平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成十三年九月 和歌山県議会定例会会議録 第四号
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議事日程 第四号
 平成十三年九月二十日(木曜日)午前十時開議
  第一 議案第百四号から議案第百二十号まで、並びに報第六号
     (質疑)
  第二 一般質問
  第三 議案等の付託
会議に付した事件
   一 議案第百四号から議案第百二十号まで、並びに報第六号
   二 一般質問
   三 議案等の付託
   四 休会決定の件
出席議員(四十五人)
     一  番       新   島       雄
     二  番       山   田   正   彦
     三  番       佐   田   頴   一
     四  番       大   沢   広 太 郎
     五  番       堀   本   隆   男
     六  番       宇 治 田   栄   蔵
     七  番       門       三 佐 博
     八  番       西   本   長   弘
     九  番       坂   本       登
     十  番       小   原       泰
     十一 番       木   下   善   之
     十二 番       永   井   佑   治
     十三 番       尾   崎   要   二
     十四 番       小   川       武
     十六 番       橋   本       進
     十七 番       生   駒   三   雄
     十八 番       原       日 出 夫
     十九 番       谷       洋   一
     二十 番       山   下   直   也
     二十一番       高   瀬   勝   助
     二十二番       吉   井   和   視
     二十四番       町   田       亘
     二十五番       金   田       眞
     二十六番       高   田   由   一
     二十七番       神   出   政   巳
     二十八番       玉   置   公   良
     二十九番       向   井   嘉 久 藏
     三十 番       野 見 山       海
     三十一番       平   越   孝   哉
     三十二番       下   川   俊   樹
     三十三番       中   山       豊
     三十四番       浜   田   真   輔
     三十五番       鶴   田   至   弘
     三十六番       冨   安   民   浩
     三十七番       村   岡   キ ミ 子
     三十八番       中   村   裕   一
     三十九番       井   出   益   弘
     四十 番       阪   部   菊   雄
     四十一番       江   上   柳   助
     四十二番       長   坂   隆   司
     四十三番       森       正   樹
     四十四番       飯   田   敬   文
     四十五番       新   田   和   弘
     四十六番       松   本   貞   次
     四十七番       和   田   正   人
欠席議員(一人)
     十五 番       宗       正   彦
 〔備考〕
     二十三番欠員
説明のため出席した者
     知事         木   村   良   樹
     副知事        中   山   次   郎
     出納長        大   平   勝   之
     理事         安   居       要
     知事公室長      小 佐 田   昌   計
     総務部長       稲   山   博   司
     企画部長       垣   平   高   男
     環境生活部長     秋   月   成   夫
     福祉保健部長     白   井   保   世
     商工労働部長     内   田   安   生
     農林水産部長     辻           健
     土木部長       大   山   耕   二
     企業局長       増   田   充   孝
     教育委員会委員長職務代行者
                赤   松   壽   男
     教育長        小   関   洋   治
     公安委員会委員長   高   垣       宏
     警察本部長      岩   井   良   行
     人事委員会委員長   青   木   孝   祐
     代表監査委員     藤   谷   茂   樹
     選挙管理委員会委員長 北   村   亮   三
職務のため出席した事務局職員
     事務局長       田   村   徳   美
     次長         佐   竹   欣   司
     議事課長       北 垣 内       敬
     議事課副課長     松   谷   秋   男
     議事班長       露   詰       勤
     議事課主査      尾   崎   善   亮
     議事課主査      井   口   好   晴
     総務課長       梶   本   皓   造
     調査課長       宗   野   幸   克
 (速記担当者)
     議事課主任      吉   川   欽   二
     議事課主任      鎌   田       繁
     議事課主査      中   尾   祐   一
     議事課副主査     保   田   良   春
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  午前十時一分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百四号から議案第百二十号まで、並びに
        報第六号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第百四号から議案第百二十号まで、並びに知事専決処分報告報第六号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十一番江上柳助君。
  〔江上柳助君、登壇〕(拍手)
○江上柳助君 おはようございます。ただいま議長のお許しをいただきましたので、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 去る七月十日、不慮の事故によりご逝去されました木下秀男先生のご遺徳をしのび、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。私は、木下先生には農林水産委員会で一年間ご一緒させていただきました。大変にお世話になった一人でございます。今は亡き木下先生に、心から哀悼の誠をささげるものであります。
 また、一昨日の本会議で意見書が全会一致で採択されました、九月十一日のニューヨークの世界貿易センタービル及びワシントンの国防総省等に対する同時多発テロ攻撃は、世界じゅうを震撼させた野蛮かつ卑劣な行為であり、文明と民主主義に対する絶対に許しがたい挑戦であります。犠牲となられた多くの方々に対し深く哀悼の意を表しますとともに、米国民に対し、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 それでは、最初に防災対策についてお尋ねいたします。
 あの忌まわしい阪神・淡路大震災から六カ年の歳月がたちました。私たちは、阪神・淡路大震災の多くの犠牲者の上に得られた教訓を決して忘れてはなりません。また、昨年十月六日には鳥取県西部地震が発生いたしました。さらに、本年三月二十四日に芸予地震がありました。
 本県においては、マグニチュード八の南海道地震から五十五年目を迎えようとしております。前回の南海道地震は昭和二十一年十二月二十一日に発生し、マグニチュード八の規模で西日本各地に津波の被害などをもたらし、千三百三十名のとうとい命が奪われました。東大地震研究所の島崎邦彦教授は、一九四六年の南海地震は規模が小さかったため次は二〇一〇年から二〇二〇年ごろと早く、大規模と予測しております。また紀の川沿いには、世界的にも大規模な活断層、中央構造線が走っております。いつ起こるかわからない地震や災害、これらの対策を初めとする危機管理に終わりはなく、さらなる対策の充実強化に努めていかなければなりません。
 内閣府は、九月十五日、「国土の将来像に関する世論調査」の結果を公表しました。それによりますと、素早く対応できる危機管理体制が六一・二%で、六割の人が危機管理体制の必要性を指摘しております。次いで、耐震性強化や防災施設整備が三一・九%、ハザードマップの作成などが三一・七%となっております。ハザードマップと申しますのは、地震が起きた場合の被害状況を示した地図でございます。
 「治にあって乱を忘れず」との中国の古諺があります。長谷川慶太郎氏の書かれた危機管理の鉄則によりますと、「日本の官僚は、第一に法律で権限が与えられている。第二に、予算が組まれている。第三に、時間のゆとりがある。この三つの条件のもとで行政を行っている。ところが災害の場合は、それが全部崩れてしまう。それを踏まえた発想にならないと、幾ら口で言っても実行できない。今度はそれを実行させるための保証として計画をつくり、その計画に沿って何度も繰り返し訓練することが必要です。それでも完全にはいかないでしょう。何年もかけなければうまく機能するようにならない」と述べております。地震や災害の危機管理については、計画をつくり、体制を整備して、何回も何回も訓練してなれ親しんでおくことが重要であります。
 鳥取西部地震で、鳥取県の片山知事は防災対策の成果として、「知事に就任してから、まず防災組織を強化するための防災監という、防災のことを専門的に考えてくれる幹部職をつくり、組織を強化した。その防災監のもとで、いざというときの訓練をやってきた。それが今回随分生かされた」と述べておられます。本県においても、本年四月から防災対策の専任スタッフとして防災監を置き、防災組織が強化されたところであります。
 そこで、知事及び関係部長にお尋ねいたします。
 第一点は、本県における南海地震などの大規模地震発生の予測をどのように立てておられるのか。また、昭和二十一年の南海道地震では、津波の被害、犠牲者が多く見られました。本県は半島に位置し、長い海岸線を有しております。地震による津波災害を初めとした防災訓練、防災対策はどのようになっているのか。
 第二点は、昨年十月に発生した鳥取県西部地震について、鳥取県の片山知事は、防災対策の成果として「防災監という幹部職をつくって組織を強化し、その防災監のもとで、いざというときの訓練をやってきた。それが今回随分生かされた」と述べております。本県における防災監の使命と役割、いざというときの訓練についてどのように考えているのか。
 第三点は、阪神・淡路大震災ではボランティアの皆さんの救援活動が注目を浴びました。和歌山市の建設業で、ブルドーザーやクレーン車、掘削機を持った皆さんの有志で結成された虎伏災害救援隊──略称TRTでございます──は、救援ボランティアとして和歌山市に登録されておりますが、県では救援ボランティア団体として登録をしていただけないそうでございます。なぜ県で登録できないのか、その理由と今後の救援ボランティア団体の登録への取り組みについてお聞かせください。
 第四点は、県庁舎などの県有施設及び和歌山市にかかる紀の川河口大橋、紀の川大橋、北島橋、六十谷橋、紀州大橋などの橋梁の耐震構造は大丈夫なのか。その現状と対策についてお答えください。
 第五点は、県庁に隣接している、和歌山市が所有している雄湊公園の一角が災害時の指令拠点防災センターとして最適であるとして、雄湊公園の一角を和歌山市から譲り受けることを条件に、この土地を取得することを条件に医大跡地の一部を譲渡する交渉に入りたい、検討に入りたいと、さきの六月議会で知事が表明されております。防災センターの整備が急がれておりますが、県防災センター建設用地の取得の時期と医大跡地の一部を和歌山市に譲渡する時期はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
 第六点は、建築物の耐震改修の促進に関する法律に基づき、建築物の地震に対する安全性の向上を図るため建築物の耐震診断を行う者に対し補助金を交付する、いわゆる和歌山県建築物耐震診断モデル事業への取り組みとその実施状況についてお答えください。
 次に、防災ヘリ運航規定の見直しとドクターヘリ導入への取り組み状況についてお尋ねいたします。
 八月十九日、県立医科大学病院のヘリポートから、一人の脳梗塞の患者と医師、家族を乗せたヘリコプターが、青々と澄み渡る青空のもと、快音を響かせて新宮病院へと向かって離陸いたしました。医大へはヘリで患者が運ばれることはあっても、患者を乗せたヘリコプターが医大を飛び立つのは医大始まって以来、初めての出来事でありました。
 医大病院は、救急医療のため、次の患者のためベッドをあけたい。患者の家族は、地元の新宮に帰りたい。しかし、酸素吸入のための酸素ボンベや医療機器のバッテリーの都合と患者を余り動かせないため、救急車で三時間半から四時間もかけて新宮まで搬送できない。そこで、医大病院から防災ヘリ出動の要請がなされました。しかしながら、本県の防災ヘリコプター緊急運航要領では、一、公共性、二、緊急性、三、非代替性があるため防災ヘリは使用できないとのことでありました。
 患者の家族は、大阪のヘリ会社に依頼しました。費用が六十万円かかると言われ、私に県の防災ヘリ運航の相談がありました。県当局は防災ヘリコプター運航管理要綱や防災ヘリコプター緊急運航要領に基づいて防災ヘリを運航させているわけで、一議員から言われても、当然運航できないわけであります。
 私は、田辺市でヘリコプターを持っておられる民間救援隊の方に相談いたしました。ちょうど八月十九日の朝、紀の川の河川敷で防災訓練があるので、快くボランティアで引き受けてくださいました。午前十一時に医大病院のヘリポート基地へ着陸、十一時三十分に患者を乗せたヘリコプターが医師、看護婦、家族の十数名の皆さんに見守られる中、医大のヘリポート基地を離陸したわけであります。医大の教授は、患者を乗せたヘリコプターを見送り、感慨深そうに「医大病院から患者がヘリで飛び立つのは初めてのことです」と言われ、丁重にお礼を述べられ、恐縮した次第でございます。
 防災ヘリコプター運航規定を見直しできないものでしょうか。確かに、緊急性という点では課題があるにせよ、他に患者の搬送手段がない場合には検討の余地があるのではないでしょうか。県の防災ヘリ、公有財産を公務で使うことはできるわけであります。しかしながら緊急的な場合には、その公務をも取りやめてその緊急に対応しなければならないと、このようになっているようでございます。
 現在、ドクターヘリ導入の検討が進められております。防災ヘリ、ドクターヘリの運航の面では類似していると思われます。この際、防災ヘリ運航規定を見直すべきだと思います。また、ドクターヘリ導入の取り組み状況とあわせ、お答えください。
 次に、県立医科大学跡地利用についてお尋ねいたします。
 九月定例会の知事説明の中で、「医大跡地利用に係る事業コンペにつきましては、去る八月二十日に説明会を開催し、三十一社の参加を得たところでございます。今後、企業からの事業計画の提案を受け、別途設置いたしました医大跡地利用事業計画提案協議審査委員会での審議を経て、年内にも施設の整備を行う事業者を決定できるよう鋭意作業を進めてまいりたいと考えております」と知事は述べられました。
 申すまでもなく、和歌山市の中心市街地、特にぶらくり丁商店街は、医大の紀三井寺移転以来、丸正百貨店の倒産、ビブレの撤退など、すっかり火が消えたようになっております。名物のパンダバスの運行も、ままならぬ状況であります。かつてのにぎわいを取り戻すため、一日も早く医大跡地利用が決定し、建設着工のつち音を強く待ち望んでおります。
 しかしながら、今日的な経済の低迷と長期的な不況の中、この時期に医大跡地での県立医科大学跡地利用に関する県の基本方針に基づいて都市型複合施設を整備することには、大変厳しい環境が容易に想像されます。コンペに応募して入選した企業が医大跡地で施設を整備する場合、工事期間中の土地の無償提供や施設整備に対する補助など、一定の配慮がなされておりますが、今後、事業コンペ入選者、事業主体者からの要望に対して公的支援を考える用意はあるのかどうか。また、昨日、一昨日の九月十七日、十八日の応募登録申し込み状況とあわせ、お答えください。
 次に、IT施策の構築とITインフラ整備についてお尋ねいたします。
 私は、昨年、知事が就任されてから毎回の定例会の一般質問で、IT化の促進についてお尋ねいたしました。質問のたびに知事からは、本県のIT化に向けての並々ならぬ決意をお聞かせいただきました。そして本年七月、株式会社バーチャル和歌山が創立され、これからふるさと和歌山わいわい市場の構築など、バーチャル和歌山構想の事業化が進められるわけであります。
 一方、アメリカのITバブルの崩壊によって、景気牽引力として頼りにしてきたITが世界じゅうで失速しております。我が国においても、情報関連産業の在庫調整局面とはいえ、IT関連企業に課されたリストラは半端ではありません。日本経済の唯一の救世主かと思われたIT神話がもろくも崩壊し、人員削減、事業撤退、そして倒産、ネットバブル崩壊で行き場を失ったベンチャーたちが出口を求めて迷走しているとも言われております。
 IT革命からIT不況と言われるようになった今日、この事態をどのようにとらえ、バーチャル和歌山構想の事業化によって本県のIT産業の振興にどのように貢献させるお考えなのか、また来年度以降のIT戦略をどのように構築しようとするのか、お聞かせください。
 次に、ITインフラ整備についてお尋ねいたします。
 IT基本法すなわち高度情報通信ネットワーク社会形成基本法第三条では、「高度情報通信ネットワーク社会の形成は、すべての国民が、インターネットその他の高度情報通信ネットワークを容易にかつ主体的に利用する機会を有し、その利用の機会を通じて個々の能力を創造的かつ最大限に発揮することが可能となり、もって情報通信技術の恵沢をあまねく享受できる社会が実現されることを旨として、行われなければならない」としております。
 本年一月のe-Japan戦略において、五年以内に少なくとも三千万世帯が高速インターネットアクセス網に、また一千万世帯が超高速インターネットアクセス網に常時接続可能な環境の整備が、また本年三月のe-Japan重点計画において、地理的情報格差の是正が目標として掲げられております。そして総務省は、過疎地、半島、山村、特定農山村などの条件不利地域における地方公共団体等の公共ネットワークを活用した加入者系光ファイバー網を整備するための補助事業に対し、平成十四年度の概算要求で八十億円を初めて計上しております。補助率は二分の一であります。さらに総務省の補助事業として、携帯電話などの移動通信サービスが使えない地域を解消するための移動通信用鉄塔施設整備事業があります。これらの情報格差是正のための国の補助事業を積極的に活用して、本県の半島に位置した山村僻地の地理的情報格差の是正に取り組むべきだと考えます。ご見解を承りたいと思います。
 次に、和歌山市内の道路整備についてお尋ねいたします。
 私は、一昨年九月、本年二月の定例会の一般質問で、道路整備、特に和歌山市内の遅々として進まない都市計画道路の整備について質問しました。都市計画道路の整備が進まない原因は、工事費に比べて用地費、建物の補償費が多額になり、財源確保もさることながら、土地にかかわる地権者が多数となることから用地取得の難航がネックになっております。そこで、都市計画道路の用地交渉における土地収用についてお尋ねいたしました。
