平成13年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(森 正樹議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から監査の結果報告がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  【日程第一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに報第七号から報第十号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに知事専決処分報告報第七号から報第十号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十三番森 正樹君。
  〔森 正樹君、登壇〕(拍手)
○森 正樹君 通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。皆さん、おはようございます。
 初めに、関西国際空港に関する諸問題についてお尋ねをいたします。
 質問に入ります前に、去る十一月二十一、二十二日の日程で親友・尾崎委員長を先頭にいたしまして、関西国際空港対策特別委員会の仁川国際空港視察に参加をさせていただきました。この報告を申し上げたいと存じます。
 十一月二十一日、関西国際空港を午前九時五十分に飛び立った全日空一七一便で仁川国際空港に向かいました。着後すぐに入国手続を済ませ、一路ソウル市内に向けて貸し切りバスで出発。時間節約のため、バスの中で弁当で昼食を済ませました。仁川国際空港開港に合わせて供用開始されました仁川国際空港高速道路は、往復八車線(一部六車線)で、ソウル市内まで約七十分で到着をいたしました。この日は、明年、日韓共催で行われるワールドカップサッカーの開会式の会場ともなりますソウル・ワールドカップサッカー競技場や世界遺産となっていると聞いております歴史的文化施設などの視察をいたしました。
 翌日、ホテルを八時過ぎに出発。直ちに、日本の国土交通省に当たる大韓民国政府・建設交通部を訪問、ヨ・トング新空港計画課長、チェー・ヨンウン新空港施設課長らと意見交換、質疑応答を小一時間にわたって行いました。終了後、直ちに仁川国際空港高速道路経由で仁川国際空港に向かいました。昼食の後、すぐに仁川国際空港公社を訪問。ブリーフィングルームで説明を受けた後、イム・トンミョン対外協力室長と意見交換を行い、その後、空港内の施設を約一時間三十分にわたって視察をさせていただきました。しばらく休憩の後、午後五時二十五分、仁川国際空港発の日本航空九六四便にて帰国の途についたのであります。
 一泊二日で、実に慌ただしい視察でございましたけれども、韓国政府当局がアジアのハブ空港として仁川国際空港の建設に国運をかけて取り組んでいる強い意志を実感として肌で感じ、意味と意義のある視察であったと確信をいたします。
 以下、建設交通部と仁川国際空港公社における意見交換、質疑応答、また仁川国際空港の施設の視察によって明らかとなった仁川国際空港及び関連施設の全貌と将来計画について簡略に申し上げたいと思います。
 現在の仁川国際空港は、千百七十四ヘクタールの敷地に二本の滑走路を有し、年間運航回数二十四万回、旅客三千万人、二百七十万トンの貨物処理能力を持っております。ターミナルは四十九万六千平方メートル、長さ千六十六メートル、幅百四十九メートルで、四十四の旅客搭乗橋があり、IATAの規格によるカテゴリーIIIAの能力を持つということで、世界でも超一級の国際空港に位置づけられているのであります。開港後、一日平均五万六千人の旅客と四千八百トンの貨物を処理、運航回数三百十五回をこなしているということでございました。同空港には、現在四十七の航空会社が乗り入れ、世界の九十六都市と定期便で結ばれているのであります。ちなみに、我が国の空港では、関西、成田を初め全国二十一の空港と定期便が飛んでおり、便数は週二百八十八便、年間五十二週として、一便平均少なく見積もって二百人としても、年間実に二百九十九万五千二百人がこの仁川国際空港を利用していることになるのであります。なお、そのうちのかなりの数がこの仁川国際空港を経由して世界の各地へ飛んでいる、そのように思っておりますが、このことについてはさきの九月定例会予算委員会で申し上げましたので割愛をさせていただきます。
