平成14年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(高瀬勝助議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時二分再開
○副議長(堀本隆男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十一番高瀬勝助君。
  〔高瀬勝助君、登壇〕(拍手)
○高瀬勝助君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 今回は、観光立県、本県の活性化に向けた道路整備及び完全学校週五日制と新学習指導要領への対応の三点についてお尋ねをいたします。
 まず一点目として、観光立県についてであります。
 我が国では、二十世紀の大量生産、大量消費型の工業社会から、生活の質の向上、心の充実を求めるソフト型社会へと方向転換しつつあり、地域経済も競争による活性化の時代に突入しつつあります。このような中にあって、これまでのような工場誘致型から脱皮して、地域の保有資源を十二分に活用することによる新しい産業の道を切り開いていきたいという知事の言葉に私も賛意をあらわすとともに、緑の雇用事業とともに、豊かな歴史、文化、自然を活用した観光振興に大きな期待を寄せるものであります。幸いにして和歌山県は、高野・熊野に代表される奥深い歴史、文化の地であり、すばらしい温泉群、黒潮洗う海岸線とマリンブルーの海、緑なす山々、澄み切った清流など、自然の宝庫であります。観光の語源である「国の光」、すなわち地域の誇るべき貴重な観光資源に事欠かないわけであります。私は、そういった意味で、まさしく観光こそは本県にとって今後の地域活性化の切り札になるものと確信しております。
 初めに、今後の観光政策の展開方向、戦略についてお尋ねをいたします。
 昨年十月から放映されているNHKの朝の連続ドラマ「ほんまもん」によって、本物のみが持つ味わいと魅力、和歌山の「国の光」が全国に紹介され、大いに注目を集めております。県当局では、この機会を逸することなく、「ほんまもん」をテーマにした各種のキャンペーンをタイムリーにかつ積極的に展開されております。しかしながら、人の心は移ろいやすいもので、テレビ番組によって寄せられた注目や関心も、番組が終了するとともに徐々に薄れていくものであります。観光の振興には、タイムリーな話題を十分に生かしつつも、すぐれた戦略性が求められます。
 そこで、たゆまざる観光資源のブラッシュアップと新たな観光素材の開発、着実な観光地づくり、継続的かつ計画的なキャンペーンの展開が必要であり、今後本県の観光振興のためにどのような構想を描かれ、戦略を練っておられるのか、商工労働部長にお尋ねをいたします。
 次に、ホスピタリティーの醸成、もてなしの心についてであります。
 「観光の本質は、もてなしの心にあり」と私は思っております。旅行に出かけますと、旅館、ホテルなどの従業員は言うに及ばず、その土地で出会った人々と心のこもったあいさつや会話を交わしたり、親切を受けたときの感動は忘れがたいものであります。景気動向などに左右されることなく根強い人気を誇る観光地は、例外なく、もてなしの心がすばらしいところであると断言することができます。
 一方、我が和歌山県の場合はどうかと言いますと、その点では余り芳しい評価を得ていないのではないかと危惧するものであります。もちろん、好印象を受けた場合に比較して、不評、不満の方が口の端に上がりやすいもので、その分を差し引かなければなりませんけれども、ごくまれなケースが世間で言われていることが多いと思います。観光にとってもてなしの心は、それだけでも一つの大きな観光資源であると言えます。基本中の基本であり、本県が名実ともに観光立県たり得るためには、このこともまた見過ごし得ない重要課題であると考えます。このもてなしの心の醸成について、県としてどのように考え、今後どう取り組んでいくのか、商工労働部長にお尋ねいたします。
 観光関係の最後に、東京アンテナショップと観光インフォメーションの機能についてお尋ねをいたします。
 観光振興の第一歩は、まずもって認知度を高めることにあります。その意味では、大きな人口集積を持つ大都市圏、特に東京を中心とする首都圏での観光宣伝活動が極めて重要な意義を持つことになります。県では、東京に観光センターを置き、観光宣伝、観光情報の発信に努めてこられましたが、残念ながら首都圏における我が県の認知度はそう高くない現状にあるというのが私の実感であります。
 新年度予算の中で、首都圏マーケット拡大事業という新規事業を計上しており、その中で東京にアンテナショップを設置することについて検討を進めるとしています。これは、和歌山産品、つまり物産のPRと販路拡大をねらったものでありましょうが、この際、観光インフォメーションの機能を付加した形でのアンテナショップを検討してはいかがでしょうか。
