平成14年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成十四年二月 和歌山県議会定例会会議録 第五号
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議事日程 第五号
 平成十四年三月八日(金曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに報第一号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに報第一号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         安   居       要
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       増   田   充   孝
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員    大   岡   淳   人
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長職務代理者
                中   村   利   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      井   口   好   晴
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに報第一号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十一番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 皆様、おはようございます。
 ただいま、議長のお許しをいただきました。通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。限られた時間での質問であります。どうか、答弁は明快かつ簡潔にお願いしたいと思います。
 それでは、最初に本年四月からのペイオフ解禁についてお尋ねいたします。
 銀行などの金融機関が万が一破綻した場合、預金者一人当たり元本一千万円までと、その利息のみの払い戻しを保証するペイオフ制度が本年四月一日から解禁されます。当座預金、普通預金などの解禁は平成十五年四月からとなっております。ペイオフが凍結されている現在は、預金などが全額保護されています。解禁後は、保護対象の範囲が変わります。預金者には、より自己責任が問われてくるわけであります。したがって、複数の金融機関に分散して預金することはペイオフ対策の一つの手段であると思います。しかし、ペイオフの解禁が決定した中で、本当に大切なことは、経営内容が健全かどうか、困ったときに頼りになるかどうか、取引している金融機関の健全性を知ることであります。ペイオフの対象となるのは、あくまで経営破綻した金融機関だけでありますから、健全な金融機関と取引をしている限り、今までどおり全額安全ということになります。経営内容が健全な金融機関とは、経営破綻という事態に陥る可能性が少ない金融機関と言いかえることができます。金融機関が経営破綻してしまう状況は、自己資本比率がマイナスの状態を指す債務超過や債務支払い能力の低下が挙げられます。金融機関の破綻によりペイオフが発動された場合、県の公金預金についても一般預金と同じに取り扱われ、一千万円を超える部分に保護措置はなくなってしまいます。県の公金預金は、申すまでもなく県民の税金、収納金などであります。しっかり公金預金を管理しなければなりません。しかしながら、本県の指定金融機関であります紀陽銀行を初めとする金融機関に預金されております公金が分散されたりしますと、資金繰りなどに重大な影響を及ぼしかねないわけであります。金融機関の県経済に果たす役割の大きさを考えるとき、本県金融市場の五〇%を超える紀陽銀行を初めとする金融機関に対し、県民ひとしく運命共同体の認識を持って節度ある対応が切に望まれるところであります。
 以上のことから、出納長にお尋ねいたします。
 第一点は、県の公金預金にかかわる指定金融機関、指定代理金融機関などの財務状況をどのように把握しているのか、お伺いいたします。
 第二点は、県内の金融機関の経営が破綻した場合の県経済に及ぼす影響の重大さにかんがみ、県内の金融機関への支援策について何か妙案はないのか、お尋ねいたします。
 第三点は、本県の公金管理の現状とペイオフ解禁に備えた対応策はどのようになっているのか、伺っておきます。
 第四点は、激変する金融情勢の中で公金管理の業務を的確に行うために仮称・公金管理委員会を設置し、金融分野の専門家の経験と識見を活用していく体制を構築する必要があると考えるが、どうか。 以上、四点についてお答えください。
 次に、県立医科大学跡地利用のための提案競技、いわゆる事業コンペについてお尋ねいたします。
 医大跡地利用については、県立医科大学跡地利用に関する基本方針の趣旨にのっとって、商業施設、宿泊施設等を含めた都市型複合施設の整備に向けての取り組みが進められているところであります。そして、民間事業者のすぐれた企画、運営ノウハウを導入するため、事業コンペ方式により事業者を決定することとしています。なお、応募提案書類は昨年十一月十五日、十六日に受け付け、ダイワロイヤル株式会社、シーアールエスジャパン株式会社の二企業グループから提出がありました。その後、何回か審査委員会が開催されております。今後の提案競技のスケジュールと、いつ結論を出し、着工の運びになるのか、お聞かせください。
 次に、医大跡地の別館病棟の再利用についてお尋ねいたします。
 このテーマにつきましては、昨年の予算委員会でも先輩議員の小川武議員の方から質問がなされております。この別館病棟については、済生会和歌山病院から利活用したい旨の要望が出され、地元でも大変歓迎、期待していると聞き及んでおります。その後どのような協議がなされているのか、これまでの経過、見通し及びその対応についてお伺いいたします。
 次に、河川環境の整備と保全についてお尋ねいたします。
 このテーマにつきましては、一昨年の十二月にも質問をさせていただきました。引き続き質問させていただきます。
 「川が文明をつくり、文明が川を壊す」との言葉があります。私は、あえて「国栄えて山河なし」と申し上げたいのであります。と申しますのは、後でも述べますけれども、和歌山市内を流れる川はBODという溶存酸素が環境基準を超えておりまして、ヘドロもたまり大変な状況でございます。きょうは、知事もお忙しいでしょうから、写真を撮ってまいりましたので、議長のお許しを得まして、知事にひとつ見ていただきたいと思います。(写真を渡す)
 近年の文明の発達は、安い外材、輸入材によって国産材の値段が下がり、売れずに山に手が入らなかったため森林を荒廃させてしまいました。山は緑のダムとも言われます。健全な水源涵養には、除伐、間伐などの手入れが必要であります。知事の提唱されております、そして本年度からさらに事業化が進められております緑の雇用事業によって、山に再び手が入れられようとしております。まことに喜ばしい限りであります。
 一方、都市化の進展は、宅地の開発や雨水が浸透しない住宅、工場、道路へと変貌し、不浸透域の増加は洪水時の川の流量を増大させました。洪水を防ぐための河川改修工事により川は直線化され、深く掘り下げられ、コンクリートで要塞のように固め、高い堤防が築かれ、人と川とのつき合いは疎遠となってしまいました──知事、写真をごらんになっていただくと、そのようになっていると思います。そして、川は水を流すだけの水路となり、もともと川が持っていた生物をはぐくむ潤いのある自然環境は消滅し、情緒のない川の景観へと変貌し、川の魅力は失われてきたのであります。
 かつて、文部省の唱歌の中に「春の小川」さらには「めだかの学校」という歌がございます。「めだかの学校は川のなか だれが生徒か先生か」と言いますが、今その川のほとんどはメダカが生育していない状況でございます。そういう自然が失われてきているわけでございます。
 そこで建設省──現在の国土交通省では、平成九年五月、今まで治水、利水とした河川法に、初めて「河川環境の整備と保全」というキーワードを挿入し、大改定を行いました。本県では、近年、河川が持っている生物の良好な生育環境を保全し、美しい景観を創出するための多自然型川づくりが進められているところであります。この多自然型川づくりは、ドイツやスイスの河川の自然復元手法が紹介されたことなどをきっかけとして、平成二年度以降試行的に用いられてきた河川整備手法であります。
 今から約三百年も昔に、紀の川流域では高度な土木技術を使って紀の川の水を引き、農業を発展させていました。この紀州流は、連続する堤を築き、川を直線的にして洪水を海に真っすぐ流すものでありました。紀の川流域の村々では、この工法によって洪水を防ぐとともに、これまで洪水のため荒れ地だった土地を新たに水田にすることができました。この紀州流を確立させたとされる井沢弥惣兵衛は、その功績を認められて第八代将軍徳川吉宗に召し出され、江戸幕府の新田開発部長として日本各地で活躍しました。また、井堰の工事に大きく貢献したのが大畑才蔵でありました。
 しかしながら、川を直線的にして、洪水を海に真っすぐ流す江戸時代の工法は、今日の河川環境の整備と保全という観点から、その見直しが迫られてきております。今、再びの全国、全世界へのモデルとなるような和歌山流の多自然型川づくりや河川環境の整備と保全のための地域の意見を反映した河川整備計画の策定を積極的に進めるべきだと考えます。知事並びに土木部長のご見解を承りたいと思います。
 次に、環境基準を超えている五河川がございます。その中でも七つのポイントがございます。この原因究明とその対策についてお尋ねいたします。
 本県の平成十三年版「環境白書」によりますと、河川の有機汚濁の代表指標であります、先ほどもちょっと触れましたがBODについて、環境基準を超えている河川は五河川、七地点でございます。紀の川の藤崎井堰、船戸、南部川の古川橋、和歌山市内の土入川の河合橋、土入橋の二ポイントと大門川の伊勢橋、和田川の新橋であります。和歌山市内の河川については、先ほど写真をお見せしたとおりでございます。BODというのは生物化学的酸素要求量で、水中の汚染物質を微生物が分解する際に必要とする酸素量のことで、この数値が大きくなれば、その河川などの水中には汚染物質、有機物が多く、水質が汚濁していることを意味します。河川の改修、しゅんせつ、浄化は、そのほとんどが県の管理河川でありますので、県の事業であります。
 和歌山市内を流れる内川と言われる和歌川でありますけれども、かつては魚がすみ、人が泳げる川でありました。その後、工場排水や生活雑排水、さらには貯木場となってメタンガスが発生するようなどぶ川になってしまいました。県が長い年数と五十億余りの予算を投じまして改修、しゅんせつに取り組む中で、一方、公共下水道の整備や工場からの排水の排出規制によって、まだまだ十分とは言えませんが、かなり浄化され、魚がすめる状況になってきております。この点は、高く評価をさせていただきます。
 そこで、環境基準を超えております五河川、七地点の水質汚濁の原因を究明するとともに、その対策についてお伺いいたします。
 また、しゅんせつ、浄化を初めとする河川環境の整備と保全に積極的に取り組み──最近でも河川のあちこちで船が入り、しゅんせつをされている様子が見受けられます。積極的に取り組まれていることも評価をさせていただきますが、矢板を打ち──水面に接している矢板は、鉄ですのでさびてきます。矢板を打って、コンクリートで要塞のように固めた高い堤防を、環境に優しい、美しい景観を創出する河川へと整備すべきだと考えます。私は、矢板でさびの出ているところに、間伐材の焼きを入れたのをきれいに張りめぐらす、そこにシダなどを植える、そしてまたアシとかヨシをたくさん植えるということも一つの方法じゃないかな、また花壇をきれいに並べてみる、そういったことも美しい景観をつくり出すことになるのではないかなと思っております。ご所見を承りたいと思います。