 一方、将来計画についてでございますが、今後、四段階で施設の拡張を行っていくそうで、明年には第二段階の拡張工事に着手、最終的には二〇二〇年までに滑走路四本を整備予定であり、年間離着陸回数五十三万回、旅客数一億人、取扱貨物七百万トンに順調に到達する予定であると、胸を張って明言をしておりました。なお、需要の伸びを見ながら五本目の滑走路を造成する計画もあり、その用地は既に確保されているとのことでもありました。また、六千台分の駐車場、空港関係職員二万人の新都市もできておりまして、滑走路の東側地区には二十棟余りの空港支援施設ビルが立地、三つの貨物ターミナルもございます。また、同空港のもう一つの自慢は、一時間に三万二千件を処理できる手荷物処理施設が、出発時で十五分、到着時五分、乗りかえは十分以内の短時間で自動的に処理可能であるということでありました。空港へのアクセスに関しまして申し上げますと、既に高速鉄道の路盤工事は完了しておりまして、二〇〇五年に仁川国際空港─金浦空港間を、二〇〇八年には金浦空港─ソウル市庁間を──日本で言う市役所でございますが──開通させ、ソウル市内と仁川国際空港間のアクセスは飛躍的に改善されるとのことでありました。
 以上、簡単でございますが、関西国際空港対策特別委員会の視察報告とさせていただきます。
 ところで、この建設交通部でいただきましたパンフレットの冒頭には、こう書かれております。
 「incheon international airport 」「IIA, a completely new center in the world''s aviation network, will also be one of the World''s busiest airports, as it plays its role as one of Northeast Asia''s major air transport hubs into the 21st century. 」
 英語の本でございますので、残念ながら日本語はありませんから、これを私の訳じゃなくて、文化国際課の英語に堪能な職員に訳していただきました。それによりますと、「世界の航空ネットワークの完全に新しいセンターであるIIA(インチョン・インターナショナルエアポート)は、また二十一世紀の北東アジアの大きな航空輸送のハブの一つとしての役割を果たす世界で最も忙しい空港の一つとなるだろう」、このように自信を持って言っているわけであります。
 これらのことを踏まえて、以下、数点にわたり当局にお尋ねをいたしたいと思います。
 第一に、関西国際空港と仁川国際空港を比較して、残念ながら現時点でほとんどすべての面で仁川の側に軍配が上がると見なければなりません。ともにかの現状をつぶさに見てこられた企画部長の感想を、まずお聞きをしたいと思います。
 第二に、関西国際空港をめぐってこの数カ月、さまざまな動きがございました。関西、成田、中部の三国際空港の管理運営を民間会社に分離し、滑走路などの整備を国の公的法人が進めるという、いわゆる上下分離方式を導入したいと扇国土交通大臣が発言したこと、同時多発テロの影響から米国本土への便の休止や旅客の激減により関空会社の一カ月間の減収額が約十億円に上ったこと、日本航空と日本エアシステムの経営統合の発表、二期工事の空港島護岸が完成したこと、関空会社の九月期中間決算で四十一億円の経常赤字を出したこと、国土交通省の深谷憲一航空局長が二期工事の完成、供用開始を三年程度先送りしたいと発言したこと、石原大臣の二期工事不要との発言等々であります。中でも深谷局長の発言は問題が多く、県議会といたしましても看過できないとして、尾崎要二関西国際空港特別委員長を中心に話し合いを行いまして、自民党山崎拓幹事長には尾崎委員長から、保守党二階俊博幹事長には中村裕一県議から、公明党冬柴鉄三幹事長には私からそれぞれ連絡をとりまして、与党三党幹事長で国土交通省や財務省への働きかけを行っていただくよう要請をいたしました。そしてまた、すぐに実行していただきました。また、三幹事長連名の決議文書もまとめられましたことは、既にマスコミ報道等によって皆さんご承知のとおりでございます。さらに、この問題について一昨日の十一日、関西地区選出の国会議員を中心として与党関西国際空港推進議員連盟が結成をされ、本県議会を代表して尾崎委員長が出席されたことも皆さんご案内のとおりでございます。ともあれ、関西の復権、浮上のために、とりわけ和歌山県の活性化にとって関西国際空港二期工事の二〇〇七年の供用開始は不可欠であると思いますが、木村知事はどうお考えになっておられますでしょうか。胸の内を聞かせていただきたいと思います。