 当時の西口知事からは、「事業の重点化を図るとともに、用地取得を円滑に進めるためには、体制の充実あるいは土地収用法を活用し、都市計画道路の整備促進に努めてまいりたいと考えてございます」と答弁されました。大山土木部長からは、土地収用法の活用について、「都市計画法の趣旨にのっとり、また地権者間の公平性の観点から、主要裁決申請の書類作成の開始時期を用地取得率がおおむね八〇%程度を目安とする方向で検討してまいりたいと考えております」と答弁されました。
 公共事業の用地取得は地権者の権利にかかわることでありますから、できるだけ任意交渉により土地所有者や関係者らの理解を得てこれを取得することが望ましいということは、申すまでもございません。しかしながら、任意交渉による用地取得に固執する余り、裁決申請がおくれ、道路の大部分の工事が終わっているのに一部の土地の取得ができないため道路工事が進まない、道路の開通ができないなどの例を見ることがあります。任意交渉における土地所有者らの主張の内容、あるいは交渉態度等により任意交渉による解決が望めない蓋然性が高い場合は、早目に土地収用法による裁決申請をすることも必要でないかと思います。裁決申請への取り組みについて、知事のご所見をお聞きします。
 また、都市計画道路における土地収用制度は、道路という公共性の極めて高い公共事業のため、国民、県民の私権を制限するものであります。それだけに、土地収用法における裁決申請手続に移行する時期について、公平を期す観点から、具体的な対応方針、ルールを定める必要があります。そして、土地収用委員会に裁決申請をする前の段階で、土地収用委員会にかけるかどうかを検討する仮称「裁決申請検討委員会」なるものを設置したらどうかと考えます。知事のご見解を承りたいと思います。
 次に、都市計画道路整備のための財源と予算確保についてお尋ねいたします。
 本年二月定例会の一般質問で、和歌山市の北部、紀の川右岸地域の人口がこの三十五年間で倍増した人口急増地帯の朝夕の交通渋滞を解消するため、都市計画道路西脇山口線の道路整備についてお尋ねいたしました。また、私たちは、県道西脇山口線の建設促進と近畿自動車道に北インターチェンジの新設等を求める陳情署名活動で、短期間ではありましたが、五万人を超える地域住民の署名をいただきました。県道西脇山口線の都市計画路線に位置する住民のほとんどが賛同し、署名に協力をしていただきました。道路整備への関心の高さがうかがえます。その署名簿を携え、六月二十八日、住民代表の皆さんとともに知事に陳情させていただきました。その節は、知事並びに土木部長を初めとする関係者の皆さん、大変お世話になり、ありがとうございました。そして九月定例会、知事の説明の中で、「和歌山市北部における東西主要幹線軸である西脇山口線の整備についてでございますが、園部地区における慢性的な渋滞解消を図るため所要の措置を講じることとしております」と述べられました。知事は、和歌山市域の道路整備のおくれに認識を新たにされ、取り組む意欲を示されたことに、心から敬意を表したいと思います。
 しかしながら、和歌山市域の都市整備局事業は、一律マイナスシーリングの影響で平成十三年度は前年度より約三億円減額され、三十一億五千五百万円となっております。今後の道路財源の確保について、知事のご所見をお伺いします。また、都市計画道路事業予算をどのように確保するお考えか、土木部長にお尋ねいたします。
 次に、南海電鉄和歌山港支線の廃線についてお尋ねいたします。
 西脇山口線の園部地区の事業化、湊神前線の宮前駅付近の跨線橋が九月二十八日の供用開始、第二阪和国道新南海橋の和歌山市大谷から元寺町二・二キロが平成十四年度中の供用開始予定になるわけであります。しかしながら、和歌山市域の都市計画道路は、昭和四十年に三十五カ所が都市計画決定されたものであります。計画総延長百八十四キロで、改良済み延長は七十四・五二キロ、改良率四〇・三九%で、進捗率はまだまだであります。三十六年たって改良率四〇・数%でありますから、全線開通するにはあと四十年、五十年とかかるわけであります。気の遠くなる話であります。
 私は、今すぐ都市計画道路の全線の道路整備をするようにと言っているのではありません。財源、予算の関係で、無理な話であります。主要な部分、交通が渋滞する、車の流れが悪い箇所を抜いていただきたい。朝夕の渋滞解消のため、重点的に道路整備に取り組んでいただきたい。都市計画決定をされた道路ごとに、わずか二キロ、三キロの道路を整備する話であります。湊神前線の宮前駅付近の跨線橋が九月二十八日の供用開始となります。次は、今でも渋滞している国体道路が大きく渋滞をしていくわけであります。国体道路の渋滞を解消するためには、南港山東線の事業化を進めなければなりません。
 現在、和歌山港の臨港道路と接する部分が非常に狭く、改良されておりません。交通事故も、たびたびあるようでございます。南海電鉄和歌山港支線が障害になっていると聞き及んでおります。この際、余り利用されていない南海電鉄和歌山港支線を南海電鉄、和歌山市、地元と協議の上、廃線にしたらどうかと考えます。ご見解を承りたいと思います。
 最後に、大雨による道路の冠水対策についてお尋ねいたします。
 九月七日、台風十六号接近に伴う秋雨前線の影響で、交通機関の乱れや道路の冠水、床上・床下浸水などの被害が出ました。特に和歌山市の県道鳴神木広線の田中町アンダーでは、冠水のため、現場付近で昼過ぎから約三時間通行どめ、国体道路は約一キロ渋滞しました。ちょうどこのとき、私ども農林水産委員会は六日、七日と御坊、南部、田辺へ県内視察に行っておりまして、この七日にこの田中町アンダーの下をくぐろうとしたわけでありますけれども、パトカーがあり、消防車がありで、通行できませんでした。三時間もこの和歌山市内の幹線道路が通行どめということは、私は大変な事態であると思うわけです。県では水防二を発動、関係職員の半数がその対応に当たられました。大変ご苦労さまでした。
 私は、昨年の九月定例会でも道路の冠水問題を取り上げました。土木部長は、「国、市に働きかけて浸水対策に関する協議会を設立し、各種事業間の調整を図り、効率的な整備について積極的に検討してまいります」と答弁されました。私は、浸水対策に関する協議会を立ち上げたという報告もいただいておりました。また、県道鳴神木広線の田中町アンダーの冠水対策についても、四十センチの管を入れるという話も聞いておりました。しかしながら、いまだに工事に着手した形跡がありません。どのようになっているのでしょうか。
 建設委員会等でも、この問題は議論になったそうでございます。九月定例会になったら、毎回道路の冠水問題を質問しなければならないのでしょうか。田中町アンダーを含む道路の冠水対策について、事業の整備の検討から一年経過しております。検討していただくのは大いに結構でございますが、事業に入っていただかないと、いつまでたってもこの道路の冠水問題は解消しないわけであります。一日も早く具体的に道路の冠水対策事業に着手し、大雨のときはいつも水浸しになるという汚名を返上していただきたい。決意のほどをお伺いいたしまして、私の第一回目の質問とさせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの江上柳助君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、大地震対策ということでございます。
 阪神・淡路大地震、そして鳥取西部地震、芸予地震と、このところ西日本が地震の活動期に入っていると聞いているところでございます。一九四六年の南海道地震から既に五十四年たちまして、大体百年から百五十年の周期で起こると言われておりますので、今後数十年の間に発生する可能性が高くなってきているということだろうと思います。そしてまた、近々、国の地震調査委員会もこの南海道地震の発生確率を発表することになっておりまして、いずれにいたしましても、この問題に対して非常に真剣に取り組まなければならない時期が来ているということでございます。私は、防災センターの問題も含めて、今、この問題に真剣に取り組んでいこうと思っております。
 特に和歌山県は、地形上、津波の影響を受ける可能性が非常に高いということでございます。これまでにも津波についてはいろいろな施策を考えてきたわけですけれども、この点についても、さらに今まで以上に対応策の充実を図っていきたいと思っているところでございます。
 それから、防火監の設置についてでございます。
 実は、私が知事になったときに、鳥取県の知事と私は役所で同期なものですから話をしたら、彼は鳥取西部地震の経験から防災問題ということが何よりも大事だということを私に言っておりました。そういうこともありまして、特に南海道地震の関係もありますので、和歌山県の防災体制を充実しようという観点から防災監を置いたと。今後、防災監には、和歌山県の防災のかなめになってもらうことはもちろんですが、今進めている防災センターのあり方の検討などについても中心的な役割を果たしてもらうように考えているところでございます。
 それから、医大跡地のコンペの状況でございます。
 アメリカの同時多発テロ事件があったり、景気がどんどん冷え込んでいく中で、実は私も、当てはあったんですけれども非常に危惧はしていたところでございますが、幸いなことに、きのう締め切ったら六つのグループから出てきまして、これは予想以上の成果ということで安堵の胸をなでおろしているところでございます。
 当然、こういう厳しい時期に応募してきてもらったということもありますので、県としても、やるところが決まったら相応の支援はしていかなければなりません。例えば、駐車場をつくるときの整備の補助であるとか、公開空地の無償貸与、そして工事中にいろいろ土地がいるときの無償貸与とか、いろんなことが考えられると思うんですけれども、いずれにせよ、事業者が決まれば、そこが円滑に進んで何とか早くいいものができて和歌山県の経済の活性化に役に立つような形で頑張っていきたいと考えているところでございます。
 それから、バーチャル和歌山と今後のIT戦略ということでございます。
 バーチャル関係は、先ほどのご質問にもありましたように、非常に厳しい状況です。県が関与しているからといってうまくいく保証があるわけではございません。そういうこともありますので、私の方からも、この厳しい状況の中でうまくやっていけるようにということを口を酸っぱくしてお話をしたりしているところでございますが、幸い、その中の、わいわい市場ということをやることになっているんですけれども、これについてはほとんどの県下の市町村から優良な物産について登録の申請があったと聞いております。今後ともさまざまな工夫を凝らして、このバーチャル和歌山の会社がうまく和歌山県のIT化に貢献できるような会社になるようにいろんな形で協力してもらいたいと思っております。
 それから、今後の和歌山県のIT戦略ということでございます。
 ことしの四月にIT戦略本部を設置し、この秋に中間報告を出すことになっております。その柱としては、一つは過疎地域のIT化の格差是正、それから今インターネットが非常に活用されるようになってきておりますけれども、この利用策の拡充、そして福祉、防災、病院、教育といった分野へのITの活用方策、EコマースとかSOHOなんかを活用してどういうふうに進めていくかという方策、それから県庁の電子県庁化というふうな事柄について中間報告を受けることになろうかと思いますので、それを受けて来年度以降、また新たなIT化に向けて頑張ってまいりたいと思います。
 そしてもう一つ、田辺の方でやっているIT総合センターですけれども、これも着実にいろいろ進んできておりまして、特に今期待しているのは、国立大学のあり方がいろいろ大きな問題になってきておりますけれども、この和歌山大学も田辺の方へ進出していくことに非常に熱心に取り組んでいただいておりまして、何とか同じ場所で、和歌山大学のサテライト版みたいなものを持ってくるということも今進んできております。いずれにせよ、これも建物をつくることが目的ではありませんので、大いに活用されるような方策を考えていきたいと思っております。
 それから、ITとあわせて、来年度の予算で総務省が光ファイバー敷設について格差是正的な観点から事業を考えているようでございますけれども、この事業にも積極的に対応していきたいと思います。それから、大分進んできたんですけれども、携帯電話について、県内でまだ通じないところがありますので、こういうところも移動通信鉄塔の補助制度の積極的な活用によって、ますますそういうふうな地域がなくなるように頑張っていきたいと思います。
 六点目といたしまして、土地収用の活用ということでございます。
 むしろ都市計画街路なんかを利用する時期から考えて用地の買収の時期をちゃんと決めていくという考え方が必要じゃないかというご質問です。
 これはもう全く、私もそのとおりだと思います。そして、私権の制限ということは非常に問題があるわけですけれども、こういうふうな地価が下落している時期でもあり、そしてまた日本の国がある程度公共のことから発展していくような仕組みを考えていかないといかん時期でもありますので、私は、ご指摘にもあったような適正な手続のもとにこの土地収用の制度も活用して、何とか一番適切な時期に道路が利用できる状況に持っていくような工事の仕組みを組み立てていきたいと考えております。
 あわせて、道路財源の確保について努力するようにということでございます。
 これはもうそのとおりでございまして、先般も東京で道路財源の確保の大会──議会と一緒になって行いましたところ、非常に注目を浴びまして、和歌山県は、昨日も申しましたが、今、道路財源の確保に熱心な県の筆頭というような感じになってきております。こういう評価をますます高めて、何とか和歌山県の道路がよくなるようにしないといけませんし、それからまた県内の道路についても重点化していかなければならないと考えているところでございます。
 それから、最後にありました田中町のアンダーでございます。
 この間、雨につかってまた大変なことになったと。この事実は私も重々承知しておりまして、あそこは高速道路からの和歌山市の入り口になっているんで、雨につかって通れないなんていうのはしゃれにもならない話でございますので、これはもう本当に真剣に、早く対応しなければいかんと思っておりますし、そのような指示を行っております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 防災対策のうち、まず救援ボランティア団体の登録についてのご質問にお答えいたします。
 阪神・淡路大震災を契機に平成七年十二月に災害対策基本法が改正され、ボランティア活動の環境整備に配慮することとされたところでございます。本県におきましても、地域防災計画の見直しの中でボランティア活動環境整備計画を作成し、防災ボランティア登録制度を設けたところでございます。
 現在、専門的な知識あるいは技能を有する個人、団体、あるいはリーダー指揮のもとに統一されたグループとして、救援活動に従事する団体の登録をいたしております。
 ご指摘の建設業者の救援ボランティア登録につきましては、一つの有意義なものと考えておりますが、大規模災害時における建設機械等を用いた救援活動のあり方などの課題もございますので、今後、鋭意検討してまいりたいと考えております。
 次に、県庁舎などの県有施設の震災の取り組みについてでございます。
 まず、県庁舎並びに警察施設におきましては、平成七年度から八年度にかけて耐震診断を行い、耐震改修の必要性を指摘されております。この耐震改修には多額の経費を必要とし、また長期間の工期を必要とするため、県庁舎等の建てかえも考慮に入れながら、最も経済的で合理的な対応策を検討してまいりたいと考えております。
 次に、県立学校におきましては七年度より順次耐震調査を行い、調査済みのうち補強が必要な施設につきましては、現在約五割強の補強工事を完了しているところでございます。
 防災の安全度をより高めることは重要でございまして、今後、県有施設の未調査の施設については耐震調査を計画的に行うよう検討してまいりたいと考えております。
 次に、防災ヘリの運行規定の見直しについてでございます。
 県の防災ヘリコプターの救急業務につきましては、消防法に基づいて救急システム実施要領を定め、運用を行っているところでございます。
 救急業務とは、基本的には、救急に搬送する必要がある災害・事故等の傷病者を医療機関に搬送することでございます。一たん医療機関に収容された傷病者の転院搬送につきましては、原則として医療機関が行うべきものでございますが、より高次または専門の医療機関に搬送する必要があり、かつ医療機関等に輸送手段がない場合に限って救急業務の対象となるとされておるところでございます。
 今回の事案につきましては、より高次な医療を受けるために防災ヘリにより県立医科大学に転院搬送された疾病者でございまして、既に高度救命治療がなされていたところでございまして、患者家族の負担など特別な事情があったことはよく承知しておりますが、現行の消防法に基づく救急制度上は、このような事案に対応することは難しいものと考えております。
 今回のようなケースの取り扱いにつきましては、ある意味では救急制度の基本にかかわる重要な問題提起でございまして、高齢化社会の進展等、社会経済の変化による国民の救急業務に対するニーズの変化などを踏まえながら、救急業務の範囲はどうあるべきかについての幅広い議論がまずは必要ではないかと考えております。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 防災対策についてお答えいたします。
 まず、ご質問の橋梁の耐震構造につきましては、各橋とも従来の横揺れを主体とした地震に対する対策は実施済みでございます。さらに直下型地震に対応するため、紀州大橋等において縦揺れ対策を進めているところでございます。今後は、直下型地震対策を進めるため、紀の川大橋の早期対策を国に働きかけるとともに、県の橋梁についても優先順位に基づいて実施してまいります。
 次に、建築物耐震診断モデル事業についてでございます。
 この事業は平成十年度から実施しておりまして、民間建築物の耐震対策を促進するため、その経費の一部を県が補助する事業でありまして、これまで十九件の実績がございます。引き続き、民間建築物の地震対策の広報・啓発に努めてまいります。
 次に、都市計画道路の整備のための予算確保についてでございます。
 県都和歌山市の都市計画道路の整備は、県勢発展の上からも重要な課題と認識しております。和歌山市の道路は紀の川やJR紀勢線で分断されており、市街地の周辺部で特に渋滞が厳しく、その解消が急務となっております。そのため、国、県、市から成る和歌山市域道路整備推進協議会を設置し、役割分担して重点的かつ計画的な整備に取り組んでいるところであります。県としては、厳しい財政状況にありますが、優先順位をつけ、予算確保に努めてまいりたいと考えております。
 次に、ご質問の臨港鉄道和歌山港一号踏切交差点は、大変幅員が狭く、交差点改良が必要と考えております。そのため、今後、議員ご指摘の鉄道廃線も選択肢の一つとして、和歌山市を初め、関係機関や地元と十分協議しながら交差点改良を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に、ご質問の田中町アンダー冠水対策の暫定措置としての管径四十センチの計画につきましては、地下埋設物の調査を行った結果、支障となる構造物や埋設物があることが判明し、断念せざるを得ませんでした。この代替措置としまして、田中町アンダー東側に、排水路の新設工事をこの十月に発注する予定としております。さらに、下水道事業者としての和歌山市の全面的な協力を得て抜本対策に取り組みたいと考えております。知事からも強い指示をいただいておりますので、早期解消に向けて努力してまいる所存であります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 企画部長垣平高男君。
  〔垣平高男君、登壇〕
○企画部長(垣平高男君) 防災センター建設用地取得と医大跡地譲渡の時期についてお答えを申し上げます。
 防災センター建設用地取得と医大跡地譲渡の時期についてでございますが、六月議会で知事が答弁したとおりの方針に従いまして、現在、県市双方が医大跡地整備事業の推進、あるいは用地売買に伴う条件整備などを内容とする協定書の締結に向けて協議を重ねているところでございます。
 県といたしましては、県防災センター整備の緊急かつ重要性にかんがみ、その前提となる用地問題については、平成十四年度当初予算編成のタイミングを視野に入れて協議を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) ご質問の、ドクターヘリの導入への取り組みでございます。
 ヘリコプターを救急活動に有効活用するためには、救急現場での離発着場の確保、地域の状況に応じた運航体制のあり方、また消防機関が患者の状態からヘリを要請するための基準づくりと、課題がございます。
