平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(玉置公良議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時一分再開
○副議長(堀本隆男君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十八番玉置公良君。
  〔玉置公良君、登壇〕(拍手)
○玉置公良君 まず最初に、ちょうど私の前に見えます、花が飾られておりますけれども、その席からいつも一般質問をじっと聞いていただき、そして時には、終わった後アドバイスをいただきました今は亡き木下秀男県会議員に、心から哀悼の意を表したいと思います。
 また、アメリカで起こりました同時多発テロ、この事故によって亡くなられた方々、また災害に遭った方々に、心から哀悼の意を表したいと思います。そして、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 それでは、通告に従って一般質問をしてまいりたいと思います。
 私は、きょう取り上げてみたいのは、木村知事が去る九月三日に新聞発表されました緑の公共事業ということについて、その内容とねらいを問い、新しい和歌山の進路についてお尋ねをしたいと思います。
 それは、木村知事と三重県北川知事の連名で、国の公共事業削減による失業者対策と荒廃する森林や清流などの環境保全、再生をうたったものです。この名称は「緑の雇用事業」と後に変えられてはいますが、私は前の方が印象が強いので、あえて「緑の公共事業」という言葉を使わせていただきます。
 その前の八月二十一日付朝日新聞に、木村知事ご自身が投稿された「山の環境保全で雇用創出」と題した主張が掲載されました。この投稿の反響は大きく、早速、私の友人であります自然を愛する会代表の方から電話があり、大変よいことなので知事に激励も含めた手紙を送りたいが、と相談がありました。その手紙は知事のところに行っていると思います。この方のほかにも、私自身が開いてきました県政懇談会においても、このことに対する期待の声が多くありました。
 今日の公共事業と言えば、国民のとうといお金を使ってむだな工事をするという、悪いイメージばかりがひとり歩きをする。それなのに、あえて「緑」という形容詞をつけることによって、何かさわやかなようにイメージが変わることは不思議なことです。私自身も、さわやかな感じを受けています。単に知事はイメージを変えるということだけでなくて、もっと深いお考えがあるのではと感じています。
 そこで、今回は知事の新聞投稿に絞って、その趣旨とねらいをお聞きしたいと思います。
 知事の言われていることは、国民のとうとい税金を使ってむだな工事をする、この風当たりが強いため、壊すことへの反発から逆に壊さない、守るという工事、つまり自然を補修、補強することによってもとの形に戻す事業を「緑の公共事業」と名づける、公共事業の姿勢を変えることによって国民の信頼を得るということであります。それによって森林の二酸化炭素の吸収力、水の保全能力を高め、洪水を防止するなどの役割が果たされ、国民の安全とともに、ひいては地球全体の環境を守ることに貢献できるということをねらったものと思います。
 知事、そういう意味合いもあの投稿に中に入っていると私は解釈していますが、いかがでしょうか。そうだとすれば、私たち世界遺産登録運動を展開している者にとっても大きな励みになります。
 去る九月五日から十日まで、ユネスコ世界遺産委員会の専門会議である信仰の山会議が和歌山で開催されました。私自身もこの会に参加させていただきましたが、これは何を隠そう、私たちが望んでいる世界遺産登録実現へのスケジュールが具体化してきているあかしだと確信をしています。これは、知事が緑の公共事業として提案していることと、私たちが進めている世界遺産登録運動とは趣旨とねらいが同じであり、非常に気を強くした次第であります。言葉を変えれば、知事の投稿によって私たちの仲間の活動を全国に発信していただいたと、強く感動しています。私たちはこのように理解をしていますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