 第三に、上下分離方式につきまして、私は、かねがね国の基幹空港である関西国際空港の建設は国の責任において行うべきだと訴えてまいりました。したがって、上下分離方式は結構なことだと考えますが、木村知事、いかがでございましょうか。
 第四に、関西国際空港の航空需要予測についてであります。マスコミ報道等ではさまざまなことが言われております。例えば、我々が長年主張し続け実現しました関西─羽田間のシャトル便が、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとディズニーシーの二大テーマパーク人気にも後押しされまして、各社平均七〇%強の利用率を誇っているということが伝えられておりました。一方で、同時多発テロの影響から減便、減収の報道がこのところ目立つのであります。このような背景を踏まえつつ、関西国際空港の中長期の航空需要予測について確かな数値があれば、あわせてこの際、企画部長からご答弁をいただきたいと思います。
 第五に、仁川国際空港の脅威を見てきた者として、関西国際空港の弱点が気にかかります。それは、着陸料の高さであります。今年夏、仁川国際空港の開港を受けて、当初の九十一万円から八十三万円に着陸料を値下げいたしました。しかし、それでも成田空港の九十四万円に次いで世界で二番目に高い着陸料だと言われております。利用しやすい空港として、航空各社の強い要望もあり、さらなる着陸料の値下げを行うべきであると私は思います。このことについて、関西空港株式会社を初め各方面に働きかけていくおつもりはありませんか、企画部長にお尋ねをいたしたいと思います。
 次に、行政のスリム化と外郭団体の整理統合についてお尋ねをいたします。
 第一に、行政のスリム化について不断の努力を続けてこられたことを十分認識しております。現時点でどこまでスリム化が進んでいるのか、総務部長、お示しをいただきたい。また、最終的にどこまでスリム化できるのか、そのめど等についても、あわせてお答えをいただければ幸いであります。
 第二に、外郭団体の整理統合についてでありますが、いまだ端緒についたばかりだとは思いますけれども、外郭団体の整理統合のこれまでの成果について報告できるのであれば、総務部長、お答えをいただきたい。また、あわせて将来何団体にまで縮小できるのか、その方針もお聞かせいただきたい。
 第三に、外郭団体の整理統合について、そのネックになるものとして各団体における給与体系が異なる点があると、平成十二年十二月定例会の一般質問で私は申し上げました。今回、この給与体系の一本化が行われることになったと聞き及んでおりますが、一歩前進と評価するものであります。これを契機に、さらに外郭団体の整理統合に拍車をかけて取り組んでいただきたい。その決意のほどを総務部長、聞かせていただきたい。
 最後に、職員数の削減について、これも私はかねがね申し上げてきたことでございますが、職員定数条例の改正も含めて今後の取り組み、方針等をお示しいただきたいと思います。
 最後に、高速道路の整備促進と道路特定財源の見直し問題に言及したいと思います。
 「桃李もの言わず、下自ずから蹊を成す」、これは中国の古典「史記」の中の一節であります。その意味は、桃やスモモは口をきいて人を招くようなことはしませんが、美しい花や実のゆえに人が争ってやってくるので、その下には自然に小道ができる。すなわち、本当の意味は、徳のある人には自然に人が心服するということだそうであります。この時代は、木の実を摘み、花をめでるために多くの人が同じところを歩き、草を踏み、土を固めて自然に道ができました。車両もなく、この人が踏み固めた人の道で十分社会が成り立っていたのであります。
