平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 二十二番吉井和視君。
  〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 おはようございます。ただいまから質問をさせていただきます。
 まず初めに、故木下秀男先生に哀悼の誠をささげながら、ただいまから森林、林業の活性化について質問をさせていただきます。
 故木下秀男先生は、森林・林業・林産業活性化促進地方議員連盟の会長として、新基本法の制定に向けて大きな努力と精力的な活動をされました。昨年の六月に会長に就任以来、二十一世紀の森林、林業を守るためには林業基本法を改正し、国を挙げて森林対策を強化する以外にないということから、まだ全国的に整備されていなかった地方議会の議員組織の整備を緊急課題として取り組まれ、四十三都道府県及びその市町村における林活議連を誕生させたわけであります。そして、林業基本法改正の山場となったさきの国会で、与野党の農林関係国会議員、議運関係議員、国対関係議員、それぞれの地元関係議員への要請活動を的確に指揮し、会期日程が危ぶまれる中、どうしても今国会で成立という気迫で活動されました。そして、新しい林業基本法が六月十四日衆議院を通過し、六月二十九日、参議院を会期ぎりぎりで可決成立したものであります。そばで見ていた者として、林活議連会長木下秀男先生の獅子奮迅の活躍がなければ今国会での成立はなかったと言っても言い過ぎではないと思います。新法が成立した日は、ちょうど六月県議会中でありました。木下秀男先生におかれては、大きな安堵感と満足でいっぱいのご様子でありました。国会が閉会したので参議院選挙が終わったらみんなでお礼に行かねばと、私に言っておりました。そして、新法成立十日後の七月十日に急逝されたわけであります。故木下秀男林活議連会長のご功績に対し、心から感謝を申し上げる次第であります。
 さて、この新基本法のもとでの取り組みについてお尋ねをさせていただきます。
 一九九二年六月、ブラジルのリオデジャネイロで、世界じゅうから百八十三カ国の首脳が集まり、地球サミットが開催されました。地球環境問題が議論され、先進国と発展途上国が激しい議論をしたわけでありますが、地球環境を保全しつつ、社会経済の持続的な発展を図っていくという考え方がまとまり、森林に関する初めての世界的合意である森林原則声明が採択されました。これは、地球上から毎年一千百万ヘクタール、これは和歌山県の面積の約三分の一ぐらいであろうと思いますけれども、そういう森林が失われていく現実を何とかしなければいけないということで、森林は再生することができる循環資源であるから、森林の成長範囲内で木材を使用するようにして、もし使用し過ぎたら、その分以上の森林をつくっていこうという合意であります。国内においても、このような地球規模での環境問題と、国内の森林、林業を取り巻く厳しい情勢から、どうしても新しい林政の構築が必要となりました。そして、時代に対応した林業基本法の改正が急務の課題となったわけであります。そして、四十年ぶりに新しい森林・林業基本法ができました。国は、今後、新基本法の「森林の有する多面的機能の発揮」、「林業の持続的かつ健全な発展」という新たな理念のもとに新たな政策を実施するわけでありますが、二十一世紀の山村振興を考えていく上で、地方公共団体においてもこの新基本法の新たな理念を実現していく新しい施策が必要であると考えるわけであります。
 そういう意味で、この問題についてどのように取り組まれるのか、知事の決意のほどをお尋ねいたします。
 具体的な県の取り組みについて、何点かお尋ねいたします。
 国においては、森林整備のための国民支援をどのようにするのか検討中と聞いております。紀州木の国・我が和歌山県として、自分たちが幸せで恵み豊かな生活をするため、この森林整備について県民がどのように負担すべきかを検討することが必要であると考えます。例えば、地方税として水資源涵養税のようなものを検討できないものか。森林から恩恵を受けている者がその森林を守るべきだという県民意識の高揚の見地からも、ぜひとも必要であると思います。他府県で実施を考えているところがあると聞いておりますので、そのことも調査検討をしていただいて、和歌山県の取り組みを考えていただきたいと思います。その他、森林整備における県民支援の方法がありましたら、お聞かせ願いたいと思います。
 次に、森林、緑を守るという県民啓発についてであります。
 森林の多面的機能はたくさんあります。国土の保全、水資源の涵養、自然環境、生活環境の保全、地球温暖化の防止等で、これを金銭で換算すると七十五兆円相当であると言われております。きょうの新聞でも、和歌山県の森林の多面的機能を金銭で換算してみれば一兆三百億円ということが載っておりました。これだけ森林の多面的機能に恩恵を受けているということを、我々は日ごろ忘れがちであります。私たちはこういったことを思い切り宣伝し、そして啓発する必要があると思うわけであります。そのことを県民に啓発することが、森林資源を活用した循環型社会の実現や、林業や山村地域の振興の第一歩であると考えます。新基本法の理念に基づいて、森林を守っていくという県民意識の高揚を図るための県民啓発について再検討する必要があると思いますが、今後の取り組みとお考えについてお聞かせ願いたいと思います。
