平成13年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(神出政巳議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十七番神出政巳君。
  〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 こんにちは。お許しを得ましたので、通告に基づき、順次質問をいたします。
 まず冒頭、会派を代表し、十二月一日の敬宮愛子内親王殿下のお誕生に対し衷心よりお祝いを申し上げ、健やかなご成長を祈念いたします。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 最初に「意識改革から」と題し、知事就任後一年が経過し、職員に木村イズムが浸透しつつある中、施政方針の基本理念や次年度予算編成について、知事に数点お尋ねいたします。
 まず、今春、知事公室の政策推進室を政策審議室と改編され、政策推進班に加え、新たに政策評価班を創設され、スタッフもかなり増強されました。その後の事務事業評価システムの進捗や政策評価の成果についてお尋ねします。
 続いて、後の設問にかかわる課題として、公共事業評価システムの導入についてお尋ねします。
 三重県では、来年度予算編成に当たっては独自に構築した公共事業評価システムを活用し、優先度の高いものから事業化を図る取り組みに着手し、異なる公共事業を同一基準で評価する同システムの導入によって公共事業実施の決定プロセスの透明化を目指すというものであります。公共事業については公共事業推進本部が一括して取り扱うこととなり、公共事業の実質的な一元化に大きな一歩を踏み出そうというものであります。そして、公共事業にもかかわるが、来年度予算編成から部局長への権限委譲を進め、来年四月からは従来の課を全廃し、施策体系ごとに総括マネジャー、マネジャーを配置する組織改正を行う予定であります。本県でも、グループ制の研究や係長制の問題点等の検討をされているようでありますが、施策体系ごとの組織改正についてどのようにお考えか、お尋ねします。
 次に、次年度の予算編成についてお尋ねします。
 一例として、高知県では、深刻な財政危機を乗り切るべく二〇〇〇年度から三カ年計画で第二次財政構造改革に取り組み、その一環として構造転換特別枠予算の制度をスタートさせております。事業費の削減という量的な面だけでなく、事業構造の質的転換を目指すというものであり、従来の行政のあり方を転換するような新しい発想の事業提案に対して、一般の事業費とは別枠で予算を認めるというものであります。構造転換と言っても漠然としているので、年度ごとに重点施策を設定し、来年度は五点──一つ、定住を促進する就労機会の拡充、二つ、よい環境に変え、持続させる循環型社会の構築、三つ、民間活力を活用した公共サービスの開発、四つ、リーダーとなる人づくり、五つ、トータルコストを下げる予防型社会の形成などで、一件につき上限二億円であります。来年度は三十八件で、成分解性素材使用工法開発事業費、雨水利用設備構築事業費、バイオマスエネルギー推進事業費、森林NPOボランティアセンター事業費、科学技術立県を支える人材育成事業費など、総額約十六億円。今年度は五十一件で、レンタルハウス整備事業費、次世代型コンクリート研究開発事業費、ヤング世代の食の応援団事業費、訪問介護員スキルアップ研修事業費、四万十まるごと博物館事業費、企業情報化戦略リーダー育成支援事業費などに、同じく総額約十六億円。事務事業評価システム導入と連動させたものであります。
 本県では、IS予算と評し、予算編成をしたこともありました。事務事業評価システムも導入しました。今また、「聖域なき見直し」、「行政の棚卸し」を旗印に、各部課室、多くの職員より膨大な数の施策提言がなされていると仄聞しておりますが、重点施策に対する取り組みについてお尋ねします。
 次に、特に土木部予算の見通しについてほか、以下数点にわたり土木部長にお尋ねします。
 十月初旬に公表された本県の平成十四年度予算編成方針によれば、県単独投資は前年度当初予算の九〇%とあり、改良率が全国ワースト二位である一般道路の関係予算について心配をするわけであります。