 そこで、物産は物産、観光は観光と別々に、それぞれ違うところでPR活動を展開するのではなく、両者の相乗効果をねらって総合的に和歌山県のよさを売り出していくべきだと考えますが、どうでしょうか。
 観光立県を推進し、このことを実のあるものにしていくためには、今後、県行政のみならず、市町村、関係団体、民間事業者が適切な役割分担のもと、緊密に連携し、協調しながら、その総力を結集して宣伝活動を展開していくことが必要であります。その際、県内の観光関係機関、団体が加盟している観光連盟が、和歌山県の観光集客活動の中核として観光立県の機関車の役割を果たしていくことを、最後に要望しておきます。
 二点目に、本県の活性化に向けた道路整備についてであります。
 経済のグローバル化、国際化がより一層進む中、海上輸送の重要性を知ってもらおうと、和歌山下津港の利用促進を呼びかける和歌山港ポートフォーラムが先月二十四日、和歌山マリーナシティのホテルで開かれました。このフォーラムには、県の港湾空港振興局や企業局の職員を初め、県内の企業関係者、それに海外に多くの航路を持つ荷主企業の担当者らが参加し、昨年五月から週四便の運航が始まった和歌山港─釜山港航路が順調な利用状況であるほか、和歌山本港区は大阪湾の玄関口にあり、大阪や神戸港のように荷役作業に待ち時間が長時間かからず、スムーズに作業ができ、大型のクレーンも新たに備えられるなど、今後、中国やシンガポールなどの新たな航路の必要性が強調されていました。しかしながら、関係者の中には、県内への物流輸送ならさほど問題はないものの、京阪神方面への物流輸送となると、和歌山港から阪和道の和歌山インターまでの道路渋滞の解消や、さらなる道路整備が必要不可欠であるとの要望もありました。
 私は、以前からこの本会議の一般質問でトラック輸送のあり方などについて質問した際、道路整備の重要性を強調しましたが、それ以後も事態はなかなか好転していません。その一方で、県では低迷する経済対策として、政策や課題について提言を受けようと、国の経済財政諮問会議のメンバーでもある大阪大学の本間教授を顧問に加えた県経済活性化プログラムを策定するための活性化委員会を設けて、デフレ経済からの脱却策などの検討に当たっています。また、中山副知事を座長とした景気雇用対策本部会議も開いて、低迷する鉱工業生産や雇用などについて協議を重ね、緑の雇用事業の有効活用や人材バンクの整備などに取り組もうとされています。
 昨年の九月、日本経済新聞が、売れ行きの伸び悩んでいる近畿の自治体が所有する工業団地とその企業誘致に対する取り組みを特集した記事を掲載していました。その中で、各自治体は、土地の販売価格の値下げを検討したり、企業が進出しやすいように環境整備の取り組みが紹介されていました。本県では、主に企業誘致を目的とした用地は、和歌山市ではコスモパーク加太や西浜、雑賀崎の工業団地があるほか、打田町や桃山町、御坊市など二十カ所に上る用地が保有され、セールスが展開されています。しかし、五年間も活用されず、いわゆる塩漬けの割合は残念ながら全国ワーストワンと報じられ、借入金の膨らみも懸念されるところであります。
 こうした中、県企業局では、雑賀崎の工業団地や桃山第二工業用地で進出する企業の初期投資を軽減してもらうとともに、雇用の創出を図ろうと定期借地制度、いわゆるリース制度を導入しています。特に雑賀崎では、先月からリース制度をスタートさせたところ、県内の大手スーパーが物流センターを建設することが決まり、近く着工の運びとなったと聞いております。県企業局では、地元住民の合意を得ながら進出企業の業種拡大を図り、経済振興に取り組んでおります。県の東京事務所でも、企業誘致の推進策として、人材派遣の会社を通じて首都圏に常勤する企業専門員を配置して、経済情報の収集や企業との早い段階での接触に民間のノウハウを活用しながら企業誘致を図ることを来月からスタートさせるということであります。
 ところで、先ほど和歌山市の西浜と雑賀崎の工業団地の取り組みについて紹介しましたが、私が先日、新聞を見て驚いたのは、和歌山港と水軒を結ぶ南海電鉄和歌山港線がこの五月をめどに廃止されるということであります。この和歌山港線は県が路線部分を所有するといった珍しい路線で、旅客鉄道として営業を続けてきましたが、隣を走る臨港道路の完成で木材の運搬がトラック輸送に切りかわるなどしたため利用客が伸び悩んだということであります。この路線、和歌浦温泉街への延伸案なども提案されたということですが、結局廃止となるということであります。
