平成13年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、田辺の二番手で、ひとつよろしくお願いします。
 まず最初に、木村知事が目指す改革県庁について。
 私は、知事就任のあいさつ文を改めて読み直しまして、その感動をまた改めて持ちました。和歌山は必ず変わる、今までの慣習や慣行にとらわれない新生和歌山の創造に向かって着実に進むと確信しました。知事のあいさつの中で、とりわけ改革県庁、政策立案県庁に県職員が一丸となって自己改革をしていくこと、県民参加と県民自治の確立のため積極的に県民に参加していただくこと、県が県民への説明責任を果たしながら情報公開を一層進めていくことについて述べられましたが、私は、言葉では表現できても、この実践は知事にとって大変な労力を要するというふうにも感じました。まず、県職員がその立場に立てるのか。その中で県民への説明責任と県民参加を求め、県民の責任と役割をきちんと位置づけていくことは、一つ一つの政策立案とその実践において、理念を貫いていかない限りなかなか成功しないと私は考えます。
 基本的な考え方は、私たちの代表神出議員から意識改革の中の施策体系ごとの組織改正で述べられましたので、私は、補足になりますが、私の経験したことを踏まえてこの観点で少し見てみたいと思います。
 私の結論は、縦割り行政は政策面、予算面での弊害とむだが必ず生まれてくるので、それを解決するためには政策別に関連する部課のセクションが共同で政策を実現するための事業を考え、その予算を計上し、政策別に組織改正あるいはグループ別による効率のある行政執行を目指すことが今求められているのではないかと思いました。
 例えば熊博後の対応とその政策、組織対応ですが、これは、企画部の地域振興課と観光局があるわけです。市町村や民間の地域づくりの団体は、その二つが来ても同じ部署で受けとめるということになっていますし、本来は、熊博後は──ことし、知事も組織的に充足しまして、観光局として地域おこしや今特に体験型観光を目指していますから、熊博後の経緯を受けて観光局が頑張っておりますので、これは一つに吸収してやっていったら、むしろ市町村や民間の地域づくりの団体とうまくかみ合っていくのではないかと。分散されていくことに、私もかかわっていますので、その点、少し疑問を感じております。
 それから、環境政策の廃棄物とリサイクル政策は、セクションごとには企画と実践をしているわけですけれども、これはたびたび言っていますが、すべての分野で環境政策の廃棄物については、昨年廃棄物処理法六法が改正された中で、全庁的なシステムに政策化していかないといけないというふうに感じております。
 それから、高齢者居住法の実現。今までは規則だったんですが、ことし高齢者居住法という法律が、今までで言う前の建設省で確立されました。これはあくまでも県の土木部でありますが、実際は福祉行政の中で生まれた対応であります。そういった点での、福祉サイドから考えて高齢者のバリアフリーつきの民間賃貸住宅を行政が支援をしていくという法律ですが、これについても、少なくともそういう二つの部門で政策化したり、立案をして考えていただきたい。
 次に緑の雇用事業のプロジェクトは、後で述べますが、これも必要になってくるだろう。
 それから、NPO活動促進基本方針と県民の参加ですが、私、この十一月に作成した「和歌山県ボランティア・NPO活動促進基本方針」というのを読ませていただきました。この関係者にちょっと問い合わせしますと、実際に基本方針は県ではつくりましたが、いわゆる学習会なりいろいろやっているけれども、その団体とこの基本方針をつくる段階でひとつも論議をされないで机上論でつくられているという部分では、その人たちにちょっと頭をかしげたわけです。そういう意味では、少なくともNPOの活動促進方針をつくる場合は、現在かかわって一生懸命指導している方々と十分ミーティングをして基本方針を作成していくという姿勢にもっと立っていただかないと非常に混乱を生むというか、みんなのものにならないという、本来のNPOの精神から外れていくのではないか。こういうふうに考えました。
 以上、まあ感じたことなんですが、そういうふうに感じながら県民参加の県民自治を進める上で、先ほど言いました県庁の組織づくりをどのようにしていくのか、政策によって県組織がグループで対応していくのか、また例えば幾つかがまたがっているけれども一つの部課に集中・吸収する等、やっぱり現場の取り組むべき実情に見合った方向を見出すべきではないかということについて知事の見解を聞きたい。要するに、例えて県から幾つも来られても、下の受け皿は一つですよと。そういう意味では、かなり合理的に考えていく必要があるのではないかということを実践を通じて感じました。
 次に、介護保険の問題点と課題であります。