 ドクターヘリ導入に係るこうした検討課題について、現在、消防機関、医師会及び病院協会等、関係機関の参画を得てヘリコプター救急システム推進検討委員会を設置し、出動要請基準、連絡体制、ヘリポート候補地、患者受け入れ体制、安全対策等、いろいろな角度から検討を進めているところでございます。また、ヘリの特性を生かし、紀伊半島三県での活用を図るため、三重県や奈良県に対しても共同で利用できるよう協議をしているところであります。
 県といたしましては、円滑な導入に向けて、引き続き関係機関との協議を進めてまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十一番江上柳助君。
○江上柳助君 知事並びに関係部長からご答弁いただきまして、ありがとうございました。
 まず、防災対策についてでございます。
 ただいま知事より、南海道地震を初めとする大規模地震の予測について、西日本は地震の活動期に入ったと言われている、今後数十年に発生する確率がかなり高いと答弁されました。これは、学者の先生や地震研究所の皆さんの一つの説でもあります。何分、二十一年の南海道地震というのは規模が少し小さかったということで、次の地震は早く来るだろうという説もあるわけでございます。
 いろんな先生方の説の中にも、例えば名古屋大の安藤教授なんかは、南海地震は巨大地震の中では規模が小さく、未解放のエネルギーが残っている、そのため次は二〇四〇年より前に起きるだろうと予測している。前ですから、いつ起きるかわからんわけですね。自然は待ったなしというか、待ってくれません。いつ地震災害が起こるかわからないわけでありますから、県民の生命と財産を守るため、万全の対策、体制をとっていただきたい。お願いいたします。
 問題は、知事も先ほど述べられましたが、長い海岸線を持つ本県においては津波対策なんですね。津波の県民への伝達については、現在、防災行政無線を通じて、音声で一斉に伝えるシステムを構築しています。県の気象台の方から通報が入ると、県の防災課の職員の方が音声で各市町の防災行政無線に伝達をする。二十四時間体制でやっていただいているわけでございます。本当にご苦労さまでございます。
 津波というのは、大体秒速二百メーターです。ですから、時速にすると普通は五百キロと言われておりますけれども、昭和三十五年に起きたチリ地震は、我が国から一万七千キロ離れておりますが、二十四時間で津波が来たわけですね。それをずっと計算していきますと、時速七百キロ。海面の深さ、水深が深いほど速いと、こう言われているわけです。ですから、時速五百キロ、七百キロ──沿岸に近づくほど、陸に近づくほど速さは弱まりますけれども、それでも新幹線並みです。とても人間の足では逃げることはできません。これはいち早く通報するというのが一番大事だと思うんです。
 そういった意味で、県が今とっておられる伝達方式というのは、全国的にも大変すばらしい、どこもまだ例がないようなシステムだそうですね。ただ一般的には、県から市町村へ行きまして、それから音声で伝達すると、こうなっております。そこに人間が入りますと、どうしても、例えばテレビのテロップなどが出ても即伝達できるかというのが課題になります。したがいまして、気象台等から連絡が入ると。また放送局等とも連携をとってもいいと思うんですけれども、その情報が即自動的に音声にかわる自動音声伝達方式なるものをぜひ和歌山から考えていただきたい。IT技術を駆使すれば、そんなに難しい話じゃないと思うんですね。津波の場合は、もう一秒を争うわけです。これは決意を聞きたいなと思ったんですけれども、ぜひ検討していただきたいと思います。
 次に、防災ボランティアの登録であります。
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、救援ボランティアの掘削とか、ブルドーザーをお持ちの方がお願いに行っても県では登録していただけないんですね。県に登録しておけば、岩出や那賀郡などの方面、また海南、有田方面でもすぐ対応していただけるわけです。
 私、この県の地域防災計画を全部読ませていただきますと、いろんなことが書かれております。立派に書かれております。しかし、これを一つ一つ見ていきますと、例えば建設機械の主要調達先ですが、幾つか書かれております。ここに、こういうご時世ですから、もう倒産している会社もあるんですね。
 それから、例えば河西地域。交通量一日六万台の紀の川大橋は、まだ耐震対策がなされていないんですね。もしこの橋が決壊というか落ちたら、どうなりますか。河西地域に一社だけです。河西地域には、こういう機械がないわけです。ちょっと細かい議論かもわかりませんけれども、そういったことも考えていただきたい。そして、業者の方に聞きましたら、そんなん知りません、そんなんいつ決まりましたんかと、こんなことを言いますし、一度総点検をしていただきたい。
 まあ、ありがたい話じゃないかと思うんですね。みずからがクレーンとか掘削機とかブルドーザーを持って県で登録をお願いしたいと言っているんです。何か難しい話をされているようですが、ぜひ登録をしていただきたいと思います。
 次に、防災監の使命についてお話しいただきました。
 鳥取県の片山知事のもとにある防災監は、防災監に就任されましたら、すぐに阪神・淡路大震災の模様を調査に行ったそうですね。そこでいろんなことを学んできたと言われているんです。ですから、ぜひ防災監──鳥取県では十月六日に鳥取西部地震のシンポジウムを行うそうですし、また芸予地震などもしっかり勉強していただいて万全の対策をとっていただきたいと思います。
 それから、防災センターの建設用地の確保について。
 私は、県民の生命と財産を守るための防災センターだけでも、公益性、公共性が非常に高いものだと思うんです。県は用地確保を条件に医大跡地の一部を和歌山市の公共用地として譲渡することを、知事は表明されております。和歌山市は、今でも都市公園が少ないわけです。都市公園の一部譲渡を都市計画審議会にかけなければなりません。その手続が必要なんですけれども、いまだに都市計画審議会が開かれていないんですね。職員の皆さんも、窓口に行っておられるようですけれども、なかなかうまく対応がなされない。どうか、強く和歌山市に申し入れてこの防災センター建設用地の取得を一日も早く進めていただきたいと、これも要望させていただきます。
 それから、先ほど医大跡地利用の事業コンペに六企業から申し込みがあったと。私も、うれしく思います。十七日に一社でしたので、一社だったら大変だなと思っておりましたが、六社になったそうです。しかし、三十一社の方が八月二十日の説明会に来られているわけですね。三十一社から六社。やっぱり環境が大変厳しいんだなということがうかがえるわけです。ですから、できるだけの支援をぜひしていただきたいと思います。
 それと、ふるさと和歌山わいわい市場いわゆるネット販売です。
 ぜひいいものをつくっていただきたいと思います。高くて悪いのじゃなく、いいものを安く、また特色ある産品をぜひネット上で取り上げていただいたらと思います。特に私は、物を運ぶとなると物流コストがかかりますから、物流コストを下げる努力にも取り組んでいただきたいなと思います。
 それから特に観光サービス、これはネットで全国、全世界にアピールするのは非常にいいことだと思います。お客さんは運賃をかけて足を運んで来てくださるわけです。物を売る場合、こっちからこん包して運賃をかけて送らんといかん。運賃代高いなとなるわけですね。ところが、足を運んで来てくださる。観光産業というのはすそ野が非常に広いわけでありますから、お土産、飲食業、ホテル・旅館などの雇用の場ともなります。本県に観光局もできたことでございますから、どうかひとつ観光という面をアピールできるような体制をぜひお願いしたいと思います。
 そろそろ時間も来たようでございます。まだあるんですけれども、ちょっと時間というような声も出ておりますから、この辺にさせていただきます。
 以上、要望させていただきまして、私の質問とさせていただきます。
 以上です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で江上柳助君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十五番金田 眞君。
  〔金田 眞君、登壇〕(拍手)
○金田 眞君 議長のお許しを得ましたので、一般質問を始めます。
 最初の、熊野川に清流を取り戻すために二津野ダムの撤去について質問いたします。
 欧米では、九〇年代の初めからダムだけに頼らない利水、治水対策に切りかえ、改修済みの河川を再び自然に戻す工事が行われ、アメリカでは「川の再生」をテーマに既に五百を超えるダムを撤去し、河川の自然環境としての価値を大切にする方向に踏み出しています。この方向転換の背景には、膨大な開発費用をかけた巨大ダムが自然を破壊した上に、将来は土砂がたまり無用の産業廃棄物と化すという認識に基づいた過去の手法に対する根本的な反省があります。自然環境の保全と財政のむだをなくすために、今やコンクリートダムからの脱却は二十一世紀の世界の流れではないでしょうか。
 日本では、平成九年、河川の持つ多様な自然環境や水辺の空間に対する国民の関心の高まりにこたえることと地域の実情に応じた河川整備の必要性から、従来の河川管理の目的、「治水」「利水」だけでなく、「河川環境」を加えて水質、景観、生態系などの整備と保全を推進する河川法に改正されました。旧建設省河川審議会は九九年八月の中間答申に、ダム以外の治水方式も検討していくことを盛り込みました。地方でも新たな動きが始まり、昨年四月、鳥取県の片山知事は治水と利水の両面から中部ダムの中止を決め、ことし二月には長野県の田中知事が「脱ダム宣言」を発表しました。こうした流れの中で、今あるダムについても、経済の変化や自然環境と人とのかかわりなど、多面的な視点からの再検討が必要との思いから質問をいたします。
 最近の熊野川の状況は、ことし六月十九日から二十日にかけ十津川に集中豪雨があり、ダムにたまった濁水が一カ月間、熊野川に流れました。そのため新宮漁協では二週間シラス漁ができず、三輪崎漁協も五日漁ができず、また新宮市の上水道も対策に追われました。この八月二十一日の台風十一号による出水でも大量の濁水が発生し、水道水が濁るなど、瀞観光やアユ漁など観光や自然環境分野にも相変わらず悪影響を及ぼしております。
 さて、熊野川は昔から清流と豊かな水量で名を知られ、年間流量平均五十億トンとされる熊野川の十津川水系と北山川水系にダムが建設された歴史的背景には、日本の戦後復興に水力発電による電力確保が国家的な要請としてあり、地元は「建設中とその後二、三年は濁るが、やがてもとの清流に戻る」という説明を信じて受け入れてきました。そして、ダムの建設は、昭和二十八年の建設省の猿谷ダムから始まり、昭和三十三年からは電源開発のダム建設と続き、昭和五十三年の関西電力奥吉野発電所のダム建設が終わるまで、十一のダムと九つの発電所がつくられ、四十年以上も経過しました。
 この間、ダムによる自然環境破壊や水質汚濁、冷水、減水、塩分遡上などは、水道水の濁りなどの市民生活はもとよりアユ等の内水面漁業や沿岸漁業、観光、製紙などの産業に大きな被害を及ぼし、地域の産業・経済に与えたマイナス影響ははかり知れません。さらに、ダムの放流による洪水被害だけではなく、流域住民の水泳や川遊びなど川との触れ合いをも奪い、自然の生態系を変え、山、川、海という吉野熊野の自然を背景に発展してきた地域の文化も損なわれてきました。
 特に熊野川の濁水問題が表面化してきたのは昭和四十五年の大阪万博前後からで、全国から紀南に訪れた観光客が瀞峡を見て「清らかに澄んだ水が流れる瀞峡ではなく、汚い泥水が流れる泥水の泥峡だ」と不評を買ったのが始まりです。
 新宮市水道事業所の熊野川の取水口での濁りを調べる濁度調査によれば、ダム建設以前は濁度ゼロの月が毎年記録されていたのに、昭和三十三年、十津川の風屋ダム工事以後は濁水が急速にふえ始め、昭和三十七年以降は濁度ゼロの月が完全になくなりました。昭和五十三年には国を初めとする関係機関によって新宮川水質汚濁対策連絡協議会が発足し、汚濁軽減の調査研究と対策にこの間当たってきました。また、流域の市町村は対策連合会などを結成して、ダムによる濁水の長期化や自然環境の改善を目指して国や電源開発に対策を求めてきましたが、現状は年々悪化するばかりでした。今までにダムへの直接的な対策として、ダムでの選択取水、表面取水、混合希釈、濁水防止膜、赤潮対策、発電の一時停止、ダム操作改善などを行い、恒久的な対策としてダム湖への濁水流入を未然に防ぐための治山事業、植林事業、砂防事業などを実施されてきましたが、目立った効果が出ておらず、対策を講じたが抜本的な対策に至っていないのが現実です。
 そもそも昔、県の砂防利水課は濁り水の発生について、「河川の濁度は河川の中に含まれる岩石、鉱物の細片微粒子──小さな砂の粒ですが──特に長期間澄まないことはその中の粘土鉱物のためである。また、地質、崩壊などに密接な関係が深いことは河川工学上明らかなことである。十津川はV字型の川底で、砂礫層(砂と小石の層)の堆積が厚く、また流域一帯に大規模な崩壊地が多く、特に通称「底なし川」と言われる加納川などは大規模な断層破壊帯が存在する。さらにその上流には「八丁崩れ」と呼ばれる大崩壊地があり、そこには粘土鉱物のモンモリロナイトなどが生成されており、平常でも白く濁った水が流れ込んでいる」としています。このように十津川水系は、地質が悪い上に明治二十二年の大水害の後遺症もあり昔から濁水は流れたが、すぐもとの清流に戻ったそうです。ですから、濁り水が長期化するのはダムが原因であり、こんな地質の場所にダムをつくったのがそもそもの間違いのもとです。
 電源開発も「ダムがある限り濁水は不可避である。いかに軽減するかが課題」と言っており、ダムを撤去しない限り、濁水は永久に続くことになります。この十津川水系の地質とダム湖での濁り水がたまることを考えたときに、これからどんな有効な対策があるのでしょうか。発電ダムから多目的ダムに変更しては、いや、もうダムの機能停止、撤去しかないという議論が出るのは当然です。検討に値すると思います。
 現在、和歌山県は電力輸出県となっており、熊野川水系の九つの発電所の最大発電出力は百八十五万キロ、そのうちの奥吉野発電所の百二十万キロを除く八つの発電所の合計六十五万キロは現在の火力発電所百万キロの一基にも及ばないものであります。特に、二津野ダムはわずか五万八千キロと小規模で、ダム湖も小さく利用水深も五メートルと浅いので、濁水軽減機能を持っていません。現在の日本の電力需要からすれば二津野ダムの発電を停止しても支障がなく、また、水力発電がCO2を排出しないクリーンエネルギーであっても、それ以上に濁水などによって環境破壊をもたらしているのですから、その発電を目的とした歴史的使命はもはや終わったものと考えるべきではないでしょうか。
 今も、二津野ダムから送られてきた濁り水が熊野川椋呂の十津川第二発電所の発電に使われた後、放流されるため、本流の清流と発電放流の汚れ水がはっきりと見分けがつき、本流の清流が濁水にのみ込まれ、熊野川が濁流に変わっています。二津野ダムの撤去や発電停止が実現すれば、それがなくなるのです。二津野のダム湖は濁り水がたまらなくなり、二津野ダムから椋呂の第二発電所に送られてくる発電放流も停止され、濁水が流れなくなります。その分の水が上流の風屋ダムや十津川村滝の第一発電所からの流れとなり、今までの十津川から新宮までの川の流れに加わり、河川の自然浄化作用も加わって、熊野川に少しでも清流を取り戻すことができます。
 死んだ川、死の川となった熊野川をダム建設以前のもとの清流に戻せという要求は、水質基準や見た目だけの濁水解消だけではなく、自然環境まで視野に入れた内容にならざるを得ません。なぜなら、もとの清流とは、そこに魚や動物、人間が経済活動を含めて共存することを意味し、魚もすみ、人も親しめる川にすることだからであります。熊野川の本流が水泳禁止になり、天然アユの遡上が激減し、釣り人の姿も見かけない状況では、川と人とのかかわりが薄れ、川に対する愛着も見方も変わります。後を絶たない不法投棄は、川や自然環境の変化への反映ではないでしょうか。川は、水をただ流すものになっては終わりです。
 今、「紀伊山地の霊場と参詣道」の世界遺産登録を進めています。その中で熊野もうでの「川の道」として、熊野川が参詣道として利用されていたことから遺産登録を目指しておりますが、単に川の参詣道というだけではなく、熊野信仰や熊野文化を生み出し、はぐくんできた聖なる川です。その母なる川がダムによって汚され、犯されているのです。こんなみじめな状況をいつまでも許しておくのですか。熊野川をもとの清流に戻すことは、今後の紀南のあり方を考えても最重要課題です。
 もちろん、濁水対策としてのダムの表面取水など、当面するダム本体の対策と治山、植林、砂防対策などの恒久対策には優劣はないと考えますが、原因究明やこれまでの対策だけでは問題の抜本的解決を先送りするだけではないかと思います。抽象的な要求や理念だけでは、なかなか進展しません。要求は具体的なものが常に必要とするならば、熊野川をもとの清流に戻せという悲願をかなえるためには、まずその歴史的役割を果たした濁りのひどい十津川水系のダムの撤去を要求することが必要であり、根本的な濁水解消の第一歩として二津野ダムの発電停止を国や電源開発に求めるべきです。
 知事、熊野川をもとの清流に戻すために、二津野ダムの撤去あるいは発電停止を国や電源開発に訴えてください。地域流域住民の悲願であり、新しい世紀の人と自然との生き方にかかわる事柄として、環境行政に大きな一石を投じる決意をしてください。お答えをお尋ねいたします。
 二番目の質問項目の自然と健康を守る環境行政の実現ですが、最初の新宮市松山の産廃問題については、たとえ建設業者がみずから請け負った工事で発生した産業廃棄物の自社処分であっても、良好な住環境が維持されるべき第一種中高層住居専用地域では行うべきではないと訴えているのです。二年以上も野焼き同然の焼却が行われ、無届けでコンクリートの破砕機が稼働し、行政指導になかなか応じていませんでした。議会で、改善命令や措置命令で作業の一時停止を命じるべきと県当局に厳しい対応を求め、一定の改善があり、焼却炉が新設されました。しかし、この場は法律でトイレなどの施設ですら建てることのできない場所であり、操業すること自体無理であることがこのことでも明らかです。こうしたことからも、問題は解決されたとは思いません。この間の到達と今後の対応をお尋ねします。
 一、今まで廃掃法に基づく産業廃棄物管理票や委託契約書の提出を求めても応じませんでしたが、今回の管理型処分場での処理が必要な廃棄物の管理票はすべて提出されたのですか。
 二、廃棄物保管について、焼却灰を詰めた大量のドラム缶が長期間放置されていますが、適切な保管でしょうか。また、廃棄物置き場の床面にシートまたはコンクリートがされていないのは改善されたでしょうか。
 三、里道が無断で埋め立てられ使用されているのに、なぜ放置しているのですか。
 この項二つ目の新宮市営球場のダイオキシンの再調査としゅんせつ土砂の処分についてですが、ことし一月に県土地開発公社所有の球場予定地のダイオキシン土壌調査が実施されましたが、二万六千平米もの広い場所で、埋められた物質も場所も特定せず、たった二点だけの調査結果では住民の安心が得られないと、ダイオキシンの再調査をお願いいたしました。また、同じ敷地の河川しゅんせつ土砂九千八百立米を野球場に敷きならす際に、そのしゅんせつ土砂にはいろいろなごみや廃棄物がまざっており、それらを完全に取り除くこともお願いしましたが、この二点についてどうなりましたか、お尋ねいたします。
 また、今後どのような形で新宮市の事業計画に協力していくのか、お尋ねをいたします。
 三項目めの、住民の命と財産を守るダム操作についてお尋ねいたします。
 今回、台風十一号における七川ダムの操作は基本的に規則に外れていたものではなく、このダムの洪水調整と発電を目的とする意義は認識するものであります。しかし、今回のダム操作について、住民の方々が納得いかないと言われることも十分理解できますので、幾つかの疑問点と今後の操作規則の見直しなどについて、六点質問をいたします。
 一、最低水位は九十五メーターであり、予備放流水位の最低水位は百三・四メーターですが、コンジットゲートからの放流で八十八メートルまで水位を下げることは技術的には可能であるのに、百三・四メーター以下にすることができなかったのは操作規則があるからですか。この点を明らかにしてください。
 二、満潮時に大量放流を行っており、今回の洪水調整計画はどのようなものだったのですか。
 三、これまでにも内部で操作規則の見直しが必要との意見がありながら、昭和四十五年に規則が定められてから操作規則の見直しをなぜ行わなかったのですか。