 そこで私は、この廃止されようとする区間を道路に活用してはという提案をいたします。なぜならば、さきの企業局や港湾空港振興局のように、企業誘致や物流経済の振興のために取り組まれているものの、道路事情の悪さが大きな課題として挙げられます。この廃線区間を高架化するなどして整備を図り、西浜や雑賀崎から紀の川にかかる紀の川河口大橋につなげるほか、河口大橋から和歌山北インターに通じる和歌山紀の川ハイウエー構想はいかがなものでしょうか。この構想は、和歌山港から河口大橋を通り、河口大橋から紀の川右岸の河川敷を利用して橋脚を設け、和歌山市の直川地区を中心に整備される和歌山北インターに通じる道路であります。この直川地区は、和歌山市がかつて松下電器の工場を誘致しようとしたり公立大学の候補地として挙げた場所で、塩漬け状態が十数年も続いている土地であります。早急な有効利用が叫ばれており、そういった中、この用地を和歌山北インターの建設用地として利用できるよう和歌山市に働きかけてはいかがなものでしょうか。
 また、コスモパークにおいても、道路整備が早急な課題であります。和歌山インターから加太地区までは、ラッシュ時でない昼間の時間帯で四十五分前後の時間がかかりますが、和歌山紀の川ハイウエーが通る河口大橋から住友金属和歌山製鉄所、この製鉄所につきましては遊休地の活用、設備の整理等の課題がありますが、敷地内を通り抜け、コスモパーク加太地区へ通じる自動車専用道路が整備されればいかに利便性が向上するかであり、これにより加太、磯ノ浦への観光客も大幅にふえることは間違いないものと思っております。
 日本道路公団の改革など高速道路論議が小泉総理のもとで進む中、木村知事は昨年十一月、産経新聞が連載している「知事のリレーエッセイ」の中で高速道路の必要性を強調されています。この中で知事は、「時が移り、今では高速道路が昔の「鉄道の本線」に匹敵するものになっている。(中略)和歌山も高速道路の整備が遅れてきたことで発展の芽が摘まれてきたことは否めないし(中略)高速道路を整備し工業団地を造成して企業誘致をという時代はひとまず去ったが、都市の人との交流を増やし、本県自慢の「ほんまもんの自然」や「癒し」をアピールし地域の振興を図るにも、先ず「現代の鉄道本線」である高速道路を、ということになる。(中略)国際競争に勝ち抜く観点からも、国土の十全な発展を促すという面からも整備を進める必要がある」と結んでいます。
 そこで、知事はこの記事で、一つの時代はひとまず去ったと投稿されていますが、今後の企業誘致対策をどのような決意で進められるのか。また、企業誘致や物流経済の振興など本県の活性化を進めるには広域道路等の整備が不可欠であると考えていますが、知事のご所見をお伺いいたします。
 また、地域振興に取り組む上で、広域道路を補完する市域の都市計画道路の整備も必要と考えますが、土木部長にお尋ねをいたします。
 三点目として、完全学校週五日制と新学習指導要領への対応についてであります。
 平成十四年という年は、明治五年に近代教育制度の学制が実施されてからちょうど百三十年目に当たります。この記念すべき年に全国の小・中・高等学校などでは完全学校週五日制が導入され、新学習指導要領が小中学校で全面実施されることになっており、まことに感慨深いものがあります。また、今世紀に入り、社会、経済を初めとするさまざまな分野において改革が進められておりますが、学校教育においても、子供たちが変化の激しい社会の中で、心豊かにしっかりと生きていく力をはぐくむことを目指した教育改革が進められていると聞いております。こうした改革の波の激しい時代にあって、教育委員会が教育長を先頭に一丸となって本県教育推進のためになお一層尽力されることを期待しているところであります。
 初めに、学校週五日制については、社会一般における週休二日制の普及を背景に国において昭和六十一年から検討が始まり、平成七年四月から第二、第四土曜日が休業日となり、ことし四月からはすべての土曜日が休みになる完全学校週五日制が実施されようとしております。このことは、学校での生活と家庭や地域での生活との比率が単に六対一から五対二に変わるというだけではなく、学校、保護者、地域社会がいかに連携して子供を育てていくかを問いかけている大変重要な問題であると考えます。そのため、学校だけで教育を行うのではなく、地域社会でも子供を育てるのだということを改めて強く受けとめる必要があります。今までにも、生涯学習の視点から、休みになった二日間について子供を対象としたさまざまな取り組みもなされておりますが、本年四月からはこれまで以上に地域を挙げて子育てをする絶好のチャンスではないでしょうか。現在の子供たちにはさまざまな体験が不足していると言われておりますが、二日間の休みは、ぜひ体を動かしたり、いろいろな体験をしながら、心身ともにたくましく成長してほしいものであります。
 そこで、来年度からの完全学校週五日制の導入を目前に控え、県教育委員会としてどのような施策がなされているのか、教育長にお尋ねをします。
 次に、学力問題についてお尋ねをします。
 生きる力の育成を目指した今次の教育改革は、子供たちがゆとりを持って学び、学ぶことが楽しい、学んだことがわかってうれしいという教育が一層進められると聞き、私は本当にすばらしいと思っております。新学習指導要領では、学習する内容が三割程度削減され、完全学校週五日制と相まって授業の時間数も減ると聞いております。特に、算数、数学、理科の学力が既に落ち込んでいるとさまざまなメディアで報道されており、このようなことではさらに学力の低下を招くのではないかという不安の声もよく聞きます。
