平成13年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成十三年十二月 和歌山県議会定例会会議録 第三号
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議事日程 第三号
 平成十三年十二月十一日(火曜日)午前十時開議
  第一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに報第七号から報第十号まで(質疑)
  第二 一般質問
会議に付した事件
   一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに報第七号から報第十号まで(質疑)
   二 一般質問
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十四 番       小   川       武
     十五 番       宗       正   彦
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     十三 番       尾   崎   要   二
 〔備考〕
     二十三番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     理事         安   居       要
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       増   田   充   孝
     教育委員会委員長   赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   中   尾   公   彦
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      井   口   好   晴
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時三分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並
        びに報第七号から報第十号まで】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第百三十号から議案第百五十一号まで、並びに知事専決処分報告報第七号から報第十号までを一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十一番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。
 ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 最初に、十二月一日、国民待望の中、皇太子ご夫妻のお子様がめでたくご誕生になられましたことは、まことに喜ばしく、慶賀にたえません。天皇・皇后両陛下並びに皇太子・同妃両殿下に対しまして、謹んでお祝いを申し上げます。十二月七日の命名の儀において、お子様の名前は「愛子」、称号が「敬宮」と決まりました。敬宮愛子様の健やかなご成長と皇室のますますのご繁栄を心よりお祈り申し上げます。
 それでは、最初に景気対策についてお尋ねいたします。
 十月の完全失業率は前月より〇・一ポイント高い五・四%で、二カ月連続で過去最悪の記録を更新し、雇用情勢は緊急事態を迎えております。近畿二府五県の十月の完全失業率は、前月より〇・一ポイント減となったものの六・五%で、全国を一・一%上回っております。一方、有効求人倍率は〇・五五倍でありますが、和歌山県は前月の〇・四五倍より〇・〇二ポイント低い〇・四三倍となっております。また、平成十四年三月高等学校卒業者の就職内定状況は本年十月末で四五・七%と、卒業者の半分も就職が決まっておりません。ちなみに、昨年は五〇・三%でありました。本県の景気・雇用情勢は一段と厳しさを増してきております。
 このような状況の中、和歌山県中小企業家同友会は、今、県下の中小企業の八割以上が赤字経営と言われる厳しい経営環境に置かれているとして、経営危機を打開する中小企業家の重点要望、提言をまとめております。その中で、地場産業の創出、育成や地域内での企業育成を強め、雇用と税収の確保などによって景気回復の措置を講じられたい、また中小企業に必要な資金をとして、二〇〇一年三月末で打ち切られた保証協会の特別融資枠の復活をされたいとしております。
 国の補正予算では、総額二兆九千九百五十五億円、事業規模にして約五兆八千億円となっております。そのうち雇用対策に五千五百一億円、地域のニーズに沿った雇用機会の創出のため、緊急地域雇用創出特別交付金三千五百億円が創設され、地方公共団体が地域の実情に応じ、緊急かつ臨時的な雇用を創出する事業を実施することになっております。果たしてこの程度でいいのかといった議論もあり、現在、国の方で経済・雇用対策として第二次補正予算案の検討がなされているところであります。
 県では、緊急景気・雇用対策として五十四億五千万円の補正予算を編成し、本十二月定例会に提案がなされております。その中で、国の緊急地域雇用創出特別交付金三千五百億円を受け、四十二億五千万円の基金創設のための補正予算案が盛り込まれております。また、中山副知事を本部長とする景気・雇用対策本部を設置し、緊急な雇用の創出と雇用のミスマッチの解消、中小企業対策に向けての検討がなされているところであります。
 以上のことから、知事、副知事並びに関係部長にお尋ねいたします。
 第一点、知事は本県の深刻な景気・雇用情勢をどのようにとらえ、今後、景気・雇用対策に取り組むお考えか。
 第二点、知事が提唱された緑の雇用事業が緊急地域雇用創出特別交付金三千五百億円の中に取り入れられたことに敬意を表したいと思います。しかし本県にとっては、交付金を財源として三年間で四十二億五千万円の基金を造成し、その中から数億円が緑の雇用事業として執行されるわけであります。知事が描く本来の緑の雇用事業と若干違う感じがいたします。知事のお考えをお聞かせください。
 第三点、景気・雇用対策本部の会合で、公共事業に県産品を積極的に活用して県内企業を潤わせ、雇用の創出につなげる方針が確認され、昨日、県産品(土木建築資材)活用促進行動が発表されました。本県では、中小企業創造活動促進法いわゆる創造法の認定を受け、県内のベンチャー企業がいいものをつくったとしても、まず県では、実績がない、品質がよくても価格が高いとして、最初は聞く耳さえかしてもらえなかったそうであります。ベンチャーで初めていいものをつくったわけですから、実績がないのは当たり前で、価格の面は相談をすれば解消できるわけであります。さらに、県有施設には、ほとんどと言っていいほど杉、ヒノキといった紀州材が活用されておりません。このたび、公共事業に県産品活用促進の方針が打ち出されたことは画期的なことだと思います。早急に公共事業に県産品の活用を図るとともに、それらの数値目標を設定して景気・雇用の拡大を図るべきだと考えます。景気・雇用対策本部本部長の中山副知事に、これらの取り組みについて決意をお伺いいたします。
 第四点、国は補正予算で中小企業のセーフティーネット保証・貸付制度の拡充では、事業規模を二兆四千億円としております。これから年末、年始を迎えるに当たり、中小零細商工業者の資金需要は増大いたします。中小零細商工業者への保証協会の特別融資枠の復活や特別支援策を講じる必要があると考えるが、どうか。
 第五点、昨年四月から介護保険制度が導入されました。介護保険制度によってどれだけの雇用が創出され、今後、介護サービスの供給体制の充実等で新たにどれだけの雇用が見込めるのか、介護保険施設等での雇用の実態とあわせお答えください。また、本県のIT化の促進でどれだけの雇用が創出され、今後IT化の推進等によって新たな市場と雇用が見込めるのか。
 第六点、緊急地域雇用創出特別交付金における奨励事業は、一応国から示されております。県では、この基金による事業について市町村からメニューを集約しております。その状況はどのようになっているのか。また、メニューの集約には電子メールが活用されておりません。県と市町村間で電子メールが余り活用されていないということは、本県行政のIT化がおくれていると言われても仕方がありません。木村知事は、かねがねIT先進県を目指す、そしてまたIT戦略本部も設置をされて議論が重ねられておるところでございますが、県行政の中で、市町村とのやりとりで電子メールを活用されていない。電子メールを活用すると経費の節減にもなりますし、さらにはそのデータベースを管理することも容易であります。事務の合理化にもつながるわけでございます。これらのメニューや要望、提言などは、IT化を促進する上から電子メールで受け付けるようにすべきであります。今後の取り組みについてお答えください。
 次に、市町村合併についてお尋ねいたします。
 市町村合併は県政の重要課題であり、市町村の最大の関心事でもあります。昨日の先輩議員の佐田議員の質問と重複する点、お許しをいただき、知事にお尋ねいたします。
 今、なぜ市町村合併なのか。地方分権の時代にあって、住民に身近な総合的な行政サービスを提供する市町村の役割はますます重要となってきています。また、少子高齢化の進展などによって高度化、多様化する行政需要への的確な対応が求められております。一方、厳しい財政状況、県下市町村で五千二百二十六億円の起債残高、ほとんどの市町村で一般会計予算を上回る起債の残高がございます。こういう状況の中で、効率的な財政運営に努めることが必要となっています。しかしながら、将来的に見て、行政サービスが多様化する中で現状のままでやっていけるのか。右肩上がりの経済状況で税収があった時代から低成長の時代に、市町村は借金をしながら事業を実施しております。果たしてこのままで市町村の行政をやっていけるのかといった課題があります。このような状況の中で、市町村の効率的な財政運営、行政体制の充実強化は緊急の課題となっており、市町村合併は最も有効な方策と考えられるわけであります。
 政府は、昨年十二月一日、与党行財政改革推進協議会における現在三千二百ある市町村の合併数一千を目標とする方針を踏まえ、自主的な市町村合併を積極的に推進し、行財政基盤を強化する旨を盛り込んだ行政改革大綱を閣議決定し、本年三月二十七日、総務大臣を本部長とする市町村合併支援本部を設置しました。そして、八月三十日に市町村合併支援本部は、市町村が合併による新しい町づくりを行うに当たっての支援策等を策定しています。
 本県の市町村合併への取り組み状況は、昨年四月の地方分権一括法の施行を受け、自主的な市町村合併を推進し、市町村の行財政基盤を強化することが必要であると考え、本年一月に和歌山県市町村合併推進要綱を策定、そして本年七月十六日、知事を本部長とする市町村合併支援本部を設置されました。また、振興局ごとに支援本部を設置しております。一方、和歌山市を除く各市町村では複数市町村による研究会等を設置、また多くの単独市町村では研究会、検討会等の庁内組織等を設置し、さらに多くの市町村議会では特別委員会が設置されております。そこで、市町村の事務事業にどういう事業があるのか、サービス水準、料金負担などを調査研究、合併したときどの水準に合わすのかといった研究、検討がなされていると聞き及んでおります。
 市町村合併は時代の趨勢であり、避けて通れない課題であります。しかしながら合併については、市町村が議論を深め、自主的な判断を基本として進めることが重要であることは申すまでもありません。そして、国の市町村合併支援本部が策定した市町村合併支援プランの概要では、都道府県の取り組みとして、少なくとも数カ所の合併重点支援地域を指定した上で、支援プランの内容に十分留意しつつ、管内の市町村の合併に向けた取り組みについて全庁的、計画的かつ積極的な支援策を講ずることが望まれるとしております。
 地域住民の間で合併に向けての機運が盛り上がっている地域など合併重点支援地域の指定をすることが望まれるわけでありますが、いつ、どの地域を合併重点支援地域とし、どのような支援を行うお考えか。
 また、知事が指定した合併重点支援地域で市町村が議論を尽くした結果、合併協議会の設置に至らなかった場合、「市町村の合併の推進についての要綱」が総務省から出されておりますが、この中で「合併重点支援地域に指定後、一年以内に合併協議会が設置されない場合において、必要に応じて、地方自治法第二百五十二条の二第四項及び市町村合併特例法第十六条の二第一項の規定に基づき、当該地域の市町村に対し、合併協議会の設置についての勧告を行うことを検討するものとする」とされております。知事は合併協議会設置を勧告することもあり得るのかどうか、お尋ねいたします。
 次に、市町村合併のメリットとして、地方分権の推進や少子高齢化の進展に伴う行政需要への対応、効率的な財政運営など考えられるわけであります。しかしながら、市町村合併後の自治体並びに住民サービスの具体的な姿がもうひとつ見えてこないわけであります。一部では、地方交付税が大きく減少することによって住民関連の予算が削られる、また大型公共事業が促進され、地場産業や旧来の商店街、農林漁業などが衰退し地域の活力がなくなる、さらに合併された役所が支所化しその機能が低下する、そして合併後の市役所までの距離が遠くなるといった声があります。このような懸念にどのようにこたえ、市町村合併後のメリットをどのように考えているのか、国、県の支援策とあわせ、具体的にお聞かせください。
 次に、市町村合併に関する本県市町村の取り組み状況等について、県の熱心な取り組みにもかかわりませず、複数市町村による広域市町村圏での研究会等は設置されているものの、いまだ単独市町村での研究会、検討会等の庁内組織の設置や市町村議会での特別委員会の設置がなされていない市町村があります。また、地域住民の間で合併に向けての機運が盛り上がっていない地域もあります。それぞれの事情もあることだと思いますが、これらの状況をどのようにとらえ、今後どのように対応されるお考えか、お聞かせください。
 次に、水の水質環境についてお尋ねいたします。
 現在、私たちの身近にある文明の利器の発達は目覚ましく、利便性や快適性は著しく向上しました。しかしながら、一昔前ならば至るところで流れていたきれいな水は姿を消し、良好な水資源の多くを失ってしまいました。ペットボトルに入ったミネラルウオーターの消費量の増加は目覚ましく、一九九九年の消費量は十年前の約八倍となっております。価格は五百ミリリットル当たりで百二十円、水道料金の全国平均の千三百倍に相当いたします。また、レギュラーガソリンの小売価格はリッター当たり百円とすると、約六十円は税金でありますので、正味のガソリンの価格はリッター当たり約四十円ということになります。おいしい水の価格はガソリンよりも高いということが一般化した現状となっております。このような比較はいささか単純かもわかりませんが、私たちの志向してきた文明の行き先について深く考えさせられるものがあります。
 環境問題についてよく知られている例え話に、なべの中のカエルの話があります。熱い湯の中にカエルを入れると、カエルはびっくりしてなべから飛び出すわけでありますが、水の状態からゆっくりと温度を上げていくと、カエルは脱出するタイミングを逸してゆで上がってしまいます。このようなことを考えると、私たちの周りの水環境は相当悪化してきているのではないかと考えられます。
 二十一世紀は「環境の世紀」、「水の世紀」とも言われております。二〇〇三年──二年後でありますが、第三回世界水フォーラムが京都、滋賀、大阪を結んで開催されます。一九九二年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球サミットは、今日の地球環境時代の幕あけを告げるものでありました。この地球サミットを受けて、我が国は一九九三年に、これまでの公害対策基本法にかわって環境基本法を制定しました。環境基本法では広く環境保全にかかわる基本的な理念や方針が示され、具体的な規則は、そのもとに位置するさまざまな個別法によって定められております。水質の環境基準は環境基本法第十六条に基づいて地下水の環境基準が、水道法第四条で水道水の水質基準が定められております。
 今回は、特に地下水の環境基準、水道水の水質基準の中で、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素について触れてみようと思います。
 硝酸性窒素は、浄水場では取り除けない化学物質の一つで、畑作の窒素肥料などが土に浸透、分解されて地中に生成されるものであります。沸騰しても取り除くことができず、地中で時間を経ても消滅しないという厄介な化学物質であります。濃度が高くなるほど有機物濃度も高くなり、細菌が繁殖しやすい水になります。特に、高濃度の硝酸性窒素を含む水は健康に多大な影響をもたらします。乳幼児の突然死の原因と考えられております酸欠や窒息状態を引き起こすメトヘモグロビン血症は、乳幼児が胃の中で硝酸を亜硝酸性窒素に還元してしまい、血液中のヘモグロビンが酸素よりも先に亜硝酸窒素と結合することから、ヘモグロビン(赤血球)が酸素を運ばなくなるため発生します。また、硝酸・亜硝酸窒素は体内で食物中のたんぱく質に含まれているアミン類と結合し、強力な発がん物質のニトロソアミンをつくり出します。