 四、椿山ダムの洪水期間は六月十六日から十月十五日までで、この七川ダムの洪水期間は七月一日から九月三十日と、他のダムに比べても短いですが、なぜですか。
 同様に、洪水調整は百三・四メーターからの治水容量二千万トンで行うより、少しでも最低水位の九十五メーターに近づけて治水容量をふやすことの方が、発電よりも生命、財産を優先させる姿勢ではないですか。
 五、事前の放流の下流への影響ですが、私どもの調査では、古座川水道事業団は、「冬場の渇水期に水をとめられると大潮との関係で取水口に塩水がついてくることがあるので影響が出るが、洪水期の洪水調整であればほとんど影響はないものと思う。むしろ、洪水調整はしっかりやってほしい」、また熊野川漁協は、「渇水期に水をとめられると、本流でどの程度の被害が出るかはよくわからない。洪水期の洪水調整であれば問題がないと思うが、断言できない。ただし、もし影響があるとしても、人的、物的被害というものではない」と言っており、洪水調整のための事前の放流は住民の理解と納得は十分得られるし、十分可能です。今後は、訓練だけではなく、関係機関との連絡会などを常設し、ダム操作規則の見直しなどの協議や洪水時には地元の意見が反映できるシステムづくりが大切ではありませんか。
 最後、六つ目です。雨の降り始めの二十一日午前六時時点でのダムの空き容量は二千二百八万トンであったのが、何と午後六時時点では百九十一万トンと危険な状態になっています。結局、ダムの流入量のピークを迎えた午後五時前にはほぼダムは満水状態になっており、それ以上は調整規則どおりの調整ができなくなりました。確かに、今回のダムの流入量は毎秒千二百七十二トンと大きなものでしたが、かといって、ダムの基本計画では毎秒千三百八十トンもの流入量を調整できることになっていますから、予想の範囲内です。しかし、現実には計画の三百二十トンの放流の倍近い六百二十七トンの放流を行っています。この点からも、事前放流によってダムの空き容量を大きくすることは必要であり、もう一つ大切なことは、放流量の設定などは洪水に対する七川ダムの能力を過大評価したものではないかと思われ、その点も補える河川改修計画が必要であると思います。
 以上、六点についての土木部長の答弁をお願いいたします。
 四項目めの市町村の合併問題について、簡単に質問いたします。
 合併を進める要因の一つに、厳しい状態にある地方財政が挙げられていますが、国は合併推進のために莫大な建設事業を市町村に大盤振る舞いするような内容が挙げられており、財政のひずみをもたらすのではないかと心配しております。例えば、和歌山市を除く和歌山県の市町村の合併特例債などを試算してみたら、十年間で約三千五百億円となり、一年間に三百五十億円の事業が通常の建設事業に上乗せされ、十年間の平均の建設費用は三五%増しとなります。私の住んでいる新宮市の一市四町一村の組み合わせで試算すると、何と四〇%増しで一・四倍の建設事業となります。
 これでは、公共事業がふえてうれしいかもわかりませんが、大変な財政状態に追い込まれるのではないでしょうか。合併特例債などは、合併による財政債権とは裏腹に、合併バブルによる財政のさらなる悪化につながるのではないかと心配するものであります。知事の見解を伺います。
 次に、合併の大前提は市町村の自主性を前提としたものですが、県の合併重点支援地域の指定はその自主性を損なうものではありませんか。なぜなら、ことしの十二月までには指定をする計画ですが、残り三カ月、今から市町村に打診し、意思を確認して回答を得ようとするわけですから、時間的に果たして自主性に基づいた対応は可能なのでしょうか。
 また、市町村の意向とは、首長の意思ですか、議会の意思も含むのですか、また住民説明会などの情報公開をした後の意向なのですか。自主性が前提の支援地域の指定とは、いかなる手続と期間、どの程度の意思決定が必要だと考えているのか、具体的にお示しください。
 次に、新聞記事に、龍神村で今月三日に開かれた合併問題講演会で県の職員が龍神村の人口は四千六百三十四人から二〇二五年には二千六百人に減るとの推計を示し、「こうならない間に若年人口をふやすことだが、その一つの方法は合併」と述べたとあります。一体、合併することで若年人口がふえるという根拠はどこにあるのですか。これは県としての見解なのでしょうか。
 また、「龍神村の予算の状況」というグラフを配って、歳入では村民税と地方消費税交付金が二倍になり、反対に地方交付税が半分になるという仮定を示しました。いかなる根拠からですか。そんな仮定の数字を示したことに対して参加者から、将来はこうなるという脅しではないかとの批判があります。合併は住民自治の問題ですから、住民が正確な情報でメリットもデメリットも正しく評価できる材料を提供することが必要であり、住民に示した材料は正確ではなく、反省を求めるものです。見解をお尋ねいたします。
 最後の項目ですが、日本共産党は公共事業不要論ではありません。公共事業の中身を大型プロジェクト中心から生活優先に切りかえ、公共事業からむだと浪費を一掃すれば、公共事業を段階的に減らしても必要な社会資本整備を進めることができ、福祉・暮らし型の公共事業の方が中小企業への発注率も雇用効果も大きいことは明らかではないでしょうか。低家賃の公共住宅の大量建設、下水道処理、生活道路などの生活関連施設、特養ホームや保育所の新増設、学校の大規模改修、バリアフリー化など、必要な公共事業は大いに推進すべきとの立場から、熊野川に新たな橋をかけることを提案します。
 新宮の交通渋滞の緩和のために海岸道路としての県道あけぼの広角線の工事が進捗していますが、以前から熊野川の河口に橋をかけて海岸バイパス道路としての機能を強化させてはとの構想がありますが、これとは別に新たに熊野川沿いの国道百六十八号の新宮地内から対岸の三重県紀宝町へ橋をかける必要性が叫ばれております。
 現在、新宮市を起点として大阪枚方市に至る国道百六十八号は、一日の交通量約六千台と、地域にとっては身近な生活道路であり、産業を支える生命線と言えます。それだけではなく、その県内延長の四十二キロの沿線ほとんどが吉野熊野国立公園であり、自然といやしを求めて熊野を訪れる観光客に利用されております。そして、一九九四年に紀伊半島を南北に結ぶ道路として地域高規格道路五條新宮道路の指定を受け、整備が進められており、その利活用が期待されているところであります。
 しかし、現在でも新宮市内で国道四十二号と合流することによって市内の交通渋滞の原因ともなっており、対策が求められております。また熊野川には、国道四十二号の新宮市内の熊野大橋から国道百六十八号の熊野川町日足の三和大橋までの約二十キロの間、橋がないというお粗末な状況です。このことは日常生活の上で大変不便な思いをしているだけではなく、地域活性化対策や洪水や防災行政としての道路のあり方が問われており、国や県にとっても重大な課題だと考えます。特に現在の旧熊野大橋は昭和十年にかけられた橋で老朽化しており、新熊野大橋が災害などによって使用できなくなれば交通が遮断され、近くに迂回路すらないでは大変な事態になります。
 新たに橋がかかれば、車の流れが分散して渋滞が緩和されるだけではなく、熊野大橋のバイパスや迂回路としての役割を果たすことができます。特に紀宝町の住民は、今回の台風被害から防災対策の面からもその必要性を訴えており、県境にかける橋ですから、こうした動きにも和歌山県も機敏に対応し、協力して事に当たっていくことが実現への近道だと思います。初めての話でもあり、調査研究していただいて、ぜひ次の機会に前向きのご答弁をいただくことを期待・要望して、第一回目の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの金田眞君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの、熊野川の汚濁といいますか白濁の問題でございます。
 熊野川は、世界遺産登録の問題もあります。そしてまた、環境保全、緑の保護ということから非常に大事な川であるという基本的な認識を私自身持っております。そういうふうな中で、あそこを車で通りますと、あるところから急に乳白色の水がまざってくるという問題について、私、かねてから非常に問題視をしていたところでございます。
 二津野ダムについては、電源開発の方もこれを全く問題視していないわけではなくて、県からの今までの要求等もあって、洪水後、濁水をできるだけ早く放流し、そして発電を一時停止し、きれいな水を貯留し、さらに濁水を軽減するということは実施していただいているようでございますけれども、これが十分でないということは今の結果でも明らかなわけでございます。
 今後といいますか、近々のうちに、これはいろいろ──本当はもう最終的には発電中止、ダムの廃止ということなんだろうと思いますけれども、いろんな事情があると思いますので、すぐにそこまでというわけにもいかないと思いますが、選択取水等、いろんな方法も考えられると思いますので、近々、県の幹部を電源開発の方へ派遣して、この問題にいかに地元として強い要望があるかということを──要望というより意向というものがあるかということを示していきたいというふうに考えております。
 次に、合併特例などで財政需要が高まるので、これは財政再建とかそういうふうなことと反するのではないかというご質問だろうと思います。これは確かに、一面短期的には、起債をしてその元利償還金を全部交付税で見ると。そうすると、その交付税の原資はまた借金によっているわけですから、今の財政再建路線とちょっと違うんじゃないかと。これは、その限りでは当たっていると思うんですけれども、ただ、この市町村合併ということは、合併することによって長期的に行政コストの効率化を図るということを目指しておりますので、さらにその先にある大きなコスト縮減ということの観点からこういう措置をとるというふうに理解をしているところでございます。
 この観点から、国の構造改革のプログラムの中でも市町村の再編促進がそういうことにつながるというふうに言っておりますので、この限りでは一応筋が通っている話ではないかと私は思っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 環境生活部長秋月成夫君。
  〔秋月成夫君、登壇〕
○環境生活部長(秋月成夫君) 新宮市の産業廃棄物処分関係、三点のご質問にお答えいたします。
 まず一点目の管理票に関するご質問についてでございますが、平成十三年八月二十四日に事業者から新宮保健所長に対し、平成十一年度及び平成十二年度の管理票等の写しが提出されたところであります。そのうち、管理型廃棄物である石こうボードに係る管理票について調査中であり、廃棄物の量及び受入先等について関係者に確認をしてまいりたいと考えております。
 次に、二点目の焼却灰の保管についてでございますが、事業者から平成十年十一月から平成十三年八月までの間、事業場内でドラム缶容器に詰めて保管しているとの報告を受けており、飛散流出のおそれはないものの、長期間の保管は廃棄物の適正処理の観点から望ましくないため、適切な処理業者に処理を委託するよう指導しているところでございます。
 最後に、三点目の廃棄物保管施設に関するご質問でございますが、保管基準では地下水を汚染させるおそれがある場合は床面等の浸透防止を図ることとされておりますが、現在保管しているのは木くず、廃プラスチック類等であり、地下水を汚染させるおそれがないものと判断しており、今後、燃え殻等の地下水を汚染させる廃棄物を保管する場合は浸透防止を図るよう指導してまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず新宮市松山での里道の無断使用についてですが、里道を無断で埋め立てて使用することは、国有財産の適切な管理に反する行為と認識しております。このため、行為を知ったときから、里道を埋め立てて使用している者に対して境界明示と払い下げ、またはつけかえの手続を行うよう継続的に指導しています。引き続き強力に指導を行い、境界を明確化するとともに、適切な財産管理に努めてまいります。
 次に、新宮市営球場に関するご質問にお答えいたします。
 まず、新宮市営球場の土壌追加調査の結果につきましては、重金属類、ダイオキシンともに環境基準を満足しており、安全であると確認いたしました。
 次に、しゅんせつ土砂以外の処理については、分別等を行い、適切に処理いたしました。また、野球場予定地の整地につきましては、野球場建設の主体である新宮市と協議してまいります。
 次に、七川ダム操作についてお答えいたします。通告の四点をまとめて順次お答えいたします。
 一点目のダム操作についてでございますが、操作規則に基づき実施しております。今回のダム操作によりまして、最大毎秒千二百七十二立方メートルの洪水を約半分に調節したところでございます。また、事前放流につきましては、今回の事前の水位が百・二メートルであり、操作規則で定めた予備放流水位百三・四メーターよりも低い状態でありましたので、行わなかったものでございます。また、仮に放流する時期を満潮時よりも早めた場合には、今回よりも最大放流量を多くせざるを得なかったものと考えます。
 二点目の操作規則の見直しについてでございますが、今後よりよい操作を目指して、洪水前の放流等も含め、企業局や町と連携して操作規則の見直しについて検討してまいりたいと考えてございます。
 また、三点目の地元意見の反映についてでございますが、地元の皆様からも予備放流水位の見直しができないか等の要望をいただいておりますので、町と連携しながら検討してまいりたいと考えてございます。
 四点目の河川改修計画につきましては、今回の災害の実態を踏まえて策定してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併についてのご質問に一括してお答えいたします。
 まず、合併重点支援地域の指定に当たっての県から市町村への意見聴取に対する市町村における意見集約についてでございます。これは各市町村ごとにご判断いただくものでございますが、一般的には市町村長が議会などとご相談いただきながら回答いただくことが多いのではないかと考えております。
 また、その回答期限は必要とされる期間等を勘案しながら検討してまいりたいと考えております。
 次に、龍神村が開催した講演会に関してでございますけれども、まずご指摘の若年人口をふやすことの趣旨でございます。これは、若年人口の割合が高い市町村と合併した場合に若年人口比率は同村の現在の数値よりも高まると、こういう趣旨のものであると理解をいたしております。
 次に、財政に関する資料に関する指摘でございますが、まず市町村合併と交付税の見直しは別のものでございまして、合併したことをもって交付税を減らすといった関係に立つものとは考えておりません。今後、地方財政制度改革の一環として交付税制度の見直しが行われていくことが予想される中で、市町村長など交付税の将来のあり方に関する関心が非常に高くなってきておりまして、ほかにもいろいろ理由があろうかとは思いますけれども、このようなことも踏まえる中で合併に対する真剣な検討の機運が生じているものと理解をいたしております。
 このため、配布資料に示しました交付税の二分の一という数値はわかりやすい例としてあくまでも仮定の数値を置いて示したものでございまして、誤解のないようにその旨の説明も行い、また、いろんな別の数字を置いてそれぞれ財政面からの検討をいただけるよう注意を申し上げたものでございます。市町村の方々が市町村合併についての取り組みを行う際に適切かつ具体的な情報の提供が大切であると考えておりまして、さらに適切な対応に努めてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 知事、熊野川の濁水問題についてですけれども、この問題は、この間いろいろ調べさせていただきましたら、本当に新宮、東牟婁選出の先輩議員の方々がそれぞれ重要な時期に濁水対策について、この議場で取り上げておられます。まさに、こういう意味では地元の悲願だと思います。
 ここに、昭和二十一年から昭和五十三年までの新宮川に関する新聞記事のファイルがありますけれども、この中に、昭和五十二年十月十六日、新宮市議らが県庁を訪れた様子が書かれております。この記事では、二津野ダムの撤去や発電停止について、新宮市議が当時の下川県会議長とご一緒に知事など県幹部と会談したとあります。そしてその中で、新宮市議の一人が二津野ダムの撤去、このことをもう既に述べているわけであります。別に今、私が初めて言うわけではないわけです。まさに昭和五十二年、この当時から問題だったんです。その点を十分認識していただきたい。長い歴史があります。
 たまたま、きのう、テレビドラマのお話の中で「ほんまもん」の話がありました。その中で知事が、熊野には、紀南にはほんまもんの自然があると発言しておられました。そうありたいと思います。しかし、熊野川をこのままの状態で置いていたら、ほんまもんの自然はある、ただし熊野川は別ですと、ただし書きをつけなければうそになるというような残念な結果になってしまいます。ぜひ発電停止、よろしくお願いしておきたいと思います。
 次、合併の支援地域の指定について確認しておきます。いつまでにそれを決めるかというのは各自治体、市町村で決めたらいいことですね。その点を確認しておきます。
 また、龍神の講演会について、職員はそれなりに一生懸命資料もつくったんですけれども、その真意が伝わらず、また根拠のない数字を示したから混乱を与えました。こうしたこと、根拠のない数字を出すのはやめていただきたい。このことは要望しておきます。
 次、松山の産廃問題です。土木部長、答弁わかりました。もう本当にご指摘のとおり、前からの話で、以前にもここの問題、ちょうど同じ場所、県の土地を無断使用していることで議場で取り上げました。直ちにそれをやめさせていただきました。そのように、今回も適切、敏速にかつ住民も納得できるような形で作業を行っていただきますよう要望する次第です。
 さて、七川ダムの問題について、はっきり申しまして、答弁者漏れはありませんが、私は答弁漏れだらけだと思います。私は、今回もできるだけ具体的に六点の質問をしました。それを要約して四点だけ答弁いただいたわけですけれども、具体的な話ですよね。二者択一のような質問ですよ。一つ目の質問は、百三・四メーター以下になぜできないのか、それは規則があるからですかと、こう聞いているんです。そうです、そうでないです、はっきり言ってくれればいいいんです。何でこんな当たり前のことを聞くかと言えば、以前は事前放流をやってくれたやないか、何で今度はやってくれんのな、こうした住民の疑問があるからですよ。だから、それに答えたいから聞いているわけです。
 次もそうですよね。三つ目の、これまで内部で操作規則の見直しが必要との意見があったはずやと。それが何で変わらんのよ、昭和四十五年から変えてくれなんだんよと聞かれたら、答えたいじゃないですか。だから教えてくださいと言っているんです。簡単なことでしょう。
 それから、ダムの洪水期間。ほかのところは長いのに、何で七川ダムだけそんなに短いんよと言われたら、それはこうこうの理由ですよと答えてあげたいじゃないですか。また、答える義務があるんじゃないですか、県は。
 そして、百三メートルの水位にするよりも九十五メーターに下げた方が、発電優先でなく生命、財産を優先にするんじゃないですか。これは、だれでも考える単純なことですよ。そのことに対して、こうこうですよと説明してくれりゃいいことです。
 特に、二つ目の問題です。特に問題になったのは、満潮時に大量放流を行ったと。だから、今回の洪水の調節の計画、予想はどうだったんですかと、そういうことも十分事前に予想して立ててくれたんですかと聞いているわけです。だから、こういうふうに立てました、これですと、はっきりと示してくれればそれで済むことでしょう。そうしたことには明確に答えてくれないで、ほかのことを言っておられるのでね。今回、幸い人の命を失うことはありませんでしたけれども、本当に大きな被害を与えました。そのことに対して、いろんな疑問を持っております。もちろん、感謝している面もあるんですよ。しかし、いろんな疑問があったら、そのことに対して、わかる範囲、答えられる範囲は答えてくださいよ。これぐらいのことは答えられる範囲でしょう。違いますか。再度ご答弁をお願いいたします。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) まず市町村合併についての再質問でございますけれども、言うまでもなく、市町村合併は市町村が自主的にみずからの将来の展望に立ってご判断いただくべきものであることは当然でございます。
