平成14年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○副議長(堀本隆男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 お許しをいただきましたので、一般質問に入ります。
 まず、緑の雇用事業について伺います。
 昨日の村岡議員の質問にもあったように、日本共産党県議団は知事が提唱された緑の雇用事業が一時的なものではなく地域に密着した事業として末永く続いていくよう応援するものであります。その立場から何点か質問をいたします。
 最初に、昨年の十二月補正予算から実施され、そして今年度も継続される予定の古道周辺森林環境整備について伺います。
 先日、地元紙の報道もありましたが、中辺路町内の熊野古道周辺で行われたこの事業について、地元の方から苦情がありました。そこはもともと古道の周辺に広葉樹林を復活させるため植林を伐採して広葉樹を植えた場所で、地元の方によりますと、十年ほどたってようやく一人前の林になってきて、小鳥たちもたくさん来るようになっていたとのことです。その林が古道周辺森林環境整備の事業でかなりきつい間伐をされて、見晴らしはよくなったが、実のなる木も少なくなって小鳥もいなくなったとのことでありました。私も現地を見てきましたが、古道の語り部の方たちや森林の生態に詳しい先生方もがっかりした様子でありました。しかし一方では、事業を行った中辺路町や作業をした森林組合は、眺望もよくなったし、あそこの場所はもともとそういう管理をするところだったとの見解で、この観点の主張もよく理解をできます。
 問題は、県民の税金を使った事業で、よかれと思って取り組んでいるのに、それによって同じ町民の間で意見の対立を生み出しているということです。私は、事の原因ははっきりしていると思います。それは、熊野古道とその周辺の景観についての意思統一が地元においてさえできていないことであります。この議論が十分されずに、またされていたとしても、古道を守り育てていく肝心の地元住民に世界遺産としての古道はこうあるべきだ、県としてはこういう方向性をもって管理していきますという情報が行き届いていないがために起こったことであります。
 十四年度では、さきの十二月補正予算で組まれた金額の約十倍の予算がこの事業に投入される予定であります。こうした不幸な出来事が起こらないようにするため、早急に地元の行政と住民、学識経験者、農林水産部と教育委員会も入った協議会を立ち上げる必要があると思いますが、いかがでしょうか。農林水産部長並びに教育長の答弁を求めます。
 次に、広葉樹林等森林環境整備という事業があります。予算は三億五千万円と、緑の雇用事業の中でも最も多い配分になっています。十四年度は五十ヘクタールを植林するようですが、それに必要な苗木は七万五千本と言われています。私は、この事業はかなり継続的に続けられていくものだと考えています。ならば、この事業に使うケヤキや山桜、ウバメガシなどの苗木生産を地元に委託してはどうでしょうか。山村では、現金収入の得られる仕事は貴重です。苗木屋さんに任せるだけではなくて、やはり地元の農家などを使ってほしいと思います。今後もこの事業を拡大していくなら、長期的な計画として苗木の安定した購入により山村の活性化につなげていってはいかがでしょうか。農林水産部長の答弁をお願いします。
 次に、試験研究について伺います。
 緑の雇用事業はこのように具体化して関係者も喜んでいますが、一方で、国の事業が終わったらどうなるのか、新しい林業経営のあり方を今のうちに研究しておかないと、これまでと同じではだめだという声があります。
 先日、林業関係者をお訪ねしたとき、県の林業センターにどんな役割を求めていますかと聞いたところ、複数の方から期せずして一歩先を読んだ研究をしてほしいとの声がありました。現時点における一歩先の研究とは何でしょうか。私は、そのキーワードは環境だと思います。植林から伐採まで長期間かかることが宿命の林業では、景気の状況や時代背景に左右されずに安定した経営が求められています。また、間伐をしないことにより土壌の流出や花粉の大量飛散などの問題が起こっていますが、今、環境に配慮した経営が求められています。
 例えば、三重県にあります速水林業という会社は、環境や労働者に配慮した持続可能な森林経営をしているということで、日本で初めて国際的な認証機関の認証を取りました。その環境に配慮した人工林の中では、下草や広葉樹も生え、多様な小動物もすむそうです。例えばそうした森林管理の方法を体系化する、そういう研究があってもいいのではないでしょうか。
