平成14年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(村岡キミ子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 議長のお許しをいただきましたので、早速、質問に入らせていただきます。
 最初に、国の政治と県の予算編成に関連してお尋ねを申し上げます。
 提案された平成十四年度の予算案を見てみますと、歳入の落ち込みや膨大な公債費の支出に苦しみながら、さまざまな工夫をしようとしている当局のご苦労は十分に感じられるところでございます。しかし、この歳入落ち込みも、公債費の膨張も、単なる地方の財政運営の結果というだけでなく、過去と現在の国の政策の結果が大きな原因になっているということは否めないところであります。
 小泉流聖域なき構造改革が先行きの全く見えない経済的混乱を生じさせ、県下の中小企業に深刻な経営危機を招いているのもご存じのとおりです。同時に、大手企業は情け容赦のないリストラで傘下の労働者の生活を脅かしています。歳入の落ち込みの最大の原因となっているこの不況の原因は、歴代政府の政治と小泉流構造改革にあると思うのです。財政運営を困難にしている七百九十五億円の公債費も、歴代政府の景気対策と称する公共事業の乱発とそれに伴う地方債の膨張でありました。まさに、国政の誤りが地方の財政的困窮を生じさせていると言っても過言ではありません。さらに、昨今では国政による社会保障制度の改悪による国民負担の増大策が進行しつつあります。地方財政に直接影響を及ぼす交付税制度の改悪的見直しも取りざたされ始めています。住民福祉を豊かにし、地方自治を発展させる立場から、地方は国政に対して積極的に言うべきことは言わなければなりません。
 昨年来、知事は、「最前線から地方財政改革論議に寄せる」とした意見表明を行われています。また、緑の雇用事業を提唱されてきました。しかし、その提唱した内容の実現は、国策の中において極めて不十分でしかありません。財政制度などには逆行の気配さえ感じさせます。
 知事にあっては、現在の先行きのない小泉流構造改革路線と明確に対峙し、住民福祉優先の政治、地方自治拡充を保障する政治への転換を求めるべきだと考えますが、いかがですか。
 また、現時点で国政に対して地方自治の拡充と県民福祉の拡大に何を求めておられるのか、お話ししていただきたいと思います。
 次に、財政運営プログラムと予算案に関してお尋ねを申し上げます。
 財政運営プログラムを即刻見直すべきだと私は考えます。プログラムは、膨大な県債を計画的に減らしていこうとしたことに一定の意味を持つものではありましたけれども、そのためにここでも聖域なき見直しが掲げられました。その結果、学校教育にかかわる教員をふやしてほしいという大きな県民要求に、逆に五百人を削減するという施策が進められ、来年度予算案ではまたまた百十一人の削減が提案されているところです。また、高齢者の医療費負担を増大させるような制度の改変が極めて厳しい内容で行われようとしています。地方自治の本旨を考えれば、このような施策はそれにもとるものではないでしょうか。これでは本末転倒のそしりを免れません。むだを省くという立場に立つと言うならば、先行きが見えず、批判の多い関西新空港の二期工事に対して七億四千七百万円の支出が計画されたり、国の港湾にかかわる直轄工事の負担金が予算化されたり、市町村合併を強引に進めるための経費が二億五千万円を超えて提案されていることなども含め、むだを省くとはどういうことかと改めて問い直し、この際、財政運営プログラムを見直すことが県民の願いにこたえるためにも私は必要だと思うのですが、いかがでしょうか。
 プログラムの期間は来年の十五年度までですが、さきに挙げたような施策がプログラムに基づいて延々と行われるとするならば、県民にとって不幸なことだと考えるからであります。総務部長、いかがお考えですか。
 次に、医療保険改悪と県老人医療費補助制度についてお伺いいたします。
 十二月議会に続いての質問になりますが、政府は三月一日、健康保険法等改悪案を国会に提出いたしました。すべての国民に負担増を押しつける大改悪です。この改悪法案が通れば、まともに医療を受けられない国民が新たにふえ、とうとい命を失うことになりかねません。極めて深刻な健康破壊へと突き進むことを心配するのは、私だけではないでありましょう。政府の医療保険改悪に対し、患者負担引き上げ中止を求める請願署名に寄せられた切実な声が記入されてまいりましたので、ご紹介したいと思います。