 重点支援地域の指定に当たっての市町村からの回答も、当然のことながら市町村それぞれのご判断によるべきものと承知をいたしております。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 再質問にお答えいたします。
 まず事前放流についてでございますが、事前放流につきましては、今回の事前の水位が百・二メートルでありまして、操作規則で定めた予備放流水位百三・四メートルよりも低い状態でありましたので、行わなかったものでございます。
 また、満潮と放流との関連でございますけれども、仮に放流する時期を満潮よりも早めた場合には今回よりも最大放流量を多くせざるを得なかったものと考えております。
 それから、操作規則の見直しの件でございますけれども、ご指摘のとおり、この規則は昭和四十五年に定めたものであります。いずれにいたしましても、今回、地元の皆様からも見直しに関する強い要望をいただいておりますので、今後よりよい操作を目指して町と連携しながら検討してまいりたいと考えております。
 それから、洪水期間のお尋ねがございました。洪水期間につきましては、流域の特性等を考慮して定めておりまして、水系により異なるのが一般的でございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 二十五番金田 眞君。
○金田 眞君 答えてくれということでまた答えて、またそれが答えになってないということの繰り返しになるので、もうあれですけど、一つ、非常に心配しているのを一点だけ指摘しておきますよ。予想、計画の問題です。
 ここに、そちらからいただいた「出水時におけるダム管理状況」という表があります。これには、調整した放流量等も全部書いておられます。それは結構なんですよ。ただ、私ども、国から出ている一つのマニュアルがあるんですよ。その中には、予定の流入量、放水量を書くような欄があるんです。しかし、おたくからいただいたやつにはその予定量がないんですよ。ね。ですから、こういうことでは、果たして予想を立てたんかな、計画を立てたんかな、そのこと自体疑問に思うじゃないですか。そのことを聞いているんですよ、我々ずっと。だから、特別難しいこと、何にも言ってないんですよ。比較してみたら予想というのが足らんから。国のやつにはあるけど、こっちにはない。だから、ちゃんと立ててくれたんたかなと、そういう不安、疑問さえ感じてしまいますよ。そういうことを本当に真摯に考えていただいて、特にダムの能力の問題について──あのダムの果たす役割、わかっています。しかし、過大に評価しないで、本当に住民が安心して暮らしていける──今回の地元説明会の中でも県の職員の方は言っておられましたね。ダム一つで守れるもんじゃないんだと。能力の限界がありますよと、県みずから認めているわけですから、住民が安心して暮らしていけるようにぜひ対策を講じていただきますことを要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で金田眞君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時五十五分休憩
     ─────────────────────
  午後一時二分再開
○議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十八番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 お許しを得ましたので、通告に基づき質問させていただきます。
 まず冒頭、会派を代表して、去る七月十日急逝された木下秀男議員に謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
 また、十一日に勃発した米国ニューヨークの世界貿易センタービルほかへの同時多発テロ事件に対しては、理由のいかんを問わず、断じて許せるものではありません。犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被害者の方々、関係者の皆さんに対して心からお見舞い申し上げます。
 では、質問に入ります。
 ITバブルの崩壊により、国内の電機産業においても相次ぐリストラの発表が新聞紙上をにぎわしている中で、今回のアメリカにおける卑劣な同時多発テロにより多数の人命が失われ、世界の金融の中心が麻痺し、その影響で世界的な不況が起こるのではないかと懸念されております。我が国においては、ただでさえデフレが進行し、失業率も上昇し、求人と求職とのミスマッチが言われている中で、本県への影響が心配されております。国においても、雇用確保に向けて補正予算編成の声が上がってきており、小泉首相が構造改革のための公約として掲げている国債三十兆円についても賛否の議論が起こっております。
 そのような中で地方財政は危機的な状況にありますが、本県においても、昨年五月に公表した財政運営プログラムIIにおいて、平成十五年度までの財政健全化期間中に取り組む具体的な健全化方策と削減目標額が示されましたが、その内容を見るとカット、カットのあらしのようで、暗い気持ちになってしまいました。また先日、木村知事が三重県の北川知事と共同で提案された緑の雇用事業は高く評価され、全国の自治体を初め知識人を含めた世論を喚起したことから、これからは経済や政治については地方がリードする時代が到来したと感じました。
 このような状況を踏まえ、間もなく編成に取りかかられるであろう平成十四年度の予算編成方針についての基本的な考え方を知事に伺いたいと思います。
 まず第一は、平成十四年度の予算編成においては、これまでの一律シーリングではなく、県勢活性化、雇用創出など、県の重要課題を解決していくための事業については積極的に予算化するなど、めり張りのきいた予算編成を行うことが必要と考えるが、どのようにお考えでしょうか。
 二点目として、県勢活性化や雇用創出など県の重要課題を解決していくための事業を積極的に予算化するに当たっては、ある程度公債費が膨らむこともやむを得ないのではないかと考えるのですが、どのようにお考えでしょうか。
 もちろん私は、いたずらに借金をふやせと言っているのではありません。六月議会でも述べたとおり、人件費の削減や県単独補助金の見直し、さらには県外郭団体等のスリム化など思い切った行財政改革により、経常経費とりわけ事務費のむだを総点検し、さらには年次別に削減目標数値を設定し、実行していくことで、むだな歳出を絞り込んだ上で、県勢活性化や雇用創出など県民の生活や地域の活性化につながる事業のために行う借金については、その返済を次の世代にゆだねることになっても県民の同意が得られるのではないでしょうか。また、本県のように南北に長く、いろいろな特性を持った地域を抱える県にあっては、費用対効果といった効率性という短期的な尺度だけで判断するのではなく、地方の特性にも配慮して、県民の立場に立った行政を進める公共性という視点が求められており、その期待にこたえていく責任があるのではないでしょうか。知事の和歌山の特性を生かした県政を実行する、その能力を十分に発揮する上でも、また厳しい社会経済情勢の中でこそ、ある程度の借金をしてでも地域経済に活力を与える施策をとることも、公共という立場から求められているのではないでしょうか。
 以上、県の予算編成について私の考え方を申し上げましたが、知事のご見解をお伺いしたいと思います。
 次に、こういった基本的な立場に立って、県勢活性化と雇用確保のため、知事の言う、県内にある特性を生かした産業を構築するための具体的な施策をどうするのかでありますが、私はたくさんの事例の中から、具体的に本来やるべき事業の活性化と雇用についてご提言申し上げたいと思います。
 福祉関連施策では、特別養護老人ホームの整備必要見込み数を県が定めておりますが、三百五十床必要で、五十床ホーム、七施設つくるとして、一施設職員数三十名としても二百十名の雇用であります。老人保健施設では、県では五百床必要で百床の五施設をつくるとして、一施設五十名として二百五十名の雇用創出が図れます。これにデイサービス等の付加サービスがあればさらに雇用増になり、地域経済への波及効果は大きいものがあります。ただ人を雇うだけではなくて三度の食事をしてということなので、事務経費や仕入れ材料にしても大変な波及効果があると思います。また、ほかにケアハウスも考えられますし、支援センターのデイサービス、訪問看護ステーション等の要望計画を実施するならば、かなりのホームヘルパーの確保が必要であります。国もホームヘルパーを確保していく方向を定めていますが、県においても、その計画にこたえていくためにはかなりの予算も必要とされると思うのであります。
 次に環境施策においては、これは一点だけですけれども、この不況の中で土木建設業者はかなり落ち込んでいくのではないか。近畿管内では、この八月末の倒産件数三百八十のうち百二十が土木建設業者だったと言われております。国においては、土木建設業者の転換事業として環境ビジネスを取り上げ、支援していくとしております。例えば、建材、廃材のリサイクルに関しては、それに対する初期投資への補助、また低利融資の金融補助、そういったことも緊急雇用対策の中で考えられると聞いております。そういう緊急雇用対策という意味だけではなくて、和歌山県が今必要としている環境問題について、建設リサイクル法や食品リサイクル法等を通じて新たに環境ビジネスを起こす事業者に対する支援をすることにより雇用の場が確保できるのではないでしょうか。
 教育施策においては、ハード面では大規模改造整備、教育内容の改定等に伴う新築改造整備事業、部分修繕事業、耐用年数から見て毎年一校の建てかえを必要とする新築事業を実施すれば、毎年の投資額は七十四億円が必要であります。ソフト面では、緊急対策として県下で専門職の補助教員を六カ月で三百名余りを雇用すると言われておりますが、専門職に六カ月というのは非常に実情に合っていないと考えます。きのう、おとといと各議員が言われましたように、むしろ四十人学級を三十人にするということで大幅な教員増になり、新たな雇用を創出するのではないでしょうか。
 土木施策においては、県民の生命と財産を守るというこの一点だけを見ても、平成十一年度末で本県の河川の整備率は三二%、平成八年度の土砂災害対策に関する整備率を見ると一七%、地すべり七%であります。土石流の土砂災害危険箇所では千六百十一の渓流がありますし、地すべりでは四百九十五カ所、急傾斜においては二千二百八十七カ所がまだ放置されたままであります。県民の生命と財産を守るという意味からも、事業としてかなりのお金が要るわけであります。
 県単独事業は、和歌山県の中山間地域にとっても大きな役割を果たしています。農林分野だけ言いますと、農業構造改善事業は国の補助事業ですが、規模、金額も大きく、農家がその事業を活用することは非常に難しい。一方県単独事業は、百万円単位、多くて一千万円程度の金額であります。農家の負担が割安になって、地域にとって大きな成果を上げております。このように、県勢活性化と雇用確保のための施策はたくさん考えられます。
 私は県財政が大変厳しい実態を勉強させていただいておりますが、県民の要望にこたえ、不況で沈滞した和歌山県の状況に少しでも明るい風を吹かすために、あえて借金をしてでもやることの必要性を提起したいわけであります。
 私は二月議会で、知事に対して、森林、林業政策について、これが雇用と新たな産業を創出するという立場で問題提起させていただきました。二月議会の知事答弁では、非常に前向いた話をしていただきました。とりわけ緑の雇用事業について知事は、三重県と共同しての林業経営、そして森林の果たす役割について答弁されました。それが、期間を置かず即座に実現されたことについては大変評価すべきことであります。
 ちょっと雑談で悪いのですが、あるとき私は、知事の大阪時代の友達の和大の教授とお話しする機会が何回かありました。その先生が、八月二十一日の「地方活性化 山の環境保全で雇用創出」という知事の論文を読まれて、「いや、知事、大変変わったね。大阪でおるときは、そんなことちっとも言うてなかったけどな」と言っておりました。もう一つは、「ガバナンス」の九月号にも知事が緑の問題を取り上げながら和歌山県の問題について対談をしております。こういった意味で、和歌山県の実情に触れて、和歌山県を何とかしなければならないという意思が全国にインパクトを与えたということを高く評価したいと思います。その教授に、私はこんなことを言うたんです。「もうじき知事の言葉も田辺弁で言うたら「やにこいええとこやさかいに紀南へも来てくれよ」という言葉になるで」と、一杯飲みながらそんな冗談を言うたわけです。それほどに、知事が和歌山県の今の立地条件の中で、どういうふうにして経済活力と雇用を創出していくかということが、いみじくもそこにあらわれていると思います。
 そこで私は、森林、林業の雇用実績についてのデータを林業の方からもらって、これを計算させてもらって表にしてみました。平成七年から平成十二年までの集計を各年度別に事業費として、とりわけ林道事業、治山事業、造林事業、そして平成十一年から十二年、今年度までの雇用緊急対策事業とそこで働く林業労働者の延べ実績、それを載せております。最高で平成十年では五十二万七千七百三十三名が延べにして働いておりますし、平成十二年では四万一千三百七十六名が林業従事者として働いているという実績が出ております。そういう意味では、知事の言われている大きな成果がここにあらわれていると思います。そのことを高く評価しながらも、ただ私が心配するのは、景気が悪化し緊急雇用対策が検討される過程で、必ずと言ってもいいほど国から出てくるのが森林整備による雇用創出構想です。しかし、いずれも期限つきで、便宜的なものであります。どうか、緑の雇用事業を一時しのぎではなく永続的な国の施策となるよう、知事を先頭に地方の声を国に訴えていかなくてはだめだと考えますし、知事も言われているように、粘り強く頑張っていただきたいと思います。
 それに加えて、この議会が緑の雇用事業議会と言われるぐらい、皆さん質問されておりますが、緑の雇用事業を進めるに当たっては、森林、林業基本計画と一体でなくては継続できません。林業を育てる入り口と出口の政策を強化することであります。そのためには、公共事業による木造、木質化の推進、木造住宅を県内外に拡大推進する、木質活用によるバイオマスエネルギーのモデル試験場建設等の木の産業づくりに向けた施策が必要ではないでしょうか。森林、林業を中心とした一次産業によって山林従事者を中心とした雇用と地域振興に役立ち、紀州材の振興によって製材所を含めた二次産業が活発化し、木造住宅に伴う職人さんの復活と新しい産業及びエネルギー産業の構築が生まれるのではないでしょうか。日本の木の文化に立ち返る方向に必ず進むと確信しておりますし、和歌山県の基幹産業に発展すると確信しております。
 知事に提言したいことは、二月議会でも申させてもらいましたが、緑の雇用事業が全国的に評価され有名になった機会を活用して、国に対し、NEDOとか筑波大学等とも連携しての木質バイオマスエネルギーのモデル試験場建設を強く要望したいのであります。緑の雇用事業を活用しての木質バイオマスエネルギーのモデル試験場を建設すれば──県はお金は要りません。高知県の深層水もそうであります。NEDOが建設して高知県に無償で提供したということもあります。そういう意味でも知事の見解をお聞きしたい。
 最後になりますが、二月議会において、森林、林業政策に林務局体制をとるよう要望しましたが、再度、この議会で要望しておきたいと思います。
 ところで、緑の雇用事業のサブタイトルとして、緑の雇用事業というだけでなくて「森と人間の共生 緑の雇用事業」というネーミングにしていただけたらありがたいなと思っております。
 次に二番目の、御坊火電のばいじん暴露試験の実施についてお尋ねします。
 梅生育不良原因解明は、あらゆる手だてをしてきた。この時点に至って、唯一残された研究課題である御坊火電のばいじん暴露試験に県は踏み切るべきだという点であります。今、梅産業は大きな転換期にあると言われています。農家は梅の価格、販路について大変厳しく受けとめ、克服するため、あらゆる知恵と努力で立ち向かっていますけれども、農家にとって命である梅の木の立ち枯れは農業を継続していく上で大きな問題であり、試練として片づけられるものではありません。なぜなら、この十数年間、栽培管理を初め農家ができることはすべてやり尽くしたのに結果が出ないことから、農家はみずからの努力に限界を感じているわけであります。梅生産価格が厳しい中で、梅の立ち枯れ問題が弱っていくのではとか、軽視されるのではといったことはみじんもありませんし、見過ごされるべきものでもありません。梅の木は、農家の命であり、働く人生であるからです。
 この前の六月議会において、田辺地方の新規の立ち枯れ本数が減るのではないかと述べましたが、南部川村や印南町では立ち枯れ街道と言われるぐらい、ことしも増加しています。紀南梅産地の技術のモデル園であった印南町の切目の農園とその周辺は、もう見る影もありません。今まで、田辺からも、日高からも、上富田の丘からも訪れ、指導を受けたその農園がもう見る影もない状態になっていることは、非常に情けない話であります。
 うめ対策研究会の最終報告によると、梅生育不良の発生メカニズムは、栽培、土壌、気象原因などが複合的に絡み合って、樹体内に養水分ストレスを引き起こした結果であるとされています。私は、養水分ストレスの問題も取り上げました。ことし一月から五月下旬の雨量の実績を見ると、乾期が続き、約四百ミリを切っている状態であります。JA紀南での立ち枯れ発症本数が多かった平成九年は一万七千五百本ですが、そのときの雨量は六百ミリを超えていました。平成十一年の一万八千本の立ち枯れのときは、四百ミリを上回っているわけであります。四百ミリを切った過去二番目の乾期であることしは、立ち枯れの症状が一気に出るのではないかと心配していましたが、秋津川を初め一部の地域では昨年より少ない状況であります。
 さて、御坊火電の稼働率を見てみると、平成八年までは三〇%を超えていますが、平成十年が一〇・四%、平成十一年が一一・三%、平成十二年が六・七%、十三年の初期においては、夏場以外はゼロに近い稼働率であります。水不足、水ストレスでも枯れるけれども、少なくとも過去二番目の乾期でも軽症樹が生き返っている実態を見たとき、やはり大気との関係を究明する非常に大切な時期に来ていると、私は指摘しているわけであります。
 これまで県が実施してきた生理・生態特性の総合解明、適正着果管理技術の開発、適正な土壌管理技術の開発、優良台木の選抜と大量増殖技術の開発、土壌微生物診断、総合実証園を核とした技術対策の浸水、糸状菌の微生物診断、大気環境等影響調査と、八項目にわたり全般的に調査していることについては評価しております。しかし、その努力の中でも原因がはっきりしない状態がいまだに続いていることについては、他の要因が誘発して原因が起こっているのではないかということを考える以外にないわけであります。原因究明と対策の確立のための調査検討を実施していますが、大気環境等影響調査について、降下ばいじん量の調査とばいじんの成分分析を県はやると言っていますが、現状ではなかなかそれだけでは実態に合わない。
 二月議会における私のばいじん暴露試験に関する質問に対し、知事から、「ばいじんの直接暴露については、技術的な面などから現在のところ難しいものと考えております。 今後の調査研究を進めるに当たっては、多くの方々の意見をお聞きするとともに、専門家の指導も受ける中で、科学的に評価できるものについては迅速に取り組まなければならないものと考えております」と答えております。また、部長の答弁では「直接暴露の点につきましては(中略)科学的評価ができる研究手法があるかどうかは検討してまいりますし、また別途、他の人々から新たな研究手法のご提案があれば、県としても他の専門家の意見も聞きながら総合的に検討し、対応してまいりたい」との答弁がされています。ばいじん暴露試験について、やるのかやらないのか、理解に苦しみます。
 私は、過去九回の議会を通じて、一貫して大気と梅の立ち枯れについて研究テーマを提言してきました。ばいじん試験に関する答弁を受け、科学的に評価できる新しい研究手法があるかどうか専門家の意見を聞きながら検討したいとの考えに立ち、私たちは田辺梅対策協議会で専門家の協力をいただき、大気と梅生育障害の研究を実施し、この一年六カ月間にわたるハウス内とハウス外に植えた梅の木の実証研究の中間成果をまとめた中で、内と外では対照的な結果が出てまいりました。今後、その露と霧の発生量頻度と酸性降下物に焦点を当てた梅生育障害の原因究明が求められるということが中間総括の中で述べられております。とりわけ酸性降下物の問題で、私たちは唯一残されたばいじん暴露試験による原因究明が立ち枯れ問題の解決への足がかりになるのではないかと期待しております。田辺市長初め、田辺梅対策協議会も期待しております。県当局の答弁に誠意があるのなら、専門家の意見を聞いてばいじん暴露試験をすることが農家やJAの期待にこたえるものですし、それを否定する理由は見当たらないと思うのです。もし県が行わないのなら、県はばいじんの提供を関電に対し求め、専門家を含めた研究機関に提供してください。県当局のお考えを聞きたいと思います。