 続いて、知事の緑の公共事業を一歩進めるために、こういうふうに生かしたらどうかと考えます。そのヒントは、例の地球温暖化防止のための、いわゆる京都議定書から受けました。それは、気候変動に関する国際連合枠組条約の中で、二酸化炭素等の削減を二〇〇八年から二〇一二年の五カ年間実施するのに、少なくとも五%削減していくことが決まりました。その中でも主要各国の削減率は、アメリカ、ヨーロッパはともに七%で、日本は六%となっています。注目すべきは、その条約の第十七条で、与えられた排出枠の一部を売り買いするという、排出量取引ができることが盛り込まれています。これをわかりやすく言えば、削減五%に達しないでいる国は、既に削減五%に達している国の余裕分をお金で買い取るというものです。つまり、緑をたくさん持っているが、経済活動の乏しいアフリカなどの国は二酸化炭素の削減目標を達成しやすく、そうでない、経済を重視するアメリカなどの国は目標を達成できないためペナルティーとしてお金を出さなければならないという内容であります。この制度を緑の公共事業に生かし、日本でも全国的に大いに活用してみてはどうかと考えるのであります。それには、次のような数字が根拠になっています。
 和歌山県には、世界に誇れる大自然、森林があります。和歌山県民一人当たりの緑の面積は、県内全森林面積を全県民人口で割ると〇・三三九ヘクタールとなり、近畿府県の中で県民一人当たりの緑の面積が一番多い県となっています。ちなみに、奈良県が二位となっています。和歌山県のお隣の大阪府が一番少なく、一人当たり〇・〇〇七ヘクタールとなっています。近畿六府県の一人当たりの平均は〇・〇九七ヘクタールとなっており、和歌山県の約三分の一しか保有していません。したがって、大阪は緑の少ない分だけ、一番多い和歌山県に緑の恩恵、つまり生命維持装置を供給してもらっているのですから、その役割に対して財政面で応分の負担をしてもよいではないかと考えます。
 森林が少ないがために、他府県にその恩恵を頼るために毎年そのペナルティーを払い続けることによっていつも財政的に負担がかかるならば、緑をふやした方が得ではないかという環境への意識改革も生まれてくる効果もあります。当然、これは基本的な考え方であり、これからの制度であるので、内容を十分検討し、ペナルティー係数等を整理して、各府県が納得のいく制度として実施していかなければならないのは言うまでもありません。
 このように、理由のある、お互いに納得のする形での財源の捻出を考えればよいと私は思います。今までの交付税にかわり、当然の権利として我が県にも新しい税金としてお金が来ることで、従来の交付税とは違い、堂々と胸を張ってもらえるお金です。他府県ではできないことを和歌山県がかわって行う、また和歌山県でなければできないことだと思います。
 環境を守るための責任分担を果たさないとペナルティーをとられるというのが、今や国際ルールになりました。ならば、日本においても例外ではないということであります。こうして緑のないところを緑のあるところが補う、そういった図式が広がっていくのであります。そのよい例が、全国的にも情報公開や行政の先取りをしている、話題の多い三重県の北川知事が和歌山県の木村知事にエールを送り、森林の豊かな県同士が行動を起こすことはこれからの日本の環境行政に影響を与えるものと思われ、このことは画期的な試みだと私は思います。
 三重県にあるすばらしい海と数々の点在している島々、それに和歌山県の大きな森林と水量豊かな河川を持つこの二県がタッグを組み、環境問題に進めていけば、単に関西圏だけでなく、地球人全体のために利用し、貢献すれば、さらに日本への世界からの見方も変わってくると思います。知事、いかがでしょうか。
 環境保全の意識が高まっている今日こそ、京都議定書のルールを我が国にも適用してみてはどうでしょうか。この構想のために、とりあえず近畿六府県の知事が関西圏サミットとして集まり、日本版京都議定書ルールを検討してみてはいかがでしょうか。そして、緑の公共事業の財政面での具体的な検討をしてみる価値があると思いますが、知事のお考えはいかがでしょうか。お伺いします。
 経済だけが豊かさの指標だったのが、緑を持つことによってもう一つの豊かさの指標が加わり、そのことによって近畿圏の新たな進むべき方向が見えてくるのではないでしょうか。
 続いて、緑の公共事業のテーマの三つ目は、世界遺産登録という事業を通じて起きてくる雇用の問題であります。
 その雇用創出のきっかけは、各方面から注目を集めているNPOに期待しており、このNPOの立ち上げに全力を挙げようと考えております。NPOの重要なところは、非営利が原則ですから、利益を上げることはできません。しかし、必ずしも無償の活動ではなく、かかる費用の実費についてはもらえるのであります。NPOの多くの活動は、有償でよいのであります。活動の対価をちゃんともらってよいのであります。しかし、根底にはボランティア活動が流れているのです。それゆえ、コストも低く抑えることができます。
 NPOは、新しいビジネス雇用を生み出す第一歩だと私は思います。そして、周辺の人たちには歓迎され、参加する人たちにも生きがいを与え、企業も積極的に何らかの支援をする傾向があり、行政もそのNPOの事業が推進するようバックアップするのであります。今までの企業と違って、住民の反対だとか行政が悩むようなものはNPOにはありません。つまり、県民の皆さんが幸せになること、それがNPOであります。NPOは、地域にできるからこそ意義があると思います。この地域には世界遺産があるから、さらに値打ちが出てくるのであります。アメリカでは、労働市場の一つになるくらいであります。
