いられるというのが環境対策と思います。その最も厳しい規制、それは罰則を設けることであると思います。買ったバイヤー側はもちろん、売った者に対しても罰則を与える厳しさがあってもいいのではないかと思うが、いかがでしょうか。
 以上、五項目にわたる質問をしましたが、全般にわたる知事の考え方と取り組み姿勢についてお伺いをし、具体的な項目については関係部長の答弁を求めます。
 既に、和歌山県には実績があります。それは、緑の雇用事業であります。環境について和歌山発の第二弾として、全国に先駆けて取り上げていただきたいと思います。外国に売らずに水を確保することは、阪神大震災のような地震が起きたときに被災者に水を送ることにも役立ち、また県民の生命を維持し、関西圏の災害時の救済に役立つことになります。さらに、知事が進めています森林づくりは、まさに水源の確保と切っても切れない関係にあります。水を守るということは、県民の意識を高めるとともに和歌山の緑の雇用事業を成功させることにもつながると私は思います。今定例会の知事の説明でも、本県独自の施策や提言を和歌山モデルとして全国に発信していくことの重要性を強く訴えられました。今回質問をさせていただいた、県民の飲み水を守り全国初の危機管理条例を全国に先駆けて発信することを知事としてご決断いただき、この和歌山方式を全国に広げ、日本を地方が変えることを宣言していただきますよう心から願い、私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの水を守ろうという内容のご質問、非常に感銘を受けました。
 以前、私もある人から、いずれ中東では石油よりも水の方が上等だと、それから中国でも非常に黄河なんかも泥のような水になってきて水が少なくなってきている、そういうときに例えば和歌山の豊かな水というものは大変な値打ちのあるものなんだ、そういう観点から物を考えていかなければならないというふうなお話を承ったことがあって、それもそうだなというふうに考えていたことがあるんですけれども、今のお話はそれをより進めて、例えばわき水であるとか、それから打ち抜き井戸とか、いろんなもので取水をするわけですけれども、そういうふうなものについて、今までは地盤沈下とかそういう観点での規制条例というものは全国に幾つかあるわけだけれども、それを環境であるとか人の飲み水、日本人の飲み水を確保するという観点から規制を加えていくべきだろうと、そしてそれを条例という形で和歌山から発していくことに意義があるというご質問は、本当になるほどなと思いました。
 ただ、今のところ水の採取というものは、私は詳しくは知りませんけれども、土地の所有権とか土地の使用権とか、そういうふうなものと分かちがたく結びついていて、土地を持っている人はそこの下を流れている地下水は幾らでも適当に井戸を掘ったり打ち抜きして抜くということは地盤沈下につながらない限りはいいというふうな形にもなっていると思うので、そこに新たな権利概念をどういうふうにして構築していくのか。またそれを規制するときに、例えば温泉を掘る人とか、そういう人との絡みなんかをどういうふうにしていくのか。実際に条例をつくっていくとなると、なかなか難しい問題があると思うんですけれども、いずれにせよ非常に興味深い話でもありますので、例えば諸外国でそういうことについて何か先進的に、例えば環境を守るというふうな、法益を──環境というような、ちょっと漠然とし過ぎていて規制の対象になるかよくわからないんですけれども、そういうことも含めて先進的な例を一度よく勉強して、そしてまたそれから和歌山発で条例化できるようなことがあればそういうことについては積極的に考えていきたいと、このように思っております。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 玉置先生のご質問、四点に対して一括してご答弁をさせていただきます。
 議員ご指摘のように、水を取り巻く価値観は大きく変化してきているものと判断をしてございます。かつては、どこにでもあり、あるいはいつでも自由に使用できました水は、今や限られた資源であり、その有限性のゆえに質、量にわたる保存、確保は重要な行政課題としてとらえていかなければならない時期に来ているのではないかと考えてございます。
 こうした認識のもと、まず第一点の貴重な資源である地下水をビジネスの対象から保護しなければならないという危機管理と同時に、水というものは個人の所有権よりも公共性が優先するという新しい視点に基づいて地下水の取水権及び販売権は規制できるのかという点についてでございますが、地下水や湧水の利用権限は現行法制度では民法に定められた土地の所有権に付随するものでございますので、地下水の利用権限を制限するために土地売買等を制限することは現行では難しいものと考えてございます。しかしながら、地下水は土地の所有にかかわりなく地下を広い範囲で流動しているものでございまして、常識的には個人が所有権を盾に無尽蔵にこれを採取するということは許されるべきものではないのではないかというふうに考えてございます。