 そこで、今回の学習指導要領が実施されるに当たって、我が国の次代を担う子供たちに本当に十分な学力をつけることができるのか、このことについてどのようにお考えなのか、教育長にお尋ねします。
 最後に、絶対評価についてお尋ねをします。
 この四月から、小中学校では成績のつけ方が相対評価から絶対評価というものに変わると聞いております。子供たちや保護者あるいは学校にとって、評価が変わるというのは大きな改革であると考えます。絶対評価になると、教師や学校によって差が出ることがないでしょうか。これまでは、例えば通知簿の五は全体のほぼ何%というように、ある決まった割合によって成績がつけられ、相対評価を基本としているので、一定の信頼が置けると思います。しかし、絶対評価になって通知簿の五は何%でもよいとなると、高い成績を多くつけたり、そうでなかったりと、教師や学校によって差が出て客観性が揺らぎ、公平でなくなるおそれがあるように思われます。また、絶対評価というと、ある基準に達しないと低い評価となり、頑張ってもできない子供は低い評価のままで、意欲をなくしてしまうことはないでしょうか。教育における評価というものは、努力に対する温かい励ましが必要だと考えます。絶対評価ではその部分が抜けているように思われますが、どうでしょうか。これらのことに対し各学校は対応していくことになるのですが、県教育委員会としても絶対評価に対して各学校へどのような指導を行っていくのか、あわせて教育長にお尋ねをいたします。
 以上で、一般質問を終わります。清聴ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの高瀬勝助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの、和歌山県におけるこれからの企業誘致についてどのように考えるかというご質問でございます。
 ただいま引用していただきました産経新聞のリレーエッセイの中でも言っていますように、今二十一世紀になりまして急激に中国が伸びてきている中で、生産現場を中国へ移す企業が、これはもう和歌山に限らず全国的にふえてきている中で、今まで工業用地を造成して工場を呼び込んでいた地方の県は、皆どこも非常に厳しい状況に至ってきているところでございます。しかしながら、今議員のご質問の中にもありましたように、和歌山県は既に造成した土地をたくさん持っているわけでございまして、この土地をいつまでも遊ばせておくわけにはいかないわけでございます。もとより、今までの形の企業を呼んでくるということはなかなか難しい面もありますけれども、そういうふうな旧来の企業を呼んでくることとか、それから、最近、情報関係でありますとか、バイオでありますとか、環境関係、こういうふうな新しい時代の状況を反映して、日本の国でどんどん起こってきている事業もあるわけでございますので、こういうふうなところへもアンテナを高くして、そしてまた表に出た情報、そして裏でいろいろ動いている情報、こういうふうなものを的確にとらえて、和歌山県の工業用地等をどんどん売り込んでいって、ぜひいい会社とか企業が来てくれるような努力を今まで以上にしていきたい。そういう意味で、先ほどお話にありました企業専門員、これは初めての試みで、どういうふうな形になるかわかりませんけれども、大きな期待をしているところでございます。
 そして、あわせて当然のことながら、そういうふうな企業を呼び込むときには、やはり道路問題ということが今までネックになってきたということは否めないところでございます。私自身、初めから申し上げておりますように、京奈和自動車道の整備でありますとか、府県間道路でありますとか、高速道路の南伸、それから都市の中での基幹道路の整備、港からつながっていくような道路の整備と、こういうふうなものが企業を誘致するときに一番大事なものになってくるというふうな考えを持っておりますので、これは非常に時間もかかることですし、お金もかかることでございますので、一朝一夕にはいきませんけれども、新しい企業の誘致とあわせて、こういうふうな基幹的な道路網の整備は厳しい中でも鋭意積極的に進めていきたいと、このように考えております。
○副議長(堀本隆男君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 観光立県についての、本県の観光戦略についてでございます。
 今後、本県の観光振興を図る上で、平成十六年に予定されている高野・熊野の世界遺産登録を本県観光の新たな発展への転機ととらえ、それを見据えた環境整備のための戦略的諸施策を継続的、段階的に展開してまいりたいと考えてございます。施策の展開の方向としては、本県の豊かな歴史、文化、自然などを活用した体験型観光を新たな観光素材として確立するとともに、高野・熊野をテーマとした情報発信の強化による集客力の向上を柱としながら、首都圏を中心とした大都市圏の認知度の向上や、地域を主体とした広域連携による商品力の強化、国際観光の振興、ホスピタリティーの醸成、バリアフリー化の推進などによる観光客の受け入れ体制の整備などを進めてまいります。