 本県の「環境白書」によりますと、「地下水の監視状況」として、「平成十二年度は、県が百地点、和歌山市が三十地点について調査を行ったが、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の項目について、県の調査地点で五地点、和歌山市の調査地点で三地点で環境基準を満たしていなかった」──いわゆる環境基準を超えていたということであります。地下水の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の環境基準は、一リッター当たり十ミリグラム以下であります。県の調査地点の五地点を申し上げます。リッター当たり十三ミリグラム、十一ミリグラム、十三ミリグラム、二十一ミリグラム、十七ミリグラムとなっております。環境基準を超えているわけであります。一応、環境基準のリッター当たり十ミリグラムを超えてはおりませんけれども、測定数値の高いものとしてリッター当たり九・七ミリグラム、八ミリグラム、七・五ミリグラム、七・三ミリグラム、七・二ミリグラム、七・〇ミリグラム、六・八ミリグラムと続くわけであります。県民の健康と安全にかかわる地下水、井戸水の環境基準項目の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が基準値を超えていることや特定数値の高い実態をどのように受けとめ、今後どのような対策を講じていくお考えか、お聞かせください。
 次に、上水道、簡易水道の水質基準についてお尋ねいたします。
 私は、地下水、井戸水での硝酸性窒素、亜硝酸性窒素が環境基準を超えている問題で、どのように対応しているかを当局にお尋ねいたしました。当局からは、「生活用水でも飲料水には使わないよう指導しております。水道水を飲料水に使用するよう指導しております」と答えられました。水道水ならば安全だと、だれもが思うわけであります。ところが、本県下の上水道、簡易水道の水源のほとんどが地下水、井戸水であるわけであります。例えば、紀の川流域の上水道の水源が紀の川の堤防近くの地下水、井戸水であったとしても、その水源のもとは紀の川だけではなく、和泉山系や森林、山林、田畑であるようであります。
 そこで、上水道、簡易水道の原水、浄水の水質の検査結果を教えてもらいました。いずれの検査項目も水質基準は満たしておるわけであります。これは当然であります。検査項目が水質基準を満たしていなければ、それは水道水として使用できないとなっているわけであります。
 しかし私は、ここで注目すべき検査結果、データを見たわけです。それは、平成十二年度の水道の水質検査で、先ほど井戸水の環境基準で触れました硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素が一リッター当たり八ないし九ミリグラム──これは、浄水する前の原水の水質検査で一カ所、結果が出ております。それから、浄水の水質試験結果で一カ所出ております。これは、八ないし九ミリグラムが浄化されませんから、八ないし九ミリグラムの亜硝酸窒素を含む環境基準には満たしておるけれども、八ないし九ミリグラムの水道施設が一カ所ある、こういうことになります。さらには、七ないし八ミリグラムが一カ所ございました。硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については一ミリグラム以下が望ましいわけでありますが、水質基準の十ミリグラムに近いリッター当たり八ないし九、また七ないし八ミリグラム、これらの水道については、県民の健康と安全を守る立場から水道の水源地を変更するなど、その改善を図るべきだと私は考えます。ご所見を承りたいと思います。
 また、安全でおいしい水を飲みたいと思うのは県民すべての願いであり、水道事業者の責務でもあります。安全でおいしい水を飲みたいという欲求から、ペットボトルに入ったミネラルウオーターや浄水器が大変なブームとなっております。本県では、日置川町や上富田町、中辺路町などに飲料水としての水をくみに行く人がふえてきております。県は、安全でおいしい水をつくるために水道事業者等に対しどのような指導を行っているのか、お尋ねいたします。
 次に、紀の川工業用水の海南市への移管についてお尋ねいたします。
 現在、海南市は県の紀の川工業用水を浄水処理して水道として使用しております。昭和二十一年の南海道地震で地下水から塩水が上がったため、水源を持たない海南市は県の紀の川工業用水を水道として使用しているわけであります。昭和三十三年に成立いたしました工業用水道事業法では、このような事態を想定しておりません。法的には、紀の川工業用水は上水道として送れないわけであります。しかも、もし取水口のある紀の川が渇水となった場合、工業用水から順次、取水制限が行われることになります。紀の川が渇水になったとしても、海南市民のライフラインである紀の川工業用水の取水制限は当然避けなければなりません。今日まで、いろんな経過があったことだと思います。
 昭和三十三年に工業用水道事業法が成立したとき、昭和五十年四月に海南市が室山浄水場を県から引き取ったとき、紀の川大堰建設着手のとき、それぞれの時点で県の責任において海南市に移管する話を進める時期があったように思います。なぜ、今日まで海南市への移管がおくれているのか。平成八年に、海南市から県に対し日量二万二千トンを三万三千トンに更新したいとの申し出があったようでありますが、日量一万一千トン増量分の確保を県はどのようにお考えか。
 最終的には、紀の川工業用水問題は知事と海南市長との協定処理によって解決されるわけであります。今日までの五十数年に及ぶ経過にかんがみ、海南市民の負担にならないように考慮すべきであります。知事は、海南市長との協定をどのように結ぶお考えでしょうか。
 最後に、トルコ共和国のメルシン市、ヤカケント町との姉妹都市・串本町への支援についてお尋ねいたします。
 皆様ご承知のとおり、一八九〇年・明治二十三年九月十六日、オスマン・トルコ帝国よりの最初の親善使節を乗せた軍艦・エルトグロール号が樫野沖で座礁、沈没。特命全権大使エミン・オスマン少将以下五百八十六名が殉職。生存者はわずか六十九名。このとき、大島島民は献身的に生存者の救助、介護に当たりました。この事件及び島民の活動はトルコ本国にも伝えられ、トルコの人々に深い感銘を与え、現在も、日本、トルコ友好の原点としてトルコの人々の心の中に特別の位置を占めております。そして、樫野の漁村風景が黒海沿岸の町ヤカケントによく似ていることから、昭和三十九年十一月、串本町とトルコ・ヤカケント町が姉妹都市盟約を結び、昭和五十年十月、トルコ・メルシン市との姉妹都市提携が結ばれているわけであります。昭和四十九年十二月には、大島にトルコ記念館が竣工されました。現在、串本町とトルコ共和国のメルシン市、ヤカケント町との姉妹都市国際交流は活発に行われております。
 ところが、国際交流は継続してこそ成果が見えてくるものでありますが、この分野での地道な活動に対して国や県の補助金がありません。国際交流における一時的な行事やイベントには、現行の県の補助金を活用することもあるようであります。ところが、国際交流が活発化してくると、国の機関や民間団体、その他もろもろのルートを介して、いろいろな国の方が訪問するようになってまいります。このようなお客様の受け入れには、国際礼儀に準じ、晩さん会を開催したりホテル代を負担するなど、日本人の訪問者とは全く違った、国際的に礼を失しないような待遇を行うこともしばしばのようであります。
 私は、景気が悪く、財政状況が厳しいときこそ、世界に打って出て、観光立県和歌山のすばらしい観光資源を世界にアピールするときだと思います。国際交流予算の増額とあわせ、国際交流の行事やイベントなどへの補助の拡充や継続していくことが大切な国際交流に当たっては、外国からの訪問者を受け入れる等の地道な交流にも活用できる補助金の創設または交付金などによる支援をどのように考えているのか、ご所見を承りたいと思います。
 なお、このたびワールドカップのキャンプ地招致に際しまして、県は串本町の紹介をもらってトルコ共和国に行かれたそうでございます。大変な歓待を受けられたようにも聞いております。そしてまた、このたび皆様のご尽力によりまして、一応デンマークが和歌山の方にキャンプを張るということに決まりました。関係者のご努力に敬意を表したいと思いますが、しかし今なお、トルコからもいろんなお話もあるようでございます。その点は、つけ加えさせていただきます。そして、トルコ共和国から見ますと、串本町の中に和歌山県があるのではないか、このように言われているようでございますので、どうぞ積極的なご支援をお願いしたいと思います。
 また、串本町の大島には、二年前、くしもと大橋が開通いたしました。大島には、本県及び串本町の観光資源としてトルコ記念館があり、くしもと大橋の開通とともに年々観光客もふえてきているようであります。現在、トルコ記念館では日ト友好の礎を築いた野田正太郎氏、山田寅二郎氏の特別展が開催されております。
 私は、二年前のトルコ大地震で、真心の義援金をトルコ大使館のバシュクット駐日特命全権大使に手渡してまいりました。そのときバシュクット大使は、「私たちは、百九年前の恩を決して忘れない。先日、くしもと大橋の開通式──これは平成十一年九月四日が開通式でありまして、九月十日に行ったわけでございますが──でトルコ記念館を訪れたとき、お土産や記念品販売などの充実の必要性を感じた。トルコでお手伝いすることがあれば、協力、応援します」と話しておられました。一義的にはトルコ記念館は串本町が整備することでありますが、県として、串本町からトルコ記念館の整備やお土産、記念品販売の充実について支援の要請があった場合、県の観光振興の観点から協力する用意があるのかどうか。
 以上、お尋ねをいたしまして、私の第一回目の質問といたします。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、和歌山県の現今の厳しい経済状況に対する景気・雇用対策についてのご質問でございます。
 今、日本の国は一般的にデフレスパイラルに入ってしまったんじゃないかというふうな極めて厳しい状況でございます。きょうの新聞にも来年の後半には景気は上向くというふうなことが言われておりましたけれども、これもなかなか楽観できるような状況ではございません。私も、極めて厳しい感じを持っております。そしてまた失業率につきましても、一応五・四%とか近畿では六・五%ということが言われておりますけれども、実態的にはもっときついんじゃないかと、むしろ就業率というふうな観点から物を考えていくべきではないかというようなことも言われているわけでございます。とりわけ中高年や新卒の学生、こういう人たちにいろいろなしわ寄せが行っているのではないかということで非常に心を痛めているところでございます。
 こういうことの打開の一つとして緑の雇用事業というものを提案したわけでございますが、もとよりきのうの人数の話でもわかりますように、これで十分な解決がもたらされるわけのものでもなく、県では景気・雇用対策本部を設けて失業対策や経済対策、いろいろな打てる手を考えて打っているところでございます。また、この議会でも総額五十四億五千万円の景気・雇用対策に関する補正予算を提案させていただいたところでございます。この中には、緑の雇用等を含む基金事業四十数億円が入っているわけでございます。これについては、和歌山県は全国で四番目程度というふうな伸び率を確保できたということで、それなりには成果があると思っておりますけれども、これでもちろん十分というわけではございません。今後、国の方での二次補正の動向、こういうふうなものにも十分注意していきたいと思っておりますし、来年度の予算におきましても、引き続き景気・雇用対策ということを継続してとっていかなければならないというふうに考えております。
 そして、この緑の雇用事業、今、こういうふうな短期な雇用ということで考えていたのとは違うんじゃないかというご質問でございます。これはそのとおりでございまして、きのうも申し上げましたけれども、この緑の雇用事業は、片方で森林のCO2の吸収という非常に高い効果、そして片方で痛みを伴う構造改革というもの、そしてまた国民の中にある自然へのあこがれというふうなものをうまくミックスさせて、都市から地方への新しい人口流動を起こすことによって、日本の国の十全な発展を図るべきではないかというふうな大きな考えに基づいているものでございますので、もとより和歌山県の数億円のお金で達成できるというふうには思っておりません。今後、和歌山県でも単独事業で一生懸命努力していく必要があります。それから、国の補助事業などもそういうふうな方向へ向いていくように各方面で努力をしていきたい。
 つい先日も、関経連の秋山会長に話しましたところ、非常に興味を持ってもらった。それから、連合もこのことに大変関心を持っております。労使あわせて、もっと広い範囲でこの問題を考えていきたいというふうに考えているところでございます。
 それから、市町村合併でございます。
 きのうの総務部長の答弁にもありましたように、今、二つの地域を合併重点地域として指定するような方向で市町村長さんの意見の確認を急いでいるところでございます。これがなされますれば一つの弾みということになって、また局面が変わってくるものと私は期待しておりますが、これでもなかなか進まないというふうな場合には、先ほどもありました勧告というようなことも視野に入れて考えていかなければならない、非常に厳しい状況になってきております。
 そしてまた、合併ということについて、これはもう正直なところ、合併すればどういういいことがあるのかということに対しての答えがなかなか出ないと。これは、ご質問のとおりであろうと思います。ただ一方で、この日本の狭い国土の中に三千三百の自治体がひしめいて、そして介護保険であるとか国民健康保険であるとか、いろいろ難しい問題を抱えている事業に対応していくということになると、なかなか財源的な問題とかいろんな問題でこれから厳しくなってくるのではないかというのも、これまた私は真実であろうと思います。
 いずれにせよ、この問題につきましては、来年度の予算に、国の方も、今までは旧自治省、総務省を中心に考えていたのを各省で、例えば道路予算における重点的な配分であるとか、いろんなことを考えていくという方向を出していくということを聞いておりますので、そういうふうなことも見きわめながら対応してまいりたいと思います。
 なお、合併特例債といって、合併したところの団体がいろんなものを整備するときには有利な起債というのがあることになっているわけですけれども、これにつきましても、来年度の交付税制度の中で、こういうふうな借金の返済を交付税で見るという制度が大幅に圧縮されようとしている中で、こういうふうな合併特例債というものがあるという形になってきますので、こういうふうなもののメリットというものも今後クローズアップされてくるのではないか、このように考えております。
 それから、当然のことながら、県の方も国と協力してシンポジウムとかいろんなことで合併問題についての地元議会や住民の方の理解を高めるような努力をしているところでございますけれども、なかなかまだ十分でないというところもございます。これは、何といっても住民の理解が一番大事ということでございますから、今後ともそういうふうなことについてさらに力を入れて努力をしていかなければならないと思っておりますし、それぐらいこの合併の問題、今は小泉構造改革も特殊法人の改革に割と目が行っておりますけれども、いずれこの合併の問題に大きく焦点が当たってくると思いますので、この問題について県としてもいろんな努力をしていかなければならないと思っております。
 それから、紀の川工業用水の海南市への移管の問題でございます。
 これは、今ご質問にもありましたように、非常に長い経緯のある問題でございまして、今回一万一千トンの増量問題が出てきておりますので、いよいよもう、先送りするということではなくて解決していかなければならないというふうな問題だと思っております。海南市にも十分配慮して協定の締結に向けて調整を行っていきたいと、このように考えております。
 私の方からは、以上でございます。
○議長(井出益弘君) 副知事中山次郎君。
  〔中山次郎君、登壇〕
○副知事(中山次郎君) 公共事業に県産品の活用についてお答えします。
 さきに開催しました和歌山県景気・雇用対策本部におきまして、景気・雇用対策としての補正予算を検討するとともに、公共事業に土木建築資材などの県産品の活用を一層促進することを決めたところでございます。このことを積極的かつ迅速に取り組む必要があると考えまして、一つには、土木建築資材に関するホームページの開設、二つに、施設の基本計画、事業計画等の段階からの積極的な取り組み、三つに、工事発注時における優先使用等を県産品活用促進行動として決定したところでございます。実際の取扱基準となる活用方針につきましては、実効性を高める有効な方策を十分検討しまして、新年度と言わず、来年一月の制度実施を目指しております。これによりまして、ベンチャー企業の製品や紀州材を含めまして、県産品を県の発注工事に積極的に活用するきっかけとして県産品のシェアの拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えてございます。
