平成13年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後一時三分再開
○議長(井出益弘君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 十九番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問を行います。
 本県は、南に太平洋を望み、夏から秋にかけて、これまでたびたび台風の被害をこうむってまいりました。過去の台風の多かった時期には、「台風銀座」と呼ばれてきた地域であります。去る八月二十一日に大型台風十一号が本県の紀南地方を直撃し、紀伊半島に降った多量の降雨のため、各地で洪水等により甚大な被害が及ぼされました。この台風十一号による被害につきましては、本議会の冒頭でも知事から、被災地へのお見舞い、災害復旧への対応について述べられましたが、私は、地元に住んでおり、毎日被災地の状況をつぶさに見てきた者として、この被害が発生した状況をも踏まえ、今後の対策等について幾つか質問をいたしたいと存じます。
 まず、知事にお伺いします。
 今回の台風十一号に伴う紀南地方の災害の状況は、非常に深刻なものであります。引き続き現地を十分に調査していただき、早急に災害復旧に取り組んでいただきたいのが地元の切なる願いであります。知事のご見解をお伺いいたします。
 八月十四日の午後、太平洋上で発生した台風十一号は、次第に勢力を強めながら日本列島に近づき、二十一日朝には四国の南をゆっくりとした速度で北東に進み、同日午後七時過ぎに串本町に上陸しました。その後さらに速度を緩め、三重県尾鷲市付近を通過し、ゆっくり東北東に進み、二十三日明け方には三陸沖へ達しました。この台風十一号の影響で、県南部を中心に紀伊半島は大雨となり、降り始めからの各地の雨量は、西牟婁郡中辺路町栗栖川で二百二十四ミリ、白浜町椿で二百二十七ミリ、すさみ町小河内で五百五ミリ、串本町大山で三百七十四ミリ、東牟婁郡古座川町蔵土で四百七十八ミリ、古座町重畳山で三百三十八ミリ、那智勝浦町市野々で五百五十ミリ、色川で八百五・五ミリ、熊野川町日足で七百七十六ミリ、新宮市新宮で四百四十八ミリを記録しております。また古座川上流部では、古座川町松根で五百四十ミリと観測史上最大、古座川町西川で四百四十四ミリと観測史上三番目などの記録的な豪雨となっております。
 この台風十一号は日本列島に大きなつめ跡を残しましたが、本県特に紀南地方では、古座川町の全域を初め東牟婁郡の五町に避難勧告が出され、その数は三千百四十五世帯、七千二百八十一名に及び、浸水被害も東牟婁郡内で家屋の一部破損七戸、床上浸水二百二十五戸、床下浸水二百六戸に上り、住民の生活への影響ははかり知れないものがあります。またこの後さらに、九月九日にも再度台風十五号が紀伊半島に接近し、その影響が大変心配されましたが、幸いにも直撃は免れたため、本県ではそれほど目立った被害は出なかったようです。
 今回の台風十一号が紀南地方に及ぼした被害は甚大であり、私も直接地元の市町村や住民の方々から毎日いろいろな相談を受けております。本議会では、この中から特に太田川及び古座川流域に生じた水害と大きな被害が出た周辺の養殖漁業を取り上げ、今後の対応等について県当局のご見解をお伺いいたします。
 まず、太田川の洪水災害についてお伺いします。
 太田川流域は過去にも幾たびかの水害をこうむっており、最近では昭和六十三年九月や平成十年九月の豪雨により、家屋や田畑の冠水等の被害を受けてまいりました。今回の台風十一号においては、床下浸水百五戸、床上浸水百四十四戸と、大きな被害を受けたところであります。この流域で生活を営んできた人々は、これまでのたび重なる洪水の被害から、安全な生活、平穏なあすを願って、防災ダムとしての小匠ダムの建設には、地域を挙げて協力し、工事を進めるために、道路拡幅の際にはたくさんの地域住民が奉仕に出たとも聞いております。ダムができればもう大丈夫、ダムがあるから大丈夫と喜び、ダムのおかげと感謝し、ダムに頼って生活してきたのであります。しかしながら、今回の洪水災害により、ダムに対するこれまでの信頼性が完全に失われている状況にあります。