 また、地下水や湧水は、水道水源として大きな比重を占めているばかりでなく、工業用水や農水産用水等として幅広く利用されている地域の貴重な資源でございますので、その維持・保全には万全の意を配していかなければならないと考えております。
 次に、議員ご提言の危機管理と関連しての地下水の公共性の概念につきましては、こうした考え方はこれまでの想定にはなかった新しい視点でございますので、よく研究してまいりたいと考えてございます。
 第二点の、湧水や地下水を対象とした飲み水のハザードマップをつくり、防災を含めた地下水情報網を県と市町村、県民のホットラインとして構築してはどうかということでございますが、戦後最大の渇水と言われた平成六年の干ばつ時にありましても地下水に依存している水道では支障を来すことなく取水ができたとの実績があり、地下水の持つ資源としての可能性を再認識したところでございますが、正直申し上げまして、地下水の賦存量につきましては十分調査するに至ってはございませんので、ご提言の件につきましては現況を調査する中で検討してまいりたいと考えております。
 第三点の地下水を外国に持ち出させないようにとのご指摘でございますが、現行法制度では買い手による規制をかけることは難しいものとされております。地下水は貴重な資源であり、その活用と危機管理とをあわせ研究してまいりたいと考えております。
 最後に、これからの環境対策は厳しい規制が必要ではないかとの点でございますが、確かにこれからは水に代表される環境を保全整備する上からは、それに必要なコストの負担に加え、新しいルールを確立していくことも大変重要な課題であると認識してございます。こうしたことから、平成十四年度予算案におきましても、水を守る、水を生み出す森を守るという新しい視点での幾つかの施策が提案されてございます。罰則の適用というご提言につきましては、地下水の公共性の問題とあわせ、研究させていただきたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 四点目のご質問の飲み水は守るべきもの、水は国外に出さないという新しい視点についてのうち、地下水業者と周辺住民とのトラブルについては、現在までのところ聞いてございませんが、今後、地下水の利用に関するトラブルが生じることも予想されますので、速やかな解決が図られる方策について関係部局を含め研究してまいりたいと考えてございます。
 続きまして、五点目のご質問のこれからの環境対策は厳しい規制をとの部分についてお答えいたします。
 議員ご提案の件につきましては、地下水の保全のためには新しい課題と認識してございます。今後、関係機関とも協議を行いながら研究を行ってまいりたいと考えてございます。
 なお、現在、環境を保全する面から汚染防止対策の充実が重要なことであり、これらを視野に入れながら施策を行っており、水質汚濁防止法において有害物質の地下浸透禁止の規定があり、この規定の運用によって工場、事業場等の指導を行っております。
 また、地下水の水質汚染の実態把握については、平成元年度より県内にある井戸等を利用した地下水調査を実施してきており、おおむね水質については良好な状況にございます。本県においては「野中の清水」を初め、全国に誇るべき湧水が多くあります。この貴重な財産である湧水、地下水を将来に引き継ぐためにも、今後とも関係機関との連携を密にするとともに、湧水、地下水に対する保全意識の高揚を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 答弁ありがとうございました。
 ただ、今の答弁を聞いておりますと、ちょっと言葉悪く言いますと、前向きであるか、どっちもつかずのような、私はそういうことを思うわけです。したがって、今の知事の答弁の中でも、感銘をしていただいたとか、なるほどなと思ったとか、それは大変ありがたいんですけれども、「ただし」というところがあるわけですね。今の答弁を聞きましたら。新たな権利概念とか先進的な例を勉強して、和歌山県で必要であればと、そういう言葉がありましたけれども。さらに、企画部長の答弁の中でも、地下水の公共性はよく研究してまいりたいと、こういう答弁。さらに、地下水を外国に持ち出させないようにとの指摘については、現行法制度では買い手による規制をかけることは難しいものと考えられている、活用と危機管理とをあわせ研究してまいりたいと。
 私が聞きたいのは──もう単刀直入に聞きます。いわゆる和歌山発、新しい意識改革、こういうことを唱えておられる和歌山県ですから、とりわけ聞きたいんです。それは、きょう提起をさせてもらいました飲み水を外国に出すことについてどう思われているのか、はっきり答えてほしい。困ったことだと思うのか、それとも仕方がないと思うのか。外国に出してはいけないと思うのか、どっちなのか、申しわけないですけれども、イエスかノーで、知事と企画部長に答えていただきたい。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ちょっとイエスかノーかでは愛想なしだと思いますので考えを申しますと、例えば今、私も「エビアン」をずっと飲んでおります。これはフランスの南アルプスの水ということで、これは貴重な輸出品になっているわけでございます。
