平成13年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十三年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十三年十二月十二日(水曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに報第七号から報第十号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに報第七号から報第十号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十六人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(なし)
 〔備考〕
     二十三番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         安   居       要
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       増   田   充   孝
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   中   尾   公   彦
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      井   口   好   晴
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第百三十二号及び議案第百四十七号から議案第百五十号までは、いずれも職員に関する条例案でありますので、地方公務員法第五条第二項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、ご了承願います。
  〔巻末の「参考資料」を参照〕
  【日程第一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに報第七号から報第十号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに知事専決処分報告報第七号から報第十号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四番大沢広太郎君。
  〔大沢広太郎君、登壇〕(拍手)
○大沢広太郎君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、質問をさせていただきます。
 まず一点目は、市町村合併についてであります。
 この問題につきましては、私は、去る九月議会の予算委員会で質問をさせていただきました。また、今議会で初日に佐田議員、二日目に江上議員が質問をされておりますが、合併の重要性を考え、また重複するところがあるかもしれませんが、お許しをいただきまして質問させていただきたいと思います。
 去る十一月十日、田辺・西牟婁選出の議員と県友会すなわち元議員の先輩方と、将来の合併問題をどのように考えていくかという趣旨の会議を開催しました。この目的は、元議員さんと、過去の合併問題に取り組まれたことや、またそのときの苦労話などをぜひお聞きし、今後の参考にしていきたいということから開催をしたわけであります。当日、田辺からは田中実三郎先輩、那須秀雄先輩、もう一人の那須秀雄先輩、木下義夫先輩、西牟婁からは北条力先輩、浜本収先輩の六人が出席してくださいました。現職は町田議員、堀本議員、私と三名、合計九名で会議を開きました。会議の最後に、現在合併が構想されている田辺市を中心に一市六町三村すなわち十カ市町村を訪問し、各首長さんのご意見をお聞きして今後の参考にしようということになりました。早速、各市町村とアポイントをとらせていただき、十一月二十九日に実施をいたしました。参加者は、北条先輩、那須秀雄先輩、町田議員、坂本議員、私と、五名で出発をいたしました。
 まず田辺市では、脇中市長や池田合併推進室長らから意見を聴取いたしました。田辺市議会も合併調査特別委員会を設置され、前向きに取り組まれています。特に、合併重点支援地域の年内指定と法定合併協議会の早期設置をと申されておりました。また、九月には市町村合併について広く市民の意見を募ろうと市町村合併懇話会を設置し、市民の意見を聴取されております。
 次に南部町でありますが、杉本助役にお聞きしました。日高圏域との兼ね合いもあるが、基本的には田辺市などを中心とした十カ市町村と考えているとのことであります。また、南部農協と印南農協との合併問題が平成十五年に予定をされているので、この合併問題も大きなウエートを占めるとのことでした。
 次に、南部川村は今木助役にお会いをいたしました。庁内は助役をトップに、議会は副議長をトップに検討している村内九地区のうち七地区へ村長が出向いていって説明会を終了している、何といっても南高梅というブランドを守ることを一番の目的としており、また農業従事者が八〇%であるので農業従事者の声を大事にしたいとのことでありました。
 次に、龍神村は古久保村長に意見をお聞きしました。有権者の百分の一すなわち三十七名で検討会をつくり、また地区懇もやり、意見を聴取した、二十代、三十代、四十代といった若い人からも意見を聞きたいとのことでありました。また、合併後は市が大きくなるため、小さな村まで目が行き届かなくなるのではという心配、それから龍神という昔からの名湯と呼ばれている温泉に入浴客がふえるのだろうか、また龍神は木材の村であるが龍神ブランドの材木は売れるのかなど、心配をしている。この地は弘法大師が発見してくれたという龍神温泉、すなわち温泉などふるさとの貴重な資源を安く身売りするな、茶がゆをすすってでも村民が耐え忍んでよりよい合併をじっくり考えるべきだとの意見もあるということでありました。
 次に、中辺路町は丹田助役にお会いをいたしました。町も三十地区に分けて説明会を行った、臨時議会も十一月七日に開催し、合併促進委員会と変更し、合併に向けて積極的に取り組んでいるとのことでありました。また、十一月二十五日には総務省の木村陽子先生を招いて講演会を開催しています。町としては、中辺路─田辺間を直結する幹線道路整備や簡易水道や上水道問題など大きな課題はたくさんあるが、合併は避けて通れないと考えているとのことでした。
 次に、大塔村は賀城助役にお会いしました。村では慎重に住民の意見を聞いているが、高齢化率が高く、合併に向けて準備も万全にできているので早く重点地域として指定してほしいとのことでした。
 上富田町は、小出町長に会いました。以前から田辺市を中心とした広域合併推進を表明しているとのことでありました。町内には懇話会を設置し、役場内にも職員三十名で会を設置したほか、議会も推進委員会を設置しています。十二月から町長も各地を回って広報運動に入るとのことでありました。昭和三十三年の合併のときには大変もめて、そしてそのときの県議などが中に入ってまとめた経緯もあり、しこりの残らない上手な合併をと一致団結して、町民や議会と相談をしながらやっていくとのことでありました。産業廃棄物や一般廃棄物の問題もこれからの重要課題なので大きな市や町と合併すべきだと思う、またあくまでも対等合併をとのスタンスで臨むと言っておりました。
 次に、白浜町真鍋町長から意見をお聞きしました。議会も合併に関する特別委員会が設置されたほか、十二月から五日間、四十地区に分けて地区懇を行うとのことでありました。合併を考えるとき柱は二つになるとのこと、一つは将来にわたって住民にとっての町益はどうであるか、二つ目は地域運命共同体としての観点をどう具体化するのか、また十市町村のみに限らず西牟婁郡で組むとか、いろいろ検討する方法はあるとのことでありました。また名称は、「白浜市」とは言わないが、「白浜」という名を何らかの格好で残し、イメージアップを図りたいとのことでありました。
 次に、日置川町の赤松課長に会いました。三月議会で副議長をトップに特別委員会を設置し、庁内も助役をトップに十七人で委員会を設置し、町民に対して出前講座をやっているとのことであります。先月には、さきに述べました木村陽子先生を招いて講演会を開催されました。合併について田辺市を中心に十カ市町村を考えているとのことで、過疎化が進む中、人口の多い市や町と合併したいとのことであります。さらに、県がもっと早くからリーダーシップをとってほしいとの意見がありました。
 すさみ町では、津村助役とお会いをいたしました。昨年五月に、助役を中心に合併協議会を立ち上げたそうであります。また、PR用広報紙を数万枚配布した後、各団体の長にも説明を行っている、十二月に入ると四ブロックに分けて説明会をする予定と聞いています。来年四月に合併を行う四国のさぬき市を町長や職員ら二十名で視察に行ったと聞きました。また、九月の「県民の友」に町村合併の記事が載っていたが、県がもっと広報活動をするなど指導権を発揮するようとの要望がありました。
 以上、十カ市町村を回り、課題や悩み、意見を聞いてまいりましたが、今回一番多かった意見は、県がもっとリードしなければ前向きに進んでいかないということであります。
 そこで、木村知事にお伺いをいたします。
 県は七月に県市町村合併推進本部を設置し、合併重点支援地域などを設け、二〇〇五年三月の合併特例法の期限までに方向を出そうと取り組まれていますが、木村知事は、今後市町村に対してどう具体的にこの施策について取り組まれるのか。また、合併に伴う国からの交付税など、措置はどうなるのか。また、合併に伴うメリット・デメリットを具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
 そこで、田辺市を中心とする十カ市町村の合併論議に戻ります。
 串本町はこの合併から外れていますが、ここへの参入はあり得ないのかであります。合併に際しては、従来の行政区域よりも、そこに住んでいる人の生活圏を優先した、住民が主体で合併を行うべきであり、その条件には、まず道路、それに鉄道、大規模な総合病院や大型スーパーやデパート等の設置状況も大きな要因で、このほかにも消防署や警察署、それに学校の設置も条件の一つとなっています。
 さらに、紀南地方の特性を生かして見ますと、漁業や梅産業、それに温泉を中心とした観光産業などの産業をベースにした合併論も大事な点であると思います。串本町は、現在、和歌山市から車で走りますと一番時間のかかるところと言われております。これは私の想像でありますが、串本が十カ市町村の合併に入っていないのは、現在計画が進められている近畿自動車道の紀南南伸が道路公団の見直しや道路特定財源の見直し問題ですさみ町までは難しくなってきている点などを考慮された上での判断ではないかとも思うわけであります。いかがなものでしょうか。また、そうなりますと過疎化に一層拍車がかかるおそれが生じますが、県当局の見解をお伺いいたします。
 最後に、合併に際して、個々の市町村が合併を見越した上で今以上の借金を抱え込んだり、むだな公共投資をしないよう、県としてどのようなチェックシステムがあるかについてであります。
 なぜこのような質問をするかということでありますが、町村合併議論が進む中で、有田地方では三年前に有田警察が新築されました。さらに、隣町の湯浅町には新たな湯浅警察署が新築され、来年から供用が開始されます。合併が予定されている地域内に二つの警察署が業務を行いますが、どちらの警察がメーンの警察署になるのか、今後注目されるところであります。
 そこで、紀南地方では隣接する町に公立の串本病院と古座川病院があり、双方とも建てかえなどの計画が予定されていますが、町村合併が行われた場合、これらの施設を統合し、さらに総合化した大規模病院づくりも合併の際に論議することが重要であると思います。また、十カ市町村の中では、南部町、龍神村、すさみ町には新しい立派な庁舎が建設・供用されていますが、このような施設をいかに有効利用するよう指導していくのかについてもお伺いをしたいと思います。
 次に、牛海綿状脳症いわゆる狂牛病対策についてお伺いします。
 千葉県に端を発した我が国の狂牛病問題は、きょうでちょうど三カ月が経過しました。肉骨粉や代用乳説などが感染ルートではないかと指摘されていますが、いまだに解明には至っていません。私の地元田辺市にある焼き肉専門店では、約五十台分の駐車場を構えて年中無休で営業を続けていますが、この問題発生後、営業時間の夕方になってもお客さんの車は数台しかとまっていない状態が長く続いているということであります。このような混乱は、焼き肉店だけではありません。県内の精肉小売業者やスーパーなど、低迷する消費に頭を抱えています。
 和歌山市のあるスーパーでは、販売している十和田牛や京都牛が肉骨粉を一切使用していないという証明書を肥料を販売する商事会社から送ってもらい、飼料のトウモロコシや大麦など何%配合しているかの成分表もつけて安全性をPRするなどして、牛肉の消費拡大に努めています。また、県食肉事業協同組合連合会や県肉用牛協会などでは、問題発生後に、「安全安心、国産牛肉」や「安全安心、和歌山県産牛肉」というスローガンを書いたチラシを配り、二千円分の牛肉引きかえ券が当たるアンケート用紙のついたチラシを新聞に折り込み、広告するなど、本県産を初めとする国産牛肉の消費拡大を呼びかけています。