 私は、台風の後すぐに現地をつぶさに回り、被害の状況を目の当たりにしてまいりました。ちょうど収穫時期を迎えている水田では稲束が流され、道路はあちらこちらでアスファルトがめくれ上がり、また堤防の決壊、通行不能となったつり橋、被害を受けた多くの人家等々、その惨状は目に余るものでありました。今回の台風は異常な豪雨をもたらし、洪水による水害が太田地区の人々にとって大変な恐怖を伴ったことは事実であり、その被害は日々の生活に多大な影響を及ぼしております。今後このような状況が再びあってはならないと、私も心に誓っている毎日であります。
 台風の襲来や梅雨前線等による大雨の際には、ダムの運用管理について早急かつ的確な対応が必要となりますが、まず小匠ダムについて農林水産部長にお伺いします。
 太田川上流の小匠川にある防災ダムは、現在、那智勝浦町の管理となっていますが、今回の大規模な水害から、地元ではダムを県に直接管理してもらった方が安心できるとの意見が多く聞かれます。私も、場合によっては県が直接管理をすることも検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、ダム直下の護岸や用水路等が被災しており、早急に復旧する必要がありますが、復旧計画についてどのようにお考えか、あわせてお伺いします。
 次に、河川管理者として今回のこの洪水による災害をどのように把握し、また今後の対策についてどのように考えているのか、土木部長にお伺いします。
 まず、太田川についてであります。
 洪水により決壊した堤防箇所については、地元はもちろんのこと、私も、危険であると再三にわたり改修を要望してきた箇所でもあります。また、市屋地内の堆積土砂の現状はご存じのことと思いますが、雑木林が茂り、小山ができている状況であります。このような箇所は市屋地区だけではなくほかにもあり、今回のような洪水を大きくした原因の一つとして地元から批判の声が出ています。太田川の災害対策及び堆積土砂並びに河川改修について今後どのようになされるのか、お伺いします。
 次に、古座川についてであります。
 古座川は、熊野川町、本宮町及び大塔村との町村界を分水嶺とする平井川、三尾川、小川の三本の川を合流し、その名前と同じ古座川町内を流れ、下流の古座町で太平洋に注ぐ二級河川であります。古座川の流域は、年間雨量が三千五百ミリ、最大日雨量が四百ミリという非常に降雨量の多い地域で、七川ダムができるまでは毎年洪水により被害を受けていました。このため、洪水調節と発電の多目的ダムとして、本川の中流部に位置する古座川町佐田地内にダムが計画され、昭和三十一年三月に現在の七川ダムが完成し、下流域の水害防止に大きな役割を果たしてきたと聞いています。しかしながら今回の台風十一号による災害は、古座川町で床下浸水が七十四戸、床上浸水が六十九戸にも及ぶ大きな被害となり、台風のためにまれに見る大きな降雨量があったとはいえ、原因の一つとしてダム放流と高潮が重なり、被害が拡大したものと思われます。また、河口に堆積している砂利も川の流れを阻害したのではないかと考えられます。今後、早急に災害復旧が実施されるものと思いますが、古座川の被災を受けた箇所、及び堆積土砂についてどのような対策をなされるのか、お伺いします。
 また、今後の浸水対策を考える上で、七川ダムに関して、次の三点についてお尋ねいたします。
 第一点目は、古座川には洪水調節と発電を目的とする七川ダムがありますが、今回の洪水におけるダム操作と地元住民への連絡体制が正確に行われたのかどうか。
 第二点目は、七川ダムについては、大雨による洪水を防止する事前策として、ダムの容量を有効に活用するために事前放流を行い、貯水位を下げておくべき状況になかったのか、また午後八時に河口の潮位が満潮になるとわかっていながら、ダムの放流量の調節を適切にできなかったのかどうか。
 第三点目は、今回の七川ダムの放流がダムの操作規則に従い適切に行われたのであったとしても、今回の多大な被害の実態を踏まえ、今後、操作規則等の見直しを検討する必要があると考えるが、どうか。
 以上の数点について、今回の台風十一号がもたらした太田川及び古座川の流域における甚大な洪水被害の状況を踏まえ、県当局の誠実な答弁を求めるものであります。
 次に、被害を受けた農家への支援策について、農林水産部長にお尋ねします。
 今回の予想だにしなかった水害により被災した多くの農家の人たちは、家屋、田畑、農機具など身の回りの災害復旧に追われているのが実態であります。しかし、これらが一段落つけば、各農家ではこれらに要した費用の工面など、これからの生活にさまざまな影響が出てまいります。一個人への支援については行政としては限界があると思いますが、現地の被災の実情に合わせ、でき得る限りの対応をしていただきたいというのが私の思いであります。農林水産部長のご所見をお伺いします。