 あるいは、観光農園があるように、木材生産と共存できる観光林など、複合経営を進めるための研究というのもどうでしょうか。ポイントは、生産物を出荷するだけではなくて、人に来てもらう、見てもらう、食べてもらう、そしてお金も落としてもらう。もらってばかりで悪いのですが、要は山に人をどう呼ぶかであります。林業センターなどの試験研究をさらに充実させていくことが望まれる時代だと思います。農林水産部長のお考えを聞かせてください。
 この問題の最後に、林業労働者の労働安全について伺います。
 林業の現場労働は、相変わらず労働災害が最も多い職場の一つになっています。新しい雇用者がふえるときこそ、労働安全に注意が必要であります。安全性を高めるためにも、山の現場で携帯電話を使えるようにしてほしいという要望があります。こうした分野に力を入れていただきたいと思いますが、農林水産部長のお考えを聞かせてください。
 次に、産業廃棄物の問題について伺います。この間、県議会でも何度か取り上げられてきましたが、廃棄物処理計画の策定も目前に迫っておりますので、再度伺いたいと思います。
 この間、知事を初め県当局から産業廃棄物の処理について一定の公共関与が必要との見解が示されてまいりました。私たち日本共産党県議団は、産業廃棄物の処理は排出事業者の責任で行うべきであるという廃棄物処理法の趣旨からいっても、安易な公共関与で産廃の処理を行うことはごみ排出者責任を回避することになり、ごみを発生源から抑制するという真剣な企業努力を怠らせることになるのではないかと考えています。
 そもそも、公共関与の産廃処理施設が必要だと言われているのは、大阪湾のフェニックス計画に参加をしていない、主に御坊、日高以南の地域であります。この地域の産廃あるいはそれに加えて一般廃棄物の一部を受け入れたとしても、処理施設が経営的にペイするとは思えません。なぜなら、廃棄物の発生が少な過ぎるからであります。
 例えば、現在の県の産廃処理計画でも、最終処分量は平成十五年時点で五十一万トンに減らすという目標ですが、実際は現時点で既に二十七万トンにまで減少しています。こういう状況のもと、そもそも公的な処分場が必要な状況でしょうか。私は、フェニックス計画の対象地域以外では産廃の最終処分量は今せいぜい一万トン前後になっているのではないかと予想しています。少なくとも最終処分場まで公共関与するような状況ではないと思いますが、どうでしょうか。あわせて、すさみ町でそうした処分場の誘致要望があるとのお話も伺いますが、事実はどうなんでしょうか。環境生活部長の答弁をお願いいたします。
 また、産廃処理場を公共関与でつくったとしても、最近の流れから言えば安く産廃を処分できると考えるのは間違いであります。私は幾つかの事例を調べてみました。お配りしている資料にもありますように、確かにフェニックス計画では処理料金が安く抑えられていますが、この間、第三セタクーなどでつくられてきた産廃処理場の処理料金を見ると、この近辺の民間処分場の料金と大差ないと思われます。
 その高い処理料金をとっている「いわてクリーンセンター」を先日、見てまいりました。廃棄物の受け入れ量は、当初は計画を大幅に下回っていたものの、法の規制強化もあって平成十二年度では計画の約一・五倍、総量で年間五万トン近い廃棄物を受け入れています。それでも、実質約十一億円の赤字を出していました。その上、法規制の強化で、最新鋭の処分場であったにもかかわらず改良や修理が必要になってきていて、実際、同センターではゴムシートの緑化をしたり、あるいは搬入する車両のタイヤを洗う施設をつくったりと、改良にかなりの金が要るんですよということでありました。そうした後年度の負担もあります。
 今のところ経営的にうまくいっていると言われている新潟の「エコパークいずもざき」はどうでしょうか。高い処理料金を取った上で、十三年度では十二万トン以上もの廃棄物を受け入れています。百六十五億円の事業費の七割以上を借入金で賄っているので、今後本格的に借入金の返済が始まったときにどうなるか心配であります。こうしたことを考えたとき、採算性が心配です。県としては赤字覚悟でも公共関与でやっていくおつもりなのでしょうか。環境生活部長の答弁をお願いいたします。
 この問題の最後に、廃棄物処理計画について伺います。
 昨年二月議会の原議員の質問に環境生活部長は、「策定作業に際しては、庁内の関係課や各振興局、市町村、事業者や関係団体等と協議し、広い範囲の意見を取り入れてまいります」と答弁をされています。いよいよことし具体化していくわけですが、どのような方法でそうした意見集約をされるのですか。また、住民や環境問題に詳しい学識経験者などの意見はどう反映させていくおつもりですか。答弁をお願いします。
 次に、市町村合併について伺います。
 合併を推進するなら合併特例法のさまざまな優遇措置を受けられる平成十七年三月までに間に合うようにしたいという思惑で、この間、県内でもさまざまな動きが出てまいりました。特に、田辺市周辺の十市町村では、市町村長や議会代表でつくる合併検討会なる組織がこの四月に任意の合併協議会をつくるということで、大筋合意をしたようです。十の市町村で合併協議会をつくるということは、その十の市町村の枠組みでの合併を検討するということで、このことは、これまで行われてきた合併研究会などから一つ違う段階に入るということであります。
