平成14年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十四年二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十四年三月七日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに報第一号(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに報第一号(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         安   居       要
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       増   田   充   孝
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   中   尾   公   彦
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長職務代理者
                中   村   利   男
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      井   口   好   晴
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに報第一号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第一号から議案第二十号まで、議案第二十三号から議案第六十五号まで、議案第六十七号から議案第八十八号まで、並びに知事専決処分報告報第一号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 二十番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、順次、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 今、日本の朝は和歌山から始まる──先日、私の東京の友人からそんな電話がかかってまいりました。ご存じ、NHK朝の連続テレビ小説「ほんまもん」のことでありました。久々に友と語らいながら何かうれしさを感じるとともに、本県熊野の持つ偉大さに敬服をした次第であります。その「ほんまもん」の舞台となっております本宮町を昨年十月二日、地元選出の小原委員長並びに私ども県議会総務委員会一行は県の防災ヘリコプター「きしゅう」に乗り込み、視察に訪れました。台風の後であったため途中土砂崩れを起こした場所、また河川の様子等も見ながら約三十分かけて白浜空港から熊野川の河川敷におり立つまでの間、初めて乗るヘリコプターにいささかの不安と緊張を感じながらも、空から見る本県の自然の豊かさとその大きさに感動すら覚え、改めて和歌山に暮らす一県民として本県を誇りに思い、何としてでもこのすばらしさを後世に残すべくこれからも努力をしなければ、そう心の中で誓ったものであります。
 その誇るべき本県の大切な平成十四年度当初予算が発表されました。昨日、自民党県議団吉井議員、共産党県議団村岡議員よりこの予算についてそれぞれ質問がありましたが、私なりの観点に立ち、この新年度予算について幾つかお尋ねをしてまいりたいと思います。
 知事は、去る二月二十二日、今議会の冒頭におき、和歌山から日本を変えるという高い志を持って改革の方針を進めると新年度の方針を力強く表明され、緑の雇用事業等、独自の政策提言を和歌山モデルとして積極的に発信していく姿勢を示されました。その姿勢のもと、平成十四年度当初予算編成に当たりましては、既存事業の見直しや全職員に対する給与カット等の行財政改革により財政の健全化を進めながら予算の重点配分を図るとともに百事業約二十八億円の新規事業を盛り込み、県民に夢と希望を与える県政を進めるため、一般会計総額で約五千五百十二億円を計上されております。
 私は、今回の予算編成については、俗に言う「緊縮型の予算」という見方ではなく、あえて言うならば「二十一世紀の新しい和歌山予算」、つまり積極型の予算を組んだのではないかと感じております。切り詰めるところは切り詰めるが、それはあくまでも県民が将来にわたって夢と希望を持てるようにと考えた結果であり、人間の体に例えるならば余分なぜい肉をそぎ落とし筋肉質の体型に、一見やせたように見えるが、むしろ健康で活力あふれる体に変えようとする体質改善型予算ではないかと評価をしているところでございますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
 また一方、体質改善を行い、健康体を目指す過程においてさまざまな問題が山積していることも、また事実であります。歳入面を見ますと、県税収入が百十七億円の減、対前年度比マイナス一二・三%と極めて厳しい状況のもと、三年連続のマイナス予算とならざるを得ず、しかもなお八十一億円の財源不足を生じております。調整財源である財政調整基金及び県債管理基金の平成十四年度末残高の見込みは約二百五十一億円と底をつきかけており、依然として厳しい状況下にあると言わざるを得ません。
 そのような状況を見据えたとき、この先も体質改善が進み、本当の意味で健康体になっていけるのか、リバウンドによって再びぜい肉がついてしまうのではないか、あるいは栄養不足に陥ってしまうようなことはないのかなど、基金の問題も含め、大いに心配するところであります。この懸念に関し、今後の財政運営の見通しについて、あわせて知事のご所見を賜りたいと存じます。
 続きまして、総務部長にお尋ねをいたします。
 平成十二年度に作成された財政運営プログラムIIにおいては、平成十五年度までを財政健全化期間と位置づけ、収支不足を平成十五年度当初予算の段階で三十五億円まで改善するという計画が示されております。しかし、先ほど申しましたように税収の問題や基金残高の問題等不安材料を抱える中、平成十四年度当初予算編成に当たり、財政の健全化と積極的な施策展開という相反する命題の解決に向け、具体的にどのように取り組まれたのか。さらに、財政健全化期間の最終年度であります平成十五年度当初予算における収支見込みはいかがなものか、お教えをいただきたいと思います。
 また、財政運営プログラムIIの中には、健全化のための取り組みの一つとして「外郭団体の見直し」との事項がございますが、これとも関連いたし、本県の外郭団体についてお尋ねをいたします。
 現在、県が二五%以上の出資等を行い指導監督している団体は三十一団体とお聞きをいたしております。これは、全国都道府県中、奈良県と栃木県が二十七団体と一番少なく、次いで和歌山県と愛媛県が三十一団体ということであり、数の上では全国最少レベルにあると認識をしておりますが、金額について、これら外郭団体に対し、最近の実績で総額幾らぐらい出されているのか、また職員数について合計で何名おられるのか、お示しいただきたく存じます。
 また、県と密接な関係にある外郭団体中、いろいろな意味において一番大きいと思われます土地開発公社に関連をいたし、お尋ねをいたします。
 コスモパーク加太を初めとした未利用地を抱える県土地開発公社の問題は、今日の社会経済情勢の変化の中ではやむを得ない部分もあろうかとは思いますが、そうかといってこのままの状態が続けば、本県財政への圧迫の大きな一つの要因となるのみならず、県活性化を阻害する要因となるのではと、そう懸念をするものであります。
 過日、二月十九日に県未利用土地利活用方策検討委員会で提言書がまとめられ、県知事あて提出があった旨の報告をいただきました。その内容は、昨今の厳しい社会経済情勢の中、全国的に自治体及び公社等が借入金によって購入した未利用土地の利活用が重要な課題となっており、本県内においても企業局、土地開発公社及び住宅供給公社の保有する未利用地が合計二十二団地、面積にいたしまして約二百七十四ヘクタール、簿価額にして約八百九十三億円にも上り、その解消のため現下の市場動向を踏まえて柔軟に変更することを基本といたし、未成土地については穏やかな目標、ビジョンの設定、段階的活用方式の導入、また公共利用への一部転換等、公民連携方式の導入も考え、また完成土地につきましては用途変更、販売価格の再設定、リース方式の導入等を中心とした土地の付加価値増、開発リスク低減等、思い切った各種戦略をパッケージ化して提供することにより個々にプロジェクトの再生を図ることが必要と記され、加えて、長期的な整備となる場合の土地保有コストの削減方策や将来発生が予想される土地の売却損の解消方策の検討等が述べられております。
 未利用地の中でも特にコスモパーク加太は、公社の保有面積が約百七十二ヘクタール、簿価額にいたしまして五百三十八億六千七百万円という大変大きなものでございます。このコスモパーク加太についても、長期的視野に立ち、現在の市場動向や社会的ニーズに対応したプロジェクトに再生する必要があり、その再生への道しるべとして、コンセプトの再構築や部分的利用も念頭に置いた段階的活用方式への転換、また定借地権の活用等によるリース方式の導入、基盤整備への支援措置や公共利用への一部転換による公民連携の推進等を中心とした各種戦略パッケージを具体的に構築すべきなどの提言がなされておったわけでございます。
 ちなみに、コスモパーク加太の利用につきましては、これまで先輩・同僚議員からも多くの提案がなされ、私自身もナショナルトレーニングセンターの誘致やジャンクション、またインターチェンジ用地確保の必要性、人工スキー場の動向等、本会議の場で提案また質問をしてまいりました。これもひとえに、関西国際空港埋め立て用の土砂採取跡地を効果的に活用することが本県の発展活性化に大いに役立つと考えているからであります。
 知事は、さきの十二月議会において、佐田議員の質問に対し、コスモパーク加太の事業手法を見直し、多面的な思考で利用を考える必要がある旨、答弁をされました。それは、委員会の提言の社会経済情勢の変化の分析結果を見ても的を射たものでありますが、これからこのコスモパーク加太についてどう取り組まれるのか、県当局のご見解を改めてお伺いをいたします。
 また、土地開発公社そのものについても、委員会では事業内容や組織体制の思い切った見直しに取り組むべきであると提言されております。公社の事業については、今まで道路等の公有地の先行取得による公共事業の円滑な推進や土地造成による優良な住宅地の提供等に貢献してきた事実を忘れてはならないと思いますが、土地開発公社を取り巻く状況は、バブル崩壊後、激変をいたし、その状況は全国的にも問題となっており、土地開発公社そのもののあり方の議論が各地で行われておるわけでございます。
 そこで、土地開発公社の見直しにつきまして、この提言を受けた県として今後どのように取り組まれるおつもりなのか、企画部長にお伺いをいたしたいと思います。
 なお、私はこの問題に際し、企画部もしくは土地開発公社のみの対応ではなく、例えば知事がキャップとなり、そして各部が一体となって全庁的な組織をもっての取り組みがもう必要な時期に来ているのでは、そう考えます。そういった取り組みをこの際ぜひ県にご要望させていただき、この項の質問を終わりたいと思います。
 次に、福祉の雇用についてであります。なお、このことについては昨日村岡議員より質問があり、一部重複する部分がありますが、お許しをいただき、自分なりの視点に立って質問をさせていただきたいと思います。
 知事は、国に対して緑の雇用事業を提唱し、その発想と熱意により見事制度の創設を実現され、今議会におきましても十八事業、約十七億円余の予算を計上されております。私は、今回、質問の冒頭において熊野地方の自然に触れましたが、しかし、このすばらしい自然が時として本県の発展を阻害する要因の一つとしてとらえられてきたこともあったのではないか。そういう点から考えますと、緑の雇用事業はまさに逆転の発想によってマイナスをプラスに変えるものであり、なるほどそういう手もあったのかと感心するとともに、私なりにふと考えることがございました。
 少子高齢化が全国平均を上回るペースで進展する本県にとって、高齢者の方々がますます元気に、そして生きがいを持って暮らすことのできる地域社会づくりは喫緊の課題であります。同時に、それは単にお年寄りだけの問題ではなく、若者たち、子供たちを含めた社会全体の問題であります。高齢者人口の比率が高いということは、ともすればマイナス要因として語られがちでありますが、これをただマイナス面として考えるのではなく、緑の雇用事業のように逆転の発想に結びつけることはできないものだろうか、福祉の雇用という考え方もあるのではないだろうか、そう思うわけであります。