 ホスピタリティーの醸成について。
 ホスピタリティーは、それ自体大きな観光資源であり、効果的に機能することにより、真の観光立県の実現が図れるものと考えております。古くは、アリの熊野もうでを支えた一つにホスピタリティーの存在があったと思います。観光の目的が、心、精神の充足へと移行するに伴い、その重要性はさらに高まってきており、これまでもパンフレットの作成・配布や観光セミナーを毎年開催するなどホスピタリティーの醸成に取り組んできたところですが、今後は、よりきめ細やかで、かつ対象範囲の拡大を図るなどにより、先ほども申し上げましたが、観光地のバリアフリー化なども含む幅広いホスピタリティーの醸成に取り組んでまいりたいと考えております。
 東京アンテナショップについてでございます。
 東京アンテナショップの設置につきましては、和歌山らしさを全面に打ち出してまいりたいと考えてございまして、民間の皆様に主体的に幅広くご参加をいただき、かつできるだけ機能の多様性を付与することが重要だという認識のもと、夢のあるアンテナショップとするべく、その手法や機能あるいは立地場所等を総合的に検討してまいります。議員ご質問の観光インフォメーションの機能につきましても、その中の大きな機能の一つと考えてございます。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 広域道路を受ける和歌山市域の都市計画道路の整備については、現在、国、県、市で構成する和歌山市域道路整備推進協議会の中で渋滞緩和に向けた整備のあり方等について協議を進めております。
 港湾や企業用地などを生かし、地域振興を進める上からも、今後とも町づくりや広域道路とバランスをとって、和歌山市の骨格となる東西幹線道路であります南港山東線、湊神前線、西脇山口線などを重点的に整備してまいります。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 完全学校週五日制は、学校、家庭、地域がそれぞれの役割を果たし、互いに連携して、子供たちに豊かな人間性やみずから学び、みずから考える力などを身につけさせることをねらいとしております。
 学校では、各教科や総合的な学習の時間などで主体的な学習や生活態度を培い、それらが家庭や地域での活動に生かされるよう現在取り組んでいるところでございます。また、子供を地域で育てる環境を整備するという点では、放課後や週末等に子供がスポーツやボランティアなどさまざまな体験活動を行ったり、高齢者等の幅広い世代と交流するための機会を充実させることが大切であると考えております。
 完全学校週五日制と新学習指導要領の実施を間近に控えたこの時期、議員ご指摘のように、県民の間で教育に対する関心や一方不安が高まっていることから、これからの学校教育について改めて説明し、理解と協力を得ることが肝要であると考えております。そのため、各学校が新しい教育の方向と自分の学校の教育活動について保護者に対して説明する機会を積極的に設けるよう通知をいたしますとともに、二種類の啓発リーフレットを合わせて二十三万部作成し、すべての公立学校の保護者に配布することといたしております。
 次に学力問題についてでありますが、新しい学習指導要領は、これまでの知識の量や記憶力に偏るという弊害をなくし、考え、判断する力など、より質の高い学力を育てることをねらいとしております。このため、観察、実験、調査、研究、発表、討論など、体験的問題解決的な学習を通して探究心や表現力を培うとともに、習熟の程度に応じた指導や、クラスを二つに分ける少人数の指導などにより学力を確実に定着させ、これを一層向上させる取り組みを推進してまいります。
 また、通知表などに示す成績につきましては、集団の中での順位を示すのではなく、目標に到達しているかどうかの観点から絶対評価を行うよう改善されたところであります。その際、子供たちの可能性や努力など、一人一人の進歩の状況も勘案することといたしております。こうした改善が児童生徒の学習意欲の向上につながっていくものと考えております。新年度には、本県独自に各教科ごとの評価方法の事例集をすべての小中学校に配布して、絶対評価の客観性や信頼性をより一層高めていくよう指導を行ってまいります。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(堀本隆男君) 以上で、高瀬勝助君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時三十七分散会

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