 和歌山県のふるさと特産品の畜産関係のホームページにアクセスしてみますと、熊野牛、イノブタ、ホロホロ鳥、紀州鶏、アイガモがPRされています。このうち、熊野牛のコーナーを見てみますと、「黒潮と緑豊かな自然、山々から豊かな水、恵まれた気候風土の中で愛情と丹精込めた飼育法で育てられた黒毛和牛です。肉質は、きめ細かでやわらかく、脂肪の質もよく、肉質もつやがあり、肉そのものも甘味と風味にすぐれています」などとPRされ、熊野牛モデル料理店や県内にある十五のモデル販売店も紹介されています。
 また、木村知事は、今議会、初日の本会議でこの問題を受けて、「牛肉価格や食肉の販売量等は大きく低迷し、風評被害が多方面に及んでいるため、関係七部局による(牛海綿状脳症対策)庁内連絡会議を設置」するなどして、テレビやラジオなど、安全啓発や低利の緊急支援対策を講じているとあいさつをされました。しかし、このホームページを見るなどして感じたことは、熊野牛のすばらしい点がもっと積極的にPRされないかという点であります。
 狂牛病問題発生を受けて、このホームページは新たにつくり変えられていません。熊野牛を初め本県産の肉用牛には肉骨片は一切使っていない点や全国一斉に行われた緊急の立入検査でも何ら異常はないという点について、消費者などにホームページでも強力にPRすべきで、さらに熊野牛や本県産肉用牛の消費拡大促進に努めるべきであると思うのであります。
 先月、大塔村で熊野牛交流会が開かれ、熊野牛の焼き肉試食コーナーでは五百人分が用意され、一時間余りでなくなる盛況ぶりとなったということであります。また、この熊野牛の子牛市場が先月の二十九日、田辺家畜市場で開かれ、生後九カ月の子牛二十五頭が出品され、最高価格は五十七万円の高値がついたほか、取引されなかった一頭を除く平均価格は三十六万五千六百円で、狂牛病問題の発生前の八月に行われた平均価格三十三万六千九百円を三万円余り上回り、安全な熊野牛が改めてこの市場でも値段によって確認されたということで、関係者をほっとさせています。
 国内での牛肉の消費でありますが、毎年十二月に入ると消費量がぐうんと伸びるということですが、ことしの伸びはもうひとつのようであります。また、全国の牛肉の消費についてでありますが、問題発生後の消費量の全国平均は、前年に比べ約四〇%だということであります。野菜や魚などの消費が多いと見られる本県では、この全国平均を下回っているものと思われます。この本県での消費状況はいかがなものでしょうか。
 また、県教育委員会が十月に入り市町村教育委員会へ行った文書通達では、風評被害に惑わされないでほしいや、脳や脊髄などの特定危険部位が混入されるおそれのある食品の使用の自粛を呼びかけています。しかし、県教育委員会の十月初めの発表では、県内の公立の小中学校の給食の実施状況は、和歌山市や田辺市など四十市町村で牛肉全般を給食から外したほか、ひき肉や加工食肉などに限り自粛したのは、海南市など四市町となっています。
 ところが、国の安全宣言以来の県の庁内連絡会議での報告では、牛肉の使用再開が十六市町村で決まったほか、二十四市町村でも再開を検討中であるとの報道を見ましたが、今後の各市町村の取り組みはどのようなものであるか。また、牛肉使用を再開した小中学校での児童生徒の食べ残しなど、食事への取り組み状況はどのようなものであったのでしょうか。さらに、給食での牛肉の使用状況ですが、国が行っている全頭検査に合格した安全な国産牛の使用は当然のことであります。また、国産牛以外を使用する場合、どのような安全チェックを行うかについてもお伺いします。
 もう一点は、牛肉や加工肉の使用量についてであります。これらを問題発生以前と同じように使用する計画についてお聞かせください。
 今回の事件を調べてみますと、狂牛病と判定された三頭の牛は、いずれも五歳代後半の乳用牛のホルスタイン種で、熊野牛のような黒毛和牛は含まれていません。そこで、安全で味のよい熊野牛などの消費拡大にさらなる取り組みが必要と思われます。
 先週放送されておりましたNHKの「クローズアップ現代」では、「狂牛病・信頼をどう取り戻すか」というタイトルで、生産農家や牛肉小売店などの取り組みを紹介していました。この小売店主は、新潟県から出荷表示のあった一頭の牛を調べたところ、この牛は新潟では畜産業者が出荷しただけで、実際の生産活動は、長野県の飼育業者が子牛を岩手県の農家から購入して育て上げたことがわかり、この店主は肥料の成分を調査するなどして、消費者が安心できる安全な肉について、みずからの足で稼いで調べ上げ、店頭販売していることを紹介するなどしていたことがリポートされ、我が国の畜産システムの不備を指摘していました。また、この番組では、さらにフランス政府などの取り組みを紹介し、子牛から飼育、小売までの過程でミスがないようにすべて番号表示管理したシステムを紹介し、我が国との違いをリポートしていました。
 そこで、本県でも純和歌山産の熊野牛などを広く生産するために、和歌山で生まれ、和歌山で育った牛づくりに取り組むために、フランスなどのような番号表示を徹底させるなどし、消費者にもわかりやすい安全管理対策を講じるべきで、例えば本県特産の紀州ミカンやカキや梅などを与えるなどして、本県の特性を生かした、安心でどこにも負けないうまい牛づくりに取り組み、熊野牛ブランドを確立すべきであると思います。
 また、NHKの朝の連続テレビドラマ「ほんまもん」の放送に連携して、ほんまもんの熊野牛キャンペーンを展開されてはいかがでしょうか。さらに木村知事は、ことしに入って国に働きかけ、大きく進み出している緑の雇用事業を利用して、熊野牛などの生産活動に都会からの従事者を招いたりして雇用の拡大を図るほか、自然満喫、熊野牛畜産フェスティバルなど、イベントを紀南地方を初めとする県内の牧場などで開催し、本県の畜産業の振興を積極的に講じられてはいかがでしょうか。知事並びに関係部局の答弁をお願いいたします。
 これで、一回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの大沢広太郎君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
○知事(木村良樹君) 大沢議員の質問、本当に私も勉強させていただいて、聞かせていただきました。
 まず、市町村を回られて合併に対する考え方というのを議員OBの方、そして現職の議員の方でお聞きになってこられたと。この熱意に深甚なる敬意を表したいと思います。そしてまた、その中で出てきました心配であるとか懸念については、県としても十分配意して今後対応していきたいと思います。
 そして、その中で一点、県のリードが必要だという話が出ておりました。このことにつきましては、市町村合併というのは基本的には県が指導するというようなものではなくて、地元からの盛り上がりということで今までやってきたわけでございますけれども、しかしながら、法期限がだんだんと迫ってくると。そして、そういう中で、いろんな合併をしていこうという機運はあるものの、まだもやもやとしてそれが一つの形になるところまではいかないというふうな現状があります。
 それから、和歌山県におきましては、これは手前みそになりますけれども、県に対する市町村の信頼が非常に高いということもありますので、そういうふうな地域特性も踏まえて今後県の方としても市町村合併に対する取り組みを考えていきたい。
 そして、今後指定いたします合併重点地域の指定というのが一つの変化のきっかけになるのではないかと。これも、受動的にではなくて、そのことでどういうふうな動きが出てくるかということを十分見きわめて、その中で県としてしかるべく対応していきたいと思います。
 実際問題として、合併に対する国の感じというのは非常に厳しくなってきておりまして、初め言っていたような何となくというような感じがだんだん消えてきている面もありますので、県としても的確にそのあたりに対応するという体制で進んでまいりたいと、このように考えております。
 それから、狂牛病の問題でございます。
 狂牛病につきましては、精肉業界であるとかスーパー、そして焼き肉屋さんとか、非常に客が減って困っておられるという話、私もよく知っております。先日も鶴橋の方へ焼き肉を食べに行ったら、余りお客が来ていなかったというようなこともありました。そして、豚肉とか鳥の肉を売っていました。そういうふうに、やっぱり皆、自己防衛的に非常に苦しい立場に立たれているということがありますので、県としても風評被害が広がることのないように力いっぱい対応していきたいと思っております。
 ちょうど静まりかけたと思ったころにまた三頭目が出てきたりして、非常につらい状況にあるわけでございますけれども、その業界の苦しさということを十分踏まえて、県としてこれからも対策本部で対応していきたいと思います。
 それから、ホームページの書きかえがなされていないというふうな話がありましたけれども、こういう問題にもやっぱりきめ細かく対応していく必要があると私は思っております。
 そしてまた、熊野牛のブランド化。これはまあ今、牛肉界といいますかにとっては非常に不幸な状況でございますけれども、その中で熊野牛というのはこんなに安心なものなんだということ、そしてまたそれをブランド化していくということ──「災い転じて福となす」ということもありますので、今ご示唆のあったような点につきましては十分検討に値すると思いますので、これから一生懸命、そういうことも含めて勉強して頑張っていきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併につきましての三項目のご質問に一括してお答えをいたします。
 まず、合併特例法などによる国の支援についてでございますが、現在、合併特例法などによりまして、合併特例債や普通交付税の算定の特例など、さまざまな財政支援が講じられておるところでございます。あわせて、国の市町村合併支援プランによりまして、道路整備事業の重点実施など、各省庁の支援措置が設けられているところでございます。
 次に、合併に伴うメリット、デメリットについてでございます。合併のメリットといたしましては、一般的には、行財政基盤の充実強化や住民の日常生活圏の拡大に対応した、広域的な視点に立った将来に向けた町づくりが行えることなどが考えられるところでございます。また、デメリットといいますか、合併の際に十分対応策を議論しなければならない事柄といたしましては、役場が遠くなる地域での行政サービスが低下しないようにすること、あるいは周辺部と中心部の地域間格差が生じないようにすることなどが考えられるところでございます。
 次に、ご指摘の田辺周辺十カ市町村での取り組みについてでございますが、ことし一月に策定いたしました県の合併推進要綱における合併パターンを参考にしながら、関係する市町村によって取り組みが進められているものと理解をいたしております。この要綱における合併パターンでは、地域において合併の議論をする際の参考目安として、各広域市町村圏ごとに市町村の人口、あるいは市町村のつながりや一体性、そして各市町村間の時間距離を基本として策定をいたしたものでございます。この結果といたしまして田辺周辺十カ市町村に串本町を加えたパターンとはならなかったものでございまして、ご指摘のような最近の国の動きについて考慮いたしたものではございません。
 次に施設の有効利用についてでございますが、現在の市町村役場の庁舎の利用方法などにつきましては、法定合併協議会の場において、市町村の役場の位置などが協議される中で新たな支所等としての活用などが協議されることになるものと理解をいたしております。
 また、議員ご指摘のような合併を見越した適切な公共投資ということについては重要なことと認識をしておりまして、合併論議の進捗と並行いたしまして、市町村に対しましても合併後の有効利用という観点からも必要な助言を行ってまいりたい、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 熊野牛の消費拡大と緑の雇用事業を活用した生産振興についてでございますが、牛肉の消費につきましては、県食肉事業協同組合連合会の調査によりますと、回復の兆しはあるものの、消費動向は今なお非常に厳しい状況にあると聞いてございます。このような中、農林水産品フェアや大塔村で開催された熊野牛交流会におきまして試食会を実施し、牛肉の安全性のPRを行ったところでございます。
 また、県及び畜産関係団体ではホームページを開設し、県内産牛肉の安全性のPRに努めているところでございますが、より一層消費者に見ていただきやすい形に編集してまいりたいと考えてございます。
 また、本年度内に県内すべての牛に統一した背番号制を導入し、消費者に信頼される熊野牛等の生産体制を確立していくこととしてございます。
 さらに、熊野牛ブランド化推進協議会と連携を図りながら熊野牛のよさをPRする看板の設置やキャンペーンにより消費の拡大を進めてまいります。
 なお、緑の雇用事業を活用した熊野牛等の生産振興につきましては、議員お話しの都会からの新規参入を含め、緑の雇用事業を推進する中で検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 牛海綿状脳症の問題が発生して以来、学校給食を実施している市町村に対して、関係資料の提供や通知文、説明会等を通じて冷静な対応をお願いするとともに、県内で流通している牛肉の安全性と積極的な使用について周知をいたしてまいりました。
 国の安全宣言が出された後の調査によりますと、県内市町村では順次牛肉の自粛を解除してきております。遅くとも二月までにはすべての市町村において給食に牛肉を使用する見込みであり、解除されれば学校給食は通常の状態に戻るものと考えております。
