平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(小原 泰議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十番小原 泰君。
  〔小原 泰君、登壇〕(拍手)
○小原 泰君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。今回は大きく、観光立県の推進と緑の雇用事業、それに台風十一号災害対策についてお伺いいたします。
 私は、昨年九月議会において、観光立県の推進には観光行政の機構改革が必要かつ急務であると提案させていただいたところであります。知事のご英断により本年四月から観光局が設置され、バージョンアップした新たな観光行政がスタートしたことに観光立県を推進する一人として喜びを感じ、今後の和歌山県の観光振興に期待するとともに、知事の時代の流れを酌み取るといった姿勢に対し、敬意を表するものであります。
 さて、現在、NHK朝の連続テレビ小説では沖縄と東京を舞台にした「ちゅらさん」が放映され、家族をテーマにしたドラマ展開が連日二四%を超える高視聴率を呼んでいると聞いております。ビデオリサーチによりますと、例えば関東地区に限ってでありますが、視聴率一%が約十五万六千世帯と言われており、これに視聴率二四%をかけると、関東地区では三百七十四万四千世帯にも上り、一世帯で二人が見ているとすると、関東地区だけでも七百四十八万八千人が見ていることとなります。朝の連続テレビ小説は、全国に向けて、日曜日を除く毎朝六カ月間にわたり放映されることから、全国の視聴者数となると、それは驚く限りであります。
 ことしの夏の沖縄への旅行者数は、前年に比べ大幅に伸びていると聞いており、沖縄の特産品であるゴーヤについても、テレビの特集が組まれるなどして人気を博しているとのことであります。また、沖縄県庁観光企画課によりますと、正確な分析はいまだ放映中なので行っていないとのことでありますが、「ちゅらさん」効果は大変なものであるとの見解を示しております。
 この「ちゅらさん」も九月いっぱいで放送が終了し、十月からは本県熊野地方・本宮町を舞台にした「ほんまもん」というドラマが始まることは、既にご承知のとおりであります。言うまでもなくこのドラマ「ほんまもん」の主人公は、本宮町で生まれ育ち、新宮高校を卒業後、大阪で料理人の修行をし、後に地元に帰り、精進料理の店を開くというストーリーであります。先日も本宮町で撮影が行われ、地元の町民もエキストラとして出演するなど、十月からの放映を心待ちにしているとともに、全国から注目される期待もしているところであります。
 このタイミングに合わせ、県は今議会に補正予算を計上し、大阪において「ほんまもん」に関連したイベントを計画しており、時宜を得たものだと思っております。せっかくの機会であるこの時期に、関西だけにとどまらず、首都圏さらには全国に向けてもドラマのタイトルのような熊野の持つほんまもんの自然、ほんまもんの歴史・文化、ほんまもんの産品、さらにはほんまもんのいやしを発信する仕掛けが必要であると考えます。県として、具体的に熊野地方の振興策、例えば熊野ほんまもんキャンペーンなど、いわゆる熊野の本物の自然、歴史、文化、産品、いやしを見つけに来ていただく観光キャンペーンを首都圏または全国に向かって行ってはどうか提案するものでありますが、商工労働部長の所見をお伺いいたします。
 次に、緑の雇用事業の関連について質問いたします。
 木村知事と三重県の北川知事の国への提言は、「緑の公共事業で地方版セーフティーネット」として、新聞やテレビなどで大きく取り上げられました。今月九日の日曜の朝、竹村健一が出演している報道番組を見ていますと、番組の終わりの方で竹村氏が新聞の記事を差し出し、「和歌山県と三重県が共同で緑の公共事業を始めることになった。これは、地球環境問題を含め、高齢者の雇用にも大いに役立つもので、なかなか地方の取り組みとしてはすばらしいことだ」と評価していました。この緑の雇用事業については私のほかにも何人かの先輩議員が取り上げられておりますが、私は、山村に住む議員の一人としての観点から質問させていただきます。