 しかし、住民の立場から見れば、私は早急過ぎると言わざるを得ません。多くの住民は、昨年秋ごろからようやくそれぞれの市町村役場が開く懇談会などで合併の話があることを知ったと思います。行政の側も十分に資料をそろえられていない中での議論で、具体的なメリットやデメリットの議論はなされていません。ましてや、合併推進の立場の人でさえ、どことどこが合併するのがいいかという点では隔たりも大きいものがあります。
 例えば、お配りしている資料にありますが、南部町市町村合併を考える女性の会という団体が南部町内で五百以上の数を集めたアンケート結果です。合併そのものに反対が三六%と、賛成の一九%を大きく上回っています。しかも、賛成の人の中でも、十市町村での合併がいいという人はそのうちの一六%にすぎません。こういう状況の中で、十市町村という枠組みでくくって合併するか否かの協議を進めていこうという今度の任意協議会の設置には、私は反対です。市町村長さんの中でも、この任意協議会についてはさまざまな思いがあるようです。新聞報道で南部町の山崎町長さんは、「四月に十市町村による任意協議会に入るが、十が合併する前提ではない」と言われています。
 そこで、総務部長に確認の意味で伺います。十市町村で任意協議会をつくるということは、十市町村という枠組みでの合併を検討するということですか。答弁をお願いいたします。
 次に、知事に伺います。
 県の十四年度予算案では、合併推進に二億五千万円以上が計画をされています。この合併推進のための予算案は、他の府県と比べても突出したものになっているのではないかと思います。例えば、福島県は「合併しない宣言」をしたあの矢祭町がありますが、佐藤知事は「県がイニシアチブをとってほしいという声もあるが、それは地方自治と逆行することになる。自分たちの町のあり方は自分たちで考えるという地方自治の基本を崩したくない」と述べられています。そして、十四年度予算案では特に合併推進を掲げた予算はなく、その言葉どおり、合併するもしないも、県は市町村を応援していくというやり方だそうです。
 さらに、高知県の橋本知事は、「今の合併の仕組みが高知県に向いているかは疑問。百万都市になったさいたま市と全部一緒になっても二万人にならない嶺北五町村を同じ仕組みでやるのは無理がある。国が言うように、行政の効率化が進み住民にプラスになるとは自信を持っていない」と述べ、この一律の合併推進に疑問を呈しています。そして、次のようにも語っています。「市町村合併というのは、国や県が無理やり推し進めるべきものでもないし、あくまで地域の住民の方々が議論をしてみずからの住む地域の将来を決定していかれるべきもの。ただ、住民の方々に投げかけているだけでは当然お話も進んでいきません。議論をしていただく、そういう場づくりというものが必要だと思います」と発言をされています。その高知県では、合併のシミュレーション用のコンピューターソフト作成に千二百万円、合併協議会への補助金として二千万円など、合計約四千万円を予算に盛り込んでいます。
 二つの県の知事の発言を紹介しましたが、私は、こうした姿勢が県の態度としていいのではないか、懐の深さではないかというふうに考えています。
 和歌山県は、十四年度に二億五千万円以上の合併推進の予算をつけようとしています。ちなみに、近畿の他の府県の予算を調べてみますと、大まかな数字ですが、大阪府三千万円、京都府一千万円、滋賀県五千八百万円、兵庫県一千七百万円、奈良県五千万円となっています。和歌山県は格段に多いと思うのです。しかも、今度の県予算の中身を見ますと重点支援地域で整備をする公共施設の整備に一億八千万円もの配分をしていますが、これは具体的な計画の積み重ねの予算ではなくて、大づかみの予算になっていると思います。昨日、村岡県議が指摘したように、一方では県民福祉への予算要求に厳しい査定が行われながら、一方ではこんな大づかみの予算を組んでいる。他府県と比べても、また県内の他の分野の予算と比べても、私はこの合併推進予算は大き過ぎるのではないかと考えています。知事のお考えを聞かせてください。
 次に、そういう県の顔色をうかがってか、和歌山県内では合併問題についての率直な意見が述べられにくい状況になっているのではないかと私は心配しています。このごろ、合併問題でもはっきり態度表明する首長さんがふえてまいりました。例えば、先ほど述べた福島県の矢祭町、議会の議決は合併しないということですが、町長さんも「矢祭町は地理的に見て福島県の最南端にあり、辺境にあることは動かしがたい現実であり、合併のもたらすマイナス点である地域間格差の拡大をもろに受け、過疎化がさらに進むことは昭和の大合併で証明済み」と述べられて、反対を表明されています。