 しかし、現代社会は違います。鉄道、道路等の交通網が張りめぐらされ、人、物、情報が遅滞なく行き来することが求められております。我が国にあって、戦後、東海道ベルト地帯を中心に、鉄道、道路の整備が進められてまいりました。当然のことながら、需要の多寡という点から、必然的に人口の集中する東京圏、京阪神圏を中心に社会資本の整備が進められてきたのであります。このことは高速交通体系の整備の歴史に明らかで、高速鉄道にあっては東京─新大阪間の東海道新幹線が、高速道路にあっては同じく東京─神戸間の東名高速道、名神高速道が真っ先に供用開始され、以後、網の目が広がるように全国に高速交通網が拡張されていったのであります。そして、大都市圏での交通網が完全とは言えないまでもほぼ整備が行われ、言いかえれば、これからやっと地方へ整備の順番が回りつつあるといったやさきに小泉内閣が誕生し、道路特定財源の見直し、一般財源化、公団、公社等、外郭団体の整理統合、民営化などのいわゆる小泉改革が打ち出されたのであります。無論、私は小泉改革には大賛成であります。どしどし進めていっていただきたい。戦後、経済成長に合わせ、右肩上がりに拡大、膨張を繰り返してきた我が国が、二十一世紀に入り一たん立ちどまって内容や中身の総点検をし、より質の高い社会を目指そうという流れに変わってきたことは、当然と言えば当然かもしれません。しかし──しかしであります。遠慮深い地方は、大都市圏での整備が一段落した今日、やっとこれから地方の高速交通網の整備が進められると期待を寄せていたのであります。特に和歌山県などの地方は鉄道網が未発達でありますので、道路網の整備に負うところが大であります。言いかえれば、和歌山県は車社会であり、道路整備が命であることは異論がないと確信をいたします。
 今、大都市圏も地方も関係なく、一律に改革の対象として高速道路整備計画の見直しや道路整備のための道路特定財源の一般財源化が進められようとしております。鉄道、道路などの社会資本の整備に当たって、これまでオウム返しのように語られてきた言葉に「国土の均衡ある発展」という言葉があります。大都市圏も地方も、それぞれに均衡ある社会資本整備が進められていって当然ではないでしょうか。これから車社会の本県にありまして、県土の均衡ある発展のために、生命線とも言うべき近畿自動車道紀勢線などの高速道路網の整備にブレーキがかかる危機にあると私は申し上げたい。
 知事、地方の実情を無視して一律に行われようとしております道路特定財源の見直しや日本道路公団等の統合廃止、民間への移管などの部分も含め、こうした小泉改革が真の改革と言えるのかどうか、存念を承りたい。
 第二に、近畿自動車道紀勢線御坊─南部間の供用開始は予定どおり進められるのか。この点に関しましては、平成十二年二月定例会での同僚大沢広太郎議員の質問に対して当時の西口知事が、県の意思として「平成十五年春ごろを目標に供用開始ができるよう日本道路公団へ要望してまいります」と答弁されております。前知事の発言とはいえ、県の意思、考え方であり、今も生きていると私は思いますが、この当時も今も土木部長である大山部長からご答弁をいただきたいと思います。
 第三に、同じく南部─田辺間の高速道路整備の事業推進に影響はないのかどうか、土木部長に答弁を求めまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの森正樹君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 関空に関するただいまのご質問でございます。
 仁川国際空港へは、私もことし参りまして、本当に広大なこと、これからの発展性を持っていることに驚きを感じ、それ等の関連で関空の整備を早く進めないといかんという気持ちを強くしていたところでございます。そこへもってきまして、急にここへ来て関空の整備について、テロで利用客が減っていることとか、オリンピックが来なくなったというふうな、余り関係のないようなことを理由にして三年ほど延ばすというふうな話が出てまいりまして、これは大変なことだということで、県議会とも協力し、そしてまた私自身も東京へ行って非常に強い陳情を行ったり、水面下でも大阪府等と連絡していろいろな対応をとってきたところでございますけれども、今なおなかなか厳しい状況が続いているということで、これからもその方向で、とにかく延期があるというようなことがないように力いっぱい対応していきたいと思っております。
 その中でも、東京湾横断道路と本四架橋と関空の二期工事、三大要らない事業だというふうな発言をしている方もおられる。非常に認識のおかしさ──日本の国が二十一世紀に国際社会の中で十分活躍していくためには関空の整備なんというのはもう当然のことでございますので、そういうふうな発言が出てくることを非常に寂しく思いましたし、そういうふうな問題については、やはりただしていくという姿勢が必要であると思います。