 以下、この福祉の雇用という考え方に沿って、次の三つの観点から質問をさせていただきます。一つ目は、福祉を産業として再評価するということはできないかということであります。二つ目は、高齢者の視点からの商品開発であり、三つ目として高齢者の元気という観点からであります。
 まず、産業として福祉の再評価についてであります。
 私ごとになりますが、昨年八月、母方の祖父が九十三歳で他界をいたし、続いて年末には妻の母親が病に倒れ、入院をいたしました。このとき家族総動員の介護の毎日が続き、その中で私は介護の大切さを実感し、介護サービスの必要性、介護に携わる方々のご苦労、そしてこんなにも多くの方が介護に従事されているということに改めて気がついたわけであります。
 現在、福祉の分野では多数の若い人たちが働いており、大きな雇用の場となっております。和歌山で生まれ、育ち、和歌山で働き続けたいという人々の思いを実現させる場となっていることは、事実であります。しかし、これまで福祉を一つの産業として見ることは、何か福祉の心、奉仕の心の冒涜のようにとらえられ、タブーのようでもありました。しかし福祉は、人々の生活を支えるすべとして極めて重要であるだけでなく、和歌山の経済を支える産業の一部分としても無視できないものがあると考えます。この福祉の雇用という考え方に対し、まずは知事のご所見を賜りたいと存じます。
 また、今年度、本県において介護サービスに従事する方は約九千人、そのうち約二千人は介護保険が始まってから生まれた雇用であり、介護保険の事業費総額は五百億円を超えると聞いております。介護だけとっても九千人の雇用を生み出す五百億円産業であり、茨城県の試算によれば、福祉事業の雇用創出効果は公共事業にまさるとも劣らぬものであるとされているやに聞いております。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 九千人も直接雇用を生んでいる介護保険でありますが、波及効果も含めた経済効果、雇用創出効果は一体どれぐらいになるとお考えになられますでしょうか。概算でも結構ですので、お教えください。
 また福祉事業も、税金等の交付金を使う以上、むだがあってはならないわけであります。さらに、産業の側面からも費用対効果を高めていく必要があります。介護サービスの質の向上という点についてどのようにお考えか、あわせてお尋ねをいたします。
 次に、二つ目の観点について申し上げます。
 少子高齢社会において忘れてならないのは、高齢者イコール要介護老人ではないということであります。私の周囲を見渡しましても元気なお年寄りが大勢いらっしゃいますし、お金もたくさん持っていらっしゃいます。しかしながら、このお年寄りたちにとって、お金を払ってでも受けたくなるようなサービスや買いたくなるような商品が余りにも少ないのではないでしょうか。
 東京の新宿にある京王デパートで、洋服コーナーに高齢者をターゲットにした売り場を設けたところ、かなりのにぎわいを見せていると聞き及んでおります。その理由は、四十歳代の比較的若い女性が着るようなデザインの洋服をゆったりしたサイズでつくったことにあるようでございます。高齢者の方もすてきな色やデザインの服を着たかったのに、そういったものが余りなかったのではないかと考えるところであります。企業が、高齢者が買いたくなるような洋服や電気器具等の商品を開発して、そしてそれを県内のみならずインターネット等を通じて全国に発売できたら、あるいは高齢者向けの観光等のサービスを充実することができたら、それこそ高齢化先進県たる和歌山県が高齢化を逆手にとって売り出せることになるのではないでしょうか。さらに、高齢者の方々の消費を高めることができれば景気浮揚の一助につながる可能性があると考えます。
 このような観点から、県といたしましても、各企業に対し、高齢者をターゲットにした商品やサービスの開発を強く働きかけるべきと考えますが、いかがでしょうか。商工労働部長にお伺いをいたします。
 三つ目は、高齢者の元気づくりという観点であります。
 だれしも、自分が必要とされていると思えることは本当にうれしいことであり、生きがいに結びつくものであります。さきに述べました産業としての福祉の再評価、高齢者向け商品の開発という側面からも、お年寄りが元気に活躍できる社会が必要であります。豊富な人生経験と知識を持つお年寄りは、まさに地域の宝、県の宝であり、この宝を生かさない手はありません。
 新年度予算案におきましても、シニアマイスター登録・活用事業といった新しい施策が盛り込まれておりますが、高齢者雇用というだけでなく、広く高齢者の知恵と知識を生かすという考え方が重要であります。この点に関して、県の取り組みについて福祉保健部長にお伺いをいたします。
 また、これに関連し、最近、高齢者の虐待という問題が浮かび上がってきております。この問題については、虐待する側の介護疲れということも大きな原因となっているように思われますが、子供にとっての児童虐待防止法、女性を中心としたDV防止法が立て続けに整備されたことと比較いたしますと、高齢者に対する虐待防止については法的手だてがないのが現状であります。「高齢者の元気」という観点からもこの問題は非常に切実な問題でありますので、県として今後どのような対策を考えておられるか、あわせてお答えを願います。
 何となく重苦しい、難しい問題が続いてしまいました。最後は明るく、すがすがしいスポーツの話題二つで私の質問を締めくくりたいと思います。
 開幕まであと八十五日となりました二〇〇二年FIFAワールドカップについてであります。
 本年五月三十一日、いよいよ開幕されるサッカーワールドカップの出場国でありますデンマーク代表チームの準備キャンプ地として本県が決定をいたし、これに伴い県キャンプ実行委員会が発足するなど、その準備が着々と進められております。そんな中、一月三十一日、デンマークコペンハーゲンのサッカー協会に向け、社団法人和歌山青年会議所──通称JCと申しますが──本年度理事長西平氏を含む五名のメンバーが地元の歓迎の気持ちを伝えようと渡航をいたしました。そして、デンマーク訪問の際、和歌山市内の幼稚園や少年サッカーチームの子供たちによりつくられた、赤に白の十字が入ったデンマーク国旗のデザインに仕上げられた千羽ヅルを寄贈いたし、その折りヅル一羽一羽に子供たちの歓迎の気持ちを書き込んだそうであります。また、この訪問団には、一九八九年度和歌山JC理事長を務め、日本青年会議所第四十五代の会頭であり、本県教育委員であります樫畑氏初め本県関係者も同行いたし、キャンプの具体的内容の詰めを行ったり、必勝祈願の八咫烏のお札を寄贈されたりしたとのことであります。そして昨年十二月、仮契約時に和歌山を訪問されたスティーン・ダラップ氏がその千羽ヅルを受け取り、「私たちは、勝てる環境を提供してくれる場所として和歌山を選びました。そのとき、地元の反響というものは余り意識していませんでしたが、今改めて和歌山の人々の温かい気持ちがよくわかり、大変うれしく思います」、そう笑顔で話されたそうであります。JCメンバーの一人は、「今回の渡航においてさまざまな出会いがあり、ワールドカップをきっかけにまた一つ新しいドラマが始まろうとしています」と語っておられました。この件に関し、JCのみならず諸団体並びに県民挙げて支援をされており、このことに対し大いに敬意を表するものでありますし、加えて今後開催まであとわずかの期間しかございませんが、県内においてこの輪が一層広がってくれるよう切に望むものであります。
 そこで、お尋ねをいたします。
 新年度予算中、ビッグスポーツイベント招致事業といたし六千万円が計上されておるところでございますが、今後の取り組みについて、またこれを契機といたし、大会終了後も本県とデンマークとの交流についてどうされていくおつもりなのか、県のお考えをお示しいただきたいと存じます。私のみならず、本議場におられます県下各JCのOBであられます谷議員、新島議員、神出議員も皆同じ気持ちであるというふうに拝察をいたします。
 次に、ジュニア駅伝についてであります。
 過日、二月十七日日曜日、第一回和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝競走大会が和歌山市において開催されました。まず、当日大会を支えていただきました和歌山県警並びに和歌山陸上競技協会、また交通指導員協会等、その他ボランティアの方々のご協力に感謝を申し上げる次第であります。
 県下五十市町村代表の小中学生が寒さと雨の中、伝統ある町並みを縫い、海からの風を受け、ほっぺを真っ赤にしながら力いっぱいゴールのマリーナシティを目指し駆け抜けていくその姿に感動を覚えたのは、私だけではなかったと思うのであります。感動は人の心を動かし、子供たちから改めて何か大切なものを教えていただいた、そんな気持ちになりました。
 知事は、表彰式において「来年も」とおっしゃいましたし、事実、第二回ジュニア駅伝ということで二百万円の予算が計上されております。何とぞこの大会が毎年続いていきますよう、この場よりお願いをいたすものであります。
 また、子供たちが順位に関係なく、一本のたすきをバトンタッチしながら懸命に走り続けたこの大会。それだけに、最終走者が走るコース設定に工夫が必要であったのではないか、そう感じました。次回からはこの点に留意され、走者と応援者が一体となった感動が得られますよう、そんなコース設定をしてあげてくださいますよう、要望をいたします。
 以上、大きく四点にわたり質問をしてまいりました。何とぞ県当局におかれましては意のあるところをお酌み取りいただき、誠意あるご答弁をお願いいたし、私の質問を終了させていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの山下直也君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの山下議員のご質問にお答えいたします。
 朝の連続ドラマの「ほんまもん」ですけれども、けさのを見ていましたら、和歌山の熊野では受けなかったけれども、大根の料理のフルコースが大阪では非常に受けたということがあります。こういうふうに、私は、和歌山県というのはほんまもんを全国へアピールしていけば、これからますます発展していくことが可能なんだなと自信を深め、そういう方向に向かっていろいろな県政を進めていかないといかんなということを朝から思ったところでございます。
 そういう中で来年度の予算でございますけれども、今、議員のご質問の中にもありましたように、財政再建ということと和歌山県に元気をつけるということと両方が違う方向を向いたベクトルを一つにしていかなければならないという非常に難しい作業を強いられたわけでございますけれども、これは一つにはすべての事業──今まで当たり前だと思っていた事業を全部見直すことによって財源をつくり出す。そして、厳しいことでしたけれども、給与のカット等によって財源を見出すと。こういうふうなことでお金をつくり出して、そのお金で百と言っておりますけれども、緑の雇用事業もそうなんですが、いろいろ和歌山の独創性あふれる事業に予算を振り向けることができたというふうに考えているところでございます。
 例えば、ドクターヘリといって、お医者さんにヘリコプターに乗ってもらって中山間へも行ってもらって人の命を救うとかいうふうな仕組み、そしてまた、観光も和歌山の大事な産業なんですけれども、体験型ということで、単なるスポット的な観光地だけじゃなくて、和歌山県全体が観光としての資源になっていくような仕組みとかいうふうなもの、いろんなことをその予算の中に取り入れていく。そういう意味では、ご質問にもありました、筋肉質の予算になったというふうに自負しているところでございます。
 しかしながら、今後ますます地方行財政が厳しい状況、大変革の時代に向かってくると考えておりますので、今予算化したいろんな事業をどういうふうに──本当に和歌山のために血となり肉となるように進めていくかということを研究していくとともに、さらには引き続き不断に見直しを行う。例えば百の事業というのをことし予算化して議会にお諮りしているわけでございますけれども、こういう事業の中でも役に立たなかった、余りよくなかったというものがあれば、当然のことながらすぐに見直していく。こういうふうな不断の見直しの中で勢いある県政をつくっていくことが必要であろうと思っているところでございます。
 それから、福祉の雇用についてのご質問でございます。
 これについては、私に対するご質問でない部分についても大いに参考になり、力を得たところがございます。
 まず一つ、福祉を産業面から見ていくということでございます。