 介護保険が実施されてから、利用者、事業者、介護ケアをするケアマネジャー、ヘルパー、看護婦さん等の声が幾つか私にも寄せられています。これについて、六月議会において指摘もし、当局の見解も聞いたところですが、さらに今回、私は次の点について具体的に問題提起をしたいと思います。
 第一点は、利用者の介護保険制度における矛盾であります。保険そのものの位置づけから見れば、利用者に一〇〇%対応する責任があります。例えば生命保険は死亡すれば支給されますし、医療保険も、必ず医師にかかれますし、措置もしてくれます。ところが介護保険は、利用者が一〇〇%の措置を受けることができない保険という矛盾があります。利用者の家族は、デイサービス、ショートステイの段階から、状況によって施設入所の措置が必要としても、現状では施設入所に至ってはいつ入所できるかわからない状況にあります。利用者家族としたら、保険料を支払っているのにという疑問と怒りの声が上がっています。これらの考えは当然のことですが、これに対して県はどう対応するのでしょうか。
 二つ目は、特別養護老人ホームの入所実態から、県の「わかやま長寿プラン二〇〇〇」の施設目標数の見直しが必要ではないのでしょうか。というのは、現在の老人保健施設は病院と自宅との中間施設として位置づけられ、リハビリテーションを中心にして自宅へ復帰させる施設ですが、現実には第二特別養護老人ホーム化しつつあり、介護関係者には苦慮しています。要介護度の重い入所者の比率が、実は特養待ちが多くて、そして老健施設へ入って待っているという状態の中で、本来の老健施設の役割を果たせない。現実には第二特養化しつつあり、介護関係者は苦慮しています。要介護度の重い入所者の比率が高くなってきている中で、現状はその役割が十分果たせないという矛盾も起こっています。したがって、老健と特養は一本化すべきだという議論まで出てきているありさまですが、この点についていかがなものでしょうか。
 第三点は、在宅ケアから施設入所への傾向が強まっていることについてであります。介護保険は、本来、在宅ケアを目的としてスタートしましたが、現実はこれに反し、在宅ケアから施設入所への傾向へ移行しているのが実態であります。利用者に関係なく家族等は経済的に、また二十四時間介護の疲労の蓄積、もう一つは短期入所サービス依存による解放感から入所へ移行していること。これは、毎日介護しているときにはそう問題はなかったんですが、一週間、十日と自分の家から預けていって、今度十日、十五日してからまた家庭へ引き取ったときに、もうその落差が身について、肉体的にも精神的にも引き続き家庭で介護できない状態になっていって、どうしても施設へ入れてほしいという人のケースがかなりふえてきています。こういった点と、この十三年一月から、いわゆる今回訪問通所サービスと短期入所サービスが一元化していける形に制度も改正された中で、ますますショートステイを利用して施設入所への移行が強まっているのではないかというふうに考えますが、こういう実態の中でどう対応するのか、県の見解をお聞きしたい。
 第四点は、保険料金の将来見通しについてです。保険と利用者の充足は、先ほど言いましたように、当然対応していかなければなりませんが、現実は、施設利用への移行による保険負担の増加で保険料の値上げは避けられないというふうに思っております。とりわけ第二号被保険者──四十歳から六十五歳の方ですが──への負担増への矛盾は大きく、これら保険料値上げへの対策をどう展望されているのでしょうか。
 五つ目は、小規模介護施設、宅老所やグループホームへの行政の支援が、今、とりわけ必要とされてきているのではないかという点であります。全国的に老人介護の新しい潮流として、大きな特養や老健というような施設から小さなものへと変化してきています。宅老所やグループホームは、その一つの流れではないでしょうか。小さなものは行政の支援制度の枠外にあったが、全国的な草の根運動と実践の成果が評価され、今では痴呆ケアに対する評価が生まれています。宅老所、グループホーム全国ネットワークは四百五十会員で結成されていますが、未登録を入れると、かなりの数が地域福祉に貢献していると思います。宅老所は、地域とともにデイサービスに取り組み、大きな施設サービスと違って個々の利用者の都合に合わせ、例えば相手の立場で、朝早くから夜遅くまで介護保険の基本料金のみで対応したり、サービスの中身を制度の枠に合わせるより利用者の利便性を優先したいという考えで頑張っております。全国的に広がっているのは、そういう利用者の立場に立った介護、少人数で行き届いた介護が定着してきているからですし、宅老所の担い手の人たち、発起人の人たちのほとんどは福祉施設、病院で働いていた看護婦、ヘルパーの人たちで、施設での介護のあり方に疑問を抱き、自分たちが老いたときこれでよいのかという感じのもとで、もっともっと利用者、つまりお年寄りの意向を尊重した介護を目指すことから自主的、自発的にスタートし、施設の借り入れ、改造、運営は公的支援を受けないで介護保険適用まではすべてボランティアでやられてきました。これらの地域に支えられた宅老所が県下の隅々にNPOの精神を生かして設置されるなら、お年寄りの立場を考え、しかも大きな施設入所への移行をとめ、保険料金の負担も軽減されます。県は独自にでもこれらを支援するための初動設備──家の借り入れ、改造、備品等──に積極的に支援することが県下のボランティアの大きな力を引き出すことと思いますが、いかがなものでしょうか。
