平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(新田和弘議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 四十五番新田和弘君。
  〔新田和弘君、登壇〕(拍手)
○新田和弘君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 質問に先立ちまして、先日起こりましたアメリカにおける同時多発テロ事件は、平和と民主主義の根幹を揺るがす世界人類と文明に対する挑戦であり、私たちはこのような残虐なテロ行為を断じて許すことはできません。この事件で犠牲となられた多くの方々に対し心から哀悼の意を表するとともに、ご家族や関係の皆様に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 また、去る七月十日に先輩・木下秀男議員が急逝されたことに対しまして、謹んで哀悼の意を表します。
 それでは、一般質問に入ります。
 まず初めに、財政の中期展望に関連してお尋ねいたします。
 聖域なき構造改革を唱える小泉内閣は、本年六月に今後の経済、財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太の方針を閣議決定いたしました。骨太の方針では、不良債権問題を二、三年のうちに解決することを目指すとともに、前向きの構造改革として七つの改革プログラムをパッケージとして実施するなど、聖域なき構造改革に積極的に取り組むことにより、日本が本来持っている実力をさらに高め、実力にふさわしい日本の発展を目指しております。さらに、自立した国、地方関係の確立において、国に依存しなくても自立し得る自治体を確立するという方向が示され、今後、国と地方の税源配分の見直しや国庫補助金、地方交付税の縮減などが実施されるものと予想されます。また国においては、平成十四年度に国債発行を三十兆円以下とすることを目標に、歳出を徹底的に見直すとした財政健全化への取り組みと同様に、地方財政計画の歳出を徹底的に見直した上で、所要の財源を確保して地方財政の健全化を進めるとしております。
 本県の財政健全化への取り組みは、平成十三年度当初予算編成において、事務事業評価システムの本格導入や公共事業へのシーリング制導入など、財政運営プログラムIIで示した方策を実施するとともに、定数削減など改善目標を上回る歳出削減に努めてきましたが、なお九十三億円もの大幅な財源不足が生じる状況にあります。加えて、国の構造改革の一環として地方財政制度も改革されようとしており、地方交付税依存度が高い本県にとっては厳しい状況が予想されます。こうした状況を受けて本県では、昨年五月に発表した財政運営プログラムIIの中期展望を、平成十三年度当初予算をベースに臨時財政対策債いわゆる赤字地方債の導入など、地方財政制度や近年の社会情勢の変化等も盛り込んで見直し、今後重点的に取り組むべき財政健全化方策をまとめた財政の中期展望を八月に策定し、一層県財政の健全化に努める姿勢を示しております。
 そこで、木村知事にお尋ねいたします。
 一、国の構造改革による地方の自立においては、国から地方への税源移譲を初め、地方税源の充実が不可欠であります。具体的には、個人住民税において、個人にとって全体の税負担を変えない前提で、個人所得税から個人住民税に税収をシフトする税源移譲方法や、法人事業税の外形標準課税の早期導入、環境関連の税制を地方税として検討するなど考えられますが、知事は本県の税源の充実策にどのように対応されるのか。
 二、国における構造改革議論の報道において、地方交付税一兆円削減との報道がありました。現在、国の交付税総額が約二十兆円でありますから、率にして五%の削減となります。本県への影響はおよそ百億円の削減に相当します。地方交付税、国庫支出金の縮減にどう対応されるのか。
 三、木村知事は、「山の環境保全で雇用創出」をとの提言を、八月二十一日付の朝日新聞に発表しました。さらに今月三日、三重県の北川知事と連名で、森と水と雇用を守る緑の公共事業の実施を共同提言いたしました。この提言では、国土面積の三分の二を占める森林の公益的機能に着目し、水を豊富に蓄える水源涵養や地球温暖化を招く二酸化炭素を吸収し、生物に必要な酸素を供給する役割を守る観点から、緑の公共事業を創設することを述べています。さらに、この事業は森林保全活動を通じて新規雇用の創出を目的としていることが注目されております。この共同提言が全国に大きな反響となり、十三日までに北海道から長崎県まで全国二十八道府県の知事さんたちが賛同する意向を示されました。木村知事は、去る十四日に、三重県の方々と三十道府県の連名で提言書を農林水産省と環境省に提出し、緑の雇用事業として来年度予算で実施できるよう求めたところであります。現在、国の構造改革においても重点七分野に環境が挙げられており、雇用の確保と環境保全は大きな課題である昨今、緑の雇用事業の事業化が期待されるところであります。知事のご所見はどうか。