 いずれにしましても、今後とも緊急の課題でございます景気・雇用対策に全力を挙げて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 中小零細商工業者への支援策についてでございます。
 支援策は、中小企業者に対して金融対策が最も重要であるというふうに考えてございます。その金融対策といたしましては、依然として厳しい県内景気の状況を踏まえ、新規融資枠の拡大や金利の引き下げ、不況対策特別資金制度の継続等、県制度融資の拡充に取り組んでいるところでございます。また、最近になって中小企業の資金繰りは一層厳しい状況となっており、年末年始の資金需要に対応するため、十月、十一月には年末資金の受け付けを行うとともに、不況対策特別資金の借りかえ制度を創設したところであります。また、今議会に景気・雇用対策本部で決定いたしました離職者創業支援特別資金融資制度の創設や不況対策特別資金の大幅な金利の引き下げ、一部の運転資金の返済期間の延長等、県制度融資の充実につきましてお願いしているところでございます。
 国におきましても、中小企業信用保険法が改正され、補正予算で売掛金債権担保保険の創設や特別小口保険の限度額の引き上げ措置等が講じられたところでありますが、本県でも同法の改正にあわせ、小規模事業者向けの特別小口融資資金や新規開業支援資金B型の融資限度額の引き上げを行うことといたしております。
 なお、ご質問の平成十年十月から本年三月まで実施されました中小企業金融安定化特別保証制度につきましては、全国で約百七十万件二十九兆円、本県でも百一万件二千億円の利用があったところでございますが、国では制度の復活は考えていないと聞いてございます。これから、年末や年度末に向けてより一層の資金需要が見込まれることから、金融機関や信用保証協会に対し、できるだけ弾力的な対応を図るよう依頼するとともに、関係機関と連携を密にし、適切かつ迅速な対応を図り、中小企業金融の円滑化に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に、IT化による雇用の実態につきましては、専門技術者の養成やIT講習等の実施等により雇用の創出が図られているところですが、現段階では統一的な統計数値のおくれから全体を把握することが困難な状況でございます。しかしながら、公共職業訓練機関におけるIT関連職業訓練受講後の就職者は平成十二年度で三百名、和歌山県労働局における平成十三年四月から十月までの職業別常用就職充足状況報告ではIT関連職業は百四十名となっており、相当数の雇用者の増加があったものと考えております。
 一方、IT関連市場につきましては、電子商取引を初めとするインターネットビジネスの市場規模は年々増加しており、「情報通信白書」によれば、国内全体で平成十二年の約四十八兆円に対し、平成十七年には約百三十三兆円と三倍近い伸びが予測されています。県といたしましても、このような動向を踏まえ、中小企業者のEコマース参入を促進する事業など各種のIT化促進施策を進め、県内産業の販路開拓・拡大、顧客の管理など、県内企業の活性化に努めているところであります。
 また、企業のIT化が進むにつれ、さらにホームページのデザイン制作、システム構築などを行う企業、個人やインターネット接続業などの需要の増大が見込まれ、それらに伴う雇用機会の拡大も考えられます。県といたしましても、これらのIT関連産業の振興を図り、雇用の確保に努めてまいります。
 次に基金事業のメニューでございますが、緊急雇用創出特別基金による事業については、関係各課、教育委員会、警察本部、市町村等から提出された事業計画を集約したところ、緑の雇用事業や環境関連事業、生活安全対策事業、IT関連事業及び教育関係事業等で予定額四十二億五千万円を超える申し出があり、平成十六年度末までの事業計画につきましては、緊急に対応すべき事業で、真に事業効果が高いものを関係各課と協議して採用したいと考えてございます。
 次に、トルコ記念館の整備への支援でございます。
 トルコ軍艦遭難の歴史を伝えるトルコ記念館は、訪れる人々に感動を与えるすばらしい観光施設であり、海金剛や樫野崎灯台、日米修好記念館などとともに、大島観光にとっても重要なスポットと認識してございます。
 県といたしましても、これまでも大島観光のPRや施設等の整備に努めてきたところであり、今後も地元と十分連携しながら、さらなる観光振興に取り組んでまいりたいと考えております。具体的な施策につきましては、串本町の意向を踏まえ、協議してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 介護保険サービスにおける雇用の実態でございますが、県が指定をしてございます介護サービス施設及び事業所全体で約九千人の方が雇用されてございます。このうち約二千人が介護保険制度導入による新規雇用者と推計されます。
 また、介護保険施設等の整備による今後の雇用見込みについてでございますが、県では平成十六年度を目標年次といたしまして策定をいたしましたわかやま長寿プラン二〇〇〇に基づき、計画的に施設整備を進めているところであります。このプランの整備目標を達成いたしますと、新たに八百人程度の雇用を見込むことができると考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) IT化の促進に係る今後の取り組みについてお答えを申し上げます。
 行政のIT化を図っていく上で、電子メールを県庁内部のみならず、市町村との連絡などに積極的に活用せよとのご指摘は、ご指摘のとおりでございます。県庁内部では、平成十年度から行政事務用パソコンを利用しまして他課室への事務連絡ですとか調査、問い合わせなどを行ってきたところでございます。しかしながら、ご指摘のとおり、特に県と市町村との間での電子メールの利用につきましては、現状ではまだ十分とは言えない状況にあると認識してございます。このため、その活用を促進する観点から、本年度で本庁全職員への行政事務用パソコンの配備を行うとともに、本庁及び出先機関で行政事務用パソコンを配備されている職員に対してメールアドレスの交付を行うほか、電子メールや情報検索などのパソコンの利活用研修も実施しているところでございます。
 今後、県行政のIT化推進と電子県庁の構築を図るため、県庁内部はもとより、市町村等との間での電子メール利用をより一層積極的に実施すべく徹底を図ってまいる所存でございます。
 次に海南市の水道事業に関連してでございますが、海南市水道の新規水源につきましては、給水区域の拡張や簡易水道の統合等によりまして、新たに日量一万一千立方メートルが必要として水源確保の要望があり、現状の諸課題の解決を前提としまして、海南市が大滝ダムにダム使用権を確保することで海南市及び関係機関との協議を進めているところでございます。今後とも、関係部局と連携し、取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 水質環境のうち、一点目の地下水、井戸水の環境基準についてでございますが、県においては、平成十二年度に環境基準の設定されている二十五物質について、県下百地点の調査を実施いたしました。その結果、硝酸・亜硝酸性窒素が五地点で環境基準を超過しておりましたが、その他の物質につきましては環境基準を満足しておりました。今回の調査において環境基準を超過した井戸所有者に対しては飲用しないよう指導するとともに、また汚染の広がりを把握するため、周辺の状況調査及び地下水調査を実施しております。
 なお、環境省が取りまとめました平成十一年度における全国の概況調査においては、環境基準超過率は約五・一%で、本県も同程度であります。また濃度につきましても、全国的に見まして平均水準であると認識いたしております。今後とも、関係部局と連携を図りながら、効果的な対応を検討してまいりたいと考えてございます。
 次に上水道、簡易水道の水質基準でございますが、上水道、簡易水道の水質維持につきましては、水道法に基づき定期的に水質検査を実施しており、県内の全施設において水質基準を満たしております。しかしながら、議員ご指摘のとおり、硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の検査の結果、生涯にわたって連続的に摂取をしても人の健康に影響が生じない安全性を十分考慮した水質基準値であります十ミリグラム・パー・リッターの限度に近い施設もございます。これらの施設を含め水質監視を強化し、汚染の発生源対策にもかかわらず、数値の増加傾向が続くものや減少の兆候が見られないような水源については、水源地の変更も含め改善策を講じるよう指導してまいりたいと考えてございます。
 次に安全でおいしい水づくりについてでございますが、水道水の安全性につきましては、水道法に基づき各水道事業体において定期的に水質検査を行っております。
 なお、安全でおいしい質の高い水道水を供給するため、水質基準のよりレベルの高い目標値として、においを感じる臭気強度やカルキ臭さを示す残留塩素など十三項目の快適水質項目が示されております。安全でおいしい水道水への関心が高まる中、浄化施設の整備や水質のチェックについての強化を図るとともに、飲んでおいしいと感じられる水道水の供給に努めるよう、県下各水道事業体を指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 知事公室長小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) 国際交流予算の増額と串本町とトルコとの国際交流支援についてお答えを申し上げます。
 議員ご指摘のとおり、国際交流は継続していくことが重要であると考えております。財政状況厳しい中ではありますが、財源の確保に知恵を絞り、交流をさらに深めていけるように努めてまいります。
 また串本町とトルコの交流でありますが、トルコ大使が我が国に新たに赴任されると、まず串本町にあいさつに見えられるなど、全国的にも有名な、市町村のレベルを超えた交流をしていただいております。ただ、地方レベルでの国際交流はその自治体のできる範囲内でという国の考え方もあり、県の財政状況を考えますと、国際交流に関する新たな補助金の創設は困難であります。しかし、姉妹交流活動をしている県内十市町と連携をとりながら、イベントへの助成など従来の施策に加え、ソフト面で県としてできるだけの支援をしていきたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 企業局長増田充孝君。
  〔増田充孝君、登壇〕
○企業局長(増田充孝君) 紀の川工業用水の海南市への移管のうち、移管がおくれている理由についてでございます。
 紀の川第一工業用水道施設の海南市への移管につきましては、従前より申し入れを行ってきたところでございます。送水管の大部分が和歌山市域に埋没されていることや、改良工事等が必要であるため、海南市と協議を重ね、現在、基本合意案の細部調整を行っている段階に進展してきております。今後とも精力的に協議を行い、早期に移管できるよう努めてまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 この際、申し上げます。所定の時間の六十分を過ぎておりますので、再質問される場合、簡潔にお願いします。
 四十一番江上柳助君。
○江上柳助君 ただいま、知事並びに副知事、そして関係部長から、極めて前向きのご答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。
 特に景気・雇用対策で、来春の高卒者の就職状況が非常に悪い。やはり、希望を持った未来を担う若者が就職できるように関係方面に折衝していただき、また合同の就職面接会等も設けて、ひとつ就職できるようにお取り計らいいただきたいと思います。これは要望でございます。
 それから県産品の活用の促進につきましては、これも前向きのご答弁をいただきましたが、これは先ほども申し上げましたが、本当に画期的なことだと思いますので、ぜひ成功させていただきたいなと思います。例えば、間伐材を使う。駅のホームとかいろんな用途があるようですけれども、三重県とか岐阜県にお願いに行きますと、三重県、岐阜県の間伐材を使ってくださいと、こうなるわけです。そうなると、知事がかねがね主張されます緑の公共事業という視点からいきましても、やはり和歌山県内の間伐材を積極的に活用してもらいたいなと、このように思うんです。
 それから、ベンチャーの方、大変いい品物をつくっています。県内シェアが三割、全国七割ということではいかがかなと思うんです。ですから、和歌山県でつくったものを全国に発信し、全世界へ発信できるような取り組みをお願いしたいと思います。そのことが、ひいては税収の確保にもつながりますし、雇用の拡大にもつながります。
 それから、今回、水質の問題をやりましたけれども、人間の体の六〇%が水分でありますし、何といっても人間の飲む水は大事であります。知事は、緑の公共事業でCO2という視点もお持ちなんですね。これも非常に大事なことですけれども、もう一つ水源涵養という視点。これは知事は、「清流の環境保全」というふうな表現をされていますけれども。やはり、杉とかヒノキが立ち茂りますと、光が当たらないものですから、その表土が腐食していくという状態で、そこで雨が降ると土の表面が全部流れてしまう。ミネラル分も全部飛んでしまいまして、水がよくならない。ミネラルが少なくなります。そういうことですから、森林を植林するときには考えておられますけれども、背の高いものと低いもの、さらには落葉樹もしっかり植えていただきたい、このように思います。
 いずれにしましても、安全でおいしい水づくり、この視点を今後県行政の中でひとつ持っていただきたい。ともすれば環境基準大丈夫かな、そういう検査とか、しっかり頑張っていただいております。県民が望む安全でおいしい水をつくることに心がけていただきたい。水をやりましたのは、決して和歌山の水はよくない、淀川の水と余り変わらない。例えば、紀の川の船戸地域では環境基準を超えています。BODが環境基準を超えて、本当に溶存酸素が少ないという状況になっておりますから、こういう視点を持って、またいずれ次の機会には河川の環境の整備と保全ということも議論したいと思います。
 以上、要望にさせていただきます。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 三十七番村岡キミ子君。
  〔村岡キミ子君、登壇〕(拍手)
○村岡キミ子君 おはようございます。
 お許しをいただきましたので、通告に従ってご質問を申し上げてまいります。
 最初に、医療問題についてお伺いするものです。
 リストラ、倒産などによって、失業者はついに史上最悪の三百五十七万人。失業率も五・四%。仕事につきたいがとても無理だと求職活動をあきらめる人も含めると、その数は七百八十万人に及んでいると言われております。潜在失業率一〇%を超えるという深刻な事態の中、労働者の健康破壊も負担増によって一層悪化するのではないかと心配をいたします。
 政府・与党は、十一月二十九日、医療制度改革大綱をまとめて次の通常国会に上程するとしています。その内容を見てみますと、サラリーマンや公務員など労働者本人の患者負担を現行二割から三割に引き上げ、毎月の保険料も値上げをする、そして高齢者医療の対象を現行の七十歳以上から七十五歳以上におくらせるとした、あらゆる階層、年代に痛みを押しつける、極めてひどい改革案であります。実施時期は二〇〇三年としておりますけれども、サラリーマン本人負担については必要なときに引き上げるとしております。しかし、小泉首相は二〇〇三年中に実施をする意向を明らかにしています。また、七十歳から七十四歳の高齢者の負担は一割負担となり、一定以上の所得のある人は二割負担となります。わずかに改善が見られたところですが、負担増になることにはいささかも変わりはないという状況であります。命のさたも金次第の事態を招き、将来不安に一層拍車がかかるのではないでしょうか。
 こうした政府・与党の改悪案には、多くの国民が今、強い怒りを持って署名行動、アンケート、集会、学習会、シンポジウムなどを開き、大きな反対運動が広がってまいりました。中でも日本医師会や開業医の過半数を超える保険医が加入している全国保険医団体連合会などは、病人は早く死ねというような中身には黙っていられないと、並々ならぬ決意で運動を展開しておられますし、それに医療関係者、また労働組合の皆さん方も共同した闘いに発展をしています。国の社会保障審議会の医療保険部会でも、さらなる患者負担は認められないと、厚生労働省に反対意見書を出しているのも極めて特徴的なことであります。その改悪ぶりがわかるのではないでしょうか。この改悪案で問題なのは、最初から医療費の財源を分担することに国は責任を放棄しているということです。患者や保険料を払う国民にだけ痛みを押しつけるのは間違っています。
 ご存じのように、九六年、健康保険本人負担が一割から二割に引き上げられたときから現役時代の受診は減少を続けています。旧厚生省国民生活調査では、自覚症状を訴えている人、いわゆる有訴率は年々ふえていますが、実際に診察を受けて通院している人は、この二割になった九七年、九八年ではがくんと下がっています。そして、我慢率と言われる我慢している人たちはこれまで一%でしたが、九八年には三〇%に増加している。すなわち、負担増によって病院から現役時代が遠くなっているということです。病院にかかりたいけれども、かかれないという現象がひどくなっているということであります。このことからも、負担増による受診抑制がずっと続いている状況にあります。