 グループホーム五人から九人の施設は、痴呆老人のケアとして期待され、既に全国で一千三百カ所あり、国は二〇〇四年までに三千二百カ所にふやそうとしています。そこで国は、社会福祉法人、医療法人に限定した、しかも新設で補助金額二千万円まで出すとして、県下でもう既に老健や特養に併設し、建設されておりますが、全国の草の根のNPOはこういった視点だけでなく、グループホームはNPOの手によって、しかも新設ではなく、空き家を借りて改造したグループホームを自主的につくり、運営されております。県の考え方として、国の大きな施設との併設、新設という基準にこだわらず、自主的な宅老所としてひとしく県として支援することを求められていますが、いかがなものでしょうか。
 次に、最後になります。これは江上議員も申されましたが、県当局に要望であります。福祉事業も公共事業の一つとして、県のゴールドプランの見直しの際、目標達成による社会経済効果、雇用創出の効果数値を福祉事業の──つくったときに、県庁内外においてこういう社会的経済効果があり、雇用創出を生み出しますよということを内外に示して、その役割も示すべきではないかというふうに考えますので、見直す際にはそれをぜひ検討していただけたらありがたいと思います。
 そこでちょっと気がついたんですが、県経済活性化委員会の委員メンバーの中に、社会的、経済・雇用的な役割を果たすにもかかわらず、そういう福祉施設の方が一名も加わっていないということで、少し寂しく思ったんですが、その点、要望にかえさせていただきます。
 次に、廃棄物、リサイクルに関する問題です。
 私は、過去四回にわたって、循環型社会を目指すため、県に対して課題や問題点について提言してきました。今回は、循環型社会を目指す中、具体的な事案を通して、廃棄物とされる有機性廃棄物の汚泥リサイクルと建設廃材チップの処理についての二点に絞って考えてみたいと思います。
 ご承知のとおり有機性廃棄物は、生ごみ、浄化槽汚泥、し尿など、これまで廃棄物として処理され、焼却や埋め立てや海洋投棄されてきました。昨年、廃棄物処理法の改正に伴う関連する六つの法律が施行される中で、行政、民間企業は廃棄物リサイクルにあらゆる面から積極的に取り組んでいます。
 そこで、有機性廃棄物の汚泥リサイクル。梅の産地である和歌山県として梅食品加工浄化槽有機物汚泥の堆肥化を進めることで、まず一つは、産業廃棄物として埋め立て投棄していたのがリサイクルできるようになります。もう一つは、梅産地で梅食品加工汚泥が梅の園地や農産物への肥料化として進むことは、梅産地にとって大きなインパクトになると考えます。この有機物汚泥が堆肥化できる可能性が生まれたのは、今まで浄化槽の水質浄化の方法は活性化汚泥法で、この汚泥は堆肥化できないことはないが、その処理コストが高くて今まで余り手をつけられていなかった。ところが、自然浄化法による汚泥は、汚泥そのものが大変な微生物いわゆるバクテリアを含有し、実証試験の中で、この汚泥そのものが三カ月で自然に発酵し、臭気も粘りもない、砂のような状態になるものです。人工的に手を入れないでも、鶏ふん・牛ふんに混入すると、一週間もすれば砂のような状態になります。普通、汚泥、畜産ふん尿は人工的に手を加えて処理しますが、自然な方法で堆肥化できるシステムです。これは、産業廃棄物というより、高価な有機商品と私は見ています。しかし、廃棄物処理法に照らせば産業廃棄物とみなし、処理業や施設の認可が必要とされています。生産農家とその汚泥排出事業所と提携して、その有能な汚泥を土地に戻す循環型リサイクルとして積極的にやるにしても、簡単にできない現状に問題はないのでしょうか。循環できる有機資源で科学的に実証され、その汚泥が日本肥糧検定協会の成分分析を受けて独立行政法人肥飼料検査所において大臣登録をして、法的に認められた肥料とされる手続ができたとしても、その以前の産廃という規定での拘束でそれが簡単にできないという矛盾が起こってきております。このように、循環資源と実証され認められても処理業、施設の認可、許可をとらなければならないという矛盾にぶち当たります。