 私の尊敬する中山喜弘前本宮町長は、ちょうど今から十年前、九月定例町議会で森林交付税構想を表明いたしました。「森は公共性が高く、その恩恵は都市にも及ぶ。整備に必要な費用を地元だけで負担するのではなく、国からの交付を受け、荒廃が進む森を守れないか」と、各方面に働きかけました。林業で栄えた本宮町では、深刻な過疎と高齢化の現実を見据え、中山前町長や町関係者は正面から取り組まれ、森林交付税構想を打ち出し、町議会はもちろんのこと、和歌山、三重、奈良の五町村とともに熊野川流域サミットを開催いたしました。その後、全国の市町村の共感を得て促進連盟が結成され、今では一千近くの市町村が参加する団体に発展しています。この動きが消極的だった国を動かし、風穴をあけ、平成十年度には、地方交付税の枠内からの予算配分ながらも国土保全ソフト事業として六百億円が計上され、森林管理対策の充実や後継者対策などに活用されています。
 この取り組みが「森林交付税構想十年」と題し、読売新聞の全国版に特集記事として二回にわたり大きく掲載されています。その記事の中で、活動を見守ってきた明海大学の森巌夫教授は、こう述べられています。「政治的野心とはまったく無縁で、名もない町長が、日本の森や山村を守りたいという熱意だけで進めてきた「ささやかな運動」だけに大きな意義がある。そこには既得権益という言葉は存在しない」と評価しています。また「構造改革の嵐は森林交付税にとって追い風になる可能性もある」とも述べられ、森林交付税を積極的に推進したいと表明した六月議会での知事のコメントも掲載されています。
 緑の雇用事業の共同発表以前の八月二十一日付朝日新聞のオピニオン欄に、「地方活性化 山の環境保全で雇用創出」との見出しつきで木村知事の記事が掲載されていました。この中で、「構造改革の過程で多くの人が仕事を失う中、ITなどの分野に適応しない人もあり、雇用の受け皿の多様化を考えるべきだ。山合いの中山間地域は、高齢化で、若い労働力を望んでいるが、この地域には所得を保障する仕組みが欠けている。環境管理に焦点を当てた施策の実施は、ふるさとのない都会人の住む都市と地方の対立の緩和に役立つ。小泉構造改革に厚みを持たせるためにも自主的な受け皿をつくり、地方の自立を」と訴えています。自治省財政局指導課長や大阪府副知事を歴任され、行政経験から生まれたオピニオン記事として拝見させていただきました。
 また、日本最大の労働団体・連合は百万人のふるさと回帰・循環運動構想を打ち出し、朝日新聞で、「過疎の山村の活性化と田舎暮らしにあこがれる都市住民にこたえる。リストラで失業した都市労働者の受け皿づくりも担う」と紹介されています。このほか、「生活拠点を移す定住者を歓迎するが、週末だけ暮らす一時滞在者や農山漁村で休暇を楽しむグリーンツーリズムにも力を入れる」とし、実行委員会をつくって取り組みを伝えています。
 なお、連合の小委員会の審議では、「送り出す側と地方生活者側の双方がコミュニケーションのとれるネットワークの構築も重視する」としており、このように地元の事情を組み入れた中での運動展開が望まれるところであります。
 そこで、緑の雇用事業を推進する上では、知事も唱える自主的な受け皿や連合の小委員会の唱えるコミュニケーションのとれるネットワークの構築が大きなウエートを占めるものと考えます。
 今月八日付の「紀伊民報」には、「森林関係者に期待の声」との見出しがつけられた記事が掲載されていました。その中では、自然豊かな里山で都会の人たちが休暇などを利用して森林の下草刈りや石垣積み、シイタケ栽培、稲刈りで汗を流すという新しいライフスタイルが注目されていることが紹介されています。その一方で、中辺路町森林組合の岡上参事は、この事業への談話として、「都市から来る人やIターンする人にとって山仕事は大変で、ただ漫然と田舎に来るのではなく、環境保全の理念を十分理解することが大切。一定期間、山に入って山仕事のノウハウを覚え、地元住民と交流するなど、事前研修も必要だ」とコメントしています。これは、ほかの森林・林業関係者も同じ意見で、今回の事業をどのように展開していくのか、長年の木材不況で経済の地盤沈下が進む山合いの町では注目しています。