 和歌山にとりましても、今度ワールドカップサッカーでデンマークがキャンプ地に和歌山を指定しましたけれども、これも和歌山の風光明媚ということも大いにあるわけですが、やはり関空が近くにあるということが大きな要素をなしているわけでございまして、和歌山にとっても非常に大事な飛行場ですので力いっぱい頑張っていきたい。
 そしてまた、あわせて上下分離方式でございます。本来は、国際空港というふうなものは税金でつくるべきものだと。しかしながら、当時の経済情勢の中で地元の自治体とか財界が出せばいいじゃないかということで関空がこういうふうな形になってきたわけでございます。だから、本来の原点に立ち返って考えれば、今回の成田と中部と関空を一緒にして考えていこうという上下分離方式は当然出てくる話でありますし、関西としてはこれは本当に支持していかないといかんことだと思います。また、成田とか中部国際空港がそのために何か関空の負債をしょわされるというふうな発想自体が、日本の国が一体として発展していかないといかんというときに、ちょっと変な発想じゃないかというふうな感じを持っているわけでございます。
 いずれにいたしましても、この上下分離方式の問題と三年延期の問題は、まだ本日時点におきましても最終的な決着が図られていない最後まで残された問題になってきておりますので、今後も注意をしながらいろんな形で対応していきたいと、このように思っております。
 それから、小泉構造改革と道路の問題についてのご質問でございます。
 これだけ世の中が大きく変化してきて国、地方とも大変な負債残高を抱えている中では、大きな構造改革が必要であるということは当然のことだと思います。しかしながら、いろいろなことがあって、その後どういうふうな形に日本の国がなってくるのかということの姿が見えないということが国民の不安を増長しているところもあります。それからもう一つは、本格的な構造改革と目先の収支を合わせるということが渾然一体をなしているところに、この事柄をわからなくしているところがあると思います。高速道路に関して言えば、私は前に何かに書いておいたんですが、これは昔で言えば鉄道の本線のようなものだ、本来は税金でつくって供用していくべきものだと思うけれども、それを今、ある意味では一部道路利用料金でやれているわけですから、これほどうまい制度というものはないわけです。これは当然のことながら、そこから出てくるむだ、けさの新聞に大きなサービス会社を分離したら役員の数がふえて人件費がふえたというふうな話が載っていましたけれども、こういうふうなものは徹底的に改善していく必要があると思いますけれども、少なくとも鉄道の本線に当たるような高速道路の整備ということは、やはり国の方で責任を持って進めていくことが大切ですし、そのための財源の確保は当然のことながら何をおいても確保されなければならない。
 そしてまた、和歌山県が近畿という日本の二つの大きな経済的な中心の中にあるにもかかわらず非常に経済状態が厳しいということも、高速道路がいまだに整備されていないということが大きな原因の一つであるというふうに考えておりますので、私は守旧派と言われようと何と言われようと、この高速道路の整備、そしてまた京奈和自動車道であるとか府県間道路であるとか、こういうふうな道路の整備に力いっぱい邁進していきたいと思いますし、また必要なだけ東京の方へ行っても物を申していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) まず、仁川国際空港を視察しての感想ということでございます。
 去る十一月二十一日から二十二日の二日間、県議会関西国際空港対策特別委員会に随行をお許しいただきまして仁川国際空港を視察してまいりました。
 私の印象といたしましては、まず第一に、仁川国際空港が国家プロジェクトとして位置づけられまして強力に推進されているということでございます。具体的には、既に将来の需要に備えて広大な敷地を用意し、大規模なターミナルを建設しているということ、さらにはタックスフリーゾーンなどの航空需要の創出を一体的にとらえた開発を進めているということもありました。さらに、都心までの高速道路の整備や鉄道計画など、アクセスの整備までも総合的に推進されていることなどでございました。今後さらに二本の滑走路を整備することになれば、関西国際空港にとって大変なライバルになると脅威に感じたところでございまして、改めて関西国際空港を支える関西圏、なかんずく直接の臨空圏であります和歌山北部地域、大阪南部地域のいわゆる紀泉地域の経済力の拡充ですとか都市機能の強化といった問題、あるいは国内外へのトランジット機能の強化などに積極的に取り組み、もって航空需要の拡大を図っていくことが喫緊の課題であると再認識いたしたところでございます。