 そういうことで、基本的には国家存亡とかいうふうなことに至るようなことに──ちゃんと管理された形で海外へもしそれが出るという限りは──日本の水はまだ出ていないと思いますけれども──私はそれはもう当然、商売の品にしていくということであっていいとは思うんですけれども、ただそれが、先ほど言いましたように、日本の国の人も飲めなくなるような形で持っていかれるというようなことになるとこれは大変なので、そこはやはりちょうどいいところで線を引く知恵ということが必要だと思うので、そのことも含めて考えていきたいというようなことを思っているんですけれども。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 基本的には今知事がお答えしたとおりだと思いますが、やっぱり地下水、水は有限であって、かつ貴重な資源だというふうに考えますので、その適切な管理というようなものがやはり必要だというふうに思います。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 私の言いたかったことと答弁とは、やっぱり一致しないんです。それだけ難しい問題もあると思いますけれども、ただ、私がきょう言わせてもらったのは、その危機意識です。いわゆる水というのが、今の時代の要請の中でやっぱり公共性が優先をしていくのではないかという私の提案。さらには、危機管理というものの中に、昔法律ができたころには、そういう水というのは危機管理になかったと思うんです。ところが今は、世界も注目をしているように、とりわけ飲み水というのは危機管理の対象になってくるんだと。このことについて「そうです」ということを答えてほしかったし、これからもこの問題はあれですけれども、まあそこらについて、もしはっきり言うてくれるのであれば言うてください。知事にお願いします。
○議長(井出益弘君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 危機管理の意識は必要だというふうに、それから今までの土地の所有権とか、そういうことの概念でははかれないものになりつつあるというふうに思っております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、玉置公良君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 六番宇治田栄蔵君。
  〔宇治田栄蔵君、登壇〕(拍手)
○宇治田栄蔵君 今定例会のトリを務めさせていただきますことは大変光栄でございまして、ご配慮いただきました皆様方に厚く感謝をいたしまして、以下、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず、武道の振興について質問をいたします。
 私は幼少のころより空手道を学び、本年で四十五年になり、ライフワークにしてございます。また、剛柔流空手道の拳武館の館長として空手道の指導、普及発展に努め、青少年の健全育成に努めてまいりました。また、昨年四月には空手道の四大流派の一つ剛柔流空手道の全国組織・全日本空手道連盟剛柔会会長に就任し、昨年八月四日、五日はビッグホエールでアメリカ、ドイツ、フランス、イギリスの選手を含めて選手、役員、関係者約二千名の参加を得て剛柔会全国大会を開催させていただきました。知事、議長、同僚県議の皆様、その他多数のご来賓のご出席をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。また、知事には開催に当たり種々のご配慮をいただきましたこと、改めて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
 さて、私はこのように武道に深くかかわってまいりました。そういう関係から、武道館の整備構想については特別の関心を持ってございます。そこで、武道館整備構想についてお伺いをいたします。
 多くの武道愛好家の活動拠点となる県立武道館の整備については以前から要望しているところであり、新島議員、長坂議員も質問され、宗議員は武道振興会の会長としてその先頭に立っていただいているところでありますが、私も武道関係者として強く要望するものであります。