 次に、合併処理浄化槽設置の促進についてお尋ねいたします。
 本格的に河川を浄化しようと思えば、最終的には公共下水道の完備にまつしかないわけであります。それまでは、莫大な費用と何十年という歳月がかかります。公共下水道、農村集落排水、流域下水道がなくても、戸別に合併処理浄化槽を設置すれば、トイレを水洗にできるだけではなく、すべての家庭雑排水を下水処理場並みに浄化できます。しかも、費用は公共下水道の十分の一以下であります。最近では、コンパクト型の合併処理浄化槽もできてきています。公共下水道には巨額の費用がかかります。基本的には雨水と汚水が一緒になっておりますけれども、汚水につきましては受益者負担ということになります。したがって、終末処理場をつくりましても、本管を入れましても、自分の敷地内の支管と申しますか、管をつないでトイレを改造するには八十万、百万かかるわけで、それで高齢者の方やひとり暮らしの方がなかなかできない。そうなってきますと、下水道事業をやった分だけが負担として残るわけで、恐らく和歌山市も財政再建計画を立てなければ下水道会計の起債を組めないというふうな状況にまで今なってきているわけでございます。一見費用もかからないと思える農村集落排水事業でさえ、一戸当たり数百万円以上かかるそうであります。河川等の水質汚濁防止のため、合併処理浄化槽の設置を促進すべきであると考えます。ご見解を承りたいと思います。
 次に、二〇〇二年ワールドカップサッカー大会、デンマークチームのキャンプについてお尋ねいたします。
 私は、一昨年十二月定例会の一般質問で、ワールドカップ出場の強豪チームのキャンプ地として、県営紀三井寺公園への招致に向けての知事の意気込みについてお尋ねいたしました。知事からは、「和歌山県を世界にアピールする絶好の機会となるとともに、スポーツ振興はもとより、県の活性化に大きな効果が期待されるところでございます。今後、各界諸団体を初め幅広く県民の皆様のご支援をいただきながら、積極的に取り組んでまいりたいと思います」と、キャンプ地の招致に向けての並々ならぬ決意をご披露していただきました。そして、昨年十二月三日、皆様ご承知のとおり、欧州の強豪国デンマークチームが本年五月二十日から二十七日まで本県でキャンプを行うことを決定いたしました。知事を初め担当者の必死の招致活動に心から敬意を表したいと思います。
 和歌山に決定した理由を聞かれたデンマークサッカー協会代表のスティーン・ダラップさんは、「キャンプ地で大事なのは、選手が練習以外の時間をいかにリラックスして楽しく過ごせるかということ。初めて和歌山を視察したときは、まさにパラダイスという印象で、自然環境も施設も交通アクセスもすばらしいし、何より迎えてくれる人の温かさを感じた。ここなら家族というような気持ちで過ごせると思う」と話されておりました。同チームは、韓国での予選を突破して決勝トーナメントに進めば、再び本県でキャンプをする予定になっております。日本チームともどもにデンマークチームが決勝トーナメントまで勝ち進んでいくことを願うものであります。
 デンマークを初め、世界各国からサポーターやファン、マスコミ関係者、観光客など多くの人々が訪れ、和歌山県が世界から注目されることになります。また、五月二十六日には紀三井寺陸上競技場でチュニジアとテストマッチを行う予定になっております。このチュニジアは奈良県でキャンプを張る予定になっておりまして、皆様ご承知のとおり、日本代表との対戦も予定されているチームでございます。スポーツ振興はもとより、青少年に夢と希望を与える絶好のチャンスであります。デンマーク代表チームが日本チームともどもに上位進出を果たすよう、最高のコンディションで試合に臨めるよう、万全のキャンプ環境を整えたいものであります。
 本県では、キャンプ実行委員会を設置し、受け入れ準備を進めておられます。デンマークチームと県民や青少年とが触れ合えるスポーツイベントの実施など交流を図ることも大変重要であると思いますが、選手のコンディション調整のため、交流する機会には当然配慮が必要であると思うわけでございます。デンマークチームの本県でのキャンプ地決定について、知事のご感想と、このキャンプにどのような期待を寄せておられるのか、お尋ねいたします。
 次に、ワールドカップを生かした地域振興策についてお尋ねいたします。
 ワールドカップを利用して地域振興策を推進するためには、ワールドカップ開催時のみの地域活性化ではなく、ワールドカップがきっかけとなって長期的なビジョンに基づく地域づくりを考えなければなりません。例えば、地域経済活性化の方策として、企業や観光客を誘引したりすることであります。幸い本県は、幾多の観光地を有しております。また、インターネットを最大限に利用して、公開練習の予定、変更などを瞬時に情報発信できる体制を整え、マスコミ関係、メディア関係者、サポーターやファンの誘引力や利便性、快適性を高める必要があります。さらに、地域の特性を十分にアピールし、地域から情報を発信するという意識が常に必要で、サポーターやファンを呼び込むイベントの企画力や集客力が問われるわけでございます。幸い、五月二十六日にはチュニジアとのテストマッチも行われますから、相当の集客力ではないかなと想像するわけでございます。そして、前回のフランスでのワールドカップの大会のときに、キャンプ地として提供した二つの都市が地域振興策を掲げて大きく花開き、発展を遂げている例があります。デンマーク代表の五月二十日から二十七日の準備キャンプでの情報発信の体制と集客予想人数についてお尋ねいたします。
 また、地域振興策をどのように考えているのか、お伺いいたします。
 最後に、キャンプ地の警備体制と駐車場対策についてお尋ねいたします。
 世界最大級のイベントであるワールドカップサッカー大会のデンマーク代表の練習は、県営紀三井寺公園内の競技場、球技場で行われ、宿泊は和歌山マリーナシティ内のホテルであります。デンマークチームのキャンプは、五月二十日から二十七日までであります。この間、先ほども申し上げましたようにチュニジアとのテストマッチも行われるわけでございます。デンマークを初め世界各国から多くのファン、サポーター、マスコミ関係者、観光客などが本県を訪れ、和歌山県が世界から注目されることになります。
 兵庫県津名町に滞在いたしますイングランドは、フーリガンへの不安があります。サポーターは元気がよ過ぎる方たちのようでございます。デンマークチームは、小関教育長も述べておられますが、極めてフレンドリーで紳士的な国のようでございます。デンマークのサポーターはローリガンとも言われます。「ローリ」は、デンマーク語で「静か」の意味だそうでございます。ワールドカップサッカー大会は国際的なイベントであり、昨年のアメリカ・ニューヨークでの同時多発テロも起きたことでありますから、キャンプ地の警備体制には万全を期す必要があると考えます。警察本部長のご所見を承りたいと思います。
 また、駐車場の確保は大丈夫でしょうか。特に、五月二十六日のデンマークとチュニジアとのテストマッチの日やイベントを行う日などは相当の混雑が予想されます。キャンプを成功させ、競技場周辺の住民に迷惑をかけないためにも、できるだけの駐車場を確保する、そしてまた交通手段も含めて交通体制を整えていくということが大事だと思います。その対策について教育長にお尋ねをいたしまして、私の第一回目の質問とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問の第一点目、多自然型の川づくりを進めることが大変重要であるとのご指摘、私もそのとおりであると思います。
 和歌山県の都市を多自然型にすることによって都市の魅力を高める、そしてまた観光面でも非常に大きなインパクトがあるということを図っていくことは大事でございますので、緑の雇用事業の中でも緑の流域環境保全事業というのを行うことにしておりますけれども、しかしながら、こういうふうな部分的なものでなくて、基本的には公共事業全般について、先ほど紀州流という話が出ておりましたけれども、新しい形のその地域に合った本当に意味のある公共事業のやり方ということを、和歌山県の方から新紀州流というふうな形で提唱していきたい。それは道のつくり方でもあるし、そしてまた河川を多自然型にするということでもあろうと思いますので、来年度からこの点、非常に重要な問題と考えて対応していくということにいたしたいと思っております。
 次に、ワールドカップの話でございます。
 先般お答えしましたときは、まだ決まっていないで頑張っている状況であったんですけれども、担当者等の非常に誠心誠意の努力もありまして、デンマークが和歌山でキャンプを張ってくれるということになりました。ワールドカップはこれからますます注目が高まってくるということでございますけれども、これを受動的に受けていくということではなしに、和歌山県からこういういい機会を特に利用して、その前の期間も含めていろんなことを発信するようにしていきたいと思います。それから、韓国で戦っている間も、和歌山県は、もちろん日本は応援するんですけれども、デンマークもあわせて応援する、そしてそれがまた帰ってきてもらうような努力、試合には出れませんけれども、いろんなことをして盛り上げていくということが必要だというふうに考えております。
○議長(井出益弘君) 出納長大平勝之君。
  〔大平勝之君、登壇〕
○出納長(大平勝之君) 四月からのペイオフ解禁に関するご質問にお答えいたします。
 一点目の、指定金融機関、指定代理金融機関などの金融機関の経営状況の把握でございます。
 これにつきましては、自己資本比率、総資産業務純益率、預金量の推移といったことなどから、金融機関の健全性、収益性、流動性の把握を行うため、決算書、中間決算書及びディスクロージャー誌などを通じまして、その状況の把握に努めているところでございます。現在のところ、これらのことを総合的に判断いたしますと、県内の金融機関につきましては、財務状況等に懸念のあるものはないと理解しております。
 二点目の、県内金融機関への支援策はないかということでございますが、議員ご指摘のように、県内金融機関の経営が破綻した場合には、県経済へ及ぼす影響はまことに重大であると認識してございます。金融機関への直接支援は国からの公的資金の注入がございますが、他の県では第三者割り当てによる増資に協力しているところもあると聞いてございます。現在のところ、本県に金融機関から支援も求められておりませんし、また支援が必要な金融機関はないと認識しておりますが、そのようなことが生じた場合には、他県の対応なども参考に検討してまいりたいと考えてございます。
 最後に、公金管理の現状とペイオフ解禁への対応についてでございます。
 公金については、主に歳計現金と基金がございます。歳計現金につきましては、一日平均で約三百六十億円の残高がございますが、その性格上、指定金融機関を中心に普通預金や定期預金などで運用してございます。基金につきましては、現在約九百億円ございますが、これについては県内に本支店のある金融機関で定期預金を中心に運用してございます。今後も、基本的には同様の運用を行ってまいりたいと考えてございますが、ペイオフ対策として、金融機関の経営状況の確認を十分に行うことや、県債との相殺、元本が保証されている国債、地方債などの債券運用も行ってまいりたいと考えてございます。
 仮称と申しますか、公金管理委員会的なものの設置についてはどうかということでございますが、ペイオフ解禁後の金融機関に関する情報を十分把握するための方策として、金融関係の知識を有する人材の育成、専門家の活用などが考えられますが、当面、金融知識を備えた職員の人材育成を図ってまいりたいと考えてございます。今後、金融の専門家の識見をいかにして活用していけるかなど、体制の整備に向けた研究を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 医科大学跡地に係る事業コンペの今後のスケジュールについてお答えを申し上げます。