 次に、関西国際空港の航空需要予測についてでございます。
 関西国際空港は、テロが発生しました直前の本年八月までには、関係者のご協力もございまして、十九カ月連続して発着回数が増加、また初めて成田国際空港を上回るなど順調に需要を伸ばしてきたところでございます。現在、テロの影響によりまして世界的な航空需要低迷の中で関西国際空港の航空需要も影響を受けてございますが、中長期的には航空需要は拡大していくものであると考えてございます。
 関空会社では、昨年十一月、二期滑走路供用開始後の経営見通しとして、仁川国際空港の開港、成田の暫定滑走路供用の影響を考慮した厳し目の将来予測におきましても、二期滑走路の供用予定時期である二〇〇七年には、現在の一本の滑走路の処理能力の限界である年間発着回数十六万回を超えるという見通しを示しているところでございまして、テロの影響の収束後、着実に航空需要は回復するものと考えてございます。
 次に、関西国際空港のさらなる着陸料の値下げを行ってはどうかというご指摘でございますが、仁川国際空港のみならず、我が国周辺諸国では、国家プロジェクトとして大規模な国際ハブ空港の建設に取り組んでいるところであり、関西国際空港がそれらライバル空港に打ち勝ち、国際ハブ空港として成長していくためには、今後、着陸料等、空港使用料の引き下げを初めとする国際競争力強化のための取り組みを進めることが重要であると考えてございます。
 一層の着陸料の引き下げには、国土交通省が示している上下分離案も有効な方策の一つであると考えてございまして、本県といたしましても、関西国際空港株式会社の安定的な財務、経営基盤の確立を図るとともに、柔軟で効率的な空港運営が確保され、着陸料の引き下げが実現できるよう、関係自治体とともに取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 行政のスリム化と外郭団体の整理統合につきましてのご質問に順次お答えいたします。
 まず行政のスリム化についてでございますが、最少の経費で最大の効果を上げることを目標に、簡素で効率的な組織を目指して不断の努力を行ってきたところでございます。
 本年四月現在で、類似する県と比べてみますと、本庁の課室の数はほぼ同数であり、地方機関数については全体的には少ない状況となっております。具体的にどこまでと申し上げることは難しいところでございますけれども、新しい行政需要には、スクラップ・アンド・ビルドで対処するなど、行政のスリム化にさらに努めてまいりたいと考えております。
 次に、外郭団体に関するご質問の二点につきましてお答えいたします。
 いわゆる外郭団体は、県民サービスの向上、県内産業の振興など、広範な分野におきまして行政を補完、支援する目的で設置され、一定の成果を果たしてまいりました。しかしながら、大きな変革の時代を迎えまして、外郭団体の経営環境は大変厳しいものがあり、経営の効率化はもちろん、民間事業者との競合など、さまざまな面から見直しを行う必要がございます。このような状況のもと、県の指導とも相まって、財団法人和歌山県勤労福祉協会が管理する労働者憩いの家やすらぎ荘の本年九月末の廃止など、それぞれの団体においても経営改善等に努めているところでございます。また県においては、本年八月、県内各界の有識者等から成る行政組織等検討懇話会、いわゆるスリム化会議を立ち上げまして、外郭団体それぞれのあり方や必要性など、ゼロベースから検討をお願いしているところでございます。
 今後、懇話会からの提言等をもとに、統廃合を含めた外郭団体の抜本的な見直しを行ってまいりたいと考えております。
 最後に職員定数の削減についてでございますが、事務事業の整理合理化などを通じまして、本年度削減した三十名を含め、平成十五年度までに約百名の定数の削減を行うこととしており、今後とも行政改革の推進に一層努めてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 近畿自動車道紀勢線の御坊─南部間の供用につきましては、用地買収を平成十二年度末で完了することを前提といたしまして、平成十五年春供用を日本道路公団に要望してきたところでございます。
