平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(飯田敬文議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前十時二分開議
○議長(井出益弘君) これより本日の会議を開きます。
  【日程第一 議案第百四号から議案第百二十号まで、並びに
        報第六号】
  【日程第二 一般質問】
○議長(井出益弘君) 日程第一、議案第百四号から議案第百二十号まで、並びに知事専決処分報告報第六号を一括して議題とし、議案等に対する質疑を行い、あわせて日程第二、一般質問を行います。
 四十四番飯田敬文君。
  〔飯田敬文君、登壇〕(拍手)
○飯田敬文君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして、二日目、トップバッターの質問をいたします。
 初めに、先般、想像を絶する非情なアメリカ中枢同時多発テロ事件が発生し、世界じゅうに衝撃が走りました。多くの犠牲者が出ております。こういう卑劣で非情な行為は、断じて許されることのできないものであります。事件に遭われた方々に対し、心より哀悼の意を表したいと思います。
 また、去る七月に逝去されました木下秀男議員に、改めて、謹んで哀悼の意を表するものであります。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 この事件により、世界経済も混乱をきわめ、我が国にも大きな影響が出てきております。アメリカ経済は、一時的ではあろうとは思いますが機能を停止しており、我が国の株価が一万円を下回り、崩壊寸前の我が国経済の先行きが不安視され始めております。このようなとき、国民の八割を超える支持を得た小泉首相が推し進めている痛みを伴う構造改革の断行は、長引く景気の低迷と相まって、多方面にわたり正と負の論議がされております。現在の日本の現状は、明治維新や第二次世界大戦直後に匹敵する歴史的な大転換期にあるのは間違いのない事実であり、このようなとき、これから十年後の日本のあるべき姿への道筋を決定する必要はだれもが認めるところであります。政治にかける期待、それを動かす政治家への期待には大きなものがあります。
 さて、小泉改革とは具体的に何でありましょうか。また、痛みとは何であり、どれほどの痛みなのかであります。首相の所信表明演説では、第一に「改革断行内閣」と位置づけ、「恐れず・ひるまず・とらわれず」の姿勢で、二十一世紀に日本と国民が自信と誇りを回復するため、聖域なき構造改革を進めることを主張いたしました。さらに、今の痛みに耐えてあすをよくしようという精神、いわゆる「米百俵」の精神こそ改革を進めようとする今日の日本には必要であると訴えたわけであります。
 具体的には、首相公選制実現の政治構造改革、不良債権処理や競争的経済システムの構築などの経済、財政構造改革、中央分権とかかわった特殊法人の改廃、郵政三事業の民営化の行政構造改革など、あらゆる分野において一貫した構造改革を推し進めることとなっております。これは、あらゆる側面での構造改革を通じて日本の立て直しを図るという、これまでのいわゆる守旧派型政治からの脱却によらなければ日本の活性化、再生はあり得ないという認識に基づくものであります。
 私は、このような認識のもとに、構造改革については大いに賛意を表するものでありますが、この構造改革の名のもとに、国民及び地方、弱者のみにそのしわ寄せを押しつけ、犠牲を強いることには断固反対であります。日本経済を混乱に陥れた不良債権の一掃のために、その元凶である大手銀行経営者やゼネコン、旧大蔵省幹部などの責任を徹底的に追及し、その癒着の構造改革をこそまず徹底させなければなりません。
 一方、日本の経済情勢は一段と厳しさを増しております。本月七日に内閣府が発表した本年四月から六月期の国民所得統計によると、国民総生産いわゆるGDPは、実質一月から三月期の前期に比べ〇・八ポイント減少し、年率換算で三・二ポイント減となり、四半期ぶりのマイナス成長に転落したことを報告いたしました。また、この景気の落ち込みを受け、従来よりの民間企業は一層のリストラを推し進め、本年七月の完全失業率が五%に達し、近畿地区においては六・三%という高い数値が示されました。さらなる失業率の上昇が予想され、国民全体に大きな不安が広がっております。この大きな不安により、新聞紙上をにぎわわせている凶悪な犯罪が増加し、治安の面からも不安視され、犯罪をなくす一番の方法は、構造改革ではなく景気を回復させることが大事であるという意見もあり、政府の方針と矛盾することとなっております。
 私は、小泉首相の「構造改革なくしては景気の回復なし」と、そのこと自体の意味は正しいとは思いますが、それは一面を言っているにすぎないと思います。構造改革をしさえすれば景気が回復するということにはならないと思うわけであります。なぜならば、景気や経済というのは生き物であり、人間の意識や行動、政策とは独立した法則のもとに動いているものであり、その法則に見合う政策を打たなければ景気の回復はありません。今回の株式の一万円割れはそのことを端的に示していると思います。構造改革と景気回復の将来を、両方同時に強力に推進していく以外、方法はないと思うわけであります。