 以上三点、知事にお尋ねいたします。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、財政の中期展望では、本県の財政構造から見て、職員定数の削減、給与水準の適正化など、これまで以上の取り組みを検討する必要があると述べています。国においては、本年三月に公務員制度改革の大枠を決定し、六月には給与制度を抜本的に改め、能力給を導入するなどを柱とする基本設計を発表しました。国は、今後、地方公務員制度の見直しを進めて、本年十二月には公務員制度改革大綱を策定する予定であります。本県における職員定数の削減、給与水準の適正化にどう対応されるのか。
 二、財政の中期展望では、県単独補助金を社会経済情勢の変化等を踏まえ、県と市町村、民間団体等との役割分担や費用対効果など統一的な観点から、今後徹底した見直しを進めるとしております。八月八日付の読売新聞では、市町村が行う六十七歳から六十九歳の老人医療費の支給事業に対する助成に要する経費が見直しの対象となる旨の報道がありました。仮に見直しが行われると、減額分を市町村が負担していただければ県民に影響しませんが、市町村の負担増が困難になったり、県と同様に減額をすれば県民は大変な影響を受けることになります。このほかにも、乳幼児医療の助成など県民生活に直接影響を及ぼす県単独補助事業がありますが、県は今後どのように見直しをされますか。
 三、行政組織のスリム化の検討については、知事は今議会の説明で、和歌山県行政組織等検討懇話会を設置し、県の組織機構や外郭団体のスリム化を図ってまいりたいと述べました。去る十二日に県庁において第一回検討懇話会を開催いたしましたが、県は今後、行政組織のスリム化にどう取り組まれますか。
 四、和歌山、海南、田辺、新宮の四市で運営してきた四市主催の和歌山競輪が今年度で廃止することが、去る八月二日の四市競輪事務組合議会で決まりました。公営競技は地方財政への寄与を主たる目的として実施されるものであり、四市競輪も昭和二十五年六月にスタート、年四回の開催で実施されてきましたが、平成二年度の六十八億三千万円の売上高をピークに収益が年々落ち込み、十二年度は約六千四百万円の実質赤字となり、十三年度も約九千九百万円の赤字が見込まれるため廃止決定に至ったとのことであります。本県は年八回開催しており、十二年度決算では一般会計へ一億円繰り入れを行っていますが、四市競輪の廃止により使用料七千万円がなくなり、今まで四市競輪側に諸経費の三分の一を負担していただいていたのが全額県負担となるため、県においても十四年度からは繰入金ができなくなり、さらに売上高の減少が生じてくると赤字になることも心配されております。県は、本年六月の政府予算要望において、地方財政の健全化に資するため、自転車競技法第十条の改正を行って、日本自転車振興会に対する交付金を、売上高に応じた算出から収益に応じた算出に変更を要望しております。県は、今後、競輪事業をどうされるのか。
 以上四点、お尋ねいたします。
 次に、台風十一号による本県の被害状況に関連してお尋ねいたします。
 去る八月二十一日、大型の台風十一号が串本町付近に上陸し、紀伊半島を直撃したため、県南部を中心に終日強い風雨に見舞われ、各地に大きな被害が発生しました。このたび被災されました方々に対しまして、心よりお見舞いを申し上げます。
 今回の台風で、串本町潮岬では最大瞬間風速三十八・二メートルを観測し、前日の降り始めからの総雨量は古座川町、那智勝浦町で千ミリ近くを記録しました。八月二十一日の一日の雨量でも、古座川町西川で五百九十七ミリ、那智勝浦町色川で六百七十二ミリと記録的な豪雨となりました。
 古座川町では、豪雨と七川ダムの放流により古座川がはんらんし、明神地区では小学校、中学校が相次いで浸水、明神診療所、老人ホームも床上浸水となり、二十一日午後六時十分に全世帯千七百五十九世帯に避難勧告が出されました。古座川の増水で床上浸水となり、逃げおくれた足が不自由な八十九歳の方と八十歳の老夫婦が取り残され、役場の方に電話でベッドの上に上ってと励まされながら、町消防組合がゴムボートを出して無事救出いたしました。
 また那智勝浦町でも、太田川の増水と小匠ダムの緊急放水のため、二十一日午後四時四十五分に流域の南大居や下里地区などを中心に千五百六世帯に避難勧告が出され、住民の方々は下里小学校や下里中学校に避難いたしました。大潮と小匠ダムの緊急放水がぶつかり、太田川がはんらんし、太田川流域では大きな被害となりました。この台風災害の中、県職員初め警察、町職員、消防団など、多くの皆様方の夜を徹しての活動や復旧へのご尽力に、心より感謝申し上げます。