 現在、医大跡地利用事業計画提案競技審査委員会におきまして、提案された事業計画について経営計画の確実性を初め、宿泊施設や商業施設等の内容、デザイン等について審査をしていただいてございまして、三月二十六日には第五回の審査委員会が開催される運びとなっております。
 跡地利用事業の着工の見通しについてでございますが、県といたしましては、旧施設の解体撤去工事が本年秋にも完了する見込みであり、また空洞化の続く中心市街地の活性化のためにも、更地として置く期間をできるだけ短縮し、来年度中には工事に着手できるよう作業を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 県立医科大学の別館病棟の再利用についてお答えいたします。
 この別館病棟につきましては、昭和五十九年建築の比較的新しい建物であり、公共的な利用を基本として、また地域の活性化につながるような再利用の方向で検討を行ってきたところでございます。
 平成十二年に済生会和歌山病院から買い取りの要望があり、昨年、済生会和歌山病院において内部改修などのための調査を実施し、現在、移転整備についての基本構想を策定中でございまして、平成十五年度中の移転に向けての諸課題の具体的な検討を行っているところでございます。
 県といたしましては、できるだけ早期に別館病棟の土地・建物の売買契約を締結し、計画どおりの移転整備ができるよう関係部局と連携し取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 河川環境の整備と保全についてのご質問のうち、二点についてお答えいたします。
 河川整備は、地域の生活環境の向上に資するものであり、治水、利水、環境の三要素のバランスをとり、地域住民の意見を踏まえて進めていく必要があります。このような社会的要請を受けまして、平成九年に改正されました河川法においても、河川整備計画の策定に当たっては、地域住民の考えを反映するよう規定されております。計画の策定に当たりましては、住民へのアンケート調査等を実施するとともに、関係市町村長等の意見を反映して、新紀州流とも言うべき多自然型川づくりの考え方を取り入れ、地域に合った計画の策定に積極的に取り組んでまいります。
 次に美しい河川整備についてですが、水質の保全・回復とともに、景観を阻害している場合においては修景していく必要があります。このため、矢板護岸の前面を修景する工法等の技術開発に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 河川環境の整備と保全のうち、二点についてお答えいたします。
 まず一点目の、環境基準を超えている河川の原因究明とその対策についてでございますが、環境基準を超えている紀の川の二地点については国土交通省近畿地方整備局が、土入川の二地点、大門川、和田川の各一地点については和歌山市が、古川の一地点については県が測定してございます。これらに共通して言える水質汚濁の原因としては、生活排水等による影響が大きいものと考えられます。なお、古川の水質汚濁の原因については、工場等の排水及び生活排水等が挙げられ、また当河川は流量が少ないため浄化作用が乏しいものと考えられます。これらの対策として、流域の工場等に対する指導を図るとともに、生活排水対策の啓発を行っており、今後とも引き続き指導を図ってまいりたいと考えてございます。
 また紀の川の二地点については、紀の川水質汚濁防止連絡協議会と連携しながら汚濁防止対策を行うとともに、和歌山市内の河川については測定の実施主体である和歌山市と協議してまいりたいと考えてございます。
 次に合併処理浄化槽の普及拡充についてでございますが、県といたしましては、来年度に全県的な汚水処理施設整備構想の見直しを行い、一部市町村におきましては、下水道などの集合処理区域を縮小し、合併処理浄化槽への計画変更を行うなど、地域の実情に応じた整備を進めてまいりたいと考えてございます。
 なお、合併処理浄化槽の設置については、既に補助事業を積極的に推進しており、本県の平成十二年度末の汚水処理施設整備率二七%のうちの過半数を合併処理浄化槽が担っているところでございます。さらに現在、市町村設置型事業の推進に力を入れており、来年度からは高野町と日高町で新たに事業着手を予定しております。今後とも、これらの事業を実施する市町村と十分に連携を図りながら、合併処理浄化槽の設置促進に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) ワールドカップ・デンマークチームのキャンプに伴う地域振興策についてでございますが、商工労働部としましては、特に国際観光の推進にとりまして大きなチャンスであると考えており、この機会に観光情報を積極的に紹介し、本県の魅力を国内外のメディア関係者や来訪者並びにチームスタッフにアピールしてまいります。また、受け入れ体制の大きな要素でありますホスピタリティーについても、地元市や関係団体等とも十分協議するとともに、県内観光事業者の接遇マナーの向上を図ってまいります。こうした取り組みにより、和歌山の知名度の向上とイメージアップを図り、今後の誘客につなげてまいりたいと考えてございます。
 さらに、スポーツ、文化、国際交流やボランティアの皆さんなど、県民の心のこもった受け入れの結果、芽生えた交流などが大会終了後も長く続くことが期待されるところですが、商工労働部といたしましても、このキャンプを契機として生まれた活動や事業について、一過性に終わらせることなく、継続的、効果的な事業展開を図ってまいります。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ワールドカップキャンプについてお答えいたします。
 まず情報発信体制についてでありますが、このワールドカップは、前回のフランス大会において日本チームのキャンプの様子が連日報道されたように、和歌山県を国内外へ発信する絶好の機会であります。本県におきましても、キャンプ期間中には、プレスセンターを設置するとともに、英語等によるガイドブックや観光パンフレットの作成、さらにインターネット等を活用した情報発信等にも取り組んでまいります。
 次に、キャンプ期間中には多数の観客が和歌山にやってくることが予想され、特に五月二十六日に開催するデンマークとチュニジアとのテストマッチでは、スタンドを埋め尽くすほど多くの観客や報道関係者等が訪れるものと思われます。平成六年に開催したJリーグプレシーズンマッチの際には二万人を超える観客が紀三井寺競技場に入場しており、今回はそれをしのぐ来場者が予想されていることから、県警察とも連携を図りながら万全の体制をとってまいりたいと考えております。
 具体的な対策として、公共交通機関の利用の促進と最寄りの駅からのシャトルバスの運行、また周辺の拠点となる駐車場からのバスによる観客輸送など、さまざまな方策について検討し、取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 警察本部長岩井良行君。
  〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) キャンプ地等の警備体制についてお答え申し上げます。
 議員ご指摘ありましたように、昨年九月の米国同時多発テロをも念頭に置いて、キャンプ地の警戒警備に万全を期する所存であります。
 具体的には、デンマークチームが五月二十日から二十七日までの間、和歌山市内で調整キャンプを行い、またキャンプ期間中の五月二十六日の日曜日には、紀三井寺競技場でチュニジアとのテストマッチが行われることと承知しております。このため、警察といたしましては、本年二月一日付でワールドカップサッカー大会警備対策室を立ち上げ、関係機関との緊密な連携のもと、デンマークチームの安全確保、観戦者等による雑踏事故の防止、キャンプ地周辺の交通渋滞対策等を重点に、国内の治安情勢を見きわめながら、宿泊所警戒、練習場警戒及びチーム移動時の警戒などについて諸対策を推進していくこととしているところであります。また、五月二十六日の日曜日に行われるチュニジアとのテストマッチにつきましても、相当数の観戦者が訪れるものと予想されることから、会場及びその周辺における雑踏事故防止や交通渋滞対策などに所要の警察官を配置するなど、各種の事故防止に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番江上柳助君。
○江上柳助君 先ほどは、前向きかつ明快なご答弁をいただきした。
 一点だけ、要望をさせていただきます。と申しますのは、ワールドカップのキャンプの関係ですけれども、一生懸命やっていただいているわけですが、全庁的な取り組みをひとつお願いしたいと思います。と申しますのは、きのうも議論されておりましたけれども、和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝、教育委員会主催ということであったわけですが、知事部局からも百人近くの皆さんがお手伝いをしたということもお聞きしております。これ、かなり大がかりな事業でございますので、ひとつ全庁的な体制を組んでいただきたいなと思います。もちろん、教育委員会が熱心に一生懸命やっていただいていることも承知しております。まだまだいろんな課題があるんじゃないか。例えば、バリアの問題ですね。健常者だけがこの記念すべき大会を観覧するんではなくて、やはり障害者の方も喜んで行けるような体制も一つだと思いますし、また少子化の中でのお子さんたちの夢と希望というものもかなえていただきたい、この点を強く要望いたしまして、全庁的な取り組みをお願いしたいと思います。
 私の質問を終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十一番木下善之君。
  〔木下善之君、登壇〕(拍手)
○木下善之君 皆さん、おはようございます。議長の許しをいただきましたので、一般質問をいたします。
 まず、男女共同参画社会のあり方についてでございます。過日、吉井先輩議員からも話がございましたが、私からも申し上げたいと存じます。
 我が国経済は、出口の見えない不況の中、ますます混迷の色を深め、企業倒産、失業率は過去最悪の水準をたどり、デフレスパイラルが懸念される状況であります。本県においても例外でなく、非常に厳しい状況が続いております。これまでの社会制度あるいは体制があちこちで行き詰まりを見せ、これまでと同じ手法は通用しない時代となった今、既存のシステムの再構築、あるいは新しい社会システムの創造が喫緊の課題となっているのではないでしょうか。それは、木村知事の言われる緑の雇用事業に代表される「和歌山モデルの発信」という言葉に集約されていると私は理解をしているところであります。しかしながら、その新しいシステムが一体どのようなものであるかということについては、現在も各方面でしのぎを削りながら模索が続けられているところであります。ある学者の説によれば、少子高齢化による閉塞感を打ち破り、日本が将来もその活力を維持していくための有効な選択肢はそう多くないとのことであります。一つは出生率そのものを向上させること、二つ目は外国人労働者に対する労働市場の開放、三つ目は年金受給開始年齢と定年年齢を六十五歳から六十七歳に引き上げる、四つ目は経済のパイそのものを小さくすることにより、ほどほどの生活に甘んじることと言われております。しかし、そのどれもが余り現実的でない中、ただ一つ有力な選択肢であると思われるのが男女共同参画の推進であるということであります。