 もう一方、建設廃材のチップ処理についてでありますが、建設廃材チップは薬剤処理等有害物質が含まれており、バーク工場ではチップ状のものをバーク肥料には使用しておりません。あくまでもグリーン材、生木です。しかし現状は、このチップが産業廃棄物でなくて有価物であるという認定をしております。そのチップが有価物であるために、産業廃棄物でないために、農地へ、園地へ肥料として利用し、処分されている状態が続いております。このことは、今、全国的に問題になっております。我々紀南でも、それが問題になっております。廃材チップを有価物にすることの問題、農地へ投棄することへの農水省の見解が出され、議論されています。県当局の見解と指導について、環境生活部長並びに農林水産部長にお願いします。
 最後に、私が廃棄物リサイクルにこの二つの事例を問題提起したのは、一点目の有機汚泥の有能物質は廃棄法で縛りつけられていること、二点目の有害建設廃材チップを農地へ投棄することについては有価物として合法的に産廃とみなされないという、この相反した矛盾と問題点を県としてどうとらえるのか、またこの廃棄物処理法そのものに問題があるのではないか、これを改善させる必要があるのではないかということであります。県当局の見解を聞きたいし、法そのものが現状に則していない場合は国に対して意見を述べる必要があるのではないかということであります。これは、全国的にもその意見具申が起こっているというふうに聞いておりますので、いかがなものでしょうか。
 次に、農林振興についてであります。
 梅、ミカン、カキの現状と問題点でありますが、ミカンの生産量と平均単価の動きを見てみますと、ことしは全国平均百四十九円、和歌山はちょっといい、百五十五円となっているんですが、昨年は二百五十八円、二百四十二円であります。実際に農家の手数料として入るのは、百円ないんです。四十円から八十円という実態であります。そういう状況の中で、今、非常にミカンの値段でも大変であります。カキに至っては、ことし百九十九円という値動きであります。以前、平成十年では二百七十円の値動きでありましたけれども、そのようにして百円余りコストダウンになっております。また、梅のいわゆる十キロたるの値段も、ことしは昨年に比べて二分の一を切ったという状況であります。
 こういう、いわば中国を初め外国からの輸入の影響だけでなく、日本経済のデフレスパイラルが大きく影響して消費が落ち込んできているというふうに二つの側面で考えられていると思いますが、和歌山県の果樹大国を守るには、生産農家は余りにも厳しい局面に立たされています。この苦境を乗り越えるためには、生産、流通、販売の現体制を抜本的に見直す構造改革が今進められています。生産した産物が消費者に届くまでの流通コスト、農協組織が生産農家を育成していくための農協自身の構造改革、また生産物に付加価値を与える新特産品の開発をどうしていくのか。また、基本である生産コストを下げるためにどのような政策をつくり上げていくのか。このデフレの傾向にあって生産価格は下げの一方であるのに対して肥料、農薬等の資材は下がらず、むしろ値上げされるものもあるといった状況が生まれております。
 和歌山県の果樹は、有機、減農薬で、安全、安心、健康の食品に徹することを模索してはいかがでしょうか。行政と農協、生産農家、消費者でもって和歌山県果樹王国を守る政策を確立する必要があるのではないでしょうか。さらに、県特産品、農産物のPR作戦について、各地域で今必死になって取り組みを具体化しております。こういう取り組みに県としてどう支援していくのか。そのために県行政がコーディネートしていく必要があると考えますが、農林水産部長の所見をお聞きしたい。
 また、全国のマスメディアに、どうしても集中したいい番組に、時間帯に入っていない。そういう意味でも、全国のマスメディアに地元のミカン、カキ、梅、そういった産物が具体的に全国にPRできる方策も支援していただけたらありがたいと思います。
 次に、梅の生育不良と研究テーマと体制についてであります。
 一つは、県は十三年度に入って、梅樹の生理・生態の特性、適正着果管理技術の開発、適正な土壌管理技術の開発とか優良台木の問題、それから大気環境の問題、病害虫の問題というふうにテーマを設けて取り組んでいただいております。大変な努力をしていただいております。これらの研究の成果を徐々にまとめ、最終的にはレポート化していくと思うんですが、これを中間レポート化し、個々の研究を総合的に関係づけた研究総括を一体どこでまとめ上げていくのか。テーマは、具体的には七項目から十項目あります。そういうテーマを具体的に総括研究していくところは、どこでやるのでしょうか。
 例えば、先日の暖地園芸センターの研究員の梅の生理・生態の研究分野の発表の中身はその研究の一考察であって、総合的見解となるとその考察のみでは評価できないし、聞いた指導員、普及員、生産の方にとっては、言っていることはわかるけれども、それだけを聞くと反論する部分もかなり出てくるというような、一面的な側面での発表が非常に誤解を招くという点を、私、感じました。そういう意味では、総論的な部分で中間リポート化していくというのが大事ではないかというのを感じております。