 清水町のお年寄りからです。「七十歳以上になって、国民年金だけで細々と生活している者に、医療の負担の引き上げは本当に困ります」。また、海南市の年金生活者の方からは、「私は、心臓病で通院を続けている年金生活者です。ここ二、三年の介護保険による経済的負担の増加、さらに今回の医療保険制度の改悪による負担増は、私の生活を大きく圧迫しています。高齢者が安心できる医療制度をお願いします」。また那賀町から、「子供たちも、給料が減らされながらも精いっぱい働いています。これ以上負担が多くなると病気にもなれません。現状どおりでお願いします」。こうした声が、今、和歌山県下、日本じゅうに広がっています。
 この四月から、七十歳以上のお年寄りの外来の自己負担が、診療所で実施している一回八百円が八百五十円に、一般病院や大病院が月三千円が三千二百円に、そして五千円が五千三百円にと、九月まで引き上げられることになります。また、診療報酬の改定で、六カ月以上の長期入院患者は診療報酬そのものが一部カットされることになります。削られた分は全額自己負担となり、一カ月四万円から五万円の負担増になると言われています。これでは、病院から退院に追い込まれることが大変心配されるところです。
 また、十月からはお年寄りの定額制を廃止し、すべてのお年寄りが一割負担となり、新たにひとり暮らしでは年収約三百八十万円以上、また夫婦二人で年収六百三十万円以上では二割負担の制度を実施することにしています。さらに、外来、入院の自己負担限度額も大幅に引き上げられ、一層の負担を強いるものとなっております。その限度額を超えたときは一たん全額を支払い、そして手続をして二カ月から三カ月後に払い戻されることになりますから、まさに金がなければ安心して医者に診てもらえないことになることは明白です。二〇〇四年度には新しい高齢者医療制度がつくられようとしています。老後の不安は募るばかりです。
 しかし、一方、少子化対策でもありましょう。三歳児以下の自己負担を三割から二割に引き下げました。しかし、全国のお母さんたちの願いは、就学前までの無料制度の実現です。
 来年四月からは、サラリーマンや公務員本人の窓口負担は二割から三割負担へとなります。同時に、家族の入院負担金も三割に引き上げられます。その上、政府管掌健保の保険料がボーナスも加えた総年収制となり、保険料率も今の七・五%から八・二%に引き上げられ、これまた大きな負担が押しつけられることになります。
 例えば、月収三十万円、ボーナス百二十万円では、年間四万円もの負担がふえ、不況にあえぐ中小業の労使双方に重い負担を課すことにもなります。また、五年以内には政管健保の民営化を目指そうとしていることにも注視しなければなりません。
 こうした医療改悪によって、厚生労働省は八千五百億円の削減がされると試算をしているそうです。こんなひどい改悪案をどうしても許すことはできません。知事のご所見をお伺いしたいと思います。
 こうした負担増を強いられる痛みの中にあって、県は八月一日から、財政が苦しいからと、高齢者に喜ばれている六十七歳から六十九歳に係る老人医療費補助金を大幅に見直しました。残念でなりません。これまで、対象者の約八〇%がその補助金を受けてきました。所得制限も緩やかで、高齢者で六十七歳になることを本当に心待ちしている方もたくさんありました。見直しによって、年齢は現行のままであるけれども所得から年収制に変わり、ひとり暮らしの場合、年収百万円以下、夫婦二人の老人世帯では約百四十万円以下と厳しい制限となり、七月三十一日までに六十七歳になった方は受給対象になるものの、八月一日以降六十七歳になった方は、さきに申し上げました年収該当者のみが受給資格を得ることになります。
 予算上で見てみますと、十四年度は対象者数の自然増で予算は減少していないものの、十五年度からは約三億円の減額、そして十六年度になると三億五千万円の減額となり、十四年度の予算十一億三千万円から四億八千万円となります。さらに、十七年度では一億七千万円、五年後の十八年度は対象者も十三年度の一割と減り、一億三千万円の県の予算で済むことになるわけですから、大幅な後退であります。国の改悪による負担増や介護保険料負担に加え、対象年齢を維持したことはよしとしても、県の見直しによる負担増で多くのお年寄りが医療から遠ざかり、老後の暮らしと医療への不安を加速させるに違いありません。国と同様に、お年寄りに痛みと我慢を押しつけてよいとお考えですか。ぜひ、より多くのお年寄りが少しでも安心して医療が受けられるよう再考を求めたいと思いますが、知事いかがでしょうか、お聞かせ願います。