 次に、森林の恵みについて次代を担う子供たちに学校で学習させることも大変必要であると思います。山村において森林、林業の体験教育をさせる中で、循環型社会の実現について学習させることが望ましいと考えますが、森林教育について教育長のお考えをお尋ねいたします。
 次に、市町村合併についてお尋ねいたします。
 私はこの問題について、仮谷知事、そしてまた西口知事に対しても、この議場でたびたび質問させていただきました。その質問内容についても、今回質問させていただく内容と似通っております。しかし、時期がたてば、その答弁も当然変わってくると思います。そういう意味で、今回もまたこの質問をさせていただくわけであります。
 県が合併要綱をことしの二月に作成されました。市町村合併については、さまざまなところで論議をされ、住民の関心も非常に高くなってきております。市町村合併の基本は市町村の自主的な意思であり、大多数の住民の判断で決定すべきものであります。しかし、この市町村合併は、地方分権の実現、本当にせっぱ詰まった国及び地方の行財政改革のためにどうしても避けて通ることのできない緊急の課題であります。国においても各地でシンポジウムを開催し、その推進に積極的に取り組んでおります。
 木村知事は、県行政を大改革し、二十一世紀に対応すべき体制づくりに邁進されております。しかし、和歌山県のこの木村革命とも言うべきものを本当に実現していくためには、県下全般を見渡し、五十市町村を強力に指導する果敢なリーダーシップが必要であります。そして、木村県政の重要な柱である市町村合併についても、これを早急に進めるためには、県政のトップである知事ができるだけ市町村に直接足を運び、首長、市町村議会議員、そして住民と直接対話をし、強力な指導力を発揮していかなければならないと考えます。
 先日、知事は、吉備町でのシンポジウムにも参加されておりまして、いろいろ発言をされておりました。知事の言葉というのは、非常に影響力が大きいわけであります。そういう意味でも、今後十分に指導力を発揮していただきたいとお願いするわけであります。
 また、国の姿勢として、市町村合併をすれば地方分権が今後どのように進むのか非常に心配でありますが、まず地方分権の推進には合併の意義が大きいということを明確にすると同時に、権限移譲等の具体的なメニューについてもできるだけ具体的に示す必要があると思います。また、この間の吉備町でのシンポジウムで感じたことでありますが、合併特例法の切れる平成十七年以降の市町村に対する国の方針を明確にし、十七年以降もっともっと厳しい状態になるんだということを説明していただき、市町村の自己責任を促すようにすべきであると考えます。
 合併に対する知事の熱意は、相当感じられます。合併協議会を設置し、合併に至るまでに二年程度の期間が必要と聞いております。二年以上の期間が必要であるとするならば、時間的に余裕はございません。あと一年の間に推進をする必要があります。今後の県の取り組みと、知事の決意のほどをお尋ねいたします。
 また、県は近く重点支援地域を指定すると聞いておりますが、どの地域を指定しようとしているのか、また県下の市町村の合併に対する状況をお聞きしたいと思います。
 国は、合併支援策として、各省庁において重点地域に対する特別支援策を最近まとめたと聞いておりますが、県独自の支援策についてはどのように考えているのかをお尋ねいたします。
 教科書問題について質問をさせていただきます。
 新しい歴史教科書が検定を通過したことにより、中国、韓国から、すさまじいとも言うべき抗議が相次ぎました。各地で交流行事がキャンセルという事態が発生いたしました。和歌山市でも、日韓のサッカーの試合が流れたと聞いております。これはどういう意図を持っているのか私にはわかりませんが、内政干渉以外の何物でもないと思うわけであります。そのことについて抗議できないでいる政府は、表現の自由を持つ日本の検定制度をみずから否定していることであり、自主独立権の放棄に等しいことを本当に簡単にする国であるなという感じがいたします。この教科書問題の騒動が今回の教科書採択に少なからず影響を与えたことは事実であり、私は非常に残念に思います。
 まず、今回の外交問題にまで発展した教科書問題と日本の検定制度について、教育長のご所見をお伺いいたしたいと思います。
 そして、八月十四日付の、こういう「きび民報」というものが吉備町四千世帯ほどに新聞の折り込みで配布されたわけであります。「きび民報」第八号、発行責任者は森元基男さんであります。記事の内容についてでありますが、こういう記事で、吉備町の共産党の町会議員の二名の方が「残暑お見舞い申し上げます」という記事に始まって、「みなさんのご要望を町議会へ」──電話番号も入れて松坂さん、堀江さん二名の名前を書いておるわけであります。
 その中で、「子どもと教育が危ない 侵略戦争美化の教科書採択の策動」というタイトルで、こういう記事が載せられておりました。それをちょっと読ませていただきます。