 安全性の面につきましては、今後引き続き、各市町村教育委員会に対しまして正確な情報を提供してまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四番大沢広太郎君。
○大沢広太郎君 ただいま、知事初め、答弁ありがとうございました。特に知事におかれましては力強い答弁をいただいたと私は思っておりますので、そのように理解をしております。
 ただ一点、熊野牛の問題です。今教育長からも答弁をいただいたんですが、これは子供の体力づくりという観点も踏まえておりますし、やはり給食という──いろいろあるかと思いますが、ぜひともこの事件の起こる前のような和歌山県の肉の数量の、そういうあれがふえるように、ひとつ特に要望しておきたいと思います。
 それから、知事から先ほども答弁をいただいたんですが、市町村合併です。私たち一行が回らせていただきまして、そして大変感心したことは、各市町村ともに合併は避けて通れないと。これは、皆、言うているわけであります。しかしまあ、どこの市町村とも皆、若干は温度差があるわけであります。ですから、例え話をして申しわけないのですが、もちをついても、ペッタンペッタンときねでもちをつくばっかりではうまいこといかんので、そこで県が、知事が手まぜをしてやっていただいたら、スムーズに十カ市町村が合併をできると思うので、ひとつ木村知事に手まぜ役をお願いをしたい。
 要望をいたしまして、質問を終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で大沢広太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、田辺の二番手で、ひとつよろしくお願いします。
 まず最初に、木村知事が目指す改革県庁について。
 私は、知事就任のあいさつ文を改めて読み直しまして、その感動をまた改めて持ちました。和歌山は必ず変わる、今までの慣習や慣行にとらわれない新生和歌山の創造に向かって着実に進むと確信しました。知事のあいさつの中で、とりわけ改革県庁、政策立案県庁に県職員が一丸となって自己改革をしていくこと、県民参加と県民自治の確立のため積極的に県民に参加していただくこと、県が県民への説明責任を果たしながら情報公開を一層進めていくことについて述べられましたが、私は、言葉では表現できても、この実践は知事にとって大変な労力を要するというふうにも感じました。まず、県職員がその立場に立てるのか。その中で県民への説明責任と県民参加を求め、県民の責任と役割をきちんと位置づけていくことは、一つ一つの政策立案とその実践において、理念を貫いていかない限りなかなか成功しないと私は考えます。
 基本的な考え方は、私たちの代表神出議員から意識改革の中の施策体系ごとの組織改正で述べられましたので、私は、補足になりますが、私の経験したことを踏まえてこの観点で少し見てみたいと思います。
 私の結論は、縦割り行政は政策面、予算面での弊害とむだが必ず生まれてくるので、それを解決するためには政策別に関連する部課のセクションが共同で政策を実現するための事業を考え、その予算を計上し、政策別に組織改正あるいはグループ別による効率のある行政執行を目指すことが今求められているのではないかと思いました。
 例えば熊博後の対応とその政策、組織対応ですが、これは、企画部の地域振興課と観光局があるわけです。市町村や民間の地域づくりの団体は、その二つが来ても同じ部署で受けとめるということになっていますし、本来は、熊博後は──ことし、知事も組織的に充足しまして、観光局として地域おこしや今特に体験型観光を目指していますから、熊博後の経緯を受けて観光局が頑張っておりますので、これは一つに吸収してやっていったら、むしろ市町村や民間の地域づくりの団体とうまくかみ合っていくのではないかと。分散されていくことに、私もかかわっていますので、その点、少し疑問を感じております。
 それから、環境政策の廃棄物とリサイクル政策は、セクションごとには企画と実践をしているわけですけれども、これはたびたび言っていますが、すべての分野で環境政策の廃棄物については、昨年廃棄物処理法六法が改正された中で、全庁的なシステムに政策化していかないといけないというふうに感じております。
 それから、高齢者居住法の実現。今までは規則だったんですが、ことし高齢者居住法という法律が、今までで言う前の建設省で確立されました。これはあくまでも県の土木部でありますが、実際は福祉行政の中で生まれた対応であります。そういった点での、福祉サイドから考えて高齢者のバリアフリーつきの民間賃貸住宅を行政が支援をしていくという法律ですが、これについても、少なくともそういう二つの部門で政策化したり、立案をして考えていただきたい。
 次に緑の雇用事業のプロジェクトは、後で述べますが、これも必要になってくるだろう。
 それから、NPO活動促進基本方針と県民の参加ですが、私、この十一月に作成した「和歌山県ボランティア・NPO活動促進基本方針」というのを読ませていただきました。この関係者にちょっと問い合わせしますと、実際に基本方針は県ではつくりましたが、いわゆる学習会なりいろいろやっているけれども、その団体とこの基本方針をつくる段階でひとつも論議をされないで机上論でつくられているという部分では、その人たちにちょっと頭をかしげたわけです。そういう意味では、少なくともNPOの活動促進方針をつくる場合は、現在かかわって一生懸命指導している方々と十分ミーティングをして基本方針を作成していくという姿勢にもっと立っていただかないと非常に混乱を生むというか、みんなのものにならないという、本来のNPOの精神から外れていくのではないか。こういうふうに考えました。
 以上、まあ感じたことなんですが、そういうふうに感じながら県民参加の県民自治を進める上で、先ほど言いました県庁の組織づくりをどのようにしていくのか、政策によって県組織がグループで対応していくのか、また例えば幾つかがまたがっているけれども一つの部課に集中・吸収する等、やっぱり現場の取り組むべき実情に見合った方向を見出すべきではないかということについて知事の見解を聞きたい。要するに、例えて県から幾つも来られても、下の受け皿は一つですよと。そういう意味では、かなり合理的に考えていく必要があるのではないかということを実践を通じて感じました。
 次に、介護保険の問題点と課題であります。
 介護保険が実施されてから、利用者、事業者、介護ケアをするケアマネジャー、ヘルパー、看護婦さん等の声が幾つか私にも寄せられています。これについて、六月議会において指摘もし、当局の見解も聞いたところですが、さらに今回、私は次の点について具体的に問題提起をしたいと思います。
 第一点は、利用者の介護保険制度における矛盾であります。保険そのものの位置づけから見れば、利用者に一〇〇%対応する責任があります。例えば生命保険は死亡すれば支給されますし、医療保険も、必ず医師にかかれますし、措置もしてくれます。ところが介護保険は、利用者が一〇〇%の措置を受けることができない保険という矛盾があります。利用者の家族は、デイサービス、ショートステイの段階から、状況によって施設入所の措置が必要としても、現状では施設入所に至ってはいつ入所できるかわからない状況にあります。利用者家族としたら、保険料を支払っているのにという疑問と怒りの声が上がっています。これらの考えは当然のことですが、これに対して県はどう対応するのでしょうか。
 二つ目は、特別養護老人ホームの入所実態から、県の「わかやま長寿プラン二〇〇〇」の施設目標数の見直しが必要ではないのでしょうか。というのは、現在の老人保健施設は病院と自宅との中間施設として位置づけられ、リハビリテーションを中心にして自宅へ復帰させる施設ですが、現実には第二特別養護老人ホーム化しつつあり、介護関係者には苦慮しています。要介護度の重い入所者の比率が、実は特養待ちが多くて、そして老健施設へ入って待っているという状態の中で、本来の老健施設の役割を果たせない。現実には第二特養化しつつあり、介護関係者は苦慮しています。要介護度の重い入所者の比率が高くなってきている中で、現状はその役割が十分果たせないという矛盾も起こっています。したがって、老健と特養は一本化すべきだという議論まで出てきているありさまですが、この点についていかがなものでしょうか。
 第三点は、在宅ケアから施設入所への傾向が強まっていることについてであります。介護保険は、本来、在宅ケアを目的としてスタートしましたが、現実はこれに反し、在宅ケアから施設入所への傾向へ移行しているのが実態であります。利用者に関係なく家族等は経済的に、また二十四時間介護の疲労の蓄積、もう一つは短期入所サービス依存による解放感から入所へ移行していること。これは、毎日介護しているときにはそう問題はなかったんですが、一週間、十日と自分の家から預けていって、今度十日、十五日してからまた家庭へ引き取ったときに、もうその落差が身について、肉体的にも精神的にも引き続き家庭で介護できない状態になっていって、どうしても施設へ入れてほしいという人のケースがかなりふえてきています。こういった点と、この十三年一月から、いわゆる今回訪問通所サービスと短期入所サービスが一元化していける形に制度も改正された中で、ますますショートステイを利用して施設入所への移行が強まっているのではないかというふうに考えますが、こういう実態の中でどう対応するのか、県の見解をお聞きしたい。
 第四点は、保険料金の将来見通しについてです。保険と利用者の充足は、先ほど言いましたように、当然対応していかなければなりませんが、現実は、施設利用への移行による保険負担の増加で保険料の値上げは避けられないというふうに思っております。とりわけ第二号被保険者──四十歳から六十五歳の方ですが──への負担増への矛盾は大きく、これら保険料値上げへの対策をどう展望されているのでしょうか。
 五つ目は、小規模介護施設、宅老所やグループホームへの行政の支援が、今、とりわけ必要とされてきているのではないかという点であります。全国的に老人介護の新しい潮流として、大きな特養や老健というような施設から小さなものへと変化してきています。宅老所やグループホームは、その一つの流れではないでしょうか。小さなものは行政の支援制度の枠外にあったが、全国的な草の根運動と実践の成果が評価され、今では痴呆ケアに対する評価が生まれています。宅老所、グループホーム全国ネットワークは四百五十会員で結成されていますが、未登録を入れると、かなりの数が地域福祉に貢献していると思います。宅老所は、地域とともにデイサービスに取り組み、大きな施設サービスと違って個々の利用者の都合に合わせ、例えば相手の立場で、朝早くから夜遅くまで介護保険の基本料金のみで対応したり、サービスの中身を制度の枠に合わせるより利用者の利便性を優先したいという考えで頑張っております。全国的に広がっているのは、そういう利用者の立場に立った介護、少人数で行き届いた介護が定着してきているからですし、宅老所の担い手の人たち、発起人の人たちのほとんどは福祉施設、病院で働いていた看護婦、ヘルパーの人たちで、施設での介護のあり方に疑問を抱き、自分たちが老いたときこれでよいのかという感じのもとで、もっともっと利用者、つまりお年寄りの意向を尊重した介護を目指すことから自主的、自発的にスタートし、施設の借り入れ、改造、運営は公的支援を受けないで介護保険適用まではすべてボランティアでやられてきました。これらの地域に支えられた宅老所が県下の隅々にNPOの精神を生かして設置されるなら、お年寄りの立場を考え、しかも大きな施設入所への移行をとめ、保険料金の負担も軽減されます。県は独自にでもこれらを支援するための初動設備──家の借り入れ、改造、備品等──に積極的に支援することが県下のボランティアの大きな力を引き出すことと思いますが、いかがなものでしょうか。
 グループホーム五人から九人の施設は、痴呆老人のケアとして期待され、既に全国で一千三百カ所あり、国は二〇〇四年までに三千二百カ所にふやそうとしています。そこで国は、社会福祉法人、医療法人に限定した、しかも新設で補助金額二千万円まで出すとして、県下でもう既に老健や特養に併設し、建設されておりますが、全国の草の根のNPOはこういった視点だけでなく、グループホームはNPOの手によって、しかも新設ではなく、空き家を借りて改造したグループホームを自主的につくり、運営されております。県の考え方として、国の大きな施設との併設、新設という基準にこだわらず、自主的な宅老所としてひとしく県として支援することを求められていますが、いかがなものでしょうか。
 次に、最後になります。これは江上議員も申されましたが、県当局に要望であります。福祉事業も公共事業の一つとして、県のゴールドプランの見直しの際、目標達成による社会経済効果、雇用創出の効果数値を福祉事業の──つくったときに、県庁内外においてこういう社会的経済効果があり、雇用創出を生み出しますよということを内外に示して、その役割も示すべきではないかというふうに考えますので、見直す際にはそれをぜひ検討していただけたらありがたいと思います。
 そこでちょっと気がついたんですが、県経済活性化委員会の委員メンバーの中に、社会的、経済・雇用的な役割を果たすにもかかわらず、そういう福祉施設の方が一名も加わっていないということで、少し寂しく思ったんですが、その点、要望にかえさせていただきます。
 次に、廃棄物、リサイクルに関する問題です。
 私は、過去四回にわたって、循環型社会を目指すため、県に対して課題や問題点について提言してきました。今回は、循環型社会を目指す中、具体的な事案を通して、廃棄物とされる有機性廃棄物の汚泥リサイクルと建設廃材チップの処理についての二点に絞って考えてみたいと思います。