 十四年度から、少子化対策の乳幼児医療費補助金の対象年齢を、入院について現行三歳未満を就学前まで広げられました。これは評価したいと思います。多くのお母さんたちから喜びの声が寄せられているのも現実です。この場から、そのことを申し添えておきたいと思います。ただ国は、これまで老人医療費に対する国の負担を、一九八三年から一三%も削ってきました。また、政管健保に対しても三・四%に、国保は六・五%も削っています。これをもとに戻せば赤字は完全に解消されることを私どもは主張してまいりました。今回の改悪では、患者、病院保険者のみに痛みを押しつけ、国と製薬会社は痛みから除かれているというものですから、とてもとてもこの改悪は納得することはできないのであります。知事のご所見を伺いたいと思います。
 次に、雇用対策について、二点お伺いをするものです。
 最初に、緑の雇用事業についてであります。
 知事が北川三重県知事と共同で提唱された緑の雇用事業は全国的にも反響を呼び、県内でも各方面から歓迎されているところです。既に昨年末から事業が開始され、新年度予算案におきましても、国の緊急雇用事業の活用や従来の森林対策も含め、十七億円余の予算配分が行われています。公的な就労の場を確保し、森林を保全する上で、また地域産業を振興させ、過疎地を活性化させる上で、積極的な施策の始まりとして評価をしたいと思うところです。
 知事は、この取り組みを一時的な失業対策的なものでなくて、継続的に発展させ、定住を進めていく方向を目指し、国に働きかけながら、県としても努力したい旨、表明をされてきました。緑の雇用事業で五百人、その他の雇用対策で九百人、合わせて千四百人の雇用確保に取り組むとした具体的施策に期待をしたいのですが、緑の雇用事業は林業の持続的な維持・発展に結びつかないと、一時的な対策にとどまるおそれがあります。
 そこで、国に対しても積極的な施策の確立を求めることも必要になると思いますし、農業との関連でも事業を展開させることも必要になると思うのです。期限つきの失業対策的な事業とはせず、海を含めた県土の保全、自然環境の保護、林野の公益的機能の維持・保全を図るという効果の期待される事業として、和歌山県独自にでも長期にわたって事業を展開させるという決意を示していただけないでしょうか。どうでしょうか。
 次に、福祉分野における雇用の確保についてお伺いをしたいと思うわけです。
 我が党は、かねてより福祉や医療面での雇用確保が県民の暮らしや社会保障の充実にもつながることから、その拡充を求めてきたところですが、今後、高齢者の増加に伴い、高齢者福祉の充実が求められており、県民の働く場を確保する上で大きな役割を果たします。
 昨年四月から介護保険が実施されましたが、施設介護も在宅介護支援体制もまだまだ不十分な状況にあります。私どもの調査によりますと、平成十三年九月現在で県内の特別養護老人ホームの待機者の合計は千二百二十一名となっており、今後も需要は増加すると思われます。この解消のために提案するものですが、五十人定員の特別養護老人ホームでは二十四カ所、百人定員の介護老人保健施設で対応する場合は十二カ所の施設が新設されなければいけません。そこで働く人員は四百八十人から五百五十人と試算できます。また、在宅介護のためのホームヘルパーは、平成十六年度末の数値目標二千四百五十三人に対して、今六百人以上が不足をしているという数になります。これまで、国の経済対策でヘルパー養成は積極的に行ってこられました。しかし、有資格者が実際に働く割合は大変低いのが現状です。また、訪問リハビリや訪問入浴などの人員不足を加えますと、高齢者介護で千三百人以上の人員が必要になろうと思います。さらに、グループホームやケアハウスなどを加えますと、より多くの雇用を生み出すことになります。このように、高齢者福祉の充実は多くの雇用機会を創出しますが、これらの施策の充実計画について福祉保健部長からご答弁を求めたいと思います。
 また、平成十五年末を目途に障害者プランに基づく施策が今進められているところですが、福祉工場や授産施設、援護寮や知的障害者更生施設、身体障害者療護施設など、各種施設もまだまだ不足しています。障害者や障害者の家族の皆さんの大変な努力や運動に頼るだけでなく、県行政としても積極的に障害者のプランの目標を上回る施策を実現すれば、私どもが試算しましたところ、約五百人の雇用が創出されます。障害者福祉の充実と雇用確保の面からも大変重要な課題であります。計画達成に向けての見解をお願いしたいと思います。
 次に、女性の地位向上についてお尋ねをいたします。
 昨年十月にまとめられました論点整理集をもとに、男女共同参画推進条例が今議会に提案されました。わかりやすい表現で、県民の意見を積極的に取り入れ、条文化された努力を評価したいと思います。条例は、宣言条例であってはなりません。真に実効性に重きを置いた条例が期待されるところであります。私は、女性が特に今困っている問題について、条例の中でぜひとも具体化してほしい、このことについてお尋ねをしたいと思います。
 まず第十条、子育てと介護問題についてであります。