 田中康夫知事の長野県では、合併推進予算は一千万円程度ですが、その長野県の泰阜村という村の村長は、「合併しても村の抱えている問題は何一つ解決するものではないので合併はできない」と言っています。その上で、こうも言っています。「国は小さな自治体では専門的な分野の職員が配置できないと言っているが、例えば溝が詰まって住民が苦情を寄せてきたときに、高度な専門家より「それは本当にお困りですね」と住民の気持ちになって対話ができる職員こそ必要」と述べられています。
 また、その隣村の阿智村でも、村長は「交付税措置のある起債を進めることで国の経済政策に従ってきた地方自治体が、政府の方針が変わったことで交付税の制限を受け、財政破壊を受ける事態は納得できません。国の都合による市町村合併には従うことはできない」と、はっきり述べられています。また高知県でも、越知町の町長さんは「合併は最終的に行政のリストラに進み、過疎が急激に進む」と、合併を正面から批判しています。
 合併問題について、このように市町村の自主性を尊重している、そういう立場の県では割と市町村長の本音が出ているように思います。比べて、県内ではどうでしょうか。正面切った批判は出ないかわりに、「どうせ合併するなら」とか「できればしたくないが」とか、そういう前置きが必ずつくんです。合併の目的や意義から出発するのではなく、半ば開き直りのような議論が多いと思います。そういう状況では、合併を選んだとしてもいい合併にならないのではないでしょうか。私は、余りにも突出した県の合併推進姿勢は県民の自由な議論の妨げになっているのではないかと思います。知事の所見をお聞かせください。
 合併問題の最後に伺います。
 新聞報道で、龍神村の古久保村長さんが次のように語っておられます。「国は、むちは使わないと言う。しかし、支援策がないということは弱小自治体にとって大きなむち。兵糧攻めがなかったらギブアップすることはないのだが……」と言っておられます。私はそのとおりだと思います。
 合併推進にはどんどん援助をするけれども、合併を考えないところには交付税削減の脅しだけしか聞こえてこない、支援がない、こんな状況に置かれれば、市町村長ならだれでも不安を抱くと思います。どうか、過疎地域を抱える市町村にこうしたつらい思いをさせないでいただきたい。あくまで市町村の自主性を尊重するなら、これから独立でいくんだという選択をした市町村にも県はしっかり応援をしていくんだということを言うべきではないでしょうか。知事のお考えを聞かせてください。
 次に、難病対策について伺います。
 現在、難病対策の中心的な事業として位置づけられているのが、いわゆる特定疾患対策であります。これは国が指定するもので、原因や治療方法の解明が研究されている百十八の疾患のうち四十六疾患について医療費の公費負担が行われるものであります。和歌山県では、それに加えて県独自で五つの疾患を指定して制度を拡大しています。
 難病対策が始まって、ことしで三十年を迎えます。今、厚生労働省は制度の抜本見直しの作業を進めています。その検討の中では、研究成果がある程度上がったと思われる疾患や治療法が一定開発されたと見られる疾患を医療費補助対象から除外することや、軽症患者の除外などがたくらまれているようであります。小泉内閣による構造改革がこの分野でも押し寄せており、患者さんの不安は増しています。
 現実には、まだ何の手も差し伸べられていない難病がたくさんあります。多くの患者、家族が医療費の負担にあえいでいます。私は、この難病対策をさらに充実発展させることを国に対して要望していただきたいと思いますが、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
 次に、医療費の公費負担の問題です。
 この対象となっている国の特定疾患は、最初は四つの疾患でスタートしましたが、現在は四十六疾患を対象とするまでに徐々にではあるが拡大をしてまいりました。ところが、県独自に指定している疾患は、制度発足時に十四疾患あったものが、国のカバーする範囲がだんだんと広がってきたために現在は五疾患のみの指定になっているわけであります。県の制度としては、むしろ後退してきているわけです。
 そこで、伺います。難病であるにもかかわらず、公費負担の制度から外れている患者さんがたくさんいらっしゃいます。その方々を救うためにも県指定疾患を拡大すべきだと考えますが、いかがですか。できないのであれば、なぜ同じ難病という範疇の中にありながら公費負担するものとそうでないものがあるのでしょうか。合理的な根拠はあるのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