 この改悪案が施行されたら一体どうなるのでしょうか。具体例を、医療関係者らの話を伺ってきたところです。二つほどの事例をお話しさせていただきます。
 出血性胃潰瘍の男性の方です。この方は、会社を経営していらっしゃいます。人間ドックで胃潰瘍が発見されました。通院開始をしたものの、途中で中断しています。その後、吐血、血便が続き、仕事に行けなくなり、病院へ即入院する事態になりました。そして、病院で毎日点滴を続け、少し回復すると、五日目から会社へ出勤をするために外出いたしました。ところがその方は、十五日目には、私がいないと会社が回らないといって退院していきました。十五日間の費用は八万九千四百八十円。これが三割になりますと、一・五倍の十三万四千二百二十円。何と、四万円ふえることになります。高額療養費の上限額六万三千六百円から今度は七万二千円に引き上げられますので、これを返金してもらうにも額はわずかになります。
 事例の二つ目、糖尿病の男性です。四十二歳。インシュリン療法を八年間続けていらっしゃいます。一日三回のインシュリン注射。建設関係の現場監督者です。この方は、不況のために七年間昇給はありません。数年賃金カットもあって、生活は苦しくなっています。家族は、子供三人に奥さんと五人です。月一回の外来診察。二割負担で一回五千円程度です。そして、インシュリンの薬代四千円程度が今まで要りました。この方が一年間支払った金額は、診察に要するお金が七万九千三百四十円。そして、今、院外処方になっておりますので、インシュリン代としても薬局で四万五千五十円。合わせて十二万四千三百九十円になりました。これが三割負担になると、何と十八万六千五百八十五円、年間六万二千百九十五円ふえることになります。
 また最近では、二十歳代の青年がリストラに遭って保険証がなくなりました。体に変調があっても、医者に診てもらえませんでした。結局、倒れて救急車で運ばれる。こういう事例もふえてきつつあるそうです。リストラの影響がここまで及んでいることに、新たな怒りを私は感ずるものです。
 では、高齢者はどうなのでしょうか。ことしの年明けから一割負担が導入されたばかりです。前の森総理大臣は、二〇〇〇年、昨年の十一月三十日の国会の中で、こうした導入は避けるべきだという質問に対して、「今回の改正は、負担額の上限を設けるなどいたしまして、きめ細やかな配慮を行っています」と答弁をされました。ところが、その舌の先も乾かぬうちに上限をなくして引き上げを行うと言うのですから、あきれてしまいます。
 七十歳以上では、毎月平均二千二百二十三円、上位所得者では二割で一万四百五十六円。在宅療養の場合、慢性呼吸不全の女性九十歳の場合を見てみますと、月二回の往診です。今までは、定額千六百円でした。一割定率となりますと、これが何と一万二千三百二十円と、七・七倍に膨れ上がります。
 また、胃がんの末期で自宅療養中の男性の場合ですが、三千二百円。これが、今までの自宅療養中の治療費です。これが、四万二百円になります。何と、十二・六倍になります。それに介護保険によるサービスを受ければ多額の費用が必要となり、少ない年金では安心して医療も介護も受けられなくなるのは火を見るより明らかではないでしょうか。今、お年寄りが「死にたいよ」と言い、それに対して「本当に死にたいのか」、「いや、本当は長生きしたいんや」、こんな会話があります。こんな会話をしなくてもいい社会保障が求められるのではないでしょうか。
 このような負担増に苦しんでいるとき、小泉首相は、「何でもない人が病院に殺到しちゃって、本当に必要な治療が受けにくい面もある」と国会で答弁しています。これでは、国民の痛みが全くわかっていないのではないでしょうか。景気が悪化し、失業やリストラであらしが吹いている今のような時期にこそ社会保障制度の役割は重大です。それには、財政的にも強化しなければならないはずです。改悪は直ちに撤回をすべきだと私は思います。
 経済的理由から、治療中断や自覚症状がありながら病院に行けない人、また国民健康保険料を滞納して資格証明書になっている人、短期保険証の期限の切れた人など実態はさまざまですが、深刻そのものです。市町村においても、滞納者について実態に応じた納付相談は当然でありますが、今後、滞納者は確実に増加すると思います。したがって、資格証明書の発行もふえることになりますが、資格証明書では安心して病院に行くことができません。このことを行政として改善しない限り、本当の保険制度はあり得ないのではないでしょうか。
 これまで、具体例をいろいろと申し上げてまいりました。何といっても、国民は健康でありたい、これが願いです。そのためには、いつでも、どこでも安心して医者に診てもらえること、そして一日も早くその病気の早期発見、早期治療ができるように、これが医療の基本だと私は思うのです。
 そこで、お尋ねをいたします。
 一、相次ぐ医療改悪で患者負担増は限界に来ています。県下の患者や県民の現状をどのように認識しておられるのでしょうか。
 二、国保料の滞納者が、リストラ、倒産、失業などで増加しているのはご存じのとおりです。医者にかかりたくても資格証明書のため、安心して診てもらえません。実態に合った納付相談が最も重要です。そして、保険証の取り上げはやめられたい、そのような法改正を求めたいと思います。
 三、国に対して、今の実態から医療保険改正を直ちにやめるよう求めたいと強く訴えるものですが、いかがでしょう。心のこもった関係部長の答弁を求めるものです。
 次に、男女共同参画推進条例制定についてお尋ねをいたします。
 男女共同参画社会基本法は、一九七五年の国際婦人年以来の男女平等を求める世界と日本の運動の流れの中でつくられました。この四半世紀、「平等」「開発」「平和」を共通テーマに、世界でも、日本でも女性たちのさまざまな運動が広がってきたところです。七九年の国連、女性差別撤廃条約の採択、これは四回にわたる世界女性会議や昨年の国連特別総会、女性二〇〇〇年会議の開催によって、男女平等、女性の地位向上は各国政府の共通課題として取り組まれるようになってまいりました。日本でも、七五年の第一回世界女性会議で採択された世界行動計画を受けて、七七年に国内行動計画を策定後、数度にわたる改定とともに、八五年に男女雇用機会均等法の制定を行い、女性差別撤廃条約が批准されてきたところです。このような国際的な流れの中で、男女平等を進めていく基本法が一九九九年六月制定、施行され、昨年の十二月、基本法に基づく基本計画が策定されたところです。政府は、基本法の前文に、男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国の社会を決定する最重要課題と位置づけて、積極的姿勢を表明しているところであります。特に、基本法が国とともに都道府県に基本計画策定の義務を、市町村には努力義務を課しているところです。
 今、自治体の条例づくりが活発になっており、既に北海道を初め東京、鳥取など、十六都道府県で条例が制定されています。本県においても、来年二月の定例議会に提案すべく作業が進められていると聞いております。とりわけ基本計画は、二〇一〇年までの基本方向と二〇〇五年までの具体的施策の実施計画を求めているところです。
 女性は、職場、家庭、地域でも、農村でも大きな役割を担い、力を発揮しています。しかし、女性の賃金は男性の半分にすぎません。子育てや介護の責任も、女性に大きな負担がのしかかっています。日本国憲法には、男女平等がうたわれております。社会のあらゆる場で男女が平等とは言えない現状が続いているのではないでしょうか。
 年々女性労働者の比率が大きくなり、四割を超えました。農村や商工自営業者においても、働き手の主体は女性たちになっています。働く女性労働者は、昇進、昇格でも、賃金でも差別的扱いは放置され、女子学生に対するさまざまな採用差別もありました。女性パート労働者の無権利状態も横行している状況にあります。結婚退職制なども少なくなったとはいえ、強要する企業もあります。同期に採用され、仕事の内容も男性と同じに働いているのに、どうして昇格、昇進でこんなに差別されるのかと、やむにやまれず是正を求めて裁判に訴えている女性たちも後を絶たない状況にあります。人口の半数を占める女性の力が正当に評価されずに生かされないのでは二十一世紀の日本社会の発展は望めない、私はこのように思います。
 これまで、育児・介護休業法の制定や配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)が成立・施行されています。いずれも、実効あるものにするために具体的な計画を盛り込み、制度の充実を望むところです。条例や基本計画をつくる上で大事なことは、その過程にどれどけ多くの女性たちの実態と要求をしっかりつかみ、反映させるかどうかだと私は思うのです。
 ここに、県男女共同参画推進条例論点整理集をいただいているところです。この十月にまとめられたものでありますが、条例に盛り込むべきと考えられる事柄と県民から寄せられた意見が紹介され、さらに今後県民の意見を聞きながら条例案を作成していくものとして出されております。多くの女性の声を聞いてほしいとの思いから、私も県地評女性部や商工業者団体の女性部の皆さんとの懇談を担当課にお願いをいたしまして、さまざまな願いや思いを話し合っていただきました。参加された皆さんからは、初めて行政の方に自分たちの思いを訴えることができたと、大変好評でありました。
 そこで、関係部長にお尋ねをするわけですが、条例に反映させる県民の声をどのような方法で聴取されてこられたのでしょうか。特に、農業や自営業に携わる女性の実態を把握し、その実態に基づく施策を進めることが大事だと考えるものですが、いかがですか。
 そして、県民からの相談窓口は、男女共生社会推進センター一カ所に限定せず、身近なところで相談できるように、本県の地理的条件からも専門職の配置を求めるものですが、いかがですか。
 審議会委員についてでございます。少なくとも五人は公募にすべきではないでしょうか。そして、男女同数の委員による委員会を望むものです。いかがですか。
 基本法の中に、事業主、企業の責務が明記されておりません。これは問題です。働く女性の昇進、昇格、賃金格差を放置することはできない問題であります。ぜひ条例に盛り込んでいただきたい、このことを強く求めるものでありますが、関係部長の答弁を求めたいと思います。
 中小企業対策についてお尋ねをいたします。
 九月議会において鶴田至弘議員が、緊急雇用経済対策会議を県下の情勢にふさわしく機構を充実させ、活動内容も政府政策の消化だけにとどまらず県民の切実な要望に迅速にこたえられるよう活性化させることが必要だと求めたことに対しまして、商工労働部長は「頑張ります」との答弁をされておられました。その後、経済雇用の情勢は日々深刻さを増してきているところでありますが、当該部はいかなる対策をこの間されてきたのでしょうか。体制はどう強化したのか。どのような課題を議論され、どのような方向を出されたのか、具体的にお示しいただきたい。
 そして、不況が一段と深刻さを増しています。さらに、不良債権の早期処理というような強引な措置が進められようとしています。中小企業にとっては、今まで経験したことのない厳しい事態を迎えています。そのような状況下、中小企業を守るための金融対策が一段と強化されることが求められるところであります。以下のような金融対策面での措置を求めるものであります。
 一、昨年度実施された金融安定化特別保障制度、通称・貸し渋り対策資金ですが、県下でも一万件を超えて適用されました。多くの中小企業から歓迎されたところでありますが、この制度はことし三月で打ち切られてしまいました。そして、早くも返済期間に入り、新たな課題を抱えるに至っております。ついては、この制度を再開し、新規貸し付けを含め、返済猶予や借りかえなどの措置ができる便宜を図れるよう国に要望するとともに、県としてもしかるべき制度を設けていただきたいと思うのです。
 二、ベンチャー支援資金は、残念ながら過去三年は十件に満たない程度で、十分活用されていない状況にあります。和歌山県の産業界にベンチャーに余り大きな期待をするということ自体、現実的ではないようにも思いますが、新たな起業家の育成と支援にはそれなりの努力が求められるところであり、この制度自体は評価するものですが、現実は厳しい状況です。一方、既存の企業家の中には、その企業の中で技術革新を行い、新しい商品開発あるいは技術開発を行うに当たって、いわば既存企業内でのベンチャーとも言える事業にあっても、この資金が適用されることを望む方々も多くあります。ベンチャー融資の適用範囲をこのようなところまで拡大してはいかがなものでしょうか。
 三、資金を求める中小企業にあっては制度融資が極めて貴重な役割を果たしているところでありますが、それにも第三者保証が求められます。経済情勢が厳しいだけに、この保証人を立てること自体が困難なためにせっかくの制度融資を活用できないということになり、破綻を来すことも起こっています。保証協会も代位弁済を抱えて厳しい状況であるでしょうが、経済状況が異常に厳しいときだけに、中小零細企業の立場に立った思い切った措置が必要だと思うのです。昨年来、第三者保証を立てる条件が相当緩和されてまいりましたが、まだまだ依然として保証人を要求される制度、あるいはケースがあります。経営内容が健全に進むという展望を持てるならば、これら制度融資にあっては第三者保証なしでも貸し付けられるよう一層条件を緩和する必要があるのではないでしょうか。
 四、ペイオフに関連して。二〇〇二年度よりペイオフが実施されますが、幾つかの自治体で制度融資のための預託を廃止して利子補給の方式に切りかえようとしているところが出てまいりました。制度融資の果たしてきた役割は中小零細企業にとっては極めて大きく、もしこの制度がなくなるようなことがあれば、県下の中小企業の死活問題ともなってまいります。ついては、ペイオフ実施に当たっても、この預託制度を継続されることを求めたいと思います。同時に、東京、大阪など八大都道府県が国に対して、ペイオフ実施に当たっても預託金の性格を考え、その全額保護を求めたと伝えられております。本県もしかるべき要望を行われたいと望むものですが、いかがなものでしょうか。
 これらについて、関係部長のご答弁をお願いいたします。
 次に、住友金属の人減らし・合理化について質問を申し上げたいと思います。
 住友金属は、この二年ほどの間に相次いで合理化を打ち出し、実行してきたところです。定年前の退職勧奨、出向者の解雇と出向先への転籍、下請単価の切り下げなどを内容とするものです。労働者の雇用と暮らし、地域経済に対して、これまで以上に犠牲を強いるものと言わざるを得ません。とりわけ、労働者の意向はお構いなしに、法からも逸脱して、しゃにむに進められようとしていること、多くの労働者と家族を不安と苦悩に陥れていることを、私は見過ごすわけにはまいりません。
 リストラのあらしは、住友金属に限ったことではありません。和歌山県地評が、ことし三月から専任の相談員を置いて労働相談を行っています。十一月末までに百四十件の相談がありました。そのうち三割強が解雇と退職強要に関するものとお聞きをいたしております。
 一例を挙げますと、あるサービス業の会社では、業績が悪くなってきたからと賃金切り下げの同意を迫られ、嫌なら自己都合として退職してくれと強要されているということです。解雇に関する相談は、十一月一カ月だけでそれまでの一カ月平均の三倍に上るといいますから、深刻になる一方の雇用情勢を見る思いです。昨日、商工労働部長は、本県の失業率は近畿ブロックの六・五%を上回るのではないかと言われておりました。そうした中での、住友金属の人減らしと労働条件の切り下げです。和歌山の雇用情勢をますます悪化させることも懸念されるところであります。
 そこで、住友金属の定年前退職勧奨と出向者の解雇、転籍の問題に関連して質問を申し上げます。
 定年前退職勧奨は、五十九歳の労働者千二百人を対象に、昨年七月から進めておられるものです。既に九百八十人を超える労働者がこれに応じたと言われています。これは、定年は六十歳を下回ることはできないと定めている高齢者雇用安定法にも違反していると思うのです。会社は、自発的な希望退職だけでは余剰人員を解消するために必要な規模の退職者を募ることは到底困難だとして、退職を断る労働者に何度も退職を迫る人権無視の面接を強要しております。経営状況が悪くなれば退職金がなくなることもあり得るなどとおどされるケースもあるという訴えを聞いております。労働者からは、高炉を立ち上げるのに苦労し、会社のために懸命に働いてきた、定年まで働けると信じて生活設計を立ててきたのに裏切られた思いだ、こういった声が聞かれます。退職勧奨は来年三月まで続けられるということですから、行政の対応は緊急の問題となっていると思うのです。
 出向者の転籍は、労働者にとってはさらに深刻です。入社して間もない二十歳代の人も含めて出向者全員を解雇し、現在の六割から八割の賃金で出向先に転籍させるという計画に対し、不安と怒りの声が上がっています。出向先への転籍を労働者が何度断っても、応じなければ戻る職場はない、ボーナスなしで年収二百万円の職場しかないぞなどと迫られているのが現状です。そんな仕打ちに、住友金属を見限って退職する労働者も少なくないと言われています。転籍は労働者の同意がなければできないことは、労働基準法や民法に照らせば明らかです。ですから、会社は面接で同意を求めているわけですが、これが執拗に行われているということです。