 今、いずれも女性に大きな負担となっていることは、ご承知のとおりであります。働きたい、働き続けたいとの願いは強くても、保育所にあっては、親の労働形態もさまざまに変化している中では必要な保育が十分保障されない実態にあります。今や、夜間保育や病児保育などの要求も切実な状態であると言えます。
 育児休業の取得にあっては、どちらかと言えば女性が優先しているのではないでしょうか。介護休暇にあっても同じでしょう。法改正によって、育児休業はこの四月から、これまでの一年から三年に延長されました。そして、介護休暇も三カ月から六カ月に期間延長されました。しかし、賃金保障の伴わない休暇が果たして取得拡大につながるのでしょうか。経済的保障を国に求める必要があります。ちなみに、県庁職員の取得状況はいかがなものでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、DV──ドメスティック・バイオレンス問題についてであります。
 条例第二十一条に強調されているDVについては、夫またはパートナーからの暴力を受けた被害者の女性に必要な支援と一時保護を行うことを明文化していますが、深刻な事例も随分とふえております。
 先日私は、女性相談所でこの現状を聞いてまいりました。年々DVに関する相談件数もふえまして、平成十年度の二百九十一件から、平成十二年度二百三十三件、そしてこの十三年度、四月から本年二月末までは三百八十七件と急増しています。そして、一時保護者数も子供同伴者がふえ続けています。現在、相談員三人でこの相談と一時保護の業務をこなさなければならず、大変多忙をきわめていると言われています。せめて一人か二人の増員をと訴えられておられるところです。また女性相談所では、ことし四月からDV防止対策事業を実施するために、土曜、日曜、祝日の午前九時から夜十時までの相談と、平日も夜十時までの相談に応じるとのことです。このため、一人の増員に伴う予算百八十六万円が計上されていますが、果たして救いを求める多くの被害者たちに十分な支援ができるのか、心配をするところです。ぜひ、女性相談所の充実のためにも正規職員の増員を願うものですが、関係部長の答弁を求めたいと思います。
 次に、女性を審議会委員へ登用する問題であります。
 県の参画促進要綱では、平成十七年度までに三〇%以上の登用目標となっているところです。ちなみに、平成十二年度目標三〇%に対し一八・五%、平成十三年度では三〇%目標に対し一六%と後退しています。三〇%達成するために今後どのような具体的な取り組みをされようとしているのか、お考えを関係部長からお聞かせ願いたいと思います。
 次に、お手本となる女性幹部登用で、県庁職員についてお尋ねをいたします。
 男性職員に比べ女性職員数が少ないこともありましょうが、職員の昇任、昇格基準についてお聞かせいただきたい。
 私の十五年の議員在職の中で、議場に座られたのは、先ほどもお話が出ましたけれども宮崎恭子さんの民生部次長、一年間のただ一人でありました。大変残念なことであります。最近、女性の仕事に対する熱意も高まりました。積極性も目をみはるものがあります。男女平等を促進させるためにも、職域拡大やあらゆる研修による女性幹部を育成することも重要ではないかと思います。この間、一定の前進は見ることはできました。しかし、その歩みは余りにも遅過ぎます。女性幹部の比率と各級の人数と、同時に今後の方針もあわせて教えていただきたい、このように思います。
 次に、フォレストシティ計画についてお尋ねをいたします。
 このフォレストシティ計画は、十三年前の平成元年、和興開発株式会社が、和歌山市北部、和泉山脈南ろくの山林二百二十四ヘクタールを開発し、千五百戸の住宅、十八ホールのゴルフ場やリゾートホテル等を建設しようと、一九九四年(平成六年)六月十日、都市計画法にかかわる許可申請とともに森林法に関連する林地開発申請を行ったところです。
 同計画地のふもとには二万人余の住民が生活し、県道粉河加太線の日常的な交通渋滞と浸水被害に悩まされているミニ開発による振興住宅地域です。いわば、排水対策の未整備の上流に当たること、一層の交通渋滞を招くと予想されるなど生活環境悪化が懸念されることから、下流域や周辺に在住する住民、及び計画地を流れる鳴滝川のお滝場を霊場とする圓明寺は、県に対して開発の不許可を求めて要請や話し合いを重ねてまいりました。当然のこととして、和興開発株式会社や主たる融資銀行である紀陽銀行に対しても幾たびの要請行動などを行ってまいりましたが、なかなか話し合いに応じる姿勢を見せてきませんでした。