 構造改革というのは、一般的に言われておるわけでありますけれども、幾つもの側面があると思うわけであります。すなわち、不良債権を一掃する経済改革、特殊法人、公団等、民営化に見られる行政改革、さらに国、地方の行財政改革、この三つから成っていると思うわけであります。私は、今やるべき構造改革は経済改革の徹底であり、不良債権の一掃のために全力を注ぐべきである、これを支えるセーフティーネットの確立が最も求められていると思います。行政改革とは同時に実施するのではなく、時間をかけて時期を見て実施すべきではないでしょうか。
 先ごろ、県組織の見直しを検討していく和歌山県行政組織等検討懇話会なるものが設置されたと聞いております。これは必ずやり遂げなければなりませんけれども、今これを実行することは、失業者をふやしたり経済の失速を招きかねるという意味で、危惧をいたしているところであります。このままの構造改革の推進は、地方に大きな負担がかかることが目に見えております。中でも政府の構造改革の柱となっている不良債権処理と公共事業の削減は、失業者をふやすだけでなく、和歌山県などの地方にとりましては発展の基礎を危うくすることとなると思います。
 先般、道路特定財源の見直しを掲げた政府に対し、存続の議会決議を行い、陳情してきたところでありますが、このような地方の切り捨ては断じて許すことのできないことであります。確かに、将来の日本を見詰めたとき構造改革は必要不可欠のことではありますが、むだを省き、重要な施策については強力に推し進めることが、地方の活力維持とともに主眼に置かれるべきであると思います。
 木村知事におかれましては、小泉政権の目指す構造改革を踏まえた基本的な考え方についてお伺いをいたします。
 次に、本年二月議会におきまして木村知事にご質問をいたしました二十一世紀の和歌山県のありよう、地域づくりについて、どのような方針のもと、どのような県にしていくのかをお聞きし、木村知事の将来ビジョン、いわゆる木村ビジョンを明らかにされるよう質問をいたしました。知事就任一周年を迎え、和歌山再生のこれまでのご努力に対し敬意を表するわけでありますが、いまだ政治家木村知事としてのビジョンが全県民に見えていないように思われますが、いかがなものでしょうか。
 とにかく現在の和歌山県は、県財政の悪化とともに、長引く景気の低迷により、失業者の増大に加え、中小企業の倒産やその予備軍を抱え、また環境面や安全面においても危機的状況にあります。この危機的状況を打破し、厳しい状態であるからこそチャンスととらえ、県民の負託にこたえることが知事としての責務であることは、言うまでもないことであります。まず、木村ビジョンなるものをお示しいただきたい。
 さて、これまで何度となく質問させていただいております和歌山県の活力ある発展には関西空港を中心とする泉南地域との連携と、さらには近畿圏の総合的な施策によって考えるところに立ち至っております。しかし、これまでの和歌山は、そのことを後回しにし、今までこれに乗りおくれてきたのであります。その証拠に、県民所得の低下や企業誘致が進まない現象が起きており、近畿圏の中で最低の水準であります。これまで、全県下的なばらまき施策により進められてきた財政投資や事業の推進により活性に重要な事業がおくれてきたことが原因ではないでしょうか。私が県議会に登壇以来提唱し続けてきた紀泉百万都市構想は、近畿圏第四の経済集積地域をつくり出すもととなるものであり、もちろん県全域の発展を見据えた構想であります。ただし、これも我が県がその体制を早急に整えた上での話であります。
 まず、木村ビジョンの中において、紀泉百万都市圏域の推進について、知事の見解を求めます。
 特に、那賀郡を初めとする紀北地域が大阪府南部に隣接していることもあり、この地域を一体として和歌山県の玄関口として位置づけるところから始めなければなりません。具体的には、道路体系の整備が急務であります。中でも京阪神と二時間でつなぐことができる京奈和自動車道路の完成が大事であり、今までにも要望させていただいてきた和歌山市側、紀北西道路の着工を紀北東道路と同時に進めることで京阪神とつながり、今まで以上に企業誘致が進み、経済効果が期待できると思うわけであります。
 次に、生活道路である府県間道路の泉佐野岩出線が今急ピッチで整備され、県においてもこの完成に重点を置かれ、来月五日に備前─根来間の竣工式を迎えることは喜ばしいことであります。しかしながら、和泉山脈を抜けるトンネルの建設がおくれていることと、大阪側の改修が進んでおらないように思われますので、早急な工事の着手を大阪側に要望していただきたいと思います。
 また、泉佐野岩出線の南下計画や府県間道路泉佐野打田線の大阪側の全面改良をあわせて強く要請いたします。現状と今後の取り組みについて、当局の答弁を求めます。
 都市計画にかかわる土地利用については、先般和歌山市において和歌山インター下と和歌山市東部地区の二十四号線沿いで条件つきの開発許可が設定され、近隣の都市構造に大きな変化が見込まれるように思われます。紀泉百万都市の形成は、未来を見据えた都市計画の整備が基本であります。現在、那賀郡内において都市計画が完成されている地域はほとんどなく、用途制限のみで運用している現状であり、近畿圏の一翼を担う地域として構想の推進を考えるならば、早期に計画の推進を図ることが大事であります。また、快適で安全な住環境をつくり上げることは地域の願いであり、中でも下水道那賀処理区の建設の推進を図る上で終末処分場の建設を早急に進めなければなりません。これと同時に、必ず出るごみの処理が環境を守る上で重要であります。現在、一市九町の協議が進んでおりますが、処理場候補地など課題が山積しており、県当局の指導が待たれるところであります。