 県消防防災課のまとめによると、台風十一号の被害は、床上浸水二百二十五戸、床下浸水二百十七戸、公共土木施設関係被害二十八億二千八百五十五万円、農林畜産物被害一億三千九百五十四万円、農業産業施設関係被害七億五千八百五十万円、農地被害二千三百万円、水産関係被害二億六千八百十六万円、砂防関係で土石流一件、がけ崩れ二十件、地すべり一件という大きな被害となりました。
 私も、九月四日に古座川町と那智勝浦町の被災地に行ってまいりました。古座川町では、七川ダム管理事務所で田崎所長さんより、台風当日のダムの操作状況やダム施設の説明を受け、佐田発電所、古座川流域の被災地を回り、古座川町役場で廣瀬町長さんから被害状況と県への陳情を伺いました。那智勝浦町では、役場の下崎参事さん、谷口建設課長さん等の案内で小匠ダムを視察。当日の緊急放水の状況やダム周辺の被害状況の説明を受けました。その後、太田川流域の被災地を回ってまいりました。
 そこで、木村知事にお尋ねいたします。
 知事は、県民の生命と財産を守る県政を推進する立場から、台風十一号の被害が特に大きかった古座川町、那智勝浦町を初め、県下の市町村の災害復旧とダムの管理を含めた今後の対策にどう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
 次に、関係部長にお尋ねいたします。
 一、古座川町では、昭和四十二年以来、床上浸水を含む大きな被害となりました。被害に遭われた方々は、七川ダムの放流に問題があったとして、ダム操作規則の見直しを強く求めています。ダム操作規則で、予備放流水位である海抜百三・四メートルに達した二十一日午前九時から放流を開始していますが、午前九時の時点では既に毎秒四百トンの流入があり、流入量が増加し始めるもっと早くから放流を開始しておれば被害を少なくできたのではないか。
 七川ダムは、防災と発電の目的を持っているため、夏季制限水位を百六・五メートルと定めております。今回のように災害の危険がある場合は、防災を最優先して予備放流水位を百三・四メートルから九十五メートルに下げるべきだ、午後四時四十五分に満水位百十八メートルにあと一メートルとなったため、ただし書き操作を開始、毎秒三百二十トンを放流、水位がピークとなった午後六時は放流量が二倍となる六百トン放流となり、それが満潮時と重なり全世帯避難勧告という被害を招いた、満潮時の放流を調整する操作ができなかったのかとの意見があります。七川ダム操作状況図を見ますと、ダムの放流開始状況やダムの水位が、午後五時から翌日の午前四時半まで常時満水位の百十六メートルを超えていることから、ダムを満水にしながら放流を行った、いわゆるマニュアルどおりの操作を行っていただいていることがわかります。
 土木部長は、ただし書き放流を許可された立場にあり、今回のダム操作に対する見解とダム操作規則の見直しに対する見解をお尋ねいたします。
 二、那智勝浦町の小匠ダムでは、ダムの緊急放水が太田川流域のはんらんを招く危険があるため、避難勧告が出されてからも、ぎりぎりまで待って緊急放水を午後六時半に行い、その三十分後に大潮を迎えたため被害が拡大したとして、時間をずらすべきだったとの強い意見がありました。
 今回、小匠ダムの周辺被害に対する復旧に対しましては、本日の追加補正で七千万円を計上していただきました。二次災害を防ぐためにも速やかな復旧をお願いいたしたいと思います。
 さらに小匠ダムは、小匠防災ため池施設として昭和三十四年に建設され、太田川流域の防災に役立ってきました。小匠ダムの管理は県の委託を受けて那智勝浦町が実施していますが、県の方でダムの管理をしていただきたいとの強い要望があります。県の見解をお尋ねいたします。
 三、今回の台風十一号の被害として、古座川・那智勝浦両町でアユの養殖業者の被害及び串本町のクロマグロ養殖業者等の被害があります。各業者の方々が事業を継続していくために、災害融資をぜひお願いしたいと強く要望いたしております。先日も県農林水産部の職員の方が串本町に行き、説明に当たったと伺っておりますが、県は災害融資にどう対応されるのか、お尋ねいたします。
 次に、教育問題についてお尋ねいたします。
 国において、去る六月、高等学校通学区域制度の法令上の根拠となっていた地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第五十条の廃止が決まりました。高等学校の通学区域は、高校教育の普及及びその機会均等を図るため、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によって規定されてきました。
 本県においては、昭和二十三年に新制高等学校が発足したことに伴い通学区域が設定され、昭和二十六年に県公立高等学校通学区域に関する規則が定められ、小学区制となりました。その後、昭和三十三年に規則の改正が行われ、和歌山市及び七地方による中学区制が採用されました。昭和五十四年からは、和歌山市において学校間格差の是正と新設高校の健全な育成等を図るため北学区と南学区に分割され、九学区で現在に至っております。