 最後に水産関係について、農林水産部長にお伺いします。
 今回の台風十一号に伴い、水産養殖関係でも近年にない被害が発生し、マグロ養殖等、沿岸海域での養殖や内水面養殖に多額の被害をもたらしています。特に串本町大島の養殖マグロ被害が大きく、新聞報道によりますと、その被害は近畿大学及び民間の二業者で四千尾、二業者の被害総額は一億三千万円を超えるとのことです。県においては、今回の台風十一号による水産養殖関係の被害状況についてどのように把握されているのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
 近年のマグロ漁業は、二百海里規制が行われるようになってから現在に至るまで、全国的な魚価の低迷や燃料費、人件費の高騰などによって遠洋漁業や近海漁業で倒産や廃業に追い込まれる者も多く出ている厳しい経営状況にあり、本県においても同様な状況であります。しかしながら、日本人にとってマグロは、刺身やすしネタの食材として古くから親しまれ、食されてきましたし、また和歌山県にとっては県の魚として県民に広く親しまれてきており、本県とマグロとの結びつきは非常に大きいものがあります。
 一方、地球全体での資源としてマグロを見ますと、その資源は大幅に減少してきていると言われており、一九九九年にFAO(国際連合食糧農業機関)では、世界のマグロ資源は限界を超えて利用されていると判定し、マグロ漁船を減らすよう勧告したことに伴い、日本においては率先して百三十二隻の減船を行ってきたような経過もあります。資源の状況や国際海洋法条約といった国際的な枠組みなどを勘案しますと、日本の今後の漁業のあり方については、マグロのような回遊性の魚であっても、将来的には養殖を目指すことが必要になってくると考えられます。
 和歌山県におけるクロマグロの養殖は、昭和四十五年に近畿大学が串本町大島で最初に研究を始めましたが、養殖用の種苗は、当初専ら天然海域でとられるマグロの幼魚であるヨコワに依存していたようであります。その後、昭和五十四年から近畿大学において採卵し、種苗生産研究が始められ、平成七年に初めて種苗生産魚を沖出しした後も七尾が生き残り、平成十年には四百尾を沖出しし、その後、一部を出荷するまでに至り、今後の有望な養殖魚種の一つとして新聞報道もされ、関係者から大きな期待を寄せられているところであります。民間の漁業者の取り組みとしては、平成五、六年ごろから、大島の二名の漁業者が天然種苗を用いて養殖を開始し、現在に至っております。最近では、採卵の段階から育てられた種苗生産魚も一部で養殖中とのことですが、主力は天然の幼魚によりマグロの養殖に取り組んでいるとのことであります。マグロの幼魚の採捕時には一尾百グラムから五百グラムのものが、一年後には三キログラムから八キログラム、二年後には十キログラムから三十キログラム、三年後には平均で十八キログラム、最大で五十キログラムに成長し、四年後には平均で二十五キログラム、最大で六十キログラム、五年後には平均で四十キログラム、最大で八十キログラムにまで成長します。養殖マグロの評価は、体重が約三十キログラムを超えると価格が安定していることから、三十キログラムから四十キログラム程度で出荷するのが経済的であると言われています。今回の台風による被害は、これから出荷を迎える三歳魚が相当数へい死し、一業者当たりの被害額も六千万円以上と、非常に多額に上っております。
 こうした、県下で先進的にマグロ養殖に取り組んでいる漁業者に対して、今回の被害に対する復旧の支援として県としていかなる対策を講じるつもりか、農林水産部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 以上のように、今回の台風十一号による紀南地方の災害の状況は大変なものとなっており、地元で毎日の生活に困られている人たちを考えますと、この場で言い足りない面がまだまだたくさんございます。台風十一号に伴い、災害をこうむっている県下の各地域について十分な調査を行っていただき、知事初め関係部局一丸となって早急に災害復旧に取り組んでいただけるよう要望して、私の質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの谷洋一君の質問に対する当局の答弁を求めます。