 そういう観点から、総合的な研究成果を進めるために、少なくとも総合研究課題は梅研究センターへ多分引き継がれると考えます。したがって、梅研究センターの研究する人材の確保はどうなっているのか、どうしていくのかということについて農林水産部長にお聞きしたいと思います。
 次に、要望でありますが、梅生産農家に対する支援であります。
 改植更新及び土壌改良への支援、立ち枯れの改植の苗木への支援に重点を移してほしいという現場の声であります。今までだったら、統一したAパターン、Bパターンで、この肥料を使いなさいということで、農家に関係なくパーンと指定してくる。こういうやり方はいいかげんにもう限界が来ていますから、それをやめて、農家が望む栽培の必要とする資材、それから立ち枯れによる改植の苗木への補助に切りかえていくべきではないかということの声が上がっております。この点について、要望したい。
 もう一つは貸し付け制度で、借り入れた農家は、今、元金、利子支払いが非常に困難なところの農家も生まれてきております。すべてではありませんが。それに対して、厳しい農家の人に利子支払いのみで元金を据え置きなど考慮してほしいという声がありますが、これについても実情を十分把握されて、いい方法を検討していただけたらありがたいなというふうに考えております。
 次に、中国輸入農産物の残留農薬検査の実情と問題点であります。
 これについて、県は、その情報収集をどのように把握しているのか。検査結果は安全で信頼できるのか。あるマスメディアでも指摘されている中で、県の段階でも水際作戦が必要ではないのか。この点について環境生活部長にお聞きしたいと思います。
 これは十二月十一日の産経新聞で、「中国産野菜四割に「農薬」 安全基準超え残留」ということで、これは「中国青年報」という中国の中の新聞に書かれている問題であります。猛毒のメタミドホスという殺虫剤がたくさん含まれていると。香港では、これを「毒菜」というふうに言われるくらいで、それで何万人もの人がいわゆる農薬中毒にかかっているという状況が今生まれているわけです。
 その中で、たまたま「週間文春」が九月十三日付、十一月二十九日付の二回にわたって、「中国輸入野菜からDDT 砒素検出!」ということで載っていました。このルポライターはただの人でなくて、NHKでずっとやっていまして、退職してフリーで今ルポライターをやっているんですが。そこで検出されたこの中身を見ますと、大変な砒素や水銀がいっぱい出てきていると。しかも、国の水際作戦では、現在の人数ではとてもやっていけない、目こぼしが非常に多いと。いわゆる輸入農産物は何十倍にもなっているのに、実際に検査をする検査率は十年前の半分以下の人数でしか対応できていないということで、ほとんどストレートに、無検査で通さざるを得ない実態に今来ているということをこのルポライターの人が指摘しているわけです。
 そういう意味で、先ほど大沢議員さんが言われたように、狂牛病においても、農水省の本当にちょっとした誤りが今の事態を招いたということと、これに対しても十分ないわば水際作戦ができていない体制と、しかも本来日本がもう農薬として使わない、禁止した農薬がどんどん使われている中で検査が行き届かないと。もう、そういう検査制度がなってないんですね。いわば、現在日本が農薬として認めている農薬のみは検査できるけれども、以前もう廃止したやつは検査できない、ところが中国はそれをどんどん使っている、それがどんどん入ってきても検査の対象にしにくいという、非常に矛盾した結果を招いているわけであります。そういった点についても、私は非常に重視します。これも事前に資料を渡させてもらって、もし感想があれば環境生活部長にお聞きしたいと思います。
 最後になりますが、緑の雇用事業の具体的な施策プログラムについてであります。
 冒頭、知事へ、政策別に幾つかの部課に関係する場合に共同政策、共同企画をしていくことの必要性をお願いしましたが、この緑の雇用事業の基本的な考え方と体系図を見ますと、これこそ幾つかの部課の共同事業として具体的な政策立案の必要性を痛感しました。
 私は、過去二回、森林・林業に関し質問してきましたが、ここで私から次の点を知事に対して提言をしたいと思います。
 一つは、緑の雇用事業を企画立案する上で、森と林業と紀州材販売、建築までを総合的な視点で位置づけてほしいということであります。これは、緑の雇用事業の基本方針と体系図を見させていただいた上での感想です。それと、附帯的には地域おこし、村おこし事業とのジョイントがどうされていくのかということ、言葉では体系づけているけれども、具体的にどうしていくのか。
 次に、関係する部課の共同プロジェクトとして、どうしても位置づけてください。