 一方、和歌山県はたくさんの文化遺産や自然環境に恵まれ、高野・熊野を世界遺産へと登録申請をする動きがあり、観光資源の宣伝材料として生かすことは和歌山県の文化及び観光資源の利用に役立つものと期待をしております。世界に一番近い観光地は、京都でも奈良でもありません。紀北地域にも、根来寺を初めとする粉河寺、青洲の里、紀伊国分寺など、たくさんの文化と歴史に彩られた遺産があり、先ごろ開通した紀泉スカイラインを利用した最近流行の「いやし」をキーポイントに、高野・熊野を含んだ交流とか観光ルートの開発を急がなければなりません。また、以前にも要望を申し上げた打田町神通から岩出町根来までのスカイラインの延長が図られるならば、地域を一体とした観光ルートができ上がることとなりますので、この計画とともに推し進められたいと思います。当局の答弁を求めたいと思います。
 さて、今、最も重要なことは雇用問題であり、先ほども申し上げた失業率の問題は、単に景気の低迷だけではなく、我が国の産業構造の疲弊と教育の方向から来る問題も含まれております。経済産業省が過去五年間に日本に進出した外資系企業のアンケートでは、四四%の企業が人材確保が困難と答えており、求めている人材は語学であるとか専門知識を持った人材であることが指摘されております。私は、かねてより専門技術の人材育成が必要だと、新設高校の建設や既存の高校を専門系の学校にするべきではないかと言ってまいりました。IT関連を含めた外資系企業への就職があるのであれば、この方面に対し、公共での人材育成も可能であります。以上の施策を強力に推進することにより、大阪泉南地域との連携や、ひいては近畿圏とともに発展できる一つの条件が整うわけであります。
 また、現在進行している地方分権に絡んだ市町村合併問題が大きな要素を含んでおり、このことを抜きにして体制が整ったとは言いがたいのであります。基本的なこの地域の進むべき将来は、市町村合併をチャンスととらえるところから活力ある地域づくりを目指すべきであります。現在、那賀郡の合併問題は、郡内六町の町長さんの協議とあわせて、行政レベルでの具体的な課題について検討を重ねておられると聞いておりますが、この協議の中で問題となることは何か、徹底的な論議の中で進められるよう希望しており、それと同時に、基本的な都市としてのあり方、どういうふうな都市を目指すのか、都市計画を含めた論議が必要であります。私は、那賀郡を中心とした二十万都市を目指すべきだと考えております。これが完成されれば県都和歌山市に匹敵する都市ができ上がり、和歌山県下の中で互いに競争することにより我が県の発展が可能であると信じております。
 木村ビジョンの中での紀泉百万都市構想の都市構築体制の整備推進と生活道路である府県間道路の改良促進、及び市町村合併にかかわる那賀地域の都市づくりについてお伺いをいたします。
 続いて、農業問題についてお伺いをいたします。
 前段でも申し上げました構造改革は、農林水産業にも大きな改革の波が押し寄せております。政府農水省は、この秋の米の生産目標と流通の簡素化を目的とした構造改革を決定し、米価格の安定を図るため、需要と供給の格差を是正する改革を断行すると発表いたしました。現在、米価格の主要指標である自主流通米の入札価格、全銘柄平均は、二〇〇〇年産が六十キロ当たり一万六千八十四円であったのに対し、入札が始まった十年前に比べ、約七割の水準に下がっております。また、米の消費に至っては、一人当たり年間消費量が一九六二年度の百十八キロをピークに下がり続け、一九九九年度には六十五キロまで減っていることが主な原因であり、農家は毎年のように生産調整いわゆる減反を強いられ、本年度も三万一千ヘクタールの青田刈りを実施することとなっております。しかしながら、このことだけで農業の基本的な解決につながるとは到底思えないわけであります。
 日本農業の実情を見てきますと、戦後に策定された農業政策が激動する世界情勢に見合わなくなってきており、農業基本法にかわるものとして平成十一年に食料・農業・農村基本法が制定され、新しい時代へ踏み出しております。現在、日本農業も国際化を迎え、輸入の増大、市場原理の大幅な導入による競争時代に突入しております。しかし、農産物自給率の低下、農業の高齢化、後継者不足、それに伴う中山間地の過疎化と耕作放棄の増加による国土の原野化など、問題が山積しております。さらに、生産の効率化を追い続けてきたツケとして、地球環境の悪化、途上国の爆発的な人口増加を前にした食糧危機など、世界的な問題を抱えております。特に、長引く景気の低下と生産だけではなく、販売競争による農家所得の低下が深刻な問題として浮上しております。我が和歌山県もこれらの問題の渦中にあり、農家就労世帯がわずか十年前の平成二年当時より約二割弱の減少を示し、三万九千八百六十三世帯に減少しているところであります。農業が魅力のない、夢のないものとなっているからであり、これからの農業のあり方を模索する上で重要なポイントであります。
 昨年十一月、那賀郡打田町に紀の里農業協同組合が設立した農産物の販売施設、いわゆる「めっけもん広場」が開設されました。この中身は、地域農業基盤確立農業構造改善事業により、国、県、市町村の補助金を利用し進められております。開設して十一カ月が経過しており、取扱物品は、近郊農家千三百人が出品し、一日平均の買い物客が千八百人で、一日約四百万円の売り上げを見ております。買い物客の内訳は、県外以外で四割に対し、泉南地域のみでは三割に達しております。これは、これからの都市近郊農業のあり方を示唆しているものであり、同時に買い物客は安全で新鮮な農産物を求めているとともに、観光とまではいかなくても、遊び感覚での遠出を目的に来ているように思います。一方、現在の人のライフスタイルは、物の豊かさより心の豊かさを求めており、自然との触れ合いを通じて自然の大切さを追求するようになってきており、山中に自宅を構え、土や自然に親しむ生活を望む人々もおります。