 こうした問題を、先月二十一日、我が党の小川和秋衆議院議員が厚生労働委員会で質問いたしました。労働基準局長は、本人の自由な決定を妨げる一定限度を超えた転籍や退職の勧奨は原則的に違法であるという見解を示したところです。違法行為であるだけに、会社が転籍を撤回せざるを得ないケースもあります。ある四十一歳の労働者のAさんの場合、今の六〇%の賃金での転籍を言われました。しばらくは激変の緩和措置で加算されると説明をされましたが、小さな子供と住宅ローンを抱えているAさんは転職を考えたと言います。そんなとき、転籍は本人の同意が必要なことなどを我が党が発行するビラで知ったAさんは、繰り返し転籍強要の面接に呼び出されながらも転籍拒否を貫いたのです。そして、会社は転籍強要を撤回いたしました。
 知事に伺います。
 県は、こうした合理化の実態、労働者、家族の苦悩をご承知でしょうか。景気・雇用対策本部でヒアリングを行うなど、実態を把握すべきではないでしょうか。また、こうした人減らし・合理化については、事前に県との協議を義務づける条例制定などが求められると思うのですが、いかがでしょう。
 住友金属は、大企業としての社会的責任を果たす、これは当然のことです。今、これはひとり我が党だけの主張ではありません。労働者、地域社会の多数の声ではないでしょうか。県自身も、事あるごとに言明をされてきたところです。県民は、住友金属を迎え、育ててまいりました。住友金属を含む臨海工業地帯を整備するため、埋め立て、港などに、国、県、和歌山市などで一九五八年から六七年の十年間で合わせて三千億円という多額の血税が注がれたんです。その後、企業も地域もともに発展をという旗印で企業活動が行われてきたはずです。そういった意味からも、今日の乱暴な合理化は重大な問題だと考えるものです。
 知事、労働者の暮らしと地域経済に多大な影響を与える今のやり方を中止されるよう会社に求められたらいかがですか。そして、国にも必要な指導を求めるべきではないでしょうか。明確な決意と実行を求めるものです。知事のご答弁を期待いたします。
 第一回の質問を終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの村岡キミ子君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの住友金属のリストラ・合理化問題でございます。
 ただいま、非常に厳しい状況のお話を聞かせていただきました。我が国の製造業は、言うまでもなく非常に厳しい状況の中に置かれておりまして、これは製鉄業もその例外ではなく、いろいろな形での合理化を行っているところでございます。
 住金の件につきましては、転籍、退職勧奨が非常に大規模に行われているということでございますが、これは規模が相当大きくて、そしてまた影響も大きいため、県といたしましても、随時状況の報告を求めるとともに、景気・雇用対策本部においても実態把握に努めているところでございます。
 こういうふうな転籍とか退職の勧奨というのは、基本的には企業の判断で労働関係法規を遵守しつつ行われるものでございまして、条例の制定にはなじまないと思いますけれども、非常に厳しい状況があるという中で、県といたしましても十分留意し、必要があれば会社に対してもいろいろな要請をしていくということもやぶさかでないと考えております。また、県が行っておりますいろいろな雇用対策、こういうふうなものにつきましても、主要な企業と連携をとりながら実効性のあるものにしていきたい、このように考えております。
 また、これは今のご質問の中にもあったわけでございますけれども、こういうふうないろいろな企業のとっている措置において法律上問題があれば、当然のことながら労働局等で必要な指導を行っていくと、このように考えております。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 医療保険問題のうち、まず現状認識と国に対する意見等についてお答えをいたします。
 急速な高齢化、医療技術の進歩等により、老人医療費を初めとする医療費が増大を続け、医療保険制度は極めて厳しい状況にございます。こうしたことから、国では、保険料、患者負担、公費という限られた財源の中で将来とも良質な医療が確保できるよう医療保険制度の改革に取り組んでおりまして、議員ご案内のとおり、政府・与党社会保障改革協議会は、先月の十一月二十九日、医療制度改革大綱をまとめたところでございます。今後、この大綱に沿って、年末までに政府案が決定され、次期通常国会において持続可能で安定的な制度の構築といった観点から十分な議論がなされるものと考えてございます。県民生活に直結する重要な問題である等との認識のもと、県といたしましては、特に低所得者への配慮、地方財政への配慮が十分なされるよう、再三にわたり国に対し要望を行っているところでございます。
 次に、国保滞納者等についてでございますが、国保料一年以上の滞納者につきましては、被保険者間の負担の公平を図るといった観点から、平成十二年度より被保険者証の返還と資格証明書の交付が義務的になりました。しかしながら、資格証明書の交付に先立っては、十分な納付相談の機会を確保するとともに、特別の事情の有無を十分把握し対応するよう指導をしているところでございます。今後とも、安易な取り扱いにならないよう十分市町村を指導してまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 男女共同参画推進条例の基本的なあり方につきましては、男女共生社会づくり協議会におきまして、県民意見を参考に継続的に議論をいただき、その結果を、過日、知事に提言書として提出いただいたところでございます。私どもといたしましても、提言の趣旨を最大限尊重しながら、ただいま具体的な条例案文づくりを行っているところでございます。
 まず一点目の、県民の声をどのような方法で聴取したかについてでございますが、本年六月下旬より第一段階として、県内四カ所の会場において公聴会を開催し、県民の皆様から多くのご意見を聞かせていただきました。また、十月中旬にはこれらのご意見を取りまとめた論点整理集を作成し、再度、県内四カ所で公聴会を開催しております。並行して、市町村、商工関係団体、農林水産関係団体等への意見照会や「県民の友」等による広報を通じて、郵便、ファクス、電子メールでも意見募集を行い、延べ三百人以上の方々から生のご意見をちょうだいし、県民の声の把握に努めてきたところでございます。
 議員ご指摘のとおり、条例や基本計画の策定は社会の実態に即したものであることが必要です。条例に基づき、具体的施策を取りまとめる基本計画づくりにおいても、各方面の県民の皆様のご意見を積極的にちょうだいしながら、関係部局とも協議しつつ、実効性ある計画づくりを目指したいと考えております。
 次に相談体制についてでございますが、同協議会からも相談員の設置についての提言がなされており、この趣旨をできる限り尊重してまいりたいと考えているところでございます。あわせて、各振興局においても、男女共生の観点から相談に対応できるような体制づくりも検討してまいりたいと考えます。また、企業や事業主の責務についても重要と考えており、条例の中に取り入れてまいりたいと考えております。
 最後に審議会委員の公募制等についてでございますが、幅広い分野から参加いただくことは大変重要であり、委員数の男女同数とあわせ、運用面で検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 中小企業対策について、景気・雇用対策本部の取り組み経過でございます。
 厳しい景気・雇用情勢を踏まえ、緊急に景気・雇用対策を効果的かつ円滑に推進するため、十月十七日に和歌山県景気・雇用対策本部幹事会を開催し、企業等へのヒアリング調査を行うとともに、各部局の効果的な施策を取りまとめた上、十一月二十七日に和歌山県景気・雇用対策本部を開催し、緊急雇用創出、再就職対策と失業者の生活安定、並びに緊急経済対策等の施策を講じていくことを決定いたしました。これを受け、今議会におきまして、雇用、中小企業対策関連として総額五十四億五千万円の補正予算を提案するとともに、公共事業における土木・建築資材等の県産品活用促進行動を決定し、来月中の制度実施を目指しております。今後、これらの施策を迅速に実施するとともに、平成十四年度当初予算編成におきましても、引き続き効果的な景気・雇用対策を積極的に検討してまいります。
 次に、金融安定化特別保証制度についてでございます。
 中小企業金融安定化特別保証制度は、金融環境の大きな変化の中、中小企業への円滑な資金供給を行うための緊急対策として、平成十年十月より本年三月末まで実施されました臨時異例の措置でございます。多くの中小企業者が本制度を活用され、金融の円滑化に大きな成果があったものと考えております。現在、条件変更等の弾力的な取り扱いは実施されておりますが、国では、制度の再開や返済猶予、借りかえ等の制度化は考えていないと聞いております。県といたしましては、依然として厳しい県内景気の状況を踏まえ、本年十月より不況対策特別資金の借りかえ制度を創設しており、また今議会には、景気・雇用対策本部で決定いたしました緊急経済対策として、平成十三年度、十四年度に返済期限の到来する一部の運転資金について、最大二年間の期間延長を行う措置等についてお願いしているところであります。今後とも、できる限り制度融資の充実に努めてまいりたいと考えてございます。
 ベンチャー支援資金の拡充についてでございます。
 創造的な事業活動を行う中小企業者等が、県の認定を受けた事業計画に基づき、新技術、新商品を開発しようとするときには、補助金や低利の融資等で支援を行っており、現在まで六十一件の計画を認定しております。県のベンチャー企業支援資金は、平成八年度に創設し、総額六十億円の融資枠に対し、四十九件、約十三億円の融資を行ったところでございます。本資金は、既存企業が商品開発や技術開発を行う場合にも、その事業計画が知事の認定を受けた場合には融資対象となります。今後とも、制度の周知を図るなど、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、制度融資の保証人なしの条件緩和についてでございます。
 県の制度融資では、小規模事業者を対象とした特別小口融資資金制度や新規開業支援資金B型制度で、無担保かつ無保証人の制度を既に実施しているところであり、本制度の融資限度額の引き上げについても今議会にお願いをしているところであります。また、信用保証協会におきましても、保証人の取り扱いについて現在弾力的な取り扱いを行っているところであります。今後とも、制度融資の円滑な運用に積極的に取り組んでまいります。
 ペイオフについてでございます。
 ペイオフ凍結解除後の制度融資の預託金につきましては、預託制度や利子補給方式等、種々の方策について検討を行っているところでありますが、さまざまな問題点もあり、現在のところ結論を出すに至っておりません。県の制度融資は、中小企業への円滑な資金供給を図り、経営の安定と振興を図るための制度であり、引き続き安全で効率的な運用ができるよう、他府県の動向や県ペイオフ対策研究会の情報を得ながら検討してまいりたいと考えております。なお、国への要望につきましては、他府県と連携し、全国知事会で同趣旨の要望を行ったところであります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 三十七番村岡キミ子君。
○村岡キミ子君 医療保険問題についてですけれども、今、小泉さんは一貫して、「痛みに耐えれば、あしたは楽になる」と、こういう言葉をずっと言ってこられているんですけれども、本当にそうなのかというのは大変私は疑問に思う状況です。今、国民の暮らしも、失業、リストラ、倒産、そういった状況のもとで本当に大変な事態になっている。これがいつよくなるというのは全くわからないわけですから、痛みだけが強調されるというのはいかがなものかというふうに私は非常に危惧をいたします。
 そこで、当局が「良質な医療を確保するために」とか、先ほど答弁されていたんですけれども、では医療法の改悪がされ、医療保険制度が改悪されると、本当に良質な医療が今以上に確保できるかどうかということを私は問いたいと思うんです。良質な医療というのをどういうレベルでおっしゃっているのかということをぜひお聞きしたいと思いますが、部長の答弁を求めたいと思います。
 私たちは、今度の保険が改悪をされますと、本当に悲惨な状況が数多く出てくるだろうと思っています。ですから、今その負担を引き上げるのではなくて、現状を維持するということも含めて、国の責任が明確に出てきていないというふうに思います。
 特に、これまで改悪されるたびにどれだけ国が医療費への国庫負担を削減してきたかということを見てみたいと思うんです。老人医療費については有料化が進められてまいりましたので、それだけに個人負担は多くなっているんですけれども、八三年に有料化が始まったわけですが、このときに国の負担は四四・九%でした。ところが、この十三年度の予算で見てみますと、三一・九%、約一三%がもう既に削られてきているということです。それから、現役世代の方々、いわゆる中小企業に働いている政府管掌の健保本人を見てみますと、九四年、一六・四%から一三%、三・四%削減をされてまいりました。国保はどうかと言いますと、八四年、国の負担率が四五%だったのが三八・五%、六・五%が減らされているわけです。だから、今の医療負担を引き上げないで済むというのは、国が責任を持っていた負担率へ戻すということがまず第一だと思うのですね。
 今、健康保険なんかでは、老人保険に対しての拠出金があって非常に大変だという話になっているわけですけれども、これをもとに戻せば健保の皆さん方の拠出金というものもうんと軽減されてくると思うんですね。そういう点では、健保自体が元気が出てくるというふうに思うわけです。だから、こうした国の責任、いわゆる国が憲法上にある国民の命と健康を守り、増進させるというところに基点が置かれていないというふうに私は思います。そのこと自体が大きな問題だと思います。
 そういう点で、ぜひ今の制度改悪、改悪案を取り消してもらいたいということは、知事の方でもあるいは担当部の方でも切に国に申し上げていただきたいなとお願いをしておきたいと思います。
 患者さんたちの実態というのは、非常に大変な事態になっているわけです。患者さんが外来に行くことをちゅうちょすると。国民健康保険もないし、資格証明書では全額払わなければなりませんから、やっぱりやめておこうと。胃のあたりがおかしいんだけれども、脈がすごく乱れているんだけれども、どうも風邪を引いたような気がするんだけれどもと言いながら、もうちょっと、もうちょっとと言って、そしていざ病院に行ったときにはもう重症化してしまっていると。そうなりますと、医療費というものは重症化の場合は多額の診療報酬を使います。そういう点から見れば、医療費そのものがもっとふえることになるわけですから、可能な限り早い時期に診察を受けて早い時期に治療をすると、こういうのが基本だと思いますので、そういう点でも今の県下の大変な事態を改善するためには、この保険制度そのものを守るという立場からも、ぜひ国への働きかけを積極的にやっていただけたらありがたいと思います。
 とにかく、今もうこれ以上負担を引き上げられることについては、もう死ねと言うのかという声がお年寄りの中ではあちこちで聞かれます。電話でも、この負担がふえるのは一体どうなるのかという不安の声が私どものところにもたくさん寄せられていますので、そういった不安を解消するために、そもそも国の法律ですけれども、先ほど部長が言われたように、県民生活に直結する重要な問題だと、こういう認識を示されているわけですから、地方自治体、行政が国にどれだけ県民の立場で働きかけるかというのは、この制度をどのようにするかということのかかりになると思いますので、この県民生活に直結する重要な問題というところで、ぜひ国への働きかけ、そして県民の声をもっともっと実態として把握に努めていただきたいと思います。これも要望しておきます。
 以上で、もう時間がありませんので、あとはまたのときにいたしたいと思います。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 医療保険制度の関係でございます。
 先ほどもお答えを申し上げましたが、何と申しましても改革の中心課題は、今後とも持続可能な皆保険制度をいかにつくっていけるか、また構築できるかということにあると思います。
 この問題は国民生活に直結する重要問題でありますので、良質な医療とはとのお話もございましたが、議員ご指摘のような件を含め、さまざまな観点から、当然真剣な議論がなされるものと考えてございます。県といたしましては、低所得者への配慮等、国へ働きかける姿勢は今後とも変わりませんので、ご了解をいただきたいと思います。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──所定の時間が参りましたので、以上で村岡キミ子君の質問が終了いたしました。  これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午後零時六分休憩