 「来年度から学校では、新しい教科書が使われます。社会科の歴史と公民分野に、「新しい歴史教科書をつくる会」という団体が、とんでもない教科書を作り、教科書として採用してもらおうという動きがありました。 この教科書は、太平洋戦争を「大東亜戦争」と呼び、「自尊自衛」「アジア解放」の戦争と美化しています。 このような教科書を、東京都・愛媛県では、養護学校で採用しました。 この教科書は、日本が起こした戦争を反省せず、「正しい戦争だった」とする人たちが、その独断的な考えを子どもたちに押しつけるために作ったものです。だから、全国で多くの人たちが「採択しないで」と声をあげたのです。中国・韓国などアジア諸国からは、厳しい批判があがっています。 和歌山県でも、吉井和視県議が中心となって、特に有田・西牟婁でこの教科書を採択させようという動きがありました。 有田地方では、良識ある判断のもと、この教科書は採択されませんでした。 みなさん、未来を担う子どもたちに、戦争賛美の教育を押しつける教科書を使用させようという、吉井県議の考えについて、どう思われますか」──こういう記事であります。
 私は、この記事に対して、共産党の松坂さんに質問を申し上げました。この記事については、あなた方共産党の議員が責任を持っておりますかという質問であります。そうすると松坂議員は、当然責任を持っておりますということでありましたので、私は、発行責任者に対して抗議文、そして声明文を送らせていただきました。なかなか返事がなかったのですけれども、最近、公開討論の申し入れをさせていただいたところ、返事がありました。公開討論を受けていただけるということでありましたが、私の抗議文に対して返事がなかったのは、この記事について確信を持っておるからということでありました。
 私が個人的にこの記事について断じて許せないところは、「戦争賛美の教育を押しつける教科書を使用させようという、吉井県議の考えについて」というくだりであります。あたかも私が戦争賛美の教育を推進しているがごとき表現をされるのは、一方的な記事であり、間違った記事であり、ひきょうな表現であると思うわけであります。そのことに関して私は個人的に憤りを感じておりますので、今後、公開討論、そしてまた私の名誉を回復するためにも法的な手段を考えていきたいと考えておるところであります。
 それで、教科書の中身の問題であります。戦争を賛美している教科書だと言われているこの新しい歴史教科書についてでありますが、これは国の検定を通過しておるのであります。今回、この教科書を含めて、県下の採択地域で教育委員の皆さんが選定作業に当たったのであります。この「きび民報」に書かれている、戦争を賛美しているような教科書であれば、今回の検定作業そのものが間違っているように思います。
 そこで、今回の教科書の採択について、教育行政の中で明確にすべき点があると思います。もし、新しい歴史教科書が和歌山県下で採択されていたなら問題があるのか、またこの新しい歴史教科書は戦争を賛美した教科書であるのか、この「きび民報」では戦争を賛美した教科書であると言っているわけでありますが、和歌山県の教育を預かる教育長に、この教科書についての認識をお尋ねいたします。
 歴史教科書問題が起こったことで、歴史教育のあり方が、教育関係者だけでなく多くの国民の間で論議されております。何のために歴史教育が必要であるのかということが問われているのであります。学者による歴史観は、さまざまであります。その中でどのような歴史教育をし、子供たちはどのように学んでいけばよいのか、教育長のお考えをお尋ねいたします。
 以上であります。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの吉井和視君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいま吉井議員のご質問の中で、林業基本法の改正に対する故木下議員の思いを知り、深く感銘を受けたところでございます。
 この林業基本法の改正、今までの林業基本法はどちらかというと森林からどのように収益を上げていくかということが中心であったと心得ておりますけれども、今回の改正で森林の持つ多面的な機能を評価して高めていこうということで、ほとんど新しい法律になったということは大変立派なことだと考えております。
 私が今回提言いたしました緑の雇用事業も、大きくはこれに軌を一にするものでございまして、森林の持つCO2の吸収機能であるとか、環境保全機能であるとか、そういうものを森林だけではなく、清流とか魚つき林とか、また中山間地域とか、そういうものの全体を広く見て保全していくことが大切であるという観点から訴えたものでございます。特に和歌山県などにとっては、地域防衛という観点からも大変大事なものだと考えているところでございます。
 県といたしましても、国の方へ提言していくことは当然ですけれども、県としても自分たちでできることはどんどんやっていかなければならないということですので、今年度からできることは今年度から始めますし、来年度以降、ますます厚みを持たせた森林対策を構築していきたいと思います。そういう中で、ボランティアの方の活動であるとか、子供の森林体験ということは非常に大事なことで、新しいふるさとづくりという面から考えても、この辺はもっともっと強調していかないといかんと考えておりますので、何とかいろんな形で施策として実現化していきたいと考えております。