 これは、今までの考え方からすると、福祉を商売の種にするということについては非常に抵抗が多かったことも、これは事実でございます。しかしながら、やはり経済原則に合った形でなければうまい福祉とか介護とかいうことがなかなか進んでこないということも、これまた事実であろうと思っておりますので、県とか市町村が十分考えていきながら、本当にお年寄りに質の高い、そして経済原則にも合い、和歌山県の若い人たちの雇用の場にもつながるというふうな形での福祉産業というものを目指していく必要が大いにあると考えております。
 それから、高齢者向きの商品開発ということですけれども、今、贈与税を下げたらいいとかいうようなことが大いに言われています。贈与税を下げるのもいいんだけれども、まずはお年寄りが買いたいものを開発したら──お年寄りが一番お金を持たれているけれども余り使わないということが今のデフレの一つの原因にはなっているわけですので、そういうふうな発想、そしてそれをまた和歌山県から発していくという考え方というのは、私は物すごく大事なことだろうと思っております。
 それから、高齢者の元気づくりということ。白浜に「あぜみち」という、農家の女性の方々がいろんなものを持ち寄って売っている店があるんですけれども、これなども大変な繁盛ぶりです。そして、これは別にお金のことじゃなくて、そういう品物をつくっているお年寄りの方とかが朝の四時から起きて品物をつくるという過程で非常に元気が出ているということがあると聞いております。これから、和歌山県でこういうふうな面でのお年寄りの元気づくりということも積極的に進めていきたい。これは私に対する質問じゃございませんので、ちょっと蛇足でございますけれども、考えさせられたところでございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 財政運営に関するご質問にお答えを申し上げます。
 まず初めに財政健全化に向けた取り組みについてでございますが、平成十四年度の当初予算の編成に当たりましては、財政運営プログラムに基づき、収支不均衡の改善による財政健全化を推進するため、人件費の抑制あるいは既存事業の徹底した見直しによって歳出の削減に努めたところでございます。
 人件費につきましては、職員定数の削減に努めますとともに、今年度より実施しております給与カットの対象を全職員に拡大することによりその縮減を図ったところでございます。
 また既存事業につきましても、予算査定等を通じまして、それぞれの事業に対して所期の目的の達成状況あるいは費用対効果等について徹底した見直しに取り組みました。特に県単独補助金では、総額で約四十四億円の縮減を図るなど、思い切った事業費の削減に努めたところでございます。この結果、税収が大きく落ち込む見通しの中で、収支の不均衡額を前年度に比べまして十二億円縮減することができました。財政健全化に向け、着実に前進することができたものと考えております。
 次に平成十五年度に向けての収支の見通しについてでございますが、現下の我が国の経済状況あるいは本県の財政状況、さらには国で検討されている地方財政制度改革の動向などを踏まえますと、平成十五年度の当初予算における収支につきましても一段と厳しい状況が予想されるところでございまして、収支不均衡の改善に一層取り組んでいくことが肝要であると考えております。
 最後に、お尋ねの三十一の外郭団体の職員数及び団体への県からの支出の状況についてでございますが、職員数としては平成十三年七月現在で、全体で八百三名という状況でございます。また、県からの支出につきましては、これは施設の管理委託などさまざまな業務の委託などを実施しておりまして、十二年度の決算で見ますと、委託料、貸付金などすべて合わせまして総額で約百億円といった状況でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、コスモパーク加太の今後の取り組みについてお答えを申し上げます。
 コスモパーク加太につきましては、県未利用土地利活用方策検討委員会の報告書の中でも、長期的視野に立ち、市場動向や社会的ニーズに対応したプロジェクト再生の必要性ということが提言されたところでございます。
 議員ご指摘のとおり、社会経済情勢が急激に変化する中で、土地価格の下落ですとか土地所有に対する意識の変化等、コスモパーク加太を取り巻く環境は大変厳しいものがございます。これら状況の変化を受けまして、コスモパーク加太の事業手法を従来の一括整備から段階的活用方式に転換することとし、具体的にはリース方式の導入ですとか分割販売等、企業からの要望にこたえられる条件整備を初め、企業が進出しやすい状況づくりの検討を進めてまいります。
 また、このような事業手法の転換に伴い、長期にわたる整備を円滑に推進する観点から、金融機関等関係機関とも協議しながら、金利コストなど土地保有コストの低減方策など、将来にわたる諸課題についても検討してまいります。
 あわせて、コスモパーク加太を国内外に積極的にPRし、その利活用を強力に推進してまいりたいと考えてございます。
 次に土地開発公社の見直しに伴う県の見解についてでございますが、土地開発公社の見直しにつきましては、昨年十二月に土地開発公社において当面のスリム化方針を策定したところでございます。その内容は、第一点、新規のプロパー事業については当面その規模にかかわらず凍結する、第二点、現在の保有土地については完成、未成を問わず早期売却に努める、第三点、県内各地での県の用地交渉業務の円滑な推進に資する観点からあっせん事業の確保に努める、第四点、事業内容の見直しに伴い組織機構等を縮小し、必要最小限の体制とするといったものでございます。これらの方針に基づき、県土地開発公社としましては、来年度から業務を従来のプロパー事業から公有地取得に係るあっせん事業中心にシフトすることとしてございます。県といたしましても、議員ご提言も踏まえ、土地開発公社の位置づけ、あり方について抜本的な検討を進めるとともに、当面の経営スリム化方針の実現に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 福祉の雇用につきましては、先ほど知事からもお答えがございましたが、私からは、まず介護サービスについてお答えを申し上げます。
 介護サービスの経済効果、雇用創出効果についてでございますが、現在、五百二十億の事業費で九千人の雇用がございます。保健医療福祉サービスの場合に、波及増分も含めまして投入した費用の約二倍の雇用創出効果があると言われてございます。あくまで概算でございますが、全体としましては一万八千人程度の雇用を生んでいるものと考えてございます。
 次に介護サービスの質の向上についてでございますが、県といたしましては介護保険の最大の課題の一つと認識しております。県民の皆さんがだれもが安心して良質なサービスを受けられるようにすることが大変重要であると考えてございます。特に平成十四年度におきましては、介護保険制度の中核であります介護支援専門員の資質の向上や活動支援を図るために新たにケアマネジメントリーダーの養成、相談窓口の設置、専門研修を行うとともに、より質の高いケアを実現するために重要な医療と介護の連携を推進してまいりたいと考えてございます。また訪問介護員等に対しましては、テーマ別の技術向上研修や痴呆介護技術の向上を図るための痴呆介護実務者研修の充実等、介護現場の状況とニーズに応じた研修を実施してまいります。
 このほかに、グループホームにつきましては、今年度は自己評価を実施しておりますが、来年度からは第三者評価を実施することとしてございます。
 今後とも、利用者の皆さんに満足していただける、よりよい介護サービスの提供に向けて取り組んでまいります。
 次に、高齢者の元気づくりについてお答えをいたします。
 高齢者の豊富な人生経験、知恵、知識を地域の活動に生かしていただくことは、高齢者と地域社会の双方にとって大変重要なことでございます。このため、十四年度新規事業といたしまして、長い人生経験から培い、秀でた知識、技能、生活の知恵、伝統芸能を持っておられる高齢者の方をシニアマイスターとして認定し、登録をしていただき、例えば農山村地域での都市住民との交流事業、地域の祭り等の伝統行事の指導、伝承など、実際に活動していただくシニアマイスター登録・活用事業を計画してございます。高齢者の知識、技能等を地域社会へ貢献していただくことにより、高齢者自身の生きがいづくりになるだけでなく、新しい元気な高齢者像を示すこともできると考えてございます。
 また、高齢者の虐待についてでございますが、これは、一般的には介護する側のストレスや閉鎖的な人間関係による介護疲れが大きな要因で、多くは家庭内で起こり、外に出てきにくい面がございます。県としましては、まず生きがい活動や高齢者の行き場づくりなど介護予防を推進することにより、高齢者自身が元気なうちから地域とかかわりを持てるようにすることが重要と考えてございます。仮に介護を要する状態になったといたしましても、早い段階からサービスをご利用いただくことが介護疲れの予防に有効であると考えてございます。
 いずれにいたしましても、高齢者が地域と積極的にかかわりを持って暮らし、和歌山で生まれ、育ち、長生きして本当によかったと思えるような元気高齢者創造支援施策の積極的な推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 高齢者向きの商品開発についてでございます。
 高齢化社会の進展する中での商品開発につきましては、福祉、ユニバーサルデザイン、健康といった社会ニーズに対応した視点が重要になってまいります。また、県が作成する産地の集積活性化計画の中でも、産地内企業の目指すべき方向の柱の一つとして位置づけているところでございます。
 具体的な取り組みといたしましては、高齢者の方々が使いやすいコップや皿などの食器類の開発や繊維素材を活用したユニバーサルデザインの商品開発に積極的な産地組合や企業もあり、そのような活動に対する支援を行ってございます。
 議員ご指摘のとおり、高齢者の方々をターゲットにした商品やサービスは今後さらに有望なビジネスになると考えられ、産地組合等が取り組む新事業の展開や新分野への進出、また観光面においても本県の魅力ある地域資源を活用した高齢者の誘客活動などを積極的にバックアップしてまいります。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) ワールドカップサッカーのキャンプについてお答えいたします。
 まず、キャンプ開始までの取り組みについてでありますが、現在行っておりますボランティアの募集を初め、デンマークを紹介する講演会の開催、さらにデンマーク代表チームのOBによって構成されているシニアチームを招いての親善試合やサッカースクール等の開催を予定しております。
 また、キャンプの期間中には公開練習を実施していただくとともに、ワールドカップで日本と対戦するチュニジアとの試合がこのほど決定したところであり、県サッカー協会や青年会議所など関係団体と協力して準備を進めております。
 次に、今後のデンマークとの交流については、このキャンプをきっかけにしてスポーツ、文化など幅広い分野で交流が図れるよう、関係団体等とその方策について現在検討を行っているところでございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 九番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。
 今回の一般質問は、地方分権への対応と市町村合併について、農業経営の理念とその構築のための協力社会の実現、そして緑の雇用事業の活用について私の思うところを提言し、受けて木村知事の所見を賜りたいと存じます。
 今、国民は立ちすくみの状態にあります。当面の経済対策はおろか、中長期的な展望が描けない状況のもと、行き場のない日本丸が荒波の中を転覆しないように小泉船長のかじ取りに命運をかけ、あらしの去るまで必死に耐えているのが現状であります。
 一つには、我が国の社会システムそのものが疲弊しているということであります。政治、経済、行政、そして教育等々、すべてであります。特に政治においては、冷戦後、イデオロギーでの対立軸が失われ、都会と地方、高齢者と若年者というような対立軸が見えるようになってきたのが昨今であります。また、物価や株価の下落と消費の低迷によるデフレスパイラルへの移行、失業者の増大、年金制度の疲弊、特に金融破綻に係る企業倒産の増大が今後の大きな懸念であり、大きな不安であります。まさに小泉船長が取り組んでいる構造改革が実を結ぶかどうか、大きな焦点となってきております。