 一方、和興開発は、山林の用地買収で県や市にうその届け出書を提出したり、税金のごまかしなどの事件を起こし、国土利用計画法違反、所得税法違反で起訴され、有罪判決が下されました。そして、地域的にも社会的にも大きく信用を失いました。この国土法違反事件では、大阪地検特捜部が県庁内まで家宅捜索するという事態と、国土法を守るため指導監督の重責にある元企画部長みずから、この事件で法違反に問われ、略式起訴の上、五十万円の罰金刑に処された経過もございます。また、和興開発株式会社社長と暴力団との深い関係なども取りざたされている状況にもありましたが、県は社長交代などを理由にしながら、当時の知事西口勇氏は、「苦渋の選択をした」と語り、住民らの声を無視し、数々の社会的犯罪を容認し、九七年(平成九年)一月二十二日に開発許可に至りました。
 和興開発は、既に紀陽銀行の管理下にあって、会社としての社会的信用はもちろんのこと、資力、信用に欠けるとして、住民と圓明寺は県開発審査会に許可取り消しを求めました。しかし審査会は、平成十年一月八日、これを却下いたしました。ところが、却下した一カ月後の二月十八日、和興開発株式会社は会社更生法の適用申請をする事態が起こり、翌年の五月、和歌山地裁はその適用を認めず、破産宣告を行ったのです。知事が苦渋の選択をして、わずか一年後です。そして、県開発審査会が却下した一カ月後というこの期間に発生した事実上の会社倒産です。私たち住民や圓明寺が指摘したとおり、許可当時は既に倒産寸前にあって、フォレストシティ計画を着実に着工、完了するための資力、信用、能力はなかったと断言できるのであります。県と開発審査会は、一体、資力等に関する状況調査などを厳格に行っていたのだろうかと私は怒りを覚えるのであります。
 また、前西口知事の苦渋の選択とは何だったのか。これは、住民の声よりも開発優先の知事の姿勢に重大な責任があります。まさに、開発行政に汚点を残したことに反省すべきではないでしょうか。和泉山系の開発を考える会と圓明寺は、開発許可取り消しを求めて、今、知事と和歌山市長を相手に和歌山地裁で係争中であります。もはや事業主体のないフォレストシティ計画の許可は実態を反映しないものになっています。いたずらに無用、無益な裁判を続ける必要もなくなりつつあるのが現実です。
 昨年二月、和興開発の債権者集会において、来年──平成十四年のことしですが──三月末までに事業の売却の見込みがなければ廃止することを決定しています。その三月末も、もう目前です。現情勢下にあっては、新たな事業者ももうありますまい。このように、るる申し上げてまいりましたが、今後の開発行政に反省と教訓をより生かしていく重要な問題だと指摘をいたします。
 そこで、許可権を有する知事、あなたが直接許可したものではありませんけれども、今は知事です。あなたが、主体的に廃止届を待つまでもなく取り消し処分の決断を期待するものですが、いかがお考えですか。率直なところをお聞かせ願いたいと思います。
 これで、第一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、国政に対して地方自治の拡充と県民福祉の拡大についてどのような対応をしていくのかということでございますが、バブル崩壊以降、日本の経済は悪化しておりまして、中国の成長もあり、競争力が弱体化しているということであろうと思います。また、たび重なる景気対策の実施により、国や地方の財政状況もまことに厳しい状況にあります。こうした閉塞感を打破しようとして、現在、構造改革が行われているわけでございます。
 しかしながら、地方の立場から見て納得しがたいもの、例えば地方の実情を考えようとしない一方的な公共事業の削減でありますとか交付税等の見直し等については、その都度、国に対して意見を述べており、さらに悪化している雇用情勢に対しても、例えば緑の雇用事業を提言するなど、地方の方から独自の声を上げているところでございます。今後とも、地方自治の拡充や財源の確保のため、地方から国を変えるという意気込みを持って、主張すべきことは主張するという姿勢で積極的に国に対し提言を行ってまいりたいと、このように考えております。
 次に、医療保険の制度改正についての所見ということでございますが、近年、急速に少子高齢化が進む中で、将来にわたり医療保険制度を持続可能で安定的な制度とするため、一定の見直しが必要となってきているわけでございます。県といたしましては、見直しに当たって、県民生活に直結する重要な問題でもあるという認識から、必要な配慮を行うよう要望を行ってまいりました。医療保険制度は、本県のみならず国全体にかかわる制度であることから、今般の改正案については国会において慎重にご審議をいただきたいと、このように考えております。
 次に、県単独の老人医療費補助金制度についてのご質問でございます。