 また、小児慢性特定疾患という制度もございます。これは、十八歳未満で慢性の腎疾患や心疾患、ぜんそくや糖尿病、その他難病などがある子供には医療費の公費負担が出る制度であります。この制度について改善していただきたいと思うのは、国の制度では一カ月以上入院しないと対象にならないという点であります。こういう慢性の疾患を抱えている子供さんの中には、症状の悪化がなくとも検査のために定期的に入院しなくてはならない方もいらっしゃいます。既に近畿では、大阪府、京都府、奈良県で一カ月以内の入院や通院についても独自に援助を行っています。和歌山県でもぜひやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
 最後に、難病対策の制度についての周知徹底と広報活動を求めます。
 数年前ですが、県内のある病院で小児慢性疾患の対象になる子供がお医者さんにかかりました。その子は小児科に行かず内科で受診を続けていたために、この制度を医師も患者自身も知らないまま過ごしていたそうであります。あるとき学校の先生が気づき、国会にまで問題が飛び、ようやくそのときの医療費が返還されたそうです。病院内での制度の広報とともに、県民の情報源の一つとなっている県のホームページでもこの制度について紹介してほしいと思いますが、いかがですか。答弁をお願いして、第一回目の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの市町村合併についてのご質問にお答えをいたします。
 市町村合併、これはもう非常に難しい問題でございます。私自身もいろんなところで発表しているんですけれども、単に三千三百ある団体を千にしようとかいうふうなことで、特に過疎の地域においてはこの問題は大変大きな問題であるわけですから、そういうふうな形のやり方というのはよくないというふうなことは言っております。それからまたあわせて、この問題ははっきり言えば日本の国の統治機構のあり方の問題であるので、最終的なところはまた、市町村に任せて勝手に考えなさいというふうな言い方じゃなくて、やはり国の方も責任ある日本の国の地方自治の姿を今後どういうふうにしていくのかということを示していくべきであるというふうな主張、私はこれをかねてから行っております。
 ただ、こういうふうな中で今、日本全国でこの合併という問題が進んできている、そういうふうな今の状況の中で県が、これはもう市町村が勝手に考えればいいことだというような態度ということは、私は逆に言えば県としての責任回避ということになってくるわけでございまして、当然のことながら、県は合併しなさいとか、しなければ大変なことになりますよとか、しなければ県からの補助金が減りますよとか、そんなふうな脅しめいたことを言うつもりはありませんし、最終的なところは当然のことながら地元の市町村が考えていくことですけれども、県としてはやはりたくさんの予算をとって、そして県はこの問題を県下の市町村と一緒になって本当に苦しみながら考えていくんだという姿勢を示すということでの予算をとっているということなので、これは決して、予算をつけているから強制していくとか、それからまた、そのことを肯定しないような市町村の意見を無視するとか、そういうふうな姿勢で物事を考えているわけではないわけでございます。
 いずれにせよ、この問題は非常に今、重点指定地域にした地域でもいろいろな議論が巻き起こっていますし、本当に──県が言ったからというようなことでいろんなことが起こってくるような形じゃなくて、県も一緒に考えてくれているというふうな形でこの問題の議論が煮詰まっていき、そしてまたその結果として合併するところが出てきた場合には、当然その合併の結果として夢を描ける。ただ単に財政的にお金を減らしましたとかというふうなことになると、やはり過疎の地域でサービス水準が低下してますます過疎を進展させるというようなことになっては和歌山県にとっては非常に困ることですので、そういうふうな問題についてもあわせて、このたくさんとった予算の中で真剣に考えていこうという考え方でございますので、県の顔色をうかがってどうこうということは、私はないというふうに確信をいたしております。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 緑の雇用事業についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず古道周辺での事業実施についてでございますが、この事業の目的は、世界遺産登録を控え、古道のバッファーゾーンの大部分を占める森林の整備を進めようとするものでございまして、その森林整備の手法につきましてはさまざまな意見がございます。このため、教育委員会とも連携を図りながら、事業を実施する市町村を初め、地域住民、学識経験者、森林所有者などが参画した協議会をこの三月中に設立すべく準備を進めてございます。