 私はかねがね、農業というものは環境・健康・文化産業と位置づけし、農業施策全般を推進するべきと訴えてまいりました。田園や森林は、単に第一次産業の農林業としてだけではなく、大切な水を蓄え、洪水を防ぐ役割や水質を浄化する作用、気温調節や二酸化炭素の吸収、酸素の供給、野生動植物などの保護、さらに文化、伝統、習俗など多くの役割と機能を持っております。構造改革が進む中、生産性を高めるためだけの農業への政策や補助金制度を改め、土に親しみ、物をつくり出す喜び、体を動かし、適度な運動を生み、健康で夢のある農業政策を総合的に推進していくことがこれからの農業に必要な視点ではないでしょうか。
 例えば、めっけもん広場の近距離に複合した観光農園化や既存の田園や森林、農家を利用した観光型農業、遊びに来て、食べて、農業を体験できる農園ファームのような公園づくりを進めるべきであります。また同時に、那賀郡岩出町には緑花センターが県の施設として設置されているわけでございますけれども、これも地元とともに農林業を育成するという観点から検討し、見直す必要があるのではないかと思っているところであります。
 また、今月三日、木村知事と三重県北川知事の共同で、きのうの知事の答弁では失業対策にはしないと、こういうことで説明をされておったわけでありますけれども、そういった緑の雇用事業、地方版セーフティーネットの構築を提言されたところであります。このことと農林業振興とどのように関係をしておるのか、どのような整合性があるのか、ひとつこの点についてお聞かせをいただきたいと思います。
 さらに、安全性の問題でありますけれども、国内において狂牛病の疑いが持たれ、新聞やテレビで報道されております。国民の食糧に対する安全性に大きな脅威をもたらしています。食品の安全面からも、今後の畜産の振興にとっても徹底的な調査を実施し、県民の不安を取り除くための対策を望むものであります。
 今後の農業のあり方、及び緑の雇用事業の中身、農林業との関係、健康、環境、文化を結びつけた施策及び県内における狂牛病の現状と対策についてお伺いをいたします。
 続いて、福祉のまちづくり条例についてであります。
 平成八年、高齢者と体に障害を持つ方々を初め、だれもが自由に行動でき、安全で快適に過ごせる優しい町づくりを目指して福祉のまちづくり条例が制定されました。その内容は、道路の段差の解消、音の鳴る信号機の設置、公共の建物のエレベーター、スロープ及び車いす用トイレの設置などの施設や建築物のバリアフリー化を目的に整備推進することとなっております。しかしながら、本当に事業が進んでいるのか、どこまで進められているのか、条例制定から五年を経過していることから総点検が必要であります。まず、県みずからが先取りした整備をしていくことが先決であります。
 例えば県庁舎は、前回の質問の折に要望いたしましたエレベーターの設置と障害者用トイレなど整備をされてきております。しかしながら、庁舎前正面玄関から車いすで障害者や高齢者などが入れない構造となっており、全面改修を望むものであります。また、先ごろ県民文化会館での高齢者に対する功労者表彰が行われた際、舞台に上がる高齢者の方が階段を上がるのに支障があるなど、バリアフリーにはほど遠いこととなっております。県内各施設についても、これと同様な現象がありますので総点検をし、あわせて整備を図る必要があります。さらに、一番身近な市町村の状況は、古い建物のためでもありますが、役場内の手すりや障害者用エレベーターの設置率が全体で約四割であり、役場外施設、例えば地域改善対策集会場は約三〇%、隣保館、公民館の障害者用トイレとエレベーターの設置はほとんど進んでいない状況であり、早急な推進とともに市町村指導の強化を図るべきであります。行政サイドでもこのような結果であることを考えますと、民間・公共施設においてはほとんど進んでいないことが予想できます。なお、今までの指導では新規建設の施設がほとんどであり、既存の建物に対する改良も検討する必要があります。
 また、道路の段差解消については、平成十年、県内調査の結果、八千二百余りの改修箇所があったにもかかわらず、平成十一年末までの整備は二割弱の整備にとどまっております。一方、視覚障害者用信号機などの交通弱者用の信号機の設置については、平成十二年度末での設置済み数は二百六十五カ所で、平成十三年度の目標は十五カ所となっております。また、歩行者の保護に重点を置いた交通安全のための安全施設を中心に設置しておりますが、自動車を運転する身体障害者もあることから、例えば本道に出る場合、押しボタン式信号機では、障害者みずからが車から下車し、ボタンを押すということが難しいわけであります。このことから感応式信号機を整備することが大事であり、あわせて早急な整備が必要であると思います。
 こうして見ますと、条例制定より五年が経過しているにもかかわらず、全体的に見ますと整備が進んだとは言いがたい結果であり、福祉のまちづくり条例の効力というか、罰則のない要請であるため進行しないのではないか、達成目標を決めて推進することが大事であります。