 私は、知事の提言に賛同する一人として、さまざまな観点からこの事業の推進に向けて質問をさせていただきます。
 一点目は、今回の提言についての各種報道を見たとき、都会での失業者やIターン希望者を対象とした事業との印象を強く受けるものでありますが、失業については山村地域においても例外ではなく、公共事業の減少等により失業者が増加している現状であることから、緑の雇用事業は都会の人だけに焦点を当てたものではなく、もちろん山村地域で生活している人々をも対象とするものであることを、いま一度知事の口からお聞かせ願いたい。
 二点目、私は、緑の雇用事業を推進するにはボランティア団体や企業の協力を得た中での事業展開も大きな効果があるととらえています。これらのボランティア団体や企業による活動を県が積極的に推進しているNPO活動と位置づけ、県内外の団体、企業に働きかけ、社会貢献活動への参加を呼びかけるとともに、これに参加する人へのボランティア休暇やボランティア求職制度の創設を積極的に国や各方面に働きかけてはいかがなものでしょうか。この点についても、あわせて知事のご見解をお伺いいたします。
 三点目は、今回の事業を実施する際の受け入れ体制の整備についてであります。山の仕事は危険を伴う大変な仕事であり、初めての人には各種の事前研修や技術指導が必要であります。都会から山村へ移り住む人には住居が必要でありますし、NPOやボランティア団体を受け入れるには、専用のハウスを建設するとか、廃校となった校舎の利用や、経済の地盤沈下で白浜や勝浦など紀南を中心に百カ所以上あると言われている、多くの企業が放置している保養所等の有効利用も視野に入れた取り組みが必要であると考えますが、受け入れ体制のソフト面、ハード面をどのように整備するお考えなのか、農林水産部長にお伺いいたします。
 四点目でありますが、本宮町では「熊野の森の中で心地よい汗をかこう」とのスローガンで、女性を対象とした森林作業体験ツアー「山の神汗かきツアー」を企画し、山村、農村の活性化を図っています。このツアーは、来月の六日から三泊四日の日程で、参加費二万円で町内の民家に宿泊して、昼間は間伐などの林業体験を行い、その後、温泉への入浴や交流会で地元の人たちとの交流を深めてもらうもので、参加する多くの女性から人気を呼んでいます。
 八月十八日付の日本経済新聞の体験型観光の特集記事では、「近畿各地で新たな町おこしの手段として自治体を中心に力を入れ始めた。豊かな自然を資源としてとらえ、「見る」から「する」へと変わりつつある旅行ニーズを取り込み、滞在型観光の経済効果は高い。地元では、高齢者や有志を体験型観光のインストラクターとして養成し、事業を展開すれば、雇用対策にもなるほか、今後は修学旅行の需要拡大も見込まれ、各地の取り組みは活発化しそうだ」と伝えています。来年春から導入される総合学習枠には体験型学習も含まれていることから、これらの学校の動きに対し那智勝浦町役場は、「修学旅行に体験型ツアーを取り入れる学校がふえそうだ。積極的にPRを展開したい」とコメントしています。
 一方、東京都武蔵野市では、十年余り前から体験型ツアーを小中学校の授業として取り入れています。市の教育委員会が協力して発行された「とべ!緑の教室 武蔵野市セカンドスクールの挑戦」に詳しく記述されています。このセカンドスクールは、学校を離れてクラスで自然の中に飛び出し、先生やクラスメートと一緒に寝泊まりしながら農林水産業を体験したり、緑の中で思う存分遊ぶといった自然の学校であります。ソバの収穫や稲刈り、果物取りや豆乳づくり、魚釣りや地びき網体験など農林水産業の仕組みを勉強し、遊びながら共同生活の中で人と人との交流のあり方を学んだりするというものであります。この十年間の児童生徒たちの訪問先は長野や富山、山形など各地にわたっており、小学校は五年生が一週間程度、中学校は一年生が五日間程度の日程で実施され、全員が参加しています。この催しは、夏休みの林間学校や臨海学校といった特別な授業ではなく正規の授業として取り組まれ、子供たちは塾通いやテレビ漬け、テレビゲーム漬けといった都会生活の中での閉塞状況を打破し、別世界の生活を満喫していると紹介されています。