 今日、本県においても高校への進学率が九七%に達し、中学校卒業生のほとんどが高校に進学しています。そのため、生徒の個性化、多様化に対応して適切な学校選択ができるよう、本県では平成元年から県立高校二十四校において三十の専門学科の新設、改編を行ってきました。さらに、総合学科や単位制高校の設置を行い、本年度は中高一貫校を二校導入するなど、特色ある学校づくりを積極的に推進してきました。こうした中で、人口動態や交通事情が変化し、生徒や保護者のニーズや価値観も多様化する中で、高校の通学区域のあり方についても学校選択の幅を広げ、生徒のニーズによりこたえる等の観点から通学区域の設定は必要ないのではないか、現行より広い範囲の学区に見直すべきだなど、今後の通学区域のあり方を検討すべきであるとの意見が出されてきています。
 県教育委員会は、きのくに教育協議会を平成十年五月にスタートさせ、二十一世紀初頭における和歌山県の教育のあり方を協議する中で今後の通学区域のあり方を協議し、平成十二年三月に報告書を受け取っているところであります。東京都では、今月十二日に都立高校の全日制普通科入試に設けていた十四の学区制を平成十五年度から廃止することを決めました。この決定により、東京都では住所地に関係なく受験校を自由に選べることになり、各高校において特色ある学校づくりが一段と進むことが期待されております。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 本県において、通学区が九学区の体制になって約二十年が経過し、その間に生徒のニーズに合った特色ある学校づくりを積極的に推進され、高校入試においても推薦入試の導入を図るなど、大きな改革が行われてきました。平成十三年度の高校入試では、普通科に推薦入試を取り入れ、また同一高校において併願の拡大や二次募集については学区外からの受験を認めるなど、受験機会の拡大や学校選択の拡大に努めてきております。平成十五年度は、高校に新学習指導要領が導入される機会でもあり、受験生徒に学校の選択幅を拡大し、同時に各高校にもさらなる特色ある学校づくりを目指していくために通学区域のあり方を見直すべきであると考えますが、教育長は本県の通学区域のあり方に今後どう取り組まれるのか、お尋ねいたします。
 次に、大阪府立高校における合否判定ミスに関連してお尋ねいたします。
 大阪府教育委員会は、去る七月十三日、府立八尾南高校の今春の入試で得点集計ミスがあり、本来合格していた三人が間違って不合格になっていたことを明らかにしました。これは、府教委が入試の統計的資料分析を行うため点検をしたところ不自然な数字に気づき、学校で調査した結果、パソコンの操作ミスで、英語の得点を加えずに国語の得点を二度加えていたことが原因であることが判明しました。本来、厳正かつ公平に行われるべき入試において絶対にあってはならない誤りが生じたため、府教委は当該の生徒の方々に対して深くおわびするとともに、今春実施した府立の入試のすべてに対して、答案用紙の集計や得点の転記等にミスがなかったかどうかを再点検するよう指示しました。再点検の中で、七月二十六日に府立富田林高校と府立工専の入試でもミスが見つかり、合わせて三人が誤って不合格となっていたことがわかり、一層深刻な事態となりました。府立富田林高校の場合は、社会科の得点をパソコン入力用紙に転記する際、答案を一度に二枚めくって読み上げたため十人分の得点がずれ、合格だった二人が不合格になりました。また府立工専では、理科の採点で受験生二人の合計点数の計算間違いで一人が不合格になりました。府教委は、八月一日、再点検の結果、最終的に集計ミス、転記ミス、パソコンへの入力ミスなどが四十七校において計百九十一件あったと報告し、今後このような事態が生じないよう、入試作業のマニュアルづくりや年度内に再点検できるシステムづくりなど、入学者選抜事務の適正化の方策を早急に検討し、万全を期する旨を発表しました。今回の入試における合否判定ミスの判明のきっかけは、各学校からテストのデータが府教委に提出されていたため、学校以外の人によって誤りが指摘されたことであります。
 本県の場合は、テストのデータは各学校が保管しており、大阪府教委とは異なり、県教委へテストのデータは提出されておりません。各教科の平均点の算出なども抽出して行っているため、学校での集計ミス、転記ミス、パソコンへの入力ミスなどの誤りを県教委が指摘することは極めて困難な状況にあると思います。自分の進路に希望を持って真剣に入試に臨む受験生に対して、そのテストを採点集計し、合否判定をする学校は、入学者選抜事務を厳正、公平、正確に行うことは当然のことであります。
 そこで、教育長にお尋ねいたします。
 一、本県では、今春の入学者選抜事務において、各学校とも全くミスはなかったのかどうか。