 なお、民間においての福祉のまちづくり条例の振興を図る上で、現在、和歌山県建築士協会の協力で施設アドバイザー派遣事業というのが行われております。これを拡大させ、さらに推進することによって、この分野にも雇用が生まれてくると考えるところであります。
 福祉のまちづくり条例の進捗状況と今後の推進の考え方、及び達成目標をお伺いいたします。
 最後に、人権擁護全般のあり方について質問をいたします。
 二十一世紀は人権の世紀であるということがよく話されるわけでありますが、先般のアメリカ中枢同時テロ事件でもあるように、人の尊厳を無視した事件、犯罪が日本国内においても続発しております。人の権利を認めるとは一体どういうことなのかをいま一度研さんしてまいらなければならないところに来ているのではないかと思います。
 我が国においては、日本国憲法のもと、すべての国民は基本的人権の享有を妨げられず、個人として尊重され、法のもとに平等とされております。政府は、これまで人権に関する諸制度の整備や施策の推進を図り、国際社会の一員として人権に関する諸条約に加入するなど、さまざまな施策を講じられてきました。しかし、今日においても、同和問題など社会的身分や門地による不当な差別、人種、信条、性別による差別、その他の人権侵害が依然として存在しており、我が国社会の国際化、高齢化、情報化の進展に伴い、人権に関する新たな課題も見られるようになっております。これらの状況を踏まえ、あらゆる場所、立場において人権擁護に関する教育や啓発が強化されてきました。また、人権を侵害されたときの被害者救済にも目が向けられております。和歌山県においても、教育・啓発はもとより、これまでの「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画や和歌山県同和行政総合推進プランなどを推し進められておりますことは、人権先進県として喜ばしいことと敬意を表したいと思いますが、しかし県内においても依然、差別事件がさまざまな形で続発しており、極めて人権意識の希薄さを浮き彫りにしております。
 こういう事態の中、本年二月にも質問させていただき、六月議会の松本議員の質問もございましたが、県の果たす役割、責任、行政の基本的なあり方を含めて早急な体制を築くべきであり、福祉のまちづくり条例がハード面のバリアフリーであるならば、人権の町づくり条例といいますか、心のバリアフリーである人権条例の早期の制定を訴えたところであります。人権条例の制定については、県としても人権施策啓発法を受けた人権条例の制定に向け、人権施策審議会や人権教育啓発センターの設置を検討し、来年二月議会に議案の提出を目指して条例の内容などを作成するように聞いておりますが、これを作成するに当たり、例えば、市町村への指導体制はどうするのか、人権推進事業、例えば三月三十一日で期限切れとなる現行の地対財特法の同和対策事業にかかわる残事業の推進、こういったことの具体的な計画を含め、審議会委員の選出のあり方、人権教育啓発センターの設置状況や具体的な取り組みなどを念頭に入れた内容の作成が大切であるとともに、人権擁護の理念である、すべての人間は生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利について平等であるという人類普遍の原理を念頭に入れたものになるよう強く要望するものであります。
 和歌山県人権条例の中身と具体的な取り組み、及び審議会委員の選出のあり方、人権教育センターの中身についてお伺いをいたしまして、一回目の質問を終わらせていただきます。
○議長(井出益弘君) ただいまの飯田敬文君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) ただいまのご質問、まず小泉構造改革への対応ということでございますけれども、景気が非常に悪くなってきている、そしてまた同時多発テロ事件があったりして不透明感が増してきているということはあろうかと思います。いずれにせよ、日本の国がうまくやっていくためには、不良債権の処理とか、効率の悪い分野にある資源とか人材を効率のよい分野に移していくという構造改革が必要であるということは、これは論をまたないことだろうと思うわけでございます。しかしながら、その中で例えば交付税制度、和歌山県はこれに非常に依存しているわけでございますけれども、これをドラスチックな形で見直して県が成り立ち行かないような形になるということは、県にとっても県内の市町村にとっても非常に困ることでございますので、私も鳥取県の知事と共同で、この地方交付税の持つ財源調整制度が本来の機能を失うことなく行っていけるようにという緊急のアピールを行ったところでございますし、これについては今後もまたいろんなところで主張していかなければならないと考えているところでございます。
 それから、道路特定財源の見直しの問題があります。
 これは、道路はもう十分だというところもあるかもしれませんけれども、和歌山県について言えば、先ほどもありました京奈和自動車道、府県間道路、高速道路の南伸等々、まだまだこの県の発展のためには道路が大事ということがありまして、県議会の皆さん方とご一緒に東京で大会を開き、有楽町でビラ配りをしましたところ、これが非常にタイムリーであったものですから、和歌山県は全国でも一番道路財源の維持ということに熱心な県ということになってきておりますけれども、これは必要なことだと思いますので、今後ともこの点についても十分頑張っていきたいと思っているところでございます。