 この制度は、都会の子供は屋外での遊びが薄れ、子供社会の衰退に危惧を感じ始めた土屋市長や教育関係者らが昭和六十一年から協議を始め、「単なる遊びだ。遊びのために授業が食われては困る」といった反発や意見が出された中で、さまざまな議論の末に平成三年から試行運用され、今ではその成果が認められ、周辺市町村を初め各方面から注目や脚光を浴びています。このセカンドスクール事業に武蔵野市は、今年度の予算として九千七百十三万円を計上しています。武蔵野市の土屋市長は、「都市と地方が交流することで新たな産業も生まれ、地方、田舎が生きていける仕組みをつくりたい」と、第五次産業づくりを呼びかけています。
 そこで、緑の雇用事業を打ち出した本県でも、このようなセカンドスクール制度を導入してはいかがでしょうか。また、緑の雇用事業と結びつけた運用により、青少年の指導育成として取り組まれてはいがかなものでしょうか。教育長のご見解をお伺いいたします。
 最後に、台風十一号災害対策についてであります。
 八月二十一日午後七時ごろ串本町付近に上陸した台風十一号は、本県に大きな被害をもたらしました。道路が崩壊し、家屋が浸水、田畑が冠水し、つり橋が流失、養殖アユが流出し、養殖マグロが被害を受ける等、各地で多くの被害が発生し、被災した地域では今もなおその後片づけに追われ、不自由な生活を強いられています。浸水被害のひどかった古座川と那智勝浦町の太田川では、上流にある七川ダム、小匠ダムの放流が適切であったのかといった、ダム放流の影響を指摘する住民の声が高まっています。浸水被害が発生するたびにダムの放流と洪水との因果関係が議論され、今もなお解消されておらず、幾度となく浸水の被害を受けている住民は、いたたまれない心境であります。
 また道路関係につきましても、国道百六十八号や三百七十一号、それに主要県道では数カ所で山腹崩壊、路側決壊が発生して不通となり、約一カ月たった今も崩壊箇所の下を通ったり決壊箇所の横を通ったりと、安全が確保されない状態での通行となっています。
 ご存じのとおり、百六十八号や三百七十一号などは熊野川筋、古座川筋の住民にとっては動脈であり、一刻も早く安心して通行できるよう早急な復旧を願うものであります。
 今回の台風十一号による被災地の状況を視察したところ、各河川の堤防付近などに多くの土砂の堆積が見受けられました。これらの堆積土砂が河川の流下能力を低下させ、そのことが浸水の被害をさらに大きくした一因ではないかと考えられ、このような土砂は、洪水の防止を目的とし、環境に配慮しつつ、事前に取り除く等の対策が必要であると考えます。
 今回の台風十一号被害につきましては、昨日先輩議員からも同様の質問がありましたが、私も思いは同じでございます。県行政には県民の命、財産を守る義務があると考えることから、この件につきましては、私からも早急な復旧、早急な問題解決を強く要望し、以上で私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの小原泰君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問でございます。
 これは私に対する質問じゃないんですけれども、これから例の「ほんもまん」がNHKの連続ドラマで放映されます。私も連続ドラマをずっと見ているんですが、本当にこれはもう影響力が大きいということがありまして、和歌山県の熊野地域が取り上げられるということは千載一遇のチャンスだと思っております。こういうふうなものを積極的に活用して観光振興、そしてまた地域振興に役立てていこうという気持ちを持っております。今回、予算も計上しておりますが、またその時々の状況に合わせて、ほんまもんの自然があるということを発信していくことについて、これからも予算に限らず絶えず対応していきたいと思っております。
 それから、緑の雇用事業の関係でございます。