     ─────────────────────
  午後一時三分再開
○副議長(堀本隆男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 七番門 三佐博君。
  〔門 三佐博君、登壇〕(拍手)
○門 三佐博君 本日は、議長並びに皆様方のお許しをいただきまして一般質問の機会を与えていただきましたことを大変光栄と、心よりお礼申し上げます。
 木村知事が昨年数多くの県民の皆さんのご信頼を得られて県知事としてご当選されて就任後、私から質問するのが初めてでございますので、よろしく適宜ご答弁いただきたいと思います。
 私は、今回、第一点といたしまして道路の整備と充実について、特に阪和間に通ずる国道四百八十号のトンネルの早期建設促進について、第二点といたしまして和歌山県立医科大学附属病院紀北分院の改築による充実について、第三点といたしまして警察行政について、警察官の増強等、交番・駐在所の充実の問題や妙寺警察署の改築促進について、また警察署協議会の設置状況と実態についてお尋ねいたしたいと考えております。
 木村知事は、昨年の夏、自治省(現総務省)の幹部の職籍があり、大阪府副知事を務められ、将来、省内の重要なポストが約束されているような立派な立場でありましたが、西口勇前知事が健康上の理由によりご勇退されました後の候補者として、以前、本県の総務部長を務められ、数々の実績と人脈を有し、本県内事情に精通されているということで、内外の要路の方々の推挙により、退路を断ち切って敢然と立候補されました。短い選挙期間と大変暑い暑い時期で非常に苦しい選挙戦でしたが、それを見事に戦い抜きまして、県内数多くの方々のご支援により、見事初陣を飾られました。それは、九月三日の夜半でしたね。スピード知事の誕生と責任の重さを痛感され、生涯忘れぬ日となったものと推察いたします。
 月日のたつのは早いもので、あの日からはや一年余りが過ぎました。着任後は、緑の雇用事業や道路予算確保など、あらゆるマスメディアに登場し、和歌山発の重要な発言が目立っている中、中国、韓国、アルゼンチン等の諸外国訪問も行い、文字どおり東奔西走、県民の幸せをいちずに日夜ご活躍いただいていることに敬意を表し、感謝申し上げます。
 また、道路問題の質問の前に一言お礼申し上げます。
 懸案でありました高野口野上線のかつらぎ町星山─天野間のトンネルが先般見事に完成し、開通式が去る十二月四日、知事代理として、きょうは公務で不在でございますが大平出納長が出席されまして、盛大に開催されました。本当にありがとうございました。
 また、花園村民の悲願でした県道花園美里線の梁瀬─長谷宮間の延長約二千メートルの地蔵トンネル建設についても既に発注もされまして、本会議で議案百四十二号の「工事請負契約の締結について」ということで上程されておりますが、いよいよ本格的に着工されることになりました。奥地であり、不便な生活に耐えている花園村、清水町の方々は、紀の川筋に出る時間が大変短縮され、一日も早く無事完成を待ち望んでおります。県土の均衡ある発展を主張されています木村知事の思い入れの一つであると信じ、深く感謝する次第でございます。
 道路の整備と充実の質問に入る前に、今になっては知事も余り思い出したくないかと思いますが、これが木村知事の選挙のときの公約の公報であります。こちらは入会申込書でございます。こちらはパンフレットで、こちらの方は選管発行の選挙公報であります。その中には「二十一世紀のトップランナーへ ゴー・ゴー わかやま創造計画」とあり、いろいろ詳しい政策が出ておりますので、また思い出していただくために。(資料を渡す)
 それでは、道路の整備と充実について質問させていただきます。
 国道四百八十号仮称平トンネル──これは阪和間でございまして、那賀町、かつらぎ町と大阪を直結できるトンネルでございます。先ほど渡しました選挙の公約でも、知事は道路整備と充実を柱に置かれておりまして、知事は、当選後、常に本県の発展についてじょうごの入り口を大きく広くしなければならないと言われておりますが、私も、この知事の考え方に全く同感でございます。このことは、府県間道路をよくし、紀北から紀中、紀南へと発展策を考えているものと思います。
 府県間道路はたくさんございますが、一に第二阪和国道、二に国道三百七十一号、三に一般国道四百八十号、四として主要地方道泉佐野岩出線などであり、それぞれ大阪府のご協力も得ながら改良が進められているところですが、私が今回質問いたしますのは、国道四百八十号の仮称かつらぎ町平トンネルについてであります。
 かつて本議場におきまして同僚佐田議員からも質問があり、これの完成を強く要望されたところでありますが、このトンネル構想につきましては、私は初当選の後の昭和五十二年十二月十六日──大分以前のことでございますが──この本会議場において、当時の仮谷知事に質問と提案をいたしました。そのときの朝日新聞、毎日新聞の県版には、「かつらぎにトンネル」、「知事、トンネル構想示す」などと大きく掲載されて報道されました。全長三千七百メートルに及ぶ長大トンネルであります。しかし、いまだに緒につかず、ここ数年の県予算政府要望重点項目の中に、国道四百八十号の府県間トンネルの国土交通省直轄代行事業の早期採択についてと要望されておりますが、この路線につきましては、トンネルに至るまで、四郷地区において工事用道路を兼ねたバイパス建設について、滝第一トンネルがただいま貫通され、既に滝第二トンネルが着工の運びとなっている上、用地買収の方も相当進んでいることも伺っていますので、この長大トンネルの貫通は、伊都・那賀地方と大阪との人・物・情報の交流が一層深まり、地域発展の原動力になるものと信じております。
 四郷地区はくしガキづくりの里としてただいま発展しつつありますが、大阪方面との交流の歴史も深く、去る十一月二十三日には、数多くの和泉市の方々や町内外の方々が集い伝統の串柿まつりが行われ、木村知事のご出席も賜り、盛大に実施したところでございます。
 この路線の今後の見通しと強い発言力を有す大阪府との協議内容について、知事と土木部長の見解をお尋ねいたしたいと思います。
 次に、四百八十号志賀バイパスの梨子ノ木トンネルの建設促進についてであります。
 この路線は、世界遺産暫定リストに登録されています、高野山と京阪神を直結する重要路線であります。志賀バイパスと梨子ノ木トンネル建設の今後の見通しについてお伺いいたし、建設を推進していただきたく、お願いいたします。
 次に、和歌山県立医科大学病院紀北分院の充実についてであります。
 紀北分院は、和歌山県立医科大学附属病院の大学病院の分院として、今日まで医療、教育、研究機関としての重要な使命を担っていることは言うまでもありません。また、地域住民にとりまして、健康管理、生命の保持のため、県の施設として大変信頼も厚く、なくてはならない病院でございます。
 ここに、平成四年に刊行されました「紀北分院のあゆみ」という二百三十ページ余にわたる通史・展望、沿革、将来の展望、部門誌、思い出編、資料編等から成る貴重な資料がありますので、一部抜粋して紹介させていただきたいと思います。
 「沿革」としての見出しの中に載っておりますことは、「(一) 紀北分院のルーツは組合立病院 紀北分院の敷地および建物の歴史は遠く昭和十三年まで遡ることができる。すなわち、伊都郡購買販売利用連合会が設立した紀北分院が現紀北病院の母体である。紀北病院設立の社会的背景は次の通りである。昭和恐慌の後、紀北地方も農村地帯として例外ではなく疲弊し、生糸の暴落から紀北分院現在地にあった製糸工場も廃業に追いやられた。当時の医療費の増大は農村窮乏に拍車をかけていたので、地域内に設備の良い病院を持つことが農村疲弊の打開のためにも要望されていた。折しも、中部東海地方で農業組合が名古屋医科大学(現名古屋大学医学部)の応援を得ながら病院を設立する動きがあった。この動きをみた当地の識者達が病院設立を決意し──多くの方々の力で──病院が設立される運びとなった」。昭和十三年三月一日に開院された紀北病院は、ちなみに建設費は五十万円。当時の院長の月給は三百三十円、副院長は三百円であったとのこと。「その後経営機関が和歌山県農業会、ついで和歌山県指導農業共同組合連合会へと代った」。
 見出しの二としまして、「紀北病院から医科大学附属病院紀北分院へ」。「昭和三十年一月一日和歌山県がこれを買収し、和歌山県立医科大学附属病院紀北分院として発足した。買収費は二千六百万円(中略)ちなみに、地域住民は現在のこの病院を紀北分院よりもむしろ好んで紀北病院と呼び、(中略)県が紀北病院を買収したあと県立病院とするか、本学附属病院とするかについてはかなり議論があったが、結局病院側の強い希望で後者──附属病院──となった。大学側としては附属病院の病床数も少なく、分院を持つことによっていささか体裁を整える必要を感じたのではないか」。当時の和医大にとりましてはなくてはならない重要な施設であったことが推察されます。
 見出し三として、「宮野分院長の時代」。二代目分院長として活躍されたかつらぎ町在住の宮野義美先生は、後に和医大学長を務められましたが、この草創期に大変ご尽力され、ご功労は筆舌に尽くしがたいことがあることも記されております。私も、この質問に当たり、昨夜先生に電話を入れましたところ、お元気そうな声でお話しされておりまして、そのときの労をねぎらった次第でございます。
 見出しの「将来の展望」といたしまして、「紀北分院は経営状態の悪化から某大学への身売り話さえ出た昭和五十五、五十六年頃の危機的な状態から脱却して順調に再建への道を歩み、近年は和歌山県北部における地域医療の基幹病院として一定の評価を得ているように思われる。しかし、内外の現況を分析すると、紀北分院は大きな転機にさしかかっていると言わざるを得ない。その理由の一つは和歌山県立医科大学の(中略)統合移転に伴って紀北分院の位置付けに変化が予想されることであり、もう一つは完成後三十年近く経過した施設の老朽化が進み、診療レベル向上のための機器や施設の導入が不可能となって、いずれは患者数の減少を来す恐れがあると考えられ、改築を含めた抜本的な対策が必要と思われることである。診療実績の好転に伴い、数年前までの「紀北分院は某大学へ身売りすることになっていた」というような発言は最近では聞かれなくなっているが、再び経営状態が悪化した場合には身売り話などが再燃する可能性は否定できない。紀北分院の将来を考えると常に大学の附属病院にふさわしい診療内容の充実をめざして努力する必要があることは言うまでもないが、それとともに、十年以上先を見通した将来構想を立て、その実現に向かって積極的に行動を開始する時期が来ていると考えられる」など、記述されております。
 このように先人たちのご苦労と情熱がにじみ出ている文献でありまして、和医大にとりまして重要な大学史となるものと信じている書物でございます。
 今までは、この本の抜粋のところでございました。これから質問に入ります。
 特にこの医療につきましては、第三次和歌山県保健医療計画により、橋本市・伊都郡から成る橋本保健医療圏にあり、国保橋本市民病院とともに基幹病院として重要な役割を果たしてきておりますが、現在、病院経営を取り巻く環境は、近年の少子高齢社会の中での疾病構造に大きな変化が見られるなど、先月の国における医療制度改革大綱の発表などを見ましても低迷する経済の中での医療制度改革等が進められようとしており、紀北分院だけではなく病院を取り巻く環境は内外ともに大変厳しく、あらゆる面で改革が求められることは間違いないところであります。
 さらに、紀北分院においては、その施設が約四十年以上も経過し、老朽化しております。また、立地の上で増築できない状況の中で部分的な改修整備がなされ、診療機能の充実が図られてはきているものの、現施設は今日の高度医療に対応した機器整備等が困難な状況になってきており、患者に満足してもらえる医療を提供するには十分とは言いがたいのではないでしょうか。さらには近隣において、公立那賀病院が整備され、橋本市民病院も目下整備が計画中であります。橋本市新市民病院は橋本市北部住宅開発地に移るため、旧市内及び伊都郡の住民から交通上少し不便となり、紀北分院の存在がさらに高まるかと思います。
 こうした社会的、経済的環境の激変する中で、現在、紀北分院にとっては大変重要な時期に差しかかっており、かつ大きな分岐点にあると言っても過言ではございません。また地元の地域におきましても、紀北分院の整備充実につきましては、平成八年、南衛かつらぎ町長らが尽力されまして、かつらぎ町を中心に紀北分院等整備促進協議会が結成され、毎年度、紀北分院の整備充実強化に関する要望書も知事並びに関係者に提出され、地元からその早期な整備実現について強い要望も続けられているところであります。
 これからの病院経営を取り巻く環境は、先ほど申し上げましたとおり、内外ともにさらに大変厳しく、あらゆる面で変革が求められていることは間違いないところであり、紀北分院が今まで以上に橋本保健医療圏においてそれぞれの機能分担を図り、他病院、診療所と連携しながら地域住民の方々に信頼される病院づくり、患者本位の良質な医療を提供できる病院づくり、よりよいマンパワーの育成できる病院づくりを目指していかなければ多くの利用者の期待にこたえることができず、低迷する一方であると考えます。今は、一日も早い紀北分院の改築整備を総合的に行わなければならない時期に来ているのではないでしょうか。
 そこで、設置者としての知事にお伺いいたします。
 知事が本県総務部長としてご在任されていたころ手がけてこられました大学附属病院は、今は統合移転し、名実ともに立派に運営されている今日、医科大学として紀北分院の改築整備について、今後の取り組みと、関係地元自治体の協力体制と役割についてお伺いいたします。
 次に、学長に対し、紀北分院の今後の位置づけと診療科等の再編整備についてどのように取り組んでいかれるのか、ご所見をお伺いいたします。
 次に、県民に信頼される警察行政の推進についてお尋ねいたします。
 一つ、警察官の増強と支援機材の充実についてお尋ねいたします。
 私どもが日常生活の中で人命、財産保全が一番重要な課題であり、県行政の適切な対応や警察行政の役割が非常に大きいものであります。本県治安対策については、岩井本部長のもと、万全を期されていることと思います。しかし、警察を初め関係者の懸命なご努力にもかかわらず、近時、刑法犯罪はさらに増加の傾向にあります。
 本県の治安情勢につきましては、平成十二年の資料を見ましても、刑法犯は五年前よりも三二%増、二万一千九百六十一件発生し、全国で第七位であり、うち重要犯罪(殺人・強盗等)は五年前の七二%増であります。通り魔的犯罪、路上強盗、ひったくりなども倍増されている現状です。覚せい剤検挙も二百九十三人と全国第二位を占め、少年犯罪も例年の倍増や、交通事故の人身事故も九年連続で増加しております。
 本県だけではなく全国的な問題ですが、少年非行の粗暴化、低年齢化、来日外国人犯罪組織や密入国、暴力団事件など、連日、新聞紙面を見ても目を覆うような事件が多発しているのが現状であります。こうした犯罪の多発の原因についてはそれぞれ種々雑多であると思いますが、こうした事件の発生は、県北部地域で七五%も発生している現状から、京阪神に近接し、大阪南部地域と接近しているために人・物・車の交流が頻繁であり、やはり都市化が進み、匿名化社会となりつつあり、従来地域社会が伝統的に持っていた防犯意識が低下するなども一つの要因でないかと思います。
 このような現状を見て、犯罪や事故から県民の生活の安全を守っていくため、マンパワーの強化が必要であると思います。警察官の増強と捜査支援機材の充実について、本部長のご見解と抱負をお伺いいたします。
 第二点といたしまして、交番・駐在所の充実についてであります。
 交番・駐在所は、地域住民から最も信頼され、親しまれている警察の施設であると思います。地域住民の安全を図り、平穏を確保するためにはなくてはならない重要な組織です。その歴史も長く、地域住民から大変な評価もされているところであります。また、諸外国も日本の交番・駐在所の制度を取り入れ、実効を上げているというようなニュースを伺ったこともあります。
 最近、私どもの近くでも、空き巣、こそ泥、痴漢、浮浪者の出没、放火などがあり、身近に不安を感じている方が多いと聞いております。一番相談に行きやすい交番・駐在所に警察官がいなかったために事件を未然に防ぐのがおくれたとか、夜間に宿直者がいないので不安であるとかの声が聞こえてまいります。
 私は県下全般のことについてわかりませんが、私の住む妙寺署管内をとってみましたら、高野口の交番は四名です。笠田の交番は三名です。そういう体制と伺っておりますが、人口も多く、地域も広いこういうところで、二十四時間、この陣容で受け持つのは大変ではないかと思っております。また駐在所においても、奥様に同居いただき、地域住民との触れ合いの中から信頼される警察づくりの規範にしていただきたいと考えておりますが、県警本部長のご所見をお伺いいたします。
 第三点といたしまして、妙寺警察署の改築についてお尋ねいたします。
 警察署の改築問題につきましては、歴代本部長の肝いりによりまして計画的に適時取り組まれ、和歌山西署、岩出署、海南署、有田署など、以前とは見違えるような立派な近代的な庁舎が建設なされております。