 それからまた、こういう不景気の中で構造改革をするというところで痛みの問題が非常に出てきていると。一言で何十万人の失業者が出ると言いますけれども、その失業する人の痛みというものは、これはもう家族の方も含めて大変な事柄であると私自身は思っております。
 そういうふうな中で、個人としての尊厳を維持しつつ、今までどおりの所得を確保できないのであれば、確保できない所得の中でも十分人間らしい立派な生活を送ることができるという観点も含めて私は緑の雇用事業を提言したところでございます。やはり、人間はライフサイクルの中で自然の中に親しみながら、環境保全とか社会の役に立つ時期も必要だ、そういうことにいろんな人がかかわってくれるということが雇用対策になれば非常にいいことだということなんで、どちらかというと、これは今度の補正予算の雇用対策の中でも一番の柱になってきたような感じですけれども、それが何となく短期的な、失業対策的な感じでとらえられているところがちょっと私が思っているところと違うところでございますので、これについてももう少し大きな面からとらえられるような形で頑張っていきたいと思っているわけでございます。
 いずれにせよ、小泉構造改革に対しては、こういういろんな形で県としての姿を主張していかないといかんと思っていますけれども、それとあわせて和歌山県も自立できる県になっていかないといかんということは当然のことでございますので、県としても行財政改革に取り組んでいかなければならないと考えているところでございます。
 次に、紀泉百万都市構想の問題でございます。
 これは、もう既に百万人以上の人口があると思いますけれども、大阪との間で関空を中心に大きな都市圏を考えて、そこから和歌山県の発展をさせていこうという発想で、今はもうはっきり言って都道府県単位で物を考えている時代ではない、大きな圏域の中でどういうふうにその地域を持っていくかということを考えていく時代だと思いますので、私はこの紀泉百万都市構想というのは非常にすばらしい構想であると思っております。
 ただ、正直言いまして、関空に対する中だるみ感というふうなことがちょっとありまして必ずしも十分進んでいるわけではありませんけれども、今後とも京奈和自動車道の整備であるとか府県間道路の整備を進めることによって地域的な連携を高めて、本当の意味での紀泉百万都市というふうな一体性を持った地域になっていくように頑張っていきたいと思います。
 和歌山県は府県間道路にことしあたりからもう割と重点的に予算配分しているんですけれども、隣の大阪府の方が非常に厳しいという状況の情報が入ってきまして、ずっと私、ここへ来るまで電話をかけたりいろいろ手を尽くしていたんですけれども、いずれにせよ、こうふうなところを一体としてやっていくということは必要だと思います。
 それから、こういう交通の面だけではなくて文化の面でも結びつきをもっともっと深めていく必要があるので、今、紀の川高野ルネッサンス事業ということで、この間、高野山で最初のイベントを行いましたけれども、こういうふうな形でこの地域の一体感を文化の面でも高めていく努力をしたいと。
 もう一つは関空で、関空二期工事が今進んでおりますけれども、関空というものの持つこの地域に対するありがたみというのが意識の中で若干薄れてきているという面があるので、もう一度関空の影響力といいますか、この地域にもたらすであろう価値を再認識するという運動を進めていきたいと思っております。
 それから、この紀泉百万都市とじかに関係があるかどうかはわかりませんけれども、先ほどありましたこれからの近郊型農業のあり方についてのお考えについては私も大いに共鳴するところでございますので、この点について、いろんな形でいろんな方面に働きかけ、また県としても主体的に頑張っていきたいと思っているところでございます。
 次に人権条例の制定についてでございますが、この条例は、今後和歌山県が人権に関する施策を進める上での基本的事項を定めるものであり、ご指摘のような、世界人権宣言にうたわれている自由・平等という人類普遍の原理などを踏まえて検討しているところでございます。
 条例の内容は、同和問題を初めとするあらゆる人権問題に対する取り組みの基本理念、県などの責務、市町村等との協力体制、人権施策を進める上での基本方針の策定、審議会の設置等を考えており、今後、学識経験者、各界等の意見を聞きながら、来年二月議会上程をめどに検討してまいります。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 那賀地域の都市づくりについてでございますが、都市計画法の改正によりまして、長期的視点に立った都市の将来ビジョンを示す都市計画区域マスタープランの策定が義務づけられました。それを受けて、郡内六町の意見を聞きながら、広域的見地から那賀圏域の都市計画マスタープランを策定していきたいと考えてございます。
 都市づくりの骨格となるのが道路整備でございますが、そのうち初めに京奈和自動車道につきましては、紀北東道路におきまして現地測量等を進めるとともに、紀北西道路におきましても調査立ち入りに向けた諸準備を進めているところでございます。今後は、各区間の優先順位の検討を行った上で、より効果的、効率的に整備が図られるよう国に働きかけてまいります。
 泉佐野岩出線につきましては、大阪側では金熊寺バイパスが平成十四年度に供用されますが、引き続き府県境までの事業促進を強く要望してまいります。和歌山側では、トンネル前後の区間の整備を促進してございます。また、その南伸につきましては、路線の位置づけ、整備のあり方について検討してまいります。