 これほどすべての機関が好意的に支援し、関係者が協力体制をとれるNPOは、当然、官の行政から民間に移っているのが時代の流れであります。これは県行政でやっていたこと、つまり官から民に移して委託することでもあります。それによって民間の知恵が生かされ、行政コストも安上がりになります。これが完全に行われたとき、地方分権が完成された時点でもあると私は思います。これほど、NPOの応用と活用によって今まで日本が経験もしなかったさまざまな業種が生まれてくることが期待されます。それなのに、NPO方式を一番とりやすい条件にある、我が国の世界遺産登録されている日光や白川郷や屋久島について、私自身調べたところ、活発な動きが見られません。世界遺産を通じてNPO等が新しい労働市場になるということが、失礼ですが、県庁の中でも余り期待を持って動いているように思えないのであります。NPO事務局はできましたが、その指導については必ずしも充実をしているとは思いません。
 そこで、我々は、先輩の轍を踏まないために、世界遺産登録の活動前から話し合っています。私の地元では、NPOに関心のある人たちと、どういうことが我々にお手伝いできるのかと話し合っているのですが、その中からいろんな動きも出てきています。
 例えば、昨年発足し、私もスタッフとして活動しているNPO法人地球人学校では、事業部として世界遺産を守るエコ実践グループが発足する予定で今準備を進めており、十月から富田川や日置川の河川の環境整備や電線への枝がかりの伐採、廃屋の環境整備など、一人の常用雇用と約十人の地元の技術を持った高齢者の方々を臨時雇用として働いてもらい、今後さらに事業を広げていこうと計画をしています。これらのグループが、例えば県下に百グループ生まれれば、我々の甘い見積もりかもしれませんが、臨時雇用も含めて約一千人の雇用が創出されます。そして、このことは若者の雇用や高齢者の生きがい対策、介護予防対策にもなり、世界遺産を守る基金のかかわりにもなるのだと思います。今までの企業誘致に頼るのではなくて、雇用創出は地元の住民の中から、その人たちの知恵と工夫によって生まれてくるものだと私は思います。
 今まで申し上げてきましたことに、なぜ私は全力を挙げるのか。それは、和歌山県における雇用の創出と世界遺産を守るということに尽きると思っています。そして、二十世紀と二十一世紀の企業、雇用のあり方を根本的に問い直し、変えることになると思うからであります。このことは、きっと和歌山を救うことになり、そしてこの新しい試みが和歌山から日本を変えることになると確信をいたします。
 以上、私の具体的な提案を申し上げましたが、どのような支援と協力ができるのかお伺いをして、私の質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの玉置公良君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまの玉置議員のご質問にお答えいたします。
 まず最初に、緑の雇用事業、そしてまた緑の公共事業というものに対する考え方ということでございます。
 和歌山県にはたくさん森林があるわけですけれども、八十年ぐらいたった木じゃないとなかなか経済林にならないということで荒れている傾向があり、これを何とかしないといかんということが一つあります。一方で、今度の小泉構造改革の中で、都市の再生ということは言われるんだけれども、地方の再生ということは全然言われずに、どうもそちらの方ばっかり目がいくと。やはり何か地方の方から、これだけ自分のところには値打ちのあるものがあるんだ、そちらへお金を持ってくる、人を持ってくるということも大事なことじゃないかということをアピールしていく一番大事な時期じゃないかと思いましたので、アピールしたわけです。
 そうすると、その後、痛みを伴うということで、雇用問題というのが非常に大きな問題になってきました。私はかねてから心を痛めておりましたのは、私より二、三年上ぐらいの団塊の世代の人なんかを中心に自殺をする方が非常にふえていると。長く社会で頑張ってきたのにそういうふうなことになるということは、何よりもまして大きな不幸だと。そういうことで、何とかそういう方にもいいような職場を提供できる方法はないかと、非常にユートピア的な考えだったんですけれども、投稿いたしましたところ非常に共感を集めたので、それでまたそれを具体化していって、いろんな方策を考えているということでございます。