 県体協加盟の県内十一団体は、平成四年に日本の伝統文化である武道の修練を通じての青少年の健全育成、正しい武道の承継を目的に和歌山県武道振興会を発足し、毎年一回、すべての武道団体が参集した中で武道振興大会や普及講習会等を開催しています。今まで県立武道館や県立体育館、ビッグホエールでこの演武大会を行ってきましたが、私たちの一番の願いは新しい武道館でこの大会を開催することです。この大会もことしで第十回を数えました。ことしの大会も、各武道団体の小学生から八十歳を超える高齢者の方まで、約八百名の参加を得て盛大に開催されましたが、会場がビッグホエールであったことはまことに残念です。
 平成十年には武道愛好家約三万人の署名のもとに要望書を知事に提出し、県当局からは、スポーツ施設の効率的な活用の観点から総合体育施設としての位置づけの中で整備を図っていきたいとの提言がありました。単独の武道館の整備の希望は強く持っているものの、関係者一同、施設の整備・実現は近いと期待したものであります。しかし、その後、整備に向けての具体的な方針が示されておりません。
 ここで、今までの経緯を十分踏まえた中で県当局はどのような方針を持っておられるのか、知事の答弁を求めます。
 次に、武道館を初めとするスポーツ施設の整備と並んで、優秀な指導者や選手をいかに確保し、育成していくのかという課題があります。
 本年度、宮城県で開催された国体では、本県選手団は総合成績で十一年ぶりに二十位代に入るというすぐれた結果を残してくれました。強豪県がひしめいている近畿ブロックの予選を勝ち抜かないと本大会に出場できない、そういう厚い壁があるため、例えば昨年秋の大会の和歌山県選手団の数は全国四十六番目であります。このような少ない代表選手数にもかかわらず、秋季大会だけの成績では二十四位という健闘ぶりであり、選手、監督の皆様に敬意を表したいと存じます。今後とも引き続き国体を初め各種の全国大会で良好な成績をおさめていくためには、ぜひとも熱心な指導者と厚い選手層が求められるのであります。
 しかしながら、本県の状況は、数少ない企業の運動部が相次いで廃部、解散しています。また、学校では生徒数の減少に伴い運動部員が少なくなり、単独でチームを組めない学校も出ています。一方、これまで国体選手やオリンピック選手として活躍し、現役引退後は指導者として競技力向上に貢献してきた体育指導員の採用が本年はなかったと聞いています。県民の皆さんのスポーツに対する関心を高め、生涯スポーツの振興にもつながり、明るい活力ある和歌山づくりに大きな役割を果たしてもらうという観点から、優秀なスポーツ選手や指導者の確保、養成についてどのように考えておられるのか、教育長にお尋ねいたします。
 次に、男女共同参画推進条例について質問をいたします。
 平成十一年六月、男女共同参画社会基本法が制定され、それを受けて議案第三十六号和歌山県男女共同参画推進条例案が今定例会に上程されております。男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任も分かち合い、性別にかかわりなく個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、豊かで活力ある社会を築く上で不可欠であり、二十一世紀の本県社会を決定する重要課題の一つになっています。男女共同参画社会の実現のためには、県の施策はもとより、企業や各種団体さらには県民一人一人がこの問題をみずからの問題ととらえ、互いに連携しながらそれぞれの立場で取り組んでいくことが必要です。本条例案はこのような趣旨に基づくものでありますが、各条項について、以下、質問をしてまいります。
 男女の平等について、憲法は十四条で「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とし、また二十四条で、家族生活における個人の生活における個人の尊厳と両性の平等を保障しています。これらの規定は単に形式的な平等を保障するだけでなく実質的平等を保障したものであり、本条例は男女の平等を推進するものであります。
 しかしながら、法のもとの平等といえども絶対的なものではなく、憲法が他に保障する自由権その他の人権を侵すものであってはなりません。他の基本的人権を制限する場合であっても合理的理由が必要であり、その制限規定が漠然、不明確であって乱用されるようなものであってはならないと考えます。
 本条例十一条二項は事業者に報告義務を課し、その基準は知事が「男女共同参画の推進のために必要があると認めるとき」というのみで、例示規定すらありません。不明確、恣意的運用の危険があり、乱用のおそれのある規定であり、不適切な基準であると考えます。また、三項で公表されるおそれのある状況の報告義務がこのような不明確な基準で課されることは、事業者に過重な負担を課すものであると考えます。県当局はどのような見解か、答弁を求めます。
 次に、九条一項、審議会の構成についてお伺いいたします。
 審議会は各種事業について有識者、利害関係者、市民代表者等により構成されることが多く、より適切な見識を有する人がその委員に委嘱されるのが原則であります。女性が多い場合であっても、男性が多い場合であっても、よいと私は考えます。九条一項に「均衡を図るよう努めるものとする」と定めていますが、均衡がとれているとはどのような構成を言うのか、現状はどうか、答弁を願います。