 この制度につきましては創設されてから既に二十八年が経過しておりまして、この間、高齢者の方々を取り巻く社会経済情勢は大きく変わってまいりました。また、県財政を取り巻く環境も厳しさを増している中から、増大・多様化する福祉ニーズに対応していかなければならないという問題がございます。このような中で、すべての施策の充実ということは困難であり、私といたしましては、より必要性の高い福祉施策に重点化していかざるを得ないと考えているところでございます。
 このため、乳幼児医療助成の拡充、わかやまシニアカレッジやシニアマイスター登録・活用事業などの高齢者の生きがい施策の拡充、特別養護老人ホームの前倒し整備、ドクターヘリの導入など、少子高齢化時代や本県の実情に合った保健・医療・福祉施策を強力に推し進める一方、本制度につきましては、現在の受給者や経済的に低位にある方への配慮をしながら見直さざるを得ないと、このように考えたものでございます。
 次に緑の雇用についてでございますけれども、先般、テレビで放映されているのを見ました。和歌山県に入ってこられた二名の方がインタビューを受けておられましたけれども、非常にやる気もあり、こういう方がたくさん和歌山県の中山間へ入ってきていただいたらいいなと思って、制度についての意は強くしたわけでございますが、いかんせん二名ということでございます。その他の方々は和歌山県で土木建設業などに従事していた方がこちらの方へ回っているということで、これはこれで私は非常に意義のあることだと考えておりますけれども、こういうふうな都市から中山間への定住、これは六カ月では満足できるという状況ではございませんので、永続して地域に住んで地域の活性化や過疎対策になるような人材が住んでいただくということを進めていきたい。今、労働組合や経済界等とも相談して、これが永続的な制度になるよう頑張っておるところでございますし、国に対しても今のやり方ではなかなか難しいということを積極的に訴えて、何とか和歌山県でこの制度が花開くように頑張っていきたいと、このように考えております。
 最後にフォレストシティ計画についてでございますが、森林法による許可の取り消しにつきましては、これまで許可の条件に違反しない限り取り消しは難しいということで対応してきたところでございます。しかしながら、そういう中で今日まで自主的に事業廃止届を提出するよう、破産管財人に対し再三にわたり指導してきたという事情がございます。この結果、債権者の集会において、この三月末をもって売却の見込み等、新たな状況が生じない場合は事業を廃止するという決定がなされたところであり、今この結果を見て、改めて対応の仕方を考えていきたいと、このように考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず、財政運営プログラムと十四年度予算についてお答えをいたします。
 ご承知のように、本県における財政事情の逼迫を踏まえまして、将来にわたる財政運営の安定を図りつつ、住民福祉向上に対応していくために、ご指摘の財政運営プログラムを策定し、財政の健全化に全庁を挙げて取り組んでいるところでございます。
 このプログラムにおいては、財政健全化に向けた具体策といたしまして、職員定数の削減、給与の見直しといった行政内部の努力や、施策の抜本的見直しによる歳出削減等を掲げております。現在の県の財政状況や今後予想される地方財政制度改革等を踏まえますと、引き続き財政健全化に取り組んでいく必要があると考えております。
 このため、十四年度予算におきましても、同プログラムに基づく健全化策を着実に実行しつつ、そこで生み出された財源を有効に活用し、県勢活性化のための新しい発想に基づく新規施策については積極的に展開するといった基本方針で取り組んだところでございます。この結果、昨年度に比べ、収支不均衡を十二億円改善しつつ、百の新規事業を含めまして、今後の和歌山県にとって真に必要な事業を盛り込むことができたものと考えております。県勢活性化に資する施策をタイムリーに実施していくためにも、この財政運営プログラムを基本に、今後とも健全化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、女性の地位向上についてのご質問のうち、まず県職員の育児休業、介護休暇の取得状況についてでございますが、平成十二年度における育児休業の取得者は六十六名、介護休暇の取得者は四名でございまして、そのいずれもが女性職員となっております。
 次に、幹部への登用に関しての昇任、昇格基準についてでございますが、今日、幹部職員には、果敢に新しい施策に挑戦し、課題を解決していくことが求められております。男女を問わず、こういった観点から管理職にふさわしい資質を備えた職員を登用しているところでございます。