今後、これら関係者のご意見をお聞きしながら、古道周辺の森林景観について十分議論を重ね、森林整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、広葉樹の植栽についてでございますが、その苗木の購入につきましては、可能な限り地元の、例えば県山林種苗協同組合員などが生産する苗木を調達できればと考えてございます。苗木の生産を新たに農家に委託することにつきましては、種子の採取から苗木までに数年かかることや、多品種の生産が必要なことなど、さまざまな課題がございまして難しいのではないかと思ってございます。今後、広葉樹の苗木の需要が見込まれることから、地元組合などの生産力の強化に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に試験研究についてでございますが、林業センターにおける試験研究課題につきましては、関係者の意見集約を行い、有効な研究課題に絞り込み、取り組んでいるところでございます。環境など新たな視点での研究課題につきましては、現在、部分的に伐採する非皆伐施業による機械化作業システムの研究や花粉の少ない杉の品種の育種などに取り組むこととしてございます。今後、関係者や地域のニーズを把握しながら、森林環境、機能等の新たな研究課題についても検討し、研究してまいります。
 最後に林業労働の安全性確保についてでございますが、山の現場作業の安全性を確保するために携帯電話を活用するということは、大変有効な通信手段の一つでございます。しかしながら、一般に普及されてございます地上系の携帯電話につきましては、山間部における鉄塔の建設など膨大な経費が必要なことから、現時点では衛星系携帯電話の活用が最も効果的であると考えてございます。したがいまして、作業中に万一事故が発生した場合の緊急連絡体制の整備の一環として、既に一部の森林組合が補助事業で導入しております衛星携帯電話や車載無線、トランシーバーなどを組み合わせた緊急連絡体制の普及を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 産業廃棄物の処理計画に関する三点のご質問にお答えします。
 まず公共関与のあり方についてでございますが、廃棄物の処理に関しましては、資源化が進んだため最終処分量は減少しておりますが、県内には管理型最終処分場がなく、民間事業者による整備が進まない現状から、一定の公共関与による廃棄物処理が必要と考えているところでございます。全国的には、府県、市町村、事業者が出資した第三セクター方式で公共関与による廃棄物処理が実施されているところが最も多くございます。
 県といたしましては、第三セクター方式やPFI、または建設補助のように一部支援的な関与の方法も含めて検討してまいりたいと考えてございます。今後は、本県の状況に照らして必要な施設の種類や規模、公共関与の方法などについて、産業界、市町村、県が一体となって協議の場をつくり、地域の実態に合った具体的な検討を行ってまいります。
 なお、処理施設の適地性についても平成十四年度に設立を予定している地域協議会の場で検討されるものと考えておりますが、現時点では要望は受けてございません。
 次に採算性につきましては、さきに申し上げましたように、関係機関と廃棄物処理の計画を協議してまいりますが、いずれにいたしましても、適正な利用料金と採算性を考慮して事業を計画していくべきものと考えております。
 最後に廃棄物処理計画についてですが、計画の策定に当たりましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により審議会及び関係市町村等の意見を聞くこととされており、近く環境審議会に諮問する予定でございます。また、審議会での審議と並行して市町村、事業者や関係団体の意見を聞くとともに、幅広く県民の意見を聞くため、インターネット等を利用したパブリックコメントの募集を実施する予定にしてございます。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併に関しまして、田辺地域で発足予定の合併協議会についてのお尋ねでございますけれども、任意の合併協議会は法定合併協議会を設置する前段階として関係市町村間で設置されるものでございます。協議の内容その他もろもろにつきましては、今後、関係市町村間で取り決められるものと理解をいたしておりますが、少なくとも十市町村での法定合併協議会の設置に向けての必要な協議は行われるものと考えております。
 なお、法定合併協議会の性格につきましても、昨年十二月県会でご答弁申し上げましたように、合併に関する協議を行う機関でございまして、合併するかしないか、合併の是非を含めて検討がなされる場でございます。法定合併協議会に参加することが直ちに必ず合併することが前提にあると、そういうものではないと考えておるところでございます。