 次に、市町村合併でございます。
 ご質問にありましたように、もちろん、これは県の方から強制してどうこうという性格のものでないことは自明のことでございます。しかしながら、今の地方行財政、国の財政状況とか世の中の流れを勘案すると、やはりある程度の市町村が合併して足腰の強い自治体にしていくことが地方分権、そして日本の国があるべき分権型社会になっていく上でも非常に大事なことではないかという基本的な認識を持っているわけでございます。
 地域にはいろいろな実情とか事情がありますけれども、私がこれまで感じているところでは、和歌山県下の市町村長の方は他県に比べて非常に市町村合併について積極的であるし、そしてまたまじめに検討なさっている方が、別にお世辞じゃなくて多いと思っております。こういう方々の真剣な取り組みといったものを県としてどんな形でサポートしていけるか。今までもいろんな形の施策を打ったきたわけですけれども、年限が限られてきておりますので、ますますそういうふうな手助けができるようにしていきたいと思います。
 そして、一つ大きな流れとしては、今までは合併といいますと旧自治省、今の総務省といったところが中心になって行ってきたわけですけれども、来年度以降は関係各省が全部合併に向けたいろんな補助制度や施策を打ち出してくるということになっておりますので、この面からも大分地域の合併に対する考え方が変わってくるのではないかと思っております。
 私のところへも、県下の市町村長さんが選挙で当選されておいでになるときにお話をしますと、合併を一つの大きな事柄と考えて対応していこうと思っておりますということを言われる方が非常に多いわけでございます。私もこういう皆さん方の意向を受けて、県として積極的な対応を進めていきたい。そして、これは平成十七年という期限があるわけですけれども、今のいろいろな状況を勘案しますと──今までだったら時間が途過しても必ず同じようなことがやられるだろうということが一般的だったんですが、今の日本が置かれているいろんな状況を見ると、必ずしも今までのようにだらだらと続いていくという状況ではないという感じもいたしますので、私どももそういう認識を持って事柄に対応していきたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 森林整備についてのうち、まず森林整備における県民支援についてでございます。
 本県では、これまでも幅広い県民の協力を得るため、ボランティア参加による護摩壇山森林公園でのシャクナゲの植栽や根来山森林公園での森林整備、また漁民の森の整備などを実施してまいりました。さらに、地域緑化に対する募金事業として緑の募金活動を実施しているところでございます。また、清水町、白浜町、那智勝浦町などでは、森林の整備に対する基金を設け、水源の森づくりなどに流域住民等が参加する制度が始まってございます。
 なお、議員ご指摘の水資源涵養税につきましては、複数の県で検討がなされていると聞いてございます。本県でも、総務部において水資源涵養税を含めた環境関連税について、受益と負担の関係から法定外税としてどのように構築できるか、先進団体の事例も含め、調査研究しているところでございます。
 いずれにいたしましても、多くの公益的機能を有する森林は国民共有の財産と言えるものであり、今後、県民支援はもとより、幅広い都市からのボランティア支援などについても一層検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 次に森林を守る県民啓発についてでございますが、従来より森林の持つ多面的機能を広く県民にPRするため、毎年、四月二十九日のみどりの日を中心に県下各地で緑の感謝祭を実施し、広く県民に啓発を行うとともに、紀州山の日の開催や緑の少年団の育成、かしの木バンクの森づくりなどの取り組みを行ってまいりました。
 今後につきましては、林業基本法の基本理念に基づき、さらなる森林の多面的機能の持続発展について県民啓発を進めるため、従来のPR手法に加え、近年各地で芽生えつつある森林ボランティアやNPO法人の育成を図るとともに、森林資源の持続可能な循環利用の推進の立場から、地球に優しい資源である木材の利用推進を柱とする新たな県民啓発に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 市町村合併についての三項目のご質問に一括してお答えいたします。
 まず県内市町村の取り組み状況についてでございますが、現時点で法定あるいは任意の合併協議会は設置されておりませんが、複数の市町村で組織する研究会が五つの地域で設置されるとともに、十九の市町村議会において特別委員会が、また二十八の市町村において庁内の研究検討組織が設置されているところでございます。