 平成十四年二月四日、第百五十四国会の小泉首相の施政方針演説においても、経済社会の主役である人が、能力と個性を発揮し、存分に活躍できる仕組みを備えた、努力が報われ、再挑戦できる社会の実現がうたわれ、その中で男女がともに個性と能力を十分に発揮できる社会の構築に向け、女性の新しい発想や多様な能力を生かせるよう、さまざまな分野へのチャレンジ支援策に関する検討を進めることが表明されております。暮らしの構造改革、すなわち男女共同参画を一層具体的に推し進める姿勢が打ち出されているところでございます。しかしながら、現実はどうでしょうか。二十一世紀の日本に活力や創造力をもたらすのは、女性の社会での活躍や能力の十分な発揮であるという認識が社会的、経済的に広まる一方で、社会が参画を期待する女性の側からは、仕事と家庭の両立の難しさから、若い女性の脱結婚志向、出産時期が高年齢化する晩産化など、少子化傾向に拍車をかけてしまっております。つまり、活力を創出するための環境を下支えするシステムづくりが求められているわけです。
 本県に目を転じましても、厳しい経済・雇用情勢は申すまでもなく、平成十二年国勢調査によりますと、本県の老年人口の割合は二一・二%、都道府県別では十五位と他府県より早いペースで高齢化が進むとともに、女性が生涯に産む子供の数をあらわす合計特殊出生率は、平成十二年人口動態統計では、全国平均よりはやや上回るものの一・四五人という低水準にあり、県経済の活性化とともに、少子高齢化への対応は待ったなしの状況であります。国における取り組みを例示するまでもなく、本県において経済政策として男女共同参画を推進することは重要な課題であり、またそれを下支えする環境整備は不可欠であると考えております。
 今議会に上程されております男女共同参画推進条例案の前文には、性別ではなく、それぞれの持つ個性と能力によって社会のあらゆる分野に男女が共同して参画し、豊かで生き生きと暮らせるふるさと和歌山を創造していこうという決意が表明されているところです。地域で、職場で、そして家庭においても、女性が持てる能力を積極的に発揮する、その結果として男女が真に対等なパートナーとして協力し、責任も利益も分かち合ってこそ活力ある社会が展望できると確信するところであります。
 また本条例案には、その環境整備のための子育て、介護環境の充実や農林水産業等の分野における男女共同参画の推進など、随所に本県にとって必要となる特色ある規定が盛り込まれております。しかし、どれだけ理念を唱えても、それを具体化する施策がなければ、それは絵にかいたもちになってしまいかねません。そうではないでしょうか。
 知事には、これらの理念を具体化させるため、今後どのようなビジョンを持っておられるのか、お尋ねをいたします。
 次に、少子化対策についてであります。
 前段でも少し触れておりますが、日本の一人の女性が生涯に産む子供の数は最近の数字で一・三六人と言われ、アメリカは二・一三人、フランスは一・七七人、ドイツは日本と同じ一・三六人となっています。晩婚化や非婚化がさらに進み、結婚した夫婦の産む子供の数自体も年々減っているのが現状です。国全体の人口も、二〇〇六年をピークに、二〇五〇年には今より二千万人もの人口が減る一方、六十五歳以上の高齢者の割合は現在の二倍の三五・七%に達すると言われています。このまままいりますと、およそ百年後の人口は現在の約半分以下の四千二百五十万人となるようで、少子化は先進国共通の問題となっており、中でも日本のスピードは実に速いと言えます。少子化はこれまで光の当たらないテーマと言われ、女性が働くと出生率が下がるから積極的な子育て支援は行わないと考えられてきたためではなかろうか。子供を産む、産まないの判断は個人の自由であるが、若者が結婚や子育てを避けるような社会は健全な社会と言いがたい。しかし、現実として仕事と子育ての両立に悩み、結婚や出産をためらう女性が多いのは確かであります。勤務時間の短縮や弾力化、育児休業制度の抜本改善、さらに信頼できる年金制度の確立が大変重要で、年金財政が人口の増減に大きく左右されないための抜本改革も必要です。国民年金の未加入者、未納者にとって、年金は当てにならないとの考えがあるのではなかろうか。年金の確固たる長期ビジョンがなさ過ぎることも少子化に拍車がかかっているのではと考えます。また、親は子供に面倒を見てもらう考えが全く無に等しい。つまり、子供を当てにしないことは、子供を産まなくてもよいにつながるのではないか。
 過日、四日の新聞で「少子化対策待ったなし」の見出しで報じられ、首相直属の少子化への対応を考える有識者会議が九八年に提言をまとめ、翌年に新エンゼルプランが策定されたが、年間七十八兆円の社会保障給付費のうち高齢者関係には六六%が配分されて世界の最高水準なのに、子供関係はわずか三%で、他の先進国は一〇%前後の予算を振り向けており、日本の子供関係の予算は極めて低水準であると指摘されております。
 さて、どうすれば少子化の改善が図れるのか。安心して子供を産み育てられるような環境づくりが強く求められるが、県として具体的にどのような取り組みをなされるのか、木村知事にお尋ねをいたします。
 次に、道路交通網の整備促進についてでございます。
 国道三百七十一号バイパスの促進について申し上げたいと存じます。
 政府は、公共事業の抑制を強く打ち出され、今後における本県の道路整備の促進に何らかの影響が生じてくるものと危惧するところであります。さて、国道三百七十一号橋本バイパスも、関係皆様の理解ある協力によってある程度の進捗を見ておりますが、本道路は大阪府河内長野市を起点とし、橋本、高野山を経て串本に通じる本県内陸部の幹線として将来に大きな期待をかけるとともに、紀北地方の産業、経済の飛躍発展に期すべきことは大きく、また橋本市においても大規模宅地開発が行われておりますが、最近の景気の低迷と国道三百七十一号の未整備がネックとなって、既存の団地から大阪への流出に拍車がかかっているのが現状であります。
 過日も、大阪府の現地を見させていただきました。美加の台より千早口の比較的短いトンネル三つが完成に向け取り組まれておりますが、天見地区を中心に四つのトンネルが未着工とともに、長大の府県間トンネルの合わせて五つが今後残されております。これらのトンネルは、地形上、片押しの工法で実施しなければならないと聞き及んでおります。また、昨年夏ごろ大阪府知事より、各府県間道路については、府の財政難につき、今後十カ年相当期間において現行事業費の四〇%カットの申し出が本県知事あてにあったと聞いております。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 本県の道路整備の基本的なお考えと、府県間道路の早期完成に向け、大阪府側に対してどう要請されようとなされるのか、お尋ねいたします。
 次に、土木部長にお伺いいたします。
 平成に入って心待ちをしている府県間トンネルの本県側の着工時期についてお示し願います。
 次に、JR和歌山線の減便対策についてであります。
 三月二十三日の春のJRダイヤ改正で、和歌山線は大きな減便となり、比較的乗降客の少ない橋本─粉河間で一日十四便の減便が確定されております。また、すべてワンマンカーの運行となってまいります。JRの話によりますと、年々乗降客が減少のようで、過去には京都発奈良回り南紀行きの準急も運行され、和歌山線も鉄道としての風格もあったが、今日ではマイカー通勤が主体となり、時代の大きな変化が見られることは確かであります。しかしながら、伊都、那賀の紀北には二十数万人の人口が形成され、沿線には九高校があり、各学校はダイヤに合わせて始業時間が決められているだけに、JR和歌山線の役割も実に大きいところであります。昨年十二月の各自治体議会におきましても、沿線住民の生活、経済に与える影響が大きいとして、ダイヤ改定による減便見直し決議がされ、JR西日本へ強く要望をされていることも聞き及んでおります。
 一方、第二国土軸としての京奈和自動車道も実に大切で、着々とその実が上がっております。本事業は、交通体系整備の再重点課題であることは申すまでもありません。しかしながら、橋本─和歌山間の京奈和自動車道完成時にはJR和歌山線は一体どうなるであろう。つまり、五条─粉河間は線路をめぐりトロリーバスの運行にでもなるのではと危惧するところであります。二市六町で結成されているJR和歌山線活性化検討委員会においても、高速化、増便、南海との相互乗り入れ、あるいは乗り継ぎの円滑化、ダイヤの調整、バリアフリーの推進等に向けて取り組まれているが、声だけではだめであります。もう少し自治体と職員の意識改革も必要でないか、胸を張ってJRへ物を申される自覚が必要でないかと考えます。
 問題は、時間がかかり過ぎること。大阪─東京間、既に二時間半であります。橋本─和歌山間一時間以上要するところにJR和歌山線離れがある。駅構内の線形改良と待ち時間の短縮等、改善策の申し入れを検討され、紀泉百万都市構想に沿った新交通体系を確立すべきと考えます。
 私見でありますが、伊都、那賀、和歌山の三ブロックの三カ所をテストケートとして、対向できる複線化の実現が先決のように考えます。専門家の意見では、大した用地をかけなくても済むんではないか、限定された複線化が待ち時間の解消につながり、せめて橋本─和歌山間四十五分の高速化を望むところであります。
 今後、JRと県当局及び関係自治体との協議の場を設けられることは大変重要項目の一つでなかろうか。さらに、JR西日本に向け、和歌山線の長期的、抜本的な対策について当局はどう考えているのか、企画部長に伺います。
 次に、紀の川左岸広域農道のアクセスについて、農林水産部長にお伺いいたします。
 紀の川南岸中腹の日本一のカキ産地に農道が設置され、地元は大きな期待をかけております。工事も進みつつありますが、広域農道網はその地域の農業基盤を確実なものとし、もって農産物の集出荷等、農業近代化を進めるとともに、地域の産業振興道路としても重要な役割を果たすとしております。つまり、橋本市域における左岸の交通網としては、東西に流れる紀の川に並行し、国道三百七十号が海抜百十メートルの平地に、広域農道は海抜二百五十メートルの急斜面に事業化されております。
 そこで、本道路の起点をなす橋本市域の広域農道から国道三百七十号への大型車両の通行アクセスについてお尋ねいたします。
 また、本件で少し要望を申し上げておきますが、過日の農林水産委員会において門先輩議員より質問がありました。本紀の川左岸農道の工事の進捗状況の質問に対し課長の答弁は、総事業費二百七十四億円、十二年度末までに九十五億円投入し、三五%の進捗率であるということでございます。当初は、平成三年度着手、約十カ年でと言われていたが、現在の完成見込みは平成三十一年度と言われ、私も地元受益者の一人としてびっくりしている次第であります。そのころは私も既に芝をかぶっており、何が原因で遅くなっているのかを研究調査され、関係自治体の協力も十分得ながら、一年でも早く完成されるよう強く要望しておきます。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの木下善之君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの男女共同参画社会の推進についてのご質問でございます。
 和歌山県でも、二十一世紀には女性の活躍が社会を変えるというふうに私は考えております。そういうことで今議会に男女共同参画の条例を提案しているわけでございますけれども、これはもう既に全国で相当の県でできておりますので、作成過程から和歌山県の特色が出るようにということを指示しておりまして、そういう中で、特に和歌山県は県内がある程度都市型のところと、それから中紀、南紀のような田園とか山地の多い地域というふうに分けられますので、きめ細かい男女共同参画ということが必要である。そのことがこの条例の中にある程度──条例は大枠ですから細かいことまでは触れませんけれども、出てくるような形にするようにいたしました。