 また、九条二項は職員の任用について規定していますが、現況をどのようにとらえているのか、殊さらこのような条文が盛られているということは不適切な部分があるのか、お尋ねをいたします。
 次に、七条についてお尋ねをいたします。七条三項は基本計画の策定に当たって「男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない」とするだけであります。他府県条例では、基本計画の策定に当たって議会の議決を必要とするものもあります。議会の意見をどのようにして反映するのか、答弁を求めます。
 次に、和歌山市内の都市計画道路について基本的な整備方針と進め方を土木部長にお伺いいたします。
 和歌山市の現状を見ると、丸正百貨店、大丸デパート、ビブレ等の大規模店が閉店し、ぶらくり丁でもシャッターを閉めている店が多く、本町通りやけやき大通りのビルのテナントも少なくなっており、灯の消えたような寂しさと言っても過言ではありません。また、ぶらくり丁のある本町地区の人口は四十年前には一万人あったのが現在では四千人と、実に半分以下になっています。また、本町小学校の児童数も千百人あったのが百七十人と、実に六分の一以下になっています。過疎化、高齢化は県都和歌山市の中心部でも大きく進んでいるのであります。産業面でも、住金の事業縮小や関電の発電所計画の先送り、さらに港湾計画の見直しなど、十年前の情勢とさま変わりの変化であります。
 和歌山市のこうした厳しい状況は、市の問題として放置せず、県としても重大な関心を持って考えなければならないと思います。大都市圏の再生が叫ばれていますが、和歌山市のような地方都市においても大きな問題が生じており、都市再生が重要課題であります。
 私は、都市再生の基本として、人が活発に行き来し、周辺の地域と密接な交流・連携が図れる都市の骨格道路づくりを進めるべきであると考えます。市内の道路整備を進める上で緊急かつ大きな課題は、随所に見られる交通渋滞をどうするかという問題であります。昭和四十年代以降、紀の川北部や東部地区へ住宅開発などが進展した結果、紀の川を渡って市内に入る車やJRを越えて中心部に入る車が大変混雑しています。また、南に向けて和歌山と海南を結ぶ道路は国道四十二号一本のみで、交通量が集中するため、紀三井寺交差点等で日常的に大きな渋滞が生じております。このため、現在紀の川の北側では西脇山口線、またJRを越える市駅小倉線、湊神前線、南港山東線などの整備が進められておりますが、一刻も早い完成が望まれます。また、都市計画道路の整備がおくれることにより民間資本の投資のめどが立たないなど、経済的な損失ははかり知れないものがあると思います。これらの点を踏まえ、今後の和歌山市内の都市計画について基本的な整備の方針と進め方をお伺いいたします。
 最後に、治安の悪化に対する対応について質問をいたします。
 最近、近所に交番が欲しい、夜外出するのが恐ろしいという県民の声が各所で聞こえるようになりました。水と安全はただ、そんな神話も今は昔、テレビや新聞からは連日痛ましいニュースが伝えられ、もはや犯罪に巻き込まれることは他人事ではなく、県民の治安の悪化に対する不安は増すばかりです。
 昨年、和歌山市の野崎地区で北署島橋駐在所の復活のための住民運動が行われました。その陳情文を紹介いたしますと、「全国的に犯罪は悪質化、凶悪化、多発化して、残虐悲惨な事件が多発しています。この地区も例外ではなく、暴走族が走り回ったり、民家に泥棒が入ったり、車上ねらいの連続発生等、事件や事故は確実にふえつつあります。このままではいつ凶悪犯罪が発生しないとも限らず、住民は毎日不安を抱えたまま生活を送っているのが現状です。どうか、地域住民の安心と安全の確保のため、地域住民三千三百三十八名署名簿を添えて、島橋交番の早急な復活を切に要望します」というものであります。住民の治安の悪化に対する不安が、このような運動にあらわれてきているのであります。
 治安が悪化してきているのは統計的にも明らかで、犯罪件数を平成八年と平成十三年で比較してみますと、全国の場合、刑法犯の認知件数は平成八年では百八十一万件、平成十三年では二百七十三万件であり、約五〇%増加しています。そのうち殺人、強盗等の重要犯罪の認知件数は平成八年では一万一千二百八十六件、平成十三年では二万一千五百三十件であり、約九〇%の増加であります。
 本県の場合で比較してみますと、刑法犯の認知件数は平成八年では一万五千八百六十件、平成十三年では二万四千二百七十三件であり、五三%の増加であります。そのうち殺人、強盗等の重要犯罪の認知件数は平成八年では七十七件、平成十三年では百七十一件であり、一二二%の増加であります。このような犯罪の増加に対して警察の現有勢力では対応し切れないためか、犯罪の検挙率は低下してきています。重要犯罪の検挙率は、全国の場合、平成八年では八七・九%、平成十三年では五三%であり、本県の場合は平成八年では九〇・九%、平成十三年では六〇・二%となっています。重要犯罪の検挙率で本県は全国平均を大幅に上回っており、本県警察の優秀さを示す数字でありますが、検挙率が低下していることは事実であります。