 ご承知のとおり有機性廃棄物は、生ごみ、浄化槽汚泥、し尿など、これまで廃棄物として処理され、焼却や埋め立てや海洋投棄されてきました。昨年、廃棄物処理法の改正に伴う関連する六つの法律が施行される中で、行政、民間企業は廃棄物リサイクルにあらゆる面から積極的に取り組んでいます。
 そこで、有機性廃棄物の汚泥リサイクル。梅の産地である和歌山県として梅食品加工浄化槽有機物汚泥の堆肥化を進めることで、まず一つは、産業廃棄物として埋め立て投棄していたのがリサイクルできるようになります。もう一つは、梅産地で梅食品加工汚泥が梅の園地や農産物への肥料化として進むことは、梅産地にとって大きなインパクトになると考えます。この有機物汚泥が堆肥化できる可能性が生まれたのは、今まで浄化槽の水質浄化の方法は活性化汚泥法で、この汚泥は堆肥化できないことはないが、その処理コストが高くて今まで余り手をつけられていなかった。ところが、自然浄化法による汚泥は、汚泥そのものが大変な微生物いわゆるバクテリアを含有し、実証試験の中で、この汚泥そのものが三カ月で自然に発酵し、臭気も粘りもない、砂のような状態になるものです。人工的に手を入れないでも、鶏ふん・牛ふんに混入すると、一週間もすれば砂のような状態になります。普通、汚泥、畜産ふん尿は人工的に手を加えて処理しますが、自然な方法で堆肥化できるシステムです。これは、産業廃棄物というより、高価な有機商品と私は見ています。しかし、廃棄物処理法に照らせば産業廃棄物とみなし、処理業や施設の認可が必要とされています。生産農家とその汚泥排出事業所と提携して、その有能な汚泥を土地に戻す循環型リサイクルとして積極的にやるにしても、簡単にできない現状に問題はないのでしょうか。循環できる有機資源で科学的に実証され、その汚泥が日本肥糧検定協会の成分分析を受けて独立行政法人肥飼料検査所において大臣登録をして、法的に認められた肥料とされる手続ができたとしても、その以前の産廃という規定での拘束でそれが簡単にできないという矛盾が起こってきております。このように、循環資源と実証され認められても処理業、施設の認可、許可をとらなければならないという矛盾にぶち当たります。
 もう一方、建設廃材のチップ処理についてでありますが、建設廃材チップは薬剤処理等有害物質が含まれており、バーク工場ではチップ状のものをバーク肥料には使用しておりません。あくまでもグリーン材、生木です。しかし現状は、このチップが産業廃棄物でなくて有価物であるという認定をしております。そのチップが有価物であるために、産業廃棄物でないために、農地へ、園地へ肥料として利用し、処分されている状態が続いております。このことは、今、全国的に問題になっております。我々紀南でも、それが問題になっております。廃材チップを有価物にすることの問題、農地へ投棄することへの農水省の見解が出され、議論されています。県当局の見解と指導について、環境生活部長並びに農林水産部長にお願いします。
 最後に、私が廃棄物リサイクルにこの二つの事例を問題提起したのは、一点目の有機汚泥の有能物質は廃棄法で縛りつけられていること、二点目の有害建設廃材チップを農地へ投棄することについては有価物として合法的に産廃とみなされないという、この相反した矛盾と問題点を県としてどうとらえるのか、またこの廃棄物処理法そのものに問題があるのではないか、これを改善させる必要があるのではないかということであります。県当局の見解を聞きたいし、法そのものが現状に則していない場合は国に対して意見を述べる必要があるのではないかということであります。これは、全国的にもその意見具申が起こっているというふうに聞いておりますので、いかがなものでしょうか。
 次に、農林振興についてであります。
 梅、ミカン、カキの現状と問題点でありますが、ミカンの生産量と平均単価の動きを見てみますと、ことしは全国平均百四十九円、和歌山はちょっといい、百五十五円となっているんですが、昨年は二百五十八円、二百四十二円であります。実際に農家の手数料として入るのは、百円ないんです。四十円から八十円という実態であります。そういう状況の中で、今、非常にミカンの値段でも大変であります。カキに至っては、ことし百九十九円という値動きであります。以前、平成十年では二百七十円の値動きでありましたけれども、そのようにして百円余りコストダウンになっております。また、梅のいわゆる十キロたるの値段も、ことしは昨年に比べて二分の一を切ったという状況であります。
 こういう、いわば中国を初め外国からの輸入の影響だけでなく、日本経済のデフレスパイラルが大きく影響して消費が落ち込んできているというふうに二つの側面で考えられていると思いますが、和歌山県の果樹大国を守るには、生産農家は余りにも厳しい局面に立たされています。この苦境を乗り越えるためには、生産、流通、販売の現体制を抜本的に見直す構造改革が今進められています。生産した産物が消費者に届くまでの流通コスト、農協組織が生産農家を育成していくための農協自身の構造改革、また生産物に付加価値を与える新特産品の開発をどうしていくのか。また、基本である生産コストを下げるためにどのような政策をつくり上げていくのか。このデフレの傾向にあって生産価格は下げの一方であるのに対して肥料、農薬等の資材は下がらず、むしろ値上げされるものもあるといった状況が生まれております。
 和歌山県の果樹は、有機、減農薬で、安全、安心、健康の食品に徹することを模索してはいかがでしょうか。行政と農協、生産農家、消費者でもって和歌山県果樹王国を守る政策を確立する必要があるのではないでしょうか。さらに、県特産品、農産物のPR作戦について、各地域で今必死になって取り組みを具体化しております。こういう取り組みに県としてどう支援していくのか。そのために県行政がコーディネートしていく必要があると考えますが、農林水産部長の所見をお聞きしたい。
 また、全国のマスメディアに、どうしても集中したいい番組に、時間帯に入っていない。そういう意味でも、全国のマスメディアに地元のミカン、カキ、梅、そういった産物が具体的に全国にPRできる方策も支援していただけたらありがたいと思います。
 次に、梅の生育不良と研究テーマと体制についてであります。
 一つは、県は十三年度に入って、梅樹の生理・生態の特性、適正着果管理技術の開発、適正な土壌管理技術の開発とか優良台木の問題、それから大気環境の問題、病害虫の問題というふうにテーマを設けて取り組んでいただいております。大変な努力をしていただいております。これらの研究の成果を徐々にまとめ、最終的にはレポート化していくと思うんですが、これを中間レポート化し、個々の研究を総合的に関係づけた研究総括を一体どこでまとめ上げていくのか。テーマは、具体的には七項目から十項目あります。そういうテーマを具体的に総括研究していくところは、どこでやるのでしょうか。
 例えば、先日の暖地園芸センターの研究員の梅の生理・生態の研究分野の発表の中身はその研究の一考察であって、総合的見解となるとその考察のみでは評価できないし、聞いた指導員、普及員、生産の方にとっては、言っていることはわかるけれども、それだけを聞くと反論する部分もかなり出てくるというような、一面的な側面での発表が非常に誤解を招くという点を、私、感じました。そういう意味では、総論的な部分で中間リポート化していくというのが大事ではないかというのを感じております。
 そういう観点から、総合的な研究成果を進めるために、少なくとも総合研究課題は梅研究センターへ多分引き継がれると考えます。したがって、梅研究センターの研究する人材の確保はどうなっているのか、どうしていくのかということについて農林水産部長にお聞きしたいと思います。
 次に、要望でありますが、梅生産農家に対する支援であります。
 改植更新及び土壌改良への支援、立ち枯れの改植の苗木への支援に重点を移してほしいという現場の声であります。今までだったら、統一したAパターン、Bパターンで、この肥料を使いなさいということで、農家に関係なくパーンと指定してくる。こういうやり方はいいかげんにもう限界が来ていますから、それをやめて、農家が望む栽培の必要とする資材、それから立ち枯れによる改植の苗木への補助に切りかえていくべきではないかということの声が上がっております。この点について、要望したい。
 もう一つは貸し付け制度で、借り入れた農家は、今、元金、利子支払いが非常に困難なところの農家も生まれてきております。すべてではありませんが。それに対して、厳しい農家の人に利子支払いのみで元金を据え置きなど考慮してほしいという声がありますが、これについても実情を十分把握されて、いい方法を検討していただけたらありがたいなというふうに考えております。
 次に、中国輸入農産物の残留農薬検査の実情と問題点であります。
 これについて、県は、その情報収集をどのように把握しているのか。検査結果は安全で信頼できるのか。あるマスメディアでも指摘されている中で、県の段階でも水際作戦が必要ではないのか。この点について環境生活部長にお聞きしたいと思います。
 これは十二月十一日の産経新聞で、「中国産野菜四割に「農薬」 安全基準超え残留」ということで、これは「中国青年報」という中国の中の新聞に書かれている問題であります。猛毒のメタミドホスという殺虫剤がたくさん含まれていると。香港では、これを「毒菜」というふうに言われるくらいで、それで何万人もの人がいわゆる農薬中毒にかかっているという状況が今生まれているわけです。
 その中で、たまたま「週間文春」が九月十三日付、十一月二十九日付の二回にわたって、「中国輸入野菜からDDT 砒素検出!」ということで載っていました。このルポライターはただの人でなくて、NHKでずっとやっていまして、退職してフリーで今ルポライターをやっているんですが。そこで検出されたこの中身を見ますと、大変な砒素や水銀がいっぱい出てきていると。しかも、国の水際作戦では、現在の人数ではとてもやっていけない、目こぼしが非常に多いと。いわゆる輸入農産物は何十倍にもなっているのに、実際に検査をする検査率は十年前の半分以下の人数でしか対応できていないということで、ほとんどストレートに、無検査で通さざるを得ない実態に今来ているということをこのルポライターの人が指摘しているわけです。
 そういう意味で、先ほど大沢議員さんが言われたように、狂牛病においても、農水省の本当にちょっとした誤りが今の事態を招いたということと、これに対しても十分ないわば水際作戦ができていない体制と、しかも本来日本がもう農薬として使わない、禁止した農薬がどんどん使われている中で検査が行き届かないと。もう、そういう検査制度がなってないんですね。いわば、現在日本が農薬として認めている農薬のみは検査できるけれども、以前もう廃止したやつは検査できない、ところが中国はそれをどんどん使っている、それがどんどん入ってきても検査の対象にしにくいという、非常に矛盾した結果を招いているわけであります。そういった点についても、私は非常に重視します。これも事前に資料を渡させてもらって、もし感想があれば環境生活部長にお聞きしたいと思います。
 最後になりますが、緑の雇用事業の具体的な施策プログラムについてであります。
 冒頭、知事へ、政策別に幾つかの部課に関係する場合に共同政策、共同企画をしていくことの必要性をお願いしましたが、この緑の雇用事業の基本的な考え方と体系図を見ますと、これこそ幾つかの部課の共同事業として具体的な政策立案の必要性を痛感しました。
 私は、過去二回、森林・林業に関し質問してきましたが、ここで私から次の点を知事に対して提言をしたいと思います。
 一つは、緑の雇用事業を企画立案する上で、森と林業と紀州材販売、建築までを総合的な視点で位置づけてほしいということであります。これは、緑の雇用事業の基本方針と体系図を見させていただいた上での感想です。それと、附帯的には地域おこし、村おこし事業とのジョイントがどうされていくのかということ、言葉では体系づけているけれども、具体的にどうしていくのか。
 次に、関係する部課の共同プロジェクトとして、どうしても位置づけてください。
 三つ目は、緑の雇用事業は、県民参加の官民一体の協力で政策企画立案し、実施に至るまで事業課題別に官民協力体制のシステムをぜひつくっていただきたいということです。これは、民間団体も皆さん期待していますので、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、緑の雇用事業推進を内外に発信するために、一つは推進イベントとして森の下草刈り、間伐、例えば森林整備十字軍──「十字軍」というのはもう全国で使われていますけれども。いいネーミングがあればいいんですが──県内外のボランティアに呼びかけたイベントをやっていくと。知事が緑の雇用事業を発表してそれで終わったというんでなくて、毎年何かイベントがやられていて、内外に情報発信してある、大変な取り組みをしてあるよというのを位置づける意味でも毎年やっていただけないだろうか。
 そういう現在の森林に対してというのと、もう一つは照葉樹林、とりわけイチイガシとか紀州備長炭の生産日本一のウバメガシ、この二種類を植林イベントしていく。これも今、一部でやられておりますが、ぜひこれをやってほしいという声が出ております。だから、緑の雇用事業でこの二つのイベントを年一回ずつやれば、内外へかなりなインパクトを与える。参加者も手弁当で参加してくれるんではないかというふうに感じます。それで、その提唱を知事を先頭にやっていただけたら非常にありがたい。