 今、和歌山県下でもたくさんの女性グループの方がふるさと産品づくりとかこういうふうなことに取り組んでおられて、そのことがただ単に物が売れるということだけじゃなくて、地域の活性化であるとか、そしてまた高齢化対策とか大きな役割を果たしているというふうなことがあります。これは一つの例でございますけれども、こういうふうな和歌山型の女性参画ということもこの男女共同参画の中で進めていきたいというふうに考えているところでございます。現在、NPO等の活動の中でも女性の活躍が著しい状況になっております。和歌山県でも女性が社会で活躍できる土壌づくりをますます進めていきたいと、このように考えております。
 次に、少子化の問題でございます。
 少子化対策も、和歌山県の人口も将来的には百万人を切ってくるというような見通しがある中で、私はやっぱり人口というのは一つの県の活力であろうというふうに思っておりまして、この少子化対策は非常に重要なものだと考えております。
 これについても、やはり都市型と地方型ということがあって、例えば都市型のものはもうたくさん都市の地域で提起されておりまして、これは和歌山県も同じようにやっていこうと思っておりますけれども、特に地方では子供の声が聞こえるということがお年寄りに物すごく元気を出すような源となっているというふうなこともあります。何とか過疎地域においても子供の声が聞こえるような少子化対策をということで、この点でも和歌山県の独自性を出すような形のものを進めていきたい。そしてまた、こういうような理念ばかり言っていても仕方がありませんので、入院の乳幼児医療費対象年齢を──これはずっと懸案になっていたんですけれども、現在三歳未満ですが、来年度から就学前ということにして、子供を産み育てやすいような環境をちょっとでもつくっていくことでありますとか、ファミリーサポートセンターを促進したり、みんなで子育て、地域全体で子供を育てていくというふうな運動をどんどん盛り上げていくような施策を進めていきたい、このように考えているところでございます。
 それから、三百七十一号バイパスでございます。
 私は、従来から開かれた県政、そしてその開かれた県政の一番根幹をなすのは大きな骨格の道路整備であろうというふうなことを言ってきております。その中で、国土幹線軸に和歌山県がじかにひっつくことができる京奈和自動車道は非常に大事なものと思っておりますけれども、これとの関連で、三百七十一号バイパスの存在は非常に大きいと思っております。和歌山県側はどんどん一生懸命進めていくんですけれども、大阪府の方は非常に財政状況が厳しいという中で、去年、大分スローダウンするような形の計画を言ってきましたので、このときも私は大阪府の方へじかに働きかけました。しかし、今非常に大変な状況にあるというという中で、若干押し戻したような感じではあるんですけれども、計画が策定されているということですが、これからも折に触れて、これは関西大環状という都市型の開発の一環をなすものでもあるという観点から、大阪府の方へも鋭意働きかけを強めていきたいと、このように思っているところでございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 府県間道路・国道三百七十一号の府県間トンネルの着工時期についてでございますけれども、大阪側のトンネルまでの残事業量が大変大きく、かなりの時間を要するものと考えられます。一方、国においては、整備効果の早期発現を目指して、五年で見える道づくりなどの方針が示されているところでありまして、今後は府県間トンネルを含めた残された区間の段階的かつ効果的な早期の供用を大阪府に働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) JR和歌山線の減便対策についてお答えを申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、JR和歌山線は紀北地域にとって大変重要な公共交通機関であると認識してございます。このため、近年減少が続いている利用者の増加を図るべく、沿線自治体により組織されました和歌山線活性化検討委員会とともに、鉄道利用を促進するため、ハード、ソフト両面からその方策を検討してまいりました。また、和歌山線活性化のための講演会の開催ですとか、開通百周年に合わせて天王寺駅構内での和歌山線の歴史パネル展、沿線のイベント、観光情報を紹介するパンフレットの配布による誘客キャンペーン等の活動を実施してきたところでございます。しかし、このたびのダイヤ改正では、快速が一往復増便されたとはいえ、粉河から五条間で利用者の実態に合わせ、電車本数が削減されることとなりました。
 県といたしましては、沿線住民による日常的利用の促進や地域外からの観光などによる利用の増大を目指して、今後とも関係市町村と協力し、一層積極的に取り組むとともに、JR西日本和歌山支社と定期的に意見交換をする場として設置いたしましたJR関連懇話会において、議員ご提言の時間短縮を初めとするさまざまな課題について協議をし、解決に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 道路交通網の整備促進についてのうち、紀の川左岸広域農道のアクセス問題についてでございますが、広域農道の橋本市側の起点から国道三百七十号への接続につきましては、広域関連道といたしまして市道清水西畑線を位置づけてございます。しかしながら、本市道は南海電鉄高野線の踏切が狭く、広域農道の起点までの道路も急勾配で急カーブが多く、現状のままでは大型車両の通行ができない状況でございます。このため、広域農道の起点から国道三百七十号への大型車両のアクセスの方策といたしましては、市道清水西畑線のつけかえ等も含めまして、橋本市と引き続き協議してまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、木下善之君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十二分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○副議長(堀本隆男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。              二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のお許しを得ましたので、一般質問を始めます。
 最初の、同和行政・教育の終結についてです。
 二十一世紀の人権を考えるとき、ことし二〇〇二年は、「人の世に熱あれ、人間に光あれ」と差別からの解放を願って立ち上がった全国水平社創立八十周年目の年です。そして、三十三年間の同和特別対策が終わる歴史的な転換を迎える意義深い年として、同和対策の多くの成果を評価し、その終了を歓迎するものです。しかし、多くの実績と効果を生み出した反面、行き過ぎた同和対策によって新たな差別意識が生み出され、財政的な面からも、一部「負の遺産」と言われる結果も生まれました。しかし、その新たな差別意識も、同和は特別とするような行政や教育をやめ、憲法に定める恒久平和と民主主義、そして基本的人権が大切にされることで克服されると信じています。
 さて、県の終結と総括のあり方ですが、昨年の八月に「今後の同和行政に関する基本方針」が、この六日に「期限後の同和行政のあり方」が出されましたが、正直、がっかりいたしました。例えば、この間の成果の総括は、「相当の成果を上げてきたところであるが、残念ながら同和問題の解決に至っていない」との評価です。私は、相当の成果などではなく、十分な成果を上げ、基本的に解決に至ったと思っております。また方針では、同和対策は「特別法のみに基づいて実施されたものではなく、単に特別措置法の失効をもって終了や放棄されるべきものではない」としていますが、この間、一般対策では同和問題を早急に解決できないから特別法という対策を持ち、早期解決を図った結果、その対策を終了させることができる状況をつくり出したわけです。解決できた状況になったのなら、大もとの事業を終わるのは当然であります。なぜ、今さら県は同和問題を別個に扱うのですか。過去の人権と比べて、今あえて同和問題という言葉を使って事業を行う必要がどこにあるのですか。
 残念ながら、意識は一定期間残るでしょう。しかし、その意識や認識は一方的な啓発や教育によるものではなく、自己学習と社会の前進、発展の中で克服されるものです。しかし、今回の県の基本方針やあり方は、同和問題を人権の重要な柱と据え、同和行政を「人権行政」と名を変え、推進することを宣言する内容ではないかと危惧するものです。ですから、同和問題の解決を妨げ、同和の垣根を残す、要素を残す今回の総括や方針などは、直ちにその過ちを改めるべきです。
 また、県教委の「県同和教育基本方針に基づき、同和教育を人権教育の中核と位置づけ一層の推進を図る」とする姿勢は、今までの同和教育についての反省がなく、成果のみを一面的に強調するような、人権イコール同和教育を進める姿勢が感じられ、県民の正しい人権教育、人権擁護運動に混乱を持ち込む結果を生み出すのではないかとの危惧から基本方針を廃止することを提言するものです。
 本来、同和教育は、同和問題が提起する教育上の課題を民主教育の中で解決する営みとして位置づけられ、差別や貧困で学校に行けない子、長期欠席の問題、低学力の克服、進路保障の問題などに大きな力が注がれてきました。そして、これらの問題が今日、同和問題の解決の到達段階を反映して、特に同和地区に集中して見られる固有の問題ではなくなったのですから、同和の子供として特別扱いしたり分け隔てする教育は廃止すべきです。
 さて、私は十二月議会でも、子供の旧身分を特定する「校区に同和地区を含む学校の状況調査」の中止を要望し、調査をするのならその法的根拠と科学的裏づけを明らかにせよと質問をいたしました。しかし教育長は、基本的な調査、必要な調査、格差があるからと言うだけで、調査を続ける法的根拠と科学的基準は結局お答えになっていないと、私は思います。これ以上調査を続ければ、県教委の人権感覚が疑われます。地域や人を特定することは県の基本方針とも異なりますので、三度目の質問になりますが、質問をいたします。
 一番、文部科学省は調査を中止し、他の県でも、また和歌山県下でも実施しない町も生まれておりますが、なぜ和歌山県は固執するのですか。
 二番、いかなる法的根拠に基づいて行うのですか。
 三番、調査を通じて児童生徒を同和の子と一般の子と区別するのは子供の世界に分断を持ち込み、教育上の弊害をつくり出す心配はありませんか。
 四番、本人の了解もなく旧身分洗い出しの調査はプライバシーの侵害になるのではありませんか。
 五番、この状況調査は「地名総監」に準じるようなものとはなりませんか。
 六番、同和地区の混住化の進行、地区内外の結婚の増大のもとで同和の子と判断・識別することは不可能であり、科学的根拠を明らかにしてください。
 以上のことについて、具体的なご答弁をお願いいたします。
 次に私は、同和行政の一部にあらわれた「負の遺産」を残してはならない、今、負の部分を取り除く努力をすることが同和問題の解決には必要だとの思いから、次の三点について質問をいたします。
 第一の、中小企業高度化資金貸し付けは、中小企業の集団化事業などに都道府県と中小企業総合事業団が協調して貸し付けを行う制度で、同和対策と一般対策があります。貸し付けの条件は長期で低利に設定され、ほとんどが無利子で三年間据え置き、二十年償還という好条件であり、さらに各種税制の特例措置があります。十二年度決算では、貸し付けは五十四組合に三百一億四千六百万円ですが、そのうち三十一組合が七十四億二千百万円も滞納しております。このうち、和歌山県の分は約二十六億円です。また、三年以上の滞納は二十八組合、七十二億二千万円です。休業や倒産している組合も五組ありました。