 私の住む管内の妙寺警察署でありますが、かつらぎ町妙寺の国道二十四号直近のところに位置しまして、築後四十年近くもたった大変老朽庁舎でございます。警察庁舎の中には、中島幸弘署長さんを初めとして立派な警察官や職員の方々が働いてくれておりますが、庁舎内は大変狭隘なため、仕事にも支障するような実態でございます。外来者に応対するところもありません。加えて、国道二十四号の拡幅により、道路が警察署の軒下を通るようになりました。また、免許証更新の講習の日などは、駐車場も少なく、大混乱を招いております。このような状態の中で、住民に利便のよい妙寺署の改築は急務であります。妙寺署の改築につきましては、あと何番目にご計画されているのか、いつごろしていただけるのか、岩井県警本部長のご見解をお伺いいたします。
 次に第四点といたしまして、警察署協議会の設置状況と実態についてお尋ねいたします。
 警察署の業務運営に住民等の意見を反映させるために、各警察署の所轄区域内における警察事務の処理に関し、各警察署長の諮問に応ずるとともに、警察署長に対し意見を述べることを目的とした和歌山県警察署協議会条例が去る六月一日付をもって施行されたところでありますが、設置の状況や委員にどのような方が委嘱されているのか、また運営の実態についてお尋ねいたしたいと思います。
 以上で、私の質問を終わります。皆様、ご清聴、どうもありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの門三佐博君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまはいろいろな資料を見せていただきまして、本当にどうもありがとうございました。
 まず最初に、国道四百八十号線の平トンネルについてのご質問でございます。
 私は、選挙のときの公約でも、そしてその後もずっと、開かれた和歌山県をつくっていく、そのためには京奈和自動車道であるとか府県間道路であるとか高速道路の南伸、こういうふうなものが非常に大事だということは常に言い続けているところでございます。
 そういう中で、この国道四百八十号線は府県間道路の一つとして、京奈和自動車道と関連を持って和歌山県にとって非常に大事な道路であるという認識を持っているところでございまして、直轄代行の制度の採択も含めて、大阪府と協力して早期に整備を図ってまいりたいというふうに考えております。
 ただ実は、大阪府の方とこの府県間道路についていろいろ協議を進めているんですけれども、あちらも非常に財政が厳しくて、この間、ちょっと後ろ向きの話があったときも大分いろいろな協議を進めたということで、より以上に大阪と連携してということが大事だと思いますので、そういう点も力いっぱい頑張っていきたいと、このように思っております。
 それから次に、紀北分院の問題でございます。
 私も紀北分院の重要性については十分認識しているところでございまして、平成十二年度から県の方でも検討委員会を設けて、診療体制でありますとか経営のあり方について鋭意検討を進めているところでございます。
 近年、医療制度全体の見直しの問題が一つあるのと、それから国立大学の医学部について独立行政法人化の問題が出てきておりまして、これは公立医科大学についても同じような形ということになってくると思います。
 そういうふうな中で、この紀北分院があるべき姿としてどんな形がいいのか──やはり建物も老朽化してきているので早急に考えていかないといかんということを思っておりますし、それからこの病院ができたいきさつを今お伺いしたわけでございますけれども、そういう中から地元の自治体との間の協力関係というふうなものをどんな形で構築していき、そして地域の方々に一番喜ばれるような診療を行う体制はどういうのがいいのかということについて、やはり真剣に鋭意検討していきたいと、このように思っております。
○副議長(堀本隆男君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 道路の整備と充実についてでありますが、先ほどご質問の中でもありましたように、かねてから議員も提唱してこられました国道四百八十号の府県間トンネルにつきましては、府県境をまたぐ長大トンネルであり、高度な技術を要するため、直轄代行事業の採択を国に強く要望しているところでございます。今後とも、トンネルへの取りつけ道路となります平道路の整備を進めるとともに、大阪府側の事業促進を働きかけてまいります。
 次に、国道四百八十号志賀バイパスと梨子ノ木トンネルにつきましては、両工区を統合しまして梨子ノ木バイパスとして新規事業採択されたところでございます。今後は、トンネルを先行して施行するため、調査・設計を進めるとともに、地元の皆様にご協力をいただきながら坑口までの用地買収を促進し、早期着工を目指して努力してまいります。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 医科大学学長山本博之君。
  〔山本博之君、登壇〕
○医科大学学長(山本博之君) 医科大学として紀北分院の位置づけと充実対策についてお答えいたします。
 紀北分院につきましては、大学内の紀北分院整備検討委員会におきましてその存在意義を含めて真摯に点検いたしまして、今後のあり方について検討しているところでございます。
 紀北分院には、社会の要請に対応した医師の育成のためにも、また大学附属病院としての機能を全うするためにも担うべき役割がございます。さらに橋本・伊都地域の保健医療におきましても、紀北分院には果たすべき重要な役割があると考えてございます。
 議員ご指摘のとおり、近年の高度化、多様化する医療ニーズ、近隣の医療機関の整備状況等から見まして、紀北分院がその使命を果たすためには分院の施設、設備は十分とは言いがたい状況がございまして、整備が必要であると認識してございます。
 大学といたしましては、これからの保健医療のあり方や那賀保健医療圏を含めた橋本保健医療圏における医療ニーズ、この地域における医療機関の機能分担等を勘案いたしまして、紀北分院を特色ある、地域貢献度の高い診療機能を持つものに整備充実し、大学全体として総合的なパワーアップにつなげてまいりたいと考えてございます。
 しかしながら、ご承知のとおり、昨今の病院の運営・経営環境には厳しいものがございまして、国においては大学は独立法人化の方向にございますし、本学でも、本院、分院をあわせて健全な経営を視野に入れて考える必要がございます。
 分院の整備につきましては、現在、このようなことを踏まえて具体的、計画的な整備充実策の検討を進めているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 警察本部長岩井良行君。
  〔岩井良行君、登壇〕
○警察本部長(岩井良行君) 県民に信頼される警察行政の推進についてお答え申し上げます。
 まず一点目の、警察官の増強と支援機材の充実についてでございます。
 最近の治安情勢は、議員がご指摘になられましたように極めて厳しく、治安指標と言われております刑法犯の認知件数は三年連続して二万件を突破し、本年におきましても十一月末現在で昨年を既に上回っておる状況であります。
 また、その内容を見ましても、先月、御坊市で発生したけん銃使用による殺人事件を初め、強盗、放火などの重要犯罪が多発していることに加えまして、インターネットを使用した詐欺事犯やストーカー犯罪、さらには産業廃棄物の不法投棄事案などの新たな治安事象が相次いで発生しているところであります。それらに加えまして、交通事故の増加や暴走族の跳梁、ひったくりなどの路上強盗の増加、さらには日常生活をめぐる各種トラブル等が多発し、県民の方々から、凶悪犯罪の解決はもとより、身近なところで発生する各種事案の解決を求められているところでございます。
 警察といたしましては、県民の意見、要望にこたえながら、複雑、多様化する警察事象に的確に対応するため、これまでは、警察職員の増員が困難であることから、実質的な増員効果をもたらす交番相談員や警察安全相談員の配置を進めるほか、新たな犯罪等に対応できる警察官の育成を図ってまいりました。また、組織の抜本的な見直しと徹底した業務の合理化を推進し、事件・事故が多発する県北部地域への警察力のパワーシフトを図るとともに、警察相談課、少年課などの新設、さらには環境機動捜査隊の編成などの組織基盤の整備に努めているところであります。
 しかしながら、こうした工夫も、限られた人員では既に限界に達しており、各方面から具体的に警察官をふやしてほしいというご要望をいろいろいただいておりますけれども、こうしたご要望におこたえできない状況が続いております。
 申すまでもなく、良好な治安を維持し、県民が安全で安心して暮らせる生活環境を保持するためには人的基盤の整備が不可欠でありますので、警察官の増員を中心とした体制の強化を国及び県当局に要請しているところであります。先月は知事が上京され、警察庁長官に対して直接増員要望を行っていただいたところであります。
 また、例えば自動車ナンバー自動読み取り装置などの捜査支援システムは、人手によらず事件解決に貢献する重要なものでありますので、今後もこれらを含めた物的基盤の充実に努めてまいる所存であります。
 次に、交番・駐在所の充実についてでございます。
 交番・駐在所は、地域社会の安全と安心を確保する活動拠点であるとともに、地域住民の方々の安心のよりどころとなっていることは、議員ご指摘のとおりであります。その体制等につきましては、管轄人口、面積、事件・事故等の治安情勢を勘案して定めており、警察官の適正な配置に努めてきているところであります。しかしながら、最近の治安情勢を反映して地域住民の方々からさまざまなご要望をいただいており、これらにこたえるべく、例えば特にパトロールの強化を図っているところでありますが、パトロールを強化すれば必然的に交番などに警察官が不在となる時間も増加するということになっております。そこで、不在となっている交番などに対しては、パトカーや隣接交番等の警察官の立ち寄りや待機などにより、できる限りご不便をおかけしないよう努めているところでありますが、現有勢力ではなかなか十分な対応も難しくなりつつあるのが現状でございます。このため、不在対策の一つとして、県当局のご理解のもとに交番相談員制度を導入し、主として事件・事故が多発している十四交番に退職した元警察官を交番相談員として配置するなどの対策をとっているところであります。
 今後とも、交番・駐在所がその機能を発揮できる方策を、ご指摘いただいております増員の問題も含め、多角的に検討してまいりたいと考えております。
 続きまして、妙寺警察署の改築についてでございます。
 妙寺警察署は昭和三十九年に建設したもので、築後三十七年を経過しており、老朽化もさることながら、議員ご指摘の問題に加えて、高齢者、体の不自由な方の利便を図るエレベーターや自動ドア、障害者用トイレ等の設備や犯罪被害者の方々のための相談スペースなども整備しておらず、地域住民の方々の利用に十分な対応ができていない状況にございます。
 警察署の建てかえにつきましては、予算措置を講じつつ、建築年次が古く、狭隘化、老朽化が著しい警察署から順次建てかえ整備を行っているところでございます。
 現在、昭和三十五年に建設されました湯浅警察署を平成十三年度、十四年度の二カ年で建てかえるべく整備中でございます。また、昭和三十四年に建設されました串本警察署につきましては、平成十五年度から十六年度の二カ年で建てかえる予定で、今年度は地質調査と基本設計を行っておるところでございます。現在、予算上建てかえが決まっておりますのは、以上の二署でございます。
 妙寺警察署の建てかえにつきましても、その必要性は十分認識しておりますので、できるだけ早く地域の方々のご期待におこたえできるよう県当局にお願いをしてまいりたいと考えております。
 最後に、警察署協議会の設置状況と運営の実態についてであります。
 警察署協議会は、警察法の改正により設置が決まったものでありますが、本年六月一日、和歌山県警察署協議会条例に基づき、県下十四警察署全署に設置されたところであります。
 警察署協議会の委員についてでありますが、現在百九名の方が公安委員会から委嘱されておりまして、職業といたしましては、自営業の方、会社員、主婦、農林業関係者、医師、学校関係者、弁護士など、広く各界各層からご参加をいただいております。
 また、女性の割合につきましても約三〇%となっているほか、年齢層も、二十代から七十代と幅広い年齢層に及んでいるところであります。
 次に運営の実態についてでありますが、各警察署協議会は、これまでに既に二回の会議を開催していただいておりまして、会議におきましては、警察署から管内の治安情勢や業務運営についてご説明するとともに、各警察署の抱えている課題等につきまして諮問申し上げ、ご協議をいただいているところでございます。
 これまで警察署の運営に資する有益なご意見をいろいろといただいておりまして、各警察署とも積極的に業務運営に反映させるよう努力しているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(堀本隆男君) 以上で、門三佐博君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十七番神出政巳君。
  〔神出政巳君、登壇〕(拍手)
○神出政巳君 こんにちは。お許しを得ましたので、通告に基づき、順次質問をいたします。
 まず冒頭、会派を代表し、十二月一日の敬宮愛子内親王殿下のお誕生に対し衷心よりお祝いを申し上げ、健やかなご成長を祈念いたします。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 最初に「意識改革から」と題し、知事就任後一年が経過し、職員に木村イズムが浸透しつつある中、施政方針の基本理念や次年度予算編成について、知事に数点お尋ねいたします。
 まず、今春、知事公室の政策推進室を政策審議室と改編され、政策推進班に加え、新たに政策評価班を創設され、スタッフもかなり増強されました。その後の事務事業評価システムの進捗や政策評価の成果についてお尋ねします。
 続いて、後の設問にかかわる課題として、公共事業評価システムの導入についてお尋ねします。
 三重県では、来年度予算編成に当たっては独自に構築した公共事業評価システムを活用し、優先度の高いものから事業化を図る取り組みに着手し、異なる公共事業を同一基準で評価する同システムの導入によって公共事業実施の決定プロセスの透明化を目指すというものであります。公共事業については公共事業推進本部が一括して取り扱うこととなり、公共事業の実質的な一元化に大きな一歩を踏み出そうというものであります。そして、公共事業にもかかわるが、来年度予算編成から部局長への権限委譲を進め、来年四月からは従来の課を全廃し、施策体系ごとに総括マネジャー、マネジャーを配置する組織改正を行う予定であります。本県でも、グループ制の研究や係長制の問題点等の検討をされているようでありますが、施策体系ごとの組織改正についてどのようにお考えか、お尋ねします。
 次に、次年度の予算編成についてお尋ねします。
 一例として、高知県では、深刻な財政危機を乗り切るべく二〇〇〇年度から三カ年計画で第二次財政構造改革に取り組み、その一環として構造転換特別枠予算の制度をスタートさせております。事業費の削減という量的な面だけでなく、事業構造の質的転換を目指すというものであり、従来の行政のあり方を転換するような新しい発想の事業提案に対して、一般の事業費とは別枠で予算を認めるというものであります。構造転換と言っても漠然としているので、年度ごとに重点施策を設定し、来年度は五点──一つ、定住を促進する就労機会の拡充、二つ、よい環境に変え、持続させる循環型社会の構築、三つ、民間活力を活用した公共サービスの開発、四つ、リーダーとなる人づくり、五つ、トータルコストを下げる予防型社会の形成などで、一件につき上限二億円であります。来年度は三十八件で、成分解性素材使用工法開発事業費、雨水利用設備構築事業費、バイオマスエネルギー推進事業費、森林NPOボランティアセンター事業費、科学技術立県を支える人材育成事業費など、総額約十六億円。今年度は五十一件で、レンタルハウス整備事業費、次世代型コンクリート研究開発事業費、ヤング世代の食の応援団事業費、訪問介護員スキルアップ研修事業費、四万十まるごと博物館事業費、企業情報化戦略リーダー育成支援事業費などに、同じく総額約十六億円。事務事業評価システム導入と連動させたものであります。
 本県では、IS予算と評し、予算編成をしたこともありました。事務事業評価システムも導入しました。今また、「聖域なき見直し」、「行政の棚卸し」を旗印に、各部課室、多くの職員より膨大な数の施策提言がなされていると仄聞しておりますが、重点施策に対する取り組みについてお尋ねします。
 次に、特に土木部予算の見通しについてほか、以下数点にわたり土木部長にお尋ねします。
 十月初旬に公表された本県の平成十四年度予算編成方針によれば、県単独投資は前年度当初予算の九〇%とあり、改良率が全国ワースト二位である一般道路の関係予算について心配をするわけであります。
 継続中の事業についてでありますが、毎年、事業予算が縮減されていけば事業完成のめどが立たないということであります。供用に合わせた用地の協力見込みも立ち、随分待っていただいている箇所も多く、特に半島振興法支援による補助事業などは、県民ひとしく期待をしているわけであります。