 お話にありましたように、本宮町の前町長の中山さんは、私もずっと仲よくしていただいていたんですけれども、緑の森林交付税ということで長い活動をされて、非常に大きな成果を上げてこられたと。私の発想も、当然のことながら中山町長の運動を根底に置いて考えついた面もありますので、これからもそういうことを参考にしながら対応していきたいと思っております。
 そしてその中で、先ほどありましたように、都会の人を呼び込むということばかりみたいだけれども、田舎の人の方はいいのかという話がありました。私は、かねてから「車の両輪」という言い方をしておったんですが、実は、地方の方の公共事業が少なくなって雇用の場が少なくなるから、そういう人たちの受け皿ということを余り言うとよくないという指摘がありましたので、ちょっとそちらの方を抑えていた面があるんですけれども、地方の方で雇用がなくなったり、そういう人たちの受け皿として考えているということは、これはもう当然のことでございます。
 それから、フルタイムの働き手のことだけじゃなくてボランティアとか民間企業とかの関係──これを全部NPOと言えるかどうかわかりませんけれども、そういうNPOの方々の働きというものを森林保護とか地域保全の中に生かしていくというのは当然のことでございまして、ぜひそれこそ肉厚な施策にしてもらいたいということで、きょうもお昼の時間、ちょっとその関係で、中央省庁の方の考え方と大分隔たりがありますので、そういうことについてやりとりをしていたんですけれども、何とかこの施策が、単なる森林の下草刈りとか枝打ちとか、そういうふうな局限された作業になってしまうんじゃなくて、地域を維持していくという大きな、観点の広がりのあるものになっていくように頑張っていきたいと思っています。これはなかなか難しい感じではありますけれども。
 それからもう一つ、これも教育委員会の関係でもあるんですけれども、体験型観光ということが大事だということはおっしゃるとおりでございまして、ことし和歌山県では、最初から観光の大きな施策の一つとして体験型観光のメニューを考える委員会を立ち上げています。先ほどのお話の中にもありました、私も非常に参考になったんですけれども、交流から新しい産業が生まれるという武蔵野の市長さんの発想というのは大変示唆に富むものだと思っておりますので、私も何とか交流からいろんな面──もちろん子供が来ることから、壮年の人や老人が来ることからも新しい産業を生んでいくというふうな発想でこれからいろんなことに対応していきたいと思っております。
○副議長(堀本隆男君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 連続テレビ小説「ほんまもん」に関連して、首都圏や全国に向けたPRについてでございます。
 ただいま知事からお答えいただきましたので私の答弁は必要ないかもわかりませんが、私は詳細についてお答えをさせていただきます。
 県といたしましても、この十月から本県を舞台としたNHK朝の連続ドラマが放映されることは、全国から注目を集める絶好の機会と認識してございます。議員ご提案にもありましたように、時機を失することなく本県の魅力、すなわち「ほんまもん」の観光資源を全国に向けて情報発信することは極めて重要なことと考えてございます。
 今議会において補正予算をお願いしている「ほんまもん!和歌山」キャンペーンは、その一環として十一月十日、十一日の二日間、NHK大阪センターとタイアップして、NHK大阪放送局及び難波宮跡公園で実施する予定でございます。
 この機会に、「ほんまもん和歌山」をテーマに、同番組とのイメージリンクを図りながら、関西圏はもとより首都圏、中京圏、さらには九州でのキャンペーン、全国エリアに向けたポスターの掲出、主要旅行雑誌への記事の掲載を行います。特に今回はホームページを開設し、インターネットを活用した情報発信を行うなど、関係市町村と連携をしながら和歌山の自然、温泉、歴史、文化、食等の魅力を全国に向けて強力に情報発信し、集客に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 農林水産部長辻 健君。