 そして、こういうことが進んでいきますと、今、地方の方の例えば道路は、口の悪い人はタヌキとかキツネしか通らないとか言いますけれども、そんなことはもちろんないんですが、そういうふうな形で、日本の中である程度人口のライフサイクルに合った流動が起こるようになれば、今までつくってきた地方の公共事業なんかもまた役に立ってくると。そしてまた今、京都議定書なんかでCO2の吸収ということから森林が物すごく大事だということが言われたので、そういう面でのアピールもできるということで、まあ一石五鳥ぐらいかなということで考えて提言したわけでございます。
 そして、当然のことながら、今、和歌山県は、 高野熊野の参詣道というものを世界遺産の登録を目指して頑張っているわけですけれども、非常に面積も広いですし、参詣道というのは非常に長い距離があると。そういう中で、やはり山を整備していくことは非常に大事なことになってきますので、そういう面でもこの緑の雇用事業というものが大きくかかわってくると考えているわけでございます。
 それから、今、ご質問の中にありましたCO2の排出量の売り買い──これは売り買いを地方公共団体の中でやったらどうかというのは、私は大変なアイデアだろうと思います。今度の私の提言にも、都会の県は余り賛同していないんで、 なかなかうまくいかないかもしれませんけれども、そういうふうな発想でこれから物事を考えていかないと、うまくない。そして、例えば近畿圏とか大きな圏域の中で、この地域は環境保全に物すごく役立っている地域だ、この地域はある意味では生産に役立っている地域だと。どこも生産にも役立たないといかんのだけれども、大きな役割分担、そしてその地域に対してそれぞれ尊敬を持って物を考えるというふうな考え方がこれから大事になってくると思うんです。いきなりお金を出してくださいという話になるとうまくいかないかもしれませんけれども、近畿の知事会議などでそういうふうなことをまた提言していきたいと思います。
 また、CO2の吸収とか、森林を大事にするとか、清流を大事にするとかということは、世界の中でも日本はちょっと変わった国だと言われているわけですけれども、こういうグローバルに通用するような価値を大事にしているんだということを世界に向けて発信できれば、当然のことながら経済だけでなくて、世界の中でも日本が非常に尊敬を受ける国になるということで、これも私は非常に大事なことだろうと思っております。
 それから、NPOの問題です。
 これも、今、玉置議員が言われたことと私は全く同感でして、全くただということとフルタイムワーカーとの間にいろいろ段階があるので、NPOの人も当然のことながら一定の──報酬という形じゃなくても、例えば交通費であるとか、作業をしたときのお弁当であるとか、その後皆で会合をする経費であるとか、そういうふうなものは当然出してもいいと思うんですよね。そういう形で、参加する人が生きがいを持って、尊厳を持ちながら仕事にもつけるという形というのは、これからの時代には望ましい雇用形態であると。それがアメリカでは大きな分野になっているという話を今お聞きいたしましたけれども、これはもう和歌山にとっても大事なことだと思いますし、そしてそれと世界遺産の登録の中からそういうふうな仕事を生み出してこようという発想は、私も非常に共鳴するところでございます。これについては、今年度もそうですけれども、来年度からNPOの人たちと協働していけるような仕組みを予算化していくことも必要だと思いますので、また関係各部局に指示して対応していきたいと思います。
 私から、以上でございます。
○副議長(堀本隆男君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十八番玉置公良君。
○玉置公良君 知事、ご答弁ありがとうございました。
 今提案させてもらいましたことについて、本当に前向きな、積極的なご答弁をいただきました。とりわけミニ京都議定書版については、一遍ひとつそういう趣旨を近畿サミットの中ででもよろしくお願いしておきたいと思います。
 これからの世界のサミットも、あなたの国の森林は何%減った、なぜ減ったんなという問題の議論には、あなたの国の森林は、森林づくりまではいかんけれどもメンテナンスなどで森林を保全した、そのためにお金もかかるから国連費用の何%を持ってこようと、こういうことになっていくんではないかと私は思います。したがって、お金を出す日本ではなくて、お金が来る日本、和歌山になってほしいなと思います。
 森林交付税構想も、大変すばらしいと思います。そう思いますけれども、こういう発想になってくればこの日本という狭い枠だけでなくて世界を相手にすることになってくると思います。