 県の資料では、十分に実態がつかめず情報の公開を求めましたが、担当課は、公開によって企業が特定され銀行融資がストップすれば大変なことになるなどの理由から、プライバシーの保護の姿勢をとりました。私ども共産党は、中小企業の経営と暮らしを守る立場から、苦しい中でも少しでも返済している方や返済する意思のある方には温かい行政の手を差し伸べることは当然だと思います。しかし、最近では徳島県の徳島化成や高知県の疑惑事件もあり、長期間において返済意思の感じられない方や実質的に経営が破綻している場合などは一定の配慮が必要ですが、未返済問題について全容解明が必要です。県民への新たな負担としないため独自に調査をした結果から質問をいたしますので、お答えを下さい。
 滞納している三十一組合の貸付金は百六十七億三千万円で、延滞元金は七十四億二千万円です。そのうち同和対策は二十四組合で、貸付元金の八割、延滞元金の全体の九割を占めている状況があります。また、経済情勢の悪化から八組合が事実上休業や倒産しており、この貸付元金五十九億三百万円のうち十八億四千六百万円が延滞となっております。そのうちの一つは既にもう競売も終わり、延滞総額四億九千万円のうち事業団の三億三千万円は回収不能として処理されたようですが、県の一億五千九百万円も回収の見込みがなく今月期となり、債権放棄されるのが必至であります。また、三十一組合のうち、償還率が一けたの組合が七組合もあり、最低は二・四%で、何と二億五千四百万円に対して返しているのは六百万円です。
 次に、既に倒産している食肉加工組合について、事実確認のため質問を行います。
 この食肉組合の保証人は五人で、昭和五十八年四月に創立され、総事業費四億六千万円のうち三億五千七百万円を同和向けの高度化資金から融資を受けました。その融資の内訳は、事業団が二億四千百万円、県が一億一千六百万円です。六十一年には三百万円を返しましたが、六十二年には返さないなど、結局平成四年までで約一千二百万円だけを返しただけで、平成七年には倒産をしました。結局、三億五千七百万円を借りて現在三億四千五百万円も残っており、返したのはたった三・五%であります。
 県は平成七年十一月に繰り上げ償還命令を出しましたが、平成八年から最近まで、この組合の実質的な責任者A氏が所在等不明という理由で長い間借金返済の対策がとられていなかった状況も明らかになりました。貸し付けに当たっては、事前に事業計画について専門的な立場から適切な診断、指導が行われることは当然ですが、実態はこうです。土地や建物は県が抵当権を登録していますが、この土地は昭和五十七年に以前の所有者から先ほどのA氏に売買され、五十八年にA氏が組合に売った土地です。この二百十八坪の土地の所要資金は一億二千二百万円ですが、借金に見合うだけの資産価値があるのかどうか疑問です。建物は鉄筋コンクリート二階建てですが、放置されたままであり、解体するのに新たな費用がかかるのではないでしょうか。
 また、地元の行政はこの組合に自己資金約一億円に対して同和対策として市利子負担軽減補助事業を行い、昭和五十九年から平成六年までに約一千七百万円の補助をしており、これでは組合が県に返したお金よりも地元行政から組合が取ったお金の方が多いことになります。それでも、地元行政はこの組合を評価すべき協同化であったと、最近、同和対策としての総括をいたしました。こうしたことが事実ならば、貸し付けた県としての見通しの甘さや指導のあり方が問われる重大な問題です。
 商工労働部長、以上のような高度化資金の実態を明らかにしてください。
 多くは、担保価値が大幅に不足していますね。県は担保価値の鑑定書をとっていませんね。担保物件の売却を含む債権回収策をしても最終的には何十億円が焦げつき、一般会計からさらなる補てんを迫られるのか。その見通しと対策をお答えください。
 二つ目は、進学奨励事業です。
 十二年度決算の調停額では、返してもらう予定の三億三千四百万円に対して返されたのは一億三千四百万円で、六割の二億円が返されておりません。教育委員会は、このデータは過去の償還分をすべて捨象しており、八割近くが償還されているとしています。しかし、この決算の調停額には既に返済を免れた件数が入っておらず、この十二年度で免除された件数は二百五十六件、七千百万円もありました。十年前は七割が返されていたのに、現在では半分以下の四割です。長期未納者がふえている状況ではないでしょうか。大変です。教育長、十二年度の国や県への必要返済額と今後の対策をお答えください。
 三つ目は、住宅新築資金等貸付制度です。
 これは同和室と住宅課の二つが担当しておりますが、同和室の場合、同和対策事業の一環として個人住宅の新築に必要な資金の貸し付けを行う市や町に対して県が融資する和歌山県の独自の制度であります。昭和四十六年から平成十三年までに二十九の市や町で七千二百八十六件、二百七十億四千八百万円の貸し付けが行われ、平成十二年度末で千五百九十九件、二十二億一千二百万円が滞納されております。また住宅課の場合は、国の制度ですが、昭和四十二年から平成八年までに二十八の市や町で一万二百五十八件、三百九十七億三千八百万円の貸し付けが行われ、十二年度末で千九百六十件、二十九億百万円が滞納されており、両方合わせると五十一億円の滞納となり、長期滞納や返済不能となっているケースもふえており、重大問題です。部長、今後の見通しと対策をお示しください。
 今までに述べた三つの同和対策事業で共通していることは、いずれも同和対策事業としての側面が重視され、採算性の見通しや返済計画に対する適切な援助もないまま過大な融資や受け付けが行われたことが原因ではないでしょうか。また、その審査が適切に行われたか、疑問です。これでは行政の主体性や管理能力が欠如しており、その体質をそのままにして対策を講じても行政責任があいまいにされるだけで、解決になりません。知事、部長、教育長の見解をお尋ねいたします。
 二つ目です。「障害者に温かい行政の手を」についてです。
 今、全国に五千八百六十八カ所の小規模作業所があり、前年度より二百八十一カ所ふえており、和歌山県も五十一カ所で、四カ所ふえました。いずれも家族や障害者自身の手による自発的な発足で、そこには福祉行政の貧困があります。県はいつまでも障害者の共同作業所の自然増に対応するだけでなく、そろそろ無認可作業所に対する計画を持たなければならないときに来ているのではないでしょうか。
 紀の国障害者プランも残すところあと二年であり、新たな根本的な成人障害者に対する労働、生活、発達、社会参加を保障する障害者プランが必要です。そして、これからの障害者プランの中には小規模作業所の役割を位置づけることは不可欠の課題であり、その検討の場には必ず障害者が参画することが必要だと考えますが、県の見解をお尋ねいたします。
 次に、精神障害者の授産施設、生活訓練施設、福祉ホーム、グループホーム、生活支援センターの設置自治体は全国で一〇から一五%の状態で、和歌山県では二市一町に八カ所だけです。ことし四月からは精神障害者の福祉施策は市町村に移管することから、地域生活支援にかかわる社会資源の整備の比重は大きくなります。しかし、実態はこうです。
 生活支援センターが普及しない原因は、人口の少ない町村部では設置母体の法人が少ないこと、自治体が積極的に設置者になっていないこと、県の市町村への働きかけが弱いことが指摘されております。生活支援センターの積極的な設置など、今後の地域生活支援施策についてお考えを述べてください。
 今年度から精神障害者ホームヘルパー制度が本格的に施行されますが、現在、グループホーム入所者はホームヘルプサービスの活用ができないとされており、実情に合っておりません。なぜなら、グループホームの入居者は通勤、通所など生活自立度の比較的高い障害者を前提にしておりますが、実際は障害の重い方もおられるわけです。そして、精神障害者福祉施設の中には生活訓練施設、福祉ホームなどがありますが、いずれも通過施設で、グループホームのような居住型はないわけであります。しかし、グループホームはついの住みかとなっており、グループホーム制度の導入が必要で、制度の組み合わせを考えることを強く望むものであります。
 また、ホームヘルパーの資質向上に精神保健福祉士やピアサポートの有効性が指摘されており、障害を持つ方へのヘルパー採用も視野に入れた人材育成が望まれますが、県の考えをお尋ねいたします。
 不況による共同作業所の影響は、本当に深刻です。作業所の工賃の減額率が県内のある作業所では何と八五%との報告があり、減額後の工賃は月額八百三十三円という事例もあります。不況にあえぐ小規模作業所の実態調査をお願いいたします。
 また、昨年の六月に提案いたしましたが、全国にある社会就労事業振興センターを設置するなど、障害者に向けて作業所製品や仕事の開発、開拓、普及、調査、相談を含む情報提供、また企業や団体に向けての広報、連絡、資金融資の紹介を行うなど、特別対策が緊急に必要です。見解をお聞かせください。
 三番目は、自然と健康を守る環境行政の実現です。
 熊野川沿いの白見の滝付近で長年解決されない河川敷への不法投棄、埋め立てについて、土木部長は十二月議会で、「除去に向け、監督処分など、さらに強い法的手段を含めた取り組みを行うため、関係機関と協議している」とお答えになりました。早期解決が求められており、ぜひいい結果を聞かせてください。
 次に、世界遺産の登録の作業を奈良、三重、和歌山と三県挙げて進めており、その中で熊野もうでの川の道・熊野川があります。しかし、最近では世界遺産登録について保全に対する審査が厳しいとの話があり、心配をしております。なぜなら、世界遺産は国内法での保護が前提条件であるのに、自然公園法が踏みにじられ、廃掃法にも河川法にも違反しているのが明らかなのにいつまでもその熊野川の不法投棄が解決されないでは、世界遺産登録は夢に終わってしまうのではないでしょうか。
 また、九月議会で熊野川の濁水問題の抜本的解決のために二津野ダムの撤去を含めた発電停止を求める質問を行ったところ、知事は、世界遺産の登録の問題もあり、環境保全、緑の法ということから非常に大事な川との基本的な認識である、二津野ダムについては濁水の軽減対策は十分でないこと、最終的には発電停止、ダムの廃止などということなんだろうと思うが、いろんな事情があり、すぐにそこまでというわけにはいかないと思うが、近々県の幹部を電源開発の方に派遣して地元としていかに強い要望があるか、意向というものを示していきたいとの内容の力強いご答弁をされました。その後の取り組みの状況や不法投棄や濁水問題など、世界遺産登録との関連について知事のお気持ちをお聞かせください。
 さて、私は毎議会、自然と人間を大切にする環境行政を進める立場から、都市計画法で健康で文化的な都市生活の場所とする住居専用地域である新宮市松山での産業廃棄物の自社処理は許してはならないとの質問を行ってまいりました。九月議会で環境生活部長はこの松山の資材置き場での焼却灰について、適切な処理業者に処理を委託するよう指導しているとの答弁でしたが、適正に処理されましたか。また、焼却方法も適切に行われていますか。お答えください。
 この業者は、平成十年十一月から平成十三年八月まで焼却灰はドラム缶百本としていますが、現実はどうですか。また、これでは一カ月平均三本程度ですが、この間の焼却状況からすればとてもその程度の本数では済まないと思います。百本の裏づけはあるのですか、伺います。
 次に、何枚かの写真を用意しておりますので、議長のお許しを得て紹介した上で質問していきたいと思います。(写真を示す)
 まず、最初であります。余り大きくはないので申しわけないんですが、これが今言っているその場所であります。一見したところ、産業廃棄物の処理業者の処理施設だと思われる方もおられるかわかりませんが、これは自社処分であり、これはあくまでも資材置き場ということであります。以前の焼却が余りにもひどいので改善指導があり、昨年の十二月に焼却炉を新しくつくったわけですが、実態は、このように煙がもうもうと立ち込めているという状況であります。