 また、公共事業費には九五%のシーリングがかけられていますが、十二月四日、政府の次年度予算編成方針が閣議決定された中、大変厳しいようでありますが、事業費確保に向け、決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。あわせ、知事初め財政当局にも特段の配慮を申し入れておきます。
 続いて、下水道整備についてお尋ねします。知事の議会冒頭のごあいさつにもありましたが、全国最下位脱出への取り組みについてお尋ねします。
 本県の下水道事業の現況については、昨日、先輩の佐田頴一議員からご質問の中で詳しくご指摘がありましたので重複を避け、端的に、なぜ本県の下水道整備率が向上しないのか、市町村が公共下水道事業等に着手しづらいのか、あわせ県として市町村への働きかけについてはどのように指導、支援されているのか、お尋ねします。
 また、あわせ、四日ご足労いただいた緊急アピールの感触はいかがでしたでしょうか。そして、住宅建築の際の近年の費用補助や延べ床面積に対する人槽緩和などで好評の合併浄化槽補助事業との兼ね合いについてお尋ねします。
 次に、九月議会予算委員会でもお答えいただきました、六月十九日夜半から二十日未明にかけての大雨による貴志川の浸水対策並びに国道四百二十四号の海南市別院地内の法線改良につきまして、その後の進捗状況についてお尋ねします。
 次に、知事から陳謝の言葉があった不祥事の件についてであります。
 捜査の全容がまだ公表されていませんので、まだまだ伸びるのか新聞報道等で知るのみでありますが、罪は罪で憎むべきものであり、反省しなければならないと思います。しかし反面、逮捕・起訴・取り調べ中の元所長やコンサルは、仕事は本当によくやってくれたとの地元の評価もあります。まことに残念であります。そして、常々感じることでありますが、技術職員の慢性的な残業であります。夜はもちろん、休日にも及ぶ仕事の量と質であります。技術職員のみに限ったことではないようでありますが、職員のご家族からも苦情を耳にします。
 ここで、少し話がそれますが、十一月上旬に会派の同志山下直也議員、原日出夫議員初め同僚の議員と参加した、都庁で開催の第一回都道府県議会議員交流研修会の記念講演をされた三重県の北川知事が別のある対談で、「職員に望むことは」という中で以下のことを話されております。「小さなことから新たなことを始めていく勇気を持とうと職員に話しています。そして、その目的や方向が正しければ必ず大河になるのだから、根気を持てと。これを勇気根気論と言っています。県民に満足していただける仕事をしない限り職員の満足はあり得ない。逆に、職員が自己実現できなければ県民満足もあり得ないので、十七時半退庁や総労働時間年千九百時間などに取り組んでいます。すなわち、県民満足イコール職員満足なのです。県民を満足させる行政は、思い上がりです。なぜなら、そのときの主語は「県庁が」だからです。三重県は、県民が主役なのです。これが生活者基点です。県民が満足できるサポートをすることが県庁の役割です」──少し長くなりましたが、話を戻します。
 今回の元所長は少々強引とも言われる面があったにせよ、劣悪な条件の中で、用地交渉を初め、出先の管理職としては大きな事業進捗の功績を残していることも記憶にとどめなければならないと思います。
 そこで、今後どのようにして現場対応能力のある管理職を養成していくのか、また膨大な仕事量を抱える技術職員とそれを補完するコンサルタントとの業務提携をどのようにしていこうとお考えなのか、お尋ねします。
 最後に、県立高校の学区制撤廃について教育長にお尋ねします。
 再来年度から実施との決意を披瀝されたところでありますが、各校が特色づくりで競い合うという点、生徒が魅力ある学校選択をする幅が広がったという点で、賛成であります。反面、中学校の進学指導が混乱するという声も耳にします。一年余の準備期間がありますので、しっかり検討し、実施していただければ十分なじんでいくのではないかと考えます。
 中学校の進学指導が塾頼みというのが現実であるという声もありますので、地方教育事務所を通じ、市町村教育委員会と緊密な連携をとり、中学校のレベルアップにも配慮され、大いに推進していただきたいと考えます。
 本県高校教育においては、先駆的な取り組みの総合学科高校の創設を初め、専門学科、単位制の導入等々、近年さまざまな取り組みをしてきたところでありますが、東京都教育委員会でも、多様で柔軟な高校教育の展開を目指し、改革断行中であり、都立高校の学区制撤廃を初め幾つかの改革がなされております。
 目立ったところでは、進学指導重点校の指定があります。戸山高校など三校とともに指定した日比谷高校に、都教育庁から五十三歳の校長が今春赴任し、「骨太で重厚な進学校」を旗印に来春からの学校週五日制に対応すべく取り組んでおります。一つ、毎日七限授業、四十五分授業を基本に九十分連続授業も設け、八、九限の特別講座の開設、二つ、土曜日の補習、三つ、習熟度別学習の導入、四つ、第一、第三、第五土曜日のクラブ活動の禁止等々、新教育課程での公立高校の学力低下の懸念に対策を講じられております。また、板橋区の高島高校には日立製作所から四十六歳の校長を起用し、来春近隣高の統廃合の結果、開校予定のつばさ高校には日産自動車から五十五歳の校長を起用するという、民間人校長の起用を実現されております。そして北区の定時制総合学科の桐ケ丘高校は、チャレンジャースクール第一号として近隣五校の統廃合の結果、昨年度開校され、単位制、学年なし、一日三部制とし、少人数で全員わかる授業を目指し、地域社会や企業の力もかり、ボランティアや体験学習にも取り組んでおります。生徒は自分のペースで学習できるようにされています。入試は、学科試験も内申書もなく、不登校や高校中退の経験を持つ子でも学びやすいように工夫されております。
 本県でも同様な取り組みをされてきたところでありますが、東京都に比べ、公共交通網の未整備な点や財政規模の点で厳しい側面もありますが、ここ数年実施してきたスクールカウンセラー活用事業や就職アドバイザーの委嘱などは特筆すべきものであり、さらに一層の改革推進を希望するものであります。
 そこで、県立高校の学区制徹底についての意義と目的についてどのようにお考えなのか、そして校長が強力に学校運営をするための支援策も含め、県立高校の特色化について今後どのように取り組みを進めるのか、また一方、不安の声もある中学生への進学指導についてどのように取り組まれるのかをお尋ねします。
 以上です。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの神出政巳君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま神出議員のご質問の中にありました、職員の自己実現が県民の方の満足を最大にしていくという北川知事の発想、これは私はもう本当に同感するところでございます。そういう観点から職員の意識改革、自己実現をできるようにしていくことが必要だと思っていろいろ進めているわけでございますけれども、今の財政状況が非常に厳しい中、シーリング、シーリングでやっていきますと、そういうふうな新しい自己実現の芽が出てまいりません。そういうこともありまして、事務事業評価システムというのを導入いたしまして、すべての事務事業について棚卸しをして、初めから、要らないものは要らない、さらに進めるものは進めるという形で選別を行いましたところ、やはりある程度の財源が出てきたりいたしました。そういうものを新しい事業へ投入していくことによって、こういう厳しい財政状況のもとでも和歌山県の行政が新しい分野に向かって進んでいくような努力をしているところでございます。
 しかしながら、まだなかなかシステム的に十分できているわけではございませんので、これからも新しい全国的な成果をどんどん取り入れて生かしていきたいというふうに思っております。
 それから公共事業の評価システムの導入について、三重県の例をお話しいただきました。これはもう画期的なことが多うございまして、いきなり和歌山県にすべてを適用というわけにはなかなかまいりませんけれども、私も、今年度の当初予算を策定するときに、公共事業について、満遍なくという形じゃなくて、和歌山県をどういうふうな方向へ持っていくかということをまず置いて、それに合わせて道路整備とかいうことに重点的に予算をつけていこうという形で土木部と協力して作業いたしましたところ、ある程度そういうふうな状況になってきているのでございますけれども、一方で、今非常な公共事業不況ということもありますので、そういうことを、兼ね合いを考えながら来年度以降も和歌山県の改革につながるような公共事業を優先的に決めてやっていく方向をとりたいと思っております。
 それから、施策体系ごとの組織改正についてでございます。
 これにつきましては、ことしもIT関係の局とか観光関係の局とか、港湾、そして男女共生社会の関係の局をつくって、そしてこれらの局はそれぞれに非常に大きな成果をおさめてきていると私は思います。ただ、来年度以降も、例えば廃棄物の問題でありますとか、それから先ほども出ておりました病院、医療という問題について、やはり横断的にトータルに物を考えていくような形の組織をつくっていく必要があるんではないかなとか、いろんなことを考えております。それから、先般提言いたしました緑の雇用事業につきましても、これも農林水産部だけじゃなくて広くいろんなところがかかわってまいります。
 そういうふうな形で、これからは縦割り的な組織の考え方じゃなくて、いろんな柔軟な横との連携を持ったような組織のあり方を考えていこうと思います。そして、そのたびごとにそういうふうな形での組織改正ということを行っていきたいと、このように思っております。
 それから、重点施策に対する取り組みということでございます。
 ことしより来年度の予算からシーリングを取り払いまして、新たに職員の人たちからたくさんの提言を受けて、そしてまた民間の方々からの提言も受けて、そういうふうなものを新たな目で施策に取り組んでいくという努力を今行っているところでございます。
 そういう中で、例えば緑の雇用事業でありますとかIT化でありますとか、人づくりでありますとか警察関係とか、いろんなことで新しい芽が私は出てくると考えておりますけれども、こういうものも思いつきで行うのではなくて、やはり今後はシステマチックに県の予算の中に導入していく方法も研究を進めていって、本当に新しい時代に合致した予算編成というものが和歌山県でなし遂げられたという形にしていきたいと思っております。
 私の方からは、以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず初めに、土木部予算の見通しについてお答えいたします。
 従来から県単独事業につきましては、マイナスシーリングが設定される中、事業の必要度の観点などから優先順位づけを行った上で、分野間のバランスをとって予算編成に当たってございます。来年度予算編成におきましても、限られた予算の中、より効率的、計画的な土木事業の推進に努めてまいります。
 また、公共事業費につきましては、平成十四年度政府予算編成の基本方針において対前年度比一〇%の削減が明記されたところでございますが、現時点において、分野別の配分や都市と地方との配分など、具体的な方針が明らかにされてございません。いずれにいたしましても、県勢の発展を図る上で重要な役割を果たしている公共事業費の確保に努めてまいります。
 なお、県勢の発展に必要な道路予算については、土木部予算の中でも重点的に配分を行っているところでございます。しかしながら、厳しい財政状況の中、県民ニーズにこたえていくため、優先順位の高い箇所への重点化と地元協力が得られない箇所の休止等、事業の厳しい見直しを行っているところでございます。今後とも、その点について、各市町村のご理解、ご協力を得てまいりたいと考えてございます。
 次に、下水道整備についての三点のご質問に順次お答えいたします。
 雨水排水対策の先行等の理由によりまして、平成十二年度末の本県の下水道普及率は一〇%と、全国最下位であります。しかし、本年四月の紀の川流域下水道伊都処理区が一部供用を開始したことなどによりまして、平成十三年度末には最下位からの脱出ができる見通しでございます。
 なお、県といたしましては、流域下水道を整備するのはもちろんのこと、下水道未着手市町村に対しまして早期に着手するよう市町村長及び市町村議会議員に対する啓発を実施するなど、積極的に働きかけているところでございます。
 また、本県におきましては、ようやく本格的な下水道整備に差しかかった段階であるため、滋賀県を初めとした全国十三の県とともに国に対し、下水道の整備が着実に進められる予算の確保を強く要望したところでございます。下水道整備の必要性に対するご理解を深めていただいたものと考えております。
 次に、合併処理浄化槽設置整備事業との兼ね合いでございますが、県では平成七年度に和歌山県全県域汚水適正処理構想を策定いたしまして、下水道事業、農業集落排水事業、合併処理浄化槽設置整備事業など、効率的な汚水処理事業の推進に努めてきたところでございます。今後は、より効率的に整備ができるよう、平成十四年度に当構想の見直しを予定しているところでございます。
 次に貴志川の浸水対策につきましては、既に測量が完了しておりまして、今後、それをもとに流下能力の検討を進めてまいります。また狭窄部につきましては、上下流のバランスを考慮し、早急に河床掘削を実施してまいります。
 次に国道四百二十四号の交通安全対策につきましては、既に視線誘導標の設置等の工事を十二月五日に発注しております。また、事故の調査を行っておりまして、今後、道路法線等を含めた改善策の検討を行ってまいります。
 次に不祥事についてのご質問でありますが、まず初めに、今回の不祥事につきまして、土木部関係の幹部職員が詐欺容疑で起訴され、また収賄容疑で逮捕されましたことを、議員各位を初め県民の皆様に深くおわびを申し上げます。今後、かかる事態が生じないようチェック体制の確立等に全力を挙げて取り組んでまいります。
 現場対応能力のある管理職の養成についてのお尋ねでありますが、現場の管理職には、公共事業の複雑化に伴い、地元への説明能力や関係機関との調整能力が特に求められています。また、それに加え、豊富な知識、経験や指導力が必要とされます。そのため、従来から管理者の資質を高めるため、管理者研修を実施しているところでございます。今回の事件を教訓にいたしまして、さらに倫理面に重点を置いた研修を実施するなど、管理者の資質向上に取り組んでまいります。
 次に、技術職員を補完するコンサルタント業務についてでありますが、土木行政を取り巻く環境は年々多様化し、またその内容も複雑化しております。それに伴う業務量の増大や質の高度化に対応するため、職員みずからが創意工夫をすることはもちろんのこと、民間の力も活用し、有効かつ効率的に事業執行を行う必要があります。このことから、工事の施工管理や現場確認、図面作成などの技術職員の補助業務をコンサルタントに委託しているものであります。
 今回の事件を踏まえ、現場技術業務のチェック機能の強化を図り、適正な運用に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 県立高校の学区制についてお答えいたします。
 このたび、従来設けていた高等学校の九つの学区を平成十五年度入学者選抜から撤廃することにいたしました。学区制の意義として挙げられていた高校教育の普及と機会均等は、進学率の向上等により現在達成されていることから、また生徒の学校選択幅を拡大するとともに高校教育の個性化、多様化を一層推進するために踏み切ったものであります。
 本県におきましては、これまでも総合学科や特色ある専門学科の設置、単位制への改編など、さまざまな高校改革を進めてきたところであり、来春から新たに全日制の三校が単位制高校としてスタートいたします。学区制の撤廃により、生徒はそれぞれの興味、関心、適性、進路希望などに応じて学びたい学校を選び、より生き生きとした学校生活を送ることができるものと考えております。
 各高校では、生徒一人一人の学習ニーズや進路希望をかなえることができるよう、これまで多くの選択科目を開設したり二学期制や六十五分あるいは七十分授業の実施、日常的な補習授業など、さまざまな取り組みを進めてきております。また、定時制単位制高校には昼間部を置き、不登校や中途退学の経験を持つ生徒を数多く受け入れるなど、多様で柔軟な教育を展開してきたところであります。
 一方、中学生への進路指導につきましては、高校の特色ある教育活動等を紹介した「ハイスクールガイド」の発行やホームページの開設、中学生の体験入学など、さまざまな方法で情報を提供いたしております。
 今後とも、きめ細かな情報提供に努めるなど、中学校における進路指導をさらに充実させるとともに、高校がそれぞれに培ってきた教育力を十分に生かし、学区制撤廃を契機として教育の個性化、特色化をより一層推進していくことができるよう、学校長の強力なリーダーシップを発揮するための多様な支援を検討してまいりたいと考えております。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(堀本隆男君) 以上で、神出政巳君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時十八分散会

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