 最後になりますが、私たち農家は大気について、雨が降ったら雨の中にどういう成分があるかと、pHの検査とかアサガオの検査をずっとやっております。知事にこれを見ていただきたいのですが、六、七、八月とフル稼働した御坊火電であります。そのときに、このカラー写真でも全部見えるくらい、アサガオの斑点の現象が起こりました。これは以前からも起こっているんですが、一番新しい資料でも、こういうアサガオの斑点が出ております。これは泉南でもそうですけれども、全国の火電の周辺でほとんどこういう症状が出てきたということが全国の公害の中で発表されていましたが、いみじくも我々のところもこういう症状が起こってきているという状態であります。それを踏まえながら、唯一残されたばいじん暴露試験に対して、県が今そのことを──私は、シロやクロやとは言っていません。県が試験をして問題がなければいいわけでありますから、積極的に対応してほしいというのが私たちの願いであります。
 次に、紀州梅のブランドを守る販売戦略についてお尋ねします。
 日本経済の現実は梅産業にとっても今までの右肩上がりから厳しい実態を味わい、梅生産日本一の産地である私たちは大きな転機を迎えています。この危機を乗り越えるために、今、梅生産農家、JA、加工業者、行政が立場を超えて、紀州梅産業と産地を守り抜くために一丸となって将来への取り組みを考えていかなければならないという方向で真剣に議論されています。こういった時期に、県行政の果たす役割は大きいと思います。
 これからの方向を見出していくために、一つ目は、梅の消費拡大をするために梅の製品開発と梅の効能を科学的に分析して消費者に安心してもらい、健康食品として確実なものにするために県行政の支援をどうしていくのか、お尋ねしたい。
 二つ目は、情報収集、市場流通、国内産地間競争、中国梅輸入とその商品の動向等を的確に把握してどう対応していくのか、販売戦略が今求められています。ことしの青梅出荷の現実は、産地としてのコントロールタワー、つまり県下を総合的に把握して、どう手を打っていくのか、組織的経験が薄いために非常に混乱をしました。そのことを痛感しました。県行政は、指導という立場でなく、関係するJA、農家、加工業者をコーディネートする役割を果たし、関係者がまとまり、知恵と力を出せる組織の確立をどうしていくのか、お尋ねしたいと思います。
 三つ目は、私たちは果樹王国日本一の上に少しあぐらをかいたのではないかな。果樹王国日本一は、生産者だけのものでなく、消費者である県民に支えられた果樹県として、地味であっても具体的なPRに取り組むという意識が少し軽薄ではなかったか。和歌山県に入れば、梅と四季の果樹が至るところにちりばめられている風景をつくろう、私はそう思います。駅をおりれば梅があり、ミカン、カキが盛られた風景、飲食店に行けば食前酒に梅酒が出て、最初のつまみの一品に梅料理が出される、会社や役所を訪ねるとお茶と梅茶菓子が出され、応接室などにミカン、カキが花のかわりに盛られている風景、小中学校の給食にご飯と梅、料理にも果樹を利用した一品がといった風景をつくっていく姿勢や、そのような県民に支えられ、県民の食卓に支えられる果樹県として足元からスタートして、県内外に情報発信することが消費拡大につながるものと信じています。県当局としても、農林水産部という枠ではなく、関係部局がそういう姿勢で、あらゆる機会、イベントを含め、一定の方針により確立された県民運動として定着していくよう、官民協力し合って進めていきたいと思いますが、どうでしょうか。
 最後になりますが、梅産業にとって厳しいことであることは確かです。日本の企業が中国に進出し、日本の産業を空洞化させてでも利益を求めて出ていくが、農家は農地を持って中国へ行けないのです。だからこそ、セーフガードを含め、主権国家として農業保護政策をとることが求められているわけであります。繰り返しになりますが、中国梅にどう対抗していくのか、国内産地間競争にどう打ち勝つのか、梅加工業者が中国に全面移転するような事態が発生するとしたら──ある加工業者は、これからしばらくは中国からの輸入製品、最終製品も含めての戦いが続くだろう、もしそれで国内加工品が負ければ、輸入梅を扱っている加工業者は中国に全面的に工場進出せざるを得ないと語っております。私たちはこの転機を好材料として、梅生産日本一、果樹王国和歌山の存亡をかけ、官民一体となっていく必要に迫られています。県当局のご見解をお聞きして、私の第一回の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの原日出夫君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 予算についての基本的な考え方でございます。
 来年度の予算編成については、非常に厳しいというか、先行き不透明な状況を感じております。一つは何かと言いますと、国の小泉構造改革の中でいろんな問題が出てきています。一つは、交付税等の税制がどういうふうになってくるのかが不分明ですし、道路特定財源を中心とする補助金なんかの動きがどういうふうになってくるか、こういうことは県の予算に大きくかかわってきますので、こういうことの見きわめも必要です。そして一方では、痛みを伴うということの痛みをなくすということから、雇用対策が今度の補正予算でも大きな問題となると思いますが、来年度の当初予算でも大きな問題になってくる。こういうことにも県として対応していく必要があります。そしてまたご案内のように、和歌山県の景気が非常に悪い中で、産業再生のための施策ということも県独自でも考えていかなければならないということで、いろんなことを考えていかなければならない予算になってくると思います。
 そういう中で、シーリングにつきましては、これまで予算を一定の規模に抑えていくということで非常に大きな役割を果たしてきたことは否めないわけですけれども、シーリングを行うことが、ともすれば新しいことを考えていく気持ちに枠をはめることにもなってきた経緯もございますので、来年度については、シーリングは一定維持しながらも、新しい施策にどんどん進んでいけるような形での予算編成ということも、そういう不分明な中でも行っていきたいと思っています。
 それから、こういう時期であるので公債費をふやしてでも仕事をしたらどうかというお話でありますけれども、和歌山県の公債費と借金の残高がここ十年間で二倍になっております。それで和歌山県の景気がどんどんよくなっているなら、税金が入ってきて、交付税が入ってきてこれを返していけるんですけれども、税金が入ってこなくなってきている一方で、借金と借金を返すお金が二倍になっているという状況の中では、安易に借金をふやしていくわけにはいかないだろうと思います。ただ、そうは言っても、本当に必要な事業と、必要であるけれども、それに比べれば優先度が低いもののチェックは、今まで以上にもっと厳しくしながら、本当に必要なものについては積極的にやっていかないと、これからの和歌山県の大計を誤ることにもなりますので、その辺は真剣に考えていきたいと思っております。
 何といいましても、国の方は幾ら赤字国債を発行しても、大変にはなるけれども国がつぶれるということはないんですが、自治体の場合は財政再建団体になるというたががはまっておりますので、そうなると責任ある財政運営とは言えないことになりますので、その両にらみでやっていかなければならないところに非常に難しさがあると思っております。
 そして、来年度の予算の中では、特に今ご質問の中でご示唆もありましたけれども、雇用を生み出していくような施策を県も考えていかなければならない。これは非常に大事なことだろうと思います。先日、別の議員のご質問にもありましたが、人の移動が雇用を生み出すという貴重なご示唆もありました。そういうことも踏まえて、何とか県の施策で雇用を生み出していくという形も考えていかないといけませんし、現に今一定の雇用を行っている部分について、それも尊重していかなければならないという気持ちも非常に持っているところでございます。
 それから緑の雇用につきましても、先ほども言いましたようにトータルな産業政策、地域政策ということで考えておりまして、ただ単に山の下草刈りとか枝打ちに日々雇用の感じで人を雇い入れるのではなくて、大きく山を守りながら、その山から出てくる間伐材であるとか材木を県内等で大きく使うことによって、今和歌山県にあるものを大事にしながら産業を興していくという視点が非常に大事だと思っております。まず国に提言したのは、そういう意味では何といっても国には使おうというお金がたくさんあるわけですから、それを和歌山県に持ってくるのが一番有利であろうということで発想したわけですけれども、そういう人頼みだけではいけませんので、和歌山県としても独自にそういう政策を考えていきたいと思っております。
 バイオマスエネルギーの問題、これは非常にいいことだと思います。これは、他人のあれでやれるんだったらそれにこしたことはありませんので、いろいろ研究を進めていきたいと思います。
 それから、緑の雇用創出事業につきましても、「森と人間の共生」というお話、本当にそのとおりだと思います。小さな枠、森林作業とかに限られることではなくて、大きく森と人間の共生、都市と地方の共生という大きな意味での施策になっていくことを心から願っているところでございます。
 私から以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 紀州梅産地の危機を乗り越えるためについての二点のご質問にお答えいたします。
 まず、御坊火電のばいじん暴露試験の実施についてでございますが、これまでもお答え申し上げてきましたように、技術的な面などから難しいものがあると考えてございまして、これまで直接暴露にかわるバナジウム、ニッケルを用いた暴露試験などを実施してきたところでございます。こうした中で、専門家のご意見をお聞きしながら、科学的評価が可能な研究手法があるかどうか検討してございますが、現段階では難しい状況でございます。
 なお、直接暴露試験について、科学的に評価できる研究手法のご提案があれば、多くの専門家のご意見もお聞きしながら検討してまいりたいと考えてございます。
 一方、御坊発電所のばいじんの成分を県としても確認するため、事業者から本年八月に試料の提供を受けて、目下、農業試験場と民間分析機関において、重金属等十三成分の分析を行っているところでございます。また、県下の広域的なばいじん量、あるいは成分を比較検討するために、梅産地を中心とした県下十三カ所に降下ばいじん捕集装置を設置し、六月上旬から調査を開始してございまして、これらの調査結果は取りまとめ次第、地元梅対策協議会などを通じ、お示ししてまいりたいと考えてございます。
 次に、紀州梅ブランドを守る販売戦略についてでございますが、最近の果実消費は、景気低迷のもとで消費の伸び悩み、あるいは安価な輸入物の増加等により、厳しい状況にございます。このような状況の中で、県といたしましては、果樹王国和歌山の展開を図る上で販売戦略の構築が重要であると考えてございまして、現在、農業団体とも協議しながら、戦略プランづくりのための問題点の整理や方策について検討を進めているところでございます。今後、さらに多くの関係者のご意見をお聞きしながら、梅も含めて果実全体の方向づけを早急に行ってまいりたいと考えてございます。
 なお、梅を初めとする果実については、近年新たな機能成分についての研究が進められており、例えば血液の循環をよくするムメフラールといった成分が梅肉エキスから見出されたという成果が出てございまして、こういった成果につきましては、ITを活用した情報発信や各種イベント等を通じて今後とも積極的に消費宣伝に生かしてまいります。また、県内それぞれの地域において、地産地消を積極的に推進し、和歌山の果樹を広く県内外にPRしてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 一点目の問題ですが、知事、大変なときに知事になられたと思います。先ほど言いました二倍の借金を抱えた中で和歌山県の行政をやっていかなければならんということで、非常に厳しいものがあると思います。限られた財源で、知事の特性を生かしていくという政策には限界があるのではないかと思います。めり張りをつけて、重点的に政策をするにしても、そこに財源がなければ、なかなか思い切ったことはできないと思うんです。知事が一期目の一年間をやってきて、誤解がいっぱいあるのですが、何や、シーリングで削るばっかりやないかということが風潮として流れ過ぎていることに、私は非常に苦しんでおります。そうではないということは数字的にも言えますが、知事が二年目の十四年度予算で、一つは少し借金して後世に──私は財政当局に、国が金を貸してくれるのだったらという腹案を提案したんですが、国は貸してくれるということです。その選択肢の一つとして、合併特例債ではありませんが、先ほど言いました福祉とか環境とか教育とかいう部分で、二十年ぐらいのスパンで目的別の県債を発行して、一方では行財政改革をやる金にどんどん充当していくという構想に立てないのだろうか。そういうことで、知事が二年目に少し借金をしたことについては県民が理解してくれるのではないか。それがどこかに消えてなくなったというのであったら疑問が残りますが、知事は六月議会でも、地域に密着した地域福祉や社会に密着した公共事業をやらないと雇用や地域活性につながらないという和歌山県の実態を答弁されておりましたが、まさにそのとおりであります。
 そういう点で、私の提案について、知事からもしご意見がありましたらお聞きしたいと思います。私の要望にしておきたいと思いますけれども。
 平成十二年では、公債費比率が二〇・二%です。大胆ですけれども、私は三〇%ぐらいまで行ってもいいのではないかということでちょっと試算もし、県ではないですけれども、ある財政責任者に聞いてみました。今、起債比率は一二・四%ですが、一四%未満だったらいいのではないかということで考えてみました。知事がおられた大阪みたいになられたら困りますけれども、我々はそういう意味ではまだまだやれる幅があるのじゃないかと感じておりますので、その点、もし意見があったらお聞かせ願いたいと思います。
 それから、知事が研究したいというバイオマスの関係です。これは、今、山口県の萩でやっているのですが、実際に森林バイオエネルギー活用事業検討委員会というのをつくってやっております。これは、もちろん高知県もやっております。この問題については、森林を七〇%以上抱えた県は積極的にやっております。テロ事件があって、世界はこれから石油問題、いわゆる化石燃料の問題も出てくるでしょう。そういう意味では、その果たす役割も叫ばれておりますし、我々森林を抱える地域として、少なくともそのエネルギーはそこから発信しているという実情について国のそういう機関等を通じ、参考にしてやっていただけたらなと思っております。──知事、今のやつ答弁してくれますか。お願いいたします。総務部長でも結構ですけれども。
 次に、二番目のばいじん暴露の問題です。
 これは新聞でも見ていただいたように、南部の岩代の地域住民の皆さん三百戸相手にアンケート調査をしました。アンケート結果で、パイロット事業を行っている海側の余り立ち枯れのないところでさえ御坊火電との関連があるというのは六三%ありますし、立ち枯れによって農業の経営が非常に困難になるだろうというのが八〇%を超えています。私たち地域の農業経営者、とりわけ梅農家にとっては、毎日、朝早く起きて梅畑へ行って、ばらばらと枯れている状況を見ると、もう本当に意欲がわいてこないという状況の中で十数年たっているわけですから、そういう意味ではばいじん暴露試験をやってほしい。
 研究手法が確立できたらということでありますが、私たちが研究手法の確立を提言すればそういう方向でやっていただけるんですかということであります。県が考える学者の研究手法もあれば、私たちがお願いする学者の研究手法もある。いずれもやっていただいたらいい、そして結果を見たらいいというのが私たちのオーソドックスな考え方です。だから、県が言う学者はいいけれども、我々の言う学者はあかんという観点ではなくて、部長が答弁されたように、そういう専門家の手法があれば考えてみたいということについては、いい意味で、そういう手法の確立ができたらやっていただけるんでしょうねと思うんですが、答弁をお願いしたいと思います。
 以上、お願いします。
○議長(井出益弘君) 以上の再質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問でございます。
 たくさん借金をして仕事をしたらどうかと。私も、それができるものなら本当にそうしたいわけです。仕事をして好ましくない人はだれもいません。しかしながら、今もう日本の国全体が先が見えない状況になっている中で責任ある行財政運営ということになると、そういうこと全体を見ながらしていかなければなりません。知事という職は人気取りの職ではありませんので、県民全体のことを考えてやっていくという観点からも、私は甘んじて批判のあるところは受けざるを得ないという気持ちを持っております。
 ただ、そうは言っても、国のお金を取ってくるとか、今までの県行政の中のいろんな冗費を削ってそれを県民の方の福祉とか生活に回していくということはもう非常に大事なことなんで、そういうことについては私は一生懸命頑張っているということでございます。ただ、いい仕事であれば思い切りやっていく気持ちもありますので、またいろいろご意見をいただければありがたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 新たな研究手法のご提案をいただければ、県といたしましても、専門の方々のご意見をお聞きしながら総合的に検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再々質問を許します。
 十八番原 日出夫君。
○原 日出夫君 ちょっと誤解されたら悪いんで。使えるだけ使えという意味ではございませんので。公債比率が現在の二五%が三〇%により近づいてもやむを得んのではないかということと、起債比率の一二%が一三・五、六ぐらいまでに行ってもやむを得んのと違うかという範囲内における毎年の公共事業の積算をしてどうやるかということです。
 一面では、行政が非常に厳しいと言われていますけれども、今はどん底の低金利時代です。どん底の低金利時代に、今、日銀が金融緩和を言うても借りる企業はほとんどないんです。低金利だし、地方自治体はちょっと借りてもいいのではないか。これがインフレターゲットでずっと上がってき出したら、我々もちょっと楽になるのと違うかな。この底のときに、起債比率一三・七ぐらい行ってもいいのと違うか、くどいようですけれども公債比率二九%ぐらいまで行ってもいいのではないかというのが私の考えであります。
 最後になりますが、山のことで。
 第八回南方熊楠賞を受けた「森の人 四手井綱英の九十年」という本が出ています。後でお渡ししますけれども、この京都大学の教授が言われているように、知事が緑の公共事業を言われたことは、国内外における林業、森林に対する専門学者の期待にこたえた、非常に時宜を得た動きだと思いますし、大変ありがたいと思っております。
 以上で終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。             質疑及び一般質問を続行いたします。
 十三番尾崎要二君。
  〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 お許しをいただきましたので、一般質問を始めさせていただきます。
 質問に先立ちまして、去る七月十日逝去されました先輩木下秀男議員に対しまして心から哀悼の誠をささげ、ご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 木下議員は、全国みかん生産府県議会議員対策協議会の会長として関係府県を取りまとめられ、本県農業の柱であるミカン農業発展のために先頭に立って全力で頑張ってこられました。つい先般も東京でその総会がございました。総会と陳情を行ったわけでありますけれども、そのときに、各府県の皆さんから、大変驚きの声と同時に、惜しむ声や今日までの努力に対して数々の声が私どもに届けられました。そのことを、まず皆さんにご報告をさせていただきたいと思います。
 それでは、質問の方に移らせていただきたいと思います。
 今回は、道路問題、特に湾岸道路と二巡目国体の二点について質問をいたします。