 もう一つの要因は、中国の経済開放政策による近代化の著しい進展であります。特に農業と工業分野の競合が我が国の空洞化を招き、今後もこの傾向が続くと見られます。低賃金下での安価な商品、中国労働者依存による工場移転、さらには日本国内の生産現場での雇用を中国人にゆだねる傾向にもあります。また農産物においても、日本企業による中国での生産を急いでいる状況も見過ごせません。巨大な人口を抱えた中国の台頭は、我が国の物価の下落と雇用の空洞化をより鮮明なものにしつつあります。
 以上が経済を中心として下降局面に至った大きな要因であり、国全体の自信喪失に陥ったシナリオかと考えます。また、現状に目を転ずれば、中高年のリストラによる失業者の増大、就職難から来る新卒者のフリーター化等、我が国の雇用状況の厳しさが一段と高まりつつあり、何ら解決の糸口すら見出せない状況に本当に心を痛めています。
 さて、時代の変革期、新しい地方行政を模索する真っただ中にあって、木村知事を先頭に職員の皆さんの努力によって緑の雇用事業を初め諸施策を次々と打ち出し、また諸問題の解決に当たっておられることに、まず敬意を表します。我々議員も、すばらしい和歌山創造のために行政の皆さんと一緒に取り組めるような提言を行いつつ、また県民の方々にはあらゆる情報を提供するためのなお一層の努力をしていかなければならないと考えております。
 さて、これからの地方自治のあり方として、自分たちのことは自分たちでやっていくのだという決意と、地方自治体も競争する時代に突入したことをまず認識しなければなりません。何よりもみずからの発想による地域づくりに果敢に挑戦し、和歌山がこれから進んでいくであろう道のりの方向づけをいかにするかを、今、最も重要視しなければなりません。もちろん、人類の向かう先、そして日本の進むべき道にアンテナを高くし、理念の構築に和歌山県が独自で取り組まなければなりません。少なくとも、何が県益なのか、また県民一人一人にとって何が幸福なのかを明確にすることから始めることは自明であります。幸福論の構築には、多くの県民の皆さんとのコミュニケーションを図る中からあるべき理想を感知し、多数の気持ちを酌み取っていかなければなりません。潮流として、人の生き方はそれぞれ多様であります。多様な時代ほど将来の何かを予知し、これを政策に生かしていく努力を積み重ねていくことが政治家であり、行政に携わる者の責務と考えます。
 今、テレビ朝日系六チャンネルのテレビ放送で、毎週土曜日の夕方に「人生の楽園」という番組がございます。中高年層になかなかの人気だそうであります。新たに身を転じて地方に暮らす夫婦の生活を密着取材した番組であります。Iターン、Uターン組ありで、自分の思うがままに素直に生きる、自分の最もしたいこと、好きなことを一生懸命に、そしてそれを生活の糧にする、そんな若い夫婦や中高年夫婦が主役であります。特に都会でのエリートサラリーマンを脱して人生のやり直しにチャレンジをしているケースは、まさに田舎型ベンチャー企業の立ち上げであります。日置川が舞台となったときには、より興味深く見たものであります。田舎の暮らし、そして人情あふれる地元の人々との触れ合い、そして助け合い、何よりも大自然の中での人間のあり方を問うところが番組のねらいでしょう。何もない地方にこそほんまもんがあり、自然の宝がある。急がず、ゆっくり自然に身をゆだね、悪戦苦闘、涙と笑顔の日々、そして少しずつ幸福を感じ取っていく過程を随所に見ることができます。
 さて、日本人の生き方の源泉に農耕民族の血が流れているとよく言われますが、妖怪漫画「ゲゲゲの鬼太郎」の作者水木しげる氏がある雑誌に次のような談話を載せています。「日本では、成功しても、その先にもっともっといいものがあるように見える。まるで幸福の峠をあくせくよじ登っているようなものです」と。そして、みずからも暮らした最高の楽園と信じてやまない南洋の島を指して、「ラバウルの原住民たちは今ある畑を耕して残りの時間は昼寝をするんですが、日本人は、今ある畑を耕したら、さらに新しい畑をつくろうとするからおかしくなる。ちゃんと昼寝をして幸せの規則を守ればいいんです。日本人は、努力しないと何か悪いことのように見られているので、一生懸命働きまくって死ぬ人が多い。でも、それで幸せが得られるのかと言えば、そうでもない。日本社会は、金にしろ何にしろ欲の切りがない社会であり、楽園であるラバウルには切りがあるんです」と言って結んでおります。
 日本人にとっての幸福とは、金をもうけることなのか、仕事はそここそに私生活を充実させて心豊かに暮らすことなのか。日本人にとっての究極の幸せについて共通認識が今の日本にはないのが現実であり、社会や経済が方向性を見失っているのも、そこに端を発しているのだろうと思うわけであります。
 雑誌「エコノミスト」にも、こんな記事があります。ご紹介します。「経済成長を見込めなくなった日本で、米国型市場主義経済を国民の新たな価値観に据えようとしている」、しかし一方の米国人について、「米国の市場主義を支えるのは、一世紀近く変わらない、ごく普通の田舎の暮らし。いざとなればそういう生活を送ることができると思うから、米国人は究極の競争社会に身を置くことができる」と解説しています。
 ここで、第一点目として地方分権の対応と市町村合併についてお伺いしたいと思います。
 まず、我が和歌山県の幸福論をどこに据えるのかについてであります。
 地方分権推進法第一条「ゆとりと豊かさを実感できる社会を実現すること(中略)を目的とする」、また第二条には「個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現」云々であります。地方を人生の楽園にすることに価値を見出し構築していきなさいとも読めますし、また大半を地方で考えなさい、そのために自立しなさいとも読み取れます。
 さて、ここで県民の幸福論とは一体何なのかであります。目先の利益に流されずに、これは我々の手で予知し、確立しなければならないのではないでしょうか。そのためにも、二十世紀の科学技術の進展と経済発展、そして戦争と破壊による時代から得たものと失ったものとを精査し、人間の生き方、地方のあり方を根底から見直すべきであります。
 今、県当局支援のもと各市町村では、合併に向けての住民の合意を得るための努力や行政間の調査検討が急ピッチに進んでいるところかと思われます。ただ、現状では、行政事務の効率や広域事業の推進、公共事業の増大等々の財源的なメリットが論議の中心であります。これは、ハード面でのものです。一方で、ソフト面での住民の幸福論が議論の対象になっていないのが気にかかるところであります。
 市町村合併論議は避けて通れませんが、それぞれの地域の幸福論に大きな誤差は生じないのかどうか。また、それを合併協議の焦点に置くべきではないのだろうかと。しかし残念ながら、それぞれの地域では新しい将来像を描き切れないのが現状であろうと思います。それだけに、ビジョン策定にかわっての市町村支援は、県の役割が相当大きなものとなるでしょう。先駆けてみずから県政の目指す方向と県の理念を市町村や住民の皆さんにももっと強くアピールすべきであります。
 国のビジョンを模範として、市場経済主義のもと、スピード社会を目指すのかどうか、それともこれからは違ったものにしていくべきなのかどうか、示さなくてはなりません。私が思うには、この市町村合併は、協力社会の実現が可能であり、なおかつ理念が共有できる結びつきが前提であってほしいと考えます。なぜなら、信頼関係を維持できる合併でなくてはならないし、国の財源上の都合で行う合併であってはならないからであります。
 市町村合併というものは、親から自立しようとする者同士の結婚のようなものであります。新婚当時から無理して大きな家を建てることは、賛同いたしかねます。小さな家を建てて明るい家庭を築く方が大切であります。力を蓄えた後に大きな家を築いていく方が、長い人生においてより充実した夫婦生活が送れるのではないか、そんな気がいたします。小さな家も無理な場合は、しっかり者の兄さんに当分間借りしてでも結構暮らしていけるのではないかと思います。いかがでしょうか。ちなみに、親とは国、兄とは県、そして大きな家とは広範囲な合併、小さな家とは小規模合併のことであります。
 地方分権は、地に足のついた粘り強いものでなければなりません。そのためには、県行政によって、市町村あるいはその先にある地域の人々との直接的なコミュニケーションから施策をつくり上げていくことであります。これが複雑化した県と市町村の役割分担を解きほぐし、住民のニーズに合わして的確に行政を目指すことになります。このことによって、市町村合併推進支援のあり方やなすべき方法がおのずから見えてくるものであります。ここを避けて市町村の独自性も生まれないでしょうし、地方分権そのものが弱肉強食の時代と見る向きも払拭できないのではないでしょうか。
 以上の観点から、市町村合併の推進の立場である県の役割とその理念をお伺いいたします。
 第二点目として、農業経営とその構築のための協力社会の実現についてお伺いいたします。
 まず初めに、県の目指すべき理念として、大地を守り人をはぐくむ行政を今後の県政に生かしていただきたく、私の方から提案いたします。
 地域再生のキーワードは、その土地に根づいた固有の自然や文化を大切にし、その担い手である人づくりからと言っても過言ではありません。人間の生活の場を取り戻すための公共投資であります。土地と労働力は、地域の本源的な生産要素であります。国全体が危機的状況の中で、なおかつ地方の自立が我々に託された選択肢であれば、先人の営々と築いてきた自然の営みを大切にし、将来を託していけるであろう人材をはぐくむことに再び挑むことにほかなりません。大地を守り人をはぐくむ行政──今回はこの「大地を守る」に的を絞って産業経済再生、とりわけ農業振興について具体論を示していきたいと思います。
 本県の基幹産業である農林水産業の安定した経営を目指すために、やはり既存の農山村や海浜を大事にすること、そして消費者に軸足を向けた生産方法と消費者にわかりやすい流通をより以上に徹底することではないかと考えます。特に農業経営の基盤安定のためには、農薬の低使用化と有機栽培の促進、産地や生産者の表示徹底、流通の近代化等を官民挙げて取り組んでいくことであります。そして、より安全な食べ物を安定価格で消費者に提供することが大事であります。これらの農産物や海産物を絶えることなく生み出すこの豊かな山海は、和歌山県の天から授かった大きな恵みであります。
 古来より紀伊半島に暮らす人々は、自然の恵みを大切に享受し、そして生活基盤として農林水産業を守り、発展してまいりました。これからも自然に逆らうことなく、自然の規律を守り、自然の恩恵を受けていかなければなりません。この産業が今後とも発展していくためには、安全性の確保と消費者にどのように流通させるのかが課題であります。このことは、BSEいわゆる狂牛病問題や雪印食品のケースのように、消費者が主役だということを忘れては農林水産業の未来がありません。特に農産物に関しては、品質と安全検査の徹底、あるいは流通支援の連携、そして栽培のための技術指導等は、産・官・学の協力体制による取り組みが不可欠であります。
 あわせて、時代の要請は徹底した情報の開示であります。原産地表示の適正化を急ぐための条例づくりや農協や卸売市場の生産者表示等の協力は欠かせません。とりわけ、安全性確保のための残留農薬検査は四十日も及ぶと言われています。この迅速な検査体制の確立等、消費者の信頼に足る安定供給システムの構築は火急の課題であります。そして、安全、新鮮、美味のアピールを他府県に先駆けて実施できるよう、このマスタープランは早急に打ち立てなければなりません。そのためには、生産過程の徹底分析、そしてそれを生かしつつ流通システムにインターネットなどを駆使した情報処理技術等の導入を図ることからスタートすべきと考えます。
 このように安全性優位を目指す農業経営は、限りなく自然栽培に近い農法を確立し、その生産品を効率よく消費者に提供していくことを目指すことにほかなりません。この実現のため、各分野の連携と協力体制が絶対に欠かせません。
 ここで私は、協力社会の実現を提案する次第であります。行政、公的研究機関、学校、民間企業、さらにはNPO等の協力を得る社会であり、主体である県民一人一人が協力する社会であります。特に行政機関においては、農林学、理化学、経済学、気象学、さらには法律分野を駆使し、専門分野にとらわれない縦横無尽の協力体制を必要とします。同様に、これからの新しい時代は、あらゆる行政分野においても必要性を認識していかなければなりません。かなうものであれば、県庁機構の中に知事直轄の協力社会推進課の新設を木村知事に要望したいところであります。
 さて、提案いたしました理念の一端である「大地を守る」上での農業経営等のあり方を申し上げましたが、協力社会の実現を前提とした新しい農業経営の行政指導と支援面において、県の基本的な考え方と将来に向けての取り組みをお伺いいたします。