  〔辻 健君、登壇〕
○農林水産部長(辻 健君) 緑の雇用事業についてのうち、受け入れ体制の整備についてお答え申し上げます。
 新規就業者の受け入れに当たりましては、地域の多様な農林水産資源を有効活用した新しい就業機会の創出が必要であり、そのための技術習得への支援が重要であると考えてございます。特に、複雑、高度な現場作業を伴う林業におきましては、県林業センターにおいて、林業に関する技術、技能講習や安全作業講習、作業に必要な各種研修を実施してございます。今後は、新規就業者にできるだけ事前に研修を受講するよう積極的に働きかけるとともに、なお一層講習内容の充実に努めてまいります。
 次に、山村への移住者等に対する住居の整備につきましては、新築による定住住宅整備とあわせて、空き家情報のホームページを開設し、Iターン希望者等に対して住宅等の情報提供を行っているところでございます。
 また、廃校校舎を交流施設としてリフォームも行っておりますが、今後、NPOなどの団体の受け入れに当たりましては、遊休施設の有効活用も大切ではなかろうかと考えてございます。
 いずれにいたしましても、新規就業者の受け入れに当たりましては、生活環境の整備も含め、ソフト・ハード両面から各地域の実態に応じた条件整備を進めてまいる考えでございます。
 以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 緑の雇用事業に関連して、教育関連のご質問にお答えいたします。
 既に多くの方々からご指摘されておりますように、今日の子供は自然や人とのかかわりが次第に希薄になってきており、そのため、学校教育では海、山、川の自然を舞台にした活動を通してさまざまな体験や学習をさせるとともに、人々と積極的に触れ合う機会を設けることが求められていると思っております。
 こうしたことから、お話ありましたように、総合的な学習の時間を初め、特別活動等においても地域の方々を講師に迎え、例えばカルガモ農法を取り入れた農業体験、間伐材を利用したおもちゃづくり、丸太切り等を行う林業体験など、現在、本県の学校においても数多くのさまざまな学習活動を実施いたしているところでございます。今後とも地域の特色を生かし、より一層こうした教育が充実したものとなるよう指導を行ってまいります。
 また、議員からご紹介のありました東京都武蔵野市のセカンドスクールのことにつきましては、早速市教委にお願いし、資料を取り寄せて勉強させてもらっております。
 和歌山の豊かな自然を体験活動の場として広く他府県の子供たちに提供し、その結果、その子供たちが本県を心のふるさとと思えるようなあり方ができないかということについて検討してまいりたいと考えております。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十番小原 泰君。
○小原 泰君 答弁、ありがとうございました。
 緑の雇用事業についてでありますが、景気対策上、雇用の確保という点では大変重要なことであります。私が申し上げたいのは、まず県民、国民に緑や森の大切さを知ってもらうことから始め、それに親しんでもらうためには学校教育やボランティアの活動を通じて取り組むべきであると思います。
 また、教育長、和歌山の豊かな自然を体験活動の場として他府県の子供たちに広く提供する方策について研究するとの答弁をいただきましたが、まず和歌山市やその周辺の子供たちに紀南を訪れてもらうことから始めることも大切であると思います。
 それから、武蔵野市の事業は、自然科学や歴史を勉強するという点はもちろんのこと、道徳教育の面からもすばらしい取り組みであると思います。このような事業を単なる市町村の取り組みとしてではなく、国策として取り組むよう国に働きかけてみてはいかがでしょうか。
 以上、要望として私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で小原泰君の質問が終了いたしました。

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