 継続中の事業についてでありますが、毎年、事業予算が縮減されていけば事業完成のめどが立たないということであります。供用に合わせた用地の協力見込みも立ち、随分待っていただいている箇所も多く、特に半島振興法支援による補助事業などは、県民ひとしく期待をしているわけであります。
 また、公共事業費には九五%のシーリングがかけられていますが、十二月四日、政府の次年度予算編成方針が閣議決定された中、大変厳しいようでありますが、事業費確保に向け、決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。あわせ、知事初め財政当局にも特段の配慮を申し入れておきます。
 続いて、下水道整備についてお尋ねします。知事の議会冒頭のごあいさつにもありましたが、全国最下位脱出への取り組みについてお尋ねします。
 本県の下水道事業の現況については、昨日、先輩の佐田頴一議員からご質問の中で詳しくご指摘がありましたので重複を避け、端的に、なぜ本県の下水道整備率が向上しないのか、市町村が公共下水道事業等に着手しづらいのか、あわせ県として市町村への働きかけについてはどのように指導、支援されているのか、お尋ねします。
 また、あわせ、四日ご足労いただいた緊急アピールの感触はいかがでしたでしょうか。そして、住宅建築の際の近年の費用補助や延べ床面積に対する人槽緩和などで好評の合併浄化槽補助事業との兼ね合いについてお尋ねします。
 次に、九月議会予算委員会でもお答えいただきました、六月十九日夜半から二十日未明にかけての大雨による貴志川の浸水対策並びに国道四百二十四号の海南市別院地内の法線改良につきまして、その後の進捗状況についてお尋ねします。
 次に、知事から陳謝の言葉があった不祥事の件についてであります。
 捜査の全容がまだ公表されていませんので、まだまだ伸びるのか新聞報道等で知るのみでありますが、罪は罪で憎むべきものであり、反省しなければならないと思います。しかし反面、逮捕・起訴・取り調べ中の元所長やコンサルは、仕事は本当によくやってくれたとの地元の評価もあります。まことに残念であります。そして、常々感じることでありますが、技術職員の慢性的な残業であります。夜はもちろん、休日にも及ぶ仕事の量と質であります。技術職員のみに限ったことではないようでありますが、職員のご家族からも苦情を耳にします。
 ここで、少し話がそれますが、十一月上旬に会派の同志山下直也議員、原日出夫議員初め同僚の議員と参加した、都庁で開催の第一回都道府県議会議員交流研修会の記念講演をされた三重県の北川知事が別のある対談で、「職員に望むことは」という中で以下のことを話されております。「小さなことから新たなことを始めていく勇気を持とうと職員に話しています。そして、その目的や方向が正しければ必ず大河になるのだから、根気を持てと。これを勇気根気論と言っています。県民に満足していただける仕事をしない限り職員の満足はあり得ない。逆に、職員が自己実現できなければ県民満足もあり得ないので、十七時半退庁や総労働時間年千九百時間などに取り組んでいます。すなわち、県民満足イコール職員満足なのです。県民を満足させる行政は、思い上がりです。なぜなら、そのときの主語は「県庁が」だからです。三重県は、県民が主役なのです。これが生活者基点です。県民が満足できるサポートをすることが県庁の役割です」──少し長くなりましたが、話を戻します。
 今回の元所長は少々強引とも言われる面があったにせよ、劣悪な条件の中で、用地交渉を初め、出先の管理職としては大きな事業進捗の功績を残していることも記憶にとどめなければならないと思います。
 そこで、今後どのようにして現場対応能力のある管理職を養成していくのか、また膨大な仕事量を抱える技術職員とそれを補完するコンサルタントとの業務提携をどのようにしていこうとお考えなのか、お尋ねします。
 最後に、県立高校の学区制撤廃について教育長にお尋ねします。
 再来年度から実施との決意を披瀝されたところでありますが、各校が特色づくりで競い合うという点、生徒が魅力ある学校選択をする幅が広がったという点で、賛成であります。反面、中学校の進学指導が混乱するという声も耳にします。一年余の準備期間がありますので、しっかり検討し、実施していただければ十分なじんでいくのではないかと考えます。
 中学校の進学指導が塾頼みというのが現実であるという声もありますので、地方教育事務所を通じ、市町村教育委員会と緊密な連携をとり、中学校のレベルアップにも配慮され、大いに推進していただきたいと考えます。