 最後に、三点目として緑の雇用事業の活用と観光についてお伺いいたします。
 緑の雇用事業につきましては、知事を初め各部局の方々、そして地元の国会議員さんの協力等々、大変なご尽力によりスタートしたところであります。また本事業は、国の指導のもと、素早い対応で事業案を練り、費用対効果を図られる必要もあったでしょうし、なおかつ実施に当たってはスピードが要求されたことは承知しています。それだけに関係職員の方々の苦労のほどは、十分我々に伝わってまいります。ただ、後年においてももう一踏ん張り願って、森林を守り育てるための雇用対策から暮らしたい町づくり、そして訪れたい町づくりとするダイナミックな理念を掲げて当該事業を拡大活用していけないものかと考えたわけであります。単なる失業対策に終わってほしくない、新世紀にふさわしいすばらしい発想に基づいた公共投資であるだけに、あえて欲張って国の理解を今後とも求めてほしいところであります。
 拡大活用の一例を申し上げますと、美しい町づくりの創出にすべての市町村を対象とすることであります。沿道や公的空間の花づくりを進め、さらに企業や個人に呼びかけてオープンガーデンづくりの取り組みや種苗配布によるすべての家々にガーデニングの普及、そして集落ごとに統一化された生け垣用の植栽事業への支援等であります。
 訪れたい町にするということは、すなわち潜在的に集客能力のある町に位置づけるということであります。もう既に全国津々浦々にこのような美しい町づくりが急ピッチに仕上がっている中で、今までの私たちは、豊富な史跡と自然豊かな風光明媚な土地柄であるだけに、若干手づくりの美しさにむとんちゃくであった気もいたします。
 いずれにいたしましても、今進めようとしている緑の雇用事業の重要性は理解しつつも、自然相手の過酷な山仕事が主であります。それだけに、経済効率性だけを追求して無理をすると、人間も森も傷がついてしまいます。長く働けるように、のんびりとゆっくりやっていくのが山仕事であります。山に住み、山のリズムに合わせる男性的な仕事として雇用を提供しつつ、私が提案しました高齢者の方々や地元の女性の方々も対象となり得る、生活者を優先した美しい町づくりを目指すため、町々に花木を育てる緑の雇用事業があってもいいのではないか。これを一考願いたく提案する次第であります。
 最近のあるテレビ番組で、首都圏で一番行ってみたい町のベストテンはどこかと特集していました。選ばれた町のすべてに共通している点は、やはりきれいでおしゃれな町であるという事実が鮮明に浮かび上がってきています。ちなみに申し上げますと、選ばれた町の大半は、自由が丘等、都心から少し離れた町々であるという事実も印象的でした。多少不便であっても物を買ったり食事に行ったりと、あえて時間をかけて訪れる町、ぶらりと行ってみたい町──本当に目標としたい町々であります。とにかく、都会にいても田舎に住んでも、きれいでおしゃれな町づくりの創出によって生まれる波及効果は普遍であります。そこに住む人々が暮らしたい町づくりに取り組むことが、すなわち訪れたい町づくりとなるわけであります。これを見る限り、博覧会や大きなイベント、テーマパーク、そして過大なPR作戦等、従来型の構えた観光への投資は完全に時代おくれと言わざるを得ないのではないでしょうか。
 このように観光地という定義づけは、今後は大きくカーブをしながら、暮らしたい町を見に行こう、そしてそこでお茶を飲んだり食事をしたり、地元で売っているものを買ってみようというスタイルに変わりつつあります。このスタイルがこれからの時代の人の移動を動機づける大きな要素となり、既に定着しつつあるのではないでしょうか。ふだん着のままの生活を見て人と人との触れ合いが始まり、そしてきれいな町との相乗効果を発揮することがこれからの地域集客能力開発のキーワードであると考えます。
 以上、緑の雇用事業から地域づくり、そして観光の定義まで発展させてきました。暮らしたい町、訪れたい町の創生に至る遠大なプランの実現は、並大抵でありません。しかし、県や市町村が情報発信を行い、地域や各自治会、そして県民一人一人の理解と行動等、協力社会の構築が得られれば実現することは容易であります。
 なお、美しい町づくりのための条例制定や現行法規の遵守徹底及び見直しを行う必要性も生じてこようかと考えます。そして、住民による住民のための地域づくりをコーディネートし、県行政が主導に立って市町村を支援してほしいものであります。
 緑の雇用事業の拡大活用と観光の位置づけを関連して申し上げました。事業化への是非と新たな観光の潮流を踏まえて見解をお願いします。
 以上、三点を申し上げてまいりました。木村知事の大所かつ高所に立った所思をお願いして、一般質問を終わります。どうもありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの坂本登君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問、私ももう真剣に、本当に感動しながら聞かせていただきました。
 まず、和歌山県のこれからの方向の中で、例えば今都会の人が田舎型の暮らしとかいうものにあこがれるということがある、そういうことをやっぱり考えていくべきだとおっしゃるのは、そのとおりだと思います。
 私が緑の雇用事業を提唱しているのも、現代人の生き方をもっと多様化させていかなければならないという考え方からでありまして、日本の国は今、平均年収が六百万円ということで世界一なんですけれども、二十一世紀には中国なんかの台頭もあって、こういう状況を確保していくのは難しいと。そうしたら、現金収入は仮に二百万円ぐらいであったとしても、心を豊かにする四百万円で合わせて六百万円の収入ということで自分に合った生き方とか、地域をよくしていくような生き方ということを追求していくのが人の一生の中で大事な時代に二十一世紀はなってきたのじゃないかと。そういう中で和歌山県は、持っている自然とかいろんなものをもって情報発信など、いろんなことができていくんじゃないかなという考え方でいるわけでございます。
 そういうふうな中で、今、市町村合併ということが問題になってきておりまして、もう既に三つの重点地域も指定され、それぞれの地域では、例えば任意協議会を設けるとか、そしてまたそれを法定の協議会に進めていくとか、いろいろな作業を苦しみつつ協議しつつ進められているというのが現状でございます。
 しかしながら、これは必ずしも財政的にやっていけなくなるから合併するんだという話では非常に小さい、歪曲化された話であって、そういうふうなことで今まで何十年も培われてきた地域社会が変わっていくということは、これはいいことではないと私は思っております。やはりそこに、こういうふうに合併することによってよくなるんだ、そしてまたよくしていくんだという理念ということが必要であると思いますし、それから合併する数も、三千の団体を千ぐらいにするんだということが一般的に言われていますけれども、これは、二つのものが一つになるということがあってもいいし、三つが一つになるということがあってもいいし、十が一つになるということがあってもいい。これは、やはり地域のそれぞれの実情とか気持ちとか高まりとか、そういうふうなものに合わせて考えていくべきだろうと思います。
 そういう中で、県も、ただ単に国がこういうふうな意見を出しているからとか、こういう補助制度ができたからとか、そういうものの伝達役みたいなことをするのではなくて、やはり県として和歌山県の市町村がどういうふうな形になっていくのが一番いいかということを、これも押しつけるのじゃなくて真剣な形でアドバイスしていくことが私は最も大事なことだと思っておりますので、組織もまた強化していきますし、それからいろんな助成の仕組みも新年度また充実していくというふうな形の中で、関係の市町村と一緒に悩みながらこの市町村合併ということに対処していきたいと、このように考えております。
 それから、農業経営ということでございます。
 農業経営は、和歌山県では基幹的な産業でございます。ただ、やはり今の非常に厳しい状況の中で生産性が低いというような問題があります。しかし、和歌山県の地勢とかいろんなことを考えていくと、やはりこの農林水産業を大事にすることなくしては発展があり得ないということは、これはもう私がずっと就任当時から言っており、今もその思いを強くしているところでございます。
 ただ、今まで型の農業とかというものを続けていると、中国なんかから大変大量生産されたものが入ってくるという中で、ますます苦しくなる。一方には、今、日本の国も、景気は悪いですけれども、皆さん、非常に豊かになって、いいものがあれば幾らでもお金を使う人がいると。きょうの新聞にも載っていましたけれども、そういうふうな状況がある。そういう中で、ぜひ和歌山県は近畿圏の中にあるという土地的な優位性も生かして、今ある製品というか生産物をブラッシュアップし、そしてそれに都会に合うような形、嗜好に合ったような売り方というものを考えていく必要があると思います。これがすべてではありません。もちろん、農協とか系統の形で売っていくということが大部分を占めることは間違いないんだけれども、新しい時代に合った物の売り方というものを考えていく必要があると。
 例えば、先週、私はめっけもん広場へ自分で行ってきたんですけれども──別に特別なところをPRするわけじゃないんです──本当に新しい野菜が町の値段と全く違う安い値段です。あんパンも売っていましたけれども、あんパンもおいしかった。きのうは、あそこで買ったお豆腐を自分で湯豆腐にして食べましたけれども、これも考えられないぐらいおいしかった。そういうふうなこと。それで、大阪の方から来た人なんかで駐車場はもういっぱいなんですね。やはり、いいものをいいような流通の仕方で売っていったら非常に売れるということは、私はあると思います。こういうこともひとつ和歌山県のこれからの農業が目指していく道じゃないかと思っております。
 それから、インターネットの販売も今まだ緒についたところではありますけれども、これからこういうものが非常に大きな役割を持ってくると思います。去年つくりました和歌山わいわい市場も、去年のお歳暮のシーズンから売り上げが伸びてきておりまして、県の農林水産業の生産物などがかなり売れるようになってきておりますけれども、こういうふうなことについてもますます力を入れて、県の農林水産業に携わっている人がみんな何かの形で参画していけるようなものに進めていきたいというふうに思っております。
 それから、緑の雇用事業でございます。
 緑の雇用事業を単なる失業対策に終わらせるべきではないというお考え、全くそのとおりでございます。私は、この緑の雇用事業は、何も枝打ちとか間伐とかをする人を都会から来てもらってというようなことだけ考えているのじゃなくて、もう山仕事というのは──私も、この間山の方へ行ってあれしましたけれども、三十度も四十度も角度のあるようなところで大きな材木を切り出すと。これは大変なことです。すぐにだれでもできることじゃありません。だから、やっぱりそれに向かない人だって当然出てくるんだけれども、そういう人たちもいろんな形で地域づくりとか過疎対策とかに活躍してもらえるような交流を進めていきたいということが根底にあるわけでございます。
 先ほどお話にあった、和歌山県は余りにも自然の豊かさに恵まれているがために手づくりの美しさにむとんちゃくだったんじゃないかということは、私は本当にこれは大事な指摘点だと思っておりますので、そういうふうなことへもこの緑の雇用事業に携わったり入ってきた人たちがかかわっていけるように。そして、これはただ単に来た人だけじゃなくて、地域の住民の人も含めた全体的な運動にしていくことがある意味では和歌山のリーディング産業たるべき観光ということでも非常に大きな役割がある。例えば熊野古道なんかは県も非常に一生懸命に売り出しているんですけれども、これだってやはり周りの環境がよくなかったら、ただ単に平安時代にたくさんの人が歩いたというだけではもう人を呼べるような時代ではないわけでございます。そういう意味で、手づくりの美しさをつくっていく、そして町をきれいにしていくという緑の雇用事業をさらに発展させていくというお考え、非常にあれだと思いますので、私どもも参考にしながら進めてまいりたいと思います。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時二十五分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(堀本隆男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十六番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 お許しをいただきましたので、一般質問に入ります。