 このような状況の中、良好な治安確保のため警察力の強化を図ることが緊急の課題となっていますが、警察はどのような対策をとっておられるのか、お示しいただきたい。
 交番の増設について、さらに要望をいたします。
 このような治安の悪化と市民の不安に対応するため、交番を増設することを要望いたします。交番等の地域警察官は、受け持ち地区をパトロールしながら不審者に対する職務質問をするなど、犯人の検挙に努め、重要犯罪の三分の一は地域警察官が検挙しています。一方、交番に勤務する警察官は「お巡りさん」と呼ばれ、市民から愛され親しまれています。受け持ち地域の家庭、事業所等を訪問し、防犯、事故防止等について指導するとともに、住民の困り事や要望を聞き、処理しています。
 雑賀崎駐在所は、交番の統廃合で廃止されました。雑賀崎地区は漁師町でかぎなどかけなくても安全な地域でありましたが、廃止後、急にこそ泥がふえました。そして、「警察署に行くほどの問題でもないし、駐在さんがいたら相談できるのに。何とか駐在所を復活できないか」ということを何度も要望されました。
 このように、防犯の効果があり、市民に安全と安心を提供し、犯人の検挙にも重要な役割を果たしている交番、駐在所を増設することが必要であると思いますが、警察本部長の答弁を求めます。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの宇治田栄蔵君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず武道館の建設についてのご質問でございますが、スポーツの振興は県民の皆様に活力を生み出し、元気な和歌山を築いていく上で大きな役割を果たすものであると考えております。特に武道振興会の皆様には、日本の伝統文化である武道の普及発展のために毎年大会を開催するなど、ご尽力をいただいております。
 武道館の建設につきましては、これまでも多くの方々からご要望をいただいており、武道振興のための施設の整備は重要な課題であると認識しております。今後の財政状況を見きわめつつ考えてまいりたいと思います。
 次に、男女共同参画推進条例の十一条と経済活動の自由に関するご質問でございます。
 この条例案につきましては、雇用の分野には仕事と家庭の両立、方針決定過程への共同参画など、男女共同参画にとって多くの重要な課題があります。このための施策の策定、実施に当たっては実態調査などを通じての現状把握が必要ですが、第十一条はその根拠となる規定でございます。この運用に当たってはご指摘の内容についても十分な配慮が必要であると、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 男女共同参画推進条例案第九条に関しまして、本県における審議会等に占める女性委員の率は一六・三%となっております。
 男女の構成員数の均衡とは、議員ご指摘のとおり、個々の審議会における男女の数を同数にするということではなく、全体としてより一層女性の参画を目指すものでございます。女性の参画を得ることは重要な課題ですが、一方で各種審議会等へはそれぞれの目的にふさわしい方に就任していただく必要があります。このため、おおむね男女のバランス均衡が図れるよう将来にわたって努力していく必要があるということを表現しております。
 また、職員の任用につきましては、課長級以上の職員に占める女性職員の比率は一・六%であり、より積極的に進めていく必要があると考えております。本条文の趣旨は、男女共同参画の推進に当たり県が率先して取り組む姿勢を示し、今後ともより一層の環境づくりを進めていくためのものであります。
 次に、第七条に関しまして、基本計画の策定に当たっては審議会意見を聞くとともに県民意見を反映するための措置をとることとしております。これは、各分野の専門的見地からの検討が必要であることとともに、男女共同参画は県民生活に密着した課題であるため、県民の生の声に耳を傾ける必要があるという観点からの規定です。
 議会のご意見については、委員会での経過報告や議論及び議会の研修会等の機会を通じて積極的にちょうだいしてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 都市計画道路の整備方針と整備の進め方についてのご質問にお答えいたします。
 議員ご指摘のとおり、和歌山市内の道路は紀の川や鉄道で分断されているため市街地の周辺部で慢性的な渋滞が発生しておりまして、現在、国、県、市で構成する和歌山市域道路整備推進協議会において都市計画道路の整備のあり方について協議を進めております。その整備に当たっては、厳しい財政状況の中、優先順位をつけ重点的、計画的な整備に努めております。具体的には、西脇山口線、湊神前線、南港山東線など、東西幹線道路を重点的に整備しております。