 本県高校教育においては、先駆的な取り組みの総合学科高校の創設を初め、専門学科、単位制の導入等々、近年さまざまな取り組みをしてきたところでありますが、東京都教育委員会でも、多様で柔軟な高校教育の展開を目指し、改革断行中であり、都立高校の学区制撤廃を初め幾つかの改革がなされております。
 目立ったところでは、進学指導重点校の指定があります。戸山高校など三校とともに指定した日比谷高校に、都教育庁から五十三歳の校長が今春赴任し、「骨太で重厚な進学校」を旗印に来春からの学校週五日制に対応すべく取り組んでおります。一つ、毎日七限授業、四十五分授業を基本に九十分連続授業も設け、八、九限の特別講座の開設、二つ、土曜日の補習、三つ、習熟度別学習の導入、四つ、第一、第三、第五土曜日のクラブ活動の禁止等々、新教育課程での公立高校の学力低下の懸念に対策を講じられております。また、板橋区の高島高校には日立製作所から四十六歳の校長を起用し、来春近隣高の統廃合の結果、開校予定のつばさ高校には日産自動車から五十五歳の校長を起用するという、民間人校長の起用を実現されております。そして北区の定時制総合学科の桐ケ丘高校は、チャレンジャースクール第一号として近隣五校の統廃合の結果、昨年度開校され、単位制、学年なし、一日三部制とし、少人数で全員わかる授業を目指し、地域社会や企業の力もかり、ボランティアや体験学習にも取り組んでおります。生徒は自分のペースで学習できるようにされています。入試は、学科試験も内申書もなく、不登校や高校中退の経験を持つ子でも学びやすいように工夫されております。
 本県でも同様な取り組みをされてきたところでありますが、東京都に比べ、公共交通網の未整備な点や財政規模の点で厳しい側面もありますが、ここ数年実施してきたスクールカウンセラー活用事業や就職アドバイザーの委嘱などは特筆すべきものであり、さらに一層の改革推進を希望するものであります。
 そこで、県立高校の学区制徹底についての意義と目的についてどのようにお考えなのか、そして校長が強力に学校運営をするための支援策も含め、県立高校の特色化について今後どのように取り組みを進めるのか、また一方、不安の声もある中学生への進学指導についてどのように取り組まれるのかをお尋ねします。
 以上です。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま神出議員のご質問の中にありました、職員の自己実現が県民の方の満足を最大にしていくという北川知事の発想、これは私はもう本当に同感するところでございます。そういう観点から職員の意識改革、自己実現をできるようにしていくことが必要だと思っていろいろ進めているわけでございますけれども、今の財政状況が非常に厳しい中、シーリング、シーリングでやっていきますと、そういうふうな新しい自己実現の芽が出てまいりません。そういうこともありまして、事務事業評価システムというのを導入いたしまして、すべての事務事業について棚卸しをして、初めから、要らないものは要らない、さらに進めるものは進めるという形で選別を行いましたところ、やはりある程度の財源が出てきたりいたしました。そういうものを新しい事業へ投入していくことによって、こういう厳しい財政状況のもとでも和歌山県の行政が新しい分野に向かって進んでいくような努力をしているところでございます。
 しかしながら、まだなかなかシステム的に十分できているわけではございませんので、これからも新しい全国的な成果をどんどん取り入れて生かしていきたいというふうに思っております。
 それから公共事業の評価システムの導入について、三重県の例をお話しいただきました。これはもう画期的なことが多うございまして、いきなり和歌山県にすべてを適用というわけにはなかなかまいりませんけれども、私も、今年度の当初予算を策定するときに、公共事業について、満遍なくという形じゃなくて、和歌山県をどういうふうな方向へ持っていくかということをまず置いて、それに合わせて道路整備とかいうことに重点的に予算をつけていこうという形で土木部と協力して作業いたしましたところ、ある程度そういうふうな状況になってきているのでございますけれども、一方で、今非常な公共事業不況ということもありますので、そういうことを、兼ね合いを考えながら来年度以降も和歌山県の改革につながるような公共事業を優先的に決めてやっていく方向をとりたいと思っております。