 今、石原東京都知事さんを中心とした関東圏の知事さん方が、首都圏全体を経済の強いブロックにさらに構築しようと努力していると思います。それに対して木村知事の緑の公共事業というのは、緑を売り物にした、関西圏を構想しながら東西の文化の対比というんですか、これをはっきりしようということも考えられるんではないかなという感想を持っております。
 経済圏は、二十一世紀には限界があると思います。経済は必要でありますけれども、あえて経済ばっかりに固執する必要はないと思うんです。しかも二十一世紀は、地球人という時代でもあります。緑の公共事業を打ち出したように、自然豊かな三重県の北川知事と木村知事と手を結んだことは、関西圏の特色を打ち出して、ひいては日本の進むべき進路に一つの指標を与えたことにもなるだろうと私は思っています。
 提言いたしましたミニ京都議定書づくりなども研究していただき、和歌山が関西の生命維持装置の県として二十一世紀の新しい和歌山づくりを進められますよう、要望しておきたいと思います。
 もう一つございます。雇用の問題についても、知事、触れていただきました。
 実は、熊野古道の世界遺産登録に向けて今準備が進められている中辺路町で、生涯学習による町づくりを話し合うため、「関西地区生涯学習まちづくり実践交流会」という名称で、この九月二十九日、三十日にかけて開催をされ、私も参加をする予定にしております。これは、NPOなどの連携によって生涯学習をもっと充実していこうということで、たしか昨年の二月県議会で教育長に提言をさせていただきました。そうしたら、小関教育長が大変積極的に賛同してくれまして、中辺路町に文部省のモデル事業を持っていただきました。その中辺路町が、昨年、NPOとの連携による町づくり事業というのをやってきました。私も参加させてもらいましたけれども、大変成功したと思っております。それを受けて、今度は幅広く関西圏という形でやられるわけですけれども、こういったNPO等を通じての町づくりが具体的に進んでおりますことをご紹介しておきたいと思います。当日、そういう議論を私もしたいと思っております。
 それから、これからの時代というのは、いかに生活をぜいたくにするかとか、あるいは現金収入がないからだめだと、そういう時代ではなくて、祖先が残してくれたふるさとがもたらしてくれる恵み──私はこれをあえてよく「ふるさとの利子」と呼んでおりますけれども、我々のふるさとの利子で生活できれば、まずそこで幸せだと感じる時代だと私は思っております。
 また、二十一世紀の地球時代にふさわしいその利子が大きな財を生む時代でもあると思います。自然を壊さずに職場が生まれるのが、これからの時代であると思います。今までは、自然を壊すことによってその代償として工場が建ったりしました。それが、私も含めてですけれども、職場だと思っておったのが多数ではなかったかと思います。しかし、先ほど提案しました世界遺産、さらには自然環境を守っていくそういう職場というのは、ふるさとの足元から生まれていくということに私自身も気づいてきました。その強みは、やっぱり世界遺産というふるさとの大きなバックを持っていることだと思います。それを十分生かした生活をつくり上げていくことだと思っておりますので、どうか、知事を初め県当局の力強い支援をお願いしておきたいと思います。
 そして、こうしたことにすぐに対応できるような──きのうも知事は、雇用のための検討委員会等を表明されておりました。大変いいことだと思っております。そういった対応ができるよう、そのための支援体制をつくってほしいなと思っております。
 私は、例えば仮称「和歌山県民の労働力の創出と世界遺産を守り生かすNPO等推進実行委員会」──こういう名称を勝手につくりましたけれども、その会長に知事がなって、県庁挙げての運動にしていただきたいと思います。
 もう一つだけ、予算です。
 これも、先ほど知事の方から来年度予算についても触れられました。私は、総花式ではなくて、やっぱり一点重点主義というような、いろいろ課題はあると思うんですけれども、そういう予算の支出が今こそ必要であると思います。
 私も、昨年の十二月議会で、行政とNPOとのパートナーシップで行政コストの軽減を図ってほしいということで、そのために委託事業等の見直しを提言してきました。来年度予算には、そういう具体的な予算執行をぜひとも考えてほしいと思います。このことが二十世紀と二十一世紀の企業、さらには雇用のあり方を根本的に問い直し、変えることになると思います。そして、この新しい試みがぜひとも、木村知事の和歌山から日本を変えることにしていってほしい。そう願って、私どもも頑張りますから、よろしくお願いを申し上げまして、質問にかえます。
○副議長(堀本隆男君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で玉置公良君の質問が終了いたしました。

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