 三つ目は、緑の雇用事業は、県民参加の官民一体の協力で政策企画立案し、実施に至るまで事業課題別に官民協力体制のシステムをぜひつくっていただきたいということです。これは、民間団体も皆さん期待していますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、緑の雇用事業推進を内外に発信するために、一つは推進イベントとして森の下草刈り、間伐、例えば森林整備十字軍──「十字軍」というのはもう全国で使われていますけれども。いいネーミングがあればいいんですが──県内外のボランティアに呼びかけたイベントをやっていくと。知事が緑の雇用事業を発表してそれで終わったというんでなくて、毎年何かイベントがやられていて、内外に情報発信してある、大変な取り組みをしてあるよというのを位置づける意味でも毎年やっていただけないだろうか。
 そういう現在の森林に対してというのと、もう一つは照葉樹林、とりわけイチイガシとか紀州備長炭の生産日本一のウバメガシ、この二種類を植林イベントしていく。これも今、一部でやられておりますが、ぜひこれをやってほしいという声が出ております。だから、緑の雇用事業でこの二つのイベントを年一回ずつやれば、内外へかなりなインパクトを与える。参加者も手弁当で参加してくれるんではないかというふうに感じます。それで、その提唱を知事を先頭にやっていただけたら非常にありがたい。
 もう一つは、緑の雇用事業に直接関係する知事とのサミット及び森林専門学者を含めたフォーラムなどを開催してさらに全国に発信していくと、こういうふうな状況をぜひつくっていただけないかというふうに思います。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの原議員のご質問でございますが、まず政策別の組織をつくっていくべきじゃないかというご質問でございます。
 これはもう、私もそのとおりだと思っております。もう二十一世紀になりまして非常に行政分野が複雑化し、そしてまたありとあらゆるものがいろんな部局にまたがってくることがあります。そういうふうな中で、これは和歌山県だけじゃなくて、行政組織は今までずっと縦割りでやってきたということがあって、余り他の部門がやっていることに口出しをしたりすることは好ましくないというふうな伝統──これは国も含めて皆そうですけれども、そういうことがあったのをやはり今から打破していかなければならない時代が来ていると思っております。
 ことしの当初にもそういうふうな感じで新しい組織をつくりましたけれども、ただ単に組織をつくるということだけじゃなくて、気持ちの上で流動化させるような形の意識改革をしていかないとなかなか実効性を持つことにならないということで、来年度も、組織変更に当たっては、今重要になってきている問題について機動的に組織のあり方を考えていくとともに、そしてまた枠組みとしての組織だけじゃなくて、それぞれの部局の協力体制をどんどんつくっていかないといかんと思っています。
 例えば、IT関係ということにしても、庁内のIT化と情報化ということで、情報関係のところだけが一生懸命やっていてもだめなんで──今バーチャル和歌山という会社をつくっていろんなことをしているのは商工労働部の方でやっているわけで、こういうところがお互い協力していろんなことをやっていかないと、それぞれが別々に進めていますということでは、これはもうとてもぐあいが悪いと。そして、そのときの一番大事な視点は、住民、県民の方がいろんなところに相談に行ったり、こういうふうなことをするというときに、これはここです、これはここですという形になるんじゃなくて、やっぱり総合的に受けとめる組織づくりが大事だと。そういうふうな視点で今後も組織を考えていきたいと、このように思っております。
 それから、緑の雇用事業でございます。
 これは、議員もご指摘のとおり、私自身は中山間におけるトータル振興プランというふうに考えておりまして、ただ単に山林の枝打ちとか下草刈りにいっとき公的な資金を入れて都会などから人に来てもらうというふうなことを考えているわけではございません。そしてまた、そういう公的な仕組みだけでは、当然のことながら、今、山では所得保障の緑のサラリーマンになりたくてもなかなか収入がないわけですから、やはりいろんな形、例えば紀州材の販売とかいうことも含めて、できるだけ自立できるような仕組みも考えていかないと、国とか自治体の負担ばかりが多くなってなかなか永続的に維持できるようなシステムができないということもありますので、こういうふうなトータルな形で考えていきたい。そういうふうな中で、私はNPOとかボランティアの方々の役割というのは非常に大きなものだと思っております。