 もう一つは、緑の雇用事業に直接関係する知事とのサミット及び森林専門学者を含めたフォーラムなどを開催してさらに全国に発信していくと、こういうふうな状況をぜひつくっていただけないかというふうに思います。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの原議員のご質問でございますが、まず政策別の組織をつくっていくべきじゃないかというご質問でございます。
 これはもう、私もそのとおりだと思っております。もう二十一世紀になりまして非常に行政分野が複雑化し、そしてまたありとあらゆるものがいろんな部局にまたがってくることがあります。そういうふうな中で、これは和歌山県だけじゃなくて、行政組織は今までずっと縦割りでやってきたということがあって、余り他の部門がやっていることに口出しをしたりすることは好ましくないというふうな伝統──これは国も含めて皆そうですけれども、そういうことがあったのをやはり今から打破していかなければならない時代が来ていると思っております。
 ことしの当初にもそういうふうな感じで新しい組織をつくりましたけれども、ただ単に組織をつくるということだけじゃなくて、気持ちの上で流動化させるような形の意識改革をしていかないとなかなか実効性を持つことにならないということで、来年度も、組織変更に当たっては、今重要になってきている問題について機動的に組織のあり方を考えていくとともに、そしてまた枠組みとしての組織だけじゃなくて、それぞれの部局の協力体制をどんどんつくっていかないといかんと思っています。
 例えば、IT関係ということにしても、庁内のIT化と情報化ということで、情報関係のところだけが一生懸命やっていてもだめなんで──今バーチャル和歌山という会社をつくっていろんなことをしているのは商工労働部の方でやっているわけで、こういうところがお互い協力していろんなことをやっていかないと、それぞれが別々に進めていますということでは、これはもうとてもぐあいが悪いと。そして、そのときの一番大事な視点は、住民、県民の方がいろんなところに相談に行ったり、こういうふうなことをするというときに、これはここです、これはここですという形になるんじゃなくて、やっぱり総合的に受けとめる組織づくりが大事だと。そういうふうな視点で今後も組織を考えていきたいと、このように思っております。
 それから、緑の雇用事業でございます。
 これは、議員もご指摘のとおり、私自身は中山間におけるトータル振興プランというふうに考えておりまして、ただ単に山林の枝打ちとか下草刈りにいっとき公的な資金を入れて都会などから人に来てもらうというふうなことを考えているわけではございません。そしてまた、そういう公的な仕組みだけでは、当然のことながら、今、山では所得保障の緑のサラリーマンになりたくてもなかなか収入がないわけですから、やはりいろんな形、例えば紀州材の販売とかいうことも含めて、できるだけ自立できるような仕組みも考えていかないと、国とか自治体の負担ばかりが多くなってなかなか永続的に維持できるようなシステムができないということもありますので、こういうふうなトータルな形で考えていきたい。そういうふうな中で、私はNPOとかボランティアの方々の役割というのは非常に大きなものだと思っております。
 それから、もう一つは民の協力ということでございますけれども、これはもう協力というよりは、むしろ民間の地元の方がそういうものを受け入れていこうという気持ちにならなかったら、これはもう絶対にできることではありませんので、私は、いろんな仕組みを考えていく場合にも地元の方との協議を第一に置いてやっていくべきものだと思っております。
 そしてまた、こういうものは一度打ち上げても余り大した成果が上がらないと火が消えてしまうということがありますので、フォーラムを開くとか、いろんな形で外へ発表していくことによって賛同者を求め、そして大きな運動にしていくという努力も非常に大事だと思っておりますし、続けていきたいと、このように思っております。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 介護保険の五点についてお答えをいたします。
 まず利用者への対応でございますが、県といたしましては、県民の皆様が必要な介護サービスを十分に利用できるようにすることが大変重要であると考えてございます。今後とも介護サービス基盤の整備を積極的に進めるとともに、実態を踏まえ、全国的な流れの中で「わかやま長寿プラン二〇〇〇」の見直しを平成十四年度中に行ってまいりたいと思います。
 次に、特別養護老人ホームと介護老人保健施設の一本化についてでございますが、介護老人保健施設につきましては、介護保険制度で提供する施設サービスの中で、議員ご指摘のような重要な役割を担っていると認識しており、今後ともその役割を果たしていただけることを期待してございます。
 また、「わかやま長寿プラン二〇〇〇」における特別養護老人ホーム、介護老人保健施設の整備につきましては、平成十六年度の目標数はそれぞれ四千二百三十五床と三千二百六十九床であり、現在整備中のものを含めますと、それぞれ三千八百八十五床と二千七百八十二床になっているところであります。
 プランにおけるそれぞれの施設の整備目標につきましては、実態を十分踏まえ、全国的な流れの中で十四年度中に見直してまいります。
 次に、三点目の施設への入所傾向についてでございますが、県といたしましては、在宅で介護をされる方々が介護で疲れ切ってしまわないよう、早い段階から介護サービスをご利用していただくことが重要と考えており、啓発とともに介護サービスをご利用しやすくしていくことがより必要であると考えてございます。
 次に保険料につきましては、県民の皆様に、介護費用の半分が保険料であり、残り半分が税金であるということや、みんなで負担し合っていることをご理解いただけるよう、さらに努めてまいります。また、介護保険の保険者である市町村の過重な財政負担とならないよう、国に財政支援を要望しているところでございます。
 次に、五点目の小規模施設、宅老所、グループホームへの行政の支援策でございますが、地域に根差した宅老所やグループホームにつきましては、介護サービスの充実のため、その必要性は十分認識しているところでございます。そのため、県におきましては、県単独補助事業といたしまして和歌山県ふれあいサロン推進事業を実施し、NPO等が身近な生きがい活動等を実施する場合に初度設備に対する補助を行っているところであります。また、国に対しましても、NPO等が宅老所やグループホームを整備する場合の施設整備費に対する補助制度の創設を要望し、グループホームにつきましては今年度制度化されたところでございます。
 今後も一層の介護サービスの充実を図るため、宅老所やNPO等に対する支援策を検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 有機性廃棄物のリサイクルにつきましては、循環型社会の構築に向けても積極的に取り組むべき課題として認識してございます。
 議員お話しの建設廃材のチップは、有害物質の飛散流出の防止という観点から県でも分析を行い、必要な指導を行っておりますが、産業廃棄物に該当するかどうかの判断につきましては、取引価値の有無等から有価物と判断しているところであり、有価物として引き渡されたものに対して廃棄物処理法に基づく規制は困難と考えております。
 また、汚泥が肥料として認定されれば、当然、廃棄物処理法は適用されませんが、排出事業者から発生した汚泥を肥料化するために脱水、乾燥また腐熟等の処理を行う場合は、廃棄物処理法に基づく処理をする必要がある考えております。
 廃棄物の定義の見直しについては、現在、国において議論されているところであり、本年七月、全国知事会から国に対して要望しております。今後、循環型社会を実現するためにも、廃棄物の適正処理やリサイクル事業を担ういわゆる静脈産業の育成が不可欠であり、この廃棄物の定義がその進展を阻んでいる場合があると考えられます。それらの実態や現場の意見を十分聞く機会を設けるよう、本年十月、全国の廃棄物関係課長会議においても国に要望したところでございます。
 今後、他府県とも連携をとりながらこの問題に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に中国輸入農産物の残留農薬検査の現状についてでございますが、食品を輸入する場合には、食品衛生法に基づき検疫所への届け出が義務づけられており、検疫所では農薬の残留基準が定められている農産物につきまして適宜抜き取り検査を実施し、違反があれば廃棄等の処分が行われているところであります。
 なお、検疫所での違反事例等につきましては、ほぼ四半期ごとに厚生労働省から情報の提供を受け、県の業務の参考としているところでございます。
 また、検疫所等の食品衛生検査施設につきましては、精度管理等が義務づけられていることから、その検査結果は信頼できるものでございます。
 県といたしましては、県内で生産、流通している食品等を対象に残留農薬や添加物等の検査を県衛生公害研究センターにおいて実施しているところでありますが、今後は輸入食品の安全性に留意して、その実施に努めてまいりたいと考えております。
 また、先ほど先生から中国における農産物の農薬等の使用についての資料、ご指摘をいただきましたが、興味を持って読ませていただきました。県としては、食中毒の発生状況や最近の狂牛病の問題等を考えるとき、県民の健康を守るという観点から、食品の安全性の確保のため各種情報の把握を行い、的確な検査に取り組む必要があると考えております。
 また、生産、製造、流通に携わる企業者等については、それぞれの立場で食品の安全の確保に努めていただくとともに、消費者の方々にも食品の安全性に関心を持っていただくよう、情報公開等を含め、啓発にも努めてまいりたいと、このように感じております。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) ご質問の三点につきましてお答えいたします。
 まず有機性廃棄物のリサイクルについてでございますが、建設廃材につきましては、本年一月に農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省の連名で特定建築資材に係る再資源化等に関する基本方針が出され、農林水産省ではこれを受けまして、建設廃材には防腐剤やシロアリ駆除などの薬剤処理により有害成分を含むおそれがあることから、安全性の確認がとれない場合は農業生産資材としては不適切であるとの見解を出してございます。こうした国の見解を受けまして、農林水産部といたしましては、先般、関係部局に対し協力依頼を行うとともに、バーク堆肥生産業者に対しましても指導の徹底を図ったところでございます。
 次に、梅、ミカン、カキの現状と課題についてでございますが、本県産主要果樹につきましては、長引く景気低迷により消費者の購買力は低下しており、特に本年産果実は高品質にもかかわらず価格に反映されないという、今までにない厳しい状況にございます。
 こうした中で、生産現場におきましては、園地の若返り対策や低コスト生産などが求められておりまして、流通面では産地直売や契約栽培などの市場外流通への新たな取り組みもございます。これらを踏まえまして、県といたしましては、地域の特性を生かした新たな生産流通対策に取り組むため、その一環といたしまして、先般、有識者や農家代表、農協などの関係者の方々と果樹振興に対する懇談会を開催したところでございます。関係者の方々からは、消費者の立場に立った販売方法や早急に対応すべき生産技術対策等について多くのご意見をいただいており、今後、できるだけ早い時期に現場の声を反映したアクションプランを取りまとめてまいりたいと考えてございます。
 なお、議員お話しのPRなどにつきましては、さまざまな機会をとらえ、取り組んでまいります。
 次に、梅の生育不良と研究テーマと体制についてでございますが、梅の生育不良につきましては、県ではこれまで、生産者を初め関係機関と連携と図りながら、暖地園芸センターを中心に試験研究機関挙げて、大気環境を初め、栽培、土壌、病理など総合的な試験研究に取り組んできたところでございます。試験研究の方向といたしましては、梅産業の持続的な発展を図る観点から、生育不良問題の早期解決を初め、安定生産のための技術開発や優良品種の選抜育種などを中心に積極的に進めることとしてございます。
 また、梅研究機関の人材確保につきましては、地域と密着した研究を進めるため、適正な人材の配置に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。     
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、原日出夫君が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時三十分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(堀本隆男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のお許しを得ましたので、一般質問を行います。
 まず最初の、和歌山県IT戦略と新宮地域のケーブルテレビ事業について質問します。
 コンピューターを初めとした情報通信技術の発展は、人類の文化、技術の発展の中でも画期的な一段階を開きつつあり、民主主義や文化の発展、国民生活や福祉の向上のために重要な貢献をするものです。特にインターネットの発展と普及は、世界じゅうのコンピューター同士の通信を可能にし、多様な情報を入手し発信する新しいコミュニケーションの手段となっています。このことは日本国民の二十一世紀の生存と生活の基盤を守る重要課題の一つであるだけに、長期的視野に立った本格的な対策が必要であり、この新しい技術を社会全体が活用できる国民の共有財産としてだれもが利用でき、その成果のすべてを受けられるようにすることこそ基本にすべきだと考えます。そして、具体的施策の裏づけが必要であることは言うまでもありません。