 二、入学者選抜事務でミスを起こさないために、選抜事務の適正化や年度内の再点検できるシステムづくり等、本県ではどう取り組まれるのか。
 以上二点、お尋ねをいたします。
 次に、学校週五日制の完全実施についてお尋ねいたします。
 平成十四年度から学校週五日制が完全実施されます。同時に、小中学校においては新教育課程がスタートいたします。文部科学省は、新教育課程では教育内容が三割削減されることに対して、全国に特別指導を行うモデル校千校を指定し、小中学校で習熟度に応じた少人数指導を実施する計画であります。科目は、理解度に差の出やすい算数、数学、英語が対象となると言われております。また小学校高学年では、理科など専門性が求められる教科で中学校のような教科担任制を導入するとのことであります。
 そこで、本県における特別指導するモデル校への取り組みはどうされるのか、お尋ねいたします。
 次に、高校においては週五日制が完全実施されると週三十時間となり、一カ月で八時間、時間数が減ることになります。一方、大学入試においては、大学生の学力低下との批判に対して、大学入試センター試験の科目数を五教科、七科目にふやす大学が多くなってきています。高校では、週五日制の完全実施で授業時間が減るのに、大学受験では科目数がふえることになり、進学校と言われる学校を中心に授業時間の確保を求める声が高まっております。
 現在、大阪府立高校では十校以上の学校で一日七時間授業を行うことを検討いたしております。大阪府は、学校や生徒の実態に応じ、学力を伸ばせる子は伸ばしてやりたいとして、生徒に過大な負担がなければ七時間授業を認める方針であります。
 本県では、週五日制の完全実施による高校の授業時間の確保にどう対応されるのか、お尋ねいたします。
 次に、現在、週五日制月二回の実施の中で、休日となった土曜日に、児童生徒に県の文化施設を活用していただく目的で、第二土曜日は県立の文化施設の入場料が無料となっております。週五日制の完全実施により休日となった土曜日を有効に活用していただく趣旨から、県立近代美術館、県立博物館、県立紀伊風土記の丘、県立自然博物館等に対して県は今後どのように対応されるのかお尋ねいたしまして、第一回目の質問を終わらせていただきます。
 ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの新田和弘君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) まず、税源移譲と地方の税源充実についてのご質問でございます。
 ご案内のように、地方分権が進んでまいっております中で、地方自治体の力を充実していくためには税源の移譲と税源の充実は必要だと思います。ご指摘のように、どういう中身になろうかということを想像いたしますと、多分、個人住民税の充実であるとか、法人事業税への外形標準課税の導入ということになってくると思います。和歌山県でも、当然のことながら県の自主財源を充実していくことが重要だという観点から、国に対しましても税源の移譲、外形標準課税の導入を強く要求しているところでございますが、実際問題といたしまして、税源には、豊かな県とそうでない県との間で非常にばらつきがございます。一方でこういうふうな税源を充実していくことは非常に重要なことでございますけれども、県としてはそれとあわせて、地方交付税がいいのかどうかは別といたしまして、どんなときにも財源調整制度の維持を強く要求していかなければならないと考えてまいります。
 また、和歌山県独自の税に関してでございますけれども、近年、東北の方で三県が共同して環境関係の税をつくるということが出ておりました。和歌山県でも、隣の三重県で環境関係の税を導入したところでありまして、紀伊半島は同じような環境に置かれているということから考えれば、奈良県や三重県と話をしながら、こういうふうなものの導入についても積極的に検討していかなければならないと私自身考えているところでございます。
 それから、今度の小泉改革の中で交付税とか補助金が削減されるのではないか、それに対して県はどのように考えるのかというご質問でございます。
 この六月に出された骨太の方針の中で、交付税の見直しとか補助金の見直しということが言われているわけで、その中で「一兆円」というような言葉が今ひとり歩きしているところだと思います。この交付税の制度につきましては、現在、総務省の方で見直しを検討していると思います。多分、一つは地方の単独事業で実際に行っているのと地方財政計画で見込んでいるのと相当乖離があるのでこれを減らしていくとか、市町村側の段階補正という、小さな団体に厚巻きに交付税が行くような制度を見直していくということが検討されていると仄聞しております。