 次にこの写真がありますが、この写真の中の手前の盛り土のところ、ここに焼却灰を埋めているのではないかという不安があるわけです。この写真を裏づける写真があります。それが、これです。焼却灰の上に土をかぶせているのではないか。この土をかけている黒い部分が焼却灰や殻ではないかと思われ、その土をかぶせている写真が、このようにまだあります。まだ幾らでもあります。連続写真としてずうっと地元住民が撮っております。
 それが焼却灰ではないかと疑いを抱くわけは、この写真の鉄のコンテナの中に焼却殻や灰を入れているわけでありますが、その灰や焼却殻がこのように地面に置かれているわけです。これはおかしいわけです。これは焼却灰かということなんですが、灰を持ってきたら汚しますので、焼却殻を持ってきました。これが実物であります。(現物を示す)こんなものが地面に置かれているわけであります。そして、いつかこれが消えているわけであります。
 また、この焼却殻、見てください。ある人は「根っこですか」と言われましたが、違います。金属の塊なんです。なぜ焼却して金属の塊がこんなになるんですか。きちっと分別をしていない証拠ではないでしょうか。不完全燃焼を起こす、ダイオキシンを発生する大きな原因になると思います。
 また、盛り土の端っこの方を写真に撮りました。その写真を拡大したら、こうです。何か。いろんなごみがまざっているわけであります。こうしたことは果たして許されるのでしょうか。
 参考までに焼却灰がこのように、ドラム缶にもちろん入れられておりますが、野積みされており、資材置き場であるにもかかわらず廃車が何度か持ち込まれているような実態もあるわけであります。
 さて、埋もれたのが焼却灰であれば廃棄物を不当に投棄したことになり、建設廃材や金属、コンクリート殻が盛り土の中にあれば廃掃法に違反するわけですが、所有地にごみを埋め立てる行為は不法投棄に当たるのか、お尋ねいたします。
 また、県警はエコポリスを初め不法投棄などの環境犯罪に取り組まれておりますが、今紹介した写真を持って住民の方が情報提供のために警察や保健所を訪れたそうであります。このような場合、一般的にどのような対応をされるのか警察本部長と環境生活部長にお尋ねをいたしまして、私の第一回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 同和対策事業における貸し付け事業に関する滞納が発生している問題についてでございますが、社会環境や経済状況等の変化に伴い、貸付金の一部に滞納が生じていることは承知をいたしております。県といたしましては、それぞれの貸し付け事業の趣旨を十分踏まえ、今後とも償還指導の実施等、適切な債権管理に努めてまいります。
 なお、地域改善対策高度化事業は、国の施策として対象地域の産業または企業の実態に沿い、当該地域の中小企業者の協業化、集団化を推進することにより設備の近代化と経営基盤の強化を図るため、中小企業総合事業団及び府県が協力して行う融資制度でございます。
 長引く景気低迷等の理由により多くの高度化組合の定期償還が困難な状況となってきたため延滞組合が増加してきたものであり、県として厳しく受けとめているところでございます。今後は、体制を整備充実し、弁護士の協力を仰ぎ、なお一層の未収金の回収に努め、課題解決を図ってまいります。
 次に熊野川についてのご質問でございますが、昨年十二月に副知事を派遣し、電源開発株式会社に対して実効性のある濁水対策を早急に実施することを要望したところ、実施可能なものから対策していくとの回答を受けております。不法投棄対策も含め、今後とも熊野川の環境保全に取り組んでまいります。
○副議長(堀本隆男君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 同和行政のあり方と総括についてお答えをいたします。
 県では、同和問題の解決に向けた取り組みの新たな方向性を見きわめる重要な転換期であるとの認識に立ちまして、これまでの取り組みと今日的な施策ニーズを的確に見きわめ、すべての同和対策事業について見直し作業を行いました。
 同和対策事業につきましては、平成十三年度に貸与や補助等の対象となったものについて当該事由の終了までの経過措置として事業を実施するとともに、貸与者に対する償還業務の終了まで経過的に実施する以外はすべての特別対策を終了いたします。しかし、県といたしましては、いかなる差別も現存する限り問題解決のために積極的に取り組むことが行政の責務であるという認識のもと、今後も粘り強く取り組んでまいります。
 次に住宅新築資金の滞納でございますが、過去に市町が貸し付けた貸付金の償還に当たり、経済的理由等により滞納が生じてございます。そのことが市町の財政負担となっていることは、十分認識しているところでございます。県といたしましては、適切な債権管理を行うよう市町を指導するとともに、国の補完制度として実施しておりますので、国の制度も見守りながら研究をしてまいります。
 次に、障害者関連の三点についてお答えをいたします。
 障害者計画につきましては、長期行動計画として紀の国障害者プランを平成六年三月に策定をし、平成六年度から平成十五年度を計画期間として障害者施策を推進しているところでございます。平成十年の三月には同プランの実施計画を策定し、数値目標を掲げ、プランのより一層の進捗を図っているところでございます。また、現行の計画期間の終了が平成十五年度末となっておりますので、来年度より新たなプラン策定に着手すべく予算を計上しているところでございます。なお、その際には国の長期計画が平成十四年度末までとなっておりますので、その動向にも留意するとともに、市町村や障害者、またその家族の方々等、関係者のご意見を十分反映しながら現行のプランの進捗状況や今後の課題等について検討を重ね、新しい時代のニーズにこたえられる計画にしていきたいと考えてございます。
 次の精神障害者の社会復帰施設につきましても、紀の国障害者プランに基づき、その整備を図っているところであります。平成十四年度には県内で初めて医療法人が精神障害者通所授産施設、精神障害者地域生活支援センターを一カ所ずつ整備する予定であります。
 また、現在、精神障害者の社会福祉資源のない圏域におきましても、社会復帰施設設置の構想が幾つかございます。県としましては、このような動きを大切にし、積極的に協力をしてまいります。
 さらに、平成十二年度から社会福祉法人の設立要件が緩和をされまして、本年度中に無認可の小規模作業所のうち二カ所が法定施設であります小規模通所授産施設に移行しており、十四年度にも一カ所が法定化される見込みとなってございます。こうした法人は、同時に精神障害者地域生活支援センターやグループホームも運営可能であります。各地域での小規模作業所ができるだけ法定施設に移行できるよう支援してまいりたいと考えてございます。
 ホームヘルパーのグループホームへの派遣につきましては、グループホームの利用対象者が「一定程度の自活能力があり、共同生活を送ることに支障のない者」とされておりますので、原則はできませんが、市町村の判断によりホームヘルプサービスを必要とする特段の事情が生じた場合にはサービスの提供も可能でありますので、県としましてもその推移を見守ってまいりたいと考えてございます。
 ホームヘルパーの育成につきましては、県精神保健福祉センターにおきまして研修事業を実施し、十三年度末で二百名余りの方に修了証書を交付しております。十四年度は、この方々を対象に資質向上のためのフォローアップ研修を実施する予定でございます。また、十四年度以降の障害者ホームヘルパー養成研修事業では精神障害者に関する項目を加える方向で、現在国で検討がなされてございます。
 なお、精神保健福祉相談員等につきましては、各市町村に対し、その人員配置を要請しているところでございます。
 最後の小規模作業所についてでございますが、昨今の厳しい経済情勢の中であっても、授産施設、小規模作業所が運営を安定して続けられることは大変重要なことでございます。県といたしましても、授産施設等の製品の利用促進を図るため、今日まで各種イベントにおいて広報に努めてきたところでございますが、十四年度は授産製品の共同受注の促進、製品の開発、製造技術の向上などを通じて販売量を少しでも拡大していけるよう、県社会就労センター協議会とも連携をしながら、授産施設、企業関係者等で授産活動活性化のための指針の策定、また授産製品共同カタログを作成してまいりたいと考えてございます。
 今後とも、授産施設、小規模作業所における授産活動の活性化につきましては、関係者とも協議を続けながら積極的に支援をしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 高度化資金の融資の状況についてでございますが、本県では十二年度末で五十四組合に貸し付けており、貸付金額は約三百一億四千六百七十二万円で、償還済み額は約七十四億七千九百六十一万円となってございます。残り二百二十六億六千七百十一万円のうち、三十一組合、約七十四億二千百九十三万円が延滞となってございます。このうち地域改善対策に係る延滞額は、二十四組合、六十七億三千五百八十万円でございます。多くの組合はこの制度を有効活用し、長引く不況の中で懸命の努力をしながら返済されてございます。
 次に担保価値と鑑定でございますが、担保については土地建物に一番抵当を設定してございます。不動産鑑定士による鑑定は行っておりませんが、固定資産税の評価額を参考としてございます。それとともに、組合員が責任を持って償還するよう、組合員を連帯保証人として設定してございます。
 また、中小企業高度化資金の債権回収の今後の見通しと対策についてでございますが、長引く景気の低迷、悪化により中小企業の経営にはまことに厳しいものがあり、中小企業高度化組合も例外でなく、高度化資金の約定償還が困難な状況が多くなってございます。このような状況では、今後の債権の回収についても非常に厳しいものがあると考えてございます。
 この制度は、中小企業振興、育成を目的としてございます。県といたしましては、このことを踏まえて、現在まで債権の回収について最大限の努力をしてまいりました。今後は、休業または破綻している組合につきまして、弁護士の協力を得ながら、抵当権の実行等、法的処理により債権を回収してまいります。しかし、全額が回収できない場合は、財源の多くを負担している中小企業総合事業団とも協議しながら取り扱いを検討していきたいと考えてございます。
 最後に取り組み姿勢でございますが、先ほど知事が答弁したとおり、地域改善対策高度化事業は国の施策として行う制度であります。高度化資金を貸し付けるに当たり、中小企業庁通達等に従い、中小企業総合事業団による審査及び承認を得た上で貸し付け決定を行ってまいりましたので、債権回収については中小企業総合事業団と十分連携をとりながら取り組むとともに、弁護士の協力を得ながら、とり得る法的手段を最大限に活用することにより、なお一層の未収金の回収に努めてまいります。
○副議長(堀本隆男君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 土木部が所管しております住宅新築資金等貸付事業に係る滞納問題についてですが、過去に二十八の市や町が貸し付けを行っておりますが、この償還状況は平成十二年度末において、全国平均九〇・三%に対して当県では九二・七五%となっております。今後とも、市町村の財政負担を軽減するために国庫補助事業である住宅新築資金等貸付助成事業を実施するとともに、適切な債権管理を行うよう市町村を指導してまいります。
 次に、熊野川沿いの白見の滝付近での不法投棄につきましては、和歌山地方法務局など関係機関との協議の結果、河川区域を特定するための図面を作成中でございます。その作業終了後、除去に向け、監督処分などの法的措置を実施してまいります。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 新宮市での産業廃棄物自社処分に関する二点のご質問にお答えします。