 次に合併重点支援地域の指定についてでございますが、シンポジウムの開催などを通じてさらに合併機運の醸成を図り、また地域の取り組み状況等を踏まえながら、本年中をめどに複数箇所を指定してまいりたいと考えております。
 次に県の支援策についてでございますが、地域においてさらに合併推進に向けた取り組みが活発に行われるためには、地域の実情に応じた支援を行っていくことが重要であると考えております。このため、県の合併支援本部において、政府の市町村合併支援プランなどを踏まえながら、各部局が連携して新市町村の円滑な建設に資する総合的な支援策を検討してまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 初めに、森林教育についてお答えいたします。
 子供たちに森林を守り育てようとする態度をはぐくみ、森林と人間とのかかわりについての理解を深めさせることは、二十一世紀の地球環境を考える上で極めて重要でございます。県内では、現在、小中学校約八十校において、地域の方々の協力のもと、学校林の育成活動を初め、炭焼きや間伐材を用いた木工品づくり、枝打ち体験、森林と林業について講話を聞くなど、さまざまな教育活動に取り組んでおります。こうした取り組みを通して、森林が緑豊かな空間をつくり出し、肥沃な土壌をはぐくむことなどにより、我々に大きな恵みを与えており、森林資源の循環利用の大切さを子供たちに理解させることができると考えております。
 次に、教科書問題についてお答えいたします。
 学校教育においては、一定の教育水準を維持し、適正な教育内容を確保することが肝要でございます。そのため、国においては学習指導要領に示された目標等に照らし、国際協調等にも配慮して、主たる教材である教科書検定を実施しているところであります。
 こうした中、今般の教科書の検定及び採択につきましては、国の内外からさまざまな意見が寄せられましたが、本来、教科書は教育的な見地から主体的判断で責任を持って決定するものであると考えております。歴史教育、なかんずく中学校における歴史学習の目標は、子供たちに歴史的事象についての学習を通して歴史への関心を高め、大きな流れを理解させることにあります。さらに、我が国の文化と伝統の特色を考える力を身につけさせるとともに、歴史に対する愛情を深め、国民としての自覚を育てることが大切でございます。また、国の検定に合格した教科書はすべて児童生徒に国民として必要とされる基礎的、基本的な事項を習得させるにふさわしいと認められたものであると考えております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 二十二番吉井和視君。
○吉井和視君 答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 合併問題についてでありますけれども、ややもすると、これはデメリットの一つとして挙げられておるところですが、過疎地域、山村地域が合併するとほうっておかれると。これはデメリットではないわけなんですけれども、たびたび議論の中に出てくるわけであります。
 そういう中で、今回、知事が緑の公共事業ということを提唱された。私は、川上の山村地域と川下の町が一つになることによって、その恩恵を受けている川下が山村地域の支援をするという考え方に立たないと緑の公共事業は実現できないし、基本はそこにあると思うわけであります。
 そうすると、山村地域は合併をにらんで千載一遇のチャンスではないかと思ったわけであります。デメリットをメリットに変える。一つのことが達成できたような気がして、この提唱について非常に喜んでいるところであります。これをできるだけ進めていただきたい。
 進めていくためには、お金がかかるわけであります。そういう中で、私は水資源涵養税というものを検討していただきたいということを申し上げさせていただきました。毎日水道をひねって感謝することによって一人一円を支払うということを考えれば、和歌山県で一年間で大体三億七、八千万円の金ができるわけなんです。それを山村地域の振興に充てる。これを十倍の十円にすれば、三十数億円のお金が山村に流れ、森林整備に使われるようになるわけであります。そういうことを考えて積極的に取り組んでいただきたい。そのことを要望しておきます。
 それから教科書問題については、教育長は勇気あるといいますか、本当に積極的な評価をしていただいた答弁であるということで、非常に喜んでおります。子供たちにふさわしい教科書であるという答弁をいただいたわけであります。
 今後とも教科書問題について、私は委員会の中でもまた申し上げたいと思うわけですけれども、偏見あるいはまた偏った一方的な中傷があるわけですが、本当に子供たちに何がいいか、ふさわしいかということを今後とも私自身も学んでいって、みんなで議論をさせていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で吉井和視君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前十一時四十分休憩
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