 知事木村良樹君。
  〔木村良樹君、登壇〕
○知事(木村良樹君) 台風十一号の被害についてのご質問にお答えを申し上げます。
 台風十一号は、和歌山県を直撃いたしました。そしてまた、非常にゆっくりしたスピードであったものですから、大変な被害をもたらしたわけでございます。幸い、ダムであるとか、砂防工事とか、そういうふうなものの成果によって人命が失われることはなかったわけでございますけれども、ただいまのご質問にもありましたように、床上浸水が二百二十五戸、床下浸水が二百六戸という被害を受けられた方にとっては大変大きな損害を与えたわけでございます。
 このため県では、現在百三十二件、二十四億円余りの災害復旧事業について鋭意工事を進めているところでございます。そして、ご質問の中にありました太田川、古座川につきましては、私も住民集会をそのどちらの箇所でも開いたことがあるものですから、そのときにもこの地域は水つかりがするんだという話が出ていたので、非常に心を痛めております。現在、土木部等に対して、誠実な対応がとられるよう指示をしているところでございます。
 さらに、後ほど部長の方から答弁いたしますけれども、マグロの問題、これは私も新聞で見まして、大変なことだという認識を持っております。特に、マグロは全国で養殖しているところは余りないわけで、非常に先進的な取り組みということですし、ただいまのお話にありましたように県の魚といういうことですけれども、こういう業者が大変な状況になっているということは真剣に対応しなければならない。特に制度の谷間といいますか、共済制度でも守られない、それから融資も今銀行なんかも非常に厳しい状況ですので、非常に困った状況にあるということでございますので、県といたしまして、まず一つは、今後、共済制度の中にマグロも入っていくような方向で関係機関の方へ働きかけると。ただ、これでは今度被害に遭った人は救われませんので、こういう人たちが救われるような方法を県として講じていきたいと考えているところでございます。
 私からは以上でございます。
○議長(井出益弘君) 農林水産部長辻  健君。
  〔辻  健君、登壇〕
○農林水産部長(辻  健君) 台風十一号による被害と対策についてのご質問のうち、三点についてお答えいたします。
 まず小匠ダムの管理と災害復旧についてでございますが、小匠ダムは、太田川沿岸の耕地とあわせて、公共施設及び人家等の洪水被害を防止する目的で昭和三十四年に築造された農地防災ダムでございまして、県から町に譲渡することを含めて管理委託協定が締結されてございます。
 このダムは、常時は空になっており、豪雨時に小匠川の洪水を一時的に貯留し、太田川本流のピークが過ぎた後にダムの貯留水を徐々に放流する計画となっております。このため管理人が常駐する必要はなく、非常時にその業務への迅速な対応が求められることや避難勧告の発令、避難誘導など町災害対策本部等との連携が必要なことから、現在、那智勝浦町において緊急かつ地域の実情に沿った適正な管理がなされているところであり、この体制が最善であると考えてございます。
 次にダム下流の災害復旧につきましては、災害対策上緊急を要するため、早急な復旧をすべく町当局と協議の結果、県営災害復旧事業として実施することとし、現在、鋭意作業を進めているところでございます。
 次に被災農家への支援についてでございますが、農機具等の農業被害についての融資対策といたしましては、災害による経営の再建及び災害による収入減の補てんに充てるため、農業経営維持安定資金を初め既存の融資制度がございます。被災農家の方々にこれらの資金を十分活用していただけるよう支援してまいりたいと考えてございます。
 最後に養殖漁業の被害と対応についてでございますが、水産業養殖関係の被害状況は、魚介類で二億三千四百七十五万円、施設で二千六百六十五万円となってございます。その内訳でございますが、マグロ養殖では、串本町大島で二業者と近畿大学水産研究所大島分室分を合わせて養殖マグロ三千五百六十匹がへい死し二億一千四百万円の被害、木製小割生けす一基の損壊により四十万円の被害が出てございます。アユの養殖では、古座川町高瀬及び那智勝浦町太田の二カ所で、河川の増水により養殖池のアユ約十三万匹が流出し千八百七十五万円の被害、冠水による施設の損壊で二千六百二十五万円の被害が出てございます。ヒオウギ貝の養殖では、那智勝浦町浦神で大雨、波浪により養殖ヒオウギ貝一万五千個がへい死し二百万円の被害が出てございます。