 一点目の産業廃棄物の処理と保管についてでございますが、まず焼却灰の処理につきましては、事業者から本年三月四日に計画書が提出され、ダイオキシン類の分析調査の後、最終処分場において適正に処分されることになってございます。
 次に燃え殻入りドラム缶の現状については、現時点では八十六本となってございます。このことは、平成十三年八月当時のドラム缶の保管本数とほぼ同じと認識しておりまして、事業者から平成十三年八月二十七日にドラム缶百本との報告を受けてございますが、現時点で保管本数について変化はない旨、聞き取ってございます。
 また、百本の裏づけですが、焼却する廃棄物の種類や焼却方法により排出する燃え殻の量が異なるため、この期間内の発生量を算出することは困難であると考えております。
 続きまして、二点目の環境を守ろうとする住民の情報提供とその対応についてでございますが、まず自己所有地にごみを埋め立てる行為は不法投棄に当たるかとのご質問につきましては、最終処分場以外の場所で廃棄物を投棄することは禁止されてございます。
 次に住民からの情報提供についての対応でございますが、廃棄物の不法投棄の防止を図るための情報として活用させていただいており、今後とも監視パトロールや立入調査の実施及び関係機関との協議などを行い、これらの情報を生かしてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 同和問題に関連してお答えいたします。
 同和問題は、同対審答申に示されているとおり、日本国憲法が保障する基本的人権の侵害にかかわる重大な問題であり、その解決は国の責務ということでございます。
 教育委員会といたしましても、本県の今後の同和行政に関する基本方針を踏まえ、また県同和教育基本方針に基づいて問題の早期解決に向け、今後とも同和教育を推進してまいります。
 議員ご指摘の調査についてでございますが、さきの地対協意見具申では、同和問題の解決に向けた今後の主要な課題の一つとして「教育、就労、産業等の面でなお存在している較差の是正」が挙げられており、さらにこのように述べております。「これらの課題については、その背景に関して十分な分析を行い、適切な施策が講じられる必要がある」。以上でございますが、本調査はそのための基礎となるものの一つであると位置づけております。
 関係市町村教育委員会にご協力いただきながら調査を実施してきておりますが、その際には、当然のことながら個人情報の秘密保持等への配慮とともに、その趣旨を十分踏まえた対応をしていただいているものと考えております。また各学校長は、地域との連携等を通して十分な情報の提供を受けながら報告書の作成に当たっていただいているものと認識しております。
 次に進学奨励事業については、地区生徒の進学意欲の高揚や高等学校及び大学等への進学率の向上に大きな役割を果たしてまいりました。償還状況は、平成十二年度までに償還いただくべき額が約九億三千六百万円であるのに対し、現実に約七億三千六百万円の償還があり、未償還額は約二億円となっております。
 本事業が貸与制度であるという趣旨を踏まえ、未償還者に対し督促状を送付するとともに、市町村と連携しながら個別訪問による償還相談を行っております。また、今後、新たな滞納者が出ることを未然に防ぐための相談等にも当たっており、今後一層努力をしてまいります。
○副議長(堀本隆男君) 警察本部長岩井良行君。
  〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 環境事犯への対処についてでありますが、近年、産業廃棄物の不法投棄等の事犯が増加している現状を踏まえ、昨年は環境機動捜査隊を発足させ、環境事犯の摘発を強力に行い、一昨年の四倍に上る五十九件、六十九人を検挙したところでございます。
 議員ご質問の、環境を守ろうとする住民の情報提供とその対応についてでございますが、住民からの通報や相談により得られました情報につきましては、一般論として申し上げれば、事件化に向けた貴重な捜査資料として活用しており、現に昨年検挙した事件の大半も住民からの情報提供や関係機関からの通報に基づいたものでございます。
 なお、所要の内偵捜査を尽くしても事件化に至らない場合もございますが、このような場合であっても関係行政機関との連携を密にしながら不法投棄事犯の未然防止や拡大防止に努めているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 まず最初に、同和問題の総括、方針については納得できるご答弁ではありません。県の方針などの撤回を強く求めるものであります。これは要望です。
 教育長、結局今回も状況調査について、私は六項目の具体的な質問をいたしましたが、残念ながら満足がいく答えはいただけなかったと思います。残念です。法的根拠や科学的裏づけ、こうしたものを明らかにできないような調査は、やはり中止にすべきではないでしょうか。しかし、まあこれは子供に係る問題ですから、言うた言わんという話じゃなくて、やはり今本当に考えてほしいと思うんですね。私も考えます。教育長も考えていただきたいと思うんです。
 今、本当に思うんですよね、何を調査しようとしているのか。それは、「校区に同和地区を含む学校の状況調査」という名前の調査なんです。人や地域を特定するようなこんな調査は、今の時期にやはりそぐわないのではないかと思います。確かに、学校の先生、子供たちの置かれている状況をはっきり把握したい、その気持ちは十分にわかるんです。しかし、そのことと、今この時期にやろうとしている状況調査は、全く違います。ぜひ学校の現場の先生の意見、また各市町村の職員の意見、いろんな人の意見を聞いていただいて、この状況調査をやめていく方向を見出してほしいと思うんですね。すぐ見出せと言っても無理かわかりません。しかし、せめて検討すると、そういうことを今から着手してほしい。また、そういう時期ではないかと思います。検討することについて、再度教育長のご答弁をお願いいたします。
 償還問題です。知事、大変ですね。まあしかし、いろんな方のご答弁を聞いていると、やっぱり何か悪いけれども、温度差があると言ったら失礼ですが、土木部長は九〇%なんか、ほかのところに比べてもちょっと低いからみたいなニュアンス──言い方が悪いかもしらんけれどもあれですし、教育委員会は二億円ぐらいやというようなニュアンスがあります。そうした中で中小企業の高度化、大変だと思います。悪いですが、債権放棄しなきゃならんのではないかと、こんな話さえ私のところにも今回の調査の中で入ってまいりました。大変ですよね。確かに事業団は痛み分けするか、それはわかりませんが、痛み分けをしてほしくはないと。したって、何十億の金をやはり和歌山県はかぶらなきゃならんのですよ。そんな状態ですからね。
 今ご答弁いただいたこれからの方針については、これは今までやってきて当たり前のことであって、これから新しい体制をつくっていっていただく。それぞれの課だけじゃなくて全体的に考えていただいて、ただ単に金を返せというんじゃなくて、どのようにしたらお金を返せるか、また生活が成り立っていくか、経営が成り立っていくか、そうしたことも含めて指導できるような温かい体制、県政を実現していただきたいと思うんです。この点について再度知事の決意をお尋ねしたいというふうに思います。
 新宮の松山の件ですけれども、部長、業者が百本と報告しているのに八十六本と。問題ないみたいな発言をしていますけれども、少なくとも現時点で十四本足らんのですよ。足らんからと言って写真を見ましてここへ埋めたんと違うんかなと住民が心配しているわけですよ。ちょっと認識を改めていただきたいと思います。そこら辺、やはりきちっと住民の不安というものを取り除くことが必要ではないでしょうか。ぜひ、再度この件についてご答弁をお願いしたいと思います。
 最後になりましたけれども、熊野川の問題です。本当に僕は心配しているんです。こんなことになったら本当に熊野川は世界遺産に登録してもらえるのかなと、本当に真剣に悩んでおります。県議会という場でこうした問題を取り上げているのに、解決できないようなものとなったら大変なことですからね。世界遺産が登録できないことになったら大変です。このことについてはぜひ力を注いでいただきたい。
 今、ちょうどテレビで「ほんまもん」──いよいよ終わりの方に近づいておりますけれども、私もあれを見ております。そして、中で思いました。こんなことが続いていたら、熊野は本当にほんまもんと通せるのかな、にせものになってしまうんかな。いや、そんなことはないはずと思います。しかし、にせものではなくとも、つくりものにされても困るわけであります。ぜひ、ほんまもんと言えるそうした熊野の自然を守るために頑張っていただきたい。
 最後になりましたけれども、知事が言う緑の公共事業、私は人に説明するときは「緑と環境の公共事業ですよ」というふうにも説明をさせていただいております。緑だけじゃわからないんで、やはり環境という形で説明をさせていただいております。ぜひこの環境問題についてより一層真剣に取り組んでいただきますことを、これは要望しておきます。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 貸し付け事業の問題については、ご質問にもありましたように、非常に重大な問題であるというふうに認識しております。金額的にも大きなものとなっております。そして、この認識のもとに既に担当部局で、先ほども申し上げましたように償還指導の問題でありますとか債権管理の問題を法的な専門家である弁護士の方も入れてやっていくということで進めておりますのでご了解いただきたいと、このように思います。
○副議長(堀本隆男君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 新宮市での産廃の関係でお答えいたします。
 平成十三年八月二十七日に事業者からドラム缶百本との報告があった時点で県としては確認調査を行っておりませんが、その以前の同年八月十日に、新炉の製作状況調査にあわせ現地で保管状況を目視したところ、約八十本保管されていた。また、本年二月にも調査をしたところ──これは数量の確認を行いましたところ、保管については八十六本ということで昨年夏と状況の変化がないということでございますが、再度、企業の方へもこの数字の差異について確認をしてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 再質問にお答えいたします。
 ご指摘の状況調査を含む同和教育のあり方、幅広い人権教育の進め方ということについては、幅広い多くの方々のご意見をいただきながら進めていくことが大切であるというふうに考えております。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 もう時間がありませんので、簡単にいきます。
 教育長、今の言葉、検討するというふうに解釈させていただいて私はおさめたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また知事、失敗を恐れず向こう傷を恐れない問題解決の県政のために、ぜひ頑張っていただきたい。そして環境問題では、橋本の教訓。それは何か。最も欠けていたのは住民の皆様への配慮であると考えておりますという総括文書があります。これを十分に肝に命じて取り組んでください。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 以上で、金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は三月十一日定刻より再開し、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時六分散会

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