 第一点目の湾岸道路とは、和歌山市、海南市、下津町、有田市の港、すなわち和歌山北部臨海工業地帯を結ぶ道路のことであります。
 この地域には、住友金属工業和歌山工場、花王、関西電力海南発電所、元富士興産、現在の和歌山石油精製、元丸善石油の現コスモ石油、三菱電線、東燃等、大規模な工場が立地しております。県民にとって大きな就労の場であり、県にとっても法人二税等、県税の柱として大きなウエートを占めてまいりました。最盛期には、下請関連企業を含め、従業員は三万六千人に達し、県経済の中心的な役割を担ってまいりました。観光面においても、和歌浦、片男波海水浴場、浜の宮海水浴場、紀三井寺、和歌山マリーナシティなど、年間四百五十万人にも及ぶ人たちが訪れております。税収面においても、関係の市や町、県にとっても大きな貢献をしてまいりました。しかしながら、これらの地域を結ぶ道路と言えば国道四十二号線等、昔から大きく変わらず、大変脆弱であり、海を生かし、港を整理し、その活用を図るという県政の大きな目標はかけ声ばかりとなっております。
 航空貨物の華やかな時代になってまいりましたが、今後もまだまだ港は必要であります。背後地域の産業の集積状況、港の施設の問題、利用における経費の問題、陸揚げされてからの時間の問題等いろいろありますが、船の特徴である大量に、一度に安い価格での輸送は今後もどうしても必要な物流方法であります。そのことから見ても、関西地方で太平洋に一番近いというセールスポイントをフルに生かし切れていないのが現在の本県の状況であります。天然の良港に恵まれ発展をしてまいりましたが、交通アクセス、すなわち港と港を結ぶ道路、インターチェンジへの直結道路の整備については、十分であったとはとても言えないのであります。阪神・淡路大震災のときには、山陽道や神戸港の機能が停止し、多くのトラックが高速道路を利用して和歌山インターから和歌山港に向かい、県庁前通りが大きな交通麻痺を起こしたことを思い出してほしいと思うわけであります。
 スピードが求められる今日、高速道路のインターから港までのアクセスが十分でないような港は、今後大きく発展していくことすら厳しいと言わざるを得ません。和歌山マリーナシティで開催された世界リゾート博の成功を見ても、県外よりの人たちの多くは、海南東インター、藤白インターを利用し、思いのほか和歌山は近かったという声をよく耳にしたことからも、港とインターとのアクセスが重要であると言えるのであります。
 有田市の三菱電線、東燃、海南の住友工場、セイカ商事、和歌山市の和歌山マリーナシティ、和歌浦、和歌山港、和歌山卸売市場と花王の間を通って紀の川を渡り、住金和歌山工場等、これらの港を結ぶ道路の状況は、特定重要港湾でありながら大変お粗末なものであります。実際、この区間を車で走ってみると、十七カ所で九十度に曲がらなければならない曲がりくねった道路であります。関係地域の皆さんにとってもかけがえのない生活道路でもあり、日々の渋滞に一日も早い改善が求められております。長引く不況や競争力の強化のあおりで、いずれの産業とも大変厳しい状況が続いており、輸送時間、輸送コストなど流通面の問題、また就労面でもリストラが進み、通勤アクセスの不便等、多くの問題が発生しております。
 県議会においても、この状況に危機感を持ち、平成十二年七月、関係する地域の議員が集まり、有田市、海草郡、海南市、和歌山市選出の十八人の議員をもって和歌山下津港湾岸道路建設促進議員連盟が結成され、湾岸道路実現のために今日まで活動を続けてまいりました。県経済に大きな貢献をしている地域でありながら、今までまともな湾岸道路さえ整備がされず、高速道路とのアクセスも十分でない姿を一日も早く改善し、停滞する県経済の起爆剤にしていきたいと考えております。それを実現するためには、有田市─海南市間の国道四十二号線のバイパス一部四車線化、海南市と下津町の境からマリーナシティに橋をかけ、毛見一号線を通り、シーサイドロードの途中から片男波へは、景観に配慮するため沈埋トンネルで結び、都市計画道路和歌浦廻線を整備し、大浦街道から和歌山港へ結ぶ道路が必要であります。私見でありますが、紀の川河口大橋を渡り、北港から将来の紀淡道路へと続く道路がベストであると思います。そうすれば、現在、北部臨海工業地帯に一番近いインター、すなわち海南藤白インターと和歌山市の陸の玄関口でもある和歌山インターが湾岸道路で結ばれ、陸と海がスムーズに利用できる理想の形が生まれてくると信じております。
 この湾岸道路を取り上げるに当たり、国並びに県の財政も大変厳しいことを承知しております。しかし、前向きに取り組んでいかなければ人口減少に歯どめがかからず、停滞する県経済を立て直すことがさらに難しくなっていくと考えております。行財政改革の中で、道路整備は十分であり、これ以上の整備は必要がないといったような不見識な意見もマスコミで取り上げられ、その財源を都市再生に生かそうなど、地方の実情を全く理解しない大都市の論理が平気で幅をきかせようとしております。しかし、県民の県政への各種アンケートを見てもわかるように、いつもトップに来るのが道路網の整備であります。本県の将来を考えるとき、産業、経済の発展、観光、福祉、医療やスポーツ、文化振興など、どれをとってもその基本となるのが道路網の整備であります。その促進が県政の最も重要な施策であると言っても過言ではありません。木村知事も、そのことを知事就任以来、身をもって感じてこられたと思います。
 七月に、大都市で生まれ育った石原行政改革担当大臣が下津町に来られたとき、国道四十二号線の余りにもひどい渋滞を目の当たりに見て、このような道路ならば堂々と国に対して話をし、予算を獲得すべきであると、陳情する前にかえってハッパをかけられたことをこの場で紹介しておきたいと思います。八月九日、東京において、地方における道路整備の必要性を訴える東京集会が、県内の市町村長さんや議長さん、県議会よりも先輩同僚の皆さん、県選出の国会議員を初め、県民の声を代表されるスピーチもあり、多くの来賓を招いて盛大に開催されました。そのときには知事自身、有楽町交通会館で通行される都民に道路の重要性を呼びかけられ、その姿が九月四日のNHK「クローズアップ現代」で取り上げられておりました。知事の熱のこもった姿を思い浮かべ、先頭に立って行動された知事に、湾岸道路に対するお考えを承りたいと思います。あわせて、関係部長の答弁を求めます。
 これで、一点目の湾岸道路の質問を終わります。
 二点目の、二巡目国体とスポーツ施設整備について質問をさせていただきます。
 昭和四十六年に開催された黒潮国体は、多くの県民の参加のもとで盛大に開催されました。そして、この国体を通じて県内のスポーツ施設も立派に整備され、同時に県民のスポーツ熱も盛り上がり、多くの成果を残してまいりました。多くの県民の参加のもと、力を合わせて国体を成功させたことにより、大きな自信が県民に生まれたことも忘れてはならないことであると思います。当時、私も高校三年生で競泳の部に出場させていただき、多くの楽しい思い出を持ってございます。
 あれから三十年、八月一日に行われた県選手権のために、久しぶりに秋葉山プールへ先輩の橋本進議員とともに行ってまいりました。そして、強く感じたのは施設の老朽化であります。二人とも唖然としたわけであります。プールサイドの周りにはロープが張られ、危険・立入禁止の看板が至るところにあり、よく見てみると天井がはがれ落ち、ひびが入り、鉄筋がさびて見えている状態であります。プール本体の水温についても、水温調整機能がないため、そのままにしておくと水温が上昇して競技には使えず、まるで風呂のようになるということでありました。水球競技ができる大新プールについては、いつスタンドが崩壊するかもしれないような状況であると聞いております。
 後日、早速、管理をする都市計画課や公園管理事務所の皆さんにも来てもらって、詳しく秋葉山プールを見てもらいました。至るところで傷みがひどく、これまでにも飛び込みプールの飛び込み台の補修や手すりの一部を設置したり、管理事務所の人たちで毎年ペンキを塗りかえるなどの努力はしてくれているようでありますが、老朽化の進みが激しく、本格的な手直しが一刻も早く望まれております。
 紀三井寺総合運動公園においても、高校野球夏の大会で、平成十年度において、智弁学園和歌山対橋本高校、海南高校対日高中津分校の試合が日没再試合になり、せっかくの好試合に水が差され、試合を見に行っておりました私も大変がっかりしたことがございます。ナイター設備を設置できず、日没再試合になるなど、現在では全国に例のないところであります。
 これらのことから、現在の県有施設は大半が昭和四十六年の国体前に整備され、老朽化が進んでおります。施設の老朽化が進むのと比例して、各種目において全国大会の本県の成績が下降線をたどっております。中には、全国で初めてという日高中津分校の甲子園初出場や智弁学園和歌山高校の夏の甲子園での記録的な優勝などもありますが、やはりスポーツ全体のレベル低下は認めざるを得ません。多くの県民が和歌山県の選手の活躍を願っているのであります。この本会議においても、何度となく取り上げられております。平成九年六月議会において新島議員、また高瀬議員の質問に対しても、当時の西口知事は、二巡目国体については平成二十七年の第七十回国民体育大会を本県に誘致したいと答弁されております。あと十四年であります。
 スポーツ施設については、県において教育委員会と土木部都市計画課がそれぞれ担当されているわけでありますが、スポーツ振興と施設の整備については一体のものであります。県体育協会を含め、教育委員会と土木部がもう少しスポーツ施設整備について連携を密にする必要があると思いますので、そのことを指摘しておきたいと思います。国体のメーン会場となる総合運動公園についても、過去十年、国体が開催された府県の平均面積は五十ヘクタール以上になり、紀三井寺総合運動公園の十二ヘクタールが現在ではいかに手狭であるかということがよくわかるわけであります。財政の厳しい時期であるがゆえに余計に整備計画を立て、市町村の施設も見ながら必要な整備を今から進めていくことが大切であると考えます。和歌山県における競技スポーツ、生涯スポーツ環境の整備について考えてみると、新たな機能を持つスポーツ施設の整備が必要であり、早急に着手することが大切であると考えます。
 そこで県内を見渡してみますと、県勢活性化の貴重な財産であるコスモパーク加太の活用が考えられます。コスモパーク加太計画は、関西国際空港一期埋め立て用土砂採取跡地二百五十一ヘクタールの広大な土地に新たな都市を整備しようとするものであり、現在、県では未利用地利活用検討委員会を設置し、その活用方策を検討しているところでありますが、何らまだ聞こえてきてございません。私は、近年の社会経済状況を考え、その将来に大きな懸念を持つものであります。毎年、一般財源からの利子負担も大変な金額であります。先ほど申し上げましたが、広大な敷地はうまく利用することができれば県勢活性化の貴重な財産であり、その利活用は大変重要なことであります。
 そこで、提案いたします。
 コスモパーク加太に、当地区の豊かな自然環境に溶け込むような総合運動公園を設置することはいかがでしょうか。二百五十一ヘクタールの中でまず五十ヘクタールを買収し、時間をかけて整備を始め、最初は簡単なグラウンドだけでもつくっておけば県民も利用することができます。今のように、ただ草ばかりが生え、何ら利用することもできないような土地に対して税金で利子負担を続けていくならば、県民の理解が得にくくなっていくと思われます。そして、必要なスポーツ施設を計画的に整備をしていくことで、県民の生涯スポーツセンターとしての機能はもちろんのこと、次期の国体のメーン会場としての機能も十分果たせる施設となり、スポーツ振興にとってはもちろんのこと、懸案であるコスモパーク加太計画全体の推進に不可欠な施設となっていくと考えます。これらのことについて、当局の答弁を求めます。
 これで、一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(井出益弘君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの湾岸道路についてのご提言でございます。
 私も、和歌山県の経済が発展してきたのは臨海地域のコンビナートの影響が非常に大きいとかねてから思っております。今は非常に厳しい状況にありますが、全体的に見て、そういうコンビナートが山陰に点在していて、それをつなぐ道路が四十二号線ぐらいしかないという状況は非常に変わった状況だという感じを思っております。今、景気の状況も非常に厳しい中でのご提言ではございますけれども、こういう地域を海に張り出してつなぐような道、そしてまた沈埋トンネルで大きな国土幹線軸につないでいこうというふうな発想は、地域経営という観点から非常に夢のある話ではないかと思っております。そういうこともありまして今年度調査費を計上したところでございますけれども、こういう大きな問題について議会ともまたいろいろ相談し合いながら、どういうふうに持っていくかということを検討していかないといけないと思っております。それにつけても、道路財源がなくなってしまうとこういうこともできませんので、今後とも道路財源の確保に議会と一体となって努力していきたいと思っております。
 次に、体育施設と国体の件でございます。
 今、国体のあり方についてどんどん見直しが来ております。地域の振興、県の振興のためにはスポーツが非常に大きな役割を果たす、そしてまたスポーツで頑張ることが県民の活力につながるということは、そのとおりだと思います。ただ、今の国体のように、大きな施設をどんどんつくって、それで主催県が必ず一位になるという仕組みはだんだん変わってくるだろうと思いますし、現にもう変化の兆しが出てきております。そういう大きな変化の中で、和歌山県が新しい形の国体のパイオニアというか、先陣を切れるような名誉ある立場になれるような形での国体の誘致を考えていきたいと思っている次第です。
 ただ、そうは言いましても、和歌山県内の体育施設を見ると、今お話にもありましたように、プール一つをとっても非常に厳しい状況です。国体云々はともかくとしても、基本的な施設を計画的に整備していくということ、そういう中で先ほどのコスモパーク加太、これは不良債権処理的な問題で、今全国的に大きな問題になってきております。和歌山県もこの対策を鋭意考えているんですけれども、そういう中で必要なものをある程度買い取って──広い土地ですから全部というわけにはいきませんけれども、使っていく、それに税金をつぎ込んでいくことに対して県民の方にも理解を求める一つの方策ではないかと思っておりますので、ただいまのご提言も含めて真剣に検討していきたいと、このように思っております。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、湾岸道路についてでございます。
 有田市から和歌山市北部が発展し、ひいては県勢が発展するためには、和歌山下津港の整備とあわせ、湾岸に沿った陸上交通を円滑に処理することが重要であると考えてございます。この湾岸道路の構想を進めるためには、道路ネットワーク上の位置づけが大切であり、本年度より道路部門が中心となって調査を進めてございます。本年度調査では、高速道路インターチェンジへのアクセス道路も含め、和歌山都市圏における位置づけやルートなどについて検討してまいります。また、この道路は多大な事業費が必要となることや片男波の環境の問題等課題も多いため、本年度調査では類似事例や沈埋トンネルの調査研究等もあわせて進めてまいりたいと考えてございます。
 なお、議員ご提言の湾岸道路構想のうち海南─有田間については、国道四十二号の渋滞緩和のため、国、県及び沿線の二市一町が連携をとりながら、バイパス計画の検討を進めているところでございます。
 次に公園内の県有スポーツ施設の老朽化対策につきましては、教育委員会と連携の上、厳しい財政状況の中、必要性及び緊急性について検討の上、取り組んでまいりたいと考えております。
 特にご指摘の秋葉山プールについては、公認施設であることを踏まえ、スポーツ関係団体と協議し、優先順位をつけて施設の改善に取り組んでまいりたいと考えております。
 また紀三井寺公園野球場のナイター設備については、第一種低層住居専用地域に指定されておりまして、困難であると考えております。ナイター設備を備えた新しい野球場の整備につきましては、スポーツ施策としての位置づけがなされる中で、土木部として対処してまいりたいと存じます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) スポーツの振興に関してお答えいたします。
 お話ありましたように、スポーツの振興は、県民の夢と希望や県の活性化に大きな影響を持つものと考えております。このため、県民の期待にこたえられるような競技力を持った選手の育成を目指し、これまでハイスクール強化指定校やジュニア一貫指導体制構築事業など、各種の強化策を実施してまいりました。その結果、インターハイや国体などで活躍する選手がふえてきており、徐々にではありますが、成績は向上いたしております。議員お話のありました、水泳競技を中心とした夏季国体においても、ことしの宮城国体では黒潮国体以来の成績を上げることができました。
 また、スポーツ施設の整備は、競技スポーツあるいは生涯スポーツを振興する上で大きな役割を果たすものであり、議員のご指摘を踏まえ、今後とも土木部を初めとする関係部局と連携を密にして取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十三番尾崎要二君。
○尾崎要二君 まず二巡目国体について、それぞれ答弁を賜りました。
 これに向けていろんな形の考え方があろうと思いますけれども、ひとつ前向いて進めてほしい、姿として見えてくるようなスポーツ施設の整備なども必ず見せていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 引き続き、湾岸道路についてであります。
 海南市から有田市にかけての唯一の道路である国道四十二号線について、昭和三十年代に二車線整備をされて以降、何ら対応ができていなかった。ただ、その間にどんどん利用する車がふえてきたということで、地域の県民の皆さんの生活に大変な悪影響を及ぼしておりましたが、やっと一つのバイパス化ということで前向いていこうというような答弁をいただきましたけれども、そういう動きにもなりつつあるようなわけであります。ただ、大変財政も厳しいので、一刻も早い事業着手について、この点はなお要望させていただきたいと思います。
 それから和歌浦廻線の件でありますけれども、昭和二十一年に都市計画決定がされたわけであります。それから五十五年、全く何にもしていないという立派な計画がなされてございます。これも、ちょっと何とかしてほしいという思いであります。私も、県庁より自宅のある下津町まで帰る際に、特に紀三井寺の交差点で大変な渋滞があるとき、県立医科大学の手前で旭橋を渡って九十度に曲がって、そしてシーサイドロードから毛見一号線、マリーナシティを通って帰ります。ところが、マリーナシティまで行きますと、目の前の南の対岸にもう下津町があり、国道四十二号線が走っているわけであります。石を持って投げたら当たりそうなところにあるような感じすらいたします。それを、わざわざ東に大回りして走っていかねばならん。大変な道路整備の不備を感じております。
 それから、シーサイドロードから片男波の先端、これの距離といえば、今の私ですら泳いで一分以内でいけるぐらいの距離しかないようなところです。これぐらいの距離、何とか沈埋トンネルで──なぜ沈埋と申すかと言いますと、先ほどの答弁の中にもありましたが、やはり景勝地でもございます。下へ潜らせていけば、先ほどの五十五年間さわっていない和歌浦廻線にすぐつながるわけであります。そして、それを大浦トンネルを通って大浦街道、和歌浦港とつなげば、本当に最短の距離であります。これらについても整備がされておりませんので、ぜひひとつ考えていただきたいなという思いでございます。
 もう一度申し上げます。和歌山下津港湾岸道路とは、有田市─下津町─海南市間の国道四十二号線をバイパス一部四車線化で整備し、海南市冷水の西よりマリーナシティに橋をかけ、毛見一号線、シーサイドロードから沈埋トンネルで片男波に渡り、和歌浦廻線を整備し、大浦トンネルから和歌山港へ向かい、紀の川河口大橋から北港へのルートをたどる道路であります。本年度において調査費を計上していただいていろいろと調査をする、またしているということであります。大変期待をしてございます。また、県議会の中にある湾岸の議連の方も、近く類似県である広島市の湾岸道路の方へも現地視察に行ってこようということで、今その計画の準備をしているところであります。これらについても、どうか一刻も早く現実のものとなるよう努力していただきたいことを要望して、質問を終わります。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎要二君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十四番町田 亘君。