 泉佐野打田線の大阪側の整備につきましては、府県境部の用地買収及び犬鳴地内の地元調整が難航していると聞いておりますが、引き続き整備促進を働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 和歌山県の将来の姿についてのうち、紀泉百万都市圏構想にかかわっての具体的な那賀郡の都市づくりについてでございます。
 紀泉高原スカイラインの延長につきましては、打田町神通から町道及び林道を経由して岩出町内の広域農道に連絡するルート等が考えられます。いずれにいたしましても、今後の事業実施につきましては町の計画が重要でございますので、関係町の要望に応じ、関係部局と協議してまいりたいと考えてございます。
 次に、二十一世紀の農林業のあり方についてのうち、まず環境・健康・文化産業としての農業の振興についてでございます。
 農業は本県の基幹産業であり、食糧等の生産を初めとして県土や環境の保全、水資源の涵養といった多面的な機能を果たしてございます。近年、環境問題に対する意識が強まる中で、「健康」、「安全」がキーワードとなる一方、土や自然に親しむ生活が強く求められるようになってきてございます。このような中にあって、農業はこれからの時代を担う産業として見直されつつあり、自然と共生した産業としてその機能を一層充実させていくことが重要であると認識してございます。県ではこうした視点に立って、今後とも高品質、健康、安全な農産物の供給に努めるとともに、農業、農村の持つ豊かな環境を守り、生かす取り組みを積極的に展開してまいりたいと考えてございます。
 また、高齢者の方々も生き生きと農業に取り組めるよう、顔の見える直販施設の設置を初めとして、収穫体験を取り入れたグリーンツーリズムなども引き続き推進してまいりたいと考えてございます。
 なお、ご提案の農園ファームのような公園につきましては、自然環境を生かした農業と観光を結びつけ、農業体験などの要素を取り入れるとともに、地場産品の活用などにより都市近郊農業の活性化が図れる有効な方策と受けとめておりまして、県緑花センターなど既存施設を活用した展開や民間活力の導入も視野に入れながら検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、いわゆる緑の雇用事業と農林業振興についてでございますが、緑の雇用事業は、従来の公共事業の枠にとらわれない自然環境を保全、回復させる事業で、地方における森林や清流、海洋等の保全や整備を行い、雇用の創出を図ることを考えてございます。
 緑の雇用事業と農林水産業との関係についてでございますが、この事業によりまして、荒廃林の整備や清流、海洋等の保全整備が図れるとともに、いやしを求める都市住民との交流の場の提供や地域資源を生かした新しい事業展開にもつながり、中山間地域の活性化とともに農林水産業の振興に寄与するものと考えてございます。今後とも、継続的な事業となりますよう国に対して強く要望してまいりたいと考えてございます。
 最後に、県内における狂牛病の現状と取り組みについてでございますが、牛海綿状脳症いわゆる狂牛病が家畜法定伝染病に制定された平成八年四月以来、家畜保健衛生所におきまして診療業務等を通じ、生産農家への立ち入りを実施してきたところでございます。
 今回の千葉県での発生を疑う報告を受け、農林水産省の一斉検査の通達に基づき、九月十一日から十七日までの全戸、全頭の立入検査を行ってまいりましたが、異常は認められませんでした。また、風評被害や不安を払拭するため報道機関へ資料提供を行うとともに、ホームページを開設し、啓発を行っているところでございます。今後とも、生産農家への立入検査等を引き続き実施するとともに、食肉、牛乳、乳製品の安全性についての啓発に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 福祉保健部長白井保世君。
  〔白井保世君、登壇〕
○福祉保健部長(白井保世君) 福祉のまちづくり条例制定五年を迎えての進捗状況と今後の推進についてお答えをいたします。
 福祉のまちづくり条例を平成八年十月に制定し、障害者や高齢者等の利用に配慮した施設整備基準につきましては、平成九年十月より施行しているところでございます。この間、新築や大規模修繕を行った特定施設についてはバリアフリー化がなされておりますので、条例制定の意義があったものと考えてございます。
 一方、既存特定施設の整備については努力規定となっておりますので、設置者の理解が重要でございます。そのため、他の模範となるべく、県の建物について、平成九年度より約十億円をかけ、八十三件の整備を行い、本年度は日高総合庁舎や田辺運転免許センターへエレベーターの設置を進めてございます。主な建物についてはおおむね整備できておりますが、今後も着実に進めてまいらなければならないと考えてございます。しかしながら、県内のバリアフリー化については、施設それぞれの事情もあり、進捗状況に差があるのも事実であります。今後、より一層積極的に取り組まなければならないと認識しており、施設の整備状況の把握に努めながら、関係部局や市町村とともに進めてまいりたいと考えてございます。
 次に人権推進事業の具体的な計画についてでございますが、平成十年に「人権教育のための国連十年」和歌山県行動計画を策定し、これを推進するため和歌山県推進本部を設置し、同和問題を初めとするあらゆる人権問題に取り組んでいるところでございます。この計画は平成十六年末までとなっており、この間の施策の成果を踏まえ、人権条例により設置される審議会にお諮りしながら、新たな時代に対応した人権施策の基本方針の策定作業に取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、国においては、本年度中をめどに人権教育及び人権啓発に関する基本的な計画が策定される予定であると聞いております。これらの動向も反映させてまいりたいと考えてございます。