 ちなみに、知事部局における女性職員の状況でございますが、次長級の職員は一名、課長級職員が六名、課長補佐以下の役付の職員は二百三十四名となっております。課長級以上の職員の中で女性職員の占める比率は一・六%といった状況にございます。本年四月の人事異動におきましても、男女がともに能力を発揮することができる社会の実現を目指しまして、積極的な女性の登用に努めてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 福祉分野における雇用確保についての、高齢者、障害者福祉の充実強化についてお答えをいたします。
 まず高齢者福祉の関係でございますが、特別養護老人ホームにつきましては、平成十三年度の補正予算と平成十四年度当初予算計上分を合わせまして百八十三床を整備するなど、前倒し的な整備を行っているところでございます。介護サービスにつきましては、現在約九千人の方が従事されているところであり、議員ご指摘の雇用対策的な意味合いも踏まえながら、わかやま長寿プラン二〇〇〇に基づき、各種サービスの充実に積極的かつ計画的に取り組んでまいります。
 また障害福祉施設でございますが、紀の国障害者プランに基づきまして、積極的に施設整備を進めているところでございます。現在、障害福祉施設で約千七百人の方が従事されております。平成十四年度で計画をしております知的障害者更生施設等の施設整備におきましても、約九十人の雇用創出が見込まれてございます。今後とも、雇用対策も含め、地域のニーズやバランスを考慮しながら計画的にプラン達成に取り組んでまいります。
 次に、DV問題の女性相談所についてお答えを申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、DVに関する相談件数は増加傾向にあります。特に電話相談が、平成十二年度百四十四件であったものが今年度二月末日で既に二百十五件と、対前年度比四九%増となってございます。また、一時保護を要するような相談が、夜間、休日に増加しております。こうした状況を踏まえまして、本年四月から電話相談員を一名増員し、これまで原則として平日に限っていた相談を夜間、休日まで拡大するなど、DV被害者の相談・保護の窓口としての女性相談所の機能強化を図ってまいりたいと考えてございます。
 配偶者からの暴力は時間を問わず生じるものであることから、緊急に対応できる体制が求められております。今後とも、相談、保護件数の増加状況に応じた職員配置を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 審議会委員への女性登用についてお答えいたします。
 審議会委員等への女性の登用促進につきましては、上程中の男女共同参画推進条例案の基本理念にも掲げているとおり、あらゆる分野に男女が共同参画していく上で必要不可欠であると考えております。従来からも女性人材の発掘や養成事業を実施し、現在は一六・三%ですが、平成十七年度までに三〇%以上という当面の目標に向け、新年度からは各部局単位の進捗状況の把握や委員選任時の男女共生社会推進課への事前協議を行うなど、目標達成に向け、さらに積極的に取り組んでまいります。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 答弁をいただきましたので、再質問をさせていただきます。
 最初に知事と総務部長に、これは答弁は求めませんけれども、ご意見だけ申し上げておきたいと思います。
 今、国の政治そのものが直接地方自治に大きく影響するということはだれでもがわかることですけれども、知事は和歌山県という地方自治体を預かっていらっしゃるわけですから、そういう点でも国政が県民の生活にどのように作用しているかをしっかり見きわめる必要があると思うわけです。そういう点から見るならば、知事自身が語っているように、ないに等しい雇用対策、交付税制度の改悪施行のほかにも、国民本位の経済対策はさらさらないと言わざるを得ないわけですが、社会保障政策の縮小とむだな公共事業の継続、これでは閉塞感を打破するような施策は全く見当たらないのではないかと思うわけです。
 それで、知事が先ほども言われましたように、国に対する積極的な提言、緑の雇用等についても、現実に一定の事業が保障されているとういうことについては大変評価をするものですけれども、しかしこれでは、やっぱり今の閉塞感を打破するということにはならないんじゃないかと。継続的な保障というものを粘り強く求めていかなければいけないだろうし、そういう点でもしっかりと国に言うべきことは言うという姿勢は持ち続けていただきたいなと思うわけです。