 それから、もう一つは民の協力ということでございますけれども、これはもう協力というよりは、むしろ民間の地元の方がそういうものを受け入れていこうという気持ちにならなかったら、これはもう絶対にできることではありませんので、私は、いろんな仕組みを考えていく場合にも地元の方との協議を第一に置いてやっていくべきものだと思っております。
 そしてまた、こういうものは一度打ち上げても余り大した成果が上がらないと火が消えてしまうということがありますので、フォーラムを開くとか、いろんな形で外へ発表していくことによって賛同者を求め、そして大きな運動にしていくという努力も非常に大事だと思っておりますし、続けていきたいと、このように思っております。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 介護保険の五点についてお答えをいたします。
 まず利用者への対応でございますが、県といたしましては、県民の皆様が必要な介護サービスを十分に利用できるようにすることが大変重要であると考えてございます。今後とも介護サービス基盤の整備を積極的に進めるとともに、実態を踏まえ、全国的な流れの中で「わかやま長寿プラン二〇〇〇」の見直しを平成十四年度中に行ってまいりたいと思います。
 次に、特別養護老人ホームと介護老人保健施設の一本化についてでございますが、介護老人保健施設につきましては、介護保険制度で提供する施設サービスの中で、議員ご指摘のような重要な役割を担っていると認識しており、今後ともその役割を果たしていただけることを期待してございます。
 また、「わかやま長寿プラン二〇〇〇」における特別養護老人ホーム、介護老人保健施設の整備につきましては、平成十六年度の目標数はそれぞれ四千二百三十五床と三千二百六十九床であり、現在整備中のものを含めますと、それぞれ三千八百八十五床と二千七百八十二床になっているところであります。
 プランにおけるそれぞれの施設の整備目標につきましては、実態を十分踏まえ、全国的な流れの中で十四年度中に見直してまいります。
 次に、三点目の施設への入所傾向についてでございますが、県といたしましては、在宅で介護をされる方々が介護で疲れ切ってしまわないよう、早い段階から介護サービスをご利用していただくことが重要と考えており、啓発とともに介護サービスをご利用しやすくしていくことがより必要であると考えてございます。
 次に保険料につきましては、県民の皆様に、介護費用の半分が保険料であり、残り半分が税金であるということや、みんなで負担し合っていることをご理解いただけるよう、さらに努めてまいります。また、介護保険の保険者である市町村の過重な財政負担とならないよう、国に財政支援を要望しているところでございます。
 次に、五点目の小規模施設、宅老所、グループホームへの行政の支援策でございますが、地域に根差した宅老所やグループホームにつきましては、介護サービスの充実のため、その必要性は十分認識しているところでございます。そのため、県におきましては、県単独補助事業といたしまして和歌山県ふれあいサロン推進事業を実施し、NPO等が身近な生きがい活動等を実施する場合に初度設備に対する補助を行っているところであります。また、国に対しましても、NPO等が宅老所やグループホームを整備する場合の施設整備費に対する補助制度の創設を要望し、グループホームにつきましては今年度制度化されたところでございます。
 今後も一層の介護サービスの充実を図るため、宅老所やNPO等に対する支援策を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 有機性廃棄物のリサイクルにつきましては、循環型社会の構築に向けても積極的に取り組むべき課題として認識してございます。
 議員お話しの建設廃材のチップは、有害物質の飛散流出の防止という観点から県でも分析を行い、必要な指導を行っておりますが、産業廃棄物に該当するかどうかの判断につきましては、取引価値の有無等から有価物と判断しているところであり、有価物として引き渡されたものに対して廃棄物処理法に基づく規制は困難と考えております。
 また、汚泥が肥料として認定されれば、当然、廃棄物処理法は適用されませんが、排出事業者から発生した汚泥を肥料化するために脱水、乾燥また腐熟等の処理を行う場合は、廃棄物処理法に基づく処理をする必要がある考えております。
 廃棄物の定義の見直しについては、現在、国において議論されているところであり、本年七月、全国知事会から国に対して要望しております。今後、循環型社会を実現するためにも、廃棄物の適正処理やリサイクル事業を担ういわゆる静脈産業の育成が不可欠であり、この廃棄物の定義がその進展を阻んでいる場合があると考えられます。それらの実態や現場の意見を十分聞く機会を設けるよう、本年十月、全国の廃棄物関係課長会議においても国に要望したところでございます。