 まず、緑の雇用事業について伺います。
 昨日の村岡議員の質問にもあったように、日本共産党県議団は知事が提唱された緑の雇用事業が一時的なものではなく地域に密着した事業として末永く続いていくよう応援するものであります。その立場から何点か質問をいたします。
 最初に、昨年の十二月補正予算から実施され、そして今年度も継続される予定の古道周辺森林環境整備について伺います。
 先日、地元紙の報道もありましたが、中辺路町内の熊野古道周辺で行われたこの事業について、地元の方から苦情がありました。そこはもともと古道の周辺に広葉樹林を復活させるため植林を伐採して広葉樹を植えた場所で、地元の方によりますと、十年ほどたってようやく一人前の林になってきて、小鳥たちもたくさん来るようになっていたとのことです。その林が古道周辺森林環境整備の事業でかなりきつい間伐をされて、見晴らしはよくなったが、実のなる木も少なくなって小鳥もいなくなったとのことでありました。私も現地を見てきましたが、古道の語り部の方たちや森林の生態に詳しい先生方もがっかりした様子でありました。しかし一方では、事業を行った中辺路町や作業をした森林組合は、眺望もよくなったし、あそこの場所はもともとそういう管理をするところだったとの見解で、この観点の主張もよく理解をできます。
 問題は、県民の税金を使った事業で、よかれと思って取り組んでいるのに、それによって同じ町民の間で意見の対立を生み出しているということです。私は、事の原因ははっきりしていると思います。それは、熊野古道とその周辺の景観についての意思統一が地元においてさえできていないことであります。この議論が十分されずに、またされていたとしても、古道を守り育てていく肝心の地元住民に世界遺産としての古道はこうあるべきだ、県としてはこういう方向性をもって管理していきますという情報が行き届いていないがために起こったことであります。
 十四年度では、さきの十二月補正予算で組まれた金額の約十倍の予算がこの事業に投入される予定であります。こうした不幸な出来事が起こらないようにするため、早急に地元の行政と住民、学識経験者、農林水産部と教育委員会も入った協議会を立ち上げる必要があると思いますが、いかがでしょうか。農林水産部長並びに教育長の答弁を求めます。
 次に、広葉樹林等森林環境整備という事業があります。予算は三億五千万円と、緑の雇用事業の中でも最も多い配分になっています。十四年度は五十ヘクタールを植林するようですが、それに必要な苗木は七万五千本と言われています。私は、この事業はかなり継続的に続けられていくものだと考えています。ならば、この事業に使うケヤキや山桜、ウバメガシなどの苗木生産を地元に委託してはどうでしょうか。山村では、現金収入の得られる仕事は貴重です。苗木屋さんに任せるだけではなくて、やはり地元の農家などを使ってほしいと思います。今後もこの事業を拡大していくなら、長期的な計画として苗木の安定した購入により山村の活性化につなげていってはいかがでしょうか。農林水産部長の答弁をお願いします。
 次に、試験研究について伺います。
 緑の雇用事業はこのように具体化して関係者も喜んでいますが、一方で、国の事業が終わったらどうなるのか、新しい林業経営のあり方を今のうちに研究しておかないと、これまでと同じではだめだという声があります。
 先日、林業関係者をお訪ねしたとき、県の林業センターにどんな役割を求めていますかと聞いたところ、複数の方から期せずして一歩先を読んだ研究をしてほしいとの声がありました。現時点における一歩先の研究とは何でしょうか。私は、そのキーワードは環境だと思います。植林から伐採まで長期間かかることが宿命の林業では、景気の状況や時代背景に左右されずに安定した経営が求められています。また、間伐をしないことにより土壌の流出や花粉の大量飛散などの問題が起こっていますが、今、環境に配慮した経営が求められています。
 例えば、三重県にあります速水林業という会社は、環境や労働者に配慮した持続可能な森林経営をしているということで、日本で初めて国際的な認証機関の認証を取りました。その環境に配慮した人工林の中では、下草や広葉樹も生え、多様な小動物もすむそうです。例えばそうした森林管理の方法を体系化する、そういう研究があってもいいのではないでしょうか。
 あるいは、観光農園があるように、木材生産と共存できる観光林など、複合経営を進めるための研究というのもどうでしょうか。ポイントは、生産物を出荷するだけではなくて、人に来てもらう、見てもらう、食べてもらう、そしてお金も落としてもらう。もらってばかりで悪いのですが、要は山に人をどう呼ぶかであります。林業センターなどの試験研究をさらに充実させていくことが望まれる時代だと思います。農林水産部長のお考えを聞かせてください。
 この問題の最後に、林業労働者の労働安全について伺います。
 林業の現場労働は、相変わらず労働災害が最も多い職場の一つになっています。新しい雇用者がふえるときこそ、労働安全に注意が必要であります。安全性を高めるためにも、山の現場で携帯電話を使えるようにしてほしいという要望があります。こうした分野に力を入れていただきたいと思いますが、農林水産部長のお考えを聞かせてください。
 次に、産業廃棄物の問題について伺います。この間、県議会でも何度か取り上げられてきましたが、廃棄物処理計画の策定も目前に迫っておりますので、再度伺いたいと思います。
 この間、知事を初め県当局から産業廃棄物の処理について一定の公共関与が必要との見解が示されてまいりました。私たち日本共産党県議団は、産業廃棄物の処理は排出事業者の責任で行うべきであるという廃棄物処理法の趣旨からいっても、安易な公共関与で産廃の処理を行うことはごみ排出者責任を回避することになり、ごみを発生源から抑制するという真剣な企業努力を怠らせることになるのではないかと考えています。
 そもそも、公共関与の産廃処理施設が必要だと言われているのは、大阪湾のフェニックス計画に参加をしていない、主に御坊、日高以南の地域であります。この地域の産廃あるいはそれに加えて一般廃棄物の一部を受け入れたとしても、処理施設が経営的にペイするとは思えません。なぜなら、廃棄物の発生が少な過ぎるからであります。
 例えば、現在の県の産廃処理計画でも、最終処分量は平成十五年時点で五十一万トンに減らすという目標ですが、実際は現時点で既に二十七万トンにまで減少しています。こういう状況のもと、そもそも公的な処分場が必要な状況でしょうか。私は、フェニックス計画の対象地域以外では産廃の最終処分量は今せいぜい一万トン前後になっているのではないかと予想しています。少なくとも最終処分場まで公共関与するような状況ではないと思いますが、どうでしょうか。あわせて、すさみ町でそうした処分場の誘致要望があるとのお話も伺いますが、事実はどうなんでしょうか。環境生活部長の答弁をお願いいたします。
 また、産廃処理場を公共関与でつくったとしても、最近の流れから言えば安く産廃を処分できると考えるのは間違いであります。私は幾つかの事例を調べてみました。お配りしている資料にもありますように、確かにフェニックス計画では処理料金が安く抑えられていますが、この間、第三セタクーなどでつくられてきた産廃処理場の処理料金を見ると、この近辺の民間処分場の料金と大差ないと思われます。
 その高い処理料金をとっている「いわてクリーンセンター」を先日、見てまいりました。廃棄物の受け入れ量は、当初は計画を大幅に下回っていたものの、法の規制強化もあって平成十二年度では計画の約一・五倍、総量で年間五万トン近い廃棄物を受け入れています。それでも、実質約十一億円の赤字を出していました。その上、法規制の強化で、最新鋭の処分場であったにもかかわらず改良や修理が必要になってきていて、実際、同センターではゴムシートの緑化をしたり、あるいは搬入する車両のタイヤを洗う施設をつくったりと、改良にかなりの金が要るんですよということでありました。そうした後年度の負担もあります。
 今のところ経営的にうまくいっていると言われている新潟の「エコパークいずもざき」はどうでしょうか。高い処理料金を取った上で、十三年度では十二万トン以上もの廃棄物を受け入れています。百六十五億円の事業費の七割以上を借入金で賄っているので、今後本格的に借入金の返済が始まったときにどうなるか心配であります。こうしたことを考えたとき、採算性が心配です。県としては赤字覚悟でも公共関与でやっていくおつもりなのでしょうか。環境生活部長の答弁をお願いいたします。
 この問題の最後に、廃棄物処理計画について伺います。
 昨年二月議会の原議員の質問に環境生活部長は、「策定作業に際しては、庁内の関係課や各振興局、市町村、事業者や関係団体等と協議し、広い範囲の意見を取り入れてまいります」と答弁をされています。いよいよことし具体化していくわけですが、どのような方法でそうした意見集約をされるのですか。また、住民や環境問題に詳しい学識経験者などの意見はどう反映させていくおつもりですか。答弁をお願いします。
 次に、市町村合併について伺います。
 合併を推進するなら合併特例法のさまざまな優遇措置を受けられる平成十七年三月までに間に合うようにしたいという思惑で、この間、県内でもさまざまな動きが出てまいりました。特に、田辺市周辺の十市町村では、市町村長や議会代表でつくる合併検討会なる組織がこの四月に任意の合併協議会をつくるということで、大筋合意をしたようです。十の市町村で合併協議会をつくるということは、その十の市町村の枠組みでの合併を検討するということで、このことは、これまで行われてきた合併研究会などから一つ違う段階に入るということであります。
 しかし、住民の立場から見れば、私は早急過ぎると言わざるを得ません。多くの住民は、昨年秋ごろからようやくそれぞれの市町村役場が開く懇談会などで合併の話があることを知ったと思います。行政の側も十分に資料をそろえられていない中での議論で、具体的なメリットやデメリットの議論はなされていません。ましてや、合併推進の立場の人でさえ、どことどこが合併するのがいいかという点では隔たりも大きいものがあります。
 例えば、お配りしている資料にありますが、南部町市町村合併を考える女性の会という団体が南部町内で五百以上の数を集めたアンケート結果です。合併そのものに反対が三六%と、賛成の一九%を大きく上回っています。しかも、賛成の人の中でも、十市町村での合併がいいという人はそのうちの一六%にすぎません。こういう状況の中で、十市町村という枠組みでくくって合併するか否かの協議を進めていこうという今度の任意協議会の設置には、私は反対です。市町村長さんの中でも、この任意協議会についてはさまざまな思いがあるようです。新聞報道で南部町の山崎町長さんは、「四月に十市町村による任意協議会に入るが、十が合併する前提ではない」と言われています。
 そこで、総務部長に確認の意味で伺います。十市町村で任意協議会をつくるということは、十市町村という枠組みでの合併を検討するということですか。答弁をお願いいたします。
 次に、知事に伺います。
 県の十四年度予算案では、合併推進に二億五千万円以上が計画をされています。この合併推進のための予算案は、他の府県と比べても突出したものになっているのではないかと思います。例えば、福島県は「合併しない宣言」をしたあの矢祭町がありますが、佐藤知事は「県がイニシアチブをとってほしいという声もあるが、それは地方自治と逆行することになる。自分たちの町のあり方は自分たちで考えるという地方自治の基本を崩したくない」と述べられています。そして、十四年度予算案では特に合併推進を掲げた予算はなく、その言葉どおり、合併するもしないも、県は市町村を応援していくというやり方だそうです。
 さらに、高知県の橋本知事は、「今の合併の仕組みが高知県に向いているかは疑問。百万都市になったさいたま市と全部一緒になっても二万人にならない嶺北五町村を同じ仕組みでやるのは無理がある。国が言うように、行政の効率化が進み住民にプラスになるとは自信を持っていない」と述べ、この一律の合併推進に疑問を呈しています。そして、次のようにも語っています。「市町村合併というのは、国や県が無理やり推し進めるべきものでもないし、あくまで地域の住民の方々が議論をしてみずからの住む地域の将来を決定していかれるべきもの。ただ、住民の方々に投げかけているだけでは当然お話も進んでいきません。議論をしていただく、そういう場づくりというものが必要だと思います」と発言をされています。その高知県では、合併のシミュレーション用のコンピューターソフト作成に千二百万円、合併協議会への補助金として二千万円など、合計約四千万円を予算に盛り込んでいます。
 二つの県の知事の発言を紹介しましたが、私は、こうした姿勢が県の態度としていいのではないか、懐の深さではないかというふうに考えています。