 それから、財政健全化プログラムに関して言いますと、私たちはすべてを否定するわけではございません。財政健全化の名において県民の切実な福祉や教育への要求を切り捨てたり軽視することは地方自治の本旨に反するということを、私はここで重ねて申し上げておきたいと思います。
 それから医療改悪の問題ですけれども、やはりこれは本当に今、国の小泉流の構造改革の重要な点になっているわけですね。そういう点から見れば、痛みを押しつけるということが本当にいいのかどうか。そして、よく医療保険制度を安定的に維持するという表現がされるわけですけれども、しかしこれは今までの状況を見てみますと、国が社会保障に対して一体これまでどのようなことをやってきたのかということを見ると、次々と患者負担を医療改悪によってふやしてきて、国の責任、補助金そのものを負担しなければならない負担金を次から次と削減してきたというのが現実だと思うのです。そういうところで最終的な抜本的改悪案を示した中で、また改めて高齢者の福祉医療、高齢者の新しい制度をつくって、新たにまたすべてのお年寄りにも負担を押しつけていく、そしてすべての国民に対して医療に対する負担を引き上げていくという、そういうようなことが今中心になってきているわけですから、これは国の施策としても、国民の健康と命を守るという立場には立ち得ていないと言う以外にないと思いますので、これは知事、ぜひとも県民の実態をちゃんとつかんでいただいて、そして国に言うべきことは言っていただきたいと、このように申し上げておきたいと思います。
 その上で、今度知事が苦慮されて老人医療を削減せざるを得なかったこととはちょっと矛盾すると思うわけです。今、子供たちの育成の問題について、病気になったときには安心して入院もできて、そして安心して医者にかかれる、これはお年寄りであろうと子供であろうと同じだと思うわけです。そういう点でも、今度の後退ということについては、私は納得できないと思うわけです。今まで八〇%の人たちが恩恵を受けていたのが、五年後には現実的に一割程度になるわけですから、これは非常に大きなしわ寄せになっていくと。多くのお年寄りの皆さんたちが病院に行くことを差し控えていく、そして重症化していくということは、後々で医療費が大きくふえていくという結果を招いて、結果的には医療保険そのものが維持できない状況をみずからつくり出していくと思うんです。そのことをぜひ考えていただいて、今すぐとは言いません、老人への扶助、補助金そのものを考えていただくように要請しておきたいと思います。
 それから雇用の問題ですけれども、先ほども言われましたように、非常に雇用状況は厳しくなっているという状況のもとで、私たち日本共産党は、常に福祉の分野における雇用というものは非常に大きなものがあるというふうに主張してまいりました。そういう点でも、ぜひとも福祉の分野、障害者の分野を含め、施設も含めて人的体制を十分整えるということで、施設をつくるときに、本当に雇用創出という観点からも、ぜひとも今後のあり方については考えていただいて、そして積極的に雇用創出ができるような施策を打ち出していただきたいと、しっかり頑張っていただきたいと思うわけです。
 それから男女共生の問題です。私は、この質問の中で申し上げませんでしたけれども、ぜひともお願いしたいのは、この条例の中には盛り込んであるんですが、具体的には商売人の方々、商工業者、農業者──林業者、漁業者も含めてですけれども、家内労働とか少ない人数でやっている分野で実態がよくつかめないという問題もあると思うんです。具体的に施策を行うには、まず実態調査をちゃんとした上で具体的な計画をつくっていただきたいということで、ぜひとも実態調査を先行させていただきたいと思っております。
 それから、委員の公募制の問題です。今、知事が任命するということになっているんですけれども、公募制を取り入れることについても、ぜひ規則の中などで位置づけていただけたらありがたいと思います。
 フォレストシティの問題ですけれども、これはもう間近に迫っている問題ですので、本来なら取り消し処分が妥当だと思うんですけれども、これまでの行政の審査のあり方の問題──知事が苦渋の選択をしたというのは、やっぱりもう財政力がなかったんだというのを見越した上での苦渋の選択だったと私は理解をするんです。そういう点では、いち早くこの問題を解決するために、また裁判を私たちはいつまでもする気はございませんので、ぜひとも双方が解決できるように努力をしていただきたいというふうにお願いをしておきたいと思います。
 以上です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十八分散会

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