 いずれにいたしましても、こういうふうなことは、和歌山県そして県下の市町村の財政にとって非常に厳しい状況になってくると思います。一つは、私どもといたしまして大きな打撃がないような制度改正になるように強く要求していくということがございますし、もう一つは、こういうことは世の中の大きな流れの中のことでもございますので、県といたしましては、行政改革を行ったり、自主財源が入ってくるような形での足腰の強い県政を目指すということにあわせて努力をしていかなければならないと考えているところでございます。
 次に、緑の雇用事業の関係でございます。
 これにつきましては、午前中もお答えしたのでございますけれども、先般も神戸のタウンミーティングで塩川財務大臣が、山林の維持に対して人を雇っていくということを大きな柱にしていくのだということを言われております。そして、こういうことがいろんなところで言われるようになってきて、これはいいことをしたなという気持ちが一方であるんですけれども、ただ先ほども申し上げましたように、これが短期間の、例えば三カ月とか四カ月とかという、昔で言ったら失対事業的なものとして運用されるということになりますと、これは私の考えている日本の国の中で大きな人口流動を起こして、その中で都市と地方が一緒にうまく発展していくような方法を講じると。そして今、地方の公共事業は非常にむだだということが言われているけれども、地方の方へちゃんと人が行くようになれば、今まで地方でつくった道路だって公共施設だってまた使われるようになるという大きな観点から考えていることですので、このアイデアが余り矮小化されて、短期間の雇用ということを目指すことにならないように、これから強く訴えていかなければならないと考えているところでございます。
 それから、台風十一号でございます。
 先ほども申しましたように、床上浸水、床下浸水、そしてまた農業、漁業に非常に大きな被害が出たところでございます。ダムの問題とか、私も十分承知しておりまして、ご指摘があるところも承っておりますので真摯に対応していきたいと思います。そしてまた、災害が終わると災害復旧事業だけ終わっておしまいという形ではいけませんので、必ずその中から教訓を得て、改善できるところは真摯に改善していくという姿勢で臨んでまいりたいと思います。
 私からは、以上でございます。
○議長(井出益弘君) 総務部長稲山博司君。
  〔稲山博司君、登壇〕
○総務部長(稲山博司君) 財政の中期展望に関連いたしまして、三点のご質問にお答えいたします。
 まず、職員定数の削減、給与水準の適正化への対応についてでございます。
 職員定数については、平成十五年度までに約百人の削減を目標に掲げた定数管理計画に基づき、本年度三十名の定数削減を行ったところでございます。また給与につきましても、給与カット措置の実施などにより人件費の抑制に努めてきたところでございます。
 しかし、昨今の民間の厳しい雇用環境や今後の構造改革の影響等を踏まえたとき、これまで以上のより厳しい対応が必要であるとの視点から、中期展望においては人件費の抑制をさらに重点的に取り組むべきものとして位置づけをしたところでございます。
 具体的な対策といたしましては、事務事業全般にわたっての聖域なき見直しを進め、職員定数の削減を行うとともに、給与につきましても、全般の給与水準の適正化、とりわけ高齢職員の給与水準抑制等の健全化策について検討してまいりたいと考えております。
 なお、国における公務員制度改革の基本設計の目指す新しい給与制度は、その方向といたしましては、職員給与を能力、職責あるいは業績に応じた給与の組み合わせにより決定しようとするものでございまして、質の高い効率的な行政の実現という面で多大な関心を持っているところでございます。今後、制度の具体化の進展を注視しながら、積極的に対応してまいりたいと考えております。
 次に、県単独補助金の見直しについてでございます。
 さきに公表いたしました財政の中期展望でもお示ししているとおり、本県の財政状況は極めて厳しい状況にあり、財政の健全化を図るためには、すべての事務事業について不断の見直しを行っていくことが肝要と考えております。その中にあって、特に県単独補助金につきましては、激しく変化する時代のニーズに十分対応できていないものも見受けられるなど、本県の歳出構造を改革する上でその見直しは避けられない課題であると考えております。このため、ご質問にもございました老人医療費に係る補助金も含め、それぞれの県単独補助金について所期の目的の達成状況、民間、市町村との役割分担等について、統一的観点からゼロベースに立ち返って見直しをしていきたいと考えております。
 なお、見直しに当たっては、県民の皆様や市町村等の関係団体のご理解、ご協力を得られるよう、できる限り努めてまいる所存でございます。
 最後に、今後の行政組織のスリム化の取り組みについてでございます。
 今、大きな変革の時代を迎えまして、本県の組織機構においても、さまざまな分野でその合理性、必要性を徹底的に検証し、ゼロベースから抜本的見直しを行い、これまで以上の改革を断行していく必要があると考えております。