○副議長(堀本隆男君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 難病対策の四点について、お答えを申し上げます。
 まず国への要望でございますが、県としましても、今まで以上に公費負担対象疾患の拡大、現行制度の充実に向けて、全国衛生部長会議等を通じて国へ働きかけていきたいと考えてございます。
 次に公費負担についてのご質問ですが、県が単独事業として実施する県指定特定疾患は、本県が事業を開始いたしました昭和四十九年当時に国が難病と指定した疾患のうち、特定疾患として医療費の公費負担の対象とならなかった疾患について県が独自に公費負担の対象としたことに始まったものでございます。その後、国の指定する難病が急激に増加したことから、国が公費負担の対象としないすべての疾患を県が独自に公費負担をすることは困難となってございます。そのために、新たな県指定の追加は行ってございません。
 県指定の拡大につきましては、他のさまざまな疾患との公平性や県財政の現状から考えますと困難と思ってございます。しかしながら、限られた県財政の中で、重症難病患者に重点を置いた支援策の充実を進めてまいります。
 三点目の小児慢性特定疾患でございますが、現在、国において十の疾患が小児慢性特定疾患治療研究事業の対象とされておりますが、疾患ごとに入院、通院といった適用範囲や対象年齢を十八歳未満に限定した疾患、また二十歳未満まで延長できる疾患があるなど、異なる状況にございます。県としましても、国に対し疾患ごとの違いをなくすよう要望を続けていくとともに、県単独事業として対象年齢を全疾患で二十歳未満まで延長するなどの措置を講じているところでございます。
 なお、一カ月以上の入院を適用範囲とする疾患につきましては、短期の入院や通院部分について県単独事業として対応できないかということでございますが、現在国では検討会を設け、今後の事業のあり方について、適用範囲も含めた抜本的な検討を行っているところでございます。そういうことでございますので、県といたしましては、国における検討会の結果を踏まえ、今後の事業のあり方について検討してまいりたいと考えます。
 最後に難病対策制度の周知についてでございますが、県といたしましては、特定疾患治療研究事業や小児慢性特定疾患治療研究事業について対象患者や制度について紹介したポスターを作成し、保健所、県医師会、県病院協会等の関係機関を通じて医療機関等への周知を図るなどしているところであります。また、平成十一年からは県立医大の附属病院内に設置をいたしました子ども保健福祉相談センターにおいて難病の子供やその家族からのさまざまな相談に応じるとともに、保健、医療、福祉に係る各種公費負担制度についても紹介し、難病対策制度の周知にも努めているところでございます。
 なお、県のホームページでの制度の紹介につきましては、今後できるだけ早期に実施してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 世界遺産登録に係る熊野参詣道沿線の景観保存につきましては、バッファーゾーンの確定並びに関係市町の景観保護のための条例策定が早急の課題でございまして、現在、文化庁等との協議を重ねております。また、参詣道の保存、管理、活用のための総合的な計画も必要であることから、このことについても検討を行っているところであります。
 今後、ことし秋をめどに、こうした諸案件の解決のために努力をしてまいります。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 答弁をいただきました。
 まず合併問題ですが、知事も県がこう言うているからと言われないようにしたいというお話でしたが、実際、現場へ行きますと、その声が本当にあるんです。国や県がこう言うているからということで。ぜひ現場にまでそのことを徹底していただきたいというふうに、これはお願いをしておきたいと思います。
 それから、難病対策です。
 これはちょっと知事も聞いていただきたいんですが、特に小児慢性疾患について要望しておきたいと思うんです。小児慢性疾患で入院した場合に一カ月以上じゃないと公費負担にならないと言いましたけれども、そのことで、じゃ、実際病院でどんなことが起こっているかということなんですね。
 病気が病気ですから、専門の治療や診断ができる機関が近畿の中でも限られた医療機関しかできないという状況があるんです。しかも、小学生や中学生の慢性疾患の子供は、普段は普通の学級へ行っていてみんなと同じ勉強をしているというような状態にある子もいるわけです。そういう子が年に一度とか、そういうことで検査入院するとか集中的に治療をしようというときには、やっぱり夏休みとか冬休みに集中してその病院へ行くわけですね。数少ない専門の病院に長期の休みの期間に集中して入院してくるので、そこで話になるわけなんです。「僕は大阪やけども、みんな公費負担なんや」と。ところが、「うち、和歌山県はこうなんや」、「あ、そんなんなんか」という話が出されるそうなんですね。