 次に人権教育啓発センターについてでございますが、人権に関する各種展示、啓発資料、図書等を整備し、県民の皆様が人権に関して学ぶことができる場とするとともに、ここを拠点として広く県民を対象に研修会、講演会、その他の教育啓発事業を展開してまいりたいと考えてございます。
 また、市町村指導についてでございますが、県といたしましては、人権教育啓発を進める上で市町村の果たす役割は重要であると認識しており、市町村がより一層主体的に人権問題に取り組めるような組織を検討していただくようお願いしてまいりたいと考えてございます。
 なお、市町村が行う人権教育啓発事業に対して必要な支援をし、県、市町村が協力して人権が尊重される社会づくりに取り組んでまいります。
 最後に審議会に関してでございますが、人権条例により設置される審議会の委員の選任につきましては、人権施策の基本的方針や人権が尊重される社会づくりについて、幅広く県民の意見を反映できるような構成を検討しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 福祉のまちづくり条例との関連で、県庁正面玄関の改善についてのご質問にお答えをいたします。
 障害者の方や高齢者の方が来庁されたときの利便性の向上を図るため、福祉のまちづくり条例制定後、平成九年度より計画的に障害者用トイレ、また本館及び東別館のエレベーターの設置、階段手すり、点字ブロック、自動ドア等の設置など改善を行ってきたところでございます。
 障害者や高齢者の方の本館正面からの出入りにつきましてはご不便をかけているところでございますが、本館建物の正面の階段の傾斜がかなり急であるなどの構造上の問題もあり、一般的なバリアフリー化につきましてはなかなか困難ではないかと考えておりますが、いろんな方策につきまして幅広く検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十四番飯田敬文君。
○飯田敬文君 答弁をいただきました。時間がございませんので、二点ばかり要望をしておきたいと思います。
 一つは、木村ビジョンの策定についてでございます。
 木村県政が一年を経過したわけでありますけれども、二十一世紀の和歌山県のあり方、どのような県づくりをしていくのかという木村ビジョンの策定がまだされておらないということは非常に残念に思うわけであります。私は昨年の九月に議会でこのことを提案いたしまして、ことしの二月議会の再度の質問に対して知事は、「今新しいビジョンを示していないこと、非常に恥ずかしいことだと思っているわけでございますけれども、今後、時代潮流に即した政策展開が何よりも大事であるという認識に立って、ご指摘のように、県政の具体的な指針となる新しいビジョンを早急に作成していき、二十一世紀の和歌山がどのようになっていくのがいいのかということを県民の皆様と一緒に考えていきたい」と、このように答弁されているところでございます。二度目の十四年度の予算編成の時期が迫っている今日、何を目指して予算編成をされるのか。木村ビジョンというのがあって、初めて単発的ではない体系的な、系統的な夢のある和歌山県づくりが推進されると私は思うわけであります。本九月議会でそのビジョンをめぐって論戦ができると楽しみにしておったわけでございますけれども、まだ提示されておらないということでございます。早急に策定をしていただきまして、十二月議会での論戦に期待をしたいと、このことを強く要望しておきたいと思います。
 それから、二つ目に福祉のまちづくり条例についてであります。
 県条例が制定されて五年が経過して、一定の成果があらわれておるということは、だれしもが認めることであります。しかし、先ほど総務部長からも話がございましたけれども、県庁正面玄関から障害者や高齢者が出入りできないというのは、五年間このままほったらかしになっておるわけでございます。県文の階段も含めてであります。こんなことは、県民の模範となるべき県の恥ずべき姿勢であると思います。このことを不思議に思わないという、指摘されて初めて対応するという、この県行政の意識に私は愕然とするわけであります。こういう姿勢で市町村や民間は指導できるはずがない。やってやるとか、条例があるから仕方がないからやるといった姿勢では、真の福祉、人権福祉社会は実現できないと思うわけであります。意識改革を含めて、福祉のまちづくり条例の総点検等、徹底実施を強く要望したいと思います。
 さらに、このことが新しい福祉の公共事業としての雇用対策や即効性のある景気浮揚にもなるということを申し添えたいと思います。段差解消だけで全国ベースで二兆円の景気浮揚が成ると聞き及んでいるわけでありますけれども、緑の雇用事業等の推進も含めて、あわせてこの福祉のまちづくり条例についての徹底方をひとつよろしくお願いいたしまして、要望といたします。
 以上です。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で飯田敬文君の質問が終了いたしました。 

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