 また、各路線の事業展開としては、渋滞している複数交差点の優先的改良や二車線の暫定供用など、効果が早くあらわれる供用形態で取り組み、供用開始時期を明確にした上で土地収用法を活用するなど、さらにきめ細かく取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) すぐれたスポーツ選手や指導者等の人材の確保についてでありますが、本県選手が国際大会や全国大会等で大活躍を見せることは、県民の皆さんに明るい話題を提供するとともに、スポーツを志す青少年に対して目標と意欲を与えるものであり、スポーツ振興の原動力になると考えているものであります。
 学校数、生徒数の多くない本県にあっては、インターハイや国体で好成績を上げるため、特にハイスクール強化指定校制度やジュニア一貫指導システム構築事業などを有効に活用して、重点的、計画的な強化策を展開する必要があります。また、体育教員の新規採用者や現有の全国トップレベルの若手体育指導員を、選手として活躍してもらうとともに、積極的に学校に派遣して指導者としても十分に役割を発揮させるなど、全県的な競技力の向上に努めてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 警察本部長岩井良行君。
  〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 治安対策についてお答え申し上げます。
 まず、一点目の治安の悪化に対する対応についてでございます。
 県下の治安情勢は、議員ご指摘のとおり極めて厳しく、治安指標と言われております刑法犯の認知件数は四年連続して二万件を超えております。また、殺人、強盗、放火などの重要犯罪は、平成五年ごろをピークとして減少傾向にあったものの平成十年を境に増加に転じ、その犯行形態も一段と悪質・凶悪化しているところであります。
 一方、犯罪の検挙率についてでありますが、重要犯罪の過去五年間の平均は七七%と高い数値になっておりますが、刑法犯総数が年々増加する中で一人でも多くの犯人を検挙することに重点を置いた捜査を推進しております結果、検挙人員についてはここ数年ほぼ横ばいもしくは増加の状況が続いておりますものの、刑法犯全体の検挙率は低くなっている現状にあります。
 検挙率低下の要因といたしましては、凶悪犯罪などの増加による初動捜査への捜査力投入の増大、検挙人員に重点を置いた捜査による検挙被疑者に対する余罪解明率の低下、犯行手段の悪質・巧妙化、スピード化による捜査の困難化とインターネット利用犯罪の発生など、犯罪の質的変化に伴う業務量の増大などが挙げられます。
 こうした中、警察の責務を果たしていくためには、限られた警察力を効率的に活用することが重要となっているところであります。このため、警察学校における専門教養の実施や充実などにより個々の警察職員の実務能力の向上を図る一方、業務の合理化などを通じて組織の抜本的な見直しを行い、捻出した人員を事件事故が多発する県北部地域に警察力をシフトさせて悪化する治安に歯どめをかけるべく努めているところであります。また、犯罪の広域化、巧妙化等に対応するため、捜査活動を支援する装備資機材の整備拡充にも積極的に取り組んでいるところであります。
 なお、このように徹底した業務の合理化を図っているところではありますが、現在の体制では急速に悪化する治安情勢に対処していくことは極めて困難であることから、財政状況が厳しい中ではありますが、なお不足する人員については、知事を初め県当局のご理解を得まして、今議会に四十人の警察官の増員をお願いしているところであります。
 また、申すまでもなく警察は良好な治安を維持する責任を負っておりますけれども、警察の努力だけではなし得ないこともございます。このため、各自治体による犯罪の起こりにくい町づくりや住民の方々による地域防犯活動など、自治体や県民による自主的な防犯活動についても私どもとして支援をさせていただいているところでございます。
 次に、交番、駐在所の増設についてお答え申し上げます。
 地域の安全、安心を確保するためには、交番、駐在所の活動すなわち地域警察官の活動が大変重要でありますことは議員ご指摘のとおりであります。これまで、和歌山市を中心に悪化する治安情勢に対応するため、特に二十四時間体制の確保を目指して交番などの統廃合に工夫を凝らしてまいりましたが、県下の治安情勢は大変厳しいものがあり、交番などへの人員の配置もなお十分でない現状にあります。
 今回お願いしております警察官の増員が実現いたしました場合には、その増員の一部を用いまして必要性の高い交番から人員の補強をしていきたいと考えておりまして、ご指摘の交番、駐在所の増設よりは現在ある交番の人員の補強を優先せざるを得ないと考えている次第でございます。