 このような認識のもと、各界の有識者等を構成員とする行政組織等検討懇話会、いわゆるスリム化会議を設置いたしまして、振興局、試験研究機関などの組織機構、あるいは外郭団体のあり方など、これからの県政の構造改革について検討していただくことといたしたところでございます。
 今後、懇話会からの意見や提言をもとに、県民ニーズに的確に対応し得る、より簡素で効率的な行政組織を確立してまいりたいと考えております。
○議長(井出益弘君) 商工労働部長内田安生君。
  〔内田安生君、登壇〕
○商工労働部長(内田安生君) 競輪事業の今後の対応についてお答えをいたします。
 県営競輪も、四市競輪同様、年々売り上げが減少しております。今回、四市組合が撤退することになり、平成十四年度から使用料収入が入らなくなるなど県営競輪の今後の収支見込みは厳しいものがございます。
 議員ご指摘のとおり、財政への寄与が主たる目的でありますが、この厳しい雇用環境のもと、従業員の雇用を守ることも重要であると考えてございます。雇用を守ることと財政への寄与との整合性を図りつつ、県開催の八回分を継続してまいりたいと考えてございます。このため、開催経費の大幅な削減など、従前にも増した合理化の徹底を図るとともに、国及び日本自転車振興会に対して制度の改正を強く要望し、それぞれの関係者のご理解のもと、経営の改善に努めてまいります。
 先ほども申し上げましたが、財政への寄与が主たる目的でありますから、財政への寄与ができなくなる場合には廃止も検討せざるを得ないと考えてございます。
 以上です。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) 台風十一号に対する七川ダムの操作についてでございますが、操作規則に基づき実施しております。この操作規則は、ダムの容量を有効に活用しまして、下流被害を軽減するために流入量及びダム水位から判断して放流量を決定し、それを実施する手続を定めたものであります。今回のダム操作によりまして、最大毎秒千二百七十二立方メートルの洪水を約半分に調節したところでございます。
 また操作規則の見直しにつきましては、地元の皆様からも予備放流水位の見直しができないか等、操作規則の見直しに関する要望をいただいておりますので、今後よりよい操作を目指して、洪水前の放流等も含め、企業局や町と連携して操作規則の見直しについて鋭意検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 台風十一号による被害に関連してのご質問のうち、二点についてお答えいたします。
 まず、小匠ダムの管理についてでございます。
 小匠ダムにつきましては、昭和三十四年に建設されて以来、那智勝浦町の適切な管理によりまして、太田川沿岸の浸水被害が大幅に軽減されているところでございます。
 ご質問の小匠ダムを県が管理することにつきましては、先ほどお答えいたしましたように、非常時の迅速な対応や町災害対策本部等との連携が必要なことから、現在の体制が最善であると考えているところでございます。
 なお、ダム下流の災害につきましては、現在、県営災害復旧事業として実施すべく鋭意作業を進めているところであり、早急な復旧に努めてまいります。
 次に、養殖被害への融資についてでございます。
 施設の復旧を対象とした農林漁業金融公庫の農林漁業施設資金、また漁業の再建、収入源の補てんには、同公庫の沿岸漁業経営安定資金を活用していただきたいと考えてございます。また、災害復旧を目的としておりませんが、種苗の購入や育成、施設の取得等を対象とする農林漁業施設資金や漁業近代化資金、それに沿岸漁業改善資金の活用もあわせ検討してまいりたいと考えてございます。
 なお、天災による被害によるもので一定の条件を満たすものに関しましては、県の単独融資制度も検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 教育長小関洋治君。
  〔小関洋治君、登壇〕
○教育長(小関洋治君) 教育問題六点についてお答えいたします。
 まず、高等学校普通科の通学区域についてでありますが、県内を現在の九つの通学区域として以来、ご指摘のとおり二十年余りが経過いたしております。近年、人口動態等も変化し、生徒や保護者のニーズ、価値観も多様化する中で、各方面から現行の通学区域を見直す必要があるとの意見や、普通科の特色づくりとも関連してこれを検討する必要があるとの意見等が出されておりますことは十分承知いたしております。また、本年六月の法改正により、通学区域の設定は各都道府県の判断に任されることとなりました。こうしたことを踏まえ、現在、今後の本県における普通科通学区域のあり方はどうあるべきか、その見直しや対応策を含めて、できるだけ早く結論を出せるよう、さまざまな角度から鋭意検討を進めているところでございます。