 和歌山県は、十四年度に二億五千万円以上の合併推進の予算をつけようとしています。ちなみに、近畿の他の府県の予算を調べてみますと、大まかな数字ですが、大阪府三千万円、京都府一千万円、滋賀県五千八百万円、兵庫県一千七百万円、奈良県五千万円となっています。和歌山県は格段に多いと思うのです。しかも、今度の県予算の中身を見ますと重点支援地域で整備をする公共施設の整備に一億八千万円もの配分をしていますが、これは具体的な計画の積み重ねの予算ではなくて、大づかみの予算になっていると思います。昨日、村岡県議が指摘したように、一方では県民福祉への予算要求に厳しい査定が行われながら、一方ではこんな大づかみの予算を組んでいる。他府県と比べても、また県内の他の分野の予算と比べても、私はこの合併推進予算は大き過ぎるのではないかと考えています。知事のお考えを聞かせてください。
 次に、そういう県の顔色をうかがってか、和歌山県内では合併問題についての率直な意見が述べられにくい状況になっているのではないかと私は心配しています。このごろ、合併問題でもはっきり態度表明する首長さんがふえてまいりました。例えば、先ほど述べた福島県の矢祭町、議会の議決は合併しないということですが、町長さんも「矢祭町は地理的に見て福島県の最南端にあり、辺境にあることは動かしがたい現実であり、合併のもたらすマイナス点である地域間格差の拡大をもろに受け、過疎化がさらに進むことは昭和の大合併で証明済み」と述べられて、反対を表明されています。
 田中康夫知事の長野県では、合併推進予算は一千万円程度ですが、その長野県の泰阜村という村の村長は、「合併しても村の抱えている問題は何一つ解決するものではないので合併はできない」と言っています。その上で、こうも言っています。「国は小さな自治体では専門的な分野の職員が配置できないと言っているが、例えば溝が詰まって住民が苦情を寄せてきたときに、高度な専門家より「それは本当にお困りですね」と住民の気持ちになって対話ができる職員こそ必要」と述べられています。
 また、その隣村の阿智村でも、村長は「交付税措置のある起債を進めることで国の経済政策に従ってきた地方自治体が、政府の方針が変わったことで交付税の制限を受け、財政破壊を受ける事態は納得できません。国の都合による市町村合併には従うことはできない」と、はっきり述べられています。また高知県でも、越知町の町長さんは「合併は最終的に行政のリストラに進み、過疎が急激に進む」と、合併を正面から批判しています。
 合併問題について、このように市町村の自主性を尊重している、そういう立場の県では割と市町村長の本音が出ているように思います。比べて、県内ではどうでしょうか。正面切った批判は出ないかわりに、「どうせ合併するなら」とか「できればしたくないが」とか、そういう前置きが必ずつくんです。合併の目的や意義から出発するのではなく、半ば開き直りのような議論が多いと思います。そういう状況では、合併を選んだとしてもいい合併にならないのではないでしょうか。私は、余りにも突出した県の合併推進姿勢は県民の自由な議論の妨げになっているのではないかと思います。知事の所見をお聞かせください。
 合併問題の最後に伺います。
 新聞報道で、龍神村の古久保村長さんが次のように語っておられます。「国は、むちは使わないと言う。しかし、支援策がないということは弱小自治体にとって大きなむち。兵糧攻めがなかったらギブアップすることはないのだが……」と言っておられます。私はそのとおりだと思います。
 合併推進にはどんどん援助をするけれども、合併を考えないところには交付税削減の脅しだけしか聞こえてこない、支援がない、こんな状況に置かれれば、市町村長ならだれでも不安を抱くと思います。どうか、過疎地域を抱える市町村にこうしたつらい思いをさせないでいただきたい。あくまで市町村の自主性を尊重するなら、これから独立でいくんだという選択をした市町村にも県はしっかり応援をしていくんだということを言うべきではないでしょうか。知事のお考えを聞かせてください。
 次に、難病対策について伺います。
 現在、難病対策の中心的な事業として位置づけられているのが、いわゆる特定疾患対策であります。これは国が指定するもので、原因や治療方法の解明が研究されている百十八の疾患のうち四十六疾患について医療費の公費負担が行われるものであります。和歌山県では、それに加えて県独自で五つの疾患を指定して制度を拡大しています。
 難病対策が始まって、ことしで三十年を迎えます。今、厚生労働省は制度の抜本見直しの作業を進めています。その検討の中では、研究成果がある程度上がったと思われる疾患や治療法が一定開発されたと見られる疾患を医療費補助対象から除外することや、軽症患者の除外などがたくらまれているようであります。小泉内閣による構造改革がこの分野でも押し寄せており、患者さんの不安は増しています。
 現実には、まだ何の手も差し伸べられていない難病がたくさんあります。多くの患者、家族が医療費の負担にあえいでいます。私は、この難病対策をさらに充実発展させることを国に対して要望していただきたいと思いますが、福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
 次に、医療費の公費負担の問題です。
 この対象となっている国の特定疾患は、最初は四つの疾患でスタートしましたが、現在は四十六疾患を対象とするまでに徐々にではあるが拡大をしてまいりました。ところが、県独自に指定している疾患は、制度発足時に十四疾患あったものが、国のカバーする範囲がだんだんと広がってきたために現在は五疾患のみの指定になっているわけであります。県の制度としては、むしろ後退してきているわけです。
 そこで、伺います。難病であるにもかかわらず、公費負担の制度から外れている患者さんがたくさんいらっしゃいます。その方々を救うためにも県指定疾患を拡大すべきだと考えますが、いかがですか。できないのであれば、なぜ同じ難病という範疇の中にありながら公費負担するものとそうでないものがあるのでしょうか。合理的な根拠はあるのでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
 また、小児慢性特定疾患という制度もございます。これは、十八歳未満で慢性の腎疾患や心疾患、ぜんそくや糖尿病、その他難病などがある子供には医療費の公費負担が出る制度であります。この制度について改善していただきたいと思うのは、国の制度では一カ月以上入院しないと対象にならないという点であります。こういう慢性の疾患を抱えている子供さんの中には、症状の悪化がなくとも検査のために定期的に入院しなくてはならない方もいらっしゃいます。既に近畿では、大阪府、京都府、奈良県で一カ月以内の入院や通院についても独自に援助を行っています。和歌山県でもぜひやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いいたします。
 最後に、難病対策の制度についての周知徹底と広報活動を求めます。
 数年前ですが、県内のある病院で小児慢性疾患の対象になる子供がお医者さんにかかりました。その子は小児科に行かず内科で受診を続けていたために、この制度を医師も患者自身も知らないまま過ごしていたそうであります。あるとき学校の先生が気づき、国会にまで問題が飛び、ようやくそのときの医療費が返還されたそうです。病院内での制度の広報とともに、県民の情報源の一つとなっている県のホームページでもこの制度について紹介してほしいと思いますが、いかがですか。答弁をお願いして、第一回目の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの高田由一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの市町村合併についてのご質問にお答えをいたします。
 市町村合併、これはもう非常に難しい問題でございます。私自身もいろんなところで発表しているんですけれども、単に三千三百ある団体を千にしようとかいうふうなことで、特に過疎の地域においてはこの問題は大変大きな問題であるわけですから、そういうふうな形のやり方というのはよくないというふうなことは言っております。それからまたあわせて、この問題ははっきり言えば日本の国の統治機構のあり方の問題であるので、最終的なところはまた、市町村に任せて勝手に考えなさいというふうな言い方じゃなくて、やはり国の方も責任ある日本の国の地方自治の姿を今後どういうふうにしていくのかということを示していくべきであるというふうな主張、私はこれをかねてから行っております。
 ただ、こういうふうな中で今、日本全国でこの合併という問題が進んできている、そういうふうな今の状況の中で県が、これはもう市町村が勝手に考えればいいことだというような態度ということは、私は逆に言えば県としての責任回避ということになってくるわけでございまして、当然のことながら、県は合併しなさいとか、しなければ大変なことになりますよとか、しなければ県からの補助金が減りますよとか、そんなふうな脅しめいたことを言うつもりはありませんし、最終的なところは当然のことながら地元の市町村が考えていくことですけれども、県としてはやはりたくさんの予算をとって、そして県はこの問題を県下の市町村と一緒になって本当に苦しみながら考えていくんだという姿勢を示すということでの予算をとっているということなので、これは決して、予算をつけているから強制していくとか、それからまた、そのことを肯定しないような市町村の意見を無視するとか、そういうふうな姿勢で物事を考えているわけではないわけでございます。
 いずれにせよ、この問題は非常に今、重点指定地域にした地域でもいろいろな議論が巻き起こっていますし、本当に──県が言ったからというようなことでいろんなことが起こってくるような形じゃなくて、県も一緒に考えてくれているというふうな形でこの問題の議論が煮詰まっていき、そしてまたその結果として合併するところが出てきた場合には、当然その合併の結果として夢を描ける。ただ単に財政的にお金を減らしましたとかというふうなことになると、やはり過疎の地域でサービス水準が低下してますます過疎を進展させるというようなことになっては和歌山県にとっては非常に困ることですので、そういうふうな問題についてもあわせて、このたくさんとった予算の中で真剣に考えていこうという考え方でございますので、県の顔色をうかがってどうこうということは、私はないというふうに確信をいたしております。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 緑の雇用事業についての四点のご質問にお答えいたします。
 まず古道周辺での事業実施についてでございますが、この事業の目的は、世界遺産登録を控え、古道のバッファーゾーンの大部分を占める森林の整備を進めようとするものでございまして、その森林整備の手法につきましてはさまざまな意見がございます。このため、教育委員会とも連携を図りながら、事業を実施する市町村を初め、地域住民、学識経験者、森林所有者などが参画した協議会をこの三月中に設立すべく準備を進めてございます。今後、これら関係者のご意見をお聞きしながら、古道周辺の森林景観について十分議論を重ね、森林整備に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、広葉樹の植栽についてでございますが、その苗木の購入につきましては、可能な限り地元の、例えば県山林種苗協同組合員などが生産する苗木を調達できればと考えてございます。苗木の生産を新たに農家に委託することにつきましては、種子の採取から苗木までに数年かかることや、多品種の生産が必要なことなど、さまざまな課題がございまして難しいのではないかと思ってございます。今後、広葉樹の苗木の需要が見込まれることから、地元組合などの生産力の強化に努めてまいりたいと考えてございます。
 次に試験研究についてでございますが、林業センターにおける試験研究課題につきましては、関係者の意見集約を行い、有効な研究課題に絞り込み、取り組んでいるところでございます。環境など新たな視点での研究課題につきましては、現在、部分的に伐採する非皆伐施業による機械化作業システムの研究や花粉の少ない杉の品種の育種などに取り組むこととしてございます。今後、関係者や地域のニーズを把握しながら、森林環境、機能等の新たな研究課題についても検討し、研究してまいります。