 インターネットの普及は目覚ましく、我が国のインターネット利用者数は、平成十二年の「通信白書」によると、平成十一年末の二千七百六万人から、平成十七年末には七千六百七十万人に達すると推計されています。しかし、アメリカの普及率は日本の約二倍であり、その理由は、単に事業者の競争が盛んだからだけではなく、政府がすべての国民に情報へのアクセスを保障しているからだそうです。また、日本には全人口の約四〇%をカバーするだけの光ファイバー網があり、その整備は、国土が二十五倍もあるアメリカの二倍ですが、ほとんど使われていない実態が一方にはあります。しかしインターネットは、まさに画期的な情報へのアクセス手段です。これをすべての国民に保障することこそが高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たって国の果たすべき第一の責務であり、低価格で利用することを国民の権利として保障することが重要との立場から質問をいたします。
 第一に、十一月三十日に和歌山県IT戦略の中間報告がなされました。このIT戦略は本年四月から作業が進められており、本年度末に最終報告が行われますが、あくまで現時点は戦略計画を「作成中」です。にもかかわらず、本県全域におけるバランスのとれたIT化を促進するためのもととなるブロードバンドネットワーク、すなわち高速大容量の情報通信網について、まだ戦略もできていないこの時期に、その情報通信網となるケーブルテレビ事業を新宮地域へ導入することには疑問と不安を持つものです。また、県下のケーブルテレビの対象地域や基盤整備事業はどうなっていますか、お尋ねするものです。
 第二に、この新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業とは、地域に密着した緊急情報、福祉情報など地域の住民生活にかかわる情報や文化・教養情報などの多彩な情報を映像情報として提供し、インターネットも利用できる光ファイバーによる地方公共団体及び第三セクターが行う有線テレビ事業です。この事業は新宮から串本まで一市七町一村の地域を対象とし、全体事業費は約三十億七千万円。その負担割合は、事業主体である株式会社ZTV──昔の津テレビ──が半分の十五億、国は七億七千万、県三億八千万、広域市町村三億八千万で、今回の県の補正予算で一億八千万円が計上されているところであります。しかし、県も各自治体も、住民への情報を提供する事業計画が策定できていないのが実態であり、予算は来年度に繰り越されるだけです。ケーブルテレビをどう活用するかという事業計画を先に示すべきではないですか。
 第三に、山間部は、民間事業者単独では経済性からも基盤の整備が困難ですから、公的整備、支援を実施することも必要かもしれません。しかし、そのことの賛否やその手法についても慎重論や意見があり、特定の民間会社に協力することへの是非も問われます。そして何よりも、住民の中で十分な合意形成がない現状での事業のスタートは時期尚早ではありませんか。
 第四に、紀南地域には、山間部だけではなく市内でもテレビの難視聴地域があり、ケーブルテレビはテレビの難視聴の解消につながります。しかし現在、個人負担が二百円程度で見れたのが最低でも月千円となり、加入料や引き込み工事なども五万円程度の負担が必要で、多くの情報を必要とする者は歓迎ですが、そうでない者には迷惑な話、新たな負担増です。
 また、ケーブルテレビ事業が事業として成り立つには地域世帯の約五〇%の加入が必要ですが、加入率を上げるために行政に新たな財政負担や責任が生じることになっては困ります。経済的弱者に対する救済策や加入押しつけの禁止、情報格差の解消対策、行政の役割など、環境や条件整備は保障されているのですか。
 第五に、ケーブルテレビは新たな事業と雇用の場を創出しますが、反面、難視聴地域での共同アンテナなどの保守・点検などに携わってきた事業者の仕事を奪うことになります。ですから、ケーブルテレビの光ケーブルの埋設やその先の電柱の屋外配線、家庭までの引き込み工事や屋内配線工事など、地元に仕事や雇用が保障されるルールづくりを求めるものです。
 第二の項目の、同和行政、教育の終結についてです。
 平成十三年一月二十六日、総務省の「今後の同和行政について」の通達文書は、平成十四年三月三十一日に地対財特法の有効期限が到来し、特別対策の法令上の根拠がなくなることから、それ以降の同和地区の事業は、他の地域と同様に同和地区、同和関係者に対象を限定しない通常の一般対策を講じることを明らかにしました。その主な理由は、一、特別対策は本来時限的なものであり、これまでの膨大な事業の実施によって同和地区を取り巻く状況は大きく変化している、二、特別対策をなお続けていくことは差別解消に必ずしも有効ではない、三、人口移動が激しい状況の中で同和地区、同和関係者に対象を限定した施策を続けることは実務上困難であるというものです。
 私どもは、同和特別対策の法期限が終了することによって同和特別対策も基本的に終了することは、同和対策の過去の多大な成果を評価しつつ、その終了を歓迎するものです。ただし、しばしば行政当局より「特別対策は終わっても同和行政は終わらない」という言葉が聞かれますが、このような姿勢は一般対策と称して一部の同和特別対策をそのまま引き継いでいくのではないかと危惧を抱くものです。そうであれば、特別対策廃止の意義が薄れてしまうことになります。このような不安を抱かせないためにも、「地域や人を特定する特別対策は終了する」との立場を明確にすることが大切です。福祉保健部長と教育長は、この基本姿勢を明確に答弁してください。また、個別施策の廃止について、その具体的な段取りについての答弁を求めます。
 環境生活部長への質問ですが、和歌山県同和教育子ども会への補助制度について、当局は、「同和地区の子供に依然として学力差がある」、「差別に負けない子供の育成に必要だ」と事業を継続してきました。しかし、子供たちの社会にも基本的な差別はなくなってきており、今や学力差においても差別が原因として生まれていると考えられないところであります。
 このような状況にあるとき、同和地区と特定された地域のみ、しかも来年度からはその地域指定も法的に解除されるのに同和子ども会を設置し、たとえそれを隣接地域の子供に開放していても、子供社会全体の中で理解を得られるものではなく、なぜ特定地域だけの子供たちだけがという疑問に大人たちも答えられなくなってきています。必要性から言ってもその必要は認められず、実際に解散したり、解散を決めた子ども会が九十九地区中四十七地区との報告もあります。一方、母親子どもクラブは全体として活動は低調で、行政からの財政的支援も少なく、青少年の健全育成の観点からも、この際、同和子ども会への補助制度を廃止し、ひとしく全県の子供たちの健全育成に予算を配分すべきです。
 教育長への質問ですが、最初の基本姿勢以外に三点お尋ねいたします。
 まず、今までも和歌山県同和教育基本方針の見直しまたは廃止を共産党は主張してきましたが、特別対策が終了するに当たって、改めてこの基本方針の廃止を求めるものです。
 この基本方針は、今から二十八年前の一九七三年に策定され、部落差別をなくすという目的実現のため大きな役割を果たし、国民的、県民的努力の中で同和対策は大きく前進し、その結果、この基本方針の幾つかの規定は現実にそぐわないものになったのです。この基本方針の性格の規定する「はじめ」の項には、「わが国に、基本的人権をいちじるしく侵している部落差別が存在していることは、だれもが否定することのできない事実です。─中略─このため、今なお部落差別が人々の考え方や同和地区の生活実態のなかに生きています」とあります。しかしこの規定は、過去はともかく、今の現実を正しく反映していません。確かに、差別的な発言をする人が存在しても、今ではそれは圧倒的大多数によって批判される、差別を許さない社会情勢が生まれており、生活実態の中に部落差別が存在しているという状態ではありません。ですから、人権教育の振興に当たっても、常に「同和問題を中心として」というような教育行政は、現段階にあっては、差別をなくすという所期の目的にも合わなくなっています。特別対策が終了する時点で和歌山県同和教育基本方針を、「既に歴史的な使命は終わっている」として廃止すべきです。お答えください。
 次に、同和行政は、旧身分に対する差別をなくすために旧身分を公的に区別するという問題を抱えていました。法が終了する現在、旧身分を特定する行為を前提とした、児童生徒を対象とした県教委の「校区に同和地区を含む学校の状況調査」などは中止させるべきです。
 従来、「同和地区」と言われてきた地域は、特別対策と住民の努力によってその環境が大きく改善されました。人と人との交流も進み、県下の混住率は五〇%を超え、ところによっては同和地区に移住してきた世帯の方が多い地域も生まれています。同時に、婚姻の自由が飛躍的に拡大するなど、旧身分を特定することは不可能になっています。さらに、この調査は子供たちの身分を特定する調査であり、少なくとも本人または親権者の承諾や了解がないまま行われてきたものであります。このような科学的根拠と正確さを欠き、かつプライバシーにかかわる調査は、もうやめるときです。教育長、中止を約束してください。
 さらに、教員の同和特別加配はこの状況調査を基準にして行っていましたが、文部科学省財政課は、法期限終了に際し、「同和加配はなくすが、現行の加配教員は確保する。そして、課題を多く持っている学校への加配とする」としており、現在まで行ってきた加配に必要とした状況調査もなくすそうです。
 教育長、和歌山県は教員の同和加配を県単独分も含め廃止し、減員することなく教育困難校へ一般加配するのか、その点をお尋ねいたします。
 三番目の、自然と健康を守る環境行政の実現の松山の産廃について。
 六月議会で、良好な住環境が維持されるべき第一種中高層住居専用地域である新宮市松山の産廃自社処分場で、破砕機やベルトコンベヤーの使用が都市計画法の周辺地域の環境を悪化させるおそれのある工作物であるクラッシャープラントに該当し、違法ではないかと県の見解を尋ねました。部長は、この移動式破砕機の作業内容、使用状況などの報告を業者に求めた上で建築基準法を所管する国土交通省に工作物に当たるかどうか見解を求めるなどし、早急に判断するとお答えいただきました。しかしこの間、業者に作業内容、使用状況などの報告を求めてもいまだ報告がないそうですから要望にさせていただきますが、県は昨年の四月に、一般車両に搭載されたコンクリート破砕機であっても同一敷地内のみの使用である場合は土地に定着するものとみなされ、建築基準法で規制される工作物となることがありますと文書を出しており、県のこの判断は当然です。しかし、そもそも今回の破砕機の問題を建築基準法の狭い範囲で論じることは、間違いです。やはり原点の和歌山県の自然と人間を大切にする環境行政の根幹から、都市計画法で、健康で文化的な都市生活及び機能的な都市活動を確保する住居専用地域に指定された地域では、法の不備をついたような、環境破壊のおそれのある産業廃棄物の処理を許してはならないということではないでしょうか。
 他の都道府県に問い合わせても、法に抵触する以前の問題として行政指導の中で解決される事柄であり、問題になっていないのではありませんか。行政は、みずから住環境を守るために、定めた地域において少しでもそれを脅かすと考えられる場合には毅然とした行政姿勢を示し、行政指導するのが当然だと思いますので、その点を強く要望しておきます。
 次に、環境生活部長は、この松山の産廃処理場の焼却灰について、九月議会で、「(焼却灰の)長期間の保管は廃棄物の適正処理の観点から望ましくないため、適切な処理業者に処理を委託するよう指導している」との答弁でした。その後、適正に処理されていますか。
 この項二番目の、南谷の破砕の中間処理業の事前調査ですが、平成十二年四月十二日付で新宮保健所長から新宮市長あての「産業廃棄物に関する調査について」の書類が出され、五月一日付で市長の意見書が出されました。しかし、本申請がなされないまま、この間に廃棄物処理法が改正され、木くずまたは瓦れき類の破砕施設であって一日当たり処理能力が五トンを超えるものが廃棄物処理法第十五条に抵触する産業廃棄物処理施設となり、許可が必要となりました。こうした法の改正が行われた場合、当然、今までの意見書は無効とし、本申請があれば再度地元の意見を確認すべきではありませんか。また、意見書や申請書の有効期限を一年とするなど、一定のけじめある厳正な事務手続に改めるべきではありませんか。そして、産業廃棄物処理施設については、地元住民と業者の間で産業廃棄物施設の運営に関する合意事項などが保健所長と地元首長を立ち会いとして締結されている場合がありますが、もっと県としてもこれを奨励すべきだと考えますので、県の見解をお聞かせください。
 この項三つ目の、熊野川沿いの白見の滝付近での昭和六十三年から長年解決されない川沿いの不法投棄、埋め立てについて、土木部長は、六月議会で「その一部が河川区域内の盛り土の許可を求めた河川法第二十七条などに抵触しておりますので、現地で河川区域を明示するなど、除去に向けた取り組みをしております」と答弁されました。以前から、法に照らして厳正に対処するとのご答弁があり、今、熊野の世界遺産が叫ばれているときに、自然公園法が踏みにじられ、河川法に抵触しているにもかかわらずいつまでも解決できないのでは、世界遺産の登録は夢に終わってしまいます。現状をお尋ねするものです。