 次に、高等学校入学者選抜に伴う事務の運営及び管理についてでありますが、従来からマニュアルを示して厳正に実施するよう指導いたしております。各学校では、これに基づき、複数教員による採点や集計、二種類のプログラムを用いた採点結果等の電算処理、データの再点検を行い、万全を期しております。もとより、入学者選抜は受験生、保護者の信頼にかかわることであり、これを厳正に行うことが極めて肝要であると思っております。今後とも、事務処理に係る適切な点検システムについて研究をいたしてまいります。
 次に、文部科学省が計画している学力向上フロンティアスクールについてでありますが、この事業は児童生徒一人一人の学習進度等に応じた発展的な指導や補充的な指導などを先進的に実施することになっており、本県においてもその導入に向けて積極的に取り組んでまいる考えでございます。
 また、学校週五日制に伴う高等学校の授業時間の確保につきましては、これまでも学校によって二学期制を導入したり、六十五分授業や七十分授業を行うなど、その実質的な時間数の増加に努力してきたところであります。今後とも、生徒のニーズや学校の実情に合わせ、柔軟な教育課程の編成など、一層特色ある教育が展開されるよう指導してまいります。
 次に、学校週五日制のもとでの文化施設の活用につきましては、各種体験型の催し物等を実施するとともに、学校や家庭へ広く参加を呼びかけております。
 また、お話のありました近代美術館、博物館等の入館料につきましては、現在、小中学生を対象に第二土曜日を無料にしているところであります。来年度以降につきましては、今後関係部局と十分協議してまいります。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 四十五番新田和弘君。
○新田和弘君 ただいま、知事初め各部長からご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 何点か、要望いたしたいと思います。
 まず初めに台風十一号の被害に関する問題でございますが、県職員の方々初め、関係市町村の皆さん、大変ご苦労いただいて、現在も復旧並びに関係の事業に携わっていただいておるわけでございますが、二次災害の問題、またこれからの生活の点を考えますと、できるだけ迅速な災害復旧ということが求められますので、関係の皆さんのさらなる事業へのご努力をお願いいたしたいと思います。
 それからダムに対する問題でございますが、七川ダムの操作規則の見直しにつきましては、災害時には予備放流水位を引き下げるということが強く必要であるということを聞かされました。確かに発電目的がございますので、夏場でも夏季制限水位ということで百六・五メートルまで水をためておきましょうということになっておるわけでございます。もちろん、企業局の発電ということで、片方で営業しなきゃならんという問題があるわけでございますが、今後、地元の皆さん、企業局、土木部の方で十分協議をしていただいて、こういう豪雨による災害があらかじめ予測されるような場合においては、予備放流水位を今の百三・四メートルからもっと思い切って下げるということでのマニュアルの見直し、規則の見直しをぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。
 小匠ダムの管理につきましては、農林水産部が那智勝浦町に委託をして、那智勝浦町の職員の方が精力的に災害防止のために小匠ダムの操作を行ってきていただいておるところでございます。
 私が感じましたのは、委託の協定書というのは更新をする必要があるのかどうかという議論もできるのですけれども、当時結ばれた知事も町長も既にかわられておりますので、そういった観点からすると、もう既に二十年も経過してそのままの協定書というのは、適当な時点で改めていくというか、更新していく方が契約としては望ましいのではないかという気もいたしますので、今後、那智勝浦町とも十分協議をして委託等の運営に当たっていただきたいと思う次第でございます。
 教育問題につきましては、普通科の学区制について、今回の法改正によりまして各都道府県でこの区域を設定することができるということに変わったわけでございます。最近の傾向として、総合学科、中高一貫教育、特色ある専門教科等で県下全域から受験ができるというふうに学校選択が拡大されてきております。そういった意味から、ぜひこの学区の見直しは十五年度に間に合うように進めていただきたいと思います。
 以上、要望いたしまして、終わらせていただきます。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で新田和弘君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。 本日は、これをもって散会いたします。
  午後二時三十九分散会

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