 最後に林業労働の安全性確保についてでございますが、山の現場作業の安全性を確保するために携帯電話を活用するということは、大変有効な通信手段の一つでございます。しかしながら、一般に普及されてございます地上系の携帯電話につきましては、山間部における鉄塔の建設など膨大な経費が必要なことから、現時点では衛星系携帯電話の活用が最も効果的であると考えてございます。したがいまして、作業中に万一事故が発生した場合の緊急連絡体制の整備の一環として、既に一部の森林組合が補助事業で導入しております衛星携帯電話や車載無線、トランシーバーなどを組み合わせた緊急連絡体制の普及を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 産業廃棄物の処理計画に関する三点のご質問にお答えします。
 まず公共関与のあり方についてでございますが、廃棄物の処理に関しましては、資源化が進んだため最終処分量は減少しておりますが、県内には管理型最終処分場がなく、民間事業者による整備が進まない現状から、一定の公共関与による廃棄物処理が必要と考えているところでございます。全国的には、府県、市町村、事業者が出資した第三セクター方式で公共関与による廃棄物処理が実施されているところが最も多くございます。
 県といたしましては、第三セクター方式やPFI、または建設補助のように一部支援的な関与の方法も含めて検討してまいりたいと考えてございます。今後は、本県の状況に照らして必要な施設の種類や規模、公共関与の方法などについて、産業界、市町村、県が一体となって協議の場をつくり、地域の実態に合った具体的な検討を行ってまいります。
 なお、処理施設の適地性についても平成十四年度に設立を予定している地域協議会の場で検討されるものと考えておりますが、現時点では要望は受けてございません。
 次に採算性につきましては、さきに申し上げましたように、関係機関と廃棄物処理の計画を協議してまいりますが、いずれにいたしましても、適正な利用料金と採算性を考慮して事業を計画していくべきものと考えております。
 最後に廃棄物処理計画についてですが、計画の策定に当たりましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律により審議会及び関係市町村等の意見を聞くこととされており、近く環境審議会に諮問する予定でございます。また、審議会での審議と並行して市町村、事業者や関係団体の意見を聞くとともに、幅広く県民の意見を聞くため、インターネット等を利用したパブリックコメントの募集を実施する予定にしてございます。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併に関しまして、田辺地域で発足予定の合併協議会についてのお尋ねでございますけれども、任意の合併協議会は法定合併協議会を設置する前段階として関係市町村間で設置されるものでございます。協議の内容その他もろもろにつきましては、今後、関係市町村間で取り決められるものと理解をいたしておりますが、少なくとも十市町村での法定合併協議会の設置に向けての必要な協議は行われるものと考えております。
 なお、法定合併協議会の性格につきましても、昨年十二月県会でご答弁申し上げましたように、合併に関する協議を行う機関でございまして、合併するかしないか、合併の是非を含めて検討がなされる場でございます。法定合併協議会に参加することが直ちに必ず合併することが前提にあると、そういうものではないと考えておるところでございます。
○副議長(堀本隆男君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 難病対策の四点について、お答えを申し上げます。
 まず国への要望でございますが、県としましても、今まで以上に公費負担対象疾患の拡大、現行制度の充実に向けて、全国衛生部長会議等を通じて国へ働きかけていきたいと考えてございます。
 次に公費負担についてのご質問ですが、県が単独事業として実施する県指定特定疾患は、本県が事業を開始いたしました昭和四十九年当時に国が難病と指定した疾患のうち、特定疾患として医療費の公費負担の対象とならなかった疾患について県が独自に公費負担の対象としたことに始まったものでございます。その後、国の指定する難病が急激に増加したことから、国が公費負担の対象としないすべての疾患を県が独自に公費負担をすることは困難となってございます。そのために、新たな県指定の追加は行ってございません。
 県指定の拡大につきましては、他のさまざまな疾患との公平性や県財政の現状から考えますと困難と思ってございます。しかしながら、限られた県財政の中で、重症難病患者に重点を置いた支援策の充実を進めてまいります。
 三点目の小児慢性特定疾患でございますが、現在、国において十の疾患が小児慢性特定疾患治療研究事業の対象とされておりますが、疾患ごとに入院、通院といった適用範囲や対象年齢を十八歳未満に限定した疾患、また二十歳未満まで延長できる疾患があるなど、異なる状況にございます。県としましても、国に対し疾患ごとの違いをなくすよう要望を続けていくとともに、県単独事業として対象年齢を全疾患で二十歳未満まで延長するなどの措置を講じているところでございます。
 なお、一カ月以上の入院を適用範囲とする疾患につきましては、短期の入院や通院部分について県単独事業として対応できないかということでございますが、現在国では検討会を設け、今後の事業のあり方について、適用範囲も含めた抜本的な検討を行っているところでございます。そういうことでございますので、県といたしましては、国における検討会の結果を踏まえ、今後の事業のあり方について検討してまいりたいと考えます。
 最後に難病対策制度の周知についてでございますが、県といたしましては、特定疾患治療研究事業や小児慢性特定疾患治療研究事業について対象患者や制度について紹介したポスターを作成し、保健所、県医師会、県病院協会等の関係機関を通じて医療機関等への周知を図るなどしているところであります。また、平成十一年からは県立医大の附属病院内に設置をいたしました子ども保健福祉相談センターにおいて難病の子供やその家族からのさまざまな相談に応じるとともに、保健、医療、福祉に係る各種公費負担制度についても紹介し、難病対策制度の周知にも努めているところでございます。
 なお、県のホームページでの制度の紹介につきましては、今後できるだけ早期に実施してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 世界遺産登録に係る熊野参詣道沿線の景観保存につきましては、バッファーゾーンの確定並びに関係市町の景観保護のための条例策定が早急の課題でございまして、現在、文化庁等との協議を重ねております。また、参詣道の保存、管理、活用のための総合的な計画も必要であることから、このことについても検討を行っているところであります。
 今後、ことし秋をめどに、こうした諸案件の解決のために努力をしてまいります。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 答弁をいただきました。
 まず合併問題ですが、知事も県がこう言うているからと言われないようにしたいというお話でしたが、実際、現場へ行きますと、その声が本当にあるんです。国や県がこう言うているからということで。ぜひ現場にまでそのことを徹底していただきたいというふうに、これはお願いをしておきたいと思います。
 それから、難病対策です。
 これはちょっと知事も聞いていただきたいんですが、特に小児慢性疾患について要望しておきたいと思うんです。小児慢性疾患で入院した場合に一カ月以上じゃないと公費負担にならないと言いましたけれども、そのことで、じゃ、実際病院でどんなことが起こっているかということなんですね。
 病気が病気ですから、専門の治療や診断ができる機関が近畿の中でも限られた医療機関しかできないという状況があるんです。しかも、小学生や中学生の慢性疾患の子供は、普段は普通の学級へ行っていてみんなと同じ勉強をしているというような状態にある子もいるわけです。そういう子が年に一度とか、そういうことで検査入院するとか集中的に治療をしようというときには、やっぱり夏休みとか冬休みに集中してその病院へ行くわけですね。数少ない専門の病院に長期の休みの期間に集中して入院してくるので、そこで話になるわけなんです。「僕は大阪やけども、みんな公費負担なんや」と。ところが、「うち、和歌山県はこうなんや」、「あ、そんなんなんか」という話が出されるそうなんですね。
 お医者さんも、どこの県が公費負担をやっているか知っているんです。ですから、あるお母さんの経験ですが、お医者さんが公費負担の申請書を出そうとして「ああ、おたくは和歌山やからあかんね」と言って書類を引っ込められたという経験の親御さんもいらっしゃいました。こういう経験をして、やっぱり県民としてほんまに和歌山県に住んでいてよかったと誇りに思えるかということです。
 また、こんなこともあるんです。せっかくの夏休みだから、できるだけ検査や治療の期間を短くして、なるべく早く家へ帰してあげて遊ばせてあげたいというのは親心やと思うんですけれども、医者になるべく短期間で済ませてほしいと頼むそうなんですよ。お医者さんも努力をしてくれて短期間で済んだら一カ月以内になっちゃって、そこからは高い治療費がかかってきますよというような、大変矛盾した状態になると思うんです。
 知事にもぜひお願いしたいんですが、部長は国の難病対策の見直しを言われましたけれども、確かに見直しがかかっています。しかし、ふだんから健康な子供と比べてやっぱり目に見えない苦労をされている、そういう病気を持った子供さんたちが、和歌山に生まれてほんまによかったなと、そういうふうな状況になるようにぜひご配慮をしていただければというふうに思います。心からお願い申し上げます。
 産廃の問題です。
 すさみ町から具体的な要望はありませんかというお話をさせていただきました。現時点では要望は受けていないという答えだったんですが、実は地元の町議会ではもういろいろ議論をされているんですよ。これはことしの一月二十一日の町議会の合併問題調査特別委員会で町長が発言されたことを書いたものですが、こんなふうに書いています。
 「知事部局の方から、西牟婁、東牟婁へ陳情に行ってくれんかということで県議会の先生方が見えて、何とか施設をつくりたいが協力してくれないかとの話があった。これは、こちらからお願いしたいくらいですと返事をした。埋立地の候補地はうまくいかず、従来型ではなく溶融炉方式について知事も前向きの姿勢であり、溶融炉設置について日置川町、すさみ町協力して取り組んでいくことになり、日置川町の伊古木、名立地区に一カ所あったが条件に合わず、すさみで候補地を探すことになっている。場所については、公害がないといっても川の上流ではだめであり、海岸で荒いそがよいのではとなっている」云々というような議論がもう公式の場でされているんです。これを見ただけで内容的にはわかりにくい部分もあるんですが、もうこれを見る限り深く県行政もかかわって仕込みをしているというか、そういう状態になっているというふうに思うんですけれども、本当に要望とかこういう事前協議というのは、こういうことでないんでしょうか。再度ご答弁をお願いします。
○副議長(堀本隆男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 再質問にお答えいたします。
 現在、産業廃棄物の種類、施設規模、実施主体等、まだ県の方では具体的に何も案を持っておりません。そういう中で、適地性についても今後検討されるものと考えております。
 ただ、先生おっしゃるように、いろんなところから、土地があるとか、遊休地があるとかという情報はいただいております。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十六番高田由一君。
○高田由一君 やっぱりでも、部長、こうして公式な会議でもう言われているわけなんですよ。知事自身のお話も出ている。やっぱりこれ、どういう経過でこういうようになっているのかと、きちんと内部調査をして部としての見解を出していただきたいと思うんです。(「知事に聞いてやれよ」と呼ぶ者あり)──もちろん、知事に答えていただいてもいいですが、いかがでしょうか。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) お答えいたします。
 まだ、先ほども申しましたように、県の方では、どういう施設が必要か、それと最近少し議論になっております市町村の一廃とのあわせ処理、こういうことも十四年度においていろいろ検討したいと。そういう中で、場所等についても県としては現在のところ具体的な候補地等は考えておりません。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後一時五十八分散会

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