 第四項目ですが、十月二十九日、県教委は、二〇〇三年の入試から、県立高校全日制普通科の通学区域を全県一区にするという学区撤廃の方針を発表しました。余りにも突然のこの発表に県民の多くは驚き、中学校や高校の学校現場だけでなく、子供たちや保護者の中でも怒りと不安があり、同時に期待と、また疑問の声もありました。
 まず第一の疑問は、十分に県民の論議が尽くされたのか、県民の声を聞く努力がされたのか。県教委は、通学区のあり方について、通学区域を見直す必要があるとの意見やきのくに教育協議会からの報告を十分に参考にしながら検討を進めてきたとしました。しかし、どれだけ現行の通学区を見直す意見が出されたのですか。慎重論、反対論も、賛成と同じようにあったのではありませんか。お答えください。
 きのくに教育協議会からの報告を理由に上げていますが、きのくに教育協議会は、そもそも限られた委員と時間に拘束された協議会であり、全県の意見が集約できたとは思われません。その報告は平成十二年三月末に出され、その内容は、廃止だけではなく、反対も慎重論も含まれておりました。ですから、通学区域は中学校の進路指導や高等学校教育のあり方と深くかかわって検討すべき問題であり、県教育委員会においてはこれらの意見を参考にしながら、生徒や保護者の願いや地域の実態などを考慮し、幅広く検討されることを期待するとしています。それを県教委に判断をすべて任されたような誤った認識で庁内プロジェクトチームをつくり、そこで廃止の結論を出したのではありませんか。
 さらに、廃止の法的根拠である地方教育行政法の改正はことし六月二十九日であり、全国でも東京都以外まだ例がない状況からすれば、まだまだ論議に時間をかけたとしてもだれもが納得できるものであり、なぜこんなに急いで結論を出す必要がどこにあったのか、疑問です。教育長、十分な県民の論議が尽くされたと思いますか、お答えください。
 二つ目の疑問は、学校区がなくなったらどうなるかということです。私は、通学区について、もっと柔軟に、学区数も含めて県民の論議が必要で、不安や疑問、提案、要望にも耳を傾ける姿勢が求められていると、今でも思っております。
 例えば、県教委は通学区を撤廃することによって高校選択の自由が広がるとしていますが、果たしてそれだけでしょうか。確かに、どこにでも行ける力のある生徒にとっては選択の自由の広がりと言えるかもしれません。しかし、すべての生徒が行きたい高校に行ける保障はどこにあるのでしょうか。逆に、学区が広がることで地元の高校へ行きたくても行けない生徒がふえる心配はないのでしょうか。お答えください。
 また、県教委は、各高校がさらに特色づくりで競い合い、魅力ある学校になると言います。しかし、今ある学校間格差がさらに広がり、受験競争の一層の激化につながるのではないかとの不安もあり、生徒にとって本当に魅力のある学校づくりは別のところにあるのではないかと思います。また、受験競争は学校教育の大きな弊害となっていると思いますので、あわせて教育長の考えをお聞かせください。
 三つ目ですが、高校の通学区の問題は、これからの和歌山の教育を考える上で大変重要な位置を占めると思われます。にもかかわらず、賛成・反対がある問題について、県民の十分な論議の裏づけもなく、いろんな不安、疑問、批判、提案にこたえていません。今必要なことは、高校通学区を撤廃することではなく、撤廃を白紙に戻し、県民の関心の高まりを生かして県民の声や願いに耳を傾けることだと思います。今後のあり方について教育長にお尋ねをいたします。
 五項目の、安心して暮らせる地域づくりですが、近い将来発生が予想される東南海と南海地震の対策です。
 地震調査委員会は、七日、東南海と南海地震を想定した試算結果を発表し、東南海地震、南海地震とも、串本は最高クラスAの震度六弱以上としました。これらの地震は百年から百五十年の周期で繰り返し発生する海溝型の大型地震ですが、地震調査委員会が九月にマグニチュード八クラスの地震が三十年以内に発生する確率について、それぞれ五〇%程度、四〇%程度とする予想を発表しました。地震と津波の二重の被害が予想される地域でもある新宮では、その話題が地元新聞に詳しく報道されたこともあり、今回の震度の予測発表に大きな不安と地震対策に関心が高まっております。
 新宮では、一九四四年の昭和の東南海地震では死者八名、負傷者十一名、一九四六年の南海地震では死者五十八名、負傷者二百四十五名の犠牲があり、実際に遭遇された方もたくさんおられるわけですから、当然のことだと思います。国も、中央防災会議が専門調査会でさらに詳しい各地の震度や津波の高さ、被害予測を立てて来年度中にこれらの地域の防災強化策をまとめる方針です。
 和歌山県も、地域防災計画の見直しが迫られると思います。同時に、実際に熊野川流域の住民の中には、真剣に地震によるダムの崩壊を心配する人もおられ、住民の不安を少しでも和らげる対策や情報公開が必要であり、県の今後のあり方をお尋ねするものです。
 最後の佐野川、荒木川の河川改修についてですが、ことしも二回の洪水で生活道路の通行どめや農地への被害が繰り返されています。佐野川は、一九七四年から河川改修が進められています。しかし現在、河川改修の計画約三キロに対して半分程度の進捗状況であり、荒木川の改修についても、九百メートルの計画に対して三分の一程度しか改修が進んでいない状況です。この調子ではあと何年かかるのか、余りにも遅過ぎるのではないかという声が聞かれます。
 水害をなくし、安心して生活するために、河川改修は緊急の課題です。住民の長年の願いである佐野川、荒木川の河川改修を早急に進められるよう要望し、これからの改修計画をお尋ねするものであります。
 これで、一回目の質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) ケーブルテレビに関する五点のご質問につきまして、一括してお答えを申し上げます。
 インターネットを中心としましたIT革命がもたらす社会経済上の便益をすべての県民が享受可能とするためには、早急に県下全域において低廉な高度情報通信ネットワークの利用機会を確保していくことが必須条件であると認識してございます。このような考え方に基づき、さきのIT戦略の中間報告におきましても、二〇〇五年までに県下全域においてブロードバンド環境を構築していくことを重点戦略の一つとして位置づけたところであり、今回の本事業はその先導的な事業でございます。
 新宮周辺広域市町村圏におけるケーブルテレビ事業につきましては、三重県側と連携しつつ、地元市町村においても関係者との協議を重ねながら構想を進めてきたところでございます。
 本事業につきましては、テレビ難視聴対策への活用や来るべきデジタル構想への対応に加え、高速インターネットの利用や医療、福祉、防災、教育等の公的サービスへの活用等により当該地域における広域情報基盤としての利用が見込まれることなどから、今後ITを活用した地域活性化の核として期待しているところでございます。このような状況の中で、今般、国の補正予算において措置されることとなり、県といたしましても積極的に支援してまいることといたしました。
 今回のケーブルテレビの整備対象といたしましては、新宮周辺広域市町村圏の各市町村を対象に、新宮市に行政番組の制作スタジオや伝送装置等が設置されるセンター施設を整備し、周辺市町村に対しては光ファイバーによるケーブルネットワークを構築していくことが計画されております。
 新宮周辺地域以外の地域につきましては、ケーブルテレビを初め、今後の普及が期待されます無線アクセス、次世代携帯電話、さらには超高速通信が利用可能な、家屋まで配線される光ファイバーの活用を視野に入れつつ、各通信メディアの特性や民間事業者による整備の動向、国の支援策の活用、可能性等を総合的に勘案し、早期導入を目指して取り組んでまいる所存でございます。
 次にケーブルテレビの加入負担料等についてでございますが、共聴施設によるテレビの視聴に際しましては、通常時の個々の負担金は低額であるものの、新規加入や設備更新時の費用、それ以外にも共聴施設やケーブル周辺の草刈りを初め、災害時の復旧や施設の老朽化に伴う維持管理業務の増大などが利用者の負担となっているところもあります。加えて、地域の過疎化、高齢化に伴い、共聴施設管理組合の管理者が不在となっているところもあり、その維持管理の対応が懸案となっていると聞いてございます。したがって、ケーブルテレビの導入は、共聴組合の運営上の問題解消に資するとともに、今後におけるデジタル放送への対応に際しても有効な手段であると認識してございます。
 加入率を上げるため行政の新たな負担等につきましては、現在のところ、住民に対し、行政情報の提供を初め、防災、福祉、教育等の各分野にわたる行政サービスの提供を行うとの観点から、基本的には地元自治体の判断によるものと考えております。
 最後に、ケーブルテレビ事業に係る地元事業者への対応につきましては、ケーブルテレビ事業者は地元事業者と代理店契約を結び、一部ケーブルの敷設、宅内工事、後年度での機器増設への対応、保守・管理などを委託する意向であると聞いております。
 今後、具体的な事業展開に際しましては、地域の活性化を図る観点から、できる限り県内事業者への配慮を要請してまいる所存でございます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 同和行政についての基本姿勢と個別施策について、お答えを申し上げます。
 現在、県では、すべての同和対策事業について、施策ニーズを的確に見きわめながら事業の見直し作業を進めてございます。特別対策につきましては、事業実施の緊要性等に応じて講じられるものでありまして、状況等が整えば、でき得る限り早期に一般対策へ移行することとなります。
 県としましては、既に貸し付け等が行われている事業につきましては、要件の終了までの経過措置として現行事業の継続を行いますが、原則として、地域や人を特定した特別対策は終了し、県内全体の水準の向上に努める中で、必要とされるそれぞれの施策において人権文化の創造に向けて積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 同和教育子ども会についてですが、現状を見ますと、現在も活発に活動している地域も多く見られます。また一方、完全学校週五日制を間近に控え、地域で子供を育てることがますます重要になってきておりまして、子ども会活動のような、地域の子供集団の活動を活性化させる必要があると考えております。そのため、子ども会活動が県下全般に広がるような観点を視野に入れながら、現在の補助要綱を廃止し、新たな補助制度の検討をしているところでございます。
 次に、新宮市松山の産業廃棄物処理関係のご質問にお答えします。
 焼却灰の保管につきましては、保管基準に適合しておりますが、保管が長期間に及ぶことは好ましくないため、事業者に対して適正に処分するよう指導してきたところでございます。
 なお、現在においても処分は実施されていないため、最終処分場において処分するよう引き続き指導してまいりたいと考えております。
 次に、南谷における中間処理業の事前調査と意見書に関するご質問ですが、平成十三年二月一日の改正廃棄物処理法施行令の施行により、一日当たりの処理能力が五トンを超える木くずまたは瓦れき類の破砕施設が設置許可対象施設となったことから、当該施設の設置許可申請に当たっては、行政指導で地元首長の意見の添付を求めることになります。
 また、事前調査書の有効期限については、現在改定作業中の事前調査事務取扱要領で、有効期限を設定する方向で検討中でございます。
 最後に、地元住民との協定等に係るご質問でございますが、地元の意見として生活環境保全上の見地から要望がございますれば、事業者に対して地元住民と協議するよう指導してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 白見の滝付近の廃棄物の投棄につきましては、その盛り土の一部が河川区域内にあり、河川法第二十七条などに抵触しております。現在、除去に向け、監督処分など、さらに強い法的手段を含めた取り組みを行うため、和歌山地方法務局など関係機関と協議しているところでございます。
 次に、佐野川、荒木川の改修につきましては、昭和五十五年に中小河川改修に着手し、下流部より河道拡幅を行っております。今後とも、第五佐野橋上流の護岸工と用地取得の促進を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 東南海と南海地震対策についてでございます。
 ご指摘のとおり、本年に入りまして国において、長期評価の発表や中央防災会議での専門調査会の設置と、一連の重要な動きがあったところでございます。このような状況のもと、本年十一月に、本県を初めとした関係三十府県により東南海・南海地震に関する府県連絡会を設立し、国の地震対策に関する情報収集や情報交換を行うとともに、関係府県の地震対策の現状分析と今後の課題検討を行うこととしたところでございます。
 県といたしましては、これまでも震災対策計画の策定や地震被害想定システムの整備や自主防災組織の育成強化策を初め、種々の地震防災対策を講じてきているところではございますが、今後、国の専門調査会における検討状況などを踏まえながら、防災センターの整備や市町村とともに住民に対する防災知識の普及啓発を進めるなど、地震防災対策の強化に一層努めてまいりたいと考えております。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 最初に、同和教育についてお答えいたします。