 お医者さんも、どこの県が公費負担をやっているか知っているんです。ですから、あるお母さんの経験ですが、お医者さんが公費負担の申請書を出そうとして「ああ、おたくは和歌山やからあかんね」と言って書類を引っ込められたという経験の親御さんもいらっしゃいました。こういう経験をして、やっぱり県民としてほんまに和歌山県に住んでいてよかったと誇りに思えるかということです。
 また、こんなこともあるんです。せっかくの夏休みだから、できるだけ検査や治療の期間を短くして、なるべく早く家へ帰してあげて遊ばせてあげたいというのは親心やと思うんですけれども、医者になるべく短期間で済ませてほしいと頼むそうなんですよ。お医者さんも努力をしてくれて短期間で済んだら一カ月以内になっちゃって、そこからは高い治療費がかかってきますよというような、大変矛盾した状態になると思うんです。
 知事にもぜひお願いしたいんですが、部長は国の難病対策の見直しを言われましたけれども、確かに見直しがかかっています。しかし、ふだんから健康な子供と比べてやっぱり目に見えない苦労をされている、そういう病気を持った子供さんたちが、和歌山に生まれてほんまによかったなと、そういうふうな状況になるようにぜひご配慮をしていただければというふうに思います。心からお願い申し上げます。
 産廃の問題です。
 すさみ町から具体的な要望はありませんかというお話をさせていただきました。現時点では要望は受けていないという答えだったんですが、実は地元の町議会ではもういろいろ議論をされているんですよ。これはことしの一月二十一日の町議会の合併問題調査特別委員会で町長が発言されたことを書いたものですが、こんなふうに書いています。
 「知事部局の方から、西牟婁、東牟婁へ陳情に行ってくれんかということで県議会の先生方が見えて、何とか施設をつくりたいが協力してくれないかとの話があった。これは、こちらからお願いしたいくらいですと返事をした。埋立地の候補地はうまくいかず、従来型ではなく溶融炉方式について知事も前向きの姿勢であり、溶融炉設置について日置川町、すさみ町協力して取り組んでいくことになり、日置川町の伊古木、名立地区に一カ所あったが条件に合わず、すさみで候補地を探すことになっている。場所については、公害がないといっても川の上流ではだめであり、海岸で荒いそがよいのではとなっている」云々というような議論がもう公式の場でされているんです。これを見ただけで内容的にはわかりにくい部分もあるんですが、もうこれを見る限り深く県行政もかかわって仕込みをしているというか、そういう状態になっているというふうに思うんですけれども、本当に要望とかこういう事前協議というのは、こういうことでないんでしょうか。再度ご答弁をお願いします。
○副議長(堀本隆男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 再質問にお答えいたします。
 現在、産業廃棄物の種類、施設規模、実施主体等、まだ県の方では具体的に何も案を持っておりません。そういう中で、適地性についても今後検討されるものと考えております。
 ただ、先生おっしゃるように、いろんなところから、土地があるとか、遊休地があるとかという情報はいただいております。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 やっぱりでも、部長、こうして公式な会議でもう言われているわけなんですよ。知事自身のお話も出ている。やっぱりこれ、どういう経過でこういうようになっているのかと、きちんと内部調査をして部としての見解を出していただきたいと思うんです。(「知事に聞いてやれよ」と呼ぶ者あり)──もちろん、知事に答えていただいてもいいですが、いかがでしょうか。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) お答えいたします。
 まだ、先ほども申しましたように、県の方では、どういう施設が必要か、それと最近少し議論になっております市町村の一廃とのあわせ処理、こういうことも十四年度においていろいろ検討したいと。そういう中で、場所等についても県としては現在のところ具体的な候補地等は考えておりません。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十八分散会

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