 それから、施策体系ごとの組織改正についてでございます。
 これにつきましては、ことしもIT関係の局とか観光関係の局とか、港湾、そして男女共生社会の関係の局をつくって、そしてこれらの局はそれぞれに非常に大きな成果をおさめてきていると私は思います。ただ、来年度以降も、例えば廃棄物の問題でありますとか、それから先ほども出ておりました病院、医療という問題について、やはり横断的にトータルに物を考えていくような形の組織をつくっていく必要があるんではないかなとか、いろんなことを考えております。それから、先般提言いたしました緑の雇用事業につきましても、これも農林水産部だけじゃなくて広くいろんなところがかかわってまいります。
 そういうふうな形で、これからは縦割り的な組織の考え方じゃなくて、いろんな柔軟な横との連携を持ったような組織のあり方を考えていこうと思います。そして、そのたびごとにそういうふうな形での組織改正ということを行っていきたいと、このように思っております。
 それから、重点施策に対する取り組みということでございます。
 ことしより来年度の予算からシーリングを取り払いまして、新たに職員の人たちからたくさんの提言を受けて、そしてまた民間の方々からの提言も受けて、そういうふうなものを新たな目で施策に取り組んでいくという努力を今行っているところでございます。
 そういう中で、例えば緑の雇用事業でありますとかIT化でありますとか、人づくりでありますとか警察関係とか、いろんなことで新しい芽が私は出てくると考えておりますけれども、こういうものも思いつきで行うのではなくて、やはり今後はシステマチックに県の予算の中に導入していく方法も研究を進めていって、本当に新しい時代に合致した予算編成というものが和歌山県でなし遂げられたという形にしていきたいと思っております。
 私の方からは、以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず初めに、土木部予算の見通しについてお答えいたします。
 従来から県単独事業につきましては、マイナスシーリングが設定される中、事業の必要度の観点などから優先順位づけを行った上で、分野間のバランスをとって予算編成に当たってございます。来年度予算編成におきましても、限られた予算の中、より効率的、計画的な土木事業の推進に努めてまいります。
 また、公共事業費につきましては、平成十四年度政府予算編成の基本方針において対前年度比一〇%の削減が明記されたところでございますが、現時点において、分野別の配分や都市と地方との配分など、具体的な方針が明らかにされてございません。いずれにいたしましても、県勢の発展を図る上で重要な役割を果たしている公共事業費の確保に努めてまいります。
 なお、県勢の発展に必要な道路予算については、土木部予算の中でも重点的に配分を行っているところでございます。しかしながら、厳しい財政状況の中、県民ニーズにこたえていくため、優先順位の高い箇所への重点化と地元協力が得られない箇所の休止等、事業の厳しい見直しを行っているところでございます。今後とも、その点について、各市町村のご理解、ご協力を得てまいりたいと考えてございます。
 次に、下水道整備についての三点のご質問に順次お答えいたします。
 雨水排水対策の先行等の理由によりまして、平成十二年度末の本県の下水道普及率は一〇%と、全国最下位であります。しかし、本年四月の紀の川流域下水道伊都処理区が一部供用を開始したことなどによりまして、平成十三年度末には最下位からの脱出ができる見通しでございます。
 なお、県といたしましては、流域下水道を整備するのはもちろんのこと、下水道未着手市町村に対しまして早期に着手するよう市町村長及び市町村議会議員に対する啓発を実施するなど、積極的に働きかけているところでございます。
 また、本県におきましては、ようやく本格的な下水道整備に差しかかった段階であるため、滋賀県を初めとした全国十三の県とともに国に対し、下水道の整備が着実に進められる予算の確保を強く要望したところでございます。下水道整備の必要性に対するご理解を深めていただいたものと考えております。
 次に、合併処理浄化槽設置整備事業との兼ね合いでございますが、県では平成七年度に和歌山県全県域汚水適正処理構想を策定いたしまして、下水道事業、農業集落排水事業、合併処理浄化槽設置整備事業など、効率的な汚水処理事業の推進に努めてきたところでございます。今後は、より効率的に整備ができるよう、平成十四年度に当構想の見直しを予定しているところでございます。