 県教育委員会は、「部落差別を取り除く人間を育成する」ことを目的とした和歌山県同和教育基本方針に基づき、一日も早い解決に向けて、学校、家庭、地域と一体となってこれまで取り組んでまいりました。この間、多くの県民の方々の努力により、地区児童生徒の学力や意識の面において、解決に向け、相当の成果を上げてきました。しかしながら、学校での差別事象等の発生や、大学や短大への進学率に依然として大きな格差があることなど、今なお残された課題が存在しております。
 教育委員会といたしましては、教育の果たす役割を重く受けとめ、特別措置法の期限後においても、一般対策に工夫を加えつつ、必要な取り組みを推進してまいることを基本認識といたしております。
 次に、校区に同和地区を含む学校の状況調査についてのご質問でございますが、同和教育を進める上での基本的な調査であると認識をいたしております。
 加配教員の件につきましては、現在、各学校の教育課題を把握するとともに、国の動向も踏まえて慎重に検討を行っているところです。
 次に、二つ目の高等学校の学区制についてお答えいたします。
 平成十年、十一年の二カ年にわたって協議をしていただきましたきのくに教育協議会の報告や各方面からのご意見等を十分参考にしながら、平成十二年五月から、庁内に設置したプロジェクトチームにおいて幅広く検討を進めてまいりました。この間に国において法改正が行われ、通学区域の設定は教育委員会の判断にゆだねられることになりました。
 種々検討を行った結果、学区制が持っている歴史的役割は終えたと考えられることから、また生徒の学校選択幅を拡大するとともに、高校教育の個性化、多様化を一層推進するため撤廃するという結論に達したものであり、平成十五年度入学者選抜から実施することといたしました。
 生徒や保護者の不安ということでございますが、このことに関しては、十分にその点を考慮し、実施までに一年半という期間を設けるとともに、現在、県のホームページにもこのことについての意見の提示をお願いするページを掲載し、ご理解をいただくよう努めているところであります。
 また、プロジェクトチームは引き続き存続させ、生徒、保護者への情報提供等について、引き続き検討してまいりたいと考えております。
 さらに、各高校の特色づくりについては、神出議員にも昨日お答えいたしましたように、これまでも総合学科や専門学科の設置、単位制への改編など、さまざまな改革を進めてきたところでありますが、今後とも高校教育の個性化、特色化をより一層推進してまいりたいと考えております。
 終わりに、高等学校入学者選抜につきましては、偏差値偏重など過度の受験競争の弊害が課題となる中で、生徒みずからの進路希望や適性等を踏まえた適切な進路指導を進めるとともに、推薦入学の拡大や学校、学科の特色に応じた選抜方法の改善を行ってきたところであります。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 土木部長、白見の滝の不法投棄の件ですが、今回、中央法務局と協議をしているということであります。現場の測量もしていただき、また航空写真も利用していただくなど、いろいろとご苦労していただいているようでありますけれども、こうした厳しい姿勢を示すことによって、その行為を行った者が反省し、みずから撤去すると、そういうことを私は基本的には望んでいるわけで、あえて、別に法律で裁いてもらおうと、そんなことは必要ないと思っているんですが、残念ながら長い間放置されている状況でありますので、ぜひ強い姿勢で最後まで指導していただいて、本当に、熊野川きれいやな、ほんまの自然があるなと、こう言っていただけるような熊野川にぜひしていただきたいということを強くお願いしたいところであります。
 さて、教育長、私は「教育は合意によって進める」という言葉が好きです。また、「民主主義は手間と時間と金がかかるもの。それを惜しんだらよい結果は望めない」と教わりました。
 再質問ですが、四点あります。
 学校区については、賛成も反対も、推進論も消極論もあっていいと思います。しかし、それを決定する経過、それが大事だと思うんです。例えば、きのくに協議会での論議についても、その協議会の中に設置されている通学区域専門委員会の委員が九名、三回の論議、そして十九名の全体会議を行ったと。そういうことですね、この間。いろんな意見もあり、学区についての方針がまとまらず、学区制をどのようにするか結論が出なかったのではありませんか。
 また、庁内のプロジェクトチームのメンバーは、二人の次長と五、六人の課長であり、平成十二年五月から九回の会議をしたそうですが、校長会の校長も、保護者の方もメンバーには入っていません。これでは、県教委の身内だけで、学校現場の生の声も、保護者の声も、子供たちの声も反映されているとは思いません。これで論議を十分に行ったとは思えませんので、もう一度お答えください。
 次に、同和教育の基本姿勢について、はっきりとお答えください。今、国も、そして先ほど知事部局も、「地域や人を特定する特別対策を終了する」と明確にしているのに、教育委員会はなぜそのことを言えないのですか。理解できません。私の質問の仕方が悪いから意図がわかってもらえていないのでしたら、私の責任ですから、もう一度お尋ねいたします。地域や人を特定する特別対策は終了するのか、このことをお答えください。
 三つ目の質問は和歌山県同和教育基本方針の廃止についてですが、この基本方針の「はじめ」の部分に、「「同和対策審議会答申」の精神及び「同和対策事業特別措置法」の趣旨にのっとり、教育行政機関の責任を自覚し、この基本方針を作成しました」とあり、その別記にも、「「同和対策審議会答申」と「同和対策事業特別措置法」に基づいた長期計画による年次計画をたて、すべての人々が納得できるすすめ方で、同和教育の効果を高めるようつとめること」と基本方針に書かれているわけですから、その根拠とする特別措置法がなくなるわけですから、それに基づく基本方針を廃止するのが道理ある姿ではないかと思います。お答えをお願いいたします。
 最後の質問は、状況調査についてです。県教委は、地対法が廃止されるのに、何を根拠に子供たちの旧身分を暴くような行為がなぜ許されるのか。その法的根拠と特定する基準をお答えください。
 以上です。
○副議長(堀本隆男君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 金田議員の再質問にお答えいたします。
 最初に、学区制にかかわる合意形成というか、多くの県民からの意見を聴取したのかという点でございますけれども、最初に根拠といたしましたきのくに教育協議会は、まさに、お話ありましたように十九名の各界各層からの極めて幅広い委員の皆様方を委員に委嘱してご議論を願ったわけでございます。
 確かに、最終結論が一本になってはおりませんでしたけれども、この議論の過程の二年間、私もずっと傍聴させてもらい、時には論議に参加させてもらってきておりますから、そのプロセスはつぶさに知っているつもりでございますが、その中で随分活発な議論が交わされました。圧倒的多数は、学区は現状のままではぐあいが悪い、拡大あるいは廃止という意見が多かったというふうに記憶しております。ただ、少数意見ということも尊重するという協議会の趣旨から、最終報告にはそのこともあわせて記載されているということでございます。
 それから、協議会終了後、これを受けて県教育委員会として一定の結論を出すようにということでありましたので、平成十二年の五月に庁内にプロジェクトチームをつくって、お話ありましたように約一年半にわたり幅広い検討を重ねてまいりました。
 その過程で、多くの皆様方の意見を聞く方法は種々あろうかと思いますが、私どもは、例えばインターネットで広く意見を聞くと。今の社会の一つの方法であろうと思います。それから、中学校の校長会に対して投げかけてこのことについての意見を聞くということを各地方ごとに行いました。もちろん、高等学校の校長会にも、受け入れる側でございますから提起をして、この学区制の問題についての意見を出してくれということを申し上げました。さらに、PTAにも重ねて呼びかけて意見をいただいたところでございます。が、それよりも一番大事なのは、この間において県民の代表である県議会においてこのことが随分論議がされてきたということが挙げられると思います。正確な数字は覚えておりませんが、四回ないし五回、本会議並びに文教委員会でこのことが論議をされ、ご意見をちょうだいしているわけであります。その中で、学区制は現状のままでいいとかという意見は全くなかったというふうに私は記憶をいたしております。
 それらを種々総合いたしまして、今回の結論に達したわけでございまして、合意を得ることの重要性、さらに手間暇をかけることの民主主義の価値ということは、金田議員と私は基本的な認識に違いはないのではないかと思っております。
 次に同和教育の進め方に関して、基本認識の部分で知事部局と教育委員会が違うのかという趣旨のご質問かと思いますが、同様でございます。先ほど福祉保健部長からお答えありましたことと私どもは、基本的には変わりません。ただ、これは原則としてということでありますから、教育は教育なりの課題がございます。それは先ほどの答弁で申し上げましたように、それを補足させていただければ、同和地区児童生徒の不登校率は一般地区全体の二倍半に上っています。それから、家庭状況、保護者の経済状況を見ても、明らかな違いが存在しております。その中から、結果的に大学、短大の進学率の格差は一六、七%。これを決して小さな無視してもいい格差だと、私も思っておりません。そのような現状認識の中から、確かに地対財特法はこの三月で切れますが、もちろんその中で一般施策という形で行っていきますけれども、同和教育は継続をしていく必要性を感じておりますので、したがって、三番目のご質問にありました和歌山県同和教育基本方針を廃止する考えは現時点では持っておりませんし、同和教育は正確な実態の把握に基づいて行わなければならないという一貫した原則のもとでは、四番目のご質問でございます、校区に同和地区を持つ学校の状況調査は基本的に必要な調査であると、先ほどのお答えになったものでございます。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 私は、学区制について反対意見も賛成意見もあると。私自身も、文教委員会の中で、この学区制の問題について発言をいたしました。それは、そうした前提の中で十分に論議をしていく、そうした声が必要ではないかと、私はその主張をしました。すべてが賛成した、そんなふうにとらえていたのでは迷惑です。その点は、はっきりさせておきたいと思います。
 さて、教育長、同和問題についてでありますけれども、人や地域を特定しない、原則として特別対策はしないと。このことについては、今おっしゃられましたので、そのことを確認してよしとしたいと思うんです。
 しかし、再質問ですけれども、同和地区は大きく変わりました。はっきり言って、「一般地区と変わらなくなった」と言ってもいいのではないかと思っています。したがって、特別対策である同和事業や教育などは終結の時期に来ている。だから、これも国は方針を出したんではないでしょうか。そうしなければ、新しい差別を生むことになります。今、現に、もう生み出してきているんです。同和行政を続けていることによって新たな差別を生むならば、今、同和行政をやめる、教育をやめていく、これは当然のことだと私は思います。しかし、同和問題すべてが問題が解決したとは思っておりません。重要なことは、特別なことをしなくても、自然な交流を続けていけば同和問題が解決するとき──その時代を今迎えたんだ、私たちの力で、みんなの力でここまで来たんだと。そのことであります。そのことをぜひ認識してほしいんです。これ以上同和教育を続けることは、差別をなくす弊害になります。垣根を残してしまいます。
 状況調査を続けるということは、教育長、人や地域を特定しないというそのお話に反することにはなりませんか。その点について、一点お答えをお願いいたします。
○副議長(堀本隆男君) 以上の再々質問に対する当局の答弁を求めます。
 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) もうご存じのことだと思いますが、地対財特法の期限切れをもって同和問題は終了するものではないということについては、地対協の意見具申に明確に述べられております。やり方、方法は変わってきても、やらなければならないことは、残念ながらまだあるという立場に私どもは立っております。その中で、どういう正確な、一般施策という形をとるにしても行っていくためには、先ほど申し上げたような実態から学ぶということがなければ方向性を誤ることになると考えておりますので、特定身分を暴くとか、人や地域を特定すると、そのことを目的に行う調査ではございません。当然、プライバシーの問題も配慮しながらやってきておりますし、早くこういうことを行わなくてもいい時代が来ることを願っている点では同じだと思いますけれども、まだそこまで来ていないというのが私どもの認識でございます。
○副議長(堀本隆男君) 以上で、金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三分散会

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