 現在、警察官の増員とともに交番相談員五名の増員もあわせてお願いしておりますけれども、これも今申し上げましたことと同様の目的からでございまして、これら現行体制の強化拡充を図ることにより住民の方々の安心と安全の確保に向けて最善の努力を続けてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 六番宇治田栄蔵君。
○宇治田栄蔵君 答弁ありがとうございます。
 武道館の建設についてでございますが、もうこの運動が十年になりました。この間に、現在の県立体育館のところとか、ビッグホエールの第二アリーナのところとか、候補地も挙がりまして、非常に関係者は、先ほど質問でも申し上げましたけれども、もう間もなくできるんじゃないかと、一時、大変期待を膨らませた時期もございました。今、大変財政が厳しいということは私どもも存じておりまして、知事の立場も理解できるんですけれども、財政が厳しい厳しいと言うだけではやはり県民の期待にこたえられないわけでございますから、厳しい中でも何とかやりくりをして一刻も早く実現するようにお願いしたいと、これは要望をさせていただきます。
 それと、先ほど申し上げました男女共同参画推進条例についてでございます。
 事業所への調査についてのことでございますが、私は、調査というこの条文から受け取る感覚は、調査が非常に大事みたいなふうに感じるわけです。僕は、こういう調査をするということよりも、こういう社会にやっぱり皆さん協力してやっていってくださいよというふうに理解を求めていくような努力、そういうことの方に重点を置く方がこの条例を生かすためにはよりいいことだというふうに感じます。私はこの十一条二項、三項を見ていて、何かこう、高圧的な押しつけというんですか、そういうふうな感じを受けて仕方がないんです。
 私は、先日、事業者の方からですが、調査についてこういう苦情を聞いたことがあります。最近、県や国からのいろんな調査がわしとこの事業所へ来るよと。そして、その調査の書類を書くために事務員を一週間ほど張りつかさなならんと。そういう詳しい調査事項もあるというふうに聞きました。それで、そのために──まあ考えてみてくれと。こんなもん、給料にしたら数万円のものになるんやと。それだけ負担せんならんし、本来の仕事はできやんし、非常に営業妨害になるようなことやから、わしはもう調査の対象にせんといてほしいんやというふうな、そういう陳情を受けたこともございます。
 ですから、そういう調査というものに──私自身がそういう陳情を受けたんですよ。ですから、そういうふうな感じで、余り調査、調査と言うと迷惑がられる場合も多々あると思うわけですよね。ですから、そういう事業者の声というものにもやはり耳を傾けていかないかん。そして、必要なもの、協力をしてもらえるものに対してきっちりと内容を把握していく、そういう姿勢が私は必要だと思うわけです。
 私はそういう立場に立ってこの条文を見ましたとき、余りそういう感じを受けないので一考を要するというふうな考えを持ってございますけれども、環境生活部長、県当局の方はどういうふうにお考えか、ご答弁をお願いしたいと思います。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 再質問にお答えいたします。
 第十一条の運用に当たっては、事業者の方々に過重な負担を課すことのないよう注意しながら実施してまいりたいと考えております。
 男女共同参画の推進は、事業者はもとより県民各層のご理解とご協力を得る中で行う必要があると認識しておりますので、その必要性などについて十分理解をいただけるよう努力するとともに、議員ご指摘の内容を踏まえ、十分配慮して行ってまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、宇治田栄蔵君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
  【日程第三 議案等の付託】
○議長(井出益弘君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
  【日程第四 請願付託の件】
○議長(井出益弘君) 次に日程第四、請願付託の件について報告いたします。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。三月十三日から十五日まで及び十八日は、委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、三月十三日から十五日まで及び十八日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、三月十九日、定刻より再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時二十五分散会

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