 次に今回のマグロの養殖関係の被害につきましては、新しい養殖技術に取り組んでいる最中に発生したものであり、まことに残念な事態であると考えてございます。養殖技術の確立されたタイ養殖等の海面養殖につきましては、漁業災害補償法に基づき、昭和三十九年から漁業共済制度が災害対策の一つとして実施されているところでありますが、現在のところマグロはその養殖技術も確立、普及するところまでに至っていないことから、対象魚種となってございません。県といたしましては、今後マグロが漁業共済の対象魚種に加えられるよう国に対して要望するとともに、農林漁業金融公庫の沿岸漁業経営安定資金にあわせ、沿岸漁業改善資金の活用を検討してまいりたいと考えてございます。なおまた、天災被害によるもので一定の条件を満たすものに関しましては、新たな県の単独融資制度も検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 土木部長大山耕二君。
  〔大山耕二君、登壇〕
○土木部長(大山耕二君) まず、太田川及び古座川の災害対策についてお答えいたします。
 堆積土砂につきましては、異常堆積箇所を中心に、町の協力のもと、堆積土砂の除去に取り組んでまいります。また河川改修につきましては、今回の災害の実態を踏まえて、地元の皆様のご意見をお伺いしながら河川改修計画を策定し、その実現に取り組んでまいりたいと考えてございます。
 次に七川ダムの運用についてでございますが、一点目のダム操作につきましては、操作規則に基づき実施しております。この操作規則は、ダムの容量を有効に活用して下流被害を軽減するために、流入量及びダム水位から判断して放流量を決定し、それを実施する手続を定めたものであります。今回の操作の結果、最大毎秒千二百七十二立方メートルの洪水を約半分に調節したところでございます。
 また放流に関する連絡につきましては、操作規則に基づき、放流開始時及び放流量の変更時において、町役場や警察署等の関係機関に連絡を行うとともに、警報車及びサイレンにより住民へ警報を行ってございます。連絡を受けた町におきましては、町内放送により住民への周知が行われたところでございます。
 二点目の事前放流についてでございますが、今回の事前の水位は、六月からの渇水のため、既に台風に備えて前もって下げておく予備放流水位よりも低い状態でありました。そのため、事前放流を行わなかったものでございます。
 また、満潮時にダムの放流量を調節できなかったのかとのご質問でございますが、仮に操作規則にとらわれず、満潮時よりも遅く放流することは、ダムからあふれ出るおそれがあり、不可能であります。
 また、放流する時期を早めた場合には、流入量が増加している時期に当たり、その後も流入量の増加が継続する危険性を考えると、今回よりも最大放流量を多くせざるを得なかったものと考えます。
 三点目の操作規則等の見直しについてでございますが、地元の皆様からも予備放流水位の見直しができないか等の要望をいただいておりますので、今後よりよい操作を目指して、洪水時前の放流方法等も含め、企業局や町と連携して操作規則の見直しについて鋭意検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(井出益弘君) 答弁漏れはありませんか。──再質問を許します。
 十九番谷 洋一君。
○谷 洋一君 知事から前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 この台風十一号は先ほど申したとおりでございまして、私たちの住んでいる地域では大きな被害がまだまだ残っております。早期の災害復旧、またどうしても根本になっている河川が昔のままでございますので、その改修が一日も早くできるようによろしくお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(井出益弘君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で谷洋一君の質問が終了いたしました。

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