 次に貴志川の浸水対策につきましては、既に測量が完了しておりまして、今後、それをもとに流下能力の検討を進めてまいります。また狭窄部につきましては、上下流のバランスを考慮し、早急に河床掘削を実施してまいります。
 次に国道四百二十四号の交通安全対策につきましては、既に視線誘導標の設置等の工事を十二月五日に発注しております。また、事故の調査を行っておりまして、今後、道路法線等を含めた改善策の検討を行ってまいります。
 次に不祥事についてのご質問でありますが、まず初めに、今回の不祥事につきまして、土木部関係の幹部職員が詐欺容疑で起訴され、また収賄容疑で逮捕されましたことを、議員各位を初め県民の皆様に深くおわびを申し上げます。今後、かかる事態が生じないようチェック体制の確立等に全力を挙げて取り組んでまいります。
 現場対応能力のある管理職の養成についてのお尋ねでありますが、現場の管理職には、公共事業の複雑化に伴い、地元への説明能力や関係機関との調整能力が特に求められています。また、それに加え、豊富な知識、経験や指導力が必要とされます。そのため、従来から管理者の資質を高めるため、管理者研修を実施しているところでございます。今回の事件を教訓にいたしまして、さらに倫理面に重点を置いた研修を実施するなど、管理者の資質向上に取り組んでまいります。
 次に、技術職員を補完するコンサルタント業務についてでありますが、土木行政を取り巻く環境は年々多様化し、またその内容も複雑化しております。それに伴う業務量の増大や質の高度化に対応するため、職員みずからが創意工夫をすることはもちろんのこと、民間の力も活用し、有効かつ効率的に事業執行を行う必要があります。このことから、工事の施工管理や現場確認、図面作成などの技術職員の補助業務をコンサルタントに委託しているものであります。
 今回の事件を踏まえ、現場技術業務のチェック機能の強化を図り、適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 県立高校の学区制についてお答えいたします。
 このたび、従来設けていた高等学校の九つの学区を平成十五年度入学者選抜から撤廃することにいたしました。学区制の意義として挙げられていた高校教育の普及と機会均等は、進学率の向上等により現在達成されていることから、また生徒の学校選択幅を拡大するとともに高校教育の個性化、多様化を一層推進するために踏み切ったものであります。
 本県におきましては、これまでも総合学科や特色ある専門学科の設置、単位制への改編など、さまざまな高校改革を進めてきたところであり、来春から新たに全日制の三校が単位制高校としてスタートいたします。学区制の撤廃により、生徒はそれぞれの興味、関心、適性、進路希望などに応じて学びたい学校を選び、より生き生きとした学校生活を送ることができるものと考えております。
 各高校では、生徒一人一人の学習ニーズや進路希望をかなえることができるよう、これまで多くの選択科目を開設したり二学期制や六十五分あるいは七十分授業の実施、日常的な補習授業など、さまざまな取り組みを進めてきております。また、定時制単位制高校には昼間部を置き、不登校や中途退学の経験を持つ生徒を数多く受け入れるなど、多様で柔軟な教育を展開してきたところであります。
 一方、中学生への進路指導につきましては、高校の特色ある教育活動等を紹介した「ハイスクールガイド」の発行やホームページの開設、中学生の体験入学など、さまざまな方法で情報を提供いたしております。
 今後とも、きめ細かな情報提供に努めるなど、中学校における進路指導をさらに充実させるとともに、高校がそれぞれに培ってきた教育力を十分に生かし、学区制撤廃を契機として教育の個性化、特色化をより一層推進していくことができるよう、学校長の強力なリーダーシップを発揮するための多様な支援を検討してまいりたいと考えております。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(堀本隆男君) 以上で、神出政巳君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十八分散会

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