 今後、他府県とも連携をとりながらこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に中国輸入農産物の残留農薬検査の現状についてでございますが、食品を輸入する場合には、食品衛生法に基づき検疫所への届け出が義務づけられており、検疫所では農薬の残留基準が定められている農産物につきまして適宜抜き取り検査を実施し、違反があれば廃棄等の処分が行われているところであります。
 なお、検疫所での違反事例等につきましては、ほぼ四半期ごとに厚生労働省から情報の提供を受け、県の業務の参考としているところでございます。
 また、検疫所等の食品衛生検査施設につきましては、精度管理等が義務づけられていることから、その検査結果は信頼できるものでございます。
 県といたしましては、県内で生産、流通している食品等を対象に残留農薬や添加物等の検査を県衛生公害研究センターにおいて実施しているところでありますが、今後は輸入食品の安全性に留意して、その実施に努めてまいりたいと考えております。
 また、先ほど先生から中国における農産物の農薬等の使用についての資料、ご指摘をいただきましたが、興味を持って読ませていただきました。県としては、食中毒の発生状況や最近の狂牛病の問題等を考えるとき、県民の健康を守るという観点から、食品の安全性の確保のため各種情報の把握を行い、的確な検査に取り組む必要があると考えております。
 また、生産、製造、流通に携わる企業者等については、それぞれの立場で食品の安全の確保に努めていただくとともに、消費者の方々にも食品の安全性に関心を持っていただくよう、情報公開等を含め、啓発にも努めてまいりたいと、このように感じております。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) ご質問の三点につきましてお答えいたします。
 まず有機性廃棄物のリサイクルについてでございますが、建設廃材につきましては、本年一月に農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省の連名で特定建築資材に係る再資源化等に関する基本方針が出され、農林水産省ではこれを受けまして、建設廃材には防腐剤やシロアリ駆除などの薬剤処理により有害成分を含むおそれがあることから、安全性の確認がとれない場合は農業生産資材としては不適切であるとの見解を出してございます。こうした国の見解を受けまして、農林水産部といたしましては、先般、関係部局に対し協力依頼を行うとともに、バーク堆肥生産業者に対しましても指導の徹底を図ったところでございます。
 次に、梅、ミカン、カキの現状と課題についてでございますが、本県産主要果樹につきましては、長引く景気低迷により消費者の購買力は低下しており、特に本年産果実は高品質にもかかわらず価格に反映されないという、今までにない厳しい状況にございます。
 こうした中で、生産現場におきましては、園地の若返り対策や低コスト生産などが求められておりまして、流通面では産地直売や契約栽培などの市場外流通への新たな取り組みもございます。これらを踏まえまして、県といたしましては、地域の特性を生かした新たな生産流通対策に取り組むため、その一環といたしまして、先般、有識者や農家代表、農協などの関係者の方々と果樹振興に対する懇談会を開催したところでございます。関係者の方々からは、消費者の立場に立った販売方法や早急に対応すべき生産技術対策等について多くのご意見をいただいており、今後、できるだけ早い時期に現場の声を反映したアクションプランを取りまとめてまいりたいと考えてございます。
 なお、議員お話しのPRなどにつきましては、さまざまな機会をとらえ、取り組んでまいります。
 次に、梅の生育不良と研究テーマと体制についてでございますが、梅の生育不良につきましては、県ではこれまで、生産者を初め関係機関と連携と図りながら、暖地園芸センターを中心に試験研究機関挙げて、大気環境を初め、栽培、土壌、病理など総合的な試験研究に取り組んできたところでございます。試験研究の方向といたしましては、梅産業の持続的な発展を図る観点から、生育不良問題の早期解決を初め、安定生産のための技術開発や優良品種の選抜育種などを中心に積極的に進めることとしてございます。
 また、梅研究機関の人材確保につきましては、地域と密着した研究を進めるため、適正な人材の配置に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。     
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、原日出夫君が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十分休憩
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