 残念ながら、八カ月余り前の平成十二年度末の用地買収率は七八%でありましたが、土地収用法を活用し、町村の全面的な協力のもとに全力で取り組んだ結果、現在用地買収率が九八%となっているところでございます。本体工事は今月中にすべて発注される予定でございまして、日本道路公団に工期の短縮を強く働きかけるとともに、高速道路の整備方針が議論されている中ではありますが、供用開始につきましては平成十五年内にするよう国に強く働きかけてまいります。
 次に、田辺─南部間につきましてはことしの七月に設計協議が完了してございまして、現在、一部区間において用地の単価呈示を行ったところでございます。
 今、小泉内閣の構造改革のもと、高速道路の整備方針が不透明な時期ではありますが、県民の強い願いを踏まえまして、供用開始がおくれることのないよう用地買収の実績を上げるとともに、従来どおりの手法により事業を進めるよう、県の総力を挙げて政府に働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十三番森 正樹君。
○森 正樹君 この本会議の開会中にもかかわらず、議長が行けませんので、その名代として一昨日、尾崎要二関西国際空港対策特別委員長が本議会を代表して東京へ日帰りで行っていただき、大変ご苦労いただきました。私、帰ってこられるのを待ち受けておりまして、報告をお聞きしたのであります。たくさんの与党三党の国会議員が出席をされて、強く国交省や財務省に対する要望の声を挙げていただいたそうで、その後、陳情にも行っていただいたと聞いております。
 ただ、気になることが一つ。その中で石原行革大臣から、「そこまで関西の皆さんがおっしゃるんだったら、なぜ大阪空港を廃止しなかったのか。この大阪空港は、欠陥空港だと言われているんでしょう。その大阪空港は、騒音問題等で地元から強い廃止の声があるから、そのために関西空港を立ち上げたんじゃないですか。皆さんそうおっしゃるんだったら、大阪空港を廃止したらどうですか」というご指摘があったそうであります。まさに同感であります。本当に関西全体の復権、東京に対して関西の地盤沈下が言われて久しいわけでありますが、本県はもちろん、この関西の活性化のために、今こそ仁川という大変脅威──北東アジアのハブ空港の立場は私たちが担いますと向こうは明言しているわけであります。それに対して、施設的な面では確かに仁川国際空港には劣りますけれども、ヒンターランドの経済圏とか、我が国の関西国際空港の方が有利な面もいっぱいあるわけでありまして、要は取り組み次第だと思います。
 先ほど質問の中で申し上げた仁川国際空港は、日本の二十一の地方空港から実に週二百八十八便飛んでいると。これは前の質問のときに、当時の運輸省にこの利用客の資料を要求したら何も持っていないと。そのこと自体が問題だと思うんですけれども、そういうライバルの実態を把握していないことが問題だと思いますが、この仁川国際空港に実に二百八十八便、ざっと計算して年間三百万人が利用して行っているわけですね。前に予算委員会でも申し上げましたけれども、ほとんどが韓国のアシアナ航空と大韓航空という二社なんです。いかにポートセールスを一生懸命やっているかというあらわれであると思います。だから、施設の面では負けても、着陸料の値下げも含めまして運営とか中身の点で頑張ることで関西国際空港が北東アジアのハブ空港の地位を確立できると。
 それにはもう一点、今回は申し上げませんでしたけれども、全体構想を前倒ししてでもやるぐらいの強い決意で我が国が取り組むべきだと。十年間で九千億円もの騒音対策のお金が、空港施設に反映しないお金が消えていっている大阪空港なんて廃止すべきだと思います。これからまた十年大阪空港を存続させれば、当然一兆円近いお金が要るわけでありまして、そんなお金があれば全体構想はすぐにできると私は思います。そういう強い意志で、県としても国や関係方面へ働きかけをしていただきたい。我々も同じように行動いたします。ぜひともよろしくお願いを申し上げまして、要望とします。
 以上です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で森正樹君の質問が終了いたしました。

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