  〔町田 亘君、登壇〕(拍手)
○町田 亘君 「おい、町田よ」と、隣の席からよく話しかけてくれた「へげやん」の愛称で親しまれた木下秀男君の机の上には、花が飾られております。もう二度と再び話し合うことのない、できない木下秀男君のご冥福を心から祈りながら、最終日の最後の質問に入らせていただきます。何とか三時までに終わる努力をいたしますので、ご協力をお願いいたします。
 白浜にある南方熊楠記念館に久しぶりに行ってまいりました。白浜名所のめがね岩を左に見る風光明媚な番所山の頂上に建っています。番所山は、ご存じのとおり、御坊、日高、南部、田辺、白浜等、三百六十度見渡せ、また昔は不審な船が来るとのろしを上げて知らせたと言われる、まさに名のとおり、お番をする場所でありました。
 熊楠翁は、明治時代に地球的な視野で学問をし、自然を愛し、人を愛した、規格外の巨人と言われました。熊楠翁は、一八六七年和歌山市で生まれ、少年時代から読んだ本は一字一句暗記し、ずば抜けた記憶力、集中力をして、研究心の塊みたいな人であったそうです。十九歳で単身渡米、そしてイギリス等、十四年間の年月をかけて地球を一周した世界の探検家、植物学者の一人にも数えられています。翁の没後六十年を経た今もなお、多くの人々が翁の研究をしているところであります。その分野も、文学、民俗学、考古学、天文学、動植物学、心理学、哲学等々大変広範囲で、特に粘菌類の研究は世界的に有名であります。また、翁の語学は十数カ国語にも及んだと言われています。
 何といっても翁の晩年の最高の喜びは、昭和天皇への博物学の進講であったと言われています。昭和天皇は、昭和四年、南紀に行幸されました。当時、陛下は青年で、幼いころから生物に興味を示されていましたので、粘菌類についても海外から図書を取り寄せて勉強されていらっしゃいました。珍しい植物の樹木がよく茂る原生林の宝庫、田辺湾に浮かぶ神島にご案内され、熊楠翁よりキャラメルの箱に入れた日本産粘菌を献上され、陛下は熊楠の心遣いに大変喜ばれたそうです。これは、有名な話であります。その際翁は、「一枝もこころして吹け沖つ風 わが天皇のめでましし森ぞ」と詠み、行幸記念碑が神島に建てられております。
 時は経て昭和三十七年、陛下は再び白浜に来られ、ホテル古賀の井の屋上から三十三年前に上陸された神島をごらんになり、「雨にけふる神島を見て紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ」──このようなお二人の間柄は、学問を通してかたく結ばれていたと思われるのであります。
 また、翁の歴史的な評価について申し述べてみたいと思います。
 まず第一に、一九〇六年の神社合祀令の反対運動であります。翁は、植物学者の立場から、神社がなくなれば森がなくなる、また小さな神社であっても、それを敬い信仰してきた集落の歴史や文化、伝統が踏みにじられるだけではなく、民衆のコミュニケーションの場をなくすることになる、また民俗学者の立場としても、日本人の土着信仰には山を見て、また大きい樹木を神として信じるという独特のものがあるとの信念のもと、猛然と反対運動を広げ、自分自身、十八日間拘留されるなど、中心となって頑張ったとあります。翁は、当時から自然保護思想の「エコロジー」という言葉を多用し、それが現在、日本いや世界でも大きな話題となっているのであります。翁は、我が国の自然保護の第一声であり、既に百年前から取り組んだ環境保護の大先駆者でもあったわけであります。その結果、先ほど申し上げました神島も国の特別天然記念物に指定されましたし、熊野古道、中辺路町の一方杉や多くの自然が崩壊から保護されたところであります。また翁は、大正十三年、和歌山城の堀を埋め立てる案にも猛反対をし、これを廃案にさせる等、学問の研究や実践活動を通して私たちの社会に大きな成果を残し、その評価についても、いろんな分野で研究が進むにつれて年々高くなっています。
 本論に入ります。南方熊楠翁の顕彰についてであります。
 現在二つの組織があり、一つは白浜に昭和四十年四月開館した財団法人南方熊楠記念館、もう一つは昭和六十二年六月に策定した田辺市の南方熊楠邸保存顕彰会であります。私は、今回、財団法人南方熊楠記念館について申し上げたいと思います。
 昭和十八、十九年にも、「学界偉人南方熊楠」や「博物学者南方熊楠の生涯」といった本が出版されていますが、戦後になり、東京、大阪、名古屋、和歌山等で文献、遺品、採取標本などの一部が公開され、南方熊楠展が開催されるなど、顕彰の機運と必要性が高まる中、昭和三十八年一月に天皇陛下の御製のご発表となり、記念館設立への機運は最高潮になり、当時の知事小野真次氏が代表発起人となり、趣意書ができ上がりました。発起人には、野村吉三郎(元駐米大使)、小泉信三(父が和歌山出身)、片山哲(田辺市出身・元首相)、佐藤春夫(新宮市出身)の郷土の大先輩や、財界、学界の大御所・渋沢敬三翁を代表にそうそうたる顔ぶれがそろい、不肖私の父町田義友も顧問に名を連ね、発起人会が開催され、小野真次知事が会長に、大橋正雄副知事が副会長となり、地元の浦政吉氏が昼夜を問わず、設立目指して活動を続けられたとあります。現在で言う民間活力であります。
 ここに白浜の浦政吉氏の日記がありますが、その中の「南方熊楠記念館の思い出」と題した小冊子に、当時の苦労話が書かれています。要約すると──神島を望む番所山に、世界に誇る南方先生の遺品、文献、資料を集め、日本随一の記念館をつくりたい。当時の小野知事も、早速、現地を踏査され、風光明媚で場所柄には申し分ないと、快く会長を引き受けられたのであります。以後、東京では小泉信三先生、野村吉三郎元駐米大使、そして当時の佐藤栄作総理大臣、大野伴睦副総理にもお会いしてご協力をお願い、快く協力いただき、ご浄財もちょうだいいたしました。県下各地の企業や個人、アメリカを初め海外移住者の方々、当時、総額三千五百万円余を基本浄財として、義宮殿下の建設おくわ入れも賜り、昭和四十年四月一日、すばらしい記念館が開館したのであります。
 記念館のその後の経緯を見てみますと、昭和四十六年十一月、当時の皇太子・同妃殿下、現在の天皇・皇后陛下がご来館になりました。開館当初は年間六万人を超える入館者があり、順調な滑り出しでありましたが、昭和四十八年、番所山植物園が過剰設備投資で経営不振となり係争が続く中、昭和五十七年四月の再オープンまで、約七年間にわたって閉館されたのであります。その間、関係者挙げて再開に向かって努力を傾けたのは、言うまでもありません。その後、平成三年ごろから、和歌山県人の作家・神坂次郎氏の「縛られた巨人 南方熊楠の生涯」、津本陽氏の「巨人伝」等がベストセラーになり、南方ブームが到来し、ピーク時に近い年間六万人の人たちが記念館を訪れたのであります。平成十二年、去年の十月、入館者は百万人に達し、北は北海道から南は沖縄までの全国津々浦々から、今なお根強い人気で南方熊楠館を見学に来てくれているのであります。
 長々と述べてまいりましたが、ここに記念館からお借りしてきた来訪者の感想文を書いたノートがあります。
 一部を紹介しますと、五十歳の北海道からの男性で、「テレビや本で見てぜひ記念館に来てみたかったが、十年ぶりに念願がかなって、熊楠翁に会えたような気持ちです。翁の努力といちずな生き方にあらためて感動を覚えました」。また、ある大学生は「翁の行き方について直接触れられ、ひたむきな努力と思い切った行動力、また学問のあり方についても考えさせられました」。もう一つ、小学校五年生の生徒は、「熊楠さんは、本を読んだら必ず書いておくということ。あんなに多くの筆写を見て驚きました。教科書で勉強した自然を大切にすることの大事さを記念館に来てよくわかりました。本当に偉い人だと思いました」。このノートを見てみますと、記念館を訪れる人は、八十八歳のお年寄りから幼稚園児まで、実に幅広い層の方々が翁の生涯に感動を覚え、満足して帰られているのであります。
 しかし、ここで一つ、このノートの中で気になることが書かれています。ことしの五月五日の来訪者が、「車いすの方が、エレベーターがなく、らせん階段には上れないとのことで、玄関前でずっと待っていらっしゃいました。改善できれば、より多くの方が喜ばれることと思います。バリアフリーを願いつつ」と書いてあります。記念館には私も何度も行きましたが、昭和四十年に建築された建物で、当初の状況とは変わっているものの、玄関口から上って記念碑のところに着き、記念館入り口のドア、中に入ってのトイレ、二階へのらせん階段、そして屋上へのこれまたらせん階段、本当に健常者の私でさえきつい構造であります。屋上からのパノラマを見たくても見られなかった障害者の方々、またお年寄りのことを考えると、せっかく記念館まで来ながら断念している姿を思い出したとき、バリアフリー対策にぜひ真剣に取り組まなければと痛感したのであります。
 昨年九月三十日に理事長に就任された木村知事、就任後、行かれましたか。副理事長の中山副知事、行かれましたか。
 次に、先ほど申し上げましたように、遠方の人々が訪れるすばらしい記念館がありながら、県下の小中高校の生徒がどれだけ入館しているだろうか。翁は、和歌山県が生んだ世界的偉人であります。現在の子供たちに必要な、自分の手で物を書くという重要性を教えることもできます。また、エコロジーといった、現在重要視されている環境問題にも百年も前から取り組んできました。先駆者でもあり、現在の学校教科書にも取り上げられているところであります。これらのすばらしい活躍された故人の生き方を、同じ和歌山県の未来を担う若い世代の人々に感銘を与えながら学んでいってほしいものであります。そして、県民の社会教育、生涯学習のテーマとして取り組んでいくことが故人の顕彰をすることでもあり、また私たちの生き方の中にご教示いただける大変大事なことと思うのであります。
 知事初め関係当局の答弁を求めます。
 重複しますけれども、今回の台風について、私は端的に以下のことについて質問いたします。
 平成二年九月、日置川町の殿山ダムの放流で、役場の職員が川を見回り中に行方不明になりました。また、農作物、道路、家屋等に大きな被害をもたらしました。殿山ダムの操作方法に問題があったのではないかと、当時この議場で浜本・大江両議員、そして私が質問に立ちました。ダム操作規則どおりにやったから災害が大きくなったのではないかとの質問に対し、当時の土木部長は「ダムの放流の仕方について(中略)ダムの操作規程は、河川法四十七条に基づき、ダムを設置する者があらかじめダムの操作方法について定め、河川管理者の承認を受けなければならないことになっております。殿山ダムにつきましては、ダム設置者である関西電力が定めたものであり、河川管理者である和歌山県の承認を受けたものであります。ダムの操作は、承認を受けた操作規程に従って行わなければならないことになっております」。すなわち、要約すると、昭和五十三年十二月一日から有効になった操作規則どおりにやったが、雨量が多かったから問題はなかったということでした。
 今回の七川ダムも、操作規則どおりにやったから問題はなかったと説明されてきました。しかし、平成三年に殿山ダムの操作規則を大きく変えることになりました。ここに、関西電力の「殿山ダムの新しい運用について」のパンフレットがあります。これによると、災害があった後、規則を変えろということから、「日置川町ならびに関係機関の皆さまと協議の結果「殿山ダム操作規程」の変更について平成三年九月七日和歌山県知事の承認をいただきましたのでお知らせいたします」と、このパンフレットを日置川流域の家庭に配られました。主な変更は、次のとおりであります。
 大規模出水が予測されるときは、貯水池の水位を予備放流水位からさらに三メートル低下させる。今言いました「大規模出水が予測されるとき」とは、過去の経験から出水を予測したもので、台風の中心が九百七十ヘクトパスカル以下で、中心が北緯三十度以北、東経百三十二度ないし百三十五度に達したときとされています。そのときには予備放水ができるようになりました。情報の伝達も、ダムの情報をよく県、町に伝達し、一般への周知としての警報は、設置している放流警報装置の信頼度を向上させるため、また停電の場合等、発信装置の二重化を行いました。また、大規模出水時には正確な情報を迅速に伝達するため、ファクス、ホットライン、それに社員を役場に出向させるとあります。
 まず、七川ダム放流に関する通知を行うべき関係機関とは、土木部長、どこを言うのか。県、町への伝達はどのような方法をとっているのか。県では、情報伝達に無線電話及び公衆電話とありますが、今でもこの方法でしているのか。また、地域住民への伝達方法についても教えていただきたい。
 今回の台風で、大島のマグロが大被害を受けたところであります。関係機関の中に串本町が入っておりません。事前の放流に通知があれば、養殖関係者の対応も違っていたかもしれません。今後、串本町及び養殖業者への通知をすべきと思いますが、お答えを願いたい。
 私は、今日までの打ち合わせの中で、県のダムに対する危機管理を疑うのであります。例えば、他のダムの操作規則の中で放流を報告すべき関係機関の一覧表のコピーをいただきましたが、整理ができていませんでした。まさに、操作規則は下流住民の生命、財産にかかわる、ダムに関する憲法であります。今議会で、七川ダムの操作規則を見直すとの答弁がありました。この際、災害が起こってからではなくて、すべてのダムの操作規則を見直すべきだと思いますが、土木部長の答弁を求めます。
 最後に、大島の養殖マグロのへい死についてでありますが、何人かの議員も今後の対策について質問されました。前段は省略しますが、県の魚はマグロであります。近大のおかげで初めて民間で取り組んだ事業であります。これで、万一業者が再出発できなければ、和歌山県からマグロ養殖の火が消えるのであります。業者のためではなく、我が水産和歌山県のためにも、財政厳しい中、特段の配慮が必要であります。谷議員への答弁を聞かせていただきました。ご努力に感謝しているところでありますが、今後もなお一層の取り組みを期待して、強く要望しておきます。
 そして、台風十一号の雨量と同じ雨が今後降らないとは限りません。大島湾内でのマグロの養殖について、ここでいいのか、ご検討、ご指導を願いたいと思います。
 以上で、質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの町田亘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま、南方熊楠記念館をつくったときの先人のご苦労について町田議員の方からお話を承って、本当に勉強になりました。町田議員のご父君・町田義友先生も大きくかかわられたということを改めて知り、本当に尊敬の念を深くしたところでございます。
 私自身、南方熊楠館へはもう三回ほど行っております。知事になってからは行っておりませんけれども、南方熊楠先生につきましては、神坂次郎先生の「縛られた巨人」であるとか「およどん盛衰記」とか、もうここ半年のうちに読みましたし、非常に関心を持っているところでございます。
 今、和歌山県が二十一世紀に何をもって県を売り出していこうかということを考えたとき、やはりこのすばらしい環境と自然が中心になってくると思うわけでございます。南方先生のブーム、今も続いていると思いますけれども、本当の意味で和歌山県のこれからの生き方を示唆する大変な偉人であるという気持ちを持っております。また、その南方熊楠記念館がもっと県内の──私は偉人顕彰ということも、今年度からもう進めておりますけれども、大きな事業として取り上げていかないといかんと思います。県内の市町村で学校に通う生徒が、自分の地域に本当の偉人がいたんだという気持ちを持って、この記念館をたくさん訪れるような施策も講じていかないといかんと思います。
 私ごとになりますけれども、私が大阪におりましたとき、大島元大阪市長、この方と大変仲よくしていただきまして、この方のお父さんが裁判官で、南方熊楠を裁いたというようなことがありまして、二人でそういうことについて何度も話をしたことを懐かしく覚えております。これからも南方熊楠記念館を大切にしていくことで、答弁とさせていただきます。
○議長(井出益弘君) 知事公室長小佐田昌計君。
  〔小佐田昌計君、登壇〕
○知事公室長(小佐田昌計君) 南方熊楠記念館のバリアフリーについてお答えをいたします。
 議員ご指摘のとおり、南方熊楠記念館のバリアフリーについては、懸案の事項となってございます。現在、記念館を運営しております財団法人南方熊楠記念館では、高齢者や障害者の方々が少しでも気軽に入館していただけるようバリアフリー対策について検討してございます。県といたしましても、今後、記念館と協議を進めるとともに、地元の白浜町とも連携をとりながら積極的に協力をしてまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 七川ダムの操作規則についてのご質問ですが、まず放流に関する通知を行うべき関係機関は、県河川課長、同東牟婁振興局串本建設部、古座川町長、同三尾川出張所、古座町長、串本警察署、同佐田駐在所及び佐田発電所の八機関であります。
 通知に当たりましては、NTT回線を用いましてファクスによる通知を行った後、電話による確認を行ってございます。NTT回線が不通の場合、無線電話を使用してございます。住民に対しては、操作規則に基づき、警報車及びサイレンにより警報を行ってございます。また、放流の通知の連絡を受けた町におきましては、町内放送により住民への周知が行われたところでございます。
 次に操作規則の見直しにつきましては、ほかのダムについても、今後よりよい操作を目指して関係機関と連携して鋭意検討してまいりたいと考えてございます。
 なお、通知を行うべき関係機関の追加等もあわせて検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 南方熊楠翁と教育に関連してお答えいたします。
 二十一世紀を担う子供たちが、ふるさとの先人について学ぶことは、郷土に対する誇りや自信を培い、自己の行き方を考える上で極めて大切であると考えております。こうしたことから、県では副教材「ふるさと わかやまの心」や「わかやまDE発見!」を作成し、その中で南方熊楠を初めとする先人の生き方や業績を取り上げ、各学校で道徳の時間や総合的な学習の時間において活用しているところでございます。
 また、社会教育の場では、現在、和歌山、三重、奈良の三県がおのおのの持っている郷土学習用のビデオを共同で管理し、PRもし、一般に貸与する事業を展開いたしております。その中には南方熊楠に関するビデオも含まれておりまして、広く紀伊半島三県で利用に供されているところでございます。
 最近、南方熊楠記念館を見学する小中学生がふえつつありますが、多くの方々がこの記念館を学習の場として有効に活用され、一層深く学んでいただければ大変ありがたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) 以上で、町田亘君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問は、これをもって終結することにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問はこれをもって終結いたします。
  【日程第三 議案等の付託】
○議長(井出益弘君) 次に日程第三、議案等の付託について申し上げます。
 ただいま議題となっております全案件のうち、議案第百十七号平成十二年度和歌山県歳入歳出決算の認定について、及び議案第百十八号平成十二年度和歌山県公営企業決算の認定についてを除くその他の案件は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、それぞれ所管の常任委員会にこれを付託いたします。
 お諮りいたします。九月二十一日及び二十五日、二十六日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(井出益弘君) ご異議なしと認めます。よって、九月二十一日及び二十五日、二十六日は休会とすることに決定いたしました。
 なお、委員会の会場はお手元に配付しておりますので、ご了承願います。
 次会は、九月二十七日再開いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時五十七分散会

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